極限の解法パターン全15型|不定形の崩し方とはさみうち・入試実例(東北大・信州大・神戸大・名工大・山口大・島根大)


極限は「近づけていく」という操作なので、代入して終わりにできません。だからこの分野の技術は、不定形をどう崩すかという一点に集約されます。そして直接崩せないときの最後の手がはさみうち――これは「値を求めずに値を決める」という、数学のなかでもとくに強力な論法です。このページは、極限の解法を15の型に分けて並べた辞典です。型は当てはめるための箱ではなく、考える範囲を狭めて、そこから先に頭を使うための道具として並べています。

このページの15型

  1. 分数形の極限(最も強い項でくくる)
  2. 根号を含む極限(有理化する)
  3. の極限(底の絶対値で場合分け)
  4. 三角関数の極限(
  5. がらみの極限
  6. 微分係数の定義に帰着させる
  7. 極限が存在するように定数を定める
  8. はさみうちの原理
  9. 不等式を作って評価する
  10. 数列の極限/漸化式から
  11. 無限級数(部分和の極限)
  12. 無限等比級数と図形
  13. 差の形にして和を求める(望遠鏡和)
  14. 区分求積法
  15. 積の極限は対数をとる
  16. 北大の良問 017|同時に0へ近づく量を差商で読む
  17. 北大の良問 025|転がる正多角形を円弧の和で測る

1. 背骨——不定形を崩す4つの手

不定形の種類と、崩し方

 → 分子分母を最も強い項でくくる(または割る)

 → 根号なら有理化、多項式なら最高次でくくる

 → 因数分解して約分、または微分係数の定義と読む

 → 対数をとる、または の定義に帰着

「不定形」とは何か。 が不定形と呼ばれるのは、分子と分母の増え方の競争で答えが変わるからです。。だから「どちらがどれだけ強いか」を測る必要がある。最も強い項でくくるという操作は、まさにその強さを測っているのです。「 を代入して だから分からない」で止まらず、強さの比を取り出す――これが第一手です。

増え方の強さの序列(

この序列を知っていれば、 は「指数のほうが強いから」と即断できます。ただし答案では、その理由(不等式による評価)を書く必要があります(山口大学の実例)。

2. はさみうち——値を求めずに値を決める

はさみうちの原理

ならば

なぜこれが必要なのか。 の式が複雑すぎて直接計算できないとき、「上と下から押さえるだけなら簡単な式でできる」ことがあります。たとえば は直接計算できませんが、二項定理で分母を下から評価すれば上から押さえられる。「求める」代わりに「挟む」――これがはさみうちの発想です。

挟むための不等式を作る道具は、たいてい次の3つです。二項定理で1項だけ残す微分して基本不等式を作る など)/積分を長方形で挟む

3. 解法パターン全15型

型01 分数形の極限

01最も強い項でくくる

顔つき 

中身 分子分母を最高次(または最も強い項)で割る。

くくる項の選び方 多項式なら最高次、指数が混ざるなら底が最大のもの、根号があれば根号の中の最高次の平方根。「どれがいちばん強いか」を見極めてから割る――序列表(前掲)がそのまま判断基準になります。 のときは となる点に注意してください。

型02 根号を含む極限

02有理化して差を積に変える

顔つき 

中身 。分子が簡単になり、分母が になるので極限が計算できる。

有理化は「根号の差を、中身の差に変える」装置  のままでは何も言えませんが、有理化すると分子が という多項式になります。差が積の形になり、分母が大きくなることで不定形が解消する。この操作は数列の不等式評価でも同じように使いました。

型03  の極限

03底の絶対値と1の大小で場合分け

顔つき  が文字)。

中身  なら なら なら なら振動。

場合分けの境目は   に文字が入っていたら、必ず を分けます。 だけ振動して極限が存在しないので、これを書き忘れないこと。分数形なら「大きいほうで割る」と各場合が見やすくなります。

型04 三角関数の極限

04 の形を作る

顔つき 

中身 角と分母をそろえる。 と変形する。

は有理化で に変える  なので、型02の有理化がここでも効いています。 以外(たとえば )なら、 と置きかえて0に寄せるのが第一手です。

型05  がらみの極限

05 の形に寄せる

顔つき 

中身 

3つとも同じ事実の言いかえ  は「 における微分係数が1」ということ。 はその逆関数版。」という近似として覚えておくと、どの形が出てきても対応できます。

型06 微分係数の定義に帰着させる

06 を見たら定義式を疑う

顔つき 

中身  の形に持ちこむ。足りなければ を足して引く。

「増分の比」の形を探す 分子が「 の値どうしの差」で、分母がその差に対応していれば微分係数です。係数がずれていても、分母を調整すればよい)。微分法の型01と同じ操作です。

型07 極限が存在するように定数を定める

07分母が0なら分子も0でなければならない

顔つき 「 となる 」。

中身 分母 で極限が有限値なら、分子も 。これで1本目の条件が出る。

必要条件から入る もし分子が0でない値に近づくなら、分数は発散してしまいます。だから「分子 」が必要条件。ここから の関係を1本出し、あとは実際に極限を計算して残りの条件を出す――必要条件で絞ってから十分性を確認する、という往復です。

型08 はさみうちの原理

08上下から簡単な式で押さえる

顔つき 

中身  かつ なら 。有界な量が絡むときの標準手。

挟む不等式をどう作るか 三角関数なら という有界性。指数なら二項定理で1項だけ残す。「上から押さえる式は、必要な精度ぎりぎりまで粗くてよい」―― なら分母を オーダーで押さえれば十分で、それ以上精密にする必要はありません(山口大学の実例)。

型09 不等式を作って評価する

09微分して基本不等式を作る

顔つき 「 を示し、それを使って極限を求めよ」。

中身 差を関数とおいて増減を調べ、不等式を作る。それをはさみうちに使う。

不等式は極限のための道具 誘導で不等式を証明させる問題は、ほぼ確実に次の設問ではさみうちに使います。「なぜこの不等式なのか」を考えると、何と何で挟みたいのかが見えます。信州大学の問題(後掲)では、 で挟むことで、積の極限を和の極限に落としています。

型10 数列の極限/漸化式から

10不動点との差が縮むことを示す

顔つき 「 が収束することを示し極限を求めよ」。

中身  の解 を出し、)を示す。

「解けない漸化式」でも極限は出せる 一般項が求まらなくても、不動点との差が等比的に0に近づくことを示せば収束が言えます。差を作るときは有理化して の形にするのが定石(名古屋工業大学の実例)。先に収束を確定させてから漸化式で極限値を求める――順序が逆だと論理が飛びます。

型11 無限級数

11部分和を求めてから極限をとる

顔つき  を求めよ。

中身 部分和 を先に求め、 とする。定義そのもの。

無限個を一度に足すことはできない 無限級数の値は「部分和の極限」と定義されています。だからまず有限個の和を閉じた式で書くのが必須。書けなければ、望遠鏡和(型13)か等比級数(型12)に持ちこむ、という順で考えます。

型12 無限等比級数と図形

12相似比を見つけて公比にする

顔つき 「球に内接する立方体、その立方体に内接する球…を繰り返す」。

中身  のとき 。図形の問題では相似比が公比になる。

長さの比と、面積・体積の比を取りちがえない 半径の比が なら、体積の比は 何の和を求めるかで公比が変わります(島根大学の実例)。相似な操作の繰り返しでは、比を1回だけ求めれば十分――これが図形と級数の融合問題の骨格です。

型13 差の形にして和を求める

13部分分数分解して、途中を消す

顔つき 、分母が積の形。

中身  の形にすれば、部分和は両端だけ残る。

注意係数の和が0でないと発散する。

の形なら、 が収束の条件です。0でなければ が残り、調和級数として発散します(神戸大学の実例)。部分分数分解したら係数の和を確認するのが検算になります。

型14 区分求積法

14 をくくり出して を作る

顔つき 

中身 

が出るまで変形する  は一見この形ではありませんが、 をくくり出す になります。 をくくり出し、残りが だけの式になるか」を確かめる――これが区分求積を使える条件です(信州大学の実例)。

型15 積の極限は対数をとる

15積を和に変えてから極限をとる

顔つき 

中身  をとると という和になる。極限を求めてから を戻す。

積のままでは扱えない 無限個の積は、部分積の極限として定義されますが、直接評価するのは困難です。対数をとれば和になり、はさみうちや区分求積が使えるようになる。そして (型05)なので、 が求まれば答えが出る――信州大学の問題は、まさにこの流れで設計されています。

4. 実際の入試で確かめる

全15型のうち、入試の実例がついているのは8型1マスが1つの型です。青いマスは、下にある入試の実例で確かめている型です白いマスは、下にある入試の実例では扱っていない型です010203040506070809101112131415解法パターン15型入試の実例で確かめる8型下の実例にない7型8 + 7 = 15型。この図は下にある入試の実例が扱う型を数えたものです入試の実例は6問。実例の数と型の数は必ずしも一致しません

この単元の解法パターンは全15型で、下にある入試の実例6問で確かめているのは8型です。残りの7型は、下にある実例では扱っていません。1問が複数の型にまたがることも、同じ型を複数の実例で扱うこともあるため、実例の数と型の数は必ずしも一致しません。

ここからは実際に出題された問題で型を確かめます。問題文は各大学が公表した入試問題を、解説のために引用したものです。解答・解説は数強塾が独自に作成したもので、大学公表の解答ではありません。掲載しているすべての数値は、当塾で独立に解いたうえで Python による検算を行っています。

信州大学 2019年度 前期日程 ―― 型09・型14・型15。3つの型が一本につながる

【問題】信州大学 2019年度 前期日程

(1) において、 が成り立つことを示しなさい。

(2) 極限 を求めなさい。

(3) 自然数 に対して とおく。極限 を求めなさい。

【解答】

(1) 差を微分して増減を調べる (2)  (3) (約

(1) 2つの不等式を、それぞれ差の関数の増減で示します(型09)。

とおくと )。 なので 、すなわち

とおくと なので

微分して積の形(分数の形)まで整理すると符号が一目で読めるのがポイントです。

(2)  をくくり出します(型14)。

これで区分求積の形になりました。

(高校の範囲では と置換して とします。)

上端は 、つまり なので、広義積分にはならず素直に評価できます

(3) 積のままでは扱えないので対数をとります(型15)。

ここで (1) の不等式を各項に適用します。これが誘導の意図です。

誤差項を評価します。 より なので

両端がともに に収束するので、はさみうちより 。したがって

(1)(2) が (3) の部品として完全に設計されている。(1) は「 で近似したときの誤差が 以下」という主張で、これが和と積を橋渡しします。(2) は の値そのもの。誘導つきの問題では、前問が「次の問いのどの部分に入るか」を先に見当をつけると、道筋が一気に短くなります。この問題は、その典型例です。

山口大学 2016年度 前期日程 ―― 型08。挟むための不等式を自分で作る

【問題】山口大学 2016年度 前期日程

を自然数とする。

(1) のとき、次の不等式が成り立つことを証明しなさい。

(2) のとき、極限値 を求めなさい。

【解答】

(1) 二項展開の の項だけを残す (2)

(1) 二項定理より なのですべての項が正です。

なので の項 が存在します。他の項(少なくとも )が正なので

(2)  なので とおけます。

右端は分子が 、分母が のオーダーなので に収束。はさみうちより

なぜ「3次の項」を選ばせるのか

分子が なので、分母を のオーダーで押さえないと0に収束しません

もし2次の項 で押さえると、右端は となり、定数にしかなりません。

一般に を示すには 次の項を使います。

「必要なだけ粗く評価する」。二項展開の全項を使う必要はなく、1項だけ残して他を捨てるという思い切った評価で十分です。極限を求めるときは「どの程度の精度が必要か」を先に見積もる――ここでは「分母が 以上」というだけが必要でした。精密にしすぎると、かえって計算が止まります。

名古屋工業大学 2018年度 前期日程 ―― 型10。差が等比的に縮むことを示す

【問題】名古屋工業大学 2018年度 前期日程

関数 に対して、数列 で定義する。方程式 の解を とおく。

(1) 自然数 に対して、 が成り立つことを示せ。

(2) 自然数 に対して、 が成り立つことを示せ。

(3) 数列 が収束することを示し、その極限値を求めよ。

【解答】

。(3) の極限値は

まず を決めます。 を2乗して 、解は ただし は非負なので 、したがって

(1) 帰納法。 を仮定すると、 は単調増加なので

値を具体的に評価する必要がなく、単調性だけで済むのがきれいなところです。

(2) ここが本題。差をそのまま扱うと根号が残るので、有理化します(型02・型10)。

「差 × 係数」の形になりました。あとは分母を下から押さえるだけです。(1) より なので

また (1) より 。したがって

(3) (2) を繰り返し使うと

右端は に収束するので、はさみうちより 、すなわち

「収束を示してから極限値を求める」の順序。よくある誤りは、いきなり として から と出してしまうこと。これは「収束することを前提にした」議論で、収束自体は示していません。(1)(2) が用意されているのは、まさにこの収束を示すため。極限が存在することと、その値を求めることは別の作業です。

神戸大学 2015年度 前期日程 ―― 型13。係数の和が0だから収束する

【問題】神戸大学 2015年度 前期日程

を実数とし、自然数 に対して とする。

(1) がすべての自然数 について成り立つような実数 を、 を用いて表せ。

(2) のとき、3以上の自然数 に対して を求めよ。また、 のとき、4以上の自然数 に対して を求めよ。

(3) 無限級数 の和を求めよ。

【解答】

(1)  (2) のとき のとき  (3)

(1) 通分して分子の恒等式にします。

右辺を展開すると 。左辺と比べて

これを解いて

が収束の鍵

左辺が1次式、分母が3次式なので、 の係数は必ず0。つまり は構造的に必然です。

もしこれが0でなければ、 が残って調和級数として発散してしまいます。

(2)  なら なので

2つ飛びの差なので、先頭2項と末尾2項が残ります。

なら 。これを2つの差に分けます

(3)  について線形なので、(2) の2式を足して とすればよい。分数の項はすべて0に近づくので

「線形だから足せる」ことの利用。 の1次式なので、 の場合と の場合を別々に計算して足せば、一般の場合が出ます。(2) が「 のとき」「 のとき」と分けて聞いているのは、この分解を使わせるため。誘導の形が計算の設計を教えてくれる、という好例です。

島根大学 2011年度 前期日程 ―― 型12。相似比を体積の比に取り直す

【問題】島根大学 2011年度 前期日程

半径 の球を とし、球 に内接する立方体を とする。次に立方体 に内接する球を とし、球 に内接する立方体を とする。以下この操作を繰り返してできる球を 、立方体を とする。

(1) 立方体 の1辺の長さ を求めよ。

(2) 球 の半径 を用いて表せ。

(3) 球 の体積を とし、 とするとき、 を求めよ。

【解答】

(1)  (2)  (3) (約

(1) 球に内接する立方体では、立方体の対角線が球の直径に一致します。1辺 の立方体の対角線は なので

(2) 逆向き(立方体に内接する球)では、球の直径が立方体の1辺に一致します。

比が によらないので等比数列。 より

(3) ここが要点です。半径の比ではなく、体積の比を公比にします。

なので収束します。初項 より

分母を有理化して

「相似な操作の繰り返し」は比を1回求めれば終わり。球 → 立方体 → 球 という2ステップで半径が 倍になることさえ分かれば、あとは等比数列です。長さの比・面積の比・体積の比を取りちがえないことだけが注意点で、 倍の相似なら面積は 倍、体積は 倍。何の和を求めるのかを確認してから公比を決めるのが順序です。

東北大学 2003年度 前期日程 ―― 型07・型09。単調性と極限で解の存在を言う

【問題】東北大学 2003年度 前期日程

対数は自然対数であり、 はその底とする。関数 に対して、次の問いに答えよ。

(1) で単調減少関数であることを示せ。

(2) および を求めよ。

(3) を満たす の範囲に存在することを示せ。

【解答】

(1) ) (2)  (3) 中間値の定理

(1)  を微分します。

第2項がきれいに に約分されるのがこの計算の気持ちよいところです。ここで と置くと

これは基本不等式 )そのもの。増減表を作り直す必要がありません。

(2)  では なので

では とおいて

は型05。)

(3) (1)(2) より の値域は で単調減少なので、 の解はちょうど1つ。存在する範囲を端点評価で示します。

は連続なので、中間値の定理より に解が存在します。

端点で挟むだけで「存在」が言える。解を具体的に求める必要はありません(実際 で、きれいな値になりません)。連続関数が両端で2をまたぐなら、途中で必ず2をとる――中間値の定理は、こういう「求められないものの存在」を示す道具です。単調性と組み合わせれば「ちょうど1つ」まで言えます。存在と一意性を分けて示すという構造は、指数対数の一意性の議論と同じです。

5. よくある質問

Q1. 不定形が出たとき、何から試せばよいですか。

A. 形で決まります。 なら最も強い項でくくる、 なら有理化、 なら約分か微分係数の定義、 なら対数をとる。この4つを順に試せば、たいてい崩れます。

Q2. はさみうちで使う不等式が思いつきません。

A. 作り方は3つです。二項定理で1項だけ残す差を微分して基本不等式を作る積分を長方形で挟む。誘導で不等式を証明させられたら、それが挟むための道具です。

Q3. 漸化式から極限を求めるとき、いきなり両辺の極限をとってよいですか。

A. いけません。それは収束を前提にした議論です。まず「収束すること」を示す(不動点との差が等比的に縮むことを言う)必要があります。収束が示せて初めて、極限値を求める段階に進めます。

Q4. 区分求積が使える形かどうか、どう見分けますか。

A. をくくり出したとき、残りが だけの式になるかを確かめてください。なれば です。ならなければ、変形して を作れないか試します。

Q5. 型を覚えれば初見の問題も解けますか。

A. 型は考えなくて済ませる道具ではなく、考える範囲を狭めるための道具です。狭めたあとは自分で考える必要があります。実際、本ページの信州大学の問題は「積の極限だから対数をとり、誤差項は で押さえられる」と自分で判断する必要がありました。型を持っている人は、白紙のまま全部を考えずに済むという差が出ます。

北大の良問 017

同時に0へ近づく量を差商で読む|北大1995年理系第2問

2直線の交点を求める問題ですが、核心は極限です。傾きが等しくなるのと切片が0になるのが同時に起きるため、単純代入では交点を追えません。端点までの距離を と置き、0へ近づく2つの量の速さを差商で比較することが突破口です。

  • 北海道大学
  • 1995年度 前期日程
  • 数学(理系学部)第2問
  • 理系専用
  • 数学III 極限
  • 三角関数・微分係数
  • 標準〜発展

問題

平面において、つぎの2本の直線 を考える。ただし である。

の交点を とするとき、つぎの問いに答えよ。

  1. を求めよ。
  2. を求めよ。

  3. を求めよ。

出典:北海道大学1995年度一般入試(前期日程)数学(理系学部)第2問。問題文の表記はウェブ表示用に一部調整しています。

段階別ヒント

ヒント1|交点では2つの が等しい

と置くと、交点は を満たします。まず を消去しましょう。

ヒント2|「傾きの比」を加法定理で簡単にする

交点の になります。 と置き、 を代入すると、 が驚くほど簡単になります。

ヒント3|(2)は微分係数の定義そのもの

と置いてください。 なので、分子のプラス です。

ヒント4|端点までの距離を新しい変数にする

(3)では と置きます。すると のとき で、 となります。

ヒント5|(2)で求めた差商を分母に作る

と書き換えます。ここで とすれば、分母は(2)と一致します。

θ → π/2 端点への近づき方を調べる t = 1 − 2θ/π → 0 すべてを同じ小変数で測る 差商 (1 + 正接値)/t → −π 0になる速さを差商で読む y(θ) → √2/π
端点への距離を共通の小変数にそろえ、差商へ変換する流れを表した数強塾の独自図です。

解答・解説

(1) 交点を求め、加法定理で整理する

記号を簡潔にするため、

と置く。 なので 、したがって である。交点では だから、

ここで と置く。加法定理により

よって

式(1)、(2)、(4)を合わせる。

(1)の答:


(2) 分子を微分係数の差に読む

と置くと である。したがって問題の分子は

よって求める極限は そのものである。連鎖律から

(2)の答:

ここで分子は ではなく、原本どおりである。 だからこそ、プラスによって差商になる。

(3) と置き、(2)を使う

と置く。 は、もとの定義域からは に対応し、

と書けば、式(5)の第1表示は

のとき 。また式(7)より である。(2)の極限は両側極限として存在するため、その右側極限も同じ値である。したがって

(3)の答:

別解| と置いて に帰着する

(3)だけなら、(2)を経由しない独立な計算もできる。 と置くと で、

式(5)の第2表示から

基本極限 より、

式(12)から を得て、主解法と一致する。この別解は、(2)で差商の符号を取り違えていないかを独立に検査する役割も持つ。

解法を思いつくための再現手順

  1. 交点条件を連立する。 傾きと切片を と短く置き、 から を求める。
  2. 定義域で分母が0でないことを確かめる。 本問では なので である。
  3. 三角関数の複雑な比を整理する。 加法定理で を得る。
  4. 誘導小問の分子が何の差かを見る。 を差し引く形なので、微分係数の定義だと判断する。
  5. 近づく端点までの距離を変数にする。 と置き、 に移す。
  6. 角まで同じ変数で書く。 と変換し、(2)と同じ式を作る。
  7. 差商を丸ごと残す。 を先にばらさず、 の逆数として(2)を適用する。
  8. 別の基本極限で検算する。 による で答えの大きさと符号を確認する。

よくある誤り

  • (2)を と読み違える:原本は です。 と打ち消し合うため分子が0へ近づきます。
  • の分母を とする:加法定理は で、符号が逆です。
  • を通分しない:式(4)の簡約が見えず、(3)の構造をつかみにくくなります。
  • を直接代入する:傾きの分母と切片が同時に0へ近づくため、端点での式だけでは交点の極限は決まりません。
  • 直線が平行だから交点がないと結論する:定義域内では で傾きは異なります。平行になるのは含まれていない端点での極限です。
  • の近づく向きを無視する: なので 。本問では(2)の両側極限が存在するため右側からも使えます。
  • (2)の答えを とする:内側の角の微分は です。連鎖律の負号を残してください。

独立検算

まず、式(2)の交点が2直線を同時に満たすことを代数的に確かめる。

次に、主解法と独立な式(12)を数値評価する。 の順に は約 となり、 へ近づく。正の極限値であることも確認できる。

この問題で押さえること:2つの量が同時に 0 へ近づくときは、端点までの距離を小さな文字で置き、差商(微分係数の定義の形)に読み替える。「同時に 0」を見たら差商、を押さえよう。

前提単元と次に解く問題

教材について:解答・解説・ヒント・図は数強塾が独自に作成した非公式教材で、北海道大学が公表した公式解答・公式見解ではありません。問題の著作権は北海道大学に帰属し、出典を明示して掲載しています。

北大の良問 025

転がる正多角形を円弧の和で測る|北大2003年理系第5問

正多角形が1辺ぶん倒れるたび、接地点が新しい回転の支点になります。点 の軌跡は直線でも1つの円でもなく、支点までの距離が順に変わる 本の円弧です。各円弧を「弦長×外角」に分解すると、有限正弦和が現れ、そのまま区分求積へつながります。

  • 北海道大学
  • 2003年度 前期日程
  • 数学(理系学部)第5問
  • 理系専用
  • 数学III 極限
  • 正多角形・円弧・区分求積
  • 標準〜発展

問題

半径 の円に内接する正 角形が 平面上にある。ひとつの辺 軸に含まれている状態から始めて、正 角形を図のように 軸上をすべらないようにころがし、再び点 軸に含まれる状態まで続ける。点 が描く軌跡の長さを とする。

  1. を求めよ。
  2. 次の極限を求めよ。

原問題には の場合を示す図1があります。

出典:北海道大学2003年度一般入試(前期日程)数学(理系学部)第5問。問題文の表記はウェブ表示用に一部調整しています。

段階別ヒント

ヒント1|支点を順番に名付ける

転がる向きに頂点を と置きます。第 回の回転では、 軸上の が動かない支点です。

ヒント2|1回に回る角は外角

接している辺が隣の辺へ替わるまでの回転角は、正 角形の外角 です。内角 ではありません。

ヒント3|点 から支点までの距離は弦長

外接円の半径は1です。 が中心で作る角は なので、弦長を余弦定理で表してください。

ヒント4|円弧の長さをすべて足す

回の円弧は「半径 × 中心角 」です。 を足します。

ヒント5|極限には2つの道がある

有限正弦和を にまとめて を使うか、 の区分求積と読んでください。

転がる正多角形で点Aが描く円弧の分解 外接円の弦AVkが回転半径になり、頂点Vkを支点として外角2π割るnだけ回るため、第k回の円弧長が弦長と外角の積になることを三段階で示す。

A Vₖ O 外接円の弦 AVₖ = 2 sin(kπ/n) 外接円の半径は 1 弦長が回転半径になる

支点 Vₖ 回転前の A 回転後 回転角 2π/n A は Vₖ を中心とする円弧を描く

第 k 回の円弧長 2 sin(kπ/n) × 2π/n k = 1, 2, …, n−1 を合計
支点・弦長・円弧長の関係だけを解法用に再構成した数強塾の独自模式図です。

解答・解説

1. 端点と回転回数を確定する

角形の頂点を、転がる向きに

と名付ける。最初は辺 軸上にあり、第1回は を支点に回る。以後、第 回の支点は である。

を支点にした最後の回転が終わると、隣の頂点 軸へ着く。ここが問題で指定された終点である。したがって必要な回転は

回である。 は出発点、 は終点の 自身であり、新しい円弧を生まない。

2. 第 回の回転半径を弦長で求める

角形の外接円の中心を とする。半径は1で、頂点 から まで中心のまわりに 辺進むので、

余弦定理より、弦 の長さは

最後の等号では から 、したがって正弦が正であることを使った。

3. 円弧を足して を作る

正多角形が1辺ぶん転がるときの回転角は外角 である。第 回に点 が描く円弧の半径は式(4)だから、その長さ

式(2)のすべての回転について足せば、

4. を代入する

正弦値は中央に関して対称であるため、

(1)の答:

5. 有限正弦和を導出する

と置く。積和の公式から

式(9)を で足すと、中間の余弦がすべて打ち消し合う。

なので 。よって

式(6)へ戻すと、一般の について

6. 基本極限へ帰着する

と置けば であり、 だから、

(2)の答:

別解|極限を区分求積で直接読む

(2)は有限正弦和を閉じた式にせず、式(6)から直接求められる。区間 を幅 等分にすると、

2行目では終点 の項が なので加えても値が変わらない。この和は の右端を使った区分求積だから、

主解法は各 の正確な値まで与え、区分求積法は「細かい弦の寄与が連続的な正弦の面積へ移る」という極限の意味を直接示す。

解法を思いつくための再現手順

  1. 動かない点を探す。 1辺ぶん転がる間は、 軸に接している頂点が回転の支点になる。
  2. 支点を順番に名付ける。 として、支点が と移ることを明示する。
  3. 終点から回数を決める。 最後に のまわりを回って が接地するので、回転は 回である。
  4. 回転角を外角で表す。 隣の辺へ替わる角は毎回 である。
  5. 回転半径を弦長へ翻訳する。 外接円の半径1と中心角 から を得る。
  6. 円弧長を足す。 半径×中心角を で合計する。
  7. 目的に応じて和を処理する。 は特殊角、一般式は望遠和、極限だけなら区分求積を選ぶ。
  8. 端点と符号を検査する。 と、区分求積で加える の項が0であることを確認する。

よくある誤り

  • 正多角形の周の長さを とする:求めるのは多角形の移動距離ではなく点 の軌跡長です。支点までの距離が毎回変わります。
  • 支点をずっと とする:1辺ぶん回るたび、接地点は次の頂点へ移ります。
  • 回転角に内角を使う:辺から隣の辺へ姿勢が変わる角は外角 です。
  • 回転を 回と数える: が再び接地した時点で終了するため、実際の円弧は 本です。
  • 弦長を とする:それは外接円上の弧長です。回転半径は直線距離の弦 です。
  • の絶対値を無条件に外す:本問では なので正です。この範囲確認が必要です。
  • 極限で各項を先に0へ近づける:項数も とともに増えます。有限和をまとめるか、区分求積として全体を扱います。
  • 角度を度数法のまま円弧長へ掛ける:円弧長の「半径×中心角」は弧度法で使う公式です。

独立再計算

式(6)の円弧和 式(12)の値

円弧を直接足した式(6)と、有限正弦和をまとめた式(12)は各 で一致し、値は8へ近づく。さらに の値は式(8)の数値 と一致する。

この問題で押さえること:転がる多角形の頂点の軌跡は、支点ごとの円弧の連なり。1つの弧長=(支点までの距離)×(回転角=外角 )に分解してから足す方針を押さえよう。

前提単元と次に解く問題

教材について:解答・解説・ヒント・図は数強塾が独自に作成した非公式教材で、北海道大学が公表した公式解答・公式見解ではありません。問題の著作権は北海道大学に帰属し、出典を明示して掲載しています。

6. 次に読むページ

極限で手が止まる人へ

極限が苦手な生徒のほとんどは、公式ではなく「いまどの不定形なのか」を言葉にしていないだけです。数強塾では、極限の問題を見たら最初に不定形の種類を宣言させ、そこから崩し方を選ばせるところから指導しています。オンラインの完全1対1で、プロ講師のみが担当します。

数強塾オリジナル 追加演習15問|15の型を、数字を変えてもう一度

上の15の型を、設定と数値を変えた自作問題で1問ずつ確かめます。極限でやることは決まっています——まず代入して形を見る か。形が分かれば、崩す手は自動的に決まります。

問1(型01 分数形の極限)

を求めよ。

解答

の形。分母の最高次の項で分母分子を割る

3

次数が同じなら最高次の係数の比。分子の次数が高ければ発散、低ければ0。この3パターンを覚えるより、割って確かめるほうが確実。)

問2(型02 根号を含む極限)

を求めよ。

解答

の形。有理化して分数形に変える

分母分子を で割ると( より

は「差」のままでは扱えないので、必ず分数か積の形にする。不定形の意味も参照。)

問3(型03 e の定義に帰着させる)

を求めよ。

解答

(すなわち )と置くと、

よって

の形も不定形。 の形に持ち込むのが唯一の手。 が現れる場面はほぼこれ。)

問4(型04 三角関数の極限)

次を求めよ。

(1)  (2)

解答

(1)

(2) 分母分子に を掛ける。

の形を作るのが定石。(2)では を使うために有理化した。この式がここでも効く。)

問5(型05 e がらみの極限)

を求めよ。

解答

なので、 として 2

での微分係数。 の微分が であることを極限の形で書いたものにすぎない。)

問6(型06 微分係数の定義に帰着させる)

を求めよ。

解答

とすると、これは の形、すなわち

より 12

(因数分解でも を見たら微分係数の定義を疑うと、因数分解できない形でも対応できる。微分と接線の記事参照。)

問7(型07 極限が存在するように定数を定める)

が成り立つとき、定数 を求めよ。

解答

分母 で極限が有限値をもつには、分子も でなければならない。

 …①

①より 。分子は

約分して より

(検算:「分母→0 かつ極限が有限 ⟹ 分子→0」は必要条件。最後に十分性(実際に3になること)も確かめる。)

問8(型08 はさみうちの原理)

を求めよ。

解答

は振動して収束しないが、 は必ず成り立つ。

なので

両端とも に収束するので、はさみうちの原理より 0

値が求まらないものは、上下からはさむ。「振動するから極限なし」としないこと。 で押しつぶされている。)

問9(型09 不等式を作って評価する)

を示せ。

解答

二項定理より、 のとき

よって

で右辺は0に収束するので、はさみうちより 0

指数は多項式より圧倒的に速く増える。それを示す標準的な道具が二項定理。二項係数の一部だけを取り出して下から押さえるのがコツ。)

問10(型10 漸化式から極限を求める)

で定まる数列について、(1) 一般項を求めよ。(2) を求めよ。

解答

(1) 特性方程式 より

なので は公比 の等比数列。

より

(2) なので 2

特性方程式の解が、そのまま極限値。収束するなら の行き先が同じになるので、 を満たすはず、という理屈。ただし収束することを別に示す必要がある。)

問11(型11 無限級数)

を求めよ。

解答

部分分数分解して

部分和は中間項が打ち消し合って

1

無限級数は「部分和の極限」。いきなり無限個を足すのではなく、有限個の和を作ってから極限をとる。0.999…=1 と同じ構造。)

問12(型12 無限等比級数と図形)

1辺1の正方形の各辺の中点を結んで正方形を作り、その正方形にも同じ操作を無限に繰り返す。できるすべての正方形(最初のものを含む)の面積の総和を求めよ。

解答

中点を結んでできる正方形の1辺は 、面積は元の 倍。

面積は と初項1・公比 の等比数列。

なので収束し、総和は 2

図形の問題でも、まず数列に翻訳する。相似比 なら面積比はその2乗。ここを取り違えると公比が変わる。)

問13(型13 差の形にして和を求める)

を求めよ。

解答

部分和は、2つ飛ばしで打ち消し合うので最初の2項と最後の2項が残る

分母の差が2だから、係数は 、残る項も2つずつ。差が1のとき(問11)は1項ずつしか残らない。書き出して確かめる習慣をつける。)

問14(型14 区分求積法)

を求めよ。

解答

の形。ここで

よって

が幅、 が位置。この2つを見つけたら区分求積。積分が面積になる話の逆をたどっている。)

問15(型15 積の極限は対数をとる)

を求めよ。

解答

の形なので不定形。対数をとって積を和に変える

よりずっとゆっくり増えるので

したがって 1

累乗や積の極限は、 をとって和に直す対数が掛け算を足し算に変える性質が、極限計算の道具としてそのまま効いている。最後に で戻すのを忘れない。)

「なぜその手が効くのか」を理由から確かめる

この単元をもっと解く

上の15問はすべて数強塾が作成した自作問題です。実在の入試問題の再現ではありません。

📝 この型が実際に出た入試問題(73問のうち24問を掲載)

「極限」の型が実際の入試でどう出たかを、数強塾が全問解説を公開している年度から拾いました。各行の「解説を読む」から、その問題の解説へ直接移動できます。型を読んだあとに実出題で当てると、どこまで通用する判断なのかがはっきりします。

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難易度は数強塾の見立てです(「—」は難易度を掲載していない年度)。大学別の年度一覧と出題傾向は過去問解説の総索引から、この型の全体像は解法パターン事典のハブから確認できます。

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