軌跡の解法パターン全12型|型の見抜き方と入試実例(埼玉大・東北大・横浜市大・筑波大・岡山大・横国大)


軌跡の問題は、答えの図形を当てるゲームではありません。「点が動く」という日本語を、 の関係式に翻訳する作業です。手順はいつも同じで、求める点を置き、条件を式にし、余分な文字を消し、最後に逆を確かめる。この四つ以外のことはほとんど起きません。それでも軌跡が苦手になるのは、消した文字が「存在するのかどうか」という話を素通りしてしまうからです。消去は計算ではなく、存在条件の言い換えです。ここを掴むと、除外点も、軌跡が線分で終わる理由も、答案の最後に書く「逆に」の一文も、すべて同じ一本の理屈から出てきます。このページは軌跡の解法を12の型に分けて並べた辞典です。型は当てはめるための箱ではなく、「いま何を消そうとしているのか」を見失わないための道具として並べています。

このページの位置づけ——概観は第1層、深掘りはここ

軌跡は図形と方程式の解法パターン全19型でも扱っています(型12〜型14)。あちらが「単元を一望する地図」なら、こちらは「軌跡だけを掘り下げる坑道」です。単元全体の中での位置づけを先に確認したい方は、第1層からご覧ください。

このページの12型

  1. 軌跡の求め方の3ステップ(置く・条件を式に・逆を確認)
  2. 距離の条件(円・垂直二等分線)
  3. アポロニウスの円
  4. 媒介変数を消去する
  5. 中点・内分点の軌跡
  6. 重心の軌跡
  7. 対称点の軌跡
  8. 交点の軌跡(パラメータ消去)
  9. 除外点の見つけ方
  10. 軌跡が線分になる場合
  11. 複素数平面での軌跡
  12. 「逆に、この曲線上の点はすべて条件をみたす」の書き方
  13. 北大の良問 024|接弦の中点を反転で追う

1. 背骨——軌跡とは「その文字が存在するための条件」を書き直すこと

軌跡の問題がどれも同じ骨格に見えるのは、条件が例外なく次の形に整理できるからです。

すべての軌跡問題はこの形をしている

が条件をみたす  ある文字 (パラメータ)が存在して、 についての等式がすべて成り立つ

だから軌跡を求めるとは、右側の「そういう が存在する」という主張を、 を使わずに だけで言い直すことにほかなりません。

この見方をすると、教科書の3ステップがなぜあの順番なのかが腑に落ちます。求める点を置くのは答えの舞台を先に用意するため。条件を式にするのは日本語のままでは消去ができないから。そしてパラメータを消す――ここが本体です。

消去を「文字を減らす計算」だと思っていると、軌跡はいつまでも運まかせになります。たとえば から を消して を得るとき、私たちは無意識に強い主張をしています。「どんな実数 に対しても という実数が本当に用意できる」という主張です。代入という操作は を作って見せる作業なので、この主張が同時に証明されています。だから代入で消せたときは、逆向きも自動的に言えるのです。

ところが、いつも代入で消せるとは限りません。 が2次の式に埋まって解けないとき、私たちは「 についての方程式が実数解をもつ条件」――つまり判別式に翻訳します。ここで書いているのは、まさしく存在条件そのものです。判別式を使う逆手流も素朴な代入も、 の存在を の言葉に翻訳する」同じ作業の、難易度違いの二つの顔だと分かります。

もう一つ、この見方から自動的に出てくるものがあります。範囲です。パラメータに のような制限があれば、「存在する 」はその範囲から探さねばなりません。すると の値域が の範囲になり、答えは曲線の一部――弧や線分――で終わります。方程式は「どの曲線か」しか決めない。「その曲線のどこまでか」は範囲が決める。この二段構えを分けて扱えるかどうかが、答案の完成度をそのまま決めます。

消去は、放っておくと必要条件しか作らない

式を変形して が消えたとき、示せているのは「条件をみたす点なら、この式が成り立つ」という一方向だけです。両辺に何かを掛けたり、分母を払ったり、2乗したりするたびに、条件は少しずつ弱くなります。

だから答案の最後に「逆に、この曲線上の点はすべて条件をみたす」を確かめます。これは礼儀ではなく計算です。逆をたどると除外すべき点動ける範囲が同時に確定します。逆の確認を省いた答案は、答えが半分しか書けていません。

最後に、型そのものについて一言だけ。軌跡の問題を見た瞬間に「置いて、式にして、消して、逆を見る」と手が動く人は、頭の回転が速いのではありません。過去に何百回も使われてきた「型」から予想して、思考する量を減らすことで、手際よく解法を思い付いている場合もあるのです。型は考えなくて済ませるための道具ではなく、考える範囲を狭めるための道具です。狭めたあとに何を考えるかは、結局その問題ごとに自分で決めることになります。以下の12型も、そのつもりで読んでください。

2. 手順——型を選ぶまでの判断の流れ

1「動かす主」と「追いかける点」を分ける。勝手に動いてよいものはどれか(パラメータ)、その結果として位置が決まる点はどれか(求める軌跡)。ここが混ざったまま計算に入ると、途中で行き先を見失います。

2求める点を と置き、条件をすべて式にする。条件の顔つきで型が決まります。距離なら型02・型03、「〜に関して対称」なら型07、「交点」なら型08、中点・重心なら型05・型06です。

3パラメータの消し方を選ぶ。一方の式から解けるなら代入(型04)。解けなくても対称式で書けるなら解と係数の関係(型06・型08)。写像の形なら逆に解いて代入(型07)。どれも無理なら実数解条件に翻訳します。

4範囲を翻訳し、逆を確認する。パラメータの範囲を の範囲に直し(型10)、途中で割った場所を遡って除外点を探し(型09)、最後に「逆に」を書きます(型12)。

3. 解法パターン全12型

型01 軌跡の求め方の3ステップ(置く・条件を式に・逆を確認)

01置いて、翻訳して、消して、戻る

顔つき 「〜の軌跡を求めよ」「点 はどのような図形を描くか」。

中身 ①求める点を と置く ②条件を と補助文字の等式にする ③補助文字を消し、範囲を翻訳し、逆を確認する。

なぜ効くか 軌跡は「点の集合」ですが、答案に書けるのは「方程式」。この3ステップは集合を方程式へ翻訳する手続きそのものです。置いた瞬間に問題は代数の作業に変わり、図形的なひらめきが要らなくなります。差は発想力ではなく、翻訳をやり切る根気に出ます。

型02 距離の条件(円・垂直二等分線)

02距離は2乗してから式にする

顔つき 「定点 A からの距離が 」「2定点 A、B から等距離」。

中身  なら で円。 なら を展開する。

なぜ効くか 根号は2乗すれば消えるので、距離の条件は必ず多項式の等式に落ちます。しかも では両辺の がそっくり消え、2次が1次に落ちるので答えは直線。「等距離だから垂直二等分線」が、図ではなく代数から出てきます。

型03 アポロニウスの円

03比が1でなければ が消え残る

顔つき 「)をみたす点の軌跡」。

中身  を展開して整理する。 の係数は

なぜ効くか 型02との違いは係数だけです。 なら2次の項が消えて直線、 なら消えずに円。「直線か円か」が、2次の項が消えるかどうかという一点に還元されます。だから中心と半径を暗記する必要はなく、展開して平方完成すれば出ます。

型04 媒介変数を消去する

04解けるなら代入、解けないなら存在条件へ

顔つき  の形で点が与えられている。

中身 ①一方から を解いて代入 ②三角関数なら に流し込む ③解けないときは の方程式の実数解条件に翻訳する。

なぜ効くか 消去とは「その が存在する」を書き直すことでした。代入は を実際に作って見せる、いちばん素朴な存在証明なので、消せた時点で逆も言えています。判別式に逃げたときは存在条件を直接書いているので、同値性の確認が別に要ります。どちらをやったかを意識できると、逆の確認に何を書くかが決まります。

型05 中点・内分点の軌跡

05新しい点で古い点を逆に表す

顔つき 「線分 AB の中点 M の軌跡」「 に内分する点」。

中身  と置き、動く点の座標を で逆に表してもとの条件式に代入する。

なぜ効くか 中点や内分点の式は1次式なので必ず逆に解けます。逆に解けるとは点どうしが1対1に対応するということで、代入するだけで同値な条件が得られます。しかも相似変換なので円なら円、放物線なら放物線。答えの見当が先に付き、計算間違いにも気づきやすくなります。

型06 重心の軌跡

06重心は「和」だけでできている

顔つき 「三角形 の重心 の軌跡」。

中身  は3点の座標の平均。 が2次方程式の2解なら解と係数の関係で和と積に書き換える。

なぜ効くか 重心の座標には足し算しか出てきません。だから交点を根号つきで書き下さず、 だけで済みます。対称式は必ず和と積で書ける―― がその代表で、後述の筑波大学ではこの書き換えでパラメータが打ち消しあい、 座標が定数になります。

型07 対称点の軌跡

07像を求めるなら、逆写像を代入する

顔つき 「直線 に関して対称な点」「円に関して対称( が一定)」。

中身 対応 を式にし、 の座標で逆に表してもとの条件式へ代入する。

なぜ効くか 軌跡は「図形の像」であり、像を求める一般手順は「逆写像を代入する」これ一つです。順方向だと媒介変数が残りますが、逆写像なら新しい座標だけの式が一発で出ます。しかも対称移動は2回で元に戻る(対合)ので逆写像は元と同じ式。横浜市立大学の反転がその実例です。

型08 交点の軌跡(パラメータ消去)

08交点の座標には、和と積が顔を出す

顔つき 「2本の接線の交点」「パラメータが動くときの2直線の交点」。

中身 交点の座標を2つのパラメータ で表し、条件(直交・接するなど)を の関係式にしてから消去する。

なぜ効くか 交点は連立方程式の解なので、座標に が自然に現れます。ここが急所。「2接線が直交する」は傾きの積を通じて を定数に固定するので、 だけで書かれた成分はその瞬間に定数になります。和と積のどちらが現れるかを先に見れば、どの条件がどこに効くか計算前に予想できます。

型09 除外点の見つけ方

09「どこで割ったか」を遡る

顔つき 答えに「ただし〜を除く」が付きそうな問題。分母や場合分けが出てくる問題。

中身 ①パラメータの定義域から外れる点 ②払った分母が になる点 ③図形が退化する点(3点が一直線・円が点になる)を洗い出す。

なぜ効くか 除外点は割り算をした場所に必ず潜んでいます。分母を払った瞬間、その分母が になる場合を黙って捨てているからです。だから変形の履歴を遡って「割った式」に印を付けるだけで機械的に見つかります。逆に除外点が無いと言いたければ、その点を作るパラメータが実在すると示せばよい。

型10 軌跡が線分になる場合

10方程式は曲線を、範囲は「どこまで」を決める

顔つき パラメータに のような範囲が付いている。存在条件から範囲が出る。

中身 パラメータの範囲を (または )の範囲へ翻訳する。値域を求める作業なので、単調性を調べる。

なぜ効くか これを「おまけ」だと思うと失点します。方程式を出した時点で答えはまだ半分 が単調なら端点の対応だけ、単調でなければ増減表が要ります。範囲の翻訳=値域の計算と割り切れば、やることは関数の問題と同じです。

型11 複素数平面での軌跡

112文字を1文字にすると、計算が短くなる

顔つき  の形。

中身 絶対値は距離。 は円、 は垂直二等分線、 はアポロニウスの円。 を逆に解いて代入する。

なぜ効くか 型02・型03・型07とまったく同じ構造を、文字1つで書けるようにしたのが複素数平面です。分かれ目は「実部と虚部に分けるか、 のまま扱うか」。条件が絶対値と共役だけで書けているうちは のまま、そうでなくなったら分ける(複素数平面の解法パターン全16型)。

型12 「逆に、この曲線上の点はすべて条件をみたす」の書き方

12逆をたどると、答えが完成する

顔つき すべての軌跡問題。式が出たところで終わりにしたくなる、あの瞬間。

中身 求めた曲線上の任意の点をとり、それを与えるパラメータを実際に構成する。判別式が正であること、範囲に入っていることを示せば完了。

なぜ効くか 消去は必要条件しか作らないので、逆を書いて初めて「点の集合=曲線」という等号が成立します。実務上の利点も大きく、逆をたどる途中で除外点も範囲も自動的に確定します。埼玉大学の問題では、判別式が正だと確かめることで軌跡が直線の一部ではなく「全体」だと一度に言えます。

4. 実際の入試で確かめる

全12型のうち、入試の実例がついているのは7型1マスが1つの型です。青いマスは、下にある入試の実例で確かめている型です金色のマスは、このページの追加演習が埋めている型です白いマスは、下にある入試の実例では扱っていない型です010203040506070809101112解法パターン12型入試の実例で確かめる7型追加演習が埋める4型下の実例にない1型7 + 4 + 1 = 12型。この図は下にある入試の実例が扱う型を数えたものです入試の実例は6問。実例の数と型の数は必ずしも一致しません

この単元の解法パターンは全12型で、下にある入試の実例6問で確かめているのは7型です。このページの追加演習が4型を埋めています。残りの1型は、下にある実例では扱っていません。1問が複数の型にまたがることも、同じ型を複数の実例で扱うこともあるため、実例の数と型の数は必ずしも一致しません。

ここからは実際に出題された問題で型を確かめます。問題文は各大学が公表した入試問題を、解説のために引用したものです。解答・解説は数強塾が独自に作成したもので、大学公表の解答ではありません。掲載した数値は当塾で独立に解いたうえで Python(sympy による厳密計算と数値計算)で検算し、さらに別の担当者が別ルートで解き直して照合しています。

埼玉大学 2017年度 ―― 型08・型12。積が固定されると、座標が定数になる

【問題】埼玉大学 2017年度 前期日程(経済学部・教育学部 冊子)

放物線上の異なる2個の点での接線が直交しているとする。このとき、接線の交点の軌跡が直線となることを証明しなさい。

【解答】

放物線を としてよく、交点の軌跡は直線 全体(=この放物線の準線)。

方針。「軌跡が直線」という主張は座標系を回転・平行移動しても変わらないので、軸を 軸、頂点を原点として としてよい。接点を とすると接線は

直交条件。傾きの積が だから 、すなわち 。( は異符号なので は自動です。)

交点。連立すると より

座標は によらず で一定なので、交点は直線 上にあります。

逆。任意の実数 に対し をみたす の2解で、判別式 より相異なる実数として必ず存在します。よって軌跡は直線 全体で、これは 準線に一致します。(証明終)

この問題で使った型

型08 交点は が和 が積 。直交条件は積を固定するので だけが定数になる――「和と積のどちらが現れるかを見る」が結論を予告しています。

型12 「直線上にある」だけでは線分や半直線かもしれません。判別式で の存在を示して初めて「直線全体」と言えます。

検算のしかた

文字のまま 交点が になること、 を代入すると に簡約されることを厳密計算で確認。

数値で  について を3個ずつとり、交点が 以内で一致。

一般形でも  のままでも交点の 座標は 、すなわち という定数。平行移動して考えてよかった裏づけです。

東北大学 2011年度 ―― 型04・型10。消去する道と、媒介変数のまま積分する道

【問題】東北大学 2011年度 前期日程(理系)

を実数とする。円 は点 で直線 を接線にもち、点 を通るものとする。 の中心を として、以下の問いに答えよ。

(1)  を用いて表せ。

(2)  が動くときの点 の軌跡と直線 で囲まれる図形の面積を求めよ。

【解答】

(1)  (2) 軌跡は放物線 、面積は

(1) 接線の傾きが だから、中心は接点 を通り傾き の直線上。実数 を用いて 、半径は を通る条件 より

なので 、確かに円ができます。)

(2)  より 。これを に代入して

軸が に平行な放物線です。逆にこの曲線上の点に をとればもとの表示に戻るので、軌跡はこの放物線全体

との交点は より 、そのとき では は単調増加、弧は 上のグラフです。

は奇関数なので消え、

この問題で使った型

型04 「接する」「通る」の2条件で中心が の関数になり、あとは を消すだけ。 をとると が裸で出る――この組み合わせを見つけたのが要領です。

型10 面積を出すのに について解く必要はありません。 積分を 積分に置換すれば、傾いた放物線のまま計算できます。

検算のしかた

条件 〈中心と直線 の距離の2乗 〉と〈中心と の距離の2乗 〉がともに恒等的に 。媒介変数表示を に代入しても恒等的に

面積 厳密積分で 。弧と線分で閉じた図形を多角形近似で数値計算しても で一致。

具体値  なら中心 ・半径 なら中心 ・半径 。手計算でも条件が成り立ちます。

横浜市立大学 2010年度 ―― 型07・型12。反転は2回で戻る

【問題】横浜市立大学 2010年度

座標平面上の原点 O を中心とする半径2の円を とする。O を始点とする半直線上の二点 P、Q について が成立するとき、P と Q は に関して対称であるという。以下の問いに答えよ。

(1) 点 に関して対称な点 Q の座標を を用いて表せ。

(2) 点 が原点を除いた曲線

上を動くとき、Q の軌跡を求めよ。

【解答】

(1)  (2) Q の軌跡は直線 全体

(1) Q は半直線 OP 上だから を用いて で、P は原点と異なるので 、よって

(2)  とおきます。この対応は2回施すと元に戻る(対合)ので、逆向きも同じ式です。

(実際 だから 。)もとの曲線を展開すると

この円は原点を通ります。だから原点だけ除いてあるのです。)代入すると左辺は 、右辺は なので、 より 、すなわち

逆に直線 上の任意の点は原点でないので、 が対応する P として原点を除いた円上に存在します。

この問題で使った型

型07 順方向に代入して媒介変数と格闘するのではなく、逆に解いてからもとの条件式に放り込む――これだけで、原点を通る円が直線に化けます。

型12 直線 は原点を通りません()。だから除外点は生じず、軌跡は直線全体。「原点を除く」が消えた理由まで説明できて、初めて答案です。

検算のしかた

対合性 この対応を2回施すと厳密に に戻ることを確認。これが「逆写像が同じ式でよい」根拠です。

因数分解 逆写像を に代入して分母を払うと となり、分子がそのまま直線の式

数値で 円上の5点の像がいずれも をみたすことを確認。手計算でも が直線上に乗ります。

筑波大学 2016年度 ―― 型06・型10。根を求めずに重心を追う

【問題】筑波大学 2016年度 個別学力試験

を実数とする。 平面の曲線 が異なる共有点 P、Q を持つとする。ただし点 P、Q の 座標は正であるとする。また、原点を O とする。

(1)  のとりうる値の範囲を求めよ。

(2)  が (1) の範囲を動くとき、 の重心 G の軌跡を求めよ。

(3)  の面積を とするとき、 を用いて表せ。

(4)  が (1) の範囲を動くとする。 の面積が最大となるような の値と、そのときの重心 G の座標を求めよ。

【解答】

(1)  (2) 直線 の部分(両端を除く線分) (3)  (4)

(1)  を消去して 。P、Q の 座標を とすると、条件は①が異なる2つの正の解をもつこと

順に または 。共通部分をとって

(2)  より

座標は によらず より で、 はこの範囲を全部動くので

すなわち両端を除いた線分です。

(3) )。 より

(4)  とおくと

だから符号は と一致し、 で正から負へ。よって をみたす)のとき最大で

この問題で使った型

型06 交点を根号つきで求める必要はありません。重心は和でできているので解と係数の関係だけで完結し、きれいに打ち消しあいます。だから 座標が定数になるのです。

型10 (1) の がそのまま の範囲に翻訳されます。設問 (1) は (2) の下ごしらえだと見えると、誘導つきの問題が急に読みやすくなります。

検算のしかた

定数になる理由  から が消える)を厳密に確認。 座標が で一定なのは、この恒等式の言い換えです。

因数分解  とも書け、本文の式と一致。

数値で  から まで細かく刻んで を最大化すると )、)、重心 で一致。

岡山大学 2016年度 ―― 型04・型10。数III版の軌跡は、微分してから置く

【問題】岡山大学 2016年度 前期日程(理系)

は正の数とし、次の関数 のグラフの変曲点を とする。

このとき以下の問いに答えよ。

(1) 点 の座標を求めよ。

(2)  が区間 全体を動くとき、点 が描く曲線 の概形を図示せよ。

(3)  における曲線 と (2) の曲線 の3曲線で囲まれた部分の面積を求めよ。

【解答】

(1)  (2)  (3)

(1)  だから符号は と一致し、 の前後で負から正へ変わります。よって変曲点は

(2)  から に代入して を消すと に対応するので

原点を頂点とする放物線の一部で、両端は (下に凸で単調増加)。図示ではこの2点と凹凸を明示します。

(3)  では なので で、2曲線は原点でのみ交わります。また

は単調増加なので解は各1個。)つまり の左端は 上、右端は 上。囲まれた部分は上側が 、下側が です。

この問題で使った型

型04 動かす文字は 、追いかける点は変曲点。「微分して初めて座標が出る点」でも、やることは変わりません。 と解けるので代入一発です。

型10  に直すのが本体。そしてこの範囲が (3) の積分区間をそのまま決めます――軌跡が図形問題の部品になる例です。

検算のしかた

変曲点と軌跡  の零点が のみであること、 に代入すると恒等的に になることを確認。

境界の一致  の左端、 の右端が厳密に一致。ここが合わないと積分の区切りを間違えます。

面積 厳密積分で 、数値では 。上下関係も数値で確認しました。

横浜国立大学 2009年度 ―― 型05・型10。存在条件を解の個数に翻訳する

【問題】横浜国立大学 2009年度 前期日程(A2 冊子)

平面上に曲線 がある。 上の点 を次の条件 (*) をみたすようにとる。

 (*) P 以外の 上の異なる2点 Q, R があり、そこでの の法線がともに P を通る。

とするとき、次の問いに答えよ。

(1)  のとり得る値の範囲を求めよ。

(2)  が (1) で求めた範囲を動くとき、線分 QR の中点 M が描く軌跡の方程式を求めよ。

(3)  の式で表し、極限 を求めよ。

【解答】

(1) または  (2) (ただし または ) (3)

(1) 点 での接線の傾きは で、 のとき法線は 。これが を通る条件 の両辺に を掛けて整理すると

Q, R は P と異なるので 。よって 。( は②をみたさず、 となり起こりません。)条件 (*) は②が異なる2実数解をもつことと同値なので 、すなわち または

(2) 解と係数の関係より 。中点

を代入して 。また に対応し、 がその範囲を動けば も全部動きます。

ただし または

(3) ②の2解のうち大きい方が だから 。有理化して

この問題で使った型

型05  を根号のまま書き下す必要はありません。中点は和でできているので解と係数の関係だけで の式になります。型06(重心)と同じ発想です。

型10 「法線が2本引ける」という存在条件が②の判別式に翻訳され、 の範囲になり、 を通って軌跡の範囲になります。存在条件 → 文字の範囲 → 軌跡の範囲という3段の翻訳が、この問題の背骨です。

検算のしかた

因数分解  を因数分解すると で割ってよい( を除いてよい)根拠がこの形から直接読めます。

数値で  について②を数値的に解き、両方の法線が を通ること(誤差 未満)と、中点が 上に乗ることを確認(例: で中点 )。

極限の落とし穴  を大きな にそのまま代入すると桁落ちします()。有理化した式なら 数値検算は式の形を変えてから行う――この問題はその教訓もくれます。

5. よくある質問

Q1. 軌跡の答案で、最後の「逆に」は必ず書かないといけませんか。

A. 書いてください。パラメータを消す作業は、条件をみたす点ならこの式が成り立つ、という一方向しか示していないからです。逆をたどると、除外する点も動ける範囲も同時に確定します。作法ではなく、答えを完成させる最後の計算だと考えてください。

Q2. 除外点はどうやって見つけるのですか。

A. 計算の途中で割り算をした場所を遡ってください。分母を払った瞬間に、その分母がゼロになる場合を黙って捨てています。三角形がつぶれる、円が点になるといった退化する場合も、同じように書き出して確認します。

Q3. 媒介変数がうまく消せません。

A. 一方の式から解いて代入するのが基本ですが、解けないときは、二乗して足す、和と積の対称式に持ちこむ、実数解をもつ条件に読み替える、という三つの逃げ道があります。消去とはその文字が存在するための条件を書き直すことだと考えると、どれを選ぶか決めやすくなります。

Q4. 軌跡が線分や弧で終わるのは、どういうときですか。

A. 動かす文字に範囲がついているときです。方程式はどの曲線かを決めるだけで、その曲線のどこまでかは範囲が決めます。文字の範囲を求める点の座標の範囲へ翻訳する作業を、必ず答案に入れてください。

Q5. 型を覚えれば初見の軌跡問題も解けますか。

A. 型は考えなくて済ませる道具ではなく、考える範囲を狭めるための道具です。過去に何百回も使われてきた型から予想して、思考する量を減らすことで、手際よく解法を思い付いている場合もあるのです。狭めたあとに何を考えるかは、その問題ごとに自分で決めることになります。

北大の良問 024

接弦の中点を「反転」で追う|北大2001年理系第3問

2本の接線を別々に求める必要はありません。接点を結ぶ直線は、外部点の座標をそのまま係数にもつ接弦です。その中点は原点から下ろした垂線の足なので、外部点を単位円で反転した点になります。この往復できる対応を使い、軌跡が円の一部ではなく全体であることまで確定します。

  • 北海道大学
  • 2001年度 前期日程
  • 数学(理系学部)第3問
  • 理系専用
  • 数学II 図形と方程式
  • 接弦・反転・軌跡
  • 標準〜発展

問題

平面上の円 へ、この円の外部の点 から2本の接線を引き、その接点を とし、線分 の中点を とする。

  1. の座標を を用いて表せ。
  2. が円 の上を動くとき、点 の軌跡を求めよ。

出典:北海道大学2001年度一般入試(前期日程)数学(理系学部)第3問。問題文の表記はウェブ表示用に一部調整しています。

段階別ヒント

ヒント1|円周上の点での接線を式にする

単位円上の点 における接線は です。この接線が を通る条件を考えます。

ヒント2|2接点を同時に通る直線を見つける

が接線上にあるので です。これは接点 が直線 上にあることを意味します。

ヒント3|弦の中点は中心からの垂線の足

円の中心から弦へ下ろした垂線は弦を二等分します。直線 の法線ベクトルは です。

ヒント4|中点の座標から外部点を逆算する

とし、 と置きます。(1)の式から となるので、 で表せます。

ヒント5|「逆に」を示して全円と確定する

得られた円上の任意の点 から を逆算し、元の円上かつ単位円の外部にあることを確認します。

接点条件から中点の軌跡を求める流れ 接点での接線、接弦、中点の反転表示、外部点の逆算、円の方程式という五段階を縦に示す。 接点 T(u,v) の接線 uX + vY = 1 A, B を通る接弦 aX + bY = 1 中点 Q は原点からの垂線の足 Q = (a/s, b/s), s = a²+b² 反転して P を逆算 a = x/R, b = y/R 8(x²+y²) − 6x + 1 = 0 中心 (3/8, 0)、半径 1/8 の円
接点を個別に解かず、接弦・中点・反転・軌跡へ進む流れを示した数強塾の独自図です。

解答・解説

(1) 2接点を通る直線を求める

単位円上の点 における接線は

である。点 から引いた接線の接点なら、 は式(1)上にあるから

つまり、2つの接点 はともに直線

上にある。式(3)が接弦 の方程式である。

原点から接弦へ下ろした垂線の足を求める

円の中心 から弦 へ下ろした垂線は、弦を二等分する。したがって、その足が中点 である。式(3)の法線ベクトルは だから、ある実数 を用いて

と書ける。これを式(3)へ代入すると

は単位円の外部にあるので 。よって分母は0でなく、

(1)の答:

(2) から を逆算する

と置く。式(6)から

したがって式(6)を逆に解くことができ、

の動く円 へ式(8)を代入すると、

を戻して平方完成すると、

逆向きを確認し、円全体であることを示す

式(10)の円は中心が 、半径が なので、円上では

そこで、式(10)の円上の任意の点 に対し、式(8)で を定める。式(10)の を使えば、

また式(10)の円上では原点からの距離が最大でも だから、。よって

逆算した は必ず単位円の外部にあり、そこからの2接線の接弦の中点は式(6)により元の となる。したがって除外点はなく、式(10)の円全体が軌跡である。

(2)の答:

すなわち、中心 、半径 の円全体。

別解・独立検算|回転した座標で2接点を直接表す

とし、 方向の単位ベクトルと、それに垂直な単位ベクトルを

とする。単位円上かつ接点条件 を満たす2点は、符号を別々に選んで

式(15)を足して2で割ると、 成分が打ち消し合い、

となる。これは式(6)と一致する。さらに、 を代入すると、対応する はそれぞれ で、すべて式(10)を満たす。

解法を思いつくための再現手順

  1. 接点を1点だけ文字で置く。 単位円上の における接線 を書く。
  2. 外部点を代入する。 接線が を通る条件 を得る。
  3. 2接点の共通条件と読む。 を同時に通る接弦は である。
  4. 弦の中点を垂線の足に変える。 法線ベクトル を使い、 と置く。
  5. 反転式を作る。 から を得る。
  6. 動く点の条件へ代入する。 の円へ逆算式を入れ、 の方程式を平方完成する。
  7. 逆向きを確認する。 得た円上の任意の点から を構成し、元の円上・単位円外部・中点への復元を確かめる。

よくある誤り

  • 2本の接線の傾きを別々に求める:計算量が増えます。接点 での接線式へ を代入すれば、2接点の共通直線が一度に出ます。
  • を接線と呼ぶ:これは一般には単位円への接線ではなく、2接点 を結ぶ接弦です。
  • 中点を連立方程式の解だと考える:直線と円の交点は です。中点は中心から弦への垂線の足として求めます。
  • の分母を確認しない:得られた軌跡の円は原点を通らないため ですが、その確認が必要です。
  • 方程式を得た時点で「円全体」とする:必要条件しか示していません。逆算した が元の円上で、しかも単位円の外部にあることまで示します。
  • の円と の円の半径を取り違える:反転後の中心は 、半径は です。元の中心3、半径1を単純に逆数にした値ではありません。

独立再計算

円上の 式(6)による 式(10)の左辺

この問題で押さえること: の外部の点 から引いた2接線の接点を結ぶ直線(接弦)は 。接点を個別に求めずに接弦から攻める、を押さえよう。

前提単元と次に解く問題

教材について:解答・解説・ヒント・図は数強塾が独自に作成した非公式教材で、北海道大学が公表した公式解答・公式見解ではありません。問題の著作権は北海道大学に帰属し、出典を明示して掲載しています。

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軌跡で手が止まってしまう人へ

軌跡が苦手な生徒の答案を見ていると、計算が合わないのではなく「いま何を消そうとしているのか」を言葉にできないまま式をいじっていることがほとんどです。数強塾では、式を書く前に「動く文字はどれか」「追いかける点はどれか」を口に出させ、消し終わったあとに「逆はどう言うか」を必ず確認させます。この二つを毎回やるだけで、軌跡は得点源に変わります。オンラインの完全1対1で、プロ講師のみが担当します。

数強塾オリジナル演習 追加5題|型01・02・03・09を埋める

上の入試実例では型04〜08・10・12 を扱いました。ここでは残る型01(3ステップ)・型02(距離の条件)・型03(アポロニウスの円)・型09(除外点)を5問で埋めます。すべて自作問題で、答えは計算で検算してあります。

型01+型02 距離が等しい(垂直二等分線)
2点 から等しい距離にある点 の軌跡を求めよ。

解答・解説を見る

手順1 点を置く。 とする。
手順2 条件を式にする。 だから

両辺とも 以上なので、2乗してよい。

展開すると が消えて

、すなわち
手順3 逆を確認する。この直線上の点は、上の変形を逆にたどれば を満たす。(2乗の操作も、両辺が 以上なので同値変形
【答】直線
(検算:中点 を通るか →
の傾きは 、この直線の傾きは 積が なので垂直 ✓)
2乗すると が必ず消えて一次式になる——だから垂直二等分線は直線直線の方程式は一次式)。

型02 2つの距離の2乗の和が一定
から原点 までの距離の2乗と、点 までの距離の2乗の和が であるとき、 の軌跡を求めよ。

解答・解説を見る

とすると、条件は

2乗のまま扱えるので、根号が出ません。
展開して整理すると

両辺を で割って
平方完成すると

【答】中心 、半径 の円
(検算: を入れると ✓  なら ✓)
中心 の中点。偶然ではありません。中線定理を使うと は中点)と書けるので、条件は が一定」=円と読み替えられます。
「距離の2乗の和が一定」は、計算せずに円だと分かる——検算に使えます。

型03 アポロニウスの円
2点 について、 をみたす点 の軌跡を求めよ。

解答・解説を見る

比の条件は、2乗して扱います。
より



両辺を で割って
平方完成して

【答】中心 、半径 の円
(検算: ✓ しかも
✓)
比が でないとき、軌跡は直線ではなく円になります。これをアポロニウスの円といいます。
比が のときだけ の係数が両辺で等しくなって消え、演習1のように直線(垂直二等分線)になります。
軸上の2点 は線分 内分・外分する点。この2点を直径の両端とする円になっています)

型09 除外点を見落とさない
2点 について、 をみたす点 の軌跡を求めよ。

解答・解説を見る

直角=内積が と読み替えます。 とすると

内積が だから

、すなわち
ここで終わってはいけません。
だと が作れません(3点が三角形にならない)。
は円 上にあるので、除外する必要があります
【答】円 。ただし2点 を除く
半円に対する円周角は の逆そのもの。 を直径とする円です)
除外点は「式では見えない」のが厄介なところ。次の3つを毎回チェックしてください。
分母が になる点(傾きの式などを使ったとき)
図形が退化する点(三角形がつぶれる、直線が定まらない)
もとの文字の範囲から外れる点

型01 「逆の確認」が必要な理由
原点 からの距離と、直線 からの距離が等しい点 の軌跡を求めよ。
また、この問題で2乗する操作が同値変形である理由を述べよ。

解答・解説を見る

とすると

(直線 までの距離は
両辺を2乗して

、すなわち
【答】放物線
(検算: は原点から 、直線まで
は原点から 、直線まで ✓)
【2乗が同値変形である理由】
から はつねに成り立ちますが、逆は一般には成り立ちません でも になる)。
ところが今回は両辺とも 以上(距離と絶対値)。 以上の数どうしなら が言えるので、2乗は同値変形になります。
だから「逆に成り立つ」の確認が一言で済むのです。2乗したときは、両辺の符号を必ず確認してください。

距離の条件は、形で結果が決まる

軌跡の問題では、条件の形を見た瞬間に答えの図形が予想できます。計算前に見当をつけておくと、検算になります。

条件 軌跡 理由
直線(垂直二等分線) 2乗すると が消える
(アポロニウス) が残る
(一定) 円の定義そのもの
中点からの距離が一定
が直径) 半円の円周角の逆
点と直線から等距離 放物線 2乗すると片方の だけ消える

分かれ目は「2乗したとき が消えるか」です。消えれば直線、残れば円。片方だけ消えれば放物線。

除外点チェックの3項目

軌跡でいちばん多い失点が除外点の書き忘れです。式を出したあと、必ず次を確かめてください。

  1. 分母が になる点はないか ── 傾きや媒介変数で割ったとき
  2. 図形が退化する点はないか ── 三角形がつぶれる、2点が一致して直線が定まらない
  3. もとの文字の範囲を外れないか ──  などの条件があるとき

とくに②は式には現れません。「」と書いてあれば が暗黙の前提——問題文の日本語から読み取る必要があります。

「逆の確認」を1行で済ませる方法

変形がすべて同値なら、「逆に、この曲線上の点は条件をみたす」と一言書けば足ります。

危ないのは2乗したときと両辺に何かを掛けたとき。2乗は両辺が 以上なら同値(演習5)、掛け算は掛けたものが でないなら同値です。

「なぜそうなるのか」へ

軌跡は「条件を満たす点をすべて集める」作業です。グラフの定義に立ち返る場面が多く、土台を押さえると型が減ります。

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📝 この型が実際に出た入試問題(40問のうち24問を掲載)

「軌跡」の型が実際の入試でどう出たかを、数強塾が全問解説を公開している年度から拾いました。各行の「解説を読む」から、その問題の解説へ直接移動できます。型を読んだあとに実出題で当てると、どこまで通用する判断なのかがはっきりします。

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