微分法(数II)の解法パターン全11型|型の見抜き方と入試実例(阪大・岡山大・群馬大・山口大・横国大・信州大)


微分法でやっていることは、たった一つです。導関数の符号を見て、増減を読む。極値も、最大最小も、方程式の解の個数も、接線の本数も、すべてこの一点から出てきます。ところが多くの人が「微分して とおく」を機械的にくり返して、符号を見ていない。このページは、数学IIの微分法の解法を11の型に分けて並べた辞典です。型は当てはめるための箱ではなく、考える範囲を狭めて、そこから先に頭を使うための道具として並べています。

このページの11型

  1. 微分係数の定義と極限
  2. 極値を求める(次数下げで軽くする)
  3. 極値の条件から係数を決める
  4. を含む方程式・恒等式
  5. 最大・最小は候補を並べて比べる
  6. 実数解の個数/文字定数を分離する
  7. 実数解の個数/分離できないとき
  8. 3次方程式の解の範囲(解の配置)
  9. 接線の本数
  10. 接線・法線を求める
  11. 不等式への応用

1. 微分法の背骨——符号だけが増減を決める

増減と符号

の区間で は増加、 の区間で減少。

極値をとるのは となる点のうち、その前後で の符号が変わる点だけ。

を解いて終わり」ではない。 ですが、 で符号が変わらないので極値ではありません。 は極値の必要条件でしかない。だから増減表を書く――増減表は答案の飾りではなく、符号が変わったことを示す唯一の根拠です。この理解があると、4次関数で「極値がただ1つ」のような条件(横浜国立大学の実例)も、重解のときに符号が変わらないことから自然に扱えます。

3次関数は変曲点に関して点対称

の変曲点は そこを原点に移す平行移動をすると、 の項が必ず消えて の形になる。

だから3次関数のグラフはすべて「 を平行移動したもの」であり、極大点と極小点は変曲点について対称に並ぶ。

この対称性が効く場面。「極大値と極小値の差」「2つの極値点を結ぶ直線」「3次関数と直線が囲む面積」――どれもこの対称性から見通しよく処理できます。大阪大学の問題(後掲)は、まさにこの点対称性を証明させる問題です。公式として覚えるのではなく、「変曲点を原点に送ると偶数次が消える」という操作として持っておくと、応用が利きます。

2. 実数解の個数は「分離できるか」で二択

A文字定数を分離できる →  の形にして、 と水平線 の交点を数える。

グラフが1本に固定され、動くのは水平線だけ。目で数えられるのが最大の利点です。3次方程式でも4次でも同じように使えます。

B分離できない →  自体の増減を調べ、極大値と極小値の符号で交点数を判定する。

3次関数なら「極大値 極小値 のとき異なる3実解」。これは極大が 軸より上、極小が下ということを式にしただけです。

分離できるかを最初に見る

と分離できる(型06)。

と分離できる( に注意)。

分離すると1文字が完全に片側へ寄るので、それが可能かどうかを30秒だけ試してから型07に移るのが効率的です。

3. 解法パターン全11型

型01 微分係数の定義と極限

01定義式の形に見えたら、微分係数と読む

顔つき 

中身 どちらも 。分子を が現れるように足して引くのが常套手段。

なぜ足して引くのか  のような形は、そのままでは定義式になりません。ところが分子に を入れると となり、2つの微分係数の組み合わせに分解できます。「定義式の形に持ちこむために、無理やり を作る」――この一手を知っているかどうかだけの型です。

型02 極値を求める(次数下げ)

02 で割ってから代入する

顔つき 極値点が のように汚い値になるとき。

中身  と割り算しておくと、 だから 1次式に代入するだけになる。

3乗を計算しないで済む  にそのまま代入すると3乗の展開が要ります。ところが で割った余りは1次式なので、代入は一瞬。「極値点は をみたす」という情報を、代入する前に使ってしまうのがこの型の値打ちです。同じ理屈で という関係式を使う次数下げも有効です(山口大学の実例)。

型03 極値の条件から係数を決める

03必要条件で候補を出し、十分性を確かめる

顔つき 「 で極大値5をとるような を求めよ」。

中身  を立てて解く。最後に「本当に極大か」を増減表で確認する。

は必要条件にすぎない これを解いて出た が、実際に で極大を与えるとはかぎりません( の例のように符号が変わらないことがある)。「求めよ」と言われたら必要条件で絞り、最後に十分性を確認する――この往復は整数問題でも図形でも同じ構造です。

型04  を含む方程式・恒等式

04次数を先に決める

顔つき 「すべての をみたす多項式 を求めよ」。

中身  次と仮定して両辺の次数を比べ、 を確定してから係数比較。

次数を決めると未知数が有限になる 「多項式 を求めよ」だけでは候補が無限にありますが、次数さえ決まれば係数は有限個。次数を決める道具は「両辺の最高次を比べる」で、微分すると次数が1下がることを使います。整数問題で「候補を有限にする」のと同じ発想です。

型05 最大・最小は候補を並べて比べる

05極値と端点、それだけが候補

顔つき 「 における最大値・最小値」。

中身 候補は「区間内の極値」と「区間の端点」。全部計算して大小を比べる。

なぜこれで尽くせるのか 連続関数が閉区間で最大値をとる点は、内部なら必ず極値点(そこで増減が変わるから)、そうでなければ端点しかありえないからです。「候補を有限個に絞れる」ことが微分の最大の効用で、あとは代入して比べるだけの作業になります。区間に文字が入る場合は、極値点が区間内かどうかで場合分けが要ります(2次関数の型07と同じ構造)。

型06 実数解の個数/文字定数を分離する

06 にして水平線で数える

顔つき 「 の実数解の個数を で場合分けせよ」。

中身  の増減を調べ、極大値・極小値の高さで水平線 を場合分け。

動くものを1つにする 文字定数が式の中に散らばっていると、 を変えるたびにグラフの形が変わってしまいます。分離すればグラフは固定され、動くのは水平線だけ。「動くものが1つなら、目で数えられる」――これが分離の全部です。分母が0になる点( など)を落とさないことだけ注意してください。

型07 実数解の個数/分離できないとき

07極大値と極小値の符号を見る

顔つき 文字定数が2か所以上にあって分離できない。

中身 3次関数 が異なる3実解をもつ (極大値)(極小値)

積の符号で書くと場合分けが消える 「極大値が正かつ極小値が負」と書くと条件が2本になりますが、(極大値)(極小値) と積にすれば1本で済みます。しかも極値をとる が汚くても、次数下げ(型02)を使えば積は計算できる。この2つを組み合わせるのが実戦的な処理です。

型08 3次方程式の解の範囲

082次関数の解の配置と同じ考え方

顔つき 「3つの解がすべて正になる条件」「区間内に解が2つ」。

中身 増減表を書き、区間の端点の値の符号極値の符号を組み合わせる。

2次のときの3点セットが、そのまま持ち上がる 2次では「判別式・軸・端点の値」でしたが、3次では「極値の存在(判別式に相当)・極値の位置(軸に相当)・端点の値」。やっていることは同じで、グラフを描いて条件を読み取っているだけです。3次以上では公式化しにくいので、増減表とグラフが主役になります。

型09 接線の本数

09接点をパラメータにして、その個数を数える

顔つき 「点 を通る接線が3本あるような の範囲」。

中身 接点の 座標を とおいて接線の式を作り、通る点を代入。得られた の方程式の実数解の個数=接線の本数。

なぜ接点の個数=接線の本数なのか 3次曲線には二重接線(2点で接する直線)が存在しないので、異なる接点は必ず異なる接線を与えます。だから1対1に対応する。4次曲線では二重接線がありうるので、この対応が崩れることに注意してください。「本数を数えるときは、まず対応が1対1かを確かめる」のが正確な議論です(岡山大学の実例)。

手順 ① 接点を とおいて接線を作る → ② 通る点を代入して の方程式にする → ③ 文字定数を分離して解の個数を数える

型10 接線・法線を求める

10接点が分かっているか、いないかで手が変わる

顔つき 「曲線上の点 A における接線」「曲線に接し、傾きが の直線」。

中身 接点 における接線は 。法線は傾きが

「曲線上の点」と「通る点」を混同しない 「点 A を通る接線」と書いてあるとき、A が曲線上にあるとはかぎりません。A が曲線上でないなら、接点は別の点なので型09の手順になります。問題文を読んだら「その点は曲線上か」を必ず確認してください。ここを取りちがえると、まったく違う答えになります。

型11 不等式への応用

11差をとって、最小値が0以上を示す

顔つき 「 のとき を示せ」。

中身  とおいて の増減を調べ、区間での最小値 を示す。

2つの関数を比べない  の最小値と の最大値を比べるのは誤りです(同じ で比べていない)。必ず差をとって1つの関数にする。そして「区間の左端で かつ区間内で が増加」が示せれば、それだけで十分なことも多い――最小値を厳密に求める必要はありません。示したいことに必要なだけ調べるのが、この型の実戦的なこつです。

4. 実際の入試で確かめる

全11型のうち、入試の実例がついているのは7型1マスが1つの型です。青いマスは、下にある入試の実例で確かめている型です白いマスは、下にある入試の実例では扱っていない型です0102030405060708091011解法パターン11型入試の実例で確かめる7型下の実例にない4型7 + 4 = 11型。この図は下にある入試の実例が扱う型を数えたものです入試の実例は6問。実例の数と型の数は必ずしも一致しません

この単元の解法パターンは全11型で、下にある入試の実例6問で確かめているのは7型です。残りの4型は、下にある実例では扱っていません。1問が複数の型にまたがることも、同じ型を複数の実例で扱うこともあるため、実例の数と型の数は必ずしも一致しません。

ここからは実際に出題された問題で型を確かめます。問題文は各大学が公表した入試問題を、解説のために引用したものです。解答・解説は数強塾が独自に作成したもので、大学公表の解答ではありません。掲載しているすべての数値は、当塾で独立に解いたうえで Python による検算を行っています。

大阪大学 2004年度 前期日程 ―― 型02・型03。次数下げと点対称

【問題】大阪大学 2004年度 前期日程

3次関数 に関して以下の問いに答えよ。

(1) が極値をもつための条件を、 の係数を用いて表せ。

(2) で極大、 で極小になるとき、点 と点 を結ぶ直線の傾き の係数を用いて表せ。また、 のグラフは平行移動によって のグラフに移ることを示せ。

【解答】

(1)  (2) )。 軸方向に 軸方向に 平行移動すればよい

(1)  が異なる2つの実数解をもつことが必要十分(そのとき前後で符号が変わります)。

(2)  を解の公式で書くと根号だらけになります。ここで次数下げ(型02)が効きます。 で割ると

なので、2点はともに直線 上にあります。2点を通る直線はただ1つなので、これが求める直線。傾きは

(1) の条件 より です(極大から極小へ下がるので当然)。

後半(点対称の証明)  より変曲点は 変曲点を原点に送る平行移動をすると の項が消えます。

を代入すると

したがって 方向に 動かせば

の項が消える」ことの意味。奇関数なので原点対称です。つまり、あらゆる3次関数のグラフは、変曲点に関して点対称。この一事から「極大値と極小値の平均は変曲点の 座標」「3次関数と接線が囲む面積の公式」など多くのことが導けます。公式を増やすのではなく、この一つの構造を持っておくほうが応用が利きます。

岡山大学 2017年度 前期日程 ―― 型09。接線の本数=接点の個数

【問題】岡山大学 2017年度 前期日程

を実数とする。座標平面内の曲線 について、以下の問いに答えよ。

(1) のとき、 の接線で点 を通るものの方程式を求めよ。

(2) の接線で点 を通るものが3本存在するような の範囲を求めよ。

【解答】

(1) (接点 、1本のみ) (2)

上にあるとはかぎらないので、接点をパラメータにするのが定石です(型09)。

接点を とすると、 より接線は

これが を通る条件は

について解けた形になっているのが重要です(型06)。

(1)  のとき が解なので

の判別式は なので実数解は のみ。接線は

(2)  とおくと、接線の本数は の実数解の個数に等しい。

「接点の個数=接線の本数」を確かめる

3次曲線には二重接線が存在しないので、異なる は異なる接線を与えます。だから1対1対応が成り立ち、 の個数を数えれば接線の本数になる。ここを確認せずに数えると、重複を見落とすことがあります。

より、 で極小値 で極大値

水平線 が3交点をもつのは、極小値と極大値の間にあるときなので

「文字定数を分離できる形になっているか」を最初に見る。 は、 が1か所にしかないので即座に分離できます。分離できれば の増減を1回調べるだけで、 のすべての値に対する答えが同時に出る。場合分けを についてやるのではなく、グラフを1本描いて水平線を上下させる――この切りかえが型06の値打ちです。

群馬大学 2015年度 前期日程 ―― 型10。接する条件を2本立てる

【問題】群馬大学 2015年度 前期日程

を定数とし、曲線 とおく。 上の点 における の接線を とし、O を通り に垂直な直線を とする。

(1) の方程式を、それぞれ求めよ。

(2) に接するとき、定数 の値を求めよ。

【解答】

(1)  (2)

(1)  より が消えるのがこの問題の設計です。よって 、垂直条件から

(2)  に接する点を とします。O における接線は であって ではないので、 が確定します

接するとは「値が一致」かつ「傾きが一致」なので、条件は2本。

① を で割ると 、② は

ここで ② から ①×3 を引くと の項が消えます。

これを に戻すと 、すなわち

で、 より

すなわち

2式から「消しやすいほう」を先に消す。①②は の連立ですが、 を消して の方程式にすると3次になって重くなります。逆に の項を消すと の値が一発で出る。連立を解くときは「どちらの文字を先に消すか」で計算量が大きく変わります。係数を見て、消えやすいほうを選ぶ――これは連立方程式全般に効く判断です。

山口大学 2016年度 前期日程 ―― 型02・型06。絶対値つき3次と解の個数

【問題】山口大学 2016年度 前期日程

関数 について、次の問いに答えなさい。

(1) 方程式 の実数解をすべて求めなさい。

(2) の増減、極値を調べ、 のグラフをかきなさい。ただし、グラフの変曲点と凹凸は調べなくてよい。

(3) を実数の定数とする。 についての方程式 が、ちょうど4個の異なる実数解をもつように、 の値の範囲を定めなさい。

【解答】

(1)

(2) 極大値 。極小値は3つの零点で

(3)

(1)  とおくと なので

より 。よって

(2) 絶対値を外しにかからず、まず中身 の増減を調べてから折り返すのが最短です(2次関数の型17と同じ)。

より

ここで極値の計算に次数下げを使います。 をみたすので

3乗の展開が一切要らなくなりました。よって

零点と極値点の大小は 。折り返すと山が2つ、谷が3つ(谷はすべて高さ0)のグラフになります。

(3) 水平線 との交点数を、 を下から上げながら数えます。

解の個数 0 3 6 5 4 3 2

ちょうど4個になるのは2つの極大値の間なので

次数下げが計算時間を半分にする。 を展開すると符号ミスの機会が増えます。ところが「極値点は をみたす」=「」という関係を先に取り出せば、 という1次式に化ける。汚い数を代入する前に、その数がみたす関係式を使って式を簡単にする――この順序が型02の本体です。

横浜国立大学 2016年度 前期日程 ―― 「極値がただ1つ」の境界を落とさない

【問題】横浜国立大学 2016年度 前期日程

実数 に対し、関数 がただ1つの極値をもち、その極値が0以上になるとする。次の問いに答えよ。

(1) のみたす条件を求めよ。

(2) が (1) の条件をみたすとき、 の最大値を求めよ。

【解答】

(1) かつ  (2) 最大値

(1) まず微分して因数分解します。

とおくと なので、 の根ではありません

4次で最高次の係数が正なので極小は必ず存在します。「極値がただ1つ」とは、 の符号変化がちょうど1回ということ。

ここが本問の急所

が異なる2実根をもつと、 は3か所で符号が変わり極値が3個になってしまう。

重根をもつ場合は、そこで の符号が変わらないので極値は増えない

したがって条件は の判別式 等号を含む

このとき唯一の極値は での極小値 で、これが0以上より

(2)  より

の最大を求めます。 より で、内部の極大値は

端点を忘れずに調べます。

よって最大値は )。

等号を落とすと答えが消える。もし (1) で判別式を (等号なし)としてしまうと、 の範囲が開区間になり、(2) の最大値が存在しなくなります。答えが出ないときは、条件の等号を疑ってください。「答えが存在するかどうか」自体が、条件の正しさの検算になる――これは実戦で非常に役に立つ視点です。

信州大学 2008年度 前期日程 ―― 型05・型11。最小値の候補を絞る

【問題】信州大学 教育学部 2008年度 前期日程

とする。ただし とする。

(1) の増減を調べ、極大値、極小値があればそれらを で表せ。

(2) に対し となる の値の範囲を求めよ。

【解答】

(1) のとき極大値 、極小値 のとき極値なし(つねに増加)

(2) または

(1) 定数項 に気づけば因数分解できます。

条件 を意味するので、場合分けは2つで済みます。

  • ): で増加、 で減少、 で増加。極大 、極小
  • で符号が変わらないので極値なし

(2) 「 で常に 」を最小値の問題に翻訳します(型11)。

における最小値の候補は、端点 と極小点 だけ(極大点は最小値を与えません)。

はつねに成立します。

したがって条件は だけに集約されます。

両辺を3倍して 。解の公式より

と合わせて

または

数値で確かめると では条件をみたし、 ではみたさないことが計算で確認できます。

候補を絞ってから計算する。 が0以下のときは なので極大点が区間の外に出ますが、どちらにしても での最小値は です。だから場合分けをせずに済む。「場合分けが必要かどうか」を先に判断すると、無駄な分岐を書かずに済みます。この問題では が恒真なので、実質的に条件は1本だけでした。

5. よくある質問

Q1. を解いたら、それが極値ではないと言われました。

A. は極値の必要条件にすぎません。その前後で の符号が変わって初めて極値です。 ですが極値をもちません。増減表を書けば必ず判定できます。

Q2. 極値点が のような形で、代入の計算が大変です。

A. 次数下げを使ってください。極値点は をみたすので、そこから得られる関係式(例:)で の次数を下げてから代入します。3乗の展開が不要になります。

Q3. 実数解の個数の問題で、分離するかしないかの判断がつきません。

A. 文字定数が1か所にまとまるかを30秒だけ試してください。まとまれば分離(グラフ1本+水平線)、まとまらなければ の増減で極大値・極小値の符号を見ます。分離できるなら、そちらが圧倒的に速いです。

Q4. 「点 A を通る接線」と「点 A における接線」は違うのですか。

A. まったく違います。「における」は A が接点、「通る」は A が接点とはかぎりません。後者では接点を とおいて、接線が A を通る条件を立てる必要があります。問題文を読んだら必ず確認してください。

Q5. 型を覚えれば初見の微分の問題も解けますか。

A. 型は考えなくて済ませる道具ではなく、考える範囲を狭めるための道具です。狭めたあとは自分で考える必要があります。実際、本ページの群馬大学の問題は「どちらの文字を先に消すか」を自分で判断する必要がありました。型を持っている人は、白紙のまま全部を考えずに済むという差が出ます。

6. 次に読むページ

微分で手が止まる人へ

微分が苦手な生徒のほとんどは、計算ができないのではなく「微分したあと、符号を見ていない」だけです。数強塾では、増減表を「書かされるもの」ではなく「符号が変わったことの証拠」として書かせるところから指導しています。オンラインの完全1対1で、プロ講師のみが担当します。

数強塾オリジナル 追加演習11問|11の型を、数字を変えてもう一度

上の11の型を、設定と数値を変えた自作問題で1問ずつ確かめます。問5〜問11は同じ3次関数を軸に進みます()。極大2・極小 という1組の値が、解の個数・解の範囲・接線の本数・不等式のすべてを支配していることを見てください。

問1(型01 微分係数の定義と極限)

次の極限を求めよ。

(1)  (2)

解答

(1) これは における微分係数の定義そのもの。

より 12

(2) における微分係数(もう1つの定義式の形)。 3

(因数分解しても で同じ。 の形を見たら微分係数の定義を疑うと一瞬で終わる。詳しくは微分と接線の記事。)

問2(型02 極値を求める)

の極大値と極小値を求めよ。

解答

の符号は で正、 で負、 で正。

で極大、 で極小。

極大値 6、極小値 2

だけでは極値と言えない。符号が変わることまで確認する。 だが極値をもたない。)

問3(型03 極値の条件から係数を決める)

で極大値7をとり、 で極小値をとる。 を求めよ。また極小値を求めよ。

解答

を解にもつ。

解と係数の関係より、和 から

から

より

よって

極小値は

(検算:。確かに が解で、符号は正→負→正だから が極大。条件に合う。)

問4(型04 f'(x) の条件から決める)

を満たすとき、 を求めよ。

解答

 …①

 …②

①−②より 。①に代入して

よって

(検算: ✓、 ✓。導関数の条件は、そのまま連立方程式になる。)

問5(型05 最大・最小)

における最大値と最小値を求めよ。

解答

。極値の候補は

候補をすべて並べる:

最大値 18)、最小値 の2か所)。

極値の候補と区間の端を全部並べて比べるのが確実。極大値2が最大値ではないことに注意——極値は「そのあたりで一番」であって「全体で一番」ではない。)

問6(型06 実数解の個数/文字定数を分離する)

の実数解の個数を、 の値によって分類せよ。

解答

のグラフと、水平線 の交点の個数を数える。

問5より極大値 、極小値

  • 1個
  • 2個
  • 3個
  • 2個
  • 1個

文字定数を右辺に分離できれば、動かすのは水平線だけ。極大値と極小値の2つの数がすべてを決める。)

問7(型07 実数解の個数/分離できないとき)

とする。 が実数解をちょうど1つもつような の範囲を求めよ。

解答

が2か所に現れないので分離はできるが、ここでは極値の積で判定する。

なので で極大、 で極小。

実数解が1つ (極大値)×(極小値)

 →  → 

と合わせて

極値の積が正なら解1個、負なら3個、0なら2個。グラフが 軸をまたぐ回数を、極値の符号だけで判定している。)

問8(型08 3次方程式の解の範囲)

の範囲にちょうど1つの解をもつような の範囲を求めよ。

解答

で調べる。 より、 で減少、 で増加。

(最小)、。ただし両端は範囲に含まない。

減少部分 では から まで(両端を除く)。増加部分 では から まで(両端を除く)。

  • のみ → 1個
  • :両方の部分に1つずつ → 2個
  • :増加部分だけに1つ → 1個
  • それ以外:0個

よって または

のとき解は は範囲外、 だけが範囲内で確かに1個。端点を含むか含まないかで答えが変わるので、不等号の向きと等号の有無を毎回確認する。)

問9(型09 接線の本数)

から曲線 に引ける接線の本数を、 の値によって分類せよ。

解答

接点を とおく。 より接線は

を通るので 接線の本数=この方程式の実数解 の個数

とすると

で極小 で極大

  • または 1本
  • または 2本
  • 3本

接線の本数は接点の個数。「点を通る」条件を の方程式に直してから、型06と同じ「水平線との交点」に帰着させる。点の座標を微分に代入するのは誤り。)

問10(型10 接線・法線を求める)

曲線 上の点 における接線と法線の方程式を求めよ。

解答

接線: より

法線は接線に垂直なので傾きは

より

(垂直な2直線は傾きの積が 。点 が曲線上にあること()を先に確認しておくと、「接点でない点」の罠を避けられる。)

問11(型11 不等式への応用)

のとき が成り立つことを示せ。また等号が成り立つ を求めよ。

解答

とおき、 を示す。

では なので、符号は で決まる。

で減少、 で増加。よって で最小。

最小値が0なので、 のとき 、すなわち 。等号は のとき。

不等式の証明は「差を関数と見て最小値を調べる」のが定石。 だけを見て済ませてはいけない。最小値がどこにあるかを微分で突き止める必要がある。なお と因数分解できるので、 なら明らかに0以上、とも言える。)

「なぜその手が効くのか」を理由から確かめる

この単元をもっと解く

上の11問はすべて数強塾が作成した自作問題です。実在の入試問題の再現ではありません。

大学受験数学|微分公式を意味から使い分ける

微分の独自演習4問|合成・商・陰関数・対数微分

複雑な式ほど、どのまとまりを一つの関数として見るかが重要です。合成関数、商、陰関数、対数微分を、定義域と導関数の符号まで含めて整理します。

大学受験の微分で頻出する「内側の微分を掛け忘れる」「商の微分の分子を逆にする」「陰関数でyの微分を落とす」「xのx乗の定義域を無視する」を診断できる演習です。

図は左右にスクロールして全体を確認できます。

放物線上の割線が接線へ近づく図放物線y=x二乗上の点1,1と1+h,(1+h)二乗を結ぶ割線が、hをゼロへ近づけると傾き2の接線へ近づく様子。 P(1,1)h=1h=0.4接線の傾き2
放物線y=x二乗上の点1,1と1+h,(1+h)二乗を結ぶ割線が、hをゼロへ近づけると傾き2の接線へ近づく様子。

問1|合成関数の微分

難度:標準学習点:外側を微分してから内側の微分を掛ける

f(x)=(2x-1)^5を微分せよ。

問1「合成関数の微分」の解答・詳しい考え方を開く

答え:f'(x)=10(2x-1)^4。

  1. 内側をu=2x-1、外側をu^5と見る。
  2. 外側の微分は5u^4である。
  3. 内側の微分はdu/dx=2である。
  4. 連鎖律よりf'(x)=5u^4・2となる。
  5. uを戻して10(2x-1)^4を得る。

誤答分析:5(2x-1)^4で止めると内側2x-1の微分2が抜ける。

別計算による検算:二項展開して32x^5-80x^4+80x^3-40x²+10x-1を項別微分すると160x^4-320x^3+240x²-80x+10で、10(2x-1)^4の展開と一致する。

問2|商の微分

難度:標準学習点:分母の二乗と分子の引き算順を保つ

x≠-1で定義されたf(x)=(x²+1)/(x+1)を微分せよ。

問2「商の微分」の解答・詳しい考え方を開く

答え:f'(x)=(x²+2x-1)/(x+1)²。

  1. 分子u=x²+1、分母v=x+1と置く。
  2. u'=2x、v'=1である。
  3. 商の微分f'=(u'v-uv')/v²を使う。
  4. 分子は2x(x+1)-(x²+1)=x²+2x-1となる。
  5. 分母を(x+1)²として答え、定義域x≠-1を保つ。

誤答分析:分子をuv'-u'vと逆順にしない。分母はvではなくv²である。

別計算による検算:f(x)=x-1+2/(x+1)と割り算で変形するとf'=1-2/(x+1)²=((x+1)²-2)/(x+1)²で、同じ分子x²+2x-1になる。

問3|陰関数の接線の傾き

難度:標準〜発展学習点:yをxの関数として連鎖律を適用する

曲線x²+xy+y²=7上の点(1,2)における接線の傾きを求めよ。

問3「陰関数の接線の傾き」の解答・詳しい考え方を開く

答え:-4/5。

  1. 両辺をxで微分し、yはxの関数として扱う。
  2. x²の微分は2x、xyは積の微分でy+x y'、y²は2y y'となる。
  3. 2x+y+(x+2y)y'=0とまとめる。
  4. 点(1,2)を代入して2+2+(1+4)y'=0、すなわち4+5y'=0となる。
  5. y'=-4/5を得る。

誤答分析:xyの微分をyだけ、y²の微分を2yだけにするとy'が抜ける。点が曲線上にあることも1+2+4=7で確認する。

別計算による検算:曲線をyについて解いた分枝y=(-x+√(28-3x²))/2は点(1,2)を通る。この導関数をx=1へ代入すると-1/2-3/(2・5)=-4/5となる。

問4|対数微分とxのx乗の最小値

難度:発展学習点:定義域を明示して対数微分と増減を結ぶ

x>0でf(x)=x^xとする。f'(x)を求め、f(x)の最小値を求めよ。

問4「対数微分とxのx乗の最小値」の解答・詳しい考え方を開く

答え:f'(x)=x^x(ln x+1)。最小値e^(-1/e)をx=1/eで取る。

  1. x>0なのでy=x^x>0と置いて両辺の自然対数を取り、ln y=x ln xとする。
  2. 微分するとy'/y=ln x+1となる。
  3. y=x^xを戻し、f'(x)=x^x(ln x+1)を得る。
  4. x^xは正なので導関数の符号はln x+1で決まり、0<x<1/eで負、x>1/eで正である。
  5. x=1/eで減少から増加へ変わり、値(1/e)^(1/e)=e^(-1/e)が最小値である。

誤答分析:通常のべき関数の公式nx^(n-1)を指数が変数のx^xへそのまま使えない。x>0の定義域も必要である。

別計算による検算:t=ln xと置くとln f=e^t t。tで微分した符号はe^t(t+1)で、t=-1、すなわちx=e^-1で一度だけ負から正へ変わる。


📝 この型が実際に出た入試問題(60問のうち24問を掲載)

「微分法(数II)」の型が実際の入試でどう出たかを、数強塾が全問解説を公開している年度から拾いました。各行の「解説を読む」から、その問題の解説へ直接移動できます。型を読んだあとに実出題で当てると、どこまで通用する判断なのかがはっきりします。

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難易度は数強塾の見立てです(「—」は難易度を掲載していない年度)。大学別の年度一覧と出題傾向は過去問解説の総索引から、この型の全体像は解法パターン事典のハブから確認できます。

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