漸化式の解法パターン全20型|型の見抜き方と入試実例(滋賀大・信州大・神戸大・横浜国立大・滋賀医科大)

漸化式は、数列を「答え」ではなく「作り方」で与えたものです。 と書かれても第100項は分かりませんが、第1項から順に作れば必ずたどり着ける——その手順書が漸化式です。だから漸化式を解くとは、「順に作る」を「いきなり出す」に翻訳する作業にほかなりません。そして翻訳できる形はごくわずかで、教科書が一般項を教えてくれるのは等差数列・等比数列・階差数列の三つだけです。残りの型はすべて、置き換えによってこの三つのどれかに化けさせるための技術だと言い切ってしまってかまいません。このページは漸化式だけを20の型に分けて並べた辞典です。型は当てはめる箱ではなく、試す候補を絞り、そこから先に頭を使うための道具として並べています。

このページの位置づけ——概観は第1層、深掘りはここ

数列という単元の全体像は、第1層の数列の解法パターン全16型で概観できます。漸化式はその型08から型16にあたる部分です。このページは漸化式だけを20型に細分し、深掘りする第2層。単元の地図がほしい人は第1層へ、目の前の式がどの型かを見たい人はこのページへ。

このページの20型

  1. 等差型 
  2. 等比型 
  3. 階差型 
  4. 特性方程式 
  5. が1次式)
  6. (両辺を割る)
  7. (合わせ技)
  8. 分数型 (逆数)
  9. べき型 (対数)
  10. 3項間 
  11. 3項間(重解)
  12. 連立漸化式(和と差/複素数)
  13. 係数に を含む型
  14. 奇偶で形が違う型
  15. 漸化式を自分で立てる
  16. 数学的帰納法
  17. 不等式(はさみうち)
  18. 漸化式と極限
  19. 誘導つきの置きかえ
  20. 北大の良問 018|小さな増分の累積を「2のべき」で捉える
  21. 北大の良問 019|指数で割って等比の増分へ変える
  22. 北大の良問 030|末項で二分し、特性方程式へつなぐ

1. 背骨——「毎回まったく同じ操作」に直せた瞬間、漸化式は解ける

先に結論を言い切ります。一般項が閉じた式で書けるのは、「次の項を作る操作」が毎回まったく同じに見えるように、座標のとりかたを直せたときだけです。等比数列 なら、行うのは「 を掛ける」を 回。同じ操作の反復だから、まとめて と書けます。閉じた式が書けるのは、このまとめ書きができるときに限られます。

では はどうでしょう。操作は毎回同じはずなのに だけでは書けない。掛け算と足し算というふるまいの違う二つが混ざっているからです。そこで混ざらない場所を探します。 をみたす ——そこから始めればずっと動かない点です。この不動点を新しい原点に取り直すと、操作は「原点からの距離を 倍する」だけになります。特性方程式は覚える公式ではなく、「どこを原点にすれば毎回同じ倍率になるか」への答えです。 で使えないのも、その原点が無いからです。

持ちこむ先はこの三つだけ

等差  →  / 等比  → 

階差  → 

ここからが、この単元のいちばん深いところです。 には「線形性」という構造があります。二つの数列がどちらもこの式をみたすなら、引き算で共通の が消え、差 をみたす。つまり——この式をみたす数列を「なんでもいいから一つ」見つけて引けば、残りは必ず等比数列になるのです。

この一文が型04から型07までを貫きます。特性方程式の は「ずっと のままの数列」といういちばん簡単な一つにすぎません。右辺が の1次式なら の中に、 なら の中に、その一つが住んでいます。探すべき一つは、足されている と同じ顔をしている——これが特殊解の探し方のすべてで、滋賀大学2007年度の (1) はこの作業そのものです。

この見方は例外の理由まで説明します。 で、たまたま だったとしましょう。 はそれ自体が をみたすので、引いても が消えません。この「共鳴」が起きたら候補を一段持ち上げて を試す。3項間で特性方程式が重解をもったとき になるのも同じ事情で、型07と型11が似た顔をしているのは偶然ではありません。

線形でない漸化式には、この議論が使えません。そこで数列ではなく目盛りのほうを取りかえます。分母に がいるなら逆数、掛け算だけで次が決まるなら対数。「式を変形する」のではなく「見る世界を移す」のが型08・型09です。3項間や連立も を一組の状態と見れば同じ話になります。

最後に、私が生徒によく言うことを。型を知っている人が速いのは、頭の回転が速いからではありません。過去に何百回も使われてきた「型」から予想して、思考する量を減らすことで、手際よく解法を思い付いている場合もあるのです。型は考えなくて済ませる道具ではなく、考える範囲を狭めるための道具です。狭めたあと、初項の扱いや の範囲を考えるのは自分の仕事として残ります。

置き換えたあとに落ちる三つの穴

①初項を作り忘れる  なら初項は 。公比だけ正しくて答えが合わない失点に。

の範囲がずれる  を使った式は でしか保証されません。最後に で確かめます。

③0で割らないか確かめない 逆数は 、対数は が前提。ふつうは帰納法で示せます。

2. 手順——目の前の漸化式がどの型かを決めるまで

1骨組みを見る。項は2つか3つか、数列は1本か2本以上か。ここで型10・型11/型12/それ以外に三分

2 について1次かを見る。分母・2乗・根号の中なら線形ではありません。分数なら逆数(型08)、べきなら対数(型09)へ。

3係数が定数か を含むかを見る。 のように がいるなら型13。両辺を割って係数を定数に戻すのが先決です。

4余っている の顔を見る。定数なら型04、多項式なら型05、 なら型06、 なら型07。同じ顔の特殊解を探すだけで置き換えが決まります。

最後は必ず手を動かします。 を漸化式から直接計算し、求めた一般項に を代入して照合する。3項合えばまず間違っていません。漸化式は「作り方」が与えられているのだから、検算材料が無限にある——これがこの分野の親切さです。「 とおけ」とあるなら手順1〜4は不要(型20)。ただしなぜその置き換えなのかは、解き終わったあとに必ず言葉にしてください。

3. 解法パターン全20型

型01 等差型 

01毎回同じ数を足す

顔つき 

中身 

なぜ効くか 足し算の反復が掛け算になるだけ。ただし他の型はほぼ全部、ここか型02に着地するために存在します。

型02 等比型 

02毎回同じ数を掛ける

顔つき 

中身 

なぜ効くか 「毎回同じ操作」の純粋形で 回ぶんが一つの数に凝縮されるから。一般項は公比1でもそのまま使えます。別扱いが要るのは和の公式のほうで、 の分母が0になるから

型03 階差型 

03差を足して復元する

顔つき 差だけが の式。

中身 

なぜ効くか 差を足すと中身が打ち消し合い だけ残るから——積分の基本定理の数列版。失点は足す個数と の確認忘れ

型04 特性方程式 

04不動点を原点にする

顔つき 。定数が足されている。

中身  を解いて

なぜ効くか  を原点に取れば毎回きっかり 倍だから。 なら は極限そのもの

型05 

051次式から特殊解を探す

顔つき 

中身  と置き、余分な項が恒等的に消えるように を決める。

なぜ効くか この式をみたす数列を一つ引けば残りは等比で、探すべき一つは足された と同じ顔だから。

型06 

06指数で割って目盛りを替える

顔つき 

中身  で割ると型04 で割ると型03

なぜ効くか 割り算は「 という特殊解を探す作業」の自動化だから。底が二つなら扱いにくいほうで割る

型07 

07迷わず で割る

顔つき 

中身 割ると の階差型。とくに なら

なぜ効くか  では 自体が等比の式をみたし消えないから(共鳴)。この規則は型11と同一

型08 分数型 

08分母に なら逆数

顔つき 

中身  と置くと 型04

なぜ効くか ——これだけで1次式に。効く条件は「分子が の定数倍だけ」

型09 べき型 

09掛け算を足し算に移す

顔つき 

中身  と置くと 型04

なぜ効くか 対数はかけ算をたし算に変える辞書だから。掛け算の等比は、足し算では等差に見える

型10 3項間 

10変わらない方向を探す

顔つき 

中身  の2解で と入れかえた式。

なぜ効くか 1つ前だけでは決まらず を一つの状態と見るから。2次なのは状態が2つあるため

型11 3項間(重解)

11潰れた方向を 倍で補う

顔つき 重解 をもつ

中身  と置くと等差型で

なぜ効くか 独立な2方向が重なり2本目が取り出せないから。型07の共鳴と同じ

型12 連立漸化式

12混ざらない組を探す

顔つき 

中身  となる を探す。確率なら総和が1

なぜ効くか 探しているのが「次も同じ組み合わせのまま 倍になる」方向だから。

型13 係数に を含む型

13 依存の目盛りで割る

顔つき 

中身 両辺の の顔がそろう などで置く。

なぜ効くか 係数に がいると「毎回同じ操作」でなくなるから。付き方がそろう塊で割る。

型14 

14差をとって1項に戻す

顔つき 「」。

中身  は別に。

なぜ効くか  項ぶんの束で、差をとれば1項だけ残るから。縛りは が無いため

型15 奇偶で形が違う型

152回ぶんを1回と見る

顔つき 規則が奇偶で二つ。公比が

中身  を別の数列と見る。

なぜ効くか 規則が二つで一組なら、2回ぶんまとめれば「毎回同じ操作」に戻るから。

型16 漸化式を自分で立てる

16「最後の1手」で分ける

顔つき 漸化式がなく設定から作る。

中身 移り方を書き出し、閉じなければ状態を増やす。

なぜ効くか 状態の個数は「次を決めるのに必要な情報の種類数」だから。閉じないのは情報不足の証拠。

型17 数学的帰納法

17予想して帰納法へ

顔つき 「 を示せ」。

中身 予想して帰納法へ。足りなければ強い帰納法。

なぜ効くか 漸化式は「1つ前から次を作る」規則、帰納法は「1つ前なら次も」。同じ構造の別用途

型18 不等式(はさみうち)

18等比を不等式で使う

顔つき 「 を示せ」。

中身  の形にする。

なぜ効くか 「距離が毎回一定割合以下に縮む」と示せば収束が言えるから。示したい形と同じ形を作る

型19 漸化式と極限

19不動点は収束先、世界が速さを決める

顔つき 「 が収束する 」。

中身 出なくても収束するなら

なぜ効くか 型04なら距離は で減るのに、逆数が等差になる分数型は 速さがまるで違うのです。

型20 誘導つきの置きかえ

20誘導は移す世界を教える

顔つき 「 とおく」。

中身 代入して新しい数列の漸化式と初項を作る。

なぜ効くか 逆数なら分数型、対数ならべき型、 倍なら「両辺を割る」型。誘導は答えの形を先に見せている

4. 実際の入試で確かめる

全20型のうち、入試の実例がついているのは12型1マスが1つの型です。青いマスは、下にある入試の実例で確かめている型です白いマスは、下にある入試の実例では扱っていない型です0102030405060708091011121314151617181920解法パターン20型入試の実例で確かめる12型下の実例にない8型12 + 8 = 20型。この図は下にある入試の実例が扱う型を数えたものです入試の実例は6問。実例の数と型の数は必ずしも一致しません

この単元の解法パターンは全20型で、下にある入試の実例6問で確かめているのは12型です。残りの8型は、下にある実例では扱っていません。1問が複数の型にまたがることも、同じ型を複数の実例で扱うこともあるため、実例の数と型の数は必ずしも一致しません。

ここからは実際の入試問題で型を確かめます。問題文は各大学が公表した入試問題を、解説のために引用したものです。解答・解説は数強塾が独自に作成したもので、大学公表の解答ではありません。数値は当塾で独立に解き、別の担当者が解き直し、さらに Python で検算しています。

滋賀大学 2007年度 ―― 型05・型20

この問題は 群数列とシグマ計算 のページでも扱っています。同じ問題でも、そちらは単元全体の中での位置づけ、ここではこのテーマに絞った読み方をしています。二つを見比べると、同じ問題文から引き出せるものが1つではないことが分かります。

【問題】滋賀大学(教育学部・経済学部) 2007年度

)によって定められる数列 について、次の問いに答えよ。

(1)  とおいて、数列 が等比数列になるように定数 の値を定めよ。

(2) 一般項 を求めよ。

(3) 初項から第 項までの和 を求めよ。

【解答】

(1)  (2)  (3)

(1) 代入すると 等比になるのは余分な項が恒等的に0のとき(2) 初項の作り直しが要(3) 1次式と等比に分けて をとります()。

この問題で使った型

型05 1次式の中に特殊解が住んでいる。 型20 誘導が「1次式を引け」と教える。

検算のしかた

漸化式のまま まで生成して閉じた式と全項一致を確認。(1) は sympy でも一意解と確認。

信州大学 2005年度 ―― 型05・型04・型15

【問題】信州大学 教育学部 2005年度

数列 は初項 、公差1の等差数列であるとし、数列 は漸化式

を満たすとする。このとき、次の問に答えよ。

(1)  とおくとき、 の関係式を導け。

(2)  を求めよ。

(3)  がすべての で成り立つような の範囲を求めよ。

【解答】

(1)  (2)  (3)

(1)  を代入すると左辺の が右辺の と相殺して 置き換えの役目は右辺の を消すことで、残るのは公比 の型04です。(2) 不動点 から奇数は 、偶数は (3) 偶数では によらず成立し、奇数から

この問題で使った型

型05  を消す。 型04 残った を不動点で。 型15 偶奇で顔が変わる。

検算のしかた

を文字のまま まで生成し完全一致。(3) は を 0.0005 刻みで走査し、成立範囲が から と一致。

神戸大学 2013年度 ―― 型16・型12・型04・型19

この問題は 確率漸化式条件付き確率・独立・反復試行確率漸化式 のページでも扱っています。同じ問題でも、そちらは単元全体の中での位置づけ、ここではこのテーマに絞った読み方をしています。二つを見比べると、同じ問題文から引き出せるものが1つではないことが分かります。

【問題】神戸大学 前期日程(理科系 第5問) 2013年度

動点 P が、正方形 ABCD の頂点 A から出発し、さいころをふるごとに、次の規則により正方形のある頂点から他の頂点に移動する。

・出た目の数が2以下なら辺 AB と平行な方向に移動する。

・出た目の数が3以上なら辺 AD と平行な方向に移動する。

を自然数とするとき、さいころを 回ふった後に動点 P が A にいる確率を 、C にいる確率を とする。次の問いに答えよ。

(1)  を求めよ。

(2) さいころを 回ふった後、動点 P は A または C にいることを証明せよ。

(3)  を用いてそれぞれ表せ。

(4)  をそれぞれ求めよ。

【解答】

(1)  (3)  (4) どちらも

(1) 同じ方向を2回で (2) 頂点を市松に塗ると1回ごとに色が変わり、偶数回後は A か C。状態が4つから2つに減り、 で実質1つに(型16)。(3) 2回を1組にして 、不動点 (4) 不動点がそのまま極限です(型19)。

この問題で使った型

型16 2回を1組にして立てる。 型12  で1本に。 型04  を不動点で。 型19 不動点が極限。

検算のしかた

4頂点の確率分布を分数のまま20回、誤差なしで更新。偶数回で B と D の確率が0になり (2) の裏付けに。 と完全一致。

横浜国立大学 2003年度 ―― 型03・型17

この問題は 群数列とシグマ計算 のページでも扱っています。同じ問題でも、そちらは単元全体の中での位置づけ、ここではこのテーマに絞った読み方をしています。二つを見比べると、同じ問題文から引き出せるものが1つではないことが分かります。

【問題】横浜国立大学 前期日程 2003年度

数列

を満たす。次の問いに答えよ。

(1)  を求めよ。

(2) )のとき、 を用いて表せ。

(3)  に対して であることを証明せよ。

【解答】

(1)  (2)  (3) 強い数学的帰納法

(1) (2) 2の累乗の番号だけ拾うと 階差型(3) 直前が使えず強い帰納法へ。 でも でも だから

この問題で使った型

型03  に絞ると階差型に。 型17 直前が使えず強い帰納法へ。

検算のしかた

定義のまま まで生成し、(1) の値と の成立を全域で確認。

滋賀医科大学 2019年度 ―― 型12・型06・型20

この問題は 確率漸化式 のページでも扱っています。同じ問題でも、そちらは単元全体の中での位置づけ、ここではこのテーマに絞った読み方をしています。二つを見比べると、同じ問題文から引き出せるものが1つではないことが分かります。

【問題】滋賀医科大学 一般入試前期日程 2019年度

3つの頂点 A, B, C が線分でつながっている(A—B—C の順)。この図形の上を点 P が次の規則に従って動く。以下、 は 0 以上の整数である。

・時刻 0 に点 P は頂点 A にいる。

・時刻 に P が A にいる場合、時刻 において、確率 で A にとどまり、確率 で B に移動している。

・時刻 に P が B にいる場合、時刻 において、確率 で B にとどまり、確率 で A に、確率 で C に移動している。

・時刻 に P が C にいる場合、時刻 において、確率 で C にとどまり、確率 で B に移動している。

時刻 に P が A, B, C にいる確率をそれぞれ とする。

(1)  を用いて表せ。

(2) (1) の結果と を利用して、 の式で表せ。

(3)  とおく。 の式で表せ。

(4)  を求めよ。

【解答】

(2)  (3)  (4)

(1) (2)  だけが 同じ係数で含むのが突破口。 を入れると (型12)。(3) 「両辺に を掛けよ」と同じで階差型に。(4) A と C が同値なのは B について対称だからです。

この問題で使った型

型12 総和1で だけの式に。 型06  は「両辺を割る」操作。 型20 その置きかえは (3) が指定している。

検算のしかた

別の方法でも確認。遷移行列の記号的べき乗を sympy で計算させると が上の式と厳密に一致。

神戸大学 2005年度 ―― 型16・型08・型01・型19

【問題】神戸大学 前期日程(理科系 第2問) 2005年度

を正の実数とする。 平面の放物線 上に点 をとる。 のとき、 軸上の点 に対して、直線 の2つの交点のうち、 とは異なる交点を とする。 から 軸に下ろした垂線と 軸の交点を とする。いま、 軸上の点 から出発して、点 に対して点 を定めたのと同じ方法で から点 を定め、同様に から点 を定め、この方法を繰り返して を定める。次の問に答えよ。

(1)  を用いて表せ。

(2) 点 座標を とする。数列 で定める。 の一般項を求めよ。

(3) 直角三角形 の面積を で表す。自然数 を選んで、極限 が正の実数値に収束するようにできる。このような の値とそのときの極限値 を求めよ。

【解答】

(1)  (2)  (3)

(1) 傾き の直線が を通るので (2)  として (型16)。なぜ逆数なのかは分母の形が教えます——公差 の等差数列に(型08・型01)。(3)  で書けば この は、 の速さで0へ向かうことから計算前に読めます

この問題で使った型

型16 図形から を立てる。 型08 分子が だけなので逆数が効く。 型01 逆数の世界では等差。 型19  の速さ。

検算のしかた

共線条件を sympy に解かせ唯一解と確認。 は簡約すると厳密に 。数値でも400項追跡し差は 以下です。

5. よくある質問

Q1. 型が多すぎて、どれを使えばよいか決められません。

A. 決める質問は3つです。①項は2つか3つか、数列は1本か2本以上か。② について1次か。③余っている は何の顔か。これで候補は絞れます。

Q2. 特性方程式は、なぜあの式でよいのですか。

A. 探しているのが「そこから始めたらずっとその値のままになる点」(不動点)だからです。そこを原点に取り直せば毎回きっかり 倍で、等比数列に見えます。

Q3. 置き換えたあとに、初項が分からなくなります。

A. 置き換えの式に を代入するだけです。置き換えは数列そのものを取りかえる操作なので、初項も定義式から作り直します。飛ばすと公比だけ正しい答えになります。

Q4. 一般項が求まらない漸化式はどうしますか。

A. 求まらない前提で問われていることがほとんどです。道は二つ、①書き出して予想し帰納法で示す、② との距離の縮み方を評価してはさみうち。

Q5. 型を覚えれば初見の漸化式も解けますか。

A. 型は考えなくて済ませる道具ではなく、考える範囲を狭めるための道具です。過去に何百回も使われてきた「型」から予想して、思考する量を減らすことで、手際よく解法を思い付いている場合もあるのです。

北大の良問 018

小さな増分の累積を「2のべき」で捉える|北大1996年理系第4問

隣り合う項の差が に近づいても、数列そのものがどこかに近づくとは限りません。本問は、調和級数を項数が2倍になる区間ごとにまとめ、各区間が少なくとも を積み上げると見抜くことで、「1歩は小さくても歩き続けられる」ことを証明する良問です。

  • 北海道大学
  • 1996年度 前期日程
  • 数学(理系学部)第4問
  • 理系専用
  • 数学B 数列
  • 数学的帰納法・数列の極限
  • 標準〜発展

問題

次の問いに答えよ。

  1. 数学的帰納法により次の不等式を証明せよ。ただし、 とする。
  2. 次の命題は真か偽か。真ならば証明し、偽ならばその例をあげ理由を説明せよ。
     ならば 数列 は収束する。

出典:北海道大学1996年度一般入試(前期日程)数学(理系学部)第4問。問題文の表記はウェブ表示用に一部調整しています。

段階別ヒント

ヒント1|帰納法の出発点を等式で確認する

では左辺は 、右辺は です。まず両者が等しいことを書きます。

ヒント2| から へ増えた部分だけを見る

の和を、 の既知部分と、 の追加部分に分けます。

ヒント3|追加された各項を同じ下限で押さえる

追加部分では です。したがって 。追加項が何個あるかも数えてください。

ヒント4|「必要条件」と「十分条件」を区別する

数列が収束すれば隣接差は に近づきます。しかし、その逆が自動的に成り立つとは限りません。小さな正の量が無限に積み上がる例を探します。

ヒント5|小問(1)の和をそのまま数列にする

とおくと、隣接差は簡単です。一方、 の部分列には小問(1)が使えます。

2^m 項までの和 帰納法の仮定を使える部分 次の 2^m 個を追加 どの項も 1 / 2^(m+1) 以上 個数 × 各項の下限を計算 追加分は少なくとも 1 / 2 倍増のたびに一定量が積み上がる
分母を1つずつ足すのではなく、添字を ごとのブロックにまとめる発想を表した数強塾の独自図です。

解答・解説

(1) 数学的帰納法で不等式を示す

のとき、

であり、不等式は成り立つ。

次に、ある正の整数 について

が成り立つと仮定する。 項までと、その後に加わる項とに分けると、

第2の和には 個の項がある。また、 なので、各項は

よって、追加部分全体は

式(1)と式(3)を式(2)へ用いると、

したがって で成り立つなら でも成り立つ。数学的帰納法により、すべての正の整数 について

が成り立つ。

(2) 小問(1)を使って命題を判定する

命題はである。その例として、調和数列

をとる。このとき隣り合う項の差は

したがって命題の仮定は満たす。

一方、 とする部分列に小問(1)を使うと、

よって は上に有界でなく、元の数列 も収束しない。

(2)の答え:

命題は偽。

式(4)の数列は を満たすが、小問(1)により なので収束しない。

別解|より短い例

命題が偽であることだけなら、

としてもよい。有理化すると

しかし なので、数列は収束しない。ただし本問では、小問(1)で証明した不等式を小問(2)へ接続できる調和数列が、出題全体の構造を最もよく表す解法です。

解法を思いつくための再現手順

  1. 帰納法の命題を として固定する。上端が なので、 を1増やすと項数が2倍になると読む。
  2. 最初の値を代入する。 を左辺・右辺の両方で計算し、帰納法の出発点を作る。
  3. 既知部分と追加部分に分ける。 を分離する。
  4. 追加項の個数と最小値を掛ける。追加は 個、各項は 以上なので、総量は 以上。
  5. 命題の向きを点検する。「収束なら差が0」は正しいが、問われているのはその逆であると確認する。
  6. 仮定を満たす数列を作る。差が になるよう、その累積 を選ぶ。
  7. 収束しない理由を部分列で示す。 番目だけ抜き出し、小問(1)の下界が無限大へ行くことを使う。
  8. 仮定と結論を別々に検算する。差の極限が0であることと、数列が非収束であることの両方を書いて反例を完成させる。

よくある誤り

  • 帰納法で の式から始める:まず の不等式を仮定し、その既知部分を の和の中に残します。
  • 追加項が 個あると数える: から までは 個です。
  • 追加区間で とする: なので逆数の向きは です。
  • 各差が0へ近づくから総和も有限だとする:項の極限が0であることは、級数が収束するための必要条件にすぎません。
  • 例だけを書いて理由を書かない: が収束しないことを別々に示して初めて反例になります。
  • 調和数列の発散を既知として済ませる:本問では小問(1)が用意されているので、 と答案内で証明できます。
  • から何も説明せず結論へ飛ぶ:収束数列の部分列は同じ極限へ収束するため、発散する部分列を持つ元の数列は収束しません。
  • 原文を「反例をあげよ」と書き換える:原文は「偽ならばその例をあげ理由を説明せよ」です。教材では原文の語を保持します。

独立検算

左辺 右辺 確認
等号

また、もし に収束するなら、 に収束するので です。したがって「収束 隣接差が0」は正しい一方、本問の調和数列はその逆向きが成り立たないことを示しています。

この問題で押さえること:隣接差が 0 に近づいても収束するとは限らない——代表的な反例が調和級数。項数が2倍になる区間ごとに 以上を積み上げるブロック評価を押さえよう。

前提単元と次に解く問題

教材について:解答・解説・ヒント・図は数強塾が独自に作成した非公式教材で、北海道大学が公表した公式解答・公式見解ではありません。問題の著作権は北海道大学に帰属し、出典を明示して掲載しています。

北大の良問 019

指数で割って等比の増分へ変える|北大1997年理系第3問

漸化式には と、その向きとは逆に指数が動く が同居しています。そこで主役の倍率 を先に取り除くと、複雑に見えた漸化式が等比数列の和へ変わります。最後の比の極限では、 を境にどちらの指数項が支配的かを見分ける良問です。

  • 北海道大学
  • 1997年度 前期日程
  • 数学(理系)第3問
  • 理系専用
  • 数学B 数列
  • 漸化式・等比数列・極限
  • 標準〜発展

問題

でない実数とする。数列 をつぎのように定義する。

  1. のとき、 を求めよ。
  2. のとき、 を求めよ。
  3. 次の極限を求めよ。

出典:北海道大学1997年度一般入試(前期日程)数学(理系)第3問。問題文の表記はウェブ表示用に一部調整しています。

段階別ヒント

ヒント1|最初の3項を実際に作る

です。指数が ずつ下がる並びを探してください。

ヒント2| の倍率を消す

毎回掛かる を取り除くには、 で割った数列を考えます。 なので、この変形は常に可能です。

ヒント3|新しい数列の階差を計算する

とおき、 を求めると だけが残ります。

ヒント4|公比1になる場合を先に分ける

、すなわち のときは、等比数列の和の分母が になります。公式へ代入せず、同じ数 個足します。

ヒント5|比の極限は大きい指数項で割る

では 側、 では 側が支配します。負の もあるため、大小の判定には を使います。

ヒント6|分母が0にならないことも確認する

と書けば、和の各項は正です。したがって で、すべての比 が定義できます。

解答・解説

共通準備|指数で割って階差を作る

なので、

とおける。漸化式を で割ると、

また である。式(1)を から まで足すと、

(1) の場合

は実数なので、 なら または であり、いずれも である。式(2)の和は 個足したものだから、

特に なら なら です。

(2) の場合

なら なので、式(2)の等比数列の和を計算できる。

(3) 隣接項の比の極限

まず、式(2)では だから、

したがって、すべての正の整数 であり、以下の比は定義される。

のときは小問(1)より、

次に のとき、小問(2)の式を使い、分子・分母を で割ると、

最後に のとき、分子を 、分母を でくくると、

(3)の答え:

別解| とおいて負の指数を消す

負の指数を先に消したいなら、

とおく。元の漸化式の両辺に を掛ければ、

したがって、帰納的に

よって、

式(7)からも、 なら なら を得る。 では和の末尾 が、 では先頭の が支配的なので、比の極限がそれぞれ になることも見通せます。

解法を思いつくための再現手順

  1. 係数と付加項の指数を読む。 があり、指数の向きが逆だと確認する。
  2. 主要な等比変化を消す。 の自然な目盛り で割り、 とおく。
  3. 新しい階差を計算する。 を得て、漸化式を和へ変える。
  4. 初項から階差を足す。 と合わせ、 を作る。
  5. 公比1を分離する。 となる では、和を と直接数える。
  6. それ以外は等比和を整理する。負の指数を消し、 まで変形する。
  7. 比を作る前に非零を保証する。正の和と非零の の積なので と書く。
  8. 絶対値で支配項を分ける。 なら正の指数、 なら負の指数を基準に割る。
  9. 境界 を戻す。小問(1)の式から比を直接求め、最終結果へ統合する。

よくある誤り

  • として指数をずらす:使えないわけではありませんが、初項と式が一段ずれます。 に合う を使うと整理が短くなります。
  • とする:指数法則より です。
  • を等比和の公式へ代入する:公比が1になり、分母 が0です。先に場合分けします。
  • から だけを扱う: は実数なので も含みます。
  • 小問(2)で だけを条件にする: でも です。正しい条件は です。
  • 負の を大小で判定する:指数項の大きさは ではなく で判断し、極限の符号には を残します。
  • すべての場合で極限を とする: では が支配し、比は です。
  • の分母を確認しない:式(2)の等比和が正であることから を示せます。
  • 漸化式に戻して確かめない:得た一般項は、初項と の両方を確認して完成です。

独立検算

比の極限

式(2)から を再計算し、上の6値をそれぞれ元の漸化式へ代入して一致を確認しました。また、一般項から直接

となることも確認できます。

この問題で押さえること: のような型は、支配的な指数で両辺を割って等比の和へ直す。比の極限では と 1 の大小で支配項を見分ける、を押さえよう。

前提単元と次に解く問題

教材について:解答・解説・ヒント・図は数強塾が独自に作成した非公式教材で、北海道大学が公表した公式解答・公式見解ではありません。問題の著作権は北海道大学に帰属し、出典を明示して掲載しています。

北大の良問 030

末項で二分し、特性方程式へつなぐ|北大2019年文系第3問

和が になる の並べ方を、一つずつ数え続ける必要はありません。最後の項が で漏れなく二分すると、個数そのものが3項間漸化式になります。さらに、問題文の式を「漸化式の因数分解」と読めば、黄金比を経由して一般項まで一本につながる良問です。

  • 北海道大学
  • 2019年度 前期日程
  • 数学(文系)第3問
  • 文系専用
  • 数学B 数列
  • 場合の数・3項間漸化式
  • 標準

問題

を自然数とする。数列 のように各項が または の有限数列(項の個数が有限である数列)を考える。各項が または の有限数列のうちすべての項の和が となるものの個数を とする。例えば、 のときは、1項からなる数列 のみである。したがって、 となる。 のときは、1項からなる数列 と2項からなる数列 の2つである。したがって、 となる。

  1. を求めよ。
  2. のとき、 を用いて表せ。
  3. 3以上のすべての に対して

    が成り立つような実数 の組 を1組求めよ。

  4. を求めよ。

出典:北海道大学2019年度一般入試(前期日程)数学(文系)第3問。問題文の表記はウェブ表示用に一部調整しています。

段階別ヒント

ヒント1| は実際に並べてみる

和が になる並びは、3個の を使う場合と、 を1個ずつ使う場合に分かれます。順序が違えば別の数列です。

ヒント2|数列の「最後の1項」だけを見る

末項が なら、それを除いた部分の和は 。末項が なら、残りの和は です。この2群は重ならず、全体を尽くします。

ヒント3|指定された式を展開して係数を読む

小問(3)の式を展開すると、 です。小問(2)の係数 とどう対応するか考えます。

ヒント4|係数比較を正当化する

数列の2項を文字のように扱うだけでは不十分です。 として得る2本の一次方程式を使うと、係数条件が本当に必要だと示せます。

ヒント5|二つの根のべきで一般項を作る

の2根を とすると、どちらも を満たします。初期値 まで合わせます。

解答・解説

(1) 和が3になる数列を列挙する

各項が または で、和が になる数列は

の3つである。したがって、

(2) 末項で二つの場合に分ける

とする。和が になる数列は、末項が のものと末項が のものに分かれる。

  • 末項が :最後の を除くと、和が の数列になる。逆に、和が の任意の数列へ末尾の を付ければ元へ戻るので、個数は
  • 末項が :最後の を除くと、和が の数列になる。同じく一対一対応なので、個数は

二つの場合は互いに重ならず、すべての場合を尽くす。よって、

(3) 係数条件の必要性と十分性を確かめる

指定された等式を展開すると、

ここで、単に式(1)と係数を見比べるだけでなく、その条件が必要であることを確認する。式(1)と式(2)の差をとり、

とおくと、すべての

が必要である。 を使い、式(3)へ を代入すると、

係数行列の行列式は なので、。したがって必要条件は

逆に、式(4)が成り立てば式(2)は式(1)そのものになる。よって式(4)は十分でもある。

したがって は2次方程式

の2根である。1組として、

逆順の組も条件を満たしますが、問題は1組を求めるものなので上の組で十分です。

(4) 初期値まで合わせて一般項を決める

式(4)の2根を

とする。各根は を満たすので、数列

を満たす。また、 から、

は同じ漸化式と同じ初期値をもつため、すべての自然数 で一致する。よって、

ただし とするフィボナッチ数列です。

別解| の個数を固定して直接数える

和が の数列に がちょうど 個あるとする。このとき 個で、全項数は

である。 個の場所から を置く か所を選べば並びが一意に決まるので、その個数は 。取り得る だから、

この和も末項が かで分ければ式(1)を満たし、初期値も です。したがって主解の閉じた式と同じ数を表します。根号を使わず整数になることが最初から見えるのが、この数え上げの利点です。

解法を思いつくための再現手順

  1. 小さい を列挙する。 では の3つと確認する。
  2. 分類に使う位置を決める。先頭でも末尾でもよいが、答案では末項に統一する。
  3. 末項を外して小さい問題へ戻す。末項 なら和 、末項 なら和 になる。
  4. 重複と漏れを点検する。二群は末項が異なるので重ならず、各項は のどちらかなので全体を尽くす。
  5. 指定式を展開する。 の形へ直す。
  6. 係数条件の必要性を証明する。 の2式と行列式 から、 を得る。
  7. 十分性を元の漸化式へ戻して確かめる。二条件を代入すれば、すべての で式(1)と一致する。
  8. 2根のべきと初期値を合わせる。漸化式を満たす候補を作り、 を照合して一般項を確定する。

よくある誤り

  • を同じものと数える:これは有限集合でなく有限数列なので、順序が違えば別です。
  • 末項が の個数を とする:末項そのものを外すと残りの和は なので、個数は です。
  • 二つの場合の一対一対応を書かない:末項を外す操作と、再び付ける逆操作の両方を書くと個数が等しいことが明確です。
  • と置く:式(1)の の係数は なので、、すなわち です。
  • 数列の項を文字のように係数比較する: は独立変数ではありません。 の連立方程式で必要性を保証します。
  • 必要条件だけで終える:得た和と積を逆代入し、指定式がすべての で漸化式と一致する十分性も確認します。
  • 逆順の組を不正解とする:和と積は対称なので逆順も成立します。設問は1組だけを求めています。
  • 一般項の指数を とする: なので、フィボナッチ数列では 。閉じた式の指数も です。
  • 閉じた式だけ書いて初期値を確かめない:同じ漸化式を満たすだけでは定数が未確定です。 の照合が必要です。

独立検算

末項分割 二項係数の和
初期値
初期値

さらに を閉じた式へ代入すると、 でそれぞれ が得られます。根号を含む式、二項係数の和、末項分割という独立な3経路が一致します。

この問題で押さえること:「和が になる並べ方」は、最後の項が 1 か 2 かで漏れなく二分すると3項間漸化式 になる。数え上げを漸化式へ翻訳する型を押さえよう。

前提単元と次に解く問題

教材について:解答・解説・ヒント・図は数強塾が独自に作成した非公式教材で、北海道大学が公表した公式解答・公式見解ではありません。問題の著作権は北海道大学に帰属し、出典を明示して掲載しています。

6. 次に読むページ

漸化式を「置き換えの丸暗記」で終わらせたくない人へ

漸化式でつまずく生徒のほとんどは、変形ができないのではなく「なぜその置き換えなのか」を一度も言葉にしたことがないだけです。数強塾では、置き換えの前に「何を等差・等比に化けさせる操作か」を口に出させます。オンライン完全1対1、プロ講師のみが担当します。

数強塾オリジナル演習 追加5題|型09〜11・13・14を埋める

上の入試実例では型01・03〜06・08・12・15〜17・19・20 を扱いました。ここでは残る型のうち、とくに出題の多い型14()・型10、型11(3項間)・型09(べき型)・型13(係数に を1問ずつ埋めます。すべて自作問題で、答えは計算で検算してあります。

型14  から を求める
数列 の初項から第 項までの和が であるとき、一般項 を求めよ。

解答・解説を見る

が使えるのは のときだけです( は定義されていない)。
のとき


の確認

ところが上の式に を入れると 一致しません。
【答】 のとき
(検算: ✓)
【一致しないのは異常ではない】むしろよくあることです。 に定数項があると、たいてい だけずれます。
なら、式でも で一致。定数項の有無が分かれ目
答案では必ず2行に分けるか、「一致するので でも成り立つ」と書き添えてください。階差から一般項を求めるときとまったく同じ作法です。

型10 3項間漸化式(異なる2解)
のとき、一般項を求めよ。

解答・解説を見る

特性方程式を作ります。 と思って代入すると

で割って、すなわち
因数分解して
解が2つあるので、一般項は

初期条件を入れると

解くと

(検算: ✓、 ✓、。漸化式でも ✓)
【なぜ を代入するのか】漸化式は「毎回同じ操作」なので、等比数列なら形が変わらないはず。そこで と仮定すると、2次方程式1本に落ちます。
解が2つ出たら、その2つの等比数列を足し合わせたものが答え。係数 を初期条件で決めます。

型11 3項間漸化式(重解)
のとき、一般項を求めよ。

解答・解説を見る

特性方程式は
(重解))。
解が1つしかないので、 だけでは足りません。未知数が1つでは、初期条件2つを同時に満たせないからです。
そこで を掛けた項を追加します。

初期条件より

すなわち
解くと

(検算:。漸化式でも ✓)
【なぜ を掛けるのか】重解のときは、 と変形できます。 と置くと が等比数列
これを戻すと となり、両辺を で割ると等差数列が現れる——それが の正体です。

型09 べき型( が付いている)
のとき、一般項を求めよ。

解答・解説を見る

両辺を で割ります。

と置くと

見慣れた特性方程式の型になりました。
より

なので




(検算: ✓、 ✓)
【演習2と同じ答えになりました】偶然ではありません。 から を消すと、3項間漸化式 が出ます。同じ数列を別の形で書いていただけ。
【何で割るか】 で割るのが基本ですが、 で割っても解けます(その場合は等差型になる)。係数と が等しいときは 一択です。

型13 係数に を含む型
のとき、一般項を求めよ。

解答・解説を見る

係数に があるので、特性方程式は使えません。
こういうときは分母を払って、「同じ形」を探します

ここで と置くと、左辺は 、右辺は

は変化しない——つまり定数です。

より
(検算: ✓、 ✓)
【置きかえの見つけ方】左右にきれいに分かれるように式を整理するのがコツ。
番目の形」が両辺にそろっています。こうなれば と置けばよい。
入試ではたいてい誘導がつきます(型20)。「 とおけ」と書いてあったら、その置きかえで簡単な型に落ちるという合図です。

漸化式は「知っている形に落とす」ゲーム

解ける形は、じつは3つだけです。

落とし先 一般項
等差
等比
階差

20の型は、この3つへの「落とし方」のカタログです。どう置きかえるかが違うだけ。

もとの形 置きかえ 落ちる先
(特性方程式) 等比
特性方程式の型
を代入 2次方程式 → 等比の和
係数に 分母を払って など 等差・等比・定数
分数型 逆数 等差・等比

迷ったら「何を と置けば同じ形がくり返すか」を探してください。

が出てきたら(型14)

次の2点を機械的に確認します。

  1. のみ ──  は存在しない
  2. を別に求めて、式と一致するか確かめる

一致しないことは珍しくありません。そのときは答えを2行に分けて書きます。この確認を飛ばすのが、この単元で最も多い失点です。

検算は「3項書き出す」

一般項が出たら、 を代入して漸化式から順に計算した値と照らし合わせてください。30秒で、符号ミスの大半が見つかります。

「なぜそうなるのか」へ

漸化式は「1回分の変化」から全体を決める仕組みです。土台を押さえると、20の型が3つに減ります。

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大学受験数学|漸化式

漸化式の変形を見抜く4つの独自演習

定数項のある漸化式、逆数を取る漸化式、特性方程式、添字を含む係数を、見通しのよい形へ変える練習です。数列を数項だけ並べて推測するのではなく、一般項まで根拠をつなぎます。

大学受験の漸化式で頻出する、平衡点、逆数変換、重解型の特性方程式、nで割る正規化を、4題の独自演習と詳解で段階的に学べます。

図は左右にスクロールして全体を確認できます。

漸化式を扱いやすい数列へ変換する流れ元の漸化式から定数を引く、逆数を取る、添字で割るという三つの変換先を矢印で示した図。 元の漸化式 aₙ定数を引くaₙ-c逆数を取る1/aₙ添字で割るaₙ/{n(n+1)}
元の漸化式から定数を引く、逆数を取る、添字で割るという三つの変換先を矢印で示した図。

問1|平衡点を引く一次漸化式

難度:標準確認点:定数項の消去

数列{a_n}をa_1=4、a_(n+1)=3a_n-4で定める。一般項a_nを求め、a_5を計算せよ。

問1「平衡点を引く一次漸化式」の解答・詳しい考え方を開く

答え:a_n=2+2・3^(n-1)、a_5=164

  1. 変化しない定数cをc=3c-4から求めるとc=2です。
  2. b_n=a_n-2とおくと、b_(n+1)=a_(n+1)-2=3a_n-6=3b_nとなります。
  3. b_1=4-2=2なので、等比数列の一般項はb_n=2・3^(n-1)です。
  4. したがってa_n=2+2・3^(n-1)。n=5を代入してa_5=2+2・81=164です。

誤りやすい点:定数項-4をそのまま等比数列の公比と考えないようにします。まず漸化式の平衡点2を引くと、初めて等比型になります。

問2|逆数で等差型にする漸化式

難度:標準確認点:逆数変換

正の数列{a_n}をa_1=1/3、a_(n+1)=a_n/(1+2a_n)で定める。一般項a_nとa_10を求めよ。

問2「逆数で等差型にする漸化式」の解答・詳しい考え方を開く

答え:a_n=1/(2n+1)、a_10=1/21

  1. 分母にa_nが含まれるので、b_n=1/a_nとおきます。
  2. 漸化式の両辺の逆数を取ると、b_(n+1)=(1+2a_n)/a_n=b_n+2です。
  3. b_1=3より、b_nは初項3、公差2の等差数列で、b_n=3+2(n-1)=2n+1です。
  4. 元へ戻すとa_n=1/(2n+1)であり、a_10=1/21です。

誤りやすい点:1/(1+2a_n)を1+2/a_nのように分けることはできません。漸化式全体の逆数を取り、分子と分母の位置を正確に入れ替えます。

問3|重解をもつ三項間漸化式

難度:発展確認点:特性方程式と和

数列{a_n}をa_1=1、a_2=4、a_(n+2)=4a_(n+1)-4a_nで定める。一般項a_n、a_6、およびa_1からa_6までの和を求めよ。

問3「重解をもつ三項間漸化式」の解答・詳しい考え方を開く

答え:a_n=n・2^(n-1)、a_6=192、和は321

  1. 特性方程式r²-4r+4=0は(r-2)²=0となり、2を重解にもちます。
  2. 重解型の一般形をa_n=(A+B(n-1))2^(n-1)と置きます。a_1=1からA=1です。
  3. a_2=4を代入すると2(1+B)=4なのでB=1です。よってa_n=n・2^(n-1)です。
  4. a_6=6・2⁵=192。最初の6項は1、4、12、32、80、192なので、和は321です。

誤りやすい点:重解なのにa_n=A・2^(n-1)だけとすると初期条件を二つ満たせません。nに比例する項を加えた一般形が必要です。

問4|添字で割って差を一定にする

難度:発展確認点:正規化による等差化

数列{a_n}をa_1=2、a_(n+1)=((n+2)/n)a_n+(n+1)(n+2)で定める。一般項a_nとa_5を求めよ。

問4「添字で割って差を一定にする」の解答・詳しい考え方を開く

答え:a_n=n²(n+1)、a_5=150

  1. 係数(n+2)/nに合わせて、b_n=a_n/{n(n+1)}とおきます。
  2. 漸化式を(n+1)(n+2)で割ると、b_(n+1)=a_n/{n(n+1)}+1=b_n+1です。
  3. b_1=a_1/(1・2)=1なので、b_n=nです。
  4. a_n=n(n+1)b_nへ戻すとa_n=n²(n+1)。したがってa_5=25・6=150です。

誤りやすい点:割る式をn(n+1)ではなくnだけにすると係数が消えません。次の項の分母が(n+1)(n+2)になるよう、連続する二つの因子を選びます。

📝 この型が実際に出た入試問題(52問のうち24問を掲載)

「漸化式の全型」の型が実際の入試でどう出たかを、数強塾が全問解説を公開している年度から拾いました。各行の「解説を読む」から、その問題の解説へ直接移動できます。型を読んだあとに実出題で当てると、どこまで通用する判断なのかがはっきりします。

大学・年度 出題テーマ 難易度 解説
同志社大学 2025年度 〔Ⅱ〕【記述式】3項間漸化式を2項間にまとめる技と、最大項 解説を読む
同志社大学 2025年度 〔Ⅳ〕【記述式】分数漸化式が周期6になる数列—— を 一本にまとめる やや難 解説を読む
明治大学 2025年度 〔Ⅰ〕(2) 隣接3項間の積型漸化式 標準 解説を読む
明治大学 2025年度 〔Ⅲ〕 最短マッチングとフィボナッチ数列(記述式) やや難 解説を読む
関西大学 2025年度 〔Ⅱ〕【記述式】積型・和型の漸化式と、区間の共通部分 やや難 解説を読む
青山学院大学 2025年度 Sₙとaₙの関係式から作る漸化式と一般項 やや難 解説を読む
青山学院大学 2025年度 対数をとって解く累乗型の漸化式 標準 解説を読む
青山学院大学 2025年度 和が偶数となるT数列の個数 標準 解説を読む
立教大学 2023年度 積立預金の複利を漸化式と常用対数で追う 標準 解説を読む
立命館大学 2020年度 〔Ⅲ〕【記述式】積で定義された数列——分数漸化式が3項間漸化式に化ける 標準 解説を読む
立命館大学 2020年度 〔Ⅰ〕【空所補充】指数方程式・漸化式・データの分析 標準 解説を読む
東北大学 2019年度 積の形の漸化式と一般項 標準 解説を読む
京都大学 2009年度 ad-bc=1 の行列で定まる点列の長さ やや難 解説を読む
一橋大学 2007年度 つの数列で作る放物線と 軸との交点 やや難 解説を読む
京都大学 2007年度 非同次漸化式を解いて数列が収束する条件 やや難 解説を読む
京都大学 2002年度 文系 数列の和の関係式から一般項 標準 解説を読む
東京大学 1995年度 タイル敷き詰めの総数と3項間漸化式 標準 解説を読む
東邦大学(数学) 2021年度 第7問(数列:分数型漸化式と部分分数分解) 解説を読む
関西大学 2021年度 3乗根で結ばれた漸化式(数W問〔I〕) 解説を読む
関西大学 2021年度 漸化式と桁数の評価(数C問〔I〕) 解説を読む
久留米大学(数学) 2020年度 第4問 3項間漸化式 解説を読む
久留米大学(数学) 2019年度 第4問 数列(Σと漸化式) 解説を読む
信州大学 2019年度 三角関数|3項間漸化式と 解説を読む
名古屋大学 2019年度 回転を表す連立漸化式 解説を読む

難易度は数強塾の見立てです(「—」は難易度を掲載していない年度)。大学別の年度一覧と出題傾向は過去問解説の総索引から、この型の全体像は解法パターン事典のハブから確認できます。

漸化式を「解く」だけでなく「使う」問題は、難関大数学 第11章「数列」の入試実戦編で東京大・一橋大の出題を使って練習できます。

要点辞典この単元の公式・定石・つまずきやすい所は 数学II・B・Cの要点辞典:数列 にまとめてあります。

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