中学受験・算数

森村学園中等部 2025年度 算数 過去問の傾向と解答・解説

数強塾のプロ講師陣

今日の一問
 次を計算しなさい。
\(\dfrac{1}{1\times2}+\dfrac{1}{2\times3}+\dfrac{1}{3\times4}+\cdots+\dfrac{1}{9\times10}\)
ほどく
\(\dfrac{1}{1\times2}=\dfrac{1}{1}-\dfrac{1}{2}\)、\(\dfrac{1}{2\times3}=\dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{3}\)、…と、すべて「差」に書きかえます
並べる
——さて、どこから手をつける?
数強塾オリジナルの類題です。答えと考え方は、この記事の中で解説します。

森村学園中等部 2025年度(第1回)算数の傾向と解答・解説【数強塾オリジナル】

森村学園中等部 2025年度 第1回 算数の傾向(公式公開PDFにもとづくまとめ)

  • 形式:大問6問構成で、公式の解答用紙に「全問 1題5点」と明記されています。小問は大問1が計算3問、大問2が小問集合5問、大問3〜6が各3問で、合計20問あります。したがって100点満点と考えられます。大問1・2で基礎を固め、大問3以降で図形・時計算・規則性・水量グラフの総合力を問う並びです。
  • 記述の扱い:問題冊子の注意書きによると、大問1・2・3・4(1)(2)・5・6(2)(3)の解答らんは答えのみ記入、大問4(3)・6(1)は「答えのみでもよいが、途中の計算や図・考え方があれば部分点をつけることがある」とされています。手が止まった設問ほど、式や図を残す姿勢が得点につながると考えられます。
  • 頻出分野:四則計算、数の性質、旅人算(出会い算)、食塩水、仕事算、比、平面図形の相似と面積比、時計算、規則性(フローチャートによる場合分けと数え上げ)、水量変化とグラフです。2025年度第1回もこの柱がそのまま並びました。
  • 合否を分ける一問:大問3(3)の「AH:HI:IE」という三重の比と、大問5(2)(3)の「条件に合う最大の4けたの整数」を探す数え上げでしょう。前者は補助線と相似の連続処理、後者はフローチャートの分岐条件を正しく読み取る力が試されました。
  • 時間配分の考え方:計算3問と小問集合5問を前半で手早く固め、大問3以降の図形・時計算・規則性・グラフに時間を残すのが現実的です。大問5・6は(1)(2)で仕組みをつかめば(3)まで一気に進めるため、途中でつまずいたら深追いせず後回しにする判断も有効でしょう。

問題・正答の原本は森村学園中等部の公式サイトで公開されています → 森村学園 過去問題(公式)

※以下の解説はオンライン数学専門塾「数強塾」による独自作成です(全問、受験算数の正攻法と別解による二重検算を行い、森村学園公式サイト掲載の正答PDFとも全問一致を確認しています)。問題文・図版は転載していません。原本は森村学園公式サイトのPDFをご参照ください。

大問1(計算) 答:(1) 25 (2) 1/35 (3) 2.5

四則混合、分数のたし算・ひき算、そして分数と小数がまじった計算の3問です。かっこの順序と通分・約分を落ち着いて処理できるかが問われます。

【📖大切な考え方】計算は「小かっこ→中かっこ→かけ算・わり算→たし算・ひき算」の順を守るのが基本です。(2)のように分母が3つの数の積で並ぶ和差は、「差の形にほどく」くふうが効きます。

【👀ここに注目】(2)は 1÷(2×3×4) のような形が並びます。1/(n×(n+1)×(n+2)) を「(1/2)×{1/(n×(n+1))−1/((n+1)×(n+2))}」と分けると、次々に打ち消し合う部分が見えてきます。

解答
(1) 60−7×3−(63−7)÷4。先にかけ算・わり算とかっこを処理して、7×3=21、63−7=56、56÷4=14。よって 60−21−14=25
(2) 分母をそろえると、1/24−1/60+1/120−1/210。最小公倍数840で通分すると 35/840−14/840+7/840−4/840=(35−14+7−4)/840=24/840=1/35
(3) 2−{1/3+(1/2−1/3)÷(1.125−1/4)+1/7}×0.3+0.7。まず中かっこの中を作ります。1/2−1/3=1/6、1.125−1/4=1.125−0.25=0.875=7/8。1/6÷7/8=1/6×8/7=4/21。1/3+4/21+1/7=7/21+4/21+3/21=14/21=2/3。これに0.3をかけて 2/3×3/10=1/5=0.2。よって 2−0.2+0.7=2.5

【✅検算】(2)は「差の形にほどく」方法でも、1/24−1/60+1/120−1/210=24/840=1/35 と同じ値になりました。(3)も中かっこの中を小数で 0.333…+0.190…+0.142…=0.666…=2/3 と確かめられ、いずれも公式正答と一致しました。

大問2(小問集合) 答:(1) 102 (2) 2時間24分 (3) 600g (4) 6日 (5) 12800円

(1) 数の性質:3を加えると5でも7でも割り切れる3けたの整数のうち、もっとも小さい整数を求めます。

【👀ここに注目】「5でも7でも割り切れる」は35の倍数ということです。もとの整数に3を足して35の倍数になるので、35の倍数のうち3けたにいちばん近いものを探します。

解答:35の倍数は 35・70・105・140… と並びます。3けたで最小の35の倍数は105で、そこから3を引いた 105−3=102 が答えです。

【✅検算】102+3=105=35×3 なので、5でも7でも割り切れます。100・101 は102より小さいものの、それぞれ+3しても105になりません。よって102が最小です。

(2) 旅人算(出会い算):Aさんは時速6km、Bさんは時速4kmで歩きます。24km離れたところから向かい合って同時に歩き始めると、何時間何分後に出会うかを求めます。

【📖大切な考え方】向かい合って進む2人は、1時間あたり「速さの和」だけ近づきます。出会うまでの時間は「はじめの距離÷速さの和」で求められます。

解答:近づく速さ=6+4=時速10km。24km を縮めるのにかかる時間は 24÷10=2.4時間。0.4時間=0.4×60=24分なので、2時間24分後に出会います。

【✅検算】2.4時間でAさんは6×2.4=14.4km、Bさんは4×2.4=9.6km進み、合計14.4+9.6=24kmでちょうど出会います。

(3) 食塩水:6%の食塩水200gに、10%の食塩水を何g加えれば9%の食塩水になるかを求めます。

【📖大切な考え方】食塩水は「ふくまれる食塩の重さ」で式を立てるのが基本です。混ぜても食塩の総量は変わらない点が手がかりになります。てんびん図(面積図)で濃さの差を見比べる方法も有効です。

解答:加える10%の食塩水を□gとします。6%側と10%側を、できあがりの9%を基準に見ると、濃さの差は 9−6=3 と 10−9=1 です。てんびんのつり合いから 200:□=1:3(濃さの差の逆比)なので、□=200×3=600g

【✅検算】6%の200gの食塩は12g、10%の600gの食塩は60g。合わせて食塩72g、全体は200+600=800g。72÷800=0.09=9%で条件どおりです。

(4) 仕事算:Aさんがすると15日、Bさんがすると20日かかる仕事があります。はじめAさんだけで何日か働き、残りをBさんだけでしたところ、はじめから18日で終わりました。Aさんが働いた日数を求めます。

【👀ここに注目】仕事全体を15と20の最小公倍数60とすると、Aさんは1日4、Bさんは1日3のペースになります。整数で扱えて見通しがよくなります。

解答:仕事全体を60とすると、Aさんは1日4、Bさんは1日3。もし18日すべてをBさんが働くと 3×18=54 で6足りません。Bさんの日をAさんに1日置きかえるごとに 4−3=1 ずつ増えるので、Aさんの日数は 6÷1=6日

【✅検算】Aさん6日で4×6=24、Bさん12日で3×12=36、合わせて24+36=60。ちょうど仕事が終わり、日数も6+12=18日で一致します。

(5) 比の変化:はじめ、兄と弟の貯金額の比は4:5でしたが、兄が4000円貯金し、弟が1600円使ったので、比が7:6になりました。兄のはじめの貯金額を求めます。

【📖大切な考え方】比が変わる問題は、はじめの比を〔4〕〔5〕のようにおいて、増減後の関係を「内項の積=外項の積」でとらえるのが基本です。

解答:はじめの兄を〔4〕、弟を〔5〕とします。兄は+4000で〔4〕+4000、弟は−1600で〔5〕−1600。これが7:6なので、6×(〔4〕+4000)=7×(〔5〕−1600)。展開して 〔24〕+24000=〔35〕+(−11200)、つまり 〔11〕=35200 より 〔1〕=3200円。兄のはじめは〔4〕=3200×4=12800円

【✅検算】兄12800→16800、弟は〔5〕=16000→14400。16800:14400=7:6でぴったり一致します。

大問3(平面図形・相似と面積比) 答:(1) 1:2 (2) 3:2 (3) 7:8:6

平行四辺形ABCDで、辺DC上の点FがDF:FC=1:2に分け、ADとGFは平行(Gは辺AB上)です。三角形AFDと三角形FECの面積がそれぞれ40cm²、32cm²と与えられ、対角線のように引いた線分AE・BF・AFの交点H・Iについての比を問います。

【📖大切な考え方】平行線があるときは「相似な三角形」と「面積比=底辺の比」を組み合わせるのが基本です。GF∥AD∥BC を手がかりに、辺の比を次々に写し取っていきます。

【👀ここに注目】GFがADと平行なので、Gは辺ABをFがDCを分けるのと同じ1:2に分けます。この「同じ比が写る」性質が、(1)からの土台になります。

解答
(1) GF∥AD で、AD∥BC(平行四辺形の向かい合う辺)なので GF∥BC です。F は DC を DF:FC=1:2 に分けるため、G は AB を同じ AG:GB=1:2 に分けます。三角形ABE に注目すると、GH は辺BE に平行で G は辺AB を 1:2 に分けるので、AE も同じ比に分かれます。よって AH:HE=1:2
(2) まず平行四辺形の面積を求めます。三角形AFDと三角形AFCは、底辺DF・FCがどちらも直線DC上にあり、頂点Aからの高さが共通なので、面積比=DF:FC=1:2。三角形AFD=40 だから 三角形AFC=80、三角形ADC=40+80=120。これは平行四辺形の半分なので、平行四辺形ABCD=240cm²。
次に、Fから辺BCまでの高さは、Dから辺BCまでの高さの2/3(FはDCをCから2/3の位置に取る点)です。三角形DBCは平行四辺形の半分で120だから、三角形FBC=120×2/3=80。三角形FEC=32 なので、三角形FEB=80−32=48。三角形FEBと三角形FECは頂点Fからの高さが共通で、底辺がBE・ECなので、面積比がそのまま長さの比になり、BE:EC=48:32=3:2
(3) 交点I(AEとBFの交点)を調べます。点Aを通りBCに平行な直線をひき、直線BFをのばして交わる点をPとします。BF上では、高さ方向にBはABの全体、Fは上から1/3の位置、Pは上端にあたるので、BからFまでとFからPまでの長さの比は2:1。この比をたどると、Pは点Dをこえて AP=AD×3/2 の位置に来ます。AP∥BE より三角形AIPと三角形EIBは相似で、AI:IE=AP:BE。ここで AP=AD×3/2、BE=BC×3/5=AD×3/5 なので AI:IE=(3/2):(3/5)=5:2。
最後にAE全体を21等分してそろえます。(1)より AH:HE=1:2 だから AH=7、HE=14。AI:IE=5:2 だから AI=15、IE=6。よって HI=AI−AH=15−7=8。したがって AH:HI:IE=7:8:6

【✅検算】平行四辺形を縦横の比で置き直して各点の位置を分数で追う別解でも、Hは頂点Aから1/3、Iは5/7の位置にそろい、7:8:6 が再現されました。面積の与え方(40と32)も三角形FEB=48を経由して3:2に結びつき、公式正答と一致します。

大問4(時計算) 答:(1) 75度 (2) 3時37と1/2分 (3) 159度

正しく動く時計Aと、1時間あたり4分遅れる時計Bがあります。いま時計Aは3時、時計Bは1時を示していて、時計Aが4時を示すまでの1時間を考えます。

【📖大切な考え方】長針は毎分6°、短針は毎分0.5°動き、長針は短針を毎分5.5°ずつ追いかけます。こわれた時計Bは、実際の1時間(60分)で56分だけ進むので、「本当の時間×56/60=時計Bの進む時間」の関係を使います。

解答
(1) 時計Aが3時30分のとき、長針は6×30=180°の位置、短針は3の位置から30分ぶん進んで 90+0.5×30=105°の位置です。差は 180−105=75度(180°より小さいのでこれが小さい方の角)。
(2) 時計Bが1時35分を示すとき、時計Bは1時から35分ぶん進んでいます。時計Bは本当の時間の56/60のペースなので、本当に経った時間は 35÷(56/60)=35×60÷56=37.5分。時計Aは正しく動くので、3時から37.5分進んで 3時37と1/2分
(3) 時計Aの長針と短針の小さい方の角がはじめて157.5°になる時刻を求めます。3時ちょうどで短針は長針より90°先にいて、長針は毎分5.5°ずつ差を縮めていきます。□分後の差は |5.5×□−90| で表せ、これが157.5°になるのは 5.5×□−90=157.5、つまり □=247.5÷5.5=45分。よって時計Aは3時45分。
このとき本当に経った時間は45分なので、時計Bの進みは 45×56/60=42分。時計Bは1時から42分進んで1時42分を示します。1時42分の長針は6×42=252°、短針は 30+0.5×42=51°の位置で、差は 252−51=201°。小さい方の角は 360−201=159度

【✅検算】(2)は逆算でも確かめられます。時計Aが37.5分進む間に、時計Bは 37.5×56/60=35分進み、1時35分でぴったり一致します。(3)も、時計Aが3時45分のとき長針216°・短針112.5°で差157.5°、時計Bが1時42分のとき小さい方の角159°となり、公式の解答例と一致しました。

大問5(規則性・フローチャートによる分類) 答:(1) 9999→グループC・4321→グループF (2) 9811 (3) グループD=9870・グループB=9190

4けたの整数を、質問①〜⑨のフローチャートで分類します。各整数は質問①から始め、「はい」なら下へ、「いいえ」なら右へ進み、たどり着いた先のグループ(A〜F)に分けられます。0は偶数として扱う点に注意が必要です。

【📖大切な考え方】フローチャートは「各位の数がすべて異なるか」「各位の和が20以上か」などの条件を順に判定します。数を1つ決めたら、質問①から機械的に「はい・いいえ」を追うのが基本です。逆に「最大の整数」を探すときは、たどり着かせたいグループから条件をさかのぼって整理します。

【👀ここに注目】千の位・百の位・十の位・一の位を分けて考えると、各質問の判定がぶれません。特に「千の位の数が千の位以外でも使われているか」「百の位と十の位の大小」は、位ごとに数字を書き出すとまちがえにくくなります。

解答
(1) 9999:各位はすべて9で異ならない(質問①いいえ)→和36は20以上(質問②はい)→5000より大きい(質問⑤はい)→5は使われていない(質問⑧いいえ)→偶数の位は0個で2つ以上ない(質問⑨いいえ)→グループC
4321:各位4・3・2・1はすべて異なる(質問①はい)→和10は3で割り切れない(質問④いいえ)→5000より大きくない(質問⑤いいえ)→百の位3は十の位2より大きい(質問⑥はい)→偶数は4と2の2つ(質問⑨はい)→グループF
(2) グループAは「①いいえ→②いいえ→③いいえ」の道すじです。条件は〈各位がすべては異ならない(どこかに同じ数字がある)〉〈各位の和が20より小さい〉〈千の位の数字が他の位では使われていない〉。もっとも大きくするため千の位を9にすると、9は他の位で使えず、残り3けたの和は 20−9=11 より小さく10以下。百の位はできるだけ大きくしたいので8、そのうえで下2けたに同じ数字が現れる必要があります。8+□+□≦10 を満たす同じ数字は1が最大(8+1+1=10)。よって 9811
(3) グループDは「①はい→④はい→⑦はい」で、〈各位がすべて異なる〉〈3で割り切れる〉〈5で割り切れる〉=各位が異なる15の倍数です。5で割り切れるので一の位は0か5。大きい順に調べると 9870(各位9・8・7・0がすべて異なり、和24で3の倍数、一の位0で5の倍数)が条件を満たし、これより大きい数は必ずどこかの数字が重なります。よってグループDの最大は 9870
グループBは、千の位が9の数では「①いいえ→②いいえ→③はい→⑥いいえ」の道すじに絞られます(9000台は必ず5000より大きく、質問⑤を経る道ではBに届きません)。条件は〈どこかに同じ数字〉〈各位の和が20より小さい〉〈千の位の9が他の位でも使われている〉〈百の位≦十の位〉。9をもう1つ十の位に置くと、残る百の位+一の位の和は 20−9−9=2 より小さく1以下、かつ百の位≦9。百の位1・一の位0で 9190(和19、百の位1≦十の位9)が条件を満たし、これより大きい9000台はいずれかの条件を外します。よってグループBの最大は 9190

【✅検算】9190を①から追うと、9が重なるので①いいえ→和19で②いいえ→千の位9が十の位にもあり③はい→百の位1は十の位9より大きくないので⑥いいえ→グループB、と道すじが一致します。9870も①はい→和24で3の倍数④はい→一の位0で5の倍数⑦はい→グループD、と確かめられ、いずれも公式正答と一致しました。

大問6(水量変化とグラフ) 答:(1) 174 (2) 10 (3) 24

直方体の容器の中に、直方体のブロックが2段の階段状に置かれています。底面は左から順に イcm・イcm・8cm・12cm に分かれ、右はしのAの部分に一定の割合で水を入れます。グラフはAの部分の水面の高さと時間の関係を表し、(54秒,6cm)・(ア秒,14cm)・そこから14cmのまま279秒まで平らに進み・(579秒,ウcm)で満水という折れ線です。

【📖大切な考え方】水量のグラフは「水面が上がる速さが変わる=水がたまる部分の底面積が変わる」ととらえるのが基本です。段差の高さで区切って、区間ごとに『底面積×高さ=体積』を積み上げます。奥行き(縦)は変わらないので1とおくと計算が軽くなります。

【👀ここに注目】グラフが平らになる区間は、Aの部分の水面が止まって見える時間です。これは、背の高いブロックが仕切りとなって、あふれた水がとなりの空間を先に満たしているためと読み取れます。

解答
(1) 縦(奥行き)の長さを1とします。0〜54秒で水面は0→6cm。この間、水は右はしのAの部分(幅12cm)だけにたまるので、体積は 1×12×6=72。よって水は1秒あたり 72÷54=4/3 ずつ入ります。次に、高さ6cmで低い方のブロック(幅8cmの段)の上に水が広がり、6→14cmの間は幅 8+12=20cm にたまります。その体積は 1×20×8=160 で、かかる時間は 160÷(4/3)=120秒。よって ア=54+120=174
(2) ア(174秒)から279秒までグラフは14cmで平らです。この 279−174=105秒 に入る水の体積は (4/3)×105=140。これは、背の高いブロック(高さ14cm)をあふれた水が、左はし(幅イcm)の空間を床から14cmまで満たすのに使われます。よって イ×14×1=140 より イ=10
(3) 279秒以降は左右の水面がそろって上がり、高さ14cmより上ではすべてのブロックが水に沈むので、容器いっぱいの幅 2×イ+8+12=2×10+20=40cm 全体にたまります。279〜579秒の 300秒 に入る水は (4/3)×300=400。これで上がる高さは 400÷(40×1)=10cm。よって満水の高さは ウ=14+10=24

【✅検算】各区間の体積を1秒あたり4/3で割り戻すと、72÷(4/3)=54秒、160÷(4/3)=120秒、140÷(4/3)=105秒、400÷(4/3)=300秒となり、グラフの目もり(54・174・279・579秒)とすべて一致します。イ=10、ウ=24 は公式正答と一致しました。

2025年度 第1回から学ぶ教訓

今年のセットは「基本の型を、条件でていねいにずらして問う」構成でした。図形は相似と面積比を重ねて三重の比へ、時計算はこわれた時計との換算をはさみ、規則性はフローチャートの分岐条件を読み切る力を、水量は仕切りブロックによる『平らな区間』の意味を問うています。過去問演習では、答え合わせで終わらせず「どの型が、どこでひとひねりされていたか」を1行で書き残す習慣が、森村学園対策として役立つと考えられます。

▶ 関連:森村学園 2026年度 算数神奈川大学附属 2026年度 算数過去問解説・数学問題集

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出典・著作権について
本ページが扱う入試問題の著作権は 森村学園中等部 に帰属します。出典:森村学園中等部 2025年度 入学試験問題「算数」。
掲載しているのは、受験生の学習支援を目的として数強塾が独自に作成した解答・解説です。学校が公表した公式解答ではありません(一般的な解答例と照合した場合は本文中にその旨を明記しています)。問題文の引用は解法の説明に必要な最小限にとどめています。
掲載内容について権利者の方からご連絡がある場合は、お問い合わせより速やかに対応いたします。

「差の形にほどく」を、実際にやってみる

上の大問1(2)の【👀ここに注目】で、「\(\frac{1}{n\times(n+1)\times(n+2)}\) を差に分けると、次々に打ち消し合う部分が見えてきます」と書きました。ところが、そのすぐ下の解答では、最小公倍数840で通分しています。

紹介した技術を、使わずに解いている——読んだ方は引っかかったかもしれません。これは書きまちがいではなく、あの問題では通分のほうが速いからです。ただ、その理由は書いていませんでしたし、「差にほどく」が本当に効く形での練習もありませんでした。

そこで、ほどく練習を4問置きます。すべて数強塾のオリジナルで、実際の入試問題ではありません。4問目まで解くと、上の解答がなぜ通分だったのかが分かります。

類題1(いちばん基本の形)

問題 次を計算しなさい。

\(\dfrac{1}{1\times2}+\dfrac{1}{2\times3}+\dfrac{1}{3\times4}+\cdots+\dfrac{1}{9\times10}\)

ほどく

\(\dfrac{1}{1\times2}=\dfrac{1}{1}-\dfrac{1}{2}\)、\(\dfrac{1}{2\times3}=\dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{3}\)、…と、すべて「差」に書きかえます

並べる

\(\left(\dfrac{1}{1}-\dfrac{1}{2}\right)+\left(\dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{3}\right)+\left(\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{4}\right)+\cdots+\left(\dfrac{1}{9}-\dfrac{1}{10}\right)\)

\(-\dfrac{1}{2}\) と \(+\dfrac{1}{2}\)、\(-\dfrac{1}{3}\) と \(+\dfrac{1}{3}\)、…がとなりどうしで消えます。残るのはいちばん最初と、いちばん最後だけ

\(\dfrac{1}{1}-\dfrac{1}{10}=\mathbf{\dfrac{9}{10}}\)

検算

小数で足すと \(0.5+0.1666+0.0833+0.05+0.0333+0.0238+0.0178+0.0139+0.0111=0.9\) ほど。\(\frac{9}{10}=0.9\) と一致します。

9つの分数を通分するなら、分母の最小公倍数は2520。分子を9個そろえて足すことになります。ほどけば、書く数は2つだけ。この差が「くふう」の中身です。部分分数分解そのものの説明は部分分数分解のやり方|1つの分数を2つに割って、途中を消す型を例題7問でにまとめてあります。

類題2(となりどうしでない場合)

問題 次を計算しなさい。

\(\dfrac{1}{1\times3}+\dfrac{1}{3\times5}+\dfrac{1}{5\times7}+\dfrac{1}{7\times9}+\dfrac{1}{9\times11}\)

ほどく——ここで \(\frac{1}{2}\) が出てくる

\(\dfrac{1}{1}-\dfrac{1}{3}=\dfrac{2}{3}\) であって \(\dfrac{1}{1\times3}=\dfrac{1}{3}\) ではありません。差をとると2倍になってしまうので、\(\dfrac{1}{2}\) をかけて調整します。

\(\dfrac{1}{1\times3}=\dfrac{1}{2}\times\left(\dfrac{1}{1}-\dfrac{1}{3}\right)\)

並べる

\(\dfrac{1}{2}\times\left\{\left(\dfrac{1}{1}-\dfrac{1}{3}\right)+\left(\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{5}\right)+\cdots+\left(\dfrac{1}{9}-\dfrac{1}{11}\right)\right\}=\dfrac{1}{2}\times\left(\dfrac{1}{1}-\dfrac{1}{11}\right)=\dfrac{1}{2}\times\dfrac{10}{11}=\mathbf{\dfrac{5}{11}}\)

検算

もとの5項は \(\frac{1}{3},\frac{1}{15},\frac{1}{35},\frac{1}{63},\frac{1}{99}\)。分母の最小公倍数3465で通分すると \(\frac{1155+231+99+55+35}{3465}=\frac{1575}{3465}\)。\(105\) で約分して \(\frac{15}{33}=\frac{5}{11}\)。一致しました。

かける数は「2つの数のへだたり」で決まります。となりどうし(へだたり1)なら1倍、1つおき(へだたり2)なら \(\frac{1}{2}\) 倍、2つおきなら \(\frac{1}{3}\) 倍。この1行を覚えておけば、へだたりがいくつでも同じ手順で進みます。

類題3(3つの数の積——上の記事と同じ形)

問題 次を計算しなさい。

\(\dfrac{1}{1\times2\times3}+\dfrac{1}{2\times3\times4}+\dfrac{1}{3\times4\times5}+\dfrac{1}{4\times5\times6}\)

ほどく——「2つの積」の差にする

3つの積は、2つの積の差にほどけます。

\(\dfrac{1}{1\times2\times3}=\dfrac{1}{2}\times\left(\dfrac{1}{1\times2}-\dfrac{1}{2\times3}\right)\)

確かめると、\(\dfrac{1}{1\times2}-\dfrac{1}{2\times3}=\dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{6}=\dfrac{1}{3}\)。その半分は \(\dfrac{1}{6}\) で、\(\dfrac{1}{1\times2\times3}=\dfrac{1}{6}\) と合っています。

並べる

\(\dfrac{1}{2}\times\left\{\left(\dfrac{1}{1\times2}-\dfrac{1}{2\times3}\right)+\left(\dfrac{1}{2\times3}-\dfrac{1}{3\times4}\right)+\left(\dfrac{1}{3\times4}-\dfrac{1}{4\times5}\right)+\left(\dfrac{1}{4\times5}-\dfrac{1}{5\times6}\right)\right\}\)

まん中が全部消えて、\(\dfrac{1}{2}\times\left(\dfrac{1}{1\times2}-\dfrac{1}{5\times6}\right)=\dfrac{1}{2}\times\left(\dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{30}\right)=\dfrac{1}{2}\times\dfrac{14}{30}=\mathbf{\dfrac{7}{30}}\)

検算

もとの4項は \(\frac{1}{6},\frac{1}{24},\frac{1}{60},\frac{1}{120}\)。分母120で通分すると \(\frac{20+5+2+1}{120}=\frac{28}{120}=\frac{7}{30}\)。一致しました。

3つの積のときも、やっていることは類題1と同じです。「1つ小さいかたまり」の差にほどくだけ。2つの積なら1つの数の差に、3つの積なら2つの積の差に。かける \(\frac{1}{2}\) は、へだたりではなく「積に使う数の個数−1」から出てきます(3つの積なら \(\frac{1}{3-1}=\frac{1}{2}\))。

類題4(なぜ、上の解答は通分だったのか)

問題 次を計算しなさい。符号に注意してください。

\(\dfrac{1}{1\times2}-\dfrac{1}{2\times3}+\dfrac{1}{3\times4}-\dfrac{1}{4\times5}\)

ほどいてみる

\(\left(\dfrac{1}{1}-\dfrac{1}{2}\right)-\left(\dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{3}\right)+\left(\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{4}\right)-\left(\dfrac{1}{4}-\dfrac{1}{5}\right)\)

かっこをはずすと \(\dfrac{1}{1}-\dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3}+\dfrac{1}{3}-\dfrac{1}{4}-\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{5}\)。

出てくる数 1回目 2回目 消えるか
\(\frac{1}{2}\) \(-\) \(-\) 消えない(2倍になる)
\(\frac{1}{3}\) \(+\) \(+\) 消えない(2倍になる)
\(\frac{1}{4}\) \(-\) \(-\) 消えない(2倍になる)

同じ数が同じ符号で2回現れるので、打ち消し合いません。むしろ項が増えて、かえって面倒になります。

だから、素直に通分する

\(\dfrac{1}{2}-\dfrac{1}{6}+\dfrac{1}{12}-\dfrac{1}{20}\)。分母60で通分して \(\dfrac{30-10+5-3}{60}=\dfrac{22}{60}=\mathbf{\dfrac{11}{30}}\)。

検算(ほどいたほうでも同じ答えになるか)

\(1-\dfrac{2}{2}+\dfrac{2}{3}-\dfrac{2}{4}+\dfrac{1}{5}=1-1+\dfrac{2}{3}-\dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{5}\)。分母30で \(\dfrac{20-15+6}{30}=\dfrac{11}{30}\)。答えは同じですが、通分のほうが手数が少なくて済みました。

これが、上の大問1(2)で通分を選んだ理由です。あの式も符号が交互に並んでいました「差にほどく」が効くのは、符号がそろっているときだけ——足し算だけ、あるいは引き算だけで並んでいるとき。交互に並んでいたら、ほどかずに通分します。くふうは、使える形かどうかを先に見てから使うものです。

まとめ:ほどく前に見る2つのこと

見るところ 条件 どうする
符号 全部たし算(または全部ひき算) ほどく
+と−が交互 通分する(類題4)
分母の形 となりどうしの積 \(n\times(n+1)\) そのまま差にする(類題1)
1つおきの積 \(n\times(n+2)\) 差にして \(\frac{1}{2}\) 倍(類題2)
3つの積 \(n\times(n+1)\times(n+2)\) 2つの積の差にして \(\frac{1}{2}\) 倍(類題3)

符号をまず見る。これだけで、上の解答の「通分」と、ここでの「ほどく」が使い分けられます。

ほどいたあとに残るのは、いつも最初と最後の2つだけです。類題1では \(\frac{1}{1}\) と \(\frac{1}{10}\)、類題2では \(\frac{1}{1}\) と \(\frac{1}{11}\)、類題3では \(\frac{1}{1\times2}\) と \(\frac{1}{5\times6}\)。途中がいくつ並んでいても、書く数は2つ。だから項が100個あっても手間は変わりません——ここが、この型がくふうと呼ばれる理由です。

項を増やしても、手間が変わらないことを確かめる

本当に手間が変わらないのか、類題1を伸ばして確かめてみてください。

問題 ほどいた答え 通分した場合の分母
\(\frac{1}{1\times2}+\cdots+\frac{1}{9\times10}\)(9項) \(1-\frac{1}{10}=\frac{9}{10}\) 2520
\(\frac{1}{1\times2}+\cdots+\frac{1}{19\times20}\)(19項) \(1-\frac{1}{20}=\frac{19}{20}\) 非常に大きい
\(\frac{1}{1\times2}+\cdots+\frac{1}{99\times100}\)(99項) \(1-\frac{1}{100}=\frac{99}{100}\)

3つとも、答えは \(1-\dfrac{1}{最後の数}\) です。項の数が10倍になっても、書く行は増えません。

この形は中学受験だけのものではありません。高校数学で数列を習うと、まったく同じ計算が「部分分数分解」という名前で出てきます。小学生のうちに手が覚えたものが、そのまま高校の型になる——数少ない、そういう技術のひとつです。数列の和としての扱いは数列の和の解法パターン全12型|型の見抜き方と入試実例(名大・名工大・信州大・奈良女子大・小樽商大・滋賀大)にまとめてあります。

この4問の使い方

  1. 類題1を、まず通分でも解いてください。2520で通分する手間を一度味わっておくと、ほどく価値が体で分かります。
  2. 類題2と3は、必ず検算までやってください。かける \(\frac{1}{2}\) を忘れる誤りが最も多く、検算でしか気づけません。
  3. 類題4は、答えより「なぜほどけないか」を言えるようにしてください。「同じ数が同じ符号で2回出るから」と言えれば十分です。

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