中学受験・算数

明治大学付属中野中 算数の傾向と対策|数強塾

数強塾のプロ講師陣

今日の一問
(計算問題の典型)次の計算をしなさい。(3)は□にあてはまる数を求めなさい。
(1) \(2.5\times3.7+2.5\times6.3\)
(2) \(\dfrac{1}{1\times3}+\dfrac{1}{3\times5}+\dfrac{1}{5\times7}+\dfrac{1}{7\times9}\)
(3) \(\left(\square\div\dfrac{2}{3}-1.5\right)\times\dfrac{4}{5}=2\)
——さて、どこから手をつける?
数強塾オリジナルの類題です。答えと考え方は、この記事の中で解説します。

明治大学付属中野中学校 算数の傾向と対策【数強塾オリジナル】

オンライン数学専門塾 数強塾|プロ講師のみ・完全1対1指導・中高一貫校対応

明治大学付属中野中学校(東京都中野区)は、明治大学の付属校のひとつとして知られる男子校です。付属校ならではの落ち着いた学習環境のなかで、多くの生徒が明治大学へと進学しています。本ページでは、学校公式サイトで公開されている入試情報をもとに算数の試験の枠組みを整理し、そのうえでオンライン数学専門塾「数強塾」が独自に作成したオリジナル類題5問(計算の工夫・割合と食塩水・速さ・平面図形・数の性質)を、考え方・解答・二重検算つきで掲載します。

入試の枠組み(学校公式サイトの公開情報にもとづく)

公式サイトの入試要項によると、入試は国語・算数・社会・理科の4科で実施され、算数は試験時間50分・100点満点と案内されています。国語も50分・100点満点、社会・理科は各30分・50点満点で、4科の合計は300点満点です。募集人員は第1回が男子約180名、第2回が男子約90名で、面接は実施しないと案内されています。出願期間・試験日・検定料などの最新情報は必ず 明治大学付属中野中学校 入試情報(公式) でご確認ください。

※本ページは公開情報にもとづく傾向分析と、数強塾オリジナルの自作類題による対策です。実際の問題文・図は学校公式サイトでご確認ください。

出題分野の傾向

以下は、公開されている入試の枠組みと、一般的な中学受験算数の学習経験にもとづいて数強塾が整理した傾向のまとめです。特定年度の問題内容を断定するものではありません。

  • 時間配分がカギになる形式:算数は50分・100点満点です。付属校の算数は、受験生をふるい落とすための極端な難問よりも、標準的な受験算数の解法をていねいに積み上げてきた生徒が実力を発揮しやすい、オーソドックスな出題になりやすいと考えられます。そのぶん「解ける問題を、速く、正確に取り切る」処理力が得点を左右しやすい試験といえます。
  • 計算・小問で足場を固める:多くの中学入試と同様、序盤に計算問題や一行問題(小問集合)が置かれる構成は典型的です。ここでの取りこぼしは合否に直結しやすいため、計算の工夫と検算の習慣を土台として固めておくことが重要です。
  • 割合・速さ・図形をまんべんなく:割合と比(食塩水・売買損益・仕事算など)、速さ(旅人算・通過算・流水算など)、平面図形(面積比・相似)、立体図形(体積・表面積)、数の性質(約数・倍数・余り)、場合の数といった、受験算数の主要分野から幅広く出題される可能性を想定して対策するのが安全です。特定分野に偏らず、穴のない基礎をつくることを優先しましょう。
  • 正確さで差がつきやすい:標準的な良問がそろう入試ほど、最後に差をつけるのは「ひらめき」よりも「ミスの少なさ」です。式の書き方・単位のそろえ方・見直しの手順まで含めて、再現性の高い解き方を身につけているかどうかが得点の安定につながります。

オリジナル類題で対策

以下の5問は、上記の傾向をふまえて数強塾が独自に作成したオリジナル問題です。実在の過去問の複製ではありません。全問、正攻法の解答に加えて独立した別の方法による二重検算を行い、答えの一致を確認しています。

類題1(計算の工夫・逆算)

【問題】(計算問題の典型)次の計算をしなさい。(3)は□にあてはまる数を求めなさい。
(1) \(2.5\times3.7+2.5\times6.3\)
(2) \(\dfrac{1}{1\times3}+\dfrac{1}{3\times5}+\dfrac{1}{5\times7}+\dfrac{1}{7\times9}\)
(3) \(\left(\square\div\dfrac{2}{3}-1.5\right)\times\dfrac{4}{5}=2\)

【方針】計算問題は「そのまま計算したら負け」と考え、まず式の形を観察します。(1)は\(2.5\)でくくる分配法則、(2)は各項を\(\dfrac{1}{2}\left(\dfrac{1}{a}-\dfrac{1}{b}\right)\)の形に分ける「部分分数分解」、(3)は\(0.75\)などの小数を分数に直し、計算の順序を逆にたどる逆算です。

【解答】(1) \(2.5\times(3.7+6.3)=2.5\times10=\mathbf{25}\)。
(2) 各項は\(\dfrac{1}{n\times(n+2)}=\dfrac{1}{2}\left(\dfrac{1}{n}-\dfrac{1}{n+2}\right)\)。よって全体は\(\dfrac{1}{2}\left(1-\dfrac{1}{9}\right)=\dfrac{1}{2}\times\dfrac{8}{9}=\mathbf{\dfrac{4}{9}}\)。
(3) \(\square\div\dfrac{2}{3}-1.5=2\times\dfrac{5}{4}=2.5\)。\(\square\div\dfrac{2}{3}=2.5+1.5=4\)。\(\square=4\times\dfrac{2}{3}=\mathbf{\dfrac{8}{3}}\)。

【✅検算】(1) 工夫せず直接計算すると\(9.25+15.75=25\)で一致。(2) 小数で確かめると\(0.3333\cdots+0.0667+0.02857+0.01587=0.4444\cdots=\dfrac{4}{9}\)で一致。(3) \(\square=\dfrac{8}{3}\)を元の式へ戻すと、\(\dfrac{8}{3}\div\dfrac{2}{3}=4\)、\(4-1.5=2.5\)、\(2.5\times\dfrac{4}{5}=2\)となり右辺と一致します。

類題2(割合・食塩水)

【問題】(濃度の典型)濃度8%の食塩水200gと、濃度3%の食塩水300gがあります。
(1) この2つをすべて混ぜると、濃度は何%になりますか。
(2) (1)の食塩水に水を加えて濃度4%にするには、水を何g加えればよいですか。
(3) (1)の食塩水から水を蒸発させて濃度10%にするには、水を何g蒸発させればよいですか。

【方針】食塩水の問題は「食塩の重さは変わらない」ことを軸に、食塩の重さを固定して考えるのが定石です。水を加えても蒸発させても食塩の量は一定なので、目標濃度から「全体の重さ」を逆算します。

【解答】(1) 食塩は\(200\times0.08=16\)g と\(300\times0.03=9\)g で、合計\(25\)g。全体は\(200+300=500\)g なので、濃度は\(25\div500=0.05=\mathbf{5\%}\)。
(2) 食塩\(25\)g を全体の4%にするので、全体は\(25\div0.04=625\)g。加える水は\(625-500=\mathbf{125}\)g。
(3) 食塩\(25\)g を全体の10%にするので、全体は\(25\div0.1=250\)g。蒸発させる水は\(500-250=\mathbf{250}\)g。

【✅検算】(1) てんびん法で確認します。8%と3%の食塩水を200g:300g=2:3で混ぜるので、混合後の濃度は3%側から\((8-3)\times\dfrac{2}{2+3}=5\times\dfrac{2}{5}=2\)だけ上がり\(3+2=5\%\)で一致。(2) \(625\)g×4%=25gで食塩量が保存され一致。(3) \(250\)g×10%=25gでこちらも食塩量が保存され一致します。

類題3(速さ・旅人算)

【問題】(旅人算の典型)家から図書館までは2400mはなれています。太郎くんは家から図書館へ分速80mで、花子さんは図書館から家へ分速120mで、同時に出発しました。
(1) 2人が出会うのは出発してから何分後で、それは家から何mの地点ですか。
(2) 花子さんが家に着くのは出発してから何分後ですか。
(3) 花子さんが家に着いたとき、太郎くんは家から何mの地点にいますか。

【方針】向かい合って進む旅人算は、「2人の間の道のり」÷「1分あたりに近づく速さの和」で出会うまでの時間が出ます。だれが・いつ・どこにいるかを線分図に整理すると、複数の問いを取りこぼしません。

【解答】(1) 2人は1分あたり\(80+120=200\)mずつ近づくので、出会うのは\(2400\div200=\mathbf{12}\)分後。地点は家から\(80\times12=\mathbf{960}\)m。
(2) 花子さんは2400mを分速120mで進むので、\(2400\div120=\mathbf{20}\)分後に家へ着きます。
(3) 太郎くんは20分間で\(80\times20=\mathbf{1600}\)m 進んだ地点にいます(図書館までの2400mにはまだ届いていません)。

【✅検算】(1) 出会った地点を図書館側から見ると、花子さんは\(120\times12=1440\)m進んでおり、\(960+1440=2400\)mで全体と一致。速さの比で見ると、同じ時間に進む道のりの比は\(80:120=2:3\)なので、出会いの地点は家から\(2400\times\dfrac{2}{5}=960\)mと計算でき一致します。(3) 20分後の2人の位置は、太郎1600m、花子は家(0m)。太郎の残りは\(2400-1600=800\)mで、\(800\div80=10\)分後に到着(=出発30分後)と整合します。

類題4(平面図形・面積比)

【問題】(面積比の典型)長方形ABCDがあります。辺BC上に\(BP:PC=2:1\)となる点Pをとり、辺CDの真ん中に点Q(\(CQ:QD=1:1\))をとります。長方形ABCDの面積が48cm²のとき、三角形APQの面積を求めなさい。

【方針】三角形APQを直接求めにくいときは、長方形全体から、周りの3つの直角三角形(ABP・PCQ・AQD)をひくのが正攻法です。それぞれの三角形の面積を、辺の比を使って長方形の何分のいくつかで表します。

【解答】長方形の面積を1(=48cm²)とします。
三角形ABP:底辺ABは長方形の横一杯、高さBPは縦の\(\dfrac{2}{3}\)。面積は\(\dfrac{1}{2}\times1\times\dfrac{2}{3}=\dfrac{1}{3}\)。
三角形PCQ:PC は縦の\(\dfrac{1}{3}\)、CQ は横の\(\dfrac{1}{2}\)。面積は\(\dfrac{1}{2}\times\dfrac{1}{3}\times\dfrac{1}{2}=\dfrac{1}{12}\)。
三角形AQD:AD は縦一杯、DQ は横の\(\dfrac{1}{2}\)。面積は\(\dfrac{1}{2}\times1\times\dfrac{1}{2}=\dfrac{1}{4}\)。
3つの和は\(\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{12}+\dfrac{1}{4}=\dfrac{4+1+3}{12}=\dfrac{8}{12}=\dfrac{2}{3}\)。
よって三角形APQ\(=1-\dfrac{2}{3}=\dfrac{1}{3}\)、面積は\(48\times\dfrac{1}{3}=\mathbf{16}\)cm²。

【✅検算】座標で確かめます。D\((0,0)\)、C\((L,0)\)、B\((L,H)\)、A\((0,H)\)、\(L\times H=48\)。P\(\left(L,\dfrac{H}{3}\right)\)、Q\(\left(\dfrac{L}{2},0\right)\)。三角形APQの面積は、座標から\(\dfrac{1}{2}\left|L\times(0-H)+\dfrac{L}{2}\times\left(H-\dfrac{H}{3}\right)\right|=\dfrac{1}{2}\left|-LH+\dfrac{L}{2}\times\dfrac{2H}{3}\right|=\dfrac{1}{2}\times\dfrac{LH}{3}\times2=\dfrac{LH}{3}=\dfrac{48}{3}=16\)cm²。正攻法と一致します(長方形の縦横の長さによらず答えは16cm²になります)。

類題5(数の性質・約数)

【問題】(約数の典型)整数72について答えなさい。
(1) 72の約数は全部で何個ありますか。
(2) 72のすべての約数の和を求めなさい。
(3) 72に、ある整数をかけて、ある整数を2回かけた数(平方数)にします。かける整数のうち最も小さいものを求め、そのときできる平方数も答えなさい。

【方針】まず素因数分解します。\(72=2^3\times3^2\)。約数の個数は各素因数の指数に1を足してかけ合わせ、約数の和は各素因数について「1+その数+…」を作ってかけ合わせます。平方数は「すべての素因数の指数が偶数」になる数です。

【解答】\(72=2^3\times3^2\)。
(1) 約数の個数は\((3+1)\times(2+1)=4\times3=\mathbf{12}\)個。
(2) 約数の和は\((1+2+4+8)\times(1+3+9)=15\times13=\mathbf{195}\)。
(3) \(2^3\times3^2\)を平方数にするには、\(2\)の指数3を偶数にすればよいので、最小で\(2\)を1個かけます。\(72\times2=144=2^4\times3^2=(2^2\times3)^2=12^2\)。よってかける整数は\(\mathbf{2}\)、できる平方数は\(\mathbf{144}\)(\(=12^2\))。

【✅検算】(1)(2) 72の約数を書き出すと 1, 2, 3, 4, 6, 8, 9, 12, 18, 24, 36, 72 の12個で個数が一致。和は\(1+2+3+4+6+8+9+12+18+24+36+72=195\)で一致。(3) \(144=12\times12\)で確かに平方数、しかも\(2\)より小さい1では\(72\)のままで平方数にならないので、最小が\(2\)であることも確認できます。

学習アドバイス

【時期別】

  • 6年生の夏まで:計算・割合・速さ・図形・数の性質など、全分野の典型問題を穴なく仕上げることが最優先です。標準問題を高い精度で取り切るタイプの入試では、解法の抜けがそのまま失点になります。計算練習は毎日、時間を計って「速く・正確に」を体にしみこませましょう。
  • 秋(9〜11月):50分という時間感覚をつかむため、時間を計った演習に切りかえます。序盤の計算・小問を落とさず取り切り、後半に時間を残す配分を身につけます。まちがえた問題は「知らなかった解法」か「処理ミス」かを仕分けし、ミスは原因を言葉でノートに記録しましょう。
  • 直前期(12月〜1月):新しい教材を増やすより、使い慣れた問題集の反復で精度を上げる時期です。本ページの【✅検算】のように、別ルートで答えを確かめる習慣を試験運びに組み込むと、本番でのケアレスミスを大きく減らせます。

【分野別】

  • 計算・数の性質:分配法則・部分分数・逆算(類題1)や、素因数分解を使う約数の処理(類題5)は反射のレベルまで。「工夫が見えるまで手を止める」一呼吸が、結局いちばん速く正確です。
  • 割合・速さ:食塩水は「食塩の量を固定」(類題2)、旅人算は「近づく速さの和・線分図」(類題3)が土台です。てんびん法や速さの比での検算ができると精度が上がります。
  • 図形:面積比は「全体から周りをひく」考え方(類題4)を軸に、相似(ちょうちょ形・ピラミッド形)や立体の体積まで、図をかき起こして整理する練習を積みましょう。

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【補講】答えが \(\dfrac49\) になった理由——分子の \(4\) は項数です

類題1(2)の答えは \(\dfrac49\) でした。足したのは \(4\) 項。分子の \(4\) は、その項数と同じ数です。これは偶然ではありません。\(10\) 項なら \(\dfrac{10}{21}\)、\(24\) 項なら \(\dfrac{24}{49}\)。足す前に答えが言えます。そのしくみを見ます。

① なぜ \(\dfrac12\) をかけるのか

記事は \(\dfrac{1}{n \times (n+2)} = \dfrac12\left(\dfrac1n – \dfrac{1}{n+2}\right)\) を使いました。この \(\dfrac12\) はどこから来るのか。右辺の中身を通分してみます(なぜ分母の違う分数はそのまま足せないのか)。

\(\dfrac1n – \dfrac{1}{n+2} = \dfrac{(n+2) – n}{n(n+2)} = \dfrac{2}{n(n+2)}\)

分子に \(2\) が出てしまいました。これは分母の \(2\) 数の差です。ほしいのは分子が \(1\) の形なので、\(\dfrac12\) 倍して打ち消す。\(\dfrac12\) は「引き算をしたときに勝手に出てくる \(2\) を戻すため」の数です。

② 差が \(k\) なら \(\dfrac1k\)

①の計算は \(2\) を \(k\) に変えてもそのまま通ります。

\(\dfrac1n – \dfrac{1}{n+k} = \dfrac{k}{n(n+k)}\) だから \(\dfrac{1}{n(n+k)} = \dfrac1k\left(\dfrac1n – \dfrac{1}{n+k}\right)\)

もとの分数 分母の \(2\) 数の差 分けた形
\(\dfrac{1}{1 \times 2}\) \(1\) \(\dfrac11 – \dfrac12\)
\(\dfrac{1}{1 \times 3}\) \(2\) \(\dfrac12\left(\dfrac11 – \dfrac13\right)\)
\(\dfrac{1}{1 \times 4}\) \(3\) \(\dfrac13\left(\dfrac11 – \dfrac14\right)\)
\(\dfrac{1}{4 \times 7}\) \(3\) \(\dfrac13\left(\dfrac14 – \dfrac17\right)\)
\(\dfrac{1}{2 \times 7}\) \(5\) \(\dfrac15\left(\dfrac12 – \dfrac17\right)\)

どれも右の形を計算し直すと、もとの分数にもどります。覚えるのは「\(\dfrac1k\) の \(k\) は分母の \(2\) 数の差」だけです。

よくある取りちがえは、差ではなく「分母の小さいほう」や「項の番号」を \(k\) にしてしまうことです。\(\dfrac{1}{4 \times 7}\) なら \(k = 7-4 = 3\)。\(4\) でも \(7\) でもありません。不安なら、分けた形を通分してもとに戻るか、その場で \(1\) 回だけ確かめます(検算のしかた7つ|答えを出したあと30秒で間違いを見つける技術)。

③ なぜ分子が項数になるのか

記事の並びは \(1 \times 3,\ 3 \times 5,\ 5 \times 7,\ 7 \times 9\)。前の分数の後ろの数が、次の分数の前の数になっています。だから分けたあと、となり合う項がきれいに消えます(なぜ階差を取ると数列の次数が1つ下がるのか)。

分けた形
\(\dfrac{1}{1 \times 3}\) \(\dfrac12\left(\dfrac11 – \dfrac13\right)\)
\(\dfrac{1}{3 \times 5}\) \(\dfrac12\left(\dfrac13 – \dfrac15\right)\)
\(\dfrac{1}{5 \times 7}\) \(\dfrac12\left(\dfrac15 – \dfrac17\right)\)
\(\dfrac{1}{7 \times 9}\) \(\dfrac12\left(\dfrac17 – \dfrac19\right)\)
合計 \(\dfrac12\left(\dfrac11 – \dfrac19\right)\)

\(N\) 項まで足すと、残るのは最初の \(1\) と最後の \(\dfrac{1}{2N+1}\) だけ。まとめると

\(\dfrac12\left(1 – \dfrac{1}{2N+1}\right) = \dfrac12 \times \dfrac{2N}{2N+1} = \dfrac{N}{2N+1}\)

分子がそのまま項数 \(N\) になりました。

項数 \(N\) \(4\) \(5\) \(10\) \(24\) \(50\)
\(\frac49\) \(\frac5{11}\) \(\frac{10}{21}\) \(\frac{24}{49}\) \(\frac{50}{101}\)

すべて実際に足して確かめました。分母は分子の \(2\) 倍より \(1\) 大きい数になっています。

④ 並びを変えると、両はしに \(2\) 項ずつ残る

③がうまくいったのは、分母が \(1{\times}3,\ 3{\times}5,\ 5{\times}7\) と\(2\) とびで並んでいたからです。では \(1{\times}3,\ 2{\times}4,\ 3{\times}5,\ \ldots\) と\(1\) ずつずらしたら、どうなるでしょう。

分けた形
\(\dfrac{1}{1 \times 3}\) \(\dfrac12\left(\dfrac11 – \dfrac13\right)\)
\(\dfrac{1}{2 \times 4}\) \(\dfrac12\left(\dfrac12 – \dfrac14\right)\)
\(\dfrac{1}{3 \times 5}\) \(\dfrac12\left(\dfrac13 – \dfrac15\right)\)
\(\dfrac{1}{4 \times 6}\) \(\dfrac12\left(\dfrac14 – \dfrac16\right)\)
\(\dfrac{1}{5 \times 7}\) \(\dfrac12\left(\dfrac15 – \dfrac17\right)\)

今度はとなりどうしではなく、\(1\) つ飛ばしで消えます。\(-\dfrac13\) を消すのは \(3\) 番目の \(+\dfrac13\)、\(-\dfrac14\) を消すのは \(4\) 番目の \(+\dfrac14\)。その結果、前から \(2\) 項、後ろから \(2\) 項が残ります。

\(\dfrac12\left(\dfrac11 + \dfrac12 – \dfrac16 – \dfrac17\right) = \dfrac12 \times \dfrac{25}{21} = \dfrac{25}{42}\)

実際に \(\dfrac13 + \dfrac18 + \dfrac1{15} + \dfrac1{24} + \dfrac1{35}\) を通分して足しても \(\dfrac{25}{42}\) でした。同じ「分けて消す」でも、残る個数が変わります。

「両はしだけ残る」と覚えていると、ここでまちがえます。残るのは「消し相手が並びの外にいる項」です。\(2\) とびの並びなら各はし \(1\) 個ずつ、\(1\) とびの並びなら各はし \(2\) 個ずつ。書き出して、どれとどれが消えるかを線で結んでから足すのが確実です。

⑤ どこまでも足したら、いくつに近づくか

③の \(\dfrac{N}{2N+1}\) で \(N\) を大きくしていきます。

\(N\) \(4\) \(10\) \(50\) \(500\) \(1000\)
\(0.4444\cdots\) \(0.4762\cdots\) \(0.4950\cdots\) \(0.4995\cdots\) \(0.49975\cdots\)

\(0.5\) に近づきますが、決して \(0.5\) にはなりません。\(\dfrac{N}{2N+1}\) は分母が分子の \(2\) 倍より \(1\) 大きいので、いつでも \(\dfrac12\) より少し小さい。③の式で言えば \(\dfrac12\left(1 – \dfrac{1}{2N+1}\right)\) の\(\dfrac{1}{2N+1}\) がゼロにならないからです。

④の並びなら \(\dfrac12\left(1 + \dfrac12 – \dfrac{1}{N+1} – \dfrac{1}{N+2}\right)\) なので、近づく先は \(\dfrac12 \times \dfrac32 = \dfrac34\)。\(N=1000\) で \(0.7490\cdots\) でした。残る項が \(2\) 個ずつなので、行き先も変わります。

無限に足しているのに、答えが \(1\) つの数に落ち着く——これは高校の数列で学ぶ「和の極限」の入口です(なぜ数列の和は「離散的な積分」と言えるのか)。中学受験で使う「消し合う工夫」は、そのまま高校の道具になります。\(4\) 項でも \(1000\) 項でも、手つきは \(1\) つも変わりません。

数強塾オリジナル類題(4問)

すべて当塾で作成し、答えは分けて消す方法と、通分して直接足す方法の両方で照合してあります。答えはすべて既約分数で書いてください。

類題1 項数をのばす

\(\dfrac{1}{1 \times 3} + \dfrac{1}{3 \times 5} + \dfrac{1}{5 \times 7} + \cdots + \dfrac{1}{19 \times 21}\) を計算しなさい。(1) 項数はいくつですか。(2) 和を求めなさい。(3) ③の \(\dfrac{N}{2N+1}\) と合うか確かめなさい。

答え

(1) 分母の前の数が \(1,3,5,\ldots,19\) なので \(10\) 項。(2) 分けると \(\dfrac12\left(\dfrac11 – \dfrac1{21}\right) = \dfrac12 \times \dfrac{20}{21} = \mathbf{\dfrac{10}{21}}\)。(3) \(N=10\) で \(\dfrac{10}{2 \times 10 + 1} = \dfrac{10}{21}\)。一致します。

(1)で項数を \(19\) や \(21\) と取りちがえないこと。\(1\) から \(19\) までの奇数は \((19+1) \div 2 = 10\) 個です。記事の \(\dfrac49\) と見くらべると、\(4\) 項が \(10\) 項になっただけで答えの形は同じ——分子が項数、分母がその \(2\) 倍 \(+1\)。

類題2 \(3\) とびの並び

\(\dfrac{1}{1 \times 4} + \dfrac{1}{4 \times 7} + \dfrac{1}{7 \times 10} + \dfrac{1}{10 \times 13}\) を計算しなさい。(1) \(1\) 項目を分けた形を書きなさい。(2) 和を求めなさい。(3) \(N\) 項まで足したときの式を作りなさい。

答え

(1) 分母の差は \(4-1 = 3\) なので \(\dfrac{1}{1 \times 4} = \dfrac13\left(\dfrac11 – \dfrac14\right)\)。(2) \(\dfrac13\left(\dfrac11 – \dfrac1{13}\right) = \dfrac13 \times \dfrac{12}{13} = \mathbf{\dfrac{4}{13}}\)。(3) \(N\) 項目の分母は \((3N-2) \times (3N+1)\) なので\(\dfrac13\left(1 – \dfrac{1}{3N+1}\right) = \mathbf{\dfrac{N}{3N+1}}\)。

(2)の答えも分子が項数 \(4\) になりました。\(2\) とびなら \(\dfrac{N}{2N+1}\)、\(3\) とびなら \(\dfrac{N}{3N+1}\)。とび幅がそのまま分母に入ります。通分して直接足すと \(\dfrac14 + \dfrac1{28} + \dfrac1{70} + \dfrac1{130}\) ですが、この \(4\) つの分母の最小公倍数は \(1820\)。分けて消すほうが、けたちがいに速いのが分かります。

類題3 \(1\) ずつずらした並び

\(\dfrac{1}{1 \times 3} + \dfrac{1}{2 \times 4} + \dfrac{1}{3 \times 5} + \dfrac{1}{4 \times 6} + \dfrac{1}{5 \times 7}\) を計算しなさい。(1) どの項とどの項が消え合うか説明しなさい。(2) 残る項をすべて書きなさい。(3) 和を求めなさい。

答え

(1) すべて差が \(2\) なので \(\dfrac12\left(\dfrac1n – \dfrac1{n+2}\right)\) の形。\(1\) 項目の \(-\dfrac13\) は \(3\) 項目の \(+\dfrac13\) と、\(2\) 項目の \(-\dfrac14\) は \(4\) 項目の \(+\dfrac14\) と消え合います。となりではなく \(1\) つ飛ばしです。(2) 残るのは \(+\dfrac11,\ +\dfrac12,\ -\dfrac16,\ -\dfrac17\) の \(4\) つ。(3) \(\dfrac12\left(1 + \dfrac12 – \dfrac16 – \dfrac17\right) = \dfrac12 \times \dfrac{25}{21} = \mathbf{\dfrac{25}{42}}\)。

直接足しても確かめました。\(\dfrac13 + \dfrac18 + \dfrac1{15} + \dfrac1{24} + \dfrac1{35}\) を\(840\) で通分すると \(\dfrac{280+105+56+35+24}{840} = \dfrac{500}{840} = \dfrac{25}{42}\)。一致します。記事の並びなら \(5\) 項で \(\dfrac5{11} = 0.4545\cdots\) ですが、こちらは \(0.5952\cdots\)。同じ \(5\) 項でも、並べ方が違えば答えも違います。

類題4 答えから項数を逆に求める

\(\dfrac{1}{1 \times 3} + \dfrac{1}{3 \times 5} + \cdots\) と \(2\) とびで足していったところ、和が \(\dfrac{24}{49}\) になりました。(1) 何項足しましたか。(2) 最後の項の分母を答えなさい。(3) 和が \(\dfrac12\) になることはありますか。

答え

(1) ③より \(\dfrac{N}{2N+1} = \dfrac{24}{49}\)。分子どうしを見て \(N = \mathbf{24}\)(分母も \(2 \times 24 + 1 = 49\) で合います)。(2) \(N\) 項目の分母は \((2N-1) \times (2N+1)\) なので\(47 \times 49\)、つまり \(2303\)。(3) ありません。\(\dfrac{N}{2N+1}\) の分母は分子の \(2\) 倍より \(1\) 大きいので、\(\dfrac12\) より必ず小さくなります。

(3)は⑤の話です。項をいくら増やしても \(\dfrac12\) に届かない。\(N = 1000\) でも \(\dfrac{1000}{2001} = 0.49975\cdots\)。近づくことと、たどり着くことは違います。(1)で「分子どうしを見る」で済んだのは、\(\dfrac{N}{2N+1}\) がいつでも既約分数(約分できない形)だからです(なぜ分数で割ると逆数を掛けるのか)。

\(4\) 問に共通するのは、「引き算の形に分けてから足す」の一手です。分ける係数 \(\dfrac1k\) は分母の \(2\) 数の差、残る項は「消し相手が並びの外にいるもの」。この \(2\) つを押さえれば、項数がいくつでも、とび幅がいくつでも同じ手が通りますなぜ等差数列の和は「最初と最後の平均×個数」なのか)。

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