湘南白百合学園中学校 2025年度(4教科型)算数の傾向と解答・解説【数強塾オリジナル】
湘南白百合学園中 2025年度(4教科型)算数の傾向(公式公開PDFにもとづくまとめ)
- 形式:試験時間45分・100点満点。2025年度は大問5題で、大問1が計算・小問集合(5問)、大問2が規則性の文章題、大問3が速さとグラフ、大問4が平面図形(円)、大問5が空間図形(立方体の切断)という構成でした。学校が公表している「入試問題の傾向と対策」でも、計算・小問集合/文章題/グラフ/平面図形/空間図形という柱が示されており、2025年度もその型どおりの出題といえます。
- 特徴的な設問:解答用紙に方眼が印刷され、大問3(3)では姉妹2人分のグラフを自分でかく作図問題が出ています。また大問4(2)は「式を書いて求めなさい」と過程の記述を求めており、答えだけ合わせる学習では差がつきにくい設計です。2025=45×45を使う「西暦問題」も大問2に登場しました。
- 合否を分けやすい一問:大問3(4)です。あとから出発する兄の速さの「範囲」を答えさせる設問で、すれちがう場所の条件を不等式的にとらえる必要があり、上位校らしい思考力問題といえます。大問5(3)の切断後の体積も、切り口を正しく作図できたかどうかで大きく差がつく問題でしょう。
- 時間配分の考え方:45分に対して大問1・2をあわせて15分前後で切り上げ、大問3〜5に各8〜10分を残す配分が現実的と考えられます。作図や式の記述は部分点も見込めるため、白紙にしない姿勢が大切です。
- 注意:学校公式サイトでは問題PDFのみが公開されており、模範解答は公表されていません(2026年7月現在)。
問題の原本は湘南白百合学園中学校の公式サイトで公開されています → 湘南白百合学園中学校 過去問題(公式)
※以下の解説と解答例はオンライン数学専門塾「数強塾」による独自作成です(全問、受験算数の正攻法と別解による二重検算済み。学校公表の模範解答ではありません)。問題は湘南白百合学園中学校公式サイト掲載のPDFをご参照ください。
大問1(計算・小問集合) 答:(1) 10 (2) 3 (3) ア 31・イ 30 (4) 1.125% (5) 時速144km
小数・分数の計算、逆算、あまりが等しくなる整数、食塩の濃度、通過算の5問です。
(1) 計算のくふう:20.25から「22×0.25」と「1/4×19」を引く計算です。
【👀ここに注目】1/4=0.25 に気づけば、引く2つはどちらも「0.25×整数」。0.25×22+0.25×19=0.25×(22+19)=0.25×41=10.25 とまとめられます。20.25−10.25=10。分配法則を使わず左から計算しても 20.25−5.5−4.75=10 で同じ答えです。
(2) 逆算:1と3/5 から「4×(□−1/2)÷3 を 2と1/2 で割ったもの」を引くと 4/15 になるときの□です。
【📖大切な考え方】逆算は、式全体を「1と3/5−(かたまり)=4/15」とみて、外側から一枚ずつはがすのが定石です。
(かたまり)=8/5−4/15=24/15−4/15=20/15=4/3。
かたまり={4×(□−1/2)÷3}÷5/2 だから、4×(□−1/2)÷3=4/3×5/2=10/3。
4×(□−1/2)=10/3×3=10、□−1/2=10÷4=5/2。よって □=5/2+1/2=3。
(3) あまりが等しい整数:123・185・278 を同じ整数Aで割るとあまりがすべて等しくなる(割り切れない)設定です。
【👀ここに注目】あまりが同じなら、2つの数の「差」はAで割り切れます。185−123=62、278−185=93、278−123=155。62=2×31、93=3×31、155=5×31 なので3つの差の最大公約数は31。A=31 で、123÷31=3あまり30、185÷31=5あまり30、278÷31=8あまり30 となり、あまりは30です。
(4) 濃度:100g中に食塩12gをふくむ味噌15gを、熱湯145gに溶かした味噌汁の食塩の濃度です。
解答:味噌15gの中の食塩は 12×15/100=1.8g。味噌汁全体は 15+145=160g。濃度=1.8÷160×100=1.125%。「食塩の量は味噌の重さに比例する」と読みかえるだけの問題ですが、分母を熱湯145gにしてしまうミスが起こりやすいところです。
(5) 通過算:長さ130mの列車が長さ270mの鉄橋を、渡り始めから渡り終わりまで10秒で通過します。
解答:渡り始めから渡り終わりまでに先頭が進む道のりは 270+130=400m。秒速=400÷10=40m。時速=40×3600÷1000=時速144km。
【✅検算】(1)(2)は答えを式に代入して両辺一致を確認、(3)はA=2〜300の全探索でも条件を満たすのはA=31(あまり30)のみ、(4)(5)も数値計算で一致しました。
【💡ポイントコラム】「あまりが等しい→差が割り切れる」は、白百合系の学校が好む数の性質の定番です。差を作って最大公約数、まで手が自動で動くように練習しておきましょう。
大問2(規則性・数列) 答:(1) 49 (2) 45段目 (3) 12段目まで
1段目に「1」、2段目に「1 2 1」、3段目に「1 2 3 2 1」…と、段ごとに山型に数が並ぶ規則です。
【📖大切な考え方】n段目は「1からnまで増えてまた1まで減る」並びです。和は 1+2+…+n+…+2+1 で、これが n×n(平方数)になることは超頻出の知識です。理由も言えるようにしておきましょう。1+2+…+n と (n−1)+…+2+1 に分けると、前半は n(n+1)÷2、後半は (n−1)n÷2、たすと n×n になります。
解答:
(1) 7段目の和=7×7=49。実際に 1+2+3+4+5+6+7+6+5+4+3+2+1 をたしても49です。
(2) 和が2025になる段は、2025=45×45 より 45段目。
(3) 1段目からn段目までの総和は 1²+2²+…+n²(平方数の和)です。順にたしていくと、1、5、14、30、55、91、140、204、285、385、506、650…となり、650になるのは 12段目まで です。
【✅検算】プログラムで各段の並びを実際に作って合計したところ、7段目の和49、和が2025になるのは45段目、累計が650になるのは12段目まで、ですべて一致しました。公式 n(n+1)(2n+1)÷6 に n=12 を入れても 12×13×25÷6=650 です。
【💡ポイントコラム】2025=45×45=81×25 は2025年入試の主役でした。西暦の平方数・素因数分解(2025=3⁴×5²)は毎年、年が変わるたびに確認しておくと本番で迷いません。
大問3(速さとグラフ) 答:(1) ①80・②120・③660 (2) ア 6と3/4(6分45秒)・イ 420 (3) 作図 (4) 80と300
家から図書館まで960m。途中のA地点までは上り坂、その先は下り坂です。姉は自転車(下りは上りの2倍の速さ)、妹は徒歩(上りも下りも同じ速さ)で同時に出発し、グラフには「2人の間の道のり」が示されています。5分30秒の時点で2人の間は220mです。
【📖大切な考え方】「2人の間の道のり」のグラフは、折れ曲がる点=どちらかの速さが変わった瞬間です。5分30秒の折れ目は姉がA地点に着いた瞬間、頂点(時刻ア)は姉が図書館に着いた瞬間、グラフが0になる12分は妹が図書館に着いた瞬間、と読みかえてから計算を始めます。
解答:
(1) 妹は途中で速さが変わらないので、960mを12分で歩いたことになり、①=960÷12=分速80m。
出発から5分30秒=5.5分で差が220mなので、1分あたり 220÷5.5=40m ずつ差が開いた、つまり姉の上りの速さは 80+40=分速120m(②)。
A地点までの道のり③=120×5.5=660m。
(2) 下り坂は 960−660=300m。姉の下りの速さは 120×2=分速240m なので 300÷240=1.25分=1分15秒。姉の到着(=ア)は 5分30秒+1分15秒=6分45秒=6と3/4分。そのとき妹は 80×6.75=540m 地点にいるので、イ=960−540=420。
(3) 姉のグラフ:0分で0m→5分30秒で660m(分速120mの直線)→6分45秒で960m(傾きが2倍の直線)→以後12分まで960mの水平線。妹のグラフ:0分で0m→12分で960m を結ぶ1本の直線です。2本のグラフのたての差が、問題のグラフ(220m・420m)と一致することを確かめると安心です。
(4) 兄は4分30秒に図書館(960m地点)を出発し、一定の速さで家へ向かいます。
・姉と「A地点と図書館の間」ですれちがう条件:姉がA地点に着く5分30秒の時点で、兄がまだA地点(660m)より図書館側にいればよいので、兄が1分間に進む道のりは 960−660=300m 未満。
・妹と「家とA地点の間」ですれちがう条件:妹がA地点に着くのは 660÷80=8分15秒。それまでに兄がA地点を通過していればよいので、8分15秒−4分30秒=3分45秒=3.75分で300mより多く進む必要があり、300÷3.75=80 より分速80mより速い。
よって兄の速さは 分速80mと分速300mの間 と考えられます。
【✅検算】分速79・80・80.1・100・200・299.9・300・301mの各場合をコンピュータでシミュレーションし、条件(姉とはA〜図書館間、妹とは家〜A間ですれちがう)を満たすのは80より大きく300より小さい場合だけであることを確認しました。(1)(2)も、2人の位置を1秒きざみで追った差のグラフが「5.5分で220m・6.75分で420m・12分で0m」となり一致しています。
【💡ポイントコラム】「間の道のり」グラフは、折れ目ごとに『誰に何が起きたか』を文章で書きこんでから式を立てるのが鉄則です。2025年度のように範囲を問う設問では、境目の値(80と300)が「ちょうどA地点ですれちがう」場合にあたることを確認すると、不等号の向きを間違えません。
大問4(平面図形・円) 答:(1) 45度 (2) 10.26cm² (3) 30度 (4) 38.1cm²
半径6cmの円の周を12等分し、Aが真上、Cが真下(ACは直径)、BはAから左回りに3つ目、DはCのとなり(右回りに1つ目)の点です。直線AB・AC・AD・ODを引き、弦ABと弧で囲まれた部分ア、弦ADと弧で囲まれた部分イの面積などを求めます(円周率3.14)。
【📖大切な考え方】円周を12等分すると、となり合う点と中心を結んだ角は 360÷12=30度。円周上の点から見た角(円周角にあたる角)は、中心の角の半分になります。これは中2で習う定理ですが、二等辺三角形(半径どうし)の外角として小学生でも導けます。たとえば三角形OABはOA=OBの二等辺三角形なので、中心の角がわかれば残りの角も求められます。
解答:
(1) xは点Aから見た角BACです。弧BC(Aをふくまない側)は12等分の3つ分で、中心の角なら 30×3=90度。円周上のAから見るとその半分なので x=45度。
別の求め方:三角形OABで中心角AOB=90度、OA=OBより残りは (180−90)÷2=45度ずつ。角OACは0度(AC上)…とせず、三角形ABCで考えても、角ABC=(弧ACの半分)=90度、角ACB=(弧ABの半分)=45度、よって角BAC=180−90−45=45度と確かめられます。
(2) アは弦ABと弧ABで囲まれた部分です。おうぎ形OAB(中心角90度)から三角形OABを引きます。
式:6×6×3.14×90/360−6×6÷2=28.26−18=10.26cm²。三角形OABは、OAとOBが垂直な直角二等辺三角形なので 6×6÷2 で求められます。
(3) yは中心の角COD。CとDはとなりどうし(12等分の1つ分)なので y=360÷12=30度。
(4) イは弦ADと弧AD(右回り側)で囲まれた部分です。弧ADは12等分の5つ分なので、おうぎ形OADの中心角は 30×5=150度。ここから三角形OADを引きます。
三角形OADは、底辺を縦の半径OA(6cm)とみると、高さは「Dから直線ACまでの距離」。(3)の y=30度 を使うと、DからOCに垂線を下ろした三角形は30度・60度・90度の三角定規の形(正三角形の半分)なので、高さ=OD÷2=3cm。よって三角形OAD=6×3÷2=9cm²。
イ=6×6×3.14×150/360−9=47.1−9=38.1cm²。
【✅検算】座標で12等分点を置いて計算すると、角BAC=45.0度、角COD=30.0度。面積は乱数を多数打つ方法(モンテカルロ法)で、アにあたる部分が約10.27cm²、イにあたる部分が約38.15cm²となり、円周率を3.14とした計算値10.26・38.1と一致しました。
【💡ポイントコラム】円周12等分の図では「1目盛り=中心角30度」「円周上から見ると15度」が基本レートです。さらに『中心角150度の三角形の高さは、30度の三角定規(正三角形の半分)で半径の半分』という(3)→(4)の流れは、誘導形式の典型なので、設問の順番を利用する意識を持ちましょう。
大問5(空間図形・立方体の切断) 答:(1) ③(五角形) (2) 72cm³ (3) 600cm³
1辺12cmの立方体ABCD−EFGHで、辺ABのまん中をP、辺ADのまん中をQとし、3点P・Q・G(Cの真下の頂点)を通る平面で切断します。
【📖大切な考え方】切断面の作図は「①同じ面の上の2点は結んでよい ②平行な面につく切り口の線は平行になる ③面の上に2点がなければ、線を面まで延長して交点をつくる」の3原則です。この問題は③を使う典型で、直線QPを延長して立方体の外に補助の点をつくるのが決め手になります。
【👀ここに注目】上の面の切り口はPQ。次に、直線QPを延長すると、辺CBを延長した直線と点Xで交わります。上の面だけで考えると、三角形の形からBX=BP=6cm(PBXは直角二等辺三角形)。XとGはどちらも右の面(BCGFをふくむ面)の上にあるので、直線XGが引けて、これが辺BFと交わる点をRとすると切り口の辺PRとRGが決まります。
方針・解答:
(1) 右の面で三角形XBRと三角形XCGの相似を使うと、XB:XC=6:18=1:3 なので BR=CG×1/3=12×1/3=4cm。同じことを左側でも行うと、辺DH上に DS=4cm の点Sがとれます。切り口は P→R→G→S→Q を順に結んだ形になり、辺は5本。答:③ 五角形。
(2) 三角すいAPQEは、直角をはさむ AP=AQ=6cm の三角形APQ(面積 6×6÷2=18cm²)を底面、たての辺AE=12cmを高さとする三角すいです。体積=18×12÷3=72cm³。
(3) 点Cをふくむ側の立体は、頂点として上の面の五角形PBCDQ、下の頂点G、切り口上のR・Sを持ちます。頂点Gから見て3つのすい体に分けるのがきれいです。
・すい体1:底面=上の面の五角形PBCDQ。面積は正方形から三角形APQを引いて 144−18=126cm²。高さは立方体の高さ12cm。体積=126×12÷3=504cm³。
・すい体2:底面=手前の面の三角形PBR(PB=6cm、BR=4cm の直角三角形で面積12cm²)。高さはGから手前の面までの距離12cm。体積=12×12÷3=48cm³。
・すい体3:底面=左の面の三角形QDS(同じ形で面積12cm²)、高さ12cm。体積=48cm³。
合計 504+48+48=600cm³。
【✅検算】座標計算で切断面と12本の辺の交点を求めると、ちょうど5点(P、R、G、S、Q。RはBの4cm下、SはDの4cm下)となり五角形を確認。体積は、切断面の式を使った積分計算で600.0cm³、乱数100万点によるシミュレーションでも約599.8cm³となり、正攻法の600cm³と一致しました。反対側(Aをふくむ側)は 1728−600=1128cm³ です。
【💡ポイントコラム】切断後の体積は「大きなすい体から引く」だけが定石ではありません。この問題のように、切り口のどこか1点(ここではG)を頂点にして、立体の各面を底面とするすい体に分けると、高さがすべて立方体の1辺になって計算が一気に軽くなります。
2025年度(4教科型)から学ぶ教訓
今年のセットは、公式の予告どおり「計算小問→規則性→グラフ→平面→立体」の王道構成でした。そのうえで、グラフを自分でかかせる、式を書かせる、速さの「範囲」を答えさせるなど、理解の深さを確かめる仕掛けが各所に入っています。過去問演習では、答えを出して終わりにせず、「グラフの折れ目で何が起きたか」「切り口の点をどの原則で見つけたか」を自分の言葉で説明する練習が、湘南白百合対策として効果的と考えられます。
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本ページが扱う入試問題の著作権は 湘南白百合学園中学校 に帰属します。出典:湘南白百合学園中学校 2025年度 入学試験問題「算数」。
掲載しているのは、受験生の学習支援を目的として数強塾が独自に作成した解答・解説です。学校が公表した公式解答ではありません(一般的な解答例と照合した場合は本文中にその旨を明記しています)。問題文の引用は解法の説明に必要な最小限にとどめています。
掲載内容について権利者の方からご連絡がある場合は、お問い合わせより速やかに対応いたします。
数強塾オリジナル 類題4問——「答えが1つに決まらない問題」を練習する
この記事で私は、この学校の算数の特徴を2つ挙げました。ひとつは「解答用紙に方眼が印刷され、大問3(3)では姉妹2人分のグラフを自分でかく作図問題が出ています」。もうひとつは、合否を分けやすい一問として「あとから出発する兄の速さの『範囲』を答えさせる設問で、すれちがう場所の条件を不等式的にとらえる必要があり」。
この2つには共通点があります。どちらも「答えが1つの数に決まらない」——グラフは線として、範囲は幅として答える問題です。ところが読み返すと、その練習素材を置いていません。ここを埋めます。
下に4問置きます。すべて数強塾の完全オリジナル類題で、数値はこちらで検算しました。実際の入試問題ではありませんので、本番の問題は公式サイトのPDFでご確認ください。
受験算数のほとんどの問題は、答えが1つの数です。だから「線でかけ」「範囲で答えよ」と言われた瞬間に手が止まる——これは実力の問題ではなく、経験していないだけです。この4問は、その経験のためにあります。1問目と2問目は同じ設定で、読む側とかく側の両方をやります。
類題1 グラフを読む(速さ)
家から公園までは \(1800\ \mathrm{m}\) ある。兄は8時00分に家を出て、一定の速さで歩き、8時30分に公園に着いた。妹は8時10分に家を出て、一定の速さで走り、8時25分に公園に着いた。
(1) 兄と妹の速さは、それぞれ分速何 \(\mathrm{m}\) か。
(2) 妹が兄に追いつくのは、8時何分か。
この問題の型 2人の動きを、同じ時間の物差しの上にのせる。「8時00分から何分たったか」に統一します。
1つに決まらないときの書き方 (2) は1つに決まります。ここは普通の追いつき算です。
解答
(1) 兄は \(1800\ \mathrm{m}\) を \(30\) 分で歩いたので
\[ 1800 \div 30 = 60\ (\text{分速}\ 60\ \mathrm{m}) \]
妹は \(1800\ \mathrm{m}\) を \(25-10 = 15\) 分で走ったので
\[ 1800 \div 15 = 120\ (\text{分速}\ 120\ \mathrm{m}) \]
(2) 妹が出発する8時10分の時点で、兄は \(60 \times 10 = 600\ \mathrm{m}\) 進んでいます。
1分あたり \(120-60 = 60\ \mathrm{m}\) ずつ差が縮まるので
\[ 600 \div 60 = 10\ (\text{分}) \]
妹の出発から \(10\) 分後、つまり 8時20分。
検算
8時20分の位置を、2人ぶん計算します。兄は \(60 \times 20 = 1200\ \mathrm{m}\)、妹は \(120 \times 10 = 1200\ \mathrm{m}\) ○ 同じ場所にいます。
公園より手前かも確かめます。\(1200 \lt 1800\) ○ 追いつく前に公園に着いてしまった、ということはありません。
類題2 グラフをかく(同じ設定を、線にする)
類題1の兄と妹について、横軸を「8時00分からの時間(分)」、縦軸を「家からの道のり(\(\mathrm{m}\))」としたグラフをかく。
(1) 兄のグラフは、どの点とどの点を結んだ直線になるか。
(2) 妹のグラフは、どの点とどの点を結んだ直線になるか。
(3) 2本の直線が交わる点は、どこか。
この問題の型 「一定の速さ」=まっすぐな線。だから両端の2点さえ決まれば、線が1本に決まります。
1つに決まらないときの書き方 グラフは点で答えるのが確実です。「\((0,\ 0)\) と \((30,\ 1800)\) を結ぶ」と書けば、線は一意に決まります。
解答
(1) 兄は8時00分(\(0\) 分)に家(\(0\ \mathrm{m}\))を出て、\(30\) 分後に \(1800\ \mathrm{m}\) の公園に着きました。
\((0,\ 0)\) と \((30,\ 1800)\) を結んだ直線。
(2) 妹は \(10\) 分後に家を出て、\(25\) 分後に公園に着きました。
\((10,\ 0)\) と \((25,\ 1800)\) を結んだ直線。
(3) 類題1(2) より、8時20分に2人は同じ \(1200\ \mathrm{m}\) の地点にいます。
\((20,\ 1200)\)。
グラフをかく問題で、いちばん多い失敗は「妹の線を \((0,\ 0)\) から引いてしまう」ことです。妹は \(10\) 分後に出発しているので、それまでは家にいます。出発時刻が違う人は、スタートの点も違う——ここを押さえるだけで、作図の失点はほぼ消えます。方眼が印刷されているときは、まず2点を打ってから、定規で結ぶ。線を先に引かないことです。
確かめ(表で見る)
グラフをかいたら、いくつかの時刻で2人の位置を表にして、線の上に来ているかを見ます。
| 時刻(8時からの分) | 兄の位置 | 妹の位置 |
|---|---|---|
| 0分 | 0m | (まだ出発していない) |
| 10分 | 600m | 0m |
| 20分 | 1200m | 1200m |
| 25分 | 1500m | 1800m(到着) |
| 30分 | 1800m(到着) | — |
\(20\) 分のところで2人の値が同じ \(1200\ \mathrm{m}\) になっており、交点の位置と合っています ○
傾きでも。兄の線は \(30\) 分で \(1800\ \mathrm{m}\) 上がるので、1分あたり \(60\)。妹は \(15\) 分で \(1800\) なので1分あたり \(120\)。妹の線のほうが急——速いほうが急になっている ○
類題3 範囲で答える(速さ)
A地点とB地点は \(1200\ \mathrm{m}\) 離れている。妹はA地点を出発し、分速 \(60\ \mathrm{m}\) でB地点へ向かった。兄は妹より \(5\) 分おくれてA地点を出発し、一定の速さでB地点へ向かう。兄が、B地点に着く前に妹に追いつくためには、兄の速さは分速何 \(\mathrm{m}\) より速ければよいか。
この問題の型 「ちょうど間に合う速さ」を先に出して、そこから考える。範囲の問題は、まず境目を作ります。
1つに決まらないときの書き方 境目が「含まれるか、含まれないか」を必ず確かめます。ここでは「ちょうど」だとB地点で追いつくので、条件(着く前)を満たしません。
解答
妹がB地点に着くのは、出発から \(1200 \div 60 = 20\) 分後です。
兄は \(5\) 分おくれて出発するので、兄が使える時間は最大でも \(20-5 = 15\) 分。この \(15\) 分でB地点まで届く速さが、境目になります。
\[ 1200 \div 15 = 80\ (\text{分速}\ 80\ \mathrm{m}) \]
ここで、ちょうど分速 \(80\ \mathrm{m}\) の場合を確かめます。兄が出発する時点で妹は \(60 \times 5 = 300\ \mathrm{m}\) 先。差が縮まる速さは \(80-60 = 20\)。
\[ 300 \div 20 = 15\ (\text{分}) \]
兄はこのとき \(80 \times 15 = 1200\ \mathrm{m}\)、つまりちょうどB地点で追いつきます。「B地点に着く前」ではないので、これは条件を満たしません。
よって答えは 分速 \(80\ \mathrm{m}\) より速ければよい(分速 \(80\ \mathrm{m}\) は含まない)。
範囲の問題は「境目でどうなるか」がすべてです。問題文が「着く前に」と書いているのか「着くまでに」と書いているのかで、境目を含むかどうかが変わります。境目の値を実際に代入して、条件を満たすか満たさないかを確かめる——これを書けば、含む・含まないの判断も答案に残ります。
検算
範囲の中の値で試します。分速 \(90\ \mathrm{m}\) なら、差が縮まる速さは \(30\)。\(300 \div 30 = 10\) 分で追いつき、そのとき兄は \(90 \times 10 = 900\ \mathrm{m}\)。
\(900 \lt 1200\) なので、B地点の手前で追いついています ○
範囲の外でも。分速 \(70\ \mathrm{m}\) なら差が縮まる速さは \(10\)。\(300 \div 10 = 30\) 分かかりますが、兄は \(1200 \div 70 \fallingdotseq 17.1\) 分でB地点に着いてしまいます。追いつく前に終わってしまう ○
類題4 いくつかの数で答える(買い方)
1個 \(90\) 円のパンと1個 \(130\) 円のパンを、合わせて \(12\) 個買う。代金を \(1300\) 円以上 \(1500\) 円以下にしたい。\(130\) 円のパンは何個買えばよいか。考えられる個数をすべて答えよ。
この問題の型 全部安いほうにしてから、1個ずつ取りかえる。1個取りかえるごとに、代金が一定額ずつ増えます。
1つに決まらないときの書き方 両端の外側を1つずつ試して、それがだめだと書く。これで「これで全部」が示せます。
解答
全部 \(90\) 円のパンだとすると \(90 \times 12 = 1080\) 円。\(130\) 円のパンに1個取りかえるごとに、代金は \(130-90 = 40\) 円ずつ増えます。
\(130\) 円のパンを \(\square\) 個とすると
\[ \text{代金} = 1080+40 \times \square \]
これが \(1300\) 円以上 \(1500\) 円以下になればよいので
\[ 1300 \le 1080+40 \times \square \le 1500 \]
\[ 220 \le 40 \times \square \le 420 \]
\(220 \div 40 = 5.5\)、\(420 \div 40 = 10.5\) なので、\(\square\) は \(5.5\) 以上 \(10.5\) 以下の整数。
よって \(6\) 個、\(7\) 個、\(8\) 個、\(9\) 個、\(10\) 個 の5通り。
検算(表で、両端の外まで書く)
| 130円のパン | 90円のパン | 代金 | 条件(1300〜1500円) |
|---|---|---|---|
| 5個 | 7個 | 1280円 | × 安すぎる |
| 6個 | 6個 | 1320円 | ○ |
| 7個 | 5個 | 1360円 | ○ |
| 8個 | 4個 | 1400円 | ○ |
| 9個 | 3個 | 1440円 | ○ |
| 10個 | 2個 | 1480円 | ○ |
| 11個 | 1個 | 1520円 | × 高すぎる |
\(5\) 個では安すぎ、\(11\) 個では高すぎる。この2行を書いておけば、6〜10個で全部だと示せます ○
表に「×」の行まで書くのが要点です。○の行だけ並べた答案は、「その外側は調べたのか?」に答えていません。両端の外を1つずつ試して×だと書く——これは前の年度の類題で扱った「最小・最大を示す一行」と、まったく同じ考え方です。
4問の「答えの形」
| 答えの形 | 書き方 | 落とし穴 | |
|---|---|---|---|
| 類題1 | 1つの数 | 追いつく時刻 | — |
| 類題2 | 線 | 通る2点で答える | 出発時刻が違えば、スタートの点も違う |
| 類題3 | 範囲(幅) | 境目を出し、含むか含まないかを決める | 「ちょうど」がどうなるかを確かめる |
| 類題4 | いくつかの数 | 境目の外側も書いて、尽くしたと示す | 両端の外を1つずつ試す |
2列目を見てください。1つの数で答える問題は、4問のうち1問だけです。線・範囲・いくつかの数——受験算数の後半は、この3つが増えていきます。
グラフをかくときの手順(方眼つきの解答用紙で)
- 軸に単位と数字を書き込む。横軸が分なのか時刻なのか、縦軸が \(\mathrm{m}\) なのか \(\mathrm{km}\) なのかを先に決めます。
- 点を打つ。出発の点と到着の点。動きが変わる問題では、変わる瞬間の点も。
- 点を結ぶ。速さが一定なら直線、止まっているなら横に平行な線。
- 交点や折れ目の座標を、数字で書き添える。線だけだと読み取ってもらえません。
4番目が、部分点にいちばん効きます。線がわずかにずれていても、\((20,\ 1200)\) と書いてあれば、考え方は伝わります。この記事に書いたとおり「作図や式の記述は部分点も見込める」——線と数字の両方を残すのが、いちばん確実な書き方です。
この4問で確認したこと
- グラフは通る2点で答える。「一定の速さ」ならまっすぐな線になるので、2点で決まる(類題2)。
- 出発時刻が違えば、スタートの点も違う。遅れて出る人の線を原点から引かない(類題2)。
- 範囲の問題はまず境目を作り、そこで条件を満たすかを確かめる(類題3)。
- 「着く前に」なのか「着くまでに」なのかで、境目を含むかどうかが変わる(類題3)。
- 「すべて答えよ」は両端の外側も表に書く。×の行が「これで全部」の証明になる(類題4)。
- グラフをかいたら交点の座標を数字で書き添える。線だけでは伝わらない。
他の年度の傾向と解説、および学校別の一覧は 中学受験 算数 過去問の傾向と解説 学校別まとめ からご覧ください。類題つきの学校別記事としては 女子学院中学校 算数の傾向と対策【オリジナル類題つき】 もあります。合格ラインの実データは 24校の合格ラインは49.4〜78.0% にまとめました。
「なぜそうなるのか」は なぜ速さ=距離÷時間なのか(類題1・類題3)、なぜ傾きは「yの増加量÷xの増加量」なのか(類題2)に書いてあります。
このグラフの読み書きは、中学の一次関数にそのまま続きます。中1数学の要点辞典(第4章 比例と反比例)、中2数学の要点辞典(第3章 一次関数)、一次関数 全12型 をご覧ください。入学後の数学の設計は 湘南白百合学園の数学カリキュラムと対策、高1の課題については 高1の夏休み課題|2次関数の「置き換え型」 にまとめてあります。全体の入口は 数学の要点辞典まとめ です。

