場合の数の解法パターン全12型|型の見抜き方と入試実例(群馬大・岡山大・信州大・京大・横国大)


場合の数は、公式の数がいちばん少ない単元です。使う道具は順列 、組合せ 、和の法則、積の法則――ほとんどこれだけです。それなのに得点差がいちばん大きい。理由ははっきりしていて、この単元だけは「どの公式を使うか」より前に「何を1つと数えるか」を自分で決めなければならないからです。このページは、その決め方を12の型に分けて並べた辞典です。型は当てはめるための箱ではなく、考える範囲を狭めて、そこから先に頭を使うための道具として並べています。

このページの12型

  1. 順列/重複なし(位置に対応させる)
  2. 順列/隣り合う(かたまりにする)
  3. 順列/隣り合わない(あとから差しこむ)
  4. 順列/連続する(どこから連続かで分ける)
  5. 円順列(回転で同一視する)
  6. 順列/順序が指定される(選べば並べ方は1通り)
  7. 重複組合せ(○と仕切りに対応させる)
  8. 分割/組に名前がない(名前をつけてから割る)
  9. 分割/組に名前がある(各個体の行き先を決める)
  10. 最短経路(矢印の列に対応させる)
  11. 図形の個数(決める要素は何かを言い直す)
  12. 塗り分け(固定してから塗る)
  13. 北大の良問 021|通行止めを使う経路を引く

1. 数える前に決める三つのこと

問題文を読んだ直後にやることは、公式を思い出すことではありません。次の三つを声に出して決めることです。この三つが決まれば、12型のうちどれを使うかはほぼ自動的に絞れます。

決めること 問い方 決まると何が変わるか
① 区別するか 同じ色の玉2個を、入れかえたら別の状態と見るか 見ないなら、あとで割る(型01・型08)
② 順序を見るか 「A→B」と「B→A」を別に数えるか 見ないなら 、見るなら
③ 同一視するか 回転・裏返しでぴったり重なるものを同じと見るか 見るなら固定するか割る(型05・型12)

「区別する/しない」は問題文が決めるのではない

ここが最初の分かれ道です。「同じ玉」と書いてあっても、数えている対象が「玉の配置」なのか「入れ方の手順」なのかで答えは変わります。たとえば同じ玉5個を3つの箱に入れるとき、配置を数えるなら重複組合せ(型07)、玉に番号をつけて手順を数えるなら (型09)です。問題文の名詞ではなく、「1つ」と数えたい対象を自分で定義するのが先です。

2. 場合の数の背骨——すべては1対1対応づくり

12型は、ばらばらの技ではありません。全部が同じ一つのことをしています。

数え上げの原理

数えたい集合 が数えにくいとき、数えやすい集合 との1対1対応を作れば が言える。1対1にできないときは、ちょうど 個ずつが1つに対応する( 対1)ことを確かめて とする。

この目で12型を見直すと、見た目の違いが消えます。

  • 順列=「並び」と「各位置への割り当て」の1対1対応。
  • 組合せ=並べ方 通りが同じ1つの選び方に対応するので 対1。だから
  • 重複組合せ=「品物の選び方」と「○と仕切り を並べた列」の1対1対応。
  • 最短経路=「経路」と「→と↑を並べた列」の1対1対応。
  • 円順列=1つの円形の配置に、直線に並べた列が 個ずつ対応するので 対1。
  • 組に名前のない分割=名前をつけた分け方が 個ずつ対応するので 対1。

割るときは「何対1か」を必ず言えること。場合の数でいちばん多い失点は、割ってはいけないところで割る/割る数を間違えることです。そして間違いのほとんどは「 対1になっていない」ときに起きます。たとえば正方形のテーブルに4人が座る円順列を とするのは正しいのに、4人のうち2人が同一人物のように区別できない場合はもう 対1ではなくなり、単純に割ると壊れます(型05の注意)。「割る前に、いま1つのものに何個が重なっているかを数える」。この一手間が、この単元の答案の正確さをほぼ決めます。

みかん・りんご・ももから重複を許して5個選ぶ みかん2・りんご1・もも2 ○ ○ | ○ | ○ ○ みかん0・りんご0・もも5 | | ○ ○ ○ ○ ○ ○5個と仕切り2本、計7か所から仕切りの位置2か所を選ぶ よって 7 か所から 2 か所を選ぶ組合せ = 21 通り

図1 重複組合せは「○と仕切りの列」との1対1対応。仕切りの本数は(種類の数 − 1)本になる。

3. 数えにくいときの三つの逃げ道

型に当てはめようとしても手が止まることがあります。そのときに使える方向は、経験上つぎの三つしかありません。三つしかないと知っているだけで、白紙の時間はかなり短くなります。

A余事象に移す。「少なくとも1つ」「〜でない」が出たら、条件を否定したほうが数えやすいことが多い。

否定が有効なのは、条件が「または」で結ばれているとき。ド・モルガンで「かつ」に変わり、独立に決められる形になるからです。

B別のものに対応づける。経路を矢印の列に、選び方を○と仕切りに、配置を関数に言い換える。

対応づけが成功したかどうかは「逆にたどって元に戻せるか」で判定できます。戻せなければ1対1ではありません。

C を1つ減らす(漸化式)。 が文字のまま出てきたら、まず最後の1個の決め方で分類する。

「最後の1個」で分けると、残りが同じ形の小さな問題になります。ならないときは、状態を2種類(型05の注意でいう「赤で終わる/赤以外で終わる」など)に分けると閉じます。

4. 解法パターン全12型

型01 順列/重複なし

01異なるものを一列に並べる/同じものを含む順列

顔つき 「一列に並べる」「〜桁の整数をつくる」「席に座らせる」。同じ文字が複数あれば同じものを含む順列。

中身 異なる 個から 個を並べるのは 。同じものを含むときは、同じもの同士の入れかえ 通りが1つに重なるので

なぜ効くか 並べる作業を「1番目に何を置くか、2番目に何を置くか」という独立な選択の列に翻訳できるからです。積の法則が使える形に直す、というのが順列の正体です。同じものを含むときに割るのは、「区別をつけた世界」から「区別を消した世界」への 対1の写像を作っているからです。

手順 ① 何を「1つ」と数えるか決める → ② 位置を用意する → ③ どの位置に何を置くか、と読みかえる

隣の型との境界 「並べる」と書いてあっても、選んだあとの順序に意味がなければ型07・型08です。「A と B のどちらが先か」を答案で区別する必要があるかどうかで判定します。

型02 順列/隣り合う

02指定されたものが隣り合う

顔つき 「A と B が隣り合う」「男女が隣り合う」。

中身 隣り合う組を1つのかたまりとみなして並べ、最後にかたまりの中の並び方をかける。

なぜ効くか 「隣り合う」という条件は位置どうしの関係の条件で、そのままでは積の法則に乗りません。かたまりにすると条件が消えて、ふつうの順列に戻ります。条件を消すために対象を作りかえる、という発想はこの単元で何度も出てきます。

手順 ① 隣り合う組をかたまりにする → ② かたまりを含めた個数で並べる → ③ かたまり内部の並びをかける

隣の型との境界 「3つ以上が隣り合う」ときは、かたまりの作り方が一意でないことがあります。そのときは型04(どこから連続するかで分ける)に切りかえます。

型03 順列/隣り合わない

03指定されたものが隣り合わない

顔つき 「どの2つも隣り合わない」「同じ色が隣り合わない」。

中身 条件のないものを先に並べ、できたすき間と両端に、条件のあるものをあとから差しこむ。

なぜ効くか 「隣り合わない」を余事象(型02の否定)で処理すると、3つ以上あるときに「2つが隣り合う」場合が重複して数えられ、包除原理が必要になります。先に並べてすき間に入れると、差しこむ位置を選んだ時点で自動的に隣り合わないことが保証され、重複がそもそも発生しません。条件を「あとで引く」のではなく「最初から作れないようにする」のが、この型の値打ちです。

手順 ① 条件のないもの 個を並べる → ② すき間と両端の か所を用意する → ③ そこから必要な数だけ選んで入れる

隣の型との境界 差しこむものどうしが区別できるなら、選んだあとに並べ方をかけます。区別できないなら選ぶだけです。ここは型01と同じ判断です。

型04 順列/連続する

04ちょうど 個が連続する/ 個以上連続する

顔つき 「1 が6個以上連続する」「同じ目が3回続く」。0 と 1 の列、コインの表裏でよく出ます。

中身 どこから連続が始まるかで場合分けし、重複を消す。

なぜ効くか 「連続する」は位置の情報なので、位置を主役にして分類すると漏れがなくなります。ただし「6個以上連続」を「6個連続する場所」で分類すると、7個連続する列が2回数えられます。そこで連続のかたまりの左端をちょうど1か所に定める(左隣が 0 である、または左端である)と決めると、分類が排反になります。排反にするために、分類の基準を「存在する」から「いちばん左のもの」へ強めるのがコツです。

手順 ① 連続する部分の左端の位置で分類 → ② その左隣を強制的に別の文字にする → ③ 残りは自由に

隣の型との境界  が文字のままなら型04では処理しきれないことが多く、逃げ道C(漸化式)に切りかえます。

型05 円順列

05円形に並べる/回転して一致するものは同じ

顔つき 「円卓に座る」「回転して重なるものは同じとみなす」。

中身  個の円順列は 。裏返しても同じなら数珠順列で )。

なぜ効くか  です。この は「回転が 通りあるから 対1」という意味であって、公式として覚えるより「1人を固定して回転できなくしてから、残りを並べる」と読むほうが応用が利きます。固定するという操作は型12(塗り分け)にそのまま持ちこせます。

注意同じものを含む円順列は、「同じものを含む順列の総数」を で割っても求まりません。

回転して自分自身に重なる配置(たとえば赤青赤青を2回転で戻る)があると、 対1が崩れるからです。同じものを含むときは、特別なもの1つを固定するか、重なる配置を個別に処理します。

隣の型との境界 立体の面を塗る問題は円順列と同じ発想ですが、回転が3次元になるぶん「何を固定すればもう回せないか」の判断が1段むずかしくなります(型12)。

型06 順列/順序が指定される

06指定された数字・文字が小さい順に並ぶ

顔つき 「左から小さい順に並ぶ」「A は B より左」「増加していく」。

中身 順序を指定された 個については、どこに入るかを選べば並べ方は1通りに決まる。だから並べ方の総数を で割るか、位置を選ぶだけにする。

なぜ効くか この型は「対称性で割る」の最もきれいな例です。 個の相対順序は 通りあり、どの順序も同じ回数だけ現れます。だから条件を満たすのはちょうど 同じ回数だけ現れる、と言えるのは、 個を入れかえる操作が全体の集合を自分自身にうつすからです。ここを言えるかどうかで、答案の説得力が変わります。

手順 ① 順序指定のある 個を選ぶ → ② その 個は並べずに、位置だけ決める → ③ 残りを並べる

隣の型との境界 「小さい順」が2組独立に指定されるなら で割ります。組がからみ合う(同じ文字が両方に登場する)ときは対称性が壊れるので、直接数えます。

型07 重複組合せ

07同じものを重複を許して選ぶ/非負整数解の個数

顔つき 「重複を許して選ぶ」「 をみたす0以上の整数の組」「 となる組」。

中身  種類から重複を許して 個選ぶのは 。○ 個と仕切り 本の並べ方に対応します(図1)。

なぜ効くか 個数の組 と、○と仕切りの列とが完全に1対1で対応するからです。逆向きにたどれること――列を見れば個数が復元できること――を確認すれば、対応が正しいと言い切れます。」型が重複組合せになるのも同じ理由で、大小の順に並べたものは「どの値を何個使ったか」だけで決まるので、値の選び方(重複あり)と1対1になります。

手順 ① 「何を 個、何種類から」に言い直す → ② ○と仕切りに翻訳 → ③ 位置の組合せを数える

注意(等号なし)」は重複組合せではありません。

等号なしは異なる3個を選ぶだけなので 。等号つきを等号なしに直すには と置きかえます(差を1以上あける/あけないの相互変換)。この変換は入試で頻出です。

型08 分割/組に名前がない

08人を何組かに分ける(組を区別しない)

顔つき 「6人を2人ずつ3組に分ける」。組に A・B・C の名前がついていない。

中身 いったん名前をつけて数え、同じ人数の組の個数だけ階乗で割る。

なぜ効くか 名前つきの分け方は、名前を消すと同じものになります。人数の等しい組が 個あれば、その 個の名前の付けかえ 通りがすべて同じ分け方に対応するので 対1。人数が違う組どうしは入れかえても別物にならないので、割ってはいけません。ここが「2人・2人・3人」で ではなく で割る理由です。

手順 ① 組に名前をつけて数える → ② 人数が等しい組のグループごとに で割る

隣の型との境界 「A 組・B 組」と名前が書いてあれば型09です。名前がなくても人数が全部ちがえば割る必要はありません。

型09 分割/組に名前がある

09区別できるものを、区別できる箱に入れる

顔つき 「5個の球を A・B・C の箱に入れる」「6人を3つの部屋に泊める」。

中身 各個体について行き先を独立に選ぶので のような形。空を許さないときは、空になる箱の個数で余事象(包除原理)。

なぜ効くか 「箱を主役にして各箱の中身を決める」と条件がからみ合いますが、「球を主役にして各球の行き先を決める」と、選択が完全に独立になり積の法則がそのまま使えます。主役をどちらに取るかで難易度が変わるという、この単元の典型例です。

手順 ① 個体を主役にして行き先を決める → ② 空を禁じるなら、空の箱の個数で引く(3箱なら

型10 最短経路

10格子状の道を最短で行く

顔つき 「右と上にしか進めない」「最短経路は何通りか」「点 P を通る/通らない」。

中身 経路と「→と↑を並べた列」が1対1に対応するので、同じものを含む順列(型01)に帰着します。

なぜ効くか 経路という図形的な対象を、記号の列という代数的な対象に置きかえられるからです。逆に、記号の列から経路が復元できるので1対1が保証されます。「P を通る」は「A→P と P→B に分ける(積の法則)」、「P を通らない」は「全体から引く(逃げ道A)」で処理します。

手順 ① 必要な →・↑ の本数を数える → ② 通過点があれば区間に分けて積 → ③ 「通らない」は引く

隣の型との境界 斜め移動(北東)が許されるなら記号が3種類になり、使った斜めの本数で場合分けします。通行止めがあるなら、書きこみ方式(各交差点に到達本数を足しこむ)のほうが速いことがあります。

型11 図形の個数

11平行四辺形・三角形などの個数を数える

顔つき 「平行線で作られる平行四辺形は何個か」「円周上の 点で作られる三角形のうち直角三角形は何個か」。

中身 その図形を決めるのに必要な要素は何かを言い直し、その要素の組合せを数えます。

なぜ効くか 「平行四辺形を数える」は難しくても、「縦の平行線2本と横の平行線2本の組を数える」なら です。図形と要素の組が1対1に対応することを確かめれば、数える対象がまるごと置きかわります。図形問題を組合せ問題に翻訳する鍵は「決定するのに必要十分な情報は何か」という問いです。

手順 ① その図形を一意に決める要素を特定 → ② 対応が1対1か確認 → ③ 要素の組合せを数える

隣の型との境界 直角三角形は「斜辺が直径」で決まるので直径を固定、鈍角三角形は「1点を固定して残り2点が同じ側」で数えるなど、特別なものを固定する発想(型05と同じ)が効きます。

型12 塗り分け

12立体の面・地図の領域を塗り分ける

顔つき 「立方体の6面を塗る。回転して一致するものは同じ」「隣り合う領域は異なる色」。

中身 回転で同一視するなら、もう回せなくなるまで何かを固定してから塗る。隣接条件だけなら、塗る順序を決めて積の法則。

なぜ効くか 円順列で「1人を固定する」のと同じ操作です。ただし立体では、1面を固定してもまだ軸まわりに回せることがあります。「固定したあと、まだ動かせるか」を必ず自問するのがこの型の要です。立方体で上面を固定しても側面は4通りに回せるので、もう1面(または向かい合う面の組)まで決める必要があります。

手順 ① 回転を殺すために固定するものを決める → ② 固定後に残る自由度を確認 → ③ 残りを塗る

隣の型との境界  個のマスを一列に塗る問題で が文字なら、同一視は関係なく逃げ道C(漸化式)です。実例は後半の京都大学・横浜国立大学の問題を見てください。

5. 型を選ぶ順序

回転や裏返しで同じと見るか はいいいえ 固定して自由度を消す(型05・型12) 並べた順序に意味があるか あるない 順列(型01〜型04・型06) 組合せ(型07〜型11) それでも手が止まったら、逃げ道は三つだけ A 余事象に移す B 別のものに対応 C n を1つ減らす

図2 型を選ぶ順序。上の2問(同一視するか/順序を見るか)で12型はほぼ絞れる。絞れないときは下段の三つに逃げる。

6. 実際の入試で確かめる

全12型のうち、入試の実例がついているのは3型1マスが1つの型です。青いマスは、下にある入試の実例で確かめている型です白いマスは、下にある入試の実例では扱っていない型です010203040506070809101112解法パターン12型入試の実例で確かめる3型下の実例にない9型3 + 9 = 12型。この図は下にある入試の実例が扱う型を数えたものです入試の実例は6問。実例の数と型の数は必ずしも一致しません

この単元の解法パターンは全12型で、下にある入試の実例6問で確かめているのは3型です。残りの9型は、下にある実例では扱っていません。1問が複数の型にまたがることも、同じ型を複数の実例で扱うこともあるため、実例の数と型の数は必ずしも一致しません。

ここからは実際に出題された問題で型を確かめます。問題文は各大学が公表した入試問題を、解説のために引用したものです。解答・解説は数強塾が独自に作成したもので、大学公表の解答ではありません。

群馬大学 2015年度 前期日程 ―― 型01・型02・型06がひと続きに出る

【問題】群馬大学 2015年度 前期日程

A, A, B, B, C, D, E の7個の文字すべてを1列に並べる。

(1) この並べ方は何通りあるか。

(2) C と D が隣り合うような並べ方は、何通りあるか。

(3) C が D よりも左にあり、かつ E が D よりも右にあるような並べ方は、何通りあるか。

【解答】

(1) 1260 通り (2) 360 通り (3) 210 通り

(1) 同じものを含む順列(型01)です。A が2個、B が2個あるので、区別をつけた 通りは 個ずつが同じ並びに重なります。

(2) 型02。C と D をひとまとめにして という1文字とみなすと、並べる対象は A, A, B, B, , E の6個です。

かたまりの中は CD と DC の2通りなので 通り。

(3) 型06。条件は「C, D, E がこの順(左から C, D, E)に現れる」ということです。ここでC, D, E の3文字だけに注目すると、その相対順序は 通りあり、(1) の1260通りの中にどれも同じ回数ずつ現れます。

なぜ「同じ回数ずつ」と言えるのか。1260通りの並びのうち1つを取り、C, D, E が入っている3か所はそのままにして、その3か所の中身だけを入れかえる操作を考えます。この操作は1260通りの集合を自分自身にうつし、6通りの相対順序をぐるりと入れかえます。だから各順序がちょうど 個ずつ。「割ってよい」ことの根拠は、いつもこの形で言えます。

直接数えるなら、7か所のうち C, D, E の入る3か所を選べば並びは1通りに決まり、残り4か所に A, A, B, B を並べるので

となり一致します。2通りの数え方が一致するかどうかは、その場でできる最良の検算です。

岡山大学 2014年度 前期日程 ―― 等号のある・なしで型が変わる

【問題】岡山大学 2014年度 前期日程

を3以上の整数とし、 は1以上 以下の整数とする。このとき、以下の問いに答えよ。

(1) となる の組は何通りあるか。

(2) となる の組は何通りあるか。

(3) かつ となる の組は何通りあるか。

【解答】

(1)  (2)  (3)

(1) 等号なし。1 から の中から異なる3個を選べば、小さい順に並べる方法は1通りなので、選ぶだけで終わりです(型06の考え方)。

(2) 等号あり。同じ値を何回使ってもよいので、これは「 種類から重複を許して3個選ぶ」と同じです(型07)。選んだ3個を小さい順に並べれば がちょうど1つ決まり、逆も言えるので1対1です。

置きかえで確かめる。 に対して とおくと で、 は 1 以上 以下。逆もたどれるので1対1です。したがって (2) は「 個から異なる3個」=等号つきと等号なしは、この の平行移動でいつでも行き来できます。

(3) 条件が を軸にした2本になっているので、 を固定して数えるのが素直です。 のとき 以上 以下で 通り、 以上 以下で 通り。 は互いに無関係なので積になります。

で検算すると 。実際に書き出すと が6組、 が2組で計8組、合っています。

岡山大学 2017年度 前期日程 ―― どこで割り、どこで割らないか

【問題】岡山大学 2017年度 前期日程

(1) 6人を2人ずつ3組に分ける方法は何通りあるか。

(2) 7人を2人、2人、3人 の3組に分ける方法は何通りあるか。

(3) A, B, C, D, E, F, G, H の8人から7人を選び、さらにその7人を2人、2人、3人 の3組に分ける。A, B の2人がともに選ばれて、かつ同じ組になる確率を求めよ。

【解答】

(1) 15 通り (2) 105 通り (3)

(1) 型08。まず3組に甲・乙・丙と名前をつけて数えると 通り。名前を消すと、3つの名前の付けかえ 通りが同じ分け方に重なるので

(2) ここが型08の急所です。名前をつけて数えると 通り。名前を消すとき、割るのは「人数の等しい2組」の分だけです。3人組は人数が違うので、他の組と入れかえても別の分け方になり、重なりません。

別の数え方でも確かめます。先に3人組を選ぶと 通り、残り4人を2人ずつ2組(名前なし)に分けるのは 通りなので 。一致します。

(3) 全事象は「8人から7人を選ぶ」「その7人を2, 2, 3 に分ける」で 通り。これらは同様に確からしいとします。

A と B がともに選ばれるのは、外れる1人が A, B 以外のときで6通り。そのそれぞれについて、7人を 2, 2, 3 に分けて A と B が同じ組になる場合を数えます。

  • A, B が3人組にいるとき:残り5人から1人を加えて 通り、残る4人を2人ずつ2組(名前なし)に分けて3通り。合わせて 通り。
  • A, B が2人組の一方であるとき:その組は確定。残り5人を「もう一方の2人組」と「3人組」に分けるので 通り。この2組は人数が違うので、ここでは割りません。

合わせて 通り。したがって

落とし穴(3) で「A, B が2人組」の場合に で割ってしまう誤答が多い。

2人組が2つあるので割りたくなりますが、片方は「A と B の組」と特定されているため、もう一方と入れかえても同じ分け方にはなりません。割ってよいのは「入れかえても区別がつかないとき」だけです。

信州大学 2019年度 前期日程 ―― 条件を「数えやすい変数」に移す

【問題】信州大学 2019年度 前期日程

を3以上の整数とする。 個の数から異なる3個を選んで、それらを小さい順に とするとき、次の問いに答えよ。

(1) のとき、 となる3個の数の組 は何通りあるか。

(2) 一般の について、 となる3個の数の組 は何通りあるか。

【解答】

(1) 12 通り (2) 通り( が偶数なら 、奇数なら

3つの数を同時に動かすと数えにくいので、いちばん大きい を固定して数えるのが要点です。 を決めれば かつ から だけで決まります。

より 、すなわち 。つまり の個数は 個です。

(1)  について を並べると 。合計して 12 通り。

(2) 同様に

ここで であり、 なので、求める個数は では となり (1) と一致します。

この問題の型。12型のどれでもありません。使ったのは「動く量が3つあるなら、1つ固定して残りを1変数にする」という、場合の数と整数に共通する発想です。固定する変数の選び方が肝で、ここでは他の2つを縛る力がいちばん強い を選びました。型の一覧に載らない問題に出会ったとき、まず試すのはこの「どれを固定すると残りが1変数になるか」という問いです。

京都大学 2005年度 前期日程 ――  が文字なら逃げ道C

【問題】京都大学 2005年度 前期日程

先頭車両から順に1から までの番号のついた 両編成の列車がある。ただし とする。各車両を赤色、青色、黄色のいずれか一色に塗るとき、隣り合った車両の少なくとも一方が赤色となるような色の塗り方は何通りか。

【解答】

通り

塗り分けと書いてありますが、回転で同一視するわけではないので型12ではありません。 が文字なので逃げ道C(漸化式)です。

ここで大事なのは、「条件を満たす総数」だけでは漸化式が閉じないことです。 両目が赤かどうかで次の車両への制約が変わるからです。そこで状態を2つに分けます。

  • :条件を満たし、 両目がである塗り方の数
  • :条件を満たし、 両目が赤以外である塗り方の数

両目が赤なら、 両目は何色でもよく、 両目までは条件を満たしていればよいので 両目が赤以外(2通り)なら、 両目は赤でなければならないので

これより から です。特性方程式 の解は なので とおくと

求める総数は

検算します。 のとき 。実際、9通りのうち両方とも赤でないものが 通りなので 通り。合っています。 通りで、これも手で数えると一致します。

状態を分ける、という発想。漸化式が閉じないときは、たいてい「直前の1個がどうだったか」で次の選択肢が変わっています。その「どうだったか」をそのまま状態にすると閉じます。逆に言えば、状態の個数は「次に効いてくる情報の種類数」です。この問題では「赤か、赤以外か」の2種類で足りました。

横浜国立大学 2009年度 前期日程 ―― 両端の関係まで状態にする

【問題】横浜国立大学 2009年度 前期日程

赤、青、黄の3色を用いて、横一列に並んだ 個のマスを、隣り合うマスは異なる色になるように塗り分ける。ただし、使わない色があってもよい。両端のマスが同じ色になる場合の数を とし、両端のマスが異なる色になる場合の数を とする。次の問いに答えよ。

(1) を求めよ。

(2) の式で表せ。

【解答】

(1)  (2)

前問と同じ逃げ道Cですが、状態が「直前の色」ではなく「1番目のマスとの関係」になっているのが面白いところです。問題文がすでに という2状態を用意してくれています。

個の列に 個目を付け足すと考えます。付け足すマスは 個目と違う色(2通り)です。

  • もとが 番目 番目)のとき:新しいマスは 番目と違う、すなわち1番目とも違うので、必ず に入る。2通りずつなので を寄与。
  • もとが 番目 番目)のとき: 番目と違う色は2通りあり、そのうち1つがちょうど1番目の色。よって に1通り、 に1通りずつ寄与。

(1)  は隣り合うので必ず異なり、。順に

総数が (1番目に3通り、以降2通りずつ)になることでも検算できます。

(2)  に代入すると 。特性方程式は で、解は とおき から

。(1) と一致します。

京都大学の問題と特性方程式が同じ理由

どちらも が出てきます。偶然ではありません。3色で隣り合いを禁じる構造はどちらも同じで、「直前と同じ状態に留まる/変わる」の遷移が同じ形をしているからです。漸化式の形が同じなら、問題の見た目が違っても背後の構造は同じ――これに気づけると、初見の問題でも「この形は前に見た」と当たりをつけられます。型を覚えることの本当の値打ちは、この「当たりのつけ方」が身につくところにあります。

7. よくある質問

Q1. 「区別する」「区別しない」がいつも分からなくなります。

A. 問題文の言葉ではなく、答えとして何を1つと数えたいかを先に決めてください。「玉の入り方」を答えるなら玉に番号をつけて考えてよく、最後に区別を消すかどうかを判断します。判断に迷ったら、 を2や3のような小さい数にして手で全部書き出すのが最短です。書き出せば、区別すべきかどうかは必ず見えます。

Q2. の使い分けだけ覚えれば足りますか。

A. 足りません。この単元の失点の大半は公式選びではなく、割る/割らないの判断重複の見落としで起きています。「割るときは何対1かを言う」「分類は排反か確かめる」の2つを毎回やるほうが、公式を増やすより効きます。

Q3. 答えが合っているか、試験中に確かめる方法はありますか。

A. 三つあります。① に小さい数を入れて手で数える。② 別の数え方でもう一度求める(本ページの群馬大学 (3) や岡山大学 (2) がその例)。③ 全体の総数と足し合わせて一致するか見る(横浜国立大学の がその例)。どれも30秒から1分でできます。

Q4. 型を覚えれば、初見の問題も解けるようになりますか。

A. 型は「考えなくて済ませる道具」ではありません。過去に何度も使われてきた形から当たりをつけて、考える範囲を狭めるための道具です。狭めたあとは自分で考える必要があります。実際、本ページの信州大学の問題は12型のどれでもなく、「どれを固定すれば残りが1変数になるか」を自分で判断する必要がありました。型を持っている人は白紙のまま全部を考えずに済む、という差が出ます。

Q5. 場合の数と確率は、どちらから勉強すべきですか。

A. 場合の数が先です。確率の分母と分子はどちらも場合の数で、しかも分母と分子で「区別する/しない」をそろえる必要があります。ここがそろわないことが確率の最大の失点原因なので、区別の扱いを場合の数で固めてから進むほうが結局は速く進みます。

北大の良問 021

通行止めを「使う経路」で数えて引く|北大1999年理系第2問

最短経路の基本 から始まり、指定点では経路を分割し、通行止めでは禁止された辺を使う経路を包除原理で除くところまで進む良問です。点ではなく「辺」が通れないことを正確に読む力も鍛えられます。

  • 北海道大学
  • 1999年度 前期日程
  • 数学(理系学部)第2問
  • 理系は全5問を解答
  • 理系専用の設問構成
  • 数学A 場合の数
  • 最短経路・包除原理
  • 標準〜発展

問題

図のような碁盤の目状の道路がある。 地点を出発して、道路上を東または北に進んで 地点に到達する経路を考える。(図1の太線はそのような経路の一例である。)

  1. 地点から 地点に至る経路は何通りあるか。
  2. 地点から 地点に至る経路のうち、図2の 地点と 地点をともに通る経路は何通りあるか。
  3. 図3の の2か所が通行止めのとき、 地点から 地点に至る経路は何通りあるか。

以下では原図の位置関係を と座標化する。理系原図では 、通行止め を結ぶ東向きの辺、 を結ぶ北向きの辺である。

出典:北海道大学1999年度一般入試(前期日程)数学(理系学部)第2問。問題文の表記はウェブ表示用に一部調整しています。

6列4行の格子と点S、G、A、BSを左下、Gを右上とし、AはSから東1北1、Bは東2北1の位置にある。 SGAB 東へ6回北へ4回
原図の位置関係を座標化した数強塾の独自概略図です。
通行止めaとbの位置aは座標1,1から2,1への水平辺、bは4,2から4,3への垂直辺である。 abSG 赤い2辺だけが通れない。端点は通ってよい。
通行止めは「交点」ではなく「隣り合う2点を結ぶ辺」です。赤い辺以外の道路は利用できます。

段階別ヒント

ヒント1|東と北を文字列にする

から へは東6回、北4回。1本の経路は、10個の場所に北4回を置く並べ方と1対1に対応します。

ヒント2|指定点を通るならそこで経路を切る

は順に選べます。各区間の経路数を掛けてください。

ヒント3|通行止めを直接避けようとしない

まず制限なしの全経路を数え、「辺 を使う」「辺 を使う」経路を引く方が整理しやすくなります。

ヒント4|禁止辺を使う経路も辺の前後で切る

を使うなら 、辺 の順です。辺自体の通り方は1通りです。

ヒント5|2回引いた経路を戻す

の両方を使う経路は、「 を使う経路」と「 を使う経路」の両方で引かれています。最後に1回足し戻します。

ヒント6|答えは格子上の足し算でも検算できる

各交点へ来る経路数を西側と南側から足します。ただし通行止めの辺から来る分だけは足しません。

解答・解説

(1)制限のない最短経路

東へ6回、北へ4回の計10回の移動を並べればよい。10個の位置から北へ進む4個の位置を選ぶので、

したがって 210通り

(2) をともに通る経路

だから、経路を に分ける。

したがって 70通り

(3)2本の通行止めを包除原理で処理する

を辺 を使う経路の集合、 を辺 を使う経路の集合とする。

を使う経路:

を使う経路:

をともに使う経路: の後の から の前の までは東2回・北1回である。

両方の通行止めを避ける経路は、包除原理により

答え:(1) 通り、(2) 通り、(3) 通り。

別解|各交点までの経路数を動的計画法で足す

から まで通行止めを使わずに進む経路数とする。通常は

だが、 では西から辺 を通る分を足さず、 では南から辺 を通る分を足さない。境界を として埋めると次の表になる。

0 1 2 3 4 5 6
4 1 5 13 27 41 68 113
3 1 4 8 14 14 27 45
2 1 3 4 6 9 13 18
1 1 2 1 2 3 4 5
0 1 1 1 1 1 1 1

の1と の14が、通行止めの方向から来る数を捨てた箇所です。右上 となり、包除原理の答えと一致します。

解法を思いつくための再現手順

  1. 移動方向と回数を数える。東6回・北4回なので、10文字の の並びへ翻訳する。
  2. 制限なしを先に数える。 を基準となる全体集合にする。
  3. 指定点の順序を確認する。東・北だけなら の順は固定され、区間ごとの数を掛けられる。
  4. 通れない対象が点か辺かを区別する。本問の は交点ではなく辺であり、端点そのものは使える。
  5. 禁止辺を使う経路を固定する。辺の直前まで、辺1通り、辺の直後から、の積で数える。
  6. 重なりを調べる。2辺をともに使う経路が存在するので、2回引いた分を1回戻す。
  7. 別方式で検算する。格子上の足し算で右上が同じ113になるか確かめる。

よくある誤り

  • とする:道路の本数ではなく、東6回・北4回の並べ方を数えます。
  • を通る数を足す:区間は順に組み合わせるので積の法則です。
  • を通行止めとみなす:禁止されるのは辺 だけで、端点の交差点は通れます。
  • で終える:両方の禁止辺を使う18経路を2回引いているため、1回足し戻します。
  • の後を と誤る: は東2回・北1回なので です。
  • 文系第4問と混同する:文系は点 が北東側にあり、(3)は辺 1か所だけが通行止めで答え140です。

独立検算

この問題で押さえること:「通行止めを通らない」=(全体)−(通る)で数える。禁止が2か所なら(a を通る)+(b を通る)−(両方通る)を引く包除原理まで、そして通れないのが点ではなく「辺」だという読み取りも押さえよう。

前提単元と次に解く問題

教材について:解答・解説・ヒント・図は数強塾が独自に作成した非公式教材で、北海道大学が公表した公式解答・公式見解ではありません。問題の著作権は北海道大学に帰属し、出典を明示して掲載しています。

8. 次に読むページ

数えるときの手が止まる人へ

場合の数でつまずく生徒のほとんどは、公式ではなく「何を1つと数えるか」を口に出して決める習慣がないだけです。数強塾では、この決め方を答案の一行目に書かせるところから指導しています。オンラインの完全1対1で、プロ講師のみが担当します。

数強塾オリジナル 追加演習12問|12の型を、数字を変えてもう一度

上で読んだ12の型を、設定と数値を変えた自作問題で1問ずつ確かめます。型番号と問題番号が対応しています。答えを見る前に、まず「これは何を区別して数えているのか」を口に出してください。そこが言えれば、式はほぼ自動的に決まります。

問1(型01 順列/重複なし)

6人の生徒から3人を選んで1列に並べる方法は何通りか。

解答

選んで並べるので順列。 120通り

掛ける因数の個数は「並べる場所の数」。場所が3つなら因数も3つ。

問2(型02 順列/隣り合う)

男子4人と女子3人が1列に並ぶとき、女子3人が続いて並ぶ並び方は何通りか。

解答

女子3人をひとまとめにすると、並べるのは「女子の組1つ+男子4人」の5個で 通り。

そのどの場合に対しても、まとまりの中の女子の並べ方が 通り。

よって 720通り中の並べ替えを掛け忘れるのが最多のミス。

問3(型03 順列/隣り合わない)

男子4人と女子3人が1列に並ぶとき、女子のどの2人も隣り合わない並び方は何通りか。

解答

先に男子4人を並べる: 通り。

男子の並びには、両端を含めて5か所の隙間ができる。そこから3か所を選んで女子を1人ずつ入れる: 通り。

よって 1440通り

(検算:全体は 。女子3人が全員隣り合うのは問2より720通りで、1440はその間に収まる妥当な値。隙間を4か所と数えると答えが変わるので注意。)

問4(型04 順列/連続する)

1から9までの数字が1つずつ書かれた9枚のカードから3枚を選んで1列に並べる。選んだ3つの数が連続する整数(例:4,5,6)となる並べ方は何通りか。

解答

連続する3数の組は 7組

そのどの組に対しても並べ方は 通り。

よって 42通り

「連続する」は選ぶ段階の条件で、並べる段階には効かない。条件がどの段階に効くかを分けるのが要点。

問5(型05 円順列)

大人4人と子ども4人が円形のテーブルに等間隔で座る。大人と子どもが交互に座る方法は何通りか。

解答

まず大人4人を円形に並べる: 通り。

そのどの場合に対しても、大人と大人の間の4か所に子ども4人を並べる: 通り。

よって 144通り

先に並べる方も円順列 ではなく )。ここを間違えると4倍になる。

問6(型06 順列/順序が指定される)

6人 A, B, C, D, E, F が1列に並ぶとき、A が B より前、B が C より前になる並び方は何通りか。

解答

6人の並べ方 通りのうち、A・B・C の3人の相対順序は 通りあり、どれも同じだけ起こる。

そのうち条件を満たすのは A→B→C の1通りだけ。

よって 120通り

順序が決まっている人たちは「区別しないもの」と同じ扱いになる、と見抜けると速い。

問7(型07 重複組合せ)

みかん・りんご・なし の3種類の果物を、合わせて10個買う。買わない種類があってもよいとすると、買い方は何通りか。

解答

果物10個を○、種類の区切りを|2本で表す。○10個と|2本の並べ方だから

66通り

3種類に分けるのに仕切りは2本(3つの部屋を作る壁は2枚)。

問8(型08 分割/組に名前がない)

9人を3人ずつ3つの組に分ける方法は何通りか。組に区別はないものとする。

解答

まず順に選ぶと 通り。

これは3つの組に名前を付けて数えたことになるので、名前の付け方 通りで割る。

280通り

問9(型09 分割/組に名前がある)

9人を A室・B室・C室 に3人ずつ入れる方法は何通りか。

解答

部屋に名前があるので割らない。

1680通り

問8の6倍。「割るか割らないか」を決めるのは人数ではなく、組に区別がつくかどうか

問10(型10 最短経路)

碁盤の目の道がある。地点Aから東へ6区画、北へ4区画進んだ位置に地点Bがある。また、Aから東へ3区画、北へ2区画進んだ位置に地点Pがある。

(1) AからBへの最短経路は何通りか。
(2) そのうちPを通るものは何通りか。
(3) Pを通らないものは何通りか。

解答

(1) 「→」6個と「↑」4個の並べ方だから 210通り

(2) A→P は 通り、P→B は東へ3・北へ2で 通り。積の法則で 100通り

(3) 110通り

数えるのは進む回数(区画数)であって格子点の数ではない。

問11(型11 図形の個数)

平面上に、たがいに平行な4本の直線と、それらすべてに垂直な5本の直線がある。これらの直線で囲まれる長方形は何個できるか。

解答

長方形は、横向きの4本から2本、縦向きの5本から2本を選べば1つ決まる。

60個

「図形を作る」を「線を選ぶ」に翻訳できるかどうかだけの問題。

問12(型12 塗り分け)

円を中心から4等分してできる4つの扇形を、4色すべてが使えるものとして塗り分ける。隣り合う扇形は異なる色にするとき、塗り方は何通りか。ただし回転して一致するものも区別する。

解答

4つの領域を時計回りに とすると、隣り合うのは の4組(輪になっている)。

領域1は4通り、領域2は1と異なるので3通り、領域3は2と異なるので3通り。領域4は3とも1とも異なる必要がある。

ここで場合分けする。領域1と領域3が同じ色のとき(領域3の3通りのうち1通り)、領域4は1色を避けるだけなので3通り。領域1と領域3が違う色のとき(残り2通り)、領域4は2色を避けるので2通り。

よって 84通り

(輪になっている塗り分けは、最後の1か所で両隣の色が同じか違うかで場合分けが要る。一直線に並んだ4領域なら 通りで、輪にすると減る。)

12問を解き終えたら、次はここを確かめてください

型を覚えることと、なぜその計算でよいのかを説明できることは別です。次の記事は「なぜ割るのか」「なぜ掛けるのか」を理由から説明しています。

大学受験数学|場合の数

場合の数を「重複なく数える」4つの独自演習

並べ方、分配、最短経路、円順列を、条件を一つずつ整理しながら数える練習です。答えだけでなく、全体から除く方法と、数え上げの基準を丁寧に確認します。

大学受験の「場合の数」で起こりやすい、隣接条件・同じ物の分配・通れない点・交互に座る円順列のつまずきを、数強塾オリジナル問題で確認できます。

図は左右にスクロールして全体を確認できます。

場合の数を条件で絞る流れすべての並べ方から隣接する場合を除き、最後に左右の順序で半分にする数え方を、三つの箱と矢印で示した図。 全体を数える6!隣接を除く全体-禁止順序を決める対称性で半分
すべての並べ方から隣接する場合を除き、最後に左右の順序で半分にする数え方を、三つの箱と矢印で示した図。

問1|隣接禁止と左右の順序

難度:標準確認点:補集合と対称性

A、B、C、D、E、F と書かれた6枚の異なる札を横一列に並べる。AとBが隣り合わず、かつCがDより左にある並べ方は何通りか。

問1「隣接禁止と左右の順序」の解答・詳しい考え方を開く

答え:240通り

  1. まず6枚を自由に並べると6!=720通りです。
  2. AとBが隣り合う並べ方は、ABを一つのかたまりと見て5!通り、かたまりの内部がAB、BAの2通りなので、2×5!=240通りです。
  3. したがってAとBが隣り合わない並べ方は720-240=480通りです。
  4. この480通りでは、CとDを入れ替える操作により「Cが左」と「Dが左」が一対一に対応します。よって半分の480÷2=240通りです。

誤りやすい点:最初から二つの条件を同時に数えようとすると重複しやすくなります。A・Bの条件を処理した後、C・Dの入れ替えが条件を壊さないことを確認して半分にします。

問2|下限と上限のある分配

難度:標準確認点:重複組合せと除外

同じ14個のチップを、区別できる4個の箱に分ける。どの箱にも2個以上入れ、第1の箱には4個以下しか入れない分け方は何通りか。

問2「下限と上限のある分配」の解答・詳しい考え方を開く

答え:64通り

  1. 第iの箱に入る個数をx_iとすると、x_1+x_2+x_3+x_4=14、各x_i≧2です。
  2. y_i=x_i-2とおけば、y_1+y_2+y_3+y_4=6、各y_i≧0となり、第1の箱の条件はy_1≦2です。
  3. 上限をいったん無視した非負整数解は、重複組合せによりC(9,3)=84通りです。
  4. y_1≧3の解ではz_1=y_1-3とおくとz_1+y_2+y_3+y_4=3なのでC(6,3)=20通りです。したがって84-20=64通りです。

誤りやすい点:各箱へ先に2個ずつ配った後は、合計が14ではなく6になります。またx_1≦4はy_1≦2へ変わるので、上限も同じだけ平行移動します。

問3|通れない点を避ける最短経路

難度:標準確認点:経路数の補集合

座標平面上で(0,0)から(5,4)まで、1回の移動で右へ1または上へ1だけ進む。点(2,2)を通らない最短経路は何通りか。

問3「通れない点を避ける最短経路」の解答・詳しい考え方を開く

答え:66通り

  1. (0,0)から(5,4)へは、右5回と上4回の合計9回を並べるので、最短経路はC(9,4)=126通りです。
  2. (0,0)から(2,2)を通る部分は、右2回と上2回を並べるためC(4,2)=6通りです。
  3. (2,2)から(5,4)へは、右3回と上2回を並べるためC(5,2)=10通りです。
  4. 点(2,2)を通る経路は6×10=60通りなので、避ける経路は126-60=66通りです。

誤りやすい点:通る経路は、点の手前と後ろの通り数を足すのではなく掛けます。一つの前半経路ごとに、すべての後半経路を組み合わせられるためです。

問4|交互に座る円順列

難度:発展確認点:回転の固定と席の選択

4人の講師M1、M2、M3、M4と、4人の受講者S1、S2、S3、S4が円卓に座る。講師と受講者が交互に座り、M1とS1が隣り合わない座り方は何通りか。回転させて一致する座り方は同じものとする。

問4「交互に座る円順列」の解答・詳しい考え方を開く

答え:72通り

  1. 回転による重複を除くため、M1の席を一つに固定します。
  2. 残る3人の講師を、M1と一つおきの3席に並べる方法は3!=6通りです。
  3. 講師の間にできる受講者用の4席のうち、M1に隣接しない席は2席です。S1の席はその2通りから選べます。
  4. 残る3人の受講者は残り3席へ3!通りで座るので、6×2×3!=72通りです。

誤りやすい点:M1を固定した後にさらに4で割ってはいけません。固定した時点で回転による同一視は処理済みです。また鏡映は回転ではないため、同じものとして除きません。

藤原進之介 執筆・監修|数強塾オリジナル講義

交換・固定・補集合の3テストで解法を選ぶ

AとBを含む6人を円卓に座らせ、しかもAとBは隣り合わない――この答案で、「選ぶ」と「並べる」を一つの式にまとめようとして止まっていないかな。場合の数の代表的な型を整理できていても、条件が重なると、まず何を数えるかが見えにくくなります。

そこで「二つを交換したら別結果か」「基準を一つ固定できるか」「禁止条件は全体から引けるか」の三問を順に使います。これは場合の数の解法選択をチェックする三つの質問です。公式を選ぶ前に、参加者の選抜、円周上の相対順序、非隣接条件を一つずつ分けて考えよう。

この補足講義で到達すること

  • 交換テストで、順列・組合せ・同じものを含む配置を区別する。
  • 回転を同一視する場面で、何を固定すれば一意になるか説明する。
  • 禁止条件を補集合へ言い換え、引き過ぎや数え漏れを検査する。

原理1:三つのテストはこの順に使う

交換テストでは、選んだ二人の位置を交換して完成結果が変わるかを問います。変われば順序を数え、変わらなければ選択だけを数えます。固定テストでは、回転後も同じ配置とみなすなら、区別できる一人を基準位置へ置きます。補集合テストでは、「隣り合わない」を直接作るより、全円順列から「隣り合う」を引く方が分類しやすいかを比べます。

三テストでは、公式名より先に何を一つの結果として数えるかを確かめます。選抜の記録、円周上の相対順序、禁止条件の合否を別欄に書けば、一つの式へ急いで押し込む必要はありません。

テスト 判定質問 このページで決まること
交換 二人を入れ替えると別の座り方か 選抜後の人は区別し、配置順を数える
固定 全員を同じだけ回した配置は同じか 一人を固定し、回転による重複を除く
補集合 禁止側を一塊として数えられるか 隣接配置を全体から引く

原理2:固定できる条件と、補集合を使う条件

区別できる人が円形に並ぶなら、一人を固定した後の直線状の席順が相対配置を一意に表します。ただし同色の玉だけを円周に置く問題では、どの玉を固定したか区別できず、同じ操作は自動的には使えません。また反転まで同一視する問題は、回転だけの円順列とは別に考える必要があります。

補集合が安全なのは、「全体」と「禁止側」が同じ標本の取り方で数えられているときです。選ぶ人数、必ず含む人、回転の同一視をそろえてから引きます。選抜前の総数から、選抜後だけの禁止数を引くような単位の混在はできません。

数強塾オリジナル確認問題

8人の候補A、B、C、D、E、F、G、Hから、AとBを含む6人を選び、円卓に座らせます。全員は区別でき、回転して一致する座り方は同じとします。AとBが隣り合わない座り方は何通りですか。

この確認問題は、入試過去問や本ページの既存演習とは別に作成した数強塾オリジナルの完全新作です。

段階ヒント1:まず選抜だけを記録する

A、B以外の6人から、残り4人を選びます。この段階では座る順番を付けません。

段階ヒント2:円形の重複を消す

Aを基準位置へ固定します。選ばれた6人の円順列全体は、残る5人の並べ方で表せます。

段階ヒント3:禁止側を一塊にする

AとBが隣り合う配置では、A固定後にBがAの左右どちらかへ来ます。残る4人の順序も数えて、全体から引きます。

解答

まずA、B以外から4人を選ぶので、選抜は \(\binom{6}{4}=15\) 通りです。一つの選抜結果を固定し、Aを円卓の基準位置へ置きます。残る5人の並べ方は \(5!=120\) 通りです。

AとBが隣り合うには、BがAの左隣か右隣の2択で、その後に残り4人を並べるので \(2\times4!=48\) 通りです。したがって非隣接配置は \(120-48=72\) 通り。選抜15通りは互いに異なる参加者集合を与え、各集合内の72配置とも重ならないため、積の法則より \(15\times72=1080\) 通りです。

答えは1080通りです。 AとBを含むという条件を選抜時に満たし、円形の回転をA固定で一度だけ除き、隣接/非隣接が全体を排反に二分するので分類は完全です。

誤答診断

  • 選抜を \(6P_4\) とする:選ぶ段階で付けた仮の順序を、座席配置でも再び数えて過大計数します。最初は \(6C_4\) です。
  • 円順列全体を \(6!\) とする:全員を同じだけ回した6配置を別扱いしています。A固定後は \(5!\) です。
  • 隣接数を \(4!\) だけにする:BがAの左右に来る2通りを落としています。

独立検算

A固定後、Bが座れる5席のうちAの両隣2席は禁止され、許されるのは3席です。Bの席を3通りで決め、残る4人を \(4!\) 通りで並べると \(3\times4!=72\)。これに選抜15通りを掛けて1080となり、補集合の計算と一致します。

藤原進之介の指導メモ

株式会社数強塾 代表取締役・数学科/情報科講師として、私は複合問題ほど「選ぶ記録」と「並べる記録」を答案の別の行に書きます。選抜と配置を分けるだけで、同じ因子を二度使っていないか確かめやすくなるからです。詳しい執筆者情報は藤原進之介プロフィールをご覧ください。


📝 この型が実際に出た入試問題(58問のうち24問を掲載)

「場合の数」の型が実際の入試でどう出たかを、数強塾が全問解説を公開している年度から拾いました。各行の「解説を読む」から、その問題の解説へ直接移動できます。型を読んだあとに実出題で当てると、どこまで通用する判断なのかがはっきりします。

大学・年度 出題テーマ 難易度 解説
同志社大学 2025年度 〔Ⅰ〕整数の組・多項式の除法・平均と分散の合成 やや難 解説を読む
法政大学 2025年度 〔Ⅰ〕【マーク】正八角形の頂点から三角形を作る やや難 解説を読む
法政大学 2025年度 〔Ⅲ〕【マーク】同じものを含む順列と、三角関数の方程式・最大最小・不等式 やや難 解説を読む
法政大学 2025年度 【マーク】11人から4人を選ぶ——学年の条件つき 標準 解説を読む
法政大学 2025年度 【マーク】倍数の和と包除原理 標準 解説を読む
法政大学 2025年度 〔Ⅰ〕【マーク】複素数・3次方程式・場合の数 標準 解説を読む
立命館大学 2025年度 8 個の数を 2 行 4 列の表に並べる 解説を読む
関西学院大学 2025年度 6枚のカードを3つの箱に分ける やや難 解説を読む
明治大学 2024年度 〔Ⅰ〕小問集合(3次方程式・空間ベクトル・回転体・場合の数) 標準 解説を読む
明治大学 2024年度 〔Ⅰ〕小問集合(2乗の差・対称式の最大・倍数条件と包除原理) 標準 解説を読む
関西学院大学 2023年度 順列・空間の点と三角形・複素数の極形式 標準 解説を読む
同志社大学 2022年度 〔Ⅰ〕場合の数・対数不等式・放物線と直線・積分方程式 やや難 解説を読む
立命館大学 2020年度 〔Ⅰ〕【空所補充】 軸に接する円と正三角形/6領域の塗り分け/2放物線の共通 標準 解説を読む
立命館大学 2020年度 〔Ⅰ〕【空所補充】1の6乗根/円と 本の弦/円周上を動く点と三角形の面積 やや難 解説を読む
埼玉大学 2019年度 区別のない箱への玉の分け方 やや難 解説を読む
防衛医科大学 2019年度 枚のカードを 3 つのグループに分ける 解説を読む
大阪大学 2015年度 理系第5問 2×2ブロック条件を満たす0と1の入れ方 解説を読む
京都大学 2008年度 正n角形と外接円の一筆書き 解説を読む
京都大学 2007年度 2段昇りが連続しない階段の昇り方の総数 標準 解説を読む
京都大学 2007年度 得点が単調に増える確率と重複組合せ 標準 解説を読む
自治医科大学(数学) 2025年度 問6(組合せと重複組合せ) 解説を読む
自治医科大学(数学) 2023年度 問9(場合の数) 解説を読む
青山学院大学 2023年度 Ⅰ 玉を箱に入れる場合の数(4パターン) 解説を読む
昭和大学(数学) 2022年度 大問4 「SHOWA」「HTTPSSHOWA」の順列 解説を読む

難易度は数強塾の見立てです(「—」は難易度を掲載していない年度)。大学別の年度一覧と出題傾向は過去問解説の総索引から、この型の全体像は解法パターン事典のハブから確認できます。

要点辞典この単元の公式・定石・つまずきやすい所は 数学I・Aの要点辞典:場合の数 にまとめてあります。

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