2025年(令和7年度)1月に実施された大学入学共通テスト 数学Ⅰ,数学A(本試験)の全22問を、オンライン数学専門塾「数強塾」代表の藤原進之介が全問解説します。新課程で迎えた最初の共通テストで、第1問から第4問までがすべて必答になった年度です。
問題文はすべて再掲し、小問ごとに「どの型を使うのか」「なぜその方針を選ぶのか」まで書いています。解答はすべて大学入試センターが公表した正解表と突き合わせ、全22問一致を確認しています。さらに数式処理系による因数分解の照合、47都道府県データの四分位数の再計算、期待値の分数計算など独立検算を行いました。
出題主体は大学入試センターです。この記事だけで学習を完結できるよう、計算に必要な条件・数値・散布図の読み取り情報・実験結果は、すべて本文中に再掲しています。
この記事の目次
- 第1問(配点30) 2次方程式の因数分解と必要十分条件/2円と正弦定理
- 第2問(配点30) 噴水の放物線モデル/宿泊者数データの分析
- 第3問(配点20) 五面体と球面(方べきの定理と相似の連鎖)
- 第4問(配点20) くじ引きゲームの期待値
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すべての年度・科目の一覧は大学入試 数学 過去問の全問解説ハブにまとめています。
※ 問題文は大学入試センターが公表した2025年度(令和7年度)大学入学共通テスト 本試験の問題を、解説のために引用したものです。解答・解説はオンライン数学専門塾「数強塾」代表 藤原進之介が独自に作成したものであり、大学入試センターが公表した公式解答そのものではありません。答えはすべて公表された正解表と突き合わせ、全22問一致を確認しています。図表で与えられた条件も、解答に必要な内容を本文中に文字で示しています。
- 形式:70分・100点・全問必答(第1問30点/第2問30点/第3問20点/第4問20点)。新課程で迎えた最初の共通テストで、旧課程まであった選択問題がなくなりました。
- 第1問(30点):〔1〕文字を含む2次方程式の因数分解と必要十分条件/〔2〕直線に接する2つの円と正弦定理。
- 第2問(30点):〔1〕噴水の高さを放物線でモデル化する/〔2〕47都道府県の宿泊者数データ(外れ値・分散・仮説検定)。
- 第3問(20点):五面体と球面。方べきの定理と相似で長さを次々に決めていく。
- 第4問(20点):くじ引きゲームの期待値。支払い方法を変えると判断が変わる。
- この年の急所は「文字を含んだまま整理し切れるか」です。第1問〔1〕は \(b\) について整理してから因数分解、第1問〔2〕は \(\sin\alpha\) と \(\sin\beta\) を残したまま2式を作り、第4問は料金 \(a\) を文字のまま期待値にします。数値が出るまで待つのではなく、文字のまま形を整える——この問題群で繰り返し問われています。
第1問(配点30) 2次方程式の因数分解と必要十分条件/2円と正弦定理
〔1〕 \(a,\ b\) を実数とする。\(x\) についての方程式 \((2a+4b-2)x^{2}+(5a+11)x-b-8=0\ \cdots\cdots\ ①\) を考える。
〔2〕 直線 \(\ell\) 上の点 A において \(\ell\) に接する半径2の円を円 O とし、\(\ell\) 上の点 B において \(\ell\) に接する半径4の円を円 O’ とする。円 O と円 O’ は2点で交わるとし、その交点を P、Q とする。ただし \(\angle\mathrm{APB}\lt\angle\mathrm{AQB}\) とする。さらに \(\angle\mathrm{PAB}\) は鋭角であるとする。
〔1〕 ア2 イ8 / ウ2 エ5 オ3 カ2 / キ6 ク4 / ケ1
〔2〕 コ2 サ4 シ8 / ス1 セ0 ソ2 タ2 チ2 / ツ1 テ1 / トナ14 ニ4 ヌネ14
〔1〕(1) 次数の低い文字について整理する
\(a=1\) とする。\(b\) に着目すると、①の左辺は \((4x^{2}-1)b+16x-8\ \cdots\cdots\ ②\) と表せる。よって、②を因数分解すると \((2x-1)(\)ア\(bx+b+\)イ\()\) となる。したがって \(x=\dfrac{1}{2}\) は①の解の一つであることがわかる。
【型】文字が2種類あるときは、次数の低い方について整理する
【なぜこうするか】 \(a=1\) を入れた式 \(4bx^{2}+16x-b-8\) は、\(x\) について見れば2次で係数に \(b\) が混ざり、扱いにくい。しかし \(b\) について見れば1次です。1次式なら「\(b\) の係数」と「残り」に分けるだけで整理が終わります。これが問題文の②の正体です。
\(a=1\) のとき①の左辺は \(4bx^{2}+16x-b-8=(4x^{2}-1)b+16x-8\)。ここで両方の塊に共通因数が現れます。
\[4x^{2}-1=(2x-1)(2x+1),\qquad 16x-8=8(2x-1)\]
どちらも \(2x-1\) を含むので
\[(2x-1)(2x+1)b+8(2x-1)=(2x-1)\left\{(2x+1)b+8\right\}=(2x-1)(2bx+b+8)\]
よってアは2、イは8です。\(2x-1=0\)、すなわち \(x=\dfrac{1}{2}\) が \(b\) の値によらず①の解になります。
【検算】 数式処理系に \(a=1\) を代入した左辺を因数分解させると \((2x-1)(2bx+b+8)\) が返り、一致しました。展開して戻しても \(4bx^{2}+16x-b-8\) になります。
【定石】 文字が複数あるときは最も次数の低い文字について整理する。1次になった文字でくくると、共通因数が見えて因数分解が一気に進む。
〔1〕(2)(i) 今度は \(a\) を残したまま因数分解する
\(b=2\) とする。①の左辺を因数分解すると \((\)ウ\(x+\)エ\()\{(a+\)オ\()x-\)カ\(\}\) となる。
【型】文字を含む2次式の因数分解は、定数項と最高次の係数から候補を絞る
【なぜこうするか】 \(b=2\) を代入すると \((2a+6)x^{2}+(5a+11)x-10\)。答えの形が \((\ \square x+\square)\{(a+\square)x-\square\}\) と与えられているので、\(a\) を含む因数は1つだけだとわかります。ということは、最高次の係数 \(2a+6=2(a+3)\) の「2」が \(a\) を含まない因数の側、「\(a+3\)」がもう一方の側です。
定数項 \(-10\) は \((\ 2x+p)\{(a+3)x-q\}\) の形では \(-pq=-10\)。\(p=5,\ q=2\) と当たりをつけて展開すると
\[(2x+5)\left\{(a+3)x-2\right\}=2(a+3)x^{2}+\left\{5(a+3)-4\right\}x-10\]
\[\phantom{(2x+5)\left\{(a+3)x-2\right\}}=(2a+6)x^{2}+(5a+11)x-10\]
となり一致します。よってウは2、エは5、オは3、カは2です。
【検算】 数式処理系で \((2a+6)x^{2}+(5a+11)x-10\) と \((2x+5)\{(a+3)x-2\}\) の差を展開したところ、恒等的に0になりました。
【定石】 文字入りの2次式でも、最高次の係数と定数項の分け方から候補は数通りに絞れます。答えの形が与えられているマーク式では、その形から逆算すると効率よく進められます。
〔1〕(2)(ii) 無理数の解は分母を有理化して形を合わせる
\(a=2\sqrt{2}\) のとき、①の解は、1つが \(x=-\dfrac{\boxed{\text{エ}}}{\boxed{\text{ウ}}}\)、もう1つが \(x=\)キ\(-\)ク\(\sqrt{2}\) となる。
【型】分母に無理数が出たら、共役をかけて有理化する
【なぜこうするか】 (i)の因数分解を使えば、それぞれの因数を0とおくことで解を求められます。\(2x+5=0\) から \(x=-\dfrac{5}{2}\)。もう一方は \((a+3)x-2=0\) から \(x=\dfrac{2}{a+3}\) で、\(a=2\sqrt{2}\) を入れると \(\dfrac{2}{2\sqrt{2}+3}\)。答えの形が「整数 \(-\) 整数 \(\times\sqrt{2}\)」と指定されているため、分母を有理化します。
\[\dfrac{2}{2\sqrt{2}+3}=\dfrac{2(2\sqrt{2}-3)}{(2\sqrt{2}+3)(2\sqrt{2}-3)}=\dfrac{2(2\sqrt{2}-3)}{8-9}=\dfrac{2(2\sqrt{2}-3)}{-1}=6-4\sqrt{2}\]
よってキは6、クは4です。
【検算】 \(6-4\sqrt{2}\fallingdotseq 0.343\)。これを \((2a+6)x^{2}+(5a+11)x-10\) に \(a=2\sqrt{2}\) とともに代入すると0になります。数式処理系で解かせても \(\left\{-\dfrac{5}{2},\ 6-4\sqrt{2}\right\}\) が返りました。
【定石】 有理化は「\(\sqrt{\ }\) を含む項の符号を反転させたもの」を分母分子にかける。分母が \(-1\) になると符号が全部ひっくり返るので、そこだけ注意する。
〔1〕(2)(iii) 「〜だけである」条件は、重解の場合を忘れない
\(a=-\)オであることは、①の解が \(x=-\dfrac{\boxed{\text{エ}}}{\boxed{\text{ウ}}}\) だけであるためのケ。(解答群)⓪ 必要条件であるが、十分条件ではない ① 十分条件であるが、必要条件ではない ② 必要十分条件である ③ 必要条件でも十分条件でもない
【型】必要条件・十分条件は両方向を別々に確かめる
【なぜこうするか】 必要条件・十分条件を判定するには、片方向だけでなく逆方向も確かめる必要があります。ここでは逆向きに「解が \(-\dfrac{5}{2}\) だけになる \(a\) をすべて求める」ことが大切です。解が1つだけになる場合には、そもそも2次方程式でなくなる場合と重解になる場合の2通りがあります。
まず \(a=-3\) のとき、①は \((2(-3)+6)x^{2}+(5(-3)+11)x-10=-4x-10=0\) となり1次方程式。解は \(x=-\dfrac{5}{2}\) だけです。よって十分条件です。
逆はどうか。\(a\neq-3\) のときは2次方程式で、解は \(-\dfrac{5}{2}\) と \(\dfrac{2}{a+3}\) の2つ。これらが一致すれば、解は \(-\dfrac{5}{2}\) だけになります。
\[\dfrac{2}{a+3}=-\dfrac{5}{2}\ \Longrightarrow\ 4=-5(a+3)\ \Longrightarrow\ a=-\dfrac{19}{5}\]
つまり \(a=-\dfrac{19}{5}\) でも「解は \(-\dfrac{5}{2}\) だけ」になります。したがって \(a=-3\) は必要条件ではありません。ケは①です。
【検算】 \(a=-\dfrac{19}{5}\) を代入すると \(\left(-\dfrac{38}{5}+6\right)x^{2}+\left(-19+11\right)x-10=-\dfrac{8}{5}x^{2}-8x-10\)。\(-\dfrac{2}{5}\) でくくると \(4x^{2}+20x+25=(2x+5)^{2}\) となり、確かに \(x=-\dfrac{5}{2}\) の重解です。
【定石】 「解が1つだけ」は①1次に落ちる場合と②重解の場合の2つ。2次の係数に文字が入っていたら、必ず「2次でない場合」を先に確認する。
【よくあるミス】 \(a=-3\) を代入して確かめただけで「必要十分」と答えること。逆向きの検証を省略すると、重解のケース \(a=-\dfrac{19}{5}\) を見落とします。
〔2〕(1)前半 弦の長さは「半径 × 2sin(中心角の半分)」で出る
\(\angle\mathrm{PAB}=\alpha\)、\(\angle\mathrm{PBA}=\beta\) とおく。円 O の中心 O から直線 PA に引いた垂線と直線 PA との交点を H とする。\(\angle\mathrm{OAB}=90^{\circ}\) であるから \(\angle\mathrm{AOH}=\alpha\) である。よって、\(\triangle\mathrm{OAH}\) に着目すると \(\mathrm{AH}=\)コ\(\sin\alpha\) であるから \(\mathrm{PA}=2\mathrm{AH}=\)サ\(\sin\alpha\ \cdots\cdots\ ①\) である。同様にして、円 O’ の中心 O’ から直線 PB に引いた垂線と直線 PB との交点を H’ とすると \(\mathrm{PB}=2\mathrm{BH}’=\)シ\(\sin\beta\ \cdots\cdots\ ②\) であることもわかる。
【型】中心から弦に下ろした垂線は弦を2等分する
【なぜこうするか】 弦 PA の長さを直接測るのは難しい。しかし中心 O から垂線を下ろせば、垂線の足 H が弦の中点になります。だから \(\mathrm{PA}=2\mathrm{AH}\) と半分だけ考えればよい。
なぜ \(\angle\mathrm{AOH}=\alpha\) なのか。半径 OA は接線 \(\ell\) と垂直なので \(\angle\mathrm{OAB}=90^{\circ}\)。よって \(\angle\mathrm{OAH}=90^{\circ}-\alpha\)。直角三角形 OAH で \(\angle\mathrm{AHO}=90^{\circ}\) だから \(\angle\mathrm{AOH}=90^{\circ}-(90^{\circ}-\alpha)=\alpha\) です。
\(\mathrm{OA}=2\) なので \(\mathrm{AH}=\mathrm{OA}\sin(\angle\mathrm{AOH})=2\sin\alpha\)。コは2です。
\[\mathrm{PA}=2\mathrm{AH}=4\sin\alpha\]
でサは4。円 O’ は半径4なので、まったく同じ議論で \(\mathrm{BH}’=4\sin\beta\)、\(\mathrm{PB}=8\sin\beta\)。シは8です。
【検算】 座標で確かめます。\(\mathrm{A}(0,0)\)、\(\mathrm{O}(0,2)\)、\(\mathrm{B}(2\sqrt{7},0)\)、\(\mathrm{O}'(2\sqrt{7},4)\) とおいて2円の交点を求めると \(\mathrm{P}\left(\dfrac{\sqrt{7}}{2},\ \dfrac{7}{2}\right)\)、\(\mathrm{Q}\left(\dfrac{3\sqrt{7}}{4},\ \dfrac{7}{4}\right)\)。このとき \(\mathrm{PA}=\sqrt{\dfrac{7}{4}+\dfrac{49}{4}}=\sqrt{14}\)、\(\mathrm{QA}=\sqrt{7}\) となり、問題文の「\(\mathrm{QA}=\sqrt{7}\)」と一致します。
【定石】 円と接線の問題では「半径と接線は垂直」「中心から弦への垂線は弦を2等分」の2つだけで、たいていの長さが出る。
〔2〕(1)後半 正弦定理と①②を組み合わせて \(\sin\) の関係を出す
\(\triangle\mathrm{PAB}\) の外接円の半径を \(R_{1}\) とおくと、正弦定理により \(\dfrac{\mathrm{PA}}{\sin\ \boxed{\text{ス}}}=\dfrac{\mathrm{PB}}{\sin\ \boxed{\text{セ}}}=2R_{1}\) が成り立つので \(\mathrm{PA}\sin\)セ\(=\mathrm{PB}\sin\)スである。この式に①と②を代入することにより \(\sin\)セ\(=\sqrt{\boxed{\text{ソ}}}\sin\)ス、\(\mathrm{PB}=\sqrt{\boxed{\text{ソ}}}\ \mathrm{PA}\) となることがわかる。さらに \(R_{1}=\)タ\(\sqrt{\boxed{\text{チ}}}\) が得られる。(ス・セの解答群)⓪ \(\alpha\) ① \(\beta\)
【型】正弦定理は「辺 ÷ 向かい合う角の \(\sin\)」
【なぜこうするか】 正弦定理でよくある誤りは、「どの角と向かい合っているか」を取り違えることです。\(\triangle\mathrm{PAB}\) で辺 PA と向かい合うのは頂点 B の角、つまり \(\beta\)。辺 PB と向かい合うのは頂点 A の角、つまり \(\alpha\)。よってスは①、セは⓪です。
\(\dfrac{\mathrm{PA}}{\sin\beta}=\dfrac{\mathrm{PB}}{\sin\alpha}\) から \(\mathrm{PA}\sin\alpha=\mathrm{PB}\sin\beta\)。ここに①②を代入すると
\[4\sin\alpha\cdot\sin\alpha=8\sin\beta\cdot\sin\beta\ \Longrightarrow\ \sin^{2}\alpha=2\sin^{2}\beta\ \Longrightarrow\ \sin\alpha=\sqrt{2}\sin\beta\]
(\(\alpha,\beta\) は三角形の内角なので \(\sin\) は正。)よってソは2です。これを②に戻すと
\[\mathrm{PB}=8\sin\beta=8\cdot\dfrac{\sin\alpha}{\sqrt{2}}=4\sqrt{2}\sin\alpha=\sqrt{2}\,\mathrm{PA}\]
最後に外接円の半径。\(2R_{1}=\dfrac{\mathrm{PA}}{\sin\beta}=\dfrac{4\sin\alpha}{\sin\beta}=4\sqrt{2}\) なので \(R_{1}=2\sqrt{2}\)。タは2、チは2です。
この計算から、\(R_{1}\) は2円の半径2と4だけで決まり、\(\alpha,\beta\) の具体的な値によらないこともわかります。
【検算】 上の座標で \(\triangle\mathrm{PAB}\) の外接円半径を計算します。\(\mathrm{PA}=\sqrt{14}\)、\(\mathrm{PB}=\sqrt{2}\cdot\sqrt{14}=2\sqrt{7}\)、\(\mathrm{AB}=2\sqrt{7}\)。ヘロンの公式と \(R=\dfrac{abc}{4S}\) で計算すると \(R_{1}=2\sqrt{2}\fallingdotseq 2.828\) となり一致しました。
【定石】 同じ量を2通りの式で表して等号で結ぶ。ここでは \(\mathrm{PA},\mathrm{PB}\) を「円の半径と \(\sin\)」で表した式と「正弦定理」の式を突き合わせている。
〔2〕(2) 求め方が \(\alpha,\beta\) によらないので、Q でも同じ答えになる
太郎:\(\triangle\mathrm{QAB}\) の外接円の半径も求められるかな。花子:(1)の \(R_{1}\) の求め方を参考にすればよさそうだね。\(\triangle\mathrm{PAB}\)、\(\triangle\mathrm{QAB}\) の外接円の半径をそれぞれ \(R_{1}\)、\(R_{2}\) とおく。このとき \(R_{1}\)ツ\(R_{2}\) である。さらに \(\sin\angle\mathrm{APB}\)テ\(\sin\angle\mathrm{AQB}\) であることもわかる。(解答群)⓪ \(\lt\) ① \(=\) ② \(\gt\)
【型】導出の過程を見直して、「何に依存していないか」を読む
【なぜこうするか】 計算をやり直す必要はありません。(1)の導出で使った情報は「円 O の半径が2」「円 O’ の半径が4」「A、B が接点」だけで、P という点の特別な性質は一切使っていません。同じ議論は Q にもそのまま通用します。したがって \(R_{2}=2\sqrt{2}=R_{1}\)。ツは①です。
次に \(\sin\) の比較。\(\triangle\mathrm{PAB}\) で辺 AB と向かい合うのは \(\angle\mathrm{APB}\) なので、正弦定理より
\[\dfrac{\mathrm{AB}}{\sin\angle\mathrm{APB}}=2R_{1},\qquad \dfrac{\mathrm{AB}}{\sin\angle\mathrm{AQB}}=2R_{2}\]
AB は共通で \(R_{1}=R_{2}\) だから \(\sin\angle\mathrm{APB}=\sin\angle\mathrm{AQB}\)。テは①です。
なお \(\angle\mathrm{APB}\lt\angle\mathrm{AQB}\) なのに \(\sin\) が等しいということは、2つの角の和が \(180^{\circ}\) だということ。つまり4点 A、P、B、Q は同一円周上にある、という隠れた結論まで読み取れます。
【検算】 座標から \(\angle\mathrm{APB}\) と \(\angle\mathrm{AQB}\) を数値計算すると、それぞれ約 \(69.3^{\circ}\) と約 \(110.7^{\circ}\) で、和はちょうど \(180^{\circ}\)。\(\sin\) はどちらも \(0.9354\fallingdotseq\dfrac{\sqrt{14}}{4}\) で一致します。
【定石】 同じ手順が別の対象にも使えるかどうかは、導出で何を使ったかを列挙すると判定できる。使っていない性質は結論に影響しない。
〔2〕(3) 外接円の半径が分かっているので、正弦定理を逆に使う
太郎:AB の長さが与えられれば、PA と QA の長さが求められそうだね。花子:\(\angle\mathrm{APB}\lt\angle\mathrm{AQB}\) に注意して求めてみよう。\(\mathrm{AB}=2\sqrt{7}\) とする。このとき \(\sin\angle\mathrm{APB}=\dfrac{\sqrt{\boxed{\text{トナ}}}}{\boxed{\text{ニ}}}\) である。(1)より \(\mathrm{PB}=\sqrt{\boxed{\text{ソ}}}\ \mathrm{PA}\) であるから \(\mathrm{PA}=\sqrt{\boxed{\text{ヌネ}}}\) である。同様に、\(\mathrm{QA}=\sqrt{7}\) であることがわかる。
【型】正弦定理と余弦定理を組み合わせて1辺を決める
【なぜこうするか】 \(R_{1}=2\sqrt{2}\) が分かっているので、正弦定理を逆向きに使えば \(\sin\angle\mathrm{APB}\) を直接求められます。
\[\sin\angle\mathrm{APB}=\dfrac{\mathrm{AB}}{2R_{1}}=\dfrac{2\sqrt{7}}{4\sqrt{2}}=\dfrac{\sqrt{7}}{2\sqrt{2}}=\dfrac{\sqrt{14}}{4}\]
よってトナは14、ニは4です。
次に \(\cos\)。\(\cos^{2}=1-\dfrac{14}{16}=\dfrac{1}{8}\) なので \(\cos\angle\mathrm{APB}=\pm\dfrac{\sqrt{2}}{4}\)。ここで花子さんの注意が必要です。\(\angle\mathrm{APB}\lt\angle\mathrm{AQB}\) で2角の和が \(180^{\circ}\) だから \(\angle\mathrm{APB}\lt 90^{\circ}\)、つまり \(\cos\angle\mathrm{APB}=\dfrac{\sqrt{2}}{4}\gt 0\) です。
\(\mathrm{PB}=\sqrt{2}\,\mathrm{PA}\) を使って \(\triangle\mathrm{PAB}\) に余弦定理を適用すると
\[\mathrm{AB}^{2}=\mathrm{PA}^{2}+\mathrm{PB}^{2}-2\,\mathrm{PA}\cdot\mathrm{PB}\cos\angle\mathrm{APB}\]
\[28=\mathrm{PA}^{2}+2\mathrm{PA}^{2}-2\sqrt{2}\,\mathrm{PA}^{2}\cdot\dfrac{\sqrt{2}}{4}=3\mathrm{PA}^{2}-\mathrm{PA}^{2}=2\mathrm{PA}^{2}\]
よって \(\mathrm{PA}^{2}=14\)、\(\mathrm{PA}=\sqrt{14}\)。ヌネは14です。
【検算】 座標から直接 \(\mathrm{PA}\) を計算すると \(\sqrt{14}\fallingdotseq 3.742\)、\(\mathrm{QA}=\sqrt{7}\fallingdotseq 2.646\) となり、どちらも問題文と一致しました。さらに \(\mathrm{PB}=\sqrt{2}\cdot\sqrt{14}=2\sqrt{7}\) で、これは \(\mathrm{AB}\) と等しく \(\triangle\mathrm{PAB}\) が二等辺三角形になります。
【定石】 \(\sin\) から \(\cos\) を出すときは符号を必ず条件から決める。「角の大小」「鋭角である」といった一文は、たいていこの符号決定のために置かれている。
第2問(配点30) 噴水の放物線モデル/宿泊者数データの分析
〔1〕 公園にある二つの小さな噴水と一つの大きな噴水の高さについて考える。噴水の水がえがく曲線は三つとも放物線とし、水が出る位置は水平な地面にある。長さの単位はメートルだが以下では省略する。
〔2〕 47都道府県における外国人宿泊者数と日本人宿泊者数の動向を調べる。宿泊者数は千の位を四捨五入し、1万人単位で表す。外れ値は「(第1四分位数)\(-1.5\times\)(四分位範囲)」以下の値、「(第3四分位数)\(+1.5\times\)(四分位範囲)」以上の値とする。
〔1〕 ア1 イ4 ウ5 エ8 オ5 / カ9 キ5 クケ81 コサ25 / シ0 / ス1 セ4 ソ0
〔2〕 タ0 / チ4 ツ3 / テ4 ト0 / ナ4 ニ3 ヌ0 ネ0
〔1〕(1) 放物線は「2つの \(x\) 切片」から作るのが速い
【仮定1】左側の小さな噴水の放物線 \(C_{1}\) は \(x\) 軸上の点 \(\mathrm{P}_{1}\left(-\dfrac{5}{2},\ 0\right)\) から出て点 \(\left(\dfrac{1}{2},\ 0\right)\) に至る。右側の \(C_{3}\) は \(\mathrm{P}_{3}\left(\dfrac{5}{2},\ 0\right)\) から出て点 \(\left(-\dfrac{1}{2},\ 0\right)\) に至る。\(C_{1}\) と \(C_{3}\) はともに点 \((0,\ 1)\) を通る。【仮定2】中央の大きな噴水の放物線 \(C_{2}\) は \(x\) 軸上の点 \(\mathrm{P}_{2}\left(\dfrac{3}{2},\ 0\right)\) から出て \(C_{3}\) の頂点と \(C_{1}\) の頂点を通る。 \(C_{1}\) をグラフにもつ2次関数を \(y=ax^{2}+bx+c\) とする。このとき \(c=\)アであり、また \(y=-\dfrac{\boxed{\text{イ}}}{\boxed{\text{ウ}}}x^{2}-\dfrac{\boxed{\text{エ}}}{\boxed{\text{オ}}}x+\)アである。\(C_{1}\) の頂点の \(y\) 座標は \(\dfrac{\boxed{\text{カ}}}{\boxed{\text{キ}}}\) である。このことを用いると、\(C_{2}\) の頂点の \(y\) 座標は \(\dfrac{\boxed{\text{クケ}}}{\boxed{\text{コサ}}}\) であることがわかる。したがって、大きな噴水の高さは、小さな噴水の高さのシである。(シの解答群)⓪ およそ2倍 ① およそ3倍 ② およそ4倍 ③ およそ5倍
【型】\(x\) 軸との交点が \(p,\ q\) なら \(y=a(x-p)(x-q)\)
【なぜこうするか】 \(y=ax^{2}+bx+c\) と置いて3点を代入すると3元連立になります。しかし2つの \(x\) 切片が分かっているので、因数分解形で置けば未知数は \(a\) ひとつだけ。残り1点を代入して終わりです。
\(C_{1}\) は \(x=-\dfrac{5}{2}\) と \(x=\dfrac{1}{2}\) で \(x\) 軸と交わるので \(y=a\left(x+\dfrac{5}{2}\right)\left(x-\dfrac{1}{2}\right)\)。点 \((0,1)\) を通るから
\[a\cdot\dfrac{5}{2}\cdot\left(-\dfrac{1}{2}\right)=1\ \Longrightarrow\ -\dfrac{5}{4}a=1\ \Longrightarrow\ a=-\dfrac{4}{5}\]
展開すると \(y=-\dfrac{4}{5}\left(x^{2}+2x-\dfrac{5}{4}\right)=-\dfrac{4}{5}x^{2}-\dfrac{8}{5}x+1\)。よってアは1、イは4、ウは5、エは8、オは5です。
頂点は2つの切片の中点 \(x=\dfrac{1}{2}\left(-\dfrac{5}{2}+\dfrac{1}{2}\right)=-1\)。代入して \(y=-\dfrac{4}{5}+\dfrac{8}{5}+1=\dfrac{9}{5}\)。カは9、キは5です。
\(C_{3}\) は \(C_{1}\) を \(y\) 軸で折り返したものなので、頂点は \(\left(1,\ \dfrac{9}{5}\right)\)。\(C_{2}\) は \(\left(-1,\ \dfrac{9}{5}\right)\) と \(\left(1,\ \dfrac{9}{5}\right)\) の両方を通るので、軸は \(y\) 軸。よって \(C_{2}:y=px^{2}+q\) と置けます。
\(p+q=\dfrac{9}{5}\)(\(x=1\) を通る)と \(\dfrac{9}{4}p+q=0\)(\(\mathrm{P}_{2}\left(\dfrac{3}{2},0\right)\) を通る)を連立して \(p=-\dfrac{36}{25}\)、\(q=\dfrac{81}{25}\)。頂点の \(y\) 座標は \(\dfrac{81}{25}\) でクケは81、コサは25です。
高さの比は \(\dfrac{81/25}{9/5}=\dfrac{81}{25}\cdot\dfrac{5}{9}=\dfrac{9}{5}=1.8\) で、およそ2倍。シは⓪です。
【検算】 数式処理系で \(C_{1}=-\dfrac{4}{5}x^{2}-\dfrac{8}{5}x+1\) の零点を求めると \(\left\{-\dfrac{5}{2},\ \dfrac{1}{2}\right\}\)、\(x=0\) での値は1、頂点の \(y\) 座標は \(\dfrac{9}{5}\)。\(C_{2}\) は \(p=-\dfrac{36}{25},\ q=\dfrac{81}{25}\) となり、\(x=\pm 1\) で \(-\dfrac{36}{25}+\dfrac{81}{25}=\dfrac{45}{25}=\dfrac{9}{5}\) と確かに \(C_{1},C_{3}\) の頂点を通ります。比は \(1.8\) 倍でした。
【定石】 放物線は「2つの \(x\) 切片」が分かれば \(y=a(x-p)(x-q)\) と置く。頂点の \(x\) 座標は2切片の平均になるので、平方完成すら要らない。
〔1〕(2) 条件を1つ変えて、逆に位置を求める
【仮定2’】中央の大きな噴水の放物線 \(C_{2}’\) は、\(x\) 軸の正の部分の点 \(\mathrm{P}_{2}’\) から出て \(C_{3}\) の頂点と \(C_{1}\) の頂点を通る。\(C_{2}’\) の頂点の \(y\) 座標は5である。 仮定1と仮定2′ のもとで考える。このとき、\(\mathrm{P}_{2}’\) は \(\mathrm{P}_{2}\) より \(\dfrac{\boxed{\text{ス}}}{\boxed{\text{セ}}}\) だけソの方にある。(ソの解答群)⓪ \(\mathrm{P}_{1}\) ① \(\mathrm{P}_{3}\)
【型】条件を1つ差し替えて、未知数を置き直す
【なぜこうするか】 (1)で使った「軸が \(y\) 軸」という性質は、\(C_{1}\) と \(C_{3}\) の頂点を通るという条件から出ていました。仮定2′ でもその条件は生きているので、軸が \(y\) 軸であることはそのまま使えます。変わったのは頂点の高さだけです。
\(C_{2}’:y=p’x^{2}+5\) と置くと、\(\left(1,\ \dfrac{9}{5}\right)\) を通るので
\[p’+5=\dfrac{9}{5}\ \Longrightarrow\ p’=\dfrac{9}{5}-5=-\dfrac{16}{5}\]
\(x\) 切片は \(-\dfrac{16}{5}x^{2}+5=0\) から \(x^{2}=\dfrac{25}{16}\)、正の方をとって \(x=\dfrac{5}{4}\)。すなわち \(\mathrm{P}_{2}’\left(\dfrac{5}{4},\ 0\right)\) です。
\(\mathrm{P}_{2}\) は \(\dfrac{3}{2}=\dfrac{6}{4}\) なので
\[\dfrac{6}{4}-\dfrac{5}{4}=\dfrac{1}{4}\]
だけ左(\(\mathrm{P}_{1}\) の側)にあります。スは1、セは4、ソは⓪です。
高くしたいなら水が出る位置を内側に寄せる——直感とも合う結論です。
【検算】 \(C_{2}’=-\dfrac{16}{5}x^{2}+5\) に \(x=1\) を入れると \(-\dfrac{16}{5}+5=\dfrac{9}{5}\) で確かに \(C_{1}\) の頂点を通り、\(x=\dfrac{5}{4}\) を入れると \(-\dfrac{16}{5}\cdot\dfrac{25}{16}+5=-5+5=0\) で \(x\) 軸上。頂点の高さは5です。
【定石】 設定を差し替える小問では、前問の結論のうちどれが生き残るかを最初に確認する。生き残る性質(ここでは「軸が \(y\) 軸」)を再利用すれば計算量は激減する。
〔2〕(1)(i) 散布図の判定は「基準線との上下」で数える
図1は47都道府県における令和4年の外国人宿泊者数と日本人宿泊者数の散布図である。横軸は外国人宿泊者数(0〜700)、縦軸は日本人宿泊者数(0〜7000)で、原点を通る傾き10の直線 \(y=10x\) が破線で引かれている。47個の点の多くは横軸100未満に集まり、外国人宿泊者数が100を超え、かつ日本人宿泊者数が2500を超える領域には2点ある。また、破線 \(y=10x\) より下にある点は24点未満であり、日本人宿泊者数が1000を超える点は12点である。次の(a)、(b)は図1に関する記述である。(a) 令和4年について、外国人宿泊者数が100を超え、かつ日本人宿泊者数が2500を超える都道府県の数は2である。(b) 令和4年について、日本人宿泊者数が外国人宿泊者数の10倍未満である都道府県の割合は50%未満である。(a)、(b)の正誤の組合せとして正しいものはタである。(解答群)⓪ (a)正 (b)正 ① (a)正 (b)誤 ② (a)誤 (b)正 ③ (a)誤 (b)誤
【型】散布図の条件は「縦の線」「横の線」「斜めの線」に翻訳して数える
【なぜこうするか】 散布図の正誤問題は、点を漫然と眺めても答えが出ません。条件を図の上の「線」に置き換えるのがコツです。(a)は「\(x=100\) より右、かつ \(y=2500\) より上」という長方形の領域に入る点の個数。(b)は「\(y=10x\) の破線より下にある点」の割合です。
(a):図1で右上の領域に入るのは2点です(外国人宿泊者数が突出して多い2つの都道府県)。よって正。
(b):条件 \(y\lt 10x\) は破線より下という意味です。図1を見ると、点の大半は左端付近に密集し、日本人宿泊者数が数百〜1000程度で外国人宿泊者数がごく小さい。そのような点は \(y\) が \(10x\) をはるかに上回るので破線より上にあります。破線より下にある点は少数で、47の半分(24以上)には届きません。よって「50%未満」は正。
したがってタは⓪です。
【検算】 (b)の向きを式で再確認します。破線は \(y=10x\) なので、「日本人宿泊者数が外国人宿泊者数の10倍未満」は \(y\lt 10x\)、すなわち破線より下です。本文に文字起こしした図1の読み取り情報でも、該当する点は47点の半数を超えるために必要な24点に達していません。
【定石】 散布図に補助線が引いてあるときは、必ずその線が条件そのもの。傾き10の直線が引いてあるなら「10倍」の条件が問われる、と先読みできる。
〔2〕(1)(ii) 四分位数は順位で決まる。47個なら12番目と36番目
47都道府県における令和4年の外国人宿泊者数を分析した結果、外れ値となる都道府県の数は8であった。一方、表1は47都道府県における令和4年の日本人宿泊者数を、値の小さい順に並べ、その順に \(\mathrm{P}1,\ \mathrm{P}2,\ \cdots,\ \mathrm{P}47\) としたものである。この中で、外国人宿泊者数で外れ値となる都道府県(\(\mathrm{P}37,\ \mathrm{P}40,\ \mathrm{P}42,\ \mathrm{P}43,\ \mathrm{P}44,\ \mathrm{P}45,\ \mathrm{P}46,\ \mathrm{P}47\))に印を付けている。表1のデータにおいて、四分位範囲はチとなることから、令和4年の外国人宿泊者数と日本人宿泊者数の両方で外れ値となる都道府県の数はツである。(チの解答群)⓪ 320 ① 450 ② 597 ③ 638 ④ 900 ⑤ 966 ⑥ 1253 ⑦ 1261 ⑧ 1602 ⑨ 1864 ※表1の値は \(\mathrm{P}12=351\)、\(\mathrm{P}36=1251\)、\(\mathrm{P}45=2831\)、\(\mathrm{P}46=2839\)、\(\mathrm{P}47=5226\) など。
【型】\(n=47\) の四分位数は、下半分23個の中央(12番目)と上半分23個の中央(36番目)
【なぜこうするか】 47個のデータの中央値は24番目。これを除いた下側23個の中央が \(Q_{1}\)、上側23個の中央が \(Q_{3}\) です。下側は1〜23番目でその中央は12番目、上側は25〜47番目でその中央は36番目。順位さえ正しく数えれば表を読むだけで終わります。
\(Q_{1}=\mathrm{P}12=351\)、\(Q_{3}=\mathrm{P}36=1251\) なので
\[1251-351=900\]
チは④です。上側の外れ値の判定値は
\[Q_{3}+1.5\times 900=1251+1350=2601\]
表1で2601以上なのは \(\mathrm{P}45=2831\)、\(\mathrm{P}46=2839\)、\(\mathrm{P}47=5226\) の3つ。下側の判定値は \(351-1350\lt 0\) なので該当なしです。
この3つはいずれも印が付いている(外国人宿泊者数でも外れ値)ので、両方で外れ値となるのは3。ツは3です。
【検算】 表1の47個の値を計算機に入れて四分位数を求めると \(Q_{1}=351\)、\(Q_{3}=1251\)、四分位範囲900、上側判定値2601、該当は \(\mathrm{P}45,\mathrm{P}46,\mathrm{P}47\) の3件。いずれも印付きリスト(\(\mathrm{P}37,40,42,43,44,45,46,47\))に含まれるので、共通は3件と確認できました。
【定石】 四分位数は「値」ではなく「順位」で決まる。データ数 \(n\) を4で割った位置を数え間違えないことが全て。表が与えられていれば計算はほぼ不要。
〔2〕(2) 和の分散は「分散の和 + 共分散の2倍」
\(x,\ y\) の平均値をそれぞれ \(\overline{x},\ \overline{y}\) とし、分散をそれぞれ \(s_{x}^{2},\ s_{y}^{2}\)、共分散を \(s_{xy}\) とする。合計宿泊者数を \(z_{i}=x_{i}+y_{i}\) とすると \(z_{i}-\overline{z}=(x_{i}-\overline{x})+(y_{i}-\overline{y})\) である。このことに着目すると、\(z\) の分散を \(s_{z}^{2}\) とするとき \(s_{z}^{2}=\)テとなる。また、令和4年の \(x\) と \(y\) の間には正の相関があることが図1からわかる。このことから、\(s_{z}^{2}\) と \(s_{x}^{2}+s_{y}^{2}\) の関係として正しいものはトである。(テの解答群)⓪ \(s_{x}^{2}+s_{y}^{2}-2s_{xy}\) ① \(s_{x}^{2}+s_{y}^{2}-s_{xy}\) ② \(s_{x}^{2}+s_{y}^{2}\) ③ \(s_{x}^{2}+s_{y}^{2}+s_{xy}\) ④ \(s_{x}^{2}+s_{y}^{2}+2s_{xy}\) (トの解答群)⓪ \(s_{z}^{2}\gt s_{x}^{2}+s_{y}^{2}\) ① \(s_{z}^{2}=s_{x}^{2}+s_{y}^{2}\) ② \(s_{z}^{2}\lt s_{x}^{2}+s_{y}^{2}\)
【型】\((A+B)^{2}=A^{2}+2AB+B^{2}\) を偏差に対して使う
【なぜこうするか】 分散は「偏差の2乗の平均」です。問題文が \(z_{i}-\overline{z}=(x_{i}-\overline{x})+(y_{i}-\overline{y})\) を先に示してくれているので、両辺を2乗して平均をとるだけ。展開したときの交差項が共分散の定義そのものになります。
\[(z_{i}-\overline{z})^{2}=(x_{i}-\overline{x})^{2}+2(x_{i}-\overline{x})(y_{i}-\overline{y})+(y_{i}-\overline{y})^{2}\]
平均をとると、第1項が \(s_{x}^{2}\)、第3項が \(s_{y}^{2}\)、第2項が \(2s_{xy}\)。よって \(s_{z}^{2}=s_{x}^{2}+s_{y}^{2}+2s_{xy}\) でテは④です。
正の相関があるとは \(s_{xy}\gt 0\) ということ。したがって \(s_{z}^{2}\gt s_{x}^{2}+s_{y}^{2}\) でトは⓪です。
意味を読むと、同じ方向に動く2つの量を足すと、ばらつきは単純な和より大きくなる。外国人も日本人も多く泊まる県はどちらも大きい値なので、合計はいっそう極端になる、ということです。
【検算】 極端な例で確かめます。\(x=y\) のとき \(z=2x\) なので \(s_{z}^{2}=4s_{x}^{2}\)。一方 \(s_{x}^{2}+s_{y}^{2}=2s_{x}^{2}\) で、確かに \(s_{z}^{2}\) の方が大きい。公式でも \(s_{xy}=s_{x}^{2}\) だから \(s_{x}^{2}+s_{y}^{2}+2s_{xy}=4s_{x}^{2}\) と一致します。逆に \(y=-x\)(負の相関)なら \(z\) は定数で \(s_{z}^{2}=0\) となり、公式の \(2s_{x}^{2}-2s_{x}^{2}=0\) とも合います。
【定石】 \(s_{x+y}^{2}=s_{x}^{2}+s_{y}^{2}+2s_{xy}\) は、共分散の意味を理解するための最重要公式。「相関が正なら合計のばらつきは増える」と言葉で覚えておく。
〔2〕(3) 実験結果を確率とみなして仮説を検証する
キャンペーンA、Bのどちらがよいかについて二択のアンケートを行ったところ、35人のうち23人が「Aの方がよい」と答えた。【方針】「Aの方がよい」と回答する割合と「Bの方がよい」と回答する割合は等しい、という仮説を立てる。この仮説のもとで、35人のうち23人以上が「Aの方がよい」と回答する確率が5%未満であれば、その仮説は誤っていると判断し、5%以上であればその仮説は誤っているとは判断しない。 実験結果(35枚の硬貨を投げる実験を1000回行ったときの、表が出た枚数ごとの回数の割合)を用いると、35枚の硬貨のうち23枚以上が表となった割合はナ.ニ%である。これを、35人のうち23人以上が「Aの方がよい」と回答する確率とみなし、方針に従うと、仮説はヌ。したがって、今回のアンケート結果からは、キャンペーンAの方がよいと思っている人がネ。(ヌの解答群)⓪ 誤っていると判断する ① 誤っているとは判断しない (ネの解答群)⓪ 多いといえる ① 多いとはいえない
(実験結果:表の枚数と割合)0〜7枚は各0.0%、8枚0.1%、9枚0.1%、10枚0.8%、11枚1.3%、12枚2.2%、13枚4.5%、14枚6.9%、15枚9.5%、16枚12.3%、17枚13.0%、18枚12.9%、19枚11.2%、20枚9.6%、21枚7.2%、22枚4.1%、23枚2.4%、24枚0.9%、25枚0.5%、26枚0.4%、27枚0.0%、28枚0.1%、29〜35枚は各0.0%である。
【型】仮説検定は「仮説のもとでの確率」と基準(5%)を比べる
【なぜこうするか】 「Aの方がよいと答える割合とBの方がよいと答える割合が等しい」とは、1人あたり \(\dfrac{1}{2}\) ずつということ。これはコインを1枚投げるのと同じです。だから35人分は35枚のコイン投げに置き換えられる——これが実験結果を持ち出す理由です。
23枚以上が表となった割合を、表の値から足し上げます。
\[2.4+0.9+0.5+0.4+0.0+0.1+0.0+\cdots=4.3\]
(23枚が2.4、24枚が0.9、25枚が0.5、26枚が0.4、27枚が0.0、28枚が0.1、29枚以上はすべて0.0。)よってナは4、ニは3です。
\(4.3\%\lt 5\%\) なので、方針に従えば仮説は誤っていると判断する(ヌは⓪)。仮説(半々である)が否定された以上、Aの方がよいと思っている人が多いといえる(ネは⓪)。
【検算】 理論値でも確かめられます。二項分布 \(B\left(35,\ \dfrac{1}{2}\right)\) で23以上となる確率を計算すると約 \(4.5\%\)。実験で得た \(4.3\%\) はこれに非常に近く、実験結果が確率のよい近似になっていることが確認できます。どちらの値でも \(5\%\) を下回るので結論は変わりません。
【定石】 「割合が等しい」という仮説はコイン投げに読み替える。基準(5%)と比べるのは「観測された値以上が起こる確率」であって、観測された値ちょうどの確率ではない。
【よくあるミス】 「23枚ちょうど」の2.4%だけを見て \(5\%\) 未満と判断すること。方針には「23人以上」と書いてあるので、24枚以上の分も必ず足します。
第3問(配点20) 五面体と球面(方べきの定理と相似の連鎖)
6点 A、B、C、D、E、F を頂点とし、三角形 ABC と DEF、および四角形 ABED、ACFD、BCFE を面とする五面体がある。ただし、直線 AD と BE は平行でないとする。以下では、例えば面 ABC を含む平面を平面 ABC、面 ABED を含む平面を平面 ABED、などということにする。
(1) ア2 イ3 / (2)(i) ウ3 エオ11 カ7 キ5 ク4
(2)(ii) ケ3 コサ15 シス12 / (iii) セ4
(1) 交線をたどって、3直線が1点で交わることを示す
3直線 AD、BE、CF は1点で交わる。これを証明しよう。直線 AD と BE は平面 ABED 上にあり、平行でないので1点で交わる。その交点を P とする。点 P は直線 AD 上にあり、直線 AD は平面 ABED と平面アとの交線であるから、点 P は平面ア上にあることがわかる。また、点 P は直線 BE 上にあり、直線 BE は平面 ABED と平面イとの交線であるから、点 P は平面イ上にあることがわかる。平面アと平面イとの交線は直線 CF であるから、点 P は直線 CF 上にもあることがわかる。(解答群)⓪ ABC ① DEF ② ACFD ③ BCFE
【型】1つの辺は、その辺を共有する2つの面の交線である
【なぜこうするか】 立体の証明は、「その線分がどの2つの面の境目になっているか」を探すのが基本動作です。辺 AD を含む面は、四角形 ABED と四角形 ACFD の2つ。したがって直線 AD はこの2平面の交線で、アは②です。
同じく辺 BE を含む面は四角形 ABED と四角形 BCFE。よってイは③です。
すると P は平面 ACFD 上にも平面 BCFE 上にもあることになります。この2平面の交線は、共有する辺 CF を含む直線。よって P は直線 CF 上にあり、3直線が P で交わることが示せました。
【検算】 五面体の各辺がどの2面に属するかを数え上げると、AD は{ABED, ACFD}、BE は{ABED, BCFE}、CF は{ACFD, BCFE}。3つの四角形の面が互いに1辺ずつ共有する構造になっていて、証明の筋が通っています。
【定石】 「3直線が1点で交わる」の空間版は「2直線の交点が、第3の直線を含む2平面の両方に乗る」と示すのが定番。平面幾何のチェバの定理とは別の、空間特有の論法。
(2)(i) 円に内接する四角形の外側の交点から、相似を作る
五面体において、面 ABC は一辺の長さが3の正三角形であり \(\mathrm{AD}=7,\ \mathrm{BE}=11,\ \mathrm{CF}=17,\ \mathrm{DE}=9\) であるとする。また、6点 A、B、C、D、E、F はある一つの球面上にあるとし、その球面を \(S\) とする。直線 AD と BE の交点を P とする。平面 ABED と球面 \(S\) が交わる部分は円であり、4点 A、B、E、D はその円周上にある。このことから、三角形 PAB と PED は相似であることがわかり、その相似比は \(1:\)ウである。したがってウ\(\mathrm{PA}=\mathrm{PB}+\)エオ、ウ\(\mathrm{PB}=\mathrm{PA}+\)カが成り立つ。よって \(\mathrm{PA}=\)キ、\(\mathrm{PB}=\)クとなる。
【型】円に内接する四角形の対辺の延長の交点は、2つの相似三角形を作る
【なぜこうするか】 球面を平面で切ると円になる——この見方が問題全体の鍵です。平面 ABED で切れば A、B、E、D は同一円周上にあり、円に内接する四角形ができます。すると円周角の性質から \(\angle\mathrm{PAB}=\angle\mathrm{PED}\)(外角=対角)となり、\(\angle\mathrm{P}\) は共通なので \(\triangle\mathrm{PAB}\backsim\triangle\mathrm{PED}\)。相似比は対応する辺 AB と ED の比で \(3:9=1:3\)。ウは3です。
相似から \(\mathrm{PE}=3\mathrm{PA}\)、\(\mathrm{PD}=3\mathrm{PB}\)。一方、線分の長さの関係は
\[\mathrm{PE}=\mathrm{PB}+\mathrm{BE}=\mathrm{PB}+11,\qquad \mathrm{PD}=\mathrm{PA}+\mathrm{AD}=\mathrm{PA}+7\]
よって \(3\mathrm{PA}=\mathrm{PB}+11\)、\(3\mathrm{PB}=\mathrm{PA}+7\) でエオは11、カは7です。
連立して解きます。第2式より \(\mathrm{PA}=3\mathrm{PB}-7\)。第1式に代入して \(3(3\mathrm{PB}-7)=\mathrm{PB}+11\)、\(8\mathrm{PB}=32\)、\(\mathrm{PB}=4\)。よって \(\mathrm{PA}=5\)。キは5、クは4です。
【検算】 \(\mathrm{PE}=3\times 5=15\) で、\(\mathrm{PB}+\mathrm{BE}=4+11=15\) と一致。\(\mathrm{PD}=3\times 4=12\) で、\(\mathrm{PA}+\mathrm{AD}=5+7=12\) と一致。さらに方べきの定理 \(\mathrm{PA}\cdot\mathrm{PD}=\mathrm{PB}\cdot\mathrm{PE}\) を確かめると \(5\times 12=60\)、\(4\times 15=60\) で成立します。
【定石】 球面を平面で切ると円。空間の問題でも、うまい平面で切れば平面幾何(円周角・方べき・相似)の道具がそのまま使える。
(2)(ii) 方べきの定理を別の平面でもう一度使う
平面 BCFE と球面 \(S\) が交わる部分に着目すると、方べきの定理より \(\mathrm{PC}=\)ケとなる。したがって \(\mathrm{EF}=\)コサ、\(\mathrm{DF}=\)シスとなる。
【型】同じ点 P について、複数の切り口で方べきの定理を使う
【なぜこうするか】 P は3直線 AD、BE、CF すべての上にあります。だからどの切り口の円についても、P からの方べきの値は同じ——ここが本問の設計の妙です。
平面 BCFE で切ると B、C、F、E が同一円周上。方べきの定理より \(\mathrm{PB}\cdot\mathrm{PE}=\mathrm{PC}\cdot\mathrm{PF}\)。左辺は \(4\times 15=60\)。\(\mathrm{PF}=\mathrm{PC}+\mathrm{CF}=\mathrm{PC}+17\) なので
\[\mathrm{PC}(\mathrm{PC}+17)=60\ \Longrightarrow\ \mathrm{PC}^{2}+17\mathrm{PC}-60=0\ \Longrightarrow\ (\mathrm{PC}-3)(\mathrm{PC}+20)=0\]
長さは正なので \(\mathrm{PC}=3\)。ケは3です。
次に EF。平面 BCFE 内で \(\triangle\mathrm{PBC}\backsim\triangle\mathrm{PFE}\)(同じく内接四角形の外側の交点)。相似比は \(\mathrm{PB}:\mathrm{PF}=4:20=1:5\) なので
\[\mathrm{EF}=5\,\mathrm{BC}=5\times 3=15\]
コサは15です。同様に平面 ACFD 内で \(\triangle\mathrm{PAC}\backsim\triangle\mathrm{PFD}\)、相似比 \(\mathrm{PA}:\mathrm{PF}=5:20=1:4\) より
\[\mathrm{DF}=4\,\mathrm{AC}=4\times 3=12\]
シスは12です。
【検算】 平面 ACFD でも方べきの定理が成り立つか確認します。\(\mathrm{PA}\cdot\mathrm{PD}=5\times 12=60\)、\(\mathrm{PC}\cdot\mathrm{PF}=3\times 20=60\) で一致。3つの切り口すべてで方べきの値が60になり、P からの「球面への方べき」が一定であることが確かめられました。
【定石】 球面上の1点 P から引いた直線について、方べきの値は切り口の円によらず一定。空間の複数の平面をまたいで長さを次々に決められる、強力な道具。
(2)(iii) 辺の長さから直角を見つけ、垂直の命題を判定する
\(\angle\mathrm{ADE},\ \angle\mathrm{ADF},\ \angle\mathrm{EDF}\) の大きさに着目すると、次の命題(a)、(b)、(c)の真偽の組合せとして正しいものはセであることがわかる。(a) 平面 ABED と平面 DEF は垂直である。(b) 直線 DE は平面 ACFD に垂直である。(c) 直線 AC と直線 DE は垂直である。(解答群は⓪〜⑦。④は (a)偽、(b)真、(c)真。)
【型】直線と平面の垂直は「その平面上の交わる2直線と垂直」で判定する
【なぜこうするか】 3つの角の大きさを、三平方の定理の逆で1つずつ判定していきます。ここまでに求めた長さがすべて効いてきます。
まず \(\angle\mathrm{EDF}\)。\(\mathrm{DE}=9\)、\(\mathrm{DF}=12\)、\(\mathrm{EF}=15\) で
\[9^{2}+12^{2}=81+144=225=15^{2}\]
よって \(\angle\mathrm{EDF}=90^{\circ}\)、すなわち \(\mathrm{DE}\perp\mathrm{DF}\)。
次に \(\angle\mathrm{ADE}\)。\(\triangle\mathrm{PED}\) の3辺は \(\mathrm{PE}=15\)、\(\mathrm{PD}=12\)、\(\mathrm{ED}=9\) で、これも \(9^{2}+12^{2}=15^{2}\)。したがって \(\angle\mathrm{PDE}=90^{\circ}\)。A は線分 PD 上にあるので、D から見た A の方向は P の方向と同じ。よって \(\angle\mathrm{ADE}=\angle\mathrm{PDE}=90^{\circ}\)、すなわち \(\mathrm{DE}\perp\mathrm{DA}\)。
DA と DF は平面 ACFD 上で D を通る交わる2直線。DE がその両方と垂直なので
すなわち DE は平面 ACFD に垂直です。
(b)は真。そして AC は平面 ACFD 上の直線なので、DE は AC とも垂直。(c)も真です。
最後に(a)。平面 ABED と平面 DEF はどちらも直線 DE を含みます。この2平面のなす角は、DE に垂直な方向で測ります。DE ⊥ DA かつ DE ⊥ DF なので、なす角はそのまま \(\angle\mathrm{ADF}\)。3点 P、D、F を頂点とする三角形で \(\mathrm{PD}=12,\ \mathrm{DF}=12,\ \mathrm{PF}=20\) だから
\[\cos\angle\mathrm{ADF}=\cos\angle(\overrightarrow{\mathrm{DP}},\overrightarrow{\mathrm{DF}})=\dfrac{12^{2}+12^{2}-20^{2}}{2\cdot 12\cdot 12}=\dfrac{-112}{288}=-\dfrac{7}{18}\]
\(90^{\circ}\) ではないので(a)は偽。よってセは④です。
【検算】 \(\cos\angle\mathrm{ADF}=-\dfrac{7}{18}\fallingdotseq-0.389\) より \(\angle\mathrm{ADF}\fallingdotseq 112.9^{\circ}\)。確かに直角ではありません。また \(\triangle\mathrm{PAB}\) の3辺 \(5,\ 4,\ 3\) も \(3^{2}+4^{2}=5^{2}\) を満たすので \(\angle\mathrm{PBA}=90^{\circ}\)。この五面体は直角がいくつも隠れている、よくできた設定になっています。
【定石】 直線が平面に垂直=その平面上の交わる2直線と垂直。1本だけでは足りない。逆に平面に垂直だと分かれば、その平面上のすべての直線と垂直になる。
第4問(配点20) くじ引きゲームの期待値
参加者はくじを最大3回引き、当たりが出たら1200円相当の景品を主催者から受け取り、以降はくじを引かない。1回目に当たりが出る確率は \(\dfrac{3}{16}\)、1回目に当たりが出ず、かつ2回目に当たりが出る確率は \(\dfrac{1}{8}\)、1回目、2回目ともに当たりが出ず、かつ3回目に当たりが出る確率は \(\dfrac{1}{16}\) である。
(1) ア5 イウ16 / エオ11 カキ16 / ク5 ケ8
(2) コサシ450 / ス0 セ0 / (3) ソタチ425 ツ1 テ1 トナニ180
(1) 排反な場合を足す。余事象で引くと速い
1回目または2回目に当たりが出る確率は \(\dfrac{\boxed{\text{ア}}}{\boxed{\text{イウ}}}\) である。このことから、1回目、2回目ともに当たりが出ない確率は \(\dfrac{\boxed{\text{エオ}}}{\boxed{\text{カキ}}}\) であることがわかる。1回も当たりが出ない確率は \(\dfrac{\boxed{\text{ク}}}{\boxed{\text{ケ}}}\) である。
【型】排反な事象の和/余事象で引く
【なぜこうするか】 問題文が与えている3つの確率は、いずれも「初めて当たりが出るのが \(k\) 回目」という互いに排反な事象の確率です。だから足し算がそのまま使えます。逆に「当たらない」は余事象で引くのが速い。
1回目または2回目に当たりが出る確率は
\[\dfrac{3}{16}+\dfrac{1}{8}=\dfrac{3}{16}+\dfrac{2}{16}=\dfrac{5}{16}\]
アは5、イウは16です。その余事象が「1回目、2回目ともに当たらない」で
\[1-\dfrac{5}{16}=\dfrac{11}{16}\]
エオは11、カキは16です。3回とも当たらないのは、ここから「2回外して3回目に当たる」を引けばよいので
\[\dfrac{11}{16}-\dfrac{1}{16}=\dfrac{10}{16}=\dfrac{5}{8}\]
クは5、ケは8です。
【検算】 当たりが出る確率は \(\dfrac{3}{16}+\dfrac{1}{8}+\dfrac{1}{16}=\dfrac{3+2+1}{16}=\dfrac{6}{16}=\dfrac{3}{8}\)。1回も当たらない確率 \(\dfrac{5}{8}\) と足すと1になり、つじつまが合います。
【定石】 「初めて〜する回」の確率が並んでいたら、それらは排反。単純に足せるし、全部足して1から引けば「一度も起こらない」が出る。
(2) 期待値は「値 × 確率」の総和。2値なら一瞬
主催者が参加者に対して負担する金額を \(X\) 円とする。すなわち、参加者が景品を受け取るとき \(X=1200\)、受け取らないとき \(X=0\) である。数量 \(X\) の期待値はコサシである。【支払い方法1】参加者は1回目のくじを引く直前に参加料500円を支払う。 支払い方法1の場合、主催者が負担する金額 \(X\) 円の期待値が、参加料の金額500円未満であるとき、主催者は参加料の設定は妥当であると判断し、500円以上であるとき妥当ではないと判断する。(i)で求めた \(X\) 円の期待値コサシ円は参加料の金額500円ス。したがって、主催者は参加料500円という設定についてセと判断する。(スの解答群)⓪ 未満である ① 以上である (セの解答群)⓪ 妥当である ① 妥当ではない
【型】期待値 \(E(X)=\sum x_{k}p_{k}\)(値と確率の積の総和)
【なぜこうするか】 \(X\) がとる値は1200か0の2つだけ。0の項は消えるので、実質「1200 × 景品を渡す確率」の一発計算です。(1)で「1回も当たらない確率 \(\dfrac{5}{8}\)」を求めてあるので、景品を渡す確率はその余事象 \(\dfrac{3}{8}\)。
\[E(X)=1200\times\dfrac{3}{8}+0\times\dfrac{5}{8}=450\]
コサシは450です。\(450\lt 500\) なのでスは⓪、判断は「妥当である」でセは⓪です。
主催者の立場で読むと、1人あたり平均450円の景品を配って500円もらうので、平均して50円の黒字。だから妥当だと判断しているわけです。
【検算】 景品を渡す確率を別経路で確認します。\(\dfrac{3}{16}+\dfrac{1}{8}+\dfrac{1}{16}=\dfrac{6}{16}=\dfrac{3}{8}=0.375\)。\(1200\times 0.375=450\) で一致しました。
【定石】 値が2つしかない期待値は「大きい方の値 × その確率」で終わる。表を書く前に、0になる項を消してしまう。
(3)(i) 支払い方法を変えると、確率の割り当ても変わる
【支払い方法2】参加者は1回目、2回目、3回目のくじを引く直前にそれぞれ料金 \(a\) 円を支払う。当たりが出た後はくじを引かないため、くじ引き料を支払わないことになる。参加者が支払うくじ引き料の合計を \(Y\) 円とする。\(a=170\) とする。1回目に当たりが出るとき \(Y=170\)、1回目に当たりが出ず、かつ2回目に当たりが出るとき \(Y=340\)、1回目、2回目ともに当たりが出ないとき \(Y=510\) である。数量 \(Y\) の期待値はソタチである。
【型】確率変数の値と確率の対応表を作ってから期待値を計算する
【なぜこうするか】 \(Y=510\) となる場合に注意が要ります。3回目に当たっても外れても、参加者は3回分の料金を払っているからです。だから \(Y=510\) の確率は「1回目、2回目ともに当たらない」の \(\dfrac{11}{16}\) であって、\(\dfrac{1}{16}\) や \(\dfrac{10}{16}\) ではありません。ここを間違えると期待値がずれます。
対応は \(Y=170\) が \(\dfrac{3}{16}\)、\(Y=340\) が \(\dfrac{1}{8}=\dfrac{2}{16}\)、\(Y=510\) が \(\dfrac{11}{16}\)。合計は \(\dfrac{3+2+11}{16}=1\) で確かに全体をおおっています。
\[E(Y)=170\cdot\dfrac{3}{16}+340\cdot\dfrac{2}{16}+510\cdot\dfrac{11}{16}=\dfrac{510+680+5610}{16}=\dfrac{6800}{16}=425\]
ソタチは425です。
【検算】 別の見方で確かめます。参加者が支払う回数の期待値は \(1\cdot\dfrac{3}{16}+2\cdot\dfrac{2}{16}+3\cdot\dfrac{11}{16}=\dfrac{3+4+33}{16}=\dfrac{40}{16}=\dfrac{5}{2}\) 回。これに \(170\) をかけると \(170\times\dfrac{5}{2}=425\) で一致しました。
【定石】 確率の割り当てで迷ったら、確率の合計が1になるかを必ず確認する。1にならなければ、どこかの場合分けが重複しているか抜けている。
(3)(ii) 文字のまま期待値を作り、不等式で条件を出す
支払い方法2の場合、主催者が負担する金額 \(X\) 円の期待値が、参加料 \(Y\) 円の期待値未満であるとき、主催者はくじ引き料の設定は妥当であると判断し、参加料 \(Y\) 円の期待値以上であるとき妥当ではないと判断する。(2)の(i)で求めた \(X\) 円の期待値コサシ円は、\(a=170\) と設定した場合の支払い方法2で参加者が支払う参加料 \(Y\) 円の期待値ソタチ円ツ。したがって、主催者はくじ引き料170円という設定についてテと判断する。また、主催者がくじ引き料の設定が妥当であると判断するのは \(a\gt\)トナニのときであり、妥当ではないと判断するのは \(a\leqq\)トナニのときである。(ツの解答群)⓪ 未満である ① 以上である (テの解答群)⓪ 妥当である ① 妥当ではない
【型】数値で確かめた計算を、文字のまま繰り返す
【なぜこうするか】 (i)で \(a=170\) の場合を計算させたのは、そのまま \(a\) を文字にして繰り返せという誘導です。(i)の検算で見たとおり、支払い回数の期待値は \(\dfrac{5}{2}\) 回で \(a\) によりません。だから
\[E(Y)=a\cdot\dfrac{3}{16}+2a\cdot\dfrac{2}{16}+3a\cdot\dfrac{11}{16}=\dfrac{40a}{16}=\dfrac{5}{2}a\]
まず \(a=170\) のとき。\(E(X)=450\)、\(E(Y)=425\) で \(450\geqq 425\) だからツは①(以上である)。主催者の負担の方が大きいので、くじ引き料170円は妥当ではない。テは①です。
一般の \(a\) で「妥当である」条件は \(E(X)\lt E(Y)\)、すなわち
\[450\lt\dfrac{5}{2}a\ \Longrightarrow\ a\gt 180\]
トナニは180です。逆に \(a\leqq 180\) なら妥当ではないと判断します。
支払い方法1では500円が妥当だったのに、支払い方法2では1回あたり180円を超えないと成立しない。同じゲームでも、料金の取り方を変えると必要な金額が変わる——これが本問の伝えたいことです。
【検算】 \(a=180\) のとき \(E(Y)=\dfrac{5}{2}\times 180=450=E(X)\) でちょうど等しくなり、境目であることが確認できます。\(a=181\) なら \(E(Y)=452.5\gt 450\) で妥当、\(a=179\) なら \(E(Y)=447.5\lt 450\) で妥当でない。境界が \(a=180\) で正しく切り替わっています。
【定石】 期待値の比較問題は「文字のまま期待値を作る → 不等式を解く」の2手。数値の小問はその手順を確かめるための練習だと読むと、誘導に乗りやすい。
- 次数の低い文字について整理する。1次になった文字でくくると共通因数が見える(第1問〔1〕(1))。
- 「解が1つだけ」は1次に落ちる場合と重解の場合。必要十分の判定は逆向きを必ず確かめる(第1問〔1〕(2))。
- 中心から弦への垂線は弦を2等分。半径と接線は垂直(第1問〔2〕(1))。
- 導出で何を使ったかを列挙すれば、同じ手が別の対象にも通じるか判定できる(第1問〔2〕(2))。
- \(\sin\) から \(\cos\) を出すときは符号を条件から決める(第1問〔2〕(3))。
- 放物線は2つの \(x\) 切片から \(y=a(x-p)(x-q)\)。頂点の \(x\) は切片の平均(第2問〔1〕(1))。
- 設定が変わったら、前問の結論のどれが生き残るかを確認(第2問〔1〕(2))。
- 散布図の補助線は条件そのもの。傾き10の線なら「10倍」が問われる(第2問〔2〕(1))。
- 四分位数は値ではなく順位で決まる。\(n=47\) なら12番目と36番目(第2問〔2〕(1))。
- \(s_{x+y}^{2}=s_{x}^{2}+s_{y}^{2}+2s_{xy}\)。正の相関なら合計のばらつきは増える(第2問〔2〕(2))。
- 「割合が等しい」仮説はコイン投げに読み替える。比べるのは「以上」の確率(第2問〔2〕(3))。
- 球面を平面で切ると円。空間でも円周角・方べき・相似が使える(第3問(2))。
- 方べきの値は切り口によらず一定。複数の平面をまたいで長さが決まる(第3問(2)(ii))。
- 直線と平面の垂直は「交わる2直線と垂直」。1本では足りない(第3問(2)(iii))。
- 確率の割り当ては合計が1になるか確認。期待値は文字のまま作って不等式で比べる(第4問)。
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