整数の解法パターン全18型|型の見抜き方と入試実例(一橋大・神戸大・九州大・岡山大・千葉大)


整数問題は、公式がほとんどありません。だから「何をしていいか分からない」と感じる人が多い。けれども実際に入試で使われている手は数えるほどで、しかもそのすべてが「無限にある候補を、有限個に落とす」という一つの目的に向かっています。このページは、整数の解法を18の型に分けて並べた辞典です。型は当てはめるための箱ではなく、考える範囲を狭めて、そこから先に頭を使うための道具として並べています。

このページの18型

  1. 素因数分解を軸にする
  2. 最大公約数・最小公倍数(指数で考える)
  3. 約数の個数・約数の総和
  4. 倍数の個数(数えて足して引く)
  5. 階乗に含まれる素因数の個数
  6. 不定方程式/因数分解型(積の形にする)
  7. 不定方程式/平方完成・判別式型
  8. 不定方程式/3文字(大小を決めて絞る)
  9. 不定方程式/範囲をしぼる
  10. 合同式の活用
  11. 剰余による分類
  12. 連続する整数の積
  13. ユークリッドの互除法
  14. 1次不定方程式 ax + by = c
  15. 連立合同式(中国剰余定理)
  16. 有理数・無理数(背理法)
  17. n 進法
  18. ガウス記号

発展|北大の良問 027 1以下の評価で自然数条件を有限化する

1. 整数問題の背骨——無限を有限に落とす

整数問題が難しく感じられる理由ははっきりしています。候補が無限にあるからです。実数の問題ならグラフを描けば全体が見えますが、整数は「1, 2, 3, …」と果てしなく続く。だから、まずやることはいつも同じです。

整数問題の三方針

① 積の形にする \(AB=c\)\(c\) は定数)の形になれば、\(A\)\(c\) の約数しかとれない。約数は有限個。

② 範囲をしぼる 不等式で挟めば、その間の整数は有限個。整数はとびとびだから、挟めば数えられる。

③ 余りで分類する \(m\) で割った余りは \(0,1,\dots,m-1\)\(m\) 通りしかない。類は有限個。

なぜこの三つなのか。三つとも、やっていることは同じです。無限の候補を有限の候補に落としている。整数問題で「手が止まる」というのは、たいてい候補が無限のままで動けなくなっている状態です。だから、止まったときに自分に問うべきことは「この式で、何が有限になるか」の一つだけ。積の形が見えるか、上下から挟めるか、余りで分けられるか。三つしかないと知っていること自体が、白紙の時間をいちばん短くします。

ただし、三方針は「これを順に当てはめれば解ける」という手順書ではありません。どの方針が効くかは式の顔つきで決まりますし、選んだあとに何を積の形にするか、どの文字で挟むかは自分で考えることになります。三方針は、考えはじめる場所を決めてくれるものだと思ってください。

\(整数問題の三方針が候補を有限にする仕組みを示した図\)

図1 整数問題の三方針。手が止まったら「この式で何が有限になるか」だけを考える。

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2. 合同式は「余りの世界での計算」

三方針のうち③を支えるのが合同式です。\(a-b\)\(m\) で割り切れることを \(a\equiv b \pmod m\) と書きます。この記号のありがたみは、足し算・引き算・かけ算がそのままできることにあります。

合同式でできること・できないこと

\(a\equiv b,\ c\equiv d \pmod m\) のとき \(a+c\equiv b+d\)\(a-c\equiv b-d\)\(ac\equiv bd\)\(a^{n}\equiv b^{n}\)

割り算だけは自由にできません。\(ac\equiv bc \pmod m\) から \(a\equiv b\) を導けるのは \(c\)\(m\) が互いに素なときだけです(\(2\cdot 3\equiv 2\cdot 0 \pmod 6\) でも \(3\not\equiv 0\))。

なぜ、かけ算が成り立つのか。\(a=b+mk,\ c=d+ml\) とおくと \(ac=bd+m(bl+dk+mkl)\) となり、差が \(m\) の倍数になるからです。つまり合同式は「余りだけを見る」という粗い見方をしても、四則のうち三つは壊れないということを保証している記号です。だから \(2^{2017}\) のような巨大な数でも、7で割った余りだけなら手計算できます(岡山大学の実例)。

3. 解法パターン全18型

型01 素因数分解を軸にする

01整数の正体は素因数の並び

顔つき 「\(\sqrt{24n}\) が整数となる最小の \(n\)」「\(n^{2}-20n+91\) が素数」。

中身 平方数 \(\Longleftrightarrow\) 素因数の指数がすべて偶数。素数 \(\Longleftrightarrow\) 約数が1と自分自身だけ。

なぜ効くか 素因数分解の一意性があるので、整数に関するほとんどの条件は「指数についての条件」に翻訳できるからです。「平方数である」も「\(k\) 乗数である」も「約数がいくつある」も、全部が指数の言葉になります。素因数分解は整数の設計図です。

手順 ① 素因数分解する → ② 条件を指数の条件に書きかえる → ③ 指数を決める

隣の型との境界 「素数になる」条件は型06(積の形)とセットです。\(N=AB\)\(N\) が素数なら、\(A\)\(B\)\(\pm 1\) しかありえません。

型02 最大公約数・最小公倍数

02指数の min と max で考える

顔つき 「最大公約数が15となる数の個数」「\(\gcd(a,b)=g\) とおく」。

中身 各素数について、最大公約数は指数の小さいほう、最小公倍数は大きいほう。したがって \(\gcd\times\mathrm{lcm}=ab\)

なぜ効くか 「\(\gcd(n,225)=15\)」のような条件は、\(225=3^{2}5^{2}\) と分解して\(n\) に3がちょうど1個、5がちょうど1個」と読みかえられます。集合の条件が指数の条件に変わるので、あとは数えるだけの作業になります(九州大学の実例)。

手順 ① \(\gcd(a,b)=g\) なら \(a=ga\) とおいて \(\gcd(a\) を使う → ② 素数ごとに指数を比べる

型03 約数の個数・約数の総和

03指数に1を足してかける/等比数列の積に開く

顔つき 「約数の個数が12個」「約数の総和を求めよ」「完全数」。

中身 \(N=p^{a}q^{b}\cdots\) のとき、約数の個数は \((a+1)(b+1)\cdots\)、総和は \((1+p+\cdots+p^{a})(1+q+\cdots+q^{b})\cdots\)

なぜ効くか 約数を1つ決めることは「各素数の指数を \(0\) から \(a\) の中で1つ選ぶ」ことと1対1に対応するからです。個数の公式はこの対応そのもの。総和の公式は、その積を展開すると各項がちょうど1つの約数になることから出ます。公式を覚えるより、展開して確かめるほうが忘れません。

型04 倍数の個数

04数えて、足して、引く

顔つき 「1から1000までで3の倍数でも5の倍数でもない個数」。

中身 \(1\) から \(N\) までの \(k\) の倍数は \(\left\lfloor \dfrac{N}{k} \right\rfloor\) 個。「または」は包除原理で足して引く。

なぜ効くか \(k\) の倍数は \(k\) おきに現れるので、個数はガウス記号1つで書けます。「割り切れない」は数えにくいので、数えやすい「割り切れる」を数えて全体から引く――これは確率の余事象とまったく同じ発想です。

型05 階乗に含まれる素因数の個数

05p の倍数、p² の倍数、… を段ごとに数える

顔つき 「\(100!\) は末尾に0が何個並ぶか」「\(n!\)\(2^{k}\) で割り切れる最大の \(k\)」。

中身 \(n!\) に含まれる素数 \(p\) の個数は \(\left\lfloor \frac{n}{p} \right\rfloor+\left\lfloor \frac{n}{p^{2}} \right\rfloor+\left\lfloor \frac{n}{p^{3}} \right\rfloor+\cdots\)

なぜ足すのか \(p\) の倍数を1回ずつ数え、\(p^{2}\) の倍数は「2個目の \(p\) 」をもう1回数え、\(p^{3}\) の倍数はさらにもう1回――というふうに、「2階建て・3階建ての分を上の段で追加する」と読むと自然です。1つの数の中に \(p\) が何個あるかを、階層ごとに数え上げているだけです。

型06 不定方程式/因数分解型

06積の形にして、約数を全部あてはめる

顔つき 「\(xy+2x+3y=0\)」「\(\dfrac1x+\dfrac1y=\dfrac13\)」など、掛け算に持ちこめる式。

中身 \((x+a)(y+b)=c\) の形に整理し、\(c\) の約数の組をすべてあてはめる。負の約数を忘れない。

なぜ効くか 三方針の①そのものです。積が定数なら、片方は定数の約数に限られ、約数は有限個。整数問題で「積の形を作る」ことが最優先とされるのは、それだけで無限が有限に変わるからです。1つ足して1つ引くような無理やりな変形も、この目的のためなら正当化されます。

注意約数を正だけにしてしまう誤り。

\(x,y\) が自然数と書いていなければ、\(c\) の負の約数も候補です。また、\(x+a\)\(y+b\) の範囲(\(x\geqq 1\) なら \(x+a\geqq a+1\))を先に押さえておくと、あてはめる組を減らせます。

型07 不定方程式/平方完成・判別式型

07整数解をもつなら実数解をもつ

顔つき \(x^{2}+xy+y^{2}=13\) のように、2次で因数分解できない式。

中身 1文字について2次式と見て判別式 \(\geqq 0\) を使うか、平方完成して平方の和にする。どちらも範囲がしぼれる。

なぜ効くか \(x\) が整数なら当然実数なので、\(x\) についての2次方程式が実数解をもつ必要があります。この必要条件が \(y\) の範囲を有限に切ってくれる。「整数である」という強い条件をいったん「実数である」という弱い条件に落として、範囲だけ取り出す――弱くすることで前に進める、という発想です。

手順 ① 1文字について2次式に整理 → ② 判別式 \(\geqq 0\) または平方完成 → ③ 有限個の候補を代入

型08 不定方程式/3文字

08大小を決めてから絞る

顔つき 「\(\dfrac1x+\dfrac1y+\dfrac1z=1\) をみたす自然数」。

中身 対称式なら \(x\leqq y\leqq z\) と仮定してよい。すると \(\dfrac1x\) がいちばん大きいので \(1\leqq \dfrac3x\)、つまり \(x\leqq 3\)

なぜ大小を決めてよいのか 式が \(x,y,z\) について対称だからです。1つの解の並べかえも解になるので、代表として小さい順のものだけ調べ、最後に並べかえを戻せばよい。そして大小を決めた瞬間に「いちばん大きい項で全体を評価する」という不等式が作れる――ここが本当のねらいです。対称性は、範囲をしぼるための道具として使います。

型09 不定方程式/範囲をしぼる

09不等式で挟んで、候補を数え上げる

顔つき 「\(x^{2}+y^{2}=41\)」「和が一定で条件をみたす自然数の組」。

中身 \(y^{2}\geqq 0\) などから \(x\) の範囲を出し、そこにある整数を全部試す。

なぜ効くか 三方針の②です。整数はとびとびだから、範囲さえ切れれば「全部調べる」が正当な解法になります。実数の問題では「全部調べる」は使えません。ここが整数問題のいちばんの特徴で、しぼりこみさえ書ければ、あとは根気の作業です。答案では「範囲を出した式」を必ず明示してください。

隣の型との境界 しぼった候補がまだ多いときは、型10(合同式)で「そもそもありえない余り」を落とすと一気に減ります。

型10 合同式の活用

10余りだけを見て、巨大な数を扱う

顔つき 「\(2^{2017}\) を7で割った余り」「\(3^{n}+1\) が5で割り切れる \(n\)」。

中身 \(a\equiv b \pmod m\) の計算規則を使って、指数を周期で折りたたむ。

なぜ効くか 余りの世界は有限なので、\(a,a^{2},a^{3},\dots\) の余りは必ずどこかで繰り返します(有限個の値しかとれないので、いつか同じ値が現れる)。周期さえ見つかれば、指数を周期で割った余りだけを見ればよい。「無限の指数」が「周期の中の位置」という有限の情報に変わるのがこの型です。

手順 ① \(a^{1},a^{2},a^{3},\dots\) の余りを順に計算 → ② 1に戻る(または繰り返す)ところを見つける → ③ 指数を周期で割る

型11 剰余による分類

11すべての整数を m 通りに分けて、全部確かめる

顔つき 「\(n^{2}\) を3で割った余りは0か1であることを示せ」「\(n\) がどんな整数でも…」。

中身 \(n=mk,\ mk+1,\ \dots,\ mk+(m-1)\)\(m\) 通りに分け、それぞれで確かめる。

なぜ効くか 三方針の③です。「すべての整数について」という無限の主張が、\(m\) 個のケースを確かめるだけの有限の作業に変わります。どの \(m\) で分けるかは、問題文に出てくる割る数(3の倍数なら3、平方数なら4や8)で決まることがほとんどです。

注意\(ab\) が3の倍数 \(\Rightarrow\) \(a\) または \(b\) が3の倍数」は、そのままだと示しにくい。

結論が「または」の形なので、対偶(どちらも3の倍数でない \(\Rightarrow\) 積も3の倍数でない)を示すほうが速い。対偶にすると仮定が「かつ」になり、剰余分類がそのまま使えます(神戸大学の実例)。

型12 連続する整数の積

12連続 k 個の積は k! で割り切れる

顔つき 「\(n^{3}-n\) は6の倍数」「\((p+1)(p+3)(p+5)\) は48の倍数」。

中身 連続する2整数の積は2の倍数、連続する3整数の積は6の倍数。一般に連続 \(k\) 個の積は \(k!\) の倍数。

なぜ成り立つのか 連続する \(k\) 個の中には、\(2\) の倍数がおよそ \(k/2\) 個、\(3\) の倍数がおよそ \(k/3\) 個…と必ず含まれるからです。もっと簡潔には、連続 \(k\) 個の積を \(k!\) で割ったものが二項係数 \({}_n\mathrm{C}_k\) になり、これは「選び方の個数」だから整数――という説明がいちばん短い。整数であることを、数え上げの意味から言うのは強力な手です。

手順 ① 与式を因数分解して連続整数の積を作る → ② 2の指数と3の指数を別々に数える

型13 ユークリッドの互除法

13大きいほうを小さいほうで割って置きかえる

顔つき 「\(\gcd(2017,225)\) を求めよ」「\(\gcd(n,n+3)\) を求めよ」。

中身 \(a=bq+r\) のとき \(\gcd(a,b)=\gcd(b,r)\)。余りが0になるまで繰り返す。

なぜ公約数が保たれるのか \(d\)\(a\)\(b\) の公約数なら \(r=a-bq\)\(d\) で割り切れ、逆に \(d\)\(b\)\(r\) の公約数なら \(a=bq+r\) も割り切れるからです。公約数の集合そのものが等しいので、最大のものも等しい。この「公約数は引き算で生き残る」という性質が、\(\gcd(n,n+3)=\gcd(n,3)\) のような文字式の計算にもそのまま使えます。

型14 1次不定方程式 ax + by = c

14特殊解を1つ見つけ、差をとる

顔つき 「\(7x+11y=1\) の整数解をすべて求めよ」。

中身 解が存在する条件は \(\gcd(a,b)\mid c\)。特殊解 \((x_0,y_0)\) を1つ見つけ、辺々引いて \(a(x-x_0)=-b(y-y_0)\) から一般解を出す。

なぜ解が等差数列になるのか \(\gcd(a,b)=1\) のとき \(a(x-x_0)=-b(y-y_0)\) の左辺は \(a\) の倍数、右辺は \(b\) の倍数。互いに素なので両辺は \(ab\) の倍数となり、\(x-x_0=bk\) と書けます。「互いに素な2数が等式の両辺にある」ときは、必ず片方が他方の倍数になる――これは整数分野で最も出番の多い論法の一つです。

手順 ① 互除法を逆にたどって特殊解を作る → ② 一般解との差をとる → ③ 互いに素を使って \(k\) を導入

型15 連立合同式

152つの余り条件から、元の数を復元する

顔つき 「3で割ると2余り、5で割ると3余る数」。

中身 \(n=3k+2\) とおいて第2の条件に代入し、型14に持ちこむ。法が互いに素なら、答えは \(\pmod{15}\) で一意に決まる。

なぜ一意に決まるのか \(0\) から \(14\) までの15個の数に対して「3で割った余り」と「5で割った余り」の組を作ると、15通りの組がすべて1回ずつ現れるからです(同じ組になる2数があれば差が3でも5でも割り切れ、15の倍数になって矛盾)。個数が等しい2つの集合の間に単射があれば全単射――数え上げの論法が、そのまま整数の定理になっています。

型16 有理数・無理数

16有理数と仮定して、既約分数の矛盾を出す

顔つき 「\(\sqrt2\) が無理数であることを示せ」「\(a+b\sqrt2=0\) ならば \(a=b=0\)」。

中身 \(\dfrac{q}{p}\)(既約)とおいて素因数の指数を比べ、矛盾を導く。

なぜ背理法なのか 「無理数である」は「有理数でない」という否定形の主張で、直接示す足場がありません。否定形の主張は、否定して肯定形に変えると手がかりが生まれる――これが背理法を選ぶ理由です。仮定した瞬間に「既約分数」という具体的な形が手に入り、素因数分解(型01)が使えるようになります。

型17 n 進法

17位取りは、n のべきの和で書くこと

顔つき 「\(100\) を3進法で表せ」「\(n\) 進法で3桁になる条件」。

中身 \(N=a_k n^{k}+\cdots+a_1 n+a_0\)\(0\leqq a_i\leqq n-1\))。桁数の条件は \(n^{k}\leqq N\lt n^{k+1}\)

なぜ表し方が一通りなのか 各位の数が \(0\) から \(n-1\) に制限されているからです。もし制限がなければ、繰り上がりの自由度で何通りにも書けてしまいます。「制限つきの表し方は一意」というのが位取り記数法の核心で、この一意性があるから桁ごとの比較が使えます。

型18 ガウス記号

18不等式に直してから扱う

顔つき 「\([x]\)\(x\) 以下の最大の整数とする」。

中身 \([x]=n \iff n\leqq x\lt n+1\)。等式のままでは扱えないので、必ず不等式に直す。

なぜ不等式に直すのか ガウス記号は関数としては段々になっていて、代数計算の規則(\([x+y]=[x]+[y]\) など)が成り立たないからです。成り立たない規則を使わないためには、定義そのものである不等式に戻すしかない。\(x-1\lt [x]\leqq x\) の形も覚えておくと、はさみうちに持ちこめます。

4. 実際の入試で確かめる

\(この単元の解法パターンは全18型。そのうち下にある入試の実例6問で確かめているのは5型(型02・型09・型10・型11・型12)。下にある実例では扱っていないのは13型(型01・型03・型04・型05・型06・型07・型08・型13・型14・型15・型16・型17・型18)。1問が複数の型にまたがることも、同じ型を複数の実例で扱うこともあります。この図は、下にある入試の実例が扱う型を数えたものです。\)

この単元の解法パターンは全18型で、下にある入試の実例6問で確かめているのは5型です。残りの13型は、下にある実例では扱っていません。1問が複数の型にまたがることも、同じ型を複数の実例で扱うこともあるため、実例の数と型の数は必ずしも一致しません。

ここからは実際に出題された問題で型を確かめます。問題文は各大学が公表した入試問題を、解説のために引用したものです。解答・解説は数強塾が独自に作成したもので、大学公表の解答ではありません。

一橋大学 2003年度 前期日程 ―― 型11。余りで分けるだけの問題

【問題】一橋大学 2003年度 前期日程

(1) 正の整数 \(n\)\(n^{3}+1\) が3で割り切れるものをすべて求めよ。

(2) 正の整数 \(n\)\(n^{n}+1\) が3で割り切れるものをすべて求めよ。

【解答】

(1) 3で割ると2余る整数(\(n=3k+2,\ k\geqq 0\)) (2) 6で割ると5余る整数(\(n=6k+5,\ k\geqq 0\)

(1) \(n\) を3で割った余りで分類します。

\(n \bmod 3\) 0 1 2
\(n^{3} \bmod 3\) 0 1 2
\(n^{3}+1 \bmod 3\) 1 2 0

よって \(n\equiv 2 \pmod 3\)。なお \(2^{3}=8\equiv 2\) なので、3を法とすると \(n^{3}\equiv n\) が常に成り立ちます。これを使えば \(n^{3}+1\equiv n+1\equiv 0\) から一発で \(n\equiv 2\) です。

(2) こんどは指数にも \(n\) が入っているので、底の余りと指数の偶奇の両方を見る必要があります。

  • \(n\equiv 0 \pmod 3\)\(n^{n}\equiv 0\) なので \(n^{n}+1\equiv 1\)。不適。
  • \(n\equiv 1 \pmod 3\)\(n^{n}\equiv 1\) なので \(n^{n}+1\equiv 2\)。不適。
  • \(n\equiv 2 \pmod 3\)\(n\equiv -1\) なので \(n^{n}\equiv (-1)^{n}\)\(n^{n}+1\equiv 0\) となるのは \((-1)^{n}=-1\)、すなわち \(n\) が奇数のとき。

したがって「3で割ると2余る」かつ「奇数」。この2条件を合わせると \(n\equiv 5 \pmod 6\) です。

検算します。\(n=5\) なら \(5^{5}+1=3126=3\cdot 1042\) で割り切れます。\(n=8\)(3で割ると2余るが偶数)なら \(8\equiv 2\) より \(8^{8}\equiv (-1)^{8}=1\)\(8^{8}+1\equiv 2\)、確かに割り切れません。

この問題の値打ち。(1) は「底の余り」だけを見れば済みますが、(2) は底と指数で見るべき法が違う(底は \(\bmod 3\)、指数は \(\bmod 2\))。この二層構造に気づけるかどうかが分かれ目です。指数に文字が入ったら、まず「底の余りが何周期で戻るか」を調べる――型10の考え方が (2) の背骨になっています。

神戸大学 2010年度 前期日程 ―― 型11。結論が「または」なら対偶

【問題】神戸大学 2010年度 前期日程

\(a,b\) を自然数とする。以下の問に答えよ。

(1) \(ab\) が3の倍数であるとき、\(a\) または \(b\) は3の倍数であることを示せ。

(2) \(a+b\)\(ab\) がともに3の倍数であるとき、\(a\)\(b\) はともに3の倍数であることを示せ。

(3) \(a+b\)\(a^{2}+b^{2}\) がともに3の倍数であるとき、\(a\)\(b\) はともに3の倍数であることを示せ。

【解答の骨格】

(1) 対偶を示す (2) (1) と \(a+b\equiv 0\) を組み合わせる (3) \(2ab=(a+b)^{2}-(a^{2}+b^{2})\) から (2) に帰着

(1) 結論が「または」なので、対偶\(a\)\(b\) も3の倍数でないならば \(ab\) は3の倍数でない」を示します。

\(a\equiv 1\) または \(2\)\(b\equiv 1\) または \(2 \pmod 3\) のとき、\(ab\) の余りは \(1\cdot 1=1,\ 1\cdot 2=2,\ 2\cdot 2=4\equiv 1\) のいずれかで、0にはなりません。

(2) \(ab\equiv 0\) と (1) より、\(a\equiv 0\) または \(b\equiv 0\)\(a\equiv 0\) とすると \(a+b\equiv 0\) から \(b\equiv 0\)\(b\equiv 0\) の場合も同様です。

(3) ここが本題です。仮定に \(ab\) が現れていないので、作り出します。

\(2ab=(a+b)^{2}-(a^{2}+b^{2})\)

右辺は仮定より3の倍数なので \(2ab\) は3の倍数。\(2\)\(3\) は互いに素なので \(ab\) が3の倍数となり、(2) に帰着します。

「互いに素だから割ってよい」。合同式で割り算が自由にできないことは前半で述べました。ここで \(2ab\equiv 0\) から \(ab\equiv 0\) と言えるのは、\(2\)\(3\) が互いに素だからです。この一言を答案に書くかどうかで評価が変わります。整数の答案では「なぜ割ってよいのか」を必ず書く、と決めておいてください。

九州大学 2017年度 前期日程 ―― 型02。最大公約数を「指数の条件」に読みかえる

【問題】九州大学 2017年度 前期日程

(1) 2017 と 225 の最大公約数を求めよ。

(2) 225 との最大公約数が 15 となる 2017 以下の自然数の個数を求めよ。

(3) 225 との最大公約数が 15 であり、かつ 1998 との最大公約数が 111 となる 2017 以下の自然数をすべて求めよ。

【解答】

(1) 1 (2) 72 個 (3) 555

(1) 互除法(型13)で機械的に進めます。

\(2017=225\cdot 8+217,\quad 225=217\cdot 1+8,\quad 217=8\cdot 27+1,\quad 8=1\cdot 8\)

よって最大公約数は \(1\)。2017 と 225 は互いに素です。

(2) \(225=3^{2}\cdot 5^{2}\) です。\(\gcd(n,225)=15=3\cdot 5\) という条件を指数の言葉に直します。

条件の翻訳

\(\gcd\) は素数ごとに指数の小さいほうをとるので、\(\gcd(n,225)=3^{1}5^{1}\)

\(n\) は3でちょうど1回割り切れる」かつ「\(n\) は5でちょうど1回割り切れる」と同じこと。

つまり \(n=15m\) で、\(m\) は3でも5でも割り切れない自然数です。\(n\leqq 2017\) より \(m\leqq \dfrac{2017}{15}=134.4\cdots\)、すなわち \(1\leqq m\leqq 134\)

この範囲で3の倍数でも5の倍数でもない \(m\) の個数を、型04(数えて足して引く)で求めます。

\(134-\left\lfloor \frac{134}{3} \right\rfloor-\left\lfloor \frac{134}{5} \right\rfloor+\left\lfloor \frac{134}{15} \right\rfloor=134-44-26+8=72\)

(3) \(1998=2\cdot 3^{3}\cdot 37\)\(111=3\cdot 37\) です。同じ翻訳をします。

  • \(\gcd(n,1998)=3\cdot 37\) より、\(n\)奇数(2で割り切れない)、3でちょうど1回割り切れる、37で割り切れる
  • (2) の条件より \(n=15m\)\(m\) は3でも5でも割り切れない)。

\(37\)\(15\) は互いに素なので、\(37\mid n=15m\) から \(37\mid m\)。そこで \(m=37t\) とおくと \(n=555t\)

\(n\leqq 2017\) より \(t\leqq 3.6\cdots\)、つまり \(t=1,2,3\)。ここに条件を当てはめます。

\(t\) \(n=555t\) 奇数か \(m=37t\) が3で割れないか 判定
1 555 奇数 割れない 適する
2 1110 偶数で不適 不適
3 1665 奇数 3で割れるので不適 不適

よって \(n=555\)。検算すると \(555=3\cdot 5\cdot 37\) で、\(\gcd(555,225)=15\)\(\gcd(555,1998)=3\cdot 37=111\)。条件をみたしています。

岡山大学 2017年度 前期日程 ―― 型10。周期を見つけて巨大な指数を折りたたむ

【問題】岡山大学 2017年度 前期日程

自然数 \(a\) を7で割った余りを \(R(a)\) と書くことにする。このとき以下の問いに答えよ。

(1) すべての自然数 \(n\) に対して \(R\bigl(2^{n+3}\bigr)=R\bigl(2^{n}\bigr)\) となることを示せ。

(2) \(R\bigl(2^{2017}\bigr)\) を求めよ。

(3) 自然数 \(m\)\(R\bigl(2^{2017}m+2^{29}\bigr)=5\) を満たすとき、\(R(m)\) の値を求めよ。

【解答】

(1) \(2^{3}=8\equiv 1 \pmod 7\) より従う (2) 2 (3) 4

(1) \(2^{n+3}-2^{n}=2^{n}(2^{3}-1)=7\cdot 2^{n}\) は7の倍数なので \(2^{n+3}\equiv 2^{n} \pmod 7\)。よって余りは等しくなります。つまり \(2\) のべきの余りは周期3で繰り返します。

\(n\) 1 2 3 4 5 6
\(R(2^{n})\) 2 4 1 2 4 1

(2) \(2017=3\cdot 672+1\) なので \(2^{2017}\equiv 2^{1}=2 \pmod 7\)。よって \(R(2^{2017})=2\)

(3) \(29=3\cdot 9+2\) より \(2^{29}\equiv 2^{2}=4 \pmod 7\)。したがって条件は

\(2m+4\equiv 5 \pmod 7 \quad\Longleftrightarrow\quad 2m\equiv 1 \pmod 7\)

ここで両辺を2で割ることはできませんが、\(2\cdot 4=8\equiv 1\) を利用して両辺に4をかける

\(8m\equiv 4 \pmod 7 \quad\Longrightarrow\quad m\equiv 4 \pmod 7\)

よって \(R(m)=4\)。検算すると、\(m=4\) のとき \(2\cdot 4+4=12\equiv 5 \pmod 7\) で条件をみたします。

「4をかける」という一手。\(\bmod 7\) では \(2\) の逆数の役割を \(4\) が果たします(\(2\cdot 4\equiv 1\))。割り算ができない世界で割り算のかわりをするのが、この逆元をかける操作です。試験場では \(m\equiv 0,1,\dots,6\) を順に代入して \(2m\equiv 1\) となるものを探しても構いません。7通りしかないので、それも立派な「有限に落とす」解法です。

千葉大学 2014年度 前期日程 ―― 型12。連続整数の積として見る

【問題】千葉大学 2014年度 前期日程

\(p\) は奇数である素数とし、\(N=(p+1)(p+3)(p+5)\) とおく。

(1) \(N\) は 48 の倍数であることを示せ。

(2) \(N\) が 144 の倍数になるような \(p\) の値を、小さい順に5つ求めよ。

【解答】

(1) \(N=8k(k+1)(k+2)\) と書けることから従う (2) \(p=13,\ 17,\ 31,\ 53,\ 67\)

(1) \(p\) は奇数なので \(p+1\) は偶数です。\(p+1=2k\) とおくと

\(N=2k\cdot(2k+2)\cdot(2k+4)=8\,k(k+1)(k+2)\)

\(k,\ k+1,\ k+2\) は連続する3整数なので、その積は \(3!=6\) の倍数(型12)。よって \(N\)\(8\cdot 6=48\) の倍数です。

(2) \(144=8\cdot 18\) なので、\(N=8k(k+1)(k+2)\) が144の倍数となる条件は

\(18\mid k(k+1)(k+2)\)

連続3整数の積は必ず2でも3でも割り切れるので、あと必要なのは3でもう1回割り切れること、すなわち \(9\mid k(k+1)(k+2)\) です。連続3整数のうち3の倍数はちょうど1つなので、その1つが9の倍数でなければなりません。

\(k\equiv 0,\ 7,\ 8 \pmod 9\)

\(k=\dfrac{p+1}{2}\) を小さい奇素数から順に調べます。

\(p\) 3 5 7 11 13 17 19 23 29 31
\(k\) 2 3 4 6 7 9 10 12 15 16
\(k \bmod 9\) 2 3 4 6 7 0 1 3 6 7

さらに続けると \(p=53\)\(k=27\equiv 0\))、\(p=67\)\(k=34\equiv 7\))が条件をみたします。よって小さい順に5つは

\(p=13,\ 17,\ 31,\ 53,\ 67\)

検算します。\(p=13\) なら \(N=14\cdot 16\cdot 18=4032=144\cdot 28\)\(p=17\) なら \(N=18\cdot 20\cdot 22=7920=144\cdot 55\)。合っています。

「あと何が足りないか」だけを考える。(2) をいきなり「144で割り切れる条件」と考えると重くなります。(1) で48までは保証されているので、足りないのは \(144/48=3\) 倍分、つまり3をもう1個だけ。ここに気づけば、調べるべきは「連続3整数の中の3の倍数が9の倍数か」という一点に絞れます。誘導つきの整数問題では、前問で得た結論を「すでに持っているもの」として差額だけ考えるのが定石です。

一橋大学 2006年度 前期日程 ―― 型09。範囲をしぼり、条件で落とす

【問題】一橋大学 2006年度 前期日程

次の条件 (a), (b) をともにみたす直角三角形を考える。ただし、斜辺の長さを \(p\)、その他の2辺の長さを \(q,r\) とする。

(a) \(p,q,r\) は自然数で、そのうちの少なくとも2つは素数である。

(b) \(p+q+r=132\)

(1) \(q,r\) のどちらかは偶数であることを示せ。

(2) \(p,q,r\) の組をすべて求めよ。

【解答】

(1) \(q,r\) がともに奇数だと \(p^{2}\equiv 2 \pmod 4\) となり矛盾 (2) \((p,q,r)=(61,60,11),\ (61,11,60)\)

(1) 平方数を4で割った余りは0か1しかありません(型11。\(n\) が偶数なら \(n^{2}\equiv 0\)、奇数なら \(n^{2}\equiv 1 \pmod 4\))。

もし \(q,r\) がともに奇数なら \(p^{2}=q^{2}+r^{2}\equiv 1+1=2 \pmod 4\) となり、平方数の余りとしてありえません。よって少なくとも一方は偶数です。

(2) 条件を式にします。\(p^{2}=q^{2}+r^{2}\)\(q+r=132-p\) から

\(p^{2}=(q+r)^{2}-2qr=(132-p)^{2}-2qr\)

これを整理すると

\(qr=8712-132p\)

よって \(q,r\) は2次方程式 \(t^{2}-(132-p)t+(8712-132p)=0\) の2解です。整数解をもつには判別式が平方数でなければなりません(型07)。

\(D=(132-p)^{2}-4(8712-132p)=p^{2}+264p-17424\)

また三角不等式から \(p\lt q+r=132-p\)、すなわち \(p\lt 66\)。さらに \(D\geqq 0\) から \(p\geqq 54.6\cdots\)これで候補は \(55\leqq p\leqq 65\) の11個に絞れました。

\(p\) 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65
\(D\) 121 496 873 1252 1633 2016 2401 2788 3177 3568 3961
平方数か \(11^{2}\) \(49^{2}\)

\(p=55\) のとき \(t=\dfrac{77\pm 11}{2}=44,\ 33\)\((q,r)=(44,33)\)。ところが \(55=5\cdot 11\)\(44=2^{2}\cdot 11\)\(33=3\cdot 11\) はどれも素数ではないので、条件 (a) をみたしません。

\(p=61\) のとき \(t=\dfrac{71\pm 49}{2}=60,\ 11\)\((q,r)=(60,11)\)\(61\)\(11\) が素数なので (a) をみたします。

検算します。\(11^{2}+60^{2}=121+3600=3721=61^{2}\)\(61+60+11=132\)。合っています。

条件を使う順番。この問題には「素数が2つ以上」という条件がありますが、それを最初に使ってはいけません。素数という条件は候補を絞る力が弱く(素数は無限にある)、最初に使うと動けなくなります。先に使うべきは、範囲を有限にしてくれる不等式と判別式のほう。候補を有限にしてから、最後に素数条件でふるいにかける――条件の強さを見きわめて順番を決めるのは、整数問題で最も差がつくところです。

5. よくある質問

Q1. 整数問題は何から手をつければいいですか。

A. 「この式で何が有限になるか」だけを考えてください。積の形にできる(型06)、不等式で挟める(型09)、余りで分けられる(型11)の三つのどれかです。どれも見えないときは、\(n\)\(1,2,3,\dots\) と小さい数を入れて表を作ると、たいてい規則が見えます。

Q2. どの数で割った余りを考えればよいか分かりません。

A. 問題文に出てくる数を最優先に試します。「3の倍数」なら3、「平方数」なら4(平方数を4で割った余りは0か1)や8、指数がからむなら底を何乗すると1に戻るかを調べます。実際、一橋大学の問題は3、千葉大学の問題は9でした。

Q3. 合同式は答案で使ってよいのですか。

A. 使えます。ただし記号の意味(\(a\equiv b \pmod m\)\(a-b\)\(m\) の倍数)を最初に断ってから使うと安全です。とくに両辺を割るときは、割る数と法が互いに素であることを明記してください。ここを飛ばすと減点されます。

Q4. 「少なくとも2つは素数」のような条件は、いつ使いますか。

A. いちばん最後です。素数条件は候補を絞る力が弱いので、先に不等式や判別式で候補を有限個にしてから、ふるいとして使います。条件は「絞る力が強い順」に使う、と覚えてください。

Q5. 型を覚えれば初見の整数問題も解けますか。

A. 型は考えなくて済ませる道具ではなく、考える範囲を狭めるための道具です。狭めたあとは自分で考える必要があります。実際、本ページの千葉大学の問題は「前問の48から144までの差額は3だけ」と自分で気づく必要がありました。型を持っている人は、白紙のまま全部を考えずに済むという差が出ます。

北大の良問 027

分数を「1以下」と評価して候補を有限化する|北大2016年文系第4問

自然数になる分数を、いきなり約数条件へ変える必要はありません。まず分子と分母を比べると、分数は正で1以下だと分かります。すると、2つの分数の和として取り得る自然数は だけです。無限に見えた候補を先に有限個へ落とし、残った場合だけを厳密に調べます。

  • 北海道大学
  • 2016年度 前期日程
  • 数学(文系)第4問
  • 文系専用
  • 数学A 整数の性質
  • 不定方程式・評価
  • 標準〜発展

問題

を自然数とする。

  1. が自然数であるような をすべて求めよ。

  2. が自然数であるような組 をすべて求めよ。

自然数の約束:本解説では、日本の高校数学で通常用いる (正の整数)を自然数とします。とくに を含めない約束を明示して解きます。

出典:北海道大学2016年度一般入試(前期日程)数学(文系)第4問。問題文の表記はウェブ表示用に一部調整しています。

段階別ヒント

ヒント1|分母と分子の差を因数分解する

を因数分解してください。 が正の整数なら、その積の符号を一度で判定できます。

ヒント2|自然数で1以下なら何か

が分かれば、(1)でこの分数が取り得る自然数は1だけです。

ヒント3|(2)の和が取り得る自然数を絞る

も成り立ちます。正の2項の和は2以下なので、和を表す自然数は1または2です。

ヒント4|和が2なら両方が上限に達する

それぞれ1以下の2項の和が2になるには、両方とも1でなければなりません。

ヒント5|和が1なら として範囲を切る

を整理します。 では得られる が1と2の間に入るため、 だけを正確に調べれば終わります。

解答・解説

準備|最初の分数は正で1以下

は正の整数なので、

したがって であり、分母は正だから

(1) 自然数であるための条件

式(2)の範囲にある自然数は1だけです。よって

(1)の答:

(2) 和を表す自然数を とおく

も正の整数なので です。そこで

とおくと、式(2)と より です。したがって

場合1|

1以下の正の2項の和が2なので、両方が1です。したがって

(1)の結果と合わせて、 を得ます。

場合2|

では最初の分数が1となり、さらに正の を足すので にはなりません。よって です。方程式を について整理すると、

なら

なので、式(4)から となり、自然数 は存在しません。残る を正確に計算すると、

判定
自然数でない
採用
自然数でない

よって からは だけを得ます。

(2)の答:

別解| を判別式と72の因数分解で解く

の2組は主解法と同じ評価で得られます。ここでは の場合を別経路で絞ります。分母を払うと

では式(5)が となり、正の整数解はありません。よって とします。整数 が存在するには、式(5)の判別式が平方数でなければなりません。ある非負整数 を用いて、

したがって

2因子は正で同じ偶奇です。積が72なので両方とも偶数であり、小さい方から並べた因数対は

だけです。 として各組を戻すと、

式(5)の解
:不採用
は除外済み

したがって では だけです。主解法の不等式による有限化と同じ結論になりました。

解法を思いつくための再現手順

  1. 自然数の約束を固定する。 本問では とし、分母がすべて正であることを確認する。
  2. 分子と分母を比較する。 と因数分解する。
  3. 式の値を先に有限化する。 最初の分数は正で1以下、 も正で1以下と評価する。
  4. (1)は唯一の自然数1へ固定する。 分数を1とおき、因数分解で を回収する。
  5. (2)の和を に分ける。 未知数ではなく、まず式全体の値を場合分けする。
  6. 上限に達する場合を処理する。 なら各項が1だと即座に決める。
  7. 残る場合を不等式で切る。 では とし、 を一括して除く。
  8. 残った有限個を正確に代入する。 を分数のまま計算し、自然数となるものだけ残す。
  9. 元の式へ戻す。 得た3組で和が正確に1または2になることを確認する。

よくある誤り

  • 自然数に0を含めるか曖昧にする: 本解説では正の整数です。 を含める流儀では(1)の扱いが変わり得るため、最初に約束を書きます。
  • を実数全体で主張する: 実数 では負です。本問では が正の整数だから成り立ちます。
  • 正で1以下の数を0または1とする: それが自然数だと分かっている(1)では1ですが、一般の実数としては無数にあります。
  • (2)の和が2未満だと思い込む: かつ では両項が1となり、等号2に達します。
  • を残す: 最初の分数だけで1なので、正の を加えると1を超えます。
  • 式(4)から「分母が分子を割る」だけで止まる: の範囲評価を加えると、無限の割り切り確認が3候補へ減ります。
  • と約分する: 正しくは です。整数かどうかは正確な約分で判定します。
  • 判別式が平方数なら必ず整数解だとする: 別解では、平方数条件の後に二次方程式の解が実際に整数かまで確認します。

独立検算

この問題で押さえること:整数解の問題は、約数条件へ進む前に「この分数は正で 1 以下」といった大きさの評価で候補を有限個に絞るのが第一歩。この順番を押さえよう。

前提単元と次に解く問題

教材について:解答・解説・ヒント・図は数強塾が独自に作成した非公式教材で、北海道大学が公表した公式解答・公式見解ではありません。問題の著作権は北海道大学に帰属し、出典を明示して掲載しています。

6. 次に読むページ

整数問題で手が止まる人へ

整数が苦手な生徒のほとんどは、知識が足りないのではなく「候補を有限にする」という目的を持たずに式をいじっているだけです。数強塾では、答案の1行目に「何を有限にするか」を書かせるところから指導しています。オンラインの完全1対1で、プロ講師のみが担当します。

型を見抜けるか試す|数強塾オリジナル判定ドリル8題

18型を読み終えたあと、実際に困るのは「目の前の問題がどの型か」を言い当てるところです。この8題は、型の名前がヒントにならないように、わざと並び順をばらしてあります。1題ごとに、解き始める前に「◯◯型」と口に出してから手を動かしてください。すべて自作問題で、答えは総当たりの計算で検算してあります。

この8題の位置づけ 18型のうち、入試で頻度の高い8型から1題ずつ選びました。順番は型の番号順ではありません。

目安 40分/8題。解く前に、まず「これは何型か」を一言で言ってから始めてください。型が言えれば手は動きます。型が言えないまま計算を始めると、たいてい途中で行き止まりになります。

判定ドリル(第1問〜第4問)

因数分解できるか、約数を数えるか、余りを見るか。最初の一手が決まれば9割終わりです。

第1問

210 − 1 を素因数分解せよ。また、この結果から 2n − 1 が素数になるためにはn が素数でなければならないことを説明せよ。

使う道具指数型の因数分解。a − b | an − bn

210 − 1 = 1023。

10 = 2 × 5 なので、22 − 1 = 3 でも25 − 1 = 31 でも割り切れる。

1023 ÷ 3 = 341、341 = 11 × 31。よって 1023 = 3 × 11 × 31。

説明。n = st(s ≧ 2、t ≧ 2)と書けたとすると、2n − 1 = (2s)t − 1 は2s − 1 で割り切れる。

1 < 2s − 1 < 2n − 1 なので、2n − 1 は真の約数をもち合成数になる。

よって 2n − 1 が素数なら n は合成数ではない、すなわち n は素数(または 1)。

よくある誤答逆は成り立ちません。11 は素数ですが211 − 1 = 2047 = 23 × 89 で合成数です。

答え 1023 = 3 × 11 × 31。n が合成数なら 2n − 1 も合成数だから

第2問

自然数 n について、n2 + 5n + 6 が素数になることはないことを示せ。

使う道具まず因数分解を試す。合同式に手を伸ばす前に。

n2 + 5n + 6 = (n + 2)(n + 3)。

n は自然数なので n + 2 ≧ 3、n + 3 ≧ 4。

どちらの因子も 2 以上なので、積は真の約数をもつ合成数。

よって素数になることはない。

よくある誤答余りで分類しようとして手が止まる答案。2次式は、まず因数分解できるかを見る。因数分解できる式に合同式は要りません。

答え (n + 2)(n + 3) と因数分解でき、両因子とも 2 以上だから

第3問

999999 を素因数分解せよ。また、17 を10進法の小数で表したときの循環節の長さが 6 であることと、この結果がどう結びつくかを述べよ。

使う道具106 − 1 と見る。指数型の因数分解が使える。

999999 = 106 − 1 = (103 − 1)(103 + 1) = 999 × 1001。

999 = 27 × 37 = 33 × 37、1001 = 7 × 11 × 13。

よって 999999 = 33 × 7 × 11 × 13 × 37。

循環節との関係。7 | 999999 = 106 − 1 なので106 ≡ 1 (mod 7)。

これより 17 は 6 桁ごとに同じ並びが繰り返す。実際 17 = 0.142857142857…。

同じ理由で、13 も 999999 を割るので 113 の循環節も 6 桁になる。

答え 999999 = 33 × 7 × 11 × 13 × 37。7 も 13 も 106 − 1 を割るので循環節が 6 桁になる

第4問

x3 − y3 = 91 をみたす整数の組 (x, y) をすべて求めよ。

使う道具立方の差を因数分解して、積の形にする。そのあと2つ目の因子の範囲を押さえる。

x3 − y3 = (x − y)(x2 + xy + y2) = 91。

ここで x2 + xy + y2 = (x + y2)2 + 34y2 ≧ 0 で、0 になるのは x = y = 0 のときだけ。そのときは左辺が 0 で 91 にならないので、x2 + xy + y2 は正

よって x − y も正。91 = 7 × 13 なので(x − y, x2 + xy + y2) = (1, 91), (7, 13), (13, 7), (91, 1)。

(1, 91):x = y + 1 を代入して 3y2 + 3y + 1 = 91、y2 + y − 30 = 0、(y + 6)(y − 5) = 0 より y = 5, −6。(x, y) = (6, 5), (−5, −6)。

(7, 13):x = y + 7 を代入して 3y2 + 21y + 49 = 13、3y2 + 21y + 36 = 0、y2 + 7y + 12 = 0、(y + 3)(y + 4) = 0 より y = −3, −4。(x, y) = (4, −3), (3, −4)。

(13, 7):x = y + 13 を代入して 3y2 + 39y + 169 = 7 は判別式が負で整数解なし。(91, 1) も同様に解なし。

よくある誤答x − y が負の場合を残したまま約数の組を書き出す答案。2つ目の因子が必ず正であることを先に示すと、候補が半分になります。

答え (x, y) = (6, 5), (−5, −6), (4, −3), (3, −4) の 4 組

判定ドリル(第5問〜第8問)

後半は、複数の型を組み合わせないと終わらない問題を混ぜてあります。

第5問

n! が 1000 で割り切れるような自然数 n のうち、最小のものを求めよ。

使う道具1000 = 23 × 53足りなくなるのは必ず 5 のほうなので、5 の個数を数える。

1000 = 23 × 53 なので、n! に 5 が 3 個以上含まれればよい(2 は必ずそれより多い)。

ルジャンドルの公式より、n! に含まれる 5 の個数は⌊n/5⌋ + ⌊n/25⌋ + …。

n = 10 のとき ⌊10/5⌋ = 2 で足りない。

n = 14 のとき ⌊14/5⌋ = 2 でまだ足りない。

n = 15 のとき ⌊15/5⌋ = 3 で足りる。

よって最小は n = 15。(15! の末尾には 0 が 3 個並ぶ。)

答え n = 15

第6問

1000 以下の自然数のうち、7 でも 11 でも割り切れないものの個数を求めよ。

使う道具包除原理。「両方で数えた分」を1回足し戻す。

1000 以下で 7 の倍数は ⌊1000/7⌋ = 142 個。

11 の倍数は ⌊1000/11⌋ = 90 個。

7 でも 11 でも割り切れる数は 77 の倍数で ⌊1000/77⌋ = 12 個。

「7 または 11 で割り切れる」ものは 142 + 90 − 12 = 220 個。

よって求める個数は 1000 − 220 = 780 個。

よくある誤答77 の倍数を足し戻すのを忘れて 768 と答える誤答。7 の倍数としても 11 の倍数としても数えた分を1回戻します。

答え 780 個

第7問

斜辺の長さが 41 である直角三角形で、3辺の長さがすべて自然数であるものをすべて求めよ。

使う道具x2 + y2 = 41241 は素数なので、原始ピタゴラス数しかありえない。

x2 + y2 = 1681 とする(x < y)。

41 は素数なので、3辺に共通の約数があれば 41 の倍数になり斜辺 41 を超えてしまう。よって原始ピタゴラス数に限る。

原始ピタゴラス数の公式で 41 = m2 + n2 となる自然数 m > n を探すと、41 = 25 + 16 = 52 + 42。(他の分け方はない。)

gcd(5, 4) = 1 で偶奇も異なるので条件をみたす。

x = m2 − n2 = 25 − 16 = 9、y = 2mn = 2 × 5 × 4 = 40。

確かめ:81 + 1600 = 1681 = 412

答え 3辺は 9, 40, 41 の1組だけ

第8問

2桁の自然数のうち、各位の数字の積が各位の数字の和に等しいものをすべて求めよ。

使う道具位を文字でおいて、積の形に変形する。

十の位を a(1 ≦ a ≦ 9)、一の位を b(0 ≦ b ≦ 9)とする。

条件は ab = a + b、すなわち ab − a − b = 0。

両辺に 1 を足して (a − 1)(b − 1) = 1。

a − 1 と b − 1 は整数で積が 1 なので、(a − 1, b − 1) = (1, 1) または (−1, −1)。

(−1, −1) は a = 0 となり2桁の数にならないので不適。

よって a = 2、b = 2 で、求める数は 22。

答え 22

この8題で確認したこと

  • まず因数分解できるかを見る(第1・2・4・8問)——8題中4題が因数分解で決まりました。合同式に手を伸ばすのは、これが効かないときです。
  • 指数の差は必ず割れる(第1・3問)——a − b | an − bn。999999 = 106 − 1 と見ると、循環小数の問題にまでつながります。
  • 2つ目の因子の符号を先に決める(第4問)——x2 + xy + y2 が正であることを言うだけで、候補が半分になります。
  • 階乗は 5 の個数で決まる(第5問)——2 は必ず 5 より多いので、数えるのは 5 だけ。
  • 「または」は包除原理(第6問)——両方で数えた分を1回足し戻す。ここを忘れる誤答が非常に多い。
  • 斜辺が素数なら原始ピタゴラス数(第7問)——z = m2 + n2 を先に解くと候補が一気に絞れます。

型が言えないまま計算を始めた問題があったら、その型だけを上の18型に戻って読み直してください。型の名前と、最初の一手が結びつくまでが勝負です。

この単元の続き

数強塾オリジナル 追加演習18問|18の型を、数字を変えてもう一度

上の18の型を、設定と数値を変えた自作問題で1問ずつ確かめます。整数問題で最初にやることはいつも同じ、「無限にある候補を有限に落とす」ことです。素因数分解・余り・範囲・因数分解のどれで落とすのかを、手を動かす前に決めてください。

問1(型01 素因数分解を軸にする)

432 を素因数分解し、\(432=2^a3^b\) となる自然数 \(a,b\) を求めよ。

解答

\(432=2\cdot216=2^2\cdot108=2^3\cdot54=2^4\cdot27=2^4\cdot3^3\)

よって \(a=4,\ b=3\)

小さい素数から順に割り切れる限り割る。432 が 2 で4回割れることを止まらずに確認するのがコツ。

問2(型02 最大公約数・最小公倍数)

\(a=252\)\(b=594\) の最大公約数と最小公倍数を求めよ。

解答

\(252=2^2\cdot3^2\cdot7\)\(594=2\cdot3^3\cdot11\)

最大公約数は共通素因数の指数の小さい方\(2^1\cdot3^2=\) 18

最小公倍数は指数の大きい方\(2^2\cdot3^3\cdot7\cdot11=4\cdot27\cdot77=\) 8316

(検算:\(252\times594=149688\)\(149688\div18=8316\)(GCD)×(LCM)=(2数の積)が成り立っている。)

問3(型03 約数の個数・約数の総和)

600 の正の約数の個数と、その総和を求めよ。

解答

\(600=2^3\cdot3\cdot5^2\)

個数:\((3+1)(1+1)(2+1)=4\cdot2\cdot3=\) 24個

総和:\((1+2+4+8)(1+3)(1+5+25)=15\cdot4\cdot31=\) 1860

指数に +1 するのは「その素因数を0個使う場合」があるから。

問4(型04 倍数の個数)

1 から 500 までの整数のうち、6 の倍数でも 8 の倍数でもないものは何個あるか。

解答

6の倍数は \(\lfloor500/6\rfloor=83\) 個、8の倍数は \(\lfloor500/8\rfloor=62\) 個。

両方の倍数は最小公倍数24の倍数で \(\lfloor500/24\rfloor=20\) 個。

どちらかの倍数は \(83+62-20=125\) 個。

よって \(500-125=\) 375個

「6と8の積48の倍数」としないこと。共通の倍数は最小公倍数の倍数

問5(型05 階乗に含まれる素因数の個数)

\(50!\) について答えよ。

(1) 素因数 5 は何個含まれるか。
(2) \(50!\) を10進法で書いたとき、末尾に0が何個並ぶか。

解答

(1) \(\lfloor50/5\rfloor+\lfloor50/25\rfloor=10+2=\) 12個。(25, 50 は 5 を2個ずつ持つので、25で割った分を足す。)

(2) 末尾の0は \(10=2\times5\) の個数で決まる。2の個数は \(25+12+6+3+1=47\) 個で 5 より多い。

したがって少ない方の5の個数が答え12個

問6(型06 不定方程式/因数分解型)

\(xy-3x+2y=20\) を満たす自然数の組 \((x,y)\) をすべて求めよ。

解答

\(x(y-3)+2y=20\)\(2y=2(y-3)+6\) だから \(x(y-3)+2(y-3)=14\)

よって \((x+2)(y-3)=14\)

\(x\ge1\) より \(x+2\ge3\)。また積が正なので \(y-3>0\)。14 の約数のうち3以上は 7 と 14。

\(x+2=7,\ y-3=2\)\((x,y)=(5,5)\) / \(x+2=14,\ y-3=1\)\((x,y)=(12,4)\)

よって \((5,5),(12,4)\)

(検算:\(25-15+10=20\)\(48-36+8=20\)。ともに成立。「( )( )=定数」に持ち込むのがこの型の唯一の目標。)

問7(型07 不定方程式/平方完成型)

\(x^2+y^2-4x+6y+9=0\) を満たす整数の組 \((x,y)\) をすべて求めよ。

解答

平方完成して \((x-2)^2+(y+3)^2=4\)

2つの平方数の和が4になるのは \(0+4\)\(4+0\) のみ。

\((x-2,y+3)=(0,2),(0,-2),(2,0),(-2,0)\)

よって \((2,-1),(2,-5),(4,-3),(0,-3)\) の4組。

\(1+3\) のような分け方は、3が平方数でないので不可。平方数は 0,1,4,9,… しかないという有限性が効いている。)

問8(型08 不定方程式/3文字)

\(\dfrac1x+\dfrac1y+\dfrac1z=1\) を満たす自然数の組を、\(x\le y\le z\) として全て求めよ。

解答

\(x\le y\le z\) より \(\dfrac1x\ge\dfrac1y\ge\dfrac1z\) だから \(1\le\dfrac3x\)、すなわち \(x\le3\)。また \(\dfrac1x<1\) より \(x\ge2\)

\(x=2\) のとき \(\dfrac1y+\dfrac1z=\dfrac12\)。同様に \(\dfrac12\le\dfrac2y\) から \(y\le4\)\(y\ge3\)\(y=3\Rightarrow z=6\)\(y=4\Rightarrow z=4\)

\(x=3\) のとき \(\dfrac1y+\dfrac1z=\dfrac23\)\(y\le3\) かつ \(y\ge x=3\) より \(y=3,z=3\)

よって \((2,3,6),(2,4,4),(3,3,3)\)

大小関係を仮定して範囲をしぼるのが3文字の定石。

問9(型09 不定方程式/範囲をしぼる)

\(3x+5y=47\) を満たす自然数の組 \((x,y)\) をすべて求めよ。

解答

\(5y=47-3x>0\) より \(x\le15\)。また \(47-3x\) が5の倍数である必要がある。

\(3x\equiv47\equiv2\pmod5\)\(3\cdot4=12\equiv2\) なので \(x\equiv4\pmod5\)

\(1\le x\le15\) の範囲で \(x=4,9,14\)

\(x=4\Rightarrow y=7\)\(x=9\Rightarrow y=4\)\(x=14\Rightarrow y=1\)

よって \((4,7),(9,4),(14,1)\)

問10(型10 合同式の活用)

\(7^{100}\) を 5 で割った余りを求めよ。

解答

\(7\equiv2\pmod5\) だから \(7^{100}\equiv2^{100}\pmod5\)

\(2^4=16\equiv1\pmod5\) なので \(2^{100}=(2^4)^{25}\equiv1^{25}=1\)

よって余りは 1

まず周期を見つける(2の累乗は 2,4,3,1 の4周期)。巨大な指数は周期で折りたためる。

問11(型11 剰余による分類)

(1) すべての整数 \(n\) について、\(n^2\) を 3 で割った余りは 0 か 1 に限ることを示せ。
(2) \(x^2+y^2=2023\) を満たす整数 \(x,y\) は存在しないことを示せ。

解答

(1) \(n=3k,\ 3k+1,\ 3k+2\) で場合分けする。

\(n=3k\)\(n^2=9k^2=3(3k^2)\) で余り 0。

\(n=3k\pm1\)\(n^2=9k^2\pm6k+1=3(3k^2\pm2k)+1\) で余り 1。

よって余りは 0 か 1 に限る。

(2) 今度は4で割った余りを使う。(1)と同じ計算で、平方数を4で割った余りは 0 か 1 に限る(\(n=2k\) なら \(4k^2\) で余り0、\(n=2k+1\) なら \(4k^2+4k+1\) で余り1)。

したがって \(x^2+y^2\) を4で割った余りは \(0+0,\ 0+1,\ 1+1\) すなわち 0, 1, 2 のいずれか

一方 \(2023=4\cdot505+3\) なので \(x^2+y^2\equiv3\pmod4\) が必要だが、余り3は起こりえない。

よって整数解は存在しない

((1)では法3、(2)では法4を使った。どの法を選ぶかで解けるかどうかが決まる。平方数は「3で割ると0か1」「4で割ると0か1」「8で割ると0,1,4」といった強い制限を持つので、整数解の非存在を示すときの第一手になる。)

問12(型12 連続する整数の積)

すべての整数 \(n\) について、\(n(n+1)(n+2)\) が 6 の倍数であることを示せ。

解答

連続する3つの整数には、必ず2の倍数が1つ以上、3の倍数がちょうど1つ含まれる。

したがって積は 2 でも 3 でも割り切れる。2 と 3 は互いに素なので、積は \(2\times3=6\) の倍数。

(一般に連続する \(k\) 個の整数の積は \(k!\) の倍数\(n(n+1)(n+2)(n+3)\) なら 24 の倍数になる。)

問13(型13 ユークリッドの互除法)

1071 と 462 の最大公約数を、互除法で求めよ。

解答

\(1071=2\cdot462+147\)

\(462=3\cdot147+21\)

\(147=7\cdot21+0\)

よって最大公約数は 21

(検算:\(1071=21\cdot51\)\(462=21\cdot22\)。51 と 22 は互いに素。余りが0になった1つ前の余りが答え。)

問14(型14 1次不定方程式 ax+by=c)

\(7x+11y=1\) の整数解をすべて求めよ。

解答

まず1組見つける。\(7\cdot(-3)+11\cdot2=-21+22=1\) なので \((x,y)=(-3,2)\) は解。

一般解は、\(7(x+3)+11(y-2)=0\) すなわち \(7(x+3)=-11(y-2)\)

7 と 11 は互いに素なので \(x+3\) は 11 の倍数。\(x+3=11k\) とおくと \(y-2=-7k\)

よって \(x=11k-3,\ y=-7k+2\)\(k\) は整数)

\(k=0\)\((-3,2)\)\(k=1\)\((8,-5)\)。検算:\(56-55=1\)互いに素であることが「11の倍数」を言うための根拠。)

問15(型15 連立合同式)

\(x\equiv2\pmod3\) かつ \(x\equiv3\pmod5\) を満たす最小の自然数 \(x\) を求めよ。また、\(x\) の一般形を答えよ。

解答

\(x=3k+2\) とおいて2つ目に代入する。\(3k+2\equiv3\pmod5\) より \(3k\equiv1\pmod5\)

\(3\cdot2=6\equiv1\) なので \(k\equiv2\pmod5\)\(k=5m+2\) とすると

\(x=3(5m+2)+2=15m+8\)

最小の自然数は \(m=0\) のとき 8、一般形は \(x=15m+8\)

(検算:\(8=3\cdot2+2\)\(8=5\cdot1+3\)。法が互いに素なので、解は \(3\times5=15\) を周期に並ぶ。)

問16(型16 有理数・無理数)

\(\sqrt{6}\) が無理数であることを証明せよ。

解答

背理法による。\(\sqrt6\) が有理数と仮定し、互いに素な自然数 \(p,q\)\(\sqrt6=\dfrac{p}{q}\) と書く。

両辺を2乗して \(p^2=6q^2\)。右辺は偶数だから \(p^2\) は偶数、よって \(p\) は偶数。\(p=2m\) とおくと \(4m^2=6q^2\) すなわち \(2m^2=3q^2\)

左辺は偶数なので \(3q^2\) も偶数。3は奇数だから \(q^2\) が偶数、よって \(q\) も偶数。

\(p,q\) がともに偶数となり、互いに素であることに矛盾。よって \(\sqrt6\) は無理数。

「互いに素」と仮定するのが背理法の仕掛け。ここを置かないと矛盾が作れない。)

問17(型17 n 進法)

(1) 2進法の \(110101_{(2)}\) を10進法で表せ。
(2) 10進法の 200 を3進法で表せ。

解答

(1) \(1\cdot32+1\cdot16+0\cdot8+1\cdot4+0\cdot2+1\cdot1=32+16+4+1=\) 53

(2) 3で割り続けて余りを下から読む。

\(200=3\cdot66+2\)\(66=3\cdot22+0\)\(22=3\cdot7+1\)\(7=3\cdot2+1\)\(2=3\cdot0+2\)

余りを下から並べて \(21102_{(3)}\)

(検算:\(2\cdot81+1\cdot27+1\cdot9+0\cdot3+2=162+27+9+2=200\)。)

問18(型18 ガウス記号)

方程式 \([x]^2-5[x]+6=0\) を満たす実数 \(x\) の範囲を求めよ。ただし \([x]\)\(x\) を超えない最大の整数を表す。

解答

\([x]=t\) とおくと \(t^2-5t+6=0\) より \((t-2)(t-3)=0\)\(t=2,3\)

\([x]=2\iff 2\le x<3\)\([x]=3\iff 3\le x<4\)

合わせて \(2\le x<4\)

\([x]=t\)\(t\le x<t+1\)不等式に開いてから扱う。\(t\) は整数でなければならない点も毎回確認する。)

「なぜその計算でよいのか」を理由から確かめる

この単元をもっと解く

上の18問はすべて数強塾が作成した自作問題です。実在の入試問題の再現ではありません。

📝 この型が実際に出た入試問題(133問のうち24問を掲載)

「整数」の型が実際の入試でどう出たかを、数強塾が全問解説を公開している年度から拾いました。各行の「解説を読む」から、その問題の解説へ直接移動できます。型を読んだあとに実出題で当てると、どこまで通用する判断なのかがはっきりします。

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一橋大学 2007年度 整数解をもつ 3 次方程式と共役な虚数解 やや難 解説を読む
名古屋大学 2005年度 解と 3 次方程式の整数解 やや難 解説を読む
名古屋大学 2005年度 方程式の解と 3 次方程式の整数解 やや難 解説を読む
京都大学 2002年度 文系 和がすべての整数を埋め尽くす4つの整数 やや難 解説を読む

難易度は数強塾の見立てです(「—」は難易度を掲載していない年度)。大学別の年度一覧と出題傾向は過去問解説の総索引から、この型の全体像は解法パターン事典のハブから確認できます。

大学受験数学A|整数・合同式

合同式と不定方程式を構造で解く4題

合同条件を一つずつ統合し、解の存在条件・周期・整数解の範囲を整理する4題です。答えを探し当てるだけでなく、すべての解を尽くした理由まで説明できることを目標にします。

大学受験の整数問題で頻出の合同式、中国剰余の考え方、一次不定方程式、二次合同式、非負整数解の最適化を扱います。特定大学の過去問の数字替えではない、数強塾の非公式な独自演習です。

合同条件を段階的に統合する図法12と法18の条件を法36へ統合し、さらに法7の条件と合わせて法252の解へ進む流れ図。 n≡5 (mod 12)n≡11 (mod 18)n≡29 (mod 36)n≡137 (mod 252)n≡4 (mod 7)
法12と法18の条件を法36へ統合し、さらに法7の条件と合わせて法252の解へ進む流れ図。

問1|非互いに素な法を含む合同条件の統合

難度:標準確認点:最大公約数が1でない二つの合同条件を先に統合し、その後に互いに素な法を合わせる。

整数nが n≡5 (mod 12)、n≡11 (mod 18)、n≡4 (mod 7) を同時に満たす。0≤n<252の範囲ですべてのnを求め、一般解も示せ。

解答・詳しい考え方を開く

答え:0≤n<252の範囲ではn=137だけ。一般解はn≡137 (mod 252)。

  1. n≡5 (mod 12) とおき、n=5+12aを n≡11 (mod 18) に代入する。12a≡6 (mod 18)、両辺を6で割って2a≡1 (mod 3) となる。
  2. a≡2 (mod 3) なので n=5+12(2+3k)=29+36k。最初の二条件は n≡29 (mod 36) に統合できる。
  3. 29+36k≡4 (mod 7)。29≡1、36≡1 (mod 7) より1+k≡4、したがってk≡3 (mod 7)。
  4. k=3+7tを戻すと n=137+252t。指定範囲ではt=0のみで、n=137。

誤りやすい点:法12と18を機械的に掛けて216としない。統合後の周期は最小公倍数36である。

問2|非負整数解をパラメータで尽くす

難度:標準確認点:一次不定方程式の一般解を作り、非負条件でパラメータの範囲を絞る。

容量84MBの記録枠をa個、容量132MBの記録枠をb個使い、合計をちょうど2400MBにする。a,bを非負整数として、可能な組をすべて求めよ。

解答・詳しい考え方を開く

答え:非負整数解は(a,b)=(27,1),(16,8),(5,15)の3組。

  1. 84a+132b=2400を12で割ると、7a+11b=200。最大公約数は1なので整数解は存在する。
  2. 法7で見ると11b≡200、すなわち4b≡4 (mod 7)。よってb≡1 (mod 7)。
  3. b=1+7tとおくと a=(200-11b)/7=27-11t。したがって整数解は(a,b)=(27-11t,1+7t)。
  4. a≥0かつb≥0からt=0,1,2。代入して3組を得る。各組は元の式を満たす。

誤りやすい点:1組見つけて終了しない。一般解の刻み幅を示し、非負条件で端まで調べる。

問3|二次合同式を素因数ごとに分解する

難度:発展確認点:合成数を素因数へ分け、局所的な二次合同式の解を中国剰余の考え方で組み合わせる。

合同式 x²≡4 (mod 105) を満たす整数xについて、0≤x<105にある解をすべて求めよ。解の個数が尽くされている理由も説明せよ。

解答・詳しい考え方を開く

答え:0≤x<105での解は x=2,23,37,47,58,68,82,103 の8個。

  1. 105=3×5×7。x²≡4 (mod 105) は、法3・5・7の三条件を同時に満たすことと同値である。
  2. 法3ではx≡±1、法5ではx≡±2、法7ではx≡±2。各法は互いに素なので、2×2×2=8通りの組合せがそれぞれ法105で一意な解を持つ。
  3. 各組を順に統合すると、0以上105未満の代表は 2,23,37,47,58,68,82,103。
  4. 実際に各数を平方して105で割ると余りは4である。8通りすべてを得たので解の漏れもない。

誤りやすい点:x≡±2 (mod 105) の2解だけとは限らない。素因数ごとの符号を独立に選べる。

問4|不定方程式と総数の最小化

難度:標準確認点:不定方程式の全解を得た後、目的量をパラメータの一次式として比較する。

17cmと29cmの2種類の部材を切らずに使い、合計1000cmを作る。17cmをx本、29cmをy本とし、x,yは非負整数とする。可能な組をすべて求め、その中で部材の総本数x+yが最小となる組を答えよ。

解答・詳しい考え方を開く

答え:非負整数解は(x,y)=(52,4),(23,21)。本数x+yが最小なのは(23,21)で44本。

  1. 17x+29y=1000を法17で見ると、12y≡14 (mod 17)。12の逆元は10なので y≡140≡4 (mod 17)。
  2. y=4+17tとおくと x=(1000-29y)/17=52-29t。非負条件からt=0,1だけである。
  3. したがって(x,y)=(52,4),(23,21)。本数はそれぞれ56本、44本。
  4. よって最小は44本で、そのとき17cmを23本、29cmを21本使う。長さも17×23+29×21=1000cmと確認できる。

誤りやすい点:長い部材を多く使えば常に最小、と直感だけで決めず、実現可能な整数解をすべて確認する。

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