まず1問:二つの平均を、足して2で割ってよい?
人数が違う集団を合わせた平均
同じテストを受けたA組4人の平均は60点、B組6人の平均は80点でした。合わせた10人の平均は何点でしょうか。平均は丸めていないものとします。
ヒント
平均に人数を掛けると、その組の合計点が求められます。全員の合計を、全員の人数で割りましょう。
答えと解説
72点です。A組の合計は\(60\times4=240\)点、B組は\(80\times6=480\)点です。
\[\frac{240+480}{4+6}=\frac{720}{10}=72\]
\((60+80)\div2=70\)は「二つの組の平均値」を同じ重さで平均しています。今回は80点の組の人数が多いため、全員の平均は70点より80点側になります。
両組が同じ人数なら、二つの平均を足して2で割れます。人数が違っても両組の平均自体が同じ場合は同じ結果になりますが、一般には合計点と人数に戻す方法で考えましょう。
平均値・中央値・最頻値は、データのどこに注目するかが違います。このページでは、度数分布表、ヒストグラム、代表値、相対度数などを10の型に整理します。例題5問と型ごとの演習10問で、計算の手順と、結果から読み取れることを確かめていきましょう。
このページの10型
- 度数分布表を作る
- ヒストグラムと度数折れ線
- 平均値
- 中央値
- 最頻値
- 代表値の使い分け
- 相対度数
- 累積度数・累積相対度数
- 範囲(レンジ)
- 確率の意味(大数の法則)
1. 代表値は、どのようにデータをまとめるか
3つの代表値と、その意味
| 代表値 | 求め方 | 何を表すか | 弱点 |
|---|---|---|---|
| 平均値 | 合計 \(\div\) 個数 | ならしたときの値 | 極端な値に引きずられる |
| 中央値 | 並べて真ん中 | 中央の順位の値。偶数個なら中央2値の平均 | 分布の形を反映しにくい |
| 最頻値 | いちばん多い値 | いちばんよくある値 | 複数あることがある |
3つを別々に覚えるのではなく、「どう違うか」を言えるようにしてください。たとえば5人の所持金が \(100,200,300,400,10000\) 円のとき、平均は \(2200\) 円ですが、5人のうち4人は平均より少ない。この場合、中央値の \(300\) 円のほうが「順位の中央にある人の値」に近い。
平均値は極端な値(外れ値)に引っぱられる――これが、平均値だけを見てはいけない理由です。ニュースで「平均年収」と「中央値」が両方紹介されるのは、まさにこのためです。数の意味を言葉で説明できることが、この単元のゴールです。
2. 度数分布表を読む3ステップ
1合計を確かめる 度数の合計が全体の個数と一致するか。
2階級値を書きこむ 階級のまん中の値。「20以上30未満」なら \(25\)。
3相対度数を出す (その階級の度数)\(\div\)(合計)。合計は必ず \(1\)。
「以上」と「未満」の境目
「20以上30未満」の階級に、\(20\) は入りますが \(30\) は入りません。
境目の値がどちらの階級に入るかで、度数が1ずれます。「以上」は含む、「未満」は含まない――中1で身につけたこの区別が、高校の「変域」や「不等式」まで続きます(文字と式の型10)。
3. 解法パターン全10型
型01 度数分布表を作る
01階級の幅をそろえ、正の字で数える
出題の例 「次のデータをもとに、階級の幅を10点として度数分布表を完成させよ」。
考え方 このページでは階級の幅をすべて同じにする。数え漏れを防ぐため、印をつけながら数える。
合計で必ず検算する 度数の合計が、もとのデータの個数と一致しなければ数え間違いです。ただし、別の階級への入れ間違いは合計だけでは見つからないので、各値の分類も確認します。階級の幅がそろっていないと、ヒストグラムの棒の高さが比べられなくなるので、このページでは幅をそろえます。幅が異なるヒストグラムでは、棒の面積が度数に対応するよう高さを調整する別の扱いが必要です。
型02 ヒストグラムと度数折れ線
02棒はすき間なく、折れ線は階級値の上
出題の例 「度数分布表をヒストグラムに表せ」。
考え方 ヒストグラムの棒はすき間をあけない(階級が連続しているから)。度数折れ線は各棒の上辺の中点を結ぶ。
棒グラフとヒストグラムは違う 棒グラフは「種類」を比べるのですき間をあけますが、ヒストグラムは「連続した数の範囲」を表すのですき間をあけません。この違いを説明できるかが、記述問題で問われます。度数折れ線の両端は、度数0の階級まで伸ばして横軸につけます。
型03 平均値
03度数分布表からは「階級値 × 度数」で計算
出題の例 「度数分布表から平均値を求めよ」。
考え方 (階級値 × 度数)の合計 \(\div\) 度数の合計。
もとのデータの平均と一致するとは限らない 度数分布表では、同じ階級の値をすべて階級値で代表させるので、これは近似値です。もとのデータがあるなら、そのまま合計して割ったほうが正確。「なぜ階級値を使うのか」=「各階級の値を階級値で代表させて、平均を近似するため」――この説明ができるようにしてください。正負の数の型10の「基準からの差」を使うと、計算が軽くなります。
型04 中央値
04並べてから、真ん中
出題の例 「次のデータの中央値を求めよ」。
考え方 小さい順に並べて、個数が奇数なら真ん中の値、偶数なら真ん中2つの平均。
中央値を求める前に、値が小さい順になっているか確認する 大小が未整理のまま、与えられた順の中央を取るのは誤りです。中央値は「順位の真ん中」なので、まず並べ替えることが大切です。個数が偶数のとき、真ん中2つの平均がデータにない値になることもありますが、それで構いません。\(n\) 個のデータなら、中央値の位置は \(\dfrac{n+1}{2}\) 番目(\(n\) が偶数なら小数になり、前後2つの平均を意味します)。
型05 最頻値
05度数分布表では「度数が最大の階級の階級値」
出題の例 「度数分布表から最頻値を求めよ」。
考え方 もとのデータなら最も多く現れる値。度数分布表なら度数が最大の階級の階級値。
「階級」ではなく「階級値」で答える 度数分布表の最頻値を「20以上30未満」と答えるのは誤りです。答えは階級値の \(25\)。数値で答えることに注意してください。最頻値は「いちばんよくある値」なので、靴のサイズや服のサイズのように「よく出るものを知りたい」場面で使われます。
型06 代表値の使い分け
06極端な値と調べたい目的を確認
出題の例 「このデータの代表値として適切なものを選び、理由を述べよ」。
考え方 外れ値があり順位の中央を知りたいなら中央値、よくある値を知りたいなら最頻値、全体をならしたいなら平均値。
記述で問われるのは「理由」 「中央値が適切である。なぜなら、1人だけ極端に大きい値があり、平均値はその値に引きずられて全体の実感とずれるから」――この形で書けるようにしてください。理由の説明では「極端な値がある」「データが左右対称でない」など、データの特徴に触れることが必要です。
型07 相対度数
07その階級の割合。合計は \(1\)
出題の例 「相対度数を求めよ」「人数の違う2つの学級を比べよ」。
考え方 (その階級の度数)\(\div\)(度数の合計)。合計が \(1\) になるか必ず検算。
相対度数は「人数の違う集団を比べる」ためにある 30人の学級と40人の学級で、ある階級に入る人の割合を比べたいとき、人数だけでは比較しにくくなります。割合に直せば、大きさの違う集団どうしを比べられる――これが相対度数の存在理由です。四捨五入して合計が \(1\) にならないこともあるので、その場合は問題の指示に従ってください。
総度数は0より大きいものとします。全データを重複なく分類したとき、丸める前の相対度数の合計は1です。データが0個なら、この割り算はできません。
型08 累積度数・累積相対度数
08そこまでの合計。「〜未満は何人か」に答える
出題の例 「30点未満の人数」「累積相対度数が \(0.5\) を超える階級」。
考え方 最初の階級からその階級までの度数の合計。累積相対度数は、その割合。
中央値は中央の順位を累積度数で追って考えます。奇数個なら中央1つ、偶数個なら中央2つの順位を調べます。中央2つが別の階級にある場合、中央値の所属階級を断定できないことがあります(例題2)。最後の累積度数は全体の個数、累積相対度数は丸める前の値で1です。
中央の順位を、表のどこで止めるか
度数分布表では個々の値が見えないので、中央値は累積度数で順位を追います。全体が10人なら中央は5番目と6番目です。
この例では5番目と6番目が別の階級に入るため、元の10個の値がなければ中央値の値は求められません。累積度数は「値」ではなく「そこまでに何人いるか」を示す数です。
型09 範囲(レンジ)
09最大値 - 最小値
出題の例 「このデータの範囲を求めよ」「範囲が大きいのはどちらか」。
考え方 (最大値)\(-\)(最小値)。散らばりの大きさを表す最も簡単な指標。
範囲は外れ値に非常に弱い 1つでも極端な値があると、範囲は一気に大きくなります。だから範囲だけで「散らばりが大きい」と結論してはいけません。この弱点を補うために、四分位範囲や分散・標準偏差を学びます(データの分析の型04)。中1では「範囲には限界がある」と知っておけば十分です。
型10 確率の意味
10回数を増やすと、相対度数はある値に近づく
出題の例 「表が出た相対度数の表から、表が出る確率を推定せよ」。
考え方 実験の回数を増やすと、相対度数は一定の値に近づく。その値を確率とみなす。
確率0.5は、2回ごとに必ず1回起こるという意味ではありません。確率は1回の試行についても定義できます。同じ確率で独立に試行を繰り返すモデルでは、回数が十分多いと相対度数が真の確率から大きく離れる可能性が小さくなります。ただし、毎回必ず近づくわけではありません。これが大数の法則につながる考え方です(統計的な推測の型11)。
4. 例題で確かめる
この単元の解法パターンは全10型で、下にある例題5問で確かめているのは9型です。残りの1型は、ページ下部の演習で扱っています。1問が複数の型にまたがることも、同じ型を複数の例題で扱うこともあるため、例題の数と型の数は必ずしも一致しません。
ここからは、数強塾が作成したオリジナルの例題で型を確かめます。計算結果だけでなく、元のデータからどこまで判断できるかも確認しましょう。
例題1 ―― 型03・型04・型05・型09。代表値と範囲を出す
【例題1】(数強塾オリジナル)
ある班の10人が、1週間に読んだ本の冊数は次のとおりでした。
\[2,\quad 5,\quad 3,\quad 2,\quad 8,\quad 3,\quad 2,\quad 4,\quad 3,\quad 3\]
(1) 平均値を求めなさい。 (2) 中央値を求めなさい。 (3) 最頻値を求めなさい。 (4) 範囲を求めなさい。
【解答】
(1) \(3.5\) 冊 (2) \(3\) 冊 (3) \(3\) 冊 (4) \(6\) 冊
(1) 合計を求めます。
\[2+5+3+2+8+3+2+4+3+3=35\]
(平均)\(=35\div 10=3.5\)
(2) 並べ替えます(型04)。
\[2,\ 2,\ 2,\ 3,\ 3,\ 3,\ 3,\ 4,\ 5,\ 8\]
10個(偶数)なので、5番目と6番目の平均。どちらも \(3\) なので中央値は \(3\)。
(3) 個数を数えます。
| 冊数 | \(2\) | \(3\) | \(4\) | \(5\) | \(8\) | 計 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 人数 | \(3\) | \(4\) | \(1\) | \(1\) | \(1\) | \(10\) |
最も多いのは \(3\) 冊(4人)なので、最頻値は \(3\)。
(4) \(8-2=6\)。
平均だけが \(3.5\) で、他の2つは \(3\)。この差はどこから来たかというと、1人だけ \(8\) 冊読んだ人がいるからです。残り9人の平均は3冊なので、8冊の1人を加えると平均が \(0.5\) 冊分上がります。
順位の中央や、最も多い冊数を知りたいなら\(3\)冊、1人あたりに均等にならした冊数なら\(3.5\)冊です。何を知りたいかに合わせて、使う代表値を選びましょう。
例題2 ―― 型01・型07・型08。度数分布表を完成させる
【例題2】(数強塾オリジナル)
40人の生徒の通学時間について、次の度数分布表を作りました。空欄をうめなさい。
| 階級(分) | 階級値 | 度数(人) | 相対度数 | 累積度数 |
|---|---|---|---|---|
| \(0\) 以上 \(10\) 未満 | ア | \(6\) | イ | \(6\) |
| \(10\) 以上 \(20\) 未満 | \(15\) | \(14\) | \(0.35\) | ウ |
| \(20\) 以上 \(30\) 未満 | \(25\) | \(12\) | \(0.30\) | \(32\) |
| \(30\) 以上 \(40\) 未満 | \(35\) | エ | オ | \(40\) |
| 合計 | ―― | \(40\) | \(1.00\) | ―― |
【解答】
ア \(5\) イ \(0.15\) ウ \(20\) エ \(8\) オ \(0.20\)
ア(階級値) 「0以上10未満」のまん中は \(\dfrac{0+10}{2}=5\)。
イ(相対度数) \(6\div 40=0.15\)。
ウ(累積度数) \(6+14=20\)。
エ(度数) \(40-32=8\)。(累積度数の差からも出ます。)
オ(相対度数) \(8\div 40=0.20\)。
2通りの検算
度数の合計 \(6+14+12+8=40\)。合っています。
相対度数の合計 \(0.15+0.35+0.30+0.20=1.00\)。合っています。
累積度数は人数、累積相対度数は割合です。この表の累積相対度数は0.15、0.50、0.80、1.00です。「0.5を超えた階級」を選ぶ前に、中央値を決める順位を確認しましょう。
40人の中央値は、小さい順に並べた20番目と21番目の平均です。累積度数は6、20、32、40なので、20番目は10分以上20分未満、21番目は20分以上30分未満に入ります。この表だけでは、中央値がどちらの階級に入るかは決まりません。20番目が18分、21番目が20分なら中央値は19分。一方、19分と25分なら22分です。どちらも表の度数と両立します。
20番目をa、21番目をbとおくと、10≦a<20、20≦b<30。したがって15≦(a+b)÷2<25までは分かります。累積度数から分かるのは各順位の所属階級であり、偶数個の中央2つが別の階級にあるときは、平均の所属階級を別に考える必要があります。
例題3 ―― 型03。度数分布表から平均を出す
【例題3】(数強塾オリジナル)
例題2の度数分布表から、通学時間の平均値を求めなさい。
【解答】
\(20.5\) 分
(階級値 × 度数)を計算します(型03)。
| 階級値 | \(5\) | \(15\) | \(25\) | \(35\) | 計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 度数 | \(6\) | \(14\) | \(12\) | \(8\) | \(40\) |
| 階級値 × 度数 | \(30\) | \(210\) | \(300\) | \(280\) | \(820\) |
(平均)\(=820\div 40=20.5\)
合計で検算する
\(30+210+300+280=820\)、\(820\div 40=20.5\)。
度数の合計 \(6+14+12+8=40\) も一致しています。
これは近似値であることを忘れない。「0分以上10分未満」の6人を全員 \(5\) 分として扱っているので、実際の平均とは異なることがあります。ただし、偶然一致する場合もあります。もとの40個の数値が分かっているなら、そちらで計算するほうが正確です。
それでも度数分布表から平均を出すのは、階級値を各階級の代表として使い、およその平均を求めるため。「なぜ階級値を使うのか」を説明できるようにしておいてください――記述問題で問われます。
例題4 ―― 型06。代表値を選んで理由を書く
【例題4】(数強塾オリジナル)
ある店で、1日に売れたケーキの個数を7日間調べたところ、次のとおりでした。
\[12,\quad 15,\quad 13,\quad 14,\quad 12,\quad 13,\quad 90\]
(最後の日は近所でイベントがあり、特別に多く売れました。)
(1) 平均値と中央値をそれぞれ求めなさい。
(2) 「ふだんの1日の売り上げ個数」を表す代表値としてふさわしいのはどちらですか。理由もあわせて書きなさい。
【解答】
(1) 平均値 \(24.14\cdots\) 個、中央値 \(13\) 個 (2) 中央値(理由は下記)
(1) 合計は
\[12+15+13+14+12+13+90=169\]
(平均)\(=169\div 7=24.14\cdots\)
並べ替えると \(12,12,13,13,14,15,90\)。7個(奇数)なので4番目が中央値で \(13\)。
(2) 中央値がふさわしい。
理由の書き方
「最後の1日だけ \(90\) 個という極端に大きい値があり、平均値はその値に引きずられて \(24\) 個ほどになる。しかし7日のうち6日は \(15\) 個以下であり、平均値はふだんの様子を表していない。中央値の \(13\) 個のほうが、ふだんの売り上げに近いから。」
「平均より少ない日が6日もある」という数字を入れるのが、良い答案。ただ「極端な値があるから」と書くより、具体的な数字で示すほうが説得力があります。
実際、平均の \(24.14\) 個を上回るのは \(90\) 個の1日だけ。7日中6日が平均以下という状況では、この問題の「ふだんの1日」を示す目的には中央値が適しています。ただし、7日間の総販売数を1日当たりにならす目的なら平均値にも意味があります。データの活用では、計算だけでなく「その数が何を語っているか」を書く力が問われます。
例題5 ―― 型10。相対度数から確率を推定する
【例題5】(数強塾オリジナル)
ペットボトルのふたを投げて、表が出た回数を調べたところ、次のようになりました。
| 投げた回数 | \(50\) | \(100\) | \(500\) | \(1000\) | \(2000\) |
|---|---|---|---|---|---|
| 表が出た回数 | \(19\) | \(34\) | \(176\) | \(356\) | \(708\) |
| 相対度数 | ア | イ | ウ | エ | オ |
(1) 相対度数を小数第3位まで求めなさい。
(2) このふたの表が出る確率はおよそいくらと考えられますか。
【解答】
(1) ア \(0.380\) イ \(0.340\) ウ \(0.352\) エ \(0.356\) オ \(0.354\) (2) およそ \(0.35\)
(1) (表の回数)÷(投げた回数)を計算します。
| 回数 | \(50\) | \(100\) | \(500\) | \(1000\) | \(2000\) |
|---|---|---|---|---|---|
| 相対度数 | \(0.380\) | \(0.340\) | \(0.352\) | \(0.356\) | \(0.354\) |
(2) 回数が増えるにつれて、値が \(0.35\) 付近に落ち着いています(型10)。
したがって、表が出る確率はおよそ \(0.35\) と考えられます。
ブレの大きさに注目する
\(50\) 回のときは \(0.380\)、\(100\) 回のときは \(0.340\) と、\(0.04\) も動いています。
ところが \(1000\) 回と \(2000\) 回では \(0.356\) と \(0.354\) で、差は \(0.002\) だけ。
この表では後半の相対度数の変化が小さくなっています。ただし、この数値例だけで今後も単調に確率へ近づくとはいえません。
「確率が \(0.35\)」は「100回投げたら35回表」という意味ではない。100回投げて表が34回でも、42回でも、まったくおかしくありません。確率は1回の試行にも使います。一方、実験の相対度数から確率を推定するときは、試行回数や条件の安定性が重要です。
ペットボトルのふたでは、表と裏の2通りがあるという理由だけで、確率を2分の1とはできません。実験の相対度数から確率を推定する方法が使えます。サイコロやコインで場合の数を割る方法も、「同様に確からしい」という仮定が前提です。これは確率そのものが2種類あるというより、モデルから計算する方法と、実験結果から推定する方法の違いです。形が非対称でも、別の適切なモデルを用いて計算できる場合はあります。
5. よくある質問
Q1. 平均値・中央値・最頻値のどれを答えればよいか分かりません。
A. 問題文で指定された代表値を使います。自分で選ぶ場合は、何を知りたいかを先に決めましょう。全体の合計につながる値なら平均、順位の中央なら中央値、最も多い値なら最頻値です。極端な値があるときは、平均と中央値の違いも比較して理由を説明します。
Q2. 度数分布表からの平均値が、もとのデータの平均と合いません。
A. 階級値で各階級を代表させた平均は近似値なので、元のデータの平均と異なることがあります。ただし、不一致だけで計算が正しいとは判断できません。「階級値×度数」の合計と総度数を確かめましょう。偶然一致する場合もあります。
Q3. 相対度数の合計が \(1\) になりません。
A. 各相対度数を丸めてから足すと、合計が0.99や1.01になることがあります。一方、丸めていない値の合計は1です。まず計算間違いや総度数の取り違えを確認し、そのうえで丸めの影響を調べ、問題の指示に従ってください。
Q4. 最頻値を階級で答えたら×でした。
A. 最頻値は「値」なので、階級値で答えます。「20以上30未満」ではなく「25」です。
Q5. 記述問題の書き方が分かりません。
A. 「どの代表値か」+「なぜか(データの特徴)」+「具体的な数字」の3点セットで書いてください。数字を入れると、説得力が大きく変わります。
6. 次に読むページ
- 中1数学の要点辞典 ―― 全7単元の公式・定石・つまずきポイント。
- 中1 正負の数の解法パターン全10型 ―― 基準からの差で平均を出す技術。
- 中2 確率の解法パターン ―― 計算で確率を求める方法。
- データの分析の解法パターン全12型(高校) ―― 四分位数・分散・相関係数。
- 解法パターン事典(総索引)
数強塾オリジナル演習|10の型を1問ずつ
上の10型を、数値と設定だけ変えた自作問題で1問ずつ確認します。この単元は計算より「どの代表値を選ぶか」「何をもとにするか」で差がつきます。型03〜05 は同じデータ、型01・07・08 は同じ度数分布表を使うので、3つの代表値の違いがそのまま見えるはずです。
型01 度数分布表を作る
20人のテスト(50点満点で、50点の生徒はいない)の度数分布表が次のとおりである。
| 階級(点) | 度数 |
|---|---|
| 0以上10未満 | 1 |
| 10以上20未満 | 3 |
| 20以上30未満 | 7 |
| 30以上40未満 | 6 |
| 40以上50未満 | 3 |
| 計 | 20 |
(1) 階級の幅 (2) 階級値をすべて答えよ (3) 度数が最も大きい階級
解答・解説を見る
(1) 10点
(2) 階級のまん中の値なので \(5,\;15,\;25,\;35,\;45\)
(3) 20以上30未満(度数7)
「以上」は含み、「未満」は含まない。\(20\) 点の人は「20以上30未満」に入り、「10以上20未満」には入らない。
階級値は(下の端+上の端)÷2。\((20+30)\div2=25\)。
型02 ヒストグラムと度数折れ線
型01 の表からヒストグラムをかくとき、(1) 横軸・縦軸は何をとるか (2) 棒と棒の間はあけるか (3) 度数折れ線はどの点を結ぶか
解答・解説を見る
(1) 横軸に階級、縦軸に度数
(2) あけない。階級が連続しているので、棒どうしをくっつけてかく
(棒グラフは項目が独立なので間をあける。ここが違い)
(3) 各長方形の上の辺の中点(=階級値の位置)を結ぶ
両端は度数0の階級を加えて横軸まで下ろす。折れ線と横軸で囲まれた面積が、ヒストグラムの面積と等しくなる。
型03 平均値
データ \(3,\;5,\;6,\;6,\;7,\;8,\;8,\;8,\;9,\;10\) の平均値を求めよ。また、型01 の度数分布表から平均値を求めよ。
解答・解説を見る
生データから:合計 \(70\)、個数 \(10\) なので
\(70\div10=\)7
度数分布表から:\((\text{階級値}\times\text{度数})\) の合計 ÷ 総度数
\(\dfrac{5\cdot1+15\cdot3+25\cdot7+35\cdot6+45\cdot3}{20}=\dfrac{570}{20}=\)28.5点
度数分布表から出した平均は「およその値」。各階級の人がすべて階級値だったと仮定しているため、生データの平均とは一致しないことがある。
型04 中央値
(1) データ \(3,\;5,\;6,\;6,\;7,\;8,\;8,\;8,\;9,\;10\) の中央値を求めよ。
(2) 型01 の度数分布表では、中央値はどの階級に入るか。
解答・解説を見る
(1) \(n=10\) は偶数なのでまん中2つの平均。
5番目が \(7\)、6番目が \(8\) なので \(\dfrac{7+8}2=\)7.5
(データの中に無い値になってもよい)
(2) \(20\) 人なので10番目と11番目のあいだ。
累積度数は \(1,\;4,\;11,\;17,\;20\) なので、10番目も11番目も3番目の階級に入る。
20以上30未満の階級
中央値を探すには累積度数を見る——これが累積度数の最大の使いどころ。
型05 最頻値
(1) データ \(3,\;5,\;6,\;6,\;7,\;8,\;8,\;8,\;9,\;10\) の最頻値を求めよ。
(2) 型01 の度数分布表での最頻値を求めよ。
解答・解説を見る
(1) 最も多く現れるのは \(8\)(3回)。8
(\(6\) は2回なので2番目)
(2) 度数が最大の階級は「20以上30未満」。その階級値 25点
度数分布表の最頻値は「階級値」で答える。「20以上30未満」と階級で答えるのは中央値のときの言い方で、最頻値は値(25)で答える。
データによっては最頻値が2つ以上あることも、無いこともある。
型06 代表値の使い分け
5人の年収(万円)が \(300,\;350,\;400,\;450,\;5000\) であった。
(1) 平均値 (2) 中央値 (3) この集団の「ふつうの年収」を表すのはどちらか。理由も述べよ。
解答・解説を見る
(1) \(\dfrac{300+350+400+450+5000}5=\dfrac{6500}5=\)1300万円
(2) 小さい順に並べて3番目。400万円
(3) 中央値。5人のうち4人は \(450\) 万円以下で、平均の \(1300\) 万円は、この5人のうち4人の年収より大きい。
極端に大きい(小さい)値があると、平均は引っ張られる。中央値は順位で決まり、平均値より極端な値の影響を受けにくい指標です。この例では最大値だけをさらに大きくしても中央値は400万円のままです。
年収・地価・病気の治療期間など、片側に長く伸びるデータでは中央値が使われる。
型07 相対度数
型01 の度数分布表について、各階級の相対度数を求めよ。また合計がいくつになるか確かめよ。
解答・解説を見る
相対度数 \(=\dfrac{\text{その階級の度数}}{\text{総度数}}\)
\(\dfrac1{20}=0.05,\;\dfrac3{20}=0.15,\;\dfrac7{20}=0.35,\;\dfrac6{20}=0.30,\;\dfrac3{20}=0.15\)
合計 \(0.05+0.15+0.35+0.30+0.15=\)1.00 ✓
相対度数は「全体を1としたときの割合」(もとにする量は総度数)。
合計が \(1\) にならなければ、計算と丸めの影響を確認する。この問題では各値が割り切れるので、合計は正確に1になる。必ず検算する。
型08 累積度数・累積相対度数
型01 の度数分布表について、累積度数と累積相対度数を求めよ。また「30点未満の人は全体の何 \(\%\) か」を答えよ。
解答・解説を見る
累積度数(上から足していく):\(1,\;4,\;11,\;17,\;20\)
累積相対度数:\(0.05,\;0.20,\;0.55,\;0.85,\;1.00\)
「30点未満」は3番目の階級までなので、累積相対度数 \(0.55\)。
55%
累積は「〜未満が何人か」を一発で答えるための道具。最後は必ず総度数(相対なら \(1.00\))になる。
中央値の階級を探すのにも使う(型04)。
型09 範囲(レンジ)
(1) データ \(3,\;5,\;6,\;6,\;7,\;8,\;8,\;8,\;9,\;10\) の範囲を求めよ。
(2) 範囲だけでは分からないことを1つ挙げよ。
解答・解説を見る
(1) (最大値)−(最小値)\(=10-3=\)7
(2) 散らばり方の考え方が分からない。
たとえば \(3,3,3,3,10\) と \(3,5,6,8,10\) はどちらも範囲が7だが、散らばり方はまるで違う。
また外れ値1つで大きく変わるのも弱点。
そこで、分散・標準偏差では平均からの散らばりを、四分位範囲では中央約50%のデータの広がりを捉える。
型10 確率の意味
ペットボトルのキャップを \(1000\) 回投げたところ、表が \(420\) 回出た。
(1) 表が出る相対度数 (2) 表が出る確率はいくつと考えられるか (3) さいころの確率の考え方と何が違うか
解答・解説を見る
(1) \(\dfrac{420}{1000}=\)0.42
(2) 同じ条件で試行したと考え、今回の相対度数を推定値として使うと およそ0.42
(3) さいころは6つの目が同様に確からしいと仮定するモデルでは、投げなくても \(\frac16\) と決まる(数学的確率)。
キャップは形が非対称で、表と裏が同様に確からしいとは言えない。実験の相対度数から推定する方法が使える(統計的確率)。
(なぜ確率は場合の数の割り算なのか——「同様に確からしい」が前提)
3つの代表値の使い分け
| 意味 | 強み | 弱み | |
|---|---|---|---|
| 平均値 | 合計 ÷ 個数 | 全部の値を使う | 外れ値に引っ張られる |
| 中央値 | まん中の順位の値 | 外れ値に強い | 順位しか見ない |
| 最頻値 | 最も多い値 | 数えるだけ | データが少ないと不安定 |
年収・地価のように片側に長く伸びるデータでは中央値、靴のサイズや売れ筋商品のように「いちばん多いもの」を知りたいときは最頻値、左右対称で外れ値がなければ平均値。「どれが正しいか」ではなく「何を知りたいか」で選びます。
度数・累積度数は人数などの個数、相対度数・累積相対度数は割合です。相対度数は「その階級の度数÷総度数」、累積相対度数は「その階級までの累積度数÷総度数」で求めます。「30点未満が何人か」には累積度数、「全体の何%か」には累積相対度数を使います。
「なぜそうなるのか」へ
データの単元は公式が少ないぶん、「この値は何を意味しているのか」が問われます。土台になる考え方を確かめておいてください。
- なぜ平均の速さは2つの速さの平均ではないのか ── 型03・型06の土台。「平均」を単純に足して割ってよい場面と、そうでない場面の区別。
- なぜ割合は「比べる量÷もとにする量」なのか ── 型07・型08。相対度数は「総度数をもとにした割合」そのものです。
- なぜパーセントは100を基準にするのか ── 累積相対度数を \(\%\) で答えるとき。「55%」と「55ポイント」の違いにも注意。
- なぜ確率は場合の数の割り算で求められるのか ── 型10。「同様に確からしい」が前提であり、それが言えないときは、実験や別の確率モデルで考えます。
- なぜ等差数列の和は「最初と最後の平均×個数」なのか ── 「平均 × 個数 = 合計」という関係。型03で度数分布表から平均を出す式そのものです。
- なぜ比は同じ数を掛けても変わらないのか ── 相対度数が「人数が違う集団どうしを比べる」ために使える理由。
関連ページ
- 中3数学 標本調査の解法パターン全10型(この単元の続き)
- データの分析の解法パターン全12型(高校での発展:分散・相関)
- データの分析(基本)の特訓道場|平均・分散・相関係数20題
- 中2数学 確率の解法パターン全10型(型10の発展)
- 数強塾「なぜ?数学辞典」見出し一覧
今回の制作と確認
2026年9月9日更新。既存の10型・例題5問・演習10問を保持し、人数が違う集団の平均を考えるオリジナル問題と図を追加。今回の本文制作・数学検証・表示確認はCodex、講師の個別監修は未実施です。
要点辞典この単元の公式・定石・つまずきやすい所は 中1数学の要点辞典:データの活用 にまとめてあります。
