日本大学第三中学校 算数の傾向と対策【数強塾オリジナル】
日本大学第三中学校(東京都町田市)は、緑豊かな広大なキャンパスを構える日本大学の準付属校で、男女共学の人気校のひとつです。中学入試は2月1日・2日・3日の3回にわたって行われ、第1回・第2回は4科(国語・算数・理科・社会)と2科(国語・算数)を選べる方式、第3回は国語・算数の2科目で実施されます。算数はどの受験生も避けて通れない主要科目であり、合否に直結しやすい教科です。本記事では、学校が公式に公開している「令和8年度 算数 中学入試問題について(出題方針・問題構成とアドバイス)」や生徒募集要項をもとに、算数の傾向を慎重に整理したうえで、オンライン数学専門塾「数強塾」が独自に作成したオリジナル類題5問を、方針・解答・二重検算つきで掲載します。
算数の基本情報(公開情報にもとづく整理)
- 試験時間:50分(受験当日の時程で算数の時間帯が公表されています)。
- 問題構成:第1問=小問集合(計算問題)、第2問=小問集合(例年通りの傾向)、第3問・第4問=大問という構成で、問題は全部で18問程度と公式に案内されています。
- 難易度:出題方針では「難易度は例年通り、問題構成は昨年度と同様」とされています。
- 円周率:円周率は3.14で計算する旨が明記されています。
- 配点(満点):算数単独の配点は募集要項では公表されていないため、本記事では断定せず記載しません。最新情報は必ず学校公式サイトでご確認ください。
※本ページは公開情報にもとづく傾向分析と、数強塾オリジナルの自作類題による対策です。実際の問題文・図は学校公式サイト(日本大学第三中学校 入試出題傾向)でご確認ください。特定年度の過去問そのものは掲載していません。
出題分野の傾向
学校が公開している算数の出題方針・問題構成とアドバイスからは、次のような特徴が読み取れます。以下は問題文の転載ではなく、公開情報を数強塾の言葉で整理したものです。
- 前半は小問集合、後半は大問という二段構え:第1問が計算中心の小問集合、第2問が幅広い分野をふくむ小問集合、第3問・第4問が大問という構成が例年踏襲されています。全体で18問程度と数が多めなので、1問あたりにかけられる時間は長くありません。前半を素早く正確にさばき、後半の大問に時間を残す配分が大切になりそうです。
- 出題分野は幅広い:公式のアドバイスでも「出題分野は幅広くなっている」と明言されています。計算・数の性質・割合と比・速さ・平面図形・立体図形・場合の数など、受験算数の主要単元からまんべんなく出題される傾向がうかがえます。特定の単元だけを固めるのではなく、穴のない基礎の完成が求められます。
- 「解ける問題を正確に取り切る」ことが合格の鍵:公式アドバイスは「解ける問題を正確に解くことが合格へとつながります」と述べています。奇問・難問で差をつけるより、標準的な問題を確実に得点する姿勢が重視されると考えられます。大問についても「(1)は問題をしっかり読めばできる問題」とされており、大問の入口を落とさないことが重要になりそうです。
- 線分図・表・グラフの活用:「線分図や表、グラフを用いると解きやすい問題があります」と案内されています。速さ・割合・規則性などで、条件を図や表に整理する力が問われる場面がありそうです。
- 第4問は情報の読み取り・処理力を問う:第4問については「会話文や図・表から情報を正確に読み取り、処理する能力を問う問題」と説明されています。近年の入試で増えている読解型・条件整理型の問題への対応も意識しておきたいところです。
- 定番問題が中心、ただしひとひねりあり:公式アドバイスは「ひとひねりされている問題もありますが、受験の定番問題を取り扱っています」「対策としては過去問をしっかり解いてください」としています。典型解法を身につけたうえで、少し条件を変えられても対応できる応用力を養うのが有効そうです。
- 解答上の注意:解答用紙にはあらかじめ「本」「人」「cm²」などの単位が印刷されていること、答えは小数でも分数でもよく分数は約分すること、答えは「1クラス28.5人」のような不自然な数にはならず適切な数字になること、が公式に案内されています。約分・単位・答えの妥当性チェックを習慣にしておくと安心です。
※以下の類題5問は、上記の傾向をふまえて数強塾が独自に作成したオリジナル問題です。実在する過去問の複製や数値替えではありません。すべて、正攻法の解答に加えて独立した別の方法による二重検算を行い、答えの一致を確認しています。答えは公式の方針にならい、いずれも適切な数値になるよう作問しています。
オリジナル類題で対策
類題1(計算・逆算)
【問題】 次の計算をしなさい。(3)は□に当てはまる数を求めなさい。
(1) 2.5×3.14+4×3.14−1.5×3.14
(2) (7/12−1/4)÷5/6+0.2
(3) 3−(4−□×5)÷2=1.5
【方針】 第1問の計算問題を想定した小問です。(1)は「まともに3回かけ算する」前に、3.14でくくる(分配法則)と一気に軽くなります。(2)は分数と小数がまざっているので、まず分数のカッコの中を通分し、わり算を分数のかけ算に直します。(3)の逆算は、いちばん外側の計算から順に逆向きにたどるのが安全です。日本大学第三中の第1問は計算主体なので、ここを速く正確に取り切ることが後半の大問に時間を回す土台になります。
【解答】 (1) 3.14でくくると 3.14×(2.5+4−1.5)=3.14×5=15.7。
(2) 7/12−1/4=7/12−3/12=4/12=1/3。これを ÷5/6 すると 1/3×6/5=6/15=2/5=0.4。最後に +0.2 して 0.4+0.2=0.6。
(3) いちばん外側の引き算から戻します。(4−□×5)÷2=3−1.5=1.5。両辺を2倍して 4−□×5=3。よって □×5=4−3=1、□=1÷5=0.2。
【検算】 (1) くくらずに直接計算すると 7.85+12.56−4.71=15.7 で一致します。(2) すべて小数にすると 7/12≒0.5833、0.5833−0.25=0.3333、0.3333÷0.8333=0.4、0.4+0.2=0.6 で一致します。(3) □=0.2 を元の式に代入すると、□×5=1、4−1=3、3÷2=1.5、3−1.5=1.5 となり、右辺と一致します。
類題2(割合と比)
【問題】 ある本を読むのに、1日目に全体の1/4を読み、2日目に残りの2/5を読んだところ、まだ54ページ残っていました。この本は全部で何ページありますか。
【方針】 「残りの◯分の△」という表現が出てきたら、そのつど「全体のどれだけか」に置きかえるのが割合の基本です。線分図をかいて、1日目・2日目・残りを全体を1とした分数で表すと、関係がはっきり見えます。日本大学第三中では割合と比が小問・大問の両方で問われやすいので、こうした「全体を1とおく」処理は反射的にできるようにしておきたいところです。
【解答】 1日目に全体の1/4を読むと、残りは全体の 1−1/4=3/4。
2日目にその残りの2/5を読むので、2日目に読んだのは 3/4×2/5=6/20=3/10(全体に対して)。
2日目が終わった時点で残っているのは、残り3/4のうちの(1−2/5)=3/5 にあたるので、3/4×3/5=9/20(全体に対して)。
この 9/20 が54ページにあたるので、全体は 54÷9/20=54×20/9=120ページ。
【検算】 全体を120ページとして順に追うと、1日目は 120×1/4=30ページを読み、残り90ページ。2日目は 90×2/5=36ページを読み、残りは 90−36=54ページ。問題の条件(54ページ残る)と一致します。
類題3(速さ・出会い算)
【問題】 A地点とB地点は1200mはなれています。兄はA地点を、弟はB地点を同時に出発し、向かい合って一定の速さで進みます。兄は分速80m、弟は分速40mです。
(1) 2人が出会うのは出発何分後ですか。
(2) 出会った地点はA地点から何mのところですか。
(3) 兄がB地点に着くのは、弟がA地点に着くより何分早いですか。
【方針】 向かい合って進む「出会い算」は、2人の速さの和で、間の道のりを消化していくと考えるのが定石です。線分図に出発点・向き・速さを書きこむと状況が整理できます。公式アドバイスでも「線分図や表、グラフを用いると解きやすい」とされている通り、速さの問題は図で状況を可視化するのが近道です。(3)は、それぞれが全体の道のりを進むのにかかる時間を別々に求めて比べます。
【解答】 (1) 2人は1分間に合わせて 80+40=120m ずつ近づきます。1200mを消化したときに出会うので、1200÷120=10分後。
(2) 兄は10分間で 80×10=800m 進むので、出会った地点はA地点から800m。
(3) 兄がB地点(1200m先)に着くのは 1200÷80=15分後。弟がA地点(1200m先)に着くのは 1200÷40=30分後。よって兄の方が 30−15=15分早く着きます。
【検算】 (2) 弟の側から確かめます。弟は10分間で 40×10=400m 進むので、出会った地点はB地点から400m。A地点からは 1200−400=800m となり、兄側の計算と一致します。(1) 出会った瞬間、兄の800mと弟の400mを合わせると 800+400=1200m でちょうど全体になり、条件と合います。(3) 15分後・30分後という値はどちらも道のり1200mを速さで割り切れており、差の15分も整数で無理がありません。
類題4(平面図形・面積)
【問題】 1辺12cmの正方形ABCDがあります。頂点は左上がA、左下がB、右下がC、右上がDの順に並んでいます。辺BC上に BP=4cm となる点Pを、辺CD上に CQ=6cm となる点Qをとります。三角形APQの面積を求めなさい。
【方針】 正方形の内部にできる三角形の面積は、正方形全体から、まわりの直角三角形3つを引くのが定番の解き方です(「まわりを引く」型)。図をかき、辺の長さを一つずつ書きこんで、直角三角形の2辺(底辺と高さ)を正確につかむことがポイントです。日本大学第三中の図形問題も、こうした基本の面積処理を確実に運用できるかが問われます。
【解答】 正方形の面積は 12×12=144cm²。まわりの3つの直角三角形を引きます。
・三角形ABP:直角をはさむ2辺が AB=12cm、BP=4cm なので、面積は 12×4÷2=24cm²。
・三角形PCQ:PC=12−4=8cm、CQ=6cm なので、面積は 8×6÷2=24cm²。
・三角形QDA:QD=12−6=6cm、DA=12cm なので、面積は 6×12÷2=36cm²。
よって三角形APQ=144−24−24−36=60cm²。
【検算】 座標を使った別解で確かめます。B を原点として、A(0,12)、B(0,0)、C(12,0)、D(12,12) とおくと、P(4,0)、Q(12,6) です。三角形APQ の面積は、いわゆる「座標での面積公式(たすきがけ)」で
(0×0−4×12)+(4×6−12×0)+(12×12−0×6)=(0−48)+(24−0)+(144−0)=−48+24+144=120。
これを2で割って 120÷2=60cm² となり、まわりを引く方法と一致します。
類題5(会話文・料金表の読み取り)
【問題】 あるレンタル自転車の料金は、下の表のように決められています。
・最初の30分まで……200円
・30分をこえて60分まで……150円を追加
・60分をこえた分……30分ごとに100円を追加(30分に満たない端数も30分として計算する)
(1) 1時間40分借りたときの料金は何円ですか。
(2) 料金がちょうど650円になるのは、借りた時間が「何分をこえて何分以下」のときですか。
【方針】 第4問で問われる「表から情報を読み取り、正確に処理する」タイプを想定した問題です。料金表は時間帯を区切って、区切りごとにいくらかかるかを積み上げるのが基本です。とくに「端数も30分として計算」という切り上げのルールを正しく反映することが急所になります。表の内容を自分で言いかえながら、段階ごとに料金を足していきましょう。
【解答】 (1) 1時間40分=100分です。
・最初の30分まで:200円。
・30分をこえて60分まで:+150円(ここまでで350円)。
・60分をこえた分は 100−60=40分。30分ごとに100円で、40分は「30分の区切り2つぶん」(30分+端数10分を切り上げて2区切り)なので +100×2=200円。
合計 350+200=550円。
(2) 650円は、最初の60分ぶんの350円に、60分をこえた分の 650−350=300円 が加わった料金です。300円=100円×3 なので、60分をこえた分が「30分の区切り3つぶん」になる時間帯を求めます。切り上げて3区切りになるのは、こえた分が「60分をこえて90分以下」のとき。したがって全体の時間は、60分にそれを足して「120分をこえて150分以下」(=2時間をこえて2時間30分以下)のときです。
【検算】 (1) 30分ごとの区切りで料金表を作り直して確かめます。0〜30分:200円、30〜60分:+150円、60〜90分:+100円、90〜120分:+100円。100分は90〜120分の区切りに入るので合計は 200+150+100+100=550円で一致します。(2) 境目を代入して確かめます。121分なら、60分をこえた分は61分=3区切り(+300円)で 350+300=650円。150分なら、こえた分は90分=ちょうど3区切りで同じく650円。いっぽう120分では、こえた分は60分=2区切りで 350+200=550円、151分では、こえた分は91分=4区切りで 350+400=750円。よって650円になるのは「120分をこえて150分以下」で間違いありません。
学習アドバイス
【時期別の進め方】
- 6年生の夏まで:日本大学第三中の算数は「出題分野が幅広く、定番問題を正確に取り切る」タイプです。まずは計算・数の性質・割合と比・速さ・平面図形・立体図形・場合の数といった主要単元を、穴なく標準レベルまで仕上げることが最優先です。計算は毎日、時間を計って取り組み、第1問の計算問題を落とさない土台を作りましょう。
- 秋(9〜11月):公式アドバイスでも過去問演習がすすめられています。50分という試験時間の中で、18問程度をどう配分するかを意識した演習を始めましょう。前半の小問集合を素早く正確にさばき、後半の大問(とくに(1))を確実に取る「時間の使い方」を身につける時期です。線分図・表・グラフで条件を整理する練習も並行して行いましょう。
- 直前期(12月〜1月):新しい教材に手を広げるより、過去問と使い慣れた問題集の反復で精度を上げます。まちがえた問題は「解法を知らなかったのか」「単なる処理ミスか」を仕分けし、ミスは原因を言葉でノートに残しましょう。第4問のような会話文・図表の読み取り問題にも触れ、条件整理に慣れておくと安心です。
【分野別のポイント】
- 計算・逆算:分配法則でのくくり出し、分数と小数の変換、逆算の戻し方(類題1)は反射のレベルまで。第1問で確実に得点することが合格ラインへの近道です。
- 割合と比:「残りの◯分の△」を全体に置きかえる処理(類題2)、線分図での整理を徹底しましょう。売買・食塩水・相当算など幅広く出うるので、典型パターンを一通りおさえます。
- 速さ:出会い算・追いつき算の使い分け、線分図やダイヤグラム(グラフ)での可視化(類題3)が武器になります。公式が「グラフを用いると解きやすい」とすすめる分野です。
- 平面図形:面積を「全体から引く」処理、相似・面積比の段階適用(類題4)を確実に。単位が解答用紙に印刷されている点をふまえ、cm²・cm の取りちがえにも注意しましょう。
- 読み取り・条件整理:料金表や会話文からの情報処理(類題5)は、第4問で問われやすいタイプです。表を自分の言葉で言いかえ、段階ごとに積み上げる練習を積みましょう。切り上げ・切り捨てのルールの読み落としに注意します。
いずれの分野でも、本記事の【検算】のように別の方法で答えを確かめる習慣を身につけると、本番での取りこぼしが大きく減ります。「解ける問題を正確に取り切る」ことが合格につながる入試だからこそ、見直しの時間を確保できる試験運びを目指しましょう。


