2026年(令和8年度)大学入学共通テストの追・再試験 数学Ⅰ,数学Aを、オンライン数学専門塾「数強塾」代表の藤原進之介が全問解説します。追試験は本試験と同じ範囲・同じ形式(全問必答・70分・100点)ですが、市販の問題集には収録されないことが多く、解説が手に入りにくいのが実情です。良質な演習素材として、ぜひ本試験とセットで解いてみてください。
問題文・条件・選択肢はすべて本文に再掲し、小問ごとに「どの型を使うのか」「なぜその方針を選ぶのか」まで書いています。解答はすべて大学入試センターが公表した正解表と突き合わせ、全問一致を確認しています。
第1問から第4問まで全19問を公開しています。
この記事の目次
- 第1問(配点30) 数と式(無理数の整数部分)/図形と計量(辺が自然数の三角形)
- 第2問(配点30) 2次関数(価格と利益)/データの分析(Jリーグ2022)
- 第3問(配点20) 図形の性質(重心・外心と、中点が決まる弦)
- 第4問(配点20) 確率(非推移的な3つのサイコロ)
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| 年度 | 本試 数学Ⅰ・A | 本試 数学Ⅱ・B(・C) | 追試 数学Ⅰ・A | 追試 数学Ⅱ・B(・C) |
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| 2025年 令和7年度 共通テスト |
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| 2024年 令和6年度 共通テスト |
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| 2020年 令和2年度 センター試験 |
数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B 解説 | — | — |
| 2019年 令和1年度 センター試験 |
数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B 解説 | — | — |
| 2018年 平成30年度 センター試験 |
数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B 解説 | — | — |
| 2017年 平成29年度 センター試験 |
数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B 解説 | — | — |
| 2016年 平成28年度 センター試験 |
数学Ⅰ・A 解説 | 数学Ⅱ・B 解説 | — | — |
すべての年度・科目の一覧は大学入試 数学 過去問の全問解説ハブにまとめています。
※ 問題文は大学入試センターが公表した2026年度(令和8年度)大学入学共通テスト 追・再試験の問題を、解説のために引用したものです。解答・解説はオンライン数学専門塾「数強塾」代表 藤原進之介が独自に作成したものであり、大学入試センターが公表した公式解答そのものではありません。答えはすべて公表された正解表と突き合わせ、全問一致を確認しています。散布図についても、判断に必要な座標範囲・点の配置・増減傾向を本文に記載しています。
- 形式:70分・100点・全問必答(第1問30点/第2問30点/第3問20点/第4問20点)。本試験と同じ構成です。
- 第1問(30点):〔1〕数と式(\(\dfrac{1}{\sqrt{n}-k}\) の整数部分を、逆数をとって挟み込む)/〔2〕図形と計量(辺の長さが自然数の三角形で、面積や外接円が最大・最小になる場合を探す)。
- 第2問(30点):〔1〕2次関数(クリームパンの価格と利益)/〔2〕データの分析(Jリーグ2022シーズンの成績)。
- 第3問・第4問(各20点):図形の性質(重心・外心と弦)と確率(非推移的な3つのサイコロ)。どちらも全小問を解説します。
- この回の重要点は「候補を絞る道具として不等式を使う」ことです。第1問〔1〕は逆数で範囲を挟み、〔2〕は \(n\) を5から13まで動かして条件に合うものを選びます。候補を一つずつ試して比べることで、漏れなく結論を出せます。
第1問(配点30) 数と式(無理数の整数部分)/図形と計量(辺が自然数の三角形)
〔1〕 \(k,\ n\) は \(n\gt k^{2}\) を満たす自然数とする。次の実数 \(\dfrac{1}{\sqrt{n}-k}\ \cdots\cdots\ ①\) を考え、その整数部分を \(a\) で表す。
〔2〕 辺の長さがすべて自然数である \(\triangle\mathrm{ABC}\) について考える。以下では \(\angle\mathrm{BAC}=A\)、\(\angle\mathrm{ABC}=B\)、\(\angle\mathrm{ACB}=C\) とする。
〔1〕 ア3 イ1 ウ2 エ1 / オ3 / カ2 キ0 ク2 ケ3 コ2
〔2〕 サ7 シ9 ス4 セ2 ソ9 タチ10 ツ2 / テ1 ト0 ナ7 ニ6 / ヌ4 / ネ4 ノ6
〔1〕(1)(2) 有理化してから、大小を比べて整数部分を決める
(1) \(k=1\)、\(n=3\) の場合を考える。このとき、①の分母を有理化すると \(\dfrac{1}{\sqrt{3}-1}=\dfrac{\sqrt{\boxed{\text{ア}}}+\boxed{\text{イ}}}{\boxed{\text{ウ}}}\) となる。したがって \(a=\)エである。(2) \(n=k^{2}+1\) の場合を考える。このとき、①は \(\dfrac{1}{\sqrt{k^{2}+1}-k}\) となる。この分母を有理化して、\(k^{2}\)、\(k^{2}+1\)、\((k+1)^{2}\) の大小を考えると \(a=\)オであることがわかる。(オの解答群)⓪ \(k\) ① \(k+1\) ② \(k+2\) ③ \(2k\) ④ \(2k+1\) ⑤ \(k+\sqrt{k^{2}+1}\) ⑥ \(k^{2}+1\) ⑦ \(k^{2}-k+2\) ⑧ \(k^{2}-3k+6\)
【型】分母の有理化 → 値を整数で挟んで整数部分を決める
【なぜこうするか】 分母に無理数があると大きさが見えません。まず有理化して「整数+無理数」の形にすれば、整数部分が読みやすくなります。
(1) \(\dfrac{1}{\sqrt{3}-1}=\dfrac{\sqrt{3}+1}{(\sqrt{3})^{2}-1^{2}}=\dfrac{\sqrt{3}+1}{2}\)。アは3、イは1、ウは2です。
\(1.7\lt\sqrt{3}\lt 1.8\) なので \(\dfrac{2.7}{2}\lt\dfrac{\sqrt{3}+1}{2}\lt\dfrac{2.8}{2}\)、すなわち値は \(1.35\) と \(1.4\) の間。整数部分は1でエは1です。
(2) \(n=k^{2}+1\) のときは、分母を有理化すると分母がちょうど1になります。
\[\dfrac{1}{\sqrt{k^{2}+1}-k}=\dfrac{\sqrt{k^{2}+1}+k}{(k^{2}+1)-k^{2}}=\sqrt{k^{2}+1}+k\]
あとは \(\sqrt{k^{2}+1}\) を挟むだけ。問題文が示すとおり3つの数を比べます。
\[k^{2}\lt k^{2}+1\leqq k^{2}+2k+1=(k+1)^{2}\]
(\(k\geqq 1\) なので \(1\leqq 2k+1\)。等号は成り立たないので実際は真の不等号。)平方根をとると \(k\lt\sqrt{k^{2}+1}\lt k+1\)、したがって
\[2k\lt\sqrt{k^{2}+1}+k\lt 2k+1\]
整数部分は \(2k\) でオは③です。
【検算】 \(k=1,\ 2,\ 3,\ 5\) で実際に値を計算すると \(2.414\)、\(4.236\)、\(6.162\)、\(10.099\)。整数部分はそれぞれ \(2,\ 4,\ 6,\ 10\) で、確かに \(2k\) と一致しました。
【定石】 \(\dfrac{1}{\sqrt{A}-k}\) の有理化で分母が \(A-k^{2}\) になる。\(A=k^{2}+1\) なら分母が1になり、整数部分を読み取れる形になる。
〔1〕(3) 逆数をとって不等号の向きを反転させ、\(n\) の範囲を出す
①の整数部分 \(a\) の値について、\(a\geqq k\) となる \(n\) の個数を求めよう。\(k\) が自然数であることを考慮すると、\(a\geqq k\) であるための必要十分条件は \(\dfrac{1}{\sqrt{n}-k}\)カ\(k\ \cdots\cdots\ ②\) である。②の両辺の逆数をとると \(\sqrt{n}-k\)キ\(\dfrac{1}{k}\ \cdots\cdots\ ③\) となる。③であるための必要十分条件を、自然数 \(m\) を用いて \(n\)キ\(k^{2}+m+\dfrac{1}{k^{2}}\) と表すと \(m=\)クである。したがって、\(n\gt k^{2}\) に注意すると、次のことがわかる。\(k=1\) に対して、\(a\geqq k\) となる \(n\) の個数はケ個である。2以上の \(k\) に対して、\(a\geqq k\) となる \(n\) の個数はコ個である。(カ・キの解答群)⓪ \(\leqq\) ① \(=\) ② \(\geqq\) (コの解答群)⓪ 0 ① 1 ② 2 ③ 3 ④ \(k\) ⑤ \(|k-4|\) ⑥ \((k^{2}+2)\) ⑦ \((k^{2}-5k+8)\)
【型】整数部分 \(\geqq\) 整数 \(k\) ⟺ もとの値 \(\geqq k\)(\(k\) が整数のときだけ成り立つ)
【なぜこうするか】 「整数部分が \(k\) 以上」と「値そのものが \(k\) 以上」は、\(k\) が整数だからこそ同値になります(\(k\) が整数でなければ崩れます)。問題文が「\(k\) が自然数であることを考慮すると」とわざわざ書いているのはそのためです。カは②です。
次に逆数。①も \(k\) も正なので、逆数をとると不等号の向きが逆になります。
\[\dfrac{1}{\sqrt{n}-k}\geqq k\ \Longrightarrow\ \sqrt{n}-k\leqq\dfrac{1}{k}\]
キは⓪です。移項して2乗すると(両辺とも正)
\[\sqrt{n}\leqq k+\dfrac{1}{k}\ \Longrightarrow\ n\leqq\left(k+\dfrac{1}{k}\right)^{2}=k^{2}+2+\dfrac{1}{k^{2}}\]
よって \(m=2\) でクは2です。
あとは \(k^{2}\lt n\leqq k^{2}+2+\dfrac{1}{k^{2}}\) を満たす自然数 \(n\) を数えます。ここで\(\dfrac{1}{k^{2}}\) が1以上かどうかで場合が分かれるのがポイントです。
\(k=1\) のとき:\(\dfrac{1}{k^{2}}=1\) なので \(1\lt n\leqq 4\)。\(n=2,\ 3,\ 4\) の3個。ケは3です。
\(k\geqq 2\) のとき:\(\dfrac{1}{k^{2}}\leqq\dfrac{1}{4}\lt 1\) なので、上限は \(k^{2}+2\) をわずかに超える程度。整数は \(k^{2}+1\) と \(k^{2}+2\) の2個です。コは②です。
【検算】 実際に計算機で数えました。\(k=1\) では \(n=2,3,4\) の3個。\(k=2\) では \(n=5,6\)、\(k=3\) では \(n=10,11\)、\(k=4\) では \(n=17,18\)、\(k=10\) では \(n=101,102\) と、いずれもちょうど2個。理論どおりです。
【定石】 正の数の逆数をとると不等号が逆転する。「小さい数の逆数は大きい」という当たり前のことだが、途中で向きを忘れやすいので、逆数をとった瞬間に書き換える習慣をつける。
〔2〕(1)(i) 余弦定理で \(\cos\)、そこから \(\sin\)、そして面積へ
\(\mathrm{AB}=9\)、\(\mathrm{BC}=5\) とする。また、\(n\) は \(5\leqq n\leqq 13\) を満たす自然数とし、\(\mathrm{AC}=n\) とする。\(n=6\) のとき、余弦定理により \(\cos B=\dfrac{\boxed{\text{サ}}}{\boxed{\text{シ}}}\) であることがわかる。このことから \(\sin B=\dfrac{\boxed{\text{ス}}\sqrt{\boxed{\text{セ}}}}{\boxed{\text{ソ}}}\) であるので、\(\triangle\mathrm{ABC}\) の面積はタチ\(\sqrt{\boxed{\text{ツ}}}\) であることがわかる。
【型】余弦定理 → \(\sin^{2}+\cos^{2}=1\) → 面積 \(\dfrac{1}{2}ac\sin B\)
【なぜこうするか】 3辺がわかっているので、角を求めるなら余弦定理。角 \(B\) をはさむ2辺は AB と BC で、向かい合うのは AC です。
\[\cos B=\dfrac{\mathrm{AB}^{2}+\mathrm{BC}^{2}-\mathrm{AC}^{2}}{2\cdot\mathrm{AB}\cdot\mathrm{BC}}=\dfrac{81+25-36}{2\cdot 9\cdot 5}=\dfrac{70}{90}=\dfrac{7}{9}\]
サは7、シは9です。\(B\) は三角形の内角なので \(\sin B\gt 0\)。
\[\sin B=\sqrt{1-\left(\dfrac{7}{9}\right)^{2}}=\sqrt{\dfrac{81-49}{81}}=\dfrac{\sqrt{32}}{9}=\dfrac{4\sqrt{2}}{9}\]
スは4、セは2、ソは9です。面積は
\[\dfrac{1}{2}\cdot\mathrm{AB}\cdot\mathrm{BC}\cdot\sin B=\dfrac{1}{2}\cdot 9\cdot 5\cdot\dfrac{4\sqrt{2}}{9}=10\sqrt{2}\]
タチは10、ツは2です。9が約分で消えるので、計算はきれいに終わります。
【検算】 ヘロンの公式でも確かめます。3辺 \(9,\ 5,\ 6\) で \(s=10\)、面積 \(=\sqrt{10\cdot 1\cdot 5\cdot 4}=\sqrt{200}=10\sqrt{2}\) ✓。数式処理系でも同じ値が返りました。
【定石】 3辺から面積を出すルートは2つ。余弦定理→\(\sin\)→\(\dfrac{1}{2}ac\sin B\) とヘロンの公式。前者は途中で \(\cos\) が手に入るので、後の設問で使えることが多い。
〔2〕(1)(ii) 面積最大は「\(|\cos B|\) 最小」に読み替える
花子:\(n\) を5から13まで1ずつ増やしていく様子を図にかいてみると、\(B\) は大きくなり \(C\) は小さくなるね。太郎:どの \(n\) で三角形の面積が最大になるかな。太郎:3辺の長さを考えるから、\(\sin B\) より \(\cos B\) の方が計算しやすそうだね。\(\cos B\) と面積の関係を考えてみよう。 \(\triangle\mathrm{ABC}\) の面積が最大になるのは、\(\sin B\) の値が最もテときであり、\(|\cos B|\) の値が最もトときである。ここで、\(5\leqq n\leqq 13\) であることに注意すると、\(\cos B\) の値が負であるのは、\(n=\)ナのときのみであることがわかる。以上のことから、\(\triangle\mathrm{ABC}\) の面積が最大となるのは、\(n=\)ニのときのみである。(テ・トの解答群)⓪ 小さい ① 大きい (ナの解答群)⓪ 7,8 ① 7,8,9 ② 7,8,9,10 ③ 9,10 ④ 9,10,11 ⑤ 9,10,11,12 ⑥ 10,11,12,13 ⑦ 11,12,13 ⑧ 12,13 (ニの解答群)⓪ 5 ① 5,6 ② 5,13 ③ 7 ④ 7,8 ⑤ 8 ⑥ 10 ⑦ 10,11 ⑧ 11 ⑨ 13
【型】\(\sin\) の最大は \(|\cos|\) の最小(\(\sin^{2}+\cos^{2}=1\) より)
【なぜこうするか】 面積は \(\dfrac{1}{2}\cdot 9\cdot 5\cdot\sin B\) で、\(9\) と \(5\) は固定。だから面積最大 ⟺ \(\sin B\) 最大でテは①です。
この方法でうまく解ける理由は、3辺から \(\cos B\) を直接計算できるからです。\(\sin^{2}B=1-\cos^{2}B\) なので、\(\sin B\) が最大 ⟺ \(|\cos B|\) が最小。トは⓪です。\(\cos B\) が負になる場合もあるため、絶対値を付けて比較します。
余弦定理から
\[\cos B=\dfrac{81+25-n^{2}}{90}=\dfrac{106-n^{2}}{90}\]
\(\cos B\lt 0\) は \(n^{2}\gt 106\)。\(10^{2}=100\lt 106\lt 121=11^{2}\) なので \(n\geqq 11\)、つまり \(n=11,\ 12,\ 13\)。ナは⑦です。
\(|\cos B|=\dfrac{|106-n^{2}|}{90}\) を最小にする \(n\) は、\(n^{2}\) が106にいちばん近いもの。\(n=10\) で \(|106-100|=6\)、\(n=11\) で \(|106-121|=15\)。よって \(n=10\) が最小でニは⑥です。
【検算】 \(n=5\) から13まで \(\cos B\) を全部計算すると \(\dfrac{9}{10},\ \dfrac{7}{9},\ \dfrac{19}{30},\ \dfrac{7}{15},\ \dfrac{5}{18},\ \dfrac{1}{15},\ -\dfrac{1}{6},\ -\dfrac{19}{45},\ -\dfrac{7}{10}\)。負になるのは \(n=11,12,13\) ✓、絶対値が最小なのは \(n=10\) の \(\dfrac{1}{15}\) ✓。このとき面積は \(\dfrac{45}{2}\sqrt{1-\dfrac{1}{225}}=\dfrac{45}{2}\cdot\dfrac{4\sqrt{14}}{15}=6\sqrt{14}\fallingdotseq 22.45\) で、\(n=6\) の \(10\sqrt{2}\fallingdotseq 14.1\) より確かに大きくなっています。
【定石】 三角形の2辺が固定なら面積最大は「はさむ角が \(90^{\circ}\) に最も近いとき」。\(|\cos|\) が最小=角が \(90^{\circ}\) に近い、と読み替えられる。
〔2〕(1)(iii)(2) 外接円の半径は、向かい合う角の \(\sin\) で決まる
(iii) \(\triangle\mathrm{ABC}\) の外接円の半径を \(R\) とする。\(5\leqq n\leqq 13\) において、\(R\) の値が最も小さくなるときの \(n\) について考えよう。(ii)のように、\(\sin C\) や \(|\cos C|\) の値が最も大きいときや、最も小さいときを考える。これにより、\(R\) の値が最も小さくなるのは \(n=\)ヌのときのみである。(解答群は(ii)のニと同じ。④は 7,8。) (2) 外接円の半径が等しい \(\triangle\mathrm{ABC}\) と \(\triangle\mathrm{A}’\mathrm{BC}\) は、\(\mathrm{BC}=a\)、\(\mathrm{AB}=\mathrm{A}’\mathrm{B}=c\)、\(\mathrm{AC}=4\)、\(\mathrm{A}’\mathrm{C}=5\) を満たすとする。また、\(a,\ c\) は \(a\leqq c\) を満たす自然数とする。このとき \(a=\)ネ、\(c=\)ノである。
【型】正弦定理 \(\dfrac{\mathrm{AB}}{\sin C}=2R\)。\(R\) 最小 ⟺ \(\sin C\) 最大
【なぜこうするか】 (iii)は(ii)とまったく同じ構造です。今度は辺 AB \(=9\) が固定で、それに向かい合うのは角 \(C\)。正弦定理より
\[2R=\dfrac{\mathrm{AB}}{\sin C}=\dfrac{9}{\sin C}\]
\(R\) 最小 ⟺ \(\sin C\) 最大 ⟺ \(|\cos C|\) 最小です。余弦定理から
\[\cos C=\dfrac{\mathrm{AC}^{2}+\mathrm{BC}^{2}-\mathrm{AB}^{2}}{2\cdot\mathrm{AC}\cdot\mathrm{BC}}=\dfrac{n^{2}+25-81}{10n}=\dfrac{n^{2}-56}{10n}\]
\(n=7\) では \(\dfrac{49-56}{70}=-\dfrac{1}{10}\)、\(n=8\) では \(\dfrac{64-56}{80}=\dfrac{1}{10}\)。絶対値がどちらも \(\dfrac{1}{10}\) で並びます。他の \(n\) はこれより大きいので、\(R\) が最小になるのは \(n=7,\ 8\) のとき。ヌは④です。
(2) 外接円の半径が等しいので、共通の辺 BC \(=a\) に向かい合う角について正弦定理を使うと
\[\dfrac{a}{\sin A}=2R=\dfrac{a}{\sin A’}\ \Longrightarrow\ \sin A=\sin A’\]
この条件は \(A=A’\) か \(A+A’=180^{\circ}\)(\(\cos A=-\cos A’\))のどちらか。両方を試して、\(a\leqq c\) を満たす方を採ります。
余弦定理より \(\cos A=\dfrac{c^{2}+16-a^{2}}{8c}\)、\(\cos A’=\dfrac{c^{2}+25-a^{2}}{10c}\)。
[1] \(\cos A=\cos A’\) のとき:\(10(c^{2}+16-a^{2})=8(c^{2}+25-a^{2})\) を整理して \(c^{2}-a^{2}=20\)。
[2] \(\cos A=-\cos A’\) のとき:同様に整理して \(a^{2}-c^{2}=20\)。これは \(a\gt c\) を意味し、条件 \(a\leqq c\) に反するので不適です。
よって \(c^{2}-a^{2}=20\)、すなわち \((c-a)(c+a)=20\)。\(c-a\) と \(c+a\) は偶奇が一致する(差が \(2a\) で偶数)ので、積が20になる組は \((c-a,\ c+a)=(2,\ 10)\) のみ。
\[c=6,\qquad a=4\]
ネは4、ノは6です。
【検算】 \(a=4,\ c=6\) で両方の三角形を作ります。\(\triangle\mathrm{ABC}\):辺 \(6,\ 4,\ 4\) で \(\cos A=\dfrac{36+16-16}{48}=\dfrac{3}{4}\)。\(\triangle\mathrm{A}’\mathrm{BC}\):辺 \(6,\ 5,\ 4\) で \(\cos A’=\dfrac{36+25-16}{60}=\dfrac{3}{4}\)。確かに一致し、外接円の半径はどちらも \(\dfrac{8\sqrt{7}}{7}\) です。また \(20\) の約数の組をすべて調べても、偶奇が一致するのは \((2,10)\) だけでした。
【定石】 \((c-a)(c+a)=N\) 型の整数問題は偶奇の一致で候補を絞れる。\(c-a\) と \(c+a\) は必ず同じ偶奇なので、\(N\) を「同じ偶奇の2数の積」に分解する組だけを調べればよい。
第2問(配点30) 2次関数(価格と利益)/データの分析(Jリーグ2022)
〔1〕 クリームパンの価格と売り上げ数のデータ(価格100円で160個、110円で140個、130円で100個)から、二人は「価格が10円上がると1日あたりの売り上げ数が20個減る」と考え、【仮定】1日あたりの売り上げ数は、クリームパン1個の価格の1次関数である、を設定した。
〔2〕 日本プロサッカーJ1リーグ2022シーズンにおける18チームの成績データを分析する。外れ値は「(第1四分位数)\(-1.5\times\)(四分位範囲)」以下の値、「(第3四分位数)\(+1.5\times\)(四分位範囲)」以上の値とする。
〔1〕 アイ \(-2\) ウエオ360 カ5 キク90 ケ3 / コ6 サ4 シ4 / スセ80
〔2〕 ソタ15 チ1 / ツ4 テ3 / トナニ 70・17 ヌ4 / ネ5 ノ6
〔1〕(1) 1次関数を作り、定義域を押さえてから最大値を求める
クリームパン1個の価格を \(x\) 円とすると、1日あたりの売り上げ数は \(\left(\right.\)アイ\(x+\)ウエオ\(\left.\right)\) 個となる。売り上げ数は負の数になることはないので、1日あたりの売り上げ数に対してアイ\(x+\)ウエオ\(\geqq 0\ \cdots\cdots\ ①\) が成り立つ。①を解くと \(x\leqq\)カである。1日あたりの売り上げ額を \(y\) 円とすると \(y=x\times\left(\right.\)アイ\(x+\)ウエオ\(\left.\right)\ \cdots\cdots\ ②\) である。②から、\(y\) は \(x=\)キクのときに最大値ケをとる。(カの解答群)⓪ 80 ① 90 ② 120 ③ 140 ④ 160 ⑤ 180 ⑥ 200 ⑦ 240 (ケの解答群)⓪ 14400 ① 15400 ② 16000 ③ 16200 ④ 17200 ⑤ 17400 ⑥ 17600 ⑦ 17800
【型】「\(a\) 増えると \(b\) 減る」=傾き \(-\dfrac{b}{a}\) の1次関数
【なぜこうするか】 10円上がると20個減るので、傾きは \(-\dfrac{20}{10}=-2\)。売り上げ数を \(f(x)=-2x+b\) とおき、\(x=100\) で160個という1点を代入すれば \(b\) が決まります。
\[-200+b=160\ \Longrightarrow\ b=360\]
よって売り上げ数は \(-2x+360\) 個。アイは \(-2\)、ウエオは360です。
売り上げ数が0以上という条件から
\[-2x+360\geqq 0\ \Longrightarrow\ x\leqq 180\]
カは⑤です。この定義域は(2)(3)でも前提になるため、ここで控えておきます。
売り上げ額は \(y=x(-2x+360)=-2x^{2}+360x=-2x(x-180)\)。上に凸で、2つの零点0と180の中点が頂点なので \(x=90\)。
\[y(90)=-2\cdot 8100+360\cdot 90=-16200+32400=16200\]
キクは90、ケは③です。\(90\leqq 180\) で定義域内なので問題ありません。
【検算】 与えられた表と照合します。\(x=110\) なら \(-220+360=140\) 個 ✓、\(x=130\) なら \(-260+360=100\) 個 ✓。売り上げ額も \(x=90\) のとき \(90\times 180=16200\) 円で一致しました。
【定石】 \(y=ax(x-p)\) 型(定数項なし)の頂点は2つの零点の中点。平方完成せずに軸が出る。
〔1〕(2)(3) 利益は「(価格−原価)×売り上げ数」。原価を文字にして条件を出す
クリームパン1個あたりの原価を60円とする。1個あたりの利益とは、価格から原価を引いた金額である。1日あたりの利益を \(z\) 円とすると \(z=\)コ\(\times\left(\right.\)アイ\(x+\)ウエオ\(\left.\right)\ \cdots\cdots\ ③\) である。(1)から、価格はカ円以下にしなければならない。このことに注意すると、③から \(x=\)サのときに \(z\) は最大値シをとる。(コの解答群)⓪ \(x\) ① \(-x\) ② \((x-1)\) ③ \((1-x)\) ④ \((x-30)\) ⑤ \((30-x)\) ⑥ \((x-60)\) ⑦ \((60-x)\) (サの解答群)⓪ 80 ① 90 ② 100 ③ 110 ④ 120 ⑤ 140 ⑥ 160 ⑦ 180 (シの解答群)⓪ 3600 ① 5600 ② 6400 ③ 6800 ④ 7200 ⑤ 7600 ⑥ 8000 ⑦ 8400 (3) クリームパン1個あたりの原価がスセ円以下ならば、価格を適切に決めることで、1日あたりの利益を5000円以上にすることができる。また、原価がスセ円より高くなると、価格をどのように決めても、1日あたりの利益を5000円以上にすることができなくなる。
【型】利益=(1個あたりの利益)×(個数)。2つの零点の中点が最大を与える
【なぜこうするか】 1個あたりの利益は \(x-60\) 円なのでコは⑥。
\[z=(x-60)(-2x+360)=-2(x-60)(x-180)\]
上に凸で零点が60と180。頂点はその中点で \(x=\dfrac{60+180}{2}=120\)。
\[z(120)=(120-60)(-240+360)=60\times 120=7200\]
サは④、シは④です。\(120\leqq 180\) なので定義域内 ✓。
(3) 原価を \(w\) 円として同じことをします。
\[z=(x-w)(-2x+360)=-2(x-w)(x-180)\]
零点が \(w\) と180なので頂点は \(x=\dfrac{w+180}{2}\)。そのときの最大値は
\[z_{\max}=\left(\dfrac{180-w}{2}\right)\times\left(180-w\right)=\dfrac{(180-w)^{2}}{2}\]
これが5000以上であればよいので
\[\dfrac{(180-w)^{2}}{2}\geqq 5000\ \Longrightarrow\ (180-w)^{2}\geqq 10000\ \Longrightarrow\ 180-w\geqq 100\ \Longrightarrow\ w\leqq 80\]
(\(w\lt 180\) なので \(180-w\gt 0\)。)スセは80です。原価が80円を超えると、価格をどう決めても1日5000円の利益は出せません。
【検算】 \(w=80\) のとき最適価格は \(x=130\) 円、\(z=(130-80)(-260+360)=50\times 100=5000\) 円でちょうど5000円 ✓。\(w=81\) なら最大値は \(\dfrac{99^{2}}{2}=4900.5\lt 5000\) で届きません。境目が80円で正しいことが確認できます。
【定石】 文字を含んだまま最大値を求めるときは「零点の中点が頂点」を使うと平方完成が要らない。最大値も「(零点の間隔)の2乗 ÷ 2 ×(先頭の係数の絶対値)」の形で求められる。
〔2〕(1)(2) 四分位範囲から外れ値を求め、除いたときの変化を比べる
表1は2022シーズンの各チームの得点総数を、値の小さい順に並べたもの(29, 30, 30, 31, 32, 33, 35, 43, 44, 45, 45, 46, 46, 47, 48, 52, 65, 70)である。これをデータ \(A\) とする。(1) データ \(A\) の四分位範囲はソタであるので、データ \(A\) の外れ値をすべてあげるとチである。(チの解答群)⓪ 29の一つ ① 70の一つ ② 29, 70の二つ ③ 65, 70の二つ ④ 29, 30, 30の三つ ⑤ 29, 65, 70の三つ ⑥ 52, 65, 70の三つ ⑦ 29, 52, 65, 70の四つ ⑧ 29, 30, 30, 65, 70の五つ (2) データ \(A\) から外れ値を除いたものをデータ \(B\) とする。データ \(A\)、\(B\) の中央値をそれぞれ \(m_{A}\)、\(m_{B}\) とし、平均値をそれぞれ \(\overline{a}\)、\(\overline{b}\) とする。(i) \(m_{A}=\)ツ、\(m_{B}=\)テである。(解答群)⓪ 42.5 ① 43 ② 43.5 ③ 44 ④ 44.5 ⑤ 45 (ii) (データ \(A\) の値の合計)\(-\)(データ \(B\) の値の合計)\(=\)トより \(18\overline{a}=\)ナニ\(\overline{b}+\)トが成り立つ。(トの解答群)⓪ 29 ① 70 ② 89 ③ 99 ④ 135 ⑤ 164 ⑥ 187 ⑦ 216 ⑧ 224
【型】\(n=18\) の四分位数は、下位9個の中央(5番目)と上位9個の中央(14番目)
【なぜこうするか】 18個なので下位9個(1〜9番目)と上位9個(10〜18番目)に分かれ、それぞれの中央が第1・第3四分位数。9個の中央は5番目なので、\(Q_{1}\) は全体の5番目、\(Q_{3}\) は全体の14番目です。
\(Q_{1}=32\)、\(Q_{3}=47\) なので四分位範囲は \(47-32=15\)。ソタは15です。外れ値の判定値は
\[32-1.5\times 15=9.5,\qquad 47+1.5\times 15=69.5\]
\(9.5\) 以下の値はなく、\(69.5\) 以上は70だけ。チは①です(65は69.5未満なので外れ値ではありません)。
(2)(i) データ \(A\) は18個なので中央値は9番目と10番目の平均。
\[m_{A}=\dfrac{44+45}{2}=44.5\]
ツは④です。データ \(B\) は70を除いた17個で、中央値は9番目。小さい順に \(29,30,30,31,32,33,35,43,\mathbf{44},\cdots\) なので \(m_{B}=44\)。テは③です。
(ii) 除いたのは70の1個だけなので、合計の差は70。トは①です。データ \(B\) は17個なので合計は \(17\overline{b}\)、データ \(A\) は18個で合計 \(18\overline{a}\)。したがって
\[18\overline{a}=17\overline{b}+70\]
ナニは17です。
【検算】 表1の18個を実際に足すと771(問題文の値と一致)。\(\overline{a}=\dfrac{771}{18}=42.833\)、\(\overline{b}=\dfrac{701}{17}=41.235\)。\(17\times 41.235+70=701+70=771=18\times 42.833\) ✓ で式が成り立ちます。
【定石】 外れ値を除いたデータの平均は「合計から引いて、個数も減らす」。分母が変わることを忘れると結果がずれます。
〔2〕(2)(iii) 平均・中央値・四分位数の「動きにくさ」を比べる
表1にある18チームの得点総数の合計は771である。データ \(A\)、データ \(B\) の第1四分位数を、それぞれ \(Q_{A}\)、\(Q_{B}\) とする。ここで、外れ値を除くことによる平均値、中央値、第1四分位数それぞれの値の変化の大きさを \(\left|\overline{a}-\overline{b}\right|\)、\(\left|m_{A}-m_{B}\right|\)、\(\left|Q_{A}-Q_{B}\right|\) で考え、これらの値をそれぞれ \(T_{1}\)、\(T_{2}\)、\(T_{3}\) とする。このとき、\(T_{1}\)、\(T_{2}\)、\(T_{3}\) の大小関係はヌである。(④は \(T_{2}=T_{3}\lt T_{1}\)。)
【型】平均は外れ値に敏感、中央値・四分位数は鈍感
【なぜこうするか】 結論の見当は先につきます。平均はすべての値を足すので、極端な値を1つ除くだけで大きく動く。一方、中央値や四分位数は「順位」で決まるので、端の1個を除いても位置がわずかにずれるだけです。あとは実際に計算して確かめます。
\(\overline{a}=\dfrac{771}{18}=42.833\cdots\)、\(\overline{b}=\dfrac{771-70}{17}=\dfrac{701}{17}=41.235\cdots\) なので
\[T_{1}=\left|42.833-41.235\right|=1.598\cdots\]
中央値は \(m_{A}=44.5\)、\(m_{B}=44\) なので \(T_{2}=0.5\)。
第1四分位数は、\(A\)(18個)では5番目で \(Q_{A}=32\)。\(B\)(17個)では下位8個(1〜8番目)の中央、つまり4番目と5番目の平均で
\[Q_{B}=\dfrac{31+32}{2}=31.5\]
よって \(T_{3}=|32-31.5|=0.5\)。まとめると \(T_{2}=T_{3}=0.5\lt T_{1}=1.598\)。ヌは④です。
【検算】 計算機で \(T_{1}=1.5980\)、\(T_{2}=0.5000\)、\(T_{3}=0.5000\)。平均だけが3倍以上動いていることがはっきりわかります。外れ値の影響を受けにくい指標として中央値が推奨される理由が、数値で見えるようになっています。
【定石】 外れ値を除いたときの変化は平均 ≫ 中央値・四分位数。\(n\) が奇数か偶数かで四分位数の求め方が変わる点だけ注意する。
〔2〕(3) 散布図の読み取りと相関係数
(i) 図1は得点総数と勝点の散布図、図2は失点総数と勝点の散布図である。図1は横軸が得点総数(20~80)、縦軸が勝点(20~70)で、18個の点は全体として右上がりに分布する。得点総数の最小値は29、最大値は70であり、最小値29の点の勝点は約39である。図2は横軸が失点総数(30~60)、縦軸が勝点(20~70)で、18個の点は全体として右下がりに分布する。失点総数の最小値は約30、最大値は約56であり、最大値付近の点の勝点は約30である。この配置について、(a) 得点総数が最も小さいチームは、失点総数が最も大きい。(b) 得点総数の範囲は、失点総数の範囲より大きい。(c) 得点総数と勝点の間には正の相関があり、かつ失点総数と勝点の間にも正の相関がある。(a)、(b)、(c)の正誤の組合せとして正しいものはネである。(⑤は (a)誤 (b)正 (c)誤。) (ii) 表2(得失点差:平均0.0、標準偏差13.4/勝点:平均45.6、標準偏差10.0/共分散125.1)を用いると、得失点差と勝点の相関係数はノである。(⓪0.00 ①0.18 ②0.36 ③0.52 ④0.74 ⑤0.89 ⑥0.93 ⑦1.07)
【型】相関の向きは「増えると増えるか、減るか」。相関係数 \(r=\dfrac{s_{xy}}{s_{x}s_{y}}\)
【なぜこうするか】 まず(c)を確認します。図2の点は全体として右下がりに分布しているため、失点総数と勝点には負の相関があります。したがって「正の相関がある」とする(c)は誤です。
(b)は範囲(最大−最小)の比較。得点総数は表1から \(70-29=41\)。失点総数は図2の横軸から読むと最小約30・最大約56で範囲は約26。\(41\gt 26\) なので正です。
(a)は「同じチームかどうか」を問うています。図1で得点総数が最小のチームの勝点と、図2で失点総数が最大のチームの勝点を読み比べると値が異なるので、別のチームです。よって誤。
したがって(a)誤・(b)正・(c)誤でネは⑤です。
(ii)は公式どおり。
\[r=\dfrac{125.1}{13.4\times 10.0}=\dfrac{125.1}{134}=0.9335\cdots\]
最も近いのは0.93でノは⑥です。
【検算】 分母 \(134\) と分子 \(125.1\) の差は \(8.9\) で、\(\dfrac{8.9}{134}=0.066\)。よって \(r\fallingdotseq 1-0.066=0.934\) と暗算でも0.93にたどり着きます。選択肢⑦の \(1.07\) は \(|r|\leqq 1\) に反するので計算前に消せます。得失点差は「得点−失点」なので勝点と強く連動するのが自然で、\(0.93\) という高い値も納得できます。
【定石】 相関の正負は散布図の傾きの向きで判断する。「失点が多いと勝点が下がる」のように、現実の意味から予想してから図を確認すると読み違えない。
- \(\dfrac{1}{\sqrt{A}-k}\) の有理化で分母は \(A-k^{2}\)。\(A=k^{2}+1\) なら分母が1になる(第1問〔1〕(2))。
- 正の数の逆数をとると不等号が逆転。とった瞬間に書き換える(第1問〔1〕(3))。
- 2辺が固定なら面積最大は「はさむ角が \(90^{\circ}\) に最も近いとき」=\(|\cos|\) 最小(第1問〔2〕(1))。
- \(R\) 最小は「向かい合う角の \(\sin\) 最大」。正弦定理を逆に読む(第1問〔2〕(1)(iii))。
- \((c-a)(c+a)=N\) は偶奇の一致で候補が激減(第1問〔2〕(2))。
- \(y=ax(x-p)\) の頂点は2つの零点の中点。平方完成が要らない(第2問〔1〕)。
- 定義域は最初に押さえる。「売り上げ数が負にならない」という条件は、後半の設問でも前提になる(第2問〔1〕)。
- 外れ値を除いた平均は「合計を引き、個数も減らす」(第2問〔2〕(2))。
- 外れ値の影響は 平均 ≫ 中央値・四分位数(第2問〔2〕(2)(iii))。
- 相関の正負は現実の意味から予想してから図を見る(第2問〔2〕(3))。
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第3問(配点20) 図形の性質(重心・外心と、中点が決まる弦)
三角形の重心や外心について考察しよう。以下の問題において比を解答する場合は、最も簡単な整数の比で答えよ。
(1) ア1 イ3 ウ7 / (2) エオ90 カ1
(3)(i) キ2 ク1 ケ4 コ2 サ3 / (ii) シ1 / (4) ス5
(1) 4本の直線のうち、重心・外心が乗るのはどれか
\(\triangle\mathrm{ABC}\) に対し、点 A を通り直線 BC と垂直に交わる直線を \(\ell_{0}\)、点 A と辺 BC の中点を結ぶ直線を \(\ell_{1}\)、\(\angle A\) を二等分する直線を \(\ell_{2}\)、辺 BC の垂直二等分線を \(\ell_{3}\) とする。このとき、重心は直線ア上にあり、外心は直線イ上にある。また、\(\triangle\mathrm{ABC}\) が \(\mathrm{AB}=\mathrm{AC}\) となる二等辺三角形のとき、三つの直線 \(\ell_{1}\)、\(\ell_{2}\)、\(\ell_{3}\) のうち直線 \(\ell_{0}\) と一致する直線はウ。(ア・イの解答群)⓪ \(\ell_{0}\) ① \(\ell_{1}\) ② \(\ell_{2}\) ③ \(\ell_{3}\) (ウの解答群)⓪ ない ① \(\ell_{1}\) のみである ② \(\ell_{2}\) のみである ③ \(\ell_{3}\) のみである ④ \(\ell_{1}\) と \(\ell_{2}\) のみである ⑤ \(\ell_{1}\) と \(\ell_{3}\) のみである ⑥ \(\ell_{2}\) と \(\ell_{3}\) のみである ⑦ \(\ell_{1}\) と \(\ell_{2}\) と \(\ell_{3}\) のすべてである
【型】五心の定義を「何の交点か」で覚える
【なぜこうするか】 三角形の心はそれぞれどの直線の交点かで定義されます。重心=中線の交点、外心=各辺の垂直二等分線の交点、内心=内角の二等分線の交点、垂心=各頂点から対辺への垂線の交点。この対応さえ押さえれば即答です。
\(\ell_{1}\) は A と BC の中点を結ぶ直線=中線なので、重心はこの上にあります。アは①。
\(\ell_{3}\) は BC の垂直二等分線なので、外心はこの上にあります。イは③です。
(ちなみに \(\ell_{0}\) は A から BC への垂線で垂心が乗る直線、\(\ell_{2}\) は内心が乗る直線です。4本すべてが五心と対応しているのが、この小問の設計です。)
\(\mathrm{AB}=\mathrm{AC}\) の二等辺三角形では、頂点 A から下ろした垂線が対称軸になります。対称軸は BC を垂直に二等分し、\(\angle A\) も二等分します。したがって \(\ell_{1}\)(中線)も \(\ell_{2}\)(角の二等分線)も \(\ell_{3}\)(垂直二等分線)も、すべて \(\ell_{0}\) と一致します。ウは⑦です。
【検算】 具体例で確認します。\(\mathrm{A}(0,4)\)、\(\mathrm{B}(-3,0)\)、\(\mathrm{C}(3,0)\) とすると \(\mathrm{AB}=\mathrm{AC}=5\)。BC の中点は \((0,0)\) なので \(\ell_{1}\) は \(y\) 軸。BC の垂直二等分線も \(y\) 軸。\(\angle A\) の二等分線も対称性から \(y\) 軸。A から BC への垂線も \(y\) 軸。4本すべてが一致しました。
【定石】 二等辺三角形では頂角からの中線・角の二等分線・垂線・底辺の垂直二等分線が全部同じ直線になる。だから重心・外心・内心・垂心がすべてその直線上に並ぶ。
(2) 中点が指定された弦は、ちょうど1本しかない
点 O を中心とする円 O があり、その内部に点 O とは異なる点 M をとる。このとき、円 O の弦のうち、その中点が M となるものがいくつあるかについて考えよう。2点 S、T を円 O の周上の点とし、弦 ST の中点が M であるとする。弦 ST が点 O を通るとすると点 M と点 O が一致するので、点 M が点 O と異なる点であることに矛盾する。したがって、3点 O、S、T は同一直線上にないことがわかる。このとき、\(\triangle\mathrm{OST}\) は二等辺三角形となり、\(\angle\mathrm{OMS}=\)エオ\(^{\circ}\) となる。以上のことに注意すると、中点が M となるような円 O の弦はカことがわかる。(カの解答群)⓪ 一つもない ① ちょうど一つある ② ちょうど二つある ③ 三つ以上ある
【型】中心から弦への垂線は弦を2等分する(逆に、中点と中心を結ぶと弦に垂直)
【なぜこうするか】 \(\mathrm{OS}=\mathrm{OT}\)(ともに半径)なので \(\triangle\mathrm{OST}\) は二等辺三角形。M は底辺 ST の中点なので、OM は頂角 O からの中線であり、同時に垂線です。よって \(\angle\mathrm{OMS}=90^{\circ}\)。エオは90です。
ここからが結論です。弦 ST は「M を通り、OM に垂直な直線」でなければならない。M と O が決まれば、そのような直線は1本しか引けません。そして M が円の内部にあれば、その直線は必ず円と2点で交わって弦になります。
したがって中点が M となる弦はちょうど1本。カは①です。
【検算】 \(\mathrm{M}=\mathrm{O}\) を除外している理由も確認できます。\(\mathrm{M}=\mathrm{O}\) なら「O を通り OM に垂直」という条件が意味をなさず、実際にはすべての直径が中点 O をもつので無数にあります。この特別扱いが(3)(ii)と(4)で決定的に効いてきます。
【定石】 円の弦は「中点を1つ決めれば1本に定まる」(中心と異なる限り)。逆に中心が中点なら直径すべてが該当し、無数にある。
(3)(i) 重心は中線を 2:1 に分ける
点 O を中心とする半径6の円 O がある。円 O の周上に \(\angle\mathrm{AOB}=60^{\circ}\) となるように2点 A、B をとる。線分 AB の垂直二等分線と円 O の交点のうち、直線 AB に関して点 O と同じ側にある点を C とする。また、線分 AB の中点を D とし、\(\triangle\mathrm{ABC}\) の重心を G とする。円 O に内接する三角形の外心は、つねに \(\triangle\mathrm{ABC}\) の外心と一致する。ここでは、円 O に内接し、重心も \(\triangle\mathrm{ABC}\) の重心と一致する三角形が、\(\triangle\mathrm{ABC}\) 以外にいくつあるかについて考察しよう。(i) \(\mathrm{CG}:\mathrm{GD}=\)キ\(:\)クより \(\mathrm{CG}=\)ケ\(+\)コ\(\sqrt{\boxed{\text{サ}}}\) となる。
【型】重心は中線を頂点側から \(2:1\) に内分する
【なぜこうするか】 C と D を結ぶ線分は中線(D は AB の中点)なので、重心 G はこれを \(\mathrm{CG}:\mathrm{GD}=2:1\) に分けます。キは2、クは1です。あとは CD の長さがわかれば CG が出ます。
\(\angle\mathrm{AOB}=60^{\circ}\) で \(\mathrm{OA}=\mathrm{OB}=6\) なので、\(\triangle\mathrm{OAB}\) は正三角形。よって \(\mathrm{AB}=6\)、\(\mathrm{AD}=3\)、そして
\[\mathrm{OD}=\sqrt{6^{2}-3^{2}}=\sqrt{27}=3\sqrt{3}\]
C は AB の垂直二等分線(=直線 OD)上にあり、円周上で O から見て D と反対側。したがって
\[\mathrm{CD}=\mathrm{CO}+\mathrm{OD}=6+3\sqrt{3}\]
重心の性質から
\[\mathrm{CG}=\dfrac{2}{3}\mathrm{CD}=\dfrac{2}{3}\left(6+3\sqrt{3}\right)=4+2\sqrt{3}\]
ケは4、コは2、サは3です。
【検算】 座標で確かめます。\(\mathrm{D}(0,0)\)、\(\mathrm{A}(-3,0)\)、\(\mathrm{B}(3,0)\)、\(\mathrm{O}(0,3\sqrt{3})\)、\(\mathrm{C}(0,3\sqrt{3}+6)\) とすると、O から A・B・C までの距離はいずれも \(6.000000\) で確かに円周上 ✓。重心は \(\mathrm{G}(0,\ 2+\sqrt{3})\) で \(\mathrm{CG}=7.464102\)、\(4+2\sqrt{3}=7.464102\) と一致 ✓。\(\mathrm{GD}=3.732051\) で比はちょうど \(2.0000\) でした。
【定石】 中心角 \(60^{\circ}\) の弦は半径と同じ長さ(正三角形ができる)。中心から弦までの距離は \(\dfrac{\sqrt{3}}{2}\times\)半径。
(3)(ii) 「中点が決まる弦は1本」を使って、三角形の個数を決める
点 P を円 O の周上の点で A、B、C とは異なる点とする。このとき、次の【条件】を満たす三角形について考えよう。【条件】点 P を一つの頂点とし、円 O に内接し、重心が G と一致する。 点 M を直線 PG 上の点で、\(\mathrm{PG}:\mathrm{GM}=\)キ\(:\)クを満たし、点 G に関して点 P の反対側にある点とする。このとき、\(\mathrm{PG}\lt\mathrm{CG}\) であることに注意すると、点 M は円 O の内部にあることがわかる。点 M に着目して、(2)を振り返ると、【条件】を満たす三角形についての記述として正しいものはシであることがわかる。(解答群)⓪ 点 P をどこにとっても、条件を満たす三角形は一つもない ① 点 P をどこにとっても、条件を満たす三角形はちょうど一つある ② 点 P をどこにとっても、条件を満たす三角形はちょうど二つある ③ 点 P のとり方によって、条件を満たす三角形の個数が変わる
【型】重心の位置から、残り2頂点を結ぶ辺の中点を逆算する
【なぜこうするか】 三角形の重心の性質を逆向きに使うのがこの小問の核心です。頂点 P と重心 G が決まれば、残り2頂点を結ぶ辺の中点 M は「直線 PG 上で \(\mathrm{PG}:\mathrm{GM}=2:1\)、G の向こう側」として一意に決まります。
そして M が決まれば、(2)より中点が M となる円 O の弦はちょうど1本。その弦の両端が残り2頂点です。
つまり、P を1つ決めるごとに三角形がちょうど1つ定まる。シは①です。
(M が円の内部にあることは問題文が \(\mathrm{PG}\lt\mathrm{CG}\) から保証してくれています。C は G から最も遠い円周上の点なので、他の P では PG がそれより短く、M は内部に収まります。)
【検算】 円周上の P を2万点動かし、\(\mathrm{M}=\dfrac{3\mathrm{G}-\mathrm{P}}{2}\) を計算して「円の内部かつ中心と異なる」かを判定したところ、外れたケースは0件でした。どの P に対しても M は円の内部にあり、しかも中心 O とは一致しません。したがって弦は常にちょうど1本、三角形も常にちょうど1つです。
【定石】 重心 \(\mathrm{G}=\dfrac{\mathrm{P}+\mathrm{Q}+\mathrm{R}}{3}\) なので、\(\mathrm{Q}+\mathrm{R}=3\mathrm{G}-\mathrm{P}\)、つまり QR の中点は \(\dfrac{3\mathrm{G}-\mathrm{P}}{2}\) で一意。「頂点1つと重心」から残りの辺の位置が決まる。
(4) 2つの三角形の重心が一致するのは、直径のときだけ
同じ円に内接する二つの三角形が一つの頂点を共有するとき、それぞれの重心が一致することがあるかどうかを考察しよう。同一円周上に異なる5点 A、P、Q、P’、Q’ があり、\(\triangle\mathrm{APQ}\) の重心を G、\(\triangle\mathrm{AP}’\mathrm{Q}’\) の重心を G’ とする。このとき、次の命題(a)、(b)、(c)の真偽の組合せとして正しいものはスである。(a) \(\angle\mathrm{PAQ}\) が鋭角であるとき、G と G’ が一致することがある。(b) \(\angle\mathrm{PAQ}\) が直角であるとき、G と G’ が一致することがある。(c) \(\angle\mathrm{PAQ}\) が鈍角であるとき、G と G’ が一致することがある。(⑤は (a)偽 (b)真 (c)偽。)
【型】(3)の一意性が破れる唯一の場合を探す
【なぜこうするか】 (3)(ii)で「頂点1つと重心が決まれば三角形は1つ」と示しました。ということは、頂点 A を共有して重心も同じ(\(\mathrm{G}=\mathrm{G}’\))なら、2つの三角形は同じものになってしまい、5点が異なるという条件に反します。
ただし例外が1つあります。(2)で除外した「M が円の中心 O と一致する場合」です。このときは中点が O となる弦=直径が無数にあるので、三角形が複数作れます。
\(\mathrm{M}=\mathrm{O}\) となる条件を式にします。M は PQ の中点なので
\[\dfrac{\mathrm{P}+\mathrm{Q}}{2}=\mathrm{O}\]
これは線分 PQ が直径であることと同じです。
そして PQ が直径のとき、円周角の定理より \(\angle\mathrm{PAQ}=90^{\circ}\)。逆に \(\angle\mathrm{PAQ}=90^{\circ}\) なら PQ は直径です。
したがって \(\mathrm{G}=\mathrm{G}’\) となりうるのは\(\angle\mathrm{PAQ}\) が直角のときに限られます。(a)は偽、(b)は真、(c)は偽でスは⑤です。
【検算】 直角の場合に本当に作れるかを確認します。PQ を直径とすると、その中点は O。A を固定し、O を通る別の直径 P’Q’ をとれば、\(\triangle\mathrm{AP}’\mathrm{Q}’\) の重心は \(\dfrac{\mathrm{A}+\mathrm{P}’+\mathrm{Q}’}{3}=\dfrac{\mathrm{A}+2\mathrm{O}}{3}\)。これは P’ の選び方によらず一定で、\(\triangle\mathrm{APQ}\) の重心 \(\dfrac{\mathrm{A}+2\mathrm{O}}{3}\) と確かに一致します。直径は無数にあるので、5点が異なる例もいくらでも作れます。
【定石】 一意性が示された後の「一致することがあるか」という問いは、一意性の証明で除外した特殊ケースを探す。除外条件そのものが答えになっていることが多い。
第4問(配点20) 確率(非推移的な3つのサイコロ)
各面の目が次で与えられる三つのサイコロ \(\mathbf{x}\)、\(\mathbf{y}\)、\(\mathbf{z}\) がある。\(\mathbf{x}\):3, 3, 3, 3, 3, 5/\(\mathbf{y}\):1, 1, 4, 4, 4, 4/\(\mathbf{z}\):2, 2, 3, 3, 6, 6。いずれのサイコロについても、投げたときに各面の目が出る確率は \(\dfrac{1}{6}\) であるとする。サイコロ \(\mathbf{x}\)、\(\mathbf{y}\)、\(\mathbf{z}\) を投げたとき、出た目をそれぞれ \(X\)、\(Y\)、\(Z\) とする。大きい目が出やすいのはどのサイコロなのかを、いろいろな観点で調べよう。
(1) アイウ \(\dfrac{5}{18}\) / (2) エオカ \(\dfrac{10}{3}\) キ2
(3) クケ \(\dfrac{5}{9}\) コサ \(\dfrac{5}{9}\) シスセ \(\dfrac{7}{18}\) ソ0 タ0 チ0 / (4) ツテト \(\dfrac{5}{18}\) ナ1
(1)(2) まず素直に確率と期待値を計算する
(1) \(X=Z\) となるのは \(X=3\) かつ \(Z=3\) のときであるから、\(X=Z\) となる確率は \(\dfrac{\boxed{\text{ア}}}{\boxed{\text{イウ}}}\) である。(2) \(X\)、\(Y\)、\(Z\) の期待値をそれぞれ \(E_{\mathbf{x}}\)、\(E_{\mathbf{y}}\)、\(E_{\mathbf{z}}\) で表す。この値が大きいサイコロほど大きい目が出やすいと解釈する。期待値 \(E_{\mathbf{x}}\) は、サイコロ \(\mathbf{x}\) の目の合計を6で割った値として求めることができ、その値は \(\dfrac{\boxed{\text{エオ}}}{\boxed{\text{カ}}}\) である。さらに、期待値 \(E_{\mathbf{x}}\)、\(E_{\mathbf{y}}\)、\(E_{\mathbf{z}}\) が満たす不等式はキである。(キの解答群)⓪ \(E_{\mathbf{x}}\lt E_{\mathbf{y}}\lt E_{\mathbf{z}}\) ① \(E_{\mathbf{x}}\lt E_{\mathbf{z}}\lt E_{\mathbf{y}}\) ② \(E_{\mathbf{y}}\lt E_{\mathbf{x}}\lt E_{\mathbf{z}}\) ③ \(E_{\mathbf{y}}\lt E_{\mathbf{z}}\lt E_{\mathbf{x}}\) ④ \(E_{\mathbf{z}}\lt E_{\mathbf{x}}\lt E_{\mathbf{y}}\) ⑤ \(E_{\mathbf{z}}\lt E_{\mathbf{y}}\lt E_{\mathbf{x}}\)
【型】各面が等確率なら、期待値は「目の合計 ÷ 面の数」
【なぜこうするか】 どの面も \(\dfrac{1}{6}\) なので、期待値は単なる平均。問題文が「目の合計を6で割った値」と言っているのはそのためです。
(1) \(X\in\{3,5\}\)、\(Z\in\{2,3,6\}\) なので、両者が等しくなるのは3のときだけ。
\[P(X=3)=\dfrac{5}{6},\qquad P(Z=3)=\dfrac{2}{6}=\dfrac{1}{3}\]
独立なので \(P(X=Z)=\dfrac{5}{6}\times\dfrac{1}{3}=\dfrac{5}{18}\)。アは5、イウは18です。
(2) 合計を6で割ります。
\[E_{\mathbf{x}}=\dfrac{3\times 5+5}{6}=\dfrac{20}{6}=\dfrac{10}{3}\]
\[E_{\mathbf{y}}=\dfrac{1\times 2+4\times 4}{6}=\dfrac{18}{6}=3\]
\[E_{\mathbf{z}}=\dfrac{2\times 2+3\times 2+6\times 2}{6}=\dfrac{22}{6}=\dfrac{11}{3}\]
エオは10、カは3です。分母を3にそろえると \(E_{\mathbf{y}}=\dfrac{9}{3}\lt E_{\mathbf{x}}=\dfrac{10}{3}\lt E_{\mathbf{z}}=\dfrac{11}{3}\)。キは②です。
期待値で見ると\(\mathbf{z}\) がいちばん強く、\(\mathbf{y}\) がいちばん弱いという順位がつきました。ところが——というのが(3)です。
【検算】 目の合計は \(\mathbf{x}\) が20、\(\mathbf{y}\) が18、\(\mathbf{z}\) が22。6で割ると \(\dfrac{10}{3}=3.33\)、\(3\)、\(\dfrac{11}{3}=3.67\) で、3つとも普通のサイコロの期待値 \(3.5\) の近くに収まっています。差はごくわずかです。
【定石】 等確率なら期待値=平均。まず全部の期待値を並べるのが、この手の比較問題の第一歩。
(3)前半 「どちらが大きいか」の確率を、1つずつ数える
\(X\lt Y\) となるのは \(X=3\) かつ \(Y=4\) のときであるから \(P(X\lt Y)=\dfrac{\boxed{\text{ク}}}{\boxed{\text{ケ}}}\) である。また \(P(Y\lt Z)=\dfrac{\boxed{\text{コ}}}{\boxed{\text{サ}}}\) であり \(P(Z\lt X)=\dfrac{\boxed{\text{シ}}}{\boxed{\text{スセ}}}\) である。
【型】目の組合せを場合分けして、確率を足す
【なぜこうするか】 目の種類が少ないので、ていねいに場合を書き出すのが確実です。表を作るつもりで進めます。
\(P(X\lt Y)\):\(X\in\{3,5\}\)、\(Y\in\{1,4\}\)。\(X\lt Y\) となるのは \(X=3,\ Y=4\) のみ(\(X=5\) なら \(Y=4\) でも足りない)。
\[P=\dfrac{5}{6}\times\dfrac{4}{6}=\dfrac{20}{36}=\dfrac{5}{9}\]
クは5、ケは9です。
\(P(Y\lt Z)\):\(Y=1\) なら \(Z\) は2,3,6 のどれでも \(Y\lt Z\)。\(Y=4\) なら \(Z=6\) のときだけ。
\[P=\dfrac{2}{6}\times 1+\dfrac{4}{6}\times\dfrac{2}{6}=\dfrac{1}{3}+\dfrac{2}{9}=\dfrac{3+2}{9}=\dfrac{5}{9}\]
コは5、サは9です。
\(P(Z\lt X)\):\(Z=2\) なら \(X\) は3でも5でも \(Z\lt X\)。\(Z=3\) なら \(X=5\) のときだけ。\(Z=6\) は該当なし。
\[P=\dfrac{2}{6}\times 1+\dfrac{2}{6}\times\dfrac{1}{6}=\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{18}=\dfrac{6+1}{18}=\dfrac{7}{18}\]
シは7、スセは18です。
【検算】 36通りをすべて列挙して数えたところ、\(P(X\lt Y)=\dfrac{5}{9}\)、\(P(Y\lt Z)=\dfrac{5}{9}\)、\(P(Z\lt X)=\dfrac{7}{18}\) で完全に一致しました。また \(P(X\gt Y)=\dfrac{4}{9}\)、\(P(Y\gt Z)=\dfrac{4}{9}\)、\(P(Z\gt X)=\dfrac{1}{3}\) も確認済みです。
【定石】 \(6\times 6=36\) 通りしかないので、迷ったら表を書く。目の種類が2〜3種なら、種類ごとにまとめて数える方が速い。
(3)後半 じゃんけんのような循環——非推移的サイコロ
【サイコロ \(\mathbf{x}\)、\(\mathbf{y}\)、\(\mathbf{z}\) の関係】\(P(X\gt Y)\) が \(P(X\lt Y)\) より大きければ \(\mathbf{x}\gg\mathbf{y}\) で表す。小さければ \(\mathbf{x}\ll\mathbf{y}\) で表す。等しければ \(\mathbf{x}\approx\mathbf{y}\) で表す。\(\mathbf{y}\) と \(\mathbf{z}\)、\(\mathbf{z}\) と \(\mathbf{x}\) についても同様に定める。(1)で求めた確率 \(\dfrac{\boxed{\text{ア}}}{\boxed{\text{イウ}}}\) に注意すると、サイコロ \(\mathbf{x}\)、\(\mathbf{y}\)、\(\mathbf{z}\) の関係は \(\mathbf{x}\)ソ\(\mathbf{y}\)、\(\mathbf{y}\)タ\(\mathbf{z}\)、\(\mathbf{z}\)チ\(\mathbf{x}\) となる。(解答群)⓪ \(\ll\) ① \(\approx\) ② \(\gg\)
【型】\(P(\gt)+P(=)+P(\lt)=1\) から、片方がわかればもう片方も出る
【なぜこうするか】 この方法で正しく比較できる理由は、(1)で求めた引き分けの確率も含めて全事象を分けられるからです。\(\mathbf{x}\) と \(\mathbf{y}\)、\(\mathbf{y}\) と \(\mathbf{z}\) は目が一致することがない(\(\{3,5\}\) と \(\{1,4\}\)、\(\{1,4\}\) と \(\{2,3,6\}\) に共通の目がない)ので、\(P(\gt)=1-P(\lt)\) で求められます。一方、\(\mathbf{z}\) と \(\mathbf{x}\) は3が共通なので、引き分けの確率 \(\dfrac{5}{18}\) も引く必要があります。
\(\mathbf{x}\) と \(\mathbf{y}\):\(P(X\lt Y)=\dfrac{5}{9}\)、よって \(P(X\gt Y)=1-\dfrac{5}{9}=\dfrac{4}{9}\)。\(\dfrac{4}{9}\lt\dfrac{5}{9}\) なので \(\mathbf{x}\ll\mathbf{y}\)。ソは⓪です。
\(\mathbf{y}\) と \(\mathbf{z}\):同様に \(P(Y\gt Z)=\dfrac{4}{9}\lt\dfrac{5}{9}=P(Y\lt Z)\) なので \(\mathbf{y}\ll\mathbf{z}\)。タは⓪です。
\(\mathbf{z}\) と \(\mathbf{x}\):ここで(1)を使います。
\[P(Z\gt X)=1-P(Z\lt X)-P(Z=X)=1-\dfrac{7}{18}-\dfrac{5}{18}=\dfrac{6}{18}=\dfrac{1}{3}\]
\(\dfrac{6}{18}\lt\dfrac{7}{18}\) なので \(\mathbf{z}\ll\mathbf{x}\)。チは⓪です。
並べると
\[\mathbf{x}\ll\mathbf{y},\qquad \mathbf{y}\ll\mathbf{z},\qquad \mathbf{z}\ll\mathbf{x}\]
ぐるりと一周してしまいました。「\(\mathbf{y}\) は \(\mathbf{x}\) に強い、\(\mathbf{z}\) は \(\mathbf{y}\) に強い、なのに \(\mathbf{x}\) は \(\mathbf{z}\) に強い」——じゃんけんと同じ構造です。これを非推移的サイコロといいます。(2)の期待値では \(\mathbf{z}\gt\mathbf{x}\gt\mathbf{y}\) と一直線に並んでいたのに、「勝ちやすさ」で見ると順位がつかないのです。
【検算】 36通りの全列挙で確かめました。\(P(X\gt Y)=\dfrac{4}{9}\lt P(X\lt Y)=\dfrac{5}{9}\)、\(P(Y\gt Z)=\dfrac{4}{9}\lt P(Y\lt Z)=\dfrac{5}{9}\)、\(P(Z\gt X)=\dfrac{1}{3}\lt P(Z\lt X)=\dfrac{7}{18}\)。3つとも「左が負ける」で、確かに循環しています。
【定石】 勝敗の比較は「引き分けがあるか」を先に確認する。共通の目があれば \(P(\gt)=1-P(\lt)\) は成り立たず、引き分けの分を引く必要がある。
【よくあるミス】 \(\mathbf{z}\) と \(\mathbf{x}\) で引き分けを忘れ、\(P(Z\gt X)=1-\dfrac{7}{18}=\dfrac{11}{18}\) としてしまうこと。すると \(\mathbf{z}\gg\mathbf{x}\) となり、循環が見えなくなります。
(4) 袋から2つ選ぶ設定にすると、また別の順位がつく
三つのサイコロ \(\mathbf{x}\)、\(\mathbf{y}\)、\(\mathbf{z}\) を袋の中に入れる。袋の中から二つのサイコロを取り出し、同時に投げる。このとき、「サイコロ \(\mathbf{x}\) が袋から取り出され、かつ \(\mathbf{x}\) の目がもう一つのサイコロの目よりも大きい」という事象の確率を \(p_{\mathbf{x}}\) とする。同様に、確率 \(p_{\mathbf{y}}\)、\(p_{\mathbf{z}}\) を定める。この値が大きいサイコロほど大きい目が出やすいと解釈する。確率 \(p_{\mathbf{x}}\) は \(\dfrac{\boxed{\text{ツ}}}{\boxed{\text{テト}}}\) である。さらに、確率 \(p_{\mathbf{x}}\)、\(p_{\mathbf{y}}\)、\(p_{\mathbf{z}}\) が満たす不等式はナである。(ナの解答群)⓪ \(p_{\mathbf{x}}\lt p_{\mathbf{y}}\lt p_{\mathbf{z}}\) ① \(p_{\mathbf{x}}\lt p_{\mathbf{z}}\lt p_{\mathbf{y}}\) ② \(p_{\mathbf{y}}\lt p_{\mathbf{x}}\lt p_{\mathbf{z}}\) ③ \(p_{\mathbf{y}}\lt p_{\mathbf{z}}\lt p_{\mathbf{x}}\) ④ \(p_{\mathbf{z}}\lt p_{\mathbf{x}}\lt p_{\mathbf{y}}\) ⑤ \(p_{\mathbf{z}}\lt p_{\mathbf{y}}\lt p_{\mathbf{x}}\)
【型】「どの2つが選ばれるか」で場合分けし、各場合の確率を足す
【なぜこうするか】 3つから2つを選ぶ組は \(\{\mathbf{x},\mathbf{y}\}\)、\(\{\mathbf{x},\mathbf{z}\}\)、\(\{\mathbf{y},\mathbf{z}\}\) の3通りで、どれも等しく \(\dfrac{1}{3}\)。\(\mathbf{x}\) が選ばれるのは前の2つの場合だけです。
\[p_{\mathbf{x}}=\dfrac{1}{3}P(X\gt Y)+\dfrac{1}{3}P(X\gt Z)\]
(3)より \(P(X\gt Y)=\dfrac{4}{9}\)、そして \(P(X\gt Z)=P(Z\lt X)=\dfrac{7}{18}\) なので
\[p_{\mathbf{x}}=\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{4}{9}+\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{7}{18}=\dfrac{8}{54}+\dfrac{7}{54}=\dfrac{15}{54}=\dfrac{5}{18}\]
ツは5、テトは18です。同じように
\[p_{\mathbf{y}}=\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{5}{9}+\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{4}{9}=\dfrac{9}{27}=\dfrac{1}{3},\qquad p_{\mathbf{z}}=\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{3}\cdot\dfrac{5}{9}=\dfrac{8}{27}\]
小数に直すと \(p_{\mathbf{x}}=0.278\)、\(p_{\mathbf{z}}=0.296\)、\(p_{\mathbf{y}}=0.333\)。よって
\[p_{\mathbf{x}}\lt p_{\mathbf{z}}\lt p_{\mathbf{y}}\]
ナは①です。
ここが本問の締めくくりです。3つの観点で、3つとも違う結論が出ました。期待値で見れば \(\mathbf{z}\) が最強、1対1の勝ちやすさで見れば順位がつかない(循環)、袋から2つ選ぶ設定で見れば \(\mathbf{y}\) が最強。「大きい目が出やすい」という言葉は、測り方を決めないと意味を持たない——それがこの問題の伝えたいことです。
【検算】 有理数のまま計算機で求めると \(p_{\mathbf{x}}=\dfrac{5}{18}=0.277778\)、\(p_{\mathbf{y}}=\dfrac{1}{3}=0.333333\)、\(p_{\mathbf{z}}=\dfrac{8}{27}=0.296296\)。確かに \(p_{\mathbf{x}}\lt p_{\mathbf{z}}\lt p_{\mathbf{y}}\) です。3つの合計は \(\dfrac{5}{18}+\dfrac{1}{3}+\dfrac{8}{27}=\dfrac{15+18+16}{54}=\dfrac{49}{54}\)。1にならないのは、引き分けの分(\(\mathbf{x}\) と \(\mathbf{z}\) がともに3を出す場合)が抜けているからで、計算のつじつまも合っています。
【定石】 「どちらが強いか」は比較のルールで結論が変わる。期待値・1対1の勝率・総当たりでの勝率は別物で、順位が一致するとは限らない。
- 五心は「何の交点か」で覚える。重心=中線、外心=垂直二等分線、内心=角の二等分線、垂心=垂線(第3問(1))。
- 中点を1つ決めれば弦は1本に定まる(中心と異なる限り)。中心が中点なら直径すべてで無数(第3問(2))。
- 頂点1つと重心が決まれば、残りの辺の中点が決まる。\(\dfrac{3\mathrm{G}-\mathrm{P}}{2}\)(第3問(3))。
- 一意性の例外を探す。「一致することがあるか」の答えは、除外した特殊ケースにある(第3問(4))。
- 等確率なら期待値=目の平均(第4問(2))。
- 勝敗の比較では引き分けの有無を先に確認。共通の目があると \(P(\gt)=1-P(\lt)\) が崩れる(第4問(3))。
- 非推移的サイコロ:\(\mathbf{x}\ll\mathbf{y}\ll\mathbf{z}\ll\mathbf{x}\) とじゃんけんのように循環することがある(第4問(3))。
- 「強さ」は測り方で変わる。期待値・1対1・総当たりで順位が食い違う(第4問(4))。

