2026年(令和8年度)1月に実施された大学入学共通テスト 数学Ⅱ,数学B,数学C(本試験)を、オンライン数学専門塾「数強塾」代表の藤原進之介が全問解説します。問題文はすべて再掲し、小問ごとに「どの型を使うのか」「なぜその方針を選ぶのか」まで書いています。
解答はすべて大学入試センターが公表した正解表と突き合わせ、全問一致を確認しています。さらに領域は288万個の格子点による実測、三角関数と積分は数式処理系と数値計算による独立検算を行いました。
必答問題(第1問〜第3問)と選択問題(第4問=数列/第5問=統計的な推測/第6問=ベクトル/第7問=複素数平面・平面上の曲線)の全29問すべてを公開済みです。選択問題は4問のうち3問を選んで解答しますが、どれを選んでも読めるように4問すべてを解説しています。
出題主体は大学入試センターです。この記事だけで学習を完結できるよう、計算に必要な条件・数値と図形・グラフの選択肢は、すべて本文中に文字で再掲しています。
この記事の目次
- 第1問(配点15・必答) 図形と方程式(2つの円と絶対値のついた不等式)
- 第2問(配点15・必答) 三角関数(和積の公式を自分で作って3回使う)
- 第3問(配点22・必答) 微分・積分(極値、面積が等しい条件、グラフの絞り込み)
- 第4問(配点16・選択) 数列(階差数列と、差分による和の求め方)
- 第5問(配点16・選択) 統計的な推測(正規分布と仮説検定)
- 第6問(配点16・選択) ベクトル(始点をそろえて係数で言い切る)
- 第7問(配点16・選択) 複素数平面(円が線分や楕円に写る変換)
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すべての年度・科目の一覧は大学入試 数学 過去問の全問解説ハブにまとめています。
※ 問題文は大学入試センターが公表した2026年度(令和8年度)大学入学共通テスト 本試験の問題を、解説のために引用したものです。解答・解説はオンライン数学専門塾「数強塾」代表 藤原進之介が独自に作成したものであり、大学入試センターが公表した一般的な解答例そのものではありません。答えはすべて公表された正解表と突き合わせ、全問一致を確認しています。図で示された領域・グラフの選択肢は、形・位置・増減が区別できるよう本文中に文章で示しています。
- 形式:70分・100点。第1問〜第3問が必答(15点/15点/22点)、第4問〜第7問から3問を選択(各16点)。計6問を解答します。
- 第1問(15点・必答):図形と方程式。2つの円の方程式が絶対値ひとつで結ばれているという珍しい設定で、最後は不等式の表す領域を選ぶ。
- 第2問(15点・必答):三角関数。和積の公式を自分で導き、それを3つの正弦の和に2回使わせる。
- 第3問(22点・必答):微分・積分。極値、グラフの概形、面積が等しい条件から定数を決める逆問題、そして条件からグラフの形を絞る問題。
- この年の急所は「公式を暗記しているかではなく、導いた公式をその場で再利用できるか」です。第2問は導いた和積公式①を(2)と(3)で計3回使います。第1問は①と②という2本の式を足したり引いたりするだけで最後まで進みます。与えられた式に名前がついたら、あとで必ず呼び出されると思って読み進めてください。
第1問(配点15・必答) 図形と方程式(2つの円と絶対値のついた不等式)
O を原点とする座標平面において、方程式 \(x^{2}+y^{2}-7y+(2x-5y+25)=0\ \cdots\cdots\ ①\) の表す円を \(C_{1}\) とする。また、方程式 \(x^{2}+y^{2}-7y-(2x-5y+25)=0\ \cdots\cdots\ ②\) の表す円を \(C_{2}\) とする。
(1) アイ \(-1\) ウ6 エ2 オ3 カ3 キ3 クケ29
(2) コ0 サ1 シ0 / ス2 / セ0 / ソ4
(1) 平方完成して中心と半径を出す。それだけで交わり方まで決まる
\(C_{1}\) の中心の座標は \((\)アイ\(,\\)ウ\()\) である。\(C_{1}\) の半径を \(r_{1}\)、\(C_{2}\) の半径を \(r_{2}\)、\(C_{1}\) の中心と \(C_{2}\) の中心の間の距離を \(d\) とすると \(r_{1}=\)エ\(\sqrt{\boxed{\text{オ}}}\)、\(r_{2}=\)カ\(\sqrt{\boxed{\text{キ}}}\)、\(d=\sqrt{\boxed{\text{クケ}}}\) である。\(r_{1},\ r_{2}\) と \(d\) の関係から、\(C_{1}\) と \(C_{2}\) は2点で交わることがわかる。
【型】円の方程式を \((x-p)^{2}+(y-q)^{2}=r^{2}\) に平方完成する
【なぜこうするか】 ①と②は「同じ式 \(x^{2}+y^{2}-7y\) に、同じ式 \(2x-5y+25\) を足したか引いたか」の違いしかありません。この構造は最後まで効いてくるので、展開してしまう前に頭に入れておくことが大事です。そのうえで、円の情報を取り出すには平方完成しかありません。
①を整理すると \(x^{2}+2x+y^{2}-12y+25=0\)、すなわち
\[(x+1)^{2}+(y-6)^{2}=1+36-25=12\]
よって \(C_{1}\) の中心は \((-1,\ 6)\)、半径は \(r_{1}=\sqrt{12}=2\sqrt{3}\)。アイは \(-1\)、ウは6、エは2、オは3です。
②を整理すると \(x^{2}-2x+y^{2}-2y-25=0\)、すなわち
\[(x-1)^{2}+(y-1)^{2}=1+1+25=27\]
よって \(C_{2}\) の中心は \((1,\ 1)\)、半径は \(r_{2}=\sqrt{27}=3\sqrt{3}\)。カは3、キは3です。
中心間の距離は \(d=\sqrt{(1-(-1))^{2}+(1-6)^{2}}=\sqrt{4+25}=\sqrt{29}\) でクケは29です。
交わり方の判定もしておきましょう。\(|r_{2}-r_{1}|=\sqrt{3}\fallingdotseq 1.73\)、\(r_{1}+r_{2}=5\sqrt{3}\fallingdotseq 8.66\)、\(d=\sqrt{29}\fallingdotseq 5.39\) なので
\[|r_{2}-r_{1}|\lt d\lt r_{1}+r_{2}\]
が成り立ち、確かに2点で交わります。
【検算】 平方完成の結果を逆に展開すると \((x+1)^{2}+(y-6)^{2}-12=x^{2}+2x+y^{2}-12y+25\) となり、①を整理した式と一致します。②も同様に確認しました。さらに、2交点の座標を実際に求めると \(29x^{2}+30x-250=0\) から \(x=\dfrac{-15\pm 5\sqrt{299}}{29}\) の2実数解が出るので、確かに2点で交わります。
【定石】 2円の位置関係は中心間距離 \(d\) と半径の和・差の3つを並べるだけで決まる。\(|r_{1}-r_{2}|\lt d\lt r_{1}+r_{2}\) なら2点で交わる。
(2)(i) 点を代入して符号を見るだけ。ここが後半の伏線になる
不等式 \(x^{2}+y^{2}-7y+|2x-5y+25|\lt 0\ \cdots\cdots\ ③\) の表す領域について考える。③の左辺は、\(2x-5y+25\geqq 0\) のときは①の左辺と一致し、\(2x-5y+25\lt 0\) のときは②の左辺と一致する。不等式 \(2x-5y+25\geqq 0\) の表す領域を \(D\)、不等式 \(2x-5y+25\lt 0\) の表す領域を \(E\) とする。原点 O はコに含まれる。\(C_{1}\) の中心はサに含まれる。\(C_{2}\) の中心はシに含まれる。(解答群)⓪ \(D\) ① \(E\)
【型】直線で分けられた領域の判定は、点を代入して符号を見る
【なぜこうするか】 直線 \(2x-5y+25=0\) は平面を2つに分けます。ある点がどちら側かは、その座標を左辺に代入して符号を見るだけで決まります。図を描く必要すらありません。そして、この小問の本当の意味は「2つの円の中心が、直線 \(\ell\) の反対側にある」という事実を確認させることです。これが(iii)(iv)で領域の形を決める鍵になります。
原点 O \((0,0)\):\(2\cdot 0-5\cdot 0+25=25\geqq 0\) なので \(D\)。コは⓪です。
\(C_{1}\) の中心 \((-1,6)\):\(2(-1)-5\cdot 6+25=-2-30+25=-7\lt 0\) なので \(E\)。サは①です。
\(C_{2}\) の中心 \((1,1)\):\(2\cdot 1-5\cdot 1+25=2-5+25=22\geqq 0\) なので \(D\)。シは⓪です。
【検算】 直線 \(2x-5y+25=0\) は \(y=\dfrac{2x+25}{5}\)。\(x=-1\) のとき \(y=4.6\) で、\(C_{1}\) の中心の \(y\) 座標6はこれより大きい(=直線より上)。\(x=1\) のとき \(y=5.4\) で、\(C_{2}\) の中心の \(y\) 座標1はこれより小さい(=直線より下)。確かに2つの中心は直線をはさんで反対側にあります。
【定石】 領域の判定は代表点の代入で終わる。図を描くのは、複数の領域の重なりを考える段階になってからでよい。
(2)(ii) 2式の差をとると交点だけが残る(束の考え方)
方程式 \(2x-5y+25=0\ \cdots\cdots\ ④\) の表す直線を \(\ell\) とする。実数 \(x,\ y\) が①と②の両方を満たすとする。①と②の左辺どうし、右辺どうしの差をとると \(2(2x-5y+25)=0\) となる。よって、実数 \(x,\ y\) は④も満たす。したがって、ス。このことから、\(\ell\) は \(C_{1}\) と \(C_{2}\) の二つの交点を通る直線であることがわかる。
(解答群)⓪ 点 P を \(\ell\) 上の点とすると、P は \(C_{1}\) 上にあり、かつ \(C_{2}\) 上にもある ① 点 P を \(\ell\) 上の点とすると、P は \(C_{1}\) 上にあるか、または \(C_{2}\) 上にある ② 点 P を \(C_{1}\) 上にあり、かつ \(C_{2}\) 上にもある点とすると、P は \(\ell\) 上にある ③ 点 P を \(C_{1}\) 上にあるか、または \(C_{2}\) 上にある点とすると、P は \(\ell\) 上にある ④ 点 P を \(C_{1}\) 上の点、点 Q を \(C_{2}\) 上の点とすると、直線 PQ は \(\ell\) と一致する ⑤ 点 P を \(C_{1}\) 上の点、点 Q を \(C_{2}\) 上の点とすると、直線 PQ は \(\ell\) と交わる
【型】「①かつ②ならば④」という含意の向きを正確に読む
【なぜこうするか】 差をとる操作で示せたのは「①と②の両方を満たす点は④を満たす」という一方通行の主張だけです。逆は言えません。実際、直線 \(\ell\) 上には円の外の点がいくらでもあります。選択肢はこの向きを入れ替えたものが並んでいるので、日本語を丁寧に読むことがそのまま得点になります。
示されたのは「P が \(C_{1}\) 上にあり、かつ \(C_{2}\) 上にもあるならば、P は \(\ell\) 上にある」。これは②の文そのものです。スは②です。
⓪と①は逆向き(\(\ell\) 上の点が円上にある)なので誤り。③は「または」にしてしまっているので、\(C_{1}\) 上だけの点まで \(\ell\) 上ということになり誤り。④⑤は2円上の任意の2点についての主張なので明らかに誤りです。
【検算】 反例で確かめます。\(\ell\) 上の点 \((0,\ 5)\) を①の左辺に代入すると \(0+25-35+(0-25+25)=-10\neq 0\) で \(C_{1}\) 上にありません。よって⓪①は成り立ちません。一方、2交点を実際に求めると \((x,y)\fallingdotseq(2.464,\ 5.986)\) と \((-3.499,\ 3.601)\) で、どちらも \(2x-5y+25\) に代入すると0になり、②の主張どおりです。
【定石】 2つの円の方程式の差をとると、2次の項が消えて直線になる。この直線を根軸といい、2円が交わるときは2交点を通る直線そのものになる。
【よくあるミス】 「\(\ell\) は2交点を通る」から「\(\ell\) 上の点は交点」と読んでしまうこと。直線には交点以外の点も無限にあります。
(2)(iii) 絶対値は場合分けの指示書。2つの断片を貼り合わせる
不等式 \(x^{2}+y^{2}-7y+(2x-5y+25)\lt 0\) の表す領域と(i)の領域 \(D\) の共通部分を \(F\) とする。また、不等式 \(x^{2}+y^{2}-7y-(2x-5y+25)\lt 0\) の表す領域と(i)の領域 \(E\) の共通部分を \(G\) とする。不等式③の表す領域は、\(F\) と \(G\) の和集合である。これを図示するとセの灰色部分である。ただし、境界線を含まない。
(セ・ソの領域選択肢。円の内部は境界を除く。)⓪ \(C_{1}\) と \(C_{2}\) の共通部分 ① \(C_{1}\) の内部全体 ② \(C_{2}\) の内部全体 ③ 2円のうち一方だけの内部(共通部分を除く) ④ 2円の内部の和集合 ⑤ 2円の共通部分のうち、直線 \(\ell\) に関して \(C_{1}\) の中心側 ⑥ 2円の共通部分のうち、\(C_{2}\) の中心側 ⑦ \(C_{1}\) の内部のうち、\(\ell\) に関して \(C_{1}\) の中心側 ⑧ \(C_{2}\) の内部のうち、\(\ell\) に関して \(C_{2}\) の中心側
【型】絶対値つき不等式は、絶対値の中身の符号で領域を切って貼り合わせる
【なぜこうするか】 \(F\) は「\(C_{1}\) の内部」と「\(D\)」の共通部分、\(G\) は「\(C_{2}\) の内部」と「\(E\)」の共通部分です。ここで(i)の結果が効いてきます。\(C_{1}\) の中心は \(E\) 側にあるので、\(F\) は \(C_{1}\) を \(\ell\) で切ったときの中心を含まない方(小さい方)の欠円。同じく \(C_{2}\) の中心は \(D\) 側にあるので、\(G\) は \(C_{2}\) の小さい方の欠円です。
この2つの欠円は、どちらも境界の一方が \(\ell\) です。\(\ell\) は2円の交点を通るので、2つの欠円を \(\ell\) に沿って貼り合わせると、ちょうど2円の共通部分(レンズ形)になります。
言い換えれば、③の表す領域は「\(C_{1}\) の内部かつ \(C_{2}\) の内部」です。よってセは⓪(2円の共通部分だけが灰色の図)です。
【検算】 \(-8\leqq x\leqq 8\)、\(-4\leqq y\leqq 14\) の範囲を \(0.01\) 刻みで区切った288万個の格子点すべてについて、③が成り立つかどうかと「\(C_{1}\) の内部かつ \(C_{2}\) の内部」であるかどうかを計算機で比較したところ、1点の食い違いもなく一致しました。
【定石】 \(|A|\) を含む不等式は「\(A\geqq 0\) の側では \(A\)、\(A\lt 0\) の側では \(-A\)」と2枚の地図を作って貼り合わせる。貼り合わせの境界が \(A=0\) の直線になる。
(2)(iv) 符号を逆にすると、共通部分が和集合に裏返る
③において、\(|2x-5y+25|\) の前の符号を \(+\) から \(-\) に変えた不等式 \(x^{2}+y^{2}-7y-|2x-5y+25|\lt 0\ \cdots\cdots\ ⑤\) を考える。⑤の表す領域を図示するとソの灰色部分である。ただし、境界線を含まない。(④は2円の内部がどちらも灰色になっている図。)
【型】場合分けの対応が入れ替わることに注目して、(iii)の結果を再利用する
【なぜこうするか】 ゼロから解き直す必要はありません。⑤では符号が逆になるので、領域と円の対応が入れ替わります。\(D\)(\(2x-5y+25\geqq 0\))の側では \(-|A|=-A\) となって②の左辺、つまり \(C_{2}\) の内部。\(E\) の側では \(-|A|=+A\) となって①の左辺、つまり \(C_{1}\) の内部です。
今度は「\(C_{2}\) の内部かつ \(D\)」=\(C_{2}\) の中心を含む方(大きい方)の欠円、「\(C_{1}\) の内部かつ \(E\)」=\(C_{1}\) の大きい方の欠円。この2つを \(\ell\) で貼り合わせると、今度は2円の和集合になります。
実際、\(C_{1}\) の内部にあって \(D\) 側の点は(iii)で見たとおり \(C_{2}\) の内部にも入っているので、\(C_{2}\) 側の欠円がきちんと拾ってくれます。逆も同様です。したがって⑤の表す領域は「\(C_{1}\) の内部または \(C_{2}\) の内部」で、ソは④(2円の内部がどちらも灰色の図)です。
【検算】 (iii)と同じ288万個の格子点で、⑤が成り立つかどうかと「\(C_{1}\) の内部または \(C_{2}\) の内部」であるかどうかを比較したところ、こちらも全点一致しました。共通部分と和集合が符号ひとつでちょうど入れ替わる、という構造が数値でも裏づけられます。
【定石】 同じ形の問題で符号だけが違うときは、解き直さずに「どこがどう入れ替わるか」だけを追う。共通部分 ⇔ 和集合のように、きれいに裏返ることが多い。
第2問(配点15・必答) 三角関数(和積の公式を自分で作って3回使う)
二つの角 \(A,\ B\) に対し \(\sin A+\sin B=2\sin\dfrac{A+B}{2}\cos\dfrac{A-B}{2}\ \cdots\cdots\ ①\) が成り立つことを示し、これを用いて三角関数の最大値を考える。
(1) ア1 イ4 ウ5
(2) エ3 オ2 カ3 キ6
(3)(i) ク1 ケ1 コ4 / (ii) サシ11 ス6 セ8
(1) 加法定理を2本並べて足す。それが和積の公式の正体
二つの角 \(\alpha,\ \beta\) に対し、加法定理から \(\sin(\alpha+\beta)=\)ア\(+\cos\alpha\sin\beta\ \cdots\cdots\ ②\)、\(\sin(\alpha-\beta)=\)ア\(-\cos\alpha\sin\beta\ \cdots\cdots\ ③\) である。②と③の左辺どうし、右辺どうしを加え、\(\alpha=\)イ、\(\beta=\)ウ とすると①が得られる。
(アの解答群)⓪ \(\sin\alpha\sin\beta\) ① \(\sin\alpha\cos\beta\) ② \(\cos\alpha\sin\beta\) ③ \(\cos\alpha\cos\beta\) ④ \(\sin^{2}\alpha\) ⑤ \(\sin^{2}\beta\) ⑥ \(\cos^{2}\alpha\) ⑦ \(\cos^{2}\beta\)
(イ・ウの解答群)⓪ \(A\) ① \(B\) ② \(A+B\) ③ \(A-B\) ④ \(\dfrac{A+B}{2}\) ⑤ \(\dfrac{A-B}{2}\) ⑥ \(\dfrac{A+B}{4}\) ⑦ \(\dfrac{A-B}{4}\)
【型】和積の公式は「加法定理の和差」から作る
【なぜこうするか】 和積の公式を丸暗記していると、この誘導は逆に読みにくくなります。大事なのは作り方です。\(\sin(\alpha+\beta)\) と \(\sin(\alpha-\beta)\) を並べると、\(\cos\alpha\sin\beta\) の項だけ符号が違う。だから足せばその項が消えて、\(2\sin\alpha\cos\beta\) が残ります。
加法定理より \(\sin(\alpha+\beta)=\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta\)、\(\sin(\alpha-\beta)=\sin\alpha\cos\beta-\cos\alpha\sin\beta\) なのでアは①です。辺々加えると
\[\sin(\alpha+\beta)+\sin(\alpha-\beta)=2\sin\alpha\cos\beta\]
ここで左辺を \(\sin A+\sin B\) の形にしたいので \(\alpha+\beta=A\)、\(\alpha-\beta=B\) とおきます。これを解くと
\[\alpha=\dfrac{A+B}{2},\qquad \beta=\dfrac{A-B}{2}\]
よってイは④、ウは⑤で、①が得られます。
【検算】 \(A=\dfrac{\pi}{2},\ B=\dfrac{\pi}{6}\) で確かめます。左辺は \(1+\dfrac{1}{2}=\dfrac{3}{2}\)。右辺は \(2\sin\dfrac{\pi}{3}\cos\dfrac{\pi}{6}=2\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{2}\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{2}=\dfrac{3}{2}\)。一致します。
【定石】 和積・積和の公式は覚えるものではなく加法定理を足し引きして作るもの。「消したい項の符号が逆になっているペアを探して足す(引く)」が全てのパターンに共通する作り方。
(2) 2つの正弦の和は、①を使えば1つの正弦の定数倍になる
関数 \(f(x)=\sin\left(x+\dfrac{5}{12}\pi\right)+\sin\left(x+\dfrac{\pi}{12}\right)\) とする。\(0\leqq x\lt 2\pi\) の範囲で \(f(x)\) の最大値を考えよう。①を用いると \(f(x)=2\sin(x+\)エ\()\cos\)オ\(=2\cos\)オ\(\sin(x+\)エ\()\) と変形できる。\(2\cos\)オは正の定数であるから、\(0\leqq x\lt 2\pi\) の範囲において、\(f(x)\) は \(x=\)カ で最大値キをとる。
(エ〜カの解答群)⓪ \(0\) ① \(\dfrac{\pi}{12}\) ② \(\dfrac{\pi}{6}\) ③ \(\dfrac{\pi}{4}\) ④ \(\dfrac{\pi}{3}\) ⑤ \(\dfrac{\pi}{2}\) ⑥ \(\dfrac{3}{4}\pi\) ⑦ \(\pi\)
(キの解答群)⓪ \(\dfrac{1}{2}\) ① \(1\) ② \(2\) ③ \(\dfrac{\sqrt{2}}{2}\) ④ \(\dfrac{\sqrt{3}}{2}\) ⑤ \(\sqrt{2}\) ⑥ \(\sqrt{3}\) ⑦ \(2\sqrt{2}\)
【型】\(\sin A+\sin B\) 型は和積で1つの三角関数×定数に直してから最大値を考える
【なぜこうするか】 \(\sin\) の和のままでは最大値は見えません。しかし①を使うと、\(\cos\dfrac{A-B}{2}\) の部分に \(x\) が入らない(2つの角の差は定数だから)ので、\(x\) を含むのは \(\sin\) ひとつだけになります。こうなれば最大値は「\(\sin=1\)」のときと即答できます。差が定数なら和積で必ず1本にまとまる——これが見抜きどころです。
\(A=x+\dfrac{5}{12}\pi\)、\(B=x+\dfrac{\pi}{12}\) とすると
\[\dfrac{A+B}{2}=x+\dfrac{6}{12}\pi\cdot\dfrac{1}{1}\cdot\dfrac{1}{1}=x+\dfrac{\pi}{4},\qquad \dfrac{A-B}{2}=\dfrac{1}{2}\cdot\dfrac{4}{12}\pi=\dfrac{\pi}{6}\]
よって \(f(x)=2\sin\left(x+\dfrac{\pi}{4}\right)\cos\dfrac{\pi}{6}\) となり、エは③、オは②です。
\(2\cos\dfrac{\pi}{6}=2\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{2}=\sqrt{3}\gt 0\) なので、\(f(x)\) は \(\sin\left(x+\dfrac{\pi}{4}\right)=1\) のとき最大。\(0\leqq x\lt 2\pi\) では \(x+\dfrac{\pi}{4}=\dfrac{\pi}{2}\)、すなわち \(x=\dfrac{\pi}{4}\) です。最大値は \(\sqrt{3}\)。カは③、キは⑥です。
【検算】 \(x=\dfrac{\pi}{4}\) を元の式に直接入れると \(\sin\dfrac{2\pi}{3}+\sin\dfrac{\pi}{3}=\dfrac{\sqrt{3}}{2}+\dfrac{\sqrt{3}}{2}=\sqrt{3}\)。数式処理系でも \(f(x)-\sqrt{3}\sin\left(x+\dfrac{\pi}{4}\right)\) を展開すると恒等的に0になることを確認しました。
【定石】 角の差が定数である正弦(余弦)の和は、和積で必ず「定数×1つの三角関数」になる。合成の公式を使わなくても最大最小が即決できる。
(3)(i) 3つの和は「両端2つ」を先に足す。真ん中がくくり出せる
\(a\) を \(0\lt a\lt\pi\) を満たす定数とし、関数 \(g(x)=\sin(x+a)+\sin(x+2a)+\sin(x+3a)\) とする。①を用いると、関数 \(\sin(x+a)\)、\(\sin(x+2a)\)、\(\sin(x+3a)\) のうちの二つの関数の和クは、残りの関数 \(\sin(x+\)ケ\()\) の定数倍となる。したがって \(g(x)=\)コ\(\sin(x+\)ケ\()\) と変形できる。
(クの解答群)⓪ \(\sin(x+a)+\sin(x+2a)\) ① \(\sin(x+a)+\sin(x+3a)\) ② \(\sin(x+2a)+\sin(x+3a)\)
(ケの解答群)⓪ \(a\) ① \(2a\) ② \(3a\)
(コの解答群)⓪ \(2\cos a\) ① \(-2\cos a\) ② \(2\cos 2a\) ③ \(-2\cos 2a\) ④ \((2\cos a+1)\) ⑤ \((-2\cos a+1)\) ⑥ \((2\cos 2a+1)\) ⑦ \((-2\cos 2a+1)\)
【型】等差に並んだ角の和は、両端をペアにすると中央の項でくくれる
【なぜこうするか】 角が \(x+a,\ x+2a,\ x+3a\) と等差数列になっていることに気づけば、方針は自動的に決まります。①は \(\dfrac{A+B}{2}\) を作る公式なので、和が中央の項の2倍になるペア、つまり両端の \(\sin(x+a)\) と \(\sin(x+3a)\) を選べば、\(\dfrac{A+B}{2}=x+2a\) と中央の角がそのまま出てきます。クは①です。
実際、①より
\[\sin(x+a)+\sin(x+3a)=2\sin(x+2a)\cos(-a)=2\cos a\cdot\sin(x+2a)\]
(\(\cos\) は偶関数なので \(\cos(-a)=\cos a\)。)残りの関数は \(\sin(x+2a)\) なのでケは①です。
これを \(g(x)\) に戻すと
\[g(x)=2\cos a\cdot\sin(x+2a)+\sin(x+2a)=(2\cos a+1)\sin(x+2a)\]
したがってコは④です。花子さんの「\(g(x)=p\sin(x+q)\) と変形できそう」という予想が、\(p=2\cos a+1,\ q=2a\) として実現しました。
【検算】 数式処理系で \(g(x)-(2\cos a+1)\sin(x+2a)\) を展開したところ、\(x\) と \(a\) についての恒等式として0になりました。
【定石】 角が等差に並ぶ三角関数の和は両端からペアにする。中央の項でくくれて、係数だけの問題に落ちる。項数が5でも7でも同じ手が効く。
(3)(ii) 係数が負になる場合。最大値は \(\sin=-1\) のときに起こる
\(a=\dfrac{5}{6}\pi\) のとき、\(0\leqq x\lt 2\pi\) の範囲において、\(g(x)\) は \(x=\dfrac{\boxed{\text{サシ}}}{\boxed{\text{ス}}}\pi\) で最大値セをとる。
(セの解答群)⓪ \(0\) ① \(1\) ② \(2\) ③ \(-1\) ④ \(-2\) ⑤ \(\sqrt{3}\) ⑥ \(-\sqrt{3}\) ⑦ \(\sqrt{3}+1\) ⑧ \(\sqrt{3}-1\) ⑨ \(-\sqrt{3}+1\)
【型】\(p\sin\theta\) の最大値は、\(p\) の符号で「\(\sin=1\)」か「\(\sin=-1\)」かが入れ替わる
【なぜこうするか】 (2)では係数が正だったので「\(\sin=1\) のとき最大」でした。ここが本問の落とし穴です。まず係数の符号を確かめるという手順を飛ばすと、必ず間違えます。
\(a=\dfrac{5}{6}\pi\) のとき
\[2\cos\dfrac{5}{6}\pi+1=2\left(-\dfrac{\sqrt{3}}{2}\right)+1=1-\sqrt{3}\fallingdotseq -0.73\lt 0\]
係数が負です。よって \(g(x)=(1-\sqrt{3})\sin\left(x+\dfrac{5}{3}\pi\right)\) が最大になるのは \(\sin\left(x+\dfrac{5}{3}\pi\right)=-1\) のとき。
\(x+\dfrac{5}{3}\pi=\dfrac{3}{2}\pi+2n\pi\) より \(x=\dfrac{3}{2}\pi-\dfrac{5}{3}\pi+2n\pi=-\dfrac{\pi}{6}+2n\pi\)。\(0\leqq x\lt 2\pi\) では \(n=1\) として
\[x=2\pi-\dfrac{\pi}{6}=\dfrac{11}{6}\pi\]
よってサシは11、スは6です。最大値は \((1-\sqrt{3})\times(-1)=\sqrt{3}-1\) なのでセは⑧です。
【検算】 \(0\leqq x\lt 2\pi\) を200万等分して \(g(x)=\sin\left(x+\dfrac{5}{6}\pi\right)+\sin\left(x+\dfrac{5}{3}\pi\right)+\sin\left(x+\dfrac{5}{2}\pi\right)\) を直接計算したところ、最大値 \(0.732050808\)(\(=\sqrt{3}-1\))を \(x=5.759585\) でとりました。\(\dfrac{11}{6}\pi=5.759587\) と一致します。
【定石】 合成後の係数は符号を必ず確認する。負なら最大と最小が入れ替わる。マーク式では「最大値が負の値」という選択肢が用意されていることが、符号を疑うサインになる。
【よくあるミス】 \(0\lt a\lt\pi\) だから \(\cos a\) が負になりうる、という条件の意味を読み落とすこと。(2)の成功体験のまま \(\sin=1\) を使うと \(x=\dfrac{5}{6}\pi\)、最大値 \(1-\sqrt{3}\)(選択肢⑨に近い誤答)にたどり着いてしまいます。
第3問(配点22・必答) 微分・積分(極値、面積が等しい条件、グラフの絞り込み)
(1) \(k\) を実数とし、3次関数 \(f(x)=\dfrac{1}{3}x^{3}-2x^{2}+3x+k\) を考える。(2) 3次関数 \(g(x)\) に対して、与えられた条件のもとで \(y=g(x)\) のグラフの概形を考える。
(1)(i) ア2 イ1 ウ9 エ3 オ5 / (ii) カ2 キ0
(1)(iii) ク8 ケ0 コ1 サシス \(-11\) セソ12
(2) タチツ 1・2・4(順序問わない) テト 1・4(順序問わない) ナ4
(1)(i) 微分して増減表。極値は \(k\) を含んだまま答える
\(f'(x)=\)アである。\(x=\)イ のとき、\(f\) は極大値ウをとる。\(x=\)エ のとき、\(f\) は極小値オをとる。
(アの解答群)⓪ \(\dfrac{1}{3}x^{2}-2x+3\) ① \(\dfrac{1}{3}x^{2}-2x+3+k\) ② \(x^{2}-4x+3\) ③ \(x^{2}-4x+3+k\) ④ \(\dfrac{1}{12}x^{4}-\dfrac{2}{3}x^{3}+\dfrac{3}{2}x^{2}+kx\) ⑤ \(\dfrac{1}{3}x^{4}-2x^{3}+3x^{2}+kx\)
(ウ・オの解答群)⓪ \(0\) ① \(1\) ② \(2\) ③ \(\dfrac{2}{3}\) ④ \(\dfrac{4}{3}\) ⑤ \(k\) ⑥ \(-\dfrac{4}{3}+k\) ⑦ \(-\dfrac{2}{3}+k\) ⑧ \(\dfrac{2}{3}+k\) ⑨ \(\dfrac{4}{3}+k\)
【型】3次関数の極値は \(f'(x)=0\) の解を求め、\(f’\) の符号変化で極大・極小を決める
【なぜこうするか】 定数 \(k\) は微分すると消えます。つまり \(k\) はグラフを上下に平行移動させるだけで、極値をとる \(x\) は \(k\) によらない。この見通しを持っておくと、(ii)以降の「\(k\) を動かすとグラフの概形がどう変わるか」がすぐに理解できます。
\(f'(x)=x^{2}-4x+3\) なのでアは②です。\(f'(x)=(x-1)(x-3)=0\) より \(x=1,\ 3\)。
\(f’\) は下に凸の放物線なので、\(x\lt 1\) で正、\(1\lt x\lt 3\) で負、\(x\gt 3\) で正。したがって \(x=1\) で極大、\(x=3\) で極小です。イは1、エは3。
\[f(1)=\dfrac{1}{3}-2+3+k=\dfrac{4}{3}+k,\qquad f(3)=9-18+9+k=k\]
よってウは⑨、オは⑤です。極小値がちょうど \(k\) になるのが、この問題のうまい設計です。
【検算】 数式処理系で微分すると \(x^{2}-4x+3\)、\(f(1)=k+\dfrac{4}{3}\)、\(f(3)=k\) が得られ一致しました。極大値と極小値の差は \(\dfrac{4}{3}\) で、\(k\) によらず一定です。
【定石】 3次関数の定数項は上下移動の役割しかない。極値をとる \(x\) 座標、極大値と極小値の差は定数項によらない。
(1)(ii) 極小値の符号が、グラフと \(x\) 軸の交わり方を決める
\(y=f(x)\) のグラフの概形は、\(k=0\) のときカ、\(k\gt 0\) のときキである。
(カ・キのグラフ選択肢)⓪ 左下から右上へ進み、極大点・極小点はいずれも \(x\) 軸より上で、負の範囲で \(x\) 軸と1回交わる ① 左上から右下へ進み、極小点・極大点はいずれも \(x\) 軸より上で、正の範囲で \(x\) 軸と1回交わる ② 左下から原点を通って極大となり、正の範囲の極小点で \(x\) 軸に接した後、右上へ進む ③ 左上から原点の極小点で \(x\) 軸に接し、正の範囲で極大となった後、\(x\) 軸を横切って右下へ進む ④ 左下から原点の極大点で \(x\) 軸に接し、正の範囲で極小となった後、\(x\) 軸を横切って右上へ進む ⑤ 左上から原点を横切って極小となり、正の範囲の極大点で \(x\) 軸に接した後、右下へ進む
【型】(極大値)\(\times\)(極小値)の符号で、3次関数と \(x\) 軸の共有点の個数が決まる
【なぜこうするか】 選択肢のグラフを1つずつ吟味するのではなく、\(x\) 軸との交わり方という1点に絞って判定します。(i)で極小値が \(k\)、極大値が \(\dfrac{4}{3}+k\) とわかっているので、符号は即座に決まります。
\(k=0\) のとき極小値は0、つまりグラフは \(x=3\) で \(x\) 軸に接します。実際
\[f(x)=\dfrac{1}{3}x^{3}-2x^{2}+3x=\dfrac{1}{3}x(x^{2}-6x+9)=\dfrac{1}{3}x(x-3)^{2}\]
と因数分解でき、\(x=0\) で交わり \(x=3\) で接することがはっきりします。極大値は \(\dfrac{4}{3}\gt 0\)。この特徴をもつのは②で、カは②です。
\(k\gt 0\) のときはグラフ全体が上に上がるので、極小値 \(k\gt 0\)、極大値 \(\dfrac{4}{3}+k\gt 0\) となり、\(x\) 軸との共有点は1個だけ(それも負の側)になります。これは⓪で、キは⓪です。
【検算】 \(k=1\) として \(f(x)=\dfrac{1}{3}x^{3}-2x^{2}+3x+1\) の実数解を数値的に求めると \(x\fallingdotseq -0.28\) の1つだけでした。極小値 \(f(3)=1\gt 0\) とも整合します。\(k=0\) では \(x=0\) と \(x=3\)(重解)の2種類で、接することが確認できます。
【定石】 3次関数と \(x\) 軸の共有点の個数は(極大値)\(\times\)(極小値)の符号で決まる。負なら3個、0なら2個(接する)、正なら1個。
(1)(iii) 「面積が等しい」は「定積分が0」に翻訳する
(i)で求めたイ、エのうち、小さい方の数を \(\alpha\) とする。\(f(0)\lt 0\lt f(\alpha)\) を満たすような \(k\) の値の範囲はク\(\lt k\lt\)ケである。\(k\) はク\(\lt k\lt\)ケを満たすとする。\(0\leqq x\leqq\alpha\) の範囲において、\(f(x)=0\) を満たす \(x\) の値を \(\beta\) とおく。\(0\leqq x\leqq\beta\) の範囲における \(y=f(x)\) のグラフと \(x\) 軸および \(y\) 軸で囲まれた部分の面積と、\(\beta\leqq x\leqq\alpha\) の範囲における \(y=f(x)\) のグラフと \(x\) 軸および直線 \(x=\alpha\) で囲まれた部分の面積が等しいとする。このとき、コが成り立つ。したがって \(k=\dfrac{\boxed{\text{サシス}}}{\boxed{\text{セソ}}}\) である。
(ク・ケの解答群)⓪ \(0\) ① \(\dfrac{2}{3}\) ② \(\dfrac{3}{4}\) ③ \(\dfrac{4}{3}\) ④ \(\dfrac{3}{2}\) ⑤ \(\dfrac{5}{2}\) ⑥ \(-\dfrac{2}{3}\) ⑦ \(-\dfrac{3}{4}\) ⑧ \(-\dfrac{4}{3}\) ⑨ \(-\dfrac{3}{2}\)
(コの解答群)⓪ \(\displaystyle\int_{0}^{\beta}f(x)dx=\int_{\beta}^{\alpha}f(x)dx\) ① \(\displaystyle\int_{0}^{\alpha}f(x)dx=0\) ② \(\displaystyle\int_{0}^{\beta}f(x)dx=0\) ③ \(\displaystyle\int_{\beta}^{\alpha}f(x)dx=0\)
【型】\(x\) 軸の上下にまたがる2つの面積が等しい ⇔ 全体の定積分が0
【なぜこうするか】 定積分は「\(x\) 軸より下の部分を負として数えた面積」です。だから、下側の面積と上側の面積が等しいなら、足すとちょうど打ち消し合って0になる。この対応関係を押さえれば、\(\beta\) を求めずに答えが出ます。これが本問最大の急所です。
まず \(k\) の範囲です。\(\alpha\) は1と3の小さい方なので \(\alpha=1\)。\(f(0)=k\)、\(f(1)=\dfrac{4}{3}+k\) なので \(f(0)\lt 0\lt f(\alpha)\) は
「\(k\lt 0\)」かつ「\(\dfrac{4}{3}+k\gt 0\)」、すなわち
\[-\dfrac{4}{3}\lt k\lt 0\]
よってクは⑧、ケは⓪です。
次が本題。\(0\leqq x\leqq\beta\) では \(f(x)\leqq 0\)(\(f(0)=k\lt 0\) から始まる)、\(\beta\leqq x\leqq 1\) では \(f(x)\geqq 0\) です。面積で書くと
下側の面積は \(-\displaystyle\int_{0}^{\beta}f(x)dx\)、上側の面積は \(\displaystyle\int_{\beta}^{1}f(x)dx\) です。
これらが等しいので \(-\displaystyle\int_{0}^{\beta}f(x)dx=\int_{\beta}^{1}f(x)dx\)、移項して
\[\int_{0}^{\beta}f(x)dx+\int_{\beta}^{1}f(x)dx=\int_{0}^{1}f(x)dx=0\]
したがってコは①です。あとは計算するだけで、\(\beta\) は最後まで出てきません。
\[\int_{0}^{1}\left(\dfrac{1}{3}x^{3}-2x^{2}+3x+k\right)dx=\left[\dfrac{1}{12}x^{4}-\dfrac{2}{3}x^{3}+\dfrac{3}{2}x^{2}+kx\right]_{0}^{1}\]
\[\phantom{\int_{0}^{1}\left(\dfrac{1}{3}x^{3}\right)dx}=\dfrac{1}{12}-\dfrac{2}{3}+\dfrac{3}{2}+k=\dfrac{11}{12}+k\]
これが0になるので \(k=-\dfrac{11}{12}\)。サシスは \(-11\)、セソは12です。範囲 \(-\dfrac{4}{3}\lt-\dfrac{11}{12}\lt 0\) も満たしています。
【検算】 \(k=-\dfrac{11}{12}\) として \(\beta\) を数値的に求めると \(\beta=0.4099299835\)。このとき下側の面積は \(0.1672758696\)、上側の面積も \(0.1672758696\) で、差は \(2.8\times 10^{-17}\)(計算誤差の範囲)でした。また \(k\) を \(-0.90\) にすると面積差 \(-0.0167\)、\(-0.93\) にすると \(+0.0133\) と符号が反転するので、\(k=-\dfrac{11}{12}\) がちょうど境目であることも確認できます。
【定石】 「\(x\) 軸をまたぐ2つの面積が等しい」と言われたら、面積の式を立てずに \(\displaystyle\int=0\) と書く。交点の座標(ここでは \(\beta\))を求めずに済むことが多い。
【よくあるミス】 選択肢⓪ \(\displaystyle\int_{0}^{\beta}f=\int_{\beta}^{\alpha}f\) を選んでしまうこと。左辺は負の値、右辺は正の値なので、これは「面積が等しい」ではなく「符号まで含めて等しい」という別の条件です。
(2) 条件を「グラフのどこを見るか」に翻訳して絞り込む
【条件(a)】\(g(0)=0\) かつ \(g'(0)\gt 0\) である。⓪〜⑦のうち条件(a)を満たす関数 \(y=g(x)\) のグラフの概形はタ、チ、ツの三つである。【条件(b)】\(y=g'(x)\) のグラフは直線 \(x=0\) を軸とする放物線である。条件(a)(b)をともに満たすものはテ、トの二つである。【条件(c)】\(y=g'(x)\) のグラフは下に凸の放物線である。条件(a)(b)(c)のすべてを満たすものはナの一つだけである。
(タ〜ナのグラフ選択肢)⓪ 左下から右上へ進む3次曲線で、負の範囲に極大、正の範囲に極小があり、原点を負の傾きで通る ① 左上から右下へ進む3次曲線で、負の範囲に極小、正の範囲に極大があり、原点を正の傾きで通る ② 左下から右上へ進み、極大・極小はいずれも負の範囲にあり、その後の増加部分で原点を正の傾きで通る ③ 左上から右下へ進み、極小・極大はいずれも負の範囲にあり、その後の減少部分で原点を負の傾きで通る ④ 極大・極小をもたず、原点を正の傾きで通って単調に増加する ⑤ 極大・極小をもたず、原点を負の傾きで通って単調に減少する ⑥ 左下から右上へ進み、極大・極小はいずれも負の範囲かつ \(x\) 軸より上にあり、\(y\) 軸とも原点より上で交わる ⑦ 左上から右下へ進み、極小・極大はいずれも負の範囲かつ \(x\) 軸より上にあり、\(y\) 軸とも原点より上で交わる
【型】関数の条件を「グラフのどの点の、どの性質か」に言い換えてから選択肢を切る
【なぜこうするか】 8つのグラフを眺めて「なんとなく」選ぶと必ず外します。条件を目で確認できる形に翻訳してから、1つずつふるいにかけるのが正しい進み方です。翻訳は次のとおりです。
条件(a) \(g(0)=0\) は「グラフが原点を通る」。\(g'(0)\gt 0\) は「原点での接線の傾きが正=原点付近で右上がり」。この2つを満たすのは、原点を通り、かつそこで増加している①②④の3つです。タチツは1・2・4(順序は問いません)。
条件(b) \(g(x)=px^{3}+qx^{2}+rx+s\) とすると \(g'(x)=3px^{2}+2qx+r\)。この放物線の軸が \(x=0\) であるとは \(q=0\)、すなわち \(g”(0)=0\) ということです。3次関数において \(g”=0\) となる点は変曲点ですから、条件(b)は「原点が変曲点である」と読み替えられます。3次関数のグラフは変曲点に関して点対称なので、原点を中心とする点対称な形を探せばよい。①と④がこれにあたります。テトは1・4です。②は極大・極小が原点の片側に寄っているので、原点は変曲点ではありません。
条件(c) \(g'(x)=3px^{2}+r\) が下に凸とは \(3p\gt 0\)、つまり最高次の係数が正。①は \(x\to\infty\) で下がっていくので \(p\lt 0\)、④は上がっていくので \(p\gt 0\)。よってナは4です。
まとめると、(a)(b)(c)を満たす \(g\) は \(g(x)=px^{3}+rx\ (p\gt 0,\ r=g'(0)\gt 0)\) という形。このとき \(g'(x)=3px^{2}+r\gt 0\) が常に成り立つので、\(g\) は極値をもたない単調増加の3次関数——まさに④の形です。
【検算】 条件を全部満たす具体例 \(g(x)=x^{3}+x\) を作ります。\(g(0)=0\)、\(g'(0)=1\gt 0\) で(a)を満たし、\(g'(x)=3x^{2}+1\) は軸が \(x=0\) の放物線なので(b)を満たし、係数3が正なので(c)も満たします。そして \(g'(x)\gt 0\) より単調増加で、④の概形と一致します。逆に \(g(x)=-x^{3}+x\) は(a)(b)は満たすが(c)を満たさず、原点の左に極小・右に極大をもつ①の形になります。
【定石】 3次関数では \(g”(x)=0\) となる点=変曲点=グラフの対称の中心。「\(g’\) の放物線の軸が \(x=t\)」という条件は「\(x=t\) が変曲点」と読み替えると、グラフ選択が一瞬で終わる。
- 2円の位置関係は \(d\) と \(r_{1}\pm r_{2}\) の3数を並べるだけで決まる(第1問(1))。
- 2円の方程式の差は直線(根軸)。交わるときは2交点を通る直線になる(第1問(2)(ii))。
- 絶対値つき不等式は2枚の地図を貼り合わせる。貼り合わせの境界が「中身=0」の直線(第1問(2)(iii)(iv))。
- 和積の公式は加法定理を足し引きして作る。消したい項の符号が逆のペアを探す(第2問(1))。
- 角の差が定数なら和積で1本にまとまる。最大最小が即決できる(第2問(2))。
- 等差に並んだ角の和は両端をペアに。中央の項でくくれる(第2問(3)(i))。
- 合成後の係数は符号を必ず確認。負なら最大は \(\sin=-1\) のとき(第2問(3)(ii))。
- 3次関数の定数項は上下移動だけ。極値の \(x\) 座標も極大極小の差も変わらない(第3問(1)(i))。
- 共有点の個数は(極大値)\(\times\)(極小値)の符号で決まる(第3問(1)(ii))。
- 「\(x\) 軸をまたぐ2つの面積が等しい」は \(\displaystyle\int=0\)。交点を求めずに済む(第3問(1)(iii))。
- \(g’\) の放物線の軸=変曲点。3次関数は変曲点に関して点対称(第3問(2))。
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- 第4問(数列):階差数列。後半は「和を求めたいときは、階差がその数列になる数列を探す」という発想を与えられ、それを2回使わせます。差分を使った和の求め方で、まさに「望遠鏡和」の考え方です。
- 第5問(統計的な推測):正規分布と仮説検定。最後に「比率が同じでも標本の大きさが変われば結論が変わる」ことを実感させる、統計の本質を突いた設計です。
- 第6問(ベクトル):正六角形での具体計算から入り、「点 P の位置が M によらない条件」を係数で言い切らせ、最後は存在範囲を図示させます。
- 第7問(複素数平面・平面上の曲線):\(w=z+\dfrac{1}{z}\) の軌跡。円が線分になったり楕円になったりする、ジューコフスキー変換と呼ばれる有名な写像がテーマです。
- どれを選ぶか:計算量は第4問と第7問がやや重く、第5問は正規分布表さえ引ければ短時間で終わります。第6問は(2)の係数比較が正確にできるかどうかで所要時間が大きく変わります。普段から3問を固定して練習しておくのが最も確実です。
第4問(配点16・選択) 数列(階差数列と、差分による和の求め方)
数列 \(\{a_{n}\}\) に対して \(b_{n}=a_{n+1}-a_{n}\ (n=1,2,3,\cdots)\) で定められる数列 \(\{b_{n}\}\) を、\(\{a_{n}\}\) の階差数列という。
(1) ア3 イ4 ウ7 エオ11 / カ0 キ2 ク3 ケ2
(2) コ0 サ5 シ2 スセ \(-3\) ソ3 タ2 / (3) チ7 ツ6
(1)(i) 階差数列の定義どおりに、1項ずつ積み上げる
\(\{a_{n}\}\) の初項は1とする。また、\(\{a_{n}\}\) の階差数列 \(\{b_{n}\}\) の一般項が \(b_{n}=4n-1\) で表されるとする。\(b_{1}=\)アであるから、\(a_{2}=\)イとなる。さらに、\(b_{2}=\)ウであるから、\(a_{3}=\)エオとなる。
【型】\(a_{n+1}=a_{n}+b_{n}\) を1段ずつ使う
【なぜこうするか】 いきなり一般項を求めにいく必要はありません。ここは定義を体に入れさせるための小問です。階差数列とは「隣どうしの差」だから、逆に「前の項+差」で次の項が出ます。
\(b_{1}=4\cdot 1-1=3\) なのでアは3。\(a_{2}=a_{1}+b_{1}=1+3=4\) でイは4です。
\(b_{2}=4\cdot 2-1=7\) なのでウは7。\(a_{3}=a_{2}+b_{2}=4+7=11\) でエオは11です。
【検算】 漸化式のまま計算機で回すと \(a_{1},\dots ,a_{7}=1,\ 4,\ 11,\ 22,\ 37,\ 56,\ 79\)。差をとると \(3,\ 7,\ 11,\ 15,\ 19,\ 23\) で、確かに \(b_{n}=4n-1\) になっています。
【定石】 階差数列の問題は、まず具体的に3項ほど書き出す。一般項の公式を思い出す前に、構造を手で確かめた方が速い。
(1)(ii) 階差の和は \(n-1\) 項まで。ここを間違えると全部ずれる
\(n\) を2以上の自然数とする。このとき \(a_{n}=a_{1}+\displaystyle\sum_{k=1}^{\boxed{\text{カ}}}b_{k}\ \cdots\cdots\ ①\) が成り立つことから \(a_{n}=\)キ\(n^{2}-\)ク\(n+\)ケであることがわかる。
(カの解答群)⓪ \(n-1\) ① \(n\) ② \(n+1\) ③ \(n+2\)
【型】\(a_{n}=a_{1}+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}b_{k}\ (n\geqq 2)\)
【なぜこうするか】 なぜ \(n-1\) までなのか。\(a_{n}\) にたどり着くには \(a_{1}\to a_{2}\to\cdots\to a_{n}\) と矢印を \(n-1\) 本たどるからです。矢印1本が \(b_{k}\) ひとつ。この数え方さえ理解していれば、公式を忘れても復元できます。カは⓪です。
\[a_{n}=1+\sum_{k=1}^{n-1}(4k-1)=1+4\cdot\dfrac{(n-1)n}{2}-(n-1)\]
\[\phantom{a_{n}}=1+2n^{2}-2n-n+1=2n^{2}-3n+2\]
よってキは2、クは3、ケは2です。
【検算】 \(n=1\) を代入すると \(2-3+2=1=a_{1}\) となり、\(n\geqq 2\) で導いた式が \(n=1\) でも通用します。さらに \(n=1,\dots ,7\) で \(2n^{2}-3n+2\) を計算すると \(1,4,11,22,37,56,79\) となり、漸化式の値と完全に一致しました。
【定石】 階差から一般項を作ったら、必ず\(n=1\) を代入して初項に戻るか確認する。戻らなければ「\(n\geqq 2\) のとき」と場合分けが必要になる。
【よくあるミス】 \(\sum\) の上端を \(n\) にしてしまうこと。答えが \(2n^{2}+n-1\) となり、\(n=1\) で2になって初項1と合わなくなります。検算すれば必ず気づけるミスです。
(2) 和を求めたいなら「階差がそれになる数列」を逆算する
太郎さんは、①を変形すると \(\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}b_{k}=a_{n}-a_{1}\) となることから、数列の和を求めるために次のことを考えた。【発想】ある数列 \(\{d_{n}\}\) の和を求めたいときは、数列 \(\{c_{n}\}\) で、\(\{c_{n}\}\) の階差数列が \(\{d_{n}\}\) となるものを見つければよい。太郎さんは、この発想に基づいて、一般項が \(d_{n}=(2n+1)\cdot 2^{n}\) で表される数列 \(\{d_{n}\}\) の和を求めることにした。\((2n+1)\cdot 2^{n}=c_{n+1}-c_{n}\ \cdots\cdots\ ②\) となるものを見つけたい。太郎さんは、\(\{d_{n}\}\) の一般項が \(n\) の1次式と \(2^{n}\) の積であることから、\(\{c_{n}\}\) の一般項が \(c_{n}=(pn+q)\cdot 2^{n}\) と表されるのではないかと考えた。このとき \(c_{n+1}-c_{n}=\{\)コ\(n+\)サ\(\}\cdot 2^{n}\) となる。よって、\(p=\)シ、\(q=\)スセのとき②が成り立つ。以上のことから \(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}d_{k}=(\)ソ\()\cdot 2^{n+1}+\)タとなる。
(コ・サの解答群)⓪ \(p\) ① \(q\) ② \(2p\) ③ \(2q\) ④ \((p+q)\) ⑤ \((2p+q)\) ⑥ \((p+2q)\) ⑦ \(2(p+q)\)
(ソの解答群)⓪ \(n-1\) ① \(n+1\) ② \(2n-3\) ③ \(2n-1\) ④ \(2n+1\) ⑤ \(2n+3\)
【型】望遠鏡和(差の形にすると、途中がすべて消える)
【なぜこうするか】 \(\sum(2n+1)2^{n}\) は、(等差)×(等比)型なので、普通は「\(S-2S\) をつくる」定番の計算をします。しかしこの問題はもっと本質的な道を示しています。和とは差の逆演算だ、という視点です。\(d_{n}=c_{n+1}-c_{n}\) と書ければ
\[\sum_{k=1}^{n}d_{k}=(c_{2}-c_{1})+(c_{3}-c_{2})+\cdots+(c_{n+1}-c_{n})=c_{n+1}-c_{1}\]
と途中がすべて打ち消し合って両端だけが残ります。積分の「原始関数を見つける」に相当する操作です。
\(c_{n}=(pn+q)2^{n}\) とおくと
\[c_{n+1}-c_{n}=\left\{p(n+1)+q\right\}2^{n+1}-(pn+q)2^{n}=2^{n}\left\{2(pn+p+q)-(pn+q)\right\}\]
\[\phantom{c_{n+1}-c_{n}}=2^{n}\left\{pn+(2p+q)\right\}\]
よってコは⓪、サは⑤です。これが \((2n+1)2^{n}\) と一致するには、\(n\) の係数と定数項を比べて
\[p=2,\qquad 2p+q=1\ \Longrightarrow\ q=1-4=-3\]
シは2、スセは \(-3\) です。つまり \(c_{n}=(2n-3)2^{n}\)。
\[\sum_{k=1}^{n}d_{k}=c_{n+1}-c_{1}=\left\{2(n+1)-3\right\}2^{n+1}-(2-3)\cdot 2=(2n-1)\cdot 2^{n+1}+2\]
したがってソは③、タは2です。
【検算】 \(c_{n+1}-c_{n}=d_{n}\) が \(n=1\) から8まですべて成り立つことを計算機で確認しました。また和の値も、直接足した結果と公式の値が \(n=1,2,5,10\) でそれぞれ \(6,\ 26,\ 578,\ 38914\) と完全に一致しました。
【定石】 (多項式)×\(r^{n}\) の和は、同じ形 (同じ次数の多項式)×\(r^{n}\) を \(c_{n}\) として係数比較すれば必ず求まる。\(S-rS\) を作る従来の方法より速く、符号ミスも減る。
(3) 同じ手を2次式に上げる。次数を合わせるだけでよい
花子さんは、一般項が \(d_{n}=(n^{2}-n-1)\cdot 2^{n}\) で表される数列 \(\{d_{n}\}\) の和を求めることにした。(2)の発想に基づいて考えると、すべての自然数 \(n\) について \(\displaystyle\sum_{k=1}^{n}d_{k}=(\)チ\()\cdot 2^{n+1}-\)ツとなる。
(チの解答群)⓪ \(3n-3\) ① \(3n+3\) ② \(5n-7\) ③ \(5n+7\) ④ \(n^{2}-n-1\) ⑤ \(n^{2}+n+1\) ⑥ \(n^{2}+3n-3\) ⑦ \(n^{2}-3n+3\) ⑧ \(n^{2}+5n-7\) ⑨ \(n^{2}-5n+7\)
【型】(2)の方法をそのまま次数を上げて適用する(未定係数法)
【なぜこうするか】 \(d_{n}\) の多項式部分が2次になったので、\(c_{n}\) も2次式 × \(2^{n}\) と置きます。次数を合わせるのが唯一のコツで、あとは(2)と同じ計算です。
\(c_{n}=(\alpha n^{2}+\beta n+\gamma)2^{n}\) とおくと
\[c_{n+1}-c_{n}=2^{n}\left[2\left\{\alpha(n+1)^{2}+\beta(n+1)+\gamma\right\}-(\alpha n^{2}+\beta n+\gamma)\right]\]
\[\phantom{c_{n+1}-c_{n}}=2^{n}\left\{\alpha n^{2}+(4\alpha+\beta)n+(2\alpha+2\beta+\gamma)\right\}\]
これが \((n^{2}-n-1)2^{n}\) と一致するので、係数を比べて
\[\alpha=1,\qquad 4+\beta=-1\ \Longrightarrow\ \beta=-5,\qquad 2-10+\gamma=-1\ \Longrightarrow\ \gamma=7\]
よって \(c_{n}=(n^{2}-5n+7)2^{n}\) です。和は
\[\sum_{k=1}^{n}d_{k}=c_{n+1}-c_{1}=\left\{(n+1)^{2}-5(n+1)+7\right\}2^{n+1}-(1-5+7)\cdot 2\]
\[\phantom{\sum_{k=1}^{n}d_{k}}=(n^{2}-3n+3)\cdot 2^{n+1}-6\]
したがってチは⑦、ツは6です。
【検算】 \(c_{n+1}-c_{n}=d_{n}\) を \(n=1\) から8まで確認し、さらに和を直接計算した値と公式の値を比べたところ、\(n=1,2,5,10\) でそれぞれ \(-2,\ 2,\ 826,\ 149498\) とすべて一致しました。\(n=1\) で和が負になるのは \(d_{1}=(1-1-1)\cdot 2=-2\) だからで、符号も含めて正しく再現できています。
【定石】 (\(n\) の \(m\) 次式)×\(r^{n}\) の和は、同じ \(m\) 次式 × \(r^{n}\) を置いて係数比較。次数は上がらないので、置き方に迷う余地がない。
第5問(配点16・選択) 統計的な推測(正規分布と仮説検定)
ある自治体では、地域の知識を問う資格試験を毎年実施しており、200点満点のうち120点以上である受験者を合格としている。標準正規分布表は、標準正規分布 \(N(0,1)\) における「0から正の値 \(z_{0}\) まで」の面積を与える。本問で必要な表の値は、\(z_{0}=0.16\) のとき0.0636、\(z_{0}=1.22\) のとき0.3888、\(z_{0}=1.23\) のとき0.3907、\(z_{0}=2.45\) のとき0.4929である。
(1) ア1 イ5 / (2)(i) ウ0 エ3
(2)(ii) オ7 カ2 キ2 ク1 ケ0 / (3) コ1 サ1
(1) 標準化して、正規分布表の引ける形にする
今年実施した資格試験における受験者全体の得点の平均は116点、標準偏差は25点であることが公表された。今年の資格試験の受験者の得点は正規分布に従うとし、得点を表す確率変数を \(X\) とする。このとき、\(X\) は正規分布 \(N(116,\ 25^{2})\) に従うから、\(Y=\)アとおくと、\(Y\) は標準正規分布 \(N(0,1)\) に従う。したがって、今年の受験者全体のうち、120点以上である受験者の割合 \(P(X\geqq 120)\) はおよそイである。
(アの解答群)⓪ \(\dfrac{X-116}{5}\) ① \(\dfrac{X-116}{25}\) ② \(\dfrac{X-116}{25^{2}}\) ③ \(\dfrac{X-120}{5}\) ④ \(\dfrac{X-120}{25}\) ⑤ \(\dfrac{X-120}{25^{2}}\)
(イの解答群)⓪ 0.16 ① 0.21 ② 0.29 ③ 0.34 ④ 0.41 ⑤ 0.44 ⑥ 0.50 ⑦ 0.84
【型】標準化 \(Y=\dfrac{X-m}{\sigma}\)(\(m\) は平均、\(\sigma\) は標準偏差)
【なぜこうするか】 正規分布表は標準正規分布 \(N(0,1)\) の値しか載っていません。だから、どんな正規分布も平均を引いて標準偏差で割ることで表が引ける形に直します。分母は分散 \(25^{2}\) ではなく標準偏差 \(25\) であることに注意してください(選択肢②⑤はこの引っかけです)。よってアは①です。
\[P(X\geqq 120)=P\left(Y\geqq\dfrac{120-116}{25}\right)=P(Y\geqq 0.16)\]
正規分布表の \(z_{0}=0.16\) の値は \(0.0636\)。表は「0から \(z_{0}\) までの面積」なので
\[P(Y\geqq 0.16)=0.5-0.0636=0.4364\fallingdotseq 0.44\]
よってイは⑤です。
【検算】 平均116点は合格ライン120点より低いので、合格者は半分未満のはず。実際 \(0.44\lt 0.5\) で整合します。また、ずれが標準偏差の \(0.16\) 倍しかないので0.5から大きくは離れないはずで、0.44という値は妥当です。
【定石】 正規分布表は「0から \(z_{0}\) まで」の面積を与える型が多い。\(P(Y\geqq z_{0})\) を求めるときは \(0.5\) から引く、と手順を固定しておく。
(2)(i) 0か1しかとらない確率変数の平均と分散
A 地域における今年の資格試験の合格率を \(p\) とする。無作為に選ぶ \(n\) 人のうち \(i\) 番目の受験者が合格している場合は1、合格していない場合は0の値をとる確率変数を \(W_{i}\) と定義する。表1(\(W_{i}=0\) の確率が \(1-p\)、\(W_{i}=1\) の確率が \(p\))から、\(W_{i}\) の平均(期待値)\(E(W_{i})\) はウとなる。また、\(W_{i}\) の分散 \(V(W_{i})\) について \(V(W_{i})=\left\{0-E(W_{i})\right\}^{2}(1-p)+\left\{1-E(W_{i})\right\}^{2}p\) から、\(V(W_{i})\) はエとなる。
(解答群)⓪ \(p\) ① \(1-p\) ② \(p^{2}\) ③ \(p(1-p)\) ④ \(p^{2}(1-p)^{2}\) ⑤ \(p^{3}+(1-p)^{3}\)
【型】ベルヌーイ試行の平均は \(p\)、分散は \(p(1-p)\)
【なぜこうするか】 定義に戻れば一瞬です。\(E(W_{i})=0\cdot(1-p)+1\cdot p=p\) なのでウは⓪。分散は与えられた式に \(E(W_{i})=p\) を代入して
\[V(W_{i})=p^{2}(1-p)+(1-p)^{2}p=p(1-p)\left\{p+(1-p)\right\}=p(1-p)\]
\(p(1-p)\) でくくると中括弧の中が1になる——ここが計算のポイントです。エは③です。
【検算】 \(p=0.5\) のとき \(V=0.25\) で、0か1が半々のときにばらつきが最大になるという直感と合います。\(p=0\) や \(p=1\) では \(V=0\)(値が確定するのでばらつかない)となり、これも正しい振る舞いです。
【定石】 0と1しかとらない変量(合否・成否)の分散は必ず \(p(1-p)\)。この形は標本比率の標準偏差 \(\sqrt{\dfrac{p(1-p)}{n}}\) として何度も出てくるので、導出ごと覚えておく。
(2)(ii) 標本平均の分布を作り、仮説検定に持ち込む
標本平均を \(\overline{W}=\dfrac{W_{1}+W_{2}+\cdots+W_{n}}{n}\) とおくと、\(n\) が十分に大きいとき、\(\overline{W}\) は近似的に正規分布 \(N\left(p,\ \right.\)オ\(\left.\right)\) に従う。帰無仮説は \(p=0.4\)、対立仮説は \(p\gt 0.4\) とする。無作為に選ばれた400人のうち、184人が合格者であった。標本の大きさ \(n=400\) は十分に大きいので、標本平均 \(\overline{W}\) は近似的に平均が0.4、標準偏差がカの正規分布に従う。\(\sqrt{6}=2.45\) として用いると \(P\left(\overline{W}\geqq\dfrac{184}{400}\right)=P(\overline{W}\geqq 0.46)\) の値はキとなる。よって、この値をパーセント表示した値は有意水準5%よりク。したがって、有意水準5%で A 地域における今年の資格試験の合格率は0.4よりケ。
(オの解答群)⓪ \(p\) ① \(1-p\) ② \(p(1-p)\) ③ \(\dfrac{p}{\sqrt{n}}\) ④ \(\sqrt{\dfrac{p(1-p)}{n}}\) ⑤ \(\dfrac{p(1-p)}{\sqrt{n}}\) ⑥ \(\dfrac{\sqrt{1-p}}{n}\) ⑦ \(\dfrac{p(1-p)}{n}\)
(カの解答群)⓪ \(\dfrac{\sqrt{6}}{5}\) ① \(\dfrac{6}{25}\) ② \(\dfrac{\sqrt{6}}{100}\) ③ \(\dfrac{3}{250}\) ④ \(\dfrac{3}{500}\) ⑤ \(\dfrac{\sqrt{6}}{2000}\)
(キの解答群)⓪ 0.0046 ① 0.0062 ② 0.0071 ③ 0.0987 ④ 0.1112 ⑤ 0.3888 ⑥ 0.4013 ⑦ 0.4929
(クの解答群)⓪ 小さいから、帰無仮説は棄却されない ① 小さいから、帰無仮説は棄却される ② 大きいから、帰無仮説は棄却されない ③ 大きいから、帰無仮説は棄却される
(ケの解答群)⓪ 高いと判断できる ① 高いとは判断できない
【型】標本平均は \(N\left(p,\ \dfrac{p(1-p)}{n}\right)\)。有意水準と確率を比べて棄却を判断する
【なぜこうするか】 \(N(\ ,\ )\) の第2引数は分散であって標準偏差ではありません。\(V(\overline{W})=\dfrac{V(W_{i})}{n}=\dfrac{p(1-p)}{n}\) なのでオは⑦です。選択肢④(標準偏差の形)を選ばないよう、正規分布を \(N(\text{平均},\text{分散})\) と表す書き方を確認しておきましょう。
\(p=0.4,\ n=400\) のとき標準偏差は
\[\sqrt{\dfrac{0.4\times 0.6}{400}}=\sqrt{\dfrac{0.24}{400}}=\sqrt{0.0006}=\dfrac{\sqrt{6}}{100}\]
でカは②です(\(0.0006=\dfrac{6}{10000}\) と直すと見えます)。
標準化すると
\[z=\dfrac{0.46-0.4}{\sqrt{6}/100}=\dfrac{0.06\times 100}{\sqrt{6}}=\dfrac{6}{\sqrt{6}}=\sqrt{6}=2.45\]
正規分布表より \(z_{0}=2.45\) の値は \(0.4929\) なので
\[P(\overline{W}\geqq 0.46)=0.5-0.4929=0.0071\]
キは②です。パーセントに直すと \(0.71\%\) で、有意水準 \(5\%\) より小さい。したがって帰無仮説は棄却されます(クは①)。棄却された以上、対立仮説 \(p\gt 0.4\) が採択されるので、合格率は0.4より高いと判断できます(ケは⓪)。
【検算】 標準偏差を計算機で求めると \(0.02449490\)、\(\dfrac{\sqrt{6}}{100}=0.02449490\) で一致。標準化した値も \(2.4494897\) となり、問題文が与えた近似値 \(\sqrt{6}=2.45\) とぴったり合います。\(0.0071\) は「めったに起こらない」と言える小さな確率で、棄却という結論とも整合します。
【定石】 仮説検定は「観測された値以上が起こる確率」と有意水準を比べるだけ。確率が小さい=偶然では説明しにくい=帰無仮説を捨てる、という向きを取り違えないこと。
【よくあるミス】 \(N(p,\ \sigma)\) と書いてあると思い込んでオに④を選ぶこと。\(N\) の第2引数は分散です。
(3) 比率が同じでも、標本が小さければ結論はひっくり返る
太郎:無作為に選ばれた100人のうち46人が合格者でも、比率は同じ0.46になるから、仮説検定の結果は同じになるのかな。花子:試しに計算して調べてみようよ。100人のうち46人が合格者である場合について、\(\sqrt{6}=2.45\) として用いると \(P\left(\overline{W}\geqq\dfrac{46}{100}\right)=P(\overline{W}\geqq 0.46)\) の値をパーセント表示した値は有意水準5%よりコ。したがって、有意水準5%で帰無仮説はサ。
(コの解答群)⓪ 小さい ① 大きい (サの解答群)⓪ 棄却される ① 棄却されない
【型】標本の大きさ \(n\) は標準偏差を \(\dfrac{1}{\sqrt{n}}\) 倍する
【なぜこうするか】 太郎さんの疑問は、統計を学ぶ人が必ず一度は抱くものです。答えは「比率が同じでも結論は変わる」。理由は、標本が小さいほど標本平均のばらつきが大きく、0.46という値が偶然でも起こりやすくなるからです。\(n\) が \(\dfrac{1}{4}\) になると標準偏差は2倍になります。
\(n=100\) のときの標準偏差は
\[\sqrt{\dfrac{0.4\times 0.6}{100}}=\sqrt{0.0024}=\dfrac{\sqrt{6}}{50}\]
標準化すると
\[z=\dfrac{0.46-0.4}{\sqrt{6}/50}=\dfrac{3}{\sqrt{6}}=\dfrac{\sqrt{6}}{2}=1.225\]
正規分布表で \(z_{0}=1.22\) が \(0.3888\)、\(z_{0}=1.23\) が \(0.3907\) なので、\(1.225\) ではおよそ \(0.3898\)。したがって
\[P(\overline{W}\geqq 0.46)\fallingdotseq 0.5-0.390=0.110\]
パーセントに直すと約 \(11\%\) で、有意水準 \(5\%\) より大きい。よって帰無仮説は棄却されません。コは①、サは①です。
同じ「46%」でも、400人なら「偶然とは考えにくい」、100人なら「偶然の範囲」。データの量そのものが証拠の強さになるという、統計の核心がここに置かれています。
【検算】 標準偏差を計算機で求めると \(n=100\) で \(0.04898979\)、\(n=400\) で \(0.02449490\) とちょうど2倍。標準化した値も \(1.224745\) と \(2.449490\) で2倍の関係にあり、\(z\) が \(\dfrac{1}{\sqrt{n}}\) に反比例することが数値でも確認できます。
【定石】 標本比率が同じでも、\(n\) が4倍になれば \(z\) は2倍になる。「比率だけ見て結論を決めない」——これが仮説検定を学ぶ意味そのもの。
第6問(配点16・選択) ベクトル(始点をそろえて係数で言い切る)
平面上に、\(\triangle\mathrm{ABC}\) と点 M がある。次の等式を満たす点 P を考える。\(\overrightarrow{\mathrm{MP}}=\overrightarrow{\mathrm{MA}}+2\overrightarrow{\mathrm{MB}}-\overrightarrow{\mathrm{MC}}\ \cdots\cdots\ ①\) 3点 A、B、C を図1の位置にとる。ただし、図1における \(\triangle\mathrm{ABC}\) は正三角形、六角形 DEFGCA は正六角形である。
(1) ア4 イ1 / (2) ウ2 エ1 オ2 カ7 キ1 ク2 ケ9 コ7
(3)(i) サ4 / (ii) シ3
(1) 正六角形は中心からのベクトルで書くと計算が消える
M が A と一致するとき、P はアと一致する。M が D と一致するとき、P はイと一致する。(解答群)⓪ A ① B ② C ③ D ④ E ⑤ F ⑥ G
【型】正六角形の頂点は、中心からの6本のベクトルで表す
【なぜこうするか】 図1をよく見ると、正六角形 DEFGCA の中心が B になっています(\(\triangle\mathrm{ABC}\) が正三角形で、B が六角形の中心)。正六角形の中心から各頂点へのベクトルは、長さが等しく \(60^{\circ}\) ずつ回転した関係にあるので、B を始点にとると計算が最短になります。
B を原点とし、\(\overrightarrow{\mathrm{BC}}\) の向きを基準に六角形の半径を1とすると
\[\mathrm{A}\left(\dfrac{1}{2},\ \dfrac{\sqrt{3}}{2}\right),\quad \mathrm{B}(0,0),\quad \mathrm{C}(1,0),\quad \mathrm{D}\left(-\dfrac{1}{2},\ \dfrac{\sqrt{3}}{2}\right),\quad \mathrm{E}(-1,0)\]
M が A のとき、①は \(\overrightarrow{\mathrm{AP}}=\overrightarrow{\mathrm{AA}}+2\overrightarrow{\mathrm{AB}}-\overrightarrow{\mathrm{AC}}=2\overrightarrow{\mathrm{AB}}-\overrightarrow{\mathrm{AC}}\)。
\(\overrightarrow{\mathrm{AB}}=\left(-\dfrac{1}{2},\ -\dfrac{\sqrt{3}}{2}\right)\)、\(\overrightarrow{\mathrm{AC}}=\left(\dfrac{1}{2},\ -\dfrac{\sqrt{3}}{2}\right)\) なので
\[\overrightarrow{\mathrm{AP}}=(-1,\ -\sqrt{3})-\left(\dfrac{1}{2},\ -\dfrac{\sqrt{3}}{2}\right)=\left(-\dfrac{3}{2},\ -\dfrac{\sqrt{3}}{2}\right)\]
\(\mathrm{P}=\mathrm{A}+\overrightarrow{\mathrm{AP}}=\left(\dfrac{1}{2}-\dfrac{3}{2},\ \dfrac{\sqrt{3}}{2}-\dfrac{\sqrt{3}}{2}\right)=(-1,\ 0)=\mathrm{E}\)。よってアは④です。
M が D のときも同様に \(\overrightarrow{\mathrm{DP}}=\overrightarrow{\mathrm{DA}}+2\overrightarrow{\mathrm{DB}}-\overrightarrow{\mathrm{DC}}\) を成分で計算すると \(\left(\dfrac{1}{2},\ -\dfrac{\sqrt{3}}{2}\right)\) となり、\(\mathrm{P}=\mathrm{D}+\overrightarrow{\mathrm{DP}}=(0,0)=\mathrm{B}\)。イは①です。
【検算】 7点すべての座標を計算機に持たせ、\(\mathrm{M}=\mathrm{A}\) と \(\mathrm{M}=\mathrm{D}\) について①の右辺を計算して P の座標を求め、7点のどれと一致するかを照合しました。結果は \(\mathrm{M}=\mathrm{A}\to\mathrm{P}=\mathrm{E}\)、\(\mathrm{M}=\mathrm{D}\to\mathrm{P}=\mathrm{B}\) で、誤差 \(10^{-9}\) 以内で一致しています。
【定石】 正六角形が出たら中心を原点にとって座標を入れる。ベクトルの図形的な操作より、成分計算の方が確実で速い。
(2) 始点を A にそろえると、\(\overrightarrow{\mathrm{AM}}\) の係数が答えを教えてくれる
\(a,\ b,\ c\) を実数とする。\(\overrightarrow{\mathrm{MP}}=a\overrightarrow{\mathrm{MA}}+b\overrightarrow{\mathrm{MB}}+c\overrightarrow{\mathrm{MC}}\ \cdots\cdots\ ②\) を満たす点 P を考える。M がどの位置にあっても②を満たす P の位置が変わらないための \(a,\ b,\ c\) の条件を調べよう。②の両辺を、A を始点とするベクトルを用いて表すと、左辺は \(\overrightarrow{\mathrm{MP}}=\)ウとなり、右辺は \(a\overrightarrow{\mathrm{MA}}+b\overrightarrow{\mathrm{MB}}+c\overrightarrow{\mathrm{MC}}=\)エ\(\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\)オ\(\overrightarrow{\mathrm{AC}}+\)カ\(\overrightarrow{\mathrm{AM}}\) となる。したがって②は \(\overrightarrow{\mathrm{AP}}=\)キ\(\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\)ク\(\overrightarrow{\mathrm{AC}}+\)ケ\(\overrightarrow{\mathrm{AM}}\) と変形できる。よって、M がどの位置にあっても②を満たす P の位置が変わらないための必要十分条件はコである。
(ウの解答群)⓪ \(\overrightarrow{\mathrm{AP}}+\overrightarrow{\mathrm{AM}}\) ① \(-\overrightarrow{\mathrm{AP}}+\overrightarrow{\mathrm{AM}}\) ② \(\overrightarrow{\mathrm{AP}}-\overrightarrow{\mathrm{AM}}\) ③ \(-\overrightarrow{\mathrm{AP}}-\overrightarrow{\mathrm{AM}}\)
(エ〜ケの解答群)⓪ \(a\) ① \(b\) ② \(c\) ③ \((a+b+c)\) ④ \((-a+b+c)\) ⑤ \((a-b+c)\) ⑥ \((a+b-c)\) ⑦ \((-a-b-c)\) ⑧ \((1+a+b+c)\) ⑨ \((1-a-b-c)\)
(コの解答群)⓪ \(a=b\) ① \(b=c\) ② \(c=a\) ③ \(a+b-c=0\) ④ \(a-b+c=1\) ⑤ \(-a+b+c=-1\) ⑥ \(a+b+c=0\) ⑦ \(a+b+c=1\) ⑧ \(a+b+c=-1\)
【型】始点をそろえて \(\overrightarrow{\mathrm{XY}}=\overrightarrow{\mathrm{AY}}-\overrightarrow{\mathrm{AX}}\) に書き直す
【なぜこうするか】 「M がどこにあっても P が動かない」を数式で言うには、M を含む項をひとまとめにして、その係数を0にするのが唯一の道です。そのためにはすべてのベクトルを同じ始点(ここでは A)に直す必要があります。この方針が立てば、あとは機械的な計算です。
左辺は \(\overrightarrow{\mathrm{MP}}=\overrightarrow{\mathrm{AP}}-\overrightarrow{\mathrm{AM}}\) でウは②です。右辺は \(\overrightarrow{\mathrm{MA}}=-\overrightarrow{\mathrm{AM}}\)、\(\overrightarrow{\mathrm{MB}}=\overrightarrow{\mathrm{AB}}-\overrightarrow{\mathrm{AM}}\)、\(\overrightarrow{\mathrm{MC}}=\overrightarrow{\mathrm{AC}}-\overrightarrow{\mathrm{AM}}\) より
\[a\overrightarrow{\mathrm{MA}}+b\overrightarrow{\mathrm{MB}}+c\overrightarrow{\mathrm{MC}}=b\overrightarrow{\mathrm{AB}}+c\overrightarrow{\mathrm{AC}}-(a+b+c)\overrightarrow{\mathrm{AM}}\]
よってエは①、オは②、カは⑦です。両辺を等しいとおいて \(\overrightarrow{\mathrm{AM}}\) を移項すると
\[\overrightarrow{\mathrm{AP}}=b\overrightarrow{\mathrm{AB}}+c\overrightarrow{\mathrm{AC}}+(1-a-b-c)\overrightarrow{\mathrm{AM}}\]
キは①、クは②、ケは⑨です。
この式で M に依存するのは最後の項だけ。したがって「M がどこでも P が同じ」は\(\overrightarrow{\mathrm{AM}}\) の係数が0と同値で
\[1-a-b-c=0\ \Longleftrightarrow\ a+b+c=1\]
コは⑦です。太郎さんが挙げた \(a=1,b=0,c=0\)(和が1)はこれを満たし、花子さんの①の場合 \(a=1,b=2,c=-1\) も和が2なので満たさない——会話文とも整合します。
【検算】 数式処理系で \(a(-\overrightarrow{\mathrm{AM}})+b(\overrightarrow{\mathrm{AB}}-\overrightarrow{\mathrm{AM}})+c(\overrightarrow{\mathrm{AC}}-\overrightarrow{\mathrm{AM}})+\overrightarrow{\mathrm{AM}}\) を展開して整理したところ、\(\overrightarrow{\mathrm{AB}}\) の係数 \(b\)、\(\overrightarrow{\mathrm{AC}}\) の係数 \(c\)、\(\overrightarrow{\mathrm{AM}}\) の係数 \(1-a-b-c\) が得られ、上の変形と完全に一致しました。
【定石】 「点の位置が〜によらない」という条件は、その点を含むベクトルの係数を0とおく。始点をそろえる作業がそのまま解答になる。
(3)(i) 係数の和が定数なら、点は直線上を動く
\(a,\ b,\ c\) を、\(a+b+c=1\) を満たす実数とする。\(a,\ b,\ c\) が \(a+b+c=1\) と \(a=\dfrac{1}{2}\) を満たすとき、P が存在する範囲はサである。ただし、\(\triangle\mathrm{ABC}\) の辺 BC の中点を H、辺 CA の中点を I、辺 AB の中点を J とする。(解答群)⓪ 直線 AH ① 直線 BI ② 直線 CJ ③ 直線 HI ④ 直線 IJ ⑤ 直線 JH
【型】\(\overrightarrow{\mathrm{AP}}=s\overrightarrow{\mathrm{AB}}+t\overrightarrow{\mathrm{AC}}\) で \(s+t=k\)(定数)なら、P は直線上
【なぜこうするか】 \(a+b+c=1\) より \(\overrightarrow{\mathrm{AP}}=b\overrightarrow{\mathrm{AB}}+c\overrightarrow{\mathrm{AC}}\)。さらに \(a=\dfrac{1}{2}\) から \(b+c=\dfrac{1}{2}\) です。係数の和が一定——この形を見たら直線だと即断できます。理由は、\(b+c=1\) なら直線 BC そのもの、という基本形を知っていれば十分です。
実際、\(b+c=\dfrac{1}{2}\) のとき \(2b+2c=1\) なので
\[\overrightarrow{\mathrm{AP}}=\dfrac{1}{2}\left\{(2b)\overrightarrow{\mathrm{AB}}+(2c)\overrightarrow{\mathrm{AC}}\right\}\]
中括弧の中は係数の和が1なので直線 BC 上の点 Q を表します。よって \(\overrightarrow{\mathrm{AP}}=\dfrac{1}{2}\overrightarrow{\mathrm{AQ}}\)、つまり P は直線 BC を A を中心に \(\dfrac{1}{2}\) 倍に縮めた直線の上を動きます。
その直線は、B の行き先が AB の中点 J、C の行き先が CA の中点 I なので、直線 IJ(中点連結定理の中線)です。サは④です。
【検算】 \(b=\dfrac{1}{2},\ c=0\) とすると \(\overrightarrow{\mathrm{AP}}=\dfrac{1}{2}\overrightarrow{\mathrm{AB}}\) で P は J。\(b=0,\ c=\dfrac{1}{2}\) とすると P は I。\(b=c=\dfrac{1}{4}\) とすると \(\overrightarrow{\mathrm{AP}}=\dfrac{1}{4}(\overrightarrow{\mathrm{AB}}+\overrightarrow{\mathrm{AC}})\) で、これは IJ の中点。3点とも直線 IJ 上に乗っています。
【定石】 \(\overrightarrow{\mathrm{AP}}=s\overrightarrow{\mathrm{AB}}+t\overrightarrow{\mathrm{AC}}\) において、\(s+t=1\) なら直線 BC、\(s+t=k\) なら直線 BC を \(k\) 倍に相似縮小した直線。この対応を覚えておくと領域の問題が一瞬で片づく。
(3)(ii) 1つの係数だけに不等号がつくと、半平面になる
\(a,\ b,\ c\) が、\(a+b+c=1\) と \(c\lt 0\) を満たすとき、P が存在する範囲を図示するとシの灰色部分となる。ただし、境界線を含まない。
(シの領域選択肢)⓪ 三角形 ABC の内部 ① 直線 BC を境界とする、A を含む側の半平面 ② 直線 AB を境界とする、C を含む側の半平面 ③ 直線 AB を境界とする、C を含まない側の半平面 ④ 直線 AC を境界とする、B を含む側の半平面 ⑤ 直線 AC を境界とする、B を含まない側の半平面。いずれの選択肢も境界線は含まない。
【型】斜交座標の考え方。係数の符号がそのまま領域を決める
【なぜこうするか】 \(a+b+c=1\) より \(\overrightarrow{\mathrm{AP}}=b\overrightarrow{\mathrm{AB}}+c\overrightarrow{\mathrm{AC}}\) で、条件は \(c\lt 0\) だけ。\(a\) は \(a=1-b-c\) として自由に選べるので、\(b\) には何の制約もありません。ここを見落とすと領域を狭く取りすぎます。
つまり P は「\(b\) は任意の実数、\(c\) は負」の範囲を動きます。\(\overrightarrow{\mathrm{AB}}\) と \(\overrightarrow{\mathrm{AC}}\) を軸とする斜交座標で見れば、\(c\) 座標が負の側の半平面です。境界は \(c=0\)、すなわち \(\overrightarrow{\mathrm{AP}}=b\overrightarrow{\mathrm{AB}}\) が表す直線 AB。そして \(c\gt 0\) の側に C があるので、求める範囲は直線 AB に関して C と反対側の半平面(境界を含まない)です。
したがってシは③です。
【検算】 \(\mathrm{A}(0,2),\ \mathrm{B}(-1,0),\ \mathrm{C}(1,0)\) と座標を入れて確かめます。直線 AB は \(2x-y+2=0\) で、C を代入すると \(2-0+2=4\gt 0\)。一方 \(b=0,\ c=-1\) のとき \(\mathrm{P}=\mathrm{A}-\overrightarrow{\mathrm{AC}}=(-1,\ 4)\) で、代入すると \(-2-4+2=-4\lt 0\)。確かに C と反対側です。\(b\) を大きく動かしても符号は変わらず、半平面全体を覆うことも確認できます。
【定石】 \(\overrightarrow{\mathrm{AP}}=s\overrightarrow{\mathrm{AB}}+t\overrightarrow{\mathrm{AC}}\) を斜交座標 \((s,t)\) と見る。\(t=0\) が直線 AB、\(s=0\) が直線 AC、\(s+t=1\) が直線 BC。不等式はそのまま半平面や三角形の内部を表す。
【よくあるミス】 \(a+b+c=1\) から「\(a,b,c\) がすべて正なら三角形の内部」という知識を引っぱってきて、範囲を三角形の周辺に限定してしまうこと。今回は \(b\) に制約がないので、領域は無限に広がる半平面です。
第7問(配点16・選択) 複素数平面(円が線分や楕円に写る変換)
\(z\) を0でない複素数とし、\(w=z+\dfrac{1}{z}\) とする。また、\(r\) を正の実数とし、複素数平面上で、原点 O を中心とする半径 \(r\) の円を \(C\) とする。
(1) ア2 イ5 ウ3 エ4 オ3 カ4
(2) キ6 ク9 ケ1 / コ1 / サ2 / (3) シ3 ス2 セ3
(1) \(\dfrac{1}{z}\) は共役を絶対値の2乗で割ると出る
\(z=\sqrt{3}+i\) のとき \(|z|=\)アであり \(w=\dfrac{\boxed{\text{イ}}\sqrt{\boxed{\text{ウ}}}}{\boxed{\text{エ}}}+\dfrac{\boxed{\text{オ}}}{\boxed{\text{カ}}}i\) である。
【型】\(\dfrac{1}{z}=\dfrac{\overline{z}}{|z|^{2}}\)
【なぜこうするか】 分母を実数化する計算は、\(\overline{z}\) を分母分子に掛けるのが基本ですが、先に \(|z|\) を求めておけば公式1本で終わります。この問題が最初に \(|z|\) を聞いているのは、そのための誘導です。
\(|z|=\sqrt{(\sqrt{3})^{2}+1^{2}}=\sqrt{4}=2\) なのでアは2。よって
\[\dfrac{1}{z}=\dfrac{\overline{z}}{|z|^{2}}=\dfrac{\sqrt{3}-i}{4}\]
\[w=\sqrt{3}+i+\dfrac{\sqrt{3}-i}{4}=\dfrac{4\sqrt{3}+\sqrt{3}}{4}+\dfrac{4-1}{4}i=\dfrac{5\sqrt{3}}{4}+\dfrac{3}{4}i\]
したがってイは5、ウは3、エは4、オは3、カは4です。
【検算】 数式処理系で \(z+\dfrac{1}{z}\) を計算すると \(\dfrac{5\sqrt{3}}{4}+\dfrac{3}{4}i\) が返り、一致しました。虚部が \(1\) から \(\dfrac{3}{4}\) にわずかに減っているのは、\(\dfrac{1}{z}\) の虚部が負だからで、符号の扱いも正しいことがわかります。
【定石】 \(\dfrac{1}{z}\) は「共役を \(|z|^{2}\) で割る」。\(|z|=1\) なら \(\dfrac{1}{z}=\overline{z}\) という特別な形になり、これが(2)の伏線になっている。
(2)(i) 極形式に直すと、実部と虚部がきれいに分かれる
\(z\) が \(C\) 上を動くとき、\(w\) が複素数平面上で描く図形を考える。実数 \(\theta\) を \(z\) の偏角とし、極形式を用いて \(z=r(\cos\theta+i\sin\theta)\) と表す。\(w=z+\dfrac{1}{z}\) を \(r,\ \theta\) を用いて表すと \(w=\)キ\(+i\)ク\(\ \cdots\cdots\ ①\) である。したがって、\(\theta\) の値によらずク\(=0\) となるような \(r\) の値はケである。
(キ・クの解答群)⓪ \(2r\cos\theta\) ① \(2r\sin\theta\) ② \((r+1)\cos\theta\) ③ \((r+1)\sin\theta\) ④ \((r-1)\cos\theta\) ⑤ \((r-1)\sin\theta\) ⑥ \(\left(r+\dfrac{1}{r}\right)\cos\theta\) ⑦ \(\left(r+\dfrac{1}{r}\right)\sin\theta\) ⑧ \(\left(r-\dfrac{1}{r}\right)\cos\theta\) ⑨ \(\left(r-\dfrac{1}{r}\right)\sin\theta\)
【型】極形式に直し、実部と虚部に分ける
【なぜこうするか】 軌跡を求めるには、実部と虚部を \(x,\ y\) として媒介変数表示に持ち込むのが定石です。\(\dfrac{1}{z}\) は絶対値が \(\dfrac{1}{r}\)、偏角が \(-\theta\) になるので、\(\cos\) は同じ符号、\(\sin\) は逆符号——ここで実部は足し算、虚部は引き算になるのがこの問題の心臓部です。
\[\dfrac{1}{z}=\dfrac{1}{r}\left\{\cos(-\theta)+i\sin(-\theta)\right\}=\dfrac{1}{r}(\cos\theta-i\sin\theta)\]
\[w=\left(r+\dfrac{1}{r}\right)\cos\theta+i\left(r-\dfrac{1}{r}\right)\sin\theta\]
よってキは⑥、クは⑨です。
虚部が \(\theta\) によらず0になるのは \(r-\dfrac{1}{r}=0\)、すなわち \(r^{2}=1\)。\(r\gt 0\) より \(r=1\) でケは1です。
【検算】 数式処理系で \(w\) の実部・虚部を求め、\(\left(r+\dfrac{1}{r}\right)\cos\theta\) と \(\left(r-\dfrac{1}{r}\right)\sin\theta\) との差をとったところ、どちらも恒等的に0になりました。
【定石】 \(z\) と \(\dfrac{1}{z}\) は実軸に関して対称な方向を向く(偏角が符号反転)。だから和をとると虚部が打ち消し合う方向に働く。
(2)(ii)(iii) \(r=1\) なら線分、それ以外なら楕円
\(r=1\) とする。\(z\) が \(C\) 上を動くとき、\(w\) が描く図形はコである。(①は実軸上の \(-2\) から2までの線分を表す図。) 次に \(r\neq 1\) とする。\(x,\ y\) を実数として \(w=x+yi\) とおくと、①から \(x=\)キ、\(y=\)ク\(\ \cdots\cdots\ ②\) が成り立つ。②の二つの式から \(\theta\) を消去すると、\(x,\ y\) はサを満たし、\(z\) が \(C\) 上を動くとき、\(w=x+yi\) はサの表す図形を描く。
(サの解答群)⓪ \(\dfrac{x^{2}}{r^{2}}+\dfrac{y^{2}}{r^{2}}=1\) ① \(\dfrac{x^{2}}{r^{2}}-\dfrac{y^{2}}{r^{2}}=1\) ② \(\dfrac{x^{2}}{\left(r+\frac{1}{r}\right)^{2}}+\dfrac{y^{2}}{\left(r-\frac{1}{r}\right)^{2}}=1\) ③ \(\dfrac{x^{2}}{\left(r+\frac{1}{r}\right)^{2}}-\dfrac{y^{2}}{\left(r-\frac{1}{r}\right)^{2}}=1\) ④ \(\dfrac{x^{2}}{\left(r-\frac{1}{r}\right)^{2}}+\dfrac{y^{2}}{\left(r+\frac{1}{r}\right)^{2}}=1\) ⑤ \(\dfrac{x^{2}}{\left(r-\frac{1}{r}\right)^{2}}-\dfrac{y^{2}}{\left(r+\frac{1}{r}\right)^{2}}=1\)
【型】\(x=A\cos\theta,\ y=B\sin\theta\) から \(\cos^{2}+\sin^{2}=1\) で \(\theta\) を消去する
【なぜこうするか】 \(r=1\) のとき \(w=2\cos\theta\) で虚部が消え、\(\theta\) が動くと \(-2\) から2まで実軸上を往復します。円が線分につぶれるわけです。よってコは①(実軸上の \(-2\) から2までの線分)です。
\(r\neq 1\) のときは \(r-\dfrac{1}{r}\neq 0\) なので、②を
\[\cos\theta=\dfrac{x}{r+\frac{1}{r}},\qquad \sin\theta=\dfrac{y}{r-\frac{1}{r}}\]
と解いて \(\cos^{2}\theta+\sin^{2}\theta=1\) に代入すれば
\[\dfrac{x^{2}}{\left(r+\frac{1}{r}\right)^{2}}+\dfrac{y^{2}}{\left(r-\frac{1}{r}\right)^{2}}=1\]
楕円です。サは②です。分母の割り当てを取り違えると④になるので、実部の係数は必ず \(x\) の下という対応を丁寧に確かめてください。
【検算】 \(r=2\) として \(\theta\) を20万点動かし \(w\) を実際に計算したところ、実部の範囲は \(\left[-2.5,\ 2.5\right]\)、虚部の範囲は \(\left[-1.5,\ 1.5\right]\) でした。理論値は \(r+\dfrac{1}{r}=2.5\)、\(r-\dfrac{1}{r}=1.5\) でぴったり一致します。
【定石】 \(w=z+\dfrac{1}{z}\) は原点中心の円を、焦点が \(\pm 2\) の楕円に写す(\(r=1\) だけは線分につぶれる)。飛行機の翼の設計に使われるジューコフスキー変換として有名で、共通テストでも繰り返し題材になりうる形です。
(3) \(w^{2}\) は「同じ変換を \(z^{2}\) に施して2ずらす」だけ
\(r\neq 1\) とする。\(z\) が \(C\) 上を動くとき、\(w^{2}\) が描く図形を考えよう。(i) \(w^{2}\) を \(z\) を用いて表すと \(w^{2}=\)シである。(解答群)⓪ \(z^{2}+\dfrac{1}{z^{2}}\) ① \(z^{2}+\dfrac{1}{z^{2}}+1\) ② \(z^{2}+\dfrac{1}{z^{2}}-1\) ③ \(z^{2}+\dfrac{1}{z^{2}}+2\) ④ \(z^{2}+\dfrac{1}{z^{2}}-2\) ⑤ \(z^{2}+\dfrac{1}{z^{2}}+2i\)
(ii) \(z\) が \(C\) 上を動くとき、\(z^{2}+\dfrac{1}{z^{2}}\) が描く図形の方程式を考える。このとき、\(z^{2}\) は原点 O を中心とする半径 \(r^{2}\) の円を描く。このことから、\(X,\ Y\) を実数として \(z^{2}+\dfrac{1}{z^{2}}=X+Yi\) とおくと、\(X,\ Y\) はスを満たす。以上を踏まえると、\(w^{2}\) が描く図形はセであることがわかる。(スの解答群②は \(\dfrac{X^{2}}{\left(r^{2}+\frac{1}{r^{2}}\right)^{2}}+\dfrac{Y^{2}}{\left(r^{2}-\frac{1}{r^{2}}\right)^{2}}=1\)。セの選択肢③は、中心が実軸上の2にある横長の楕円で、左端が原点より左まで届いている図。)
【型】\(\left(z+\dfrac{1}{z}\right)^{2}=z^{2}+\dfrac{1}{z^{2}}+2\)(\(2\cdot z\cdot\dfrac{1}{z}=2\))
【なぜこうするか】 展開すると交差項が \(2\cdot z\cdot\dfrac{1}{z}=2\) という定数になります。これがこの小問の全てです。つまり
\[w^{2}=z^{2}+\dfrac{1}{z^{2}}+2\]
でシは③。そして \(z^{2}+\dfrac{1}{z^{2}}\) は、(2)で調べた \(z+\dfrac{1}{z}\) の \(z\) を \(z^{2}\) に置き換えただけの形です。\(z\) が半径 \(r\) の円を動けば \(z^{2}\) は半径 \(r^{2}\) の円を動くので、(2)の結果で \(r\to r^{2}\) と読み替えて
\[\dfrac{X^{2}}{\left(r^{2}+\frac{1}{r^{2}}\right)^{2}}+\dfrac{Y^{2}}{\left(r^{2}-\frac{1}{r^{2}}\right)^{2}}=1\]
スは②です。最後に \(+2\) は実軸方向に2だけ平行移動することを意味します。したがって \(w^{2}\) が描くのは、中心が \(2\)(実軸上)の横長の楕円です。
横半径は \(r^{2}+\dfrac{1}{r^{2}}\)、縦半径は \(\left|r^{2}-\dfrac{1}{r^{2}}\right|\) で、\(r\neq 1\) より横半径は2より大きい。つまり楕円の左端は原点より左に届きます。この特徴をもつのは③で、セは③です。
【検算】 \(r=2\) として \(\theta\) を20万点動かし \(w^{2}\) を直接計算したところ、実部の範囲は \(\left[-2.25,\ 6.25\right]\)、虚部の範囲は \(\left[-3.75,\ 3.75\right]\)。理論値は中心2・横半径 \(r^{2}+\dfrac{1}{r^{2}}=4.25\)・縦半径 \(\left|r^{2}-\dfrac{1}{r^{2}}\right|=3.75\) なので実部は \(\left[-2.25,\ 6.25\right]\) となり一致します。さらに楕円の方程式に代入した残差の最大値は \(1.1\times 10^{-15}\) で、20万点すべてが楕円上に乗っていることが確認できました。左端 \(-2.25\lt 0\) なので、確かに原点より左まで届いています。
【定石】 \(\left(z+\dfrac{1}{z}\right)^{2}=z^{2}+\dfrac{1}{z^{2}}+2\) のように、同じ形が入れ子で現れたら「文字を置き換えただけ」と読む。前半で得た結果を \(r\to r^{2}\) と読み替えるだけで済む。
- 階差の和は \(n-1\) 項まで。矢印を何本たどるかで数える(第4問(1))。
- 和は差の逆演算。\(d_{n}=c_{n+1}-c_{n}\) を作れば、途中が全部消えて両端だけ残る(第4問(2)(3))。
- (多項式)×\(r^{n}\) の和は同次数の多項式で係数比較。\(S-rS\) より速い(第4問(2)(3))。
- 標準化は標準偏差で割る。分散で割らない(第5問(1))。
- 0と1の変量の分散は \(p(1-p)\)。標本平均の分散は \(\dfrac{p(1-p)}{n}\)(第5問(2))。
- 比率が同じでも \(n\) が変われば結論が変わる。\(n\) が4倍なら \(z\) は2倍(第5問(3))。
- 「位置が〜によらない」は係数を0とおく。まず始点をそろえる(第6問(2))。
- \(s+t=k\) なら直線、\(t\lt 0\) なら半平面。斜交座標として読む(第6問(3))。
- \(\dfrac{1}{z}=\dfrac{\overline{z}}{|z|^{2}}\)。極形式なら偏角が符号反転する(第7問(1)(2))。
- \(w=z+\dfrac{1}{z}\) は円を楕円に写す。\(r=1\) のときだけ線分につぶれる(第7問(2))。
- 入れ子の同じ形は「置き換えただけ」。\(r\to r^{2}\) と読み替えて再利用する(第7問(3))。
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定石の「効く範囲」を確かめる ─ 自作演習4問
この記事の各節は【定石】で締めくくられていて、なかには「必ず求まる」「必ず〜になる」と言い切っているものがあります。言い切りは強力ですが、効かなくなる境目まで書かれていないと、境目の外で使ってしまいます。ここでは、そのうち3つの定石について境目を実際に踏んで確かめる問題を作りました。
| この記事の定石 | 書かれていない境目 | 類題 |
|---|---|---|
| (多項式)×\( r^{n} \) の和は、同じ形を \( c_{n} \) として係数比較すれば必ず求まる | \( r=1 \) のときはどうなるか | 類題1・2 |
| 標本比率が同じでも、\( n \) が4倍になれば \( z \) は2倍 | では何人集めれば結論が変わるのか | 類題3 |
| 階差から一般項を作ったら \( n=1 \) を代入して初項に戻るか確認する | 戻らないことは起こりうるのか | 類題4 |
※以下の4問と数値は、すべて数強塾で作成したオリジナルです。試験の問題文・選択肢・図表は使っていません。
類題1 まず、定石が効く場合を別の \( r \) で
\( d_{n}=(2n+1)\cdot 3^{n} \) とする。\( c_{n}=(pn+q)\cdot 3^{n} \) とおいて \( d_{n}=c_{n+1}-c_{n} \) となる \( p,\ q \) を求め、\( \displaystyle\sum_{k=1}^{n}d_{k} \) を求めなさい。
解答
\[ c_{n+1}-c_{n}=\{p(n+1)+q\}3^{n+1}-(pn+q)3^{n}=3^{n}\{2pn+3p+2q\} \]
\( (2n+1)3^{n} \) と比べて \( 2p=2 \)、\( 3p+2q=1 \)。よって \( p=1,\ q=-1 \)、すなわち \( c_{n}=(n-1)3^{n} \)。
\[ \sum_{k=1}^{n}d_{k}=c_{n+1}-c_{1}=n\cdot 3^{n+1}-0=\mathbf{n\cdot 3^{n+1}} \]
検算:\( n=1 \) なら \( d_{1}=3\times 3=9 \)、公式は \( 1\times 9=9 \)。\( n=2 \) なら \( 9+45=54 \)、公式は \( 2\times 27=54 \)。\( n=8 \) でも直接足した \( 157{,}464 \) と一致します。\( c_{1}=0 \) なので、答えに定数項が残りませんでした ─ これは偶然で、\( c_{1} \) を引き忘れても気づけない形です。\( c_{1} \) は必ず書いてから引いてください。
和を差の逆演算として見る、という視点そのものは なぜ数列の和は「離散的な積分」と言えるのか にあります。
類題2 \( r=1 \) にすると、定石はそのままでは効かない
\( d_{n}=2n+1 \) の和を、類題1と同じ方法で求めたい。
- \( c_{n}=(pn+q)\cdot 1^{n}=pn+q \) とおくと、\( c_{n+1}-c_{n} \) はどうなるか。この形で \( d_{n}=2n+1 \) を作れるか。
- 作れない場合は \( c_{n} \) の形を変えて、\( \displaystyle\sum_{k=1}^{n}(2k+1) \) を求めなさい。
解答
(1) \( c_{n+1}-c_{n}=\{p(n+1)+q\}-(pn+q)=p \)。定数にしかなりません。\( n \) の1次式である \( 2n+1 \) は、この形では作れません。
(2) 多項式の次数を1つ上げます。\( c_{n}=an^{2}+bn+c \) とおくと
\[ c_{n+1}-c_{n}=a(2n+1)+b=2an+(a+b) \]
\( 2n+1 \) と比べて \( a=1,\ b=0 \)。\( c \) は何でもよいので \( 0 \) とすると \( c_{n}=n^{2} \)。
\[ \sum_{k=1}^{n}(2k+1)=c_{n+1}-c_{1}=(n+1)^{2}-1=\mathbf{n^{2}+2n} \]
検算:\( n=1 \) で \( 3 \)、\( n=2 \) で \( 3+5=8 \)、\( n=5 \) で \( 35 \)、\( n=10 \) で \( 120 \)。公式 \( n^{2}+2n \) はすべて一致します。
なぜ \( r=1 \) だけ別扱いになるのか
\( r\neq 1 \) のとき、\( (pn+q)r^{n} \) の階差は \( r^{n}\{(r-1)pn+\cdots\} \) の形になり、\( r-1\neq 0 \) なので \( n \) の次数がそのまま残ります。ところが \( r=1 \) では \( r-1=0 \) となって最高次が消え、階差を取ると次数が1つ下がります。だからほしい次数より1つ上を用意する必要があるわけです。
この「次数が1つ下がる」は、\( r=1 \) の場合、つまりふつうの多項式の階差の性質そのものです。理由は なぜ階差を取ると数列の次数が1つ下がるのか に書いてあります。定石の「同じ形をおく」は \( r\neq 1 \) が隠れた前提で、そこだけ気をつければ、あとは同じ手順です。
類題3 「\( n \) が4倍で \( z \) が2倍」を、逆向きに使う
ある母集団の比率を \( 0.5 \) と仮定して、片側検定(有意水準5%、棄却域は \( z\geqq 1.645 \))を行う。標本比率はいずれも \( 0.56 \) であったとする。標本平均の標準偏差は \( \sqrt{\dfrac{0.5\times 0.5}{n}} \) とする。
- \( n=100 \) のときの \( z \) を求め、棄却されるか答えなさい。
- \( n=400 \) のときの \( z \) を求め、棄却されるか答えなさい。
- \( z \) を \( n \) の式で表しなさい。
- 棄却されるためには、標本は最低何人必要か。
解答
標準偏差は \( \dfrac{0.5}{\sqrt{n}} \) なので \( z=\dfrac{0.56-0.5}{0.5/\sqrt{n}}=0.12\sqrt{n} \)。これが (3) の答えです。
| \( n \) | 標準偏差 | \( z=0.12\sqrt{n} \) | \( 1.645 \) と比べて | 結論 |
|---|---|---|---|---|
| 100 | 0.05 | 1.2 | 小さい | 棄却されない |
| 400 | 0.025 | 2.4 | 大きい | 棄却される |
(4) \( 0.12\sqrt{n}\geqq 1.645 \) より \( \sqrt{n}\geqq 13.708\ldots \)、\( n\geqq 187.9\ldots \)。よって 188人。
境目のすぐ両側で確かめます。\( n=187 \) では \( z=1.6409\ldots \) で棄却されず、\( n=188 \) では \( z=1.6453\ldots \) で棄却されます。1人増えただけで結論が変わるという、ぎりぎりの点が実際に存在します。
同じ「56%」という数字が、100人なら「偶然の範囲」、400人なら「偶然とは考えにくい」になります。定石は「\( n \) が4倍なら \( z \) は2倍」でしたが、実務で聞かれるのは (4) のほう ─ 結論を出すには何件集めればよいか、です。\( z=0.12\sqrt{n} \) と文字で書いておけば、この向きにもそのまま使えます。
気をつけること:\( n \) を増やせば \( z \) はいくらでも大きくなります。つまり差がごくわずかでも、標本を十分に大きくすれば「有意」にできてしまう。棄却されたかどうかと、差が実際に意味のある大きさかどうかは別の話です。演習は 統計的な推測の特訓道場|期待値から信頼区間・仮説検定まで30題と全解説、分野の全体像は 統計的な推測|二項分布・正規分布・区間推定・仮説検定【数学B】 にあります。
類題4 「\( n=1 \) で戻るか確認」は、何を検出しているのか
- \( a_{1}=3 \)、階差数列が \( b_{n}=6n-2 \) である数列の一般項を求め、\( n=1 \) で初項に戻ることを確かめなさい。
- もし \( \sum \) の上端を \( n-1 \) ではなく \( n \) にしてしまうと、\( n=1 \) では何になるか。
- 階差から作った一般項が、\( n=1 \) で初項に戻らないことは起こりうるか。
- \( S_{n}=n^{2}+3n+1 \) で定まる数列の一般項を求め、\( n=1 \) で戻るか確かめなさい。
解答
(1) \( a_{n}=3+\displaystyle\sum_{k=1}^{n-1}(6k-2)=3+3(n-1)n-2(n-1)=\mathbf{3n^{2}-5n+5} \)。\( n=1 \) で \( 3-5+5=3 \) となり初項に戻ります。\( n=1,\ldots,5 \) は \( 3,\ 7,\ 17,\ 33,\ 55 \) で、漸化式で順に足した値と一致します。
(2) 上端を \( n \) にすると \( 3n^{2}+n+3 \) となり、\( n=1 \) で \( 7 \)。初項 \( 3 \) に戻りません。
(3) 起こりません。\( n=1 \) のとき \( \displaystyle\sum_{k=1}^{0} \) は項が1つもない和なので 0。したがって式は必ず \( a_{1} \) そのものになります。
(4) \( n\geqq 2 \) では \( a_{n}=S_{n}-S_{n-1}=2n+2 \)。一方 \( a_{1}=S_{1}=5 \) ですが、式に \( n=1 \) を入れると \( 4 \)。戻りません。よって \( a_{1}=5 \)、\( a_{n}=2n+2\ (n\geqq 2) \) と場合分けが必要です。
(3) と (4) を並べると、この検算の正体が分かります。階差から作った式では戻らないことがありえないので、戻らなかったらそれは計算ミス(多くは上端の取りちがえ)です。場合分けが本当に必要になるのは \( S_{n} \) から \( a_{n} \) を出したときで、こちらは \( n=1 \) を別に確かめないと事故が起きます。同じ「\( n=1 \) を代入する」でも、検出しているものが違います。
| どこから作ったか | \( n=1 \) で戻らないことは | 戻らなかったら |
|---|---|---|
| 階差数列 \( b_{n} \) | 起こらない | 計算ミス(上端の取りちがえ)を疑う |
| 和 \( S_{n} \) | 起こりうる | 場合分けを書く(\( a_{1} \) は別扱い) |
和と項を行き来する道具の全体像は 【第10章】和と項は行き来できる──階差数列と Sn の正体、「最初の1項の数え方」でつまずく型は 高校数学 数列(数B)|つまずきの5つの型は、すべて「最初の1項の数え方」に戻る にまとまっています。
まとめ:定石には、書かれていない前提がある
| 定石 | 隠れていた前提 | 外れたときにどうするか |
|---|---|---|
| 同じ形を \( c_{n} \) におけば必ず求まる | \( r\neq 1 \) | 多項式の次数を1つ上げる(類題2) |
| \( n \) が4倍なら \( z \) は2倍 | \( z \) は \( \sqrt{n} \) に比例 | \( n \) の式で書けば逆向きにも使える(類題3) |
| \( n=1 \) で初項に戻るか確認 | どこから作った式か | 階差ならミス検出、\( S_{n} \) なら場合分けの判定(類題4) |
定石を疑えという話ではありません。どれも正しく、実際に速い。ただし「必ず」と書いてある文には、必ず前提が省略されています。前提を1つ書き足しておくだけで、初見の設定で外したときに気づけます。覚えるのは定石そのものではなく、定石と前提のセットです。
数列の分野をどの順で積み上げるかは 数列 学習ロードマップ|等差・等比から漸化式・数学的帰納法・確率漸化式まで一本でつなぐ地図 にまとめてあります。
要点辞典この単元の公式・定石・つまずきやすい所は 数学II・B・Cの要点辞典:全12単元 にまとめてあります。

