芝中学校 算数の傾向と対策【数強塾オリジナル】
芝中学校(東京都港区)は、浄土宗の教えを背景にした「遵法自治」を重んじる、歴史ある男子中高一貫校です。都心にありながら落ち着いた校風で人気が高く、毎年多くの受験生が第1回・第2回の入試に挑みます。本ページでは、学校が公式に公開している入試情報の範囲で算数の傾向を整理したうえで、オンライン数学専門塾「数強塾」が作成したオリジナルの自作類題を、方針・解答・二重検算つきで掲載します。実在の過去問を引き写すことはせず、傾向をふまえた完全オリジナル問題で対策します。
公式情報でわかる入試のかたち
芝中学校の2026年度募集要項(公式)によると、中学入試は第1回(2月1日)と第2回(2月4日)の2回行われ、いずれも受験科目は国語・算数・社会・理科の4科目です。2026年3月に小学校卒業見込みの男子が対象です。
算数の試験時間・配点は、公式の試験時間割で50分・100点満点と案内されています(第2時限 9:40〜10:30。国語も50分・100点、社会・理科は各40分・75点)。4科目のなかで算数は国語と並ぶ大きな配点を占めており、算数の出来が合否に直結しやすい入試といえます。
※本ページは公開情報にもとづく傾向分析と、数強塾オリジナルの自作類題による対策です。実際の問題文・図は学校公式サイトでご確認ください。
出題分野の傾向
ここでは特定年度の問題を引き写すことはせず、公開情報から知られる一般的な傾向を、数強塾の言葉で整理します(断定は避け、あくまで傾向としてお読みください)。
- 大問構成:前半に計算問題や一行問題(小問集合)、後半に応用的な文章題・図形題を置く構成が一般的だといわれます。前半の基礎問題を一つも落とさないことが、合格点の土台になります。
- 標準〜やや発展をていねいに:極端な難問奇問よりも、受験算数の標準からやや発展レベルの問題を、正確に・ていねいに処理する力が問われる傾向がみられます。式や図をきちんとかき、途中の考え方を積み上げて確実に得点する姿勢が向いています。
- 幅広い分野からバランスよく:計算・数の性質のほか、割合と比、濃度、速さ、平面図形・立体図形、規則性、場合の数など、主要分野からまんべんなく出題される傾向があります。特定の1分野に偏らず、苦手をつくらないことが大切です。
- 思考力・処理力の両立:長めの設定を読み取って条件を整理する問題も見られるといわれます。50分という試験時間のなかで、読み取り・立式・計算・見直しをバランスよく回す「時間の使い方」も、合否を分ける要素になります。
※以下の類題は、上記の傾向をふまえて数強塾が独自に作成したオリジナル問題です。実在の過去問の複製や数値替えではありません。全問、正攻法の解答に加えて、独立した別の方法による二重検算で答えの一致を確認しています。
オリジナル類題で対策
類題1(濃度・食塩水)
【問題】(オリジナル) 容器Aには8%の食塩水が200g、容器Bには3%の食塩水が300g入っています。
(1) AとBを全部混ぜ合わせると、濃度は何%になりますか。
(2) (1)で混ぜた食塩水から水を何g蒸発させると、濃度が10%になりますか。
(3) (1)で混ぜた食塩水(もとにもどして考えます)に水を何g加えると、濃度が4%になりますか。
【方針】 食塩水の問題では、「ふくまれる食塩の重さ」を先に求めて固定するのが急所です。水を蒸発させても加えても、食塩の重さは変わりません。だから「食塩の重さ ÷ 目標の濃度 = そのときの全体の重さ」で、全体の重さを逆算できます。
【解答】 (1) 食塩の重さは、Aが \( 200\times0.08=16 \) g、Bが \( 300\times0.03=9 \) g。合計 \( 16+9=25 \) g。全体は \( 200+300=500 \) g なので、濃度は \( 25\div500=0.05 \)、すなわち5%。
(2) 食塩25gはそのままで、全体を10%にしたいので、そのときの全体は \( 25\div0.10=250 \) g。もとは500gだから、蒸発させる水は \( 500-250=250 \)。よって250g。
(3) 食塩25gはそのままで、全体を4%にしたいので、そのときの全体は \( 25\div0.04=625 \) g。もとは500gだから、加える水は \( 625-500=125 \)。よって125g。
【検算(別解)】 (1)を「てんびん法」で確かめます。8%と3%を、重さ200g:300g=2:3で混ぜるので、混合後の濃度は3%の側から \( (8-3)\times\dfrac{2}{2+3}=5\times\dfrac{2}{5}=2 \) だけ上がり、\( 3+2=5 \)% となって一致します。(2)(3)は、食塩の重さが変わらないことを利用して「濃度×全体=食塩」で確かめます。10%×250g=25g、4%×625g=25g となり、どちらももとの食塩25gにぴったり一致しました。
類題2(速さ・池のまわりの旅人算)
【問題】(オリジナル) 1周1200mの池のまわりを、兄は分速90m、弟は分速60mで進みます。2人は同じ地点から同時に出発します。
(1) 2人が同じ向きに進むとき、兄が弟にはじめて追いつく(ちょうど1周の差をつける)のは、出発してから何分後ですか。
(2) 2人が反対の向きに進むとき、はじめて出会うのは何分後ですか。
(3) (2)と同じ反対向きで、2回目に出会うのは何分後ですか。
【方針】 同じ向きに進む「追いつき」では速さの差、反対向きに進む「出会い」では速さの和を使うのが基本です。追いつきは差の分だけ2人の間がちぢみ(1周分=1200mちぢめば追いつく)、出会いは和の分だけ間がちぢみます(1周分=1200m進むごとに1回出会う)。
【解答】 (1) 速さの差は \( 90-60=30 \)(分速30m)。1周分の1200mの差をつければ追いつくので \( 1200\div30=40 \)。よって40分後。
(2) 速さの和は \( 90+60=150 \)(分速150m)。2人合わせて1周分の1200m進むとはじめて出会うので \( 1200\div150=8 \)。よって8分後。
(3) 反対向きでは、出会うたびに2人の進んだ道のりの合計が1200mずつ増えます。2回目は合計2400mのときなので \( 2400\div150=16 \)。よって16分後。
【検算(別解)】 実際の進んだ道のりで確かめます。(1) 40分後、兄は \( 90\times40=3600 \) m(=3周)、弟は \( 60\times40=2400 \) m(=2周)進み、差はちょうど1周(1200m)。同じ地点に並ぶので追いつきと一致します。(2) 8分後、兄720m+弟480m=1200mで、ちょうど池1周分。出発点をはさんで反対から進んだ2人が出会います。(3) 16分後は合計 \( 90\times16+60\times16=1440+960=2400 \) m=2周分で、2回目の出会いと一致しました。
類題3(数の性質・あまりと個数)
【問題】(オリジナル) 1から100までの整数について考えます。
(1) 3でも5でもわり切れない整数は何個ありますか。
(2) 3でわると2あまり、5でわると3あまる整数のうち、2けたでもっとも小さいものを求めなさい。
(3) (2)と同じ「3でわると2あまり、5でわると3あまる」整数のうち、100以下のものは何個ありますか。
【方針】 (1)は「全体からわり切れるものを取り除く」ベン図の考え方(ふくむ・のぞくの数え上げ)を使います。(2)(3)は、2つのあまりの条件を同時に満たす数が3と5の最小公倍数15おきに現れることを利用します。まず条件に合う最小の数を1つ見つければ、あとは15ずつ足していけば全部そろいます。
【解答】 (1) 1〜100で、3の倍数は \( 100\div3=33 \) あまり1 より33個、5の倍数は \( 100\div5=20 \) 個、15の倍数(3でも5でもわり切れる数)は \( 100\div15=6 \) あまり10 より6個。3か5でわり切れる数は \( 33+20-6=47 \) 個。よって、どちらでもわり切れない数は \( 100-47=53 \)。53個。
(2) 「3でわると2あまる数」は2、5、8、11、…、「5でわると3あまる数」は3、8、13、…。共通する最小の数は8ですが、これは1けた。次は \( 8+15=23 \)。よって2けたで最小は23。
(3) 条件に合う数は8から15おきに、8、23、38、53、68、83、98。100以下はこの7個。よって7個。
【検算(別解)】 (1)を反対から数えます。3の倍数だけ(15の倍数を除く)は \( 33-6=27 \) 個、5の倍数だけは \( 20-6=14 \) 個、両方の倍数は6個。これらの合計は \( 27+14+6=47 \) 個で、100から引くと53個。先の答えと一致します。(3)は個数の式でも確認でき、8から98まで15おきなので \( (98-8)\div15+1=90\div15+1=7 \) 個。(2)の23は \( 23\div3=7 \) あまり2、\( 23\div5=4 \) あまり3 で条件をどちらも満たすことも確かめられました。
類題4(平面図形・面積の分割)
【問題】(オリジナル) 1辺が12cmの正方形ABCDがあります。頂点は左上から時計回りにA、B、C、Dの順とします。辺BC上に \( BE=8 \) cmとなる点E、辺CD上に \( CF=3 \) cmとなる点Fをとります。
(1) 三角形ABEの面積を求めなさい。
(2) 三角形ECFの面積を求めなさい。
(3) 三角形AEFの面積を求めなさい。
【方針】 (3)の三角形AEFは、辺がななめで直接は求めにくい図形です。こういうときは、正方形全体から、まわりの3つの直角三角形を引くのが定石です。正方形の面積から、三角形ABE・三角形ECF・三角形ADF(頂点A、D、Fでできる直角三角形)の3つを引けば、真ん中に残る三角形AEFが求められます。
【解答】 (1) 三角形ABEは、底辺 \( AB=12 \) cm、高さが \( BE=8 \) cm の直角三角形なので、面積は \( 12\times8\div2=48 \)。48cm²。
(2) EはBC上でBE=8だから \( EC=12-8=4 \) cm。三角形ECFは、直角をはさむ2辺が \( EC=4 \) cm、\( CF=3 \) cm なので、面積は \( 4\times3\div2=6 \)。6cm²。
(3) FはCD上でCF=3だから \( FD=12-3=9 \) cm。三角形ADFは、直角をはさむ2辺が \( AD=12 \) cm、\( FD=9 \) cm なので \( 12\times9\div2=54 \) cm²。正方形の面積は \( 12\times12=144 \) cm²。よって三角形AEFは \( 144-48-6-54=36 \)。36cm²。
【検算(別解)】 引いた3つの三角形の面積を合計すると \( 48+6+54=108 \) cm²。正方形144cm²との差は \( 144-108=36 \) cm² で、(3)と一致します。さらに、正方形をたてよこの目もりで考えると、A・E・Fの位置は「Aは左上のかど、EはBから8cm下、FはCから3cm左」。この3点で囲まれる三角形の面積を、大きな長方形からまわりの直角三角形を引く方法で計算しても36cm²となり、もれ・重なりのない分け方であることが確かめられます。
学習アドバイス
【時期別の進め方】
- 6年生の夏まで:割合と比・濃度・速さ・平面図形・数の性質など、全分野の典型問題を穴なく仕上げることが最優先です。芝の算数のように標準〜やや発展を正確に問う入試ほど、苦手分野を1つ残すだけで大きな失点につながります。計算力もこの時期にしっかり固めましょう。
- 秋(9〜11月):標準〜やや発展レベルの問題を、時間を計って解く練習を増やします。本ページの類題のように「食塩の重さを先に固定する」「追いつきは差・出会いは和」「あまりの条件は最小公倍数おきに現れる」「複雑な図形は全体から直角三角形を引く」といった考え方の型を、確実に使えるようにしていきましょう。過去問演習は、学校配布資料や公式に公開された情報を活用してください。
- 直前期(12月〜1月):50分の時間配分の練習が中心です。前半の計算・小問集合を速く正確に固めて確実に得点し、後半の応用問題に時間を残す——この解く順番と時間の使い方を、本番と同じ形式でくり返し練習しましょう。答えを出したら必ず見直し・検算をする習慣を、最後まで大切にしてください。
【分野別のポイント】
- 割合と比・濃度:濃度は「食塩の重さ」を軸に考え、水の増減で食塩が変わらないことを利用(類題1)。てんびん法も使えると検算に役立ちます。
- 速さ:追いつき・出会いは「差の速さ・和の速さ」を線分図とセットで整理(類題2)。出した答えで2人の動きを再現して確かめる姿勢を大切に。
- 数の性質:あまりの条件は最小公倍数おきに規則的に現れることをおさえる(類題3)。数え上げは「ふくむ・のぞく」を図にして整理しましょう。
- 図形:ななめの三角形は「全体から直角三角形を引く」発想を(類題4)。図に長さの目もりを書き込み、もれ・重なりを防ぎましょう。
芝中学校の算数は、特別な難問対策よりも、標準〜やや発展を取りこぼさない正確さと幅広い分野をまんべんなく仕上げることが合格への近道だと考えられます。日々の学習で、式・図・検算をていねいに積み重ねていきましょう。
【補講】\(36\) は正方形のちょうど \(\dfrac14\) — ただし、それは偶然です
類題4の答え \(36\) cm² は、正方形 \(144\) cm² のちょうど \(\dfrac14\) です。きれいな数が出ると「そういう法則がある」と思いたくなりますが、この \(\dfrac14\) は \(BE=8\)、\(CF=3\) というこの問題だけの事情です。いっぽうで、この図にはどんな数でも必ず成り立つこともかくれています。その \(2\) つを分けます。
① F を動かすと、面積は一直線に増える
\(BE=8\) cm のまま、F だけを C から D のほうへ動かします。記事と同じ「正方形から \(3\) つの直角三角形を引く」やり方で計算した表です。
| \(CF\) | 三角形ECF | 三角形ADF | 三角形AEF |
|---|---|---|---|
| \(0\) cm(F は C) | \(0\) | \(72\) | \(24\) |
| \(1\) cm | \(2\) | \(66\) | \(28\) |
| \(2\) cm | \(4\) | \(60\) | \(32\) |
| \(3\) cm | \(6\) | \(54\) | \(\mathbf{36}\) |
| \(6\) cm | \(12\) | \(36\) | \(48\) |
| \(12\) cm(F は D) | \(24\) | \(0\) | \(72\) |
三角形ABE は \(48\) cm² で固定です。\(CF\) が \(1\) cm 増えるごとに、三角形AEF は \(4\) cm² ずつ増えます。\(24,\ 28,\ 32,\ 36,\ \ldots\) と、きれいに \(4\) とび。だから \(\dfrac14\)(\(36\) cm²)になるのは \(CF=3\) cm のときだけで、\(CF=2\) なら \(32\)、\(CF=4\) なら \(40\) です。
「ちょうど \(\dfrac14\)」に意味を求めても、何も出てきません。意味があるのは、そのとなりにある「\(1\) cm あたり \(4\) cm²」のほうです。答えがきれいな数になったら、「数値を \(1\) つずらしても同じことが言えるか」を一度だけ確かめてください。それだけで、偶然と必然が分かれます。
② なぜ「一直線に」増えるのか
三角形AEF の底辺を AE と決めます。A も E も動かないので、底辺の長さは変わりません。すると面積を決めるのは、F から直線AE までの高さだけになります(なぜ三角形の面積は底辺×高さ÷2なのか)。
F は辺CD というまっすぐな道の上を動きます。まっすぐな道の上を同じはばずつ進めば、直線AE から離れる分も同じはばずつ。だから高さが一定の割合で増え、面積も一定の割合で増えます(なぜ点と直線の距離の公式はあの形になるのか、なぜ一次関数のグラフは直線になるのか)。
「\(1\) cm あたり \(4\) cm²」の \(4\) の正体は \(BE \div 2 = 8 \div 2 = 4\) です。
確かめ:\(BE=6\) cm にすると、増え方は \(6 \div 2 = 3\)。実際 \(CF\) が \(0,1,2,3\) のとき面積は \(36,\ 39,\ 42,\ 45\) と \(3\) とびになります。
逆に、F を止めて E を動かすとどうなるか。\(CF=3\) のまま \(BE\) を \(0,1,2,\ldots\) と増やすと、面積は \(72,\ 67.5,\ 63,\ 58.5,\ \ldots\) と \(4.5\) ずつ減ります。この \(4.5\) は \(FD \div 2 = 9 \div 2\)。動かす点が変わると、変わり方の数も入れかわります(なぜ比例のグラフは原点を通るのか)。
③ こちらは「必ず」成り立つ — F を D に置くと、いつでも半分
①の表のいちばん下、\(CF=12\) cm(F が D と重なる)のとき、面積は \(72\) cm²。正方形のちょうど半分です。そしてこれは、E がどこにあっても変わりません。
F が D のとき、三角形AEF は三角形AED です。
底辺を AD(左の辺、\(12\) cm)とすると、高さは E から辺AD までの距離。E は右の辺BC 上にあるので、この距離はいつでも \(12\) cmです。
よって \(12 \times 12 \div 2 = 72\)。\(BE\) が \(2\) でも \(8\) でも \(11\) でも \(72\) cm²。
E が上下に動いても、辺AD からの距離は変わりません。底辺と高さがどちらも変わらないので、面積も変わらない——これが等積変形です(なぜ平行四辺形の面積は底辺×高さなのか)。
①の \(\dfrac14\) は偶然、③の \(\dfrac12\) は必然。見た目はどちらも「きれいな分数」ですが、中身がまったくちがいます。見分け方は \(1\) つ。数値を変えても残るかどうかです。①は \(CF\) を \(1\) 変えると崩れ、③は \(BE\) をどう変えても崩れません。
④ 文字にすると、①〜③が \(1\) つの式から出る
正方形の \(1\) 辺を \(a\)、\(BE\) を \(p\)、\(CF\) を \(q\) とします。記事と同じ引き算をそのまま文字でやります。
三角形ABE \(= \dfrac{a \times p}{2}\)、三角形ECF \(= \dfrac{(a-p) \times q}{2}\)、三角形ADF \(= \dfrac{a \times (a-q)}{2}\)
三角形AEF \(= a^2 – \dfrac{ap}{2} – \dfrac{(a-p)q}{2} – \dfrac{a(a-q)}{2} = \dfrac{a^2 – ap + pq}{2}\)
\(a=12,\ p=8,\ q=3\) を入れると \(\dfrac{144-96+24}{2} = \dfrac{72}{2} = 36\)。記事の答えと一致します。
この式 \(1\) つで、①〜③がすべて説明できます。
| 見たいこと | 式のどこを見るか | 結果 |
|---|---|---|
| \(q\) を \(1\) 増やすと | \(pq\) の項だけ動く | \(\dfrac{p}{2}\) ずつ増える(\(=4\)) |
| \(p\) を \(1\) 増やすと | \(-ap+pq\) が動く | \(\dfrac{a-q}{2}\) ずつ減る(\(=4.5\)) |
| \(q=a\)(F が D) | \(-ap+pa\) が消える | \(\dfrac{a^2}{2}\)。\(p\) が残らない |
いちばん下の行が③の正体です。\(p\) の項どうしが打ち消し合って、式から \(p\) が消えます。だから E の位置によらない。「消えるから関係ない」というのが、文字で書いたときの言い方です(なぜ文字を使うと「いつでも成り立つ」ことを証明できるのか、なぜ因数分解は「面積を辺の積に戻す」操作なのか)。
⑤ 記事の検算を、本当に独立なものにする
記事の【検算】は、\(48+6+54 = 108\) を出して \(144-108 = 36\) としました。ですがこれは解答でやった引き算を、順番を変えて書いただけです。\(3\) つの三角形のどれかをまちがえていたら、検算も同じだけずれます。
そこで当塾では、引くのではなく足す道すじで確かめました。対角線 AE ではなく BF で分けます。
| 三角形 | 底辺 | 高さ | 面積 |
|---|---|---|---|
| ABF | \(AB=12\) | F から辺AB までの \(12\) | \(72\) |
| BEF | \(BE=8\) | F から辺BC までの \(3\) | \(12\) |
| 四角形ABEF | — | — | \(84\) |
四角形ABEF は、対角線 AE で三角形ABE と三角形AEF に分かれます。よって三角形AEF \(= 84 – 48 = \mathbf{36}\) cm²。正方形の面積も、三角形ECF も、三角形ADF も一度も使っていないのに、同じ答えになりました。これなら本当の検算です(なぜ(a+b)(a-b)=a²-b²なのか)。
数強塾オリジナル類題(4問)
すべて当塾で作成し、記事と同じ引き算と、⑤の BF で分ける足し算の両方で照合してあります。図は類題4と同じ、\(1\) 辺 \(12\) cm の正方形ABCD(A が左上、時計回り)。E は辺BC 上、F は辺CD 上です。
類題1 F を \(3\) cm 進める
\(BE=8\) cm、\(CF=6\) cm のとき、(1) 三角形ECF (2) 三角形ADF (3) 三角形AEF の面積を求めなさい。(4) それは正方形の何分のいくつですか。
答え
(1) \(EC=4\) なので \(4 \times 6 \div 2 = \mathbf{12}\) cm²。(2) \(FD=6\) なので \(12 \times 6 \div 2 = \mathbf{36}\) cm²。(3) \(144-48-12-36 = \mathbf{48}\) cm²。(4) \(48 \div 144 = \dfrac13\) で \(\dfrac13\)。
足し算でも確かめます。三角形ABF は \(12 \times 12 \div 2 = 72\)、三角形BEF は \(8 \times 6 \div 2 = 24\) で、四角形ABEF は \(96\)。ここから三角形ABE の \(48\) を引いて \(48\) cm²。一致します。①の \(24+4 \times 6 = 48\) とも合っています。\(CF\) を \(3\) から \(6\) にしたら、\(\dfrac14\) が \(\dfrac13\) になりました。きれいな分数はいくらでも作れます。
類題2 面積から位置を求める
\(BE=8\) cm のまま、三角形AEF の面積を \(60\) cm² にしたい。(1) \(CF\) を何 cm にすればよいですか。(2) 面積を \(80\) cm² にすることはできますか。
答え
(1) \(CF=0\) のとき \(24\) cm²、\(1\) cm 増えるごとに \(4\) cm² 増えるので、\((60-24) \div 4 = 9\)。\(9\) cm。(2) できません。F は D より先へは行けないので、\(CF\) の上限は \(12\) cm。そのときの面積 \(72\) cm² が最大です。
(1)を引き算で確かめます。\(CF=9\) なら \(EC=4\) で三角形ECF は \(4 \times 9 \div 2 = 18\)、\(FD=3\) で三角形ADF は \(12 \times 3 \div 2 = 18\)。\(144-48-18-18 = 60\) cm² で一致します。足し算でも、三角形BEF が \(8 \times 9 \div 2 = 36\) で四角形ABEF は \(108\)、\(108-48 = 60\)。(2)は「式が解けても図として成り立つか」を見る問題です。\((80-24) \div 4 = 14\) と計算はできますが、\(14\) cm の辺はありません。
類題3 E も動かす
\(BE=6\) cm、\(CF=3\) cm のとき、(1) 三角形AEF の面積を求めなさい。(2) この \(BE=6\) のまま \(CF\) を \(1\) cm 増やすと、面積は何 cm² 増えますか。
答え
(1) 三角形ABE は \(12 \times 6 \div 2 = 36\)、\(EC=6\) で三角形ECF は \(6 \times 3 \div 2 = 9\)、\(FD=9\) で三角形ADF は \(12 \times 9 \div 2 = 54\)。\(144-36-9-54 = \mathbf{45}\) cm²。(2) \(BE \div 2 = 6 \div 2 = \mathbf{3}\) cm² です。
足し算でも確かめます。三角形ABF は \(72\)、三角形BEF は \(6 \times 3 \div 2 = 9\) で四角形ABEF は \(81\)。\(81-36 = 45\) cm² で一致します。(2)は実際に \(CF=4\) で計算すると \(144-36-12-48 = 48\) となり、\(45\) から \(3\) 増えました。「\(1\) cm あたり \(4\) cm²」は \(BE=8\) のときだけの数です。
類題4 E をどこに置いても変わらない場所
F を D の位置(\(CF=12\) cm)に固定します。(1) \(BE=2\) cm (2) \(BE=5\) cm (3) \(BE=11\) cm のとき、それぞれ三角形AEF の面積を求めなさい。(4) 気づいたことを書きなさい。
答え
F が D なので、三角形AEF は三角形AED です。底辺 \(AD=12\) cm、高さは E から辺AD までの距離で、E は辺BC 上だからいつでも \(12\) cm。よって (1)(2)(3) いずれも \(12 \times 12 \div 2 = \mathbf{72}\) cm²。(4) \(BE\) を変えても面積は変わらず、正方形のちょうど半分になります。
引き算でも確かめます。\(BE=5\) なら三角形ABE は \(30\)、\(EC=7\) で三角形ECF は \(7 \times 12 \div 2 = 42\)、\(FD=0\) で三角形ADF は \(0\)。\(144-30-42-0 = 72\) cm²。\(BE=11\) なら \(66+6+0 = 72\) を引いて \(72\) cm²。どちらも \(72\) で一致します。E を上げると三角形ABE が増えますが、その分だけ三角形ECF が減る。増えた分と減った分がぴったり同じなので、残りが動きません。
\(4\) 問に共通するのは、「答えの数」ではなく「動かしたときの変わり方」を見ることです。\(1\) cm 動かして \(4\) cm² 増えるなら、それは偶然ではなく仕組み。\(1\) cm 動かしても変わらないなら、それは打ち消し合いが起きている。\(1\) つの答えを出したら、必ずとなりの値も \(1\) つ計算してみてください。偶然と必然は、そこで分かれます。
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