難関大の入試数学は、知識の量ではなく「解法を選ぶ判断」で差がつきます。このシリーズは、その判断の材料になる考え方を15章に整理し、章ごとにオリジナル問題と詳しい解説でたどれるようにしたものです。
全15章の構成
第1章から順に読むのが基本ですが、必要な章だけを取り出しても読めます。全15章を公開しています。
先に確認しておきたい教材
このシリーズは、基礎事項がひととおり入っている前提で書いています。定義や公式に不安があるときは、先にこちらで確認してください。
- 高校数学辞典(6科目・27単元・482項目の要点/つまずき/出題パターン)
- 数学I・Aの要点辞典/数学II・B・Cの要点辞典/数学IIIの要点辞典
- 論理と証明の要点辞典(答案の書き方の基礎)
- 入試数学・解法判断マップ(問題の特徴から最初の一手を選ぶ)
掲載問題は数強塾が独自に作成したオリジナル問題です。市販教材や講座教材の問題文・数値・図・解説文は転載していません。
この15章で身につくもの
入試数学で差がつくのは、解法を知っているかどうかではなく、目の前の問題に対してどの解法を選ぶかです。同じ整数問題でも、絞るのか、割るのか、積の形にするのかで進み方はまったく変わります。この15章は、その分岐を章ごとに言葉にしたものです。
各章は「定義 → なぜその一手を選ぶのか → オリジナル例題 → 判断のまとめ」の順で並んでいます。答えの出し方より、判断の理由に紙面を割いているのがこのシリーズの性格です。問題・解説・図版はすべて数強塾の書き下ろしで、市販教材からの転載はありません。
いま困っていることから、読む章を選ぶ
第1章から順に読むのが基本ですが、症状がはっきりしているなら、そこから入るほうが速く効きます。
| いまの症状 | 読む章 | その章が教えること |
|---|---|---|
| 計算は合うのに、答案で点が引かれる | 第1章 論理 第3章 論証 |
必要条件と十分条件を真理集合で捉え、同値変形で答案を組み立てる。示しにくい命題は否定・対称性・鳩の巣原理で攻める。 |
| 方針は立つが、時間が足りない | 第2章 整数 第11章 数列 第14章 確率 |
整数は「絞る・割る・積にする」の三択を最初の30秒で決める。数列は五択、確率は全事象の選び方とまとめ方で計算量そのものが変わる。 |
| 文字が増えると手が止まる | 第6章 関数 第4章 方程式 |
消した文字の存在条件を書き、動かす文字を1つに絞る。方程式は解を求めずに解の情報だけを取り出す。 |
| 場合分けを自分で書けない | 第5章 不等式 第13章 場合の数 |
「範囲」を聞かれているのか「大小」を聞かれているのかを見分ける。何を1つと数えるかを決めてから立式する。 |
| 図形になると急に解けない | 第8章 ベクトル 第9章 空間図形 第10章 図形総合 |
始点をどこに置くかを先に決め、式を図形として読む。立体は想像せず平面に落として決着させる。 |
| 軌跡・領域が壊滅している | 第7章 座標 | 角は tan で処理し、軌跡は同値変形、領域は存在条件で仕留める。 |
| 帰納法の答案が書けない | 第12章 数学的帰納法 | 出発点と橋を自分で設計し、仮定が効く形に問題を作り替える。 |
| 微積の計算はできるが応用で崩れる | 第15章 微積分 | 対称性・接点の個数・積分区間という3つの切り口で「型」に落とす。 |
いつ読むか ── 学年別の使い方
中高一貫の中3〜高2|まだ入試問題を解く段階になくても、第1章 論理と第3章 論証だけは先に読む価値があります。「同値変形」と「必要十分の書き分け」は、学校の定期テストの記述でそのまま減点対象になる部分だからです。他の章は、学校で該当単元を習った直後に1章ずつ読むのが効率的です。
高3の春〜夏|このシリーズの本番です。標準的な問題集を1周し終えて「解けるけれど、なぜその解法なのかを説明できない」状態のときに、いちばん効きます。1日1節、15章で約3か月。夏までに一周し、秋の演習で判断が合っているかを確かめる流れが自然です。
高3の秋〜直前期|通読はもう間に合いません。過去問を解いて手が止まった単元だけ、上の症状表から該当章を引いて「判断のまとめ」の節を読んでください。1回15分で済みます。
浪人生|現役時に「解法暗記で回していた」自覚があるなら、第1章から順に通してください。浪人で伸び悩む最大の原因は知識の不足ではなく、去年と同じ判断を繰り返していることです。すでに知っている解法に「なぜそれを選ぶか」の理由を付け直す作業が、この15章の中身です。
読み方の作法(3つだけ)
1. 例題は、解答を隠して「型の宣言」から書く。いきなり計算を始めず、まず「これは○○で処理する」と一行書いてから手を動かしてください。この一行が合っているかどうかが、入試本番で差がつく部分です。計算は後から合わせられますが、方針は後から変えられません。
2. 間違えたら、解答ではなく「判断のまとめ」に戻る。各章の末尾にある判断のまとめは、問題の見た目から技法へ対応させた表です。計算ミスなら解答を見れば済みますが、方針を外したときに見るべきはこちらです。
3. 1章を読んだら、同じ単元の過去問を1年分だけ解く。読んだ直後に実物で試さないと、判断は身につきません。大学別の過去問は年度ごとに用意しています。
あわせて使うもの
- 高校数学辞典 ── 定義や公式が怪しいときの確認用。6科目27単元243項目。
- 中高一貫の数学(体系数学) ── 学校の進度で先につまずいている場合は、こちらを先に。
- 過去問はいつから始めるべきか ── 過去問を「演習教材」だと思っている間は、何年分解いても伸びません。
- 数学の入試が難しい大学ランキング ── 志望校がどの難度帯にあるかの目安。
保護者の方へ
このシリーズが鍛えているのは、計算力ではなく方針を選ぶ力です。この力は、模試の点数に出るまでに数か月のタイムラグがあります。読み始めてすぐ偏差値が動かなくても、答案の書き方(何を示すべきか宣言してから書けているか)が変わっていれば順調です。
お子さんの答案を見るとき、正誤ではなく「最初の一行に方針が書いてあるか」を見てあげてください。そこが空欄のまま計算だけが並んでいる答案は、たとえ正解していても入試では崩れます。
読み進めても手が止まる単元がある場合は、体験授業で実際の答案を見せてください。どこで判断を誤っているかは、答案を1枚見れば分かります。
