数と式の解法パターン全12型|因数分解・対称式・絶対値・有理数と無理数と入試実例(京都大・神戸大・大阪大・千葉大)


「数と式」は高校数学のいちばん最初に置かれた単元です。そのため「計算練習の単元」だと思われがちですが、実際に入試で問われるのは計算そのものではありません。問われるのは「式をどの形に持っていけば、その先が見えるか」という判断です。因数分解ができれば整数問題が有限個の候補に落ち、対称式に気づけば2文字が1文字になり、絶対値を場合分けできれば関数のグラフが描ける。数と式は、他のすべての単元の下敷きになっている技術の集まりです。このページは、その解法を12の型に分けて並べた辞典です。型は当てはめるための箱ではなく、「この式は、どの形を目指せばよいか」を決めるための道具として並べています。

このページの12型

  1. 展開の公式
  2. 因数分解の基本(共通因数・たすきがけ)
  3. 3乗の和と差
  4. 複2次式・文字を1つ選んで整理
  5. 対称式・交代式
  6. 整式の除法と剰余
  7. 根号の計算・有理化
  8. 二重根号
  9. 絶対値の外し方
  10. 絶対値を含む関数のグラフ
  11. 有理数と無理数(係数比較)
  12. 整数部分と小数部分

1. 背骨——式変形の目的は「情報を取り出せる形」にすること

式を変形して得られる、3種類の情報

積の形 → 「候補が有限個になる」。整数問題ならこれが決定打。

平方完成の形 → 「符号が分かる」。不等式の証明や最大最小。

1文字だけの形 → 「関数として扱える」。対称式を基本対称式で書くのがこれ。

「なんとなく整理する」は変形ではありません。式変形には必ず目的があります。いま自分は積の形を目指しているのか、符号を読みたいのか、文字数を減らしたいのか――これを口に出して確かめてから手を動かすと、方針が迷走しません。

京都大学の という問題は、この原則がむき出しになった例です。 と積にした瞬間、 は65の約数という4通りに絞られます。それまで無限にあった候補が、たった4つになる。式変形1回で、問題が有限の作業に変わるのです。

2. 因数分解で迷ったときの3手

1共通因数でくくる いちばん最初に必ず確認する。

2次数のいちばん低い文字について整理する 複数の文字があるときは、これが最も効く。

3公式の形が隠れていないか探す 、複2次式( 型)。

「次数の低い文字で整理」がなぜ効くのか

たとえば について2次、 について2次で対等に見えます。しかしどちらか一方について整理すれば、必ず2次式になり、たすきがけか解の公式が使えます

3文字以上あるときは、次数が最も低い文字で整理すると1次式になり、必ず因数分解できる形が見えます

3. 解法パターン全12型

型01 展開の公式

01おきかえて、既知の形に見立てる

顔つき 

中身 。4つの積は和が等しくなる組でペアにする

組み合わせを選べば、同じ塊が2回出る  はどちらも を含みます。 とおけば という2次式になる。「どの2つを先に掛けるか」で計算量が何倍も変わる――展開は順番の選択です。

型02 因数分解の基本

02共通因数 → 次数の低い文字で整理 → たすきがけ

顔つき 

中身 まず について整理し、定数項( の式)を因数分解してからたすきがけ。

2次の部分だけ先に因数分解しておく  と分かれば、答えは の形。あとは と1次の係数から を決めるだけです。総当たりで探すより圧倒的に速い。

型03 3乗の和と差

03

顔つき  をみたす整数の組。

中身 もう一方の因数 つねに0以上)。

「もう一方の因数が0以上」が符号を決める これが京都大学の問題の急所です。 で、後ろの因数が0以上だから、しかも65の正の約数。負の約数を調べる必要がありません。 は平方完成で示せる――この一言を答案に書けるかどうかで、場合分けの数が半分になります。

型04 複2次式・文字を1つ選んで整理

04平方の差を作る

顔つき 

中身 

が使えないときの逃げ道  となって では因数分解できません。そこで「足りない分を足して引いて、平方の差にする」 なので が余分――それを引けばよい。この一手は数学IIの4次方程式でも使います。

型05 対称式・交代式

05和と積の2文字で書き直す

顔つき 

中身  とおくと

2文字が2文字のままでも、扱いが変わる  から に変えても文字数は同じですが、条件式が だけで書けることが多いので、実質的に1文字の問題になります。神戸大学の の問題や、岡山大学の の置きかえも、この発想の延長です。交代式(入れかえると符号が変わる式)は で必ず割り切れます。

型06 整式の除法と剰余

06 と書いて、余りに情報を集める

顔つき 「 で割った商と余りを求めよ」。

中身 (余りの次数)(割る式の次数)。割られる式に値を代入すると、商が消えて余りだけが残る場合がある。

除法は「情報を余りに閉じこめる」操作  の関係を知りたいとき、割り算して と書けば、 の関係が「余り 」に集約されます。神戸大学の問題は、まさにこの構造を使っていました。3次と2次を見たら、まず割ってみる――強力な定石です。

型07 根号の計算・有理化

07分母に共役をかける

顔つき 

中身 。3項なら2項ずつまとめて2回有理化

は覚える価値がある 積が1ということは、互いに逆数。だから のような計算が一瞬で終わります(埼玉大学の面積の問題で実際に効きました)。 であって ではないことも、根号の基本として押さえてください。

型08 二重根号

08 の形に整える

顔つき 

中身 和が 、積が となる2数 を探して 内側が の形でないときは、係数を に直す

符号の判定を忘れない 。ここで と書いてはいけません。根号の値は0以上なので、大きいほうから小さいほうを引く。この符号ミスが二重根号の失点のほぼすべてです。

型09 絶対値の外し方

09中身が0になる点で場合分け

顔つき 

中身 絶対値が 個あれば、境目は最大 個。境目を数直線に並べて区間を作る

境目を書き出してから式を書く 大阪大学の問題では の2つがあり、境目は だから区間は の3つ。この3つを最初に書き出してから、それぞれで式を整理します。先に区間を決めておかないと、途中でどの場合を考えていたか分からなくなります。

型10 絶対値を含む関数のグラフ

10区間ごとに別の関数として描き、つなぐ

顔つき 

中身  で別の式になる。境目で値が一致する(連続)ことを確認する。

2つの放物線のつぎはぎになる  は、 では (下に凸)、 では (上に凸)。まったく別の2本の放物線を、 でつないだ形です。だから「解の個数」を数えるときは、それぞれの放物線について、その区間内にある解だけを数える必要があります。千葉大学の問題が、この注意の塊でした。

型11 有理数と無理数

11 有理数)なら

顔つき 「 が無理数で が有理数となる条件」。

中身 「有理数 × 無理数 が有理数になるのは、有理数のほうが0のときだけ」。これが係数比較の根拠。

「無理数と有理数は混ざらない」という一言が決定打 神戸大学の問題では という式が出ました。右辺は有理数、 は無理数。だから だと左辺が無理数になって矛盾します。したがって 、そして右辺も0。2つの未知数が、この一言だけで両方決まるのです。証明は背理法で、 なら が有理数になって矛盾という筋書きです。

型12 整数部分と小数部分

12(実数)=(整数部分)+(小数部分)、小数部分は 以上 未満

顔つき 「 の小数部分を とするとき の値」。

中身 整数部分は不等式で挟んで決める より )。小数部分は

小数部分は「引き算の結果」であって、桁の話ではない  だから の小数部分は 負の数のときは要注意で、 の整数部分は 、小数部分は です( ではありません)。「小数部分は必ず0以上1未満」という定義に立ち返るのが安全です。

4. 実際の入試で確かめる

全12型のうち、入試の実例がついているのは6型1マスが1つの型です。青いマスは、下にある入試の実例で確かめている型です白いマスは、下にある入試の実例では扱っていない型です010203040506070809101112解法パターン12型入試の実例で確かめる6型下の実例にない6型6 + 6 = 12型。この図は下にある入試の実例が扱う型を数えたものです入試の実例は6問。実例の数と型の数は必ずしも一致しません

この単元の解法パターンは全12型で、下にある入試の実例6問で確かめているのは6型です。残りの6型は、下にある実例では扱っていません。1問が複数の型にまたがることも、同じ型を複数の実例で扱うこともあるため、実例の数と型の数は必ずしも一致しません。

ここからは実際に出題された問題で型を確かめます。問題文は各大学が公表した入試問題を、解説のために引用したものです。解答・解説は数強塾が独自に作成したもので、大学公表の解答ではありません。掲載しているすべての数値は、当塾で独立に解いたうえで Python(sympy による厳密計算・約数の全数え上げ・乱数による不等式の反例探索)で検算しています。

京都大学 2005年度 ―― 型03。積の形にした瞬間、候補が4通りになる

【問題】京都大学 2005年度 前期日程(文系 第4問/理系 第4問)

〔文系〕 を満たす整数の組 をすべて求めよ。

〔理系〕 を満たす整数の組 をすべて求めよ。

【解答】

〔文系〕 の2組

〔理系〕 の4組

まず積の形にします(型03)。

後ろの因数は必ず0以上

等号は のときのみ。いま積が なので後ろの因数は正、したがって も正

つまり 65の正の約数で、 の4通りだけです。

とおき、 を代入します。

したがって、各 について次の2次方程式が整数解 をもつかを調べます。

方程式 判別式 整数解
(平方数でない) なし
なし
なし

のとき なら なら

理系(も同じ手順です。約数は

方程式 整数解
なし(判別式が負) ――
判別式が負 なし ――

65と217の違いは、約数の並び方だけ。手順はまったく同じですが、 では の両方で解が出るので4組になります。 は判別式が平方数か」を最初に確認するのが要領で、 の判別式は 。これが平方数かどうかで決まります。

そして最大の急所は、やはり を書くこと。これがないと が負の約数も調べる必要が生じ、場合が倍になります。因数分解したら、それぞれの因数の符号を必ず調べる――整数問題全般に効く原則です(整数の型01)。

神戸大学 2011年度 ―― 型06・型11。無理数と有理数は混ざらない

【問題】神戸大学 2011年度 前期日程 理科系

は正の無理数で、 を考えると、 はともに有理数である。以下の問に答えよ。

(1) 整式 を整式 で割ったときの商と余りを求めよ。

(2)  の値を求めよ。

(3)  の値を求めよ。ただし、素数の平方根は無理数であることを用いてよい。

【解答】

(1) 商 、余り  (2)  (3)

(1) 実際に割ります(型06)。

(確認:。差は 。)

(2)  を代入すると

を含む項を左辺に集めます。

無理数と有理数は混ざらない

右辺 有理数 が有理数だから)。

もし なら となり、 が有理数になってしまい矛盾

したがって 、すなわち 。このとき右辺も0でなければならないので

(3)  を解きます。

より は無理数(5は素数)なので も無理数で、条件をみたします。

検算しておきます。 のとき なので

の係数がちょうど0になります。

「割る」ことで、無理数の情報が1か所に集まった。 をにらんでいても関係は見えません。しかし割り算をすると となり、 が現れる場所が限定されます。あとは「有理数と無理数は混ざらない」という一言で、 の係数を0にするしかない。

この「係数を0にするしかない」という論法は、恒等式の係数比較とまったく同じ構造です。恒等式では「すべての について成り立つ」が根拠、ここでは「 が無理数」が根拠。根拠は違っても、結論の出し方は同じ――こういう構造の共通性に気づくと、解法の数が減っていきます。

千葉大学 2008年度 ―― 型10。2本の放物線のつぎはぎ

【問題】千葉大学 2008年度 前期日程

を実数とする。関数 のグラフが 軸と相異なる3点で交わるような の値の範囲を求めよ。

【解答】

文字定数 を分離します。方程式

と書けるので、左辺のグラフと水平線 の交点を数えればよい。左辺を とおきます(型10)。

絶対値を外すと、まったく別の2本になる

 (下に凸の放物線)

 (上に凸の放物線)

ではどちらも0なので、グラフはつながっています。

それぞれの区間での様子を調べます。

右側( 。頂点は から下がって、 で最小 、その後 へ。

左側(  では常に正)なので単調増加 に近づきます。

の範囲 左側の交点 右側の交点 合計
0個 1個 1
0個 2個( 2
1個 2個 3
1個 1個(重解) 2
1個 0個 1

右側で「2個」になる理由を確かめる

すなわち の2解について、解と係数の関係から

(2解の和)、(2解の積)

なら積が正で和も正――2解はともに正。だから の条件をどちらもみたします。

判別式は 、すなわち

したがって求める範囲は

「片方の放物線の解が、その区間に入っているか」を必ず確かめる。この問題でいちばん多い誤りは、 の2解をそのまま数えてしまうことです。この式が有効なのは の範囲だけなので、解が負なら数えてはいけません。

ここで解と係数の関係が判定に使えるのが要領です。2解の和と積の符号を見れば、「両方正」「両方負」「異符号」が判別式と合わせて即断できます(2次関数の解の配置)。絶対値の問題は、場合分けした後が本番です。

大阪大学 2019年度 ―― 型09。境目を先に書き出す

【問題】大阪大学 2019年度 前期日程(文系 第2問)

を実数の定数とする。 の2次方程式

について以下の問いに答えよ。

(1) この2次方程式は実数解をもつことを示せ。

(2) この2次方程式が異なる2つの実数解 をもち、かつ となるような定数 の値の範囲を求めよ。

【解答】

(1) 3つの区間すべてで判別式が0以上(下表)

(2) かつ 、または

絶対値の境目を先に書き出します(型09)。 の境目は の境目は 。したがって区間は3つです。

係数を (和)、(積)とおきます。

区間 判別式

(たとえば では なので 。)

(1) 表の 欄を見ると、(この区間では )、どの区間でも なので、つねに実数解をもちます。

(2) 「異なる2実解」は 。区間ごとに条件を書きます。

3つの区間を別々に処理する

 

は条件をみたします。

 。よって

  なので自動的にみたされます。。区間と合わせて

3つを合わせると

まとめて、 かつ 、または

を計算しないのが要領。解を実際に求めて2乗して足す――これは絶対にやってはいけません。解と係数の関係から と、係数だけで書けます(型05)。

そして の場合に答えが という1点だけになるのが面白いところ。 は等号でしか成立しないので、範囲ではなく点になります。不等式を解いた結果が1点になることは実際にあるので、「範囲が出ないから計算ミス」と決めつけないでください。

神戸大学 2011年度 ―― 型05・型10。 は正方形

【問題】神戸大学 2011年度 前期日程 理科系

以下の問に答えよ。

(1)  を正の実数とするとき、 の表す 平面上の図形を図示せよ。

(2)  をみたす実数とする。 が連立不等式

をみたすとき、 のとりうる値の最小値 を、 を用いた式で表せ。

(3)  の範囲を動くとき、(2) で求めた の最大値を求めよ。

【解答】

(1) 4点 を頂点とする正方形(の周)

(2) のとき のとき

(3) 最大値 のとき)

(1) 4つの象限で場合分けします(型09)。第1象限()では という直線。他の象限も同様で、4本の線分が正方形をなします

頂点は 。原点を中心とする、対角線の長さ の正方形です。

(2)  なので 。求めたいのは、条件をみたす点のうち「正方形の大きさ が最小になるもの」です。

正方形をふくらませて、初めて領域に触れる瞬間

かつ の部分は、3点 を頂点とする三角形です。

を0から大きくしていき、この三角形が直線 の側( の側)に初めて到達する が答え。

1次式の最大値は、三角形の頂点でとります。

3頂点で の値を計算します。

頂点

なので最大は 。これが2以上になる最小の です。

の大小は で入れかわるので

(3)  で増加し で減少し

したがって最大値は のとき)。

という1つの式にまとめると、(3) が一瞬で解ける。場合分けしたまま2つの式を別々に調べてもよいのですが、 と書けば「分母が最小になるとき が最大」と分かります。

そして が最小になるのは、2つが等しい のとき(片方が減れば片方が増えるので)。「最大値の最小化」は、2つが等しくなる点で起こる――これはミニマックスの原理と呼ばれ、大学入試でも繰り返し現れます。絶対値の図形的な意味(正方形)が見えると、代数計算がほとんど要らなくなるのもこの問題の教訓です。

千葉大学 2008年度 ―― 型05。区間の端で積が最小になる

【問題】千葉大学 2008年度 前期日程

実数 を満たし、 はいずれも 以上かつ 以下であるとする。このとき次を示せ。

(1)  ならば、 である。

(2)  ならば、 である。

【解答の骨格】

(1) を使う (2) (1) を2回使う

(1)  という条件を、積の形の不等式に翻訳します。

かつ だから。)展開すると

ここで条件 より なので

したがって

すなわち 等号は または 、つまり のときです。

意味は「和が一定なら、積は端で最小」

和が一定のとき積 は上に凸な放物線 です。だから真ん中()で最大、端で最小

相加相乗平均は「真ん中で最大」を言う不等式、この問題はその裏返しで「端で最小」を言っています。

(2) (1) を2回使います。まず3変数のうち2つを組にします。

より

そこで とおくと 和が で固定されたとき、積 が最小になるのは端((1) と同じ理由)。

かつ より なので、端は 。どちらでも となり

ここで とおくと、 より 。さらに

の和がちょうど

で、これは (1) の状況そのものなので

したがって

等号は のときです。

「端で最小」を2回重ねただけ。3変数の不等式は難しく見えますが、この問題は2変数の結果 (1) を2回使うだけで完結します。1回目は の積を 以上に押さえ、2回目は残った2つの数 (和が )に (1) を適用する。

誘導つきの不等式の証明では、「前問の形を作り出す」ことが解法のすべてです。この問題なら「和が で、どちらも にある2数」という形を、いかにして作るか。前問の結論を眺めて、それが使える形を目指して変形する――これが誘導問題の読み方です(式と証明の型11)。

5. よくある質問

Q1. 因数分解の方針が立ちません。

A. ①共通因数 ②次数のいちばん低い文字で整理 ③公式の形を探すの順に試してください。複数の文字があるときは②が圧倒的に効きます。3文字あれば、どれかについて1次式になるはずです。

Q2. 整数問題で因数分解したあと、場合分けが多すぎます。

A. それぞれの因数の符号を調べてください。たとえば が言えれば、負の約数を調べる必要がなくなり、場合が半分になります。

Q3. 二重根号の符号でよく間違えます。

A. 根号の値は必ず0以上なので、 と書くときは でなければなりません。答えを出したら、必ずおおよその数値で検算してください。

Q4. 絶対値の場合分けで混乱します。

A. 式を書く前に、境目をすべて数直線に並べて区間を確定させてください。絶対値が2個なら区間は3つ。その表を先に作り、各区間で係数を計算して埋めていくと迷いません。

Q5. 型を覚えれば初見の問題も解けますか。

A. 型は考えなくて済ませる道具ではなく、どの形を目指すかを決めるための道具です。決めたあとは自分で考える必要があります。実際、本ページの千葉大学の不等式は「前問が使える形を作る」という工夫を自分でする必要がありました。型を持っている人は、白紙のまま全部を考えずに済むという差が出ます。

6. 次に読むページ

計算はできるのに点が伸びない人へ

数と式でつまずく生徒のほとんどは、計算力が足りないのではなく「何のために変形しているのかを決めずに手を動かしている」だけです。数強塾では、式変形を始める前に「積の形を作るのか、符号を読むのか、文字数を減らすのか」を必ず言わせる訓練をしています。オンラインの完全1対1で、プロ講師のみが担当します。

数強塾オリジナル演習|12の型を1問ずつ

上の12型を、数値と設定だけ変えた自作問題で1問ずつ確認します。「数と式」は高校数学の入口ですが、ここで身につけた式変形が、そのまま数III まで効き続けます。解答を開く前に、まず「何の形に持っていきたいのか」を一言で言えるか試してください。

型01 展開の公式
次を展開せよ。(1)  (2)  (3)

解答・解説を見る

(1) (真ん中は 係数の2を落とさない
(2) 先に和と差の積:
(3) 3文字の2乗は平方3つ+2倍の積3つ

(検算: で左 、右 ✓)

型02 因数分解の基本
次を因数分解せよ。(1)  (2)

解答・解説を見る

(1) たすきがけ。

(2) 前3項が 2乗−2乗の形を作る。

4項以上は「かたまりを作って2乗−2乗」を疑う。

型03 3乗の和と差
(1) を因数分解せよ。
(2) のとき を求めよ。

解答・解説を見る

(1)
後ろは ではない。 の形)
(2) 。公式


(検算: の解で ✓)

型04 複2次式・文字を1つ選んで整理
(1) を因数分解せよ。
(2) を因数分解せよ。

解答・解説を見る

(1) を足して引く。

(2) 次数の低い ではなく、 について整理する。

たすきがけで
(検算: で元の式 ✓)

型05 対称式・交代式
のとき次を求めよ。
(1)  (2)  (3)  (4)

解答・解説を見る

(1)
(2)
(3)
すでに出した を使い回す の公式を覚える必要はない)
(4)
(対称式はすべて「和」と「積」で書ける——これが基本定理)

型06 整式の除法と剰余
について答えよ。
(1) で割った商と余りを求めよ。
(2) で割った余りを求めよ。

解答・解説を見る

(1) 筆算して
(検算: ✓)
(2) 余りは1次以下なので とおく。剰余の定理より

辺々引いて
(検算: ✓、 ✓)
割る式の次数−1 が余りの次数の上限。

型07 根号の計算・有理化
次を有理化せよ。(1)  (2)  (3)

解答・解説を見る

(1)
(2) 分母分子に を掛けて
(3) 3項は「2項+1項」に分けて2回 を掛けると
分母 。さらに を掛けて

(検算:元の式は 、答えも ✓)

型08 二重根号
次の二重根号をはずせ。(1)  (2)  (3)

解答・解説を見る

(1) と直す。和が7、積が12の2数は

(2) 和が9、積が14の2数は マイナスは大−小

(3) の形にならないので、分母分子を2倍する。

(検算: ✓)

型09 絶対値の外し方
方程式 を解け。

解答・解説を見る

境目は 3つに分ける。
(範囲を満たす ✓)
→ 解なし
(✓)

(意味:1と3からの距離の和が4。区間の内側では常に2なので、外側に ずつはみ出した点)
出した解が場合分けの範囲に入っているか、必ず確認する。

型10 絶対値を含む関数のグラフ
の共有点の個数を、 の値で場合分けして答えよ。

解答・解説を見る

のグラフの 軸より下を折り返す
では上に凸で頂点 では下に凸で増加。
0個
2個
4個
3個
2個
(検算: なら の4個 ✓、 なら の2個 ✓)
山の頂上 だけ個数が奇数になるのが急所。

型11 有理数と無理数
を有理数とする。 を満たす を求めよ。

解答・解説を見る

左辺を「有理数部分」と「 の係数」に分ける。

は無理数で は有理数だから、係数を比較してよい
を解いて
(検算: ✓)
有理数)ならば が根拠。 なら が有理数になって矛盾する。

型12 整数部分と小数部分
の整数部分を 、小数部分を とする。
(1) を求めよ。(2) を求めよ。(3) を有理化せよ。

解答・解説を見る

(1) より

(2) すなわち を使う。
より
(展開して代入しなくてよい。 が満たす2次方程式を作るのが最短)
(3)
(検算: ✓)

式変形の行き先は3つしかない

積の形(因数分解)── 「0になるのはいつか」「約分できるか」が見える。型02〜04がこれ。4項以上ならかたまりを作って2乗−2乗、2文字なら次数の低い文字について整理

和と積の形(対称式)── 値が分かっていなくても計算できる。型05・型06。1度出した値は使い回す

有理数部分と無理数部分に分ける ── 型07・型08・型11・型12。 は「有理数と混ざらない別の成分」だと思うと、係数比較も有理化も同じ操作に見える

絶対値(型09・型10)だけは方向が違い、「境目で切って場合分け」の一手です。境目を先に数直線に書き出してから式を立ててください。

「なぜそうなるのか」へ

式変形の手順を覚えるだけだと、少し形が変わると止まります。なぜその変形が許されるのかを押さえておくと、初見でも組み立て直せます。

関連ページ

大学受験数学|数と式

式の条件を構造で読む4つの独自演習

剰余、二重根号、パラメータ付き二次式、対称式を題材に、式をそのまま展開する前に使える条件を探します。計算の根拠を一段ずつ言葉にする構成です。

大学受験の数と式で問われる、剰余の決定、二重根号の外し方、常に正となる二次式、基本対称式から高次式を求める手順を独自問題で確認できます。

図は左右にスクロールして全体を確認できます。

数と式の条件を分解して再構成する図値の条件、因数分解、判別式、対称式の四つの入口から中央の式へ情報を集める関係図。 式の構造条件を先に使う値・剰余平方の形判別式対称式
値の条件、因数分解、判別式、対称式の四つの入口から中央の式へ情報を集める関係図。

問1|二つの剰余から一次式を決める

難度:標準確認点:剰余の定理

多項式P(x)をx-2で割ると余りが5、x+1で割ると余りが-4である。P(x)を(x-2)(x+1)で割った余りを求めよ。

問1「二つの剰余から一次式を決める」の解答・詳しい考え方を開く

答え:3x-1

  1. 二次式で割った余りは次数が2未満なので、R(x)=ax+bとおけます。
  2. 剰余の定理よりP(2)=5であり、R(2)=5だから2a+b=5です。
  3. 同様にP(-1)=-4であり、R(-1)=-4だから-a+b=-4です。
  4. 二式の差から3a=9、よってa=3、b=-1です。したがって余りは3x-1です。

誤りやすい点:求める余りを定数だけと置かないようにします。二次式で割ると、余りは一般に一次式まで許されます。

問2|符号を確かめる二重根号

難度:標準確認点:平方の形と主平方根

√(11+6√2)-√(7-4√3)を簡単にせよ。

問2「符号を確かめる二重根号」の解答・詳しい考え方を開く

答え:1+√2+√3

  1. 11+6√2をm+n+2√(mn)の形で見ると、m+n=11、mn=18を満たすm=9、n=2が見つかります。よって√(11+6√2)=3+√2です。
  2. 7-4√3ではm+n=7、mn=12よりm=4、n=3です。平方すると(2-√3)²=7-4√3となります。
  3. 2-√3は正なので、主平方根は√(7-4√3)=2-√3です。
  4. したがって(3+√2)-(2-√3)=1+√2+√3です。

誤りやすい点:√(7-4√3)を√4-√3と機械的に分けるのではありません。また平方根は非負なので、|2-√3|=2-√3であることを確認します。

問3|常に正となるパラメータ

難度:標準確認点:判別式と厳密不等号

実数mについて、x²-2(m+1)x+m²+3>0がすべての実数xで成り立つようなmの範囲を求めよ。

問3「常に正となるパラメータ」の解答・詳しい考え方を開く

答え:m<1

  1. x²の係数は1で正なので、グラフは下に凸です。すべての実数xで厳密に正となる条件は、x軸と共有点をもたないこと、すなわち判別式D<0です。
  2. D={-2(m+1)}²-4(m²+3)と計算します。
  3. 展開してD=4(m²+2m+1)-4m²-12=8m-8です。
  4. 8m-8<0よりm<1です。m=1ではグラフがx軸に接して値0を取るため含みません。

誤りやすい点:条件が「0以上」ではなく「0より大きい」ため、判別式D=0は除きます。境界m=1を代入して確認すると取り違えを防げます。

問4|基本対称式から四次式へ

難度:標準確認点:対称式の段階計算

実数x、yがx+y=5、xy=3を満たすとき、x⁴+y⁴の値を求めよ。

問4「基本対称式から四次式へ」の解答・詳しい考え方を開く

答え:343

  1. まずx²+y²=(x+y)²-2xyを使います。
  2. 与えられた値を代入するとx²+y²=25-6=19です。
  3. 次にx⁴+y⁴=(x²+y²)²-2x²y²です。
  4. x²y²=(xy)²=9なので、x⁴+y⁴=19²-2・9=361-18=343です。

誤りやすい点:(x²+y²)²をそのままx⁴+y⁴としないようにします。展開には2x²y²が含まれるため、その分を引きます。

📝 この型が実際に出た入試問題(41問のうち24問を掲載)

「数と式」の型が実際の入試でどう出たかを、数強塾が全問解説を公開している年度から拾いました。各行の「解説を読む」から、その問題の解説へ直接移動できます。型を読んだあとに実出題で当てると、どこまで通用する判断なのかがはっきりします。

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難易度は数強塾の見立てです(「—」は難易度を掲載していない年度)。大学別の年度一覧と出題傾向は過去問解説の総索引から、この型の全体像は解法パターン事典のハブから確認できます。

要点辞典この単元の公式・定石・つまずきやすい所は 数学I・Aの要点辞典:数と式 にまとめてあります。

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