中学受験・算数

白百合学園中 算数の傾向と対策|数強塾

数強塾のプロ講師陣

今日の一問
次の問いに答えなさい。
 ある本を読むのに、1日目に全体の 1/4 を読み、2日目に残りの 2/5 を読んだところ、まだ 108 ページ残っていました。
(1) この本の全体のページ数は何ページですか。
(2) 2日目に読んだのは何ページですか。
——さて、どこから手をつける?
数強塾オリジナルの類題です。答えと考え方は、この記事の中で解説します。

白百合学園中学校 算数の傾向と対策【数強塾オリジナル】

オンライン数学専門塾 数強塾|プロ講師のみ・完全1対1指導・中高一貫校対応

白百合学園中学校(東京都千代田区九段北)は、フランスに源流をもつカトリック系の伝統女子校で、都内の女子難関校のひとつとして例年多くの受験生を集めます。算数の入試は、計算をひととおりこなせば通過できるというより、条件を整理し、方針を立て、限られた時間の中で応用問題を最後まで解き切る力を見るつくりが見られます。本記事では、白百合学園中学校の公式サイトで公開されている入試情報をもとに算数の傾向を慎重に整理したうえで、オンライン数学専門塾「数強塾」が独自に作成したオリジナル類題5問(相当算・速さ(旅人算)・場合の数・平面図形の面積比・数の性質)を、方針・解答・二重検算つきで掲載します。実在する過去問の複製や数値替えではなく、公開情報から読み取れる傾向をふまえた自作問題である点を、はじめにお断りしておきます。

白百合学園中 算数の傾向まとめ(公式公開情報にもとづく整理)

  • 配点:一般入試(4教科)の算数は100点満点であることが、公式サイトの「入試結果」ページで確認できます。国語・算数が各100点、理科・社会が各75点という構成が公開情報から読み取れます。
  • 試験時間:算数の試験時間は例年40分程度とされます(学校が公表している入試の枠組みにもとづく公開情報)。100点満点を40分で解くため、1問あたりにかけられる時間は短く、時間配分が得点を左右しやすいと考えられます。正確な時間・配点は、受験年度の募集要項で必ずご確認ください。
  • 難易度は年度で変動:公式に公開されている算数の受験者平均点は、たとえば直近の複数年度で60点台〜70点台後半と、年度によって大きく振れています。「取りやすい年」も「難しい年」もあり得ると考え、どの難易度でも崩れない基礎の安定感を養っておくことが大切です。
  • 大まかな構成:前半に小問(計算や一行問題)、後半に一つのテーマを深めていく大型問題という流れが、受験算数の標準的な出題として見られます。前半で取りこぼさず、後半の応用問題に時間と気力を残す試験運びが鍵になりそうです。
  • 頻出とされる分野:割合と比(相当算・倍数算・食塩水)、速さ(旅人算・通過算・時計算)、場合の数・調べ上げ、数の性質(約数・倍数・あまり)、規則性、平面図形(面積比・角度)、立体図形(体積・水そう)など、受験算数の主要分野がはば広く問われる傾向が見られます。

※本ページは公開情報にもとづく傾向分析と、数強塾オリジナルの自作類題による対策です。実際の問題文・図は学校公式サイトでご確認ください。募集要項・入試結果などの原本は白百合学園中学校の公式サイトで公開されています → 白百合学園中学高等学校 募集要項(公式)

出題分野の傾向

本記事は特定年度の問題文・図版の転載や解説ではなく、公式に公開されている入試情報から読み取れる一般的な傾向の整理です。断定を避け、慎重な表現で特徴をまとめます。以下の類題はすべて数強塾が独自に作成したオリジナル問題であり、実在の過去問の複製や数値替えではありません。

  • 計算力と一行問題は土台:前半の小問では、計算の工夫・逆算や、割合・速さの一行問題が問われる形が受験算数の標準として見られます。ここでの取りこぼしは後半に響くため、計算の精度と処理速度は最優先で仕上げたい力です。
  • 割合と比の文章題:相当算(全体の一部を手がかりに全体を求める)、倍数算・年令算、食塩水の濃度など、割合と比を軸にした文章題が中心的なテーマとして見られます。「全体を1とおく」「そろえて考える」という基本の型が武器になります。
  • 速さ:旅人算(出会い・追いつき)、池のまわりを回る問題、通過算、時計算など、速さの各テーマがはば広く出題される傾向です。図やダイヤグラムに置きかえて、場面ごとに整理する練習が得点力に直結します。
  • 場合の数・調べ上げ:数え上げや組み合わせを、もれなく・重複なく整理する力が問われることがあります。表や樹形図を使って規則的に数える姿勢が、正確さと速さの両立につながります。
  • 数の性質・規則性:約数・倍数・あまり、および数列や図形の規則性など、条件を満たす整数を筋道立てて絞り込むタイプの問題が見られます。「割り切れる数にそろえて考える」など、整数の性質を使いこなす練習が有効です。
  • 図形(平面・立体):面積比・角度を求める平面図形、体積や水そうの水位を追う立体図形が、後半の大型問題として深く問われることがあります。図の意味を日本語で言い直し、比や場合分けを使って整理する姿勢が突破口になります。

※以下の類題5問は、上記の傾向をふまえて数強塾が独自に作成したオリジナル問題です。東京の女子難関校の入試レベルを想定しています。全問、正攻法の解答に加えて、独立した別の方法による二重検算を行い、答えの一致を確認しています。

オリジナル類題で対策

類題1(割合と比・相当算)

【問題】 ある本を読むのに、1日目に全体の 1/4 を読み、2日目に残りの 2/5 を読んだところ、まだ 108 ページ残っていました。
(1) この本の全体のページ数は何ページですか。
(2) 2日目に読んだのは何ページですか。

【方針】 相当算は「全体を1とおき、割合のまま引き算していく」のが基本です。「残りの 2/5」というときの「残り」が全体の何分のいくつにあたるのかを、順番にそろえて計算します。最後に、割合と実際のページ数(108ページ)を対応させて全体を求めます。

【解答】 全体を1とおきます。1日目に 1/4 を読むので、残りは 1 − 1/4 = 3/4。
2日目は「残りの 2/5」を読むので、読んだ量は 3/4 × 2/5 = 6/20 = 3/10。
2日目が終わった時点での残りは 3/4 − 3/10 = 15/20 − 6/20 = 9/20。
(1) この 9/20 が 108 ページにあたるので、全体 = 108 ÷ 9/20 = 108 × 20/9 = 240ページ
(2) 2日目に読んだのは全体の 3/10 なので、240 × 3/10 = 72ページ

【✅検算】 実際のページ数を積み上げて確かめます。1日目 = 240 × 1/4 = 60ページ。1日目終了後の残りは 240 − 60 = 180ページ。2日目 = 180 × 2/5 = 72ページ((2)と一致)。2日目終了後の残りは 180 − 72 = 108ページとなり、問題の条件とぴったり一致します。合計も 60+72+108 = 240ページで(1)に一致します。

類題2(速さ・旅人算)

【問題】 1周 1800m の池のまわりを、姉と妹が同じ地点 P から反対方向に同時に出発します。姉は分速 100m、妹は分速 80m で歩きます。
(1) 2人が最初に出会うのは、出発してから何分後ですか。
(2) 2人が2回目に出会うのは何分後ですか。またそのとき、2人は P 地点から姉が進んだ向きに何 m の地点にいますか。

【方針】 反対方向に進む2人が出会うのは、2人の進んだ距離の合計がちょうど1周分(1800m)になったときです。合計の速さ(近づく速さ)は 100+80 の和で考えます。2回目は「合計が2周分」になったときなので、1回目の2倍の時間です。位置は、姉の進んだ距離を1周分で折り返して求めます。

【解答】 2人が近づく速さは 100+80 = 分速180m。
(1) 1周分1800mを2人で近づくのにかかる時間は 1800 ÷ 180 = 10分後
(2) 2回目は合計が2周分(3600m)になったときなので 3600 ÷ 180 = 20分後。よって20分後
このとき姉が進んだ距離は 100 × 20 = 2000m。1周1800mなので、1周まわって 2000 − 1800 = 200m 進んだ位置にいます。よって P 地点から姉が進んだ向きに200mの地点です。

【✅検算】 妹の位置から確かめます。妹は20分で 80 × 20 = 1600m 進み、姉と反対向きなので P から妹向きに1600mの地点です。これは姉向きに数えると 1800 − 1600 = 200m の地点にあたり、姉の位置(姉向き200m)と一致します。2人が同じ場所にいることが確認でき、2回目の出会いとして正しいとわかります。

類題3(場合の数・調べ上げ)

【問題】 10円玉、50円玉、100円玉をそれぞれ何枚でも使ってよいものとします(使わない硬貨があってもかまいません)。
(1) ちょうど 300 円を支払う方法は、全部で何通りありますか。
(2) そのうち、使う硬貨の枚数が最も少ないのは何枚のときですか。

【方針】 枚数を数える問題は、枚数の多い硬貨(100円玉)から場合分けして、順に調べ上げるのが確実です。100円玉の枚数を決めるごとに、残りの金額を50円玉と10円玉で作る通り数を数えます。もれ・重複が出ないよう、100円玉→50円玉の順で規則的に並べます。

【解答】 100円玉の枚数で場合分けします。
・100円玉 3枚(300円):残り0円。50円玉0枚(10円玉も0枚)の1通り。→ 1通り
・100円玉 2枚(200円):残り100円。50円玉は0・1・2枚(残りは10円玉)で 3通り
・100円玉 1枚(100円):残り200円。50円玉は0〜4枚で 5通り
・100円玉 0枚:残り300円。50円玉は0〜6枚で 7通り
(1) 合計 1+3+5+7 = 16通り
(2) 硬貨を最も少なく使うのは、100円玉だけで払う「100円玉3枚」のときで、3枚です。

【✅検算】 別の数え方で確かめます。作りたい金額は300円=(10円が30個ぶん)です。100円玉の枚数 a(0〜3)ごとに、50円玉 b と10円玉 c で残りを作ると、必要な式は 10a+5b+c = 30(10円単位で数えた式)。a を決めると b は 0 から(30−10a)÷5 まで動けて、c は自動的に決まります。b の選び方は a=0で7通り、a=1で5通り、a=2で3通り、a=3で1通りとなり、合計 7+5+3+1 = 16通りで(1)に一致します。枚数最少は明らかに100円玉3枚の3枚で(2)にも一致します。

類題4(平面図形・面積比)

【問題】 三角形 ABC の辺 AB 上に点 D を AD:DB = 2:1 となるようにとり、辺 AC 上に点 E を AE:EC = 3:2 となるようにとります。三角形 ABC の面積が 30cm² のとき、
(1) 三角形 ADE の面積は何 cm² ですか。
(2) 四角形 DBCE の面積は何 cm² ですか。

【方針】 頂点 A を共有する三角形どうしの面積比は、「はさむ2辺の比のかけ算」で求められます。三角形 ADE は、三角形 ABC と角 A を共有し、辺 AD・AE がそれぞれ AB・AC の一部になっているので、面積比は (AD÷AB)×(AE÷AC) で計算できます。四角形は、全体から三角形 ADE を引けば求まります。

【解答】 AD:DB = 2:1 より AD は AB の 2/3。AE:EC = 3:2 より AE は AC の 3/5。
三角形 ADE と三角形 ABC の面積比は 2/3 × 3/5 = 6/15 = 2/5。
(1) 三角形 ADE = 30 × 2/5 = 12cm²
(2) 四角形 DBCE = 三角形 ABC − 三角形 ADE = 30 − 12 = 18cm²

【✅検算】 具体的な形を当てはめて確かめます。A を直角の頂点として、AB = 6cm、AC = 10cm の直角三角形を考えると、面積は 1/2 × 6 × 10 = 30cm² で条件に合います。このとき AD = 6 × 2/3 = 4cm、AE = 10 × 3/5 = 6cm。三角形 ADE の面積は 1/2 × 4 × 6 = 12cm² で(1)に一致し、残りの四角形は 30 − 12 = 18cm² で(2)に一致します。

類題5(数の性質・約数とあまり)

【問題】 ある整数で 100 を割ると 4 あまり、150 を割ると 6 あまります。
(1) このような整数のうち、最も大きいものはいくつですか。
(2) このような整数を、すべて求めなさい。

【方針】 「割るとあまりが出る」問題は、あまりを引いて『割り切れる数』にそろえるのが定石です。100 を割って 4 あまるなら 100 − 4 = 96 が割り切れます。150 を割って 6 あまるなら 150 − 6 = 144 が割り切れます。求める整数は 96 と 144 の公約数であり、さらにあまりより大きい(あまり6が出るので7以上)という条件をつけて絞り込みます。

【解答】 100 − 4 = 96、150 − 6 = 144。求める整数はこの2つの公約数です。
96 = 2×2×2×2×2×3、144 = 2×2×2×2×3×3 なので、最大公約数は 2×2×2×2×3 = 48。
公約数は 48 の約数、すなわち 1・2・3・4・6・8・12・16・24・48 です。
このうち、あまり 6 が成り立つには割る数が 6 より大きくなければならないので、7 以上のものだけを選びます。
(1) 最も大きいものは 48
(2) 条件を満たすのは 8・12・16・24・48 の5個です。

【✅検算】 求めた数を1つずつ元の条件に入れて確かめます。8:100÷8=12あまり4、150÷8=18あまり6。12:100÷12=8あまり4、150÷12=12あまり6。16:100÷16=6あまり4、150÷16=9あまり6。24:100÷24=4あまり4、150÷24=6あまり6。48:100÷48=2あまり4、150÷48=3あまり6。5個すべてで「100はあまり4、150はあまり6」が成り立ち、6以下の約数(1〜6)はあまり6を出せないため除かれることも確認できます。

学習アドバイス

【時期別】

  • 6年生の夏まで:全分野の典型問題を穴なく仕上げることが最優先です。白百合学園の算数のように主要分野がはば広く問われるタイプでは、解法の抜けがそのまま失点につながります。計算練習は毎日、時間を計って行い、「速く・正確に」を体にしみこませましょう。とくに割合と比(相当算・倍数算・濃度)、速さ、場合の数、数の性質、図形は、どこから出ても対応できるよう、まんべんなく固めておきたい分野です。
  • 秋(9〜11月):40分という短い時間の中で、前半の小問を確実に取り、後半の応用問題にどれだけ時間を残せるか、という配分の練習が有効です。年度によって難易度が振れることをふまえ、「難しい年でも取れる問題を確実に拾う」「やさしい年ではミスをしない」という両面の意識を持っておきましょう。考え方の途中も整理して書く練習を並行しておくと、見直しや部分点にも役立ちます。
  • 直前期(12月〜1月):新しい教材に手を広げるより、使い慣れた問題集の反復で精度を上げる時期です。まちがえた問題は「知らなかった解法」なのか「単なる処理ミス」なのかを仕分けし、ミスはノートに原因を言葉で記録しましょう。本記事の【✅検算】のように、別のルートで答えを確かめる習慣を試験運びに組み込むと、本番での取りこぼしが減ります。実際の出題の雰囲気や最新の試験時間・配点は、必ず学校公式サイトの募集要項で確認してください。

【分野別】

  • 割合と比:相当算は「全体を1とおいて割合のまま引き算」(類題1)が基本です。倍数算・濃度も、そろえて考える型を反復しておきましょう。
  • 速さ:旅人算は「近づく速さ・離れる速さ」で距離を時間に直す(類題2)。池のまわり、通過算、時計算まで、図とダイヤグラムで整理する練習を重ねましょう。
  • 場合の数:多い方から場合分けして、もれなく・重複なく調べ上げる(類題3)のが安全です。表や樹形図で規則的に数える習慣をつけましょう。
  • 平面図形:頂点を共有する三角形は「はさむ2辺の比のかけ算」で面積比を出す(類題4)。全体から引く発想も合わせて身につけましょう。
  • 数の性質:あまりの問題は「あまりを引いて割り切れる数にそろえ、公約数を考える」(類題5)。約数・倍数・あまりの基本操作を、条件の絞り込みまで含めて練習しましょう。

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【補講】\(1+3+5+7 = 16\) — 支払い方の数が平方数になる理由

類題3で、\(300\) 円の払い方を \(1+3+5+7 = 16\) 通りと数えました。足した \(4\) つの数が小さいほうから並んだ奇数で、答えが \(16 = 4 \times 4\) という平方数になっています。これは偶然ではありません。理由が分かると、\(500\) 円でも \(900\) 円でも、数えずに通り数が言えます。

① なぜ通り数が「奇数」で並ぶのか

\(100\) 円玉を決めたあと、残りを \(50\) 円玉と \(10\) 円玉で作ります。ここで大事なのは、\(50\) 円玉の枚数さえ決まれば、\(10\) 円玉の枚数は自動で決まることです。だから数えるのは「\(50\) 円玉を何枚使えるか」だけになります。

\(100\) 円玉 残りの金額 \(50\) 円玉に使えるのは 通り数
\(3\) 枚 \(0\) 円 \(0\) 枚 \(1\)
\(2\) 枚 \(100\) 円 \(0\)〜\(2\) 枚 \(3\)
\(1\) 枚 \(200\) 円 \(0\)〜\(4\) 枚 \(5\)
\(0\) 枚 \(300\) 円 \(0\)〜\(6\) 枚 \(7\)

残りが \(100\) 円増えるごとに、\(50\) 円玉の上限が \(2\) 枚ずつ増えます。「\(0\) から数えて \(2\) とび」なので、通り数は \(1,\ 3,\ 5,\ 7\) と必ず奇数になり、\(2\) ずつ増えますなぜ等差数列の一般項はa+(n-1)dなのか)。

通り数が奇数になるのは、\(0\) 枚から数え始めるからです。\(50\) 円玉の上限は \(0,\ 2,\ 4,\ 6\) 枚と偶数で、そこに \(0\) 枚ぶんの \(1\) を足すので奇数になります。もし \(0\) 枚を忘れると、\(0+2+4+6 = 12\) 通りになってしまいます。正しい \(16\) 通りとの差 \(4\) は、\(4\) つの行それぞれで \(1\) 通りずつ落とした分です。場合の数で答えが少しだけ足りないときは、まずここを疑ってください。

② 奇数を小さいほうから足すと、必ず正方形になる

\(1,\ 3,\ 5,\ 7\) を順に足すと \(1,\ 4,\ 9,\ 16\)。どれも平方数です。理由は図で見えます。

\(1 \times 1\) の正方形に、外側から L 字に \(3\) 個をつけると \(2 \times 2\)。

さらに L 字に \(5\) 個をつけると \(3 \times 3\)。\(7\) 個をつけると \(4 \times 4\)。

L 字 \(1\) 本ぶんが、ちょうど次の奇数になっています。\((n+1) \times (n+1)\) と \(n \times n\) の差が \(2n+1\) だからです(なぜ(a+b)²=a²+2ab+b²なのか)。

くわしくはなぜ1+3+5+…+(2n-1)=n²なのか(正方形で理解する)にあります。つまり類題3の \(16\) は、\(4\) 段のL字を組んだ正方形の面積だったわけです(なぜ長方形の面積は縦×横なのか)。

③ \(100\) 円ごとの金額なら、数えずに言える

①の表は、金額が変わっても形が同じです。\(100 \times n\) 円なら、\(100\) 円玉は \(0\) 枚から \(n\) 枚までの \(n+1\) 通り。通り数は \(1,\ 3,\ 5,\ \ldots\) と \(n+1\) 個の奇数を足したものになります。

\(100 \times n\) 円の払い方は \((n+1) \times (n+1)\) 通り

\(300\) 円は \(n=3\) で \(4 \times 4 = 16\)。\(500\) 円は \(n=5\) で \(6 \times 6 = 36\)。\(900\) 円は \(n=9\) で \(10 \times 10 = 100\) 通りです。

当塾で \(300\) 円・\(500\) 円・\(900\) 円のすべての払い方を書き出して数えたところ、\(16\)・\(36\)・\(100\) 通りで式と一致しました。

数え上げの問題で「答えがきれいな数」になったら、そこで止まらないでください。\(16\) を \(4 \times 4\) と見た瞬間、\(300\) 円だけの答えが、すべての金額に効く \(1\) 本の式に変わります。入試では \(300\) 円が \(700\) 円に変わって出ます。

④ \(50\) 円だけ多いと、正方形が長方形になる

\(250\) 円ではどうなるでしょうか。同じ表を作ります。

\(100\) 円玉 残りの金額 \(50\) 円玉に使えるのは 通り数
\(2\) 枚 \(50\) 円 \(0\)〜\(1\) 枚 \(2\)
\(1\) 枚 \(150\) 円 \(0\)〜\(3\) 枚 \(4\)
\(0\) 枚 \(250\) 円 \(0\)〜\(5\) 枚 \(6\)

今度は \(2+4+6 = 12\) 通り。偶数が並びました。\(12 = 3 \times 4\) で、正方形ではなくとなり合う \(2\) 数の積です(なぜ等差数列の和は「最初と最後の平均×個数」なのか)。

金額 通り数
\(50\) 円 \(2\) \(1 \times 2\)
\(100\) 円 \(4\) \(2 \times 2\)
\(150\) 円 \(6\) \(2 \times 3\)
\(200\) 円 \(9\) \(3 \times 3\)
\(250\) 円 \(12\) \(3 \times 4\)
\(300\) 円 \(16\) \(4 \times 4\)
\(350\) 円 \(20\) \(4 \times 5\)
\(400\) 円 \(25\) \(5 \times 5\)

\(50\) 円きざみで、正方形と長方形が交互に出てきます。増え方は \(2,2,3,3,4,4,5\) と、同じ数が \(2\) 回ずつ(なぜ階差を取ると数列の次数が1つ下がるのか)。この表は \(400\) 円まで、すべて書き出して確かめてあります。

ここで大事なのは、「平方数になる」は金額しだいだったということです。\(300\) 円だからきれいだっただけで、\(250\) 円ではきれいになりません。\(1\) つの例で見つけた形を、確かめずに一般化しないでください。なお \(305\) 円のように \(10\) の倍数でない金額は、この \(3\) 種類の硬貨では \(0\) 通り(作れません)。

⑤ 記事の検算について

記事の【検算】は、\(10a+5b+c = 30\) という式を立てて \(7+5+3+1\) を出しました。ていねいな確認ですが、解答と同じ「\(100\) 円玉で場合分けする」やり方を、式で書き直したものです。場合分けのしかたを取りちがえていたら、両方とも同じだけずれます。

そこで当塾では、\(100\) 円玉・\(50\) 円玉・\(10\) 円玉の枚数をすべての組み合わせで動かし、合計がちょうど \(300\) 円になるものを数えました。\(16\) 通りで一致します。\(500\) 円(\(36\) 通り)、\(900\) 円(\(100\) 通り)でも同じように確かめました。

「別の解き方」と「同じ解き方の書き直し」は、見た目が似ています。式が出てくると別の方法に見えますが、場合分けの軸が同じなら同じ検算です。本当に独立させたいなら、軸を変えるか、全部書き出すかのどちらかにしてください。

数強塾オリジナル類題(4問)

すべて当塾で作成し、③の式と、硬貨の枚数をすべての組み合わせで動かして数える方法の両方で照合してあります。硬貨は \(10\) 円玉・\(50\) 円玉・\(100\) 円玉の \(3\) 種類、何枚使ってもかまいません。

類題1 \(500\) 円の払い方

(1) ちょうど \(500\) 円を払う方法は何通りですか。(2) 使う硬貨がいちばん少ないのは何枚のときですか。(3) \(100\) 円玉を \(2\) 枚使うと決めたとき、払い方は何通りですか。

答え

(1) \(500 = 100 \times 5\) なので \(n=5\)。\((5+1) \times (5+1) = \mathbf{36}\) 通り。(2) \(100\) 円玉だけで払う \(5\) 枚。(3) 残り \(300\) 円を \(50\) 円玉と \(10\) 円玉で作るので、\(50\) 円玉は \(0\)〜\(6\) 枚の \(7\) 通り

表で確かめます。\(100\) 円玉が \(5,4,3,2,1,0\) 枚のとき、通り数は \(1,\ 3,\ 5,\ 7,\ 9,\ 11\)。足すと \(1+3+5+7+9+11 = 36\) で、\(6\) 個の奇数の和 \(= 6 \times 6\) になっています。すべての払い方を書き出しても \(36\) 通りで一致しました。

類題2 \(50\) 円だけずらす

(1) ちょうど \(450\) 円を払う方法は何通りですか。(2) それは平方数ですか。(3) \(350\) 円・\(400\) 円・\(450\) 円・\(500\) 円の通り数を並べなさい。

答え

(1) \(100\) 円玉を \(4,\ 3,\ 2,\ 1,\ 0\) 枚とすると、残りは \(50,\ 150,\ 250,\ 350,\ 450\) 円。\(50\) 円玉に使えるのは順に \(0\)〜\(1\)、\(0\)〜\(3\)、\(0\)〜\(5\)、\(0\)〜\(7\)、\(0\)〜\(9\) 枚なので、\(2+4+6+8+10 = \mathbf{30}\) 通り。(2) 平方数ではありません。\(30 = 5 \times 6\) で、となり合う \(2\) 数の積です。(3) \(20,\ 25,\ 30,\ 36\)。

(3)を形で書き直すと \(4 \times 5,\ 5 \times 5,\ 5 \times 6,\ 6 \times 6\)。正方形と長方形が交互に出てきて、たての数が \(1\) つずつ上がっていきます。増え方も \(5,\ 5,\ 6\) と、同じ数が \(2\) 回ずつ続く形です。すべての払い方を書き出しても \(20,\ 25,\ 30,\ 36\) 通りで一致しました。\(450\) 円を \(4 \times 5 = 20\) と早とちりしないこと。\(100\) 円玉が \(0\) 枚の行まで数えると \(5\) 行あります。

類題3 通り数から金額を逆に求める

(1) 払い方がちょうど \(100\) 通りになる金額のうち、\(100\) 円の倍数であるものを求めなさい。(2) 払い方が \(49\) 通りになる金額はいくらですか。(3) 払い方が \(50\) 通りになる \(100\) 円の倍数はありますか。

答え

(1) \((n+1) \times (n+1) = 100\) より \(n+1 = 10\)、\(n = 9\)。\(900\) 円。(2) \((n+1)^2 = 49\) より \(n+1 = 7\)、\(n = 6\) で \(600\) 円。(3) ありません。\(50\) は平方数ではないので、\((n+1) \times (n+1) = 50\) となる整数 \(n\) がないからです(\(7^2 = 49\)、\(8^2 = 64\))。

(1)を書き出しで確かめます。\(900\) 円では \(100\) 円玉が \(9,8,\ldots,0\) 枚で通り数は \(1,3,5,\ldots,19\)。\(10\) 個の奇数の和なので \(10 \times 10 = 100\) 通り。実際にすべての払い方を数えても \(100\) 通りでした。「通り数 → 金額」と逆に読めるのは、③の式があるからです。

類題4 使う枚数のほうを調べる

\(300\) 円の \(16\) 通りについて、(1) 使う硬貨の枚数がいちばん多いのは何枚ですか。(2) ちょうど \(7\) 枚で払う方法はありますか。(3) ちょうど \(9\) 枚で払う方法はありますか。

答え

両替で考えます。最少は \(100\) 円玉 \(3\) 枚の \(3\) 枚。ここから \(100\) 円玉 \(1\) 枚を \(50\) 円玉 \(2\) 枚にすると枚数は \(+1\)\(50\) 円玉 \(1\) 枚を \(10\) 円玉 \(5\) 枚にすると \(+4\) です。

(1) 全部 \(10\) 円玉にしたときで \(300 \div 10 = \mathbf{30}\) 枚。(2) ありません。\(7 = 3+4\) なので \(+4\) を \(1\) 回だけ使うことになりますが、\(+4\) を使うには先に \(50\) 円玉が必要で、そのためには \(+1\) を使っているはずです。\(+1\) を \(1\) 回も使わずに \(+4\) はできません。(3) あります。\(9 = 3 + 1 \times 2 + 4\)。\(100\) 円玉 \(1\) 枚・\(50\) 円玉 \(3\) 枚・\(10\) 円玉 \(5\) 枚で \(100+150+50 = 300\) 円、枚数は \(1+3+5 = 9\) 枚です。

\(16\) 通りの枚数をすべて書き出すと \(3,\ 4,\ 5,\ 6,\ 8,\ 9,\ 10,\ 12,\ 13,\ 14,\ 17,\ 18,\ 21,\ 22,\ 26,\ 30\)。\(16\) 通りの枚数が \(1\) つも重なりません。たしかに \(7\) はなく、\(9\) はあります。枚数を聞かれたら「払い方を全部数える」のではなく、「最少から何をどれだけ両替したか」で考えると速いです(なぜ平方数を4で割った余りは0か1しかないのか)。

\(4\) 問に共通するのは、数え上げた結果を「かけ算の形」で見直すことです。\(16\) を \(4 \times 4\)、\(20\) を \(4 \times 5\) と見ると、金額を変えたときの答えが式で出て、逆に「\(100\) 通りになる金額は?」まで答えられます。数え終わったところが、考え始めるところですなぜ数列の和は「離散的な積分」と言えるのか)。

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