理系の志望校を決めるとき、多くの人がまず偏差値の一覧表を開きます。ところが表を眺めているうちに、候補が30校まで増えたまま動けなくなる、という状態になりがちです。偏差値だけでは、その大学が自分にとって「受けられる大学」なのかどうかが分からないからです。
必要なのは、順位表を眺め続けることではなく、判断の軸を分けて、1つずつ答えを出していくことです。学科をどうするか。通える範囲をどこまでにするか。国公立と私立のどちらを主戦場にするか。そして、自分の得意科目が何点に化ける入試を選ぶか。この4つが決まると、30校の表は自然に3〜6校に絞られます。
このページは、数強塾が公開している理系の志望校選びの記事を、その4つの軸に沿って並べ直した入口です。個別の偏差値や配点は各記事に載せてあります。ここでは、それらの数字をどう読むかだけを扱います。最後に、配点の読み方を身につけるための確認問題を4問(数強塾オリジナル)用意しました。
偏差値の一覧だけで決めると、出願の直前で行き詰まる
偏差値は「大学の順位」ではなく、学科と日程を指定した予想難易度
模試の偏差値表に並んでいるのは、大学名ではありません。「◯◯大学・工学部・情報工学科・前期日程」という募集単位ごとの数字です。同じ大学の中でも、学科が違えば5.0以上離れることがありますし、前期と後期でも変わります。ですから「A大学よりB大学のほうが上」という読み方は、そもそも表が答えていない問いです。
この前提を押さえたうえで全体像をつかむなら、理工系大学の偏差値は上がった?2027年度の比較方法と数学受験戦略から読むのが早いです。数字が動いたのか、比べ方が変わったのかを切り分けています。
同じ偏差値帯に、必要科目がまったく違う候補が並ぶ
偏差値55前後の枠に、共通テスト5教科7科目が必要な国公立と、3科目で受けられる私立と、数学と理科の2科目だけで受けられる方式が同居しています。この3つは、必要な勉強量が倍以上違います。偏差値が同じでも、受験生から見ればまったく別の入試です。
科目の負担から先に考えたい場合は、数学+理科の2科目で受験できる大学2027や数学1科目で受験できる大学一覧2027を先に見ておくと、候補の性格が整理できます。
数えるべきは「行けそうな大学」ではなく「実際に出願できる大学」
候補6校を挙げても、国公立の一般選抜で前期に出せるのは1校です。中期・後期を足しても3回。私立を併願するとしても、日程が重なれば受けられません。志望校選びの終着点は「憧れの一覧」ではなく、出願票に書ける組み合わせです。
国公立で回数を増やす手段としては、中期日程を持つ公立大学が使えます。対象校は多くないので、早い段階で知っておくと計画が立てやすくなります(公立大学の中期日程で狙える工学・情報系2027)。
理系の志望校を絞る4つの軸
第1軸:学科――工学部の中でも、学ぶ内容と入試数学の重さが違う
「工学部に行きたい」は、まだ志望が決まっていない状態に近いです。機械、電気電子・通信、情報、応用化学・材料、土木・都市、建築では、大学で扱う対象も、就職の行き先も、入試で問われる数学の重さも違います。学科を先に決めると、地域や設置区分の判断がぐっと楽になります。
学科別の比較は次の記事にまとめてあります。
工学部そのものが今どういう状況にあるのかは、工学部は人気上昇・難化している?で扱っています。志望動機を固める前に、学部の人気が動いているのかどうかは知っておいて損がありません。
第2軸:地域――通える範囲を決めると、候補は総入れ替えになる
自宅から通うのか、下宿を許してもらえるのかは、学力よりも先に決まっている条件であることが多いです。そして地域を限定すると、候補は入れ替わります。全国ランキングの上位校が消える代わりに、その地域では十分に評価されている大学が浮かび上がります。
地域別の記事は、関東や東海のように地方ごとに公開しています。公開済みの地域は、このページ下部の索引に「地域から選ぶ」としてまとめて並びます。
第3軸:国公立か私立か――科目数の差がそのまま勉強量の差になる
国公立を第一志望にするなら、共通テストで5教科7科目前後を仕上げる必要があります。私立理工系は3科目が主流です。この差は、高2の冬にどちらを主戦場にするかを決めておかないと、どちらつかずのまま高3を迎えることになります。
国公立の全体像は国公立大学工学部の偏差値ランキング2027、私立は2027年度 私立理工系大学の偏差値ランキングが入口です。私立には四工大、全国の工業大学、国公立には電農名繊といった大学群のくくりもあり、群単位で見ると比較が速く進みます。
第4軸:科目と配点――得意科目を「点数」に変換する
ここが、最後まで見落とされやすい軸です。同じ実力でも、配点が違えば総得点は変わります。数学が得意なら数学の配点が高い入試を選ぶ、英語が伸びていないなら英語の比重が低い方式を探す、という判断は、学力を上げるのと同じくらい合否に効きます。
配点から探すなら、次の記事が入口になります。
偏差値が届いていない段階でも、配点と倍率から出願先を組み立てる方法はあります。穴場の国公立理系大学2027、実質倍率2倍未満の国公立工学部、共通テスト55〜60%で検討できる国公立工学部、偏差値が低めの国公立理系大学一覧を用意しています。
配点の読み方を、計算で確かめる(確認問題4問)
第4軸の「配点を読む」は、言葉で理解するより一度計算したほうが早く身につきます。数強塾で作成した確認問題を4問置きます。以下の配点はすべて計算練習のための架空の設定です。実際の大学の配点は、必ず各大学の募集要項で確認してください。
問1 圧縮後の点数を出す
共通テスト900点満点を200点に圧縮し、二次試験300点、合計500点で判定するA大学がある。共通テストで81%、二次で60%を取ったとき、総得点は何点で、得点率は何%か。
答え 共通テストは 900×0.81=729点。これを200点に圧縮すると 729÷900×200=162点。二次は 300×0.60=180点。合計 342点/500点=68.4%。
共通テストで81%取っても、総得点への寄与は162点にとどまります。圧縮という言葉の意味が、数字で見えるはずです。
問2 1%伸ばすなら、どちらが効くか
問1と同じA大学で、共通テストの得点率を1ポイント上げた場合と、二次の得点率を1ポイント上げた場合では、総得点はそれぞれ何点増えるか。
答え 共通テスト1ポイントは 900×0.01=9点だが、圧縮後は 9÷900×200=2点。二次1ポイントは 300×0.01=3点。二次のほうが1.5倍効く。
この1.5という数字は、圧縮後の満点の比 300÷200 と一致します。つまり「どちらを伸ばすと効くか」は、圧縮後の満点を比べるだけで判断できます。素点の満点で比べると逆の結論になってしまうので注意してください。
問3 同じ実力で、配点だけが違う2校を比べる
共通テスト450点・二次450点で判定するA大学と、共通テスト900点・二次300点で判定するB大学がある。共通テストの得点率70%、二次の得点率50%の受験生は、それぞれ総得点率が何%になるか。
答え A大学は (450×0.70+450×0.50)÷900=540÷900=60.0%。B大学は (900×0.70+300×0.50)÷1200=780÷1200=65.0%。差は5.0ポイント。
同じ受験生、同じ実力で、配点が違うだけで5ポイント動きます。共通テストのほうが得意な人にとっては、B大学のような配点が味方になります。逆に二次で伸びるタイプなら、A大学のほうが有利です。
問4 数学は総得点の何割を占めるか
共通テスト900点を100点に圧縮(うち数学は素点200点分)、二次は数学150点を含む400点、合計500点で判定するC大学がある。この入試で、数学が総得点に占める割合は何%か。
答え 共通テストの数学は素点で200点、圧縮後は 200÷900×100=約22.2点。二次数学は150点。合わせて約172.2点。総得点500点に対して 約34.4%。
共通テストで数学に2科目を費やしても、この入試では総得点の22点分にしかなりません。一方、二次数学1科目が150点です。「どの試験の数学か」で価値がまったく違うことが、この計算から分かります。志望校が決まったら、まず自分の得意科目が総得点の何%を占めるのかを出しておいてください。
学年と時期で、読む順番を変える
高1・高2――学科と科目を決める時期
この時期は、偏差値表よりも学科の中身を見てください。第1軸の学科別記事を2〜3本読んで、どの分野の話が面白いと感じるかを確かめるのが先です。並行して、国公立を狙うなら理科2科目と社会をいつ始めるかを決めておきます。
高3の春〜夏――候補を絞り、数学の到達点を決める時期
学科と地域が決まったら、地域別・設置区分別の記事で候補を6校程度まで落とします。同時に、二次試験で数学が何点必要かを問4の要領で計算しておくと、夏の演習量が決まります。数学III・Cが必要かどうかは学科と方式で変わるので、必ず募集要項で確認してください。
高3の秋〜出願――配点で組み替える時期
共通テスト模試の結果が出たら、第4軸に戻ります。素点では届いていなくても、配点の相性で総得点率が変わることは珍しくありません。問3のように、同じ実力で2校を計算し直すと、出願先の優先順位が入れ替わることがあります。
理系の志望校選び2027|記事の索引
下の一覧は、公開済みの記事をそのまま並べたものです。新しい記事が増えれば自動的に反映されます。
全40本。気になる切り口から読んでください。
まず全体像から
国公立の全体像
- 偏差値が低めの国公立理系大学一覧2027共テ得点率と数学配点
- 国公立大学工学部の偏差値ランキング2027工学系20募集単位を比較
地域から選ぶ
- 中国・四国地方の国公立工学部ランキング2027偏差値・共通テスト・数学配点
- 北海道・東北の国公立理工系大学ランキング2027偏差値・数学配点・地域で比較
- 甲信越・北陸の国公立工学部ランキング2027偏差値・共通テスト得点率・数学配点で比較
- 関西の国公立・私立理工系大学ランキング2027偏差値・入試科目・数学難易度
- 茨城・宇都宮・群馬・山梨大学を比較関東の穴場国立工学部
- 関東の国公立理工系大学ランキング2027東京以外の選択肢・数学配点も比較
- 九州・沖縄の国公立工学部ランキング2027偏差値・入試科目・数学配点
- 東海地方の国公立・私立工学部ランキング2027偏差値・就職・数学入試を比較
学科から選ぶ
- 応用化学・材料工学科の偏差値ランキング2027入試科目と学びを比較
- 建築学科の偏差値ランキング2027数学IIIが必要な大学・入試科目も比較
- 土木・都市工学科の偏差値ランキング2027資格・就職先・数学配点も比較
- 電気電子・通信工学科の偏差値ランキング2027数学配点・研究分野も比較
- 情報学部・データサイエンス学部の偏差値ランキング2027数学科目・配点も比較
- 数学科・数理科学科の偏差値ランキング2027教員・IT・大学院進学も比較
- 機械工学科・航空宇宙工学科の偏差値ランキング2027入試数学と学びも比較
私立・大学群から選ぶ
- 電農名繊を比較2027偏差値・共テ得点率・二次数学・就職
- 四工大を徹底比較2027偏差値・数学難易度・就職・入試方式
- 全国「工業大学」ランキング202712校を偏差値・数学配点・就職で比較
- 2027年度 私立理工系大学の偏差値ランキング数学III・英語・入試方式も比較
条件から選ぶ(穴場・倍率・共通テストの得点)
- 穴場の国公立理系大学2027倍率・配点・募集人数から選んだ候補
- 共通テスト55〜60%で検討できる国公立工学部2027配点と二次数学で比較
- 実質倍率2倍未満の国公立工学部3年中央値と2027数学対策
- 公立大学の中期日程で狙える工学・情報系2027主要3大学を比較
科目と配点から選ぶ
- 数学1科目で受験できる大学一覧2027一般・推薦・総合型別
- 数学+理科の2科目で受験できる大学2027私立理工系を比較
- 英語偏差値40・数学偏差値60ならどの大学?2027年の志望校と得点計画
- 数学の配点が高い私立大学20274大学11方式を比較
- 数学の配点が高い国公立大学ランキング2027二次数学で逆転できる大学
- 数学の配点が高い国公立大学2027共テ・二次合算で6方式を比較
- 英語なしで受験できる大学は?2027年度の方式を数学重視で比較
そのほか
数学の勉強そのものを進めたい場合
志望校が決まったあとは、必要な数学を積み上げる作業になります。数強塾では単元別の解説や過去問解説を公開しています。
- 大学入試 過去問解説――大学・年度別の全問解説
- 数学III・C 入試実戦ハブ――理系で避けて通れない数III・Cの入口
- 学習総合案内――教科別の学習マップ
よくある質問
偏差値がまだ足りません。志望校を下げるべきですか。
下げる前に、配点で組み替えられないかを確かめてください。問3のように、同じ実力でも配点が違えば総得点率は5ポイント前後動きます。共通テストの比重が高い入試か、二次の比重が高い入試かで、自分に向いた候補は変わります。倍率の低い募集単位を探す方法もあります。
学科がまだ決まりません。先に大学名で決めてもいいですか。
おすすめしません。同じ大学でも学科によって偏差値も必要科目も違うため、大学名で決めると結局あとから学科を選び直すことになります。学科別の記事を2〜3本読み、扱う対象が面白いと感じたほうを仮に決めて、あとから変えるほうが早く進みます。
国公立と私立、どちらを主戦場にすべきですか。
共通テストで5教科7科目前後を仕上げる時間が取れるかどうかで決まります。高2の冬までに決めておくと、理科2科目と社会の開始時期を逆算できます。どちらつかずのまま高3を迎えると、科目数の多いほうに引きずられて全体が薄くなります。
数学III・Cは必ず必要ですか。
学科と方式によります。理工系の一般選抜では必要になることが多い一方、数学I・A・II・B・Cまでで受けられる方式もあります。志望校の募集要項で出題範囲を確認してください。範囲の指定は年度で変わることがあるため、最新のものを見る必要があります。
この索引の記事は、どこの数値を使っていますか。
各記事の本文に、参照した資料と確認日を明記しています。数値の出どころと対象範囲(一般選抜のみか、推薦・総合型を含むか)は記事ごとに異なるため、比較するときは同じ記事の中で比べてください。
制作:数強塾(編集部)/監修:藤原進之介(数強塾代表。東進ハイスクール・東進衛星予備校・代々木ゼミナールなど出講実績あり)。本ページの確認問題4問は数強塾オリジナルで、設問中の配点はすべて計算練習のための架空の設定です。実際の配点・出題範囲は各大学の募集要項をご確認ください。

