数学IIIの積分計算には、数学IIまでとは決定的に違うところがあります。それは「微分と違って、積分には万能の手順がない」ということです。微分は公式どおりに手を動かせば必ず答えが出ますが、積分は「どの形に持ちこめば既知の形になるか」を先に見抜かないと、一歩も進めません。だから積分計算は、計算力の問題である以上に分類の問題です。このページは、数学IIIの積分計算を18の型に分けて並べた辞典です。型は当てはめるための箱ではなく、「この形ならこの3つのどれかだ」と候補を絞り、そこから先に頭を使うための道具として並べています。
このページの18型
- 基本形(そのまま公式)
- 1次式の合成()
- 置換積分(内側を とおく)
- 置換積分(根号を丸ごと置く)
- 三角関数への置換( と )
- 型(対数になる)
- 型(べきが上がる)
- 部分積分(多項式 × 指数・三角)
- 部分積分(対数を含む)
- 同型出現(2回まわして元に戻す)
- 三角関数の次数下げ(半角)
- 積和・和積の公式
- 部分分数分解
- 分子の次数下げ(割り算)
- 漸化式を作る( と )
- 積分区間に変数がある(微分して戻す)
- 対称性(偶関数・奇関数・区間の折り返し)
- 定積分の評価(積分のまま不等式で挟む)
1. 背骨——積分は「微分の逆」を探す作業
積分計算のすべては、この一言に集約される
とは、「微分すると になる関数 を見つけよ」ということ。
だから積分の技術とは、結局「与えられた式を、微分の公式のどれかの右辺の形に見立てる技術」です。
置換積分は合成関数の微分の逆、部分積分は積の微分の逆。この対応を意識すると、2大技法が「覚えるもの」から「思い出せるもの」に変わります。
置換は「内側の関数の導関数が、外に掛かっているか」を見る技法。部分積分は「積のうち片方を微分して簡単になるか」を見る技法です。
積分できるかどうかを判定する3つの問い
問1 や の形になっていないか。(型06・型07。合っていれば1行)
問2 置換で簡単になる部分はないか。(型03〜型05。根号・指数の肩・分母を とおく)
問3 積の形なら、片方を微分すると消えないか。(型08〜型10。多項式は微分で次数が下がり、対数は微分で有理式になる)
この3問を順に試すだけで、入試の積分計算の大半は入口が決まります。
2. 置換積分で必ず書く3点セット
1置きかえの式 または をはっきり書く。
2微分の対応 または 。
3区間の対応 定積分なら の端に対応する の端を書く(表にすると安全)。
減点の大半は3番。置換そのものより、区間の書きかえ忘れで落とす答案が圧倒的に多いのです。とくに置換を2回続けるとき(横浜国立大学の がまさにそれ)は、1回目の端と2回目の端を混同しやすい。置換のたびに端の対応表を書き直すのが最も確実です。
もうひとつ。 のように逆向きに置くときは、 の範囲を のように限定して1対1にすることを明記してください。ここを書かないと が使えず、根号を外すところで論理が飛びます。
3. 解法パターン全18型
型01 基本形
01公式をそのまま逆に読む
顔つき 、、、。
中身 、、。
絶対値を忘れない の答えは です。定積分で区間が正の側にあるなら外しても構いませんが、不定積分では絶対値をつけるのが原則。また だけ形が変わることも、公式を丸暗記していると見落とします。
型02 1次式の合成
02中身が1次式なら、係数で割るだけ
顔つき 、、。
中身 。
置換するまでもないが、置換の考え方そのもの とおけば なので が出る。中身が1次式のときだけ、この「係数で割る」処理が正しいのがポイントです。 を としてしまう誤りは、この型を2次以上に拡張しようとして起きます。
型03 置換積分(内側を とおく)
03導関数が外に掛かっていれば置ける
顔つき 、、。
中身 内側 を とおく。 が式のなかに揃っていることが条件。
「余分な 」は歓迎すべき合図 の は邪魔者ではなく、 の一部です。積分では、この「導関数のかけら」を探すのが第一歩。 なら が見えます。「余りが出るから置けない」のではなく、余りこそが置ける証拠という逆転の見方をしてください。
型04 置換積分(根号を丸ごと置く)
04いちばん外の根号を とおき、2乗して外す
顔つき 、、。
中身 とおいて両辺を2乗し、 を の式で表す。二重根号なら内側から順に2回。
根号は「置けば消える」――ただし端の書きかえに注意 根号を とおいて2乗すれば根号は必ず消え、多項式の積分になります。二重根号のときは内側の根号を先に置くのが原則ですが、置換のたびに区間が変わります。横浜国立大学の実例では (区間 )→ (区間 )と2段階で変わり、ここを追い切れるかが勝負でした。
型05 三角関数への置換
05 は 、 は
顔つき 、。
中身 ()、()。
置換の理由は「1つの三角関数の恒等式で根号や分母が潰れる」から なので 。 なので が になる。 は覚えておくべき値で、東京都立大学の漸化式の問題でも出発点になりました。
型06 型
06分子が分母の微分なら、答えは対数
顔つき 、、。
中身 。
定数倍のズレは前に出すだけ 分子が分母の微分の定数倍なら、その定数で調整すれば済みます。まず分母を微分してみる――これが分数式の積分で最初にやることです。神戸大学の問題では なので が即座に出ました。
型07 型
07べきを1つ上げて、次数で割る
顔つき 、。
中身 。
型03の特別な場合だが、目視できるので独立させる価値がある 置換を書かずに答えを書けるのが利点。三角関数の奇数乗はこの型に持ちこめます。 として とおく――奇数乗のときは1つだけ切り離すのが定石です。
型08 部分積分(多項式 × 指数・三角)
08多項式を微分する側に置く
顔つき 、。
中身 。指数・三角を 側(積分する側)、多項式を 側(微分する側)に。
多項式は微分するたびに次数が1つ下がり、いつか消える これが「多項式を微分側に置く」理由です。 なら2回繰り返せば定数になり、積分が終わります。指数や三角は何度積分しても形が変わらないので、積分側に置いても損をしません。
型09 部分積分(対数を含む)
09対数は微分する側。 を と見る
顔つき 、。
中身 。
対数は微分すると有理式になって「壊れる」 なので、対数は必ず微分側に置きます。 単独のときは と見るのが定石。この一手を知らないと で手が止まります。筑波大学の問題では がこの型で計算できました。
型10 同型出現
102回まわして元に戻ったら、方程式として解く
顔つき 、。
中身 求める積分を とおき、部分積分を2回行うと右辺に再び が現れる。 についての1次方程式を解く。
「戻ってきた」は失敗ではなく成功の合図 指数と三角の積は、何度部分積分しても形が変わりません。だから2回で元に戻ることを利用して方程式にするのが唯一の道。ただし2回とも同じ側を微分し続けることが必須で、途中で入れかえると という無意味な式になります。この落とし穴で失敗する人が非常に多い。
型11 三角関数の次数下げ
11偶数乗は半角で1次に落とす
顔つき 、。
中身 、。4乗なら2回使う。
偶数乗は次数下げ、奇数乗は置換――この使い分けが要 のままでは積分できませんが、半角で の1次式になれば型02で終わります。指数との積でも、まず次数を下げてから部分積分に入るのが正解です。横浜国立大学の は、半角で処理してから型10に入る二段構えでした。
型12 積和・和積の公式
12三角関数どうしの積は、和に直す
顔つき 、。
中身 など。
積は積分できないが、和なら1項ずつ積分できる 積分は和には分配できても積には分配できません。だから積を見たら和に直す。角が違う三角関数の積が出たら、迷わず積和です。フーリエ級数の直交性もこの計算から出てきます。
型13 部分分数分解
13分母を因数分解し、分数の和に割る
顔つき 、。
中身 。分母が2次で因数分解できるなら必ずこの形になる。
三角関数の分数式にも効く 。分子分母に を掛けてから、部分分数に割る――名古屋大学の問題で誘導されていたのが、まさにこの流れでした。分解後の各項は型06になります。
型14 分子の次数下げ
14分子の次数が分母以上なら、まず割り算
顔つき 、。
中身 (分子)=(分母)×(商)+(余り)と割り算して、たとえば のように、多項式と真分数の和に直す。
のような約分も、この型の親戚 筑波大学の問題では、2つの積分の差をとると分子が となり、分母 と約分できて という1次式になりました。積分できない形が2つあっても、差や和をとると突然積分できることがある。「そのままでは無理」と判断する前に、組み合わせを疑う視点です。
型15 漸化式を作る
15部分積分して、次数の違う同じ形を出す
顔つき 、、。
中身 1回部分積分すると と (または )の関係式が出る。あとは初項から順に求める。
が文字のままでは積分できない。だから関係式を作る が具体的な数なら地道に計算できますが、文字のままでは無理。「直接求める」から「前の項との関係を作る」へ方針を変えるのが型15です。東京都立大学の問題では と を の微分と見る一手が誘導されていました。型09の と同じ発想です。
型16 積分区間に変数がある
16微分すれば積分記号が消える
顔つき の最小値、。
中身 。上端が なら 。
積分できない関数でも、微分すれば扱える は初等関数で書けませんが、微分すれば です。「積分の中身が分からなくても、増減は分かる」――これが型16の威力です。数学IIの積分法の型11と同じ道具を、数学IIIの関数に適用しているだけです。
型17 対称性の利用
17奇関数は消え、偶関数は2倍
顔つき 、。
中身 が奇関数なら 、偶関数なら 。区間の折り返し も有効。
計算せずに0と言い切れるのが最大の利点 は、被積分関数が奇関数なので計算不要で0。まず偶奇を確かめる習慣があれば、無駄な計算を丸ごと省けます。また の置換は、同じ積分がもう一度現れて型10と同じ「方程式にする」処理につながります。
型18 定積分の評価
18計算できないなら、積分のまま挟む
顔つき 「 を示せ」「 を示せ」。
中身 被積分関数を不等式で挟み、各辺を積分する。 なら 。
積分の値そのものは要らない。上からの評価だけでよい 筑波大学の問題では という定数での上からの押さえを与えられ、それを積分の外に出すことで が得られました。「積分の外に出せる定数を見つける」――これが評価の中心技術です。極限のはさみうちとセットで使います。
4. 実際の入試で確かめる
この単元の解法パターンは全18型で、下にある入試の実例6問で確かめているのは9型です。残りの9型は、下にある実例では扱っていません。1問が複数の型にまたがることも、同じ型を複数の実例で扱うこともあるため、実例の数と型の数は必ずしも一致しません。
ここからは実際に出題された問題で型を確かめます。問題文は各大学が公表した入試問題を、解説のために引用したものです。解答・解説は数強塾が独自に作成したもので、大学公表の解答ではありません。掲載しているすべての数値は、当塾で独立に解いたうえで Python による検算を行っています。
横浜国立大学 2013年度 ―― 型11→型10、そして型04の二重置換
【問題】横浜国立大学 2013年度
次の問いに答えよ。
(1) 不定積分 を求めよ。
(2) 定積分 を求めよ。
【解答】
(1)
(2) (約 )
(1) いきなり部分積分に入ってはいけません。 は偶数乗なので、まず半角で次数を下げます(型11)。
第1項は 。第2項を とおいて同型出現で処理します(型10)。
を積分側、 を微分側に固定して2回まわすと
したがって
同型出現でいちばん多い失敗
1回目に を積分し、2回目に を積分してしまうと、部分積分をそっくり巻き戻すことになり という無内容な式が出ます。
2回とも「同じ種類の関数を積分側に置く」――これを守れば必ず係数付きの が出てきます。
(2) 根号が2重なので、内側から順に置きかえます(型04)。
まず すなわち 、。区間は に対して 。
次に すなわち 、。区間は に対して と変わります。
置換2回で、根号が完全に消えて4次式になった。ここが型04の値打ちです。最初の見た目は という手強い形ですが、置換を終えた後の被積分関数は という中学生でも積分できる式になっています。置換とは「難しい関数を簡単にする」のではなく「難しさを区間の書きかえに移し替える」操作だと理解しておくと、区間の対応を書き落とさなくなります。
大阪大学 2010年度 ―― 型08。誘導が「置きかえの辞書」になっている
【問題】大阪大学 2010年度 前期日程
関数 を考える。ただし対数は自然対数であり、 は自然対数の底とする。
(1) の第2次導関数を とする。等式 が成り立つことを示せ。
(2) 定積分 を求めよ。
【解答】
(1) で、その対数が に一致する
(2) (約 )
(1) まず1階微分。
商の微分でもう1階。
正なので対数がとれます。
(2) ここで (1) の意味が効きます。
(1) は「 は積分できる」という宣言だった
の両辺の指数をとると
つまり被積分関数は 。「多項式 × 何かの導関数」なので、部分積分がそのまま使えます(型08)。
と略記します。
第1項は、 で 、 で なので両端とも0。
「積分できない形」を「積分できる形」に翻訳するのが (1) の役割。もし (1) がなければ、 を自力で計算し、そこから部分積分に入る必要がありました。誘導つきの積分問題では、前問の結論が「被積分関数の言いかえ辞書」になっていることが非常に多いのです。前問を解いたあと、その結論を被積分関数に代入してみる――これを機械的にやるだけで、方針が見えることがあります。
名古屋大学 2019年度 ―― 型13→型15。誘導が部分分数分解を指定している
【問題】名古屋大学 2019年度 前期日程
正の整数 に対し とする。
(1) を求めよ。必要ならば を使ってよい。
(2) のとき、 を と で表せ。
(3) 空間において 平面内の原点を中心とする半径1の円板を とする。 を底面とし、点 を頂点とする円錐を とする。 を平面 で2つの部分に切断したとき、小さい方を とする。 軸に垂直な平面による切り口を考えて の体積を求めよ。
【解答】
(1) (約 )
(2)
(3) (約 )
(1) 与えられた等式は、分子分母に を掛けて部分分数に割った形です(型13)。
両方の項が型06になっていることに注目してください。分子はそれぞれ分母の微分の 倍です。
( を使って有理化しました。)
(2) と分け、 を と見て部分積分します(型15)。
ここで と書きかえるのが決め手です。
したがって
(3) 高さ の断面を考えます。円錐 を 軸に垂直な平面で切ると、半径 の円板。これを直線 で切った小さいほうは円の弓形です。
、すなわち のときだけ弓形が現れます。半径 、中心から距離 の弓形の面積は、 とおいて
ここで と置換すると、(1)(2) の積分が現れます。 は から まで動き( に対応)、 より 。計算を進めると、 と を含む式に整理され
(1)(2) は (3) のための道具だった。この問題の構造は明快です。体積を求めるための積分に が現れるので、その計算法を先に (1)(2) で作らせている。積分の漸化式が単独で問われることは少なく、たいていは「あとで使う道具」として置かれています。だから漸化式を作ったら、次の設問で「これはどこで使うのか」と考える癖をつけてください。
神戸大学 2012年度 ―― 型06と型13。誘導 (1) が (4) で効いてくる
【問題】神戸大学 2012年度 前期日程
自然対数の底を とする。以下の問に答えよ。
(1) であることを用いて、不等式 が成り立つことを示せ。
(2) 関数 の導関数を求めよ。
(3) 積分 の値を求めよ。
(4) (3) で求めた値が正であるか負であるかを判定せよ。
【解答】
(1) から従う (2)
(3) (約 ) (4) 正
(1) の両辺に5を掛けると 、すなわち 。指数をとると
より 。よって成立。
(2) 商の微分と、半角の公式 のどちらでも出ます。ここでは商の微分で。
( を使いました。)したがって
(3) 被積分関数を2つに割ります。
割った2項が、それぞれ既知の形になる
第1項は型06: より 。
第2項は(2) そのもの:原始関数は 。
(4) 符号を判定するには と を比べます。ここで (1) の出番です。
( による。)したがって 、すなわち値は正です。
(1) は「 という便利な下界」を用意する設問だった。 と知っていても、答案では使えません。証明できる形の評価が必要で、そのために という既知の事実から を導かせているのです。 という半端な値が選ばれた理由は、(4) で をまたぐぎりぎりの位置にあるから。誘導の数値には、必ず後で効いてくる理由があります。
東京都立大学 2019年度 ―― 型15。「1」を「 の微分」と見る
【問題】東京都立大学 2019年度 前期日程
を自然数とするとき、
(1) の導関数を求めなさい。
(2) とおく。 であることを利用して、等式 が成り立つことを示しなさい。
(3) 定積分 の値を求めなさい。
【解答】
(1)
(3) (約 )
(1) 合成関数の微分です。 と見て
(2) 誘導どおり と見て部分積分します(型15)。
ここで分子の を と書きかえます(型14)。
したがって
(3) 出発点は 。これは型05です。
(高校の範囲では と置換して と示します。)漸化式を2回まわします。
という一手が、漸化式を作る本体。部分積分をしただけでは という新しい積分が出てくるだけで、何も進みません。分子を分母の一部と定数に割ることで、それが だと判明する。ここが型15の核心です。名古屋大学の とまったく同じ操作で、「分子を分母に合わせて書き直す」という一つの技術です。
筑波大学 2008年度 ―― 型14と型18。引き算すると積分できる
【問題】筑波大学 2008年度 前期日程
は自然対数の底とする。 において関数 を次のように定める。
(1) を の1次式で表せ。
(2) かつ のとき が成り立つことを用いて、 を示せ。
(3) となる定数 を求めよ。
【解答】
(1) (2) はさみうち (3) (約 )、
(1) も も単独では計算できません。差をとると、分母が約分で消えます(型14)。
あとは型09(部分積分)で計算するだけ。
(2) は計算できませんが、計算せずに評価します(型18)。
では 、また より 。したがって
右の積分は定数で、型09から
よって 。 で右辺は0に収束するので、はさみうちの原理より 。
(3) (1) より 。 と略記します。
を割り算して展開します(型14)。
したがって
0に収束するには、次数ごとに消えなければならない
で 、 なので、残るのは 。
これが0に収束するには ( の係数)かつ (定数項)。
「そのままでは積分できない」で終わらせない。この問題の (1) は、2つの積分の差をとると被積分関数が約分できるという発見が中心です。 だけ、 だけを見ていては永久に解けません。問題文が2つの関数を同時に定義しているなら、その関係(差・和・比)を疑う――これは積分に限らない読解の原則です。そして (2)(3) は、計算できない を「0に行くもの」として扱えば十分という設計。厳密に求めることと、必要な精度で押さえることは別物だと教えてくれる良問です。
5. よくある質問
Q1. 積分の方針が立ちません。何から試せばよいですか。
A. 3つの問いを順に試してください。①分子が分母の微分になっていないか(型06)②置換で簡単になる部分はないか(型03〜05)③積なら片方を微分して消えないか(型08〜10)。この順で試すと、入試の計算問題の大半は入口が決まります。
Q2. 置換積分でよく減点されます。
A. 積分区間の書きかえを忘れているケースが最も多いです。置換のたびに端の対応を表にしてください。また のように逆向きに置くときは、 の範囲を限定して1対1にすることを明記してください。
Q3. 部分積分で、どちらを微分側にすればよいか迷います。
A. 微分すると壊れるほうを微分側に置きます。多項式は次数が下がっていつか消え、対数は有理式に変わります。逆に指数と三角は何度微分しても壊れないので、積分側に置くのが自然です。
Q4. 積分の漸化式が作れません。
A. 部分積分をしたあとに出てくる新しい積分を、分子を分母に合わせて書き直すのがコツです。、 のように分ければ、 と の形が現れます。
Q5. 型を覚えれば初見の積分も解けますか。
A. 型は考えなくて済ませる道具ではなく、候補を絞るための道具です。絞ったあとは自分で考える必要があります。実際、本ページの筑波大学の問題は「2つの積分の差をとる」という発想を自分で持つ必要がありました。型を持っている人は、白紙のまま全部を考えずに済むという差が出ます。
6. 次に読むページ
- 【深掘り】定積分の評価と不等式の解法パターン全12型 ―― 計算できない積分を評価する型に特化。
- 【深掘り】定積分で表された関数の解法パターン全12型 ―― 積分の中に未知関数がある型に特化。
- 積分法(数II)の解法パターン全14型 ―― 定積分の基本と面積の土台。
- 微分法(数III)の解法パターン全18型 ―― 積分の逆である微分の型はこちら。
- 極限の解法パターン全15型 ―― はさみうちと評価の続き。
- 三角関数の解法パターン全14型 ―― 半角・積和の公式の確認。
- 数学III 要点辞典 第5章 積分法 ―― 公式一覧とつまずきポイント。
- 大学入試 過去問の全問解説
積分の計算で止まってしまう人へ
数学IIIの積分でつまずく生徒のほとんどは、計算が遅いのではなく「どの型かを決める前に手を動かしてしまう」だけです。数強塾では、積分を見たらまず3つの問いを声に出して確認させ、方針が決まってから初めて計算に入る訓練をしています。オンラインの完全1対1で、プロ講師のみが担当します。
数強塾オリジナル演習|18の型を1問ずつ
上の18型を、数値だけ変えた自作問題で1問ずつ確認します。型番号は本文の型と対応しています。答えを見る前に、まず「どの型か」を口に出してから手を動かしてください。計算力ではなく型の判別が数IIIの積分の本体です。
型01 基本形
解答・解説を見る
と直してから公式を当てる。
型02 1次式の合成
解答・解説を見る
展開しない。内側の係数2で割るのを忘れない。
型03 置換積分(内側を とおく)
解答・解説を見る
とおくと 、 で 。
が残っているのが置換の合図。
型04 根号を丸ごと置く
解答・解説を見る
とおくと 、、。
ではなく 自体と置くと が多項式で書ける。
型05 三角関数への置換
解答・解説を見る
とおくと 、。
(≒1.913。半径2の扇形+三角形として図で検算できる。)
型06 型
解答・解説を見る
。
公式は 。分母が2次で因数分解できないならこの型。
型07 型
解答・解説を見る
とおくと被積分関数と の が約分され、
型05と同じ置換でも根号が分母にあると値だけ残る。
型08 部分積分(多項式×指数)
解答・解説を見る
(≒2.097。)多項式のほうを微分する側に回す。
型09 部分積分(対数を含む)
解答・解説を見る
(≒4.575。) は必ず微分する側。積分すると悪化する。
型10 同型出現
を求めよ。
解答・解説を見る
部分積分を2回。
より 、(≒2.905)
元の積分が再登場したら方程式として解く。
型11 三角関数の次数下げ
解答・解説を見る
の項は端点で0なので
半角を2回かけて1次にするのが定石。
型12 積和・和積の公式
解答・解説を見る
積のままでは積分できない。和に直す。
型13 部分分数分解
解答・解説を見る
差が1の2因数なら係数はそのまま 。
型14 分子の次数下げ
解答・解説を見る
(割り算する)
分子の次数が分母以上なら、まず割る。
型15 漸化式を作る
について を示し、 を求めよ。
解答・解説を見る
と分け、 を積分する側に回す。
第1項は0。 より 、よって 。
なので
で元の を呼び戻すのが仕掛け。
型16 積分区間に変数がある
の における最小値を求めよ。
解答・解説を見る
。 で減少、 で増加なので で最小。
積分してから微分せず、 を先に書く。
型17 対称性の利用
解答・解説を見る
奇関数 の積分は0。
区間が原点対称なら、まず偶奇で仕分ける。計算量が半分以下になる。
型18 定積分の評価
で を示し、 を用いて を示せ。
解答・解説を見る
で、 だから両辺を割って 。
積分して 。
よって 。等号は が区間全体では成り立たないので不成立、
(実際 。)評価は「積分できる関数ではさむ」。
型を見分ける3つの質問
① 「内側の微分」が外にあるか(、 など)→ 置換(型03〜05)
② 種類の違う関数の積か(多項式×指数、対数を含む)→ 部分積分(型08〜10)
③ 分数式か → 分子の次数を落としてから(型14)、因数分解できれば部分分数(型13)、できなければ 型(型06)
この3つで大半が決まります。残りが三角関数の変形(型11・12)と、漸化式・対称性・評価(型15・17・18)です。
「なぜそうなるのか」へ
型を覚えるだけでは、初見の形で止まります。なぜその操作が許されるのかを知っておくと、型が崩れても組み立て直せます。
- なぜ積分すると面積が求まるのか ── 置換積分は「面積を数える物差しを取り替える」操作。 と の比が である理由がここにあります。
- なぜ微分すると接線の傾きが出るのか ── 型16で「積分してから微分」せずに済むのは、積分と微分が逆の操作だからです。
- なぜ なのか ── 型05・07の三角置換と、型15で と書き換える根拠です。
- なぜ円の面積は なのか ── 型05の答え が扇形+三角形で検算できる理由。
関連ページ
- 定積分で表された関数の解法パターン全12型(型16の発展)
- 定積分の評価と不等式の解法パターン全12型(型18の発展)
- 数学III「積分法」の公式と解き方|置換・部分積分・例題10問
- 積分(基本)の特訓道場|微分の逆から面積へ20題(数IIの復習に)
- 数強塾「なぜ?数学辞典」見出し一覧
📝 この型が実際に出た入試問題(4問)
「積分法(計算)」の型が実際の入試でどう出たかを、数強塾が全問解説を公開している年度から拾いました。各行の「解説を読む」から、その問題の解説へ直接移動できます。型を読んだあとに実出題で当てると、どこまで通用する判断なのかがはっきりします。
| 大学・年度 | 出題テーマ | 難易度 | 解説 |
|---|---|---|---|
| 関西学院大学 2023年度 | 指数関数×三角関数の積分と回転体の体積 | やや難 | 解説を読む |
| 京都大学 2007年度 | 根号を分母にもつ定積分を2つに分ける | 標準 | 解説を読む |
| 京都大学 2000年度 | 部分積分で作る定積分の漸化式とその極限 | やや難 | 解説を読む |
| 明治大学 2025年度 | 〔Ⅰ〕(2)(3) 定積分2題 | — | 解説を読む |
難易度は数強塾の見立てです(「—」は難易度を掲載していない年度)。大学別の年度一覧と出題傾向は過去問解説の総索引から、この型の全体像は解法パターン事典のハブから確認できます。
要点辞典この単元の公式・定石・つまずきやすい所は 数学II・B・Cの要点辞典:数列 にまとめてあります。
