空間ベクトルの解法パターン全12型|型の見抜き方と入試実例(山口大・九州大・神戸大・千葉大・横国大・名工大)


空間ベクトルは、平面ベクトルの「続き」ではありません。増えるのは二つだけ――基底が3本になることと、「平面」という新しい対象が出てくること。この二つを押さえれば、平面で身につけた型(内分点・交点・内積・係数比較)はそのまま使えます。逆に、空間で手が止まるのはたいてい平面を式でどう表すかが定まっていないときです。このページは、空間ベクトルの解法を12の型に分けて並べた辞典です。型は当てはめるための箱ではなく、考える範囲を狭めて、そこから先に頭を使うための道具として並べています。

このページの12型

  1. 空間座標と成分(長さ・内積・なす角)
  2. 直線と平面の交点(係数比較)
  3. 共面条件(係数の和が1)
  4. 内積/垂直と正射影
  5. 2直線間の距離
  6. 三角形の面積
  7. 四面体の体積
  8. 球面と直線・球面と平面
  9. 平面の方程式(法線ベクトル)
  10. 垂線の足(点から直線・平面へ)
  11. 点と平面の距離
  12. 内積が一定=平面(条件の図形的翻訳)

1. 空間ベクトルの背骨——平面をどう式にするか

空間で新しく必要になるのは、たった一つの問いです。「平面を、どうやって式で表すか」。答えは二通りあり、この二つを使い分けられるかどうかで空間ベクトルの得点は決まります。

平面の表し方は二通り

① 中から張る(媒介変数表示) 点 A を通り が張る平面上の点は 。3点 A, B, C を通る平面なら

② 外から挟む(法線ベクトル) 平面に垂直なベクトル を1本決めると、平面は 、成分なら

どちらを選ぶかは、問われているもので決まる。「平面上のどこにあるか(比・内分)」を聞かれているなら①が向きます。係数がそのまま位置の情報だからです。いっぽう「垂直」「距離」「対称点」「どちら側にあるか」を聞かれているなら②が圧倒的に速い。法線ベクトルは、平面という2次元の対象を1本のベクトルで代表させる装置で、垂直も距離も符号も、すべて との内積1つで書けてしまいます。問題文に「垂線」「距離」「対称」の語があれば、まず を用意する――これが空間ベクトルの第一手です。

空間で一次独立が意味すること

が同一平面上になければ(一次独立なら)、空間のどのベクトルも ただ一通りに書けます。だから係数比較ができる。平面のときと理屈はまったく同じで、基底が2本から3本に増えただけです。

2. 座標を置くか、基底で押すか

空間ベクトルでは、この選択が平面以上に効きます。判断基準ははっきりしています。

A座標が与えられている/直交する3方向が自然に取れる → 成分計算で押し切る。

直方体・立方体・座標軸が絡む問題はこちら。内積も面積も体積も、成分に落とせば機械的に出ます(山口大学の実例)。

B四面体で「辺の比」だけが問われている →  を基底にして係数比較。

正四面体でも一般の四面体でも、比の問題は座標を入れると文字が増えて損をします。基底のまま押すと、内積の値すら使わずに答えが出ることが多い(神戸大学の実例)。

C「定点が2つ」「大きさと内積だけが与えられている」 → 座標を自分で設定してよい

条件が回転で不変なら、 軸上に置くなど都合よく固定できます。一般性を失わない、と一言添えれば減点されません(横浜国立大学の実例)。

3. 解法パターン全12型

型01 空間座標と成分

01成分にしたら、あとは平面と同じ

顔つき 3点の座標が与えられている、直方体や座標軸が出てくる。

中身 

成分が3つに増えても、公式は増えない 内積の定義も長さも、項が1つ増えるだけです。空間ベクトルの計算が重く感じるのは公式のせいではなく、図が描けないので方針が立たないから。成分に落とせば図を描く必要がなくなる、というのがこの型の最大の効用です。

隣の型との境界 座標が与えられていないのに無理に置くと文字が増えます。比だけが問われているなら型03へ。

型02 直線と平面の交点

022通りに表して、係数を比べる

顔つき 「平面 PQR と辺 AC の交点を S とする」。

中身 交点を「直線上の点」として1文字で、「平面上の点」として2文字で表し、一次独立を根拠に係数比較。

未知数3つ・式3本 直線のパラメータ1つと平面のパラメータ2つで未知数は3つ、基底が3本なので係数比較の式も3本。必ず解けることが最初から分かっているので、途中で不安になりません。平面ベクトルの型02とまったく同じ構造です。

手順 ① 直線上の点として表す → ② 平面上の点として表す → ③ 一次独立を宣言して係数比較 → ④ 連立

型03 共面条件

03係数の和が1なら同一平面上

顔つき 「4点が同一平面上にあることを示せ」「点 P が平面 ABC 上にある条件」。

中身  のとき、P が平面 ABC 上

なぜ「和が1」なのか 平面 ABC 上の点は と書けます。これを展開すると で、係数の和は 直線のときの「係数の和が1」が、そのまま平面に持ち上がっているだけです。三角形の内部なら、さらに3つの係数がすべて正。

注意係数の和が1になるのは、始点 O が平面上にないときの話。

始点を平面上の点にとってしまうと条件が崩れます。共面条件を使うときは、始点が平面の外にあることを確認してください。

型04 内積/垂直と正射影

04「垂直」は内積0、それだけで足りる

顔つき 「 平面」「」。

中身 未知点をパラメータ1つで表し、内積 を立てる。平面への垂直なら、平面を張る2本それぞれとの内積を0にする(式2本)。

正射影の公式は覚えなくてよい  方向への正射影は ですが、これは「 とおいて を解く」だけで出ます。公式を思い出すより、その場で2行書くほうが速くて確実です(九州大学の実例)。

型05 2直線間の距離

05両方に垂直になる線分をとる

顔つき 「ねじれの位置にある2直線の距離を求めよ」。

中身 各直線上の点を と表し、両方の方向ベクトルと垂直になるよう2式を立てる。

なぜ「両方に垂直」で最短になるのか  の2変数関数と見ると、これは下に凸な2次関数です。最小になるのは偏微分が0のところで、その条件を書き下すとちょうど「両方の方向ベクトルと垂直」になります。最短距離の条件が垂直条件と一致するのは偶然ではない――これは点と直線、点と平面でも同じ構造です。

型06 三角形の面積

06根号の中は「長さの積の2乗 − 内積の2乗」

顔つき 「 の面積を求めよ」。

中身 。平面でも空間でも同じ式が使えます。

を経由しないこと  から入ると、 を出して と二重の根号になりがちです。上の式はその計算を1回で済ませた形。長さの2乗と内積さえ出ていれば、代入するだけで面積が出ます(山口大学の実例)。

型07 四面体の体積

07底面積と高さ、または成分の行列式

顔つき 「四面体 OABC の体積を求めよ」。

中身 (体積)= (底面積)(高さ)。高さは「頂点から底面へ下ろした垂線の長さ」=点と平面の距離(型11)。座標があるなら成分の行列式でも出ます。

高さを出す手間をどう省くか 高さは、法線ベクトル を1本用意すれば で一発です。垂線の足の座標を求める必要はありません。「高さ=法線方向の成分」と読みかえるのが、空間の体積問題の要です。

型08 球面と直線・球面と平面

08中心からの距離と半径を比べる

顔つき 「球面と直線が接する条件」「球面と平面の交わりの円の半径」。

中身 中心 、半径 の球面と、対象までの距離 を比べる。交われば断面の円の半径は

2次元の円の議論がそのまま持ち上がる 「円と直線の位置関係は中心と直線の距離で決まる」を、球面と平面に置きかえただけです。空間の球面の問題は、断面をとって円の問題に落とすのが定石。断面をとるとは、球の中心を含む平面で切ることです。

隣の型との境界 外接球の中心は「4頂点から等距離」で決まります。等距離条件を2乗して立てると1次式になり、連立で中心が求まります(千葉大学の実例)。

型09 平面の方程式

09法線ベクトルを1本決めれば平面が決まる

顔つき 「平面 に垂直なベクトルを求めよ」「平面の方程式を求めよ」。

中身  とおき、平面を張る2本との内積を0にして を決める。平面は

連立を解くだけ、が正攻法  についての2本の1次方程式で、未知数3つに対して式2本なので比だけが決まる(大きさは自由)。だから「 成分を1とする」「長さを とする」といった条件が後から付くのです。外積を知っていれば一発ですが、教科書の範囲では連立で出すのが標準です。

型10 垂線の足

10条件を「表現」と「方程式」に分ける

顔つき 「A から直線 CD に下ろした垂線の足 G を求めよ」「点から平面への垂線の足 H」。

中身 直線なら と1文字で表現し、 の1本で決める。平面なら と表現し、H が平面上という条件で決める。

2つの条件を役割分担させる 垂線の足は「その図形上にある」+「垂直」の2条件で決まります。前者を表現に、後者を方程式に使うと、未知数1つ・式1本にきれいにそろう。平面への垂線では、この分担が逆( 方向という表現+平面上という方程式)になるのが面白いところです(九州大学の実例)。

型11 点と平面の距離

11法線方向の成分の大きさ

顔つき 「点 P と平面 の距離を求めよ」「四面体の高さ」。

中身 平面上の1点を A、法線を として 。成分なら

絶対値を外すと「どちら側か」が分かる 絶対値を付ける前の 符号付きの高さで、正なら 側、負なら反対側。「2点が平面に関して同じ側にある」という条件は、この符号が同じということです。距離を求める公式は、同時に「どちら側か」を判定する道具でもある――ここに気づくと、対称点や最短経路の問題が一段軽くなります。

型12 内積が一定=平面

12条件式を図形の言葉に読み替える

顔つき 「 をみたしながら P が動く」。

中身  は、 に垂直な平面を表す。 と組み合わせると円周、 と組み合わせると円板になる。

なぜ平面になるのか  方向の成分(正射影の長さ)が で一定、ということだからです。「ある方向の成分が一定」=「その方向に垂直な平面」。この一行の翻訳ができると、条件式だけで点の動く範囲が図として見えます。空間の軌跡・通過範囲の問題は、ほぼこの翻訳で始まります(横浜国立大学の実例)。

4. 実際の入試で確かめる

全12型のうち、入試の実例がついているのは8型1マスが1つの型です。青いマスは、下にある入試の実例で確かめている型です白いマスは、下にある入試の実例では扱っていない型です010203040506070809101112解法パターン12型入試の実例で確かめる8型下の実例にない4型8 + 4 = 12型。この図は下にある入試の実例が扱う型を数えたものです入試の実例は6問。実例の数と型の数は必ずしも一致しません

この単元の解法パターンは全12型で、下にある入試の実例6問で確かめているのは8型です。残りの4型は、下にある実例では扱っていません。1問が複数の型にまたがることも、同じ型を複数の実例で扱うこともあるため、実例の数と型の数は必ずしも一致しません。

ここからは実際に出題された問題で型を確かめます。問題文は各大学が公表した入試問題を、解説のために引用したものです。解答・解説は数強塾が独自に作成したもので、大学公表の解答ではありません。掲載しているすべての数値は、当塾で独立に解いたうえで Python による検算を行っています。

山口大学 2018年度 前期日程 ―― 型01・06・07・09。成分計算のフルセット

【問題】山口大学 2018年度 前期日程

空間内の3点 について、次の問いに答えなさい。

(1) とするとき、 の値を求めなさい。

(2) の面積 を求めなさい。

(3) を含む平面に垂直なベクトルを と表すとき、 の値をそれぞれ求めなさい。

(4) 原点を O とするとき、四面体 OABC の体積 を求めなさい。

【解答】

(1)  (2)  (3)  (4)

まず使う材料をそろえます。この3つを最初に書いてしまえば、以降は代入するだけです。

(1) 

(2) 型06。 を経由せず、面積の式に直接代入します。

(3) 型09。 が両方に垂直という条件を書き下します。

連立して 。法線は です。

成分を1と指定してあるのは、法線の「大きさが自由」だからです(型09)。この指定があるおかげで答えが一つに定まります。

(4) 型07・型11。底面を とすると、高さは原点 O と平面 ABC の距離です。

誘導の意味を読む。この問題は (1)→(2)→(3)→(4) が完全に一本道で、(3) の法線が (4) の高さを出すために用意されていることに気づけるかが分かれ目です。「なぜここで法線を求めさせるのか」と一度立ち止まれば、(4) で垂線の足を探すという遠回りをせずに済みます。誘導つきの問題では、前問の答えが次でどう使われるかを先に予想すると、計算の道筋が短くなります。

九州大学 2017年度 前期日程 ―― 型10。表現と方程式に役割を分ける

【問題】九州大学 2017年度 前期日程

2つの定数 および に対し、座標空間内の4点を と定める。以下の問いに答えよ。

(1) 点 A から線分 CD におろした垂線と CD の交点を G とする。G の座標を を用いて表せ。

(2) さらに、点 B から線分 CD におろした垂線と CD の交点を H とする。 がなす角を とするとき、 を用いて表せ。

【解答】

(1)  (2)

(1) G は線分 CD 上にあるので、1文字で表現します(型10)。

残る条件は垂直の1本だけです。 なので

なので G は線分の内部にあり、場合分けは不要です。

(2) 同じ計算を B について行うと、 を入れかえた形になっているのが目印です。 とおくと

横の成分が符号だけ逆で、 成分は同じ。ここに気づけば計算は一瞬です。

2つの長さが等しいので、分母の根号が外れます。

対称性に気づくと計算量が半分になる。この問題は A と B、 について完全に対称です。だから (1) を解いた時点で (2) の は「答えの を入れかえたもの」だと分かる。「同じ計算をもう一度やらされているな」と感じたら、対称性を疑う――これは計算を減らすだけでなく、検算にもなります。実際、 を代入すると となり、 が対称な位置にあることと整合します。

神戸大学 2016年度 前期日程 ―― 型02・型03。基底のまま押し切る

【問題】神戸大学 2016年度 前期日程

四面体 OABC において、P を辺 OA の中点、Q を辺 OB を に内分する点、R を辺 BC の中点とする。P, Q, R を通る平面と辺 AC の交点を S とする。 とおく。

(1) をそれぞれ を用いて表せ。

(2) 比 を求めよ。

(3) 四面体 OABC を1辺の長さが1の正四面体とするとき、 を求めよ。

【解答】

(1)  (2)  (3)

(1)  から差をとるだけです。

(2) ここが本題。S を2通りに表します(型02)。

平面 PQR 上の点として

一方 S は辺 AC 上なので この式には が現れません。これが決め手です。

残りの係数を比べて

これを解くと 。すなわち

(3) 正四面体なので 、内積はすべて この「内積表」を先に書いてしまうのが型01の作法です。

の係数が0」が全部を決めている。この問題で座標を置くと、四面体の頂点に文字が増えて手に負えなくなります。基底のまま押すと、辺 AC 上の点には が現れないという一点だけで方程式が1本立ち、そこから芋づる式に決まる。「その図形上の点は、どの基底を含まないか」を先に見る――これが空間の交点問題でいちばん効く着眼です。

千葉大学 2012年度 前期日程 ―― 型08。外接球を1次元の問題に落とす

【問題】千葉大学 2012年度 前期日程

および を満たす四面体 がある。

(1) を求めよ。

(2) の外接円の半径を求めよ。

(3) 4つの頂点 が同一球面上にあるとき、その球の半径が最小になるような実数 の値を求めよ。

【解答】

(1)  (2)  (3) (このとき球の半径は最小値

(1) 余弦定理。 より

(2) 正弦定理。

(3) ここが山です。条件を図形の言葉に翻訳するところから始めます。

が意味すること

O は A, B, C から等距離 O は の外心 M を通り、平面 ABC に垂直な直線上にある。

外接球の中心も A, B, C から等距離なので、同じ直線上に乗る

つまり、この問題は1本の直線上の1次元の問題に落ちます。外心 M を原点、平面 ABC に垂直な方向を 軸にとりましょう。O の高さを 、球の中心の高さを とすると

球の半径 なので、整理すると

相加平均・相乗平均の関係から

等号は のとき。よって で最小値 、このとき

変数を取りかえる一手。 のまま微分しても解けますが、高さ をパラメータに取り替えると相加相乗が使える形になり、微分せずに済みます。「 が動く」を「 が動く」に翻訳できるのは、 で単調増加だからです。最大最小では、動かす変数を自分で選び直してよい――この自由度を使えるかどうかで、計算量が大きく変わります。

横浜国立大学 2017年度 前期日程 ―― 型12。内積の条件を平面と読む

【問題】横浜国立大学 2017年度 前期日程

空間に2つの定点 O, A があり、 をみたしている。また、2点 P, Q は次の条件をみたしながら動く。

(1) の最小値を求めよ。

(2) のとり得る値の範囲を求めよ。

(3) 線分 PQ が通過してできる部分の体積を求めよ。

【解答】

(1)  (2)  (3)

条件が だけなので、座標を自分で決めてよい(型:判断B・C)。 と固定します。一般性は失われません。

すると条件が一気に図になります。

条件 座標での意味 図形
すなわち 平面
軸からの距離を として 半径4の円板
すなわち 平面
軸からの距離を として 半径2の円周

(1) P は平面 上にあるので 。軸上()のとき等号が成り立つので最小値は

(2) P と Q の 座標の差はつねに 。横方向の距離を とすると

P は半径4の円板上、Q は半径2の円周上なので、横方向の距離 から までを連続的に動きます。よって

(3) 線分 PQ 上の点は、 座標で内分比が一意に決まります。)とおくと、その点は

断面(平面 での切り口)は、「半径 の円周」と「半径 の円板」を足し合わせた図形になります。中心からの距離は を中心に の範囲を動くので

  • 、つまり のとき:内半径 、外半径 円環。面積は
  • のとき:中心まで届くので円板。面積は

に注意して積分します。

「内積が一定」を見た瞬間に平面と読む。この問題は、条件式を図形に翻訳できるかどうかがすべてです。 を「 方向の成分が一定」=「垂直な平面上」と読めれば、あとは平面2枚とその上の円・円板という見える図になります。翻訳できないと、最後まで式のまま迷走することになる。空間の通過範囲は「まず断面をとる」――そして断面がとりやすいように座標を選ぶ。この2手が (3) の骨格です。

名古屋工業大学 2018年度 前期日程 ―― 型09・型11の総合(発展)

【問題(要約)】名古屋工業大学 2018年度 前期日程

座標空間内の3点 を通る平面を とする。 上にない2点 C, D は、 に関して同じ側にあり、C から に下ろした垂線の足 E について半直線 OE が の二等分線であること、D から下ろした垂線の足 F について半直線 AF が辺 OB を に内分する点 H を通ること、および が成り立つ。 とする。

(1) (G は OE と辺 AB の交点、OE を に内分)を で表し、G の座標を求めよ。

(2) 平面 に垂直で長さ のベクトルを1つ求めよ。

(3) C から 上の点を通って D へ行く最短経路が通る点 P について、 で表せ。

(4) P が の内部にあるための の範囲を求めよ。

【解答】

(1)  (2)  (3)  (4)

ここでは骨格だけ示します。3つの型が順に効いているのが見どころです。

  • (1) 型04(二等分線)  を先に出し、二等分方向 の実数倍のうち係数の和が1になるもの(=辺 AB 上)を選ぶと
  • (2) 型09(法線)  を解いて比 を得る。長さがちょうど なので、そのまま答え。
  • (3) 最短経路=鏡像 平面上の1点を経由する最短経路は、片方を平面に関して折り返すのが定石。C の鏡像を とすれば で、P は線分 の交点。
  • 符号付きの高さが効く  から 、D は の高さにあるので、高さを0にする内分比は 平面への正射影は内分比を保つので、。ここで条件 がちょうど効きます。
  • (4) 型03(内部の条件)  の形で を解くと

難問の正体は、型の連結。この問題を「難しい」と感じるのは、二等分線・法線・鏡像・内部条件という4つの型が数珠つなぎになっているからで、一つひとつはどれも標準的です。空間の難問はたいていこの構造をしています。だから対策は「難問を解く」ことではなく、型どうしのつなぎ目を意識して標準問題を解くことになります。

5. よくある質問

Q1. 空間の図が想像できません。

A. 想像しなくて解けるようにするのがベクトルです。座標が与えられていれば成分計算に、比が問われていれば基底の係数比較に落としてください。図はあくまで方針を決める補助で、計算を支えるのは式のほうです。

Q2. 座標を自分で置いてよいのは、どんなときですか。

A. 条件が回転や平行移動で変わらないときです。「定点が2つあって距離だけ与えられている」「直交する3方向が自然に取れる」なら置いて構いません。答案には「一般性を失わないので」と一言添えてください。

Q3. 法線ベクトルは外積で求めてよいですか。

A. 検算に使うのは有効ですが、答案では の連立で求めるのが標準です。連立でも3行で終わりますし、「大きさは自由」という構造も見えます。

Q4. 四面体の体積で、高さの出し方が分かりません。

A. 垂線の足を求める必要はありません。法線 を1本用意して とするだけです。高さ=法線方向の成分、と覚えてください。

Q5. 型を覚えれば初見の空間問題も解けますか。

A. 型は考えなくて済ませる道具ではなく、考える範囲を狭めるための道具です。狭めたあとは自分で考える必要があります。実際、本ページの千葉大学の問題は「 ではなく高さ を動かす変数に取り替える」と自分で判断する必要がありました。型を持っている人は、白紙のまま全部を考えずに済むという差が出ます。

6. 次に読むページ

空間ベクトルで手が止まる人へ

空間が苦手な生徒のほとんどは、空間把握が弱いのではなく「平面を式でどう表すか」が定まっていないだけです。数強塾では、問題を読んだ直後に「法線でいくか、係数でいくか」を宣言させるところから指導しています。オンラインの完全1対1で、プロ講師のみが担当します。

数強塾オリジナル 追加演習12問|12の型を、数字を変えてもう一度

上の12の型を、設定と数値を変えた自作問題で1問ずつ確かめます。問6〜問11は同じ四面体の上で進みます。。面積・体積・平面の式・垂線の足・距離が、1つの図形の上でどうつながるかを見てください。

問1(型01 空間座標と成分)

とする。 を求めよ。

解答

成分は「終点 − 始点」。長さは三平方の定理を2回使った形で、成分の2乗を全部足して根号をとるだけ。

問2(型02 直線と平面の交点)

直線 と平面 の交点を求めよ。

解答

直線上の点は 。平面の式に代入すると

より

交点は

(検算:。平面上にある。直線をパラメータで書いて平面の式に放り込む——それだけの型。)

問3(型03 共面条件)

4点 が同一平面上にあるとき、 を求めよ。

解答

A, B, C を通る平面は、切片形で

D を代入して 、よって

(別解: と書けることが共面条件。成分で3本の式を作っても同じ答えになる。切片形が使えるのは、平面が3つの軸を切るとき。)

問4(型04 内積/垂直と正射影)

とする。(1) なす角の余弦を求めよ。(2) 方向への正射影ベクトルを求めよ。

解答

(1)

(2) 正射影は

割るのは であって ではない を掛けたときに長さが1回ぶん戻るため。)

問5(型05 2直線間の距離)

直線 と 直線 の距離を求めよ( は実数)。

解答

の方向は の方向は 。平行ではないので、ねじれの位置にある。

両方に垂直な向きは 上の点 上の点 を結ぶベクトルは

距離は、このベクトルの 方向成分の大きさ: 1

2直線間の距離=共通垂線方向への正射影の長さ。図で見れば、 平面上、 は高さ1の平面上にあり、高さの差1がそのまま答え。)

問6(型06 三角形の面積)

を頂点とする三角形の面積を求めよ。

解答

(この公式は を入れたもの。空間でも平面でも同じ形で使える。)

問7(型07 四面体の体積)

を頂点とする四面体の体積を求めよ。

解答

3辺が座標軸に沿っているので、直方体を切り出す形で考えられる。

底面を三角形OAB とすると、面積は 。高さは OC の長さ 3。

1

錐体の体積に が付くのは空間でも同じ。座標軸に沿った四面体なら と一発で出る。)

問8(型08 球面と平面)

球面 と平面 の交わりはどんな図形か。中心と半径を求めよ。

解答

を代入すると

これは平面 上ので、中心 、半径 4

(球の中心から平面までの距離 3 と、球の半径 5 と、切り口の半径 4 が を満たしている。切り口の半径は三平方の定理で出ると覚えると速い。)

問9(型09 平面の方程式)

を通る平面の方程式を求めよ。また、その法線ベクトルを1つ答えよ。

解答

切片形より 。分母を払って

法線ベクトルは の係数を並べた

(検算:A を代入して 、B で 、C で 。3点とも通る。平面 の法線は ——直線 の法線が なのと同じ構造。)

問10(型10 垂線の足)

原点から平面 に下ろした垂線の足Hの座標を求めよ。

解答

H は原点から法線 の方向に進んだ点なので と置ける。

平面の式に代入して 、よって

「法線方向に t 進む」と1文字で置けるのが垂線の足の急所。3文字置いて連立させる必要はない。)

問11(型11 点と平面の距離)

原点と平面 の距離を求めよ。また問10の結果と矛盾しないことを確かめよ。

解答

点と平面の距離の公式より

問10の H について 。一致する。

(公式を忘れても、垂線の足を出して長さを測れば同じ答えが出る。公式は「その計算を一気にやる近道」にすぎない。)

問12(型12 内積が一定=平面)

とする。 を満たす点Pの集合はどんな図形か。原点との距離も求めよ。

解答

とすると条件は 。これは平面の方程式である。

原点との距離は 3

「内積が一定」は平面、「距離が一定」は球面。内積 方向への正射影の長さ× なので、これが一定とは「 方向の高さが一定」=平面、という意味。)

「なぜその計算でよいのか」を理由から確かめる

この単元をもっと解く

上の12問はすべて数強塾が作成した自作問題です。実在の入試問題の再現ではありません。

大学受験数学|空間ベクトル

空間の平面・直線・距離・体積を結ぶ4つの独自演習

三点から平面を定め、直線との交点、点から平面への垂線、四面体の体積へ進みます。外積や行列式を公式暗記で終わらせず、代入で再確認します。

大学受験の空間ベクトルで頻出の、平面方程式・直線と平面の交点・点と平面の距離・四面体の体積を、座標設定から丁寧に学べます。

図は左右にスクロールして全体を確認できます。

空間内の平面と法線ベクトル三点A、B、Cを通る平面、法線ベクトルn、平面を横切る直線と交点Hの関係を模式的に示した図。 ABCHn直線ℓ
三点A、B、Cを通る平面、法線ベクトルn、平面を横切る直線と交点Hの関係を模式的に示した図。

問1|三点から平面方程式を作る

難度:標準確認点:法線ベクトル

空間内の三点A(1,0,2)、B(3,1,0)、C(0,2,1)を通る平面の方程式を求めよ。

問1「三点から平面方程式を作る」の解答・詳しい考え方を開く

答え:3x+4y+5z=13

  1. 平面内の二方向としてAB=(2,1,-2)、AC=(-1,2,-1)を作ります。
  2. 法線ベクトルn=(u,v,w)はAB、ACの両方と垂直なので、2u+v-2w=0、-u+2v-w=0を満たします。
  3. この連立方程式の一つの整数解はn=(3,4,5)です。実際に内積は6+4-10=0、-3+8-5=0です。
  4. 点Aを通ることから3(x-1)+4y+5(z-2)=0、整理して3x+4y+5z=13です。

誤りやすい点:法線ベクトルを求めただけで定数項を決め忘れないようにします。最後にA、B、Cを代入し、すべて左辺が13になることを確認します。

問2|直線と平面の交点を求める

難度:標準確認点:媒介変数の代入

直線ℓ:(x,y,z)=(2,-1,1)+t(1,2,-1)と平面α:3x+4y+5z=13の交点Hを求めよ。

問2「直線と平面の交点を求める」の解答・詳しい考え方を開く

答え:t=1、H(3,1,0)

  1. 直線上の点はx=2+t、y=-1+2t、z=1-tと表せます。
  2. これを平面の左辺へ代入すると3(2+t)+4(-1+2t)+5(1-t)=7+6tです。
  3. 平面上では7+6t=13なので、t=1です。
  4. 直線の式へ戻すとH=(2,-1,1)+(1,2,-1)=(3,1,0)です。平面へ代入すると9+4=13となります。

誤りやすい点:方向ベクトルのz成分は-1です。5(1-t)の符号を落とすと交点がずれるため、求めた点を平面と直線の両方へ戻します。

問3|点から平面への垂足と距離

難度:標準確認点:法線方向への射影

点D(2,3,4)から平面α:3x+4y+5z=13へ下ろした垂線の足Hと、Dからαまでの距離を求めよ。

問3「点から平面への垂足と距離」の解答・詳しい考え方を開く

答え:H(1/2,1,3/2)、距離5√2/2

  1. 平面の法線ベクトルはn=(3,4,5)なので、垂足をH=D-λnと置きます。
  2. Hを平面へ代入すると、3(2-3λ)+4(3-4λ)+5(4-5λ)=13です。
  3. 左辺は38-50λなので、38-50λ=13からλ=1/2です。よってH=(1/2,1,3/2)です。
  4. 距離DHは|λ|・|n|=(1/2)√(3²+4²+5²)=√50/2=5√2/2です。
  5. 確認として、Hを平面へ代入すると3/2+4+15/2=13になります。

誤りやすい点:距離公式の分子は|3・2+4・3+5・4-13|=25です。定数13を引き忘れないよう、垂足を求める方法と照合します。

問4|行列式で四面体の体積を測る

難度:発展確認点:スカラー三重積

O(0,0,0)、B(2,0,1)、C(1,3,0)、D(0,1,4)を頂点とする四面体OBCDの体積を求めよ。

問4「行列式で四面体の体積を測る」の解答・詳しい考え方を開く

答え:25/6

  1. OB=(2,0,1)、OC=(1,3,0)、OD=(0,1,4)を三辺として使います。
  2. これらが作る平行六面体の符号付き体積は行列式det[[2,1,0],[0,3,1],[1,0,4]]です。
  3. 第1行で展開すると2(3×4-1×0)-1(0×4-1×1)=24+1=25です。
  4. 四面体の体積は同じ三辺の平行六面体の1/6なので、25/6です。

誤りやすい点:行列式25をそのまま四面体の体積にしないようにします。三角すいでは底面の1/2と高さ方向の1/3が合わさり1/6です。


📝 この型が実際に出た入試問題(75問のうち24問を掲載)

「空間ベクトル」の型が実際の入試でどう出たかを、数強塾が全問解説を公開している年度から拾いました。各行の「解説を読む」から、その問題の解説へ直接移動できます。型を読んだあとに実出題で当てると、どこまで通用する判断なのかがはっきりします。

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難易度は数強塾の見立てです(「—」は難易度を掲載していない年度)。大学別の年度一覧と出題傾向は過去問解説の総索引から、この型の全体像は解法パターン事典のハブから確認できます。

要点辞典この単元の公式・定石・つまずきやすい所は 数学II・B・Cの要点辞典:ベクトル にまとめてあります。

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