数学IIの積分は、計算そのものは易しい単元です。それでも差がつくのは、「積分の中の文字は、外から見えない」という一点と、面積公式がなぜ成り立つのかを知らないまま公式だけを覚えている人が多いからです。この2つを押さえると、積分方程式も面積の最大最小も同じ手つきで通せます。このページは、数学IIの積分法の解法を14の型に分けて並べた辞典です。型は当てはめるための箱ではなく、考える範囲を狭めて、そこから先に頭を使うための道具として並べています。
このページの14型
- 定積分の計算/偶関数・奇関数
- 定積分の計算/絶対値つき
- 定積分関数/区間が固定(中身は定数)
- 定積分関数/区間が変動(微分できる)
- 積分方程式/区間固定型
- 積分方程式/区間変動型
- 面積/放物線と直線(1/6公式)
- 面積/放物線と2本の接線
- 面積/2つの放物線と共通接線
- 面積/上下が入れかわる場合
- 面積/3次関数どうし
- 面積/3次関数と直線
- 面積/3次関数と接線(1/12公式)
- 面積/4次関数と複接線(1/30公式)
1. 積分の背骨——「中の文字」は外から見えない
定積分はただの数
は、 が何であろうと1つの数です。 は積分が終われば消えてしまう文字(ダミー変数)で、外の とは無関係。
したがって とおいてしまってよい。
この一行が積分方程式のすべて。 のような式を見て固まる人は多いのですが、積分の部分が定数だと分かれば、これは「 という2次関数」という宣言にすぎません。あとは を求めるだけ。「定数だと気づく」ことが、この型の唯一にして最大の関門です(信州大学の実例)。
区間が動くなら、話は変わる
は の関数です。そして
つまり微分すると中身が取り出せる。区間固定なら「定数とおく」、区間変動なら「微分する」――この使い分けが型03〜型06の骨格です。
2. 面積公式は「覚える」のではなく「作る」
いわゆる 公式・ 公式・ 公式は、どれも同じ一つの計算から出ています。
| 差の関数の形 | 積分値 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 放物線と直線(2交点) | ||
| 3次関数と接線 | ||
| 4次関数と複接線 |
公式が使えるかどうかは「差の関数が因数分解できる形になるか」で決まる。2つの曲線 、 が囲む面積は で、この が交点で0になる多項式だから の形に必ずなります。しかも接している交点では2重解になる。だから「接する」と書いてあれば が現れると先に予想できる。公式を思い出すのではなく、差の関数の形を先に予想して、その形に合う公式を選ぶ――これが正しい順序です。
面積を求める前に必ずやる2つ
① 上下の判定 どちらが上かを決める。入れかわるなら分割する。
② 差の関数を因数分解 を展開せず、 の形のまま書く。
この2つをやってから積分に入ると、計算量が半分以下になります。
3. 解法パターン全14型
型01 定積分の計算/偶関数・奇関数
01原点対称な区間では、奇数次が消える
顔つき 。
中身 奇関数を から まで積分すると 。偶関数なら 。
なぜ消えるのか 奇関数のグラフは原点対称なので、 側の面積と 側の(符号つき)面積がちょうど打ち消し合うからです。計算する前に「消える項」を見つけて捨てると、残りは偶数次だけ。これだけで計算量が半分になります。
型02 定積分の計算/絶対値つき
02符号が変わる点で区間を切る
顔つき 、。
中身 中身が0になる点を境に区間を分け、それぞれで絶対値を外す。
原始関数を1本用意しておく手もある のような単純な形なら、 が原始関数()になるので、場合分けせずに と一発で書けます。区間の端が動く問題では、この方が場合分けの見落としを防げます(千葉大学の実例)。
型03 定積分関数/区間が固定
03積分の値を文字でおく
顔つき 。
中身 とおくと の形が確定する。あらためて積分して についての方程式を作る。
「定数」だと言い切ることが第一歩 積分区間に が入っていないなら、その積分は と無関係な数です。だから の形は最初から決まっていて、未知なのは係数の値だけ。この構造が見えると、あとは連立方程式を解くだけの作業になります。
型04 定積分関数/区間が変動
04微分して中身を取り出す
顔つき の最大・最小。
中身 なので、 の符号を見れば の増減が分かる。
積分せずに増減が分かる を具体的に計算しなくても、被積分関数の符号だけで増減表が書けます。これは微分積分学の基本定理そのもので、「積分は微分の逆」を実際に使う場面です。最大最小を問われているだけなら、 の式を求める必要すらないことが多い。
型05 積分方程式/区間固定型
05定数とおいて連立
顔つき 。
中身 積分の個数だけ文字をおく( など)。
は積分の外へ出す の は積分変数 と無関係なので、 と外に出せます。ここを外し忘れると、定数とおけずに詰まります。「積分の中で動いているのは だけ」を毎回確認してください。
型06 積分方程式/区間変動型
06微分する+初期条件を1つ拾う
顔つき 。
中身 両辺を で微分して 。さらに を代入すると左辺が0になるので、 が決まる。
微分すると情報が1つ落ちる 微分は定数を消してしまうので、微分した式だけでは元の式と同値になりません。失われた情報を取り戻すのが「 を代入」で、そこでは積分区間の幅が0だから左辺が必ず0になる。この一手を忘れると が決まらず、答えが不完全になります。
型07 面積/放物線と直線
07差が になる
顔つき 「放物線と直線が囲む面積」。
中身 。 を使うと判別式から直接出る。
交点を求めなくてよい は解の差なので、解と係数の関係から で計算できます。交点の座標そのものが汚くても、差だけならきれいに出ることが多い。この性質のおかげで、面積を の関数として扱う最大最小の問題(学習院大学の実例)が現実的な計算量に収まります。
型08 面積/放物線と2本の接線
08接点の中点で分割する
顔つき 「放物線外の1点から引いた2本の接線と放物線が囲む面積」。
中身 2接線の交点の 座標は、2つの接点の中点。そこで分割すると、各部分は の積分になる。
なぜ中点なのか の における接線の交点は です(実際に連立すれば出ます)。この対称性のおかげで分割位置が計算せずに分かる。結果として面積は となり、 公式のちょうど半分になります。
型09 面積/2つの放物線と共通接線
09接線は とおいて判別式2本
顔つき 「2つの放物線の両方に接する直線」。
中身 接点を2つ置くより、 とおいて「両方と接する」を判別式 2本で書くほうが式が軽い。
未知数と式の本数をそろえる 接点を置くと未知数が2つ(2つの接点)+直線の情報になりますが、 で置けば未知数は2つ、判別式が2本でぴったり。「何を未知数にするか」で計算量が変わる典型例です。なお、面積比を問われたときは が約分されて文字が消えることがあり、それ自体が検算になります(九州大学の実例)。
型10 面積/上下が入れかわる場合
10交点で区間を分けて、それぞれ絶対値を外す
顔つき 「囲まれた図形」が複数のブロックに分かれている。
中身 。交点ごとに上下が入れかわるので、区間ごとに符号を確かめる。
「囲まれた部分」がどこかを図で確定させる 式だけで進めると、どの区間を積分すべきか分からなくなります。交点を全部求めて数直線に並べ、各区間で上下を1回ずつ判定する――この作業を省くと符号を間違えます。面積は必ず正なので、負が出たら上下を取りちがえた合図です。
型11 面積/3次関数どうし
11差をとると次数が下がることがある
顔つき 「2つの3次曲線が囲む面積」。
中身 を作ると3次の係数が同じなら2次式に落ちるので、型07が使える。
差をとってから次数を見る 個別には3次でも、差は低次になることがあります。面積の計算で本当に効くのは の形だけで、 や 単独の次数は関係ありません。まず差を作り、それから公式が使える形かを判断してください。
型12 面積/3次関数と直線
123つの交点なら、区間ごとに符号が変わる
顔つき 「3次曲線と直線が3点で交わり、囲む2つの部分」。
中身 。隣り合う区間で符号が入れかわる。
3次関数の点対称性が効く 直線が変曲点を通る場合、2つの部分の面積は等しくなります(点対称だから)。「面積が等しい」という条件が出てきたら、まず対称性を疑うのが速い。一般の場合でも、変曲点を原点に移して考えると見通しがよくなります。
型13 面積/3次関数と接線
13接点は2重解、もう1つの交点で閉じる
顔つき 「3次曲線とその接線が囲む面積」。
中身 ( が接点)。面積は 。
因数の形を先に予想する 「接する」と書いてあれば が必ず現れます。3次式なので残る因数は1次、つまり 。展開して割り算する必要はなく、係数比較で が即座に出る。この予想ができると、計算が驚くほど短くなります(山口大学の実例)。
型14 面積/4次関数と複接線
142か所で接するなら、2重解が2つ
顔つき 「4次曲線に2点で接する直線(複接線)と囲む面積」。
中身 。面積は 。
複接線が存在するのは4次以上 3次曲線には2点で接する直線がありません(差が3次式なので2重解を2つもてない)。「次数がいくつなら、どんな接し方ができるか」を差の次数で数えると、この違いが自然に理解できます。複接線を求めるときは が完全平方になる条件を係数比較で立てるのが標準です。
4. 実際の入試で確かめる
この単元の解法パターンは全14型で、下にある入試の実例5問で確かめているのは6型です。残りの8型は、下にある実例では扱っていません。1問が複数の型にまたがることも、同じ型を複数の実例で扱うこともあるため、実例の数と型の数は必ずしも一致しません。
ここからは実際に出題された問題で型を確かめます。問題文は各大学が公表した入試問題を、解説のために引用したものです。解答・解説は数強塾が独自に作成したもので、大学公表の解答ではありません。掲載しているすべての数値は、当塾で独立に解いたうえで Python による検算を行っています。
信州大学 2019年度 前期日程 ―― 型05・型13。定数とおいて、接する形を作る
【問題】信州大学 2019年度 前期日程
関数 は をみたすとする。曲線 と直線 は、 座標が正の点で接しているとする。
(1) の値と接点の座標を求めよ。
(2) 直線 、直線 、および曲線 で囲まれた領域の面積を求めよ。
【解答】
(1) 、接点 (このとき ) (2)
まず定数とおきます。 とすると
これを から まで積分して の方程式を作ります。
したがって 。
(1) 接する条件は重解なので、 すなわち の判別式が0。
接点の 座標は なので、それぞれ と 。正のほうを選んで 、接点 。
(2) ここで差の関数の形を先に見ます(型13の発想)。
接しているのだから完全平方になるのは当然です。これは で0、それ以外では正なので、 は の上側にあり、 で1点だけ接しています。
したがって領域を閉じているのは左端の だけ。
「接する」が2回効いている。(1) で判別式 として を決め、(2) でその結果として差が完全平方になることを使いました。接するという条件は、方程式では重解、面積では という因数として現れる――同じ事実の2つの顔です。ここがつながると、面積の計算で展開してから積分する必要がなくなります。
学習院大学 2021年度 ―― 型07。面積を の関数として最大化する
【問題】学習院大学 2021年度
実数 に対して、放物線 と直線 を と定める。
(1) であるとき、 と は異なる2つの交点をもつことを示せ。
(2) が を満たす実数全体を動くとき、 と とで囲まれた図形の面積の極大値と、極大値を与える の値を求めよ。
【解答】
(1) 判別式 は で最小値1をとるので (2) 極大値 ()
交点の 座標は 、すなわち
の解です。判別式は
(1) は の3次式なので、不等式変形をひねるより増減を調べるのが確実です。
より で極大 、 で極小 。左端は 。
よって での最小値は で、つねに異なる2交点をもちます。
(2) 公式より、面積は
ここが本問の要
は の単調増加関数です。だから を微分する必要はなく、 の極大を探せばよい。
(1) で調べたとおり の極大は のときの 。よって
なお は の極小なので も極小で、極大値ではありません。
合成関数の増減は「外側が単調なら内側だけ見ればよい」。 で なら、 と は増減が完全に一致します。だから (1) で作った の増減表が、そのまま (2) の答えになる。誘導の (1) は「示せ」という証明問題の顔をしていますが、実は (2) のための増減表を作らせているのです。誘導が何を用意しているかを読むと、計算が一段軽くなります。
山口大学 2018年度 前期日程 ―― 型13。因数の形を予想する
【問題】山口大学 2018年度 前期日程
を正の定数とし、 とおく。座標平面上の曲線 を とし、曲線 上の点 における接線を とする。接線 が点 P 以外で曲線 と交わる点を Q とする。
(1) 点 Q の座標を を用いて表しなさい。
(2) 線分 PQ と曲線 で囲まれる図形の面積 を を用いて表しなさい。
(3) 曲線 上の点 を考える。線分 PQ、線分 RQ および曲線 で囲まれる図形の面積を とする。また、線分 RQ と曲線 で囲まれる図形の面積を とする。このとき、 を求めなさい。
【解答】
(1) (接線 ) (2) (3)
(1) より 。、。接線は
ここで差の因数を予想します。 で接するので が現れ、3次式なので残りは1次。
(展開して確かめると一致します。)よって 。
(2) 区間 では 、つまり曲線が直線の下側。被積分関数を の形にして 公式を使います。
(3) と を結ぶ直線は、傾き より 。差をとると
は の部分。 と平行移動すると被積分関数が となり、符号を直して
は直接積分せず、引き算で出します。区間 では曲線が最も下、その上に RQ、さらに上に PQ という順なので
上下関係を確かめてから引き算する。 が使えるのは、 の領域が の領域にすっぽり含まれているからです。これは図を描いて上下関係を確認しないと言えません。面積を3辺で直接積分すると場合分けが増えますが、包含関係が見えれば引き算1回で済む。「求めたい面積を、既に求めた面積の差で書けないか」を先に探すのが実戦的です。
九州大学 2017年度 前期日程 ―― 型09。共通接線と面積比
【問題】九州大学 2017年度 前期日程
定数 に対し、放物線 、 を考える。
(1) 放物線 の両方に接する2つの直線の方程式をそれぞれ を用いて表せ。
(2) と (1) で求めた2つの直線で囲まれた図形の面積を 、 と (1) で求めた2つの直線で囲まれた図形の面積を とするとき、 を求めよ。
【解答】
(1) (2)
(1) 接線を とおき、「両方と接する」を判別式 2本で書きます(型09)。
と接する: で 、すなわち 。
と接する: で 、すなわち 。
連立して
より で、 は正負2つ。これが「2つの直線」に対応します。また 。
(2) 接点は が 、 が 。2接線は で交わります( が共通なので 軸上)。
左右対称なので で2分割して計算します。 の側を考えると、 と接線の差は なので
と接線の差は (上下が逆)なので
が約分されて消えるのが検算になっている。面積比が によらない定数 になりました。これは偶然ではなく、2つの放物線の2次の係数の比 だけで決まるからです(面積は に比例する形で出るため)。答えに文字が残らないときは、その理由を考えると構造が見える――そして文字が残るはずなのに消えたなら、それは計算ミスの合図でもあります。
千葉大学 2014年度 前期日程 ―― 型02・型04。原始関数を1本用意する
【問題】千葉大学 2014年度 前期日程
実数 に対し、関数 を考える。曲線 が 軸と2個の共有点を持つための の範囲を求めよ。またこのとき曲線 と 軸で囲まれる部分の面積を求めよ。
【解答】
共有点が2個 。面積は のとき 、 のとき
絶対値つきの積分ですが、区間を場当たりに割るより、原始関数を1本用意するほうが確実です(型02)。
とおくと になります。
したがって 。場合分けして書き下すと
| の範囲 | 形 | |
|---|---|---|
| 1次(減少) | ||
| 2次(下に凸) | ||
| 1次(増加) |
これは に関して対称な、下に凸の形です。最小値は 。
共有点が2個 最小値が負 ( は接して1個)。
面積 零点が「真ん中の放物線部分にあるか、外側の直線部分にあるか」で式が変わります。境目は での値 が0になるとき、つまり 。
- :零点は放物線部分にあり、 公式が使えます。解の差は なので
- :零点が直線部分に出るので、対称性を使って と置き、放物線部分と直線部分を分けて積分すると
境目 では、前者が 、後者が で一致します。場合分けが正しいことの検算になっています。
関数の「形」を先に確定させる。この問題は積分の計算そのものより、 が「直線・放物線・直線」をつないだ左右対称な形だと見抜くことが本体です。形が分かれば、共有点の個数は最小値の符号、面積は零点の位置で場合分け――どちらも標準的な処理に落ちます。積分が出てきても、まず「どんな関数か」を確定させてから問いに答えるのが順序です。
5. よくある質問
Q1. 積分方程式で、どこから手をつければよいか分かりません。
A. 積分区間を見てください。区間に が入っていなければ定数なので文字でおきます。区間の端に があれば関数なので微分します。この二択で必ず動き出せます。
Q2. 面積公式を覚えても、いつ使えるか分かりません。
A. 公式から入らず、差の関数 を因数分解した形を先に書いてください。 なら 、 なら 、 なら です。形が先、公式は後です。
Q3. 積分方程式で微分したあと、条件が足りなくなります。
A. 微分すると情報が1つ落ちるので、積分区間の幅が0になる値()を代入してください。そこでは左辺が必ず0になるので、失われた条件が復活します。
Q4. 面積が負になってしまいました。
A. 上下を取りちがえています。面積は必ず「(上の関数)−(下の関数)」を積分します。負が出たら、その区間では上下が逆だったということなので、符号を直すか区間を分けてください。
Q5. 型を覚えれば初見の積分問題も解けますか。
A. 型は考えなくて済ませる道具ではなく、考える範囲を狭めるための道具です。狭めたあとは自分で考える必要があります。実際、本ページの山口大学の問題は「 を直接積分せず で出す」と自分で判断する必要がありました。型を持っている人は、白紙のまま全部を考えずに済むという差が出ます。
6. 次に読むページ
- 【深掘り】定積分で表された関数の解法パターン全12型 ―― 積分の中に未知関数がある型に特化。
- 微分法(数II)の解法パターン全11型 ―― 接する条件・増減の考え方が土台になります。
- 2次関数の解法パターン全20型
- 図形と方程式の解法パターン全19型
- 数学II・B・C 要点辞典 第7章 積分法 ―― 定義・公式・つまずきポイントの確認。
- 積分法の基本 特訓道場 ―― 型01〜型06の演習。
- 積分法の応用 特訓道場 ―― 型07〜型14の演習。
- 大学入試 過去問の全問解説
積分で手が止まる人へ
数学IIの積分でつまずく生徒のほとんどは、計算力ではなく「積分の中の文字は外から見えない」という一点を教わっていないだけです。数強塾では、積分方程式を見たら最初に「これは定数か関数か」を言わせるところから指導しています。オンラインの完全1対1で、プロ講師のみが担当します。
数強塾オリジナル 追加演習14問|14の型を、数字を変えてもう一度
上の14の型を、設定と数値を変えた自作問題で1問ずつ確かめます。面積の問題では、計算に入る前に必ず①交点 ②上下 ③重解かどうかの3つを確認してください。③が分かれば、・・ のどの公式が使えるかが決まります。
問1(型01 定積分/偶関数・奇関数)
を求めよ。
解答
奇関数()の での積分は0。偶関数()だけ残る。
12
(区間が原点対称のときだけ使える。 のような非対称区間では使えない。まず区間を見てから、奇偶を判定する。)
問2(型02 定積分/絶対値つき)
を求めよ。
解答
は で負、 で正。符号が変わる で区間を切る。
合計
問3(型03 定積分関数/区間が固定)
を満たす関数 を求めよ。
解答
は定数( を含まない)。これを と置く。
となるので
より 。よって 。
(検算: ✓。「中の文字は外から見えない」——積分変数 は と無関係。ここが分かれば、この型は必ず解ける。)
問4(型04 定積分関数/区間が変動)
の極大値と極小値を求めよ。
解答
微分積分学の基本定理より 。
符号は で正、 で負、 で正。よって で極大、 で極小。
(区間の幅が0)。
極大値 0()、極小値 ()。
(積分してから微分する必要はない。 は被積分関数の を に変えるだけ。また は必ず成り立つので、検算に使える。理由は積分と面積の記事。)
問5(型05 積分方程式/区間固定型)
を満たす を求めよ。
解答
と置くと 。
より 。よって 。
(検算: ✓)
問6(型06 積分方程式/区間変動型)
を満たす関数 と定数 を求めよ。
解答
両辺を で微分すると 。
次に を代入する。左辺は区間の幅が0なので0。
、、。
(手順は必ず「微分して 、 を代入して 」の2段。片方だけでは答えが決まらない。 が2つ出るのは正しい。)
問7(型07 面積/放物線と直線(1/6公式))
放物線 と直線 で囲まれた部分の面積を求めよ。
解答
交点: より 、。
差の関数は で、 の係数は1。 公式より
( 公式 は差の関数が2つの1次式の積に因数分解できるときだけ使える。交点を出した時点で、その形になっている。)
問8(型08 面積/放物線と2本の接線(1/12公式))
放物線 と、点 から引いた2本の接線で囲まれた部分の面積を求めよ。
解答
接点を とすると接線は 。 を通るので 、。
接線は と 。2接点の 座標は と 。
公式より
(2接線の交点で区間が半分に割れるので、 公式を2回使った結果が になる。公式を覚えていなくても、 で確かめられる。)
問9(型09 面積/2つの放物線)
2つの放物線 と で囲まれた部分の面積を求めよ。
解答
交点: より 、、、。
差の関数は で、係数は2。
9
(係数は「差の関数」の の係数。片方の放物線の係数ではない。ここを間違えると2倍ずれる。)
問10(型10 面積/上下が入れかわる場合)
曲線 と直線 で囲まれた部分の面積をすべて求めよ。
解答
交点: より 、。交点が3つ=囲まれた部分が2つある。
: で なので曲線が上。
: で なので直線が上。
合計 。
(まとめて と計算すると0になる(奇関数だから)。これは面積ではない。上下が入れかわる点で必ず区間を切る。)
問11(型11 面積/3次関数と2次関数)
曲線 と で囲まれた部分の面積をすべて求めよ。
解答
交点:、、。
差の関数 の符号: で 、 で 。
(負なので面積は )
合計 。
問12(型12 面積/3次関数と x 軸)
曲線 と 軸で囲まれた部分の面積をすべて求めよ。
解答
交点: より 。
は奇関数なので、原点対称。よって 側の面積を2倍すればよい。
では ( で )なので、面積は
8
(対称性を使うと計算が半分になる。ただし「積分値が0だから面積0」としないこと。面積は必ず正。)
問13(型13 面積/3次関数と接線(1/12公式))
曲線 と、その点 における接線で囲まれた部分の面積を求めよ。
解答
、 で傾き3。接線は 。
交点:。 が重解なので 、(重解)と 。
では なので曲線が上。
(公式 でも で一致。接するところが重解になるのがこの型の目印。)
問14(型14 面積/4次関数と複接線(1/30公式))
曲線 と直線 で囲まれた部分の面積を求めよ。
解答
交点:、 より (いずれも重解)。2か所で接している=複接線。
では なので直線が上。
の絶対値。
よって 。
(公式 でも で一致。 は、重解の重なり方が深くなるほど分母が大きくなるという並び。公式は覚えるより「作れる」ほうが安全。)
「なぜその式でよいのか」を理由から確かめる
- なぜ積分すると面積が求まるのか ― 型03・型04・型06の土台
- なぜ微分すると接線の傾きが出るのか ― 型08・型13で接点を t と置く理由
- なぜ台形の面積は「横幅×真ん中の高さ」なのか ― 一次関数の積分は台形
- なぜ?数学辞典(見出し一覧)
大学受験数学|積分を面積・体積へつなぐ
積分の独自演習4問|符号・置換・回転体を手順で攻略
積分は原始関数を求める計算だけでなく、区間内の上下関係や回転軸まで言葉で確認する必要があります。多項式、二曲線の面積、置換積分、回転体を一続きで扱います。
定積分で「上の関数から下の関数を引けない」「置換後の端点を戻し忘れる」「回転体で半径を二乗しない」という具体的な失点を防ぐ大学受験向け演習です。
図は左右にスクロールして全体を確認できます。
問1|多項式の定積分と符号確認
定積分∫[0,2](x³-3x+2)dxを求めよ。
問1「多項式の定積分と符号確認」の解答・詳しい考え方を開く
答え:2。
- 項別に積分し、原始関数F(x)=x⁴/4-3x²/2+2xを得る。
- 上端x=2を代入するとF(2)=4-6+4=2である。
- 下端x=0ではF(0)=0である。
- 定積分はF(2)-F(0)=2となる。
- 被積分関数は(x-1)²(x+2)と因数分解でき、区間内で非負なので正の答えとも整合する。
誤答分析:上端の値から下端の値を引く順序を逆にしない。-3xの積分は-3x²/2である。
別計算による検算:数値積分ではなく、因数分解後に展開し直して(x-1)²(x+2)=x³-3x+2を確認し、原始関数を微分すると元の式へ戻る。
問2|直線と放物線に囲まれた面積
直線y=x+2と放物線y=x²で囲まれた部分の面積を求めよ。
問2「直線と放物線に囲まれた面積」の解答・詳しい考え方を開く
答え:9/2。
- 交点はx²=x+2、すなわち(x-2)(x+1)=0からx=-1,2である。
- 区間内のx=0で直線の値2、放物線の値0だから、上が直線、下が放物線である。
- 面積A=∫[-1,2](-x²+x+2)dxと立てる。
- 原始関数-x³/3+x²/2+2xへ2と-1を代入する。
- 10/3-(-7/6)=27/6=9/2を得る。
誤答分析:二曲線の差を絶対値なしで積分するなら、区間ごとの上下関係を先に決める。交点を積分区間にし忘れない。
別計算による検算:差は-(x-2)(x+1)で[-1,2]では非負。さらに幅3、中央x=1/2で差9/4の放物線弓形なので、積分値4.5が幅3×最大高2.25より小さいことも整合する。
問3|合成関数を見抜く置換積分
定積分∫[0,1]x e^(x²)dxを求めよ。
問3「合成関数を見抜く置換積分」の解答・詳しい考え方を開く
答え:(e-1)/2。
- 指数の内側x²の微分2xが被積分関数に含まれることに注目する。
- u=x²と置くとdu=2x dx、したがってx dx=du/2である。
- 端点はx=0でu=0、x=1でu=1へ変わる。
- 積分は(1/2)∫[0,1]e^u duとなる。
- (1/2)[e^u]0から1=(e-1)/2を得る。
誤答分析:uへ置換した後もxの端点0,1を機械的に使うのではなく、uの端点へ変換する。係数1/2も落とさない。
別計算による検算:F(x)=e^(x²)/2と置けばF'(x)=x e^(x²)。よってF(1)-F(0)=(e-1)/2と直接確認できる。
問4|回転体の体積
曲線y=√x、x軸、直線x=4で囲まれる部分をx軸のまわりに1回転してできる立体の体積を求めよ。
問4「回転体の体積」の解答・詳しい考え方を開く
答え:8π。
- xは0から4まで動き、回転断面は半径y=√xの円になる。
- 断面積はπy²=π(√x)²=πxである。
- 体積V=∫[0,4]πx dxと立てる。
- 原始関数はπx²/2である。
- 0と4を代入してV=π・16/2=8πを得る。
誤答分析:円の面積はπr²なので、√xをもう一度二乗する。π√xのまま積分しない。
別計算による検算:逆関数表示x=y²を使う殻の方法では、0≦y≦2で半径y、殻の長さ4-y²だからV=∫[0,2]2πy(4-y²)dy=8πとなる。
📝 この型が実際に出た入試問題(212問のうち24問を掲載)
「積分法(数II)」の型が実際の入試でどう出たかを、数強塾が全問解説を公開している年度から拾いました。各行の「解説を読む」から、その問題の解説へ直接移動できます。型を読んだあとに実出題で当てると、どこまで通用する判断なのかがはっきりします。
| 大学・年度 | 出題テーマ | 難易度 | 解説 |
|---|---|---|---|
| 中央大学 2025年度 | 2曲線と接線で囲まれた図形の面積 | やや難 | 解説を読む |
| 同志社大学 2025年度 | 〔Ⅱ〕【記述式】放物線 と直線で挟まれた2つの面積の差 | 標準 | 解説を読む |
| 同志社大学 2025年度 | 〔Ⅲ〕【記述式】積を和に直して 三角関数を積分する——誘導が完璧な良問 | 標準 | 解説を読む |
| 同志社大学 2025年度 | 〔Ⅱ〕【記述式】絶対値2つの和—— についての対称性に気づけるか | 標準 | 解説を読む |
| 明治大学 2025年度 | 〔Ⅱ〕 文字定数つき放物線と面積 | 標準 | 解説を読む |
| 明治大学 2025年度 | 〔Ⅱ〕3. 3次曲線が円に収まる条件と領域の面積 | やや難 | 解説を読む |
| 立命館大学 2025年度 | たたみこみ型の積分で定まる関数 | やや難 | 解説を読む |
| 関西大学 2025年度 | 〔Ⅰ〕【記述式】放物線の外の点から引いた接線と、囲む面積 | 標準 | 解説を読む |
| 関西大学 2025年度 | 〔Ⅰ〕【記述式】 と の交わり・線分の長さ・面積 | やや難 | 解説を読む |
| 関西大学 2025年度 | 〔Ⅱ〕3次関数の接線と、囲まれた図形の面積 | 標準 | 解説を読む |
| 関西大学 2025年度 | 〔Ⅱ〕 の置き換えと、 軸との共有点の個数 | やや難 | 解説を読む |
| 関西学院大学 2025年度 | 放物線と直線・接線で囲まれた面積の最小化【記述式】 | 標準 | 解説を読む |
| 関西学院大学 2025年度 | 積分 | 標準 | 解説を読む |
| 関西学院大学 2025年度 | 円と放物線の共通接線と領域の面積【記述式】 | やや難 | 解説を読む |
| 関西学院大学 2025年度 | 絶対値を含む2次関数の接線と面積【記述式】 | やや難 | 解説を読む |
| 青山学院大学 2025年度 | 2つの放物線の共通接線と囲む面積 | やや難 | 解説を読む |
| 学習院大学 2024年度 | 放物線と2直線が囲む共通部分の面積 | 標準 | 解説を読む |
| 明治大学 2024年度 | 〔Ⅱ〕 と の交点と面積 | やや難 | 解説を読む |
| 明治大学 2024年度 | 〔Ⅱ〕 が作る関数列と面積 | やや難 | 解説を読む |
| 立教大学 2023年度 | 絶対値つき放物線と直線が囲む面積の最小 | やや難 | 解説を読む |
| 関西学院大学 2023年度 | 3次関数の決定と面積が等しい条件 | やや難 | 解説を読む |
| 同志社大学 2022年度 | 〔Ⅳ〕半角の 置換と周期関数の積分(ポアソン核) | 難 | 解説を読む |
| 立命館大学 2020年度 | 〔Ⅰ〕【空所補充】解と係数の関係・次数下げ・3次関数の面積 | やや難 | 解説を読む |
| 奈良女子大学 2019年度 | (理学部) 2つの対数曲線の共通接線と面積 | やや難 | 解説を読む |
難易度は数強塾の見立てです(「—」は難易度を掲載していない年度)。大学別の年度一覧と出題傾向は過去問解説の総索引から、この型の全体像は解法パターン事典のハブから確認できます。
