2次関数の解法パターン全20型|型の見抜き方と入試実例(岡山大・滋賀大・神戸大・宇都宮大)


2次関数は、高校数学でいちばん型が明確な単元です。最大・最小も、解の配置も、不等式が常に成り立つ条件も、突きつめれば「軸と区間の位置関係」という一つの問いに還元されます。にもかかわらず得点差が大きいのは、文字定数が入った瞬間に「何が動いているのか」を見失うからです。このページは、2次関数の解法を20の型に分けて並べた辞典です。型は当てはめるための箱ではなく、考える範囲を狭めて、そこから先に頭を使うための道具として並べています。

このページの20型

  1. 2次方程式を解く(因数分解・解の公式)
  2. 2次不等式を解く(グラフで読む)
  3. ルートがらみの方程式・不等式
  4. 実数解をもつ・もたない(判別式)
  5. 解と係数の関係
  6. 2次関数の決定(3つの型の使い分け)
  7. 最大・最小/定義域が一定区間
  8. 最大・最小/定義域が動く
  9. 最大・最小/置き換え(範囲の追跡)
  10. グラフと係数の関係・平行移動
  11. 2変数関数/条件がない場合
  12. 2変数関数/等式の条件が2次式
  13. 2変数関数/対称式
  14. 2変数関数/1文字固定法
  15. 解の配置/基本の3点セット
  16. 解の配置/文字定数を分離する
  17. 絶対値記号つきの2次関数
  18. すべての について成り立つ条件
  19. ある範囲で成り立つ条件
  20. 「すべて」と「ある」がからむ条件

1. 2次関数の背骨——軸と区間の位置関係

2次関数 のグラフは、 について左右対称です。この一点から、次のことがすべて出てきます。

軸からの距離がすべてを決める

のとき、 の値は軸からの距離が近いほど小さく、遠いほど大きい

したがって、区間 における最小値は「軸にいちばん近い点」、最大値は「軸からいちばん遠い端点」でとる。

平方完成する」の本当の意味。平方完成は計算の作法ではなく、 の情報を「軸からの距離」に翻訳する操作です。 と書いた瞬間、 の値は だけで決まることが見えます。だから最大・最小は「区間の中で が最小・最大になる点はどこか」という、ただ一つの問いに化ける。この見方に切りかえると、場合分けが「暗記すべき3パターン」ではなく「軸が区間の左・中・右のどこにあるか」という自然な分類になります。

文字定数が入ったら、最初に宣言すること

「動いているのは軸か、区間か、それとも両方か」――これを答案の1行目に書いてください。

区間固定・軸が動く(例: での最小値)/軸固定・区間が動く/両方動く(例: での最小値)。

どの場合でも、比べるものは「軸の位置」と「区間の両端」の大小だけです。

2. 「すべて」と「ある」は、最小値と最大値の問題

2次不等式が絡む条件は、次の翻訳で一気に片づきます。

条件 翻訳 調べるもの
すべての 最小値が正 かつ (区間全体なら)
ある 最大値が正 区間内の最大値
すべての の最小値が正 差をとってから最小値
ある の最大値が正 差をとってから最大値

なぜ「差をとってから」なのか。 を「 の最小値 の最大値」と読むのは誤りです。それは十分条件にすぎず、必要ではありません(同じ で比べているのに、別々の で最大最小をとってしまっている)。比べるのは同じ での値どうしなので、必ず という1つの関数にしてから調べる。この誤りは2次関数でも微分でも繰り返し出てくるので、ここで一度きちんと押さえてください。

3. 解法パターン全20型

型01 2次方程式を解く

01因数分解を試して、だめなら解の公式

顔つき  のような素朴な方程式。

中身 たすきがけ →(だめなら)解の公式 が偶数なら

なぜ因数分解を先に試すのか 因数分解できる係数で出題されているなら、それは出題者の設計です。解の公式は必ず通りますが、根号の中を計算する手間と計算ミスの機会が増えます。30秒だけ因数分解を試して、だめなら公式――この線引きを決めておくと迷いません。

型02 2次不等式を解く

02=0 の解を出して、グラフで読む

顔つき 

中身  で2解 をもつとき、内側 外側

「内側・外側」を覚えるより、グラフを描く 下に凸の放物線が 軸を2回横切る図を描けば、負になるのは2解の間だけだと一目で分かります。判別式が0や負のときも同じで、グラフを描けば場合分けを暗記する必要がなくなる。2次不等式で符号を間違える人は、ほぼ例外なくグラフを描いていません。

型03 ルートがらみの方程式・不等式

032乗する前に、符号と定義域を書く

顔つき 

中身  かつ は自動)。不等式は向きで場合分けが変わる。

2乗は同値変形ではない  から は言えますが、逆は言えません( が同じになる)。だから2乗する前に「両辺とも0以上」を確認するのが必須です。慣れてくると省きたくなりますが、ここを省いた答案は余分な解を拾って失点します。ベクトルでも同じ落とし穴があります。

型04 実数解をもつ・もたない

04判別式は「グラフと 軸の交わり方」

顔つき 「異なる2つの実数解をもつような の範囲」。

中身 (2解)、(重解)、(実数解なし)。

判別式の正体  は、平方完成した の頂点の 座標に をかけたものです。つまり「頂点が 軸のどちら側にあるか」を測っている。この見方なら、 のとき 頂点が 軸より上 常に正、という型18の内容と自然につながります。

注意「2次方程式」と書いていないのに を仮定する誤り。

が文字なら、 のとき1次方程式になります。最高次の係数に文字があったら、必ず0の場合を別に調べる。これは判別式が使えるかどうかの前提です。

型05 解と係数の関係

05解を求めずに、和と積だけで進む

顔つき 「2解を とするとき を求めよ」。

中身 。対称式は必ず和と積で書ける。

なぜ解を求めなくてよいのか 対称式(入れかえても変わらない式)は、基本対称式 の多項式で必ず書けるからです。解が汚い根号でも、対称式なら有理数で答えが出る。「解を求めよ」と言われていないなら、求めない」のが原則です。

型06 2次関数の決定

06与えられた情報に合わせて、3つの形を使い分ける

顔つき 「頂点が で点 を通る」「3点を通る」「 軸との交点が 」。

中身 頂点なら 、通る3点なら 軸との交点なら

未知数を最小にする形を選ぶ どの形も同じ関数を表しますが、未知数の個数が違います。頂点が分かっていれば未知数は の1つだけ、3点なら3つ。与えられた情報に合った形を選べば、連立方程式の本数がそのまま減ります。「情報の形と式の形をそろえる」のがこの型の全部です。

型07 最大・最小/定義域が一定区間

07軸が区間の左・中・右のどこにあるか

顔つき 「 における の最小値」。区間が固定、軸が動く。

中身  のとき最小値は、軸が区間の左外なら左端内部なら頂点右外なら右端。最大値は軸から遠いほうの端点。

3つに分ける根拠 最小値をとるのは「区間の中で軸にいちばん近い点」なので、軸が区間内にあればその軸、外にあれば近いほうの端点。場合分けの数が3なのは、軸が区間に対して取りうる位置が3通りしかないからです。暗記ではなく、その場で図を1つ描けば必ず出せます。

手順 ① 平方完成して軸を出す → ② 軸と区間の両端の大小で場合分け → ③ 各場合で値を書く

型08 最大・最小/定義域が動く

08軸を固定して、区間を動かす(または両方動く)

顔つき 「 における最小値」「区間も軸も で動く」。

中身 やることは型07と同じ。比べるのは「軸の位置」と「区間の両端」の大小だけです。

両方動いても、比べるものは変わらない 「軸も区間も動く」と聞くと難しく感じますが、最小値を決めるのは相変わらず軸が区間の左外・内部・右外のどれか。両方が で動くなら、その3つの条件が の不等式になるだけです。実際、区間 、軸 なら、 のように機械的に決まります(岡山大学の実例)。

注意場合分けして終わりにしてしまう誤り。

の最小値を求めよ」と続く問題では、場合分けで得た 自体をもう一度関数として調べる必要があります。各分岐の中で頂点をとる が、その分岐の範囲に入っているかの確認も忘れずに。

型09 最大・最小/置き換え

09置き換えたら、必ず範囲を追いかける

顔つき  とおく。

中身 かたまりを とおいて2次関数にする。 のとりうる範囲を必ず調べる。

置き換えの本体は「範囲の追跡」のほう  とおく操作自体は誰でもできます。差がつくのは、 が動ける範囲を正しく出せるかどうか。元の変数が動くと はどこまで動けるか――これを調べずに の全実数で最大最小を出すのが、この型で最も多い失点です。範囲の出し方は「 の式を の関数と見て値域を求める」か「実数条件(判別式)に帰着させる」の2通りです(神戸大学の実例)。

型10 グラフと係数の関係・平行移動

10グラフの形から係数の符号を読む

顔つき 「グラフが図のようになるとき の符号は」「 軸方向に 平行移動」。

中身  は開き方(上に凸か下に凸か)、 切片、軸 の符号から が決まる。平行移動は

なぜ移動は「引く」のか 新しいグラフ上の点 は、もとのグラフ上の点 が動いたものだからです。だから元の式に を代入する。「点が動く向き」と「式に入れる符号」が逆になるのは、代入しているのが移動前の座標だからです。

型11 2変数関数/条件がない場合

111文字ずつ平方完成する

顔つき 「 の最小値」。

中身  について平方完成、次に について平方完成。 定数 の形にする。

独立に動かせるなら、独立に最小化してよい  に関係がないので、それぞれを別々に最小にできます。 の等号が同時に成り立つ が実際に存在するかを確認するのが仕上げ。「等号が同時に成立するか」の確認は、相加相乗でもコーシー・シュワルツでも共通の作法です。

型12 2変数関数/等式の条件が2次式

121文字消去 → 消した文字の存在条件が残る

顔つき 「 のとき の最大値」。

中身  を消して の関数にする。ただし消した が実数として存在する条件 の範囲として残る。

消しても消えない条件  を消去すると式からは が消えますが、「そのような が実在する」という条件は残ります。これを忘れると、実際には到達できない値を答えてしまう。1文字消去は「消す」のではなく「条件を移す」操作だと理解してください。移し先はたいてい の変域か、判別式の不等式です(岡山大学・神戸大学の実例)。

型13 2変数関数/対称式

13和と積を新しい変数にする

顔つき 「 とおく」「 を入れかえても変わらない式」。

中身  とおくと対称式は で書ける。ただし が実数である条件は

は自由には動けない  の2解なので、実数であるためには判別式 が必要です。この不等式こそが、対称式の置き換えで「消えたはずの情報」。型12と同じ構造で、変数を取りかえたぶんの条件が必ずどこかに現れます(神戸大学の実例)。

型14 2変数関数/1文字固定法

14片方を定数と見て、二段階で最小化する

顔つき 消去も対称式も使えない2変数の最大最小。

中身  を固定して の関数として最小値を出す( の式になる)→ その式を の関数として最小化。

なぜ二段階でよいのか 全体の最小値は「各 ごとの最小値」の中の最小値だからです(予選をやってから決勝、と呼ばれます)。順序を入れかえても答えは同じですが、計算が軽いほうを先にするのがこつ。この考え方は微分でも同じように使えます。

型15 解の配置/基本の3点セット

15判別式・軸・端点の値

顔つき 「2解がともに2以下」「1解が正で1解が負」「区間内に2解」。

中身  で「区間 に2解」なら 、軸が の間、

なぜこの3つで必要十分なのか 「 軸と交わる()」「交点が区間の側にある(軸の位置)」「区間の外側では正のまま(端点の値)」――この3つがそろって初めて、2つの交点が区間の中に閉じこめられます。どれか1つ欠けると反例が作れる。グラフを描いて「この3つを外したらどうなるか」を1度ずつ確かめておくと、二度と忘れません(滋賀大学の実例)。

注意等号の扱い。

「2以下」なら解が2に一致する場合を含むので 。「2未満」なら 問題文の「以下」「未満」が、そのまま端点の等号に写る。ここは配点が集中する場所です。

型16 解の配置/文字定数を分離する

16 の式)に直して、水平線との交点で見る

顔つき  の解の個数、のように文字定数が1か所にまとめられるとき。

中身  と変形し、 のグラフと水平線 の交点の個数を読む。

なぜ分離できると楽なのか 文字定数が式の中に散らばっていると、 を変えるたびにグラフの形が変わってしまいます。ところが を片側に集めれば、グラフは1本に固定され、動くのは水平線だけ。動くものが1つになるので、目で数えられます。分離できるかどうかを最初に見る――できるなら型16、できないなら型15、という判断です。

隣の型との境界  のように が2か所にあっても、 から と分離できることがあります。あきらめる前に一度は試す価値があります。

型17 絶対値記号つきの2次関数

17折り返して考える

顔つき  の解の個数。

中身  のグラフは、 の部分を 軸で折り返す

場合分けより、まずグラフ  の範囲で場合分けして解いてもよいのですが、解の個数を問われているなら折り返したグラフに水平線を引くほうが速く、しかも数え漏らしがありません。絶対値は「負の部分を折り返す操作」と図で覚えると、 軸で折り返し)との違いも混ざりません。

型18 すべての について成り立つ条件

18最小値が正(下に凸のとき)

顔つき 「すべての実数 に対して 」。

中身  かつ 。2変数以上なら、1文字ずつ判別式を使う。

2文字なら判別式を2回 「すべての 」なら、まず についての2次式と見て判別式 。それが についての不等式になるので、もう一度「すべての で」を適用します。変数を1つずつ消していくのがこの型の骨格で、途中で2次の係数が0になる場合を別扱いするのが最大の落とし穴です(岡山大学の実例)。

型19 ある範囲で成り立つ条件

19その区間での最小値(または最大値)を調べる

顔つき 「 のすべての 」。

中身 区間内の最小値 。最小値は型07・型08で求める。

判別式は使えない 「区間内で常に正」は、判別式 とは別物です(区間の外で負になってもよい)。範囲が限定されたら、必ず最大最小に戻る。判別式が使えるのは「すべての実数で」のときだけ、と線を引いておいてください。

型20 「すべて」と「ある」がからむ条件

20どちらが「すべて」でどちらが「ある」かを分けて書く

顔つき 「すべての に対して、ある が存在して 」。

中身 内側から処理する。「ある が存在して」なら についての最大値・最小値(または存在条件)を先に片づけ、外側の「すべての 」を後で処理する。

順序を入れかえてはいけない 「すべての にある 」と「ある にすべての 」はまったく違う条件です(前者では に応じて変えられる)。日本語では区別しにくいので、 に依存してよいか」を自問するのが確実です。この違いは論理・集合の単元と直結しています。

4. 実際の入試で確かめる

全20型のうち、入試の実例がついているのは5型1マスが1つの型です。青いマスは、下にある入試の実例で確かめている型です白いマスは、下にある入試の実例では扱っていない型です0102030405060708091011121314151617181920解法パターン20型入試の実例で確かめる5型下の実例にない15型5 + 15 = 20型。この図は下にある入試の実例が扱う型を数えたものです入試の実例は5問。実例の数と型の数は必ずしも一致しません

この単元の解法パターンは全20型で、下にある入試の実例5問で確かめているのは5型です。残りの15型は、下にある実例では扱っていません。1問が複数の型にまたがることも、同じ型を複数の実例で扱うこともあるため、実例の数と型の数は必ずしも一致しません。

ここからは実際に出題された問題で型を確かめます。問題文は各大学が公表した入試問題を、解説のために引用したものです。解答・解説は数強塾が独自に作成したもので、大学公表の解答ではありません。掲載しているすべての数値は、当塾で独立に解いたうえで Python による検算を行っています。

岡山大学 2017年度 前期日程 ―― 型08。軸も区間も動く

【問題】岡山大学 2017年度 前期日程

を実数とする。 の2次関数 の区間 における最小値を とする。このとき以下の問いに答えよ。

(1) を求めよ。

(2) の値で場合分けして求めよ。

(3) が実数全体を動くとき、 の最小値を求めよ。

【解答】

(1)

(2)

(3) 最小値 のとき)

まず何が動いているかを宣言します。軸は 、区間は 軸も区間も で動きます。それでも比べるものは変わりません。

つまり軸が区間の右外・内部・左外に対応して、次の3つに分かれます。

の範囲 軸の位置 最小値をとる点
区間の右外 右端
区間の内部 頂点
区間の左外 左端

(1)  なので軸が区間内部の場合。よって

「どの場合に入るかを確認してから代入する」のが (1) の値打ちです。

(3) ここで 自体をもう一度関数として調べます。まず で不変(偶関数)なので、 側だけ見れば十分です。

  • は減少。
  • は頂点 なのでこの範囲に入っており、値は

を比べて、最小値は )。

「頂点が範囲に入っているか」の確認を飛ばさない。場合分けした各式は、その範囲でしか意味をもちません。 の頂点 に入っているからこそ、その値を採用できます。もし入っていなければ、その分岐での最小は端点でとることになる。場合分けのあとにもう一段の場合分けが要る――これが型08で最も差がつくところです。

滋賀大学 2016年度 前期日程 ―― 型15。解の配置の3点セット

【問題】滋賀大学 2016年度 前期日程

を定数とする。関数 について、次の問いに答えよ。

(1) 方程式 が、異なる2つの実数解をもつような の値の範囲を求めよ。

(2) 方程式 が、ともに2以下となる異なる2つの解をもつような の値の範囲を求めよ。

(3) における の最小値を とする。このとき、 における の最大値と最小値をそれぞれ求めよ。

【解答】

(1) または  (2)  (3) 最大値 )、最小値

(1)  より または

(2) 2解を実際に書き下すと根号が入って手に負えません。グラフの位置情報に翻訳するのが型15です。

「2解がともに2以下」の3点セット

(異なる2解をもつ) ② 軸 (2解の中央が2より左) ③ では 軸より上か、ちょうど接する)

③ で等号を含めるのがこの問題の急所です。「2以下」なので解が に一致してもよい。

軸の条件は 。これらと (1) を合わせて

または 」かつ「」かつ「」となり、求める範囲は です。

検算します。 のとき で解は 。ともに2以下なので条件をみたします。 で重解となり「異なる2つ」に反するので除外。境界の扱いが正しいことが確認できました。

(3) こんどは区間 が固定で、軸 が動く型07です。

の範囲 の位置
区間の左外
区間の内部
区間の右外

を追いかけます。前半 は増加()、中央は上に凸で頂点 のとき 、後半 は減少()。

よって最大値 )、最小値 )。

同じ関数でも、問い方で「動くもの」が変わる。(2) では解の位置が問題なので 軸との交わり方を見ました。(3) では区間内の値が問題なので軸と区間の位置関係を見ています。同じ でも、見るべきものが違う。2次関数の問題で最初にやるべきは、公式を思い出すことではなく「いま何が動いていて、何を見ればよいか」を決めることです。

神戸大学 2011年度 前期日程 ―― 型13。対称式と、置き換えの範囲

【問題】神戸大学 2011年度 前期日程

実数 に対して、等式  …① を考える。 とおく。以下の問に答えよ。

(1) ① の等式が表す 平面上の図形を図示せよ。

(2) が ① の等式をみたすとき、 のとりうる値の範囲を求めよ。

(3) が ① の等式をみたすとする。 を用いた式で表せ。また、 のとりうる値の最大値と最小値を求めよ。

【解答】

(1) 中心 、半径 の円 (2)  (3) 、最大値 )、最小値

(1) 平方完成して 。原点と点 を通る円です。

(2) ここが型09・型13の核心です。 の範囲」は「その に対して実数 が存在するか」に言いかえます。

から

したがって の2解。実数として存在する条件

(3)  を因数分解します。対称式で書けるかどうかを見るのが第一手です。

ここで なので

あとは での3次関数の最大最小です。 より で極大。

また だから)で、。よって最小値は

(2) を飛ばすと (3) が壊れる。もし の範囲を調べずに を全実数で考えると、 を大きくすれば はいくらでも小さくなり、最小値が存在しなくなります。置き換えたら範囲を追う――この作業が答えを決めていることが、この問題ではっきり分かります。誘導の (2) は「範囲を調べなさい」という出題者からの合図です。

岡山大学 2014年度 前期日程 ―― 型18。判別式を2回、ただし係数0を別扱い

【問題】岡山大学 2014年度 前期日程

(1) すべての実数 に対して が成り立つとする。このとき、実数 が満たすべき条件を求め、その条件を満たす点 のなす領域を座標平面上に図示せよ。

(2) (1) の領域を点 が動くとき の最大値と最小値を求めよ。

【解答】

(1) (原点中心・半径1の閉円板) (2) 最大値 、最小値

(1) 2変数なので1文字ずつ消していきます(型18)。まず についての2次式と見ます。

の係数は なので、すべての で成り立つ条件は判別式

これがすべての実数 成り立つ条件を考えます。ここで2次の係数が0になる場合を別扱いするのが最大の要点です。

場合 式の形 すべての となる条件
下に凸の2次式 成り立たない(不可)
1次式 のときのみ
上に凸の2次式

3行目の条件は 。2行目の をみたすので、まとめて

領域は原点中心・半径1の円の周および内部です。

(2)  を固定すると の最大は (型14の1文字固定法)。

のとき最大 (このとき )。

最小は と、円板上で より 。等号は で成立します。

「2次の係数が0」を飛ばすと減点される。 を見て反射的に判別式を使うと、 の場合を落とします。2次不等式の判別式を使う前に、2次の係数が0でないことを確認する――この一手は型04でも同じでした。今回はたまたま が最終的な答えに含まれるので結果は変わりませんが、答案では場合を尽くしたことを示す必要があります。

宇都宮大学 2017年度 前期日程 ―― 型04。「接する」を判別式0に翻訳する

【問題】宇都宮大学 2017年度 前期日程

座標平面上の直線 は、2次関数 のグラフと点 P で接し、かつ2次関数 のグラフと点 Q で接する。接点 P の座標を 、接点 Q の座標を とするとき、次の問いに答えよ。ただし とする。

問1  の式で表せ。 問2  の式で表せ。

問3  をそれぞれ の式で表せ。 問4  かつ となるような の値の範囲を求めよ。

【解答】

問1  問2 より ) 問3  問4

問1 「接する」を連立方程式の重解条件に翻訳します。

問2 同じ直線がもう一方にも接するので

とおくと で、左辺は

が消えるのがこの変形の値打ちです。 より 。同時に という条件も手に入ります。

問3 重解なので

問4 接点の 座標は、直線ではなく元の放物線に代入するほうが因数分解された形で出ます。

または 。これに問2で得た を合わせて

「余分な解」を捨てる根拠を書く。問2で から も出てきますが、これは2つの放物線が一致してしまう場合で、問題の設定(P と Q が別の接点)に反します。問題文の がそれを排除するために置かれている。因数分解して出た解を全部書き、条件で1つずつ落とす――余分な解を黙って捨てるのではなく、捨てる理由を書くのが答案の作法です。

5. よくある質問

Q1. 最大・最小の場合分けが、いつも合いません。

A. 場合分けを暗記しようとしているのが原因です。軸が区間の左外・内部・右外のどれかという3通りしかなく、それを毎回グラフを1つ描いて確かめれば必ず出せます。軸も区間も動く場合でも、比べるものは「軸の位置」と「区間の両端」の大小だけです。

Q2. 解の配置の3条件を、なぜその3つにするのか分かりません。

A. 「 軸と交わる(判別式)」「交点が区間の側にある(軸)」「区間の外では正のまま(端点の値)」の3つで、初めて交点が区間に閉じこめられるからです。1つずつ外した図を描いて反例を確かめると、二度と忘れません。

Q3. 置き換えたあとの範囲は、どうやって求めますか。

A. 2通りあります。①置き換えた式を元の変数の関数と見て値域を求める。②「その に対して元の変数が実数として存在する条件」として判別式に帰着させる。神戸大学の問題では②を使いました。どちらでも同じ答えになるので、式の形が簡単なほうを選んでください。

Q4. 「すべての で成り立つ」は必ず判別式ですか。

A. が実数全体を動くときだけです。「 のすべての で」のように範囲が限定されているなら、その区間での最小値(または最大値)を調べます。判別式は使えません。

Q5. 型を覚えれば初見の2次関数問題も解けますか。

A. 型は考えなくて済ませる道具ではなく、考える範囲を狭めるための道具です。狭めたあとは自分で考える必要があります。実際、本ページの岡山大学 2017年度の問題は「場合分けで得た をもう一度関数として調べ、各分岐の頂点がその範囲に入るかを確認する」と自分で判断する必要がありました。型を持っている人は、白紙のまま全部を考えずに済むという差が出ます。

6. 次に読むページ

2次関数で手が止まる人へ

2次関数が苦手な生徒のほとんどは、場合分けを暗記しようとして混乱しているだけです。数強塾では、答案の1行目に「動いているのは軸か区間か」を書かせるところから指導しています。オンラインの完全1対1で、プロ講師のみが担当します。

数強塾オリジナル 追加演習20問|20の型を、数字を変えてもう一度

上の20の型を、設定と数値を変えた自作問題で1問ずつ確かめます。2次関数で決めることは毎回2つだけ、「軸はどこか」「区間はどこか」です。平方完成して軸を出す前に手を動かさないでください。

問1(型01 2次方程式を解く)

を解け。

解答

より

(たすきがけ:、足して になる2数は 。解の公式でも で同じ。)

問2(型02 2次不等式を解く)

を解け。

解答

。下に凸のグラフが 軸より上にあるのは、2解の外側。

よって または

なら間、 なら外側。グラフを描けば符号は覚えなくてよい。)

問3(型03 ルートがらみ)

を解け。

解答

左辺は0以上なので (これが解の吟味に効く)。

両辺を2乗して

より 2

は2乗したときに生まれた無縁解。実際 2乗すると符号の情報が消えるため、必ず元の式に戻して確かめる。)

問4(型04 実数解をもつ条件)

が実数解をもつような の範囲を求めよ。

解答

よって または

の係数が偶数のときは を使うと計算が軽い。「実数解をもつ」は重解を含むので等号を入れる。)

問5(型05 解と係数の関係)

の2つの解を とする。(1)  (2) を求めよ。

解答

(1) 19

(2) すなわち

(解そのものは と汚いが、対称式なら和と積だけで計算できるので解く必要がない。)

問6(型06 2次関数の決定)

頂点が で、点 を通る2次関数を求めよ。

解答

と置く。 を代入して

(展開すると )。

(頂点が分かっているときは標準形で置く で置くと未知数が3つになって遠回り。)

問7(型07 最大・最小/定義域が一定)

)の最大値と最小値を求めよ。

解答

。軸 は定義域に含まれる

端点は

最小値 、最大値

(下に凸なら、最小は軸、最大は軸から遠い端 は軸から3、 は1なので が最大。)

問8(型08 最大・最小/定義域が動く)

における最小値を、 で場合分けして求めよ。

解答

、軸は 。区間の幅は2で固定、位置だけが動く。

(i) 区間が軸より左(、すなわち :区間内で減少。最小は右端

(ii) 軸を含む(、すなわち :最小は頂点で

(iii) 区間が軸より右(:区間内で増加。最小は左端

(境界の確認: で(i)は 、(ii)も で(iii)は 、(ii)も 境目で値がつながることを必ず確かめる。つながらなければ場合分けを間違えている。)

問9(型09 最大・最小/置き換え)

の最小値を求めよ。

解答

と置くと (ここが要)。

。頂点は だが、これは の範囲外。

では増加するので、 で最小。

すなわち のとき)。

置き換えたら必ず新しい文字の範囲を出す。 を全実数と思って と答えるのが最多の失点。

問10(型10 平行移動)

のグラフを 軸方向に3、 軸方向に 平行移動したグラフの方程式を求めよ。

解答

もとの頂点は より 。移動後の頂点は

は変わらないので

(式で処理するなら と置きかえる。頂点を追う方が速く、符号ミスも減る。)

問11(型11 2変数/条件なし)

の最小値と、そのときの を求めよ。

解答

それぞれで平方完成する。

2乗は0以上なので、最小値 7 のとき)。

2乗の和の形に持ち込めば、それぞれ独立に0にできる。変数が2つあっても難しくならない。)

問12(型12 2変数/等式の条件)

のとき、 の最大値と最小値を求めよ。

解答

を代入して1変数にする。ただし より

は範囲内。最大値 5)。

端点は 。最小値 )。

代入して消去したら、残った文字の範囲を必ず出す。ここを飛ばすと最小値を取り違える。

問13(型13 2変数/対称式)

実数 を満たすとき、(1)  (2) を求めよ。また が実数であることを確かめよ。

解答

(1) 7

(2) 18

実数性: の2解。 なので実数解をもつ

和と積を与えられたら、それを解にもつ2次方程式を作るのが定石。実数条件 を書かないと、存在しない について計算していることになる。)

問14(型14 2変数/1文字固定法)

の最小値を求めよ。

解答

まず の2次式とみて平方完成する( は定数扱い)。

2乗の和なので最小値 2 すなわち )。

(検算:。一致。1文字を定数と思って平方完成 → 残りをまた平方完成、の2段構え。)

問15(型15 解の配置/3点セット)

が異なる2つの正の解をもつような の範囲を求めよ。

解答

として、次の3つを同時に満たせばよい。

① 判別式 より または

② 軸の位置:軸

③ 端の符号 より

すべての共通部分をとって

判別式・軸・端の値の3点セットを毎回書く。どれか1つでも落とすと範囲が広くなりすぎる。たとえば①だけだと が混ざるが、そのとき解は両方とも負になる。)

問16(型16 文字定数の分離)

の実数解の個数を、 の値によって分類せよ。

解答

左辺を 、右辺を (横一直線)として、交点の個数を数える。

放物線の頂点は

:2個:1個:0個

文字定数を右辺に集めて水平線にすると、判別式の場合分けが「グラフを上下に動かすだけ」になる。式が複雑なときほど効く。)

問17(型17 絶対値記号つき)

を解け。

解答

または

前者より 。後者より

よって の4個。

)は 絶対値は距離と考えれば、「 が0から3離れている」ということ。グラフ の交点が4個、と見ても同じ。)

問18(型18 すべての x で成り立つ条件)

すべての実数 について が成り立つような の範囲を求めよ。

解答

下に凸なので、グラフ全体が 軸より上にあればよい。すなわち 軸と共有点をもたない。

より

(問4と同じ式だが不等号の向きが逆。「解をもつ」と「すべてで正」は補集合の関係になっている。)

問19(型19 ある範囲で成り立つ条件)

を満たすすべての について が成り立つような の範囲を求めよ。

解答

がすべての で成り立てばよい。すなわち

。軸 に含まれるので最小値は

よって

「すべての x で 」は「 の最小値」。ここを「 の最大値」としないこと。最小値を超えたら、その で不等式が破れる。)

問20(型20 「すべて」と「ある」)

とする。

(1) すべての実数 となる の範囲
(2) ある実数 となる の範囲
(3) (1)と(2)の関係を述べよ。

解答

、最小値は

(1) 最小値が正であればよい。 より

(2) 最小値が負であればよい。 より

(3) (1)は「 となる が1つもない」、(2)は「 となる が少なくとも1つある」。互いに否定に近い関係で、境目の では となりどちらにも入らない。

「すべて」は最小値(または最大値)の問題、「ある」も最小値(最大値)の問題。違うのは不等号の向きだけ。「すべて」を見たら最小値、と反射にすると迷わない。)

「なぜその手が効くのか」を理由から確かめる

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上の20問はすべて数強塾が作成した自作問題です。実在の入試問題の再現ではありません。

📝 この型が実際に出た入試問題(27問のうち24問を掲載)

「2次関数」の型が実際の入試でどう出たかを、数強塾が全問解説を公開している年度から拾いました。各行の「解説を読む」から、その問題の解説へ直接移動できます。型を読んだあとに実出題で当てると、どこまで通用する判断なのかがはっきりします。

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難易度は数強塾の見立てです(「—」は難易度を掲載していない年度)。大学別の年度一覧と出題傾向は過去問解説の総索引から、この型の全体像は解法パターン事典のハブから確認できます。

要点辞典この単元の公式・定石・つまずきやすい所は 数学I・Aの要点辞典:2次関数 にまとめてあります。

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