微分法(数III)の解法パターン全18型|対数微分法・凸性・媒介変数と入試実例(千葉大・神戸大・岡山大・名工大・横国大・富山大)


数学IIIの微分法は、数学IIの微分法に「微分できる関数の種類が増えた」だけ――ではありません。増えたのは道具ではなく、問いの深さです。凹凸(第2次導関数)が使えるようになり、極限と組み合わせて漸近線まで描けるようになり、不等式の証明が微分でできるようになる。そして計算面では、対数をとってから微分するという一手が加わります。このページは、数学IIIの微分法の解法を18の型に分けて並べた辞典です。型は当てはめるための箱ではなく、考える範囲を狭めて、そこから先に頭を使うための道具として並べています。

このページの18型

  1. 積・商・合成関数の微分
  2. 対数微分法( 型・積の形)
  3. 媒介変数表示の微分
  4. 陰関数の微分
  5. 逆関数の微分
  6. 1点で微分可能にする(つなぎの条件)
  7. 分数関数のグラフ(漸近線)
  8. 指数・対数関数のグラフ
  9. 最大・最小(増減表で候補を絞る)
  10. 図形量の最大・最小
  11. 極値をもつ条件
  12. 実数解の個数(文字定数を分離)
  13. 接線の本数
  14. 2曲線が接する条件・共通接線
  15. 不等式への応用(増減で示す)
  16. 不等式への応用(凸性で示す)
  17. 速度・加速度・道のり
  18. 近似式・平均値の定理

1. 背骨——微分の目的は「符号を読む」こと

1階と2階、それぞれが読むもの

の符号 → 増加・減少(グラフが上がるか下がるか)

の符号 → 凸・凹(グラフが上に曲がるか下に曲がるか)

なら下に凸で、接線はつねにグラフの下側。 なら上に凸で、接線はつねに上側。

凸性が使えると、不等式が1行で片づく。上に凸な関数は「弦がグラフの下」なので、両端で0なら間はすべて0以上。神戸大学の問題(後掲)は、まさにこの一発の論法で重み付き相加相乗平均を証明しています。 かつ ならば ――増減表を書かずに結論が出る、凸性の威力です。

逆に、微分して符号が読めない形のままなら、まだ整理が足りていません。微分したら必ず「積または商の形」まで因数分解する――これが数学IIIでも変わらない原則です。

数学IIIで新しく加わる計算の一手

対数微分法 指数にも底にも変数がある()、または積・商が入り組んでいるとき、両辺の対数をとってから微分する。

対数をとると積が和に、べき乗が積に変わるので、微分が一気に軽くなります。

2. グラフを描く手順——5つを順に埋める

1定義域 分母が0になる点、根号の中が負になる点、対数の真数が0以下になる点を除く。

2増減  を計算し、因数分解して符号を読む

3極値  の前後で符号が変わる点。

4漸近線 定義域の端での極限(、除外点への左右からの極限)。

5凹凸  の符号(問題文に「調べなくてよい」とあれば省略)。

漸近線こそが数学IIIらしさ。数学IIの多項式には漸近線がありませんが、分数関数・指数関数・対数関数には必ずあります。「定義域の端で関数がどう振る舞うか」を極限で調べる――これが数学IIIのグラフの要です。除外点の左右で符号が変わる( に分かれる)ことも多いので、片側極限を別々に調べるのを忘れないでください(横浜国立大学の実例)。

3. 解法パターン全18型

型01 積・商・合成関数の微分

01外側から順に、掛けていく

顔つき 

中身 

商の微分は「分子を通分してから因数分解」 商の微分の分子は、そのままでは符号が読めません。根号を含むなら通分し、共通因子でくくり、因数分解して初めて符号が判定できます。横浜国立大学の問題では、分子が と分解でき、2次因子が常に正なので符号が だけで決まりました。

型02 対数微分法

02対数をとってから微分する

顔つき 

中身  を作って微分すると が出る。最後に を掛けて戻す。

指数に変数があれば、これしかない  は「 型」でも「 型」でもないので、公式が使えません。対数をとって という積に直すのが唯一の入口です。積や商が入り組んだ関数でも、対数をとれば和と差になって微分が楽になります(千葉大学の実例)。

型03 媒介変数表示の微分

03

顔つき 

中身  で微分した比が についての微分係数速度ベクトルは

「接線の傾き」と「速度の向き」は同じもの 媒介変数表示された曲線の接線の傾きは、その点での速度ベクトルの向きです。だから「速度が直線と平行」という条件は、 がその直線の傾きに等しいという条件と同じ。物理的な言葉と数学的な言葉が同じ式を指している――ここが見えると設問の意味が読めます(名古屋工業大学の実例)。

型04 陰関数の微分

04両辺を で微分し、 について解く

顔つき  上の点における接線。

中身  の関数と見て微分する。

について解かなくてよい  と解いてから微分すると根号だらけになります。陰関数のまま微分すれば、接線の傾きが の式で出る。楕円や円の接線公式も、この方法で導けます。

型05 逆関数の微分

05

顔つき 「 の逆関数を とするとき を求めよ」。

中身 )。

逆関数を求めなくてよい 逆関数が具体的に書けなくても、対応する点さえ分かれば微分係数が出ます。グラフが直線 に関して対称なので、接線の傾きが逆数になる――図で理解しておくと式を忘れません。

型06 1点で微分可能にする

06連続かつ左右の微分係数が一致

顔つき 「場合分けで定義された関数が で微分可能となる条件」。

中身 ①つながっている(左右の極限が一致)②傾きが一致(左右の微分係数が一致)の2条件。

「つながる」だけでは足りない  で連続ですが微分可能ではありません。グラフに「角」があると微分できない。だから条件は2本必要で、未知数が2つあればちょうど決まります。

型07 分数関数のグラフ

07除外点の左右と、無限遠での極限

顔つき  の概形を描け。

中身 定義域の端すべてで極限をとる。除外点では左右別々に

枝の個数を数える 除外点が2つあれば、定義域は3つの区間に分かれ、グラフは3本以上の枝になります。各枝について「両端でどこへ行くか」と「途中で極値をとるか」を押さえれば、概形が確定します。横浜国立大学の問題では が除外点で4本の枝になり、極値は の1つだけでした。

型08 指数・対数関数のグラフ

08増え方の強さの序列を使う

顔つき 

中身  では指数 多項式 対数 では )。

端点の極限は「はさみうち」で示す )は直感的には「 のほうが強い」ですが、答案では証明が要ります。 のような不等式を作って挟むのが標準的な処理です(富山大学の実例)。極限の型09と同じ発想です。

型09 最大・最小

09候補は極値と端点

顔つき 「区間における最大値・最小値を求めよ」。

中身 増減表を書き、区間内の極値と端点の値を比べる。端が開いているなら極限で確認

開区間では最大値が存在しないことがある  が単調増加なら、上限はあっても最大値はありません。「最大値を求めよ」と書いてあるなら存在するはずなので、存在しない結論が出たら計算を疑ってください。

型10 図形量の最大・最小

10変数を1つ選び、図形量をその関数で表す

顔つき 「円に内接する三角形の面積の最大値」「線分の長さの最小値」。

中身 角や長さを1文字にとり、求める量をその関数として書いてから微分する。

変数の選び方で計算量が変わる 角をとるか、長さをとるか、媒介変数をとるか。「求める量がいちばん簡単に書ける変数」を選ぶのが原則です。そして変数の変域を必ず書く――図形的な制約(三角形が作れる範囲など)が変域として現れます。

型11 極値をもつ条件

11 が解をもち、かつ符号が変わる

顔つき 「極値をもつような の範囲」。

中身  が実数解をもつだけでは不十分。その前後で の符号が変わることまで必要。

重解では符号が変わらない  なら で符号が変わらず、極値になりません。「異なる2実解」を要求するのが標準ですが、 の形によっては別の判定が要ります。数学IIの微分法で扱った4次関数の例が、まさにこの注意点でした。

型12 実数解の個数

12文字定数を分離して水平線で数える

顔つき 「 の解の個数を で場合分けせよ」。

中身  と分離し、右辺のグラフと水平線 の交点を数える。

分離できれば、グラフが1本に固定される  が動いてもグラフは変わらず、水平線だけが上下する。これが分離の最大の利点です(数学IIの型06と同じ)。数学IIIでは分離後の関数に漸近線があることが多いので、端点の極限まで調べてから交点を数えてください。

型13 接線の本数

13接点をパラメータにして、その個数を数える

顔つき 「原点を通る接線をすべて求めよ」。

中身 接点を とおいて接線を書き、通る点を代入。得られた の方程式の実数解の個数=接線の本数(1対1対応が成り立つとき)。

指数関数では方程式がきれいに落ちることが多い  なら、原点を通る条件から となり、 より という2次方程式に落ちます(岡山大学の実例)。指数因子が共通して出てくるので、それを括り出すと次数が下がる――数学IIIの接線問題ではよくある構造です。

型14 2曲線が接する条件・共通接線

14「値が一致」かつ「傾きが一致」

顔つき 「2曲線が接するような の値」。

中身 接点を として の2本を立てる。

未知数と式の本数が合う 未知数は の2つ、式も2本。だから必ず解けると分かって進められます。共通接線なら接点が2つになるので、未知数3つ・式4本(うち1本は接線の一致)という構成になります。

型15 不等式への応用(増減で示す)

15差を関数にして、最小値が0以上を示す

顔つき 「 のとき を示せ」。

中身 (左辺)(右辺)を とおき、 の最小値が0より大きいことを示す。

端点で0にならない場合は最小値を求める  が使えるときは「」だけで済みますが、そうでないときは最小値そのものを計算して符号を確かめる必要があります。富山大学の問題では最小値が でした。 という粗い評価で足りることも確認しておくと、答案が短くなります。

型16 不等式への応用(凸性で示す)

16上に凸で両端が0なら、間はすべて0以上

顔つき 「重み付き相加相乗平均を示せ」「接線が曲線の上にあることを示せ」。

中身 (上に凸)で なら、

凸性は「増減表を書かずに済ませる」道具 上に凸ということは が単調減少。だから となる点は高々1つで、そこで極大。両端が0なら、間は必ず0以上。この論法は増減表を書かなくても成立します(神戸大学の実例)。凸性はまた「接線とグラフの上下」も決めるので、 のような不等式も一発で出ます。

型17 速度・加速度・道のり

171階が速度、2階が加速度、速さの積分が道のり

顔つき 「時刻 における点 P の速度・加速度」「通過する道のり」。

中身 、道のり

速さを因数分解できると積分が一瞬で終わる 名古屋工業大学の問題では、和積の公式 と分解でき、 という極めて簡単な形になりました。成分のまま2乗和の根号を計算すると大変ですが、因数分解しておくと絶対値だけになる――道のりの問題では、まず速度の因数分解を試してください。

型18 近似式・平均値の定理

18

顔つき 「 の近似値」「平均値の定理を用いて示せ」。

中身 接線で近似する。平均値の定理は となる に存在。

平均値の定理は「差を微分係数に翻訳する」道具  という差の評価を、 という積の評価に変えられます。 の範囲が分かっていれば、そのまま差の範囲が出る。不等式の証明や極限のはさみうちで頻繁に使います

4. 実際の入試で確かめる

全18型のうち、入試の実例がついているのは8型1マスが1つの型です。青いマスは、下にある入試の実例で確かめている型です白いマスは、下にある入試の実例では扱っていない型です010203040506070809101112131415161718解法パターン18型入試の実例で確かめる8型下の実例にない10型8 + 10 = 18型。この図は下にある入試の実例が扱う型を数えたものです入試の実例は6問。実例の数と型の数は必ずしも一致しません

この単元の解法パターンは全18型で、下にある入試の実例6問で確かめているのは8型です。残りの10型は、下にある実例では扱っていません。1問が複数の型にまたがることも、同じ型を複数の実例で扱うこともあるため、実例の数と型の数は必ずしも一致しません。

ここからは実際に出題された問題で型を確かめます。問題文は各大学が公表した入試問題を、解説のために引用したものです。解答・解説は数強塾が独自に作成したもので、大学公表の解答ではありません。掲載しているすべての数値は、当塾で独立に解いたうえで Python による検算を行っています。

神戸大学 2009年度 前期日程 ―― 型16。凸性で不等式を一発で示す

【問題】神戸大学 2009年度 前期日程

は実数で とする。区間 で定義される関数 と定める。ただし は自然対数を表す。このとき、以下のことを示せ。

(1) に対して が成り立つ。

(2) をみたす実数 が、 の範囲にただ1つ存在する。

(3) をみたす実数 に対して、 が成り立つ。

【解答の骨格】

(1)  (2) が単調減少で両端の符号が逆 (3) と凸性から

まず (3) の意味を読みます。示したい不等式の両辺の対数をとると

つまり示すべきは 。与えられた は、まさにこの差そのものです。

(1)  とおくと

定数部分がまとまるので、もう一度微分すると定数が消えます。

より なので

(2)  より 狭義単調減少。だから両端の符号だけ見れば十分です。 とおくと

(どちらも基本不等式 )による。後者は として 、つまり 。)

中間値の定理と単調性から、 となる ただ1つ存在します。

(3) 端点の値を計算します。

凸性の一発の論法

(2) より で増加、 で減少。しかも

したがって 増減表を書かなくても、この3つの事実だけで結論が出ます。

(1)(2) が (3) のための足場。この問題は「重み付き相加相乗平均」という有名な不等式の証明ですが、誘導が凸性のルートに完全に沿って設計されています。もし (1)(2) がなければ、 を直接評価しようとして詰まったでしょう。「上に凸で両端が0」――この形に持ちこめば、不等式は自動的に出る。凸性は、不等式証明のなかで最も強力な道具の一つです。

千葉大学 2014年度 前期日程 ―― 型02。対数をとると恒等式が現れる

【問題】千葉大学 2014年度 前期日程

関数 と正の実数 について、以下の問いに答えよ。

(1) における の最大値および最小値を求めよ。

(2) における の最小値を求めよ。

【解答】

(1) 最大値 )、最小値

(2) のとき のとき

(1) 。指数に変数があるので対数をとります(型02)。

符号が の大小だけで決まります。 なら負、 なら正。したがって が唯一の極小、区間の端が最大です。

で不変なので でも同じ値。)

(2) 力任せに微分してはいけません。対数をとると、驚くほどきれいにまとまります。

また 。したがって

与式を とおくと

与式は だった

あとは (1) で求めた の値域 に定数 を掛けるだけ。

の符号で、最小を与える端が入れかわります。

の範囲 の符号 が最小になるのは 最小値
0以上 が最小、つまり
0以下 が最大、つまり

では両式とも1で一致します。)

対数をとると「同じ関数の定数乗」だと分かる。(2) の式は一見複雑ですが、対数の世界では の定数倍にすぎませんでした。だから (1) の結果がそのまま使える。「積・商・べき乗が入り組んだ式を見たら、まず対数をとって構造を見る」――これが型02の本当の使い道です。微分するのはそのあとで十分です。

岡山大学 2018年度 ―― 型13。指数因子を括り出すと次数が下がる

【問題】岡山大学 2018年度

関数 について、以下の問いに答えよ。

(1) を満たす の値を求めよ。

(2) 曲線 について、原点を通るすべての接線の方程式を求めよ。

(3) 曲線 について、原点を通る接線のうち、接点の 座標が最大のものを とする。曲線 と直線 および 軸で囲まれた部分の面積を求めよ。

【解答】

(1)  (2) 接点は 、接線は  (3) (約

(1)  なので 、すなわち

(2) 原点は曲線上にないので、接点を とおきます(型13)。 なので接線は

これが原点を通る条件は

なので括り出せて

接線は 。傾きは約 と約 の2本です。

(3) (大きいほう)をとります。)より曲線は下に凸で、接線の上側にあります。

囲まれる部分は、左下が 軸()、上が曲線、右下が接線という形です。

ここで原始関数が積の微分の逆で一発です。

面積は「曲線の下の面積」から「接線の下の三角形」を引いて

ここで を使います の解だから)。

したがって

汚い値でも、みたす関係式を使えば簡単になる。 をそのまま代入すると根号が入り組みますが、 から が使えるので、三角形の面積がちょうど という定数になります。これは数学IIで扱った次数下げとまったく同じ技術です。「代入する前に、その値がみたす関係式を探す」――数学IIIでも変わらない原則です。

横浜国立大学 2012年度 ―― 型07。分子を因数分解して符号を読む

【問題】横浜国立大学 2012年度

次の問いに答えよ。

(1) 定積分 を求めよ。

(2) 関数 の増減、極値を調べ、そのグラフの概形を描け。ただし、グラフの凹凸、変曲点は調べなくてよい。

【解答】

(1) (約 ) (2) 極大値 )、極小値なし

(1) 分母を半角で潰します。 なので

残りは、分母の微分が なので

合わせて原始関数は 。代入して

(2) 定義域は (分母 )。商の微分を、通分して因数分解します。

分子を で通分すると

が明らかな根なので

符号が1つの因数だけで決まる

は判別式 よりつねに正。分母 つねに正

したがって の符号は の符号に一致します。

つまり で増加、 で減少(除外点をまたぐ各区間内で)。

区間
増減 増加 増加 減少 減少

極大は 極小値はありません。

漸近線を極限で押さえます。

漸近線は 。グラフは4本の枝からなります。

「符号が読める形」まで整理して初めて増減が言える。商の微分をそのまま書き並べても、 が正か負かは分かりません。通分して分子を1つの多項式にし、因数分解して、各因数の符号を判定する――この3ステップを踏んで初めて増減表が書けます。ここでは2次因子が常に正なので、実質1次式の符号だけで決まりました。「判別式が負だから常に正」という一言が、答案では必要です。

名古屋工業大学 2017年度 前期日程 ―― 型03・型17。速度を因数分解する

【問題】名古屋工業大学 2017年度 前期日程

座標平面上を運動する点 P の時刻 における座標 で表される。時刻 における点 P の速度を 、加速度を とする。

(1) 点 P の 座標の取り得る値の範囲を求めよ。

(2) のとき、速度 が直線 と平行である時刻 を求めよ。

(3) のとき、加速度の大きさ の最小値とその値を取る時刻 を求めよ。

(4) 時刻 から までに点 P が通過する道のり を求めよ。

【解答】

(1)  (2)  (3) 最小値 ) (4)

(1) 媒介変数のまま扱わず、3倍角で1変数化します より

とおくと

。端 では で、これより小さい。よって

(2)(4) 速度を成分のまま扱うと煩雑なので、和積で因数分解します。

和積の公式( など)を使うと

この分解で (2) と (4) が両方片づく

単位ベクトルなので、速さは

また では なので、速度の向きは単位ベクトルだけで決まります

(2) 傾きが という条件は 、すなわち

より なので 、つまり

(4) 

(3) 加速度は をもう一度微分して

の最小は )なので の最小は 、すなわち の最小値は

因数分解が4つの設問すべてを支えている。 という1行が出た瞬間、(2) は「単位ベクトルの向き」の問題に、(4) は という暗算級の積分になりました。成分のまま を計算しようとすると、地獄を見ます。媒介変数の問題では、まず速度ベクトルが因数分解できないかを試す――これが最も効く一手です。

富山大学 2014年度 前期日程 ―― 型08・型15。不等式を作って端点の極限を示す

【問題】富山大学 2014年度 前期日程

(1) のとき、不等式 が成り立つことを示せ。

(2) とおく。 を示せ。

(3) の増減および凹凸を調べ、 のグラフの概形をかけ。

(4) とおく。このとき、 を求めよ。

【解答】

(1) 差の最小値が  (2) はさみうち (3) で極小、 が変曲点 (4)

(1) 差を関数にします(型15)。

でくくると符号が だけで決まります。 で最小。

なので 。したがって 、すなわち

(2) (1) をはさみうちの下側の評価に使います(型08)。 では なので

なので、はさみうちの原理より

(3) 

なので の符号は で決まり、 が境目。

負(減少) 負(減少) 正(増加)
負(上に凸) 正(下に凸) 正(下に凸)

極小値は 、変曲点は 。(2) より なので、原点に向かって上から近づく形です。

(4) 部分積分で原始関数を作ります。

では ((2) と同じ理由)なので

(1) が (2) の道具、(2) が (3)(4) の道具。4つの設問が完全に直列につながっています。なぜ で押さえるのか――それは を掛けたときに と潰れるからです。もし なら でこれも0に行くので通りますが、問題は 版を指定している。「その不等式が、次でどう使われるか」を考えると、形の意味が読めます。

5. よくある質問

Q1. 商の微分をしたあと、符号が読めません。

A. 通分して分子を1つの式にし、因数分解するまでやってください。根号があれば で通分します。各因数の符号(2次因子なら判別式)を判定して初めて増減が言えます。

Q2. 対数微分法はいつ使いますか。

A. 指数に変数があるとき( 型)は必須です。また、積や商が入り組んでいるときも、対数をとると和と差になって微分が楽になります。まず対数をとって構造を見る、というのは計算前の偵察としても有効です。

Q3. グラフの概形を描くとき、何を調べれば十分ですか。

A. 定義域・増減・極値・漸近線の4つです(凹凸は指示があれば)。とくに漸近線は、除外点の左右と をすべて調べてください。枝の本数がこれで確定します。

Q4. 媒介変数表示の道のりの計算が大変です。

A. 速度ベクトルを因数分解できないか試してください。三角関数なら和積の公式が効くことが多く、速さが のような単純な形になれば積分は一瞬です。

Q5. 型を覚えれば初見の問題も解けますか。

A. 型は考えなくて済ませる道具ではなく、考える範囲を狭めるための道具です。狭めたあとは自分で考える必要があります。実際、本ページの千葉大学の問題は「対数をとると与式が になる」と自分で気づく必要がありました。型を持っている人は、白紙のまま全部を考えずに済むという差が出ます。

6. 次に読むページ

数学IIIの微分で手が止まる人へ

この分野でつまずく生徒のほとんどは、微分の計算ができないのではなく「微分したあと、符号が読める形まで整理していない」だけです。数強塾では、 を求めたら必ず積または商の形に因数分解させ、各因数の符号を言わせるところから指導しています。オンラインの完全1対1で、プロ講師のみが担当します。

数強塾オリジナル 追加演習18問|18の型を、数字を変えてもう一度

上の18の型を、設定と数値を変えた自作問題で1問ずつ確かめます。微分の目的は符号を読むこと—— の符号が増減、 の符号が凹凸。計算した導関数は、必ず因数分解して符号が見える形に整理してください。

問1(型01 積・商・合成関数の微分)

次を微分せよ。

(1)  (2)  (3)

解答

(1) 積の微分より

(2) 商の微分より

(3) 合成関数の微分より

((1)は因数分解して符号が読める形に なので符号は で決まる。導関数を出したら整理する、が鉄則。微分の定義も参照。)

問2(型02 対数微分法)

)を微分せよ。

解答

底も指数も なので、公式がそのままでは使えない。両辺の対数をとる

両辺を で微分(左辺は合成関数)

対数をとると累乗が積に、積が和になる——対数の性質がそのまま微分の道具になっている。)

問3(型03 媒介変数表示の微分)

)のとき で表せ。

解答

で割り算するだけ。 を分数のように扱えるのはライプニッツ記法の利点。 では となり使えないので除外する。)

問4(型04 陰関数の微分)

について を求め、点 における接線の傾きを求めよ。

解答

両辺を で微分。 の関数とみて合成関数の微分を使う。

、よって

では

傾き

(検算:円の接線は半径に垂直。半径の傾きは で、積が 円の性質と一致する。)

問5(型05 逆関数の微分)

の逆関数を とする。 を求めよ。

解答

なので

逆関数の微分公式 )より

逆関数のグラフは について対称なので、傾きが逆数になる。 を求めなくても(3次方程式を解かなくても)微分係数は出せる。)

問6(型06 1点で微分可能にする)

で微分可能となるように を定めよ。

解答

微分可能ならまず連続 で値が一致する必要がある。

 …①

次に左右の微分係数が一致する必要がある。左からは 、右からは

。①より

連続だけでは足りない(折れ曲がる)し、傾きだけそろえても値がずれれば不連続。2つの条件を両方立てる。)

問7(型07 分数関数のグラフ)

の増減・極値・漸近線を調べよ。

解答

と変形できる()。

なので符号は で決まる。

極大値 極小値

漸近線: で発散するので なので

極大値が極小値より小さいのがこの型の特徴。グラフが2つに分かれているので矛盾しない。「極大>極小」と思い込まないこと。)

問8(型08 指数・対数関数のグラフ)

の増減を調べ、極値と での様子を答えよ。

解答

なので符号は で決まる。 で増加、 で減少。

極大値

では、指数のほうが多項式より速く増えるので 軸が漸近線)。

「指数は多項式に勝つ」は頻出。 の厳密な証明ははさみうちで行う。)

問9(型09 最大・最小)

のとき、 の最大値と最小値を求めよ。

解答

より

最大値 2)、最小値

(別解: と置くと 2倍角で一瞬。根号を見たら三角関数の置きかえも検討する。)

問10(型10 図形量の最大・最小)

半径1の円に内接する長方形の面積の最大値を求めよ。

解答

中心から見た角を )とすると、長方形の縦は 、横は

なので最大値は 2、すなわち で正方形のとき)。

図形量は1文字で表すのが第一手。角で置くか長さで置くかは、式が簡単になるほうを選ぶ。ここでは角のほうが2倍角で一瞬になる。)

問11(型11 極値をもつ条件)

が極値をもつような の範囲を求めよ。

解答

極値をもつ 符号を変える が異なる2実数解をもつ。

より または

では極値をもたない が0になっても符号が変わらないため( で極値をもたないのと同じ)。「」としないこと。)

問12(型12 実数解の個数)

の実数解の個数を、 の値によって分類せよ。

解答

問8のグラフを使う。 で極大値 に近づき、

水平線 との交点を数える。

  • 0個
  • 1個
  • 2個
  • 1個

のとき解は の1個。 では なので、正の側には解がない。漸近線に近づくだけで到達しないため、 で個数が変わる。)

問13(型13 接線の本数)

原点から曲線 に引ける接線の本数を求めよ。

解答

接点を とすると、 より傾きは

接線:

原点を通るので より

接点は1つなので接線は 1本)。

接線の本数=接点 の個数 を使って場合を絞るのがこの型の急所。)

問14(型14 2曲線が接する条件)

で、曲線 が接するときの定数 を求めよ。

解答

接点の 座標を とすると、値が一致し、かつ傾きも一致する

値: …①

傾き:、よって  …②

②を①に代入して より なので

(検算:「接する」は値と傾きの2条件。1つだけでは交わるだけ。)

問15(型15 不等式(増減で示す))

のとき を示せ。

解答

とおく。

では なので 、すなわち は増加。

なので、 では

よって

差をとって関数にし、増減と端の値を調べるのが定石。「 かつ 」の2点セットで完成する。)

問16(型16 不等式(凸性で示す))

のとき を示せ。等号成立条件も述べよ。

解答

とおく。

なので は下に凸。 より で最小。

なので、つねに

よって 、等号は のとき。

凸性を使うと「最小値が0」で一発。この不等式は情報理論や統計で頻繁に使われる基本形。グラフで言えば で接して、その下にある。)

問17(型17 速度・加速度・道のり)

数直線上を動く点Pの座標が で表される。

(1) 速度が0になる時刻 (2) 加速度が0になる時刻 (3) で動いた道のり を求めよ。

解答

(1)

(2)

(3)

道のりは絶対値の和で 12

「変位」は 、「道のり」は12。向きが変わる時刻()で区切って絶対値を足す。ここを区別しないのが最多の失点。)

問18(型18 近似式)

の近似値を、1次近似 を用いて求めよ。

解答

とする。

より

2.005

(実際の値は で、誤差は0.00001未満。

1次近似は「接線で曲線を代用する」こと。接線が曲線に最もよく似た直線だから、近くでは精度が高い。離れるほど誤差が増える。)

「なぜその手が効くのか」を理由から確かめる

📝 この型が実際に出た入試問題(4問)

「微分法(数III)」の型が実際の入試でどう出たかを、数強塾が全問解説を公開している年度から拾いました。各行の「解説を読む」から、その問題の解説へ直接移動できます。型を読んだあとに実出題で当てると、どこまで通用する判断なのかがはっきりします。

大学・年度 出題テーマ 難易度 解説
明治大学 2025年度 〔Ⅲ〕 曲線と直線の最短距離・微分総合(記述式) やや難 解説を読む
青山学院大学 2025年度 対数関数の増減・凹凸と変曲点 標準 解説を読む
学習院大学 2024年度 2直線のなす角と根号を含む関数の変曲点 標準 解説を読む
京都大学 2008年度 直線と対数関数のグラフが共有点をもたない条件 標準 解説を読む

難易度は数強塾の見立てです(「—」は難易度を掲載していない年度)。大学別の年度一覧と出題傾向は過去問解説の総索引から、この型の全体像は解法パターン事典のハブから確認できます。

要点辞典この単元の公式・定石・つまずきやすい所は 数学II・B・Cの要点辞典:指数関数・対数関数 にまとめてあります。

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