2026年(令和8年度)1月に実施された大学入学共通テスト 数学Ⅰ,数学A(本試験)の全24問を、オンライン数学専門塾「数強塾」代表の藤原進之介が全問解説します。問題文はすべて再掲し、小問ごとに「どの型を使うのか」「なぜその方針を選ぶのか」まで書いています。
解答はすべて大学入試センターが公表した正解表と突き合わせ、全24問一致を確認しています。さらに確率・集合・体積は総当たり列挙や座標計算による独立検算を行いました。
出題主体は大学入試センターです。式・条件・解答群は本文に収録し、散布図と箱ひげ図についても、判定に必要な軸・点の位置・順位を文章で確認できるようにしています。
この記事の目次
年度・科目からさがす(共通テスト/センター試験)
| 年度 | 本試 数学Ⅰ・A | 本試 数学Ⅱ・B(・C) | 追試 数学Ⅰ・A | 追試 数学Ⅱ・B(・C) |
|---|---|---|---|---|
| 2026年 令和8年度 共通テスト |
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| 2025年 令和7年度 共通テスト |
数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B・C 解説 | 数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B・C 解説 |
| 2024年 令和6年度 共通テスト |
数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B 解説 | 数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B 解説 |
| 2020年 令和2年度 センター試験 |
数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B 解説 | — | — |
| 2019年 令和1年度 センター試験 |
数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B 解説 | — | — |
| 2018年 平成30年度 センター試験 |
数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B 解説 | — | — |
| 2017年 平成29年度 センター試験 |
数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B 解説 | — | — |
| 2016年 平成28年度 センター試験 |
数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B 解説 | — | — |
すべての年度・科目の一覧は大学入試 数学 過去問の全問解説ハブにまとめています。
※ 問題文は大学入試センターが公表した2026年度(令和8年度)大学入学共通テスト 本試験の問題を、解説のために引用したものです。解答・解説はオンライン数学専門塾「数強塾」代表 藤原進之介が独自に作成したものであり、大学入試センターが公表した公式解答そのものではありません。ただし答えはすべて公表された正解表と突き合わせ、全24問一致を確認しています。図表問題は、本文だけで条件と判定根拠が分かるように文章化しています。
- 形式:70分・100点・全問必答(第1問30点/第2問30点/第3問20点/第4問20点)。新課程2年目で、選択問題が消えた形が定着しました。
- 第1問(30点):〔1〕集合(「1以外の正の公約数をもつ」という自作の定義で部分集合をつくる)/〔2〕図形と計量(四角形の面積公式をその場で導かせ、円の接線の問題に転用させる)。
- 第2問(30点):〔1〕2次関数(最大値・最小値の条件から関数を逆に決める)/〔2〕データの分析(1500m自由形のペース配分。散布図・相関係数・外れ値・箱ひげ図)。
- 第3問(20点):図形の性質+空間図形(内心・方べきの定理・メネラウスの定理・三角錐の体積)。
- 第4問(20点):確率(総当たりのリーグ戦。同率首位を抽選で決めるルールがつく)。
- この年の重要点は「誘導文がそのまま解法の設計図になっている」ことです。第1問〔2〕は自分で導いた面積公式①を、まったく別の図(円の接線)に当てはめさせます。第4問は3人の結果を4人の場合に再利用させます。前半で得た式を「あとで必ず使う道具」として保存しておく読み方ができるかどうかで、時間の余りが決まります。
第1問(配点30) 集合と命題/図形と計量
〔1〕 全体集合 \(U\) を2以上20以下の自然数全体の集合とする。すなわち \(U=\{2,\ 3,\ 4,\ \cdots,\ 20\}\) である。2以上9以下の自然数 \(a,\ b\) に対して、\(U\) の部分集合 \(A,\ B\) を
\(A=\{k\mid k\in U,\ k\) と \(a\) は1以外の正の公約数をもつ\(\}\)、\(B=\{k\mid k\in U,\ k\) と \(b\) は1以外の正の公約数をもつ\(\}\)
とする。例えば \(a=7\) のとき \(A=\{7,\ 14\}\)、\(a=9\) のとき \(A=\{3,\ 6,\ 9,\ 12,\ 15,\ 18\}\) である。
〔2〕 四角形の面積公式を導き、それを円の接線の図形に応用する。(以下、比を答えるときは最も簡単な整数の比で答える。)
〔1〕 ア6 イ8 ウ3 エ2 / オ6 / カ5 キ6
〔2〕 ク1 ケ4 コ4 サ2 / シス72 セ4 ソ5 / タチ12 ツテ13 トナ15 ニヌ13 ネノ21 ハ2 / ヒフ21 ヘ2
〔1〕(1) 定義を言い換えれば、集合はただの倍数の集合になる
\(a=3\) のとき \(A=\)ア、\(b=4\) のとき \(B=\)イ である。このとき \(A\cap B=\)ウ、\(A\cap\overline{B}=\)エ である。
(解答群)⓪ \(\{12\}\) ① \(\{3,9\}\) ② \(\{3,9,15\}\) ③ \(\{6,12,18\}\) ④ \(\{3,6,9,15,18\}\) ⑤ \(\{4,8,12,16,20\}\) ⑥ \(\{3,6,9,12,15,18\}\) ⑦ \(\{2,4,8,10,14,16,20\}\) ⑧ \(\{2,4,6,8,10,12,14,16,18,20\}\) ⑨ \(\{2,3,4,6,8,9,10,12,14,15,16,18,20\}\)
【型】「1以外の正の公約数をもつ」=「素因数を共有する」への言い換え
【なぜこうするか】 この問題文の定義は、そのままでは扱いにくく見えます。しかし \(a\) が素数か素数べきなら、話は一瞬で終わります。\(a=3\) のとき「\(k\) と3が1以外の公約数をもつ」とは、\(k\) が3を素因数にもつということ、つまり \(k\) が3の倍数だということです。\(b=4=2^{2}\) なら「4と共通の素因数をもつ」=「2をもつ」=偶数。定義を素因数の言葉に翻訳した瞬間に、集合は見慣れた倍数の集合に変わります。
\(a=3\) のとき \(A\) は \(U\) の中の3の倍数で \(A=\{3,\ 6,\ 9,\ 12,\ 15,\ 18\}\)、よってアは⑥。
\(b=4\) のとき \(B\) は \(U\) の中の偶数で \(B=\{2,\ 4,\ 6,\ 8,\ 10,\ 12,\ 14,\ 16,\ 18,\ 20\}\)、よってイは⑧。
\(A\cap B\) は「3の倍数かつ偶数」=6の倍数で \(\{6,\ 12,\ 18\}\)、ウは③。\(A\cap\overline{B}\) は「3の倍数だが偶数でない」=奇数の3の倍数で \(\{3,\ 9,\ 15\}\)、エは②。
【検算】 \(U=\{2,\dots ,20\}\) の19個すべてについて \(\gcd(k,a)\gt 1\) を計算機で総当たり判定したところ、\(A=\{3,6,9,12,15,18\}\)、\(B=\{2,4,\dots ,20\}\)、\(A\cap B=\{6,12,18\}\)、\(A\cap\overline{B}=\{3,9,15\}\) と完全に一致しました。
【定石】 整数の集合問題は、定義を素因数の言葉に翻訳してから手を動かす。「公約数をもつ」は「素因数を共有する」、「互いに素」は「共有する素因数がない」。
〔1〕(2)(i) 補集合の条件は「もとの集合が何を飲み込むか」に読み替える
\(a,\ b\) が2以上9以下の自然数であることに注意して考える。\(\overline{A}\) の要素に、2の倍数も3の倍数もないとき \(a=\)オ である。
【型】補集合の条件 → 「その要素はすべて \(A\) に入る」への裏返し
【なぜこうするか】 \(\overline{A}\) の中身を直接調べようとすると、19個の数を毎回ふるいにかけることになります。ここは対偶で読むのが速い。「\(\overline{A}\) に2の倍数も3の倍数もない」とは、「\(U\) の2の倍数と3の倍数はすべて \(A\) に入っている」ということです。\(A\) に入る条件は \(a\) と素因数を共有することですから、条件は \(a\) の素因数だけで決まります。
\(2\in U\) が \(A\) に入るには \(\gcd(2,a)\gt 1\)、すなわち \(a\) が偶数であることが必要です。同様に \(3\in U\) が \(A\) に入るには \(a\) が3の倍数。逆に \(a\) が2と3の両方を素因数にもてば、2の倍数も3の倍数もすべて \(a\) と素因数を共有するので \(A\) に入ります。よって条件は「\(a\) が6の倍数」と同値で、\(2\leqq a\leqq 9\) から \(a=6\)。オは6です。
【検算】 \(a=2,3,\dots ,9\) の8通りすべてについて、\(\overline{A}\) に2の倍数または3の倍数が含まれるかを総当たりで判定したところ、条件を満たす \(a\) は \(a=6\) のみでした。
【定石】 補集合についての「〜が存在しない」という条件は、もとの集合についての「すべて含む」に裏返してから処理する。裏返した瞬間に、代表元(ここでは最小の2と3)だけ調べれば済むようになる。
【よくあるミス】 「2の倍数も3の倍数もない」を「6の倍数がない」と読み違えること。日本語の「も」は両方について否定しているので、2の倍数の条件と3の倍数の条件を別々に立てます。
〔1〕(2)(ii) 集合が1点だけになる条件は、まず「その1点」から攻める
\(A\cap\overline{B}=\{5\}\) であるとき \(a=\)カ、\(b=\)キ である。
【型】「集合が \(\{5\}\) に一致」=「5は入る」かつ「5以外は入らない」の2本立て
【なぜこうするか】 等号で結ばれた集合の条件は、必ず包含関係2本に分解します。まず \(5\in A\cap\overline{B}\) から攻めるのが効率的です。なぜなら「5が \(A\) に入る」だけで \(a\) がほぼ決まってしまうからです。
\(5\in A\) より \(\gcd(5,a)\gt 1\)。5は素数なので \(a\) は5の倍数、\(2\leqq a\leqq 9\) から \(a=5\)。このとき \(A=\{5,\ 10,\ 15,\ 20\}\) です。
次に \(A\cap\overline{B}=\{5\}\) の残りの条件、すなわち \(10,\ 15,\ 20\in B\) かつ \(5\notin B\) を \(b\) に翻訳します。\(5\notin B\) より \(b\) は5の倍数でない。\(10\in B\) より \(b\) は2または5を素因数にもつが、5は除かれたので \(b\) は偶数。\(15\in B\) より \(b\) は3または5を素因数にもつので \(b\) は3の倍数。よって \(b\) は6の倍数で \(b=6\)。このとき \(\gcd(20,6)=2\gt 1\) より \(20\in B\) も満たされます。
したがってカは5、キは6です。
【検算】 \((a,b)\) の \(8\times 8=64\) 通りすべてについて \(A\cap\overline{B}\) を計算機で作り、\(\{5\}\) と一致するものを列挙したところ、\((a,b)=(5,6)\) ただ1組でした。
【定石】 集合の等式は「入る条件」と「入らない条件」に割る。入る条件の方が情報量が多いので先に使い、文字を1つ確定させてから残りを処理する。
〔2〕(1) 対角線で2つに割ると、四角形の面積公式が自分で作れる
四角形 ABCD の面積 \(S\) について考える。内角 \(\angle\mathrm{A},\ \angle\mathrm{B},\ \angle\mathrm{C},\ \angle\mathrm{D}\) の大きさをそれぞれ \(A,\ B,\ C,\ D\) で表す。ただし4つの内角はいずれも \(180^{\circ}\) より小さいとする。対角線 BD を共通の1辺とする \(\triangle\mathrm{ABD}\) と \(\triangle\mathrm{BCD}\) の面積をそれぞれ \(S_{1},\ S_{2}\) とすると \(S_{1}=\dfrac{\boxed{\text{ク}}}{2}\sin A\)、\(S_{2}=\dfrac{\boxed{\text{ケ}}}{2}\sin C\) となる。四角形 ABCD の四つの内角が \(A+C=B+D\) を満たすとき \(A+C=\)コ となる。このとき \(\sin C\) を \(\sin A\) を用いて表せることに注意すると \(S=S_{1}+S_{2}=\dfrac{\boxed{\text{サ}}}{2}\sin A\ \cdots\cdots\ ①\) となる。
(ク・ケの解答群)⓪ \(\mathrm{AB}\cdot\mathrm{BD}\) ① \(\mathrm{AB}\cdot\mathrm{AD}\) ② \(\mathrm{AD}\cdot\mathrm{BD}\) ③ \(\mathrm{BC}\cdot\mathrm{BD}\) ④ \(\mathrm{BC}\cdot\mathrm{CD}\) ⑤ \(\mathrm{BD}\cdot\mathrm{CD}\) ⑥ \(\mathrm{AB}\cdot\mathrm{CD}\) ⑦ \(\mathrm{AD}\cdot\mathrm{BC}\) ⑧ \(\mathrm{AC}\cdot\mathrm{BD}\)
(コの解答群)⓪ \(90^{\circ}\) ① \(120^{\circ}\) ② \(135^{\circ}\) ③ \(150^{\circ}\) ④ \(180^{\circ}\) ⑤ \(240^{\circ}\) ⑥ \(270^{\circ}\) ⑦ \(360^{\circ}\)
(サの解答群)⓪ \(\mathrm{AB}\cdot\mathrm{BD}+\mathrm{BC}\cdot\mathrm{BD}\) ① \(\mathrm{AB}\cdot\mathrm{BD}-\mathrm{BC}\cdot\mathrm{BD}\) ② \(\mathrm{AB}\cdot\mathrm{AD}+\mathrm{BC}\cdot\mathrm{CD}\) ③ \(\mathrm{AB}\cdot\mathrm{AD}-\mathrm{BC}\cdot\mathrm{CD}\) ④ \(\mathrm{AD}\cdot\mathrm{BD}+\mathrm{BD}\cdot\mathrm{CD}\) ⑤ \(\mathrm{AD}\cdot\mathrm{BD}-\mathrm{BD}\cdot\mathrm{CD}\) ⑥ \(\mathrm{AB}\cdot\mathrm{CD}+\mathrm{AD}\cdot\mathrm{BC}\) ⑦ \(\mathrm{AB}\cdot\mathrm{CD}-\mathrm{AD}\cdot\mathrm{BC}\) ⑧ \(\mathrm{AC}\cdot\mathrm{BD}\)
【型】三角形の面積 \(\dfrac{1}{2}\times(\)はさむ2辺の積\()\times\sin(\)はさむ角\()\)
【なぜこうするか】 角 \(A\) をはさむ2辺が何かを取り違えないことが全てです。\(\angle A\) は四角形 ABCD の頂点 A の角、つまり辺 AB と辺 AD がはさむ角。よって \(\triangle\mathrm{ABD}\) の面積は \(S_{1}=\dfrac{1}{2}\mathrm{AB}\cdot\mathrm{AD}\sin A\) で、クは①。同じく \(\angle C\) をはさむのは辺 CB と辺 CD なので \(S_{2}=\dfrac{1}{2}\mathrm{BC}\cdot\mathrm{CD}\sin C\) でケは④です。
次に内角の和。四角形の内角の和は \(A+B+C+D=360^{\circ}\) で、条件 \(A+C=B+D\) と合わせると \(2(A+C)=360^{\circ}\)、すなわち \(A+C=180^{\circ}\)。コは④です。
ここが誘導の山場で、\(C=180^{\circ}-A\) より \(\sin C=\sin(180^{\circ}-A)=\sin A\)。2つの三角形の \(\sin\) がそろうので、足し算で \(\sin A\) がくくり出せます。
\[S=S_{1}+S_{2}=\dfrac{\mathrm{AB}\cdot\mathrm{AD}+\mathrm{BC}\cdot\mathrm{CD}}{2}\sin A\]
したがってサは②です。
【検算】 \(A+C=180^{\circ}\) を満たす円に内接する四角形(\(\mathrm{AB}=3,\ \mathrm{BC}=4,\ \mathrm{CD}=5,\ \mathrm{DA}=6\))で確かめます。ブラーマグプタの公式より \(S=\sqrt{(9-3)(9-4)(9-5)(9-6)}=\sqrt{360}=6\sqrt{10}\)。一方、余弦定理から \(\cos A=\dfrac{3^{2}+6^{2}-4^{2}-5^{2}}{2(3\cdot 6+4\cdot 5)}=\dfrac{4}{76}=\dfrac{1}{19}\) なので \(\sin A=\dfrac{\sqrt{360}}{19}\)。①に代入すると \(\dfrac{3\cdot 6+4\cdot 5}{2}\cdot\dfrac{\sqrt{360}}{19}=\dfrac{38}{2}\cdot\dfrac{\sqrt{360}}{19}=\sqrt{360}=6\sqrt{10}\) となり一致しました。
【定石】 四角形は対角線で2つの三角形に割る。割ったあとで「向かい合う角の和が \(180^{\circ}\)」が使えると、\(\sin\) がそろって和が1つの式にまとまる。
〔2〕(2)(i)前半 接線の長さは等しい。だから四角形の面積を2通りに測れる
点 O を中心とする半径6の円 O が、線分 PQ 上の P、Q と異なる点 M において線分 PQ に接している。P、Q それぞれを通る円 O の接線で、直線 PQ と異なるものを引き、この円との接点をそれぞれ K、L とする。直線 PK、QL が交わる場合を考え、その交点を R とする。\(\mathrm{PK}=12,\ \mathrm{QL}=9\) であるときを考え、\(\angle\mathrm{KPM}=P,\ \angle\mathrm{LQM}=Q\) とする。このとき、2直線 PK、QL の交点 R は直線 PQ に関して点 O と同じ側にある。四角形 PMOK が \(\triangle\mathrm{PMO}\) と \(\triangle\mathrm{PKO}\) に分けられることに注意すると、四角形 PMOK の面積はシスであることがわかる。このことから、①を用いると \(\sin P=\dfrac{\boxed{\text{セ}}}{\boxed{\text{ソ}}}\) となることがわかる。
【型】円外の1点から引いた2本の接線の長さは等しい/接点と中心を結ぶ半径は接線に垂直
【なぜこうするか】 (1)で作った公式①は「向かい合う角の和が \(180^{\circ}\) の四角形」でしか使えません。だから、そういう四角形を図の中から探しにいくのがこの小問の狙いです。四角形 PMOK は \(\angle\mathrm{PMO}=\angle\mathrm{PKO}=90^{\circ}\)(半径と接線は垂直)なので、残る \(\angle P+\angle\mathrm{MOK}=360^{\circ}-180^{\circ}=180^{\circ}\)。まさに①が使える形です。そこで同じ面積を2通りに表して等式を作る——これが本問の骨格です。
まず直角三角形として測ります。接線の長さが等しいので \(\mathrm{PM}=\mathrm{PK}=12\)、また \(\mathrm{OM}=\mathrm{OK}=6\) で、\(\mathrm{OM}\perp\mathrm{PM}\)、\(\mathrm{OK}\perp\mathrm{PK}\)。よって
よって四角形 PMOK の面積は
\[\triangle\mathrm{PMO}+\triangle\mathrm{PKO}=\dfrac{1}{2}\cdot 12\cdot 6+\dfrac{1}{2}\cdot 12\cdot 6=72\]
となり、シスは72です。
次に①で測ります。四角形 PMOK を四角形 ABCD に対応させると \(\mathrm{A}\to\mathrm{P},\ \mathrm{B}\to\mathrm{M},\ \mathrm{C}\to\mathrm{O},\ \mathrm{D}\to\mathrm{K}\) で、\(\mathrm{AB}\cdot\mathrm{AD}=\mathrm{PM}\cdot\mathrm{PK}=144\)、\(\mathrm{BC}\cdot\mathrm{CD}=\mathrm{MO}\cdot\mathrm{OK}=36\)。ゆえに
\[72=\dfrac{144+36}{2}\sin P=90\sin P\ \Longrightarrow\ \sin P=\dfrac{72}{90}=\dfrac{4}{5}\]
したがってセは4、ソは5です。
【検算】 \(\tan\dfrac{P}{2}=\dfrac{\mathrm{OM}}{\mathrm{PM}}=\dfrac{6}{12}=\dfrac{1}{2}\) なので、2倍角の公式から \(\sin P=\dfrac{2\cdot\frac{1}{2}}{1+\left(\frac{1}{2}\right)^{2}}=\dfrac{1}{\frac{5}{4}}=\dfrac{4}{5}\)。①を使わない独立な経路でも同じ値になりました。
【定石】 同じ面積を2通りに表して等式を作るのは、角度や長さを取り出す最強の手筋。片方は「直角を使って素直に」、もう片方は「与えられた公式で」。
〔2〕(2)(i)後半 同じ手を Q 側にも打ち、正弦定理で辺の比に変える
四角形 QLOM についても同様に考えると \(\sin Q=\dfrac{\boxed{\text{タチ}}}{\boxed{\text{ツテ}}}\) となることもわかる。よって \(\mathrm{PR}:\mathrm{QR}=\)トナ\(:\)ニヌ となり、これにより \(\mathrm{RL}=\dfrac{\boxed{\text{ネノ}}}{\boxed{\text{ハ}}}\) と求められるので、\(\triangle\mathrm{PQR}\) の辺の長さを求めることができる。
【型】正弦定理で「角の比」を「辺の比」に変換/接線の長さを未知数1つに集約
【なぜこうするか】 Q 側もまったく同じ構造です。\(\mathrm{QM}=\mathrm{QL}=9\)、\(\mathrm{OM}=\mathrm{OL}=6\) なので四角形 QLOM の面積は \(2\times\dfrac{1}{2}\cdot 9\cdot 6=54\)。①より \(54=\dfrac{81+36}{2}\sin Q=\dfrac{117}{2}\sin Q\) から \(\sin Q=\dfrac{108}{117}=\dfrac{12}{13}\)。タチは12、ツテは13です。
ここで \(\triangle\mathrm{PQR}\) に正弦定理を使います。辺 PR は角 Q の対辺、辺 QR は角 P の対辺なので
\[\mathrm{PR}:\mathrm{QR}=\sin Q:\sin P=\dfrac{12}{13}:\dfrac{4}{5}=60:52=15:13\]
でトナは15、ニヌは13です。
最後に RL。R も円 O の外の点なので \(\mathrm{RK}=\mathrm{RL}\) です。この共通の長さを \(t\) とおくと \(\mathrm{PR}=\mathrm{PK}+\mathrm{KR}=12+t\)、\(\mathrm{QR}=\mathrm{QL}+\mathrm{LR}=9+t\)。比の条件に入れて
\[13(12+t)=15(9+t)\ \Longrightarrow\ 156+13t=135+15t\ \Longrightarrow\ t=\dfrac{21}{2}\]
したがって \(\mathrm{RL}=\dfrac{21}{2}\) でネノは21、ハは2です。円 O は \(\triangle\mathrm{PQR}\) の内接円だったわけです。
【検算】 \(\mathrm{P}(0,0),\ \mathrm{Q}(21,0),\ \mathrm{M}(12,0),\ \mathrm{O}(12,6)\) と座標を入れて確かめます。\(\mathrm{PR}=12+\frac{21}{2}=\frac{45}{2}\)、\(\mathrm{QR}=9+\frac{21}{2}=\frac{39}{2}\) から R を求めると \(\mathrm{R}\left(\frac{27}{2},18\right)\)。このとき \(\sin P=\dfrac{18}{45/2}=\dfrac{4}{5}\)、\(\sin Q=\dfrac{18}{39/2}=\dfrac{12}{13}\) となり、上で求めた値と一致します。また O から直線 PR への距離を計算すると6となり、確かに内接円です。
【定石】 接線が3本出てきたら、接線の長さが等しいことを使って未知数を1つに減らす。三角形の3辺は「3つの接線長 \(x,y,z\)」で書ける。
〔2〕(2)(ii) 交点が反対側なら、円は内接円ではなく傍接円になる
\(\mathrm{PK}=4\sqrt{2},\ \mathrm{QL}=3\sqrt{2}\) であるときを考える。このとき、2直線 PK、QL の交点 R は、直線 PQ に関して点 O と反対側にある。このことに注意すると \(\mathrm{RL}=\)ヒフ\(\sqrt{\boxed{\text{ヘ}}}\) と求められるので、\(\triangle\mathrm{PQR}\) の辺の長さを求めることができる。
【型】接点が「辺の内部」か「辺の延長上」かで、接線長の足し算・引き算が変わる
【なぜこうするか】 式の作り方は(i)と同じですが、R の位置が変わったので図の構造が変わっています。(i)では R が O と同じ側にあり、円は \(\triangle\mathrm{PQR}\) の内側=内接円でした。(ii)では R が反対側なので、円は辺 PQ には触れつつ、辺 RP・RQ の延長上で接する——つまり R の側の傍接円です。ここを読み違えると、最後の1本の式の符号を間違えます。
まず \(\sin\) を求めます。\(\mathrm{PM}=\mathrm{PK}=4\sqrt{2}\) なので四角形 PMOK の面積は \(2\times\dfrac{1}{2}\cdot 4\sqrt{2}\cdot 6=24\sqrt{2}\)。①より \(24\sqrt{2}=\dfrac{(4\sqrt{2})^{2}+6^{2}}{2}\sin P=\dfrac{32+36}{2}\sin P=34\sin P\) から \(\sin P=\dfrac{24\sqrt{2}}{34}=\dfrac{12\sqrt{2}}{17}\)。
同様に \(\mathrm{QM}=\mathrm{QL}=3\sqrt{2}\) から \(18\sqrt{2}=\dfrac{18+36}{2}\sin Q=27\sin Q\) で \(\sin Q=\dfrac{18\sqrt{2}}{27}=\dfrac{2\sqrt{2}}{3}\)。
正弦定理より
\[\mathrm{PR}:\mathrm{QR}=\sin Q:\sin P=\dfrac{2\sqrt{2}}{3}:\dfrac{12\sqrt{2}}{17}=\dfrac{2}{3}:\dfrac{12}{17}=34:36=17:18\]
ここが分かれ道です。K は線分 RP を P の側に延長した位置にあるので \(\mathrm{RK}=\mathrm{RP}+\mathrm{PK}\)、同様に \(\mathrm{RL}=\mathrm{RQ}+\mathrm{QL}\)。\(\mathrm{RK}=\mathrm{RL}\) より
\[\mathrm{RP}+4\sqrt{2}=\mathrm{RQ}+3\sqrt{2}\ \Longrightarrow\ \mathrm{RQ}-\mathrm{RP}=\sqrt{2}\]
\(\mathrm{RP}=17s,\ \mathrm{RQ}=18s\) とおくと \(18s-17s=s=\sqrt{2}\)。よって \(\mathrm{RQ}=18\sqrt{2}\) で
\[\mathrm{RL}=\mathrm{RQ}+\mathrm{QL}=18\sqrt{2}+3\sqrt{2}=21\sqrt{2}\]
したがってヒフは21、ヘは2です。
【検算】 数式処理系で \(\mathrm{RP}/\mathrm{RQ}=\sin Q/\sin P\) と \(\mathrm{RQ}-\mathrm{RP}=\sqrt{2}\) を連立させたところ \(\mathrm{RP}=17\sqrt{2}=24.0416\cdots\)、\(\mathrm{RQ}=18\sqrt{2}=25.4558\cdots\) が得られ、\(\mathrm{RL}=21\sqrt{2}=29.698\cdots\) と一致しました。また \(\sin P=\dfrac{12\sqrt{2}}{17}=0.99827\cdots\)、\(\sin Q=\dfrac{2\sqrt{2}}{3}=0.94281\cdots\) なので \(P+Q\gt 180^{\circ}\) となり、確かに2直線は PQ の下側で交わります。
【定石】 接線の問題では、接点が線分上か延長上かを必ず図で確認してから式を立てる。内接円なら足して、傍接円なら向きが変わる。
【よくあるミス】 (i)の式 \(\mathrm{PR}=\mathrm{PK}+\mathrm{KR}\) をそのまま流用してしまうこと。(ii)では \(\mathrm{RK}=\mathrm{RP}+\mathrm{PK}\) で、P と K の順序が入れ替わっています。
第2問(配点30) 2次関数/データの分析
〔1〕 2次関数の最大値、最小値について考える。与えられた条件を満たす2次関数を逆に決定する。
〔2〕 与えられたデータに対して、\(\lceil\)(第1四分位数)\(-1.5\times\)(四分位範囲)\(\rfloor\) 以下の値、\(\lceil\)(第3四分位数)\(+1.5\times\)(四分位範囲)\(\rfloor\) 以上の値を外れ値とする。水泳部に所属する太郎さんは、1500m自由形におけるペース配分を考えるために、2021年に開催された東京オリンピックの男子1500m自由形に関するデータを分析することにした。分析で用いるデータは、28人の選手における、予選で計測された記録(以下、タイム)とする。タイムは秒単位で表す。28人の選手それぞれのタイムについて、スタートから750mまでのタイムを \(T_{\text{前}}\)、750mからゴールまでのタイムを \(T_{\text{後}}\) とし、\(T_{\text{前}}\) と \(T_{\text{後}}\) の平均値を \(T_{\text{前後}}\) とする。
〔1〕 ア0 イ5 ウ2 エオ\(-3\) / カ3 キク\(-2\) ケ4 コ1 / サ0 シ6 / ス2 セ6(順序は問わない)
〔2〕 ソ2 / タ6 / チツ13 / テ2 / ト7 ナ2
〔1〕(1) 平方完成すれば、区間の端と頂点だけ見ればよい
2次関数 \(y=2x^{2}-8x+5\) は \(0\leqq x\leqq 3\) において、\(x=\)ア で最大値イをとり、\(x=\)ウ で最小値エオをとる。
【型】平方完成 → 頂点が区間に入るか判定 → 端点と頂点の値を比較
【なぜこうするか】 2次関数の最大最小は、必ず平方完成してグラフの形を確定させてから考えます。値を代入して比べるだけでは、頂点が区間の内側にあるときに最小値を取りこぼすからです。
\(y=2x^{2}-8x+5=2(x-2)^{2}-3\) なので、下に凸で頂点は \((2,\ -3)\)。頂点の \(x=2\) は区間 \(0\leqq x\leqq 3\) の内側にあるので、そこが最小で最小値 \(-3\)。最大は区間の端で、頂点から遠い方の端です。\(|0-2|=2\)、\(|3-2|=1\) なので \(x=0\) の方が遠く、\(y=5\)。
よってアは0、イは5、ウは2、エオは \(-3\) です。
【検算】 \(x=0,\ 2,\ 3\) を直接代入すると \(y=5,\ -3,\ -1\)。最大5・最小 \(-3\) で一致しました。
【定石】 下に凸の2次関数を区間で見るとき、最大値は頂点から遠い方の端で起こる。この一言を覚えておくと端点の比較計算を省ける。
〔1〕(2)(i) 「区間の内部で最大」なら、そこが頂点だと確定する
2次関数 \(y=f(x)\) は次の条件1を満たすとする。【条件1】\(y=f(x)\) は \(-3\leqq x\leqq 0\) において、\(x=-1\) で最大値3をとり、\(x=-3\) で最小値 \(-5\) をとる。このとき \(y=f(x)\) のグラフの頂点の座標はカであり、\(f(x)=\)キク\(x^{2}-\)ケ\(x+\)コ である。
(カの解答群)⓪ \((0,3)\) ① \((1,3)\) ② \((3,3)\) ③ \((-1,3)\) ④ \((-3,3)\) ⑤ \((0,-5)\) ⑥ \((1,-5)\) ⑦ \((3,-5)\) ⑧ \((-1,-5)\) ⑨ \((-3,-5)\)
【型】最大値・最小値の条件から関数を決める逆問題
【なぜこうするか】 最大値をとる \(x=-1\) は区間 \(-3\leqq x\leqq 0\) の内部にあります。2次関数が区間の内部で最大値をとれるのは、そこが頂点で、しかも上に凸のときだけです(下に凸なら内部の点は最小値になる)。この一点を押さえた瞬間、頂点が \((-1,\ 3)\) と決まります。カは③です。
あとは残った条件で係数を決めます。\(f(x)=a(x+1)^{2}+3\ (a\lt 0)\) とおき、\(f(-3)=-5\) から \(4a+3=-5\)、すなわち \(a=-2\)。
\[f(x)=-2(x+1)^{2}+3=-2x^{2}-4x+1\]
よってキクは \(-2\)、ケは4、コは1です。
【検算】 \(f(-1)=-2+4+1=3\)(最大値3)、\(f(-3)=-18+12+1=-5\)(最小値 \(-5\))、\(f(0)=1\) で \(-5\leqq 1\leqq 3\)。区間の両端と頂点すべてで条件1を満たしています。
【定石】 「区間の内部で最大値」=「上に凸でそこが頂点」、「区間の内部で最小値」=「下に凸でそこが頂点」。逆問題はここから始める。
〔1〕(2)(ii) 「〜ならば」の条件は、変化が切り替わる境目を読む
2次関数 \(y=g(x)\) は次の条件2を満たすとする。【条件2】\(a\) を正の定数とし、\(y=g(x)\) の \(0\leqq x\leqq a\) における最大値を \(M\)、最小値を \(m\) とすると、\(0\lt a\lt 3\) ならば \(m\gt -2\) である。\(a\geqq 3\) ならば \(m=-2\) である。\(0\lt a\leqq 6\) ならば \(M=7\) である。\(a\gt 6\) ならば \(M\gt 7\) である。このとき、2次関数 \(y=g(x)\) のグラフはサの放物線であり \(g(x)=\)シ である。
(サの解答群)⓪ 下に凸 ① 上に凸
(シの解答群)⓪ \(2x^{2}-12x+16\) ① \(-2x^{2}+12x-16\) ② \(2x^{2}-12x-16\) ③ \(-2x^{2}+12x-20\) ④ \(x^{2}-7\) ⑤ \(-x^{2}+7\) ⑥ \(x^{2}-6x+7\) ⑦ \(-x^{2}+6x-7\) ⑧ \(2x^{2}-9x+7\) ⑨ \(-2x^{2}+3x+7\)
【型】区間の右端を動かしたときの最大値・最小値の「切り替わり点」を読む
【なぜこうするか】 4本の条件を1本ずつ味わうのがコツです。「\(a\geqq 3\) ならば \(m=-2\) で一定」——右端をいくら伸ばしても最小値が変わらないのは、\(x=3\) に最小値 \(-2\) の頂点があり、そこから先は増加に転じるからです。よって下に凸で頂点 \((3,\ -2)\)。サは⓪です。
次に「\(0\lt a\leqq 6\) ならば \(M=7\) で一定、\(a\gt 6\) で \(M\gt 7\)」。下に凸なら最大値は区間の端にあり、はじめは左端 \(x=0\) の値 \(g(0)\) が最大です。それが \(a\) によらず7なので \(g(0)=7\)。そして \(a\) を伸ばして右端の値が \(g(0)\) を追い越すのが \(a=6\) の直後。つまり \(g(6)=g(0)=7\) です(頂点 \(x=3\) について0と6は対称なので、これは自動的に成り立ちます)。
\(g(x)=k(x-3)^{2}-2\ (k\gt 0)\) に \(g(0)=7\) を入れると \(9k-2=7\) から \(k=1\)。
\[g(x)=(x-3)^{2}-2=x^{2}-6x+7\]
よってシは⑥です。
【検算】 4条件をすべて確かめます。\(0\lt a\lt 3\) では最小値は \(g(a)\gt g(3)=-2\)(頂点未到達)。\(a\geqq 3\) では頂点に到達して \(m=-2\)。\(g(0)=7,\ g(6)=7\) なので \(0\lt a\leqq 6\) では \(M=g(0)=7\)。\(a\gt 6\) では \(M=g(a)\gt g(6)=7\)。4つとも成立しました。
【定石】 「動く区間の最大・最小」は、値が一定になる区間の端が情報の宝庫。\(m\) が一定になり始める \(a\) が頂点の \(x\) 座標、\(M\) が一定でなくなる \(a\) が \(g(0)\) と同じ値をとる点。
〔1〕(3) 関数は決まらなくても、\(x\) 軸との交点は決まる
2次関数 \(y=h(x)\) は次の条件3を満たすとする。【条件3】\(b\) を定数とし、\(y=h(x)\) の \(b-1\leqq x\leqq b+1\) における最大値を \(M\) とすると、\(1\leqq b\leqq 7\) ならば \(M\geqq 0\) である。\(b\lt 1\) または \(7\lt b\) ならば \(M\lt 0\) である。2次関数 \(y=h(x)\) のグラフと \(x\) 軸の共有点の \(x\) 座標はスおよびセである。ただし解答の順序は問わない。
【型】「幅2の窓を滑らせて、\(h\geqq 0\) の部分に当たるか」という集合の問題に読み替える
【なぜこうするか】 \(M\geqq 0\) とは「区間 \([b-1,\ b+1]\) の中に \(h(x)\geqq 0\) となる点が1つでもある」ということです。つまり、幅2の窓 \([b-1,\ b+1]\) を左右に滑らせて、集合 \(\{x\mid h(x)\geqq 0\}\) と重なるかどうかを見ている。この読み替えができれば、あとは端の勘定だけです。
まず \(h\) が下に凸だとすると \(\{h\geqq 0\}\) は外側の2本の半直線か全体になり、窓をどこに置いても必ず重なるので「\(b\lt 1\) ならば \(M\lt 0\)」に反します。また \(h\) が上に凸で \(x\) 軸と交わらなければ、どこでも \(M\lt 0\) になり「\(1\leqq b\leqq 7\) ならば \(M\geqq 0\)」に反します。よって \(h\) は上に凸で \(x\) 軸と2点で交わる。交点の \(x\) 座標を \(\alpha\lt\beta\) とすると \(\{h\geqq 0\}=[\alpha,\ \beta]\) です。
窓 \([b-1,\ b+1]\) が \([\alpha,\ \beta]\) と重なる条件は \(b+1\geqq\alpha\) かつ \(b-1\leqq\beta\)、すなわち \(\alpha-1\leqq b\leqq\beta+1\)。これが \(1\leqq b\leqq 7\) と一致するので \(\alpha-1=1,\ \beta+1=7\)、つまり \(\alpha=2,\ \beta=6\)。
よってスとセは2と6です。
【検算】 例えば \(h(x)=-(x-2)(x-6)\) で確かめます。\(b=1\) のとき窓は \([0,2]\) で \(M=h(2)=0\geqq 0\)。\(b=0.9\) のとき窓は \([-0.1,\ 1.9]\) で \(M=h(1.9)=-0.11\lt 0\)。\(b=7\) のとき窓は \([6,8]\) で \(M=h(6)=0\geqq 0\)。\(b=7.1\) のとき窓は \([6.1,\ 8.1]\) で \(M=h(6.1)=-0.41\lt 0\)。境目がちょうど \(b=1\) と \(b=7\) になりました。なお \(-(x-2)(x-6)\) の係数を何倍しても交点は変わらないので、条件3から関数は1つに定まらないという太郎さんの発言とも整合します。
【定石】 「区間を動かしたときの最大値の符号」は、\(\{h\geqq 0\}\) という集合と区間の共通部分の問題に翻訳する。翻訳すると端の値の勘定だけで済む。
〔2〕(1) 平均だから、2つの量の間に必ずはさまれる
太郎さんは \(T_{\text{前}},\ T_{\text{後}},\ T_{\text{前後}}\) の関係を調べることにした。図1は \(T_{\text{前}}\) と \(T_{\text{後}}\) の散布図、図2は \(T_{\text{前}}\) と \(T_{\text{前後}}\) の散布図である。次の(a)、(b)は図1と図2に関する記述である。(a) \(T_{\text{前}}\) が470秒未満である選手について、\(T_{\text{後}}\) が460秒以上である選手の人数と、\(T_{\text{前後}}\) が460秒以上である選手の人数は等しい。(b) A を付けている点が表す選手について、\(T_{\text{前}}\) の値は \(T_{\text{前後}}\) の値より小さく、かつ \(T_{\text{後}}\) の値は \(T_{\text{前後}}\) の値より大きい。(a)、(b)の正誤の組合せとして正しいものはソである。
(ソの解答群)⓪ (a)正 (b)正 ① (a)正 (b)誤 ② (a)誤 (b)正 ③ (a)誤 (b)誤
- 共通:横軸は \(T_{\text{前}}\) で440〜490秒。28人の点の多くは横軸440〜460秒に集まり、横軸486秒前後に離れた点が1個ある。
- 図1:縦軸は \(T_{\text{後}}\) で440〜500秒。主な点群はおよそ \((440,443)\) から \((461,469)\) にあり、横軸470秒未満・縦軸460秒以上の領域には複数の点がある。特に横軸450秒前後・縦軸460秒をわずかに上回る点は、図1では条件に入るが、その選手の平均は460秒未満である。
- 図2:縦軸は \(T_{\text{前後}}\) で440〜500秒。主な点群はおよそ \((440,444)\) から \((461,465)\) にあり、同じ横軸470秒未満でも縦軸460秒以上となる点は図1より少ない。
- 点A:\(T_{\text{前}}\) は約452秒、\(T_{\text{後}}\) は約476秒、\(T_{\text{前後}}\) は約464秒で、\(T_{\text{前}}\lt T_{\text{前後}}\lt T_{\text{後}}\) となる。
【型】散布図の読み取りを、定義式の不等式に翻訳してから判定する
【なぜこうするか】 この手の正誤問題は、点を数える前に定義から言えることを先に確定させると圧倒的に速くなります。\(T_{\text{前後}}=\dfrac{T_{\text{前}}+T_{\text{後}}}{2}\) なので
\[T_{\text{前後}}-T_{\text{前}}=\dfrac{T_{\text{後}}-T_{\text{前}}}{2},\qquad T_{\text{後}}-T_{\text{前後}}=\dfrac{T_{\text{後}}-T_{\text{前}}}{2}\]
この2式はまったく同じ値です。つまり平均は必ず2つの値のちょうど真ん中にあり、(b)の2つの主張は「\(T_{\text{後}}\gt T_{\text{前}}\)」という1つの主張と同値になります。図1で A の点は \(T_{\text{前}}\) が約452秒、\(T_{\text{後}}\) が約478秒と明らかに後半が遅いので \(T_{\text{後}}\gt T_{\text{前}}\)。よって(b)は正です。
(a)は誤りです。理由も定義から出せます。\(T_{\text{前後}}\geqq 460\) は \(T_{\text{前}}+T_{\text{後}}\geqq 920\) と同値で、\(T_{\text{後}}\geqq 460\) とは別条件です。実際 \(T_{\text{前}}=450,\ T_{\text{後}}=462\) の選手は \(T_{\text{後}}\geqq 460\) を満たしますが \(T_{\text{前後}}=456\lt 460\) です。図1には \(T_{\text{前}}\) が450秒前後で \(T_{\text{後}}\) が460秒をわずかに超える点があり、この選手は前者に数えられて後者に数えられません。よって2つの人数は一致せず、ソは②です。
【検算】 \(T_{\text{前}}\lt 460\) の選手に限れば \(T_{\text{前後}}\geqq 460\) は \(T_{\text{後}}\geqq 920-T_{\text{前}}\gt 460\) を意味するので、\(\{T_{\text{前後}}\geqq 460\}\subset\{T_{\text{後}}\geqq 460\}\) が常に成り立ちます。したがって(a)の2つの人数は「等しいか、前者が多い」のいずれかで、等号が破れる点が1つでもあれば(a)は誤り。この包含関係は図を見なくても定義だけから確定します。
【定石】 平均・差・和で定義された新しい変量が出たら、まず定義式を差の形に整理する。図を数える前に、論理だけで決着がつく主張を消しておく。
〔2〕(2) 相関係数は共分散を2つの標準偏差で割るだけ
太郎さんは \(T_{\text{前}}\) と \(T_{\text{前後}}\) の相関係数を計算するために、表1のように平均値、標準偏差および共分散を求めた。\(T_{\text{前}}\):平均値450、標準偏差8.3。\(T_{\text{前後}}\):平均値453、標準偏差9.3。共分散72.9。表1を用いると \(T_{\text{前}}\) と \(T_{\text{前後}}\) の相関係数はタである。最も適当なものを次から一つ選べ。⓪ 0.01 ① 0.24 ② 0.47 ③ 0.59 ④ 0.72 ⑤ 0.83 ⑥ 0.94 ⑦ 1.06 ⑧ 1.38 ⑨ 4.14
【型】相関係数 \(r=\dfrac{s_{xy}}{s_{x}s_{y}}\)
【なぜこうするか】 公式そのままですが、選択肢に1を超える値(⑦1.06、⑧1.38、⑨4.14)が混ぜてあるのが意地悪です。相関係数は必ず \(-1\leqq r\leqq 1\) なので、この3つは計算前に消せます。計算する前に選択肢を削るのが時間短縮の基本です。
\[r=\dfrac{72.9}{8.3\times 9.3}=\dfrac{72.9}{77.19}=0.9444\cdots\]
最も近いのは0.94で、タは⑥です。
【検算】 分母を暗算で見積もると \(8.3\times 9.3\approx 77.2\)。分子72.9はこれより約4.3小さく、\(4.3/77.2\approx 0.056\) なので \(r\approx 1-0.056=0.944\)。割り算を実行しなくても0.94にたどり着きます。
【定石】 相関係数の選択肢問題は「\(|r|\leqq 1\) で削る」「分子と分母の比を1からのズレで見る」の2手で、割り算を最後までやらずに答えが出る。
〔2〕(3)(i) 外れ値の2つの判定値の差は、四分位範囲のちょうど4倍
1位の選手の30個のタイムについて考えると、外れ値かどうかを判断する二つの値である29.315と29.835が算出され、29.315以下の2個のタイムと29.835以上の1個のタイムが外れ値と判断された。このとき、1位の選手の30個のタイムの四分位範囲は0.チツ秒である。
【型】外れ値の判定値どうしの差=\(4\times\)(四分位範囲)
【なぜこうするか】 \(Q_{1},\ Q_{3}\) を四分位数、\(R=Q_{3}-Q_{1}\) を四分位範囲とすると、2つの判定値は \(Q_{1}-1.5R\) と \(Q_{3}+1.5R\)。この2つを引き算すると \(Q_{1},\ Q_{3}\) が個別には要らなくなるのがポイントです。
\[(Q_{3}+1.5R)-(Q_{1}-1.5R)=(Q_{3}-Q_{1})+3R=R+3R=4R\]
したがって \(4R=29.835-29.315=0.520\) で \(R=0.130\)。チツは13です。
【検算】 \(R=0.13\) なら \(1.5R=0.195\)。\(Q_{1}=29.315+0.195=29.510\)、\(Q_{3}=29.835-0.195=29.640\) となり、確かに \(Q_{3}-Q_{1}=0.130\)。判定値も元の値に戻りました。
【定石】 外れ値の上下2つの判定値が与えられたら、まず引き算する。差は必ず四分位範囲の4倍で、\(Q_{1},\ Q_{3}\) を知らなくても四分位範囲が出る。
〔2〕(3)(ii) 外れ値の基準は選手ごとに違う
太郎さんは28人の選手それぞれについて、30個のタイムを用いて選手ごとの箱ひげ図を作成し、分散を計算した。図3は上から分散が小さい順になるように28人の選手それぞれの箱ひげ図を並べたものであり、30個のタイムにおける外れ値は白丸で示されている。なお、分散が等しい選手はいなかった。次の(a)、(b)は図3に関する記述である。(a) 28人の選手において、29秒より速いタイムはすべて外れ値である。(b) 28人の選手から2人を選んだとき、分散の大きい選手の四分位範囲は、分散の小さい選手の四分位範囲より小さいことがある。(a)、(b)の正誤の組合せとして正しいものはテである。
(テの解答群)⓪ (a)正 (b)正 ① (a)正 (b)誤 ② (a)誤 (b)正 ③ (a)誤 (b)誤
横軸は50mごとのタイムで26〜34秒、縦方向は分散の小さい順です。上から並ぶ順位は、1位、6位、14位、12位、4位、3位、2位、20位、9位、19位、15位、24位、8位、5位、7位、10位、13位、18位、28位、23位、22位、11位、25位、16位、27位、17位、26位、21位です。
- 29秒より左にある印には白丸の外れ値だけでなく、ひげの範囲内の値もある。例えば下方の26位・21位の行では、左のひげが29秒より小さい位置まで伸びている。
- 上から4番目の12位の箱より、その下の4位の箱の方が短い。下の行ほど分散は大きいので、「分散が大きい選手の四分位範囲の方が小さい」という組合せが実在する。
- 上から14行に含まれる決勝進出者(順位1〜8位)は、1位、6位、4位、3位、2位、8位、5位の7人である。
【型】外れ値は「絶対的な基準」ではなく「各データの四分位数で決まる相対的な基準」
【なぜこうするか】 (a)が誤りである理由は、図を細かく数える前に構造から予想できます。外れ値の判定値 \(Q_{1}-1.5R\) は選手ごとに違うので、「29秒」という共通の絶対値で外れ値が決まるはずがありません。上位の選手ほど全体に速く、ひげの左端が29秒より小さい位置まで伸びている行が図3にあります。つまり29秒より速くても外れ値でないタイムが存在するので(a)は誤。
(b)は正です。分散と四分位範囲はどちらもばらつきの指標ですが、順序が一致するとは限りません。分散は外れ値を含む30個すべての2乗和で決まるので、遠くに離れた数個の外れ値があるだけで大きくなります。一方、四分位範囲は中央の50%だけを見るので外れ値の影響を受けません。図3でも、上の行(分散が小さい)なのに箱が横に広い選手と、下の行(分散が大きい)なのに箱が狭い選手が実際に並んでいます。よってテは②です。
【検算】 具体例を作れば(b)は即座に確認できます。データX \(=\{0,1,1,2,2,3,3,4\}\) は分散 \(1.5\)、四分位範囲 \(2\)。データY \(=\{-10,2,2,2,2,2,2,14\}\) は分散 \(24\)、四分位範囲 \(0\)。Y のほうが分散は大きいのに四分位範囲は小さい。「分散が大きい=四分位範囲も大きい」は成り立ちません。
【定石】 ばらつきの指標は外れ値に敏感な組(分散・標準偏差・範囲)と鈍感な組(四分位範囲)に分かれる。この2組の大小が逆転する例はいくらでも作れる。
【よくあるミス】 「外れ値」を、データ全体で共通の閾値だと思い込むこと。判定値はデータごとに \(Q_{1},\ Q_{3}\) から計算されるので、選手が変われば基準も変わります。
〔2〕(3)(iii) 表の空欄は、合計から逆算して1つの文字で埋める
順位が1位から8位までの選手のグループを決勝進出グループ、9位から28位までの選手のグループを予選敗退グループと呼ぶことにする。決勝進出グループであり、かつ30個のタイムの分散が小さい方から14番目までの選手の人数を \(n\)(人)とすると、表2のようになる。(表2:決勝進出グループは分散1番〜14番が \(n\)、15番〜28番が \(8-n\)、計8。予選敗退グループは \(14-n\)、\(6+n\)、計20。)このとき、図3から \(n=\)トであることがわかる。このことから、決勝進出グループにおいて分散が小さい方から14番目までの選手が占める割合を \(P\)、予選敗退グループにおいて分散が小さい方から14番目までの選手が占める割合を \(Q\) とすると \(P\)ナ\(Q\) であることがわかる。
(ナの解答群)⓪ \(\lt\) ① \(=\) ② \(\gt\)
【型】2×2分割表は自由度1。1マス決まれば全部決まる
【なぜこうするか】 図3は分散の小さい順に並んでいるので、上から14行の順位ラベルを読んで、8以下の個数を数えるだけです。図3の上位14行の順位は上から順に1位、6位、14位、12位、4位、3位、2位、20位、9位、19位、15位、24位、8位、5位。このうち8位以下(決勝進出グループ)は1位、6位、4位、3位、2位、8位、5位の7人。よって \(n=7\) でトは7です。
割合を計算します。決勝進出グループは8人なので \(P=\dfrac{7}{8}=0.875\)。予選敗退グループは20人で、そのうち分散が小さい方から14番目までに入るのは \(14-n=7\) 人なので \(Q=\dfrac{7}{20}=0.35\)。
\[P=\dfrac{7}{8}\gt\dfrac{7}{20}=Q\]
したがってナは②です。速い選手ほどペースのばらつきが小さい、という自然な結論になっています。
【検算】 表2の整合性で確かめます。\(n=7\) なら決勝進出グループの内訳は \(7\) と \(8-7=1\) で計8、予選敗退グループは \(14-7=7\) と \(6+7=13\) で計20。列の合計も \(7+7=14\)、\(1+13=14\) で表2の「計14/計14/総計28」に完全に合致します。分子が同じ7で分母が8と20なので、大小比較は分母だけ見れば足ります。
【定石】 2×2の分割表は1マス決まれば残り3マスは引き算で決まる。表の周辺(行合計・列合計)は検算に使う。
第3問(配点20) 図形の性質と空間図形
空間内に、\(\mathrm{AB}=\mathrm{AC}=10\)、\(\mathrm{BC}=12\) である二等辺三角形 ABC がある。\(\triangle\mathrm{ABC}\) の内心を I とし、\(\triangle\mathrm{IBC}\) の重心を G とする。G を通り、\(\triangle\mathrm{ABC}\) を含む平面と垂直な直線上に、G と異なる点 P がある。このとき、\(\triangle\mathrm{ABC}\) を底面とする三角錐 PABC について考える。直線 AI と辺 BC の交点を D とし、また、辺 PA 上の点 E は \(\angle\mathrm{PED}=\angle\mathrm{PID}\) を満たしているとする。以下の問題において比を解答する場合は、最も簡単な整数の比で答える。
ア2 イ5 ウ3 エ4 オカ40 / キ1 ク4 ケ5 コ2 サシ16 / ス6 セ1 ソ2
(1) 内心は「角の二等分線の交点」。二等辺三角形なら AD が対称軸になる
直線 BI がアことに注意すると、\(\triangle\mathrm{ABD}\) において線分 AI と ID の長さの比を求めることができる。よって、線分 AD の長さに着目すると \(\mathrm{AI}=\)イ、\(\mathrm{ID}=\)ウ であることがわかる。また、4点 E、I、D、エは同一円周上にある。よって \(\mathrm{AE}\cdot\mathrm{AP}=\)オカであることがわかる。
(アの解答群)⓪ 直線 AC と垂直に交わる ① 直線 AC とねじれの位置にある ② \(\angle\mathrm{ABC}\) を2等分する ③ 辺 AC の中点を通る
(エの解答群)⓪ A ① B ② C ③ G ④ P
【型】角の二等分線と辺の比 \(\mathrm{AI}:\mathrm{ID}=\mathrm{BA}:\mathrm{BD}\)/方べきの定理
【なぜこうするか】 I は内心なので、A、B、C すべての内角の二等分線が通ります。したがって直線 BI は \(\angle\mathrm{ABC}\) を2等分し、アは②です。この方法でうまく解ける理由は、\(\triangle\mathrm{ABD}\) の中で BI が \(\angle\mathrm{ABD}\) の二等分線になり、角の二等分線と辺の比の定理がそのまま使えるからです。
\(\triangle\mathrm{ABC}\) は \(\mathrm{AB}=\mathrm{AC}\) の二等辺三角形なので、\(\angle A\) の二等分線 AD は BC の垂直二等分線です。よって D は BC の中点で \(\mathrm{BD}=6\)、三平方の定理から \(\mathrm{AD}=\sqrt{10^{2}-6^{2}}=8\)。
\(\triangle\mathrm{ABD}\) で BI は \(\angle\mathrm{ABD}\) の二等分線なので
\[\mathrm{AI}:\mathrm{ID}=\mathrm{BA}:\mathrm{BD}=10:6=5:3\]
\(\mathrm{AD}=8\) を \(5:3\) に分けて \(\mathrm{AI}=5\)、\(\mathrm{ID}=3\)。イは5、ウは3です。
次に共円です。条件 \(\angle\mathrm{PED}=\angle\mathrm{PID}\) は、線分 DP を E と I が同じ大きさの角で見ているということ。E と I は直線 DP に関して同じ側にあるので、円周角の定理の逆より4点 E、I、D、P は同一円周上にあります。エは④です。
この円に対して点 A から2本の直線を引くと、1本は E と P を通り、もう1本は I と D を通ります(A、I、D は一直線上)。方べきの定理より
\[\mathrm{AE}\cdot\mathrm{AP}=\mathrm{AI}\cdot\mathrm{AD}=5\times 8=40\]
したがってオカは40です。
【検算】 座標で確かめます。\(\mathrm{D}(0,0),\ \mathrm{B}(-6,0),\ \mathrm{C}(6,0),\ \mathrm{A}(0,8)\) とおくと、内心は \(\dfrac{12\mathrm{A}+10\mathrm{B}+10\mathrm{C}}{32}=(0,\ 3)\)。よって \(\mathrm{ID}=3\)、\(\mathrm{AI}=8-3=5\) で一致します。内接円の半径も(面積)÷(\(s\))\(=48\div 16=3\) で、中心の \(y\) 座標3と合います。
【定石】 「2つの点が同じ線分を等しい角で見ている」→ 円周角の定理の逆で共円→ 交わる2直線の交点から方べきの定理。この3段が図形問題の主要ルートの1つ。
(2)(i) メネラウスで比をつなぎ、方べきの結果で長さに変える
線分 PI と DE の交点を F とする。次の仮定1のもとで三角錐 PABC の体積 \(V_{1}\) について考える。【仮定1】線分 IF と FP の長さの比が \(\mathrm{IF}:\mathrm{FP}=3:2\) である。このとき \(\mathrm{PE}:\mathrm{EA}=\)キ\(:\)ク であるから、(1)での考察に注意すると \(\mathrm{AP}=\)ケ\(\sqrt{\boxed{\text{コ}}}\) となる。したがって、直線 PG が \(\triangle\mathrm{ABC}\) を含む平面に垂直であることに注意すると \(V_{1}=\)サシであることがわかる。
【型】メネラウスの定理(三角形と、それを横切る1本の直線)
【なぜこうするか】 E、F、D が一直線上にあり、その直線が \(\triangle\mathrm{API}\) の3辺(またはその延長)を横切っています。この形を見たらメネラウスの定理です。ここで効くのが「A、I、D が一直線上にある」という(1)の事実で、辺 IA の延長上に D が乗ります。
\(\triangle\mathrm{API}\) と直線 EFD について
\[\dfrac{\mathrm{AE}}{\mathrm{EP}}\cdot\dfrac{\mathrm{PF}}{\mathrm{FI}}\cdot\dfrac{\mathrm{ID}}{\mathrm{DA}}=1\]
\(\mathrm{PF}:\mathrm{FI}=2:3\)、\(\mathrm{ID}=3,\ \mathrm{DA}=8\) を代入すると \(\dfrac{\mathrm{AE}}{\mathrm{EP}}\cdot\dfrac{2}{3}\cdot\dfrac{3}{8}=1\)、すなわち \(\dfrac{\mathrm{AE}}{\mathrm{EP}}=4\)。よって \(\mathrm{PE}:\mathrm{EA}=1:4\) でキは1、クは4です。
ここで(1)の \(\mathrm{AE}\cdot\mathrm{AP}=40\) を使います。\(\mathrm{AE}=\dfrac{4}{5}\mathrm{AP}\) なので \(\dfrac{4}{5}\mathrm{AP}^{2}=40\)、\(\mathrm{AP}^{2}=50\)、\(\mathrm{AP}=5\sqrt{2}\)。ケは5、コは2です。
最後に体積。G は \(\triangle\mathrm{IBC}\) の重心なので、上の座標では \(\mathrm{G}=\dfrac{(0,3)+(-6,0)+(6,0)}{3}=(0,\ 1)\)。よって \(\mathrm{AG}=8-1=7\)。PG は底面に垂直だから \(\triangle\mathrm{APG}\) は直角三角形で
\[\mathrm{PG}=\sqrt{\mathrm{AP}^{2}-\mathrm{AG}^{2}}=\sqrt{50-49}=1\]
\(\triangle\mathrm{ABC}\) の面積は \(\dfrac{1}{2}\cdot 12\cdot 8=48\) なので
\[V_{1}=\dfrac{1}{3}\cdot 48\cdot 1=16\]
したがってサシは16です。
【検算】 \(\mathrm{A}(0,8,0),\ \mathrm{B}(-6,0,0),\ \mathrm{C}(6,0,0),\ \mathrm{P}(0,1,1)\) として、四面体の体積を行列式 \(\dfrac{1}{6}\left|\det(\overrightarrow{\mathrm{AB}},\ \overrightarrow{\mathrm{AC}},\ \overrightarrow{\mathrm{AP}})\right|\) で計算したところ16。底面積×高さの式とは独立な経路で同じ値になりました。
【定石】 「三角形の3辺を1本の直線が横切る」=メネラウス。どの三角形に適用するかは、比を知りたい点2つと既知の点1つが辺上に並ぶように選ぶ。
(2)(ii) 仮定を変えても計算の流れは同じ。差が出るのは高さだけ
(i)の仮定1の代わりに次の仮定2をおき、三角錐 PABC の体積の変化について考える。【仮定2】線分 IF と FP の長さの比が \(\mathrm{IF}:\mathrm{FP}=1:3\) である。仮定2のもとでの三角錐 PABC の体積 \(V_{2}\) を、(i)で求めた \(V_{1}\) と比較すると \(V_{2}:V_{1}=\)ス\(:\)セ であるから、ソ。
(ソの解答群)⓪ \(V_{2}\) は \(V_{1}\) より小さい ① \(V_{2}\) と \(V_{1}\) は等しい ② \(V_{2}\) は \(V_{1}\) より大きい
【型】同じ手順を数値だけ替えて再実行する(誘導の再利用)
【なぜこうするか】 (i)でやったことをそのまま繰り返します。変わるのはメネラウスに入れる比だけです。ここで底面 \(\triangle\mathrm{ABC}\) は固定されていることに気づくと、体積の比は高さ PG の比そのものになるので、最後の割り算が軽くなります。
\(\mathrm{PF}:\mathrm{FI}=3:1\) なので \(\dfrac{\mathrm{AE}}{\mathrm{EP}}\cdot\dfrac{3}{1}\cdot\dfrac{3}{8}=1\) から \(\dfrac{\mathrm{AE}}{\mathrm{EP}}=\dfrac{8}{9}\)。よって \(\mathrm{AE}=\dfrac{8}{17}\mathrm{AP}\) です。
\(\mathrm{AE}\cdot\mathrm{AP}=40\) に代入して \(\dfrac{8}{17}\mathrm{AP}^{2}=40\)、\(\mathrm{AP}^{2}=85\)。したがって
\[\mathrm{PG}=\sqrt{85-49}=\sqrt{36}=6,\qquad V_{2}=\dfrac{1}{3}\cdot 48\cdot 6=96\]
\(V_{2}:V_{1}=96:16=6:1\) でスは6、セは1。\(V_{2}\gt V_{1}\) なのでソは②です。
【検算】 \(\mathrm{P}(0,1,6)\) として行列式で四面体の体積を計算すると96。また \(V_{2}/V_{1}=\mathrm{PG}_{2}/\mathrm{PG}_{1}=6/1=6\) で、底面が共通なら体積比=高さの比という関係とも一致します。
【定石】 共通因子(ここでは底面積 \(48\) と \(\dfrac{1}{3}\))は比を作る段階で必ず消える。比だけを聞かれたら、共通部分を計算せずに残しておく方が速い。
第4問(配点20) 確率(リーグ戦と抽選)
1人対1人で対戦する競技の大会があり、A、B、C の3人、または A、B、C、D の4人で開催される。大会はリーグ戦形式で行われる。すなわち、それぞれの人が他のすべての人と1回ずつ対戦する。引き分けはないものとし、A が対戦相手に勝つ確率は \(\dfrac{2}{3}\) であり、A 以外の2人が対戦するとき勝つ確率はどちらも \(\dfrac{1}{2}\) であるものとする。なお、各対戦の結果は互いに影響を与えないものとする。すべての対戦が終わった後、次の【優勝者の決め方】により優勝者を1人決める。【優勝者の決め方】勝ち数が一番多い人が1人であれば、その人を優勝者とする。そうでなければ、抽選により、勝ち数が一番多い人の中から1人を選び、その人を優勝者とする。ただし、勝ち数が一番多い人の人数が \(n\) 人であるとき、それぞれの人が選ばれる確率は \(\dfrac{1}{n}\) であるものとする。
アイ \(\dfrac{4}{9}\) / ウエ \(\dfrac{1}{9}\) オカ \(\dfrac{1}{3}\) キクケ \(\dfrac{2}{27}\) / コサ \(\dfrac{1}{6}\) シスセ \(\dfrac{1}{27}\) / ソ4 タチ \(\dfrac{1}{9}\) / ツテ \(\dfrac{4}{9}\) トナニ \(\dfrac{2}{27}\) ヌ0
(1)(i) 全勝なら抽選は不要。単純な積で終わる
A、B、C の3人でリーグ戦を行うときに A が優勝する確率を考える。A が2勝0敗ならば、A が優勝する。A が2勝0敗で優勝する確率は \(\dfrac{\boxed{\text{ア}}}{\boxed{\text{イ}}}\) である。
【型】独立試行の確率は積
【なぜこうするか】 まず「抽選が要らない場合」から数えるのが、この問題の設計です。A が2勝0敗なら勝ち数2で、他の2人は最大でも1勝(B と C は互いに1回しか戦わない)。よって A が単独首位で、抽選は発生しません。
\[P=\dfrac{2}{3}\times\dfrac{2}{3}=\dfrac{4}{9}\]
アは4、イは9です。
【検算】 3人リーグの3試合すべての勝敗パターン \(2^{3}=8\) 通りを計算機で列挙し、確率と優勝者を集計したところ、「A が2勝0敗で優勝」の確率は \(\dfrac{4}{9}\) でした。
【定石】 抽選つきの確率は「単独首位(抽選なし)」と「同率首位(抽選あり)」に場合分けする。前者から数えると計算が軽い。
(1)(ii) 同率首位は「対戦結果の確率」×「抽選で当たる確率」
A が1勝1敗で優勝するためには、B も C も1勝1敗であることが必要である。例えば、A が勝つ相手が B であるとき、A が C に負け B が C に勝つことが必要である。表2は、この対戦結果を示し、この対戦結果になる確率は \(\dfrac{\boxed{\text{ウ}}}{\boxed{\text{エ}}}\) である。この対戦結果になり、かつ A が抽選により優勝者に選ばれる確率は \(\dfrac{\boxed{\text{ウ}}}{\boxed{\text{エ}}}\times\dfrac{\boxed{\text{オ}}}{\boxed{\text{カ}}}\) である。A が勝つ相手は B、C の2通りあることに注意すると、A が1勝1敗で優勝する確率は \(\dfrac{\boxed{\text{キ}}}{\boxed{\text{クケ}}}\) であることがわかる。
【型】(対戦結果が起こる確率)×(抽選で選ばれる確率)×(同型の対戦結果の個数)
【なぜこうするか】 3人リーグの総勝ち数は3(3試合あるから)。A が1勝のとき、残り2勝を B と C で分けるので B も C も1勝1敗しかありえません。つまり3人が全員1勝1敗の三すくみで、3人抽選になります。
A が B に勝ち C に負けるとすると、B が C に勝つ必要があります(そうでないと C が2勝で単独首位)。この対戦結果の確率は
「A が B に勝つ」\(\dfrac{2}{3}\)、「A が C に負ける」\(\dfrac{1}{3}\)、「B が C に勝つ」\(\dfrac{1}{2}\) の積で
\[\dfrac{2}{3}\times\dfrac{1}{3}\times\dfrac{1}{2}=\dfrac{1}{9}\]
となり、ウは1、エは9。3人が同率首位なので抽選で A が選ばれる確率は \(\dfrac{1}{3}\)、オは1、カは3です。
A が勝つ相手は B か C の2通りあるので
\[P=2\times\dfrac{1}{9}\times\dfrac{1}{3}=\dfrac{2}{27}\]
キは2、クケは27です。よって3人リーグで A が優勝する確率は \(\dfrac{4}{9}+\dfrac{2}{27}=\dfrac{12+2}{27}=\dfrac{14}{27}\) となります。
【検算】 8通りの全列挙による集計でも、A が1勝1敗で優勝する確率は \(\dfrac{2}{27}\)、A の優勝確率の合計は \(\dfrac{14}{27}\) でした。
【定石】 同率首位の確率は3つの因子の積で書く。①その対戦結果が起こる確率 ②抽選で選ばれる確率 \(\dfrac{1}{n}\) ③同じ形の対戦結果が何通りあるか。
【よくあるミス】 ③の「何通りあるか」を忘れること。A が負ける相手が B か C かで対戦結果は別物なので、2倍が必要です。
(2)(i) 全敗者がいる場合は、3人リーグの結果をそのまま再利用できる
A、B、C、D の4人でリーグ戦を行うときに A が優勝する確率を考える。A が3勝0敗ならば、A が優勝する。また、A が1勝2敗ならば、2勝以上する人がいるため A は優勝しない。A が2勝1敗で優勝する確率を、全敗する人がいる場合の確率と全敗する人がいない場合の確率の和として求める。全敗する人がいる場合で、かつ A が2勝1敗で優勝する確率を求める。全敗する人は B、C、D の3通りある。D が全敗する確率は \(\dfrac{\boxed{\text{コ}}}{\boxed{\text{サ}}}\) である。D が全敗する場合、A が2勝1敗で優勝するためには、A が D 以外の2人との対戦で1勝1敗となることが必要である。以上のことから、(1)の(ii)の結果を用い、全敗する人が B、C、D の3通りあることに注意すると、全敗する人がいる場合で、かつ A が2勝1敗で優勝する確率は \(\dfrac{\boxed{\text{シ}}}{\boxed{\text{スセ}}}\) であることがわかる。
【型】1人を切り離して、残り3人の既知の結果に帰着させる
【なぜこうするか】 これがこの大問の核心の発想です。D が全敗なら、D は全員に1勝ずつ配って退場するだけ。残る A、B、C の勝ち数の大小関係は、3人リーグのときとまったく同じになります(全員が D から1勝ずつもらうので、順位は変わらない)。だから(1)(ii)の \(\dfrac{2}{27}\) をそのまま流用できるのです。
まず D が全敗する確率。D は A に負け(確率 \(\dfrac{2}{3}\))、B に負け(\(\dfrac{1}{2}\))、C に負け(\(\dfrac{1}{2}\))ます。
\[\dfrac{2}{3}\times\dfrac{1}{2}\times\dfrac{1}{2}=\dfrac{1}{6}\]
コは1、サは6です。
D 全敗のもとで A が2勝1敗で優勝するには、A、B、C の3試合で A が1勝1敗となり、かつ抽選に勝つ必要があります。この確率は(1)(ii)より \(\dfrac{2}{27}\)。D の3試合と A・B・C の3試合は独立なので、掛け算できます。全敗者が B、C、D の3通りあることを踏まえて
\[P=3\times\dfrac{1}{6}\times\dfrac{2}{27}=\dfrac{1}{27}\]
シは1、スセは27です。なお全敗者が2人同時に存在することはありません(その2人は必ず対戦して一方が勝つから)。だから単純に3倍してよいのです。
【検算】 4人リーグの6試合すべての勝敗 \(2^{6}=64\) 通りを計算機で列挙し、「A が2勝1敗で優勝し、かつ全敗者がいる」確率を有理数のまま集計したところ \(\dfrac{1}{27}\) でした。
【定石】 人数が増えた確率は、1人を全敗・全勝などに固定して切り離し、既に解いた小さい問題に帰着させる。誘導が「(1)の結果を用い」と言っているときは必ずこの構造。
(2)(ii) 全敗者なしの場合は、対戦結果の個数を丁寧に数える
全敗する人がいない場合で、かつ A が2勝1敗で優勝する確率を求める。A が2勝1敗のとき、A が負ける相手は B、C、D の3通りある。A が負ける相手が B であるとき、A が優勝するためには、B は2勝1敗か1勝2敗であることが必要である。全敗する人がいない場合で、かつ A が B に負け C と D に勝ち優勝するときの対戦結果はソ通りある。A が負ける相手が B、C、D の3通りあることに注意すると、全敗する人がいない場合で、かつ A が2勝1敗で優勝する確率は \(\dfrac{\boxed{\text{タ}}}{\boxed{\text{チ}}}\) であることがわかる。
【型】残りの試合だけを場合分けして、条件を満たす対戦結果を数え上げる
【なぜこうするか】 A の3試合の結果を固定してしまえば、残るのは B・C・D の3試合だけ。\(2^{3}=8\) 通りしかないので、全部書き出すのが最速で最も安全です。マーク式で時間が惜しいときほど、8通りを表にする方が場合分けの論理を練るより速く済みます。
A が B に負け、C と D に勝ったとします。B は A に勝っているので最低1勝。B・C・D 間の3試合の結果を、B が C に勝つか、B が D に勝つか、C が D に勝つかの3ビットで書くと8通りです。それぞれの最終勝ち数(A は2勝で固定)は次のようになります。
- B が C・D の両方に勝つ(2通り):B が3勝で単独首位。A は優勝できない。
- B が C・D の両方に負ける(2通り):B は1勝。C と D の一方が2勝で A と並び、もう一方は…… ここで場合が割れる。
- B が1勝1敗(4通り):B は2勝で A と並ぶ。
8通りを最後まで書き出すと、条件(全敗者なし、かつ A が首位タイ)を満たすのは次の4通りです。①B が C に勝ち、D が B に勝ち、C が D に勝つ → 勝ち数 A2・B2・C1・D1。②C が B に勝ち、B が D に勝ち、D が C に勝つ → A2・B2・C1・D1。③C が B に勝ち、D が B に勝ち、C が D に勝つ → A2・B1・C2・D1。④C が B に勝ち、D が B に勝ち、D が C に勝つ → A2・B1・C1・D2。残る4通りは、B が3勝して単独首位になるか、C または D が全敗してしまうため除かれます。よってソは4です。
この4通りはいずれも A ともう1人の2人が同率首位なので、抽選で A が選ばれる確率は \(\dfrac{1}{2}\)。各対戦結果の確率は \(\dfrac{2}{3}\cdot\dfrac{2}{3}\cdot\dfrac{1}{3}\cdot\left(\dfrac{1}{2}\right)^{3}=\dfrac{4}{27}\cdot\dfrac{1}{8}=\dfrac{1}{54}\)。A が負ける相手は3通りあるので
\[P=3\times 4\times\dfrac{1}{54}\times\dfrac{1}{2}=\dfrac{12}{108}=\dfrac{1}{9}\]
タは1、チは9です。
【検算】 64通りの全列挙で「A が2勝1敗で優勝し、かつ全敗者がいない」確率を集計すると \(\dfrac{1}{9}\)、該当する対戦結果は12通り(=3通り×4通り)でした。数え上げた4通りという値も裏づけられます。
【定石】 残りの試合が3つ以下なら、場合分けを考えるより8通りを書き出す方が速く、抜け漏れも起きない。書き出すときは「勝ち数を全員分そろえて表にする」。
【よくあるミス】 「全敗者がいない」という条件を忘れて8通りのうち6通りを数えてしまうこと。(i)と(ii)は排反に分けているので、全敗者が出るケースを(ii)に混ぜると二重に数えます。
まとめ 人数が増えると、強者の優勝確率はむしろ下がる
(i)と(ii)から、A が2勝1敗で優勝する確率は \(\dfrac{\boxed{\text{シ}}}{\boxed{\text{スセ}}}+\dfrac{\boxed{\text{タ}}}{\boxed{\text{チ}}}\) である。以上のことから、A が3勝0敗で優勝する確率を考慮すると、A が優勝する確率は \(\dfrac{\boxed{\text{ツ}}}{\boxed{\text{テ}}}\) であることがわかる。この確率は(1)で求めた3人でリーグ戦を行うときに A が優勝する確率より \(\dfrac{\boxed{\text{ト}}}{\boxed{\text{ナニ}}}\) だけヌ。
(ヌの解答群)⓪ 小さい ① 大きい
【型】排反な場合の確率をすべて足す/2つの結果を比較して意味を読む
【なぜこうするか】 最後の集計です。A が2勝1敗で優勝する確率は
\[\dfrac{1}{27}+\dfrac{1}{9}=\dfrac{1}{27}+\dfrac{3}{27}=\dfrac{4}{27}\]
A が3勝0敗なら勝ち数3で単独首位が確定するので、その確率は \(\left(\dfrac{2}{3}\right)^{3}=\dfrac{8}{27}\)。A が1勝2敗以下では優勝できません(誰かが2勝以上している)。4人のときに A が優勝する確率は
\[\dfrac{8}{27}+\dfrac{4}{27}=\dfrac{12}{27}=\dfrac{4}{9}\]
ツは4、テは9です。3人のときは \(\dfrac{14}{27}\) だったので
\[\dfrac{14}{27}-\dfrac{12}{27}=\dfrac{2}{27}\]
したがって4人のときの方が \(\dfrac{2}{27}\) だけ小さい。トは2、ナニは27、ヌは⓪です。
意味を読んでおきましょう。A は各対戦で \(\dfrac{2}{3}\) と有利ですが、人数が増えると全勝しなければならない試合数が増え、しかも同率首位のときの抽選相手が増えます。強い人にとって、参加者が増えることは不利に働くわけです。
【検算】 3人リーグ(8通り)と4人リーグ(64通り)の両方を、抽選確率 \(\dfrac{1}{n}\) まで含めて有理数で全列挙集計したところ、A の優勝確率はそれぞれ \(\dfrac{14}{27}\)、\(\dfrac{4}{9}=\dfrac{12}{27}\)、差は \(\dfrac{2}{27}\) でした。内訳も「3人:2勝 \(\dfrac{4}{9}\)、1勝 \(\dfrac{2}{27}\)」「4人:3勝 \(\dfrac{8}{27}\)、2勝 \(\dfrac{4}{27}\)」と本文の計算に完全に一致しました。
【定石】 最後に必ず全体の確率がつじつまの合う値になっているかを見る。ここでは「A が有利でも \(\dfrac{4}{9}\lt\dfrac{1}{2}\)」「人数が増えると下がる」という2つの感覚と一致するかを確認できる。
- 定義の翻訳:「1以外の公約数をもつ」→「素因数を共有する」→「倍数の集合」。整数の集合問題は翻訳した瞬間に終わる(第1問〔1〕)。
- 補集合は裏返す:「補集合に〜がない」→「もとの集合がすべて含む」。代表元だけ調べれば済む形になる(第1問〔1〕(2))。
- 同じ面積を2通りに表す:直角を使った素直な計算と、与えられた公式。等式が1本できれば角が取り出せる(第1問〔2〕)。
- 接点は線分上か延長上か:内接円と傍接円で足し算の向きが変わる。図を描いて確認してから式を立てる(第1問〔2〕(2)(ii))。
- 区間の内部で最大値=そこが頂点で上に凸:2次関数の逆問題はここから始まる(第2問〔1〕(2))。
- 値が一定になる境目を読む:\(m\) が一定になり始める \(a\) が頂点。動く区間の問題はここが情報源(第2問〔1〕(2)(ii))。
- 集合として読み替える:「窓を滑らせて \(h\geqq 0\) に当たるか」。最大値の符号は共通部分の有無に翻訳できる(第2問〔1〕(3))。
- 定義式を差の形に整理する:平均の定義から \(T_{\text{前後}}-T_{\text{前}}=T_{\text{後}}-T_{\text{前後}}\)。図を数える前に論理で決着(第2問〔2〕(1))。
- 外れ値の判定値は引き算する:差は四分位範囲の4倍(第2問〔2〕(3)(i))。
- ばらつきの指標は2種類:外れ値に敏感な分散と、鈍感な四分位範囲。大小は逆転しうる(第2問〔2〕(3)(ii))。
- 等しい角で見る2点は共円:円周角の定理の逆 → 方べきの定理、の3段ルート(第3問(1))。
- メネラウスは横切る直線を見たら:比を知りたい2点と既知の点1つが辺に並ぶ三角形を選ぶ(第3問(2))。
- 1人を切り離して既知の問題に帰着:全敗者を固定すれば残りは3人リーグそのもの(第4問(2)(i))。
- 残り3試合なら書き出す:8通りを表にする方が、場合分けを考えるより速く確実(第4問(2)(ii))。
- 大学入試 数学 過去問の全問解説ハブ(大学別・年度別の解説一覧)
- 数学の解法テクニック講座(型を単元別に整理したシリーズ)
- 無料プリント・映像授業(2次関数・データの分析・確率の演習)
- 共通テスト対策の記事一覧
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