数学II・B・Cの要点辞典|全12単元の公式・定石・つまずきポイントと例題60問


このページは、数学II・数学B・数学C の全12単元を1ページにまとめた要点辞典です。単元ごとに「使う道具(公式)」「定石(どんな形が来たら何を試すか)」「つまずきポイント」「例題」の4点をそろえてあります。

数学I・Aと比べて、この範囲は公式の数が一気に増えます。だからこそ、公式を並べるだけの一覧は役に立ちません。このページで足したのは、その公式を「いつ・なぜ使うのか」と、実際に点を落とす場所です。三角関数の合成で角の範囲を書き忘れる、対数で真数条件を落とす、微分の増減表で定義域外の値を書いてしまう、ベクトルの内積で「なす角」の向きを取り違える——そういう「知っていれば落とさないところ」を単元ごとに書き出しました。

このページの使い方

頭から通読する必要はありません。いま習っている単元、または直前の試験範囲だけを開いてください。目次から飛べます。

そして、読むだけで終わらせないでください。各単元の最後に例題を置いてあります。解答を見る前に、まず自分で5分だけ手を動かしてみてください。「どの道具を使う場面か」に気づけたかどうかが、その単元を使える状態になっているかの判定になります。

数学I・Aの辞典は別ページです 👉 数学I・Aの要点辞典(全9単元)
解き方の型そのものを分野を横断して整理したページもあります 👉 入試数学の定石(全27章)

免責と、このページの作り方について

このページは学習の助けとして書かれたまとめです。正確さを保証するものではありません。最終的な判断は、必ず教科書・学校の先生・信頼できる問題集で確認してください。このページを読んだことで生じた不利益について、数強塾は責任を負いません。

掲載している解説・図・および出典を明記していない例題は、すべて数強塾が新規に書き下ろしたものです。市販の参考書・問題集から解説や問題文を転載したものは含まれていません。大学入試で実際に出題された問題を扱う場合は、出題大学と年度を明記し、解答・解説は数強塾が独自に書いています。

目次

数学II

  1. 式と証明 ── 二項定理/分数式/等式・不等式の証明/相加平均・相乗平均
  2. 複素数と方程式 ── 複素数の計算/解と係数の関係/剰余定理・因数定理/高次方程式
  3. 図形と方程式 ── 点と直線/円/軌跡/領域と最大最小
  4. 三角関数 ── 一般角と弧度法/加法定理/合成/三角方程式・不等式
  5. 指数関数・対数関数 ── 指数法則/対数の性質/底の変換/桁数と最高位
  6. 微分法(数学II) ── 微分係数と導関数/接線/増減と極値/方程式・不等式への応用
  7. 積分法(数学II) ── 不定積分・定積分/面積/6分の1公式/絶対値つき積分

数学B

  1. 数列 ── 等差・等比/シグマ計算/階差と部分分数/漸化式/数学的帰納法
  2. 統計的な推測 ── 確率変数と期待値・分散/二項分布/正規分布/区間推定・仮説検定

数学C

  1. ベクトル ── 内積/位置ベクトル/共線・共面条件/空間ベクトルと平面の方程式
  2. 複素数平面 ── 極形式/ド・モアブルの定理/回転/方程式の表す図形
  3. 式と曲線 ── 放物線・楕円・双曲線/媒介変数表示/極座標

最後に:数学II・B・Cを通して効く3つの見方 / よくある質問(10問)

この辞典と一緒に使うページ

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第1章 式と証明

この単元は、以降のすべての単元で使う「式の扱い方」の土台です。ここが弱いと、三角関数でも微積分でも、途中の変形で止まります。

覚えることは多くありません。「展開の一般項」「割り算の形」「不等式を証明する4つの手」——この3つが本体です。

ここが怪しければ先に数と式(数学I・A)式の計算(中2) / この先つながる複素数と方程式数列 / この単元の解法パターン式と証明 全16型 / この単元を1日1枚で毎日の数学 29枚

使う道具

道具 使いどころ
二項定理 (a + b)n の一般項は nCr an−r br 特定の項・係数を求める
多項定理 n! / (p! q! r!) × apbqcr 3つ以上の和の展開
整式の割り算 A = BQ + R(R の次数 < B の次数) 余りの問題はまずこの形に
剰余定理 P(x) を x − a で割った余りは P(a) 割らずに余りが出る
因数定理 P(a) = 0 ⇔ P(x) は x − a を因数にもつ 高次式の因数分解
恒等式 両辺の同じ次数の係数が一致 係数決定・部分分数分解
相加平均・相乗平均 a > 0, b > 0 のとき (a + b)/2 ≥ √(ab) 最小値。等号成立の確認が必須
2乗の非負性 (実数)2 ≥ 0 不等式証明の最終兵器
コーシー・シュワルツ (a2+b2)(x2+y2) ≥ (ax+by)2 2組の数の積の評価
分数式 因数分解 → 約分/通分。分母 ≠ 0 展開する前に因数分解する

定石

展開式の1つの項が欲しいなら、全部を展開しない

パスカルの三角形と二項定理パスカルの三角形をn=0から5段目まで並べた図。各段の数は、そのすぐ上の2つの数を足したものになっている。5段目の1、5、10、10、5、1が、aたすbの5乗を展開したときの係数と一致する。全部を展開しなくても、一般項の式でrを1つ決めれば、欲しい項の係数だけを取り出せる。係数はパスカルの三角形=ぜんぶ展開しなくてよい1n = 011n = 1121n = 21331n = 314641n = 415101051n = 5上の2つを足す(a + b)⁵ =a⁵ + 5a⁴b + 10a³b²+ 10a²b³ + 5ab⁴ + b⁵一般項は ₅Cᵣ a⁵⁻ʳ bʳ → 欲しい項の r を1つ決めるだけ例:a²b³ の係数は r = 3 として ₅C₃ = 10
図1 展開式の係数はパスカルの三角形と同じ並びです。とはいえ毎回三角形を書くより、一般項の式で r を1つ決めるほうが速い欲しい項だけ取り出せるのが二項定理の強みです。

(a + b)n の展開を全部書く必要はありません。欲しい項だけを一般項から取り出します。

手順
① 一般項 nCr an−r br を書く
x の指数を r の式で表す
③ 欲しい指数になる r を求める(整数にならなければ、その項は存在しない)
④ その r を代入する

不等式の証明は、4つの手を上から試す

① 差を取る (左辺)−(右辺) ≥ 0 を示す。いちばん基本で、いちばん確実です。
平方完成する 差が2次式なら、( )2 + (正の数) の形に持ち込みます。
③ 相加平均・相乗平均を使う 和と積が同時に見えているときに効きます。
④ 両辺とも0以上なら、2乗して比べる √ が入っているときの定番です。

①から順に試すのは、下に行くほど「使える条件」が厳しくなるからです。①はいつでも使えますが、③は両方が正でなければ使えません。制約の少ない手から当てると、無駄が出ません。

相加平均と相乗平均の関係直径が a たす b の半円を描くと、半径は a たす b を2で割った値、境目から立てた垂線の長さはルート ab になる。垂線は半径を超えられないので、相加平均は相乗平均以上になる。等号が成り立つのは a と b が等しいときだけ。半円で見ると、等号が成り立つ場所が1か所だとわかるab√(ab)(a+b)/2高さ √(ab) は、半径 (a+b)/2 を超えられない(a + b)/2 ≥ √(ab) (a > 0、b > 0)等号が成り立つのは a = b のときだけ。この確認を書き忘れると減点になります
図2 半円で見ると、等号が成り立つのは a = b のときだけだとわかります。この確認を書き忘れると減点になります。

相加平均・相乗平均は「足して2つ、掛けて定数」を作る

この道具が効くのは、2つの項の積が定数になるときだけです。だから、そうなるように式を作り替えます

x + 4/(x − 1)x > 1)は、そのままでは積が定数になりません。そこで
x + 4/(x − 1) = (x − 1) + 4/(x − 1) + 1
1を引いて1を足すと、前の2項の積が 4(定数)になります。分母に合わせて式を割るのがコツです。

つまずきポイント

① 相加平均・相乗平均で、等号成立を確認しない。不等式が成り立つことと、それが最小値であることは別です。等号が成立する値が定義域の中にあるかを必ず書いてください。ここは数学I・Aから続く最頻出のミスです。

② 二項定理で b の中身の符号や係数を落とす。(x − 2)5 の一般項は 5Cr x5−r (−2)r です。2r ではありません。マイナスごと b に入れてから一般項を作ってください。

③ 余りの次数を意識しない。2次式で割った余りは1次以下なので、ax + b とおきます。ax だけにすると定数項を落とします。「割る式の次数より1つ低い次数まで」が余りの形です。

④ 恒等式と方程式の混同。「すべての x で成り立つ」なら恒等式で、係数を比較します。「ある x で成り立つ」なら方程式で、x を解きます。問題文の「すべての」を見落とすと、方針ごと変わります。

⑤ 分数式で分母が0になる値を除き忘れる。1/(x − 2) があれば x ≠ 2 です。答えの範囲からこの値を除いてください。

例題

例題1-1(二項定理・定数項) (x + 2/x2)6 の展開式における定数項を求めてください。

考え方:全部展開しません。一般項を書いて、x の指数が0になる項だけを取り出します。

一般項は
6Cr x6−r (2/x2)r = 6Cr · 2r · x6−r−2r = 6Cr · 2r · x6−3r

定数項は 6 − 3r = 0、つまり r = 2 のとき。
6C2 · 22 = 15 × 4 = 60

答え60

ここが定石x の指数を r の式で表すのが山場です。ここさえ書ければ、あとは方程式を解くだけになります。もし r が整数にならなければ、その項は存在しないと答えます。

例題1-2(恒等式の係数決定) すべての実数 x に対して
a(x + 1)2 + b(x + 1) + c = x2 + 3x + 5
が成り立つとき、定数 a, b, c の値を求めてください。

方法1:展開して係数を比較する。
左辺 = ax2 + (2a + b)x + (a + b + c)
係数を比べて a = 12a + b = 3 より b = 1a + b + c = 5 より c = 3

方法2:都合のよい値を代入する。
x = −1 を代入すると左辺は c、右辺は 1 − 3 + 5 = 3。よって c = 3
x = 0a + b + c = 5x = 14a + 2b + c = 9。これらから a = 1, b = 1

答えa = 1, b = 1, c = 3

注意:方法2は速いが、それだけでは証明になっていません。3つの値で成り立つことしか示していないからです。答案では「この値のときに恒等式になることを確認する」か、方法1で係数を比較してください。代入は方針を早く立てるための手で、最後は必ず戻して確かめるものです。

例題1-3(不等式の証明) a > 0, b > 0 のとき
(a + b)(1/a + 1/b) ≥ 4
が成り立つことを証明し、等号が成立する条件を求めてください。

考え方:まず展開します。かたまりが見えてから道具を選びます。

(a + b)(1/a + 1/b) = 1 + a/b + b/a + 1 = 2 + (a/b + b/a)

a > 0, b > 0 より a/b > 0b/a > 0 なので、相加平均・相乗平均の関係から
a/b + b/a ≥ 2√((a/b)(b/a)) = 2

よって (a + b)(1/a + 1/b) ≥ 2 + 2 = 4

等号成立a/b = b/a すなわち a2 = b2a > 0, b > 0 なので a = b のとき。(証明終わり)

確認a = b = 1 なら 2 × 2 = 4a = 1, b = 4 なら 5 × 1.25 = 6.25 > 4。合っています。

例題1-4(相加相乗・式を作り替える) x > 1 のとき、x + 4/(x − 1) の最小値と、そのときの x を求めてください。

考え方:このままでは x4/(x − 1) の積が定数になりません。分母に合わせて式を作り替えます。

x + 4/(x − 1) = (x − 1) + 4/(x − 1) + 1

x > 1 より x − 1 > 0 なので、相加平均・相乗平均の関係から
(x − 1) + 4/(x − 1) ≥ 2√4 = 4

よって x + 4/(x − 1) ≥ 4 + 1 = 5

等号成立の確認x − 1 = 4/(x − 1) より (x − 1)2 = 4x − 1 > 0 なので x − 1 = 2、すなわち x = 3これは定義域 x > 1 の中にあるので、最小値は確かに5です。

答えx = 3 のとき最小値 5

確認x = 2 なら 2 + 4 = 6x = 3 なら 3 + 2 = 5x = 5 なら 5 + 1 = 6。確かに x = 3 が谷になっています。

この「1を引いて1を足す」が定石:分母が x − 1 なら、分子側も x − 1 の形にそろえる。そろえるために足したぶんは、あとで足し戻す。この操作は積分でも数列でも出てきます。

例題1-5(分数式) 次の式を簡単にしてください。(1) (x2 − 4)/(x2 + 4x + 4) × (x + 2)/(x − 2) (2) 1/{x(x + 1)} + 1/{(x + 1)(x + 2)} (3) (1 + 1/x) / (1 − 1/x2)

考え方:分数式では、展開する前にまず因数分解。約分できる形が見えるかどうかで、手間がまるで変わります。分母は 0 にできないので、約分で消えた因数も「その値を除く」という条件として残ることに注意します。

(1) x2 − 4 = (x + 2)(x − 2)x2 + 4x + 4 = (x + 2)2 なので
 (x + 2)(x − 2) / (x + 2)2 × (x + 2)/(x − 2) = (x − 2)/(x + 2) × (x + 2)/(x − 2) = 1
 (ただし x ≠ 2x ≠ −2

(2) 通分してから足すより、先に部分分数へ分けたほうが速い形です。
 1/{x(x + 1)} = 1/x − 1/(x + 1)1/{(x + 1)(x + 2)} = 1/(x + 1) − 1/(x + 2)
足すと真ん中が消えて
 1/x − 1/(x + 2) = {(x + 2) − x} / {x(x + 2)} = 2 / {x(x + 2)}

(3) 分母・分子に x2 をかけて、段になった分数を一段にします。
 (x2 + x) / (x2 − 1) = x(x + 1) / {(x + 1)(x − 1)} = x/(x − 1)
 (ただし x ≠ 0x ≠ ±1

答え:(1) 1 (2) 2 / {x(x + 2)} (3) x/(x − 1)

確認適当な数を入れて確かめるのが確実です。(2) に x = 1 を入れると、もとの式は 1/2 + 1/6 = 2/3、答えの式も 2/(1 × 3) = 2/3。(3) に x = 3 を入れると、もとの式は (4/3) ÷ (8/9) = 3/2、答えの式も 3/2
(1) の答えが 1 だからといって、x に何を入れてもよいわけではありません。もとの式は x = 2x = −2 で分母が 0 になり、そもそも値をもちません。約分で見えなくなった条件を書き添えられるかどうかが、差がつくところです。
(2) のように分母が2つの積で並ぶ形は、第8章 数列Σ でそのまま使います。

この単元のチェックリスト

確認すること できていないと起きること
一般項を r の式で書いたか 全部展開して時間を失う
マイナスごと b に入れたか 符号を落とす
余りの次数を正しく置いたか 定数項を落とす
相加相乗で等号成立を確認したか 最小値でない値を最小と書く
等号成立の値が定義域内か 届かない下限を最小値にしてしまう
分母が0になる値を除いたか 存在しない解を答える

もっと解きたい方へ 👉 式と証明の特訓道場(20題と全解説)

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第2章 複素数と方程式

「2乗して −1 になる数」を新しく用意すると、すべての2次方程式が解けるようになります。それだけの単元に見えて、入試では解と係数の関係因数定理が繰り返し出ます。

ここが怪しければ先に二次方程式(中3)式と証明 / この先つながる複素数平面 / この単元の解法パターン複素数と方程式 全12型 / この単元を1日1枚で毎日の数学 75枚

使う道具

道具 使いどころ
虚数単位 i2 = −1 すべての出発点
共役複素数 a + bi の共役は a − bi 分母の実数化・実数条件
複素数が実数 a + bi が実数 ⇔ b = 0 実数条件の言いかえ
解と係数の関係 α + β = −b/a、αβ = c/a 解を求めずに解の式を計算
3次の解と係数 Σα = −b/a、Σαβ = c/a、αβγ = −d/a 3次方程式の対称式
判別式 D > 0 / D = 0 / D < 0 実数解2個 / 重解 / 虚数解2個
剰余定理 P(x) ÷ (x − a) の余りは P(a) 余りを直接出す
因数定理 P(a) = 0 ⇔ (x − a) を因数にもつ 高次方程式を解く第一歩
実数係数と虚数解 a + bi が解なら a − bi も解 係数が実数のときだけ
1の3乗根 ω3 = 1、ω2 + ω + 1 = 0 次数下げの定番
複素数の除法 分母の共役を分母・分子に掛ける a + bi の形に直す

定石

判別式の符号と解の種類判別式が正なら異なる2つの実数解でグラフは x 軸と2点で交わり、0なら重解で接し、負なら異なる2つの虚数解で x 軸と交わらない。判別式が負でも解がないのではなく、実数解がないだけ。負の数の平方根は、先に虚数単位を使った形に直してから計算する。判別式 D の符号で、x 軸との交わり方が決まるD > 0異なる2つの実数解D = 0重解(接する)D < 0異なる2つの虚数解D < 0 は「解がない」ではありません。実数解がないだけです√(−2) × √(−3) = √6 も誤り。まず √2 i、√3 i に直してから掛けます
図3 判別式の符号で x 軸との交わり方が決まります。D < 0 は「解がない」ではなく「実数解がない」です。

解の対称式は、解と係数の関係で処理する

α2 + β2α3 + β3 のように、α と β を入れかえても変わらない式は、α + βαβ だけで書き直せます。だから解を求める必要がありません

α2 + β2 = (α + β)2 − 2αβ
α3 + β3 = (α + β)3 − 3αβ(α + β)
1/α + 1/β = (α + β)/(αβ)
(α − β)2 = (α + β)2 − 4αβ

高次方程式は、まず1つ解を見つける

高次方程式は1つ見つけて次数を下げる3次方程式 エックス3乗ひく2エックス2乗ひく5エックスたす6イコール0 を解く流れの図。まず定数項6の約数を候補として代入していくと、エックスイコール1で0になる。したがってエックスひく1で割り切れるので、組立除法で割ると商はエックス2乗ひくエックスひく6になり、これはエックスひく3かけるエックスたす2と因数分解できる。解はエックスイコール1、3、マイナス2。候補を全部試す必要はなく、1つ当たれば2次方程式に落ちる。高次方程式は「1つ見つけて、次数を下げる」x³ − 2x² − 5x + 6 = 0① 候補は「定数項 6 の約数」 ±1, ±2, ±3, ±6x = 10x = −18x = 2−4x = −20x = 30② x = 1 を代入すると 0  → (x − 1) で割り切れる組立除法11−21−5−16−61−1−60余り0③ 商は x² − x − 6 = (x − 3)(x + 2)x = 1, 3, −2候補を全部試す必要はない。1つ当たれば、あとは2次方程式に落ちる検算:(x − 1)(x − 3)(x + 2) を展開すると もとの式に戻る
図4 高次方程式は1つ解を見つけて、次数を下げるのが基本の道すじです。候補は定数項の約数から。全部試す必要はなく、1つ当たれば残りは2次方程式になります。

P(x) = 0 の解を探すとき、候補は「定数項の約数 ÷ 最高次係数の約数」です。x3 − 4x2 + x + 6 = 0 なら、候補は ±1, ±2, ±3, ±6。順に代入して0になるものを探します。1つ見つかれば、あとは割り算で次数が下がります。

「次数下げ」で計算量を消す

ω3 = 1 がわかっていれば、ω10ω9 · ω = ω です。指数を割った余りだけを見ると、大きな指数が一瞬で消えます。αx2 = x + 1 を満たすなら、α2 が出るたびに α + 1 に置きかえられます。

つまずきポイント

√(−2) × √(−3) = √6 としてしまう。これは誤りです。√(−2) = √2 i√(−3) = √3 i なので、積は √6 i2 = −√6負の数の√は、先に i を外に出してから計算してください。

② 「実数係数なら共役も解」を、係数が実数でないのに使う。この性質は係数がすべて実数のときだけ成り立ちます。係数に i が入っていたら使えません。

③ 判別式の D < 0 を「解がない」と読む。複素数まで広げれば解はあります。D < 0「実数解がない」という意味です。問題文が実数解を求めているのか、複素数解を含むのかを読んでください。

④ 3次方程式で、虚数解を1個しか書かない。実数係数の3次方程式が虚数解 a + bi をもつなら、a − bi も必ず解です。虚数解は必ずペアで現れます(だから実数係数の3次方程式は、実数解を必ず1つ以上もちます)。

⑤ 解と係数の関係で、符号を取り違える。ax2 + bx + c = 0 のとき α + β = −b/a です。和にだけマイナスが付くと覚えるより、a(x − α)(x − β) を展開して確かめるほうが確実です。

例題

例題2-1(解と係数の関係) 2次方程式 x2 − 3x + 5 = 0 の2つの解を α, β とするとき、次の値を求めてください。
(1) α2 + β2 (2) α3 + β3 (3) 1/α + 1/β

考え方:この方程式は D = 9 − 20 = −11 < 0 なので、解は虚数です。それでも解を求める必要はありません。すべて対称式だからです。

解と係数の関係から α + β = 3αβ = 5

(1) α2 + β2 = (α + β)2 − 2αβ = 9 − 10 = −1

(2) α3 + β3 = (α + β)3 − 3αβ(α + β) = 27 − 3 × 5 × 3 = 27 − 45 = −18

(3) 1/α + 1/β = (α + β)/(αβ) = 3/5

(1)がマイナスになる意味:実数の2乗の和なら必ず0以上ですが、α, β は虚数なので負になり得ます。「2乗の和が負でおかしい」と思ったら、解が虚数かどうかを確かめてください。符号のミスとは限りません。

例題2-2(剰余定理) 整式 P(x)x − 1 で割ると余りが 3x + 2 で割ると余りが −3 です。P(x)(x − 1)(x + 2) で割った余りを求めてください。

考え方割る式が2次なので、余りは1次以下。そこで余りを ax + b とおきます。

P(x) = (x − 1)(x + 2)Q(x) + ax + b

剰余定理より P(1) = 3P(−2) = −3。上の式に代入すると、Q(x) の項が消えます
x = 1a + b = 3
x = −2−2a + b = −3

辺々引くと 3a = 6a = 2。よって b = 1

答え:余りは 2x + 1

確認x = 1 のとき 2 + 1 = 3x = −2 のとき −4 + 1 = −3。合っています。

なぜ代入すると解けるのかx = 1 を入れると (x − 1) が0になり、正体不明の Q(x) がまるごと消えるからです。「わからないものを消す値を代入する」——これが剰余定理の使い方です。

例題2-3(高次方程式) x3 − 4x2 + x + 6 = 0 を解いてください。

手順1:解を1つ探す。候補は定数項6の約数、±1, ±2, ±3, ±6
x = 11 − 4 + 1 + 6 = 4(0でない)
x = −1−1 − 4 − 1 + 6 = 0 → 見つかりました

手順2:割って次数を下げる。因数定理より x + 1 で割り切れます。
x3 − 4x2 + x + 6 = (x + 1)(x2 − 5x + 6)

手順3:残りを解く。x2 − 5x + 6 = (x − 2)(x − 3)

答えx = −1, 2, 3

確認:3解の和は −1 + 2 + 3 = 4。解と係数の関係では −(−4)/1 = 4 で一致。積は −1 × 2 × 3 = −6、関係式では −6/1 = −6 で一致。解と係数の関係は、解いたあとの検算にも使えます。

例題2-4(1の3乗根・次数下げ) x3 = 1 の虚数解の1つを ω とするとき、ω10 + ω20 の値を求めてください。

考え方x3 − 1 = (x − 1)(x2 + x + 1) = 0 なので、虚数解は x2 + x + 1 = 0 の解です。つまり
ω3 = 1 かつ ω2 + ω + 1 = 0

次数下げ:指数を3で割った余りだけを見ます。
ω10 = ω9 · ω = (ω3)3 · ω = ω
ω20 = ω18 · ω2 = (ω3)6 · ω2 = ω2

よって ω10 + ω20 = ω + ω2 = −1ω2 + ω + 1 = 0 より)

答え−1

この定石が効く場面:大きな指数を見たら、まず「何乗で1に戻るか」を探す。戻る周期がわかれば、指数をその数で割った余りだけの問題になります。第8章の数列の周期性、第11章の複素数平面の回転でも、まったく同じ考え方を使います。

例題2-5(複素数の除法と実数条件) (1) (3 + 2i) / (1 − i)a + bi の形にしてください。(2) z = x + yixy は実数、z ≠ 0)について、z + 1/z が実数になる条件を求めてください。

考え方:(1) は分母の共役を分母・分子に掛けるだけです。根号の有理化とまったく同じ発想で、(1 − i)(1 + i) = 1 − i2 = 2 と実数になります。
(2) は「実数である」を式に直すところが山です。書き方は2通りあり、虚部を計算して 0 とおくか、共役と等しいとおくか。どちらでも同じ答えになります。

(1) (3 + 2i)(1 + i) / {(1 − i)(1 + i)} = (3 + 3i + 2i + 2i2) / 2 = (1 + 5i) / 2
 よって 1/2 + (5/2)i

(2) 1/z = 1/(x + yi) = (x − yi) / (x2 + y2) なので
 z + 1/z = {x + x/(x2 + y2)} + {y − y/(x2 + y2)} i
実数になるのは虚部が 0 のときなので
 y − y/(x2 + y2) = 0 → y(x2 + y2 − 1) = 0 → y = 0 または x2 + y2 = 1

答え:(1) 1/2 + (5/2)i (2) z が実数(y = 0)、または |z| = 1

確認:(1) は答えに分母を掛け戻すのが確実です。(1/2 + (5/2)i)(1 − i) = 1/2 − (1/2)i + (5/2)i − (5/2)i2 = 3 + 2i ともとに戻りました。
(2) の答えは、2つとも意味がはっきりしていますz が実数なら 1/z も実数なので和も実数。|z| = 1 のときは 1/zz の共役に一致するので、和は z + z̄ = 2x でやはり実数です。答えが出たら「なぜそうなるか」を一言で言えるか確かめると、写し間違いに気づけます。
z = 1 + i|z| = √2)で試すと z + 1/z = 3/2 + (1/2)i となり、確かに実数になりません。z ≠ 0 の断りを落とさないことにも注意してください。

この単元のチェックリスト

確認すること できていないと起きること
負の数の√は先に i を外に出したか 符号を丸ごと間違える
対称式は解と係数の関係で書き直したか 虚数解を直接計算して時間を失う
高次方程式で候補(定数項の約数)を試したか 因数分解の入口が見つからない
実数係数か確認してから共役を使ったか 成り立たない性質を使う
余りの次数を正しく置いたか 連立が立たない
大きな指数は周期で割ったか 計算量が爆発する

もっと解きたい方へ 👉 複素数と方程式(基礎)の特訓道場(20題と全解説)

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第3章 図形と方程式

図形の問題を座標に置きかえて、計算で解く単元です。中学までの図形は「補助線を思いつくかどうか」でしたが、ここでは思いつかなくても計算で押し切れるようになります。

ただし、座標に置くと計算量は増えます。だから「どこを原点にするか」「どの軸に乗せるか」で勝負が決まります。

ここが怪しければ先に一次関数(中2)円(中3) / この先つながるベクトル式と曲線 / この単元の解法パターン図形と方程式 全19型 / この単元を1日1枚で毎日の数学 1枚

使う道具

道具 使いどころ
2点間の距離 √((x2−x1)2 + (y2−y1)2) 長さの条件
内分点・外分点 m : n に内分 → (nx1+mx2)/(m+n) 比の条件。係数が入れ替わる
直線の方程式 y − y1 = m(x − x1) 通る点と傾きから
平行・垂直 平行 m1 = m2/垂直 m1m2 = −1 直交条件
点と直線の距離 |ax0+by0+c| / √(a2+b2) 円と直線の関係はほぼこれ
円の方程式 (x−a)2 + (y−b)2 = r2 中心と半径が一目でわかる形
一般形の円 x2+y2+lx+my+n = 0 平方完成して中心・半径を出す
円と直線の位置 d < r / d = r / d > r 2点で交わる / 接する / 交わらない
接線(円上の点) x1x + y1y = r2 x2+y2=r2 上の点で
軌跡 動く点を (x, y) とおいて条件を式に 「〜を満たす点の集まり」
領域と最大最小 k = ax + by 直線を平行移動して端で当たる

定石

円と直線の関係は、距離と半径の比較にする

円と直線の位置関係同じ半径の円に、中心からの距離が異なる3本の直線を引いた図。中心から直線までの距離dが半径rより小さいときは異なる2点で交わり、dとrが等しいときは接し、dがrより大きいときは共有点がない。判別式を使わなくても、距離と半径をくらべるだけで決まる。円と直線は「中心からの距離 d と 半径 r をくらべる」drd < r異なる2点で交わるdrd = r接する(1点)drd > r共有点なし
図5 円と直線は、中心から直線までの距離 d と半径 r をくらべるだけで決まります。判別式でもできますが、こちらのほうが計算が短いことがほとんどです。接するのは d = r のときだけ、と図で押さえてください。

連立して判別式を計算しても解けますが、中心と直線の距離 d を半径 r と比べるほうが圧倒的に速いです。

d < r → 異なる2点で交わる
d = r接する
d > r → 共有点なし

弦の長さも出ます。半径 r、中心からの距離 d のとき、弦の長さは 2√(r2 − d2)。三平方の定理そのものです。

軌跡は「動く点を(x, y)とおいて、条件を式にする」だけ

手順
① 求める点を P(x, y) とおく
② 与えられた条件を、x, y の式にそのまま翻訳する
③ 整理する(ここで見慣れた図形の形に化ける
除外する点がないかを確認する

④を忘れると減点されます。分母が0になる点、三角形が潰れる点、条件から自動的に外れる点——「その点は本当に条件を満たすか」を最後に1回だけ確かめてください。

領域の最大最小は、直線を平行移動する

x + y の最大値を求めるなら、x + y = k という直線を描いて動かしますk はこの直線の y 切片にあたるので、直線を上げていって、領域から離れる直前が最大です。

領域が多角形なら、最大最小は必ず頂点で起きます(直線を動かして最後に触れるのは角だからです)。だから頂点をすべて求めて、値を比べれば終わりです。

領域における x+y の最大値4本の直線で囲まれた領域の上で、直線 x+y=k を平行移動させる図。k を大きくしていくと、領域から離れる直前に頂点 (2, 3) で接し、そこが最大値 5 になる。xyO123412345x + 2y = 83x + y = 9k = 3k = 6k = 5(2, 3) で最大 5領域x + y = k を上げていく
図6 x + y = k は傾き −1 の直線の集まりです。これを右上へ平行移動していき、領域から離れる直前に触れている場所が最大。多角形なら、それは必ず頂点です。

つまずきポイント

① 内分点の公式で、係数を取り違える。m : n に内分する点は (nx1 + mx2)/(m + n) で、mn がたすきに掛かります1 : 1(中点)で確かめると、公式の形が合っているかすぐわかります。

② 点と直線の距離で、直線を ax + by + c = 0 の形に直さない。y = 2x + 5 のままでは使えません。2x − y + 5 = 0 に直してから代入します。

③ 軌跡で「除外点」を書かない。「3点が三角形をなす」なら一直線上に並ぶ点は除きます。問題文に暗黙の前提がないかを読み直してください。

④ 領域で、境界を含むか含まないかを区別しない。 なら境界を含む(実線)、< なら含まない(破線)。最大値が境界上にある場合、含まないなら「最大値は存在しない」という答えになります。

⑤ 円の一般形から中心・半径を出すとき、右辺が負になるのを見落とす。平方完成した結果 (x−a)2 + (y−b)2 = −1 のようになったら、そんな円は存在しません。0なら1点、負なら図形なしです。

例題

例題3-1(点と直線の距離) 点 (3, 1) と直線 3x − 4y + 5 = 0 の距離を求めてください。

考え方:公式にそのまま代入します。直線がすでに ax + by + c = 0 の形になっているので、直すべきものはありません。

|3 × 3 − 4 × 1 + 5| / √(32 + (−4)2) = |9 − 4 + 5| / √25 = 10 / 5 = 2

答え2

使いどころ:この公式が本領を発揮するのは、円と直線の関係を調べるときです。半径2の円がこの点を中心にしていれば、直線とちょうど接するとわかります。

例題3-2(円と直線が接する条件) 円 x2 + y2 = 5 と直線 y = 2x + k が接するとき、定数 k の値を求めてください。

考え方:連立して判別式でもできますが、距離=半径のほうが速い。

直線を 2x − y + k = 0 に直します。中心は原点 (0, 0)、半径は √5

|2 × 0 − 0 + k| / √(22 + (−1)2) = |k| / √5

これが半径 √5 に等しいので
|k| / √5 = √5 → |k| = 5 → k = ±5

答えk = 5, −5

解が2つある意味:傾き2の直線で円に接するものは、円の上側と下側に1本ずつあります。図を描けば、答えが2つ出るのは当然だとわかります。「答えの個数が図と合っているか」は、いつでも使える検算です。

判別式でやるとx2 + (2x+k)2 = 55x2 + 4kx + k2 − 5 = 0D/4 = 4k2 − 5(k2−5) = −k2 + 25 = 0k = ±5。同じ答えですが、手数が増えます。

例題3-3(軌跡・距離の比が一定) 2点 A(0, 0)B(3, 0) からの距離の比が PA : PB = 2 : 1 である点 P の軌跡を求めてください。

手順1:Pを (x, y) とおく。

手順2:条件を式にする。比のままだと扱いにくいので、2乗して√を外します
PA = 2PB → PA2 = 4PB2
x2 + y2 = 4{(x − 3)2 + y2}

手順3:整理する。
x2 + y2 = 4x2 − 24x + 36 + 4y2
0 = 3x2 + 3y2 − 24x + 36
両辺を3で割って x2 + y2 − 8x + 12 = 0
平方完成して (x − 4)2 + y2 = 4

答え:中心 (4, 0)、半径 2 の円

確認P(2, 0) なら PA = 2, PB = 1 で比は 2 : 1。円の式も (2−4)2 + 0 = 4 で成立。P(6, 0) なら PA = 6, PB = 3 で比は 2 : 1、円の式も (6−4)2 = 4 で成立。2点で確かめれば、まず間違いに気づけます。

覚えておくと速い2定点からの距離の比が一定(1でない)である点の軌跡は円になります。比が 1 : 1 のときだけ、円ではなく垂直二等分線です。「比が1かどうか」で答えの図形が変わるので、そこだけ確認してください。

例題3-4(領域における最大値) x ≥ 0y ≥ 0x + 2y ≤ 83x + y ≤ 9 を満たすとき、x + y の最大値と、そのときの x, y を求めてください。

手順1:領域の頂点をすべて求める。4本の直線で囲まれた多角形なので、隣り合う直線の交点が頂点です。
x = 0y = 0 → (0, 0)
y = 03x + y = 9 → (3, 0)
3x + y = 9x + 2y = 8 → 連立して (2, 3)
x + 2y = 8x = 0 → (0, 4)

手順2:各頂点で x + y を計算する。

頂点 (0, 0) (3, 0) (2, 3) (0, 4)
x + y 0 3 5 4

例題3-5(円の接線) (1) 円 x2 + y2 = 25 上の点 (3, 4) における接線の方程式を求めてください。(2) 点 (0, 5) から円 x2 + y2 = 9 に引いた接線の方程式を求めてください。

考え方接点が円上にあるか、点が円の外にあるかで手が変わります。
接点がわかっているなら公式——円 x2 + y2 = r2 上の点 (x1, y1) における接線は x1x + y1y = r2
円外の点から引くなら「中心との距離=半径」に持ち込みます。判別式でもできますが、距離のほうが計算が短くなります。

(1) 32 + 42 = 25 なので (3, 4) は確かに円上。公式より
 3x + 4y = 25

(2) 求める接線は点 (0, 5) を通るので y = mx + 5、すなわち mx − y + 5 = 0 とおけます。
中心 (0, 0) との距離が半径 3 に等しいので
 |5| / √(m2 + 1) = 3 → 25 = 9(m2 + 1) → m2 = 16/9 → m = ±4/3
 よって y = (4/3)x + 5y = −(4/3)x + 5

答え:(1) 3x + 4y = 25 (2) y = ±(4/3)x + 5

確認:(1) は、接線と中心の距離を計算すると |−25| / √(32 + 42) = 25/5 = 5 で半径と一致します。
(2) で気をつけたいのは、y = mx + 5 と置いた時点で「傾きのある直線」しか考えていないことです。x = 0(縦の直線)が接線になる場合は、この置き方では出てきません。今回は x = 0 が円と (0, ±3) の2点で交わるので接線ではなく、2本で全部そろっています
円外の点から引く接線はふつう2本です。1本しか出てこなかったら、縦の直線を落としていないかを疑ってください。

答えx = 2, y = 3 のとき最大値 5

なぜ頂点だけ見ればよいのかx + y = k は傾き −1 の直線の集まりです。この直線を右上に平行移動していくと、領域から離れる直前に触れているのは頂点です(辺と平行な場合は、その辺全体で同じ値になります)。だから頂点だけ調べれば足ります

交点の求め方3x + y = 9 より y = 9 − 3x。これを x + 2y = 8 に代入して x + 18 − 6x = 8−5x = −10x = 2y = 3両方の式に戻して確かめると確実です(2 + 6 = 86 + 3 = 9)。

この単元のチェックリスト

確認すること できていないと起きること
直線を ax+by+c=0 に直したか 距離の公式が使えない
円と直線は距離と半径を比べたか 連立と判別式で手数が増える
軌跡で除外点を確認したか 減点される
領域の頂点をすべて求めたか 最大最小を取り逃がす
境界を含むかどうかを区別したか 存在しない最大値を答える
平方完成の右辺が正か確認したか 存在しない円を答える

もっと解きたい方へ 👉 図形と式の特訓道場(20題と全解説)

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第4章 三角関数

数学Iの三角比は「三角形の中の比」でしたが、ここでは角度を自由に動かせる関数になります。角度は 360° を超えてもよく、マイナスでもよい。そのぶん、グラフと単位円で考える力が必要になります。

公式が多く見える単元ですが、実際に暗記が要るのは加法定理だけです。2倍角も半角も合成も、すべて加法定理から作れます。

ここが怪しければ先に図形と計量(数学I・A) / この先つながる複素数平面関数の極限と連続性(数学III) / この単元の解法パターン三角関数 全14型

使う道具

道具 使いどころ
弧度法 180° = π 数学IIから先はすべてこちら
相互関係 sin2θ + cos2θ = 1 sin と cos の行き来
加法定理 sin(α±β) = sinαcosβ ± cosαsinβ この単元の本体
  cos(α±β) = cosαcosβ ∓ sinαsinβ 符号が逆になるのに注意
2倍角 sin2θ = 2sinθcosθ 加法定理で α = β = θ
  cos2θ = 1 − 2sin2θ = 2cos2θ − 1 3つの形を使い分ける
半角 sin2θ = (1 − cos2θ)/2 次数を下げる(積分で必須)
合成 a sinθ + b cosθ = √(a2+b2) sin(θ + α) 最大最小・方程式
積和・和積 2sinαcosβ = sin(α+β) + sin(α−β) 加法定理を足し引きして作る
グラフの周期 y = sin(kθ) の周期は 2π/k 解の個数を数えるとき

定石

単位円で三角方程式・不等式を解く上は方程式。単位円をかいて y 座標が2分の1になる点を探すと2つ見つかり、それぞれ30度と150度になる。下は不等式。y 座標が2分の1以上になる弧を読み取ると、30度以上150度以下が答えになる。単位円をかけば、解の個数も範囲の端を含むかどうかも、そのまま目で読める。xysinθ = 1/2 の解(0° ≤ θ < 360°)y 座標が 1/2 になる点は円周上に2つ → θ = 30°, 150°y = 1/230°150°円周上の点のy 座標が sinθx 座標が cosθxysinθ ≥ 1/2 の範囲(0° ≤ θ < 360°)y 座標が 1/2 以上になる弧を読む → 30° ≤ θ ≤ 150°y = 1/230°150°太い弧の部分が答えの範囲端を含むかは不等号で決まる
図7 三角方程式・不等式は、単位円を1つかいて y 座標を読むのがいちばん確実です。sinθ は y 座標、cosθ は x 座標。解が何個あるかも、範囲の端を含むかどうかも、絵の上でそのまま決まります

三角方程式・不等式は、まず「1種類の関数」にそろえる

sincos が混ざったままでは解けません。どちらか一方にそろえるのが最初の手です。

cos2θ があれば 1 − sin2θ に置きかえて sin にそろえる
sinθcosθ が1次で混ざっていれば 合成する
θ が混ざっていれば、2倍角で角度をそろえる

そろったら t = sinθ などと置きかえて、ただの2次方程式にします。ただし −1 ≤ t ≤ 1 の範囲を必ず書いてください。

合成は「最大最小」と「解の個数」のための道具

a sinθ + b cosθ は、そのままでは最大値が読めません。合成すると √(a2+b2) sin(θ + α) になり、sin の部分が −1 から 1 まで動くので、最大最小がすぐ出ます。

合成の手順
r = √(a2 + b2) を計算する
cosα = a/rsinα = b/r となる α を探す
r sin(θ + α) と書く
θ の範囲を θ + α の範囲に直す

④が最大の落とし穴です。0 ≤ θ < 2π なら α ≤ θ + α < 2π + α に変わります。この書き換えを忘れると、範囲外の答えを拾ってしまいます。

三角関数の合成sinθ と √3cosθ を足した波は、振幅 2 で左に π/3 ずれた 1本の sin の波になる。だから最大値は 2、最小値はマイナス 2 とすぐ読める。-2-112π/6π/27π/6最大 2最小 −2y = sinθ + √3cosθ = 2sin(θ + π/3)y = sinθy = √3cosθ
図8 sinθ√3cosθ という2つの波を足すと、振幅2の1本の sin の波になります。合成とは、この事実を式で書いたものです。1本になれば、最大最小はすぐ読めます。

「1種類にそろえる/置きかえる」は、ここでも同じ

第1章の相加相乗で「式を作り替えた」のと、ここで「関数をそろえる」のは同じ発想です。そのままでは使えない道具を、使える形に持っていく。これは丸暗記ではなく、「型」から次の一手を予想して、考える量を減らす動き方です。

つまずきポイント

① 合成のあと、角の範囲を書き換えない。いちばん多いミスです。θ の範囲ではなく、θ + α の範囲sin の値を考えてください。

cos の加法定理の符号を sin と同じにする。cos(α + β) = cosαcosβ − sinαsinβ で、足すのに引くのが正解です。α = β = 45° で確かめると、cos90° = 0 になるのは引き算のほうだとすぐわかります。

t = sinθ と置いたあと、−1 ≤ t ≤ 1 を書かない。2次方程式の解が t = 2 と出ても、それは θ の解にはなりません。置きかえたら範囲も書く——これは全単元共通の作法です。

④ 解を1つしか書かない。sinθ = 1/20 ≤ θ < 2π)の解は π/65π/62つです。単位円を描いて、該当する点が何個あるかを数えてください。

⑤ 周期を取り違える。y = sin2θ の周期は ではなく π です。中の角が2倍で動くぶん、グラフは半分の幅で1周します。解の個数を数える問題では、ここで倍半分の差が出ます。

⑥ 度数法と弧度法を混ぜる。数学II以降は原則として弧度法です。sin30° と書きたくなったら sin(π/6) に直しておくと、微積分に進んだときに事故が起きません。

例題

例題4-1(加法定理) sin75° の値を求めてください。

考え方75° は覚えている角ではありませんが、覚えている角の和で書けます。75° = 45° + 30°

sin75° = sin45°cos30° + cos45°sin30°
= (√2/2)(√3/2) + (√2/2)(1/2)
= √6/4 + √2/4 = (√6 + √2)/4

答え(√6 + √2)/4

確認√6 ≒ 2.449√2 ≒ 1.414 なので、値は約 0.966sin90° = 1 より少し小さく、sin60° ≒ 0.866 より大きい。大きさの見当が合っているかを確かめると、符号ミスに気づけます。

この分解が使える角15° = 45° − 30°75° = 45° + 30°105° = 60° + 45°30°・45°・60° の和と差で作れる角なら、加法定理で値が出ます。

例題4-2(合成・最大最小) 0 ≤ θ < 2π のとき、y = sinθ + √3 cosθ の最大値・最小値と、そのときの θ を求めてください。

手順1:合成する。
r = √(12 + (√3)2) = √4 = 2
cosα = 1/2sinα = √3/2 より α = π/3
よって y = 2sin(θ + π/3)

手順2:角の範囲を書き換える。0 ≤ θ < 2π なので
π/3 ≤ θ + π/3 < 2π + π/3

手順3:この範囲で sin の最大最小を読む。幅が あるので、sin1−1 の両方を取れます。
sin(θ + π/3) = 1 となるのは θ + π/3 = π/2、つまり θ = π/6
sin(θ + π/3) = −1 となるのは θ + π/3 = 3π/2、つまり θ = 7π/6

答えθ = π/6 のとき最大値 2θ = 7π/6 のとき最小値 −2

確認θ = π/6 を元の式に戻すと sin(π/6) + √3 cos(π/6) = 1/2 + √3 × (√3/2) = 1/2 + 3/2 = 2。合っています。合成した式ではなく、元の式に戻して確かめるのがポイントです。

もし範囲が狭かったら:たとえば 0 ≤ θ ≤ π/2 なら π/3 ≤ θ + π/3 ≤ 5π/6 となり、sin の最小値は −1 ではなく、端の sin(5π/6) = 1/2 になります。範囲を書き換える理由は、まさにこれです。

例題4-3(三角方程式) 0 ≤ θ < 2π のとき、2cos2θ + 3sinθ − 3 = 0 を解いてください。

手順1:1種類にそろえる。cos2θ = 1 − sin2θ を代入します。
2(1 − sin2θ) + 3sinθ − 3 = 0
−2sin2θ + 3sinθ − 1 = 0
両辺に −1 を掛けて 2sin2θ − 3sinθ + 1 = 0

手順2:置きかえて解く。t = sinθ とおくと −1 ≤ t ≤ 1
2t2 − 3t + 1 = (2t − 1)(t − 1) = 0 → t = 1/2, 1
どちらも −1 ≤ t ≤ 1 を満たすので、両方使えます。

手順3:θ に戻す。単位円を描いて数えます。
sinθ = 1/2 → θ = π/6, 5π/62個
sinθ = 1 → θ = π/21個

答えθ = π/6, π/2, 5π/6

確認θ = π/2 のとき 2 × 0 + 3 × 1 − 3 = 0θ = π/6 のとき 2 × (3/4) + 3 × (1/2) − 3 = 1.5 + 1.5 − 3 = 0。合っています。

個数の感覚sinθ = k の解は、0 ≤ θ < 2π では |k| < 1 なら2個、|k| = 1 なら1個、|k| > 1 なら0個。ここを押さえておくと、解の個数を問う問題が速くなります。

例題4-4(有名問題) tan1° は有理数か。(2006年 京都大学)

この問題が有名な理由:問われているのは計算ではなく、「証明の方針を自分で選べるか」です。tan1° の値を求めることはできません。だから背理法を使います。

方針tan1° が有理数だと仮定して、矛盾を導きます。

証明 tan1° が有理数であると仮定します。

正接の加法定理より
tan(α + β) = (tanα + tanβ) / (1 − tanα tanβ)

ここで tanαtanβ がともに有理数なら、右辺は有理数どうしの四則演算なので有理数です(分母が0でない限り)。

したがって、tan1° が有理数なら
tan2° = tan(1° + 1°) も有理数、
tan3° = tan(2° + 1°) も有理数、
と順に進んで、すべての自然数 n について tan(n°) が有理数になります。

ところが n = 30 のとき
tan30° = 1/√3
であり、これは無理数です。これは矛盾です。

よって tan1° は有理数ではありません。(証明終わり)

答え有理数ではない

どこが山場だったか30°加法定理でつなげると気づけたかだけです。30° は「値がわかっていて、しかも無理数」という都合のよい角。ここに向かって階段を上るのが、この問題の骨格です。

補足(答案を厳密にするなら):「すべての n で有理数」の部分は、数学的帰納法で書くとより丁寧です(第8章)。また、途中で分母 1 − tanα tanβ が0になる場合は tan が定義されない角なので、 から 30° までの範囲ではその心配がないことを一言添えると万全です。

持ち帰るべき型「〜でないことを示せ」は背理法。そして「1つでも反例が言えれば矛盾」。この2つは、単元を問わず効きます。

例題4-5(三角不等式) 0 ≤ θ < 2π のとき、sinθ − √3 cosθ ≥ 1 を解いてください。

考え方sincos が混ざったままでは範囲が読めないので、合成して1つの sin にまとめます。ここまでは最大最小のときと同じ手です。違うのはこの先——合成したら、角の範囲も一緒に書き換えるところです。

sinθ − √3 cosθ = 2 sin(θ − π/3) なので、不等式は 2 sin(θ − π/3) ≥ 1、つまり sin(θ − π/3) ≥ 1/2

ここで t = θ − π/3 と置いたら、t の動く範囲を必ず書きます。
 0 ≤ θ < 2π → −π/3 ≤ t < 5π/3

この範囲で sin t ≥ 1/2 となるのは π/6 ≤ t ≤ 5π/6θ = t + π/3 に戻して
 π/6 + π/3 ≤ θ ≤ 5π/6 + π/3 → π/2 ≤ θ ≤ 7π/6

答えπ/2 ≤ θ ≤ 7π/6

確認:両端を代入すると、θ = π/21 − √3 × 0 = 1θ = 7π/6−1/2 − √3 × (−√3/2) = 1。どちらもちょうど等号なので、端を含めて正しいとわかります。範囲の外の θ = 0 では −√3 ≒ −1.73 で成り立ちません。もし t の範囲を書き換えず 0 ≤ t < 2π のまま解くと、この端がずれます。置きかえたら範囲も置きかえる——これがこの単元で最も多い失点です。

この単元のチェックリスト

確認すること できていないと起きること
sin と cos を1種類にそろえたか 方程式が解けない
置きかえたら範囲も書いたか 範囲外の解を拾う
合成のあと角の範囲を直したか 取れない最大最小を答える
単位円で解の個数を数えたか 解を書き落とす
周期を 2π/k で計算したか 個数が倍または半分になる
元の式に戻して確かめたか 合成の計算ミスに気づけない

もっと解きたい方へ 👉 三角関数(基本)の特訓道場(単位円1枚で解く20題)

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第5章 指数関数・対数関数

対数は「何乗すればその数になるか」を表す記号です。log28 = 3 は「2を3乗すると8」という意味しかありません。ここを言葉で言い直せるかどうかで、この単元の見え方がまったく変わります。

そして対数は、掛け算を足し算に変える道具です。だから桁数や最高位の数字といった「巨大な数の話」が扱えるようになります。

ここが怪しければ先に数と式(数学I・A) / この先つながる関数の極限と連続性(数学III)微分法(数学III) / この単元の解法パターン指数・対数 全13型

使う道具

道具 使いどころ
指数法則 aman = am+n、(am)n = amn すべての基本
負・分数の指数 a−n = 1/an、a1/n = n√a √を指数に直して計算
対数の定義 ap = M ⇔ p = logaM いつでもここに戻る
真数条件・底の条件 M > 0、a > 0 かつ a ≠ 1 答えを絞る条件になる
積・商・累乗 log(MN) = logM + logN 掛け算を足し算に変える
  log Mk = k log M 指数を前に出す
底の変換 logab = logcb / logca 底をそろえて比べる
グラフ y = ax と y = logax は y = x について対称 逆の関係
不等号の向き 0 < a < 1 なら不等号が反転 底が1より小さいとき要注意
桁数 log10N = n + α(0 ≤ α < 1)なら n+1 桁 巨大な数の桁数
最高位 小数部分 α から 10α を評価 先頭の数字を出す

定石

指数関数と対数関数のグラフy イコール 2 の x 乗のグラフと、y イコール ログ2 x のグラフは、直線 y イコール x について対称になる。互いに逆関数の関係にある。底が1より小さい y イコール 2分の1 の x 乗は右下がりになり、不等式を解くときは不等号の向きが変わる。xyO-224-224y = 2ˣy = log₂xy = (1/2)ˣy = x指数と対数は y = x について対称(互いに逆関数)底が 1 より小さいと右下がり。不等式では向きが変わる
図9 指数と対数は y = x について対称(互いに逆関数)。底が 1 より小さいと右下がりになり、不等式では向きが変わります

対数の式は、まず「底をそろえて、1つのlogにまとめる」

手順
真数条件を先に書く(あとから書くと忘れます)
② 底の変換公式で、底をすべて同じにする
③ 積・商・累乗の公式で、log を1つにまとめる
logaM = logaN ⇔ M = Nlog を外す
①の条件で解を絞る

①と⑤はセットです。真数条件を書いた瞬間に、答えの一部が消えることが確定します。あとで思い出すのではなく、最初に書いてしまってください。

指数方程式は、置きかえてただの2次方程式にする

4x − 3 · 2x − 4 = 0 は、4x = (22)x = (2x)2 に気づけば t = 2x の2次方程式です。置きかえたら t > 0 を必ず書く——指数関数の値は必ず正だからです。

指数方程式は置きかえて2次方程式にする4のx乗マイナス3かける2のx乗マイナス4イコール0という方程式。4のx乗は2のx乗の2乗と書けるので、tイコール2のx乗とおくと、tの2乗マイナス3tマイナス4イコール0というただの2次方程式になる。因数分解するとtは4かマイナス1だが、2のx乗はいつも正なのでtは4。2のx乗が4だからxは2。置きかえたときは、その文字の範囲を必ず書く。4ˣ − 3・2ˣ − 4 = 0 を解く4ˣ を 2ˣ の式に書きかえる4ˣ = (2²)ˣ = (2ˣ)²t = 2ˣ とおくt > 0(2ˣ はいつも正)ただの2次方程式になるt² − 3t − 4 = 0因数分解する(t − 4)(t + 1) = 0 t = 4, −1t > 0 で絞るt = 4 ⇒ 2ˣ = 42ˣ = 4 なので x = 2置きかえたら、その文字の範囲を必ず書く(t = −1 は 2ˣ > 0 に反するので不適)
図10 4x(2x)2 と見た瞬間に、見慣れた2次方程式に変わります。置きかえで大事なのは、新しい文字の範囲を書くこと——t > 0 を書いていないと、t = −1 を答えに混ぜてしまいます。

大小比較は「同じ底にそろえる」か「両方をk乗して比べる」

log23log35 のように底が違うものを比べるには、どちらも「◯乗すると△」の形に戻して、△どうしを比べます

桁数と最高位は、常用対数の「整数部分」と「小数部分」を分ける

常用対数から桁数と最高位を読む上の数直線は常用対数の値を並べたもの。2の30乗の常用対数は9.030で、整数部分が9なので10の9乗以上10の10乗未満、つまり10桁とわかる。下の数直線は0から1までを、1から10までの常用対数の値で区切ったもの。小数部分0.030は最初の区間に入るので、最高位の数字は1になる。実際に2の30乗は1073741824で、10桁・最高位1である。整数部分が桁数を決めるlog₁₀(2³⁰) = 30 × 0.3010 = 9.0309桁10桁11桁8910119.0309 以上 10 未満 → 10⁹ 以上 10¹⁰ 未満 → 10桁小数部分が最高位を決める10⁰·⁰³⁰ ≒ 1.07 → 最高位は 112345678910最高位 10.030目盛は log₁₀1, log₁₀2, …, log₁₀10。0.030 は最初の区間に入る確かめ:2³⁰ = 1073741824(10桁・最高位 1)
図11 常用対数の値を整数部分と小数部分に分けると、整数部分が桁数を、小数部分が最高位の数字を決めます。下の数直線の目盛は log₁₀1, log₁₀2, …, log₁₀10。小数部分がどの区間に入るかを見るだけです。

log10N = n + αn は整数、0 ≤ α < 1)と書けたとき
桁数n + 1
最高位の数字10α の整数部分

理由は単純で、N = 10n × 10α であり、10α1 以上 10 未満だからです。整数部分が桁を、小数部分が先頭の数字を決めている——この構造だけ理解しておけば、公式は覚えなくても再現できます。

つまずきポイント

① 真数条件を書かない。この単元で最も多い失点です。log2(x − 1) があれば x > 1方程式を解いたあとに、この条件で必ず解を選別してください。

② 底が1より小さいとき、不等号の向きを変えない。log1/2x > log1/23x > 3 ではなく 0 < x < 3 です。底が1より小さい対数は「大きい真数ほど小さい値」になります。指数関数 y = (1/2)x が右下がりなのと同じことです。

log(M + N)logM + logN にする。これは誤りです。足し算に変わるのは掛け算のときだけ。log(MN) = logM + logN です。

(log x)2log x2 を混同する。前者は log x を2乗したもの、後者は 2 log x です。まったく別物なので、括弧の位置を毎回確認してください。

⑤ 指数方程式で t > 0 を書かない。t = 2x と置いたとき、t は必ず正です。2次方程式の解に負の値が出たら、それは捨てます。

⑥ 桁数で「+1」を忘れる。log10N = 19.084 なら N20桁です。19桁ではありません。log10100 = 2 で100は3桁、という小さい例で毎回確かめてください。

例題

例題5-1(対数方程式・真数条件) log2(x − 1) + log2(x + 2) = 2 を解いてください。

手順1:真数条件を先に書く。
x − 1 > 0 かつ x + 2 > 0 → x > 1

手順2:1つの log にまとめる。
log2{(x − 1)(x + 2)} = 2

手順3:定義に戻して log を外す。「2を2乗すると真数」なので
(x − 1)(x + 2) = 22 = 4

手順4:解く。
x2 + x − 2 = 4 → x2 + x − 6 = 0 → (x + 3)(x − 2) = 0 → x = −3, 2

手順5:条件で絞る。x > 1 より x = −3 は不適。

答えx = 2

確認log21 + log24 = 0 + 2 = 2。合っています。もし真数条件を書かなければ x = −3 も答えてしまい、それだけで大きな失点になります。

例題5-2(大小比較) log23log353/2 を小さい順に並べてください。

考え方:底が違うので直接は比べられません。3/2 を「◯乗」の形にして、真数どうしを比べます。

log233/2 の比較
3/2 = log223/2 = log2(2√2)
2√2 ≒ 2.83 < 3 であり、底2は1より大きいので
log2(2√2) < log23 すなわち 3/2 < log23

log353/2 の比較
3/2 = log333/2 = log3(3√3)
3√3 ≒ 5.20 > 5 であり、底3は1より大きいので
log35 < log3(3√3) すなわち log35 < 3/2

答えlog35 < 3/2 < log23

確認:電卓で見ると log35 ≒ 1.4653/2 = 1.5log23 ≒ 1.585。順序が合っています。

比較の技術2√23 の比較は、両方2乗して 8 < 9 と見るのが確実です。3√35 なら 27 > 25√が入った大小比較は2乗する——数学I・Aの不等式証明で使った手が、そのまま効きます。

例題5-3(桁数と最高位) 340 は何桁の整数で、最高位の数字は何ですか。ただし log103 = 0.4771 とします。

手順1:常用対数を取る。
log10340 = 40 log103 = 40 × 0.4771 = 19.084

手順2:整数部分から桁数を出す。整数部分が 19 なので
1019 ≤ 340 < 1020
よって 34020桁

手順3:小数部分から最高位を出す。小数部分は 0.084100.084 がいくつかを、覚えている対数の値ではさみます。
log101 = 0log102 = 0.3010 なので
0 < 0.084 < 0.3010 → 1 < 100.084 < 2

つまり 340 = 1019 × 100.084100.084 の部分が1台なので、最高位の数字は 1

答え20桁で、最高位の数字は 1

確認:実際に計算すると 340 = 12157665459056928801。数えると20桁、先頭は1。合っています。

この構造を覚える整数部分が「10の何乗の位か」=桁、小数部分が「先頭の数字」。この2つは独立していて、それぞれ別の情報を持っています。公式を暗記するのではなく、N = 10整数 × 10小数 という分解を思い出せば、その場で作り直せます。

例題5-4(指数方程式・置きかえ) 4x − 3 · 2x − 4 = 0 を解いてください。

手順1:底をそろえる。4x = (22)x = (2x)2

手順2:置きかえる。t = 2x とおくと、指数関数の値は必ず正なので t > 0
t2 − 3t − 4 = 0 → (t − 4)(t + 1) = 0 → t = 4, −1

手順3:条件で絞る。t > 0 より t = −1 は不適。t = 4

手順4:x に戻す。2x = 4 = 22 → x = 2

答えx = 2

確認42 − 3 × 22 − 4 = 16 − 12 − 4 = 0。合っています。

置きかえの作法:第4章で t = sinθ と置いたときに −1 ≤ t ≤ 1 を書いたのと、まったく同じことをしています。置きかえたら、新しい文字が動ける範囲を必ず書く。この一手で、拾ってはいけない解が自動的に落ちます。

例題5-5(対数不等式・底が1より小さい) log1/2(x − 1) ≥ −2 を解いてください。

考え方:対数の不等式でやることは2つだけです。①真数条件を先に書く ②両辺を同じ底の対数にそろえる。そのうえで、底が1より小さいときは不等号の向きが変わる——ここがこの単元でいちばん落とすところです。

① 真数条件x − 1 > 0 より x > 1解き始める前に書きます。あとから書くと、出てきた解のどれを捨てるべきか判断できなくなります。

② 右辺を対数に直す(1/2)−2 = 4 なので −2 = log1/24。不等式は
 log1/2(x − 1) ≥ log1/24

③ 底で向きを決める:底 1/2 は 1 より小さいので、y = log1/2t右下がり。対数が大きいほど真数は小さいので、不等号が反転して
 x − 1 ≤ 4 → x ≤ 5

①と合わせて 1 < x ≤ 5

答え1 < x ≤ 5

確認:端で確かめます。x = 5 なら log1/24 = −2ちょうど等号x = 6 なら log1/25 ≒ −2.32 で成り立ちません。x = 2 なら log1/21 = 0 ≥ −2 で成り立ちます。範囲の内側と外側を1つずつ代入すると、向きを取り違えていないか確かめられます。
もし底が 2 だったら向きは変わらず x − 1 ≥ 4、つまり x ≥ 5 になります。底を見た瞬間に向きを決める——この一手を先に済ませておくと、途中で迷いません。

この単元のチェックリスト

確認すること できていないと起きること
真数条件を最初に書いたか 不適な解を答えてしまう
底が1より小さくないか確認したか 不等号の向きを間違える
置きかえたら t > 0 を書いたか 負の解を拾う
桁数で +1 したか 1桁ずれる
最高位は小数部分から出したか 整数部分と混同する
大小比較で底をそろえたか 比べられないまま止まる

もっと解きたい方へ 👉 指数・対数の特訓道場(20題と全解説)

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第6章 微分法(数学II)

微分は「その瞬間の傾き」を出す道具です。傾きがわかると、グラフの形(上がっているか下がっているか)がわかり、形がわかると最大最小や方程式の解の個数が読み取れます。

数学IIで扱うのは整式だけなので、計算は驚くほど単純です。難しいのは計算ではなく、「何のために微分するのか」を見失わないことです。

ここが怪しければ先に2次関数(数学I・A)一次関数(中2) / この先つながる積分法(数学II)微分法(数学III) / この単元の解法パターン微分法(数II) 全11型

使う道具

道具 使いどころ
微分係数 f′(a) = limh→0 {f(a+h) − f(a)} / h 定義。x = a での傾き
導関数の公式 (xn)′ = nxn−1、(定数)′ = 0 実際の計算はこれだけ
接線 y = f′(a)(x − a) + f(a) 接点を文字でおくのが定石
増減 f′(x) > 0 で増加、< 0 で減少 増減表を書く
極値 f′(x) = 0 の前後で符号が変わる点 符号変化がなければ極値でない
3次関数の形 極値をもつ ⇔ f′(x) = 0 が異なる2実解 判別式で判定
方程式の解の個数 f(x) = k グラフと横線 y = k の交点
不等式の証明 (左辺)−(右辺)の最小値 ≥ 0 微分して最小値を出す
定義域つき最大最小 極値と両端の値を比べる 端を忘れると間違える

定石

接線は「接点を文字でおく」

曲線の外の点から接線を引く問題は、接点がどこかわからないのが難しさの正体です。だから接点を (t, f(t)) とおいて、通る点の条件から t を求めます

接線は接点を文字でおいてから条件を入れる放物線yイコールxの2乗に、点1とマイナス3から接線を引く。接点を t と t の2乗とおくと、接線は y イコール 2tx マイナス t の2乗。ここに点1とマイナス3を代入すると t の2次方程式になり、t は3とマイナス1。つまり接線は y イコール 6x マイナス 9 と、y イコール マイナス2x マイナス1 の2本。通る点は接点ではないので、取り違えないこと。y = x² へ、点 (1, −3) から引ける接線(3, 9)(−1, 1)(1, −3)接点を文字でおくのが先① 接点を (t, t²) とおく② 接線は y = 2tx − t²③ (1, −3) を代入する−3 = 2t − t²t² − 2t − 3 = 0 t = 3, −1y = 6x − 9 と y = −2x − 1通る点を接点と取り違えないこと
図12 接点がわからないから、先に文字でおく——それだけの話です。図の (1, −3)通る点であって接点ではありません。ここを取り違えると、いきなり式が合わなくなります。t の方程式が2つの解を持てば、接線も2本引けます。

手順
① 接点を (t, f(t)) とおく
② 接線の式 y = f′(t)(x − t) + f(t) を書く
通るべき点の座標を代入して、t の方程式にする
t を解く(解の個数=接線の本数
⑤ 各 t を②に戻して接線の式を書く

④が急所です。「点を通る」という条件を、接点を表す文字の方程式に変換している——ここが見えていれば、接線の本数を問う問題も同じ形で処理できます。

増減表は「f′の符号」から書く。極値は符号変化で決まる

f′ の符号と増減の対応上は3次関数のグラフ、下はその導関数のグラフで、横の位置をそろえて並べてある。導関数が正の区間ではもとの関数が増加し、負の区間では減少する。導関数の符号がプラスからマイナスに変わるところが極大、マイナスからプラスに変わるところが極小になる。この例では、エックスがマイナス1で極大2、エックスが1で極小マイナス2。xO-2-112-22f(x) = x³ − 3x極大 2極小 −2増加減少増加xO-2-1124f′(x) = 3x² − 3 = 3(x + 1)(x − 1)f′ の符号が変わるところが、そのまま極値
図13 上下で横の位置をそろえて並べてあります。f′ が正の区間で f は増加、負の区間で減少。符号が変わるところが、そのまま極値です。増減表は、この対応を表にしただけのものだと考えてください。

f′(x) = 0 を解いただけでは極値かどうかわかりません。f′ の符号がその前後で変わっているかを見ます。

f(x) = x3f′(0) = 0 ですが、f′(x) = 3x2 ≥ 0 なので符号が変わりません。だから x = 0極値ではありませんf′(a) = 0 は極値であるための必要条件であって、十分条件ではない——数学I・Aの必要十分の話が、ここで効いてきます。

方程式の解の個数は、グラフと横線の交点に読みかえる

x3 − 3x2 − 9x + 5 = k の実数解の個数は、y = x3 − 3x2 − 9x + 5 のグラフと横線 y = k の交点の個数です。横線を上下に動かすだけで、個数の変わり目が極大値と極小値だと目で見えます。

3次関数のグラフと実数解の個数y = x³ − 3x² − 9x + 5 のグラフに横線 y = k を引く図。k が極小値と極大値の間にあるとき、交点が3個になり、方程式は異なる3つの実数解をもつ。-30-20-1001020xyO-224極大 10極小 −22y = k−22 < k < 10 のとき、横線との交点は3個
図14 f(x) = k の実数解の個数は、グラフと横線 y = k の交点の個数。横線を上下に動かすと、個数の変わり目が極大値と極小値だと目で見えます。

定義域があるときは、必ず両端も調べる

極値だけを比べると間違えます。端点の値も候補に入れて、全部並べて比べる——これは数学I・Aの2次関数と完全に同じ作法です。

つまずきポイント

① 曲線上の点における接線と、曲線外の点から引く接線を混同する。「点 A における接線」なら A が接点。「点 A を通る接線」なら A は接点とは限りません。「における」と「を通る」で方針がまったく変わります。

f′(a) = 0 だから極値だと決めつける。符号変化がなければ極値ではありません。増減表を書けば自動的に判定できるので、面倒でも表を書いてください。

③ 定義域の端を調べない。−2 ≤ x ≤ 4 における最大値」なら、x = −2x = 4 の値も必ず計算します。極大値が最大値とは限りません。

④ 「極大値」と「最大値」を同じ意味で使う。極大はその近くで一番高いという意味で、全体で一番高いとは限りません。答案では言葉を使い分けてください。

⑤ 3次関数が極値をもたない場合を考えない。f′(x) = 0 が重解または実数解をもたないとき、3次関数は単調増加(または単調減少)で極値をもちません。「極値をもつ条件」を問われたら、判別式が正だと答えます。

⑥ 微分してから、元の関数の値を求め忘れる。接線の式には f(t) も必要です。f′(t) だけ計算して止まらないように。

例題

例題6-1(曲線外の点から引く接線) 曲線 y = x3 に点 A(2, 0) から引いた接線の方程式を、すべて求めてください。

手順1:接点を文字でおく。接点を (t, t3) とします。y′ = 3x2 なので、この点での傾きは 3t2

手順2:接線の式を書く。
y = 3t2(x − t) + t3

手順3:A(2, 0) を通る条件を書く。
0 = 3t2(2 − t) + t3 = 6t2 − 3t3 + t3 = 6t2 − 2t3
2t2(3 − t) = 0 → t = 0(重解)、t = 3

手順4:接線の式に戻す。
t = 0:傾き 0、接点 (0, 0) → y = 0
t = 3:傾き 27、接点 (3, 27) → y = 27(x − 3) + 27 = 27x − 54

答えy = 0y = 27x − 542本

確認y = 27x − 54x = 2 を入れると 54 − 54 = 0。確かに A(2, 0) を通ります。

重解の意味t = 0 は重解でしたが、接線としては1本です。t の方程式の解の個数と接線の本数は、異なる t の個数で数えます(同じ t からは同じ接線しか出ません)。ここは数え間違えやすい部分です。

例題6-2(極値) f(x) = x3 − 3x2 − 9x + 5 の極値を求めてください。

手順1:微分する。
f′(x) = 3x2 − 6x − 9 = 3(x2 − 2x − 3) = 3(x − 3)(x + 1)

手順2:増減表を書く。f′(x) = 0 となるのは x = −1, 3

x −1 3
f′(x) 0 0
f(x) 増加 極大 10 減少 極小 −22 増加

手順3:値を計算する。
f(−1) = −1 − 3 + 9 + 5 = 10
f(3) = 27 − 27 − 27 + 5 = −22

答えx = −1 で極大値 10x = 3 で極小値 −22

符号の見方f′(x) = 3(x − 3)(x + 1) は下に凸の2次関数なので、2解の外側で正、内側で負。増減表の符号は、この形から一瞬で書けます。いちいち値を代入しなくてよいのがポイントです。

例題6-3(方程式の実数解の個数) x3 − 3x2 − 9x + 5 = k が異なる3つの実数解をもつような定数 k の値の範囲を求めてください。

考え方:左辺を y = f(x) のグラフ、右辺を横線 y = k と見て、交点の個数を数えます。

例題6-2から、このグラフは x = −1 で極大値 10x = 3 で極小値 −22 をとる3次関数です。

横線 y = k を下から上に動かすと、交点の個数は
k < −22 → 1個
k = −22 → 2個(極小点で接する)
−22 < k < 10 → 3個
k = 10 → 2個(極大点で接する)
k > 10 → 1個

答え−22 < k < 10

確認k = 0 のとき x3 − 3x2 − 9x + 5 = 0f(−2) = 3 > 0f(−1) = 10 > 0f(0) = 5 > 0f(1) = −6 < 0f(3) = −22 < 0f(5) = 10 > 0。符号が3回変わっているので、実数解は3個。合っています。

境界を含まない理由k = 10 だと、極大点で接してしまい、そこは重解になります。「異なる3つの解」ではなくなるので除きます。等号を含めるかどうかは、必ず境界の状況を1つずつ確かめて決めてください。

例題6-4(定義域つきの最大最小) f(x) = x3 − 3x2 − 9x + 5−2 ≤ x ≤ 4 における最大値と最小値を求めてください。

考え方:候補は「極値をとる点」と「定義域の両端」。この4つを全部計算して並べます。

x −2(左端) −1(極大) 3(極小) 4(右端)
f(x) 3 10 −22 −15

例題6-5(極値をもつ条件) f(x) = x3 + ax2 + 3x + 1 が極値をもつような定数 a の範囲を求めてください。

考え方:極値の有無を、グラフを描かずに判定する問題です。使うのは1行の言いかえだけ——「極値をもつ」⇔「f′(x) = 0 が異なる2つの実数解をもつ」
なぜかというと、f′符号を変えるところでしか極値は起きないからです。f′(x) = 0 が重解だと、そこで f′ は 0 に触れるだけで符号が変わりません。

f′(x) = 3x2 + 2ax + 3。これが異なる2つの実数解をもつ条件は、判別式が正であることなので
 D / 4 = a2 − 3 × 3 = a2 − 9 > 0 → (a + 3)(a − 3) > 0 → a < −3 または a > 3

答えa < −3 または a > 3

確認:境目を調べます。a = 3 のとき f′(x) = 3x2 + 6x + 3 = 3(x + 1)2 となり、x = −1 で 0 になりますがつねに 0 以上——符号が変わらないので極値になりません。だから境目は含めません。a = 0 なら f′(x) = 3x2 + 3 > 0 で、そもそも解がなく単調増加です。
なお x3 の係数が正なので、極値をもつときは必ず極大と極小が1つずつそろいます。「極値をもつ」と「極大値だけをもつ」は3次関数では同じことにならない——問題文がどちらを聞いているかを読み分けてください。

計算の内訳:
f(−2) = −8 − 12 + 18 + 5 = 3
f(4) = 64 − 48 − 36 + 5 = −15

答えx = −1 のとき最大値 10x = 3 のとき最小値 −22

ここに注意:この問題ではたまたま極大=最大、極小=最小になりましたが、いつもそうとは限りません。たとえば定義域が −2 ≤ x ≤ 0 なら、最大は極大の 10 のままですが、最小は極小ではなく右端 f(0) = 5 になります。だから毎回、端の値も表に並べるのです。

この単元のチェックリスト

確認すること できていないと起きること
「における」か「を通る」かを読んだか 接点の置き方を間違える
接点を文字でおいたか 曲線外からの接線が求まらない
増減表で符号変化を確認したか 極値でない点を極値と書く
定義域の端も計算したか 最大最小を取り違える
解の個数はグラフと横線で数えたか 場合分けが立たない
境界(等号)を1つずつ確かめたか 範囲の端を含め違える

もっと解きたい方へ 👉 微分(基本)の特訓道場(20題と全解説)

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第7章 積分法(数学II)

積分は微分の逆算です。「微分すると f(x) になる関数は何か」を探しているだけなので、微分ができれば積分もできます。

そのうえで、定積分には「面積を出す」というもう1つの顔があります。この2つの顔がつながっている——それがこの単元の中身です。

ここが怪しければ先に微分法(数学II) / この先つながる積分法(数学III) / この単元の解法パターン積分法(数II) 全14型

使う道具

道具 使いどころ
不定積分 ∫xndx = xn+1/(n+1) + C +C を忘れない
定積分 abf(x)dx = F(b) − F(a) 数値が出る(Cは消える)
上端下端の入れかえ ab = −∫ba 符号が変わる
面積(上−下) S = ∫ab{上の関数 − 下の関数}dx 順序を逆にすると負になる
6分の1公式 αβ(x−α)(x−β)dx = −(β−α)3/6 放物線と直線で囲む面積
偶関数・奇関数 −aa(奇関数)dx = 0 計算量が半分以下になる
絶対値つき 中身の符号で区間を分ける 符号が変わる点が境目
定積分と微分 d/dx ∫axf(t)dt = f(x) 上端が変数のとき
定積分を含む方程式 01f(t)dt はただの定数 文字で置いて連立

定石

面積は「上 − 下」を、交点から交点まで

面積は「上 − 下」を交点から交点まで上の図は、放物線 ワイイコール エックスの2乗 と 直線 ワイイコール エックスたす2 にはさまれた部分に色をつけたもの。交点はマイナス1と2で、上にある直線から下にある放物線を引いて積分すると、面積は2分の9になる。下の図は、エックス軸より下にある放物線と エックス軸 にはさまれた部分。この場合も上にある エックス軸 から下にある放物線を引けばよく、面積は3分の32になる。絶対値をつける必要はない。xO-2-112324上 − 下 を、交点から交点まで∫(x + 2 − x²)dx (−1 ≤ x ≤ 2)= 9/2y = x²y = x + 2xO-3-223-4-22x 軸より下でも、やることは同じ上(y = 0)− 下(y = x² − 4)= 4 − x²面積 = 32/3y = x² − 4「面積だから絶対値をつける」は不要。上にある式から下にある式を引くだけ
図15 面積は「上にある式 − 下にある式」を、交点から交点まで積分するだけです。x 軸より下でもやることは変わりません。「面積だから絶対値をつける」は不要で、どちらが上かだけを見てください。

手順
交点を求める(これが積分区間の端になる)
② グラフを描いて、どちらが上かを確認する
∫(上 − 下)dx を計算する

②を省くと符号を間違えます。面積は必ず0以上なので、負の値が出たら上下が逆です。

放物線と直線なら、6分の1公式で一撃

被積分関数が (x − α)(x − β) の形(α < β)に因数分解できるなら、展開せずに
αβ(x − α)(x − β)dx = −(β − α)3/6
が使えます。面積を出すときは符号を反転させて (β − α)3/6 です。

放物線と直線で囲まれた面積(6分の1公式)y = x² と y = x + 2 で囲まれた部分の面積は、2つの交点の間隔の3乗を6で割った値になる。間隔が3なので、面積は27割る6で2分の9。xyO-2-112312345(−1, 1)(2, 4)y = x²y = x + 2Sβ − α = 3S = (β−α)³/6 = 27/6 = 9/2
図16 面積は2つの交点の間隔だけで決まります。αβ が具体的にいくつかは関係なく、差の3乗を6で割る——それが6分の1公式です。

覚えるべきは「差の3乗を6で割る」だけです。αβ の具体的な値ではなく、2つの交点の間隔で決まる——ここが面白いところです。

絶対値がついたら、中身が0になる点で区間を割る

|x2 − 1| なら、x = ±1 が境目。積分区間の中に境目があるかどうかを確認してから、区間を分けます。数学I・Aの絶対値つき方程式と、やっていることは同じです。

絶対値つきの積分は中身が0になる点で割るyイコールxの2乗マイナス1の絶対値のグラフ。中身が0になるのはxがプラスマイナス1なので、区間をマイナス2からマイナス1、マイナス1から1、1から2の3つに割る。真ん中では中身が負なので符号を変え、両側はそのまま積分する。3つとも面積は3分の4で、合計は4になる。絶対値はつけたまま積分できない。y = |x² − 1|-114/34/34/3絶対値は「中身が0になる点」で割るx² − 1 = 0 ⇒ x = ±1 で区間を3つに−2 ≦ x ≦ −1 中身は正 → そのまま−1 ≦ x ≦ 1 中身は負 → 符号を変える1 ≦ x ≦ 2 中身は正 → そのまま4/3 + 4/3 + 4/3 = 4絶対値のまま積分しない。必ず外してから
図17 絶対値はつけたままでは積分できません。中身が 0 になる点で区間を割り、負になる区間だけ符号を変えます。図では3つに割れて、どの区間も面積は 4/3、合計 4積分区間の中に境目があるかどうかを先に確認するのが手順です。

定積分の中に f が入っていたら、その部分は「定数」

01f(t)dt は、t で積分してしまうので x が残りません。つまりただの数です。だから a とでも置いて、あとで a の方程式を立てます。

つまずきポイント

① 不定積分で + C を書かない。不定積分の答えは1つではなく、定数の分だけ無限にあります。定積分では消えますが、不定積分では必須です。

② 面積で「上 − 下」を逆にする。結果が負になったら、必ず上下が逆です。グラフを描かずに式だけで進めると、ほぼ確実に間違えます。

③ x 軸より下の部分を、そのまま足す。「曲線と x 軸で囲まれた面積」なら、x 軸より下の部分は積分値が負になります。面積として足すなら符号を反転させます(=絶対値をつけて積分する)。

④ 6分の1公式を、放物線でないものに使う。この公式は (x−α)(x−β)2次式のときだけです。3次以上には使えません。

⑤ 絶対値の区間分割で、積分区間の外の境目まで分ける。03|x2−1|dx なら、境目は x = 1 だけです(x = −1 は区間の外)。区間の中にある境目だけで分けます。

axf(t)dt を微分したあと、a を求めるのを忘れる。微分すると a の情報が消えます。x = a を代入すると左辺が0になることを使って、別に求めてください。

例題

例題7-1(定積分の基本) 02(3x2 − 2x + 1)dx を計算してください。

考え方:各項を積分して、上端と下端を代入して引きます。

∫(3x2 − 2x + 1)dx = x3 − x2 + x(定積分なので +C は不要)

[x3 − x2 + x]02 = (8 − 4 + 2) − 0 = 6

答え6

検算のコツ:積分した結果 x3 − x2 + x微分し直す3x2 − 2x + 1。元に戻りました。積分は微分で検算できる——これは全問で使えます。

例題7-2(放物線と直線で囲む面積) 放物線 y = x2 と直線 y = x + 2 で囲まれた部分の面積を求めてください。

手順1:交点を求める。
x2 = x + 2 → x2 − x − 2 = 0 → (x − 2)(x + 1) = 0 → x = −1, 2

手順2:どちらが上かを確認する。x = 0 のとき、放物線は 0、直線は 2直線のほうが上です。

手順3:積分する。
S = ∫−12{(x + 2) − x2}dx

6分の1公式を使う場合:被積分関数は −(x2 − x − 2) = −(x + 1)(x − 2) なので
S = (2 − (−1))3 / 6 = 33 / 6 = 27/6 = 9/2

まともに計算する場合
[x2/2 + 2x − x3/3]−12 = (2 + 4 − 8/3) − (1/2 − 2 + 1/3) = 10/3 + 7/6 = 27/6 = 9/2

答え9/2

どちらで解いてもよい:公式を使うと速いですが、使えるのは「2次式で、しかも囲まれた面積」のときだけです。使えない形が来たら普通に積分する——それだけの話なので、両方できるようにしておくのが安全です。

例題7-3(絶対値つき定積分) 03|x2 − 1|dx を計算してください。

手順1:中身が0になる点を探す。x2 − 1 = 0 より x = ±1積分区間 0 ≤ x ≤ 3 の中にあるのは x = 1 だけです。

手順2:符号を調べて区間を分ける。
0 ≤ x < 1 のとき x2 − 1 < 0 なので |x2−1| = 1 − x2
1 ≤ x ≤ 3 のとき x2 − 1 ≥ 0 なので |x2−1| = x2 − 1

手順3:それぞれ積分して足す。
01(1 − x2)dx = [x − x3/3]01 = 1 − 1/3 = 2/3
13(x2 − 1)dx = [x3/3 − x]13 = (9 − 3) − (1/3 − 1) = 6 + 2/3 = 20/3

2/3 + 20/3 = 22/3

答え22/3

確認:値は約 7.33。絶対値がなければ 03(x2−1)dx = 6 なので、絶対値をつけたぶんだけ大きくなっている(負だった部分が正に折り返された)。2/3 の2倍が増えた分で、6 + 4/3 = 22/3。つじつまが合っています。

ここが定石:絶対値は「グラフを x 軸で折り返す」操作です。折り返す場所=中身が0になる点。だからまず中身の符号を調べる——それだけです。

例題7-4(定積分で表された関数) axf(t)dt = x2 − 3x + 2 がすべての x について成り立つとき、関数 f(x) と定数 a を求めてください。

手順1:両辺を x で微分する。左辺は f(x) になります。
f(x) = 2x − 3

手順2:a を求める。微分すると a の情報が消えてしまうので、別に求めます。x = a を代入すると、左辺は aaf(t)dt = 0 です。
0 = a2 − 3a + 2 = (a − 1)(a − 2) → a = 1, 2

答えf(x) = 2x − 3a = 1 または a = 2

確認a = 1 のとき 1x(2t − 3)dt = [t2 − 3t]1x = (x2 − 3x) − (1 − 3) = x2 − 3x + 2。合っています。a = 2 でも (x2−3x) − (4−6) = x2−3x+2 で成立。答えが2つあるのが正解です。

この2段構えを覚える① 微分して関数を出す ② 上端=下端を代入して定数を出す。微分だけで終わると a が求まらず、代入だけでは f が求まりません。2つの操作が別々の情報を取り出している——ここを理解しておくと、形が変わっても対応できます。

例題7-5(2曲線で囲む面積・上下が入れかわる) 曲線 y = x3 と直線 y = x で囲まれた部分の面積を求めてください。

考え方:面積は「上 − 下」を交点から交点まで積分します。ただしこの問題では交点が3つあり、途中で上下が入れかわります入れかわる点で区間を分ける——ここを飛ばすと答えが消えます。

① 交点を求めるx3 = xx(x − 1)(x + 1) = 0x = −1, 0, 1

② どちらが上かを区間ごとに調べるx = 1/2 を入れると x3 = 1/8x = 1/2 なので 0 < x < 1 では直線が上x = −1/2 を入れると x3 = −1/8x = −1/2 なので −1 < x < 0 では曲線が上

③ 分けて足す
 01(x − x3)dx = [x2/2 − x4/4]01 = 1/2 − 1/4 = 1/4
 −10(x3 − x)dx = [x4/4 − x2/2]−10 = 0 − (1/4 − 1/2) = 1/4

答え1/4 + 1/4 = 1/2

確認:もし上下を確かめずに −11(x − x3)dx としてしまうと、答えは 0 になります。面積を求めているのに 0 が出たら、上下の入れかわりを見落とした合図です。
この形は原点について対称(どちらも奇関数)なので、左右の面積が等しくなります。2 × 1/4 = 1/2 と、片側だけ計算して2倍する手も使えます。対称性に気づくと計算量が半分になりますが、気づかなくても区間を分ければ必ず解けます。まず分ける、余裕があれば対称性を使う——この順で構いません。

この単元のチェックリスト

確認すること できていないと起きること
不定積分で +C を書いたか 減点される
面積で上下を確認したか 符号が逆になる
x 軸より下の部分を折り返したか 面積が小さく出る
絶対値の境目が区間内か確認したか 不要な分割をする
定積分の中の f は定数と見たか 方程式が立たない
微分し直して検算したか 積分ミスに気づけない

もっと解きたい方へ 👉 積分(基本)の特訓道場(20題と全解説)

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第8章 数列

数列は「規則的に並んだ数の列」を扱う単元です。中学で見た「1, 4, 7, 10, …」の続きですが、ここではn番目を式で表すことと、全部足した和を式で表すことが目標になります。

そして数列は、入試で最も「型」が効く単元のひとつです。漸化式は形ごとに解き方が決まっているので、形を見分けられれば、そこから先の手順はほぼ決まります

ここが怪しければ先に式と証明 / この先つながる数列の極限と無限級数(数学III)数学的帰納法(論理) / この単元の解法パターン数列 全16型 / この単元を1日1枚で毎日の数学 6枚

使う道具

道具 使いどころ
等差数列 an = a + (n−1)d、Sn = n(a + l)/2 一定の差で増える
等比数列 an = arn−1、Sn = a(rn−1)/(r−1) r = 1 のときは別扱い
Σ の公式 Σk = n(n+1)/2 基本3つ
  Σk2 = n(n+1)(2n+1)/6  
  Σk3 = {n(n+1)/2}2 Σk の2乗になる
階差数列 an = a1 + Σk=1n−1bk(n ≥ 2) n = 1 は別に確認
部分分数分解 1/{k(k+1)} = 1/k − 1/(k+1) 次々に打ち消し合う
S と a の関係 an = Sn − Sn−1(n ≥ 2) a1 = S1 は別に
2項間漸化式 an+1 = pan + q 特性方程式でずらす
数学的帰納法 n = 1 で成立 ② n = kn = k+1 すべての自然数で成り立つ証明

定石

Σ計算は「展開してから、公式3つに分ける」

Σk(k+2) のようにかたまりのままでは公式が使えません。展開して Σk2 + 2Σk にしてから公式を当てます。最後に共通因数でくくると、答えがきれいな形になります。

分母が積の形なら、部分分数に分けて打ち消す

1/{k(k+1)} = 1/k − 1/(k+1) と分けると、和を書き並べたときに
(1/1 − 1/2) + (1/2 − 1/3) + … + (1/n − 1/(n+1))
となり、真ん中がすべて消えて、最初と最後だけが残ります

部分分数分解で途中が打ち消し合うしくみ1わるkかけるkプラス1 を 1わるk ひく 1わるkプラス1 に分けて並べると、隣どうしが次々に打ち消し合い、最初と最後だけが残る。(1/11/2)+(1/21/3)+(1/31/4)+ …(1/n1/(n+1))打ち消す打ち消す残るのはいちばん最初の 1 といちばん最後の −1/(n+1)→ 和 = n/(n+1)
図18 部分分数に分けると、隣り合う項が次々に打ち消し合います。残るのは最初と最後だけ。これは階差数列の考え方そのものです。

この「途中が消える」構造は、階差数列の考え方そのものです。bk = ck − ck+1 の形に持ち込めれば、和は c1 − cn+1 だけになります。

等差数列の和の作り方等差数列 2, 5, 8, 11, 14 の棒グラフの上に、同じ数列を逆に並べた棒を積み上げた図。どの列も高さが 16 でそろい、全部で 5 列できる。つまり和を2つぶん足したものが n かける(初項+末項)になるので、和は n かける(初項+末項)を2で割ったものになる。同じ数列を逆に並べて足すと、どの列も同じ高さになる214a1511a288a3115a4142a5a₁ + aₙ = 162S = n(a₁ + aₙ) → S = n(a₁ + aₙ) / 2
図19 等差数列の和の公式は、同じ数列を逆に並べて足すと作れます。どの列も高さが a1 + an でそろい、それが n 列。だから 2S = n(a1 + an) です。公式を思い出せないときは、この形をひとつ描けば作り直せます。

漸化式は「形で解き方が決まる」

漸化式は形で解き方が決まる漸化式の形と、それに対応する解き方をまとめた表。後ろの項に定数を足す形なら等差数列、定数倍なら等比数列、エヌの式を足す形なら階差数列、定数倍して定数を足す形なら特性方程式、定数倍してエヌの式を足す形なら両辺をピーのエヌたす1乗で割る。例として、次の項が前の項の2倍たす3で初項が1のとき、特性方程式からアルファはマイナス3となり、一般項は2のエヌたす1乗ひく3になる。実際の値1、5、13、29、61と一致する。漸化式は「形」で解き方が決まる解き方aₙ₊₁ = aₙ + daₙ₊₁ = aₙ + 3等差数列aₙ₊₁ = r aₙaₙ₊₁ = 2aₙ等比数列aₙ₊₁ = aₙ + f(n)aₙ₊₁ = aₙ + 2n階差数列aₙ₊₁ = p aₙ + qaₙ₊₁ = 2aₙ + 3特性方程式aₙ₊₁ = p aₙ + f(n)aₙ₊₁ = 2aₙ + npⁿ⁺¹ で割る例:aₙ₊₁ = 2aₙ + 3、a₁ = 1α = 2α + 3 を解いて α = −3 → aₙ + 3 が公比2の等比数列aₙ + 3 = 4 · 2ⁿ⁻¹ → aₙ = 2ⁿ⁺¹ − 3検算:1, 5, 13, 29, 61 … 式に n = 1, 2, 3 を入れた値と一致
図20 漸化式は形を見た時点で解き方が決まります。まずどの形かを言い当てるところまでが山で、そこから先は決まった手順です。特性方程式の型が入試でいちばんよく出ます。
やること
an+1 = an + d 等差数列
an+1 = ran 等比数列
an+1 = an + f(n) 階差数列(Σ を取る)
an+1 = pan + q 特性方程式 α = pα + q でずらす
an+1 = pan + f(n) 両辺を pn+1 で割る
分数の形 逆数 bn = 1/an をとる

an+1 = pan + q の解き方は、「動かない点(α)を見つけて、そこからの差を見る」という発想です。α = pα + q を満たす α は、いったんそこに来たら二度と動かない値。そこからの差 an − α は、毎回きっかり p 倍されるので等比数列になります。

これは「順番に当てはめているだけ」ではありません。形から先の展開を予想して、考える量を減らしている——だから速い。予想が外れたら別の型に切りかえればよいだけです。

つまずきポイント

① 階差数列の公式で n = 1 を確認しない。an = a1 + Σk=1n−1bkn ≥ 2 でしか使えませんn = 1 だと和の上端が0になってしまうため)。出した式に n = 1 を入れて a1 と一致するかを必ず確認し、答案にもそう書いてください。

an = Sn − Sn−1n ≥ 2 のみ。同じ理由です。a1 = S1 は別に計算します。「n=1を別扱い」は、この単元で2回出てきます。

③ 等比数列の和で r = 1 の場合を落とす。公式 a(rn−1)/(r−1) は分母が0になるので使えません。r = 1 のときの和は単純に na です。公比が文字なら必ず場合分けしてください。

④ Σ の上端と、数列の項数を取り違える。Σk=1n−1 の項数は n − 1 個です。公式に代入するときは nn − 1 に置きかえます。ここは手が滑りやすいので、小さい n で検算してください。

⑤ 数学的帰納法で「仮定を使わない」。n = k のときの式を実際に使って n = k+1 を示すのが帰納法です。仮定を一度も使っていない証明は、どこかが間違っています。

⑥ 特性方程式の α を、答えの一部だと思う。α は途中で使う補助的な数で、答えではありません。最後に an の式に戻すのを忘れないでください。

例題

例題8-1(Σ計算) Σk=1nk(k + 2)n の式で表してください。

手順1:展開する。k(k+2) = k2 + 2k

手順2:公式に分ける。
Σk2 + 2Σk = n(n+1)(2n+1)/6 + 2 · n(n+1)/2 = n(n+1)(2n+1)/6 + n(n+1)

手順3:共通因数でくくる。n(n+1)/6 でくくると
= n(n+1)/6 × {(2n+1) + 6} = n(n+1)(2n+7)/6

答えn(n+1)(2n+7)/6

確認n = 1 なら実際の和は 1 × 3 = 3、公式は 1 × 2 × 9 / 6 = 3n = 2 なら 3 + 8 = 11、公式は 2 × 3 × 11 / 6 = 11Σの答えは、必ず小さい n で検算できます。これをやるだけで、この単元のミスはほとんど防げます。

例題8-2(部分分数分解) Σk=1n 1/{k(k + 1)} を求めてください。

手順1:部分分数に分ける。
1/{k(k+1)} = 1/k − 1/(k+1)

(確かめ:1/k − 1/(k+1) = {(k+1) − k}/{k(k+1)} = 1/{k(k+1)}

手順2:書き並べて打ち消す。
(1/1 − 1/2) + (1/2 − 1/3) + (1/3 − 1/4) + … + (1/n − 1/(n+1))

隣り合う項が次々に消えて、最初の 1 と最後の −1/(n+1) だけが残ります。

= 1 − 1/(n+1) = n/(n+1)

答えn/(n+1)

確認n = 3 なら実際の和は 1/2 + 1/6 + 1/12 = 6/12 + 2/12 + 1/12 = 9/12 = 3/4。公式は 3/4。合っています。

分け方の作り方1/{k(k+2)} なら (1/2){1/k − 1/(k+2)} です。差を取ったときに分子が「分母の差」になるので、その分だけ前に係数が出ます。この場合は差が2なので 1/2作ったら必ず通分して元に戻るか確かめてください。

例題8-3(2項間漸化式) a1 = 1an+1 = 3an + 4 で定まる数列の一般項を求めてください。

手順1:特性方程式を解く。an+1an を両方 α と置いた式を作ります。
α = 3α + 4 → −2α = 4 → α = −2

手順2:元の式から引く。
an+1 = 3an + 4
−2 = 3 × (−2) + 4 (α の式)
辺々引くと an+1 + 2 = 3(an + 2)

手順3:等比数列として読む。bn = an + 2 とおくと bn+1 = 3bn、つまり公比3の等比数列。初項は b1 = a1 + 2 = 3
bn = 3 · 3n−1 = 3n

手順4:an に戻す。
an = bn − 2 = 3n − 2

答えan = 3n − 2

確認a1 = 3 − 2 = 1 ✓。漸化式から a2 = 3 × 1 + 4 = 7、公式では 9 − 2 = 7 ✓。a3 = 3 × 7 + 4 = 25、公式では 27 − 2 = 25 ✓。3項ぶん合えば、まず安心です。

α の意味α = −2 は、この漸化式の動かない値です。もし a1 = −2 だったら、a2 = 3 × (−2) + 4 = −2 で、以後ずっと −2 のまま。だから −2 からのずれだけを見れば、話が等比数列に単純化される——これが特性方程式の中身です。公式として覚えるより、この意味を1回理解しておくほうが忘れません。

例題8-4(数学的帰納法) すべての自然数 n について
13 + 23 + … + n3 = {n(n+1)/2}2
が成り立つことを、数学的帰納法で証明してください。

[I] n = 1 のとき
左辺 = 13 = 1、右辺 = {1 × 2 / 2}2 = 1。成り立ちます。

[II] n = k のとき成り立つと仮定する
13 + 23 + … + k3 = {k(k+1)/2}2 …(*)

n = k + 1 のときを示す。両辺に (k+1)3 を足します。
左辺 = {k(k+1)/2}2 + (k+1)3 ((*)を使った)

(k+1)2 でくくると
= (k+1)2{k2/4 + (k+1)} = (k+1)2 · (k2 + 4k + 4)/4 = (k+1)2(k+2)2/4

これは {(k+1)(k+2)/2}2 であり、公式の nk+1 を入れた形と一致します。

よって n = k + 1 でも成り立ちます。

[I][II] より、すべての自然数 n について成り立ちます。(証明終わり)

どこで仮定を使ったか:「(*)を使った」と書いた1行だけです。帰納法の答案では、仮定を使った場所をはっきり示してください。そこが評価される部分です。

この式の面白さΣk3 = (Σk)2 になっています。つまり「立方の和」が「和の平方」1 + 8 + 27 = 36 = 62、そして 1 + 2 + 3 = 6。偶然に見えますが、すべての n で成り立ちます。

例題8-5(和 Sn から一般項) 数列 {an} の初項から第 n 項までの和が Sn = n2 + 2n + 1 であるとき、一般項 an を求めてください。

考え方:使う式は an = Sn − Sn−1 ですが、この式が使えるのは n ≥ 2 のときだけです。S0 は定義されていないので、n = 1 は必ず別に調べます。

n ≥ 2 のとき
 an = Sn − Sn−1 = (n2 + 2n + 1) − {(n − 1)2 + 2(n − 1) + 1} = (n2 + 2n + 1) − n2 = 2n + 1

n = 1 のとき
 a1 = S1 = 1 + 2 + 1 = 4

ここで①の式に n = 1 を入れると 2 × 1 + 1 = 3 で、a1 = 4一致しません。よって、まとめて1つの式では書けません。

答えa1 = 4n ≥ 2 のとき an = 2n + 1

確認Sn を小さい順に並べると 4, 9, 16, 25, 36, …。差を取ると 5, 7, 9, 11, … で、これは n ≥ 22n + 1 と合います。そして先頭だけが 4a1 + … + a6 = 4 + 5 + 7 + 9 + 11 + 13 = 49 = S6 となり、確かに元の和に戻ります。
①の式に n = 1 を入れて一致するかを確かめる——この一手間を飛ばすと、an = 2n + 1 だけ書いて初項を間違えます。一致する問題も多いので、一致したときは「これは n = 1 でも成り立つ」と書いて1つの式にまとめます。どちらになるかは計算してみるまでわかりません。

この単元のチェックリスト

確認すること できていないと起きること
階差の公式で n = 1 を確認したか 初項だけ合わない
an = Sn − Sn−1 の n ≥ 2 を書いたか 減点される
等比の和で r = 1 を場合分けしたか 0で割る式を書く
Σの結果を小さい n で検算したか 計算ミスに気づけない
漸化式の形を先に見分けたか 方針が立たない
帰納法で仮定を実際に使ったか 証明になっていない

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第9章 統計的な推測

数学I・Aの「データの分析」は、手元にあるデータそのものを整理する話でした。この単元はその先で、手元の一部(標本)から、見えていない全体(母集団)を言い当てる話になります。

公式は多く見えますが、流れは1本です。確率変数 → その平均と分散 → 二項分布 → 正規分布で近似 → 推定・検定。この道筋を頭に入れてから、個々の公式を見てください。

ここが怪しければ先に確率(数学I・A)データの分析(数学I・A) / この先:ここが到達点です / この単元の解法パターン確率分布と統計的な推測 全12型

使う道具

道具 使いどころ
期待値 E(X) = Σ xkpk (値 × 確率)の合計
分散 V(X) = E(X2) − {E(X)}2 実際の計算はこちら
標準偏差 σ(X) = √(V(X)) 単位がもとの値と同じ
一次式の変換 E(aX+b) = aE(X)+b 平均は素直に動く
  V(aX+b) = a2V(X) b は効かない、a は2乗
和の期待値 E(X+Y) = E(X) + E(Y) 独立でなくても成立
和の分散 V(X+Y) = V(X) + V(Y) 独立のときだけ
二項分布 B(n, p):E = np、V = np(1−p) 成功・失敗を n 回
正規分布 N(m, σ2) 左右対称の釣鐘型
標準化 Z = (X − m)/σ どんな正規分布も N(0,1) に
標本平均の分布 E = m、V = σ2/n n が大きいほど散らばりが小さい
95%信頼区間 x̄ ± 1.96 × σ/√n 母平均の推定
仮説検定 Z = (X − m)/σ を、片側 1.64 / 両側 1.96 と比べる 「差はない」と置いた仮定を捨てるか決める

定石

分散は「2乗の平均 − 平均の2乗」で計算する

定義どおりに Σ(x − m)2p を計算すると手数が多くなります。E(X2) − {E(X)}2 のほうが速い——数学I・Aのデータの分析とまったく同じです。

分散は2通りの計算で同じ値になるデータ2、4、4、6、9の平均は5。定義どおりに、各データから5を引いて2乗した値の平均を出すと、9、1、1、1、16の平均で28割る5の5.6。2乗の平均から平均の2乗を引く方法では、2乗の平均が153割る5の30.6、そこから5の2乗の25を引いて、やはり5.6。平均が整数にならないときは、後者のほうが計算が速い。データ 2, 4, 4, 6, 9 / 平均 = (2+4+4+6+9) ÷ 5 = 5① 定義どおり(x − 5)² の平均を出す(9 + 1 + 1 + 1 + 16) ÷ 5= 28 ÷ 5 = 5.6② 2乗の平均 − 平均の2乗x² の平均 = 153 ÷ 5 = 30.630.6 − 5² = 30.6 − 25= 5.6どちらも 5.6。平均が整数にならないときは ② のほうが速い
図21 同じ分散を2通りで出して、値が合うことを確かめた図です。定義どおりの計算は「各データから平均を引いて2乗する」ぶん手数が増えます。平均が整数にならないときほど、E(X2) − {E(X)}2 の差が効いてきます。

二項分布は、公式を使えば期待値も分散も一瞬

n 回の試行で成功確率が p なら、成功回数 XB(n, p) に従い
E(X) = npV(X) = np(1 − p)σ(X) = √(np(1−p))

この np は直感どおりです。180回投げて確率 1/6 なら30回——そのままの意味です。

正規分布の問題は「標準化してから表を引く」

手順
① 分布 N(m, σ2) を確定する(二項分布なら m = npσ2 = np(1−p)
② 知りたい値を Z = (X − m)/σ標準化する
Z の値で正規分布表を引く
④ 求めたい範囲に合わせて足し引きする

標準正規分布と2シグマ区間標準正規分布のグラフ。Zがマイナス2から2までの範囲に、全体の約95パーセントが入る。この目安を覚えておくと、計算結果の桁が合っているかを確かめられる。−2−1012約 95.4%標準正規分布 N(0, 1)|Z| ≦ 1 → 約68%|Z| ≦ 2 → 約95%|Z| ≦ 3 → 約99.7%Z = 平均から標準偏差いくつぶん離れているか
図22 「1σで約68%、2σで約95%、3σで約99.7%」。この3つを覚えておくと、計算結果の桁が合っているかをその場で確かめられます。

覚えておくと速い目安:|Z| ≤ 1 で約68%、|Z| ≤ 2 で約95%、|Z| ≤ 3 で約99.7%。この3つを持っていると、計算結果が桁違いにおかしいかどうかがすぐわかります。

信頼区間は「標本平均 ± 1.96 × 標準誤差」

95%信頼区間の意味同じ調べ方を20回くり返して作った信頼区間を、横棒で20本並べた図。母平均50の位置に縦の点線を引くと、20本のうち19本はその線をまたいでいるが、1本だけまたいでいない。95%信頼区間とは、この「当たる割合が95%」という意味であって、1本の区間に母平均が95%の確率で入る、という意味ではない。95%信頼区間は「20回に19回は当たる区間」という意味母平均 50(ふつうは分からない)はずれ1本の区間は x̄ ± 1.96 × σ/√n (この図は σ = 10、n = 25)20本のうち 19本が母平均を含んだ。この「当たる割合」が 95%
図23 95%信頼区間は、「同じ調べ方をくり返せば、95%くらいは当たる区間」という意味です。1本の区間に母平均が95%の確率で入る、という意味ではありません。この図では20本のうち19本が母平均を含み、1本だけ外れています。

σ/√n の部分を標準誤差といいます。n が大きいほど小さくなる——つまりたくさん調べるほど、区間が狭く(正確に)なる。式の意味はこれだけです。

つまずきポイント

V(aX + b)b を足してしまう。分散は散らばりの量なので、全体を平行移動しても変わりません。V(aX+b) = a2V(X) であり、b は消えます。a は2乗、b は無関係です。

② 分散の加法性を、独立でないのに使う。E(X+Y) = E(X)+E(Y)いつでも成り立ちますが、V(X+Y) = V(X)+V(Y)独立のときだけです。この非対称性は試験でよく狙われます。

③ 標準偏差と分散を取り違える。標準化の分母は標準偏差 σ で、分散 σ2 ではありません。二項分布で V = 25 と出たら、標準化に使うのは 5 です。

④ 標本平均の分散で n で割り忘れる。標本平均 の分散は σ2/n、標準偏差は σ/√n です。もとの σ をそのまま使うと、区間が広くなりすぎます。

⑤ 信頼区間の意味を「母平均が95%の確率でこの区間に入る」と説明する。正確には「同じやり方で区間を作る操作を繰り返したとき、その95%が母平均を含む」という意味です。母平均は動かない定数で、動くのは区間のほうです。記述で問われたときに差が出ます。

⑥ 仮説検定で、棄却されなかったことを「正しいと証明された」と読む。棄却されないのは「この結果からは否定できない」というだけです。数学I・Aの命題と論理で扱った「証明できないことと、偽であることは別」と同じ話です。

例題

例題9-1(期待値と分散) 1個のさいころを1回投げるとき、出る目を X とします。E(X)V(X)σ(X) を求めてください。

期待値E(X) = (1+2+3+4+5+6)/6 = 21/6 = 7/2

2乗の期待値E(X2) = (1+4+9+16+25+36)/6 = 91/6

分散V(X) = 91/6 − (7/2)2 = 91/6 − 49/4
通分して = 182/12 − 147/12 = 35/12

標準偏差σ(X) = √(35/12) ≒ 1.71

答えE(X) = 7/2V(X) = 35/12σ(X) ≒ 1.71

妥当性の確認:目は1から6まで散らばっているので、平均3.5から標準偏差1.71ほどずれる——つまりだいたい1.8から5.2の範囲によく出るという意味になります。感覚と合っています。標準偏差が範囲の幅(=5)を超えていたら、どこかで計算ミスです。

例題9-2(二項分布) さいころを180回投げるとき、1の目が出る回数を X とします。X の期待値・分散・標準偏差を求めてください。

考え方:「成功(1の目)か失敗か」を180回繰り返しているので、X二項分布 B(180, 1/6) に従います。

E(X) = np = 180 × 1/6 = 30
V(X) = np(1−p) = 180 × (1/6) × (5/6) = 25
σ(X) = √25 = 5

答えE(X) = 30V(X) = 25σ(X) = 5

読み取れること:180回投げれば1の目はだいたい30回、±5回くらいのブレで出る、ということです。もし実際に50回出たら、平均から (50−30)/5 = 4 標準偏差ぶん離れています。これはめったに起きないことなので、「このさいころは偏っているのでは」と疑う根拠になります。仮説検定の考え方は、ここから始まります。

例題9-3(正規分布による近似) 例題9-2の X について、20 ≤ X ≤ 40 となる確率を、正規分布で近似して求めてください。ただし P(0 ≤ Z ≤ 2) = 0.4772 とします。

手順1:分布を確定する。n = 180 は十分大きいので、X はおよそ N(30, 52) に従うとみなせます。

手順2:標準化する。
X = 20 のとき Z = (20 − 30)/5 = −2
X = 40 のとき Z = (40 − 30)/5 = 2

手順3:表から求める。正規分布は0を中心に左右対称なので
P(−2 ≤ Z ≤ 2) = 2 × P(0 ≤ Z ≤ 2) = 2 × 0.4772 = 0.9544

答え:約 0.954(約95%)

意味:1の目が出る回数は、約95%の確からしさで20回から40回の間に収まるということです。逆にいえば、この範囲を外れるのは20回に1回程度。「2標準偏差で約95%」という目安が、そのまま出てきました。

標準化の意味Z は「平均から標準偏差いくつぶん離れているか」を表す物差しです。どんな正規分布も、この物差しに直せば同じ1枚の表で扱える——だから標準化するのです。

例題9-4(母平均の推定) ある高校の生徒から100人を無作為に選んで通学時間を調べたところ、平均は50分でした。母標準偏差を10分とするとき、この高校全体の平均通学時間を信頼度95%で推定してください。

手順1:標準誤差を計算する。
σ/√n = 10/√100 = 10/10 = 1

手順2:信頼区間の式に入れる。
x̄ ± 1.96 × σ/√n = 50 ± 1.96 × 1 = 50 ± 1.96

答え48.04 分以上 51.96 分以下

正しい読み方:「母平均が95%の確率でこの区間にある」ではありません。「同じ方法で100人を選び直して区間を作る作業を何度も繰り返すと、その約95%が本当の母平均を含む」という意味です。動くのは区間のほうで、母平均は最初から1つに決まっています。

人数を増やすとどうなるかn = 400 にすると標準誤差は 10/20 = 0.5 になり、区間の幅は半分になります。4倍調べて、やっと幅が半分。精度を上げるのは思ったより大変だ——という感覚も、この式から読み取れます。

例題9-5(仮説検定) ある種子の発芽率は、これまで 60% でした。改良した種子を 400 粒まいたところ、260 粒が発芽しました。改良によって発芽率が上がったといえますか。有意水準 5% で調べてください。

考え方:数学Iで扱った仮説検定の考え方(数学I 第5章)と、進め方はまったく同じです。「上がった」と主張したい側ではなく、反対の「変わっていない」という側に立って計算し、その仮定のもとで実際の結果がどれくらい起こりにくいかを見ます。違うのは、回数が多いので二項分布を正規分布で近似できるところです。

「発芽率は変わらず 0.6 のまま」と仮定します。このとき発芽数 X は二項分布 B(400, 0.6) にしたがうので
 m = np = 400 × 0.6 = 240
 σ = √(np(1 − p)) = √(400 × 0.6 × 0.4) = √96 = 4√6 ≒ 9.80

n が大きいので X はおよそ N(240, 9.802)。標準化すると
 Z = (260 − 240) / 9.80 ≒ 2.04

「上がったか」を調べているので片側です。片側 5% の基準は 1.64
 2.04 > 1.64
仮定のもとでは起こりにくすぎるので、「発芽率は変わらない」という仮定を捨てます

答え:有意水準 5% で、発芽率は上がったといえる。

確認棄却できる境目を出しておくと、答えの見当がつきます。240 + 1.64 × 9.80 ≒ 256.1 なので、257 粒以上なら同じ結論になります。今回は 260 粒で、境目より少し上でした。
片側か両側かで結論が変わることがあります。もし 257 粒だったら Z ≒ 1.74 で、片側(1.64)なら棄却できますが、「変化したか」を調べる両側(1.96)では棄却できません。問題文が「上がったか」なのか「変わったか」なのかを、計算を始める前に読み取っておくこと。
なお、棄却できなかった場合に言えるのは「この結果は仮定のもとでも起こりうる」までで、「差がない」ことを示したわけではありません

この単元のチェックリスト

確認すること できていないと起きること
V(aX+b) で b を落としたか 分散が大きく出る
分散の加法性は独立を確認したか 成り立たない式を使う
標準化の分母は標準偏差か Z がまったく違う値になる
標本平均の分散を σ2/n にしたか 区間が広すぎる
「2σで約95%」で桁を確認したか 大きなミスに気づけない
信頼区間の意味を正しく書いたか 記述で減点される

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第10章 ベクトル

ベクトルは「向きと大きさをもつ量」ですが、入試での役割はもっと実務的です。図形の問題を、補助線なしで計算に落とすための道具——これがベクトルの正体です。

座標を使う方法(第3章)との違いは、座標軸を置かなくてよいこと。だから、座標が置きにくい空間図形で特に強くなります。

このページでのベクトルの書き方 教科書では文字の上に矢印を書きますが、ウェブでは環境によって表示が崩れることがあります。そこでこのページでは、a→OA→ のように矢印を後ろに付けて表します。意味は教科書の記法と同じです。

ここが怪しければ先に三平方の定理(中3)図形の性質(数学I・A) / この先つながる複素数平面式と曲線 / この単元の解法パターン平面ベクトル 全13型空間ベクトル 全12型

使う道具

道具 使いどころ
内積の定義 a→·b→ = |a→||b→|cosθ なす角を出す
成分での内積 a→·b→ = a1b1 + a2b2 計算はこちら
垂直条件 a→ ⊥ b→ ⇔ a→·b→ = 0 垂直はすべてこれ
大きさと内積 |a→|2 = a→·a→ 長さは2乗して内積に
平行条件 b→ = k a→ となる実数 k がある 共線条件
内分点 OP→ = (n OA→ + m OB→)/(m+n) m : n に内分
3点が一直線上 OP→ = s OA→ + t OB→ で s + t = 1 係数の和が1
1次独立 2つのベクトルで表し方は1通り 係数比較ができる根拠
三角形の面積 S = (1/2)√(|a→|2|b→|2 − (a→·b→)2) 2辺のベクトルから
空間の平面 ax + by + cz + d = 0 (a, b, c)
4点が同一平面上 OP→ = sOA→+tOB→+uOC→、s+t+u = 1 共面条件

定石

長さの条件は、2乗して内積に持ち込む

|a→ + b→| のままでは計算できません。2乗すると内積の計算に化けます

|a→ + b→|2 = (a→ + b→)·(a→ + b→) = |a→|2 + 2a→·b→ + |b→|2

展開の形はふつうの文字式とまったく同じです。(x+y)2 = x2 + 2xy + y2x2|a→|2xya→·b→ に対応するだけ。

内積となす角ベクトル a と b を原点から描いた図。成分で内積を計算し、それぞれの大きさで割ると cos が出て、なす角が45度だとわかる。xyO123123a→ = (2, 1)b→ = (1, 3)θ = 45°a→·b→ = 2×1 + 1×3 = 5|a→| = √5、|b→| = √10cosθ = 5/√50 = 1/√2
図24 内積には定義(|a→||b→|cosθ)と成分計算の2つの顔があります。角度を求めるときは、成分で値を出してから定義に当てはめます。

交点は「2通りに表して、係数を比較する」

交点を2通りに表して係数をくらべる三角形OABで、辺OAを2対1に内分する点をC、辺OBの中点をDとし、直線ADと直線BCの交点をPとした図。PはAD上にあるので、OPベクトルは 1ひくエス かける エーベクトル たす 2分のエス かける ビーベクトル と書ける。同時にPはBC上にもあるので、3分の2ティー かける エーベクトル たす 1ひくティー かける ビーベクトル とも書ける。エーベクトルとビーベクトルが1次独立なので係数をくらべてよく、エスは2分の1、ティーは4分の3となり、OPベクトルは2分の1エーベクトルたす4分の1ビーベクトルになる。交点は「2通りに表して、係数をくらべる」OABCDPOA を 2 : 1OB の中点P は AD 上OP→ = (1 − s)a→ + (s/2)b→P は BC 上OP→ = (2t/3)a→ + (1 − t)b→a→ と b→ は1次独立→ 係数をくらべてよい1 − s = 2t/3 、 s/2 = 1 − t → s = 1/2、t = 3/4OP→ = (1/2)a→ + (1/4)b→「1次独立だから係数がくらべられる」の一言を、答案に必ず書く
図25 交点は2つの道すじで表して、係数をくらべるのが型です。くらべてよいのは a→b→1次独立だからで、この一言を答案に書き忘れないでください。

手順
① 交点 P を、一方の直線上の点として文字 s で表す
② 同じ P を、もう一方の直線上の点として文字 t で表す
③ 2つの式は同じ点を表しているので、a→b→ の係数をそれぞれ比較する
s, t の連立方程式を解く

③ができる根拠は1次独立です。a→b→ が平行でなければ、P の表し方は1通りに決まる。だから係数を比べてよい——答案ではa→, b→ は1次独立だから」と一言書いてください。

位置ベクトルの内分点と、3点が一直線上にある条件上は内分点。AP対PBが2対1のとき、OPベクトルはOAベクトルの1倍とOBベクトルの2倍を足して3で割ったもの。比の数字が掛ける相手と入れかわることに注意する。下は3点が一直線上にある条件。AからBへのベクトルとAからCへのベクトルを作り、ACベクトルがABベクトルの実数倍になっていれば一直線上にある。内分点は「向かいの数」を掛けて足すAP : PB = 2 : 1 のとき OP→ = (1・OA→ + 2・OB→) / 3OABPOA→OB→OP→21AP : PB = 2 : 1 なのに、掛ける数は 1 と 2 で入れかわる3点が一直線上にある条件A, B, C が一直線上 ⇔ AC→ = k AB→ となる実数 k があるABCAB→AC→ = 2.5 AB→始点をそろえて2本のベクトルを作るのが先。O からの式なら 係数の和が 1
図26 内分点は比の数字が掛ける相手と入れかわりますAP : PB = 2 : 1 なら、掛かるのは OA→ に 1、OB→ に 2。下は3点が一直線上にある条件で、始点をそろえて2本のベクトルを作るのが先です。

直線上・平面上の条件は「係数の和が1」

OP→ = sOA→ + tOB→s + t = 1 なら、P直線AB上にあります。空間で s + t + u = 1 なら平面ABC上「和が1」は、単に内分・外分の係数の合計が1になっているという意味です。

つまずきポイント

① 内積を「ベクトル」だと思う。内積の結果はただの数(スカラー)です。a→·b→ に矢印は付きません。

a→·b→ = 0 から a→ = 0→ または b→ = 0→ と結論する。ふつうの数と違い、0でない2つのベクトルの内積が0になることがあります。それが垂直です。

③ 係数比較の根拠を書かない。「1次独立だから」の一言がないと、答案として不十分です。平行なベクトルどうしでは係数比較はできません。

④ なす角の向きを取り違える。∠AOB を求めるなら、使うのは OA→OB→(どちらもO から出ている)です。AO→ を使うと符号が逆になり、角度が補角になります。

|a→ + b→| = |a→| + |b→| だと思う。これは同じ向きのときだけ成り立ちます。一般には |a→ + b→| ≤ |a→| + |b→|(三角不等式)。

⑥ 空間ベクトルで、平面の法線ベクトルを取り違える。平面 ax + by + cz + d = 0 の法線ベクトルは (a, b, c) です。定数項 d は入りません。

例題

例題10-1(内積となす角) a→ = (2, 1)b→ = (1, 3) のとき、a→b→ のなす角 θ を求めてください。

手順1:内積を成分で計算する。
a→·b→ = 2 × 1 + 1 × 3 = 5

手順2:大きさを計算する。
|a→| = √(4 + 1) = √5|b→| = √(1 + 9) = √10

手順3:定義に当てはめる。
cosθ = (a→·b→)/(|a→||b→|) = 5/(√5 × √10) = 5/√50 = 5/(5√2) = 1/√2

0° ≤ θ ≤ 180° なので θ = 45°

答えθ = 45°

2つの式の役割分担:内積には定義(|a→||b→|cosθ)と成分計算(a1b1+a2b2)の2つの顔があります。角度を求めるときは成分で値を出して、定義に当てはめる——この向きに使います。

例題10-2(交点の位置ベクトル) 三角形 OAB において、OA→ = a→OB→ = b→ とします。辺 OA1 : 2 に内分する点を M、辺 OB の中点を N とし、線分 ANBM の交点を P とするとき、OP→a→, b→ で表してください。

準備OM→ = (1/3)a→ON→ = (1/2)b→

手順1:P を線分 AN 上の点として表す。AP : PN = s : (1−s) の形で書くと
OP→ = (1 − s)a→ + s·(1/2)b→

手順2:P を線分 BM 上の点として表す。
OP→ = t·(1/3)a→ + (1 − t)b→

手順3:係数を比較する。a→b→ は1次独立(三角形をなすので平行でない)なので、表し方は1通り。
a→ の係数:1 − s = t/3
b→ の係数:s/2 = 1 − t

手順4:連立を解く。下の式から s = 2 − 2t。上に代入して
1 − (2 − 2t) = t/3 → 2t − 1 = t/3 → 6t − 3 = t → t = 3/5
よって s = 2 − 6/5 = 4/5

手順5:代入する。
OP→ = (1 − 4/5)a→ + (4/5)(1/2)b→ = (1/5)a→ + (2/5)b→

答えOP→ = (1/5)a→ + (2/5)b→

確認:もう一方の式でも確かめます。t = 3/5 を代入すると (3/5)(1/3)a→ + (2/5)b→ = (1/5)a→ + (2/5)b→。一致しました。2通りの表し方があるということは、検算の手段が最初から用意されているということです。必ず使ってください。

例題10-3(大きさの最小値) |a→| = 2|b→| = 3a→·b→ = −1 のとき、|a→ + t b→| の最小値と、そのときの実数 t を求めてください。

手順1:2乗して内積に直す。大きさのままでは扱えません。
|a→ + t b→|2 = |a→|2 + 2t(a→·b→) + t2|b→|2
= 4 + 2t(−1) + 9t2 = 9t2 − 2t + 4

手順2:t の2次関数として最小化する。ここからは数学I・Aの平方完成です。
9t2 − 2t + 4 = 9(t − 1/9)2 + 4 − 1/9 = 9(t − 1/9)2 + 35/9

t = 1/9 のとき最小で、|a→ + t b→|2 = 35/9

手順3:√を外す。大きさは0以上なので
|a→ + t b→| = √(35/9) = √35 / 3

答えt = 1/9 のとき最小値 √35 / 3(約 1.97

この問題の構造ベクトルの問題を、t の2次関数の問題に変換しているだけです。変換したあとは数学I・Aの道具しか使っていません。「2乗して内積に持ち込む」が、そのスイッチになっています。

図形的な意味a→ + t b→ の終点は、t を動かすと1本の直線を描きます。その最小の長さは原点からその直線への距離。だから最小値が存在するのは当然です。

例題10-4(空間・平面の方程式) 3点 A(1, 0, 0)B(0, 2, 0)C(0, 0, 3) を通る平面の方程式を求め、原点からこの平面までの距離を求めてください。

手順1:切片の形を使う。3点がそれぞれ x 軸・y 軸・z 軸の上にあるので、切片形がそのまま使えます。
x/1 + y/2 + z/3 = 1

分母を払って(両辺に6を掛けて)
6x + 3y + 2z = 6

確認A(1,0,0)6 = 6 ✓、B(0,2,0)6 = 6 ✓、C(0,0,3)6 = 6

手順2:原点からの距離。平面 ax+by+cz+d = 0 と点 (x0, y0, z0) の距離は
|ax0+by0+cz0+d| / √(a2+b2+c2)

平面を 6x + 3y + 2z − 6 = 0 と書き、原点 (0,0,0) を代入して
|−6| / √(36 + 9 + 4) = 6/√49 = 6/7

答え:平面は 6x + 3y + 2z = 6、原点からの距離は 6/7

2次元との対応:この距離の公式は、第3章の「点と直線の距離」に z の項を足しただけです。平面図形で覚えた形が、そのまま空間に持ち上がる——ベクトルと座標の単元は、この対応関係で整理すると覚える量が半分になります。

例題10-5(ベクトルによる三角形の面積) |a→| = 3|b→| = 4a→·b→ = 6 のとき、a→b→ が作る三角形の面積 S を求めてください。

考え方:面積は S = (1/2)|a→||b→| sinθ ですが、与えられているのは内積で、角そのものではありません。ここで sin2θ + cos2θ = 1 を使って sinθ を消すと、長さと内積だけで書ける公式になります。
 S = (1/2)√( |a→|2|b→|2 − (a→·b→)2 )

代入して
 S = (1/2)√( 32 × 42 − 62 ) = (1/2)√(144 − 36) = (1/2)√108 = (1/2) × 6√3 = 3√3

答えS = 3√3

確認:角を出す道でも確かめられます。cosθ = (a→·b→) / (|a→||b→|) = 6 / 12 = 1/2 なので θ = 60°
 S = (1/2) × 3 × 4 × sin60° = 6 × (√3/2) = 3√3
同じ答えになります。角がきれいな値になるときは、こちらのほうが速いこともあります。公式を使うか角を出すかは、cosθ がきれいな値かどうかで決めてください。
なお、この公式は成分がわかっているときの S = (1/2)|x1y2 − x2y1| と同じものです。a→ = (3, 0)b→ = (2, 2√3) は条件を満たしますが、この2つで計算しても (1/2)|3 × 2√3 − 0| = 3√33通りのどの道でも同じ値に着きます。

この単元のチェックリスト

確認すること できていないと起きること
長さは2乗して内積に直したか 計算が進まない
係数比較の前に1次独立を書いたか 答案として不十分
なす角は同じ点から出る2本で見たか 補角を答える
内積の結果をスカラーとして扱ったか 式の意味が壊れる
2通りの表し方で検算したか 連立の解き間違いに気づけない
法線ベクトルに定数項を入れていないか 距離が合わない

もっと解きたい方へ 👉 ベクトル(基本)の特訓道場(20題と全解説)

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第11章 複素数平面

第2章で登場した複素数を、平面上の点として見る単元です。a + bi(a, b) と対応させるだけ——それだけで、掛け算が「回転と拡大」を意味するようになります。

ここがこの単元の急所です。複素数の掛け算=回転と拡大。これ1つで、図形の回転問題がすべて計算に落ちます。

ここが怪しければ先に複素数と方程式三角関数 / この先つながる式と曲線 / この単元の解法パターン複素数平面 全16型

使う道具

道具 使いどころ
絶対値 |z| = √(a2+b2) 原点からの距離
共役 z z̄ = |z|2 絶対値は2乗して共役に
2点間の距離 |z1 − z2| 座標平面と同じ感覚
極形式 z = r(cosθ + i sinθ) 回転を扱う形
積と商 |z1z2| = |z1||z2|、偏角は足す 掛けると回る
ド・モアブル (cosθ + i sinθ)n = cos nθ + i sin nθ 累乗が一瞬で出る
回転 w = α + (cosθ + i sinθ)(z − α) α を中心に θ 回転
90°回転 i を掛ける もっとも使う特別な場合
n乗根 zn = 1 の解は正 n 角形の頂点 単位円上に等間隔
実数条件 z = z̄ 虚部が0
純虚数条件 z + z̄ = 0 かつ z ≠ 0 実部が0

定石

絶対値の式は、2乗して共役に直す

|z| のままでは展開できません。|z|2 = z z̄ に直せば、ふつうの式の計算になります。第10章のベクトルで「長さは2乗して内積に」と書いたのと、まったく同じ発想です。

回転は「中心を原点に持ってきて、回して、戻す」

z を、点 α を中心に θ だけ回転した点 w
w = α + (cosθ + i sinθ)(z − α)

読み方z − α中心を原点に移し(cosθ + i sinθ) を掛けて回し+ α元の位置に戻す。3段階を1本の式にしただけです。

複素数平面における回転点 z を、点 α を中心に90度回転して点 w に移す図。αを引いて中心を原点に移し、iを掛けて回し、αを足して戻す、という3手になっている。O123412345実軸虚軸α = 1 + 2i(中心)z = 4 + 3iw = 5iπ/2 回転w = α + i(z − α)移す・回す・戻す
図27 回転は「移す・回す・戻す」の3手です。−α で中心を原点へ、掛け算で回し、 で戻す。公式を丸暗記しなくても、この3手を思い出せば書き直せます。

公式として丸暗記するのではなく、「移す・回す・戻す」の3手だと理解しておけば、中心が変わっても書き直せます。

大きな指数は、極形式にしてド・モアブル

(1 + √3 i)6 を展開するのは大変ですが、極形式にすれば絶対値を6乗して、偏角を6倍するだけです。第2章で「大きな指数は周期で割る」と書いた話の、より強力な版です。

ド・モアブルの定理で6乗を計算する1たすルート3iは、絶対値が2、偏角が60度。6乗すると偏角は60度ずつ6回進んで360度になり、実軸の正の向きに戻る。絶対値のほうは2の6乗で64になる。したがって1たすルート3iの6乗は64。展開する必要はない。偏角は 60° ずつ進むzz⁴z⁵z⁶60°z = 1 + √3 i を6乗する|z| = 2  arg z = 60°↓ 展開せずに|z⁶| = 2⁶ = 64 (絶対値は6乗)arg z⁶ = 60° × 6 = 360° (偏角は6倍)z⁶ = 64(cos360° + i sin360°) = 64
図28 6乗を展開する必要はありません。極形式にしてしまえば、絶対値は6乗、偏角は6倍——やることはこの2つだけです。図のように偏角が 60° ずつ進むので、6回で 360°、つまり実軸の正の向きに戻ってきます。先に「何周して、どこで止まるか」を見てから計算に入ると、偏角の範囲で迷う場面が減ります。

方程式が表す図形は、z = x + yi と置いて座標の式に戻す

|z − 1| = 2|z + 2| のような式は、z = x + yi と置けば第3章の軌跡の問題そのものになります。複素数平面だからといって特別な解き方は要りません。

複素数の方程式は座標の式に戻すzマイナス1の絶対値が、zたす2の絶対値の2倍になる点の集まり。zをxたすyiとおいて両辺を2乗し、整理するとxたす3の2乗たすyの2乗が4になる。つまり中心がマイナス3、半径が2の円。zがマイナス1のときは2イコール2かける1、zがマイナス5のときは6イコール2かける3で、どちらも条件を満たす。|z − 1| = 2|z + 2| が表す図形1−2Oz = -1z = -5(x + 3)² + y² = 4半径 2 の円(アポロニウスの円)z = x + yi とおくだけ両辺を2乗して(x−1)² + y² = 4{(x+2)² + y²}整理すると(x + 3)² + y² = 4検算 z = −1 なら 2 = 2×1   z = −5 なら 6 = 2×3
図29 z = x + yi と置いた瞬間に、見慣れた円の方程式に変わります。この式が表すのは中心 −3、半径 2 の円。出てきた図形は、必ず1点か2点を代入して確かめてください——図の右下がその検算です。

つまずきポイント

① 偏角の範囲を書かない。θ 足しても同じ点を指すので、0 ≤ θ < 2π−π < θ ≤ π のように範囲を決めてから答えてください。

② 極形式で cosθ − i sinθ のまま答える。極形式は r(cosθ + i sinθ) の形です。マイナスが付いていたら cos(−θ) + i sin(−θ) に直します。

③ 回転の式で − α+ α を落とす。中心が原点でないときは、必ず移す・戻すの2手が要ります。w = (cosθ + i sinθ)z原点中心のとき限定です。

|z1 + z2| = |z1| + |z2| だと思う。ベクトルと同じで、一般には不等号です。等号は偏角が同じときだけ。

⑤ 共役をとるとき、中の i を見落とす。z = 2 + 3i の共役は 2 − 3i です。式全体の共役 (z1z2)‾ = z̄12 のように、共役は四則演算を素通りする——この性質を使うと計算が楽になります。

例題

例題11-1(極形式) z = 1 + √3 i を極形式で表してください(偏角は 0 ≤ θ < 2π)。

手順1:絶対値を出す。
|z| = √(12 + (√3)2) = √4 = 2

手順2:偏角を出す。cosθ = 1/2sinθ = √3/2 となる θ を探します。両方の符号を見ると第1象限なので
θ = π/3

答えz = 2(cos(π/3) + i sin(π/3))

確認2(1/2 + i·√3/2) = 1 + √3 i。元に戻りました。

偏角の決め方tanθ = √3 だけで決めると、π/34π/3 のどちらか判断できません。必ず cossin の符号(=どの象限か)で決めてください。

例題11-2(ド・モアブルの定理) (1 + √3 i)6 を計算してください。

考え方:展開すると大変ですが、極形式なら一瞬です。例題11-1から 1 + √3 i = 2(cos(π/3) + i sin(π/3))

ド・モアブルの定理より
(1 + √3 i)6 = 26{cos(6 × π/3) + i sin(6 × π/3)} = 64(cos 2π + i sin 2π)

cos 2π = 1sin 2π = 0 なので
= 64

答え64

意味を図で見る1 + √3 i を6回掛けるということは、偏角 π/3(60°)の回転を6回——ちょうど1周して元の向きに戻ります。だから答えが実数になるのは必然です。長さのほうは 2 が6回かかって 64

この定石の射程(1+i)100 のような問題も同じ手順です。1+i = √2(cos(π/4)+i sin(π/4)) なので、(√2)100(cos 25π + i sin 25π) = 250 × (−1) = −250指数が大きいほど、極形式の威力が出ます。

例題11-3(回転) 点 z = 4 + 3i を、点 α = 1 + 2i を中心に π/2 だけ回転した点 w を求めてください。

手順1:中心を原点に移す。
z − α = (4 + 3i) − (1 + 2i) = 3 + i

手順2:回す。π/2 の回転は cos(π/2) + i sin(π/2) = i を掛けることです。
i(3 + i) = 3i + i2 = −1 + 3i

手順3:戻す。
w = α + (−1 + 3i) = (1 + 2i) + (−1 + 3i) = 5i

答えw = 5i(座標でいえば (0, 5)

確認:中心 α から z までの距離は |3+i| = √10。中心から w までは |5i − (1+2i)| = |−1+3i| = √10回転しても中心からの距離は変わらないので、これで検算になります。

90°回転は i を掛けるだけ:これは覚える価値があります。i を掛けると (a, b) → (−b, a) になり、確かに反時計回りに90°回っています。「垂直」を作りたいときの最短ルートです。

例題11-4(方程式の表す図形) |z − 1| = 2|z + 2| を満たす点 z は、どのような図形を描きますか。

手順1:z = x + yi と置く。すると
|z − 1| = |(x−1) + yi| = √((x−1)2 + y2)
|z + 2| = |(x+2) + yi| = √((x+2)2 + y2)

手順2:2乗して√を外す。
(x−1)2 + y2 = 4{(x+2)2 + y2}

手順3:整理する。
x2 − 2x + 1 + y2 = 4x2 + 16x + 16 + 4y2
0 = 3x2 + 3y2 + 18x + 15
3で割って x2 + y2 + 6x + 5 = 0
平方完成して (x + 3)2 + y2 = 4

答え:中心 −3(座標では (−3, 0))、半径 2 の円

確認z = −1 なら |−2| = 22|1| = 2 で成立。円の式も (−1+3)2 = 4 ✓。z = −5 なら |−6| = 62|−3| = 6 で成立。(−5+3)2 = 4

第3章とつながる:これは例題3-3とまったく同じ構造です。「2定点からの距離の比が一定(1でない)である点の軌跡は円」——複素数平面でも同じことが起きています。単元が変わっても、図形の性質は変わらない。複素数平面は、その性質を別の記号で書いているだけです。

例題11-5(n乗根) 方程式 z3 = 8i を解いてください(z は複素数)。

考え方z のまま展開するのは大変です。両辺を極形式にして、絶対値と偏角に分けて考えると、割り算のかたちで一気に片づきます。
 絶対値は |z|3 = |8i| / 偏角は 3θ = arg(8i) + 360°k
k を足し忘れると解が1つしか出ません。3乗根なら解はちょうど3つ、と決まっています。

右辺は 8i = 8(cos90° + i sin90°) なので
 |z|3 = 8 → |z| = 2|z| は正の実数)
 3θ = 90° + 360°k → θ = 30° + 120°k (k = 0, 1, 2

 k = 0θ = 30° → z = 2(cos30° + i sin30°) = √3 + i
 k = 1θ = 150° → z = 2(cos150° + i sin150°) = −√3 + i
 k = 2θ = 270° → z = 2(cos270° + i sin270°) = −2i

答えz = √3 + i−√3 + i−2i

確認いちばん確実なのは3乗して戻すことです。(√3 + i)2 = 2 + 2√3 i、これに √3 + i を掛けると 8i(−2i)3 = −8i3 = 8i。どちらももとに戻りました。
図で見ると、3つの解は原点を中心とする半径2の円周上に、120°ずつ等間隔に並びます。1つ求まれば、あとは120°ずつ回すだけ——これがわかっていると、答えの見当がその場でつきます。
もうひとつの検算は3つの解の和です。z3 − 8i = 0 には z2 の項がないので、解と係数の関係から和は 0。実際 (√3 + i) + (−√3 + i) + (−2i) = 0 です。
k = 3 まで進めても θ = 390° となり 30° と同じ点に戻ります。3つで打ち止めである理由もここにあります。

この単元のチェックリスト

確認すること できていないと起きること
偏角は cos と sin の符号で決めたか 反対側の角を答える
極形式が cos + i sin の形か ド・モアブルが使えない
回転で「移す・戻す」を書いたか 中心がずれた答えになる
絶対値は2乗して共役に直したか 展開できない
図形問題は z = x + yi に戻したか 方針が立たない
回転後も中心からの距離が同じか 計算ミスに気づけない

もっと解きたい方へ 👉 複素数平面の特訓道場(20題と全解説)

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第12章 式と曲線

放物線・楕円・双曲線をまとめて2次曲線といいます。どれも「ある距離の条件を満たす点の集まり」として定義されていて、第3章の軌跡の話が土台になっています。

後半では、曲線の表し方を媒介変数極座標に広げます。同じ曲線を別の書き方で表すと、扱いやすさが変わる——それがこの単元の実用的な価値です。

ここが怪しければ先に図形と方程式 / この先つながる積分法の応用(数学III) / この単元の解法パターン2次曲線 全14型

使う道具

道具 使いどころ
放物線 y2 = 4px 焦点 (p, 0)、準線 x = −p
放物線の定義 焦点からの距離=準線までの距離 定義に戻ると解ける
楕円 x2/a2 + y2/b2 = 1 a > b > 0 なら横長
楕円の焦点 (±√(a2−b2), 0) 2焦点からの距離の和が 2a
双曲線 x2/a2 − y2/b2 = 1 左右に開く
双曲線の焦点 (±√(a2+b2), 0) 距離の差の絶対値が 2a
漸近線 y = ±(b/a)x 右辺を0にすると出る
媒介変数(円) x = r cosθ、y = r sinθ cos2+sin2=1 で消す
媒介変数(楕円) x = a cosθ、y = b sinθ 同上
極座標 x = r cosθ、y = r sinθ、r2 = x2+y2 直交座標との行き来
2次曲線の極方程式 r = l/(1 + e cosθ) e < 1 楕円 / = 1 放物線 / > 1 双曲線

定石

焦点は「足すか、引くか」で覚える

楕円 c = √(a2 − b2) (式が引き算= なので、焦点も引き算)
双曲線 c = √(a2 + b2) (式が引き算のときは、焦点は足し算)

逆に見えて紛らわしいので、「楕円の焦点は内側(c < a)、双曲線の焦点は外側(c > a)」と図で覚えるほうが確実です。

楕円と双曲線の焦点の違い上が楕円、下が双曲線。楕円の焦点は曲線の内側にあり、cは引き算で求める。双曲線の焦点は曲線より外側にあり、cは足し算で求める。楕円 x²/25 + y²/9 = 1 (a=5, b=3, c=√(25−9)=4)焦点 (4, 0)焦点 (−4, 0)距離の和 = 2a = 10焦点は内側双曲線 x²/9 − y²/16 = 1 (a=3, b=4, c=√(9+16)=5)焦点 (5, 0)焦点 (−5, 0)漸近線 y = ±(4/3)x焦点は外側距離の差 = 2a = 6
図30 楕円の焦点は曲線の内側、双曲線の焦点は外側にあります。だから楕円は c = √(a2−b2)(引き算)、双曲線は c = √(a2+b2)(足し算)。符号を忘れても、図を思い出せば決まります。

漸近線は「右辺を0にする」と出る

双曲線と漸近線双曲線 エックス2乗9分の1 ひく ワイ2乗4分の1 イコール1 のグラフと、その漸近線を重ねた図。頂点は3、0 と マイナス3、0。式の右辺を0にすると因数分解でき、漸近線はワイイコール プラスマイナス3分の2エックス になる。エックスが大きくなるほど、双曲線は漸近線に近づいていく。漸近線は「右辺を 0 にする」と出るx²/9 − y²/4 = 0 → y = ±(2/3)xy = (2/3)xy = −(2/3)x(3, 0)(−3, 0)x²/9 − y²/4 = 1遠くへ行くほど、曲線は漸近線に近づく(x = 20 で差は 0.15)
図31 漸近線は右辺を 0 にすると出ますx2/9 − y2/4 = 0(x/3 − y/2)(x/3 + y/2) = 0 と因数分解できるので、y = ±(2/3)x符号を忘れても、この作り方なら毎回出せます。

x2/a2 − y2/b2 = 1 の右辺を 0 に変えると
x2/a2 − y2/b2 = 0 → (x/a − y/b)(x/a + y/b) = 0 → y = ±(b/a)x

公式を覚えなくてもその場で作れます

媒介変数は「三角関数の相互関係で消す」

x = 2cosθy = 3sinθ なら、cosθ = x/2sinθ = y/3 として cos2θ + sin2θ = 1 に代入。x2/4 + y2/9 = 1 の楕円です。媒介変数を消す=媒介変数だけの関係式に押し込む——これが基本手順です。

極方程式は「両辺に r を掛ける」か「r を移項する」

r = 2/(1 + cosθ) なら、分母を払って r + r cosθ = 2。ここで r cosθ = x なので r = 2 − x。あとは r = √(x2+y2) として2乗すれば直交座標の式になります。

つまずきポイント

① 楕円で ab の大小を確認しない。x2/9 + y2/25 = 1縦長で、焦点は y 軸上です。分母の大きいほうが長軸——ここを見ずに公式に入れると、焦点の位置が90°ずれます。

② 焦点の + を取り違える。楕円は引き算、双曲線は足し算。図で「焦点は楕円の内側、双曲線の外側」と確認すれば、符号を間違えても気づけます。

③ 媒介変数を消すとき、範囲を落とす。x = t2 なら x ≥ 0 です。媒介変数を消しても、動ける範囲の制限は残ります。答案では必ず範囲を添えてください。

④ 極座標で r < 0θ の範囲を考えない。問題の設定によって r ≥ 0 とするか負も許すかが変わります。設定を読んでから答えてください。

⑤ 2乗したあと、同値性を確認しない。√(x2+y2) = 2 − x を2乗するときは、右辺が0以上(x ≤ 2が必要です。2乗は同値変形ではありません——数学I・Aの同値変形の話が、ここでも効いてきます。

例題

例題12-1(楕円) 楕円 x2/25 + y2/9 = 1 の焦点の座標と、長軸・短軸の長さを求めてください。また、この楕円上の点から2つの焦点までの距離の和を求めてください。

手順1:a と b を読む。a2 = 25b2 = 9 なので a = 5b = 3a > b なので横長、焦点は x 軸上です。

手順2:焦点を出す。
c = √(a2 − b2) = √(25 − 9) = √16 = 4
焦点は (4, 0)(−4, 0)

手順3:軸の長さ。長軸は 2a = 10、短軸は 2b = 6

手順4:距離の和。楕円の定義から、2焦点までの距離の和は長軸の長さ 2a = 10 です。

答え:焦点 (±4, 0)、長軸 10、短軸 6、距離の和 10

確認:楕円上の点 (5, 0) で確かめます。焦点までの距離は |5−4| = 1|5−(−4)| = 9。和は 10 ✓。点 (0, 3) なら √(16+9) = 5 が2つで和は 10 ✓。どの点で測っても同じ——これが楕円の定義です。

例題12-2(双曲線) 双曲線 x2/9 − y2/16 = 1 の焦点の座標と漸近線の方程式を求めてください。

手順1:a と b を読む。a = 3b = 4

手順2:焦点を出す。双曲線は足し算
c = √(a2 + b2) = √(9 + 16) = √25 = 5
焦点は (5, 0)(−5, 0)

手順3:漸近線を出す。右辺を0にして
x2/9 − y2/16 = 0 → (x/3 − y/4)(x/3 + y/4) = 0 → y = ±(4/3)x

答え:焦点 (±5, 0)、漸近線 y = (4/3)xy = −(4/3)x

楕円との違いを確認:楕円では c = 4 < a = 5(焦点が内側)でしたが、双曲線では c = 5 > a = 3(焦点が外側)。この大小関係が、符号を確かめる目印になります。

覚え方3, 4, 5 の直角三角形が隠れています。双曲線では a, b, c が三平方の定理の関係(a2+b2=c2)、楕円では b2+c2=a2どちらも三平方ですが、斜辺の位置が違うだけです。

例題12-3(媒介変数表示) x = t + 1/ty = t − 1/tt ≠ 0)で表される点 (x, y) は、どのような曲線を描きますか。

考え方t を消したいのですが、直接解くと式が汚くなります。2乗して足すか引くかを試します。

x2 = t2 + 2 + 1/t2
y2 = t2 − 2 + 1/t2

引くと t21/t2 が消えます。
x2 − y2 = 4

これは x2/4 − y2/4 = 1、すなわち a = b = 2双曲線(直角双曲線)です。

範囲の確認を忘れずにt > 0 のとき、相加平均・相乗平均の関係から x = t + 1/t ≥ 2t < 0 のときは x ≤ −2つまり |x| ≥ 2 の部分だけを通ります。これは双曲線の形と一致しています(−2 < x < 2 に双曲線は存在しません)。

答え:双曲線 x2 − y2 = 4(全体を描きます)

第1章とつながる:ここで使った t + 1/t ≥ 2 は、例題1-4の相加平均・相乗平均そのものです。単元をまたいで、同じ道具が別の役割で出てくる——このつながりが見えると、覚える量が減ります。

例題12-4(極方程式) 極方程式 r = 2/(1 + cosθ) が表す曲線を、直交座標の方程式で表してください。

手順1:分母を払う。
r(1 + cosθ) = 2 → r + r cosθ = 2

手順2:r cosθ = x を使う。
r + x = 2 → r = 2 − x

手順3:r = √(x2+y2) として2乗する。2乗する前に、右辺が0以上、つまり x ≤ 2 であることを確認しておきます。
x2 + y2 = (2 − x)2 = 4 − 4x + x2
y2 = 4 − 4x = −4(x − 1)

答えy2 = −4(x − 1) (頂点 (1, 0)、左に開く放物線

確認θ = π/2 のとき r = 2/(1+0) = 2 なので、点は (0, 2)。式に入れると 4 = −4(0−1) = 4 ✓。θ = 0 のとき r = 1 で点は (1, 0)、式は 0 = 0

読み取れること:この放物線の焦点は原点(=極)で、準線は x = 2 です。極方程式 r = l/(1 + e cosθ)e(離心率)が 1 のとき放物線——3種類の2次曲線が、1本の式で統一的に書けるのが極座標の面白さです。e < 1 なら楕円、e > 1 なら双曲線になります。

例題12-5(放物線の定義) (1) 焦点が (2, 0)、準線が x = −2 である放物線の方程式を求めてください。(2) 放物線 y2 = 8x 上の点 P について、P から準線までの距離が 5 であるとき、P の座標を求めてください。

考え方:放物線は「焦点までの距離と、準線までの距離が等しい点の集まり」です。楕円や双曲線が2つの焦点を使うのに対し、放物線は焦点1つと直線1本。この定義に戻れる形にしておくと、(2) のような問題が一瞬で終わります。

(1) 点 (x, y) について、焦点までの距離と準線までの距離が等しいので
 √{(x − 2)2 + y2} = x + 2
両辺を2乗して
 (x − 2)2 + y2 = (x + 2)2 → y2 = 8x
y2 = 4px の形で p = 2。焦点は (p, 0)、準線は x = −p です)

(2) y2 = 8x の準線は x = −2 なので、点 P(x, y) から準線までの距離は x + 2
 x + 2 = 5 → x = 3 → y2 = 24 → y = ±2√6

答え:(1) y2 = 8x (2) (3, 2√6)(3, −2√6)

確認:(2) は定義に戻せば別ルートで確かめられます。焦点 (2, 0) から (3, 2√6) までの距離は √{(3 − 2)2 + 24} = √25 = 5。準線までの距離と一致しました。
準線までの距離を |x|x − 2 としてしまうのがよくある間違いです。準線は x = −2 という縦の直線なので、そこまでの距離は x − (−2) = x + 2y2 = 4px では x ≥ 0 なので絶対値も外れます。
4p4 を落として p = 8 としないこと。y2 = 8x なら 4p = 8p = 2。焦点と準線が原点から同じだけ離れている、という絵を思い浮かべると取り違えません。

この単元のチェックリスト

確認すること できていないと起きること
楕円で分母の大小を確認したか 焦点が90°ずれる
楕円は引き算、双曲線は足し算か 焦点の位置が合わない
漸近線は右辺0から作ったか 公式を思い出せず止まる
媒介変数を消したあと範囲を書いたか 通らない部分まで答える
2乗する前に符号条件を確認したか 同値でない変形になる
具体的な θ で検算したか 変形ミスに気づけない

もっと解きたい方へ 👉 式と曲線の特訓道場(20題と全解説)

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最後に:数学II・B・Cを通して効く3つの見方

12単元を見てきました。道具はばらばらに見えますが、同じ考え方が何度も出てきています。最後にそれを3つだけ取り出しておきます。単元を忘れたときの「戻る場所」になります。

見方1 扱えない形は、扱える形に「作り替える」

この範囲で最も繰り返された動作が、これです。

扱えない形 作り替えかた 単元
x + 4/(x−1) (x−1) + 4/(x−1) + 1 第1章
√(−2) × √(−3) 先に i を外に出す 第2章
sinθ と cosθ が混在 合成、または1種類にそろえる 第4章
4x − 3·2x − 4 t = 2x と置く 第5章
1/{k(k+1)} 1/k − 1/(k+1) 第8章
|a→ + t b→| 2乗して内積に 第10章
(1 + √3 i)6 極形式にする 第11章
x = t + 1/t, y = t − 1/t 2乗して引く 第12章

これは「順番に当てはめているだけ」ではありません。形を見て、そこから先の展開を予想し、考える量を減らしている——だから手際よく解法にたどり着けます。予想が外れたら別の作り替えに切りかえればよいだけです。「型」は思考を止める道具ではなく、思考を速く進めるための足場です。

見方2 置きかえたら、必ず「新しい文字の範囲」を書く

この範囲で最も多い失点は、計算ミスではなく条件の書き落としです。

t = sinθ と置いたら −1 ≤ t ≤ 1(第4章)
t = 2x と置いたら t > 0(第5章)
log2(x−1) があれば x > 1(第5章)
・合成したら θ + α の範囲に書き換える(第4章)
・媒介変数を消したら x の動ける範囲を添える(第12章)
・2乗する前に 両辺の符号を確認する(第12章)

どれも1行書くだけです。それだけで、拾ってはいけない解が自動的に落ちます。逆に書かなければ、計算がすべて合っていても答えが違ってしまいます。「置きかえたら範囲」——これを口ぐせにしてください。

見方3 答えが出たら、必ず「戻して確かめる」

この範囲は計算量が多く、途中で1か所ずれると最後まで気づけません。出した答えを元の式に戻すだけで、多くのミスは自分で見つけられます。

単元 戻して確かめること
式と証明 相加相乗の等号成立が定義域内か
複素数と方程式 解と係数の関係で、和と積が合っているか
図形と方程式 求めた図形の上に、具体的な点を2つ乗せてみる
三角関数 合成した式ではなく、元の式に代入する
指数対数 真数条件を満たしているか
微分法 接線が本当にその点を通るか
積分法 積分した結果を微分し直す
数列 n = 1, 2, 3 を入れて実際の値と比べる
統計的な推測 「2σで約95%」の目安と桁が合うか
ベクトル 2通りの表し方で同じ結果になるか
複素数平面 回転後も中心からの距離が変わっていないか
式と曲線 具体的な θt の値で点を作って代入する

この確認の習慣は、成績が上がる速さそのものに直結します。自分でミスを見つけられる人は、模試の返却を待たずに修正できるからです。

数学II・B・Cで、次にやること

このページを読み終えたら、いちばん自信がない単元をひとつだけ選んでください。そして、その章の「例題」を何も見ずに解いてみる。解けなければ「つまずきポイント」に戻る。これを1単元ずつ潰していくのが、いちばん速い進み方です。

手を動かす教材は無料で用意してあります 👉 無料学習プリント・映像授業単元別の演習ページ一覧

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よくある質問

数学II・B・Cは、数学I・Aができていなくても始められますか

単元によります。三角関数は数学Iの三角比、微積分は2次関数、数列は式の計算が前提です。一方で、複素数平面や式と曲線は、比較的独立して始められます。土台が不安なら、まず 数学I・Aの要点辞典 で該当単元だけ確認してから戻ってきてください。全部やり直す必要はありません。

公式が多すぎて覚えられません

覚える量を減らす方法が2つあります。ひとつは「作れる公式は覚えない」こと。2倍角も半角も加法定理から作れますし、双曲線の漸近線は右辺を0にすれば出ます。もうひとつは「同じ発想の公式をまとめる」こと。第10章の「長さは2乗して内積に」と第11章の「絶対値は2乗して共役に」は同じ考え方です。このページの各章の「定石」は、そのまとめ方の例として書いてあります。

三角関数の合成で、いつも答えが合いません

原因はほぼ角の範囲を書き換えていないことです。0 ≤ θ < 2πα ≤ θ + α < 2π + α に直してから、その範囲で sin の最大最小を読んでください。範囲が より狭いときは、1−1 に届かないことがあります。第4章に詳しく書きました。

数列の漸化式が、どの型かわかりません

見分ける順番があります。① 差が一定か(等差) ② 比が一定か(等比) ③ an+1 − an が n の式か(階差) ④ an+1 = pan + q の形か(特性方程式)。第8章に一覧表があります。この4つで、教科書レベルから入試標準レベルまでの大半が動きます。

ベクトルと複素数平面と座標、どれを使えばいいですか

目安はこうです。回転が出てきたら複素数平面、空間なら成分のベクトル、円や直線の交点なら座標。ただし多くの問題はどれでも解けます。迷ったら、いちばん式が短くなりそうなものを選んでください。第10章と第11章で、同じ図形の性質が別の記号で表れる例を扱っています。

共通テストの数学II・B・Cは、どこから手をつければよいですか

共通テストは誘導に乗る力が問われます。まず各単元の道具を使える状態にしてから、実際の過去問で誘導の形に慣れてください。数強塾では過去問の全問解説を無料で公開しています 👉 大学入試の過去問 全問解説

このページの例題は、どこかの問題集から取ったものですか

いいえ。解説・図・および出典を明記していない例題は、すべて数強塾が新規に書き下ろしたものです。市販の参考書や問題集から解説や問題文を転載したものは含まれていません。数値も、こちらで設定して検算したうえで掲載しています。大学入試で実際に出題された問題を扱った箇所(第4章の例題4-4)は、出題大学と年度を明記し、解答・解説は数強塾が独自に書いています。

数学IIIの辞典はありますか

あります 👉 数学IIIの要点辞典。極限・微分法・積分法とその応用を、同じ形式でまとめています。また、証明や論証だけを扱ったページも別にあります 👉 論理と証明の要点辞典

対数の計算で、真数条件はいつ書けばいいですか

log を含む方程式・不等式を解き始める前に、いちばん最初に書きますlogaM では M > 0(底は a > 0 かつ a ≠ 1)。あとから書くと、求めた解のうちどれを捨てるべきか判断できなくなります。また底が 1 より小さいときは不等号の向きが変わる点も要注意です。第5章 指数関数・対数関数で扱っています。

微分・積分は、数学IIと数学IIIで何が違いますか

考え方は同じで、扱える関数の種類が増えます。数学IIでは多項式だけですが、数学IIIでは三角関数・指数対数・分数関数・無理関数まで広がり、合成関数の微分や置換積分といった「形を移す」道具が加わります。数学IIの微積分があいまいなまま数学IIIに入ると、計算量に押し切られます第6章 微分法第7章 積分法で土台を確認してから、数学IIIの要点辞典へ進んでください。

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この記事を書いた人

藤原進之介(ふじわら しんのすけ)

数学に強くなる塾「数強塾」グループ代表・株式会社数強塾 代表取締役

  • 東進ハイスクール・東進衛星予備校・代々木ゼミナールなど出講実績あり(東進ハイスクール・東進衛星予備校では最年少講師
  • 著書累計15万部(KADOKAWA・Gakken・文英堂ほか大手出版社より刊行)
  • 「令和の虎」出演をはじめ、メディア出演多数/消費者庁での登壇実績
  • 数強塾グループ(数強塾/情報ラボ/英論会/AOG/日本数学塾/国強塾)を運営。プロ講師60名以上が在籍し、全国の中高一貫校生を中心に累計3,500名以上を指導
  • もともと数学が苦手だった「元・数学苦手の講師」。だからこそ、つまずく生徒の目線で教えられる

数強塾グループのミッションは「一人ひとりの可能性を最大限に引き出し、本質を理解し、自ら考え続けられる人を育てる」。AI時代に、人にしかできない教育で最高品質の学びを届けます。

藤原進之介のプロフィール詳細指導実績(成績向上率94%の根拠)

数強塾からのご案内

数強塾は、数学を専門にしたオンライン個別指導塾です。中学生・高校生を対象に、一人ひとりの理解の状態に合わせて指導しています。

数学II・B・Cは、量が多いぶん「どこで止まっているか」が自分でわかりにくい範囲です。公式は覚えているのに点にならない、という状態が一番もったいない。もし今そういう状態なら、一度ご相談ください。

数強塾オリジナル 追加演習4題——第3章・第10章・第11章は、同じ平面を3つの言葉で書いている

目次を見てください。第3章 図形と方程式第10章 ベクトル第11章 複素数平面——この3つは、どれも平面上の点と図形を扱っています。第12章の式と曲線も同じ舞台です。

ところが各章は独立して書かれていて、「これは同じものを別の言葉で言っている」という記述がありません。章のナビも「ここが怪しければ先に」「この先つながる」で前後を結ぶだけで、横に並ぶ3章を結んでいません

この4題は、1つの図形問題を3つの言葉で解きます。同じ答えが3回出るので、どの言葉がいちばん短いかがその場で分かります。それが章を選ぶ基準になります。

追加第1問 内分点——3つの公式は同じ式だった

とする。線分 に内分する点 を、座標・ベクトル・複素数の3通りで求めよ。

3通りの解答

座標(第3章):内分点の公式に入れます。

ベクトル(第10章):位置ベクトルの公式に入れます。

複素数(第11章) として同じ形です。

3つとも同じ式です。違うのは書き方だけで、「比の数字が反対側に掛かる(たすき掛け)」という構造は共通。第3章で座標の公式として覚え、第10章でベクトルの公式として覚え直し、第11章でまた覚え直す——3回覚える必要はありません。1つ覚えて、表記を移すだけです。

検算

比が本当に かを確かめます。

長さの比は 。○

もっと速いのは、 を見ることです。成分がちょうど3倍になっています。○

追加第2問 垂直条件——場合分けが要るのはどれか

とする。 となる を、3通りで求めよ。

3通りの解答

座標(第3章):傾きの積が の傾きは の傾きは

ベクトル(第10章):内積が

複素数(第11章) が純虚数。 なので、分母の共役を掛けて実部を にします。実部は なので

ここで差が出ます。座標の「傾きの積が 」は、傾きが定義できない場合( 軸に平行)に使えません。この問題では が縦線になる可能性がないので大丈夫でしたが、点が動く問題では場合分けが必要になります。ベクトルの内積と複素数の純虚数条件には、その場合分けがありませんなぜ内積が0なら垂直なのか)。

検算

のとき 。内積は 。○

複素数側も確かめます。純虚数です。○

比が 、つまり絶対値 なので のはず。実際 。○ 複素数だと、垂直と長さが同時に読めます。

追加第3問 回転——ここは複素数が圧勝する

を、点 を中心として反時計回りに 回転した点 を求めよ。

複素数(第11章)

中心を原点へ移し、 を掛けて、戻します。 として


ベクトル(第10章)

回転は成分を と入れかえるので

座標(第3章)

回転角が 以外だと、加法定理を使って

を書くことになります。 なら なのでベクトルの入れかえと同じ式になりますが、一般角では毎回この2本を書く必要があります

複素数なら、 回転は を掛けるだけ。角が変わっても手数が変わりません。第11章が「回転」を看板にしているのは、これが理由です(なぜ複素数の掛け算では角度が足されるのか)。回転が出てきたら、座標のままで粘らずに複素数へ移す——これが3章を横に見たときの結論です。

検算

回転なので、長さが変わらず、角が になっているはずです。

。○

内積は 。○ 回転の答えは「長さが同じ」と「内積が 」の2つで必ず確かめられます。

追加第4問 面積——ここは座標とベクトルが短い

3点 を頂点とする三角形の面積を、2通りで求めよ。

ベクトル(第10章)

。成分をたすきに掛けて引くだけです。

内積から(第10章の別ルート)

1本目の「たすきに掛けて引く」は、座標でいう靴ひも公式とまったく同じ式です。2本目は内積だけで出る形で、成分が分からず長さと角だけ与えられたときに効きます。同じ答えに2本の道があり、与えられているものによって使い分ける——これが第3章と第10章を横に見るということです。

検算

2つの方法が で一致しました。○

靴ひも公式でも確かめます。。○ 3本目の道も同じ答えです。

4つの場面で、どの章の言葉が短いか

やりたいこと 座標(第3章) ベクトル(第10章) 複素数(第11章) 短いのは
内分点 ◎ 公式そのもの ◎ 同じ式 ◎ 同じ式 どれでも同じ
垂直 △ 傾きが定義できない場合の分けが要る ◎ 内積 ◎ 純虚数 ベクトル・複素数
回転 △ 加法定理が要る ○ 90°なら成分の入れかえ を掛けるだけ 複素数
面積 ◎ 靴ひも ◎ 成分のたすきがけ ○ 少し手数が要る 座標・ベクトル

「どれが正しいか」ではありません。どれでも解けます。違うのは手数です。回転なら複素数、面積なら座標かベクトル、垂直ならベクトルか複素数——問題を見た瞬間に、どの言葉へ翻訳するかを選ぶのが、この3章をまたいで持てる力です。

この4題で確認したこと

  • 内分点の公式は、座標・ベクトル・複素数で同じ式。3回覚える必要はない(追加第1問)。
  • 垂直は、座標だと傾きが定義できない場合の分けが要る。内積と純虚数条件には要らない(追加第2問)。
  • 回転は複素数が圧勝。角が変わっても手数が変わらない(追加第3問)。
  • 面積は成分のたすきがけが最短。長さと角しか分からないときは内積から出す(追加第4問)。
  • 検算も章をまたぐ。回転なら「長さが同じ」と「内積 」、面積なら別ルートで2回出す。
  • 第3章・第10章・第11章は同じ平面を3つの言葉で書いたもの。章の順に読む必要はなく、問題ごとに短い言葉を選べばよい。

各章の詳しいページは 図形と方程式(第3章)、ベクトルとは(第10章・成分のない図形問題の追加演習つき)、複素数平面とは(第11章・比の読み方の追加演習つき)、二次曲線とは(第12章・一般形と媒介変数の追加演習つき)です。

ベクトルで図形を扱う型は ベクトルの図形への応用の解法パターン全14型、演習は ベクトル(基本)の特訓道場、内積そのものは 内積とは(負の内積の追加演習つき)へ。

道具の「なぜ」は、なぜ内積が0なら垂直なのかなぜ複素数の掛け算では角度が足されるのかなぜ三角形の面積は底辺×高さ÷2なのかなぜ内分点は重み付き平均で表せるのか にまとめてあります。

前の段階は 数学I・Aの要点辞典(3つの見方の追加演習つき)、次は 数学IIIの要点辞典、答案の書き方は 論理と証明の要点辞典、分野横断の型は 入試数学の定石(全27章) へ。

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