数学単元ガイド / 解法テクニック

一次不定方程式 ax+by=c|互除法で解を「作る」整数問題の第4の道具【数学A】

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整数問題の3つの方針——積の形にする・余りで分類する・不等式で絞る——は、いずれも候補を減らすための道具でした。ところが整数問題には、もう1つ、性格のまったく違う道具があります。

それが一次不定方程式 です。この方程式だけは、候補を絞るのではなく、解を作ります。しかも「解があるかどうか」も、「解が全部でどう並ぶか」も、完全に分かってしまう。整数問題のなかで唯一、完全に解決している型です。

この記事の位置づけ

整数問題シリーズの第4の道具にあたります。3つの方針は 総論① 積の形② 余りで分類③ 不等式で絞る をご覧ください。

1.「絞る」と「作る」の違い

3つの方針(絞る) 一次不定方程式(作る)
やること 候補を有限にして、1つずつ調べる 解を1つ作り、そこから全部を並べる
解の個数 ふつう有限個 解があるなら必ず無限個
存在の判定 調べてみないと分からない 計算だけで分かる(後述)
使う道具 約数・剰余・不等式 ユークリッドの互除法

「解が無限個ある」というのは、3つの方針では起きなかったことです。 の整数解は8組でしたが、 の整数解は無限にあります。だからこの型では、目標が変わります。全部を列挙するのではなく、「全部を表す式」を書くのがゴールです。

2.解があるかどうかは、計算で分かる

解の存在条件

でない整数、 とする。

が整数解をもつ   を割り切る

「なぜ」は片方向だけ簡単です。 がどちらも の倍数なら、 も必ず の倍数。だから の倍数でなければ、解はありません。(逆向き—— なら必ず解がある——は、次節の互除法が実際に解を作ってみせることで証明されます。)

方程式 判定
解あり
解あり
解なし
解なし

【最初にやること】いきなり解こうとせず、まず を計算して を割れるか見る。割れなければ「解なし」で終わりですし、割れるなら両辺を で割ってから始めると計算が軽くなります。 なら、まず に直します。

3.互除法で、解を1つ「作る」

の解を1つ作ります。ユークリッドの互除法を、割り算の式として書き残すのがコツです。

余りが になったので終わり。ここから逆にたどります(余りを主役にして、下から上へ代入する)。

つまり が1つの解です。

【検算】。成立します。

小さい数なら、互除法を使わず目で探しても構いません から 。よって も解です。答案では「 は解の1つである(代入して確認)」と書けば、見つけ方は問われません。

4.一般解 ―― 全部を1本の式で書く

一般解の公式

を1つの解とすると、すべての整数解は

ここで はすべての整数を動きます。

なぜこの形になるのか

がどちらも解なら、辺々引いて

両辺を で割ると 。ここで 互いに素なので、 を割り切ります。したがって と書けて、 も決まります。

【ここが要】「互いに素な2数のうち、片方が積を割るなら、もう片方の因子を割る」——この一言が全部を支えています。だから両辺を で割る手順が必須なのです。割らずに進めると、この論法が使えません。

なら なので

 ( は整数)

5.図で見る ―― 格子点は等間隔に並ぶ

直線 7x+5y=1 上の格子点直線 7x+5y=1 の上にある格子点は (-7,10)、(-2,3)、(3,-4)、(8,-11) のように、x が5増えるごとに y が7減る等間隔で並んでいる。xyO-8-44812-16-12-8-44812(-7, 10)(-2, 3)(3, -4)(8, -11)+5-77x + 5y = 1格子点は (5, -7) おきに等間隔

図1:直線 の上にある格子点。 増えるごとに 減るという、まったく同じ歩幅で並んでいます。一般解の は、この歩幅そのものです。

図から読み取れること

  • 解は無限個ある(直線が無限に伸びている)
  • 解は等間隔に並ぶ(歩幅は
  • だから1つ見つければ、あとは全部わかる

3つの方針が「候補という点をふるいにかける」作業だったのに対し、この型は「等間隔に並んだ点列を記述する」作業です。性格がまったく違うことが、図で分かります。

6.自然数解を求める ―― ここで不等式が戻ってくる

入試で問われるのは、たいてい「自然数解を求めよ」です。一般解を出したあと、範囲を絞ることになります。ここで ③ 不等式で絞る が合流します。

【例題】

を満たす自然数の組 をすべて求めよ。

を割るので解があります。先ほど でしたから、両辺を 倍して 。よって が1つの解で、一般解は

自然数条件 を課すと、

したがって の2通りだけ。

【答】

のとき のとき この2組

【検算】。全数探索でもこの2組だけでした。

のような大きな数が嫌なら、先に をずらして小さい解に取り替えても構いません。たとえば とすれば となり、これを新しい にできます。一般解の形は、どの解を出発点にしても同じ集合を表します。

7.【発展】表せない数の最大値(フロベニウスの硬貨問題)

円玉と 円玉だけで支払える金額を考えます。つまり 以上の整数)で表せる数です。

表せない正の整数
そのうち最大
以上 すべて表せる

フロベニウス数

が互いに素な 以上の整数のとき、)で表せない最大の整数は

なら 。上の表と一致します。

【入試での顔】この公式そのものを覚える必要はありませんが、「〇円玉と△円玉で支払えない最大の金額は?」という設定は難関大でときどき出ます。設定を見たら「一次不定方程式で、 に限定した話だ」と読み替えられれば十分です。

8.答案の書き方

【答案例(骨格): の自然数解】

であり だから、整数解は存在する。

を満たすので、1つの解である。

与式との差をとると 、すなわち は互いに素だから は整数)と書け、このとき

逆にこれらは与式を満たすから、整数解は は整数)。

自然数条件より かつ 、すなわち 。よって

したがって

答案で落としてはいけない3点

  • 1つの解は「代入して確かめた」と書く。見つけ方(互除法か、目で探したか)は問われません。
  • 「互いに素だから」を必ず書く。一般解の導出は、この一言が要です。
  • 逆の確認を書く。「逆にこれらは与式を満たす」で必要十分になります。

9.よくあるミス

1 で割らずに一般解を作る

をそのまま扱い、 としてしまう。正しくは で割った から 刻み幅が6倍ずれて、解を大量に取りこぼします。

2符号を逆にする

なら 片方は必ずマイナスです。図1で「 が増えると は減る」ことを一度見ておくと、間違えません。

3存在条件を確認しない

をいくら変形しても解は出ません。先に を見るだけで、無駄な時間がゼロになります。

4自然数と整数を読み違える

「整数解」なら はすべての整数、「自然数解」なら不等式で の範囲が出ます。設問の1語で答えの個数が有限にも無限にもなります。

10.練習問題

【練習1】

の整数解をすべて求めよ。

【練習2】

の整数解をすべて求めよ。

【練習3】

を満たす自然数の組 の個数を求めよ。

【答】

練習1  より解あり。両辺を で割って を満たす。 は互いに素だから、一般解は は整数)。検算:

練習2 。逆にたどると 。よって が1つの解で、一般解は 。検算:

練習3  より解あり。 を満たすので、一般解は 。自然数条件から より より 。よって 4個。(

11.まとめ

この記事の要点

  • 一次不定方程式は、整数問題のなかで唯一「解を作る」型。解があるなら必ず無限個。
  • 存在条件は 最初にこれを見る。割れるなら両辺を で割ってから始める。
  • 1つの解は互除法を逆にたどって作る(小さければ目で探してもよい)。
  • 一般解は 図で見れば、等間隔に並ぶ格子点
  • 自然数解を問われたら、不等式で の範囲を絞る(③との合流点)。

12.よくある質問

Q. 1つの解は、互除法で作らないといけませんか?

A. いいえ。代入して成り立つことを示せば、見つけ方は問われません。係数が小さければ目で探すほうが速いです。互除法が必要になるのは、係数が3桁になって目では見つからないときです。

Q. 合同式で解いてもよいですか?

A. できます。 なら 、すなわち から 。ここから が出て、同じ一般解になります。法を小さいほうの係数に取るのがコツです。

Q. 3文字の はどうなりますか?

A. 考え方は同じで、解の存在条件は です。ただし自由度が2つになるので、一般解にパラメータが2つ現れます。高校範囲では、まず2文字にまとめてから処理するのが現実的です。

Q. なぜこの型だけ「完全に解決している」のですか?

A. 一次だからです。次数が2に上がった途端、話は一気に難しくなります。たとえば (ペル方程式)にも無限に解がありますが、一般解の形は一次のようには書けません。 のような3次に至っては、 ごとに個別に調べるしかありません。一次が例外的にきれいなのだと思ってください。

13.関連ページ

この記事を書いた人

藤原 進之介(ふじわら しんのすけ)/オンライン数学専門塾「数強塾」代表

中高一貫校生を中心に、累計3,500名以上を指導。東進ハイスクール・東進衛星予備校・代々木ゼミナールなど出講実績あり。自身も高校時代は数学が苦手で2浪を経験し、「なぜそうするのか」から積み上げ直した経験を指導の原点にしている。数強塾グループでは学生アルバイトを採用せず、プロ講師のみで完全1対1のオンライン指導を行っている。

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「互除法を逆にたどる」が自力でできますか

一次不定方程式は、手順を知っていれば必ず解ける代わりに、手順のどこか一箇所を落とすと全部ずれます。数強塾では、答案を1行ずつ見て、どこで論理が飛んだかをプロ講師が完全1対1で指摘します。

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