【本記事について】本記事は、数強塾グループのプロ講師が実際に行った授業の録音記録をもとに、個人が特定されないよう一部の表現・構成を編集して再構成したものです。数式・指導内容・生徒への語りかけは、実際の授業に基づいています。
こんにちは。株式会社数強塾 代表の藤原進之介です。
「プロ講師の授業って、学生アルバイトの指導と何が違うんですか?」
保護者様との面談で、本当によくいただく質問です。言葉で説明するより、実物をお見せするのが一番だと考え、今回は当グループのプロ講師が行った90分の授業記録を、ほぼそのまま公開します。テーマは高1〜高2で学ぶ「2変数関数の最大・最小」。地味に見えて、東大・京大・医学部を含む上位大学の入試で最も差がつく分野の一つです。
授業は「模試の使い方」の話から始まった
数式の前に、この講師はまずこう語りかけます。
「来月マーク模試があるよね。何の目標もなく受けて、点数を眺めて終わりでは意味がない。課題を設けて、それをクリアできるかを確かめる場にしよう。マーク模試の特徴は、全単元がまんべんなく出ること。つまり、苦手単元が一つでもあってはいけないということ。私の授業はまだ一部の単元しか進んでいないから、模試までの2週間、授業とは別に全単元の基礎事項を自分で確認するのは大いに結構。その自習が、後で私の授業に出てきたとき、より深い理解になって返ってくるから」
成績を上げる塾の授業は、解法を教える前に「勉強の設計図」を渡します。模試は受けるものではなく使うもの──この一言だけでも、生徒の2週間の過ごし方が変わります。
「独立」か「従属」か。最初の1行で勝負は決まる
本題の問題はこうです(授業テキストより。表現は一部調整しています)。
座標平面上の点 (x, y) が x² − 2xy + 2y² = 4 を満たすとき、x + y の最大値を求めよ。
講師が最初に板書したのは、解法ではなく分類でした。
「先週話したね。文字と文字に関係がなければ独立、関係があれば従属。今日の問題は、x と y がこの関係式を満たしながら動く。バラバラには動けない。だから従属変数。まずこの解釈を1行目に書こう」
そして、従属変数の大原則を確認します。
「従属なら、関係式を使って文字を消去せよ。例えば x + y = 1 のもとで xy の最大値なら、y = 1 − x を代入して1文字の関数にすれば終わり。──でも、今日の問題はどう? この複雑な2次の関係式、x について解ける? y について解ける? 解けないよね。文字消去ができないパターンだ」
ここで講師は、受験の本質に踏み込みます。
「君たちが目指すのは上位の大学だ。文字消去できるような易しい問題は、合否の判定にならないから出ない。文字消去できないパターンが、君たちの入試では必ず出る。じゃあどうするか──それが今日の課題です」
1つの問題に、3つの別解を惜しみなく示す
いきなり答えを言う前に、講師は「イメージ」として、より易しい類題を黒板に書きました。
x² + y² = 1 のとき、x + y の最大値を求めよ。
そして、この1問に対して3通りのアプローチを、その場で示していきます。
① 図形と方程式で解く。 x² + y² = 1 は単位円。x + y = k とおけば傾き −1、y 切片 k の直線。この直線が円と共有点を持ちながら y 切片を最大にするのは接するとき。目で見て最大値が判定できる。
② 三角関数で解く。 円周上の点だから x = cosθ、y = sinθ とおける(三角関数の定義そのもの)。すると x + y = cosθ + sinθ。合成すれば1変数化でき、最大値 √2 が出る。
③ コーシー・シュワルツの不等式で解く。 (a² + b²)(x² + y²) ≧ (ax + by)² において a = b = 1 とすれば、2 ≧ (x + y)²。よって −√2 ≦ x + y ≦ √2。
「つまり、図形と方程式・三角関数・不等式、どの単元からでも攻められる。数学はこうやって、いろんな単元を絡めながらやっていくものなんだ」
1問に複数の視点を与える指導は、単元を「縦割り」で暗記してきた生徒の頭の中を、入試で戦える「横断型」に組み替えます。これは、大学入試を熟知したプロ講師でなければできない授業です。
本題──「実数条件を利用せよ」
では、今日の問題(x² − 2xy + 2y² = 4)はどうか。講師は生徒に確認させます。
「この関係式は円じゃない。だからグラフは使えない。こんな複雑な式の媒介変数表示も知らないよね。シュワルツの形にも当てはまらない。今言った選択肢が全部使えない。そこで──結論を言うよ。実数条件を利用せよ。この“実数”に下線を引いておいて。上位の入試で頻出なのに、受験生全体では意外とできない。だからこそ経験値として持ってほしい」
「実数と言われたら、これからは判別式を思い浮かべてほしい。2次方程式が実数解を持つ条件は D ≧ 0。逆に D が負なら虚数解になって、実数ではなくなる。実数条件を利用する=判別式を利用する、と頭に入れておこう」
解答の流れはこうです。
- 求めたいターゲット x + y を = k とおく(y = −x + k)
- 関係式に代入して x の2次方程式を作る: 5x² − 6kx + 2(k² − 2) = 0
- ここで講師は問題文に立ち返ります。「問題には“x は実数”とは書いていない。でも1行目に座標平面上の点 (x, y) とある。xy 平面上に虚数の点はないよね。だから x も y も実数であることは確定している」
- x は実数だから判別式 D₁ ≧ 0: 36k² − 40(k² − 2) ≧ 0
- 整理して −k² + 20 ≧ 0、すなわち −2√5 ≦ k ≦ 2√5
「よって x + y の最大値は 2√5。──ね、判別式の知識しか使っていない。頭の使い方自体は難しくない。でも、この発想を持っていないと手も足も出ない。だから解けない受験生が多いんだ」
後半の問題で見えた、プロの「記述指導」
同じ授業の後半では、同じ関係式のもとで x/(y + 4) の最大値を求める問題を扱いました。x/(y + 4) = k とおいて x = k(y + 4) を代入すると、
(k² − 2k + 2)y² + 8k(k − 1)y + 4(4k² − 1) = 0
という y の2次式が現れます。ここで講師は、多くの受験生が減点される急所を突きました。
「“y は実数だから判別式 D₂ ≧ 0”といきなり書いたら減点されるかもしれない。なぜか分かる? y² の係数に文字が入っているよね。この係数が仮に 0 になったら、2次方程式ではなくなる。2次方程式でなければ判別式は使えない。だから先に、係数が 0 でないことを言わなきゃいけない」
そして k² − 2k + 2 を平方完成し、(k − 1)² + 1 > 0──平方数に 1 を足した値だから必ず正、と一言添えてから判別式に進みます。計算を最後まで実行すると 3k² + 2k − 2 ≦ 0 となり、解の公式から最大値 (−1 + √7)/3 が得られました。
答えが合うことと、答案として満点が取れることは別物です。「どこで論理が飛ぶと減点されるか」を採点者の目線で指摘できるのは、入試指導を専門とするプロ講師ならではです。
「やったことのない問題ができなくても、悔しがらなくていい」
授業の締めくくりに、講師は予習でできなかった生徒に向けてこう語りました。
「見たこともやったこともない問題が解けなくても、悔しがる必要はない。やったことがないんだから、できないに決まっている。一番悔しいのは、やったのに忘れてしまった、復習不足で点が取れなかったとき。悔しがるポイントはそこだ。やったことのない問題ができないのは当たり前。だから私は、君たちにどんどん経験則を与えていく。それをしっかり受け取ってください」
数学が苦手なお子様の多くは、「できない自分」を責める癖がついています。この講師の言葉は、努力の方向を「未知の問題への不安」から「既知の問題の確実な復習」へと転換させるものです。学力だけでなく、受験期のメンタルを守る言葉の技術も、当グループがプロ講師にこだわる理由の一つです。
この授業から、保護者様に受け取ってほしいこと
90分の記録を通して見えるのは、次の3点です。
第一に、解法の暗記ではなく「分類→原則→原則が使えないときの発想」という思考の順序を教えていること。独立か従属か、文字消去できるかできないか、という判断の枠組みそのものを渡しています。
第二に、1つの問題を複数の単元から照らすこと。図形と方程式・三角関数・不等式を横断する視点は、単元別の学習では決して身につきません。
第三に、答案の論理(係数≠0の確認、実数条件の根拠、必要十分性)まで踏み込むこと。これが記述式入試での得点力に直結します。
数強塾のマンツーマン指導では、この水準の授業を、お子様一人ひとりの理解度・学校進度・答案に合わせて行います。集団授業では拾いきれない「どこで詰まっているか」を、対話の中で特定しながら進められるのが1対1の強みです。
藤原進之介が厳選した一流のプロ講師が君の担任になります!最難関大学の攻略まで徹底サポート!
体験授業(3,000円・税込)では、実際にお子様の答案・学校教材を拝見しながら、この記事のような「考え方から変える授業」を体感いただけます。プロ講師の労働環境と指導品質を守るため体験授業は有料としておりますが、その分、初回から本気の授業をお約束します。


