空間図形の計量の解法パターン全12型|型の見抜き方と入試実例(東京農工大・横国大・神戸大・岡山大・滋賀医大)


空間図形の計量は、見えないものを式で測る単元です。平面なら図を正確に描けば答えの見当がつきますが、空間ではそれができません。紙に描いた立体は必ず歪んでいて、直角に見える角が直角でなく、等しく見える長さが等しくない。だから図から読み取るのではなく、はじめから式で測ることになります。ところが使う道具はごく少なく、長さも角も面積も体積も距離も、たどっていくと内積というたったひとつの量に行き着きます。このページは空間図形の計量の解法を12の型に分けて並べた辞典です。型は当てはめるための箱ではなく、「いま何を内積に翻訳しようとしているのか」を見失わないための道具として並べています。

このページの位置づけ——概観は第1層、深掘りはここ

空間の計量は空間ベクトルの解法パターン全12型でも扱っています。あちらが単元全体を一望する地図なら、こちらは「計量」だけを掘り下げる坑道です。位置ベクトルの置き方・共面条件・平面の方程式を先に確認したい方は第1層からご覧ください。角柱や角錐、球の表面積と体積といった中学範囲の立体は中1数学 空間図形の解法パターン全10型が入口です。

このページの12型

  1. 座標を自分で設定する
  2. 四面体の体積(底面と高さ/ベクトル)
  3. 点と平面の距離
  4. 2直線の最短距離
  5. 外接球の半径
  6. 内接球の半径
  7. 切断面の形と面積
  8. 正射影の面積
  9. 正多面体の計量
  10. 展開図で最短距離
  11. 回転体の体積(空間図形版)
  12. 対称性を使って計算を減らす

東大の良問003|等面四面体の垂足・切断面積・最大値

1. 背骨——長さも角も面積も体積も、内積ひとつに集まる

平面図形なら、まず図を描くのが第一手です。正確に描けば答えの見当まで付いてしまう。ところが空間ではこの手が使えません。三次元を二次元の紙に写す以上、どこかを必ず犠牲にしているからです。立方体の見取り図では正方形の面が平行四辺形になり、正四面体の図では等しいはずの6辺が全部ちがう長さになる。空間の図は「位置関係のメモ」であって「計量の根拠」にはならない——ここが平面との決定的なちがいです。

では何を根拠に測るのか。四面体 の3本で決まり、この3本から取り出せる数は6個しかありません。

四面体を決めているのは、6個の数だけ

この表を内積表と呼びます。6という数が四面体の辺の本数6と一致するのは偶然ではありません。 なので6辺の長さの表と内積表は互いに翻訳できるからです。「6辺が決まれば四面体の形が決まる」という当たり前の事実が、そのまま「内積表が決まれば計量はすべて決まる」に化けます。

ここまで来ると作業がはっきりします。空間図形の計量とは、内積表という6個の数から、聞かれた量を組み立てる作業です。組み立て方は次で尽きます。

量の作り方は、この4行だけ

長さ    

三角形の面積 

四面体の体積 (座標があれば

面積の式は を入れただけですが、角度を経由せずに済むぶんだけ強い。体積も同じ発想の延長で、滋賀医科大学の問題では座標が一切与えられていないのにこの式だけで出ます。そして長さは必ず2乗して扱う——根号つきの長さは計算に乗せにくいのに、2乗した瞬間に内積の1次式になり、代入だけで済む。根号は最後に一度だけ外すのが鉄則です。

もうひとつ共通の作戦があります。次元をひとつ落とすこと。落とし方は3通りしかありません。①座標を入れる(立体を3つの数の組にする。型01)、②平面で切る(必要な点が1枚の平面に乗ると気づけば平面幾何が全部使える。型07)、③1本の方向へ射影する(ある方向の成分だけ取り出す。これが内積そのもの。型08)。③を補足すると、 のとき 方向の成分は で、残りの と垂直。内積とは「その方向にどれだけ乗っているか」を測る目盛りであり、射影はその読み取りです。

ここからが背骨の中心です。空間で問われる「距離」はほぼすべて最小値であり、最小値をとる場所では必ず垂直が起きています。点と平面の距離、ねじれの位置にある2直線の最短距離、外接球の中心——見た目はばらばらですが、計算の形はひとつです。

距離=最小=垂直、という一本道

①未知の点を1次結合で置く 直線上なら文字1つ、平面上なら文字2つ。

②距離の2乗を、その文字の2次式として書く 最高次の係数は必ず正。

平方完成する このとき自動的に「差のベクトルが方向ベクトルと垂直」になっている。

なぜ②と③が同じことになるのか。 の頂点は で、このとき 2次関数の頂点条件と、内積がゼロという垂直条件が、まったく同じ式なのです。だから「最小を求めよ」と言われたら垂直を立ててよいし、「垂線の足を求めよ」と言われたら2次関数の最小として計算してもよい。どちらの言葉で問われても、書く式は一字一句同じになります。神戸大学2005年度は、この事実を4つの小問で追体験させる構成です。

空間で裏切られやすい3つの直感

①交わって見える2直線は、交わらないかもしれない 空間ではすれちがっている(ねじれの位置)ことがあります。3成分すべてが一致することまで確かめないと交点とは言えません。東京農工大学の (4) はそこを問うています。

②垂線の足は、三角形の内部にあるとは限らない 距離だけなら問題ありませんが、足の座標まで聞かれたら係数の正負を書く必要があります。

③立体の見取り図に、角度の情報はほとんど無い 「図から見て直角っぽい」は根拠になりません。直角を使いたければ内積が であることを示す。この一手間は省けません。

最後に、型への私の立場を書いておきます。型は考えなくて済ませる道具ではありません。座標を入れるのか、内積表を作るのか、平面で切るのか——この分かれ道で立ち尽くす時間を減らすためのものです。過去に何百回も使われてきた「型」から予想して、思考する量を減らすことで、手際よく解法を思い付いている場合もあるのです。狭めたあとに何を考えるかは、その問題ごとに自分で決めることになります。

2. 手順——型を選ぶまでの判断の流れ

1何を測れと言われたのかを、一語で言う。長さ・角・面積・体積・距離・半径のどれか。ここを曖昧にしたまま式をいじると、途中で自分が何を計算しているのか分からなくなります。「最大・最小」と書いてあれば距離か面積か体積の問題だと決めてかまいません。

2座標を入れるか、ベクトルのまま行くかを決める。直角と対称性がはっきりし、頂点の座標が根号ひとつ程度で書けるなら座標(型01)。長さの比と角度だけなら内積表(型09)。迷ったら「0がいくつ並ぶか」で比べます——成分に0が多く並ぶ置き方は、そのまま内積の項が消えることを意味します。

3未知の点がどこを動くかで、文字の本数を決める。直線上なら1文字、平面上なら2文字、条件が無ければ3文字。この本数が、そのまま立てるべき方程式の本数になります。

4条件を3つの言語のどれかに翻訳する。「垂直」なら内積 (型03・型04)。「等距離・球面上」なら長さの2乗が等しい(型05)。「同じ直線上・同じ平面上」なら係数の和が1(型07。共面条件そのものは第1層のページ)。入試の条件は、この3つのどれかに必ず化けます。

この4段で決まってしまうのは、空間の条件に語彙が少ないからです。「垂直」「等距離」「同一平面上」——問題文がどんな日本語で飾られていても、式に直せばこの3つしか出てきません。だから翻訳表さえ持っていれば、初見でも最初の一行は必ず書ける。空間図形が苦手な人の多くは、計算ではなく翻訳の段でつまずいています

3. 解法パターン全12型

型01 座標を自分で設定する

010がいちばん多く並ぶように、原点と軸を選ぶ

顔つき 立方体・直方体・正四面体など、直角と対称性がはっきりした立体。座標が問題文に書かれていない。

中身 直交する3方向を探して原点と軸を決め、全頂点の座標を書き出す。立方体なら1頂点を原点、3辺を各軸に。正四面体なら1頂点を原点、1辺を 軸上、1面を 平面上に。

なぜ効くか 座標を入れた瞬間、空間把握力という不確かなものが四則と平方根の計算に置き換わります。図が読めるかどうかに答案が左右されなくなるのが利点です。ただし置き方が下手だと根号が溢れるので、基準は「成分に0がいくつ並ぶか」。0が多い置き方は内積の項が消えることを意味します。座標の入れ方を選ぶ作業は、すでに計算量を選ぶ作業なのです。

型02 四面体の体積(底面と高さ/ベクトル)

02体積は目的地ではなく、距離を測るための中継地点

顔つき 「四面体 の体積」「体積の最大値」、そして「点から平面までの距離」

中身 。座標があれば 、内積表しかなければ は6個の内積を並べたグラム行列)。三角形の面積 この2本版で、作り方はまったく同じです。

なぜ効くか 「同じ体積を2通りに書く」ための道具です。底面はどの面にとってもよく体積は変わらないので、面積 さえ出せば 任意の頂点から任意の面までの距離が出ます。法線を作る手間が要らないぶん、座標の無い問題では最短ルート。体積は測りたい量というより、距離を測るための踏み台だと思っておくと使いどころを外しません。

型03 点と平面の距離

033本の道があり、選び方は「与えられたもの」で決まる

顔つき 「平面 に下ろした垂線の長さ」「平面に接する球の半径」「平面上の点との距離の最小値」。

中身 ①法線 ②垂線の足 足を平面上に2文字で置き、平面内の2方向と垂直、で連立。③体積 

なぜ効くか 3本あるのは無駄ではなく、与えられているものと聞かれているものが道を決めるからです。座標があるなら①、長さと内積しかないなら③、足の位置そのものを聞かれているなら②しかありません。そして②は「平面上を動く点との距離の最小」と完全に同じ計算——平方完成の頂点条件が内積 だからです。

型04 2直線の最短距離

04両方に垂直、という2本の式で2文字が決まる

顔つき ねじれの位置にある2直線。「線分 の長さの最小値」「両方に垂直な線分」。

中身 各直線上に点を1つずつ、文字1つずつで置く。両方の方向ベクトルと垂直という2式で2文字が決まる。座標があれば でも出る。

なぜ効くか 文字が2つ、条件も2つ。方向が平行でないかぎりこの連立は必ず一意に解けます——「最短を与える線分(共通垂線)は1本しかない」という幾何の事実が、解の一意性として現れるわけです。神戸大学2013年度は「向きを1つ指定するたびに線分が1本決まる」という一般論まで踏みこみ、共通垂線がその特別な1本だと分かります。

型05 外接球の半径

05「等距離」を2乗して差をとると、2次の項が消える

顔つき 「四面体の外接球の半径」「4点を通る球の方程式」「 をみたす点」。

中身 中心を と置き などを立てると、 の形の1次方程式が3本。座標があるなら に4点を代入。

なぜ効くか 急所は「2乗して差をとると2次の項が消える」こと。残るのは1次です。これは「2点から等距離な点の集合=垂直二等分面」が1次の式であることの計算版で、外接球の中心とは3枚の垂直二等分面の交点。2次方程式を解く覚悟をしていたのに1次で済むと知っているだけで、外接球は怖くなくなります。

型06 内接球の半径

06中心から4本の錐に切り分け、体積を足し戻す

顔つき 「四面体に内接する球の半径」「4つの面すべてに接する球」。

中身 4面の面積を 、体積を として 。導出は、内心と各面が作る4つの四面体に分割し

なぜ効くか 三角形の内接円とまったく同じ論法です。中心から各面へ下ろした垂線がどれも なので、部品の体積が でくくれる。次元が1つ上がると、面積が体積に、周が表面積に、係数 に変わるだけ。ここで外接球と内接球では道具がまったく違う点に注意。外接球は「等距離」から1次連立、内接球は「体積の分割」。同じ球でも聞かれ方が変われば別の型です。

型07 切断面の形と面積

07必要な点が1枚の平面に乗ると気づけば、空間は平面になる

顔つき 「立方体を3点を通る平面で切ったときの切り口」「断面積を の関数で表せ」、登場人物が少なく対称軸がある立体

中身 切り口は「同じ面上の2点は結べる」「平行な2面には平行な切り口が現れる」で作図する。面積は断面の中に座標を入れるか、正射影(型08)で求める。

なぜ効くか 断面を考えることは空間の問題を平面の問題に落とすことです。平面に落ちた瞬間、三平方の定理・相似・円周角・方べきの定理が一斉に使えます。岡山大学2016年度がその極端な例で、5点がすべて「 軸と点 を含む1枚の平面」に乗ると気づいた瞬間、球の問題が円の問題に化けますどの平面で切るかを見つけることが、この型の全体です。

型08 正射影の面積

08影は一方向にだけ縮む。だから面積は

顔つき 「平面 上の図形を平面 に正射影した面積」「2平面のなす角が のとき」。斜めの断面の面積。

中身 、逆に 。ベクトルの正射影は )。

なぜ効くか 射影はひとつの方向にだけ長さを 倍し、垂直な方向は変えない操作だからです。この一行が分かれば公式は覚えなくてよい。もっと大事なのは、正射影とは「ある方向の成分を抜き取る操作」であり内積そのものだという点。抜き去った残りは必ず元の方向と垂直なので、そこから直交する基底が作れて、垂線の足が一行で書けます。神戸大学2005年度は、その手順を丸ごと出題にしたものです。

型09 正多面体の計量

09最初に内積表を作る。あとはすべて代入

顔つき 「1辺の長さが1の正四面体」「正八面体」「立方体の対角線」。

中身 1辺1の正四面体なら (なす角が だから)。この表を先に書き出し、長さは2乗して代入する。

なぜ効くか 正多面体は対称性が高い、すなわち独立に決まる数が少ない立体です。1辺を決めれば他の長さも角度もすべて決まる。だから6個の内積を1度書き出す作業に、この立体のすべてが凝縮されます。座標(型01)と比べた利点は根号が途中に出てこないこと——座標だと のような成分が現れますが、内積表なら分数だけで最後まで行けます。

型10 展開図で最短距離

10面の上を通る道は、展開しても長さが変わらない

顔つき 「側面上を通って から へ至る最短経路」「ひもをぴんと張る」「円錐に糸を巻きつける」。

中身 通る面を順に平面へ展開し、2点を線分で結ぶ。長さは平面上の2点間距離で、余弦定理を使う場面が多い。円錐なら側面を扇形に開き、中心角を で出してから余弦定理。

なぜ効くか 展開しても各面の内部の距離はいっさい変わりません(折り目で切って平らに広げただけだから)。だから面上の経路の長さは展開図での長さと一致し、平面上で2点を結ぶ最短は線分という自明な事実が使えます。これも次元をひとつ落とす一手。注意点はひとつ——通る面の選び方で展開が何通りもあるので、候補をすべて展開して比べる。1通りで終わりにするのが唯一の失点源です。

型11 回転体の体積(空間図形版)

11軸に垂直に切れば、断面は必ず円か円環

顔つき 「三角形を直線 のまわりに1回転してできる立体の体積」「立方体を対角線のまわりに回す」。

中身 回転軸に垂直な平面で切る。断面は円か円環で、外半径 は軸から最も遠い点、内半径 は最も近い点までの距離。

なぜ効くか 回転体は「軸に垂直に切れば必ず円か円環」という強い性質をもつので、難しいのは積分ではなく各断面で を決めること——つまり点と直線の距離の最大・最小という別の問題に化けます。ここを取り違えて「回した後の形」を想像しようとすると手が止まる。形を想像するのではなく、切ってから考える。これがこの型の全部です。

型12 対称性を使って計算を減らす

12対称性は、答えの居場所を計算前に絞りこむ

顔つき 正多面体、等面四面体、回転体、「 軸のまわりに対称」。役割を入れ替えても条件が変わらない設定。

中身 入れ替えても同じになる量は等しい、と先に宣言してから計算する。求める点が対称の軸・面の上にあると決め打ってよい場面が多い。

なぜ効くか 対称性は答えがどこにあるかを、計算を始める前に絞りこみます。正四面体の外接球の中心は、どの対称移動でも動かない点でなければならないので重心以外にありえない。この一言で連立が要らなくなります。横浜国立大学の問題でも、直線 上の点は の係数が必ず等しく、答えの形が計算前に見えています。そして対称性は検算にも使えます——役割を入れ替えた答えが元と一致しなければ、どこかで間違えている。「見通す」と「確かめる」は同じ武器の表と裏です。

4. 実際の入試で確かめる

全12型のうち、入試の実例がついているのは9型1マスが1つの型です。青いマスは、下にある入試の実例で確かめている型です金色のマスは、このページの追加演習が埋めている型ですこのページの型は、すべてどちらかで扱っています010203040506070809101112解法パターン12型入試の実例で確かめる9型追加演習が埋める3型9 + 3 = 12型。この図は下にある入試の実例が扱う型を数えたものです入試の実例は6問。実例の数と型の数は必ずしも一致しません

この単元の解法パターンは全12型で、下にある入試の実例6問で確かめているのは9型です。このページの追加演習が3型を埋めています。1問が複数の型にまたがることも、同じ型を複数の実例で扱うこともあるため、実例の数と型の数は必ずしも一致しません。

ここからは実際に出題された問題で型を確かめます。問題文は各大学が公表した入試問題を、解説のために引用したものです。解答・解説は数強塾が独自に作成したもので、大学公表の解答ではありません。掲載した数値は当塾で独立に解いたうえで Python(sympy による厳密計算と数値計算)で検算し、さらに別の担当者が別ルートで解き直して照合しています。

東京農工大学 2016年度 ―― 型01・型02。成分だけで、最後の最小値まで行ける

この問題は ベクトルの図形への応用ベクトルの図形への応用 のページでも扱っています。同じ問題でも、そちらは単元全体の中での位置づけ、ここではこのテーマに絞った読み方をしています。二つを見比べると、同じ問題文から引き出せるものが1つではないことが分かります。

【問題】東京農工大学 2016年度 前期日程 数学(Z)第1問

O を原点とする座標空間に4点 をとる。また、線分 AB を に外分する点を P、線分 OB を に外分する点を Q とおく。ただし は正の実数とする。

(1) ベクトル の成分を を用いて表せ。ただし答えのみでよい。

(2)  が垂直であるとき、 の値を求めよ。

(3) 実数 について が成り立つとする。このとき、 の値を求めよ。

(4)  が (3) で求めた値のとき、直線 DP と直線 CQ の交点の座標を求めよ。

(5)  の面積を とする。 の最小値を求めよ。また、そのときの の値を求めよ。

【解答】

(1)  (2)  (3)  (4)  (5) 最小値 のとき)

(1) 外分点の公式から 。ついでに も出しておきます。

(2)  より 。これが だから 垂直は内積 、それだけです。

(3) 与式は「 が3点 の定める平面上にある」という意味。 で、成分ごとに に0が2つ並んでいるので 成分に が出ません。 から に入れて すなわち 、よって 、最後に から をみたす)。

(4)  のとき 。直線 、直線 成分から 成分から ここで止めてはいけません——残った 成分が両方とも になることを確かめて、はじめて「交わる」と言えます。交点は

(5)  について、面積公式に入れる3つの量を作ります。

根号の中は は正の実数なので条件をみたし、最小値は 根号の外の はただの定数倍なので、最小化は根号の中の2次式だけを見ればよい——これが計算を軽くする一手です。

この問題で使った型

型01 座標が与えられているので、外分点も垂直も共面も交点も面積も、すべて成分計算に落ちます。図をいっさい描かずに完答できるのがこの型の威力です。

型02 面積公式が角度を経由しないので、そのまま の2次式が根号の中に出てきて、面積の最小が2次関数の最小に化けます

検算のしかた

別ルートで面積を  軸方向なので、 と直線 の距離は 成分だけで決まり、。これは と同じ式です。

数値と逆代入  から まで50万分割すると最小値 )で と一致。 に戻すと零ベクトルになります。

横浜国立大学 2019年度 ―― 型09・型12。内積表を作れば、あとは代入だけ

【問題】横浜国立大学 2019年度 A1冊子 第2問(=A2冊子 第2問)

1辺の長さが1である正四面体OABCがある。辺OA上に点D、辺OB上に点E、辺OC上に点Fがあり、 をみたしている。さらに辺OBと辺ACの中点をそれぞれM、Nとする。平面DEFと直線MNの交点をPとする。ベクトル とおく。

(1)  を求めよ。

(2)  を用いて表せ。

(3)  を求めよ。

【解答】

(1)  (2)  (3)

準備。1辺1の正四面体なのでどの2辺のなす角も この6個の数がこの立体のすべてです。

(1)  より 。長さは2乗して代入します。

したがって にだけマイナスが付いているので、 を含む2つの内積だけ符号が反転します。

(2)  は直線 上なので

答えの形が、計算前に半分見えている

この式では の係数がつねに等しい は辺 の中点、 は辺 の中点で、どちらも を入れ替える対称移動で動かないからです。答えの の係数が食い違ったら、その時点で計算ミスです。

一方 で、 が平面 上にある条件は 。係数を見比べると で、和が1より 、すなわち 。よって (このとき で和はちょうど1)。

(3)  なので 長さを一から計算し直す必要はありません。 は「 何本分か」を表す数だからです。

この問題で使った型

型09 内積表さえ書けば (1) も (3) も代入だけ。座標で書くと根号が成分に現れますが、内積表なら最後まで分数だけで進めます

型12  の入れ替えという対称性が、答えの係数を先に予告しています。形が見えているぶん、途中のミスに気づけます。なお (2) の「平面上 係数の和が1」は、手順のステップ4で挙げた3つの言語のうちの1つです。

検算のしかた

座標に落として照合  と置くと6辺の長さの2乗がすべて1。この座標で直線 と平面 の交点を厳密に解くと で、1次結合の係数 も長さ も一致します。

係数の和  を基底にした係数の和がちょうど1になることを必ず確認。ここが1でなければ平面上に乗っていません。

神戸大学 2013年度 ―― 型04・型01。向きを1つ決めれば、2直線を結ぶ線分は1本に決まる

【問題】神戸大学 2013年度 前期日程 文科系 第1問(=理科系 第1問)

空間において、2点 を通る直線を とする。次の問いに答えよ。

(1) 点 P を 上に、点 Q を 軸上にとる。 がベクトル と平行になるときの P と Q の座標をそれぞれ求めよ。

(2) 点 R を 上に、点 S を 軸上にとる。 およびベクトル の両方に垂直になるときの R と S の座標をそれぞれ求めよ。

(3) R, S を (2) で求めた点とする。点 T を 上に、点 U を 軸上にとる。また、 は零ベクトルではなく、 に垂直ではないとする。 と平行になるときの T と U の座標をそれぞれ求めよ。

【解答】

(1)  (2)  (3)

準備。 なので 上の点は 軸上の点は 。すると3問とも、2直線を結ぶベクトルは という同じ形になります。この1行を先に作ることが最大の省力化です。なお 軸と交わるには かつ が必要で、これは起こりません。2直線はねじれの位置にあります。

(1)  とおくと 。辺々引いて

(2)  に垂直条件を2本立てます。 と垂直から と垂直から すなわち 。よって で、 軸の最短距離は です。

(3) ねじれの位置だから 、よって 。成分は で、上2式の差から 。ここで仮定「 に垂直でない」が効きます——、すなわち 。したがって と定まり

この問題で使った型

型04 (2) がまさに共通垂線です。2直線上に1点ずつ置き、垂直条件を2本立てて2文字を決める——ねじれの位置の最短距離を求める手順が、装飾なしで正面から出ています。

型01 3問が という同じ形を共有していることに気づけば、実質1問分の労力で済みます。

(3) が教えてくれること 向き を1つ与えるたびに線分がちょうど1本決まる。共通垂線はその中の特別な1本にすぎません。実際 で (1) に、 で (2) に戻ります。

検算のしかた

一般解に特殊値を入れる (3) の答えに を代入して (1)(2) が再現されることを確認。一般解が出たら特殊化して戻す——空間に限らず万能の検算です。

公式で照合 方向を とすると で、 上の点 を使い と一致します。

岡山大学 2016年度 ―― 型07・型12。5点が1枚の平面に乗ると気づけば、球は円になる

【問題】岡山大学 2016年度 前期日程 文系〔2〕(=理系〔4〕)

座標空間内に、原点 を中心とする半径1の球面 と2点 がある。 と異なる点 に対し、直線 と球面 の交点で と異なる点を とする。さらに直線 平面の交点を とする。このとき以下の問いに答えよ。

(1) ふたつの線分 の長さの積を求めよ。

(2)  をそれぞれ を用いて表せ。

(3) 点 平面内の直線 上を動くとき、対応する点 平面内の同一円周上にあることを証明せよ。

【解答】

(1)  (2)  (3) は中心 、半径 の円周上にある

この問題の急所——登場人物がすべて1枚の平面に乗る

軸上、 と異なる 平面上の点なので 軸上にありません。よって 軸と点 を含む平面」がただ1つ決まります は直線 上、 は直線 上なので、5点はすべてこの平面に乗る。この瞬間、球面 は半径1の円になり、問題は平面幾何に化けます。

断面での座標。この平面を、 を原点、 方向を横軸、 方向を縦軸とする座標平面とみます。 として の断面は原点中心・半径1の円です。

(1)  はこの円の直径だから、円周角の定理より 、すなわち はともに が直角で、 から なので 。2角が等しいので で、 から 。(断面で計算すると の横座標は で、 から見て と同じ側にあります。)

(2) (1) より なので 。ここで となり、この対応は自分自身が逆になっています について対称だからです)。したがって

(3) 【証明】 が直線上にあるとは 。(2) を代入して

だから、これは中心 、半径 平面内の円です。よって が直線 上を動くとき、対応する はつねにこの同一円周上にあります( なので が原点になることはありません)。■

この問題で使った型

型07 空間の球を扱っているのに、実際に使ったのは「直径に対する円周角は直角」と「2角相等の相似」だけ。切る平面を見つけた瞬間に、中学校の道具で核心が終わります。

型12 この設定は 軸のまわりの回転対称性をもつので、「 をどの向きに置いても同じ図が現れる」と分かり、断面で考えてよい根拠になります。

おまけ 単位円に関する反転で、「原点を通らない直線が、原点を通る円に移る」という反転の性質が (3) の結論そのものです。

検算のしかた

断面を使わず正面から 直線 と置いて球面の式に代入すると の2解が出て 。次に 成分を にすると で断面での結果と一致し、 が文字のまま成り立ちます。

円であることを数値で  の直線上に を4点とって を計算すると、中心 からの距離がいずれも と9桁一致します。

神戸大学 2005年度 ―― 型08・型03。正射影で直交基底を作ると、垂線の足が一行で書ける

【問題】神戸大学 2005年度 前期日程 理科系 第1問

を原点とする空間の3点 がある。

を満たす点を とする。次の問に答えよ。

(1)  の座標を求めよ。

(2) 2つの実数 に対して、 を満たす点を とする。 を固定して考えたとき、 を最小にする を用いて表せ。

(3)  を最小にする の値を求めよ。

(4) (3) で求めた の値をそれぞれ とする。 に対し、 を満たす点とする。このとき

となることを示せ。

【解答】

(1)  (2)  (3) (このとき の最小値は ) (4) 証明は下記

(1)  なので与式の係数はちょうど1で、。ここで を書き留めます。与式は から 方向の成分を抜き去る操作(型08)なので、残りが と垂直になるのは当然です。

(2)  より を固定すれば の下に凸な2次関数なので、最小を与えるのは頂点

(3) 平方完成の残りを見ます。

よって 、最小値 この平方根 が、点 と平面 の距離です(型03)。

(4) 【証明】(1) より なので、 の動く範囲は の1次結合全体と一致します。しかも一般に

だから 平面 の直交基底です。そこで と書きます。 は平面上で を最小にする点、すなわち垂線の足だから とも とも垂直で

なので交差項が消えるのがここの要点です。)よって となり、示すべき等式が得られました。■ 実際の値でも右辺は 、左辺は で一致します。

この問題で使った型

型08 問題文が与える の式は正射影の引き算そのもので、直交基底を作る手続きです。基底を直交させると、係数が内積の割り算だけで書ける——(4) の等式はその一般則を書き下したものにすぎません。

型03 (2)(3) は「平面上の点との距離の最小」、(4) は「垂線の足」。両者がまったく同じ計算だという背骨の主張を、4問かけて体験させる構成です。

2変数の最小化の作法 まず1文字について平方完成し、残りをもう1文字について平方完成する。2乗の和プラス定数の形になれば、最小値も最小点も同時に読み取れます。

検算のしかた

法線を使う別ルート 平面 の法線は 。点 との距離は 、その2乗 が最小値と一致します。型03の①と②が同じ答えを出すことの確認です。

格子で数値走査  の格子で走査しても最小 )で と一致しました。

滋賀医科大学 2019年度 ―― 型05・型03・型02。外接球の中心から、面までの距離まで一本でつながる

この問題は ベクトルの図形への応用ベクトルの図形への応用 のページでも扱っています。同じ問題でも、そちらは単元全体の中での位置づけ、ここではこのテーマに絞った読み方をしています。二つを見比べると、同じ問題文から引き出せるものが1つではないことが分かります。

【問題】滋賀医科大学 2019年度 前期日程 第3問

四面体 OABC において、 の重心を G、 の重心を H とする。

(1) 直線 OG と直線 CH は交わることを示せ。

以下では、直線 OG と直線 CH の交点を I として、 とする。

(2)  を用いて表せ。

(3)  を示せ。

(4)  のとき、I を中心として、平面 OAB とただ一つの共有点を持つような球の半径を求めよ。

【解答】

(1) 証明は下記 (2)  (3) 証明は下記 (4)

以下 とおきます(四面体だからこの3本は1次独立)。

(1) 【証明】 の中点を とすると

係数の和がどちらも1なので は線分 上、 は線分 上。よって直線 も直線 も、3点 が定める平面に含まれます( は平行でないので、この3点は同一直線上にありません)。この平面内で を基底にとると、方向の係数は直線 、直線 で比例しないので2直線は平行でない。同一平面上の平行でない2直線は必ず交わります。

(2) 、また は直線 上でもあるので 。1次独立性から かつ 、よって

(3) 【証明】 とおきます。 で、展開すると2次の項が消えて を代入して  …①。同様に  …②、 …③。 とおけば

同じ計算で 。長さは正なので 。■ 向かい合う辺が等しい四面体を等面四面体といいます。外接球の中心が存在するというだけで、形がここまで限定されるのです。

(4) ①②③に を入れると 。辺々加えて だから 。球が平面 とただ1つの共有点をもつのは接するときで、そのときの半径は と平面 の距離です。

係数を見るだけで、距離の比が分かる

のうち は平面 に平行なので高さに寄与しません。効くのは の係数 だけ。よって と平面 の距離は、 と平面 の距離 のちょうど 倍です。

あとは を出すだけ。面積と体積を内積表から直接作ります。

より 。求める半径は 。(参考までに外接球の半径は です。)

この問題で使った型

型05 (3) で を展開すると2次の項が消えて1次式になる——「等距離」は必ず1次に落ちるという型05の急所が、そのまま主役になっています。

型03 (4) は点と平面の距離で、ここでは③(体積を2通りに書く)を使いました。座標が一切与えられていないので、法線を作る道は選べません。

型02 その体積をグラム行列の行列式から直接出しました。内積表さえあれば、座標を作らずに体積が出る——ここが (4) をきれいに終わらせる鍵です。

検算のしかた

まず四面体が実在するか グラム行列の行列式が 行列式が正であることが、その内積表をもつ四面体が実際に存在するための条件です。ここを飛ばすと、存在しない立体の体積を計算してしまいます。

実座標を作って確かめる  とすると内積表が再現され、。この座標では平面 なので距離は 成分そのもので、 と厳密に一致します。体積も で一致。

5. よくある質問

Q1. 空間の問題は、座標を入れるべきですか、ベクトルのまま解くべきですか。

A. 直角と対称性がはっきりしていて、頂点の座標が根号ひとつ程度で書けるなら座標です。長さの比と角度だけで与えられているなら、内積の表を作ってベクトルのまま進めるほうが軽く済みます。迷ったときは、成分にゼロがいくつ並ぶ置き方ができるかで比べてください。ゼロが多い置き方は、そのまま内積の項が消えることを意味します。

Q2. 点と平面の距離の求め方が何通りもあって、どれを使えばよいか分かりません。

A. 与えられたものと聞かれたもので決まります。座標があるなら法線を作るのが最速、長さと内積しか与えられていないなら体積を二通りに書いて高さを出すのが最速、垂線の足の位置そのものを聞かれているなら足を平面上に置いて垂直条件で連立するしかありません。三つとも同じ答えに着くので、不安なときは別の道でも計算して照合できます。

Q3. ねじれの位置にある2直線の最短距離が苦手です。

A. 手順は一つしかありません。それぞれの直線上に点を一つずつ、文字一つずつで置き、その二点を結ぶベクトルが両方の方向ベクトルと垂直、という式を二本立てるだけです。文字が二つ、条件も二つなので必ず解けます。距離の二乗を二変数の関数とみて平方完成しても同じ答えになりますが、垂直条件で立てるほうが計算は短く済みます。

Q4. 四面体の体積は、どの面を底面にとればよいですか。

A. 面積が計算しやすい面を底面にとってください。体積はどの面を底面にとっても同じなので、そこに自由があります。そしてこの自由が、そのまま点と平面の距離を求める道具になります。体積を一度求めてしまえば、高さは体積の三倍を底面積で割るだけで出るからです。体積は目的ではなく、距離を測るための踏み台だと考えてください。

Q5. 型を覚えれば初見の空間図形の問題も解けますか。

A. 型は考えなくて済ませる道具ではなく、考える範囲を狭めるための道具です。過去に何百回も使われてきた型から予想して、思考する量を減らすことで、手際よく解法を思い付いている場合もあるのです。狭めたあとに何を考えるかは、その問題ごとに自分で決めることになります。空間図形なら、座標を入れるのか、内積の表を作るのか、平面で切るのかという分かれ道で迷う時間が減る、というのが型の効き目です。

東大の良問 003

等面四面体の垂足・切断面積・最大値|東大2010年理科第6問

垂線の足をベクトルで求め、動く平面の切り口を場合分けし、最後に二次関数の最大値へつなぐ一題です。核心は、図の見た目ではなく、四頂点を「切断平面から見た高さ」で並べることにあります。

  • 東京大学
  • 2010年度 前期日程
  • 数学(B・理科)第6問
  • 空間ベクトル・切断面
  • 発展

問題

四面体 において、4つの面はすべて合同であり、 であるとする。また、3点 を含む平面を とする。

(1) 点 から平面 におろした垂線の足を とおく。 を用いて表せ。

(2) をみたす実数 に対して、線分 各々を に内分する点をそれぞれ とおく。2点 を通り、平面 に垂直な平面を とするとき、平面 による四面体 の切り口の面積 を求めよ。

(3) の範囲を動くとき、 の最大値を求めよ。

出典:東京大学 2010年度 前期日程 第2次学力試験 数学(B・理科)第6問。問題文の表記はウェブ表示用に一部調整しています。

段階別ヒント

ヒント1|「4面合同」から残りの辺を決める

は互いに異なるので、合同な各面で同じ長さの辺を対応させます。向かい合う辺の長さが等しくなり、 です。

ヒント2|垂線の足は平面内の一次結合で置く

とし、 と置きます。 なので、 です。

ヒント3|切り口の形が変わる時刻を探す

平面 を通るとき、切り口は三角形から台形へ変わります。(1)の の係数の和が であることに注目してください。

ヒント4|台形では相似比を一つだけ置く

では、 は辺 と交わります。交点を から へ同じ割合 だけ進んだ点とすると、 です。

解答・解説

準備|内積表を作る

とする。4面合同と辺の長さが互いに異なることから、

余弦定理と同じ内積計算により、

(1) 垂線の足

とおく。 は平面 に垂直だから、

これを解くと 。よって、

また、 なので、

(2) 切り口の面積

四面体内の点を と表す。 の平面 への正射影が なので、平面 上の条件は

この左辺の値は頂点 で順に 。したがって を境に切り口の形が変わる。

(i) のとき

切り口は辺 と交わる三角形である。辺 との交点を とすると、

。また、 から への切断面内の高さは だから、

(ii) のとき

切り口は辺 と交わる台形である。辺 上の交点を、 からそれぞれ の割合だけ へ進んだ点とする。高さの一次性から

平行な二辺の長さは 、その間の距離は である。よって、

以上をまとめると、

(3) 最大値

前半は単調増加で、 における値は 。後半は、

に含まれ、 である。したがって、

切り口の全体像

の範囲 切る辺 面積
三角形
と頂点 境目
台形

別解・座標による独立確認

平面 として、

と置ける。6本の辺の長さは条件どおりで、平面 で表される。各辺との交点を求めて切断面内の三角形・台形の面積を計算すると、主解法と同じ二式を得る。

解法を思いつくための再現手順

  1. 合同面から対辺の長さを復元する。空間図形でも、まず6本の辺の情報を平面三角形へ翻訳する。
  2. 垂線の足は平面を張る2ベクトルの一次結合で置く。未知数2個に対して、垂直条件を2本立てる。
  3. 動く平面に高さの目盛りを付ける。全頂点の値を並べ、どの頂点を通ると切る辺が変わるかを探す。
  4. 各範囲では相似比を一つだけ使う。三角形なら底辺×高さ、四角形なら平行な二辺とその距離へ落とす。
  5. 最後に境界と最大値を比較する。区分式は、境界値が一致するかまで確認して完成する。

よくある誤り

誤り 直し方
4面合同を正四面体とみなす 合同面でも3辺の長さは と異なります。正しい結論は「向かい合う辺が等しい」です。
内分点を と置く なので です。
全範囲で切り口を三角形とみなす で平面が を通過し、その後は4辺を切る台形になります。
台形の高さを常に とする 上側の平行辺は から だけ進んだ位置なので、二辺間の距離は です。
一方の区間だけ最大化する 区分ごとの最大値 を最後に比較します。

この問題で押さえること:切断面の形の場合分けは、見た目ではなく「4頂点を切断平面からの高さで並べ替える」ことで決める。空間の切り口は高さの順序で分類する、を押さえよう。

前提単元と次に解く問題

教材について:解答・解説・ヒント・図は数強塾が独自に作成した非公式教材で、東京大学が公表した公式解答・公式見解ではありません。問題の著作権は東京大学に帰属し、出典を明示して掲載しています。

6. 次に読むページ

空間図形で手が止まってしまう人へ

空間図形が苦手な生徒の答案を見ていると、計算ができないのではなく「図を描こうとして止まっている」ことがほとんどです。空間は、描くのではなく測るもの。数強塾では、問題を読んだらまず「何を測れと言われたか」を一語で言わせ、次に「座標か、内積表か、断面か」を選ばせ、それから式を書かせます。この順番を毎回踏むだけで、空間図形は取れる分野に変わります。オンラインの完全1対1で、プロ講師のみが担当します。

数強塾オリジナル演習 追加5題|型06・10・11を埋める

上の入試実例では型01〜05・07〜09・12 を扱いました。ここでは実例が手薄な型06(内接球)・型10(展開図で最短距離)・型11(回転体の体積)を5問で埋めます。すべて自作問題で、答えは別解や近似値で検算してあります。

型06 内接球の半径(体積を2通りで書く)
で、 がたがいに垂直である四面体 OABC がある。この四面体に内接する球の半径 を求めよ。

解答・解説を見る

内接球の半径は、体積を2通りに書けば出ます。これが型06の全部です。
①ふつうに体積を出す
底面を三角形 OAB(面積 )、高さを とすると

②内接球の中心から4つの面へ切り分ける
中心から各面までの距離は、どれも 。四面体を4つの小さい錐に分けると
 ( は表面積)
表面積を出します。
直角三角形が3枚:
三角形 ABC は1辺 の正三角形:

①=②とおく

分母を有理化して
【答】
(検算: ✓。 の四面体にすっぽり入る球として妥当な大きさ)
【なぜ になるのか】内接球の中心と各面の頂点を結ぶと、四面体が4つの小さい四面体に分かれます。どれも高さが (球が面に接しているから)。それぞれの体積が なので、足すと
三角形の内接円 とまったく同じ構造です。次元が1つ上がって になっただけ。

型10 展開図で最短距離(直方体)
縦2、横3、高さ4の直方体がある。ある頂点から、それと最も遠い頂点まで表面上を通って行くときの最短の道のりを求めよ。

解答・解説を見る

立体のままでは考えられません。切り開いて平面にします。
展開すると、最短の道はまっすぐな線分。どの面を通るかで3通りの展開があります。
①縦2の面を残して開く
長方形の2辺が

②横3を残して開く


③高さ4を残して開く


【答】
【3通りを全部調べる必要はない】比べる式は の形で、展開すると は共通なので、 が最小になる組を選べばよい
つまりいちばん短い2辺を足すのが正解です。この問題なら を足して 、残る と組む——③がそれです。
【空間の直線距離と混同しない】内部を突っ切ってよいなら表面を通るほうが必ず長くなります。問題文の「表面上を」を読み落とすと、まったく別の答えになります。

型10 展開図で最短距離(円錐)
底面の半径が1、母線の長さが4の円錐がある。底面の円周上の点 A から出発し、側面を1周して A に戻る最短の道のりを求めよ。

解答・解説を見る

側面を切り開くと扇形になります。
扇形の半径は母線 。弧の長さは底面の円周
中心角を とすると より
(中心角の割合は と覚えても同じです)
展開図の上では、点 A が2か所に現れます。切り開いた左端と右端です。その2点を結ぶ線分が最短の道。
2点とも頂点から距離 、間の角が なので三平方の定理から

【答】
(検算:底面を1周すると 。側面を通るほうが短い ✓。また母線を上って下りると 。それより短い ✓)
【中心角が を超えたら】扇形が半周を超えると、2点を結ぶ線分が扇形の外に出てしまいます。そのときは側面を通る道より頂点を経由する道(母線2本ぶん)のほうが短い。必ず中心角を確認してください。

型11 回転体の体積(正方形を対角線で回す)
1辺の長さが2の正方形を、その対角線を軸として1回転させてできる立体の体積を求めよ。

解答・解説を見る

まず、できる立体の形をつかみます。
対角線の長さは 。軸から最も遠いのは残り2つの頂点で、その距離は対角線の半分
回すと、2つの円錐を底面どうしで貼り合わせた形になります。(正方形は対角線について対称なので、上下が合同)
各円錐は
半径 、高さ (対角線の半分)

【答】
(検算:半径 、高さ の円柱の体積は。その が答えと一致 ✓——2つの円錐を合わせると、同じ底面・同じ高さの円柱の です)
【回転体の手順は3つ】軸からの距離を調べる ②その最大値が半径 ③断面が円になることを使って積み上げる。
この問題では③が「円錐2つ」で済みました。形が読めないときは積分(断面積を積み上げる)の出番です。

型11 回転体の体積(斜辺を軸にする)
3辺の長さが3、4、5の直角三角形を、長さ5の辺を軸として1回転させてできる立体の体積を求めよ。

解答・解説を見る

軸が斜辺なので、底面と高さの取り方が変わります。
直角の頂点から斜辺に下ろした垂線の長さを とすると、これが回転体の半径
三角形の面積を2通りに書きます。


できる立体は2つの円錐を底面どうしで貼り合わせた形。2つの高さを とすると です。

を個別に求める必要はありません。和が とわかればよい。

【答】
(参考:。足すと ✓。それぞれ から出ます——直角三角形の相似の関係です)
【4を軸にした場合と比べる】長さ4の辺を軸にすると、半径3・高さ4の円錐1つで同じ三角形でも、軸を変えると体積が変わります。 ——軸から遠い点が多いほど大きくなる、と考えると納得できます。

空間の問題は「平面に落とす」3つの道

12の型は多く見えますが、やっていることは空間を平面に落とすことだけです。落とし方が3つあります。

落とし方 何をするか 該当する型
座標に落とす 成分計算にする。内積で長さ・角・距離 型01・03・04・08
切り口に落とす 1枚の平面で切って、平面図形の問題にする 型05・06・07・09・12
展開して落とす 切り開いて、最短距離を線分にする 型10

型02・型11(体積)だけは「積み上げる」方向で、断面積を足していきます。落とすのではなく、落とした断面を積み直していると考えるとつながります。

体積を2通りに書く、という技

演習1で使った「同じ体積を2通りに書いて等号で結ぶ」は、空間図形で最も応用が利く手です。

求めたいもの 2通りの書き方
内接球の半径 と、ふつうの
点と平面の距離 (型03) 底面を変えて を2通りに
四面体の高さ どの面を底面にしても は同じ

「高さが直接出せないなら、体積から逆算する」——これを覚えておくと、垂線の足を求めずに済む場面がかなりあります。

検算の型

  1. 近似値を出す ──  のように数値にして、図と見比べる
  2. 包む立体と比べる ── 円錐なら同じ底面・高さの円柱の(演習4)
  3. 別の軸・別の底面で解き直す ── 体積は同じはず(演習5)

とくに1つ目は10秒で終わって、桁違いのミスを確実に捕まえます。空間図形は、値が「明らかにおかしい大きさ」になりやすい単元です。

「なぜそうなるのか」へ

空間図形の型は、体積と距離の土台を押さえると一気に減ります。

関連ページ

大学受験数学|空間図形の計量

体積・表面積・切り口を確かめる4つの独自演習

柱体、円すい台、球の切り口、正四角すいを扱い、底面積、高さ、母線を図から取り出します。単位と平方・立方の違いまで丁寧に確認します。

大学受験の空間図形の計量で頻出の、三角柱の表面積・円すい台の体積・球の切断・正四角すいの高さを、公式の由来と検算つきで学べます。

図は左右にスクロールして全体を確認できます。

正四角すいの高さと側面高正方形の底面、頂点S、底面中心O、辺の中点Mを示し、垂直な高さSOと側面の高さSMを区別した図。 SOM高さSO側面高SM底面は一辺6の正方形
正方形の底面、頂点S、底面中心O、辺の中点Mを示し、垂直な高さSOと側面の高さSMを区別した図。

問1|直角三角柱の体積と表面積

難度:標準確認点:底面積と側面積

底面が辺6、8、10の直角三角形で、高さが10の直角三角柱がある。体積と表面積を求めよ。

問1「直角三角柱の体積と表面積」の解答・詳しい考え方を開く

答え:体積240、表面積288

  1. 底面は直角をはさむ辺が6、8なので、底面積は(1/2)×6×8=24です。
  2. 体積は底面積×柱の高さより24×10=240です。
  3. 側面積は底面の周の長さ×柱の高さなので、(6+8+10)×10=240です。
  4. 上下二枚の底面積48を加え、表面積は240+48=288です。

誤りやすい点:表面積では底面が二枚あります。一方、体積では底面積を一度だけ使い、高さ10を掛けます。

問2|円すい台の母線・体積・表面積

難度:標準確認点:円すい台の公式

上面の半径2、下面の半径5、高さ9の直円すい台がある。母線の長さ、体積、表面積(上下の円を含む)を求めよ。

問2「円すい台の母線・体積・表面積」の解答・詳しい考え方を開く

答え:母線3√10、体積117π、表面積(29+21√10)π

  1. 軸を通る断面で、半径の差は5-2=3、高さは9です。母線l=√(9²+3²)=3√10です。
  2. 円すい台の体積はV=πh(R²+Rr+r²)/3です。
  3. R=5、r=2、h=9を代入し、V=3π(25+10+4)=117πです。
  4. 側面積はπ(R+r)l=π×7×3√10=21√10πです。
  5. 上下の円の面積25π+4π=29πを加え、表面積は(29+21√10)πです。

誤りやすい点:母線は高さ9ではありません。断面の直角三角形で半径の差3も使います。また表面積には上下二つの円を加えます。

問3|球の切り口と球冠の体積

難度:発展確認点:球の断面と球冠

半径3の球を、中心から距離1の平面で切る。切り口の円の半径と面積、さらに小さい方の球冠の体積を求めよ。

問3「球の切り口と球冠の体積」の解答・詳しい考え方を開く

答え:切り口の半径2√2、面積8π、球冠の体積28π/3

  1. 球の中心から切断面へ垂線を下ろすと、球の半径3、中心から平面まで1、切り口半径ρで直角三角形ができます。
  2. ρ²+1²=3²よりρ²=8、ρ=2√2です。切り口の面積はπρ²=8πです。
  3. 小さい球冠の高さは球の半径から中心と平面の距離を引き、h=3-1=2です。
  4. 球冠の体積V=πh²(R-h/3)へR=3、h=2を代入します。
  5. V=4π(3-2/3)=4π×7/3=28π/3です。

誤りやすい点:球冠の高さを平面までの距離1としないようにします。小さい球冠では、切断面から球の端までが3-1=2です。

問4|正四角すいの二種類の高さ

難度:発展確認点:空間と側面の直角三角形

底面が一辺6の正方形で、四本の側辺がすべて5の正四角すいがある。すいの高さ、体積、表面積を求めよ。

問4「正四角すいの二種類の高さ」の解答・詳しい考え方を開く

答え:高さ√7、体積12√7、表面積84

  1. 底面中心Oから頂点Aまでの距離は正方形の対角線の半分なのでOA=3√2です。
  2. 頂点S、O、Aの直角三角形でSA=5より、SO²=5²-(3√2)²=25-18=7です。したがって高さSO=√7です。
  3. 体積は(1/3)×底面積×高さ=(1/3)×36×√7=12√7です。
  4. 底辺の中点Mを取るとOM=3で、側面の高さSM=√(SO²+OM²)=√(7+9)=4です。
  5. 側面一枚の面積は(1/2)×6×4=12、四枚で48です。底面36を加えて表面積は84です。

誤りやすい点:側辺5、立体の高さ√7、側面三角形の高さ4は別の長さです。表面積では側面の高さ4を使います。


📝 この型が実際に出た入試問題(10問)

「空間図形の計量」の型が実際の入試でどう出たかを、数強塾が全問解説を公開している年度から拾いました。各行の「解説を読む」から、その問題の解説へ直接移動できます。型を読んだあとに実出題で当てると、どこまで通用する判断なのかがはっきりします。

大学・年度 出題テーマ 難易度 解説
奈良女子大学 2019年度 (生活環境学部) 正四面体の中の2つの角 標準 解説を読む
京都大学 2008年度 同一緯度の経路と大円の経路 やや難 解説を読む
昭和大学(数学) 2024年度 第2問(空間図形:直方体の平面切断と加法定理) 解説を読む
東邦大学(数学) 2022年度 第5問(空間図形:正三角形の内接円と球) 解説を読む
久留米大学(数学) 2021年度 第4問(空間図形:正四面体に内接する球の無限列と無限級数) 解説を読む
日本大学(数学) 2021年度 第4問(空間図形) 解説を読む
東京慈恵会医科大学(数学) 2020年度 第4問(空間図形) 解説を読む
順天堂大学(数学) 2016年度 第2問(空間図形) 解説を読む
慶應義塾大学(数学) 2007年度 第4問(空間図形と区分求積:三角形分割による面積和の最小化) 解説を読む
東邦大学(数学) 2003年度 〔A〕第3問(1)(立体の切断・線分の長さ) 解説を読む

難易度は数強塾の見立てです(「—」は難易度を掲載していない年度)。大学別の年度一覧と出題傾向は過去問解説の総索引から、この型の全体像は解法パターン事典のハブから確認できます。

要点辞典この単元の公式・定石・つまずきやすい所は 中1数学の要点辞典:空間図形 にまとめてあります。

オンライン数学専門塾 数強塾|プロ講師のみ・完全1対1指導・中高一貫校対応

数強塾オンラインのご案内

体験授業に申し込む入塾受け入れ状況(残席)数学つまずき診断(無料)体験授業の事前案内保護者の方へ高1・高2の方へ医学部志望の方へ保護者様からの声料金・指導システム指導事例・合格実績大学受験 合格実績(集計ルール開示)数強塾グループの理念学校別の数学対策数学の勉強法(記事一覧)数強塾プレミアム(映像授業)獣医学部専門コース鉄緑会・SAPIX等との併用サポート過去問解説・数学問題集毎日の数学(1日1枚 無料プリント)毎日の数学EX(難関大の名問を1日1問)共通テスト・センター数学の全問解説共通テスト「情報Ⅰ」の全問解説情報Ⅰ・情報Ⅱ専門「情報ラボ」情報の過去問アーカイブ(無料PDF)解法テクニック事典(公式・裏ワザ)入試数学の定石(解き方の型・全27章)数学の要点辞典まとめ(中1〜数学III)中1数学の要点辞典(全7単元)中2数学の要点辞典(全6単元)中3数学の要点辞典(全8単元)数学I・Aの要点辞典(全9単元)数学II・B・Cの要点辞典(全12単元)数学IIIの要点辞典(全7単元)論理と証明の要点辞典(全8章)2026年 夏期講習会2026年 冬期講習会代表・藤原進之介について
お問い合わせはこちら 学習相談は無料です