数強塾オリジナル無料講座『数学の原理』第2章
第1章で「条件は集合である」と分かりました。この章では、文字が2つになると、その集合が座標平面の上の”陣地”になることを見ます。やることは第1章と何ひとつ変わりません。「かつ」は重なった部分、「または」は合わせた部分。それだけです。
文字が1つなら数直線、2つなら平面
藤原です。第2章を始めます。
前の章で、条件 \(-1 \lt x \lt 3\) は「数直線の上の線分」だという話をしました。文字が1つだから、集合は直線の上にできる。当たり前ですよね。\(x\) を1つ決めれば、数直線上の点が1つ決まるからです。
では、文字が2つになったらどうでしょう。
\(x + y \le 2\)
この条件を満たす「もの」は何でしょうか。\(x\) だけでも \(y\) だけでもありません。\(x\) と \(y\) のペアです。\((x,\ y) = (1,\ 0)\) は満たすし、\((0,\ 5)\) は満たさない。
そして「数のペア」といえば、座標平面の点ですよね。中学2年生でやったあれです。
文字1つの条件 → 真理集合は数直線上の図形(点・区間)
文字2つの条件 → 真理集合は座標平面上の図形(曲線・領域)
これを領域と呼びます。名前が新しいだけで、正体は第1章の真理集合そのものです。
なぜ「上側」なのか、を一度だけ真面目に考える
教科書には「\(y \gt f(x)\) の表す領域は、曲線 \(y = f(x)\) の上側」と書いてあります。これ、覚えていませんか? 覚えなくていいです。1回だけ理由を考えれば、二度と忘れません。
たとえば \(y \gt x + 1\) を考えます。
\(x\) の値を1つ、たとえば \(x = 2\) に固定してみてください。すると条件は \(y \gt 3\) になります。つまり、\(x=2\) という縦の線の上では、高さ3より上の部分が条件を満たす。
次に \(x = -1\) にしてみます。すると \(y \gt 0\)。\(x=-1\) の縦線上では、高さ0より上が条件を満たす。
この「\(x\) を固定して、その縦線上でどこがOKか調べる」という作業を、すべての \(x\) についてやってみてください。どの縦線でも、基準の高さ \(x+1\) より上がOK。それを全部集めたら、直線 \(y = x+1\) の上側になります。
領域が分からなくなったら、\(x\) を1つ固定して縦線で切る。
これは「スライスする」という発想で、第18章の逆像法、第19章の通過領域、第24章の最大最小まで、ずっと使い続けます。今のうちに手に馴染ませてください。
境界と、テスト点1つで決める方法
もっと実戦的な方法もあります。
\(2x – 3y + 1 \gt 0\) の表す領域を知りたいとします。まず等号のところ、つまり直線 \(2x – 3y + 1 = 0\) を描きます。これを境界といいます。
境界は平面を2つに分けます。ここで大事な事実があります。
\(2x-3y+1\) の値は、境界をまたぐときにしか符号が変わらない。
だから、片側の点を1つだけ代入すれば、その側が全部OKかNGか決まる。
試してみます。原点 \((0,\ 0)\) を代入すると \(2\cdot 0 – 3 \cdot 0 + 1 = 1 \gt 0\)。OKです。だから原点を含む側が答えの領域。以上、終わりです。
原点が境界の上に乗っているときだけは、原点が使えないので \((1,\ 0)\) など別の点を選んでください。
「かつ」は重なり、「または」は合わせ
第1章でやったことが、そのまま絵になります。
- 「\(p\) かつ \(q\)」→ 2つの領域の重なった部分(共通部分 \(P \cap Q\))
- 「\(p\) または \(q\)」→ 2つの領域を合わせた部分(和集合 \(P \cup Q\))
たとえば「\(y \ge x^2 – 1\) かつ \(y \le x+1\)」なら、放物線の上側と直線の下側の、両方に入っているところ。図にするとこうなります。
2つのグラフの交点は、連立して \(x^2 – 1 = x + 1\)、つまり \(x^2 – x – 2 = (x+1)(x-2) = 0\) より \(x = -1,\ 2\) です。だから \(-1 \le x \le 2\) の範囲でだけ、レンズのような形の領域ができる。
ここで、さっきの「縦線で切る」が効きます。\(-1 \le x \le 2\) の各 \(x\) について、\(y\) は \(x^2-1\) から \(x+1\) までを動く。逆に、この範囲の外の \(x\) では、\(x^2-1 \gt x+1\) になってしまうので、条件を満たす \(y\) は1つも存在しません。だから領域が横に広がらない。「領域が存在するための \(x\) の条件」がそのまま \(-1 \le x \le 2\) です。
積の符号は、「かつ」と「または」に分解できる
掛け算の形をした条件は、そのままでは絵になりません。でも、中学校で習った「符号のルール」を使えばほどけます。
\((x – y)(x + y) \gt 0\)
2つの数の積が正になるのは、両方正か、両方負のときでしたね。だから
(\(x-y \gt 0\) かつ \(x+y \gt 0\)) または (\(x-y \lt 0\) かつ \(x+y \lt 0\))
と書き換えられます。これで直線だけの話になったので、絵が描けます。前半は「\(y \lt x\) かつ \(y \gt -x\)」、つまり右側の三角形。後半は左側の三角形。合わせるとこうです。
境界の直線が点線なのは、等号を含まないからです。\(\gt\) なら点線、\(\ge\) なら実線。ここは答案でも減点されるポイントなので、必ず描き分けてください。
ちなみに \((x-y)(x+y) = x^2 – y^2\) なので、この条件は \(x^2 \gt y^2\)、つまり \(|x| \gt |y|\) と同じです。「横方向のズレのほうが縦方向のズレより大きい点」。図と一致していますね。
絶対値が入ったら、場合分けするか、対称性を使う
\(|x| + |y| \le 2\)
まじめにやるなら、\(x\) の正負と \(y\) の正負で4通りに場合分けします。たとえば \(x \ge 0,\ y \ge 0\) なら \(x + y \le 2\)。第1象限では直線 \(x+y=2\) の下側の三角形です。
でも、もっと速い見方があります。この条件は \(x\) を \(-x\) に変えても、\(y\) を \(-y\) に変えても、まったく同じ形をしています(\(|-x| = |x|\) だから)。ということは、この領域は \(y\) 軸についても \(x\) 軸についても左右対称・上下対称。だから第1象限だけ描いて、あとは折り返せば終わりです。
対称性は、計算量を半分や4分の1にする最強の武器です。入試の図形問題では、対称性に気づけるかどうかで所要時間が倍以上変わります。「この式、\(x\) を \(-x\) にしても変わらないな」と気づくクセをつけてください。
領域が分かると、最大最小が「見える」
ここが、この章のごほうびです。
「\(x^2 + y^2 \le 1\) のとき、\(x + y\) の最大値を求めよ」
いきなり計算しようとすると詰まります。でも領域で考えると、こうです。
まず \(x^2+y^2 \le 1\) は、原点中心・半径1の円の内側(周を含む)。次に、求めたい \(x+y\) の値を \(k\) と置いてみます。
\(x + y = k\) → \(y = -x + k\)
これは傾き \(-1\) の直線で、\(k\) を大きくすると右上に平行移動します。つまり、
「\(x+y\) の最大値」=「傾き \(-1\) の直線を、円と共有点を持つ範囲でどこまで右上に押せるか」
押していくと、最後は円に接するところで止まります。原点から直線 \(x + y – k = 0\) までの距離が半径1に等しくなるときなので、点と直線の距離の公式から
\[\frac{|k|}{\sqrt{1^2+1^2}} = 1\]
よって \(|k| = \sqrt{2}\)、つまり \(k = \pm\sqrt{2}\)。右上に押した方が最大なので
\[k = \sqrt{2}\]
つまり \(x+y\) の最大値は \(\sqrt{2}\) です。
「求めたい式を \(k\) と置いて、その図形を動かす」。この発想は第18章(逆像法)でもう一度、もっと強力な形で出てきます。今日はその予告編です。
【原理】この章の芯
① 文字が2つの条件の真理集合は、平面上の領域である。
② 迷ったら \(x\) を1つ固定して、縦線で切る。
③ 境界を描き、テスト点を1つ代入すれば側が決まる。
④ 「かつ」は重なり、「または」は合わせ。積の符号は「かつ・または」に分解する。
⑤ 求めたい式を \(k\) と置くと、最大最小は「図形を動かす」問題になる。
オリジナル問題で確かめる
ここからは書き下ろしの練習問題です。必ず自分でグラフ用紙に描いてから解答を見てください。図を描かずに答えだけ見ても、絶対に身につきません。
問題1(境界と側の判定)
次の点が、不等式 \(2x – 3y + 1 \gt 0\) の表す領域に入っているかどうかを判定せよ。
- \((3,\ 1)\)
- \((0,\ 1)\)
- \((1,\ 1)\)
問題2(基本の図示)
次の不等式の表す領域を図示せよ。境界を含むかどうかも明示すること。
- \(y \ge x^2 – 4\)
- \(x^2 + y^2 \lt 9\)
- \(y \lt |x|\)
問題3(かつ・または)
次の条件の表す領域を図示せよ。
- \(y \ge x^2 – 1\) かつ \(y \le 3\)
- \(x^2 + y^2 \le 4\) または \(y \ge x + 2\)
問題4(積の符号を分解する)
次の不等式の表す領域を図示せよ。
- \((x – y + 1)(x + y – 1) \lt 0\)
- \(xy \ge 0\)
問題5(絶対値と対称性)
不等式 \(|x| + |y| \le 2\) かつ \(x^2 + y^2 \ge 1\) の表す領域を図示し、その面積を求めよ。
問題6(扇形になるパターン)
不等式 \(x^2 + y^2 \le 4\) かつ \(y \ge |x|\) の表す領域を図示し、その面積を求めよ。
問題7(領域と最大最小)
実数 \(x,\ y\) が \(x \ge 0,\ y \ge 0,\ x + 2y \le 4\) を満たすとき、\(3x + y\) の最大値と最小値を求めよ。
問題8(円と直線・接する場合)
実数 \(x,\ y\) が \(x^2 + y^2 \le 4\) を満たすとき、\(2x + y\) の最大値を求めよ。
問題9(「領域が空でない」条件・入試の入口)
\(a\) を実数とする。連立不等式
\[\begin{cases} y \ge x^2 \\ y \le x + a \end{cases}\]
を満たす実数の組 \((x,\ y)\) が存在するような \(a\) の範囲を求めよ。
解答と解説
問題1の解答
代入するだけです。
- \(2\cdot 3 – 3\cdot 1 + 1 = 6 – 3 + 1 = 4 \gt 0\) → 入っている
- \(2\cdot 0 – 3\cdot 1 + 1 = -2 \lt 0\) → 入っていない
- \(2\cdot 1 – 3\cdot 1 + 1 = 0\) → これは境界の上。\(\gt\) は等号を含まないので入っていない
(3) のように「ちょうど0」になる点は、不等号が \(\gt\) か \(\ge\) かで運命が変わります。境界の扱いは常に意識してください。
問題2の解答
- \(y \ge x^2-4\):放物線 \(y = x^2 – 4\)(頂点 \((0,\ -4)\))を実線で描き、その内側(上側)を塗る。境界を含む。
確認:\((0,\ 0)\) を入れると \(0 \ge -4\) で真。原点は放物線の上側なので合っています。 - \(x^2+y^2 \lt 9\):原点中心・半径3の円を点線で描き、内部を塗る。境界を含まない。
- \(y \lt |x|\):\(y = |x|\)(原点から右上と左上に伸びるV字)を点線で描き、その下側を塗る。
確認:\((0,\ -1)\) を入れると \(-1 \lt 0\) で真。V字の下なので合っています。
問題3の解答
- \(y \ge x^2-1\) かつ \(y \le 3\)
放物線の上側と、横線 \(y=3\) の下側の重なり。交点は \(x^2 – 1 = 3\) より \(x^2 = 4\)、\(x = \pm 2\)。つまり \((-2,\ 3)\) と \((2,\ 3)\) を上端とする、放物線と横線で囲まれたおわん型の領域。境界はすべて含む。 - \(x^2+y^2 \le 4\) または \(y \ge x+2\)
「または」なので合わせる。半径2の円板と、直線 \(y = x+2\) の上側半平面の和集合。この2つは重なっています(たとえば \((0,\ 2)\) は両方に入る)が、和集合なので気にせず両方塗ればよい。
(2) で「重なっているところをどうしよう」と悩んだ人がいるかもしれません。第1章でやったとおり、数学の「または」は両方でもOKです。だから何も引きません。
問題4の解答
(1) \((x-y+1)(x+y-1) \lt 0\)
積が負になるのは符号が逆のときなので、
(\(x-y+1 \gt 0\) かつ \(x+y-1 \lt 0\))または(\(x-y+1 \lt 0\) かつ \(x+y-1 \gt 0\))
それぞれ \(y \lt x+1\) と \(y \lt -x+1\)、\(y \gt x+1\) と \(y \gt -x+1\) です。2直線 \(y=x+1\) と \(y=-x+1\) は点 \((0,\ 1)\) で交わり、平面を4つのくさび形に分けます。答えは下のくさびと上のくさび(境界は含まない、点線)。
確認:原点 \((0,\ 0)\) を代入すると \((0-0+1)(0+0-1) = -1 \lt 0\) で真。原点は交点 \((0,1)\) の真下なので、下のくさびに入っています。合っています。
(2) \(xy \ge 0\)
積が0以上になるのは「両方0以上」または「両方0以下」。つまり第1象限と第3象限、および座標軸そのものです。\(x=0\) や \(y=0\) のときは積が0になるので、両方の軸が丸ごと含まれることに注意してください。
問題5の解答
「\(|x|+|y| \le 2\)」は、本文で描いた4頂点 \((\pm 2,\ 0),\ (0,\ \pm 2)\) のひし形(内部と周)。「\(x^2+y^2 \ge 1\)」は、原点中心・半径1の円の外側(周を含む)。
したがって求める領域は、ひし形から半径1の円板をくり抜いた形です。
ここで、半径1の円がひし形の内部にすっぽり入っていることを確認しておきます。原点から辺 \(x+y=2\) までの距離は
\[\frac{|{-2}|}{\sqrt{1^2+1^2}} = \frac{2}{\sqrt{2}} = \sqrt{2}\]
で、\(\sqrt{2} \fallingdotseq 1.41 \gt 1\)。だから円は辺に届かず、完全に内部にあります(対称性より他の3辺も同じ)。
面積は「ひし形 − 円」です。ひし形は対角線が両方とも \(4\) なので
\[\frac{1}{2} \cdot 4 \cdot 4 = 8\]
円板の面積は \(\pi \cdot 1^2 = \pi\)。よって
\[8 – \pi\]
答え:\(8 – \pi\)
問題6の解答
「\(x^2+y^2 \le 4\)」は半径2の円板。「\(y \ge |x|\)」は V字の上側、つまり真上に開いた直角のくさびです。
\(y = x\) と \(y = -x\) のなす角のうち、上向きの部分の角度は \(90^\circ\)。よって求める領域は中心角 \(90^\circ\) の扇形になります。
面積は
\[\pi \cdot 2^2 \cdot \frac{90}{360} = 4\pi \cdot \frac{1}{4} = \pi\]
答え:\(\pi\)
「くさび形の角度が何度か」を、直線の傾きから読み取れるようにしておくと速いです。\(y = x\) は \(x\) 軸と \(45^\circ\)、\(y = -x\) も \(45^\circ\) なので、上向きのくさびは \(180^\circ – 45^\circ – 45^\circ = 90^\circ\) です。
問題7の解答
領域は、3直線 \(x=0\)、\(y=0\)、\(x+2y=4\) で囲まれた三角形です。頂点を求めます。
- \(x=0\) と \(y=0\) の交点:\((0,\ 0)\)
- \(y=0\) と \(x+2y=4\) の交点:\((4,\ 0)\)
- \(x=0\) と \(x+2y=4\) の交点:\((0,\ 2)\)
次に \(3x + y = k\) とおきます。これは傾き \(-3\) の直線で、\(k\) を大きくすると右上に動きます。
ここで大事な事実があります。領域が多角形のとき、1次式の最大最小は必ず頂点で起こります。直線を平行移動していくと、領域から離れる直前・接触した直後は必ず角のところだからです。だから3頂点で値を調べれば終わりです。
- \((0,\ 0)\):\(3\cdot 0 + 0 = 0\)
- \((4,\ 0)\):\(3\cdot 4 + 0 = 12\)
- \((0,\ 2)\):\(3\cdot 0 + 2 = 2\)
答え:最大値 \(12\)(\((x,y)=(4,0)\) のとき)、最小値 \(0\)(\((x,y)=(0,0)\) のとき)
問題8の解答
\(2x + y = k\) とおくと、直線 \(2x + y – k = 0\) です。これが半径2の円板と共有点を持つ条件は、原点からこの直線までの距離が2以下であること。
\[\frac{|-k|}{\sqrt{2^2+1^2}} \le 2\]
\[\frac{|k|}{\sqrt{5}} \le 2\]
\[|k| \le 2\sqrt{5}\]
よって \(-2\sqrt{5} \le k \le 2\sqrt{5}\) となり、最大値は \(2\sqrt{5}\) です。
答え:\(2\sqrt{5}\)
この解き方の意味を確認しておきます。私たちは「\(k\) が \(2x+y\) の値として実現できる」ということを、「直線 \(2x+y=k\) が領域と共有点を持つ」に言い換えました。値が実現できる ⟺ 共有点が存在する。この言い換えこそが第18章「逆像法」の正体です。
問題9の解答
求めるのは「そういう点 \((x,\ y)\) が存在するような \(a\)」です。第1章の最後でやったとおり、存在するとは、真理集合が空でないということでした。
ここで「縦線で切る」を使います。\(x\) を1つ固定したとき、条件を満たす \(y\) が存在するのは
\[x^2 \le x + a\]
が成り立つときです(\(y\) が \(x^2\) 以上かつ \(x+a\) 以下でいられる、ということ)。したがって、
「点 \((x,y)\) が存在する」 ⟺ 「\(x^2 – x – a \le 0\) を満たす実数 \(x\) が存在する」
と言い換わりました。\(y\) が消えて、1文字の問題になりましたね。
あとは \(f(x) = x^2 – x – a\) とおいて、この下に凸の放物線が \(x\) 軸以下になる部分を持つ条件を考えます。それは最小値が0以下ということです。
\[f(x) = \left(x – \frac{1}{2}\right)^2 – \frac{1}{4} – a\]
より最小値は \(-\dfrac{1}{4} – a\) なので、
\[-\frac{1}{4} – a \le 0\]
\[a \ge -\frac{1}{4}\]
答え:\(a \ge -\dfrac{1}{4}\)
検算します。\(a = -\dfrac{1}{4}\) のとき、\(x = \dfrac{1}{2}\) で \(y = \dfrac{1}{4}\) がちょうど両方の等号を満たします(\(y \ge x^2 = \frac14\) と \(y \le x + a = \frac12 – \frac14 = \frac14\))。ぎりぎり1点だけ存在する、という状況です。合っています。
この問題、「放物線と直線が共有点を持つ条件」として判別式で解いても同じ答えになります。\(x^2 = x + a\) の判別式は \(1 + 4a \ge 0\) より \(a \ge -\frac14\)。ただし、判別式で解けるのは「境界どうしが接するか交わるか」を見ているからで、いつでも使えるわけではありません。「存在する ⟺ 最小値が0以下」のほうが応用が利きます。
よくある誤解
誤解1:不等号の向きで上下を暗記しようとする
暗記は要りません。\(x\) を1つ固定して縦線で切れば、その場で分かります。
誤解2:境界の実線・点線を描き分けない
答案では減点対象です。\(\ge\) は実線、\(\gt\) は点線。図の隅に「境界を含む/含まない」と書き添えるのが安全です。
誤解3:積の不等式をそのまま図示しようとする
\((\ )(\ ) \gt 0\) は「両方正 または 両方負」に分解してから描きます。分解せずに描ける形ではありません。
誤解4:「または」で重なった部分を引いてしまう
引きません。和集合はそのまま合わせるだけです。面積を求めるときだけ、重複分の扱いに注意します。
よくある質問
Q. 領域の問題は、図が汚いと減点されますか?
芸術性は要求されませんが、境界の実線・点線、交点の座標、塗った部分が明確であることは必要です。フリーハンドで構いません。交点の座標を書き込んでおくと、採点者に「分かっている」ことが伝わります。
Q. 円と直線が接する条件は、判別式と点と直線の距離のどちらを使うべきですか?
円が絡むなら距離のほうが速いことが多いです。判別式は式が複雑になりがちなので。ただしどちらでも正解にはたどり着けるので、両方できるようにしておいて、その場で軽いほうを選ぶのが理想です。
Q. 「縦線で切る」は、いつ使うんですか?
文字が2つ以上あって、片方を消したいときです。第18章の逆像法、第19章の通過領域、第24章の最大最小は、全部これの応用です。この章でいちばん持ち帰ってほしい道具がこれだと思ってください。
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第2章では、条件が平面上の領域になることと、「縦線で切る」という道具を手に入れました。問題9で少しだけ触れましたが、「存在する」という言葉には独特の力があります。次の第3章では、「すべての」と「ある(存在する)」という、入試数学でいちばん差がつく2つの言葉を正面から扱います。この2つの違いが分かると、証明問題の見え方が変わります。
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要点辞典この単元の公式・定石・つまずきやすい所は 論理と証明の要点辞典:命題と条件 にまとめてあります。

