数強塾オリジナル無料講座『数学の原理』第10章
前章で「Σは引き算だ」と分かりました。ということは、逆向きも成り立つはずです。数列を差分すれば、和の情報が取り出せる。この往復を自由にできるようになると、「階差数列」も「\(a_n = S_n – S_{n-1}\)」も、別々の公式ではなく同じ1つの話だと見えてきます。そして、あの「ただし \(n \ge 2\)」の但し書きの正体も分かります。
和と項は、行ったり来たりできる
藤原です。第10章です。
前章で、この関係を作りました。
\(\Delta F(k) = f(k)\) ならば \(\displaystyle \sum_{k=p}^{q} f(k) = F(q+1) – F(p)\)
これは「\(f\) から \(F\) を作る」向きの話でした。今日は逆向きです。
数列 \(\{a_n\}\) が先に与えられていて、その差分を取ったら何が分かるか。
具体例で見ましょう。次の数列を見てください。
\[1,\quad 2,\quad 4,\quad 7,\quad 11,\quad 16,\quad \ldots\]
規則が見えますか。ぱっと見では分かりにくい。でも、隣どうしの差を取ってみるとどうでしょう。
\[1,\quad 2,\quad 3,\quad 4,\quad 5,\quad \ldots\]
きれいに並びました。この「差の数列」を階差数列といいます。前章の言葉でいえば、\(\Delta a_n\) のことです。
そして、階差が分かれば元が復元できます。なぜなら
\[a_n = a_1 + (a_2 – a_1) + (a_3 – a_2) + \cdots + (a_n – a_{n-1})\]
これはまさに望遠鏡和です。中身を差の形で足していけば、元に戻る。記号で書けば
階差数列を \(b_n = a_{n+1} – a_n\) とすると
\[a_n = a_1 + \sum_{k=1}^{n-1} b_k \qquad (n \ge 2)\]
教科書に載っている公式そのものです。でも今は、暗記した公式ではなく「望遠鏡和を逆から見ただけ」だと分かっているはずです。
なぜ「ただし \(n \ge 2\)」なのか
ここが、多くの人がモヤモヤしたまま通り過ぎるところです。
\(n = 1\) を代入してみてください。
\[a_1 = a_1 + \sum_{k=1}^{0} b_k\]
右のΣは「\(k=1\) から \(k=0\) まで足す」。そんな範囲、ありませんよね。1個も足すものがない。
数学では、こういう「足すものが1個もない和」を0と約束します(空の和)。そう約束すれば \(a_1 = a_1 + 0\) となって、実は \(n=1\) でも成り立ちます。
ただし高校の教科書はこの約束を明示しないので、安全のため「\(n \ge 2\)」と書き、\(n=1\) は別に確認するのが作法になっています。
答案での正しいふるまい
① \(n \ge 2\) として一般項を求める
② \(n = 1\) を代入してみて、\(a_1\) と一致するか確認する
③ 一致すれば「これは \(n=1\) でも成り立つ」と書いて統一。一致しなければ「\(a_1 = \cdots\)、\(n \ge 2\) のとき \(a_n = \cdots\)」と分けて書く
②を飛ばして③を書くのが、いちばん多い失点です。
\(a_n = S_n – S_{n-1}\) も、まったく同じ話
次は、和 \(S_n\) が先に与えられている場合です。
\[S_n = a_1 + a_2 + \cdots + a_n\]
このとき、\(a_n\) を取り出したければどうするか。\(S_n\) から \(S_{n-1}\) を引けばいいですね。
\[S_n – S_{n-1} = a_n\]
ここで気づいてほしいのは、これは「\(S\) の差分が \(a\) である」と言っているということです。前章の \(\Delta F = f\) とまったく同じ形。\(S\) は \(a\) の原始数列だったのです。
和を取る ⇄ 差分を取る。この2つは互いに逆の操作である。
「\(a_n = S_n – S_{n-1}\)」も「階差数列の公式」も、この1本の線の上にある。
そして、ここでも \(n=1\) が問題になります。
\(n=1\) のとき、右辺は \(S_1 – S_0\) です。でも \(S_0\) とは「0個足した和」。教科書では定義されていません。だから \(n \ge 2\) という但し書きがつく。
(\(S_0 = 0\) と約束すれば \(n=1\) でも通ります。理屈はさっきの空の和と同じです。)
「統一できる場合」と「できない場合」を、実際に見る
ここが実戦で効くところです。2つ並べます。
ケース1:\(S_n = n^2 – 2n\) のとき
\(n \ge 2\) では
\[a_n = S_n – S_{n-1} = (n^2 – 2n) – \{(n-1)^2 – 2(n-1)\}\]
\[= (n^2-2n) – (n^2 – 4n + 3) = 2n – 3\]
一方 \(a_1 = S_1 = 1 – 2 = -1\)。
ここで \(2n-3\) に \(n=1\) を入れると \(-1\)。一致します。だから
\[a_n = 2n – 3 \qquad (n \ge 1)\]
と統一して書けます。
ケース2:\(S_n = n^2 – 2n + 1\) のとき
\(n \ge 2\) では、定数の \(1\) が引き算で消えるので、さっきと同じく
\[a_n = 2n – 3\]
ところが \(a_1 = S_1 = 1 – 2 + 1 = 0\)。\(2n-3\) に \(n=1\) を入れると \(-1\) なので、一致しません。
したがって答えは分けて書きます。
\[a_1 = 0, \qquad a_n = 2n-3 \quad (n \ge 2)\]
この2つの \(S_n\) は、定数が \(1\) 違うだけです。それだけで答えの形が変わる。
だから「\(n=1\) を確認する」のは形式的な儀式ではなく、本当に必要な作業なのです。
なぜこうなるのか、意味を考えておきましょう。\(S_n\) は「最初の \(n\) 項の和」なので、\(n=0\) のときは当然 \(0\) であるべきです。ケース1では \(S_n = n^2-2n\) に \(n=0\) を入れると \(0\)。つじつまが合っている。ケース2では \(1\) になってしまう。つじつまが合っていないから、\(n=1\) だけ例外になるのです。
原始数列を「作る」技術──係数を未知数において決める
前章で「原始数列は探すのではなく作る」と書きました。その作り方を、ここで具体化します。
例題 \(\displaystyle \sum_{k=1}^{n} k \cdot 3^k\) を求めよ。
まず「\(\Delta F(k) = k \cdot 3^k\) となる \(F\) は、どんな形か」を予想します。
\(3^k\) を差分しても \(3^k\) の形は消えません。そして「1次式 × \(3^k\)」を差分すると、やはり「1次式 × \(3^k\)」になりそうです。だから
\[F(k) = (ak + b) \cdot 3^k\]
とおいてみます。差分を計算しましょう。
\[\Delta F(k) = \{a(k+1)+b\} \cdot 3^{k+1} – (ak+b) \cdot 3^k\]
\(3^k\) でくくります。
\[= 3^k \left[ 3\{a(k+1)+b\} – (ak+b) \right] = 3^k \left[ 3ak + 3a + 3b – ak – b \right]\]
\[= 3^k \left[ 2ak + 3a + 2b \right]\]
これが \(k \cdot 3^k\) に等しくなってほしい。つまり \(2ak + 3a + 2b = k\)。\(k\) についての恒等式なので、係数を比べて
\[2a = 1, \qquad 3a + 2b = 0\]
より \(a = \dfrac{1}{2}\)、\(b = -\dfrac{3}{4}\)。したがって
\[F(k) = \left( \frac{k}{2} – \frac{3}{4} \right) 3^k = \frac{2k-3}{4} \cdot 3^k\]
あとは公式に入れるだけです。
\[\sum_{k=1}^{n} k \cdot 3^k = F(n+1) – F(1) = \frac{2n-1}{4} \cdot 3^{n+1} – \frac{-1}{4} \cdot 3\]
\[= \frac{(2n-1) \cdot 3^{n+1} + 3}{4}\]
検算します。\(n=1\) なら左辺は \(1 \cdot 3 = 3\)。右辺は \(\dfrac{1 \cdot 9 + 3}{4} = 3\)。合っています。\(n=2\) なら左辺は \(3 + 2 \cdot 9 = 21\)。右辺は \(\dfrac{3 \cdot 27 + 3}{4} = \dfrac{84}{4} = 21\)。合っています。
【原始数列の作り方】
① \(F\) の形を予想する(多項式なら次数を1つ上げる、指数が絡むなら同じ指数を残す)
② 未知の係数をおいて差分を計算する
③ 目標の式と係数比較して、係数を決める
この方法は、教科書の「\(S – rS\) を作る」というテクニックより手順が固定されているのが強みです。ひらめきが要りません。
【原理】この章の芯
① 和を取る操作と差分を取る操作は、互いに逆。
② 階差数列の公式は、望遠鏡和を逆から見たもの。
③ \(S_n\) は \(a_n\) の原始数列。だから \(a_n = S_n – S_{n-1}\)。
④ 「\(n \ge 2\)」が付くのは、\(S_0\) や空の和が定義されていないから。
⑤ \(n=1\) を代入して確認する。一致すれば統一、しなければ分けて書く。
⑥ 原始数列は、形を予想して係数比較で「作る」。
オリジナル問題で確かめる
問題1(階差から一般項)
数列 \(\{a_n\}\) が \(a_1 = 1\)、階差数列 \(b_n = a_{n+1} – a_n = 2n – 1\) を満たすとき、一般項 \(a_n\) を求めよ。
問題2(規則を見つける)
数列 \(1,\ 2,\ 4,\ 7,\ 11,\ 16,\ \ldots\) の一般項 \(a_n\) を求めよ。
問題3(階差が等比)
数列 \(\{a_n\}\) が \(a_1 = 2\)、\(a_{n+1} – a_n = 3^n\) を満たすとき、一般項 \(a_n\) を求めよ。
問題4(\(S_n\) から \(a_n\)・統一できる場合)
数列 \(\{a_n\}\) の初項から第 \(n\) 項までの和が \(S_n = n^2 + 3n\) であるとき、一般項 \(a_n\) を求めよ。
問題5(\(S_n\) から \(a_n\)・統一できない場合)
数列 \(\{a_n\}\) の初項から第 \(n\) 項までの和が \(S_n = 2^n + 1\) であるとき、一般項 \(a_n\) を求めよ。
問題6(原始数列を作る)
\(F(k) = (ak+b) \cdot 2^k\) とおいて \(\Delta F(k) = (k+1) \cdot 2^k\) となるように \(a,\ b\) を定め、\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n} (k+1) \cdot 2^k\) を求めよ。
問題7(差分で恒等式を示す)
差分の考え方を用いて、次が成り立つことを示せ。
\[\sum_{k=1}^{n} (2k-1) = n^2\]
問題8(群数列)
正の奇数を、次のように群に分ける。
\[\{1\},\ \{3,\ 5\},\ \{7,\ 9,\ 11\},\ \{13,\ 15,\ 17,\ 19\},\ \ldots\]
(第 \(n\) 群には \(n\) 個の奇数が入る。)
- 第 \(n\) 群の最初の数を求めよ。
- 第 \(n\) 群に入っている数の和を求めよ。
問題9(総合)
数列 \(\{a_n\}\) の初項から第 \(n\) 項までの和 \(S_n\) が \(S_n = 3a_n – 4\) を満たすとき、一般項 \(a_n\) を求めよ。
解答と解説
問題1の解答
\(n \ge 2\) のとき
\[a_n = a_1 + \sum_{k=1}^{n-1} (2k-1)\]
Σを計算します。
\[\sum_{k=1}^{n-1} (2k-1) = 2 \cdot \frac{(n-1)n}{2} – (n-1) = (n-1)n – (n-1) = (n-1)^2\]
よって
\[a_n = 1 + (n-1)^2 = n^2 – 2n + 2\]
\(n=1\) の確認:\(1 – 2 + 2 = 1 = a_1\) ○ 統一できます。
答え:\(a_n = n^2 – 2n + 2\)(\(n \ge 1\))
検算:\(a_2 = a_1 + b_1 = 1 + 1 = 2\)。公式では \(4-4+2 = 2\) ○
Σの上端が \(n-1\) であることに注意してください。ここを \(n\) にする事故が非常に多い。「\(a_n\) にたどり着くには、階差を \(n-1\) 回足す」と絵で覚えるといいです。
問題2の解答
まず階差を取ります。
\[2-1=1,\quad 4-2=2,\quad 7-4=3,\quad 11-7=4,\quad 16-11=5\]
階差数列は \(b_n = n\) と予想できます。したがって \(n \ge 2\) のとき
\[a_n = 1 + \sum_{k=1}^{n-1} k = 1 + \frac{(n-1)n}{2}\]
\(n=1\) の確認:\(1 + 0 = 1\) ○
答え:\(a_n = \dfrac{n^2 – n + 2}{2}\)
検算:\(n=4\) なら \(\dfrac{16-4+2}{2} = 7\) ○
問題3の解答
\(n \ge 2\) のとき
\[a_n = 2 + \sum_{k=1}^{n-1} 3^k\]
等比数列の和なので(第9章の問題6の形です)
\[\sum_{k=1}^{n-1} 3^k = \frac{3(3^{n-1}-1)}{3-1} = \frac{3^n – 3}{2}\]
したがって
\[a_n = 2 + \frac{3^n – 3}{2} = \frac{3^n + 1}{2}\]
\(n=1\) の確認:\(\dfrac{3+1}{2} = 2 = a_1\) ○
答え:\(a_n = \dfrac{3^n + 1}{2}\)
問題4の解答
\(n \ge 2\) のとき
\[a_n = S_n – S_{n-1} = (n^2+3n) – \{(n-1)^2 + 3(n-1)\}\]
\[= (n^2+3n) – (n^2 + n – 2) = 2n + 2\]
\(n=1\) の確認:\(a_1 = S_1 = 1 + 3 = 4\)。一方 \(2 \cdot 1 + 2 = 4\) ○
答え:\(a_n = 2n + 2\)(\(n \ge 1\))
ちなみに \(S_n = n^2+3n\) に \(n=0\) を入れると \(0\)。つじつまが合っているので、統一できるのは予想がついていました。
問題5の解答
\(n \ge 2\) のとき
\[a_n = S_n – S_{n-1} = (2^n + 1) – (2^{n-1} + 1) = 2^n – 2^{n-1} = 2^{n-1}\]
\(n=1\) の確認:\(a_1 = S_1 = 2 + 1 = 3\)。一方 \(2^{0} = 1\)。一致しません。
答え:\(a_1 = 3\)、\(a_n = 2^{n-1}\)(\(n \ge 2\))
\(S_n = 2^n+1\) に \(n=0\) を入れると \(2\) で、\(0\) になりません。だから \(n=1\) が例外になったわけです。先に \(n=0\) を入れてみると、統一できるかどうかが予測できます。答案には書かなくていい、便利な事前チェックです。
問題6の解答
\[\Delta F(k) = \{a(k+1)+b\} 2^{k+1} – (ak+b) 2^k\]
\(2^k\) でくくると
\[= 2^k \left[ 2\{a(k+1)+b\} – (ak+b) \right] = 2^k \left[ 2ak + 2a + 2b – ak – b \right] = 2^k (ak + 2a + b)\]
これが \((k+1) 2^k\) に等しいので、\(ak + 2a + b = k + 1\)。係数比較して
\[a = 1, \qquad 2a + b = 1\]
より \(a=1,\ b=-1\)。よって \(F(k) = (k-1) 2^k\) です。
\[\sum_{k=1}^{n} (k+1) 2^k = F(n+1) – F(1) = n \cdot 2^{n+1} – 0 \cdot 2 = n \cdot 2^{n+1}\]
答え:\(n \cdot 2^{n+1}\)
検算:\(n=1\) なら左辺は \(2 \cdot 2 = 4\)。右辺は \(1 \cdot 4 = 4\) ○
\(n=2\) なら左辺は \(4 + 3 \cdot 4 = 16\)。右辺は \(2 \cdot 8 = 16\) ○
ずいぶんきれいな答えになりました。こういうときは「たまたま」ではなく理由があることが多いのですが、それはまた別の話です。
問題7の解答
\(F(k) = (k-1)^2\) とおきます(次数を1つ上げた形を予想)。
\[\Delta F(k) = k^2 – (k-1)^2 = (k^2) – (k^2 – 2k + 1) = 2k – 1\]
ぴったり一致しました。したがって
\[\sum_{k=1}^{n} (2k-1) = F(n+1) – F(1) = n^2 – 0 = n^2\]
(証明終)
この事実は「奇数を小さい順に \(n\) 個足すと \(n^2\) になる」という有名なもので、正方形を L 字型に足していく絵でも説明できます。差分で見ると、絵がなくても1行で出るのが気持ちいいところです。
問題8の解答
(1) 第 \(n\) 群の最初の数が、全体で何番目の奇数かを考えます。
第1群から第 \(n-1\) 群までで使った個数は
\[1 + 2 + \cdots + (n-1) = \frac{(n-1)n}{2}\]
個。したがって第 \(n\) 群の最初の数は、全体で \(\dfrac{(n-1)n}{2} + 1\) 番目の奇数です。
\(m\) 番目の奇数は \(2m-1\) なので
\[2\left\{ \frac{(n-1)n}{2} + 1 \right\} – 1 = (n-1)n + 1 = n^2 – n + 1\]
答え:\(n^2 – n + 1\)
検算:\(n=1\) なら \(1\) ○ \(n=2\) なら \(3\) ○ \(n=3\) なら \(7\) ○ \(n=4\) なら \(13\) ○
(2) 第 \(n\) 群は、初項 \(n^2-n+1\)、公差 \(2\)、項数 \(n\) の等差数列です。等差数列の和は「(初項+末項)×項数÷2」なので、末項は
\[(n^2-n+1) + 2(n-1) = n^2 + n – 1\]
したがって和は
\[\frac{\{(n^2-n+1) + (n^2+n-1)\} \cdot n}{2} = \frac{2n^2 \cdot n}{2} = n^3\]
答え:\(n^3\)
検算:第1群 \(\{1\}\) は和 \(1 = 1^3\) ○ 第2群 \(\{3,5\}\) は和 \(8 = 2^3\) ○ 第3群 \(\{7,9,11\}\) は和 \(27 = 3^3\) ○
驚くほどきれいな結果です。しかもこれを \(n=1\) から足し上げると \(\sum n^3\)、つまり第9章の問題5で求めた \(\left(\dfrac{n(n+1)}{2}\right)^2\) になります。一方、左辺は「奇数を \(\dfrac{n(n+1)}{2}\) 個足したもの」なので、問題7より \(\left(\dfrac{n(n+1)}{2}\right)^2\)。ぴったり一致します。別々に見えた事実が、裏でつながっていました。
問題9の解答
\(S_n = 3a_n – 4\) …… ①
\(n \ge 2\) のとき、①の \(n\) を \(n-1\) に置き換えて
\[S_{n-1} = 3a_{n-1} – 4\]
①から辺々引きます。左辺は \(S_n – S_{n-1} = a_n\) なので
\[a_n = 3a_n – 3a_{n-1}\]
\[2a_n = 3a_{n-1}\]
\[a_n = \frac{3}{2} a_{n-1} \qquad (n \ge 2)\]
つまり \(\{a_n\}\) は公比 \(\dfrac{3}{2}\) の等比数列です。
初項は、①で \(n=1\) として \(S_1 = a_1\) より
\[a_1 = 3a_1 – 4\]
\[2a_1 = 4, \qquad a_1 = 2\]
したがって
\[a_n = 2 \left( \frac{3}{2} \right)^{n-1}\]
答え:\(a_n = 2 \left( \dfrac{3}{2} \right)^{n-1}\)
検算:\(a_1 = 2\)、\(a_2 = 3\)。このとき \(S_2 = 5\) で、\(3a_2 – 4 = 9-4 = 5\) ○
この問題の型は非常によく出ます。「\(S_n\) と \(a_n\) が混ざった式」を見たら、\(n\) を \(n-1\) にして辺々引く。すると \(S\) が消えて、\(a\) だけの漸化式になります。次の第11章の入口です。
よくある誤解
誤解1:階差の公式でΣの上端を \(n\) にする
正しくは \(n-1\) です。\(a_1\) から \(a_n\) まで進むには、階差を \(n-1\) 回しか足しません。
誤解2:「\(n \ge 2\)」を書いて満足し、\(n=1\) を確認しない
確認して初めて、統一できるかどうかが決まります。問題4と問題5の違いがまさにそれです。
誤解3:\(S_n – S_{n-1}\) を \(n=1\) でも使う
\(S_0\) は定義されていません。\(a_1 = S_1\) として別に求めてください。
誤解4:階差数列を求めたら、それが答えだと思う
階差は「途中経過」です。足し戻して元の数列に戻すところまでが仕事です。
よくある質問
Q. 階差を取っても規則が見えないときは?
もう一度、階差を取ってみてください。2回差分すると規則が見えることがあります(元が2次式なら、2回差分で定数になります)。それでも見えなければ、階差ではなく比を取る(等比を疑う)、あるいは漸化式として扱う、という別ルートに切り替えます。
Q. \(S_0 = 0\) と勝手に決めて答案に書いてもいいですか?
「\(S_0 = 0\) と定めると」と一言ことわれば問題ありません。ただし、慣れないうちは教科書どおり \(n \ge 2\) と \(n=1\) を分けるほうが安全です。採点者が想定している書き方に乗るほうが、余計なリスクを負いません。
Q. 群数列が苦手です。コツはありますか?
コツは1つだけ。「第 \(n\) 群の直前までに、何個使ったか」を数えることです。それさえ出れば、あとは「全体で何番目か」に変換して、元の数列の一般項に代入するだけ。群数列の問題は、ほぼ全部この1手で片づきます。
次の章へ
和と項を行き来する道ができました。次の第11章は漸化式です。「特性方程式を使う」「両辺を \(2^{n+1}\) で割る」といった解法を、たくさん覚えさせられたと思います。でも、あれは全部「知っている数列の形に持ち込む」という1つの発想の変奏でしかありません。そして入試で本当に問われるのは、解く技術より漸化式を作る力です。
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要点辞典この単元の公式・定石・つまずきやすい所は 数学II・B・Cの要点辞典:数列 にまとめてあります。

