数列・漸化式の解法パターン全16型|型の見抜き方と入試実例(一橋大・神戸大・関西大・群馬大・福島大)


数列で問われることは、突きつめると二つしかありません。一般項を出すか、和を出すか。そして漸化式を解く技術は、見た目がどれだけ違っても、すべて「等差か等比に帰着させる」ためのものです。和の計算も「公式・差の形・周期」の三つしかない。このページは、数列の解法を16の型に分けて並べた辞典です。型は当てはめるための箱ではなく、考える範囲を狭めて、そこから先に頭を使うための道具として並べています。

このページの16型

  1. 等差数列(差が一定)
  2. 等比数列(比が一定)
  3. 等比数列の和(公比1の場合分け)
  4. 総和/公式と周期性の活用
  5. 総和/差の形にして求める
  6. 群数列(どの群の何番目か)
  7. 数表(行と列の2重の番号)
  8. 漸化式/典型タイプへの帰着
  9. 2項間漸化式/
  10. 和と一般項の関係・3項間漸化式
  11. 漸化式をノーヒントで立てる
  12. 漸化式/誘導つきの置き換え
  13. 奇数番目と偶数番目で形が違う漸化式
  14. 不等式と漸化式
  15. 不等式と数学的帰納法
  16. 強い仮定の数学的帰納法

1. 数列の背骨——すべては等差か等比に帰着する

数列で「解ける」形は、実はごく限られています。教科書で一般項が出せるのは、等差数列と等比数列、そして階差数列の二つ半だけ。それ以外の漸化式は、置き換えによって等差か等比に化けさせることで初めて解けるようになります。

漸化式を解く技術の正体

特性方程式  に直す → 等比

両辺を割る  の両辺を で割る → 等差

対数をとる  の両辺の対数をとる → 指数の数列が典型形

逆数をとる  の逆数をとる → 典型形

階差をとる  → 和で復元する

なぜ「等比に直す」ことばかりするのか。等比数列は、 という「次を作る操作が毎回まったく同じ」数列です。同じ操作を 回くり返すだけなので と一気に書ける。逆に言えば、一般項が閉じた式で書けるのは「毎回同じ操作」に還元できるときだけなのです。特性方程式が を探しているのは、「どこを原点にすれば、毎回同じ倍率になるか」という問いに答えているにすぎません。この一点が見えると、置き換えの正体が「原点をずらす/目盛りを取りかえる」ことだと分かります。

もちろん、どの置き換えを選ぶかは自分で判断することになります。型は「試すべき候補が5つしかない」ことを教えてくれるだけで、そこから先は式の顔つきを読む作業です。

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2. 和の計算は三つしかない

が出てきたときにやることも、実は三択です。

A公式にあてはめる。、等比数列の和。

多項式の和は必ずこの形に分解できます。 のように展開してから使うのが基本です。

B差の形にする。 にできれば、途中が全部消えて両端だけ残る。

分母が積の形(部分分数分解)、(有理化)、階乗や二項係数の差――どれも同じ仕掛けです。「消えるように仕組む」のがこの型の全部です。

C周期でまとめる。 のように周期的な項は、1周期ぶんの和を出して周期数だけかける。

周期的な項は「1周期で足すと0(または一定値)」になることが多い。先に1周期を調べると、あとは掛け算だけになります(一橋大学の実例)。

で最も多い失点

の中に が入ったまま計算してしまう。 の中で動いているのは だけで、 は定数です。 のように、 は外に出せます。逆に としてしまうのは誤りです。

3. 解法パターン全16型

型01 等差数列

01差が一定なら、初項と公差だけで決まる

顔つき 「毎年3ずつ増える」「第3項が7、第8項が22」。

中身 、和は

和の公式を忘れないために  を逆順に書いて足すと、どの位置でも になります。これが 個あって、2回足しているので2で割る。公式を覚えるのではなく、逆に並べて足す操作を覚えるほうが確実です。3項が等差 真ん中の2倍が両端の和、という言いかえも頻出です。

型02 等比数列

02比が一定なら、初項と公比だけで決まる

顔つき 「毎年2倍になる」「3項が等比数列をなす」。

中身 。3項が等比 真ん中の2乗が両端の積。

なぜ「真ん中の2乗=両端の積」なのか  を分母を払っただけです。等差が「和」で、等比が「積」で書けるのは、等比数列の対数をとると等差数列になるから。この対応を知っていると、型12(対数で置き換え)が自然に見えてきます。

注意等比数列では、初項も公比も0であってはいけません。

「3項が等比数列をなす」という条件から を使うときは、 を確かめる必要があります。答案で落としやすいところです。

型03 等比数列の和

03公比が1のときを必ず分ける

顔つき 「 を求めよ」のように、公比に文字が入っている。

中身  のとき のとき

なぜ場合分けが要るのか 公式の分母が だからです。導出は を作って途中を消す操作(型05と同じ「差の形」)で、 だと となって情報が消えてしまう。公式の分母が0になる場合は、導出のどこかが壊れている――これは数列にかぎらず全分野に通じる警報です。

型04 総和/公式と周期性

04多項式は公式、周期的な項は1周期ぶんを先に

顔つき 「」「」。

中身 展開して に分ける。周期的な項は1周期の和を出して周期数をかける。

展開してから足す理由  は和なので、和と定数倍については分配できます()。しかし積については分配できません()。だから積は必ず展開してから に入れる。ここを混同した失点が非常に多い場所です。

型05 総和/差の形にして求める

05途中を消して両端だけ残す

顔つき 分母が のような積、

中身  の形を作れば

なぜこれが効くのか 和を求めるという操作は、微分積分でいえば積分にあたります。そして「差の形にする」ことは、原始関数を見つけることに対応しています。実際 は定積分の とまったく同じ構造です。分母が積の形を見たら部分分数分解、根号の和を見たら有理化――どちらも「差を作る」ための手段にすぎません。

手順 ① 一般項を の形に変形 → ② 書き下して消えることを確認 → ③ 両端を残す

型06 群数列

06第何群の何番目か、を必ず先に決める

顔つき 「 と区切る」「第100項は第何群か」。

中身 第 群までの項数(累積)を求め、それと項番号 を比べる。

なぜ累積が主役なのか 群数列の難しさは「番号が二重(群の番号と群内の番号)になっている」ことにあります。累積項数さえ出せば、二重の番号が一つの不等式で決まる。第 群までの累積を として を解く、これが群数列のすべてです。

注意「第 群までの和」と「第 群の和」を取りちがえる誤り。

必ず小さい で書き出して、自分の式が正しいか検算してください。群数列は手を動かして最初の3群を書き出すのが最短の道です。

型07 数表

07行と列の番号で位置を表す

顔つき 「数が三角形状・格子状に並んでいる」「上から 番目、左から 番目」。

中身  の位置にある数を の式で表し、必要な範囲で和をとる。

群数列との違い 群数列は1本の列を区切ったもの、数表は最初から2次元です。共通するのは「まず位置を特定する式を作る」という順序。数え上げの順番(行ごと・斜めごと)を自分で選べるのが数表の特徴で、和をとりやすい向きを選ぶと計算が軽くなります。

型08 漸化式/典型タイプへの帰着

08特性方程式で「ずらす原点」を見つける

顔つき )。

中身  を解いて が公比 の等比数列。

の正体  は「その値から始めたら、ずっとその値のままになる点」(不動点)です。不動点を新しい原点にとると、数列は毎回きっかり 倍される――だから等比になる。特性方程式は暗記事項ではなく、「動かない点はどこか」という問いへの答えです。 のときに不動点が存在しない(または全部が不動点になる)ので使えない、という事情も同時に納得できます。

型09 2項間漸化式/

09両辺を で割る

顔つき 。定数ではなく の式が足されている。

中身  が指数なら両辺を で割る(または の底で割る)。 が多項式なら で割るか、 を「 の多項式」と の和に分ける。

なぜ割るとうまくいくのか  とおくと となり、いきなり階差数列の形(型05・型04で和がとれる形)に落ちるからです。「等比の成分をあらかじめ割って取り除き、残りを足し算で処理する」という分業です。指数と多項式で割る相手を変えるのも、この分業の考えから決まります。

手順 ① 何で割れば階差の形になるかを見る → ② 割って を定義 → ③ 階差の和をとる

型10 和と一般項の関係・3項間漸化式

10 と、特性方程式の2解

顔つき 「」「」。

中身 和の条件は は別扱い。3項間は の2解 を使って と2通りに書く。

2通りに書ける理由  の解が なら なので、 の両方が成り立ちます。2本の等比数列が得られるので、連立して を取り出せる。ここでも本質は「等比に帰着させる」です。

注意 でしか使えません。

は定義されていないからです。求めた式に を代入して と一致するかを必ず確かめ、一致しなければ「 のときは別」と書き分けます。

型11 漸化式をノーヒントで立てる

11「最後の1手」で分類する

顔つき 漸化式が与えられておらず、状況(塗り分け・確率・図形)から自分で作る問題。

中身  番目の状態から 番目への移り方をすべて書き出す。閉じなければ状態を増やす。

状態の個数の決め方 状態の個数は「次に効いてくる情報の種類数」です。1本の漸化式で閉じないのは、次を決めるのに足りない情報があるということ。その足りない情報こそが、追加すべき状態です。この考え方は確率の型12場合の数の逃げ道Cとまったく同じです。

型12 漸化式/誘導つきの置き換え

12対数・逆数・比で、典型形に化けさせる

顔つき (累乗)、(分数)、 と誘導がある。

中身 累乗なら対数、分数なら逆数、2解がらみならをとる。

置き換えの選び方には理由がある 累乗 は「かけ算の world」の話なので、対数で「たし算の world」に移すと という型08になります。分数式は逆数をとると分子分母が入れかわって1次式になります。誘導がついていたら、その置き換えが「何の world へ移す操作か」を読むと、次に同じ形が来たときに自力で選べます(関西大学・金沢大学の実例)。

型13 奇偶で形が異なる漸化式

132つ飛ばしで見る

顔つき 「 が奇数のとき 、偶数のとき 」。

中身  を別の数列と見て、 で表す。

なぜ2つ飛ばしなのか 規則が2つで一組になっているので、2回ぶんまとめて1回の操作と見れば規則が一定になるからです。周期が2の構造は、2つ飛ばしにすると消えます。型10の3項間漸化式で「1つ飛ばしの数列」を作るのと同じ発想です。

型14 不等式と漸化式

14差や比を作って、符号だけを見る

顔つき 「 を示せ」「 を示せ」。

中身  を計算し、因数分解して符号を確定させる

比の形が強い理由 目標が「 倍」のような形なら、差ではなく比を作るのが自然です。実際 のように変形できれば、あとは分母の大きさを評価するだけの問題になります。示したい形と同じ形(差なら差、比なら比)を作るのが方針の決め方です(福島大学の実例)。

型15 不等式と数学的帰納法

15「何を仮定すれば次が言えるか」から逆に設計する

顔つき 「すべての自然数 について )を示せ」。

中身  を仮定して を示す。示したい式との差を作って符号を見る

帰納法の設計の順序 「 を仮定して…」と前から書き始めると手が止まります。先に で示したい式を書き、そこから仮定を使える形に変形していくと、何を仮定すべきかが見えてきます。答案は前向きに書き直せばよいので、考えるときは後ろ向きでかまいません。

型16 強い仮定の数学的帰納法

16直前1つでは足りないなら、全部を仮定する

顔つき 3項間漸化式で整数性を示す、素因数分解の一意性、「 以下のすべてで成り立つと仮定する」。

中身  のすべてで成り立つと仮定して を示す。

仮定を強くしてよい理由 「 のすべてで成り立つ」という命題自体を と考えれば、ふつうの帰納法になっているからです。仮定を強くすると証明は易しくなり、しかも結論は同じ――この不思議に見える性質が、3項間漸化式のように「2つ前まで使う」場面で決定的に効きます。使うときは の両方を出発点として確かめておくのを忘れずに。

4. 実際の入試で確かめる

この単元の解法パターンは全16型で、下にある入試の実例7問で確かめているのは8型です。残りの8型は、下にある実例では扱っていません。1問が複数の型にまたがることも、同じ型を複数の実例で扱うこともあるため、実例の数と型の数は必ずしも一致しません。

ここからは実際に出題された問題で型を確かめます。問題文は各大学が公表した入試問題を、解説のために引用したものです。解答・解説は数強塾が独自に作成したもので、大学公表の解答ではありません。

群馬大学 2015年度 前期日程 ―― 型01・型02。定義を式にするだけ

【問題】群馬大学 2015年度 前期日程

は素数とし、 は整数で とする。 がこの順で等差数列になり、 がこの順で等比数列になるとき、 を求めよ。

【解答】

等差・等比の条件を、そのまま式にします。

等差数列 真ん中の2倍が両端の和:

等比数列 真ん中の2乗が両端の積:

①より 。これを②に代入して分母を払うと

についての2次方程式として解きます。

すなわち または です。

だと①から となり条件に反します。よって ここで整数の話に切りかわります。 が整数なので を割り切り、 は互いに素だから は素数なので

このとき

検算します。 は公差6の等差数列。 は公比 の等比数列。。すべて条件をみたしています。

この問題の分かれ目。 を「2次方程式として解く」と決められるかどうかです。文字が3つあると身構えますが、 について解けば の式で書けると気づけば、あとは整数の論法(互いに素だから割り切れる)に橋がかかります。数列の問題に見えて、後半は整数の問題です。

一橋大学 2015年度 前期日程 ―― 型04。周期を先に処理する

【問題】一橋大学 2015年度 前期日程

数列 で定める。 を正の整数とする。

(1) を求めよ。

(2) を求めよ。

【解答】

(1)  (2)

上限が 周期12の倍数になっているのが最大のヒントです。 が12増えるごとに同じ値に戻ります。そこで1周期ぶん( から )の和を先に計算しておきます。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12
0 0 1

この12個の和は、 個と 個、 個と 個、 が1個ずつなので 0 です。

(1) 。第2項は1周期の和0が 回ぶんなので0。

(2) 展開すると3つの和に分かれます。

第1項は公式で

第3項は、上の表を2乗して1周期ぶん足すと 。よって

第2項が山場です。)と書くと

周期の和が0なので、 に依存する部分がまるごと消えます。残るのは1周期ぶんの 回。表から

よって第2項は 。合計して

で検算すると 。実際に12項を2乗して足すと になり、一致します。

「周期の和が0」がすべてを決めている。この問題で本当に効いているのは、 というたった一つの事実です。これがあるから の係数のうち の部分が消え、面倒な計算が1周期ぶんで済みます。周期的な項を見たら、まず1周期の和を計算する。上限が周期の倍数になっているのは、出題者からの合図です。

神戸大学 2015年度 前期日程 ―― 型05。部分分数分解で差を作る

この問題は 極限 のページでも扱っています。同じ問題でも、そちらは単元全体の中での位置づけ、ここではこのテーマに絞った読み方をしています。二つを見比べると、同じ問題文から引き出せるものが1つではないことが分かります。

【問題】神戸大学 2015年度 前期日程

を実数とし、自然数 に対して とする。

(1) がすべての自然数 について成り立つような実数 を、 を用いて表せ。

(2) のとき、3以上の自然数 に対して を求めよ。また、 のとき、4以上の自然数 に対して を求めよ。

(3) 無限級数 の和を求めよ。

【解答】

(1)

(2) のとき のとき

(3)

(1) 分母を払うと

これは恒等式なので、分母が0になる値を代入するのがいちばん速い。

代入 得られる式 結果

ここで となることに注目してください。左辺が1次式で分母が3次式だから、この関係は必然です。これが (3) で効いてきます。

(2)  のときは なので

つ飛びの差の形です。書き下すと が残り、末尾に が残ります。

のときは で、これを2つの差に分けます。

(3) どちらの式も、 で分数の項がすべて0に近づきます。一般の では両者を足して

なぜ収束するのか。 が効いています。もしこれが0でなければ の形が残り、調和級数として発散してしまう。「部分分数の係数の和が0」は、収束することの保証なのです。(1) で係数を出したあと和が0かを確かめる習慣をつけておくと、計算ミスの検出にも使えます。

関西大学 2021年度 ―― 型09。何で割れば階差になるかを見る

【問題】関西大学 2021年度

を定数とし、数列 により定められているとする。次の問いに答えよ。

(1) とおく。 を用いた式で表せ。

(2) のとき、 を用いた式で表せ。

(3) のとき、 となる最小の を求めよ。ただし とする。

【解答】

(1)  (2)  (3)

(1)  の両辺を で割ります。

階差の形になりました。

(2)  なので

これは でも成り立ちます。よって

検算します。。合っています。

(3)  なので

だから、

両辺の常用対数をとります()。

よって 、すなわち最小の

「何で割るか」の判断。 では、 で割ると右辺の第2項が となり、和がとれる形になります。もし で割ると という型08になり、これでも解けます。どちらも正解ですが、誘導が と指定しているので前者に乗る――誘導は「出題者が想定した world」への案内です。

関西大学 2021年度 ―― 型12。累乗は対数で「たし算の world」へ

【問題】関西大学 2021年度

次の条件によって定まる各項が正の数列 を考える。

次の問いに答えよ。

(1) 数列 で定められている。 を求めよ。

(2) とおく。 で表せ。

(3) を求めよ。それを利用して、すべての自然数 に対して、 は奇数であることを示せ。

【解答】

(1)  (2)  (3) (指数が0以上の整数なので は5のべきとなり奇数)

(1) 型08です。 より

よって 、すなわち

(2) 与式の3乗をとると 、つまり 。両辺の を底とする対数をとると

(3)  で、しかも は同じ漸化式をみたします。よって 。したがって

ここで は奇数なので は偶数、よって指数 0以上の整数です。5の正の整数乗は奇数なので、 は奇数。

検算します。。公式でも で一致します。

(1) が (2)(3) の下ごしらえになっている。この問題は、先に「同じ漸化式をみたす 」を解かせておいて、あとから がそれと一致することを使わせる構成です。誘導の小問が本題と無関係に見えたら、たいていは「同じ形」で結ばれています。累乗の漸化式を見たら対数をとる、という型12の判断ができれば、この誘導の意図はすぐ読めます。

一橋大学 2010年度 前期日程 ―― 型10 + 整数。余りだけを追いかける

【問題】一橋大学 2010年度 前期日程

0以上の整数 があたえられたとき、数列 により定める。

(1) のとき、 を10で割った余りを求めよ。

(2) のとき、 は10の倍数であることを示せ。

【解答】

(1) 4 (2) に分けて示す(下記)

一般項を求めようとすると から となり、係数に分数が出て扱いにくい。ここでは一般項は要りません。10で割った余りだけを追えばよい。

10 = 2 × 5 なので、2で割った余りと5で割った余りに分けて考えます。

法を分ける発想

では なので漸化式は に退化する。

では なので漸化式は 、つまりフィボナッチ型になる。

(1)  とします。

まず なので では 。つまり は偶数です。

次に で計算すると

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22
1 2 3 0 3 3 1 4 0 4 4 3 2 0 2 2 4 1 0 1 1 2

なので、 では周期20 より

「偶数」かつ「5で割ると4余る」をみたす 以上 以下の数は だけ。よって余りは

(2)  とし、 とおきます。

、以降 なのですべての項が と同じ偶奇。よって

から順に

なので周期4。よって

2でも5でも割り切れるので、 は10の倍数です。

合成数の法は素因数に分けて考える。 のまま周期を探すと20項を追うことになりますが、 は自明、 はフィボナッチ型と、分けた瞬間にどちらも見通しがよくなります。これは整数の型15(連立合同式)の考え方をそのまま数列に持ちこんだものです。分野の名前で解法を選ぶのではなく、式の形で選ぶ――その良い例です。

福島大学 2018年度 ―― 型14。示したい形と同じ形を作る

【問題】福島大学 2018年度

数列 および によって定めるとき、次の問いに答えなさい。

(1) が成り立つことを示しなさい。

(2) について が成り立つことを示しなさい。

(3) について とおくとき、 が成り立つことを示しなさい。

【解答の骨格】

(1) 直接計算 (2) 帰納法( が単調増加) (3) と変形し、 を使う

(1)  なので

(2) 数学的帰納法(型15)。 は成立。 を仮定すると、 は単調増加なので

(3) 示したいのは比の形なので、 の定数倍で表すことを目指します。

分子の有理化で、ぴったり が現れました。あとは分母を評価するだけです。(2) より なので 。また で、 なら )より 。よって

有理化は「差を積に変える」道具。 のままでは が見えません。分子を有理化すると が現れる――根号の差は、有理化すると中身の差になるという一点を知っているかどうかで決まります。この操作は型05(差の形にして和を求める)でも使うので、両方で身につけてください。

5. よくある質問

Q1. 漸化式の型が多すぎて覚えられません。

A. 覚えるのは「最終的に等差か等比に持ちこむ」という一つの方針と、そのための道具5つ(特性方程式・両辺を割る・対数をとる・逆数をとる・階差をとる)だけです。式の顔つきを見て、どの道具なら典型形になるかを試す――その試行が本来の思考です。

Q2. の計算でよく間違えます。

A. 二つ確認してください。① の中で動いているのは だけで は定数(外に出せる)。② は和と定数倍にしか分配できず、積には分配できない(必ず展開してから入れる)。この二つで大半のミスは消えます。

Q3. はいつ使えますか。

A. のときだけです。 が定義されていないためです。求めた式に を代入して と一致するかを必ず確かめ、一致しない場合は「 のときは別」と書き分けてください。

Q4. 数学的帰納法で、どこから書き始めればよいか分かりません。

A. 考えるときは後ろ向きで構いません。まず で示したい式を書き、そこから の仮定が使える形に変形していきます。何を仮定すべきかが見えたら、答案は前向きに書き直せば完成です。

Q5. 型を覚えれば初見の数列問題も解けますか。

A. 型は考えなくて済ませる道具ではなく、考える範囲を狭めるための道具です。狭めたあとは自分で考える必要があります。実際、本ページの一橋大学 2010年度の問題は、一般項を求めずに「10を2と5に分ける」と自分で判断する必要がありました。型を持っている人は、白紙のまま全部を考えずに済むという差が出ます。

6. 次に読むページ

漸化式で手が止まる人へ

数列が苦手な生徒のほとんどは、型を知らないのではなく「この式をどの典型形に化けさせたいのか」という目的を持たずに変形しているだけです。数強塾では、変形の前に目的を一言で書かせるところから指導しています。オンラインの完全1対1で、プロ講師のみが担当します。

数強塾オリジナル 追加演習16問|16の型を、数字を変えてもう一度

上の16の型を、設定と数値を変えた自作問題で1問ずつ確かめます。数列でやることはいつも同じ、「等差か等比に持ち込む」ことです。漸化式を見たら、まず何を と置けば等差か等比になるかを探してください。

問1(型01 等差数列)

初項 5、公差 4 の等差数列について、第20項と、初項から第20項までの和を求めよ。

解答

81

860

公差を 回足す(20回ではない)。和は「個数×最初と最後の平均」 と暗算できる。

問2(型02 等比数列)

初項 3、公比 2 の等比数列の第8項を求めよ。

解答

384

公比を掛ける回数は 回。等差の「 を足す」と同じ構造。

問3(型03 等比数列の和)

初項 3、公比 2 の等比数列の、初項から第8項までの和を求めよ。

解答

765

(公式を忘れたら「ずらして引く」:ずらして引くと中間項が全部消えるのが公式の正体。)

問4(型04 総和/公式と周期性)

(1) を求めよ。
(2) のとき、初項から第50項までの和を求めよ。

解答

(1) 2870

(2) 。2項ずつ組にすると各組が 。組は25組あるので 25

符号が周期的に変わるときは、周期のぶんだけまとめてから数える。

問5(型05 総和/差の形にして求める)

を求めよ。

解答

部分分数分解すると

和をとると中間項が打ち消し合い

分解したとき係数 を忘れるのが最多のミス。 を代入して元の式と一致するか必ず確かめる。

問6(型06 群数列)

奇数を と、第 群に 個ずつ分ける。第10群の最初の数と、第10群に含まれる数の和を求めよ。

解答

第9群までの項数は 個。よって第10群の最初は46番目の奇数

91

第10群は 91 から2ずつ増える10個で、最後は

和は 1000

群数列は「第n群までに何個あるか」を先に出す。ここが三角数になる。

問7(型07 数表)

自然数を1行に5個ずつ、左から右へ順に並べた表を作る。第7行第3列にある数を求めよ。また 63 は第何行第何列か。

解答

第7行の最初の数は 。第3列はそこから2つ進むので 33

63 について: なので、12行ぶん(60個)を終えて3番目。よって 第13行第3列

の商と余りが、そのまま行と列を与える。ただし余りが0のときは前の行の最終列になるので注意。)

問8(型08 漸化式/典型タイプへの帰着)

で定まる数列の一般項を求めよ。

解答

特性方程式 を解くと

と変形できるので、 は公比3の等比数列。

初項は だから

よって

(検算:。漸化式でも 。一致。)

問9(型09 2項間漸化式(指数つき))

で定まる数列の一般項を求めよ。

解答

の形を試すと より 。つまり は漸化式を満たす1つの数列。

そこで とおくと だから

よって

(検算:、公式では 、公式では 。一致。両辺を で割る解法でも同じ答えになる。)

問10(型10 和と一般項の関係・3項間漸化式)

(1) のとき、一般項 を求めよ。
(2) の一般項を求めよ。

解答

(1)

では

を代入すると と一致するので、すべての

が例外になるかを必ず確認する。一致しない問題も多い。

(2) 特性方程式 より とおく。

を解くと

よって

(検算:。一致。 になる場合もあるので、機械的に2項残さないこと。)

問11(型11 漸化式をノーヒントで立てる)

階段を1歩で1段または2段のぼる。 段の階段をのぼる方法の総数を とするとき、 を求めよ。

解答

最後の1歩が1段なら、その前は 段まで来ている。最後が2段なら 段まで。この2つは排反で、これで全部。

よって

より 89

「最後の1手で場合分けする」のが漸化式を立てる定石。最初の1手で分けても同じ式になる。

問12(型12 漸化式/誘導つきの置き換え)

の一般項を求めよ。

解答

両辺の逆数をとると

とおくと で、公差2の等差数列。

だから

よって

(検算:、公式では 。一致。分数型の漸化式はまず逆数を試す。)

問13(型13 奇偶で形が異なる漸化式)

とし、 で定める。 を求めよ。また奇数番目の項 の一般項を求めよ。

解答

順に計算すると 36

とすると

特性方程式 より

だから 、よって

(検算:。上の計算と一致。2つ飛ばしで見ると1本の漸化式になるのが、この型の唯一の手。)

問14(型14 不等式と漸化式)

で定まる数列について、(1) 一般項を求めよ (2) すべての であることを示せ。

解答

(1) 特性方程式 より

だから は公比 の等比数列。

より 、よって

(2) なので、つねに

。特性方程式の解 3 は「数列が近づいていく先」でもある。)

問15(型15 不等式と数学的帰納法)

を満たすすべての自然数 について が成り立つことを示せ。

解答

(i) のとき 。成立。

(ii) と仮定する。

ここで では なので

よって となり、 でも成立。

(i)(ii) より のすべてで成り立つ。

では成り立たない()。出発点を5にする理由がここにある。)

問16(型16 強い仮定の数学的帰納法)

で定まる数列について、すべての自然数 が成り立つことを、数学的帰納法で示せ。

解答

(i) 。ともに成立。

(ii) 両方で成り立つと仮定する。すなわち

これは のときの式。よってすべての で成立。

(3項間漸化式では直前2つを仮定しないと次が作れない。出発点も2つ()確認する必要がある。これが「強い仮定の帰納法」。)

「なぜその式になるのか」を理由から確かめる

この単元をもっと解く

上の16問はすべて数強塾が作成した自作問題です。実在の入試問題の再現ではありません。

高校数学・独立演習|数列

漸化式と和を変形して解く4問

定数を加えて等比数列にする漸化式、部分分数、階差、根号の有理化による望遠和を扱います。

数列の漸化式の解き方と和の計算を、等比型への変換、部分分数分解、階差数列、テレスコーピングの観点から練習します。

図は左右にスクロールして全体を確認できます。

漸化式が一定値へ近づく様子a1=10、aの次項は前項の半分に3を足す数列を第8項まで描き、6へ近づく様子を示します。座標は漸化式から逐次生成しています。10876.56.256.1256.06256.03125極限値6項番号naₙ
a1=10、aの次項は前項の半分に3を足す数列を第8項まで描き、6へ近づく様子を示します。座標は漸化式から逐次生成しています。

問1|定数を加えて等比型にする漸化式

難度:標準学習点:一次漸化式を平衡値の移項で等比数列へ変える

数列{a_n}をa_1=2、a_{n+1}=3a_n+2(n=1,2,…)で定める。一般項a_nを求め、a_5の値も答えよ。

問1「定数を加えて等比型にする漸化式」の解答・詳しい考え方を開く

答え:a_n=3^n−1、a_5=242

  1. 定数cを加えたa_{n+1}+c=3(a_n+c)を作るには2+c=3cよりc=1である。
  2. b_n=a_n+1とおくとb_{n+1}=3b_nとなる。
  3. b_1=a_1+1=3だから、等比数列の一般項はb_n=3×3^{n−1}=3^nである。
  4. a_n=b_n−1=3^n−1を得る。
  5. n=5を代入してa_5=3^5−1=243−1=242である。

誤答分析:漸化式の定数項2を無視してa_n=2×3^{n−1}とするのは誤りである。一定値を加えてから等比型になるよう、cの方程式を先に解く。

別計算による検算:漸化式を直接たどるとa_2=8、a_3=26、a_4=80、a_5=242となる。一般項へn=1を入れると2で初期条件も満たし、直接計算と一致する。

問2|部分分数で消える和

難度:基礎学習点:隣接項の差へ分解して望遠和を計算する

和S=Σ_{k=1}^{20} 1/((k+1)(k+2)) を求めよ。

問2「部分分数で消える和」の解答・詳しい考え方を開く

答え:5/11

  1. 1/((k+1)(k+2))=1/(k+1)−1/(k+2)と部分分数分解する。
  2. k=1から20まで並べると(1/2−1/3)+(1/3−1/4)+…+(1/21−1/22)となる。
  3. 途中の−1/3と+1/3から−1/21と+1/21までが相殺する。
  4. 残るのは1/2−1/22である。
  5. 共通分母22で計算して11/22−1/22=10/22=5/11を得る。

誤答分析:部分分数分解の符号を逆にすると和が負になる。元の各項は正なので、1/(k+1)の方を正にすることを簡単な代入で確認する。

別計算による検算:共通分母で端の差を戻すと1/2−1/22=20/(2×22)=10/22である。また最初の数項の部分和が1/2−1/(m+2)になることを帰納的に確かめ、m=20を入れても5/11となる。

問3|階差から一般項と和を求める

難度:標準学習点:階差を累積して一般項を作り平方和を使う

数列{a_n}をa_1=1、a_{n+1}−a_n=2n+1(n=1,2,…)で定める。一般項a_nとΣ_{n=1}^{10}a_nを求めよ。

問3「階差から一般項と和を求める」の解答・詳しい考え方を開く

答え:a_n=n^2、Σ_{n=1}^{10}a_n=385

  1. n≥2について、a_n=a_1+Σ_{k=1}^{n−1}(a_{k+1}−a_k)と表す。
  2. 階差を代入するとa_n=1+Σ_{k=1}^{n−1}(2k+1)である。
  3. Σ_{k=1}^{n−1}2k=n(n−1)、Σ_{k=1}^{n−1}1=n−1だから、a_n=1+n(n−1)+(n−1)=n^2となる。
  4. 求める和はΣ_{n=1}^{10}n^2である。
  5. 平方和の公式10×11×21/6を使って385を得る。

誤答分析:階差をnまで足してしまうとa_{n+1}を計算することになる。a_1からa_nへ進む差はn−1個なので、上端はn−1である。

別計算による検算:初項から直接作ると1,4,9,16,…となりn^2と一致する。さらに1^2+…+10^2を前半と後半に分けて直接加えると55+330=385となる。

問4|根号を有理化してつなぐ和

難度:標準学習点:共役を用いて根号を隣接差へ変形する

和T=Σ_{n=1}^{24} 1/(√(n+1)+√n) を求めよ。

問4「根号を有理化してつなぐ和」の解答・詳しい考え方を開く

答え:4

  1. 各項の分子・分母に共役√(n+1)−√nを掛ける。
  2. 分母は(n+1)−n=1となるので、各項は√(n+1)−√nに等しい。
  3. n=1から24まで並べると(√2−√1)+(√3−√2)+…+(√25−√24)となる。
  4. 途中の根号は正負で全て相殺し、√25−√1だけが残る。
  5. 5−1=4を得る。

誤答分析:分母の有理化後に分子を√(n+1)+√nと誤ると相殺しない。掛けるのは元の分母と符号が反対の共役であり、差の平方になる。

別計算による検算:部分和をT_mとすると、最初から順に足した値は√(m+1)−1になることを帰納法で確認できる。m=24を代入すると√25−1=4である。


📝 この型が実際に出た入試問題(59問のうち24問を掲載)

「数列・漸化式」の型が実際の入試でどう出たかを、数強塾が全問解説を公開している年度から拾いました。各行の「解説を読む」から、その問題の解説へ直接移動できます。型を読んだあとに実出題で当てると、どこまで通用する判断なのかがはっきりします。

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難易度は数強塾の見立てです(「—」は難易度を掲載していない年度)。大学別の年度一覧と出題傾向は過去問解説の総索引から、この型の全体像は解法パターン事典のハブから確認できます。

要点辞典この単元の公式・定石・つまずきやすい所は 数学II・B・Cの要点辞典:数列 にまとめてあります。

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