数列の和の解法パターン全12型|型の見抜き方と入試実例(名大・名工大・信州大・奈良女子大・小樽商大・滋賀大)


数列の和は、公式の数だけ覚えることが増えていく単元だと思われがちです。ところが実際に入試問題を並べてみると、和が求まった瞬間にやっていることは、いつも同じ一つのことです。足したい項を「隣どうしの差」の形に書き直し、真ん中を全部打ち消して、両端だけを残す。等差数列の和も、等比数列の和も、 の公式も、部分分数分解も、等差×等比の も、例外なくこの一手から生まれています。裏返して言えば、和が求まる数列とは、差の形に書ける数列のことです。このページは、数列の和の解法を12の型に分けて並べた辞典です。型は当てはめる箱ではなく、「この和は、どの差の形に化けるのか」を見抜くための道具として並べています。信州大学・奈良女子大学・小樽商科大学・滋賀大学・名古屋工業大学・名古屋大学の入試問題で、その働きを確かめます。

このページの位置づけ(第1層と第2層)

数列という単元の全体像は、第1層の数列・漸化式の解法パターン全16型で概観しています。そこでは等比数列の和が型03、総和の公式と周期性が型04、差の形にして求める和が型05、和と一般項の関係が型10という具合に、16型のうちの4つとして要点だけを扱いました。数列は「一般項を出すか、和を出すか」の二本立てですから、第1層はどうしても漸化式(一般項側)に紙幅を割くことになります。

このページはその「和」の側だけを取り出して深く掘り下げる第2層です。なぜ和の公式が有限個しかないのか、部分分数分解と と二項係数の和がなぜ同じ操作なのか、和から一般項を取り出すときに だけが別扱いになる理由は何か——第1層では触れきれなかったところを、12の型と6つの入試問題で最後まで追いかけます。概観は第1層、深掘りはここ、という役割分担です。

なお、群の切れ目の探し方や数表の読み方といった「番号のつけ替え」が主題の問題は、同じ第2層の群数列とシグマ計算の解法パターン全14型に譲りました。あちらが足す前の並べ替え、こちらが足す操作そのものです。辞典全体の目次は解法パターン事典から。

このページの12型

  1. 等差数列の和
  2. 等比数列の和
  3. の公式
  4. 差の形にする
  5. 部分分数分解
  6. 等差×等比(
  7. 二項係数の和
  8. 絶対値つきの和
  9. 群化して和をとる
  10. 和から一般項を求める
  11. 二重和( の中に
  12. 無限級数への接続
  13. 北大の良問 033|直角条件で図形の自由度を消す

1. 背骨——和が求まる数列とは「差の形に書ける数列」のこと

数列の和は覚えることが多い、と多くの受験生が言います。等差の和、等比の和、、部分分数分解、、二項係数の和。並べれば確かに多い。けれどもこれらは8個の別々の知識ではなく、1本の原理から生えた枝です。原理はこれだけです。

和のすべてを生む1本の等式(望遠鏡和)

数列 に対して、つねに

つまり、足したい項 ある数列の隣どうしの差 の形に書けさえすれば、和は両端の だけになります。逆に、この形に書けない和は高校数学の範囲ではふつう閉じた式になりません。

証明を書く必要すらありません。中身を並べれば

となり、 は次のかっこの と、 と、というふうに内側がすべて対で消えていく。残るのは先頭の と末尾の だけです。望遠鏡を畳むと筒が重なって短くなる様子に似ているので、望遠鏡和と呼ばれます。

この等式が「和の全部」だという言い方に納得がいかない人のために、暗記している公式を片端から差の形に戻してみます。ここが、このページでいちばん大事な段落です。

等比数列の和。 と置いてみます。すると

これは等比数列の第 項そのものです。したがって 。教科書が「 から を引く」と説明するあの操作は、 を作りに行く手続きを、答案上で最短に書いたものです。

等差数列の和。 と置いて整理すれば 。やはり等差数列の第 項です。「逆順に並べて足す」というあの工夫も、この を発見する一つの道にすぎません。

の公式。 なら なら なら 公式を覚えているつもりの人は、実は「差を取ると元に戻る式」を覚えているのです。

部分分数分解。 と置いた差の形。分数の和が求まるのは、たまたま差の形に書けるからです。

ここまで来ると視線が変わります。「どの公式を使うか」ではなく「この項を差の形にするには、何を に選ぶか」を探すようになる。その探し方の定石が型04から型07です。

積分とまったく同じ構造をしている

微分積分学の基本定理は と書けます。望遠鏡和 は、この式の連続を離散に置き換えた双子です。微分にあたるのが「隣との差」、積分にあたるのが「順に足す」。

だから積分で「原始関数を見つける」ことが仕事であるのと同じように、和では「差を取ると になる を見つける」ことが仕事になります。積分の技術と和の技術がよく似ているのは偶然ではありません。

この見方には、実用上の大きなおまけが付いてきます。万能の検算法です。和 を求めたら、必ず次の2つを確かめてください。

この2つが成り立てば、その は正しい和です。和とは「差を取ると元の項に戻る式」のことだと、今しがた確かめたからです。 の形が少しでもずれていれば、差を取った瞬間に と食い違います。検算にもう一度足し直す必要はありません。引き算1回で済みます。

もう一つ、受験生がいちばん失点する場所も、この背骨から説明がつきます。端の精算です。望遠鏡和で残るのは両端だけですから、答えの正しさは「どこから始めてどこで終わったか」に全面的に依存します。項数を1つ数え違えれば答えは丸ごとずれる。だから答案では

  • なのか なのか、上端と下端を書いてから計算に入る
  • の項数は 個(引き算だけで終わらせない)
  • 畳んだあとは、消え残った項を実際に書き出して数える
  • 場合分けしたら、境目の1項がどちらに属するかを明示する

最後に、型そのものについて一言だけ。和の問題を見た瞬間に「これは部分分数だな」「これは だな」と手が動く人は、頭の回転が特別に速いわけではありません。過去に何百回も使われてきた「型」から予想して、思考する量を減らすことで、手際よく解法を思い付いている場合もあるのです。型は考えなくて済ませるための道具ではなく、考える範囲を狭めるための道具です。分母が2つの積なら部分分数を疑う、等差と等比の積なら公比を掛けて引いてみる——そこまでは型が連れて行ってくれます。しかし「では何を に選ぶか」は、結局その問題ごとに自分で考えることになる。名古屋工業大学の の和のように、差の形が誘導で与えられていてもなお、それを で割るという一歩は自分で踏み出さねばなりません。以下の12型も、そのつもりで読んでください。

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2. 手順——目の前の和を、どう処理するか

1まず一般項 を、足せる式にする。問題文がいつも を式で与えてくれるとは限りません。ゾロ目の 、群に分かれた並び、絶対値のついた項——これらは足す前に の式へ翻訳する必要があります。ここを飛ばすと何も進みません。

2 を分配して、公式が当たる形へ割る。和と定数倍にだけ分配でき、積と商には分配できません は正しく、 は誤りです。割った各パーツが型01〜型03(等差・等比・ の公式)で処理できるなら、ここで終わります。

3公式が当たらなければ、差の形を作りに行く。作り方は決まっています。分母が積なら部分分数(型05)、等差×等比なら公比を掛けて引く(型06)、二項係数なら二項定理に数を代入する(型07)、見えなければ誘導が を教えていないかを探す。誘導つきの証明小問は、たいてい の別の書き方です。

4端と範囲を精算する。項数、上端と下端、場合分けの境目、 の確認、そして極限(型12)。求めた は必ず で検算します。ここまでやって、初めて和の答案は完成します。

3. 解法パターン全12型

型01 等差数列の和

01和を「 の2次関数」として見る

顔つき 差が一定の数列。「 が最小となる 」「何項まで足すと正になるか」。

中身 。展開すると で、定数項が の2次関数です。

なぜ効くか 定数項が だという事実が想像以上に強い。グラフは必ず原点を通るので、もう一つの零点を とすれば頂点は 。つまり「符号が変わる場所」を見つければ、最小値をとる が自動的に決まります。「 が負から正に変わる直前まで足す」という定番の考え方を、放物線の側から言い直しただけです。

型02 等比数列の和

02公比が かどうかで、世界が二つに割れる

顔つき 比が一定の数列。 などが項に見えている。

中身  のとき のときは

なぜ効くか  で真ん中が消えるのは、 という差の形だからです。公比が文字のときに の場合分けを忘れると分母が の式を書くことになり、減点の定番。分母に が出た瞬間、「 はどうか」と自分に問う癖をつけてください。

型03  の公式

03動いているのは だけ、 は定数

顔つき  の多項式の和。 のような形。

中身 

なぜ効くか この4本があれば の多項式はすべて和が出ます。 の中で動くのは だけ、 は最後まで定数——これを意識するだけで の取り違えが消えます。公式が思い出せないときは のような連続する整数の積の形で覚え直すのが早く、積分で次数が1つ上がるのと同じ規則なので作り直せます。

型04 差の形にする

04このページの本体。真ん中を全部消す

顔つき 公式が当たらない和。誘導に「 を示せ」という等式の証明小問が付いている和。

中身  となる を見つけ、 とする。 の候補は を1段階だけ積み上げた式」で、分数なら1つ簡単な分数、多項式なら次数が1つ高い式です。

なぜ効くか 和が閉じた式になる理由は、これ以外にありません。だからこそ誘導の意味も読めます。等式の証明小問が出てきたら、出題者が を手渡しているのだと考え、まず「この等式を の形に整えられないか」を疑ってください。名古屋工業大学の問題は、その読み替えが1行でできるかだけを問うています。

型05 部分分数分解

05分母が積なら、分数の差に割れる

顔つき 。分母が の1次式の積。

中身 。3つの積なら と、2つずつの塊の差にします。

なぜ効くか 分数を分けるのが目的ではありません。差の形を作るのが目的です。だから分解した係数の和は必ず になります(そうでなければ差になっていない)。これは分解の検算にそのまま使えます。分母が 2つ飛びのときは消え残る項が両端に2つずつ出るので、畳んだあとに書き出す項を1つ多めに取ってください。

型06 等差×等比(

06公比を掛けてずらすと、等差の部分が定数に潰れる

顔つき 1次式と指数の積

中身  を書き並べ、辺々引く。ずれた位置の項どうしで等差の部分が公差だけになり、残るのは等比の和と両端。

なぜ効くか  は、手探りで作る作業を、答案の上で自動化した書き方です。実際 に対応する を暗記する人はいません。掛けて引く方が速いからです。原理は差の形、実装は掛けて引く——この二段構えを知っていると、係数が のときは2回引けばよいことも自分で見抜けます。

型07 二項係数の和

07二項定理に具体的な数を代入する

顔つき 

中身  などを代入する。和の範囲が から までなら、全体から両端 を引く が掛かっていれば で微分してから代入。

なぜ効くか 二項係数は「掛け算の展開係数」ですから、和を求めたければもとの掛け算に戻せばよい を1個ずつ計算する必要はありません。両端を落とす操作が繰り返し出てくるのも特徴で、名古屋大学の問題では両端を落とした瞬間に差の形(型04)が現れます。二項係数の和と望遠鏡和が、そこで一本につながります。

型08 絶対値つきの和

08符号が変わる場所で切り、折り返した分を精算する

顔つき  ではなく各項に絶対値が付いている和。

中身 ① となる の範囲を求める ②境目 で和を2つに割る ③負の側は符号を反転して足す。等差数列なら、符号が変わる直前の番号(第1項から第 項までが同じ符号)として (負の項が先のとき)、(正の項が先のとき)とまとめられます。どちらの向きかを必ず確かめてから式を書くこと。符号を逆にすると答えが丸ごと 倍になります。

なぜ効くか 絶対値は「マイナスの項を折り返す」操作で、折り返すとは を足し戻すということ。だから元の和 を使い回せて計算量が半分になります。答案では境目の項がどちらに入るかを必ず書くこと。曖昧にしたまま進むと答えがずれます。

型09 群化して和をとる

09まとまりを作ってから、まとまりの和を足す

顔つき 分母が同じ数が続く並び、同じ桁数が続く並び、周期的にくり返す並び。「第 群」と書かれていないものも含む。

中身 ①各群の項数を数える ②累積項数を作る ③群の中の和を の式で出す ④必要なら群の和をさらに足す。

なぜ効くか 群に分ける利点は、群の中では共通因数がくくり出せることに尽きます。滋賀大学の問題では第 群の分母が全部 なので、群の和は と型03一発。累積項数が三角数になるのも、群の長さ を足しているだけです。群数列は、和の公式を2回使う問題だと思ってください。

型10 和から一般項を求める

10向きが逆。 でしか使えない

顔つき  の式で与えられている。 を結ぶ関係式が条件になっている。

中身  から別に求める。最後に「 のときも一致するか」を確認して、まとめて書けるかどうかを判定する。

なぜ効くか  になるのは、和が差の形の裏返しだからです。ただし は定義されていないので には使えません。ここを落とすのが、この型で最も多い失点です。小樽商科大学の問題でも、 を別に出さないと漸化式に初項が入らず答えが決まりません。

型11 二重和( の中に

11内側から片づける。困ったら順序を入れかえる

顔つき  のように、和の中身がまた和になっている。

中身 ①内側の では外側の文字を定数として扱う ②内側が閉じたら外側を処理する ③内側が閉じないときは和の順序を入れかえる(有限和なら自由に交換できる)。

なぜ効くか 二重和は「長方形または三角形の領域に並んだ数を全部足す」作業です。足す順番を変えても総和は変わらないので、縦に足すか横に足すかを選べる。そして片方の向きだけ計算が閉じることがよくあります。名古屋大学の問題がまさにそれで、 を固定して について足すと二項定理が使えて一気に閉じます。順序交換は小細工ではなく、閉じるか閉じないかを分ける決定打です。

型12 無限級数への接続

12まず部分和、それから極限。順序を逆にしない

顔つき  を求めよ。「無限級数の和」「収束するかどうかを調べよ」。

中身 先に の式で求め、そのあと を計算する。等比級数なら のとき

なぜ効くか 無限級数の定義そのものが「部分和の極限」だからです。一つ一つの項が に近づくことは、和が収束することを意味しません が反例)。逆に、部分和が望遠鏡和で畳めれば、残った両端の極限を見るだけで済みます。名古屋工業大学の問題では、畳んだあとに残る項の極限が誘導の (1) にそのまま乗ります。極限の解法パターンと地続きの型です。

4. 実際の入試で確かめる

全12型のうち、入試の実例がついているのは9型1マスが1つの型です。青いマスは、下にある入試の実例で確かめている型です金色のマスは、このページの追加演習が埋めている型ですこのページの型は、すべてどちらかで扱っています010203040506070809101112解法パターン12型入試の実例で確かめる9型追加演習が埋める3型9 + 3 = 12型。この図は下にある入試の実例が扱う型を数えたものです入試の実例は6問。実例の数と型の数は必ずしも一致しません

この単元の解法パターンは全12型で、下にある入試の実例6問で確かめているのは9型です。このページの追加演習が3型を埋めています。1問が複数の型にまたがることも、同じ型を複数の実例で扱うこともあるため、実例の数と型の数は必ずしも一致しません。

ここからは実際に出題された問題で型を確かめます。問題文は各大学が公表した入試問題を、解説のために引用したものです。解答・解説は数強塾が独自に作成したもので、大学が公表した解答ではありません。掲載した数値は当塾で独立に解いたうえで Python(sympy による厳密計算と多倍長整数・有理数による数値計算)で検算し、さらに別の担当者が別ルートで解き直して照合しています。

信州大学 2008年度 ―― 型02・型03。足せない並びを、足せる式に翻訳する

【問題】信州大学 教育学部 2008年度 前期日程

数列 を次のように定める。

このとき、

を示せ。

【解答】

一般項を に直せば、和は等比の和と定数の和に分かれて示せます。

一般項を作る。 は各位が なので 。等比数列の和より

(別の作り方もあります。 より 。どちらで作っても と定義に合うことを確かめておきます。)

和を分ける。 は和と定数倍に分配できるので

第1項は初項 、公比 、項数 の等比数列の和ですから

まとめると

よって示されました。(証明終)

分母の の正体。この問題の見どころは 2つの が別の場所から来ていることです。1つ目は を作ったときの 、2つ目は等比の和 。ここが見えていれば、式を作り違えたときに分母の形ですぐ気づけます。

値で確かめる。 のとき右辺は 、左辺は 部分和が と並ぶのがこの問題の面白いところです。

この問題で使った型

手順1 ゾロ目の並びはそのままでは足せません。足す前に の式へ翻訳する——和の第一歩がむき出しで問われています。

型02・型03 翻訳後に現れる は等比数列の和で、初項は から始めていないため ではない)。残りは で、 の中で動くのは だけという原則が効きます。

検算のしかた

直接足す  から まで、 個並べた整数を実際に足し上げ、右辺 と比較したところ全ての で一致しました()。

文字のまま  を厳密計算し、 との差を簡約すると厳密に

奈良女子大学 2016年度 ―― 型01。等差の和は「定数項が0の2次関数」

【問題】奈良女子大学 2016年度 前期日程(生活環境学部)

を整数とする。数列 を初項 、公差 の等差数列とする。数列 の初項から第 項までの和を とする。次の問いに答えよ。

(1)  を用いて表せ。

(2)  のとき のとき であるとする。次の (i)、(ii) に答えよ。

 (i)  が最小となる の値を求めよ。

 (ii)  の最小値が のとき、 の値をそれぞれ求めよ。

【解答】

(1)  (2)(i)  (2)(ii)

(1) 等差数列の和の公式より

(2)(i) 展開すると 定数項が であることが、この問題の生命線です。

まず を示します。 なら より 、ところが となり「」に反します。 なら で「」に反します。よって

そこで は下に凸で 。もう一方の零点は

では ですから、条件「 かつ 」は

と同値。頂点は零点の中点 なので

以上 未満、 より大きく 以下ですから、頂点にいちばん近い整数は に一意に決まります

(2)(ii)  より

これを に代入すると

条件 、すなわち は整数なので 、このとき

確認。 のとき

)、、最小は という作り込みで、答えがきれいに閉じます。

この問題で使った型

型01 等差の和を「公式を当てて終わり」にせず、 の2次関数として扱う型そのものです。定数項が だから零点の一方が 、だから頂点はもう一方の零点の半分——この連鎖で、符号の変わり目 から最小の が即座に出ます。

別ルートも同値 「 が負から正に変わる直前まで足すと最小」でも解けます。 で負、 で正。放物線の見方と項の符号の見方は表と裏です。

検算のしかた

総当たり 整数 を広い範囲で動かし、有理数で を計算して条件を判定しました。条件を満たす組は900組見つかり、その全てで最小を与える ただ1つ。(i) の答えが によらないことを実測で確かめられます。

一意性 その900組のうち、最小値がちょうど になるのは の1組だけでした。

値の確認 

小樽商科大学 2019年度 ―― 型10。和が先、一般項が後

【問題】小樽商科大学 2019年度 学力試験(第一群・第二群 共通問題)

数列 に対し、 で定める。 に対し が成り立つとき、次の問に答えよ。

(1)  および を求めよ。

(2)  の式で表せ。

(3)  の式で表せ。

【解答】

(1)  (2)  (3)

(1)  のとき ですから 。よって

のとき ですから 。よって

(2)  に対し 。辺々引くと、左辺は ですから

整理して 、すなわち 。(確認: で (1) と合います。)

(3)  の不動点は より 。よって となり、 は公比 の等比数列です。初項は ですから

逆に条件を満たすことの確認。ここまでが型10です。

一方 で一致します。すべての で条件式が成り立つことまで確かめられました。

ここでいちばん多い失点。(2) で使った でしか使えません。 が定義されていないからです。だから初項 は、条件式に を直接代入して別に決める必要があります。(1) が独立した小問として置かれているのは、出題者からの合図です。

この問題で使った型

型10 使う道具は ただ1つ。これを条件式に当てると が丸ごと消え、漸化式 だけが残ります。和と一般項の橋渡しは、この引き算1本です。

漸化式へ 最後の検算では を使っています(初項は )。残った の解き方は漸化式の解法パターンの領分。和の問題は、しばしばこうして漸化式の問題に変わります。

検算のしかた

条件だけから数列を作る 答えを見ずに条件式だけから として から まで決めると が出ます。各段で条件式が成り立つことも確認済みです。

一般項との照合 この列が と全項一致し、漸化式 も全ての段で成立しました。

滋賀大学 2016年度 ―― 型09・型03。群の中は共通因数でくくれる

【問題】滋賀大学 2016年度 前期日程

数列

を、第 群が となるように群に分ける。このとき、次の問いに答えよ。

(1) 第28群に入るすべての項の和を求めよ。

(2) 第 群の最初の数が第何項かを求めよ。

(3) 第2016項を求めよ。

【解答】

(1)  (2) 第 項 (3)

(1) 第28群は の28項です。分母が共通なのでくくり出せます。

一般に第 群の和は 。拍子抜けするほど簡単な1次式になります。

(2) 第 群には 項あるので、第1群から第 群までの項数は

その次が第 群の最初ですから、求める番号は第 項。( のときも で正しい。)

(3) 第 群の最後の項は第 項です。ここで

ですから、第2016項は第63群のちょうど最後の項。第63群は なので、その最後は 。よって第2016項は です。

(第63群は第1954項から第2016項まで。1つ前の第2015項は です。)「2016」が三角数 にぴったり一致するという仕掛けで、境目ちょうどを引かせる設計です。年号が出てきたら三角数との一致を疑ってください。

この問題で使った型

型09 群数列の心臓部は累積項数。群の長さが なので累積は三角数で、(2) も (3) もこの一本の式を前から見るか後ろから見るかの違いです。

型03 群の中の和は 共通因数をくくり出してから の基本公式に落とすという、和の処理の原則がそのまま出ています。

検算のしかた

実際に並べる 有理数のまま2300項を生成して確認。第28群の和は厳密に で、一般式 とも一致します。

位置の式  について第 項を取り出すと となり、すべて に一致。

境目 並べた列の第2016項は 、第2015項は 。62群までの累積1953、63群までの累積2016も実測どおりでした。

名古屋工業大学 2017年度 ―― 型04・型12。誘導が を手渡している

【問題】名古屋工業大学 2017年度 前期日程

をみたす定数とし、自然数 に対して とおく。

(1) 数列 の極限を求めよ。

(2)  が2以上のとき が成り立つことを示せ。

(3)  とおく。 が2以上のとき で表せ。

(4) 無限級数 の和を求めよ。

【解答】

(1)  (2) 以下の証明のとおり (3)  (4)

(1)  とおくと のとき

ですから

(2) 同じ より なので分母は になりません。

より分子は 。よって

(証明終)

(3) ここが山場です。(2) の両辺を で割ってみます。

と置けば、これは 足したい項が、そっくり差の形になりました。したがって のとき

すなわち 。( の項は差の形が使えないので、別に足しています。)

(4) (1) より ですから 。よって

ここで ですから、2倍角 より 。したがって

誘導の読み方。(1)(2)(3)(4) は〈端の極限を用意する → 差の形を証明する → 望遠鏡和で畳む → 極限をとる〉に1対1で対応しています。(2) の等式は、出題者が を手渡している場面です。ただし手渡されたままでは使えません。両辺を で割る一歩は自分で踏み出す必要がある。型が連れて行ってくれるのはここまで、という関係がきれいに見える1題です。

この問題で使った型

型04  の和は普通どうやっても足せません。それが に化けた瞬間に閉じる。「和が求まる数列とは差の形に書ける数列のこと」という背骨がむき出しです。

型12 無限級数は「部分和を求めてから極限」。畳んだあとに残るのは両端だけなので、見るべき極限は ただ1つです。

検算のしかた

(2) の恒等式  を展開・簡約すると厳密に 。数値でも で15桁一致しました。

(3) の部分和  で直接足した値と公式の差が 以下。 では厳密計算で差が

(4) の和  で80項の部分和と が20桁まで完全一致しました。

名古屋大学 2013年度 ―― 型07・型11・型04。 の公式を「生む」側に回る

【問題】名古屋大学 2013年度 前期日程

は整数とし、 とする。 を二項係数として、 を以下のように定める。

 

 

(1)  を求めよ。

(2) 一般の に対して を求めよ。

(3)〔文科系〕  が7以上の素数のとき、 の倍数であることを示せ。

(3)〔理科系〕  が3以上の素数のとき、 の倍数であることを示せ。

【解答】

(1)  (2)  (3) 以下の証明のとおり

(1) 二項定理に数を入れ、両端を落とす。どの についても なので

の展開から両端だけを引いた格好です。次に だから

後半は の両端を落として 。したがって

(2) 順序を入れかえると、差の形が現れる。 を代入すると二重和になります。有限和なので順序を入れかえてよく

内側を、 を固定して見てください。(1) とまったく同じ形です。二項定理 の両端を落として

ここに という差の形が出ました。よって

第1和は望遠鏡和で 、第2和は 。したがって

とすると とすると で、(1) と合います。

この式が の公式を生む。 とすると を代入して整理すれば が出ます。同様に からは 暗記していた の公式が、 という差から必然的に落ちてくるのです。

(3) 和の等式が整数問題の道具に化ける。(2) で とすると

ですから、 のとき は必ず の倍数。すなわち の倍数です 。これを と呼びます。

〔理科系〕  の順に「 の倍数」を帰納法で示します。

(i) のとき は3以上の素数だから で、 の倍数です(実際 )。

(ii) とし、 がすべて の倍数と仮定します。 の和を最後の項だけ分けて

左辺も右辺の第1和も の倍数ですから、移項して の倍数。 は素数だから 、よって の倍数です。

(i)(ii) より はすべて の倍数です。(証明終)

〔文科系〕  ならば はいずれも をみたし 。上の (i)(ii) を4段回せば の倍数と分かります。(証明終)

範囲も条件も外せない。 では成り立ちません。フェルマーの小定理より で、実際 では 。文科系で が要るのは帰納法の の段で が必要だからで、 では と5の倍数になりません。

この問題で使った型

型07 (1) は純粋な二項係数の和。二項定理に を代入し、両端を落とすだけです。この操作が (2) で今度は文字 に対して効きます。

型11  について先に足そうとすると個々の が必要になり、 の公式など誰も覚えていません。ところが順序を入れかえて を固定した瞬間、二項定理がそのまま使えます

型04 現れる が望遠鏡和の本体。部分分数分解も も発想は同じです。個々の を一度も求めずに、束ねたまま答えが出る——「和は1つずつ足すもの」という思い込みが、ここで壊れます。

その先へ (3) は和の等式が整数問題の道具に化ける場面。倍数の議論は整数の解法パターンと地続きです。

検算のしかた

(1)(2) を数値で 定義そのままの二重ループで を計算し、 から から までの全260組で照合。不一致は0組(例:)。

文字のまま  から の各々で左辺と の差を簡約すると、すべて厳密に の左辺は に因数分解できます。

(3) を素数ごとに  の素数45個すべてについて を足し上げ、 で割った余りが であることを確認(反例なし)。 では だけ余りが になります。

5. よくある質問

Q1. 和の公式が多すぎて覚えられません。

A. 覚える対象を入れ替えてください。和の公式とは、差を取ると元の項に戻る式のことです。たとえば連続する2整数の積を2で割った式は、差を取ると整数そのものに戻ります。この見方に慣れると公式を忘れても作り直せますし、求めた和が正しいかを引き算1回で判定できます。

Q2. 求めた和が合っているか、どうやって確かめればよいですか。

A. 二つだけ確かめてください。第一に、求めた和から一つ前の和を引いたものが、もとの一般項に戻るかどうか。第二に、番号が1のときの和が初項と一致するかどうか。この二つが成り立てば、その式は正しい和です。もう一度全部足し直す必要はありません。試験中でも三十秒でできる検算です。

Q3. 部分分数分解が思いつきません。

A. 分母が一次式の積になっていたら、まず疑ってください。分けたあとの係数の和がゼロになることが目印で、ゼロにならなければ差の形になっていません。分母の因数が二つ飛びのときは消え残る項が両端に二つずつ出るので、書き出す項を一つ多めにとってください。

Q4. 和から一般項を求めるとき、なぜ最初の項だけ別扱いなのですか。

A. 番号が1のときは、一つ前の和が存在しないからです。番号がゼロの和は定義されていないので、引き算が使えません。ですから初項だけは、条件式に番号1を直接代入して求めます。最後に、得られた一般項に番号1を入れて初項と一致するかを確かめ、一致すればまとめて書き、一致しなければ場合分けして書きます。

Q5. 型を覚えれば初見の和の問題も解けますか。

A. 型は考えなくて済ませる道具ではなく、考える範囲を狭めるための道具です。過去に何百回も使われてきた型から予想して、思考する量を減らすことで、手際よく解法を思い付いている場合もあるのです。分母が積なら部分分数を疑う、等差と等比の積なら公比を掛けて引いてみる。そこまでは型が連れて行ってくれますが、何を差の形に選ぶかは自分で考えることになります。

北大の良問 033

直角条件で図形の自由度を消す|北大2009年理系第2問

三角形の形が決まっていないのに、答えは斜辺の長さ だけで決まります。鍵は、直角条件を内積または座標式へ翻訳することです。分点までの距離の平方を足すと、三角形の形に依存する項がちょうど相殺され、平方和の公式だけが残る仕組みを見抜きます。

  • 北海道大学
  • 2009年度 前期日程
  • 数学(理系学部)第2問
  • 理系専用
  • 数学B
  • 数列の和
  • 発展

問題

直角三角形 において は直角であるとし、辺 の長さを とする。辺 等分し、その分点を に近い方から順に とおく。 に対し、線分 の長さを とする。このとき、以下の問いに答えよ。

  1. で表せ。

  2. で表せ。

出典:北海道大学2009年度一般入試(前期日程)数学(理系学部)第2問。問題文の表記はウェブ表示用に一部調整しています。

段階別ヒント

ヒント1|点をベクトルで表す

を原点とし、 とおきます。すると 、分点は です。

ヒント2|直角を内積へ翻訳する

は垂直です。この内積を0とおくと、 が得られます。

ヒント3|距離の平方を展開する

を展開します。 の項と、三角形の形に依存する の項へ分けてください。

ヒント4|形に依存する係数を先に足す

の係数は です。等差数列の和を使うと、この係数は0になります。

ヒント5|極限は最高次だけを見る

(1)で得た式を で割り、分子・分母を で整理します。別検算では、 を区間 上のリーマン和と見ることもできます。

主解|ベクトルと平方和

を原点とし、

とおきます。 なので、 です。したがって、

側から に分けるので、 です。よって、

式(4)を で足します。式(1)により の項は消えます。また、

したがって、

(1)の答:

式(6)を で割ると、

(2)の答:

別解|座標で直角条件を使う

とおきます。直角条件 は、

なので、

最後の の係数は式(1)により0です。したがって座標の置き方でも式(6)が得られ、頂点 の位置 に答えが依存しないことが確認できます。

極限の別検算|リーマン和として平均する

とおくと、 です。連続関数のリーマン和より、

最後に直角条件の式(3)を使いました。この経路は有限和の厳密式とは独立に、極限値が「斜辺上を一様に動く点から までの距離平方の平均」であることを示します。

解法を思いつくための再現手順

  1. 動く点を割合で表す。 の位置を と書く。
  2. 直角条件を式へ翻訳する。 内積なら 、座標なら を得る。
  3. 距離そのものではなく平方を展開する。 平方根を作らず、、定数へ分ける。
  4. 図形依存項の係数を先に確かめる。 で、頂点 の情報が消える。
  5. 平方和の公式を適用する。 残った を処理して を得る。
  6. 極限は式変形とリーマン和の2方向で確認する。 有限和の答えと連続的な平均が同じ へ到達する。

よくある誤り

  • とする: 分点は 個ですが、辺を分ける区間は 個なので係数は です。
  • または を直角と読む: 原題は です。内積を取る2本は です。
  • の上端を にする: 分点は から までなので、上端は です。
  • の項を理由なく捨てる: には残ります。総和した係数が0になることを式で示します。
  • (2)で の極限を求める: 求めるのは です。 自体は に比例して発散します。
  • 同じページの第1問の図を本問の図と思う: 第2問には図がありません。第1問の三角錐展開図は無関係です。

独立検算

とします。式(9)の を満たすので、 です。

式(6)もそれぞれ を与えます。また、記号計算で展開前後の差が恒等的に0になることを確認し、無作為に作った5000個の直角三角形でも直接和と式(6)の最大相対誤差は 未満でした。

この問題で押さえること:直角条件は内積 0 または座標の式に翻訳する。分点への距離の平方和では三角形の形に依存する項が相殺し、 の公式だけが残る仕組みを押さえよう。

前提単元と次に読むページ

教材について:解答・解説・ヒント・図は数強塾が独自に作成した非公式教材で、北海道大学が公表した公式解答・公式見解ではありません。問題の著作権は北海道大学に帰属し、出典を明示して掲載しています。

6. 次に読むページ

和の計算でいつも詰まってしまう人へ

和が苦手な生徒の答案を見ていると、公式を知らないのではなく「この項をどんな差の形にしたいのか」を言葉にできないまま を書いていることがほとんどです。数強塾では、計算前に「足したい項は何か」「当たる公式が無いなら何を差にするか」を口に出させ、答えが出たら必ず で検算させます。この往復だけで、和は失点源から得点源に変わります。オンラインの完全1対1で、プロ講師のみが担当します。

数強塾オリジナル演習 追加5題|型05・06・08を埋める

上の入試実例では型01〜04・07・09〜12 を扱いました。ここでは実例が手薄な型05(部分分数分解)・型06(等差×等比)・型08(絶対値つきの和)を5問で埋めます。すべて自作問題で、答えは小さい で検算してあります。

型05 部分分数分解(隣どうしが消える)
を求めよ。

解答・解説を見る

分数のままでは足せません。差の形に書き直します。

(右辺を通分すると ✓)
これを から順に書き並べます。

隣どうしが次々に消えます。残るのは最初と最後だけ

【答】
(検算:。実際 ✓。。実際 ✓)
【なぜ差にすると求まるのか】本文の背骨のとおり、和が求まる数列とは「差の形に書ける数列」でした。差の形なら、足したときに中間項が打ち消し合うからです。
これは階差数列と同じ構造です。 と書ければ、和は
【分解のしかた】 の分解では係数は ですが、一般には調整が要ります(演習2)。分母の差がいくつかを確かめてください。

型05 部分分数分解(1つ飛ばし)
を求めよ。

解答・解説を見る

分母の差が なので、分解に係数が要ります。

倍になってしまったので、 を掛けます。

書き並べると、1つ飛ばしで消えます

残るのは前2つと後ろ2つ

【答】
(検算:。実際 ✓)
【残る項の数は「飛ばした幅」だけ】分母の差が なら前後1つずつ、差が なら前後2つずつ残ります。差が なら3つずつ。
いくつ残るかを最初に見積もると、書き落としが防げます。
【係数を忘れるミス】 を掛け忘れると、答えがちょうど2倍になります。分解した直後に、通分して元に戻るか確かめるのがいちばん確実です。

型06 等差×等比の和
を求めよ。

解答・解説を見る

この型は「 を作って、公比倍して引く」の一手です。
 …①
両辺を公比 します。
 …②
①−②を計算します。同じ次数の項どうしが並ぶので、係数の差がすべて になります。

前半は等比数列の和(型02)。



【答】
(検算:。実際 ✓。。実際 ✓)
【なぜ公比倍して引くのか】等差の部分()は引くと差が一定になります。 なので、係数がそろって等比の和に化ける
等比数列の和の公式も同じ手で作られていました。あちらは1回で終わり、こちらは等差ぶんだけ1段深いだけです。
【引く向きに注意】①−② でも ②−① でもできますが、符号を最後まで追うこと。 で検算すれば、符号ミスはすぐ見つかります。

型06 公比が1より小さい場合
を求めよ。また のときの極限を求めよ。

解答・解説を見る

手順は前問と同じです。公比 を掛けて引きます。
 …①
 …②
①−②

前半は初項 、公比 の等比数列の和。


両辺を 倍して

【答】
(検算:。実際 ✓)
【極限】 のとき指数のほうが速く増える)。

【型12 への橋】公比の絶対値が より小さいと、無限に足しても値が定まります。有限和の式を出しておけば、極限を取るだけで無限級数の答えになる——この順序で解くのが定石です。

型08 絶対値つきの和
の式で表せ。

解答・解説を見る

絶対値は場合分けで外しますなぜ場合分けが要るか)。分かれ目は です。
のとき】すべての 、つまり

のとき】途中で符号が変わるので、2つに分けます
の部分:
の部分:

合計すると

【答】


(検算:。実際 ✓。。実際 ✓)
で両方一致するか確かめる】 の式:
の式:
一致 ✓——境目で食い違ったら、どこかで計算を間違えています。
この確認は必ず入れてください。場合分けの答えは、境界で連続になるはずだからです。

12の型は「差の形に持ち込む」道の違い

本文の背骨のとおり、和が求まる数列とは差の形に書ける数列でした。どうやって差に持ち込むかで型を並べ直すと、こうなります。

持ち込み方 やること 該当する型
公式を使う すでに差の形が済んでいる 型01・02・03
分解して差にする 部分分数・有理化・階差 型04・型05
公比倍して引く 差を取ると係数がそろう 型06
分けてから足す 場合分け・群化・二重和 型08・09・11

部分分数分解の手順(型05)

  1. 分母の差を見る ──  なら差は
  2. を掛けて調整 ── 差を取ると 倍になるから
  3. 通分して元に戻るか確かめる

残る項の数は 個ずつ(前から 個、後ろから 個)。書き出す前に見積もっておくと、数え落としが防げます

等差×等比の手順(型06)

  1. 和を と置く
  2. 公比を掛けて、1段ずらして書く
  3. 引くと係数がすべて等しくなる
  4. 残るのは等比の和と、最後の1項

この技が効くのは、等差の部分が引き算で定数になるからです。 のような形なら、2回くり返せば処理できます。

絶対値つきの和の手順(型08)

  1. 中身が になる を見つける
  2. がその前か後かで場合分け
  3. 後の場合は、和を2つに割って計算
  4. 境目で両方の式が一致するか確かめる

4番目が検算になります。境界では、どちらの式でも同じ値になるはずです。食い違ったら計算ミスがあります。

検算の型

  1. を代入する ── 最初の1項と一致するか(全問で使いました)
  2. でも確かめる ── 実際に足した値と比べる
  3. 場合分けの境目を確かめる ── 両方の式が一致するか(演習5)

の検算は10秒で終わります。数列の和の答えは式が複雑になりやすいので、必ず入れてください。

「なぜそうなるのか」へ

数列の和は、「差にする」という一点を押さえると型が減ります。

関連ページ

数強塾オリジナル・数列発展

数列は「計算」より変数設計|望遠鏡和・可変係数漸化式・連立漸化式

複雑に見える数列も、隣り合う差へ分解する、添字で規格化する、固有な組合せを作る、という変換で見通せます。公式暗記ではなく「どの量なら単純に動くか」を設計する講座です。

難度:難関大目安:45分独自問題3題独自SVG教材版 XB71-S1

到達目標

  • 複雑な分数の和を、隣接する2項の差へ分解して望遠鏡和にできる。
  • 係数が添字で変わる漸化式を、適切な式で割って等差数列へ変換できる。
  • 連立漸化式では、各成分より先に「一定倍率で動く組合せ」を探せる。
複雑な数列を単純な動きへ変換する三つの経路 分数和は隣接する項の差へ、可変係数漸化式は添字で規格化して等差数列へ、連立漸化式は二つの一次結合へ変換する。 分母が連続する和 隣接する3ᵏを含む分数 可変係数の漸化式 係数がnごとに変化 連立漸化式 (uₙ,vₙ)を同時更新 隣り合う差へ分解 途中項をすべて相殺 bₙ=aₙ/{n(n+1)} 増幅率を打ち消す Pₙ=uₙ+2vₙ Qₙ=uₙ−vₙへ分離
独自図版:見た目の違う3題も「単純に動く量へ変換する」という同じ発想で解けます。

新作問題1|分数を「隣り合う差」へほどく

Original Problem 1

正の整数 に対して

とおく。 の式で表せ。

分子 は、隣り合う分母の差です。そのため各項を

と分解できます。足すと途中の項が前後で打ち消し合い、最初と最後だけが残ります。

答え

検算: では両辺とも です。

新作問題2|可変係数を規格化で消す

Original Problem 2

数列

で定める。一般項 を求めよ。

係数 を打ち消す分母を探します。 とおくと

となります。 なので です。

答え

初項は2。さらに右辺へ代入すると となり、 と一致します。

新作問題3|連立の中から等比数列を二つ探す

Original Problem 3

数列

で定める。 を求めよ。

和と差を機械的に試すのではなく、 が一定倍率で動く条件を作ります。この問題では

とおくと、直接代入から 。初項は なので

最後に連立一次方程式 を解きます。

答え

検算:。一般項でも同じ値になります。

誤答診断

  • 分母を展開してから悩む:隣り合う項の分母の差が分子になるかを先に調べます。
  • 可変係数をそのまま反復する:前後の係数比を打ち消す規格化を探します。
  • 連立を1本ずつ消去して終わる:二階漸化式にもできますが、一次結合なら構造と初期値が見えやすくなります。

教材企画・編集責任:。問題、係数、変換、図版、解答、説明順は本ページ専用に独立制作し、初項・漸化式への代入・有限和を別々に検算しています。

権利表示:数強塾オリジナル教材。原資料は学習論点の確認に用い、公開する問題設定・数値・解答・図版・説明は数強塾が新規制作しました。特定の書籍・過去問の転載または数値のみの改変ではなく、公式監修教材でもありません。

📝 この型が実際に出た入試問題(18問)

「数列の和の全型」の型が実際の入試でどう出たかを、数強塾が全問解説を公開している年度から拾いました。各行の「解説を読む」から、その問題の解説へ直接移動できます。型を読んだあとに実出題で当てると、どこまで通用する判断なのかがはっきりします。

大学・年度 出題テーマ 難易度 解説
法政大学 2025年度 〔Ⅴ〕【マーク】対数で変形する漸化式と数列の和 標準 解説を読む
関西学院大学 2025年度 群数列 やや難 解説を読む
青山学院大学 2025年度 和の式から一般項を取り出して極限を調べる 解説を読む
学習院大学 2024年度 分母の有理化による和と展開式の係数 標準 解説を読む
関西学院大学 2023年度 等差・等比数列の和と倍数の個数 やや難 解説を読む
埼玉大学 2019年度 三角形の内部および周上の格子点 標準 解説を読む
近畿大学(数学) 2020年度 第1問(数列・群数列) 解説を読む
自治医科大学(数学) 2018年度 問18(数列の和と一般項) 解説を読む
静岡大学 2018年度 群数列|分母 ・分子が平方数 解説を読む
滋賀大学 2016年度 群数列 解説を読む
自治医科大学(数学) 2016年度 問7(格子点の個数) 解説を読む
自治医科大学(数学) 2016年度 問16(等比数列の和と桁数) 解説を読む
自治医科大学(数学) 2015年度 問11(等差数列の和の最大) 解説を読む
近畿大学(数学) 2015年度 第3問(数列:群数列) 解説を読む
東邦大学(数学) 2013年度 第6問(群数列) 解説を読む
千葉大学 2012年度 等差数列の和による表現 解説を読む
帝京大学(数学) 2007年度 大問2(選択) 格子点の番号付け 解説を読む
一橋大学 2004年度 放物線上の格子点と角 解説を読む

難易度は数強塾の見立てです(「—」は難易度を掲載していない年度)。大学別の年度一覧と出題傾向は過去問解説の総索引から、この型の全体像は解法パターン事典のハブから確認できます。

要点辞典この単元の公式・定石・つまずきやすい所は 数学II・B・Cの要点辞典:数列 にまとめてあります。

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