定積分の評価と不等式の解法パターン全12型|型の見抜き方と入試実例(横浜国大・信州大・神戸大・東北大・千葉大・都立大)


定積分の評価は、積分の計算が得意な人ほど戸惑う分野です。「値を求めよ」と言われていないのに、値について答えなければならないからです。原始関数が書けない積分を前にして、それでも「 より小さい」「極限は 」と言い切る。そんな芸当ができるのは、この分野の問題が例外なく「計算できない量を、計算できる量ではさむ」という一つの動作でできているからです。しかも道具は驚くほど少ない。区間のどの点でも なら積分にもその大小が伝わる——本当にこれだけです。区分求積も、級数を積分ではさむ話も、絶対値つきの積分も、すべてこの一行の言い換えにすぎません。このページは定積分の評価と不等式を12の型に分けて並べた辞典です。型は当てはめる箱ではなく、「いま何と何を比べようとしているのか」を見失わないための道具として並べています。

このページの位置づけ——概観は第1層、深掘りはここ

定積分の評価は積分法(数III・計算)の解法パターン全18型でも扱っています(型15・型17・型18)。あちらが「積分という単元を一望する地図」なら、こちらは「評価と不等式だけを掘り下げる坑道」です。積分の計算そのものに不安がある方は、第1層からご覧ください。

このページの12型

  1. 被積分関数の大小から積分の大小
  2. 区分求積法
  3. 面積で級数を評価する
  4. 部分積分で漸化式を作る
  5. 置換積分の定石
  6. 偶関数・奇関数の利用
  7. 周期性の利用
  8. King property(区間の対称性)
  9. 絶対値つきの定積分
  10. 広義積分の扱い
  11. 積分と極限
  12. 積分方程式との違い

発展|東大の良問007 定積分の評価を対数・調和和・望遠和へつなぐ

1. 背骨——評価とは、計算できない量を計算できる量ではさむこと

高校で扱う定積分のうち、原始関数がきれいな式で書けるものはごく一部です。 も、「値を求めよ」と言われたら手が止まります。ところが入試はそれを承知で、求めよではなく より小さいことを示せ」「極限を求めよ」と聞いてきます。評価の問題とは、値を出す道が塞がれた状態で、それでも答えを確定させる問題です。使える道具は、ほとんど一つしかありません。

定積分の評価を支えるたった一つの原理

区間 すべての について ならば

点ごとの大小が、積分という「足し合わせ」を通ったあとも保たれる。この一行から、このページの12型すべてが出てきます。

この原理がなぜ強いのか。不等式を「各点で」作ればよいからです。積分どうしを直接くらべるのは難しくても、関数どうしなら微分する・相加相乗を使う・既知の不等式にあてはめると手はいくらでもある。一度くらべれば、あとは両辺を積分するだけで大小関係が積分の世界へ運ばれます。局所の情報を大域の情報に翻訳する装置です。

逆に言えば、この原理を使うには「くらべる相手」を自分で用意しなければなりません。相手は積分できるものでなければ意味がなく、粗すぎても細かすぎても目的に届かない。以下の12型は、その相手の選び方を場合ごとに整理したものです。

この見方をすると、ばらばらに見えていた型が一列に並びます。区分求積法は小区間の中で 定数関数とくらべた話で、 が単調なら左端と右端の値がそのまま下の壁と上の壁になる。面積で級数をはさむのも同じ絵で、違うのは短冊の幅だけ。幅を に近づければ区分求積、幅を に固定したまま項数を増やせば級数の評価です。

もう一本、柱があります。値を求めずに、積分どうしの関係式を作るという発想です。置換積分は値を変えません。だから同じ積分を2通りに書き、等号で結ぶと、計算しないまま値が決まってしまうことがあります。 がその代表例で、後で扱う横浜国立大学の問題そのものです。偶奇、周期性、部分積分の漸化式も同じ仲間です。

そしてもう一つ、どこまで粗く評価してよいかという感覚も要ります。甘すぎれば目標の数値を越えて証明にならず、厳しくしすぎれば押さえた側が計算できない。この加減は問題文が教えてくれます。信州大学の問題では上から押さえた値が となり、 を入れるとぴたりと 目標の数値は出題者が逆算して決めているのです。

評価でいちばん多い事故は「向き」と「等号」

向き 両辺に何かを掛けるとき、掛けるものが負なら向きが変わります。逆に、掛けるものが非負であることさえ確認すれば向きは変わらない。東京都立大学の問題で をわざわざ断るのは、この一点のためです。

等号  が区間の内部で成り立てば、積分後も と真の不等号で書けます。答案には「区間の内部では真に成り立つから」と一言添えてください。

最後に、型そのものについて一言。この分野の問題を見た瞬間に「単調だから短冊ではさむ」「区間が左右対称だから だ」と手が動く人は、頭の回転が速いのではありません。過去に何百回も使われてきた「型」から予想して、思考する量を減らすことで、手際よく解法を思い付いている場合もあるのです。型は考えなくて済ませるための道具ではなく、考える範囲を狭めるための道具です。狭めたあと何と何をくらべるかは、その問題ごとに自分で決めることになります。

2. 手順——型を選ぶまでの4つの問い

1ゴールは何かを先に確認する。値を求めるのか、不等式を示すのか、極限を出すのか。値なら第1層の計算の型へ、不等式なら壁を作りにいき、極限ならはさみうちの材料を集めにいきます。ゴールが決まる前に手を動かすと必ず遠回りになります。

2その積分は本当に計算できないのかを確かめる。置換(型05)、偶奇(型06)、周期性(型07)、区間の対称性(型08)、部分積分の漸化式(型04)——この5つを試して初めて「計算できない」と判断してください。評価は最後の手段です。

3くらべる相手を探す。相手の作り方は3通り。①区間での最大値・最小値という定数 ②単調性を使った小区間の端点の値(型02・型03) ③問題文が前半で作らせている既製の不等式(型01)。誘導つきなら、ほぼ確実に③です。

4積分して、仕上げる。上下の壁が同じ値に近づくならはさみうち(型11)、数値目標があるなら最後に のような近似値を入れて決着させます。押さえ方が甘かったかどうかは、ここで初めて判明します。

3. 解法パターン全12型

型01 被積分関数の大小から積分の大小

01関数でくらべてから、積分する

顔つき 「 を示せ」。前半の設問で不等式を作らせている。

中身 ①区間のすべての を示す ②両辺を積分する ③右側の積分だけを計算する。

なぜ効くか 積分は「足し合わせ」なので各点での大小はそのまま保たれます。だから難しい積分を扱う必要がなくなり、やさしい積分ひとつを計算すれば済む。前半に不等式の証明が置かれていたら「この壁を使え」という指示です。

型02 区分求積法

02 を括り出して を見つける

顔つき  の形。和の中に がある。

中身 。幅 を先に括り出す。

なぜ効くか これは型01の完成品です。 が単調なら、左端と右端の高さで作った短冊の和が本当の面積をはさみ、差は だけ。 で差が消えるからはさみうちが閉じます。

型03 面積で級数を評価する

03 の短冊で、和と積分をはさみあう

顔つき  のように幅が に行かない和の評価。

中身  が単調減少なら 。これを足し合わせる。

なぜ効くか 足し合わせると中央の積分がひとつながりにまとまり、両側には和が残ります。区分求積は幅を にしないと使えませんが、こちらは のまま使える。項数が爆発しても和が収束する状況を、そのまま捌けます。

型04 部分積分で漸化式を作る

04どちらを微分し、どちらを積分するかを選ぶ

顔つき  のように添字つきの積分が定義されている。

中身 1つだけ分離して部分積分する。境界項が消えるように分け方を選ぶのが要領。

なぜ効くか 値を求めずに の関係だけが手に入ります。値がわからなくても、比や大小や極限は言える——これが漸化式の強みで、分け方の自由度がそのまま設計の自由度になります。

型05 置換積分の定石

05置換は「値」ではなく「見た目」を変える

顔つき 根号の中に1次式、 の形、区間の端が対称、角に係数がある。

中身  など。置いた瞬間に区間も書き換える

なぜ効くか 置換しても値は変わりません。だから同じ積分に2通りの表示が与えられ、等号で結べば関係式が生まれます。型06・型07・型08はすべて置換の特別な場合です。「何をひとかたまりと見るか」を決めるのが本体で、計算はあとからついてきます。

型06 偶関数・奇関数の利用

06区間が なら、まず奇数次を捨てる

顔つき 積分区間が から まで。偶数次と奇数次が混ざっている。

中身 奇関数の積分は 、偶関数は 。多項式なら奇数次を先に消す。

なぜ効くか  と置換した式ともとの式を足し引きしているだけです。消える部分を先に落としてから残りを見積もると評価がぐっと楽になります。区間を見た瞬間に判断してください。

型07 周期性の利用

071周期分の積分は、どこから始めても同じ

顔つき  など周期をもつ関数。積分区間が周期の整数倍。

中身 周期 なら によらない。計算しやすい位置へずらす。

なぜ効くか  によらないとは、 番目の小区間の積分がすべて同じ値になるということ。和が「同じ数を 個足す」に化けます。東京都立大学の問題で重みが になるのが、まさにこれです。

型08 King property(区間の対称性)

08 と置いて、同じ積分を2回出す

顔つき  のように、区間の中央に関して対称な関数と、対称でない因子が混ざっている

中身 。もとの式と足して に。

なぜ効くか 置換で値は変わらないのに見た目だけが変わる。この差を使うと同じ が2回現れて方程式になります。積分を計算せずに積分の値が決まる——評価という発想の原型がここにあります。

型09 絶対値つきの定積分

09中身の符号が変わる点で、区間を切る

顔つき 、被積分関数が で定義されている。

中身  を解いて区間を分割し、絶対値を外す。 も便利。

なぜ効くか 絶対値は場合分けを1文字に圧縮した記号なので、積分の前に必ず解凍が要ります。逆に、切る点さえ見つかれば残りはただの計算。「どこで切るか」が急所そのものになっている出題がとても多い型です。

型10 広義積分の扱い

10高校では「有限で計算してから極限」

顔つき 区間の端で被積分関数が発散する、または区間が無限に延びる。

中身 有限区間で計算してから とする。発散する例と収束する例を並べて比べる。

なぜ効くか  に対し 同じ「無限に伸びる面積」でも、有限に収まるかは減り方の速さで決まります。型03と組めば級数の収束・発散の判定に使えます。

型11 積分と極限

11上下の壁を の式で作り、両端を同じ値へ

顔つき  と定義され、 を求めよ・収束を示せ。

中身  を作り、両端が同じ値に収束することを示す。

なぜ効くか 極限は「詰める」操作で、評価はその材料です。「収束することを示せ」なら値がわからなくても上下の壁さえ作れれば勝ち収束を示す問題のほうがやさしいことすらあります。

型12 積分方程式との違い

12定積分は「数」、変数を含む積分は「関数」

顔つき  のように、未知の関数が積分の中にいる。

中身 区間が定数なら積分を 置いて連立、区間に が入るなら両辺を微分する。

なぜ効くか 評価と見た目は似ていますがやることは正反対です。評価は「値がわからないまま大小を言う」、積分方程式は「値を文字で置いて等式から確定させる」。この区別がつかないまま手を動かすのが最も多い迷子の原因です。詳しくは定積分で表された関数の解法パターン全12型へ。

4. 実際の入試で確かめる

全12型のうち、入試の実例がついているのは9型1マスが1つの型です。青いマスは、下にある入試の実例で確かめている型です金色のマスは、このページの追加演習が埋めている型ですこのページの型は、すべてどちらかで扱っています010203040506070809101112解法パターン12型入試の実例で確かめる9型追加演習が埋める3型9 + 3 = 12型。この図は下にある入試の実例が扱う型を数えたものです入試の実例は6問。実例の数と型の数は必ずしも一致しません

この単元の解法パターンは全12型で、下にある入試の実例6問で確かめているのは9型です。このページの追加演習が3型を埋めています。1問が複数の型にまたがることも、同じ型を複数の実例で扱うこともあるため、実例の数と型の数は必ずしも一致しません。

ここからは実際に出題された問題で型を確かめます。問題文は各大学が公表した入試問題を、解説のために引用したものです。解答・解説は数強塾が独自に作成したもので、大学公表の解答ではありません。掲載した数値は当塾で独立に解いたうえで Python(sympy と mpmath)で検算し、別の担当者が解き直して照合しています。

横浜国立大学 2010年度 ―― 型08・型05。積分を計算せずに、積分の値を決める

【問題】横浜国立大学 2010年度 前期日程(A2 冊子)

次の問いに答えよ。

(1)  を連続関数とするとき、

が成り立つことを示せ。

(2) 定積分 の値を求めよ。

【解答】

(1) と置換すると同じ積分がもう一度現れ、 となる。 (2)

(1) 同じ積分を、もう一度出す。 とおきます。区間 が中点 に関して左右対称で、しかも 。この2つがそろっているので、 と置換しても の部分はびくともしません。動くのは前についた だけです。

のとき だから

最後の積分は、積分変数の名前を に戻せば そのものです。つまり

両辺を で割れば、示すべき等式 が出ます。(証明終)私たちは を一度も計算していません。置換しても値が変わらないという性質だけで、同じ を2通りに書いて方程式にした——これが型08の正体です。

(2)  の形だと見抜けるか。 とおけば被積分関数はちょうど の形。 は連続なので (1) がそのまま使えて

いちばん厄介だった が消えました。あとは右の積分を とおいて計算するだけです。 を使って分母をそろえると

が奇数個残っているので と置くのが定石(型05)。 のとき ですから

次数が同じときは分子を分母で作り直すのが基本。 より 、さらに と分ければ

よって 。求める値は

この問題で使った型

型08 対称なもの()と対称でないもの()が掛かっているのを見たら、 の置換で を狙います。

型05  が奇数個なら 余った1個が に吸収されるのが置換の気持ちよさです。

検算のしかた

(1) は を取り替えて  の4通りで両辺を精度30桁で数値積分し、30桁すべて一致(差ちょうど )。

(2) は数値と閉じた式を突き合わせる 数値積分は との差は 。途中の も数値 と厳密値 が一致。途中式にもチェックポイントを置くと、間違いの場所まで特定できます。

信州大学 2019年度 ―― 型01・型05。押さえ方の粗さは、目標の数値が教えてくれる

【問題】信州大学 2019年度 前期日程(理学部数学科・医学科・工学部 共通問題)

(1)  とする。不等式 がすべての に対して成り立つような実数 の最小値を求めよ。

(2)  を示せ。ただし であることを用いてよい。

【解答】

(1) の最小値は 。 (2) 被積分関数を で上から押さえると積分は 以下。 より

(1) 「すべての で成り立つ 」を最大値の問題に読み替える。 では なので、与式は両辺を で割って

と同値です。これがすべての で成り立つということは、 の最大値以上だということ。つまり求める最小値は、そのまま の最大値です。「すべての〜に対して成り立つ」を「最大値・最小値」に翻訳するのは、不等式の問題で最初に手が動くべきところです。

目星をつけるだけなら の代入で十分で、 すなわち 。これが答えだろうと予想したうえで微分で確かめます。積と商の形なので対数をとってから微分するのが楽です。 とおくと

分子で という気持ちのよい相殺が起きるのが、この問題の設計の妙です。分母は正、 より は増加関数で のとき 。よって となり、 で最大です。

端でも越えません()。よって の最小値は です。

(2) 原始関数が書けない積分を、書ける積分に取り替える。 に初等関数の原始関数はなく、正面から積分する道は閉ざされています。そこで (1) の出番。 では なので とおけて 。(1) を で使うと

右辺はただの三角関数の多項式で、これなら積分できます。型01の一手——両辺を から まで積分して

あとは を入れるだけ。

最後に より だから

(証明終) ここで目を留めてほしいのは、 がちょうど になることです。出題者は受験生が にたどり着くと見越し、逆算して数値を決めています。目標の数値は、どこまで粗く押さえてよいかの道しるべなのです。

この問題で使った型

型01 積分できない関数を、積分できる関数で上から押さえる。誘導 (1) は「この壁を使え」という指示でした。前半で不等式を作らせる問題は、後半でそれを積分に流し込みます。

型05 置換の本体は「何をひとかたまりと見るか」を決めること。 と見た瞬間に (1) の形が立ち上がります。複雑な式ほど、かたまりで見る。

検算のしかた

(1) は を変えて走査  について の40001点で調べると、最大値は すべて 、しかも で達成されました。

3つの数がこの順に並ぶか  の10001点で不等式の違反は0件。左辺の積分 、上界 (厳密値 と一致)、目標 この順に並ぶことまで確認して、初めて証明が閉じます。

神戸大学 2011年度 ―― 型03・型11。項数が爆発しても、和は に収まる

【問題】神戸大学 2011年度 前期日程(理科系)

を2以上の自然数として

とおく。以下の問に答えよ。

(1)  を求めよ。

(2)  を2以上の自然数とするとき

を示せ。

(3)  の値を求めよ。

【解答】

(1) によらない定数)。 (2) で単調減少であることから。 (3)

(1)  の原始関数は 合成関数の微分を逆に読めば出ます。

なので区間 はすべて の側。よって

が消えました。積分区間は が大きいほど右へ伸びるのに、面積は のまま動かない。 の中の3乗が外で3倍になり、割り算で定数に化ける——この現象が (3) の答えを先に決めています。

(2) 幅 の短冊で、本当の面積をはさむ。 とおくと、 では が正で単調増加、その逆数 単調減少です。したがって では

これを について から まで積分します。幅がちょうど なので、両側の定数はそのまま残り

(証明終) 絵で言えば、本当の面積を、右端と左端の高さの長方形ではさんでいるだけです。等号がつかないのは区間の内部で が両端の値と真に違うからで、答案には「両端以外では真の不等号が成り立つから」と添えれば十分です。

(3) 足し合わせると、中央がひとつながりになる。(2) を について辺々加えます。隣り合う区間がぴったりつながるので、中央の和は

右側の和はそのまま 。左側の和は と置き直すと で、 と比べると先頭の の項が抜け、末尾に の項が増えているだけ。 を使って

以上をまとめると

すなわち

のとき ですから、はさみうちの原理により

この問題で使った型

型03  の和は幅が に行かないので区分求積では扱えません。単調減少なら幅 の短冊で積分をはさめる——この一手で和と積分が結びつきます。

型11 (3) で上下の壁の差が という の式になりました。「差が に行く」ことを示すのが、はさみうちの本体です。

検算のしかた

(1)(2) は総当たりで  で数値積分するといずれも と差ちょうど )。(2) は から までの19999個すべてで違反0件です。

(3) ははさみうちを使わずに直接足す  を定義どおり足し上げ( では 項)、 は上界 の内側。証明の道具を使わない方法で確かめるのが検算のこつです。

東北大学 2009年度 ―― 型09・型01。大小を決めない限り、積分に一歩も入れない

【問題】東北大学 2009年度 前期日程(理系)

を満たす実数とする。以下の問いに答えよ。

(1) 実数 に対して のうち小さくないほうを とおく。すなわち、 のとき のとき と定める。このとき定積分 を求めよ。

(2)  の範囲で動かすとき、(1) の の最大値を求めよ。

【解答】

(1) ) (2) 最大値は のとき)

まず、この は積分できません。「2つのうち小さくないほう」という定義のままでは原始関数を書きようがないからです。どちらが大きいかを決めて区間を切るまで、計算には一歩も入れません。

(1) 差をとって、符号を見る。和積の公式 で使うと

より 符号を握るのは だけです。 では なので、 となるのは のとき。したがって

より ですから、分割点は必ず区間の中にあります。ここを確認しないまま切ると、 が端のときに答案が破綻します。あとは切って積分するだけです。

足して

別解——絶対値ひとつで場合分けを消す。大きいほうを取る操作は と書けます。これを使うと 。前半は 、後半は の周期が なので によらず となり、(型07)。区間を切らずに同じ答えに着きます。

(2)  にそろえて2次関数にする。 を使い、 とおきます。 では で、

頂点の の内側にあり、 となる 。よって最大値は のとき)です。

この問題で使った型

型09 絶対値と同じで「解凍」が必要です。差の符号の変わり目を探す道と、 と書き直す道の2本があります。

型01 大小を決める作業そのものが本体でした。「積分の前に、関数どうしをくらべる」という順序は変わりません。

型07 別解の決め手は の周期が であること。おかげで積分の値が に依存しなくなります。

検算のしかた

場合分けを使わずに積分する  をそのまま の複合シンプソン法で積分し、 の9通りで閉じた式と比較。差は最大 (被積分関数に折れ点があるぶん、なめらかな関数より収束が遅くなります)。大小の構造も 1001点、 2001点の格子で検査し違反0件です。

最大値と端点  を361点走査して三分探索すると、最大を与える )、値は では だから のはずで、数値積分も でした。

千葉大学 2014年度 ―― 型04・型05。漸化式を作り、同じ積分を2通りに計算する

【問題】千葉大学 2014年度 前期日程

を0以上の整数とし、

とおく。このとき、以下の問いに答えよ。

(1)  のとき、 を使って表せ。

(2) 次の式を示せ。 

(3) 次の式を示せ。ただし とする。

【解答】

(1) ) (2)(3) 以下のとおり。(3) の等式は、同じ積分 を2通りに計算して得られます。

(1) 「 で表せ」という指定が、分け方を決めている。 を使うと 2つが出てしまい、設問に答えられません。ここが分かれ目です。

着目すべきは、 の導関数だということ。つまりこちらを積分する側に回せるのです。 と分けて部分積分すると

境界項は消えます。 より より 両端がそれぞれ別の因子で潰れるという構造です。残りは を代入して

の次数が2下がり、同時に の次数が2上がる。部分積分は「どちらを微分し、どちらを積分するか」の選択の問題であるということが、これほどはっきり出る設問はそう多くありません。

(2)  が並んでいたら こう置けば となって両方が同時にほどけます のとき 。左辺の被積分関数を

と分けると、余った がちょうど に吸収されて

(3) 同じ積分を2通りに計算して、等号で結ぶ。目標は二項係数の交代和の等式ですが、その正体は「ひとつの定積分に2通りの計算法がある」という、ただそれだけのことです。

[I]漸化式で下ろしきる道。(1) を繰り返し使うと、第1添字は2ずつ下がり第2添字は2ずつ上がるので

係数の積は、分母と分子から 個ずつくくり出して

たどり着いた先の は直接計算できます。0以上の整数 に対して

ですから 。よって

のときは漸化式を使わず で同じ式になります。)これと (2) を合わせて

[II]二項定理で展開する道。 は有限和なので、項別に積分できます。

[I]と[II]は同じ積分の値ですから、等号で結んで

よくあるつまずき

(1) の漸化式を だけが2下がる」と思いこみ、 を固定したまま繰り返す誤りが多いところです。 が2下がると同時に が2上がるので、(3) でたどり着くのは ではなくです。

この問題で使った型

型04 分け方は「境界項が消えるように」「次数が動いてほしい方向に」選びます。 を積分する側に回した瞬間に が現れました。

型05  を同時にほどく置換。余りの に吸収されるように、問題の指数が組まれています。

検算のしかた

(1)(2) は組を総当たり sympy で を厳密計算し、 の56組すべてで 厳密に (境界項が消えることも確認)。(2) も49組すべてで差

(3) は分数のまま441組 交代和は桁落ちしやすいので有理数のまま計算し、 の441組すべてで両辺が完全に一致)。[I]の道筋も と合いました。

東京都立大学 2019年度 ―― 型02・型07。区分求積を、自分の手で組み立てる

【問題】東京都立大学 2019年度 前期日程(理学部数理科学科)

関数 は閉区間 で連続であり、 ならばつねに が成り立つとする。

(1) 自然数 に対し、次の不等式が成り立つことを示しなさい。

(2) 自然数 と整数 に対し、定積分 を求めなさい。

(3)  で定まる数列 が収束することを示しなさい。

【解答】

(1) 各小区間で単調性から を定数ではさみ、非負の を掛けて積分する。 (2) (整数 によらない)。 (3) 収束する。極限は

この問題は、区分求積法の「中身」を自分の手で組み立てさせる出題です。ふつうは短冊の高さ に幅 を掛けますが、ここでは幅にあたるものが という重みに置き換わっています。それでも使うのは型01の一手だけです。

(1) 単調性で定数ではさみ、非負のものを掛ける。小区間 を考えます。 は広義の単調増加なので、 のとき

ここで両辺に を掛けます。絶対値なので必ず 以上、したがって向きは変わりません。これが本問でいちばん大事な一行です( が負でも、掛けるものが非負なら向きは保たれます)。

これを 上で積分します。両端の の値は定数なので積分の外に出せて

最後に から まで辺々加えます。 にちょうど分割されているので中央の和は にまとまり、示すべき2つの不等式が同時に出ます。(証明終)

(2) 周期性で、重みが によらなくなる。 と置換すると だから

の周期は で、区間 はちょうど1周期分。だから位置によらず

(3) 重みが定数になれば、ただの区分求積。この一点が (3) を一気に片づけます。(2) を (1) に代入すると

左辺を と書き直せば、後ろは区間 等分した左端型の区分和そのもの。 は連続ですから区分求積法により

右辺も同じく右端型の区分和で、同じ極限をもちます(実際、左端型と右端型の差は で、 のとき に収束します)。したがって上の不等式の両端はともに に収束し、はさみうちの原理により は収束して

この問題で使った型

型02 公式として使うのではなく単調性で上下からはさんで自分で作る。(1) がその手順そのものです。

型07 周期性のおかげで重みが によらない に。周期性は「位置に依存しない」という強い情報です。

型01・型11 出発点は型01の一行、決着は型11。このページの2本の柱が、(1) と (3) に分かれて出題されています。

検算のしかた

(2) は を負にしても  の25通りで数値積分し、すべて 以内で一致。問題文が「整数 」と書くとおり、負の でも成り立ちます。

(1)(3) は関数を5種類用意して 単調増加な として (負の値をとるものを含む)と の35通りで違反0件。極限も で目標 に対し では全ての と一致しました。

5. よくある質問

Q1. 定積分の評価で、くらべる相手はどうやって見つけるのですか。

A. 誘導つきの問題なら、前半の設問で作らせている不等式がそのまま相手です。誘導がないときは、区間での最大値や最小値という定数、単調性を使った小区間の端点の値、教科書レベルの既知の不等式、この三つを順に試してください。相手は必ず積分できるものでなければ意味がありません。

Q2. 区分求積法と、和を積分ではさむ方法は何が違うのですか。

A. 短冊の幅が違うだけです。幅をゼロに近づけるのが区分求積、幅を1に固定したまま項数を増やすのが級数の評価です。分母がkのままの和のように幅がゼロに行かないものは区分求積では扱えないので、後者を使います。絵は同じで縮尺が違うだけだと考えてください。

Q3. 不等式で押さえたのに、目標の数値を越えてしまいました。

A. 押さえ方が甘すぎます。途中で大きく捨てた場所を探して、そこを丁寧に評価し直してください。目標の数値は出題者が正しい評価から逆算して決めているので、想定どおりに押さえればぴたりと収まります。越えたという事実そのものが、道を間違えたという合図です。

Q4. 絶対値のついた定積分や、最大値で定義された関数の積分が苦手です。

A. 絶対値は場合分けを一文字に圧縮した記号なので、積分する前に必ず解凍します。中身がゼロになる点を求めて区間を切り、各区間で符号を確かめてから外してください。二つの関数の大きいほうという定義も同じで、差をとって符号を調べるのが定石です。

Q5. 型を覚えれば、初見の評価の問題も解けますか。

A. 型は考えなくて済ませる道具ではなく、考える範囲を狭めるための道具です。過去に何百回も使われてきた型から予想して、思考する量を減らすことで、手際よく解法を思い付いている場合もあるのです。狭めたあとに何と何をくらべるかを決めるのは、その問題ごとに自分でやることになります。それでも、白紙のまま全部を考えずに済むという差はとても大きいです。

東大の良問 007

定積分の評価を望遠和へつなぐ|東大2010年理科第2問

積分を計算して終わる問題ではありません。まず分母を端点で挟み、次に対数と調和和の差を同じ1区間の誤差へ分解します。最後に分母を隣り合う整数の積へ整えると、長い和が端だけを残す望遠和になります。

  • 東京大学
  • 2010年度 前期日程
  • 数学(理科)第2問
  • 理科専用
  • 数学III 定積分
  • 不等式・対数・有限和
  • 発展

問題

(1) すべての自然数 \(k\) に対して,次の不等式を示せ。

(2) \(m>n\) であるようなすべての自然数 \(m\) と \(n\) に対して,次の不等式を示せ。


出典:東京大学2010年度第2次学力試験(前期日程)数学(理科)第2問。問題文の表記はウェブ表示用に一部調整しています。

段階別ヒント

ヒント1|\(k+x\) を端点の値で挟む

\(0<x<1\) なら \(k<k+x<k+1\) です。全て正なので、逆数を取ると不等号の向きが反対になります。

ヒント2|積分を対数へ変形する

と置きます。分子を \(1-x=(k+1)-(k+x)\) と見ると、被積分関数は です。

ヒント3|\(log(m/n)\) を隣接比に分ける

\(\frac{m}{n}=\frac{n+1}{n}\frac{n+2}{n+1}\cdots\frac{m}{m-1}\) です。対数を取れば、\(k=n,\ldots,m-1\) の和になります。

ヒント4|調和和も同じ添字にそろえる

\(\sum_{j=n+1}^{m}\frac1j\) を \(\sum_{k=n}^{m-1}\frac1{k+1}\) と書き直します。すると1項ごとの差が \(I_k/(k+1)\) になります。

ヒント5|平方分母を「隣接積」へ弱める

上側の \(\frac1{k(k+1)}\) はそのまま望遠和です。下側では \(\frac1{(k+1)^2}>\frac1{(k+1)(k+2)}\) と少し弱めると、こちらも望遠和になります。

kk+1高さ 1/(k+1)y=1/t1区間の誤差 Eₖt
曲線と右端長方形の間の斜線部分が1区間の誤差です。

解答・解説

(1) 分母を端点で挟む

自然数 \(k\) を固定する。\(0<x<1\) では

全て正なので、逆数を取ると

さらに \(1-x>0\) を掛け、(0) から (1) まで積分する。

\(int_0^1(1-x),dx=\frac12\) だから、

(1)の結論:

点 \(x=0,1\) だけでは等号になり得るが、区間内部 \(0<x<1\) では真の不等式が成り立つため、積分後も狭義不等号のままである。

(2) まず1項分の誤差を \(I_k\) で表す

次の積分を置く。

\(1-x=(k+1)-(k+x)\) より、

両辺を \(k+1\) で割ると、

対数と調和和の添字をそろえる

隣り合う整数の比を掛けると \(\frac{m}{n}\) になるので、

また、調和和は添字を1つずらして

(2)(3)(4)から、問題の中央の量を \(D_{m,n}\) と書けば

上からの評価|そのまま望遠和

(1)の右側を \(k+1\) で割ると、

よって(5)から

下からの評価|平方分母を隣接積へ変える

(1)の左側を \(k+1\) で割ると

このままでは和が消えない。そこで \(k+1<k+2\) より

と少し弱め、望遠和の形を作る。(5)から

(2)の結論:

ただし である。

別解|右端長方形の面積誤差を直接評価する

中央の差は

1区間の誤差を \(E_k\) と置き、\(t=k+x\) と変数を移す。

\(0<x<1\) では

積分して \(int_0^1(1-x)dx=\frac12\) を使えば

\(k=n,\ldots,m-1\) で足すと、両側がそれぞれ(7)(6)と同じ望遠和になり、求める不等式を得る。この見方では、小問(1)が「減少関数と右端長方形の誤差評価」だったことが直接見える。

解法を思いつくための再現手順

  1. 目標の中央量を読む。 対数と逆数和が並んだら、(log(\(k+1\)/k)) と \(1/(k+1)\) の1項差へ分ける。
  2. 小問(1)の積分を計算する。 値を出すためではなく、中央量の1項差と結び付く形を探す。
  3. 全ての添字を同じ範囲へそろえる。 \(k=n,\ldots,m-1\) に統一すると、差がそのまま足せる。
  4. 答えの分母から望遠和を逆算する。 \(mn\) なら \(k(k+1)\)、\((m+1)(n+1)\) なら \((k+1)(k+2)\) を予想する。
  5. 厳しさを一度だけ確認する。 区間内部で不等式が真なので、和を取った後も狭義不等号が保たれる。

よくある誤り

  • 逆数を取っても不等号を反転しない: \(k<k+x<k+1\) は \(\frac1{k+1}<\frac1{k+x}<\frac1k\) になります。
  • \(1-x\) の符号を確認しない: \(0<x<1\) で正だから、掛けても不等号の向きは変わりません。
  • 端点で等号があるため \(\leqq\) と書く: 内部の正の長さの区間で真に小さいため、積分後は \(<\) です。
  • \(I_k\) の定数項を \(+1\) にする: \(\frac{1-x}{k+x}=\frac{k+1}{k+x}-1\) なので、積分後は \(-1\) です。
  • 和の添字をずらす: 対数側も調和和側も \(k=n,\ldots,m-1\) にそろえてから引きます。
  • \(I_k\) を \(k+1\) で割り忘れる: 対数差は \(I_k\) ではなく \(I_k/(k+1)\) です。
  • \(\sum1/(k+1)^2\) が望遠和だと思う: \(\frac1{(k+1)^2}>\frac1{(k+1)(k+2)}\) と弱めて隣接積を作ります。
  • \(m=n\) も含める: その場合は中央も両端も0となり、狭義不等式は成立しません。原問は \(m>n\) です。

この問題で押さえること:定積分の評価は「被積分関数を端点の値で挟む」が出発点。挟んだあと、分母を隣り合う整数の積に整えて望遠和で途中を消す流れを押さえよう。

前提単元と次に解く問題

教材について:解答・解説・ヒント・図は数強塾が独自に作成した非公式教材で、東京大学が公表した公式解答・公式見解ではありません。問題の著作権は東京大学に帰属し、出典を明示して掲載しています。

6. 次に読むページ

「評価」で手が止まってしまう人へ

定積分の評価が苦手な生徒の答案を見ていると、計算力が足りないのではなく「いま何と何をくらべようとしているのか」を言葉にできないまま式をいじっていることがほとんどです。数強塾では手を動かす前に「押さえたいのは上か下か」「くらべる相手は何で、それは積分できるのか」を必ず口に出させます。オンラインの完全1対1で、プロ講師のみが担当します。

数強塾オリジナル演習 追加5題|型06・10・12を埋める

上の入試実例と「東大の良問007」では型01〜05・07〜09・11 を扱いました。ここでは実例が手薄な型06(偶関数・奇関数)・型10(広義積分)・型12(積分方程式との違い)を5問で埋めます。この見出し以下の5問はすべて数強塾の自作問題で、前掲の実在入試問題「東大の良問007」は含みません。答えは別解や数値で検算してあります。

型06 偶関数・奇関数で項を落とす
定積分 を求めよ。

解答・解説を見る

区間が原点対称なら、まず偶奇で分けます。
奇関数)…… から までの積分は必ず
偶関数)…… から までの2倍
よって



【答】
(検算:直接計算しても ✓)
【なぜ奇関数は消えるのか】グラフが原点について点対称なので、左半分と右半分の面積が符号込みで打ち消し合います
式で書けば の置換で置換積分の1行で示せます。
【判定は指数を見るだけ】多項式なら奇数次が奇関数、偶数次(定数を含む)が偶関数 は偶、 は奇。奇×奇=偶です。
【区間が対称でないと使えない】 になりません。 から 」を必ず確認してから使ってください。

型06 偶関数と置換の合わせ技
定積分 を求めよ。

解答・解説を見る

被積分関数は偶関数です( で変わらない)。

ルートを外すため三角置換)。


2倍角で次数を下げます。 なので


【答】
(検算:。被積分関数の最大値は 付近で、区間の幅が なので は妥当な大きさ ✓)
【偶関数を先に使う利点】区間が になるので、置換後の の範囲が素直になります。
のまま置換すると。計算はできますが、符号の確認が1つ増えます
順番は「偶奇 → 置換」。先に区間を半分にしてから置換するのが定石です。

型10 広義積分(端で発散する場合)
次の2つの定積分について、値が定まるかどうかを調べ、定まる場合はその値を求めよ。
(1)  (2)

解答・解説を見る

どちらも で被積分関数が定義されません。そのままでは計算できないので、手前で切って、近づけるという手順を踏みます。
【(1)】 として を計算します。

とすると に収束
【(2)】

とすると限りなく大きくなる。値は定まりません。
【答】(1)  (2) 定まらない(発散)
【同じ「無限に高い」のに差が出る】どちらもグラフは で限りなく高くなります。それでも面積は有限になったりならなかったりする。
分かれ目は発散の速さです。
よりゆっくり大きくなる。ゆっくりなら、面積が積み上がる前に区間が尽きます。
【判定の目安】 なら収束、 なら発散 は収束、 はぎりぎり発散です。
【高校での扱い】教科書では広義積分を正面から扱いませんが、「はさみうち」の問題ではこの判断が必要になります。 と答えてはいけない、というのがその典型です。

型10 広義積分(無限に長い区間)
次の2つについて、値が定まるかどうかを調べ、定まる場合はその値を求めよ。
(1)  (2)

解答・解説を見る

今度は区間が無限に長いほうです。手順は同じで、有限で切ってから限りなく伸ばします
【(1)】 として

とすると に収束
【(2)】

とすると発散
【答】(1)  (2) 定まらない(発散)
【面積が有限、という不思議】(1) の図形は右へ無限に伸びているのに、面積は しかありません。細くなる速さが十分速いからです。
【判定の目安(前問と逆になる)】 なら収束、 なら発散
前問の では で収束でした。ちょうど条件が裏返っています。)はどちらの側でも発散する——境目にいる関数です。
【級数との対応】 は収束、 は発散。まったく同じ境目です。Σ と ∫ が対応していることの、ひとつの現れ方になっています(型03)。

型12 積分方程式——定数か、関数か
次の条件を満たす関数 を求めよ。
(1)
(2)

解答・解説を見る

この2つは、まったく違う型です。見分けるのは積分の上端だけ。
【(1) 上端が定数 → 積分は「ただの数」】
を含まないので定数。これを と置きます。

この形を、 の定義式に戻します。

より
【答(1)】
(検算: ✓)
【(2) 上端が変数 → 微分する】
こちらは の関数なので、定数と置けません。両辺を で微分します。
微分と積分は逆)なので

また、もとの式に を入れると
この微分方程式を解くと より
【答(2)】
(検算: ✓)
【見分け方は1点だけ】積分の中に が現れるか。
上端が定数( など)→ その積分は数。 と置く
上端が など)→ 関数。両辺を微分する
(2) では初期条件をもとの式から拾うのを忘れないでください。微分すると情報が消えるので、 を代入して を得る一手が必要です。

12の型は「計算するか、しないか」で分かれる

本文の背骨のとおり、評価とは計算できない量をはさむことでした。その手前で、まず計算せずに済ませられないかを考えます。

方針 やること 該当する型
計算せずに値を出す 対称性を使う 型06・07・08
計算して値を出す 置換・部分積分 型04・05・09
はさんで評価する 大小・面積・区分求積 型01・02・03・11
そもそも定まるか調べる 極限を取って確かめる 型10

最初に見るのは対称性です。区間が なら偶奇、区間の端を入れかえられるなら King property。気づけば計算が半分か、ゼロになります。

偶関数・奇関数の使い方(型06)

条件 結論
奇関数を
偶関数を
区間が非対称 使えない

判定は掛け算の符号と同じです。偶×偶=偶、奇×奇=偶、偶×奇=奇 は偶、 は奇になります。

広義積分の判定(型10)

手順は「切って、近づける」の1つだけ。結果は の値で決まります。

積分 収束する条件

条件が裏返っているのが面白いところです。)はどちらでも発散——境目にいます。

そして級数とまったく同じ境目です。 は収束、 は発散。型03(面積で級数を評価する)は、この対応を使っています。

積分方程式の見分け(型12)

積分の中に があるか、ないか
正体 手順
(定数区間) ただの数 と置いて代入
(上端が変数) の関数 両辺を微分

後者では初期条件を拾うのを忘れないでください。 なので、 を代入すれば がわかります。微分で消えた情報を、ここで取り戻します。

検算の型

  1. 求めた関数を、もとの式に戻す ── 演習5はこれで確認しました
  2. 数値の大きさが妥当か見る ── 「最大値×幅」より小さいか(演習2)
  3. 別の道でも計算する ── 偶奇を使わず直接計算(演習1)

とくに1つ目。積分方程式は「戻して確かめる」のが簡単なので、必ず検算してください。

「なぜそうなるのか」へ

定積分の評価は、積分の意味と道具を押さえると型が減ります。

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