2026年(令和8年度)大学入学共通テスト 追・再試験の数学Ⅱ・数学B・数学Cについて、問題文・条件・選択肢を本文に再掲し、解答と途中式、解法を選ぶ理由まで解説します。執筆は数強塾代表・藤原進之介です。
追・再試験は本試験と同じ出題範囲の演習に使えます。本試験を解き終えた後に、別の設定でも同じ解法を選べるか確認したい受験生に適した問題です。
第1問〜第3問が必答、第4問〜第7問から3問を選択し、計6問を解答する形式です。この記事では第1問から第7問まで、全37解説単位を掲載しています。
この記事の目次
- 第1問(必答・配点15) 複素数を係数にもつ2次方程式
- 第2問(必答・配点15) 対数をとって、指数の連立不等式を直線の領域に変える
- 第3問(必答・配点22) 3次関数のグラフと接線が囲む面積
- 第4問(選択・配点16) 3項間漸化式と、隣り合う3項が作る不変量
- 第5問(選択・配点16) 統計的な推測(不良品率の仮説検定)
- 第6問(選択・配点16) ベクトル(3点が互いを内分し合う循環条件)
- 第7問(選択・配点16) 絶対値を含む極方程式
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第1問(必答・配点15) 複素数を係数にもつ2次方程式
2次方程式の解と、共役な複素数の関係について考察する。実数係数のときに成り立つ「虚数解は共役な2つが対になる」という性質が、係数が複素数になると崩れることを確かめ、複素数係数の2次方程式を実際に解く。
(1) ア2 イ2 ウ3 エ3 / (2) オ5 カ4 キ- ク2
(3) ケ1 コ2 サ6 シ8 ス3 セ6 ソ2 タ2 チ2
(1) 実数係数なら、虚数解は必ず共役な2つで対になる
2次方程式 \(x^{2}-4x+16=0\) の解は、\(x=\)ア\(\pm\)イ\(\sqrt{\boxed{\text{ウ}}}\,i\) であり、二つの解は互いに共役な複素数であることがわかる。\(p\)、\(q\) が実数であるとき、2次方程式 \(x^{2}+px+q=0\) …① の解は \(x=\)エである。したがって、①の解の一つが虚数であるとき、もう一つの解も虚数であり、二つの解は互いに共役な複素数であることがわかる。(エの解答群)⓪ \(\dfrac{p\pm\sqrt{p^{2}+4q}}{2}\) ① \(\dfrac{p\pm\sqrt{p^{2}-4q}}{2}\) ② \(\dfrac{-p\pm\sqrt{p^{2}+4q}}{2}\) ③ \(\dfrac{-p\pm\sqrt{p^{2}-4q}}{2}\)
【型】解の公式で判別式の中身を見る
【なぜこうするか】 具体例と一般の式はいずれも2次方程式なので、解の公式を使えば、解と共役複素数の関係を同じ手順で確認できます。
\[x=\dfrac{4\pm\sqrt{16-64}}{2}=\dfrac{4\pm\sqrt{-48}}{2}=\dfrac{4\pm 4\sqrt{3}\,i}{2}=2\pm 2\sqrt{3}\,i\]
アは2、イは2、ウは3です。
次に \(x^{2}+px+q=0\)。解の公式そのままで
\[x=\dfrac{-p\pm\sqrt{p^{2}-4q}}{2}\]
エは③です。ここで\(p\)、\(q\) が実数だから \(\sqrt{p^{2}-4q}\) の中身も実数で、負なら虚数単位が出てきて \(\pm\) の形になる。だから虚数解は必ず共役な2つで現れます。
【検算】 \(x=2+2\sqrt{3}\,i\) を代入すると \((2+2\sqrt{3}i)^{2}-4(2+2\sqrt{3}i)+16=(4+8\sqrt{3}i-12)-(8+8\sqrt{3}i)+16=0\) ✓。数式処理でも解は \(2\pm 2\sqrt{3}\,i\) と確認できました。
【定石】 実数係数の方程式は、虚数解が共役なペアで出る。係数に虚数が含まれる場合はこの性質をそのまま使えないため、実際に代入して確認する。
(2) 係数が複素数になると、共役はもう解ではない
\((2-i)^{2}+2i(2-i)\) を計算するとオであるから、\(z=2-i\) は \(z^{2}+2iz-\)オ\(=0\) …②を満たしている。また、\(\bar{z}\) を \(2-i\) と共役な複素数とするとき \((\bar{z})^{2}+2i\bar{z}-\)オ\(\neq 0\) となる。②を変形すると \((z+i)^{2}=\)カ…③ となる。したがって、\(z=2-i\) の他に \(z=\)キク\(-i\) も②を満たすことがわかる。
【型】計算した値をそのまま定数項に据える/平方完成で解く
【なぜこうするか】 まず素直に展開します。
\[(2-i)^{2}=4-4i+i^{2}=3-4i,\qquad 2i(2-i)=4i-2i^{2}=2+4i\]
足すと \((3-4i)+(2+4i)=5\)。虚部が打ち消し合って実数の5になりました。オは5です。つまり \(z=2-i\) は \(z^{2}+2iz-5=0\) の解です。
次に共役 \(\bar{z}=2+i\) を代入してみます。
\[(2+i)^{2}+2i(2+i)-5=(3+4i)+(-2+4i)-5=-4+8i\neq 0\]
共役は解になりません。(1)で「実数係数なら共役もセットで解」と確認した直後にこれを見せるのが、この問題の狙いです。②は \(2i\) という虚数の係数をもつので、(1)の理屈がそのまま使えません。
では②のもう一つの解は何か。平方完成します。
\[z^{2}+2iz-5=(z+i)^{2}-i^{2}-5=(z+i)^{2}+1-5=(z+i)^{2}-4\]
よって \((z+i)^{2}=4\) でカは4。すると \(z+i=\pm 2\) から
\[z=2-i\qquad z=-2-i\]
の2つが解です。
キクは \(-2\)(キが \(-\)、クが2)です。
【検算】 数式処理で \(z^{2}+2iz-5=0\) を解くと解は \(2-i\) と \(-2-i\) の2つ。共役 \(2+i\) を代入した値は \(-4+8i\) で確かに0ではありませんでした。また \((z+i)^{2}-(z^{2}+2iz-5)=4\) も確認済みです。
【定石】 複素数係数でも平方完成は使える。\(z^{2}+2\alpha z+\beta=(z+\alpha)^{2}-\alpha^{2}+\beta\) は係数が複素数でもそのまま成立する。
【よくあるミス】 「2次方程式の虚数解は共役どうし」を無条件に信じて、\(2+i\) をもう一つの解にしてしまうこと。この定理は実数係数のときだけです。
(3)前半 複素数係数でも、まず平方完成
\(z^{2}-(2+4i)z-9+12i=0\) …④ を満たす複素数 \(z\) を求めよう。④を変形すると \(\left(z-\boxed{\text{ケ}}-\boxed{\text{コ}}\,i\right)^{2}=\)サ\(-\)シ\(i\) …⑤ と表せる。\(w=z-\)ケ\(-\)コ\(i\) とおくと、⑤は \(w^{2}=\)サ\(-\)シ\(i\) …⑥ となる。
【型】\(z^{2}+2\alpha z\) の形を見たら \(\alpha\) をつくって平方完成
【なぜこうするか】 \(z\) の係数は \(-(2+4i)\)。これを \(2\alpha\) と見れば \(\alpha=-(1+2i)\) なので、\(\left(z-(1+2i)\right)^{2}\) を作ればよいとわかります。
\[\left(z-1-2i\right)^{2}=z^{2}-2(1+2i)z+(1+2i)^{2}\]
ここで \((1+2i)^{2}=1+4i+4i^{2}=-3+4i\) なので
\[\left(z-1-2i\right)^{2}=z^{2}-(2+4i)z-3+4i\]
④の左辺と見比べると、④の左辺は上の式より \((-9+12i)-(-3+4i)=-6+8i\) だけ小さい。したがって
\[\left(z-1-2i\right)^{2}-6+8i=0\quad\Longleftrightarrow\quad \left(z-1-2i\right)^{2}=6-8i\]
ケは1、コは2、サは6、シは8です。
③の右辺は実数の4でしたが、⑤の右辺は \(6-8i\) という虚数です。そこで平方根を実数の平方根だけで処理せず、次の設問では実部と虚部に分けて求めます。
【検算】 数式処理で \(\left(z-1-2i\right)^{2}-(6-8i)\) と \(z^{2}-(2+4i)z-9+12i\) の差を計算したところちょうど0。変形は正しいです。
【定石】 \(z^{2}+\beta z\) の平方完成は、係数が複素数でも \(\left(z+\dfrac{\beta}{2}\right)^{2}-\dfrac{\beta^{2}}{4}\) でよい。
(3)中盤 \(w=a+bi\) とおいて、実部と虚部で連立させる
太郎「③の右辺は実数だったけど、⑤の右辺は虚数だね。」花子「そうだね。\(w\) が実数だと \(w^{2}\) も実数になって⑥が成り立たないね。\(w\) が虚数の場合はどうかな。」 \(w\) を虚数とすると、実数 \(a\)、\(b\) を用いて \(w=a+bi\) とおける。ただし \(b\neq 0\) である。このとき \(w^{2}\) は \(a\)、\(b\) を用いて \(w^{2}=\)ス\(+\)セ\(i\) …⑦ と表せる。(ス、セの解答群。同じものを繰り返し選んでもよい。)⓪ \((a+b)\) ① \((a-b)\) ② \((a^{2}+b^{2})\) ③ \((a^{2}-b^{2})\) ④ \(2a\) ⑤ \(2b\) ⑥ \(2ab\) ⑦ \(a^{2}b^{2}\)
【型】複素数の等式は「実部=実部」「虚部=虚部」に分解する
【なぜこうするか】 \(\sqrt{6-8i}\) を \(a+bi\) とおけば、2乗したときの実部と虚部を比較できます。複素数の平方根を実数の連立方程式へ変換できるため、この方法を選びます。
\[w^{2}=(a+bi)^{2}=a^{2}+2abi+b^{2}i^{2}=(a^{2}-b^{2})+2ab\,i\]
スは③、セは⑥です。
【検算】 数式処理で \((a+bi)^{2}\) を展開すると \(a^{2}+2iab-b^{2}\)。実部 \(a^{2}-b^{2}\)、虚部 \(2ab\) で一致しています。
【定石】 \((a+bi)^{2}=(a^{2}-b^{2})+2ab\,i\)。複素数の平方根を実部・虚部の比較で求めるときに使う基本形です。
(3)後半 連立を解いて、複素数の平方根を取り出す
⑥と⑦によりス\(+\)セ\(i=\)サ\(-\)シ\(i\) が成り立つから、実数 \(a\)、\(b\) についての連立方程式が得られる。\(b\) を求めると \(b=\pm\sqrt{\boxed{\text{ソ}}}\) である。さらに、\(a\) を求めることで \(w=\pm\left(\boxed{\text{タ}}\sqrt{\boxed{\text{チ}}}-\sqrt{\boxed{\text{ソ}}}\,i\right)\) が得られる。したがって \(z=w+\)ケ\(+\)コ\(i\) であるから、\(z=\)ケ\(+\)タ\(\sqrt{\boxed{\text{チ}}}+\left(\boxed{\text{コ}}-\sqrt{\boxed{\text{ソ}}}\right)i\) と \(z=\)ケ\(-\)タ\(\sqrt{\boxed{\text{チ}}}+\left(\boxed{\text{コ}}+\sqrt{\boxed{\text{ソ}}}\right)i\) は④を満たすことがわかる。
【型】\(a\) を消去して \(b\) の複2次方程式に持ち込む
【なぜこうするか】 ⑥と⑦を等しいとおくと、実部と虚部から2本の式が出ます。
\[a^{2}-b^{2}=6,\qquad 2ab=-8\]
2本目から \(ab=-4\)、つまり \(a=-\dfrac{4}{b}\)(\(b\neq 0\) なので割れます)。これを1本目へ代入して
\[\dfrac{16}{b^{2}}-b^{2}=6\quad\Longleftrightarrow\quad 16-b^{4}=6b^{2}\quad\Longleftrightarrow\quad b^{4}+6b^{2}-16=0\]
\(b^{2}=t\) とおくと \(t^{2}+6t-16=(t+8)(t-2)=0\)。\(t=b^{2}\geqq 0\) なので \(t=2\)、つまり
\[b=\pm\sqrt{2}\]
ソは2です。あとは \(a=-\dfrac{4}{b}\) から
\[b=\sqrt{2}\ \Rightarrow\ a=-\dfrac{4}{\sqrt{2}}=-2\sqrt{2},\qquad b=-\sqrt{2}\ \Rightarrow\ a=2\sqrt{2}\]
したがって \(w=-2\sqrt{2}+\sqrt{2}\,i\) または \(w=2\sqrt{2}-\sqrt{2}\,i\)、まとめて
\[w=\pm\left(2\sqrt{2}-\sqrt{2}\,i\right)\]
タは2、チは2です。最後に \(z=w+1+2i\) に戻して
\[z=1+2\sqrt{2}+\left(2-\sqrt{2}\right)i,\qquad z=1-2\sqrt{2}+\left(2+\sqrt{2}\right)i\]
この2つが④の解です。実部も虚部も互いに共役になっていない——やはり複素数係数では共役ペアにならないことが、最後にはっきり確認できます。
【検算】 得られた2つの \(z\) を④の左辺に直接代入したところ、どちらも0になりました。また数式処理で④を解いた結果も \(1\pm 2\sqrt{2}+(2\mp\sqrt{2})i\) で完全に一致しています。
【定石】 複素数 \(c+di\) の平方根は、\(w=a+bi\) とおいて \(a^{2}-b^{2}=c\)、\(2ab=d\) を解く。\(a\) を消去すると\(b\) の複2次方程式になり、\(b^{2}\geqq 0\) から解が絞れる。
【よくあるミス】 \(b^{4}+6b^{2}-16=0\) の解を \(b^{2}=2,\,-8\) と出したあと、\(b^{2}=-8\) を捨て忘れること。\(b\) は実数と決めているので \(b^{2}\) は負になれません。
第2問(必答・配点15) 対数をとって、指数の連立不等式を直線の領域に変える
正の数 \(p\)、\(q\) が連立不等式
\[p^{2}\leqq q\leqq\dfrac{p^{3}}{10}\ \cdots\text{①},\qquad \dfrac{10^{6}}{p^{2}q}\leqq q\leqq\dfrac{10^{9}}{p^{2}}\ \cdots\text{②}\]
を満たすとき、\(\dfrac{q}{p}\) のとり得る値の範囲について考えよう。
(1) ア4 イ5 ウ0 エ1 オ1 カ3 キ0 ク4
(2) ケ2 / (3) コ5 サ5 シ7
(1)(i) まず具体的な \(p\) で、対数の値を出してみる
太郎「①と②の表す領域を図示するのは難しそうだね。」花子「対数をとってみたらどうかな。」 (i) \(p=100\) のとき、\(\log_{10}p^{2}=\)ア、\(\log_{10}\dfrac{p^{3}}{10}=\)イである。
【型】\(10\) の累乗に直してから対数をとる
【なぜこうするか】 \(p=100=10^{2}\) なので、すべて10の累乗に直せます。
\[\log_{10}p^{2}=\log_{10}\left(10^{2}\right)^{2}=\log_{10}10^{4}=4\]
\[\log_{10}\dfrac{p^{3}}{10}=\log_{10}\dfrac{10^{6}}{10}=\log_{10}10^{5}=5\]
アは4、イは5です。
この小問は答えを出すこと自体より、「対数をとれば指数の掛け算・割り算が足し算・引き算になる」という方針を体感させるための導入です。
【検算】 \(p=100\) のとき \(p^{2}=10000=10^{4}\)、\(\dfrac{p^{3}}{10}=\dfrac{10^{6}}{10}=10^{5}\)。対数はそれぞれ4と5 ✓。
【定石】 \(\log_{10}10^{n}=n\)。10の累乗に直せば対数は暗算で出る。
(1)(ii) 対数をとっても大小関係は変わらない
正の数 \(M\)、\(N\) に対し \(M\lt N\iff \log_{10}M\)ウ\(\log_{10}N\) が成り立ち、さらに「\(M=N\iff\log_{10}M=\log_{10}N\)」であることを考えると \(M\leqq N\iff\log_{10}M\)エ\(\log_{10}N\) が成り立つ。よって \(p^{2}\leqq q\iff\log_{10}p^{2}\)エ\(\log_{10}q\) が成り立つ。(ウ、エの解答群。同じものを繰り返し選んでもよい。)⓪ \(\lt\) ① \(\leqq\) ② \(=\) ③ \(\geqq\) ④ \(\gt\)
【型】底が1より大きい対数は単調増加
【なぜこうするか】 底が \(10\gt 1\) なので \(y=\log_{10}x\) は増加関数。増加関数を両辺に施しても不等号の向きは変わりません。
よって \(M\lt N\iff\log_{10}M\lt\log_{10}N\) でウは⓪。等号の場合を合わせれば \(M\leqq N\iff\log_{10}M\leqq\log_{10}N\) でエは①です。
ささいに見えますが、この確認があるからこそ「対数をとった後の不等式を解けば元の不等式を解いたことになる」と言い切れます。同値変形であることを明示するのが共通テストらしい丁寧さです。
【検算】 \(M=10\)、\(N=100\) とすると \(10\lt100\) かつ \(\log_{10}10=1\lt2=\log_{10}100\)。底が10のとき不等号の向きが保たれることを具体例でも確認できます。
【定石】 底 \(\gt 1\) なら不等号はそのまま、底 \(\lt 1\) なら向きが逆転する。この問題は底が10なのでそのまま。
(1) 連立不等式を \(x\)、\(y\) の1次不等式に翻訳する
\(x=\log_{10}p\)、\(y=\log_{10}q\) とすると、①が成り立つとき \(x\)、\(y\) はオ\(\leqq y\leqq\)カ…③ を満たす。逆に③が成り立つとき、\(p\)、\(q\) は①を満たす。また、②が成り立つとき \(x\)、\(y\) はキ\(\leqq y\leqq\)ク…④ を満たす。逆に④が成り立つとき、\(p\)、\(q\) は②を満たす。(オ、カの解答群)⓪ \(2x-1\) ① \(2x\) ② \(2x+1\) ③ \(3x-1\) ④ \(3x\) ⑤ \(3x+1\) ⑥ \(x^{2}\) ⑦ \(\dfrac{x^{3}}{10}\) (キ、クの解答群)⓪ \(-x+3\) ① \(-x+6\) ② \(-x+9\) ③ \(-2x+6\) ④ \(-2x+9\) ⑤ \(2x+9\) ⑥ \(\dfrac{10^{3}}{x}\) ⑦ \(\dfrac{10^{9}}{x^{2}}\)
【型】\(\log\) の3公式(積・商・累乗)で、全部を \(x\)、\(y\) の1次式にする
【なぜこうするか】 \(\log_{10}p=x\)、\(\log_{10}q=y\) と置いたので、積・商・累乗の公式を使って、指数を \(x\)、\(y\) の1次式へ変換します。
①について \(p^{2}\leqq q\leqq\dfrac{p^{3}}{10}\) の各辺の対数をとります。
\[\log_{10}p^{2}=2x,\qquad \log_{10}q=y,\qquad \log_{10}\dfrac{p^{3}}{10}=3x-1\]
よって \(2x\leqq y\leqq 3x-1\)。オは①、カは③です。
②について 右側は \(\log_{10}\dfrac{10^{9}}{p^{2}}=9-2x\) なので \(y\leqq -2x+9\) でクは④。
左側は \(\dfrac{10^{6}}{p^{2}q}\leqq q\) の対数をとると
\[6-2x-y\leqq y\quad\Longleftrightarrow\quad 6-2x\leqq 2y\quad\Longleftrightarrow\quad y\geqq -x+3\]
キは⓪です。左辺に \(y\) が含まれているので、移項してから2で割るひと手間が要ります。
【検算】 \(p=100\)(\(x=2\))で試すと、③は \(4\leqq y\leqq 5\)、④は \(1\leqq y\leqq 5\)。元の不等式では \(p^{2}=10^{4}\leqq q\leqq\dfrac{p^{3}}{10}=10^{5}\)、そして \(q\leqq\dfrac{10^{9}}{10^{4}}=10^{5}\)。対数をとると確かに \(4\leqq y\leqq 5\) と一致します。
【定石】 \(\log(MN)=\log M+\log N\)、\(\log\dfrac{M}{N}=\log M-\log N\)、\(\log M^{k}=k\log M\)。指数の世界の掛け算・割り算は、対数の世界では足し算・引き算になり、曲線が直線になる。
(2) 4本の直線が囲む領域を特定する
連立不等式③、④の表す領域を図示するとケの灰色部分である。ただし、境界線を含む。候補はいずれも4直線 \(y=2x\)、\(y=3x-1\)、\(y=-x+3\)、\(y=-2x+9\) で区切られた三角形で、灰色部分の位置が異なる。⓪は原点近くから中央上方へ細長く伸びる三角形、①は正の傾きをもつ2直線の間で中央の交差部より下側を選ぶ三角形、②は \((1,2)\)、\((2,5)\)、\(\left(\dfrac94,\dfrac92\right)\) を頂点とする三角形、③は2本の正の傾きの直線の間で中央の交差部より上側を選ぶ三角形である。最も適当なものを⓪〜③から一つ選べ。
【型】直線どうしの交点を全部求めて、領域の頂点を確定させる
【なぜこうするか】 図を目で選ぶ前に、領域の頂点を自分で計算してしまうのが確実です。境界となる4直線は
\[y=2x,\qquad y=3x-1,\qquad y=-x+3,\qquad y=-2x+9\]
まず \(x\) の範囲を押さえます。③が成り立つには \(2x\leqq 3x-1\)、つまり \(x\geqq 1\)。④が成り立つには \(-x+3\leqq -2x+9\)、つまり \(x\leqq 6\)。
次に交点を求めます。
\(y=2x\) と \(y=-x+3\) の交点:
\[2x=-x+3\ \Rightarrow\ x=1,\ y=2\]
\(y=3x-1\) と \(y=-x+3\) の交点:
\[3x-1=-x+3\ \Rightarrow\ x=1,\ y=2\]
この2つが同じ点です。つまり \(y=2x\)、\(y=3x-1\)、\(y=-x+3\) の3本が \((1,\,2)\) で1点に集まっています。残りは
\(y=3x-1\) と \(y=-2x+9\) の交点は \(x=2\)、\(y=5\)。
\(y=2x\) と \(y=-2x+9\) の交点は \(x=\dfrac{9}{4}\)、\(y=\dfrac{9}{2}\)。
したがって領域は3点 \((1,\,2)\)、\((2,\,5)\)、\(\left(\dfrac{9}{4},\,\dfrac{9}{2}\right)\) を頂点とする小さな三角形(境界を含む)です。原点より右上、\(x\) が1から2.25、\(y\) が2から5の範囲にあります。この形と位置に合致する図を選べばよく、正解は②です。
【検算】 4直線の交点をすべて列挙し、③④の両方を満たすものだけ残したところ、頂点は \((1,2)\)、\((2,5)\)、\((2.25,4.5)\) の3つでした。念のため \(x=2\) での縦の幅を調べると、③から \(4\leqq y\leqq 5\)、④から \(1\leqq y\leqq 5\) なので \(4\leqq y\leqq 5\)。三角形の内部として整合しています。
【定石】 図の選択肢問題は目で選ばず頂点を計算する。特に「3本が1点で交わる」ような特徴が見つかれば、それだけで図が絞れる。
(3) \(\dfrac{q}{p}\) の範囲は、傾き1の直線を平行移動して求める
\(k=\dfrac{q}{p}\) とおき、\(k\) のとり得る値の範囲を求める。\(x=\log_{10}p\)、\(y=\log_{10}q\) とするとき、\(y\) を \(k\)、\(x\) を用いて表すと \(y=\)コである。\(y=\)コのグラフが連立不等式③、④の表す領域と共有点をもつのはサ\(\leqq k\leqq\)シのときである。したがって、\(p\)、\(q\) が連立不等式①、②を満たすとき、\(\dfrac{q}{p}\) のとり得る値の範囲はサ\(\leqq\dfrac{q}{p}\leqq\)シである。(コの解答群)⓪ \(kx\) ① \(\dfrac{x}{k}\) ② \(x+k\) ③ \(-x+k\) ④ \(-x+\log_{10}k\) ⑤ \(x+\log_{10}k\) (サ、シの解答群。同じものを繰り返し選んでもよい。)⓪ \(\sqrt[4]{10}\) ① \(1\) ② \(2\) ③ \(3\) ④ \(\dfrac{5}{2}\) ⑤ \(10\) ⑥ \(10\sqrt[4]{10}\) ⑦ \(1000\)
【型】切片を動かす(線形計画法)
【なぜこうするか】 \(k=\dfrac{q}{p}\) の対数をとります。
\[\log_{10}k=\log_{10}q-\log_{10}p=y-x\quad\Longleftrightarrow\quad y=x+\log_{10}k\]
コは⑤です。これは傾き1、\(y\) 切片が \(\log_{10}k\) の直線。\(k\) を動かすことは、この直線を上下に平行移動させることに対応します。
あとは「傾き1の直線が三角形と共有点をもつような切片の範囲」を求めるだけ。領域は凸な三角形なので、切片の最大・最小は必ず頂点でとります。各頂点で \(y-x\) を計算すると
\[(1,\,2):\ 2-1=1,\qquad (2,\,5):\ 5-2=3,\qquad \left(\dfrac{9}{4},\,\dfrac{9}{2}\right):\ \dfrac{9}{2}-\dfrac{9}{4}=\dfrac{9}{4}\]
最小が1、最大が3なので \(1\leqq\log_{10}k\leqq 3\)。対数を外して
\[10^{1}\leqq k\leqq 10^{3}\quad\Longleftrightarrow\quad 10\leqq\dfrac{q}{p}\leqq 1000\]
サは⑤、シは⑦です。
【検算】 最小値をとる頂点 \((1,2)\) は \(p=10\)、\(q=100\) に対応し、元の①②を満たして \(q/p=10\)。最大値をとる頂点 \((2,5)\) は \(p=100\)、\(q=10^{5}\) に対応し、同じく①②を満たして \(q/p=1000\)。両端が実際に達成されます。
【定石】 「領域内で \(ax+by\) の最大最小」は直線を平行移動して、領域の頂点で決まる(線形計画法)。凸多角形なら頂点だけ調べれば十分。
- 「虚数解は共役でペア」は実数係数のときだけ。係数に \(i\) が入ったらこの定理は使えない(第1問)。
- 平方完成は複素数係数でも通用する。\(z^{2}+\beta z=\left(z+\dfrac{\beta}{2}\right)^{2}-\dfrac{\beta^{2}}{4}\)(第1問(2)(3))。
- 複素数の平方根は \(w=a+bi\) とおいて連立。\(a^{2}-b^{2}=c\)、\(2ab=d\) から \(b\) の複2次方程式へ(第1問(3))。
- 指数だらけの不等式は対数をとると1次不等式になり、曲線が直線に変わる(第2問(1))。
- 底が1より大きければ不等号はそのまま。同値変形であることを確認してから進む(第2問(1)(ii))。
- 図の選択肢は目で選ばず頂点を計算する(第2問(2))。
- 凸領域での最大最小は頂点で決まる。傾きを固定した直線を平行移動する(第2問(3))。
第3問(必答・配点22) 3次関数のグラフと接線が囲む面積
座標平面上で、3次関数のグラフが、直線や2次関数のグラフと囲む図形の面積について考えよう。
(1) ア3 イ1 ウ2 エ2 オ1 カ9 キ2 ク3 ケ0 コ2 サ7 シ4
(2)(i) ス- セ3 ソ3 タ1 チ0 ツ5 テ4 / (ii) ト5
(1)前半 微分して増減を調べ、接線を立てる
\(f(x)=\dfrac{1}{3}x^{3}-\dfrac{3}{2}x^{2}+2x+1\) とする。\(f'(x)=\)アであり、\(f(x)\) は \(x=\)イで極大値をとり、\(x=\)ウで極小値をとる。また、\(y=f(x)\) のグラフ上の点 \((0,\,f(0))\) における接線の方程式を \(y=g(x)\) とおくと、\(g(x)=\)エ\(x+\)オであり、\(y=f(x)\) と \(y=g(x)\) のグラフの、点 \((0,\,f(0))\) 以外の共有点の \(x\) 座標は \(\dfrac{\boxed{\text{カ}}}{\boxed{\text{キ}}}\) である。(アの解答群)⓪ \(\dfrac{1}{9}x^{2}-\dfrac{3}{4}x+2\) ① \(\dfrac{1}{3}x^{2}-x+\dfrac{2}{3}\) ② \(\dfrac{1}{3}x^{2}-\dfrac{3}{2}x+2\) ③ \(x^{2}-3x+2\) ④ \(\dfrac{1}{9}x^{3}-\dfrac{3}{4}x^{2}+2x\) ⑤ \(\dfrac{1}{12}x^{4}-\dfrac{1}{2}x^{3}+x^{2}+x\)
【型】微分して因数分解、\(f’=0\) の前後で符号を見る
【なぜこうするか】 まずは素直に微分します。
\[f'(x)=x^{2}-3x+2=(x-1)(x-2)\]
アは③です。選択肢に \(\dfrac{1}{9}x^{2}-\dfrac{3}{4}x+2\) のような紛らわしいものが並んでいますが、これは係数を微分し忘れて次数だけ下げた誤答です。
\(f'(x)=(x-1)(x-2)\) は下に凸の放物線なので、符号は \(x\lt 1\) で正、\(1\lt x\lt 2\) で負、\(x\gt 2\) で正。したがって \(x=1\) で極大、\(x=2\) で極小。イは1、ウは2です。
次に接線です。\(f(0)=1\)、\(f'(0)=2\) なので
\[g(x)=f'(0)\,(x-0)+f(0)=2x+1\]
エは2、オは1です。共有点は \(f(x)=g(x)\) を解いて
\[\dfrac{1}{3}x^{3}-\dfrac{3}{2}x^{2}+2x+1=2x+1\ \Longleftrightarrow\ \dfrac{1}{3}x^{3}-\dfrac{3}{2}x^{2}=0\ \Longleftrightarrow\ x^{2}\left(\dfrac{1}{3}x-\dfrac{3}{2}\right)=0\]
\(x=0\)(重解)と \(x=\dfrac{9}{2}\)。カは9、キは2です。
【検算】 数式処理で \(f'(x)=x^{2}-3x+2=(x-2)(x-1)\)、\(f”(x)=2x-3\) を確認。\(f”(1)=-1\lt 0\) で極大、\(f”(2)=1\gt 0\) で極小 ✓。また \(f(x)=g(x)\) の解は \(0\) と \(\dfrac{9}{2}\) ✓。
【定石】 接点で \(f(x)-g(x)\) は重解をもつ。3次から接線を引くと \(x^{2}\)×(1次式) の形になり、残りの共有点が1つ出る。
(1)後半 差の関数 \(h=g-f\) を作り、最大点と面積を求める
\(h(x)=g(x)-f(x)\) とおく。\(h(x)\) は \(x\geqq 0\) の範囲において \(x=\)クで最大値をとる。\(a=\)クとおくとき、\(y=f(x)\) のグラフ上の点 \((a,\,f(a))\) における接線は、直線 \(y=g(x)\) にケ。さらに、\(0\leqq x\leqq\)クの範囲で、関数 \(y=f(x)\) のグラフと直線 \(y=g(x)\) および直線 \(x=\)クで囲まれた図形の面積を \(S\) とおくと \(S=\dfrac{\boxed{\text{コサ}}}{\boxed{\text{シ}}}\) である。(ケの解答群)⓪ 平行である ① 垂直である ② 平行でなく、かつ垂直でない
【型】2曲線に挟まれた面積は「上-下」の差の関数を積分する
【なぜこうするか】 差の関数を作ってしまえば、最大値も面積も同じ関数から出せます。
\[h(x)=g(x)-f(x)=(2x+1)-\left(\dfrac{1}{3}x^{3}-\dfrac{3}{2}x^{2}+2x+1\right)=-\dfrac{1}{3}x^{3}+\dfrac{3}{2}x^{2}\]
微分すると
\[h'(x)=-x^{2}+3x=-x(x-3)\]
\(x\geqq 0\) では \(0\lt x\lt 3\) で \(h’\gt 0\)、\(x\gt 3\) で \(h’\lt 0\)。したがって \(x=3\) で最大。クは3です。
次に \(a=3\) での接線。\(f'(3)=9-9+2=2\) で、\(g\) の傾きも2。傾きが等しく、しかも別の直線なので平行です。ケは⓪。
これは偶然ではありません。\(h'(a)=0\) は \(g'(a)-f'(a)=0\)、つまり\(f'(a)=g'(a)\) ということ。「差が最大になる点」=「接線の傾きが一致する点」なのです。
最後に面積です。\(0\leqq x\leqq 3\) では \(h(x)\geqq 0\)(直線が上)なので
\[S=\int_{0}^{3}h(x)\,dx=\int_{0}^{3}\left(-\dfrac{1}{3}x^{3}+\dfrac{3}{2}x^{2}\right)dx=\left[-\dfrac{1}{12}x^{4}+\dfrac{1}{2}x^{3}\right]_{0}^{3}\]
\[=-\dfrac{81}{12}+\dfrac{27}{2}=-\dfrac{27}{4}+\dfrac{54}{4}=\dfrac{27}{4}\]
コサは27、シは4です。
【検算】 数式処理で \(\displaystyle\int_{0}^{3}\left(-\dfrac{1}{3}x^{3}+\dfrac{3}{2}x^{2}\right)dx=\dfrac{27}{4}\)。数値積分でも \(6.75\) で一致しました ✓。
【定石】 「2曲線の差が最大になる点」=「接線が平行になる点」。\(h'(a)=0\iff f'(a)=g'(a)\) という当たり前の等式が、図形的に意味をもつ。
(2)(i)前半 一般の3次関数でも、差の関数は同じ形になる
\(f(x)\) を \(x^{3}\) の係数が1である3次関数とする。(i) 関数 \(g(x)\) は次の【条件】を満たしているとする。【条件】\(g(x)\) は1次関数で、直線 \(y=g(x)\) は関数 \(y=f(x)\) のグラフ上の点 \((0,\,f(0))\) における接線である。 次の【問題】について考えよう。【問題】\(y=f(x)\) と \(y=g(x)\) のグラフは点 \((0,\,f(0))\) 以外に共有点をもち、その共有点の \(x\) 座標は正であるとする。また、\(x\geqq 0\) の範囲において関数 \(h(x)=g(x)-f(x)\) が \(x=a\) で最大値をとるとする。さらに、\(0\leqq x\leqq a\) の範囲で、\(y=f(x)\) のグラフと \(y=g(x)\) のグラフおよび直線 \(x=a\) で囲まれた図形の面積を \(S\) とおく。\(S\) を \(a\) を用いて表せ。 \(h'(x)\) は \(x^{2}\) の係数がスセの2次関数であり、\(x=0\)、ソで \(h'(x)=0\) を満たす。よって \(h'(x)=\)スセ\(x\left(x-\boxed{\text{ソ}}\right)\) である。(ソの解答群)⓪ \(\dfrac{1}{3}a\) ① \(\dfrac{1}{2}a\) ② \(\dfrac{2}{3}a\) ③ \(a\) ④ \(\dfrac{3}{2}a\)
【型】具体例で見えた構造を、文字のまま一般化する
【なぜこうするか】 (1)で扱った \(h(x)=-\dfrac{1}{3}x^{3}+\dfrac{3}{2}x^{2}\) の形に注目します。一般の場合も同じ形になることを、条件から導きましょう。
\(g\) は \(x=0\) での接線なので \(g(0)=f(0)\)、\(g'(0)=f'(0)\)。したがって
\[h(0)=g(0)-f(0)=0,\qquad h'(0)=g'(0)-f'(0)=0\]
また \(f\) の \(x^{3}\) の係数が1、\(g\) は1次なので、\(h=g-f\) の \(x^{3}\) の係数は \(-1\)。
\(h(0)=0\) と \(h'(0)=0\) から \(h\) は \(x^{2}\) を因数にもちます。よって定数 \(c\) を使って
\[h(x)=-x^{3}+cx^{2}\]
と書けます。微分すると
\[h'(x)=-3x^{2}+2cx=-3x\left(x-\dfrac{2}{3}c\right)\]
\(x^{2}\) の係数は \(-3\) なのでスセは \(-3\)(スが \(-\)、セが3)。
\(h'(x)=0\) の解は \(x=0\) と \(x=\dfrac{2}{3}c\)。問題文で「\(x\geqq 0\) で \(x=a\) が最大点」と言っているので \(\dfrac{2}{3}c=a\)、つまり \(c=\dfrac{3}{2}a\)。したがって \(h'(x)=0\) のもう一方の解はちょうど \(a\)で、ソは③です。
【検算】 (1)の具体例で確かめます。\(h(x)=-\dfrac{1}{3}x^{3}+\dfrac{3}{2}x^{2}\) は最高次係数が \(-\dfrac{1}{3}\) で、上の形と一致しません——これは \(f\) の \(x^{3}\) の係数が \(\dfrac{1}{3}\) だったからです。(2)では係数を1に固定しているので \(h\) の最高次係数はちょうど \(-1\) になります。実際、記号計算で \(h(x)=-x^{3}+cx^{2}\)、\(h'(x)=-3x^{2}+2cx=-x(3x-2c)\) を確認しました ✓。
【定石】 接点では差の関数が「値も傾きも0」。だから \(h(x)\) は 「\(x-\)(接点)」の2乗 を因数にもつ。3次-1次なら、\(x^{3}\) の係数を \(k\) として \(h(x)=-k\,x^{2}(x-\alpha)\) の形に必ずなる。
(2)(i)後半 \(h’\) を積分して \(h\) を復元し、面積を \(a\) で表す
また、\(h(0)=0\) から \(h(x)=\displaystyle\int_{\boxed{\text{チ}}}^{\boxed{\text{タ}}}h'(t)\,dt\) であり、よって \(h(x)=\)ツである。したがって \(S=\)テである。(タ、チの解答群。同じものを繰り返し選んでもよい。)⓪ \(0\) ① \(x\) ② \(\dfrac{3}{2}x\) ③ \(\dfrac{1}{3}a\) ④ \(\dfrac{1}{2}a\) ⑤ \(\dfrac{2}{3}a\) ⑥ \(a\) ⑦ \(\dfrac{3}{2}a\) (ツの解答群)⓪ \(-\dfrac{1}{3}x^{3}+\dfrac{1}{3}ax\) ① \(-\dfrac{1}{3}x^{3}+\dfrac{2}{3}ax\) ② \(-\dfrac{1}{3}x^{3}+\dfrac{1}{2}ax^{2}\) ③ \(-x^{3}+ax\) ④ \(-x^{3}+ax^{2}\) ⑤ \(-x^{3}+\dfrac{3}{2}ax^{2}\) (テの解答群)⓪ \(\dfrac{1}{6}a^{3}\) ① \(\dfrac{1}{4}a^{3}\) ② \(\dfrac{3}{4}a^{3}\) ③ \(\dfrac{1}{12}a^{4}\) ④ \(\dfrac{1}{4}a^{4}\) ⑤ \(\dfrac{1}{3}a^{4}\) ⑥ \(-\dfrac{1}{4}a^{4}+\dfrac{1}{2}a^{2}\) ⑦ \(-\dfrac{1}{4}a^{4}+\dfrac{1}{3}a^{3}\) ⑧ \(-\dfrac{1}{4}a^{4}+\dfrac{1}{2}a^{3}\)
【型】\(h(0)=0\) なら \(h(x)=\displaystyle\int_{0}^{x}h'(t)\,dt\)
【なぜこうするか】 微分積分学の基本定理そのものです。\(\displaystyle\int_{0}^{x}h'(t)\,dt=h(x)-h(0)\) であり、\(h(0)=0\) なので右辺は \(h(x)\) そのもの。積分区間は下端が0、上端が \(x\) なのでチは⓪、タは①です。
実際に計算します。\(c=\dfrac{3}{2}a\) を代入した \(h'(t)=-3t^{2}+3at\) を積分して
\[h(x)=\int_{0}^{x}\left(-3t^{2}+3at\right)dt=\left[-t^{3}+\dfrac{3}{2}at^{2}\right]_{0}^{x}=-x^{3}+\dfrac{3}{2}ax^{2}\]
ツは⑤です。あとは面積。
\[S=\int_{0}^{a}h(x)\,dx=\int_{0}^{a}\left(-x^{3}+\dfrac{3}{2}ax^{2}\right)dx=\left[-\dfrac{1}{4}x^{4}+\dfrac{1}{2}ax^{3}\right]_{0}^{a}\]
\[=-\dfrac{a^{4}}{4}+\dfrac{a^{4}}{2}=\dfrac{a^{4}}{4}\]
テは④です。
【検算】 (1)の具体例と整合するか見ます。(1)では \(a=3\) で \(S=\dfrac{27}{4}\) でした。一方この公式は \(f\) の \(x^{3}\) の係数が1のときのもので、(1)は \(\dfrac{1}{3}\) だったので直接は比べられません。係数が \(\dfrac{1}{3}\) 倍なら \(h\) も \(S\) も \(\dfrac{1}{3}\) 倍になるはずで、\(\dfrac{1}{3}\times\dfrac{3^{4}}{4}=\dfrac{81}{12}=\dfrac{27}{4}\) ✓ ぴったり合います。記号計算でも \(S=\dfrac{a^{4}}{4}\) を確認しました。なお共有点は \(h(x)=-x^{2}\left(x-\dfrac{3}{2}a\right)=0\) より \(x=\dfrac{3}{2}a\gt 0\) で、問題文の条件も満たしています。
【定石】 定数項が分からないときは「基準点からの定積分」で関数を復元する。\(h(0)=0\) が与えられていれば \(h(x)=\displaystyle\int_{0}^{x}h'(t)\,dt\) と書けて、積分定数を考える必要がなくなる。
(2)(ii) 直線を放物線に取り替えても、面積は変わらない
(i)の \(g(x)\) を、次の【条件】を満たす2次関数に置き換えて、【問題】について考えよう。【条件】\(g(x)\) は2次関数で、\(y=f(x)\) のグラフ上の点 \((0,\,f(0))\) における接線と \(y=g(x)\) のグラフ上の点 \((0,\,g(0))\) における接線は一致する。 このとき \(S=\)トである。(解答群)⓪ \(\dfrac{1}{12}a^{3}\) ① \(\dfrac{1}{6}a^{3}\) ② \(\dfrac{1}{4}a^{3}\) ③ \(\dfrac{1}{36}a^{4}\) ④ \(\dfrac{1}{12}a^{4}\) ⑤ \(\dfrac{1}{4}a^{4}\) ⑥ \(-\dfrac{1}{12}a^{4}+\dfrac{1}{9}a^{3}\) ⑦ \(-\dfrac{1}{12}a^{4}+\dfrac{1}{3}a^{3}\) ⑧ \(-\dfrac{1}{12}a^{4}+\dfrac{4}{9}a^{3}\)
【型】条件を \(h=g-f\) の言葉に翻訳し直す
【なぜこうするか】 一見すると設定が変わって計算をやり直す必要がありそうですが、差の関数 \(h\) が満たす性質を書き出すと、(i)とまったく同じだとわかります。
「2つのグラフの \(x=0\) における接線が一致する」とは、接点が同じで傾きも同じ、つまり
\[g(0)=f(0),\qquad g'(0)=f'(0)\]
これは(i)の条件とそっくり同じです。したがって
\[h(0)=0,\qquad h'(0)=0\]
さらに \(f\) の \(x^{3}\) の係数は1で、\(g\) は2次関数なので \(x^{3}\) の項をもちません。よって\(h=g-f\) の \(x^{3}\) の係数はやはり \(-1\)。
この3つ(最高次係数 \(-1\)、\(h(0)=0\)、\(h'(0)=0\))から、\(h\) の形は(i)とまったく同じ
\[h(x)=-x^{3}+cx^{2}\]
に決まります。\(g\) が2次になったことで生じる \(x^{2}\) の項は、定数 \(c\) の中に吸収されてしまうのです。あとの議論は(i)と一字一句同じなので
\[S=\dfrac{a^{4}}{4}\]
トは⑤です。
直線を放物線に取り替えても面積が変わらない——これがこの大問の結論です。効いているのは「接している」ことと「3次の係数」だけで、\(g\) が1次か2次かは結果に一切影響しません。
【検算】 文字を残したまま記号計算で確かめました。\(f(x)=x^{3}+dx^{2}+ex+k\)、\(g(x)=bx^{2}+f'(0)x+f(0)\) とおくと \(h(x)=g(x)-f(x)=-x^{3}+(b-d)x^{2}\) となり、\(h(0)=0\)、\(h'(0)=0\) を満たします。最大点を \(a\) とすると \(b-d=\dfrac{3}{2}a\) で、\(\displaystyle\int_{0}^{a}h(x)\,dx=\dfrac{a^{4}}{4}\)。\(b\)、\(d\)、\(e\)、\(k\) がどんな値でも消えて \(a\) だけの式になりました ✓。数値でも \(a=2\) のとき \(S=4=\dfrac{2^{4}}{4}\) と一致します。
【定石】 設定が変わったら、まず「差の関数が満たす条件」だけを書き出す。それが前と同じなら、計算は一切やり直さなくてよい。
【よくあるミス】 \(g\) が2次になったからと真面目に \(g(x)=bx^{2}+px+q\) と置いて全部計算し直し、時間を溶かすこと。選択問題を含む70分の試験では、「同じ形になる」と見抜けるかどうかが得点差になります。
- 接点では差の関数が値も傾きも0。だから \(h(x)\) は「\(x-\)(接点)」の2乗を因数にもつ。
- 差が最大になる点=接線が平行になる点。\(h'(a)=0\iff f'(a)=g'(a)\)。
- 面積は「上-下」を積分。差の関数を1本作れば、最大値も面積も同じ式から出せる。
- \(h(0)=0\) なら \(h(x)=\displaystyle\int_{0}^{x}h'(t)\,dt\)。積分定数を考えずに済む。
- 設定が変わったら差の関数の条件だけ確認。同じなら結論も同じ——直線を放物線に替えても \(S=\dfrac{a^{4}}{4}\) は不変。
第4問(選択・配点16) 3項間漸化式と、隣り合う3項が作る不変量
3項間漸化式で定まる数列について、隣接する3項 \(a_{n}\)、\(a_{n+1}\)、\(a_{n+2}\) から作った \(a_{n}a_{n+2}-(a_{n+1})^{2}\) がどんな値をとるかを調べていく。
(1) ア5 イ1 ウ3 エ0 / (2) オ6 カ5 キ5 ク3 ケ5
(3) コ1 サ1 シ3 ス1
(1)(i) 漸化式で第3項・第4項を出す
数列 \(\{a_{n}\}\) を次の式で定める。\(a_{1}=1\)、\(a_{2}=2\)、\(a_{n+2}=3a_{n+1}-a_{n}\)(\(n=1,2,3,\ldots\))…① 初項 \(a_{1}\)、第2項 \(a_{2}\) および漸化式①により、第3項 \(a_{3}\) が求められる。また、\(a_{2}\)、\(a_{3}\) および漸化式①により、第4項 \(a_{4}\) が求められる。同様に、\(a_{5}\)、\(a_{6}\)、… を順に求めることができる。(i) \(a_{3}=\)ア、\(a_{4}=\)イウである。
【型】3項間漸化式は、前2つを代入して順に計算する
【なぜこうするか】 ここは代入するだけです。
\[a_{3}=3a_{2}-a_{1}=3\cdot 2-1=5,\qquad a_{4}=3a_{3}-a_{2}=3\cdot 5-2=13\]
アは5、イウは13です。
ついでに先まで出しておくと \(1,\,2,\,5,\,13,\,34,\,89,\,233,\,610,\ldots\)。フィボナッチ数列を1つおきに取り出したものになっています(\(1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89,\ldots\) の奇数番目)。本問の \(a_{n}a_{n+2}-(a_{n+1})^{2}=1\) は、フィボナッチ数列で有名なカタランの恒等式の親戚です。
【検算】 プログラムで第8項まで出すと \(1,2,5,13,34,89,233,610\)。さらに \(a_{n}a_{n+2}-(a_{n+1})^{2}\) を \(n=1\) から8まで計算するとすべて1でした ✓。
【定石】 3項間漸化式は、最初の2項が決まれば以降がすべて決まる。まず4〜5項書き出して規則性を眺めるのが定石。
(1)(ii) 帰納法の証明が「何から何を導いたか」を読み取る
太郎さんは、\(a_{n}a_{n+2}-(a_{n+1})^{2}=1\) …② がすべての自然数 \(n\) について成り立つと推測し、数学的帰納法で証明した。[Ⅱ]では \(n=k\) のとき②が成り立つと仮定し、漸化式①により \(a_{k+1}a_{k+3}-(a_{k+2})^{2}\) \(=a_{k+1}(3a_{k+2}-a_{k+1})-(a_{k+2})^{2}\) \(=(3a_{k+1}-a_{k+2})a_{k+2}-(a_{k+1})^{2}\) \(=a_{k}a_{k+2}-(a_{k+1})^{2}=1\) を示している。この[Ⅱ]では、次の式Ⓐ、Ⓑ、Ⓒ、Ⓓについてエを示している。Ⓐ \(a_{k+2}=3a_{k+1}-a_{k}\) Ⓑ \(a_{k+3}=3a_{k+2}-a_{k+1}\) Ⓒ \(a_{k}a_{k+2}-(a_{k+1})^{2}=1\) Ⓓ \(a_{k+1}a_{k+3}-(a_{k+2})^{2}=1\) (エの解答群)⓪ ⒶとⒷが成り立つことを用いて、Ⓒが成り立つならばⒹが成り立つこと ① ⒶとⒷが成り立つことを用いて、Ⓓが成り立つならばⒸが成り立つこと ② ⒸとⒹが成り立つことを用いて、Ⓐが成り立つならばⒷが成り立つこと ③ ⒸとⒹが成り立つことを用いて、Ⓑが成り立つならばⒶが成り立つこと
【型】帰納法は「仮定 → 結論」。何が道具で何がゴールかを区別する
【なぜこうするか】 証明の各行が何を使ったのかを、丁寧に追いましょう。
まず仮定は「\(n=k\) のとき②が成り立つ」、つまりⒸです。示したいゴールは「\(n=k+1\) のときも②が成り立つ」、つまりⒹです。
途中で使った道具は2つ。
- 1つ目の等号 \(a_{k+3}=3a_{k+2}-a_{k+1}\) を代入した部分 → Ⓑ
- 3つ目の等号で \(3a_{k+1}-a_{k+2}=a_{k}\) と書き換えた部分 → これはⒶ \(a_{k+2}=3a_{k+1}-a_{k}\) を移項したもの → Ⓐ
つまりⒶとⒷを道具として使い、Ⓒ(仮定)からⒹ(結論)を導いた。エは⓪です。
ⒶもⒷも「漸化式①に \(n=k\)、\(n=k+1\) を代入しただけ」なので、仮定なしで無条件に成り立ちます。だからこそ道具として自由に使えるわけです。
【検算】 \(k=1\) では \(a_{1}=1\)、\(a_{2}=2\)、\(a_{3}=5\)、\(a_{4}=13\)。Ⓐ・Ⓑを使うと、Ⓒの \(1\cdot5-2^{2}=1\) からⒹの \(2\cdot13-5^{2}=1\) が確かに得られます。
【定石】 帰納法の[Ⅱ]は「仮定=1つ前の主張」「結論=次の主張」で、その2つを結ぶ道具は問題の設定(漸化式など)から無条件に出る事実。この3者を混同しないこと。
【よくあるミス】 ⒶⒷを「証明したいこと」だと勘違いして②や③を選ぶこと。ⒶⒷは漸化式そのもので、証明の対象ではなく前提です。
(2)前半 別の漸化式で同じ計算をなぞる
数列 \(\{b_{n}\}\) を次の式で定める。\(b_{1}=1\)、\(b_{2}=2\)、\(b_{n+2}=6b_{n+1}-5b_{n}\)(\(n=1,2,3,\ldots\)) (1)の(ii)と同様の計算により、自然数 \(k\) について \(b_{k+1}b_{k+3}-(b_{k+2})^{2}\) \(=b_{k+1}\left(\boxed{\text{オ}}\,b_{k+2}-\boxed{\text{カ}}\,b_{k+1}\right)-(b_{k+2})^{2}\) \(=\left(\boxed{\text{オ}}\,b_{k+1}-b_{k+2}\right)b_{k+2}-\boxed{\text{カ}}\,(b_{k+1})^{2}\) \(=\)キ\(\left\{b_{k}b_{k+2}-(b_{k+1})^{2}\right\}\) が成り立つ。
【型】(1)の計算をそのまま写し、係数だけ入れ替える
【なぜこうするか】 漸化式は \(b_{n+2}=6b_{n+1}-5b_{n}\)。①の \(3\) と \(1\) が \(6\) と \(5\) になっただけなので、(1)の計算をなぞります。
1つ目の等号は \(b_{k+3}=6b_{k+2}-5b_{k+1}\) の代入なのでオは6、カは5です。
2つ目の等号は展開して並べ替えただけです。実際に展開すると
\[b_{k+1}\left(6b_{k+2}-5b_{k+1}\right)-(b_{k+2})^{2}=6b_{k+1}b_{k+2}-5(b_{k+1})^{2}-(b_{k+2})^{2}\]
となり、これは \(\left(6b_{k+1}-b_{k+2}\right)b_{k+2}-5(b_{k+1})^{2}\) と同じです。
3つ目の等号がポイント。漸化式 \(b_{k+2}=6b_{k+1}-5b_{k}\) を移項すると
\[6b_{k+1}-b_{k+2}=5b_{k}\]
これを代入して
\[\left(6b_{k+1}-b_{k+2}\right)b_{k+2}-5(b_{k+1})^{2}=5b_{k}b_{k+2}-5(b_{k+1})^{2}\]
\[=5\left\{b_{k}b_{k+2}-(b_{k+1})^{2}\right\}\]
キは5です。(1)では最後に \(1\) 倍(そのまま)になったのに対し、今度は5倍になりました。ここが決定的な違いです。
【検算】 \(b_{n}\) を実際に計算すると \(1,2,7,32,157,782,3907,19532\)。\(b_{n}b_{n+2}-(b_{n+1})^{2}\) は \(3,15,75,375,1875,9375,46875,234375\) で、隣の項との比はすべて5 ✓。
【定石】 \(x_{n+2}=px_{n+1}+qx_{n}\) のとき、\(d_{n}=x_{n}x_{n+2}-(x_{n+1})^{2}\) は公比 \(-q\) の等比数列になる。この事実は覚えておくと強い。
(2)後半 等比数列とわかったので、一般項を書く
したがって、すべての自然数 \(n\) について \(b_{n}b_{n+2}-(b_{n+1})^{2}=\)ク\(\cdot\)ケ\(^{\,n-1}\) が成り立つ。
【型】\(d_{n+1}=rd_{n}\) と初項がわかれば \(d_{n}=d_{1}r^{n-1}\)
【なぜこうするか】 \(d_{n}=b_{n}b_{n+2}-(b_{n+1})^{2}\) とおくと、前半で示したのは \(d_{k+1}=5d_{k}\)。つまり \(\{d_{n}\}\) は公比5の等比数列です。あとは初項を出すだけ。
\(b_{3}=6\cdot 2-5\cdot 1=7\) なので
\[d_{1}=b_{1}b_{3}-(b_{2})^{2}=1\cdot 7-2^{2}=3\]
よって
\[b_{n}b_{n+2}-(b_{n+1})^{2}=3\cdot 5^{\,n-1}\]
クは3、ケは5です。
【検算】 \(n=1\) から8までの \(d_{n}\) は \(3,15,75,375,1875,9375,46875,234375\)。一方 \(3\cdot 5^{n-1}\) を計算するとまったく同じ列になりました ✓。
【定石】 「\(d_{k+1}=rd_{k}\) が示せた」=「等比数列だと示せた」。あとは初項を1つ計算するだけで一般項が確定する。
(3) 係数を文字にして、一定になる条件を突き止める
\(p\)、\(q\) を0でない実数とする。\(c_{1}=1\)、\(c_{2}=2\)、\(c_{n+2}=pc_{n+1}+qc_{n}\)(\(n=1,2,3,\ldots\))で定められる数列 \(\{c_{n}\}\) について、\(c_{n}c_{n+2}-(c_{n+1})^{2}\) がどのような値をとるかを考えている。太郎「\(c_{n}c_{n+2}-(c_{n+1})^{2}\) の値が \(n\) によって変化するかしないかに、\(p\) と \(q\) の値が関係しているようだね。」花子「\(n\) によらない一定の値をとるのはどのようなときかな。」 数列 \(\{d_{n}\}\) を \(d_{n}=c_{n}c_{n+2}-(c_{n+1})^{2}\)(\(n=1,2,3,\ldots\))で定める。\(c_{3}=2p+q\) であるから、\(d_{1}=2p+q-4\) である。ここでは \(d_{1}\neq 0\)、つまり \(2p+q-4\neq 0\) とする。このとき、(1)や(2)と同様に考えると、数列 \(\{d_{n}\}\) はコ数列であり、そのサはシであることがわかる。また、\(d_{n}\) が \(n\) によらない一定の値であるのは、サがスのときである。以上により、\(c_{n}c_{n+2}-(c_{n+1})^{2}\) が \(n\) によらない一定の値であるのは、シ\(=\)スが成り立つときである。(コの解答群)⓪ 等差 ① 等比 (サの解答群)⓪ 公差 ① 公比 (シの解答群)⓪ \(p-2\) ① \(q-2\) ② \(-p\) ③ \(-q\) ④ \(p+2q\) ⑤ \(p-2q\) ⑥ \(pq\) ⑦ \(p^{2}+4q\)
【型】具体例2つで見えた構造を、文字のまま一般化する
【なぜこうするか】 (1)と(2)でやった計算を、係数を文字にしてもう一度やります。
\[d_{k+1}=c_{k+1}c_{k+3}-(c_{k+2})^{2}\]
\[=c_{k+1}\left(pc_{k+2}+qc_{k+1}\right)-(c_{k+2})^{2}\]
展開して並べ替えると
\[=\left(pc_{k+1}-c_{k+2}\right)c_{k+2}+q(c_{k+1})^{2}\]
ここで漸化式 \(c_{k+2}=pc_{k+1}+qc_{k}\) を移項すると \(pc_{k+1}-c_{k+2}=-qc_{k}\)。代入して
\[d_{k+1}=-qc_{k}c_{k+2}+q(c_{k+1})^{2}=-q\left\{c_{k}c_{k+2}-(c_{k+1})^{2}\right\}\]
\[=-q\,d_{k}\]
つまり \(\{d_{n}\}\) は等比数列で、その公比は \(-q\)。コは①、サは①、シは③です。
実際、(1)は \(q=-1\) なので公比 \(-q=1\)(変化しない=ずっと1)、(2)は \(q=-5\) なので公比 \(-q=5\)。ちゃんと合っています。
最後の問いは「\(d_{n}\) が \(n\) によらず一定になるのはいつか」。等比数列が一定値を保つのは公比が1のときです(\(d_{1}\neq 0\) を仮定しているので、公比0で全項0になる逃げ道は塞がれています)。スは1。したがって条件は
\[-q=1\quad\Longleftrightarrow\quad q=-1\]
\(p\) は何でもよく、\(q=-1\) でありさえすればよい——これが結論です。(1)の \(a_{n+2}=3a_{n+1}-a_{n}\) は \(p=3\)、\(q=-1\) なので、確かに一定値になっていたわけです。
【検算】 \(p\)、\(q\) を文字のまま数式処理で \(d_{1}\) から \(d_{5}\) を計算し、隣り合う比をとったところすべて \(-q\) でした ✓。さらに \(q=-1\) に固定して \(p\) をいくつか変えて確かめると、\(p=2\) では \(d_{n}\) が全項 \(-1\)、\(p=3\) では全項 \(1\)、\(p=\dfrac{5}{2}\) では全項 \(0\)。\(p\) の値によらず一定になっています。ただし \(p=\dfrac{5}{2}\) は \(2p+q-4=0\) にあたり、問題文が除外している \(d_{1}=0\) の場合です。
【定石】 具体例 → 具体例 → 一般化という共通テストの典型構成。(1)(2)の計算を「係数を文字に置き換えるだけ」でなぞれば(3)は解ける。計算をゼロから組み立て直す必要はない。
- 3項間漸化式は、まず4〜5項書き出す。規則性が見えることが多い。
- 帰納法は「仮定」「結論」「道具」を区別する。漸化式は無条件に使える道具。
- \(x_{n+2}=px_{n+1}+qx_{n}\) なら \(d_{n}=x_{n}x_{n+2}-(x_{n+1})^{2}\) は公比 \(-q\) の等比数列。本問の核心。
- \(d_{k+1}=rd_{k}\) と初項1つで一般項が決まる。\(d_{n}=d_{1}r^{n-1}\)。
- 等比数列が一定値なのは公比1のとき(初項が0でない限り)。
- (1)の数列 \(1,2,5,13,34,89,\ldots\) はフィボナッチ数列の1つおき。\(a_{n}a_{n+2}-(a_{n+1})^{2}=1\) はカタランの恒等式の一種。
第5問(選択・配点16) 統計的な推測(不良品率の仮説検定)
ある工場では、1日に225枚の木製の円板を製作している。円板の直径(単位 mm)は400を標準とする。直径が396より小さい、または404より大きい円板は製品として使用できないので、そのような円板を不良品とする。
この工場で製作される円板の直径を表す確率変数を \(X\) とする。このとき、製作される円板1枚が不良品となる確率(以下、不良品率)\(p\) は \(p=1-P(396\leqq X\leqq 404)\) と表せる。
(解答には正規分布表を用いてよい。)
(1) ア4 イ0 ウ0 エ2 オ1 カ1
(2)(i) キ2 ク2 ケ3 / (ii) コ4 サ1 / (3) シ3 ス4
(1)前半 標準化して、正規分布表の値に落とす
製作工程が正常に作動しているときは、\(X\) は正規分布 \(N(400,\,4)\) に従う。このとき \(Z=\dfrac{X-\boxed{\text{アイウ}}}{\boxed{\text{エ}}}\) は標準正規分布 \(N(0,\,1)\) に従う。その場合の不良品率の値を \(p_{0}\) と表すと \(p_{0}=1-P(396\leqq X\leqq 404)\) であるから、\(p_{0}\) の値はおよそオである。(オについては、最も適当なものを次の⓪〜⑦のうちから一つ選べ。)⓪ \(0.025\) ① \(0.046\) ② \(0.050\) ③ \(0.317\) ④ \(0.683\) ⑤ \(0.950\) ⑥ \(0.954\) ⑦ \(0.975\)
【型】\(Z=\dfrac{X-m}{\sigma}\) で標準化する
【なぜこうするか】 正規分布 \(N(m,\,\sigma^{2})\) の第2引数は分散です。\(N(400,\,4)\) なら平均400、分散4、したがって標準偏差は \(\sqrt{4}=2\)。
\[Z=\dfrac{X-400}{2}\]
アイウは400、エは2です。
次に不良品率。境界の396と404を標準化します。
\[396\ \to\ \dfrac{396-400}{2}=-2,\qquad 404\ \to\ \dfrac{404-400}{2}=2\]
正規分布表から \(P(0\leqq Z\leqq 2)=0.4772\) なので
\[P(-2\leqq Z\leqq 2)=2\times 0.4772=0.9544\]
よって
\[p_{0}=1-0.9544=0.0456\fallingdotseq 0.046\]
オは①です。これは「平均 \(\pm\,2\sigma\) の外側は約4.6%」という、統計でおなじみの数値です。
【検算】 誤差関数で高精度に計算すると \(P(-2\leqq Z\leqq 2)=0.95450\)、\(p_{0}=0.04550\)。表の丸め(0.4772)を使った \(0.0456\) とよく一致し、選択肢では \(0.046\) が最も近いです ✓。
【定石】 \(N(m,\,\sigma^{2})\) の第2引数は分散。標準偏差はその平方根。ここを取り違えると以降すべてが狂う。\(\pm 1\sigma\) で約68%、\(\pm 2\sigma\) で約95%、\(\pm 3\sigma\) で約99.7%は暗記しておく。
(1)後半 平均がずれると不良品率はどうなるか
一方、製作工程が正常に作動しておらず、\(X\) が正規分布 \(N(401,\,4)\) に従うとする。その場合の不良品率の値を \(p_{1}\) と表すと、カ。(カの解答群)⓪ \(p_{1}\) は \(p_{0}\) より小さい ① \(p_{1}\) は \(p_{0}\) より大きい ② \(p_{1}\) と \(p_{0}\) は等しい ③ \(p_{1}\) と \(p_{0}\) の大小はわからない
【型】規格の中心からずれた分だけ、合格範囲が非対称になる
【なぜこうするか】 合格範囲 \(396\leqq X\leqq 404\) は400を中心とする幅8の区間です。平均が401にずれると、この区間は平均から見て左に5、右に3という非対称な範囲になります。
実際に標準化すると
\[396\ \to\ \dfrac{396-401}{2}=-2.5,\qquad 404\ \to\ \dfrac{404-401}{2}=1.5\]
\[P(-2.5\leqq Z\leqq 1.5)=0.4938+0.4332=0.9270\]
よって \(p_{1}=1-0.9270=0.0730\)。確かに \(p_{0}=0.0456\) より大きい。カは①です。
直感的にも納得できます。正規分布は平均のところが最も密なので、合格範囲の中心が平均からずれるほど、範囲に入る確率は減ります。平均が400にあるときが最も合格率が高く、そこからどちらへずれても不良品率は上がるのです。
【検算】 高精度計算で \(p_{1}=0.07300\)、\(p_{0}=0.04550\)。確かに \(p_{1}\gt p_{0}\) ✓。ちなみに平均が399にずれた場合も対称性から同じ \(0.0730\) になり、「どちら向きにずれても不良品率は上がる」ことが確認できます。
【定石】 この正規分布モデルでは、左右対称な合格範囲の中心と分布の平均がずれると、範囲に入る確率が下がり、不良品率が増えます。
(2)(i) 0と1をとる変数の和は、二項分布に従う
円板が不良品であるときに1、不良品でないときに0の値をとる確率変数を \(Y\) とする。\(Y\) の確率分布は \(P(Y=0)=1-p\)、\(P(Y=1)=p\) である。製作される225枚の円板が不良品かどうかを表す確率変数を \(Y_{1}\)、\(Y_{2}\)、…、\(Y_{225}\) とし、\(Y\) と同じ確率分布をもつ母集団から抽出した無作為標本とみなす。\(Y_{1}\)、\(Y_{2}\)、…、\(Y_{225}\) の和を \(W=Y_{1}+Y_{2}+\cdots+Y_{225}\) で表すと、\(W\) は二項分布キに従う。標本の大きさ225は十分に大きいので、\(W\) は近似的に平均がク、標準偏差がケの正規分布に従う。(キの解答群)⓪ \(B(1,\,p)\) ① \(B(15,\,p)\) ② \(B(225,\,p)\) ③ \(B(1,\,1-p)\) ④ \(B(15,\,1-p)\) ⑤ \(B(225,\,1-p)\) (クの解答群)⓪ \(p\) ① \(15p\) ② \(225p\) ③ \(1-p\) ④ \(15(1-p)\) ⑤ \(225(1-p)\) (ケの解答群)⓪ \(\dfrac{\sqrt{p(1-p)}}{225}\) ① \(\dfrac{\sqrt{p(1-p)}}{15}\) ② \(\sqrt{p(1-p)}\) ③ \(15\sqrt{p(1-p)}\) ④ \(225\sqrt{p(1-p)}\) ⑤ \(\dfrac{p(1-p)}{225}\) ⑥ \(p(1-p)\) ⑦ \(225p(1-p)\)
【型】二項分布 \(B(n,\,p)\) の平均は \(np\)、分散は \(np(1-p)\)
【なぜこうするか】 \(Y\) は0か1しかとらない変数(ベルヌーイ試行)で、それを225回独立に繰り返した和が \(W\)。これはまさに「225回中、何回不良品が出るか」なので二項分布 \(B(225,\,p)\) です。キは②。
公式より
平均は
\[np=225p\]
クは②です。分散は
\[np(1-p)=225\,p(1-p)\]
標準偏差はその平方根なので
\[\sqrt{225\,p(1-p)}=15\sqrt{p(1-p)}\]
ケは③です。
ここでも分散と標準偏差の取り違えが最大の罠です。選択肢⑦の \(225p(1-p)\) は分散そのもので、標準偏差ではありません。\(\sqrt{225}=15\) を外に出すのを忘れないこと。
【検算】 \(p=\dfrac12\) とすると、平均は \(225\times\dfrac12=112.5\)、分散は \(225\times\dfrac12\times\dfrac12=56.25\)、標準偏差は \(\sqrt{56.25}=7.5\)。公式 \(15\sqrt{p(1-p)}\) に代入しても7.5になります。
【定石】 二項分布 \(B(n,\,p)\):平均 \(np\)、分散 \(np(1-p)\)、標準偏差 \(\sqrt{np(1-p)}\)。\(n\) が大きければ正規分布 \(N\bigl(np,\,np(1-p)\bigr)\) で近似できる。
(2)(ii) 片側検定の棄却域を作る
不良品率 \(p\) が(1)で求めた \(p_{0}\) より大きいといえるかについて、有意水準5%(\(0.05\))で仮説検定を行う。帰無仮説は「\(p=p_{0}\)」、対立仮説は「コ」である。円板の不良品率が \(p_{0}\) より大きければ帰無仮説が棄却されるように、棄却域を片側にとる。すなわち、(i)の \(W\) がある値 \(c\) よりも大きいときに帰無仮説を棄却する。\(c\) の値は、帰無仮説「\(p=p_{0}\)」のもとで \(P(W\gt c)=0.05\) となるように求めればよい。(i)から \(W\) の分布は正規分布で近似できるので、クとケの \(p\) に \(p_{0}\) を代入したものを、それぞれ \(a\) と \(b\) とすると \(c=a+\)サ\(\times b\) であり、棄却域は \(W\gt c\) となる。この方法に従えば、1日に製作される円板の不良品の枚数が16以上であるときに製作工程を点検することになる。(コの解答群)⓪ \(p\lt p_{0}\) ① \(p\leqq p_{0}\) ② \(p=p_{0}\) ③ \(p\geqq p_{0}\) ④ \(p\gt p_{0}\) (サについては、最も適当なものを次の⓪〜④のうちから一つ選べ。)⓪ \(0.95\) ① \(1.64\) ② \(1.96\) ③ \(2.33\) ④ \(2.58\)
【型】片側5%なら \(1.64\)、両側5%なら \(1.96\)
【なぜこうするか】 まず対立仮説。問題文が「不良品率 \(p\) が \(p_{0}\) より大きいといえるか」を検証したいと言っているので、それがそのまま対立仮説です。コは④です。
次が本題。標準化して考えます。\(W\) は近似的に平均 \(a\)、標準偏差 \(b\) の正規分布に従うので \(\dfrac{W-a}{b}\) が標準正規分布。\(P(W\gt c)=0.05\) は
\[P\left(\dfrac{W-a}{b}\gt\dfrac{c-a}{b}\right)=0.05\]
と書けます。標準正規分布で右側の面積が0.05になる点は \(1.64\)。したがって \(\dfrac{c-a}{b}=1.64\)、すなわち
\[c=a+1.64\,b\]
サは①です。
ここで \(1.96\) を選ばないこと。\(1.96\) は両側合わせて5%(片側2.5%ずつ)のときの値です。今回は「大きすぎるときだけ」を問題にする片側検定なので \(1.64\) が正解になります。
【検算】 問題文の「16枚以上で点検」から逆算して確かめます。\(p_{0}=0.0455\) として \(a=225p_{0}=10.24\)、\(b=15\sqrt{p_{0}(1-p_{0})}=3.13\)。5つの選択肢すべてで \(c\) を計算すると、\(0.95\) なら \(c=13.21\)(14枚以上)、\(1.64\) なら \(c=15.36\)(16枚以上)、\(1.96\) なら \(c=16.36\)(17枚以上)、\(2.33\) なら \(c=17.52\)(18枚以上)、\(2.58\) なら \(c=18.30\)(19枚以上)。問題文の「16以上」を再現するのは \(1.64\) だけでした ✓。
【定石】 片側5%は \(1.64\)、両側5%は \(1.96\)、片側1%は \(2.33\)、両側1%は \(2.58\)。この4つは丸暗記。対立仮説に不等号が1つなら片側、\(\neq\) なら両側。
【よくあるミス】 有意水準5%と聞いて反射的に \(1.96\) を使うこと。まず対立仮説の形を見て片側か両側かを判断してから数値を選びます。
(3) 標本平均を使った両側検定
花子「不良品を数える以外の方法がないかな。」太郎「円板の直径の値をそのまま利用する方法を考えてみようよ。」 製作される225枚の円板の直径を表す確率変数を \(X_{1}\)、\(X_{2}\)、…、\(X_{225}\) とし、平均 \(m\)、標準偏差2の正規分布をもつ母集団からの無作為標本とする。それらの標本平均を \(\overline{X}=\dfrac{1}{225}(X_{1}+X_{2}+\cdots+X_{225})\) で表す。このとき、\(\overline{X}\) は正規分布 \(N\left(m,\,\dfrac{4}{225}\right)\) に従うことが知られている。母平均 \(m\) の値が400でないといえるかについて、有意水準5%(\(0.05\))で仮説検定を行う。帰無仮説は「\(m=400\)」、対立仮説は「\(m\neq 400\)」である。棄却域を両側にとって、帰無仮説が正しいとき \(P(\overline{X}\lt c_{1})=0.025\)、\(P(\overline{X}\gt c_{2})=0.025\) となるように \(c_{1}\) と \(c_{2}\) の値を選ぶと \(c_{1}=\)シ\(-\)ス、\(c_{2}=\)シ\(+\)スとなる。(シの解答群)⓪ \(15\) ① \(20\) ② \(225\) ③ \(400\) (スについては、最も適当なものを次の⓪〜⑨のうちから一つ選べ。)⓪ \(0.95\times\dfrac{2}{15}\) ① \(0.95\times\dfrac{4}{225}\) ② \(1.64\times\dfrac{2}{15}\) ③ \(1.64\times\dfrac{4}{225}\) ④ \(1.96\times\dfrac{2}{15}\) ⑤ \(1.96\times\dfrac{4}{225}\) ⑥ \(2.33\times\dfrac{2}{15}\) ⑦ \(2.33\times\dfrac{4}{225}\) ⑧ \(2.58\times\dfrac{2}{15}\) ⑨ \(2.58\times\dfrac{4}{225}\)
【型】棄却域は「平均 \(\pm\)(係数)\(\times\)標準偏差」
【なぜこうするか】 帰無仮説「\(m=400\)」のもとでは \(\overline{X}\) の平均は400。棄却域はこの400を中心に左右対称にとります。シは③です。
次に幅。\(\overline{X}\) の分布は \(N\left(400,\,\dfrac{4}{225}\right)\) で、第2引数はやはり分散。標準偏差は
\[\sqrt{\dfrac{4}{225}}=\dfrac{2}{15}\]
対立仮説は「\(m\neq 400\)」なので両側検定。左右に2.5%ずつなので係数は \(1.96\)。したがって
\[c_{1}=400-1.96\times\dfrac{2}{15},\qquad c_{2}=400+1.96\times\dfrac{2}{15}\]
スは④です。
ここでも分散 \(\dfrac{4}{225}\) をそのまま掛けてしまう誤答(選択肢⑤)が用意されています。掛けるのは必ず標準偏差のほうです。
また、(2)が片側で \(1.64\) だったのに対し、(3)は両側で \(1.96\)。同じ「有意水準5%」でも、対立仮説の形で使う数値が変わる——この対比が第5問全体の主題です。
【検算】 \(\sqrt{4/225}=0.133333\)、\(2/15=0.133333\) で一致 ✓。数値を入れると \(c_{1}=400-0.26133=399.739\)、\(c_{2}=400.261\)。標準正規分布で \(1.96\) より右側の面積を高精度に計算すると \(0.02500\) で、問題文の \(0.025\) と一致します ✓。
【定石】 標本平均 \(\overline{X}\) の分布は平均が母平均のまま、分散は \(\dfrac{\sigma^{2}}{n}\)(標準偏差は \(\dfrac{\sigma}{\sqrt{n}}\))。標本を大きくすると散らばりが \(\dfrac{1}{\sqrt{n}}\) で縮む。
- \(N(m,\,\sigma^{2})\) の第2引数は分散。標準偏差はその平方根。取り違えが最大の失点源。
- \(\pm 2\sigma\) の外側は約4.6%。\(\pm 1\sigma\) で約68%、\(\pm 3\sigma\) で約99.7%も暗記。
- 規格の中心と分布の平均がずれると不良品率は増える。
- 二項分布 \(B(n,p)\):平均 \(np\)、標準偏差 \(\sqrt{np(1-p)}\)。\(n\) が大きければ正規近似。
- 片側5%は \(1.64\)、両側5%は \(1.96\)。対立仮説の形(不等号か \(\neq\) か)で決まる。
- 標本平均の標準偏差は \(\dfrac{\sigma}{\sqrt{n}}\)。棄却域は「中心 \(\pm\)(係数)\(\times\)標準偏差」。
第6問(選択・配点16) ベクトル(3点が互いを内分し合う循環条件)
平面上に \(\triangle\mathrm{OAB}\) がある。3点 X、Y、Z は次の条件(あ)、(い)、(う)を満たすとする。
(あ)X は線分 OZ を \(2:1\) に内分する。(い)Y は線分 AX を \(2:1\) に内分する。(う)Z は線分 BY を \(2:1\) に内分する。
\(\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\vec{a}\)、\(\overrightarrow{\mathrm{OB}}=\vec{b}\) とおく。また、\(\overrightarrow{\mathrm{OX}}=\vec{x}\)、\(\overrightarrow{\mathrm{OY}}=\vec{y}\)、\(\overrightarrow{\mathrm{OZ}}=\vec{z}\) とおく。
(1)(i) ア2 イ3 ウ3 エ2 オ2 カ3 / (ii) キ4 ク3 ケ1 コ9 サ9 シ4 ス6 セ9
(2)(i) ソ1 タ0 チ1 ツ1 テ6 / (ii) ト1 ナ5 ニ3 / (iii) ヌ0
(1)(i)前半 内分条件をそのままベクトルの式にする
\(\vec{x}\)、\(\vec{y}\)、\(\vec{z}\) をそれぞれ \(\vec{a}\)、\(\vec{b}\) を用いて表そう。(i) 条件(あ)から \(\vec{x}=\dfrac{\boxed{\text{ア}}}{\boxed{\text{イ}}}\vec{z}\) …① である。
【型】「線分 PQ を \(m:n\) に内分」= \(\dfrac{n\vec{p}+m\vec{q}}{m+n}\)
【なぜこうするか】 X は線分 OZ を \(2:1\) に内分する点。始点が原点 O なので話は簡単で、O から Z へ向かう線分の \(\dfrac{2}{3}\) の位置です。
\[\vec{x}=\dfrac{1\cdot\vec{0}+2\cdot\vec{z}}{2+1}=\dfrac{2}{3}\vec{z}\]
アは2、イは3です。
X が Z で、Y が X で、Z が Y で決まる循環構造なので、1つずつ順に確定できません。3本の関係式を同時に満たす \(\vec{x}\)、\(\vec{y}\)、\(\vec{z}\) を連立方程式として求めます。
【検算】 ①の両辺を3倍すると \(3\vec{x}=2\vec{z}\)。後で得られる \(\vec{x}=\dfrac{4\vec{a}+6\vec{b}}{19}\)、\(\vec{z}=\dfrac{6\vec{a}+9\vec{b}}{19}\) を代入すると、両辺とも \(\dfrac{12\vec{a}+18\vec{b}}{19}\) になります。
【定石】 内分点の公式は「遠いほうの比を、近いほうのベクトルに掛ける」。\(m:n\) に内分なら \(\dfrac{n\vec{p}+m\vec{q}}{m+n}\)。始点が O なら分子の片方が消える。
(1)(i)後半 残り2つの条件を \(\vec{x}\)、\(\vec{y}\)、\(\vec{z}\) の式に直す
また、条件(い)、(う)から、それぞれ \(\overrightarrow{\mathrm{OA}}=\overrightarrow{\mathrm{OX}}+\overrightarrow{\mathrm{XA}}=\overrightarrow{\mathrm{OX}}+\)ウ\(\overrightarrow{\mathrm{XY}}\)、\(\overrightarrow{\mathrm{OB}}=\overrightarrow{\mathrm{OZ}}+\overrightarrow{\mathrm{ZB}}=\overrightarrow{\mathrm{OZ}}-\)エ\(\overrightarrow{\mathrm{ZY}}\) である。これらの等式を \(\vec{a}\)、\(\vec{b}\)、\(\vec{x}\)、\(\vec{y}\)、\(\vec{z}\) を用いて表すと \(-\)オ\(\vec{x}+\)ウ\(\vec{y}=\vec{a}\) …②、\(-\)エ\(\vec{y}+\)カ\(\vec{z}=\vec{b}\) …③ となる。
【型】同じ直線上のベクトルは、比をそのまま実数倍として書く
【なぜこうするか】 条件(い)は「Y は線分 AX を \(2:1\) に内分」。つまり \(\mathrm{AY}:\mathrm{YX}=2:1\) です。線分 AX を3等分したとき、Y は X 寄りの分点にあります。
すると \(\overrightarrow{\mathrm{XA}}\) と \(\overrightarrow{\mathrm{XY}}\) は同じ向きで、長さの比は \(3:1\)。したがって
\[\overrightarrow{\mathrm{XA}}=3\overrightarrow{\mathrm{XY}}\]
ウは3です。これを \(\vec{a},\vec{x},\vec{y}\) で書くと \(\overrightarrow{\mathrm{XY}}=\vec{y}-\vec{x}\) なので
\[\vec{a}=\vec{x}+3\left(\vec{y}-\vec{x}\right)=-2\vec{x}+3\vec{y}\]
オは2です。
条件(う)も同様に。「Z は線分 BY を \(2:1\) に内分」なので \(\mathrm{BZ}:\mathrm{ZY}=2:1\)。今度は \(\overrightarrow{\mathrm{ZB}}\) と \(\overrightarrow{\mathrm{ZY}}\) が逆向きで長さの比が \(2:1\) なので
\[\overrightarrow{\mathrm{ZB}}=-2\overrightarrow{\mathrm{ZY}}\]
エは2です。したがって
\[\vec{b}=\vec{z}-2\left(\vec{y}-\vec{z}\right)=-2\vec{y}+3\vec{z}\]
カは3です。
【よくあるミス】 (い)で \(\overrightarrow{\mathrm{XA}}=3\overrightarrow{\mathrm{XY}}\)(同じ向き)なのに対し、(う)では \(\overrightarrow{\mathrm{ZB}}=-2\overrightarrow{\mathrm{ZY}}\)(逆向き)と符号が変わること。起点がどこで、終点がどちら側にあるかを図で確かめてから式を立てましょう。
【検算】 ②へ \(\vec{x}=\dfrac{2}{3}\vec{z}\)、\(\vec{y}=\dfrac{9\vec{a}+4\vec{b}}{19}\)、\(\vec{z}=\dfrac{6\vec{a}+9\vec{b}}{19}\) を代入すると左辺は \(\vec{a}\)。③へ \(\vec{y}\)、\(\vec{z}\) を代入すると左辺は \(\vec{b}\) になります。
【定石】 同一直線上のベクトルの関係は、共通の起点をそろえてから比を読む。向きが逆なら符号がつく。
(1)(ii) 3本の式を連立して解く
①、②からウ\(\vec{y}-\dfrac{\boxed{\text{キ}}}{\boxed{\text{ク}}}\vec{z}=\vec{a}\) となる。これと③から \(\vec{y}=\dfrac{1}{\boxed{\text{ケコ}}}\left(\boxed{\text{サ}}\,\vec{a}+\boxed{\text{シ}}\,\vec{b}\right)\)、\(\vec{z}=\dfrac{1}{\boxed{\text{ケコ}}}\left(\boxed{\text{ス}}\,\vec{a}+\boxed{\text{セ}}\,\vec{b}\right)\) を得る。さらに①から、\(\vec{x}\) も \(\vec{a}\)、\(\vec{b}\) を用いて表すことができる。
【型】未知ベクトルを1つ消して、2元連立に持ち込む
【なぜこうするか】 未知数は \(\vec{x}\)、\(\vec{y}\)、\(\vec{z}\) の3つ、式も3本なので解けます。まず①を②に代入して \(\vec{x}\) を消します。
\[-2\cdot\dfrac{2}{3}\vec{z}+3\vec{y}=\vec{a}\quad\Longleftrightarrow\quad 3\vec{y}-\dfrac{4}{3}\vec{z}=\vec{a}\]
キは4、クは3です。両辺を3倍して分数を払うと
\[9\vec{y}-4\vec{z}=3\vec{a}\quad\cdots\text{(I)}\]
③はそのまま
\[-2\vec{y}+3\vec{z}=\vec{b}\quad\cdots\text{(II)}\]
\(\vec{z}\) を消すため (I)\(\times 3+\)(II)\(\times 4\) を計算します。
\[27\vec{y}-12\vec{z}-8\vec{y}+12\vec{z}=9\vec{a}+4\vec{b}\quad\Longleftrightarrow\quad 19\vec{y}=9\vec{a}+4\vec{b}\]
\[\vec{y}=\dfrac{1}{19}\left(9\vec{a}+4\vec{b}\right)\]
ケコは19、サは9、シは4です。次に \(\vec{y}\) を消すため (I)\(\times 2+\)(II)\(\times 9\)。
\[18\vec{y}-8\vec{z}-18\vec{y}+27\vec{z}=6\vec{a}+9\vec{b}\quad\Longleftrightarrow\quad 19\vec{z}=6\vec{a}+9\vec{b}\]
\[\vec{z}=\dfrac{1}{19}\left(6\vec{a}+9\vec{b}\right)\]
スは6、セは9です。ついでに①から
\[\vec{x}=\dfrac{2}{3}\vec{z}=\dfrac{2}{3}\cdot\dfrac{1}{19}\left(6\vec{a}+9\vec{b}\right)=\dfrac{1}{19}\left(4\vec{a}+6\vec{b}\right)\]
分母に19という中途半端な数が出るのがこの問題の特徴で、循環条件を連立した結果です。
【検算】 \(\vec{a}\)、\(\vec{b}\) を成分のまま文字において、(あ)(い)(う)の6本の連立方程式を数式処理で解いたところ、\(\vec{x}=\dfrac{4\vec{a}+6\vec{b}}{19}\)、\(\vec{y}=\dfrac{9\vec{a}+4\vec{b}}{19}\)、\(\vec{z}=\dfrac{6\vec{a}+9\vec{b}}{19}\) が得られ、上の結果と完全に一致しました ✓。係数の和がどれも \(10,\,13,\,15\) と揃わないので、暗算の当て推量では出せません。
【定石】 互いを定義し合う「循環条件」は、全部を未知数として連立させる。順に代入していこうとすると堂々巡りになる。
(2)(i) 内積を \(|\vec{a}|^{2}\)、\(\vec{a}\cdot\vec{b}\)、\(|\vec{b}|^{2}\) で表す
\(|\vec{a}|=1\) とする。\(\triangle\mathrm{XYZ}\) が \(\angle\mathrm{X}=90^{\circ}\) である直角三角形となるような \(|\vec{b}|\) の値について考えてみよう。(i) \(\overrightarrow{\mathrm{XY}}\) と \(\overrightarrow{\mathrm{XZ}}\) の内積を \(\vec{a}\)、\(\vec{b}\) を用いて表すと \(\overrightarrow{\mathrm{XY}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{XZ}}=\dfrac{1}{\boxed{\text{ケコ}}^{\,2}}\left(\boxed{\text{ソタ}}+\boxed{\text{チツ}}\,\vec{a}\cdot\vec{b}-\boxed{\text{テ}}\,|\vec{b}|^{2}\right)\) となる。
【型】まず差のベクトルを求め、それから内積を展開する
【なぜこうするか】 (1)の結果を使って2本のベクトルを作ります。
\[\overrightarrow{\mathrm{XY}}=\vec{y}-\vec{x}=\dfrac{1}{19}\left(9\vec{a}+4\vec{b}\right)-\dfrac{1}{19}\left(4\vec{a}+6\vec{b}\right)=\dfrac{1}{19}\left(5\vec{a}-2\vec{b}\right)\]
\[\overrightarrow{\mathrm{XZ}}=\vec{z}-\vec{x}=\dfrac{1}{19}\left(6\vec{a}+9\vec{b}\right)-\dfrac{1}{19}\left(4\vec{a}+6\vec{b}\right)=\dfrac{1}{19}\left(2\vec{a}+3\vec{b}\right)\]
内積を展開します。文字式の展開とまったく同じ要領です。
\[\left(5\vec{a}-2\vec{b}\right)\cdot\left(2\vec{a}+3\vec{b}\right)=10|\vec{a}|^{2}+15\,\vec{a}\cdot\vec{b}-4\,\vec{a}\cdot\vec{b}-6|\vec{b}|^{2}\]
\[=10|\vec{a}|^{2}+11\,\vec{a}\cdot\vec{b}-6|\vec{b}|^{2}\]
\(|\vec{a}|=1\) なので \(10|\vec{a}|^{2}=10\)。したがって
\[\overrightarrow{\mathrm{XY}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{XZ}}=\dfrac{1}{19^{2}}\left(10+11\,\vec{a}\cdot\vec{b}-6|\vec{b}|^{2}\right)\]
ソタは10、チツは11、テは6です。
【検算】 成分計算で \(\overrightarrow{\mathrm{XY}}=\dfrac{5\vec{a}-2\vec{b}}{19}\)、\(\overrightarrow{\mathrm{XZ}}=\dfrac{2\vec{a}+3\vec{b}}{19}\) を確認 ✓。展開も \(10|\vec{a}|^{2}+11\vec{a}\cdot\vec{b}-6|\vec{b}|^{2}\) と一致しました。
【定石】 内積の展開は普通の文字式の分配法則と同じ。\(\vec{a}\cdot\vec{a}=|\vec{a}|^{2}\)、\(\vec{a}\cdot\vec{b}=\vec{b}\cdot\vec{a}\) だけ気をつける。
(2)(ii) 直交条件は「内積=0」
\(\angle\mathrm{AOB}=90^{\circ}\) とする。(i)により、\(\triangle\mathrm{XYZ}\) が \(\angle\mathrm{X}=90^{\circ}\) である直角三角形となるのは、\(|\vec{b}|=\dfrac{\sqrt{\boxed{\text{トナ}}}}{\boxed{\text{ニ}}}\) のときである。
【型】\(\angle\mathrm{AOB}=90^{\circ}\iff\vec{a}\cdot\vec{b}=0\)
【なぜこうするか】 \(\angle\mathrm{AOB}=90^{\circ}\) なら \(\vec{a}\) と \(\vec{b}\) は直交するので \(\vec{a}\cdot\vec{b}=0\)。(i)の式から内積の項が消え、\(|\vec{b}|\) だけの方程式になります。
\(\angle\mathrm{X}=90^{\circ}\) とは \(\overrightarrow{\mathrm{XY}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{XZ}}=0\) のこと。分母 \(19^{2}\) は0にできないので、カッコの中が0になればよい。
\[10+11\cdot 0-6|\vec{b}|^{2}=0\quad\Longleftrightarrow\quad |\vec{b}|^{2}=\dfrac{10}{6}=\dfrac{5}{3}\]
\(|\vec{b}|\gt 0\) なので
\[|\vec{b}|=\sqrt{\dfrac{5}{3}}=\dfrac{\sqrt{5}}{\sqrt{3}}=\dfrac{\sqrt{15}}{3}\]
トナは15、ニは3です。有理化を忘れないこと。
【検算】 \(\vec{a}=(1,\,0)\)、\(\vec{b}=\left(0,\,\dfrac{\sqrt{15}}{3}\right)\) として実際に \(\vec{x}\)、\(\vec{y}\)、\(\vec{z}\) を計算し、\(\overrightarrow{\mathrm{XY}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{XZ}}\) を求めたところちょうど0になりました ✓。数値でも \(\dfrac{\sqrt{15}}{3}=1.290994\) です。
【定石】 直角の条件は「内積=0」に翻訳すると、角度の情報をベクトルの式で扱えます。
(2)(iii) 角度が鈍角になると、解の個数はどうなるか
\(\angle\mathrm{AOB}=100^{\circ}\) とする。また、\(k=\dfrac{\sqrt{\boxed{\text{トナ}}}}{\boxed{\text{ニ}}}\) とおく。このとき、\(\triangle\mathrm{XYZ}\) が \(\angle\mathrm{X}=90^{\circ}\) である直角三角形となるような \(|\vec{b}|\) の値はヌ。(ヌの解答群)⓪ ちょうど一つあり、\(k\) より小さい ① ちょうど一つあり、\(k\) と等しい ② ちょうど一つあり、\(k\) より大きい ③ ちょうど二つあり、どちらも \(k\) より小さい ④ ちょうど二つあり、どちらも \(k\) より大きい ⑤ ちょうど二つあり、一方は \(k\) より小さく、他方は \(k\) より大きい ⑥ ちょうど二つあり、一方は \(k\) より小さく、他方は \(k\) と等しい ⑦ ちょうど二つあり、一方は \(k\) と等しく、他方は \(k\) より大きい
【型】2次方程式の解の符号を、係数の符号から判定する
【なぜこうするか】 \(t=|\vec{b}|\gt 0\) とおきます。\(|\vec{a}|=1\) なので
\[\vec{a}\cdot\vec{b}=|\vec{a}||\vec{b}|\cos 100^{\circ}=t\cos 100^{\circ}\]
直交条件は
\[10+11t\cos 100^{\circ}-6t^{2}=0\quad\Longleftrightarrow\quad 6t^{2}-11\left(\cos 100^{\circ}\right)t-10=0\]
個数の判定から。この2次方程式の2解の積は、解と係数の関係より
\[t_{1}t_{2}=\dfrac{-10}{6}\lt 0\]
積が負ということは、2解は必ず異符号。\(t\gt 0\) という条件を課すと、残るのは正の解ちょうど1つです。(判別式は \(121\cos^{2}100^{\circ}+240\gt 0\) で常に実数解をもちます。)これで選択肢は⓪①②に絞れました。
\(k\) との大小を調べます。\(k=\dfrac{\sqrt{15}}{3}\) は「\(\angle\mathrm{AOB}=90^{\circ}\)、つまり \(\cos=0\) のとき」の解でした。\(\cos 100^{\circ}\lt 0\) なので、\(t=k\) を左辺に代入した値は負になります。
実際 \(t=k\) を代入すると、\(10-6k^{2}=0\) なので
\[10+11k\cos 100^{\circ}-6k^{2}=11k\cos 100^{\circ}\lt 0\]
左辺 \(f(t)=10+11t\cos 100^{\circ}-6t^{2}\) は \(f(0)=10\gt 0\)、\(f(k)\lt 0\) なので、解は0と \(k\) の間、つまり \(k\) より小さい。ヌは⓪です。
【検算】 \(\cos 100^{\circ}=-0.173648\) として \(6t^{2}+1.910t-10=0\) を数値的に解くと、解は \(-1.459948\) と \(1.141593\)。正の解はちょうど1つで、\(k=1.290994\) より小さい ✓。念のため \(\vec{a}=(1,0)\)、\(|\vec{b}|=1.141593\) で \(\vec{b}\) を \(100^{\circ}\) 方向にとって計算すると、\(\overrightarrow{\mathrm{XY}}\cdot\overrightarrow{\mathrm{XZ}}=-6.9\times 10^{-18}\)(計算誤差の範囲で0)でした ✓。
【定石】 正の解の個数は解と係数の関係で積・和の符号を見るのが最速。積が負なら異符号で正の解はちょうど1つ。大小比較は境界値を代入して符号を見る(中間値の定理)。
- 互いを定義し合う循環条件は、全部を未知数にして連立する。順に代入すると堂々巡りになる。
- 同一直線上のベクトルは、起点をそろえて比を読む。向きが逆なら符号がつく。
- 内積の展開は普通の文字式と同じ。\(\vec{a}\cdot\vec{a}=|\vec{a}|^{2}\) に注意。
- 直角の条件はすべて「内積=0」に翻訳する。
- 正の解の個数は解と係数の関係で。積が負なら正の解はちょうど1つ。
- 大小比較は境界値を代入して符号を見る。\(f(0)\gt 0\)、\(f(k)\lt 0\) なら解は0と \(k\) の間。
第7問(選択・配点16) 絶対値を含む極方程式
絶対値を含む極方程式の表す図形について考察する。ここでは、座標平面において、原点 O を極とし、\(x\) 軸の正の部分を始線とする極座標 \((r,\,\theta)\) を用いる。すなわち、座標平面上の点 P の位置を、OP の長さ \(r\) と、\(x\) 軸の正の部分を始線とする動径 OP の表す角 \(\theta\) の組 \((r,\,\theta)\) で定める。
ただし、\(r\geqq 0\)、\(0\leqq\theta\lt 2\pi\) とする。また、\(r=0\) のとき、極座標 \((0,\,\theta)\) は \(\theta\) の値によらず原点 O を表す。
(1) ア5 イ4 / (2)(i) ウ8 エ7 オ4 / (ii) カ6 キ3
(3)(i) ク3 ケ0 コ3 サ1 シ2 ス5 セ4 / (ii) ソ2 タ5 チ1 ツ5
(ケとコ、シとス、ソとタは順序を問わない)
(1) 極座標と直交座標の変換公式
極座標が \((r,\,\theta)\) である点を、直交座標 \((x,\,y)\) で表そう。\(x\)、\(y\) を \(r\)、\(\theta\) を用いて表すと \(x=\)ア、\(y=\)イ…① である。(ア、イの解答群。同じものを繰り返し選んでもよい。)⓪ \(r\) ① \(\sin\theta\) ② \(\cos\theta\) ③ \(\tan\theta\) ④ \(r\sin\theta\) ⑤ \(r\cos\theta\) ⑥ \(r\tan\theta\) ⑦ \(\dfrac{\sin\theta}{r}\) ⑧ \(\dfrac{\cos\theta}{r}\) ⑨ \(\dfrac{\tan\theta}{r}\)
【型】\(x=r\cos\theta\)、\(y=r\sin\theta\)
【なぜこうするか】 原点から距離 \(r\)、\(x\) 軸から角 \(\theta\) の位置にある点は、直角三角形を考えれば
\[x=r\cos\theta,\qquad y=r\sin\theta\]
アは⑤、イは④です。ここは単位円の定義そのもの(半径1のときが \(\cos\theta\)、\(\sin\theta\))で、それを \(r\) 倍しただけです。
あわせて \(x^{2}+y^{2}=r^{2}\left(\cos^{2}\theta+\sin^{2}\theta\right)=r^{2}\) も、この後で繰り返し使うので押さえておきましょう。
【検算】 \(x=r\cos\theta\)、\(y=r\sin\theta\) を2乗して足すと \(x^{2}+y^{2}=r^{2}\)。したがって原点から点 \((x,y)\) までの距離は \(r\) となり、極座標の定義と一致します。
【定石】 極座標と直交座標を行き来する道具は3つ。\(x=r\cos\theta\)、\(y=r\sin\theta\)、\(x^{2}+y^{2}=r^{2}\)。極方程式を直交座標に直すときは「両辺に \(r\) を掛ける」が定番の手。
(2)(i) 具体的な角で値を出してみる
極方程式 \(r=2|\cos\theta|\) …② の表す座標平面上の図形を \(C\) とする。(i) \(\theta=\dfrac{\pi}{6}\) のとき、②から \(r=\)ウである。極座標が \(\left(\boxed{\text{ウ}},\ \dfrac{\pi}{6}\right)\) である点の直交座標は、①を用いると \(\left(\boxed{\text{エ}},\ \boxed{\text{オ}}\right)\) である。(ウ〜オの解答群。同じものを繰り返し選んでもよい。)⓪ \(0\) ① \(1\) ② \(\dfrac{1}{2}\) ③ \(\dfrac{\sqrt{2}}{2}\) ④ \(\dfrac{\sqrt{3}}{2}\) ⑤ \(\dfrac{\sqrt{6}}{2}\) ⑥ \(\sqrt{2}\) ⑦ \(\dfrac{3}{2}\) ⑧ \(\sqrt{3}\) ⑨ \(\sqrt{6}\)
【型】極方程式に角を代入し、変換公式で直交座標に直す
【なぜこうするか】 \(\theta=\dfrac{\pi}{6}\) は第1象限なので \(\cos\dfrac{\pi}{6}=\dfrac{\sqrt{3}}{2}\gt 0\)、絶対値はそのまま外れます。
\[r=2\left|\cos\dfrac{\pi}{6}\right|=2\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{2}=\sqrt{3}\]
ウは⑧です。あとは①に代入するだけ。
\[x=r\cos\theta=\sqrt{3}\cdot\dfrac{\sqrt{3}}{2}=\dfrac{3}{2},\qquad y=r\sin\theta=\sqrt{3}\cdot\dfrac{1}{2}=\dfrac{\sqrt{3}}{2}\]
エは⑦、オは④です。
【定石】 極方程式の小問は、まず具体的な \(\theta\) を代入して1点だけ求めさせるところから始まることが多い。この誘導は「変換公式を思い出させる」ためのもので、後半の図形決定でそのまま使う。
【検算】 数値で \(r=1.732051\)、\((x,y)=(1.500000,\,0.866025)\)。\(\dfrac{3}{2}=1.5\)、\(\dfrac{\sqrt{3}}{2}=0.866025\) と一致 ✓。ちなみにこの点は \((x-1)^{2}+y^{2}=0.25+0.75=1\) を満たしており、次の(ii)で出てくる円の上に乗っています。
(2)(ii)前半 両辺に \(r\) を掛けて直交座標の式にする
②を直交座標 \((x,\,y)\) の方程式で表すことにより、②の表す図形 \(C\) について考えよう。\(\cos\theta\geqq 0\) を満たす \(\theta\) の値の範囲は \(0\leqq\theta\leqq\dfrac{\pi}{2}\)、\(\dfrac{3}{2}\pi\leqq\theta\lt 2\pi\) である。このとき、②は \(r=2\cos\theta\) …③ である。③の両辺に \(r\) を掛けて①を用いると、③は \(x\)、\(y\) の方程式カと変形できる。(カの解答群)⓪ \(y=2\sin x\) ① \(y=2\cos x\) ② \(y=2\tan x\) ③ \(x^{2}+y^{2}=1\) ④ \(x^{2}+y^{2}=2\) ⑤ \(x^{2}+y^{2}=4\) ⑥ \((x-1)^{2}+y^{2}=1\) ⑦ \((x+1)^{2}+y^{2}=1\) ⑧ \(x^{2}+(y-1)^{2}=1\) ⑨ \(x^{2}+(y+1)^{2}=1\)
【型】\(r=\)(\(\cos\theta\) の式)を見たら、両辺に \(r\) を掛ける
【なぜこうするか】 \(r\) や \(\theta\) を単独で \(x\)、\(y\) に直す公式はありませんが、\(r^{2}\) と \(r\cos\theta\) なら直せます(それぞれ \(x^{2}+y^{2}\) と \(x\))。そこで両辺に \(r\) を掛けて、その形を作り出します。
\[r=2\cos\theta\ \xrightarrow{\ \times r\ }\ r^{2}=2r\cos\theta\]
ここに \(r^{2}=x^{2}+y^{2}\)、\(r\cos\theta=x\) を代入して
\[x^{2}+y^{2}=2x\]
平方完成すると
\[(x-1)^{2}+y^{2}=1\]
カは⑥です。中心 \((1,\,0)\)、半径1の円——原点を通り、右側にある円です。
【検算】 \(\theta=0\) では \(r=2\) なので点は \((2,0)\)、\(\theta=\dfrac{\pi}{2}\) では \(r=0\) なので原点です。どちらも \((x-1)^{2}+y^{2}=1\) を満たします。
【定石】 極方程式 \(r=2a\cos\theta\) は中心 \((a,\,0)\)、半径 \(|a|\) の円(原点を通る)。\(r=2a\sin\theta\) なら中心 \((0,\,a)\)。この2つは覚えてしまってよい。
(2)(ii)後半 絶対値のもう一方の場合も調べ、図形を決める
\(\cos\theta\lt 0\) を満たす \(\theta\) の値の範囲は \(\dfrac{\pi}{2}\lt\theta\lt\dfrac{3}{2}\pi\) である。このとき、②は \(r=-2\cos\theta\) …④ である。\(\cos\theta\geqq 0\) の場合と同様に考えると、④も \(x\)、\(y\) の方程式で表すことができる。以上のことから、図形 \(C\) はキであることがわかる。図の選択肢は、⓪:\(0\leqq x\leqq2\pi\) で0と2の間を2回上下する \(y=2|\sin x|\) 型の曲線、①:同じ区間で \(x=0,\pi,2\pi\) で2、\(x=\dfrac\pi2,\dfrac{3\pi}2\) で0となる \(y=2|\cos x|\) 型の曲線、②:原点で接する上下2個の半径1の円、③:原点で接する左右2個の半径1の円、④:\((0,0)\) と \((2,0)\) で接する右側2個の半径1の円、⑤:区間 \([-2,0]\) と \([0,2]\) を直径とする上半円2個、⑥:区間 \([-2,0]\) を直径とする左の上半円1個、⑦:区間 \([0,2]\) を直径とする右の上半円1個である。最も適当なものを⓪〜⑦から一つ選べ。
【型】絶対値は場合分けし、最後に両方を合わせる
【なぜこうするか】 \(\cos\theta\lt 0\) のときは \(|\cos\theta|=-\cos\theta\) なので \(r=-2\cos\theta\)。同じように両辺に \(r\) を掛けて
\[r^{2}=-2r\cos\theta\quad\Longleftrightarrow\quad x^{2}+y^{2}=-2x\quad\Longleftrightarrow\quad (x+1)^{2}+y^{2}=1\]
こちらは中心 \((-1,\,0)\)、半径1の円。両方を合わせると、図形 \(C\) は
\[(x-1)^{2}+y^{2}=1,\qquad (x+1)^{2}+y^{2}=1\]
という原点で接する2つの円(左右に1つずつ)です。全体は \(-2\leqq x\leqq 2\)、\(-1\leqq y\leqq 1\) の範囲に収まります。この形に合う図を選べばよく、キは③です。
選択肢にはグラフ \(y=2|\cos x|\) を描いた図(⓪①)も混じっていますが、これは極方程式ではなく直交座標の関数として読んでしまった誤答。極方程式は \(x\) と \(y\) の関係式ではなく、「角 \(\theta\) の方向に距離 \(r\) だけ進んだ点の集まり」だということを忘れないでください。
【検算】 \(\cos\theta\geqq0\) では \(x=r\cos\theta=2\cos^{2}\theta\) なので \(0\leqq x\leqq2\)、\(\cos\theta\lt0\) では \(x=-2\cos^{2}\theta\) なので \(-2\leqq x\lt0\) です。また、どちらの場合も \(|y|=|r\sin\theta|=2|\sin\theta\cos\theta|=|\sin2\theta|\leqq1\)。したがって全体の範囲は \(x\in[-2,\,2]\)、\(y\in[-1,\,1]\) となり、原点で接する左右2円という結論と一致します。
【定石】 図の選択肢問題は、まず式を直交座標に直して「何の図形か」を確定させる。そのうえで通る点と範囲(ここでは \(x\in[-2,\,2]\)、\(y\in[-1,\,1]\))を照合すれば、目測に頼らず選べる。
【よくあるミス】 \(\cos\theta\lt 0\) の場合を調べずに、右の円だけで答えてしまうこと。絶対値がついているのだから必ず2通りあります。
(3)(i) \(r\) の最大・最小と、\(\theta\) の個数
極方程式 \(r=1+2|\cos\theta|\) …⑤ の表す座標平面上の図形を \(D\) とする。(i) ⑤を満たす \(r\) と \(\theta\) の関係について考えよう。\(r\) の最大値はクであり、このときの \(\theta\) の値はケとコである。\(r\) の最小値はサであり、このときの \(\theta\) の値はシとスである。サ\(\lt r\lt\)クのとき、⑤を満たす \(\theta\) の値の個数は、\(r\) の値によらず、つねにセ個である。(ケ、コ、シ、スの解答群。同じものを繰り返し選んでもよい。)⓪ \(0\) ① \(\dfrac{\pi}{4}\) ② \(\dfrac{\pi}{2}\) ③ \(\pi\) ④ \(\dfrac{5}{4}\pi\) ⑤ \(\dfrac{3}{2}\pi\)
【型】\(|\cos\theta|\) は \(0\) 以上 \(1\) 以下。端と中間で場合を分ける
【なぜこうするか】 \(r\) は \(|\cos\theta|\) だけで決まります。\(0\leqq|\cos\theta|\leqq 1\) なので
\[1\leqq r\leqq 3\]
最大 \(r=3\) は \(|\cos\theta|=1\) のとき。\(0\leqq\theta\lt 2\pi\) の範囲では \(\theta=0\) と \(\theta=\pi\)。クは3、ケコは⓪と③です。
最小 \(r=1\) は \(|\cos\theta|=0\) のとき。\(\theta=\dfrac{\pi}{2}\) と \(\theta=\dfrac{3}{2}\pi\)。サは1、シスは②と⑤です。
最後に個数。\(1\lt r\lt 3\) のとき
\[|\cos\theta|=\dfrac{r-1}{2}\]
と書け、右辺を \(c\) とおくと \(0\lt c\lt 1\)。このとき \(\cos\theta=c\) を満たす \(\theta\) が2個、\(\cos\theta=-c\) を満たす \(\theta\) が2個。合わせて4個です。セは4。
\(c=0\) や \(c=1\) のときだけ2個に減るのですが、そこは端点として除かれています。だから「\(r\) の値によらず、つねに4個」と言い切れるのです。
【検算】 \(r=1.5,\ 2.0,\ 2.5,\ 2.9\) の4通りで \(|\cos\theta|=\dfrac{r-1}{2}\) の解を数えたところ、どれも4個でした ✓。また \(\theta\) を細かく刻んだときの \(r\) の最大は \(3.000000\)(\(\theta=0,\ \pi\))、最小は \(1.000000\) で一致しています。
【定石】 \(0\leqq\theta\lt 2\pi\) で \(\cos\theta=c\) の解の個数は、\(|c|\lt 1\) なら2個、\(|c|=1\) なら1個。絶対値がつくと \(\pm c\) の両方を数えるので倍になる。
(3)(ii) \(C\) を各方向に1だけ外へ広げると \(D\) になる
(2)の図形 \(C\) をもとに図形 \(D\) を考えよう。図形 \(C\) 上に点 P をとる。まず、P が原点でない場合に、原点 O を端点とする半直線 OP と図形 \(D\) の共有点を Q とすると、②と⑤から、線分 OQ の長さは線分 OP の長さに1を加えたものになる。次に、P が原点の場合は、②を満たす P の極座標は \(\left(0,\ \boxed{\text{ソ}}\right)\) と \(\left(0,\ \boxed{\text{タ}}\right)\) である。\(\theta=\)ソ、タのとき、⑤を満たすのは \(r=\)チのときである。以上のことから、図形 \(D\) はツであることがわかる。図の選択肢は、⓪:\(0\leqq\theta\leqq2\pi\) で \(r\) が1と3の間を2回上下する関係グラフ、①:横半径3・縦半径1の楕円、②:\((-1,0)\) から \((3,0)\) に並ぶ外接する半径1の円2個、③:区間 \([-3,-1]\) と \([1,3]\) を直径とする離れた上半円2個、④:\((\pm3,0)\) と \((0,\pm\sqrt3)\) を通り中央で交差する外側・内側の閉曲線、⑤:\((\pm3,0)\) と \((0,\pm1)\) を通り、原点付近でくびれてつながる左右対称の閉曲線、⑥:区間 \([-3,3]\) を底辺として上側だけにふくらむ弧、⑦:区間 \([-3,-1]\) と \([1,3]\) の上側にある離れた弧2個、⑧:区間 \([-3,3]\) の上側の外弧と、\([-1,1]\) の上側の内弧を重ねた図、⑨:\((-3,0)\)、\((0,0)\)、\((3,0)\) を結ぶ上側のふくらみ2個である。最も適当なものを⓪〜⑨から一つ選べ。なお、ソ、タの解答群は(3)(i)と同じである。
【型】\(r\) に定数を足す=各方向へ一律にその分だけ外へ押し出す
【なぜこうするか】 ②と⑤を見比べます。
\[C:\ r=2|\cos\theta|,\qquad D:\ r=1+2|\cos\theta|\]
同じ \(\theta\) に対して、\(D\) の \(r\) は \(C\) の \(r\) よりちょうど1だけ大きい。つまり「原点から見て同じ方向に、1だけ遠く」にあります。これが問題文の「\(\mathrm{OQ}=\mathrm{OP}+1\)」の意味です。
\(C\) を平行移動するのではなく、原点を中心に放射状に1だけ膨らませるという操作です。
次に、\(C\) が原点を通る方向を確認します。②で \(r=0\) となるのは \(|\cos\theta|=0\) のとき、つまり
\[\theta=\dfrac{\pi}{2},\qquad \theta=\dfrac{3}{2}\pi\]
ソタは②と⑤です。この2方向では⑤の \(r\) は
\[r=1+2\cdot 0=1\]
チは1。つまり \(D\) は \(\left(0,\,1\right)\) と \(\left(0,\,-1\right)\) を通ります。
これで \(D\) の形が決まります。代表点を並べると
\[\theta=0:\ (3,\,0),\qquad \theta=\dfrac{\pi}{2}:\ (0,\,1),\qquad \theta=\pi:\ (-3,\,0),\qquad \theta=\dfrac{3}{2}\pi:\ (0,\,-1)\]
左右に大きく張り出し(\(x\) は \(-3\) から3)、\(y\) 軸のところで \(\pm 1\) までくびれる——左右2つのふくらみが原点付近でくびれてつながった閉曲線です。ツは⑤です。
\(C\) が原点で接していた2円が、1だけ膨らんだことで接点が開いて1本につながった、と見ると分かりやすいでしょう。
【検算】 式を直接引くと \(\{1+2|\cos\theta|\}-2|\cos\theta|=1\) なので、同じ \(\theta\) では \(D\) の半径が常に1だけ大きいと確認できます。さらに \(\theta=0,\dfrac{\pi}{2},\pi,\dfrac{3\pi}{2}\) を代入すると、代表点 \((3,0),(0,1),(-3,0),(0,-1)\) も得られます。
【定石】 極方程式で \(r\to r+k\) は「原点からの距離を一律に \(k\) 増やす」、\(\theta\to\theta-\alpha\) は「原点まわりに \(\alpha\) 回転」。平行移動とは別物なので混同しないこと。
- 変換公式は3つ:\(x=r\cos\theta\)、\(y=r\sin\theta\)、\(x^{2}+y^{2}=r^{2}\)。
- \(r=\)(\(\cos\theta\) の式)は両辺に \(r\) を掛ける。\(r^{2}\) と \(r\cos\theta\) を作れば直交座標に直せる。
- \(r=2a\cos\theta\) は中心 \((a,\,0)\)、半径 \(|a|\) の円(原点を通る)。
- 絶対値は必ず2通りに場合分けし、最後に両方を合わせる。
- \(|\cos\theta|=c\)(\(0\lt c\lt 1\))の解は4個。端の \(c=0,\,1\) だけ2個に減る。
- \(r\to r+k\) は原点から放射状に膨らませる操作。平行移動ではない。

