数学用語辞典|高校数学の用語を定義・例つきで解説【数強塾】
この辞典について
数強塾の数学用語辞典は、高校数学(一部は中学数学)の用語を「定義 → 意味 → 具体例 → 関連用語」の順に、1語ずつ丁寧にまとめた辞典です。各ページの冒頭には、その用語をひとことで説明する簡潔な定義を必ず置いています。
用語同士はリンクでつながっているので、わからない言葉が出てきたら、そのままたどって関連する用語まで理解を広げられます。「意味を正確に知りたい」「例で確認したい」というときの入り口として使ってください。
この辞典の使い方
数学は、用語の意味を正確に押さえることが理解の第一歩です。教科書や問題集で「言葉の意味があいまいなまま先に進んでしまった」というときに、この辞典で立ち止まって確認してください。各ページは次の構成に統一しています。
- 定義:その用語が何かを、冒頭で1〜2文の簡潔な言葉にまとめています。
- 意味:定義を、イメージや言い換えでもう少しかみくだいて説明します。
- 具体例:実際の数式で、検算まで含めて確認できる例を載せています。
- 関連用語リンク:つながりの深い用語へ進めるようにしています。
用語の解説で「もっと体系的に単元ごと学びたい」と感じたら、数学単元ガイドへ、演習で手を動かしたくなったら各用語ページから演習ページへ進めます。辞典(意味の確認)と単元ガイド・演習(体系的な学習と反復)を行き来するのがおすすめの使い方です。
用語一覧(全111語)
高校数学の用語を、定義・何のための道具か・どこで間違えるか・例題の順に並べた辞典です。数学I・A・II・B・C・IIIの全20単元を網羅しています。各語にはその単元が実際に出題された大学を添え、解法パターン記事と過去問解説へつながります。
数I
1次不等式数I数と式
1次式の大小関係。両辺を負で割ると向きが反転する。
- 何のための道具か
- 範囲を出す全ての問題の基礎動作。
- つまずくのはここ
- 係数が文字のとき、符号を確かめずに割ってしまう。ax>1 を「x>1/a」とだけ答えるのが典型で、a<0 なら向きが逆、a=0 なら解なしになる。文字で割る前に必ず正・0・負に分ける。「整数解がちょうど n 個」型で端点の等号を雑に扱うのも多い——≦ か < かで境界の1個が入るか外れるかが変わり、答えの範囲がまるごとずれる。
- 最小の例
-2x > 6 → x < -3
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1不等式 3x-5≦x+1 を解け。
解答x の項を左辺に、数を右辺に集めて 3x-x≦1+5、2x≦6。両辺を正の数2で割って x≦3。割る数が正のとき不等号の向きは変わらない。向きが変わるのは負の数で割ったときだけで、ここを取り違えると答えの範囲がまるごと反対になる。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2a を実数とする。x の不等式 ax>1 を解け。
解答a で割る前に符号で3つに分ける。a>0 のとき x>1/a。a=0 のとき 0>1 となり解なし。a<0 のとき向きが反転して x<1/a。a=0 を落とすのが最も多い失点。
問3不等式 |x-1|+|x-3|<4 を解け。
解答絶対値は中身の符号が変わる x=1, 3 で区切る。x<1 では (1-x)+(3-x)=4-2x<4 より x>0 なので 0<x<1。1≦x<3 では (x-1)+(3-x)=2 で、2<4 は常に成り立つから 1≦x<3 全体が解。3≦x では (x-1)+(x-3)=2x-4<4 より x<4 なので 3≦x<4。合わせて 0<x<4。|x-1|+|x-3| は数直線上で 1 と 3 からの距離の和なので、最小値は 2(1と3の間)。和が4未満になる範囲が中央 2 から左右に2ずつ広がる、と読むと検算になる。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4連立不等式 3x-2>x+4, 5x-a≦2x+1 を満たす整数 x がちょうど3個となる a の範囲を求めよ。
解答それぞれ解くと 2x>6 より x>3、3x≦a+1 より x≦(a+1)/3。よって解は 3<x≦(a+1)/3 で、入りうる整数は 4, 5, 6, … と小さい順に決まる。ちょうど3個なら 4, 5, 6 が入って 7 が入らないので 6≦(a+1)/3<7。各辺を3倍して 18≦a+1<21、つまり 17≦a<20。左端に等号が付き右端に付かないのは、x≦(a+1)/3 が等号つきだから。(a+1)/3 がちょうど6でも 6 は解に入り、7 になった瞬間に 7 が入って4個になる。
入試での出方:数と式の解法パターン全12型(出題実績:京都大・神戸大・大阪大・千葉大)
くわしく:
2次不等式数I二次関数
放物線が x 軸の上/下にある x の範囲。
- 何のための道具か
- 範囲を求める問題の大半がここに帰着する。
- つまずくのはここ
- (x-1)(x-2)>0 を「x>1 かつ x>2」と読んで x>2 だけを答える(正しくは x<1 または x>2)。「すべての実数で >0」の条件を D≦0 とする(等号を許すと重解の点で値が0になり >0 が崩れる)。2次の係数が負のときは上に凸なので、解の内側と外側が入れ替わる。
- 最小の例
x²-3x+2<0 → (x-1)(x-2)<0 → 1<x<2
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1不等式 x²-5x+6>0 を解け。
解答左辺を因数分解して (x-2)(x-3)>0。y=(x-2)(x-3) は下に凸で x 軸と 2, 3 で交わるから、グラフが x 軸より上にあるのは2つの解の外側。よって x<2 または x>3。「>0 なら外側、<0 なら内側」は覚えなくてよい。放物線を1つ描けばその場で決まる。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2すべての実数 x で x²+ax+1>0 が成り立つ a の範囲を求めよ。
解答下に凸なので、x 軸と共有点をもたなければよい。D=a²-4<0 より -2<a<2。ここを D≦0 とすると a=±2 のとき重解をもち、その x で値が0になって「>0」が崩れる。不等号に等号が入るかどうかが、そのまま D の等号に対応する。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問30≦x≦1 のすべての x で x²+ax+1>0 が成り立つ a の範囲を求めよ。
解答範囲がついた瞬間、判別式は使えない。区間 0≦x≦1 での最小値が正であればよい、に置き換える。f(x)=x²+ax+1 の軸は x=-a/2 なので、軸が区間のどこにあるかで3つに分ける。軸が区間の左(-a/2<0、すなわち a>0)なら最小値は f(0)=1>0 で、a>0 はすべて適する。軸が区間内(0≦-a/2≦1、すなわち -2≦a≦0)なら最小値は f(-a/2)=1-a²/4>0 より -2<a<2、合わせて -2<a≦0。軸が区間の右(a<-2)なら最小値は f(1)=2+a>0 より a>-2 となり、a<-2 と矛盾するので該当なし。以上をまとめて a>-2。(1) では上に -2<a<2 と上限がついたのに、(2) では上限が消えることに注意する。a が大きいほど区間 0≦x≦1 では値が持ち上がるからで、「実数全体」と「区間」を同じ道具で処理しようとすると、この違いを取り落とす。
問4すべての実数 x で ax²+2x+1>0 が成り立つ a の範囲を求めよ。
解答2次不等式の顔をしているが、a=0 かもしれない。まず a=0 を確かめる。a=0 のとき 2x+1>0 は x>-1/2 でしか成り立たないので不適。a≠0 のときは、すべての x で正になるには下に凸すなわち a>0 が必要で、さらに x 軸と共有点をもたない条件 D/4=1-a<0 より a>1。a>0 と合わせて a>1。a=1 は (x+1)² となり x=-1 で 0 になるので入らない。x² の係数に文字がある不等式は、2次と決めつけた時点で場合分けを1つ落としている。
入試での出方:2次関数の解法パターン全20型(出題実績:岡山大・滋賀大・神戸大・宇都宮大)
くわしく:
2次関数のグラフ数I二次関数
y=ax²+bx+c が描く放物線。
- 何のための道具か
- 最大最小・解の個数・領域の判定が、すべてグラフの位置関係に翻訳できる。
- つまずくのはここ
- a の符号で凸の向きが変わることを忘れる。a=0 を勝手に許して「2次」でなくなる。平行移動の符号を逆にする——y=f(x-p)+q は右へ p・上へ q の移動で、式の中の x-p と移動の向きが逆に見えるためここで毎回つまずく。文字を含む放物線が「文字の値によらず必ず通る点」を探すとき、x に適当な値を代入して当てにいくのも多い——正しくはその文字について整理し、文字の係数を 0 にする発想が要る。
- 最小の例
y=x²-4x+1 = (x-2)²-3 → 頂点(2,-3), 下に凸
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1放物線 y=2x²-4x+5 を x 軸方向に -1、y 軸方向に 3 だけ平行移動した放物線の式を求めよ。
解答頂点で追うのが速い。y=2(x-1)²+3 なので頂点は (1, 3)。x 方向に -1、y 方向に +3 動かすと頂点は (0, 6) になり、a=2 は変わらないので y=2x²+6。式で追うなら x を x+1 に、y を y-3 に置き換える。y-3=2(x+1)²-4(x+1)+5=2x²+3 となり、やはり y=2x²+6。移動の向きと式の中の符号が逆になることに注意する。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2y=ax²-2ax+1 の頂点が x 軸上にあるとき a を求めよ。
解答a≠0 が前提。y=a(x-1)²+(1-a) より頂点は (1, 1-a)。1-a=0 から a=1。頂点が x 軸上にあることは重解をもつことと同じなので、D/4=a²-a=a(a-1)=0 からも同じ答えが出る。ただしこの経路だと a=0 も候補に出るので、2次関数である条件で除く。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3a の値によらず放物線 y=x²-2ax+4a-3 が必ず通る定点を求めよ。
解答「a によらず」は、a についての恒等式と読み替える。a について整理すると y=x²-3+a(-2x+4)。どんな a でも成り立つには a の係数が 0 でなければならないので -2x+4=0、すなわち x=2。このとき y=2²-3=1。よって定点は (2, 1)。実際 x=2 を代入すると y=4-4a+4a-3=1 となり、a が消える。x に値を当てにいくのではなく、動く文字について整理するのが定石。
入試での出方:2次関数の解法パターン全20型(出題実績:岡山大・滋賀大・神戸大・宇都宮大)
くわしく:
2次関数の最大最小数I二次関数
定義域の中で頂点が使えるかどうかで決まる。
- 何のための道具か
- 制約つき最適化のいちばん易しい形。
- つまずくのはここ
- 定義域を無視して頂点の値を答える。頂点が定義域の外なら端点が答えになる。下に凸で頂点が定義域の中にあるとき、最大値は「軸から遠い方の端点」で決まるのに、端点の値を比べずに右端と決めつける。最大と最小の両方を問われて片方しか場合分けしないのも多い。条件式で文字を1つ消したとき、消した文字が課していた条件を定義域として書き出さないのも典型で、y²=1-x² から -1≦x≦1 が出る、という一手を飛ばすと答えがまるごとずれる。
- 最小の例
y=(x-2)²-3, 3≦x≦5 → 頂点は範囲外。x=3で最小-2, x=5で最大6
y=x²-2x+3 の最大値と最小値を求めよ。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問12≦x≦4 のとき
頂点は(1, 2)。
解答頂点が定義域の外にあり区間内は単調増加。x=2 で最小3、x=4 で最大11。ここで頂点の値2を最小と答えるのが典型的な誤り。
問20≦x≦3 のとき
解答頂点が定義域の中にあるので最小は頂点の2。最大は軸から遠い端点で決まり、|3-1|>|0-1| より x=3 で6。まず頂点が中か外かを判定し、中なら最大は遠い端点、と決めておく。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3x²+y²=1 のとき x+y² の最大値と最小値を求めよ。
解答y²=1-x² を代入すると x+y²=x+1-x²=-(x-1/2)²+5/4 と2次関数になる。ここで y²=1-x²≧0 だから -1≦x≦1。この定義域を書き出すのが最大の分かれ目。軸 x=1/2 は定義域の中にあり上に凸なので、頂点で最大 5/4(x=1/2, y²=3/4)。最小は軸から遠い端点で、|-1-1/2|=3/2 が |1-1/2|=1/2 より大きいので x=-1、値は -1(y=0)。文字を1つ消したら、その文字が課していた条件が定義域として残る。ここを毎回書き出す。
入試での出方:2次関数の解法パターン全20型(出題実績:岡山大・滋賀大・神戸大・宇都宮大)
関連:平方完成、軸と定義域の場合分け
くわしく:
データの分析数Iデータの分析
平均・分散・標準偏差でばらつきを数値化する。
- 何のための道具か
- 散らばりを一つの数で比較できるようにする。
- つまずくのはここ
- 分散を「平均からの差の平均」とする(正しくは差の2乗の平均)。変量変換 y=ax+b で、平均は a×(平均)+b なのに分散にも +b してしまう——分散は a²×(分散) で、b は一切効かない。平行移動では散らばりが変わらないため。分散と標準偏差の単位の違いも無視されやすい。2つの集団を合わせるとき、平均は人数で加重平均できるのに分散も同じようにできると思うのも多い——合併後の分散には、集団どうしの平均の差から来るばらつきが必ず上乗せされる。
- 最小の例
分散 = (x²の平均) - (xの平均)²
2, 4, 4, 6, 9 について
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1分散を求めよ。
解答平均5。分散=(x²の平均)-(平均)²=153/5-25=30.6-25=5.6。差の2乗の平均 (9+1+1+1+16)/5=5.6 でも一致する。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2各値を3倍して5を引いた変量の平均と分散を求めよ。
解答y=3x-5 なら平均は3·5-5=10、分散は3²·5.6=50.4。分散に -5 は効かない。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3A組40人は平均60・分散25、B組60人は平均70・分散36だった。全体100人の平均と分散を求めよ。
解答平均は人数で加重平均できて (40·60+60·70)/100=66。分散は加重平均できない。ここが最大の落とし穴で、(25·40+36·60)/100=31.6 は誤り。各組の「2乗の平均」に戻して合算する。分散=(x²の平均)-(平均)² よりA組の x² の平均は 25+60²=3625、B組は 36+70²=4936。全体の x² の平均は (40·3625+60·4936)/100=4411.6 なので、分散は 4411.6-66²=55.6。誤答の 31.6 との差 24 は、組ごとの平均が全体平均からずれているぶんで、{40(60-66)²+60(70-66)²}/100=24 と一致する。つまり 全体の分散 = 各組の分散の加重平均 + 各組の平均のばらつき。平均どうしが離れているほど、合併したデータは散らばる。
入試での出方:データの分析の解法パターン全12型(出題実績:一橋大・埼玉大・信州大)
くわしく:
三角形の面積数I図形と計量
S = (1/2)bc·sinA。
- 何のための道具か
- 高さが分からなくても2辺と挟む角で面積が出る。
- つまずくのはここ
- 挟む角以外の sin を使う。内接円半径 r なら S=rs(s は周の半分)という別公式との併用を忘れる。
- 最小の例
b=3,c=4,A=30° → S=(1/2)·3·4·(1/2)=3
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1b=4, c=6, A=150° のとき面積を求めよ。
解答S=(1/2)·4·6·sin150°=12·(1/2)=6。鈍角でも sin は正。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問23辺が 5, 6, 7 の三角形の内接円の半径を求めよ。
解答3辺しか分からないのでヘロンの公式。s=(5+6+7)/2=9、S=√(9·4·3·2)=√216=6√6。内接円半径は S=rs から r=6√6/9=2√6/3。「面積→半径」の向きで使う。
入試での出方:図形と計量の解法パターン全14型(出題実績:千葉大・金沢大・山口大・奈良女子大・一橋大)
くわしく:
三角比数I図形と計量
直角三角形の辺の比を角で表したもの。単位円に拡張する。
- 何のための道具か
- 長さと角を相互に翻訳する。図形問題の共通言語。
- つまずくのはここ
- 鈍角で符号を落とす。sin は鈍角でも正、cos は負。定義を直角三角形のまま止めると 90°超で破綻する。
- 最小の例
sin120° = sin60° = √3/2, cos120° = -cos60° = -1/2
0°≦θ≦180° のとき
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1sinθ=1/2
解答θ=30°, 150° の2つ。
問2cosθ=1/2 を満たす θ をそれぞれすべて求めよ。
解答θ=60° の1つだけ。単位円で見ると sin は y 座標なので、同じ値を与える点が上半円に左右2つある。cos は x 座標なので1つしかない。sin のときだけ鈍角側を落とさないこと。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3sinθ+cosθ=1/2 のとき、sinθcosθ と sinθ-cosθ を求めよ。
解答両辺を2乗すると sin²θ+2sinθcosθ+cos²θ=1/4。sin²θ+cos²θ=1 だから 1+2sinθcosθ=1/4 となり sinθcosθ=-3/8。次に (sinθ-cosθ)²=1-2sinθcosθ=1+3/4=7/4。ここで符号を決める。sinθcosθ<0 で、0°≦θ≦180° では sinθ≧0 だから cosθ<0。よって sinθ-cosθ>0 で、sinθ-cosθ=√7/2。2乗して出した量は符号が2通りある。範囲から1つに絞る根拠を書かないと答案にならない。
入試での出方:図形と計量の解法パターン全14型(出題実績:千葉大・金沢大・山口大・奈良女子大・一橋大)
くわしく:
二重根号数I数と式
√(a±2√b) を √+√ の形にほどく操作。
- 何のための道具か
- ほどけない形のままだと大小比較も計算もできない。
- つまずくのはここ
- 中の項が 2√b の形になっていないのに公式を当てる。まず 2√b を作る。さらに √(a-2√b) では大きい方から小さい方を引く順序を守らないと符号が壊れる。そもそもほどけない形に時間を使うのも多い——√(a+2√b) が √m+√n の形になるのは a²-4b が平方数のときだけで、手を動かす前に確かめられる。
- 最小の例
√(5+2√6) = √3+√2 (3+2=5, 3·2=6)
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1√(7-4√3)
解答4√3=2√12 と直し、和7・積12 の2数 4, 3 を探す。大きい方から引いて √4-√3=2-√3。
問2√(3+√5) をそれぞれ簡単にせよ。
解答内側が 2√b の形になっていない。分母分子に2を掛けて √((6+2√5)/2) とすると、和6・積5 の2数 5, 1 から (√5+1)/√2=(√10+√2)/2。まず 2√b を作る、が手順の1番目。作らずに公式を当てると失敗する。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3√(9+4√5)+√(9-4√5) を簡単にせよ。また √(5+2√3) は同じ方法でほどけるか。
解答9±4√5=9±2√20 と直す。和9・積20 の2数は 5 と 4 なので √(9+4√5)=√5+2。√(9-4√5) は大きい方から小さい方を引いて √5-2。ここを 2-√5 とすると負の数になり、根号の値(正)と合わない。和は (√5+2)+(√5-2)=2√5。一方 √(5+2√3) は、和5・積3 の2数を探すと t²-5t+3=0 の解 (5±√13)/2 で有理数にならない。√(a+2√b) が √m+√n(m, n は有理数)にほどけるのは a²-4b が平方数のときだけ。(1)は 7²-4·12=1、(3)前半は 9²-4·20=1 で平方数だからほどけ、5²-4·3=13 は平方数でないからほどけない。着手前にこれを確かめると無駄が減る。
入試での出方:数と式の解法パターン全12型(出題実績:京都大・神戸大・大阪大・千葉大)
関連:展開と因数分解
くわしく:
余弦定理数I図形と計量
a² = b²+c²-2bc·cosA。
- 何のための道具か
- 3辺が分かっている、または2辺と挟む角が分かっているときの唯一の手。
- つまずくのはここ
- cosA を求める式に変形するとき符号を落とす。「2辺と、挟まない方の角」が与えられた場合に手が止まる——このときは余弦定理を残る1辺についての2次方程式として使う。正の解が2つ出たら三角形が2通りできるので、片方だけ答えると失点する。正弦定理と使い分けず片方に固執するのも多い。3辺から角の種類を判定する問題で、三角形の成立条件を書き忘れるのも定番——cos の符号だけで答えると、そもそも三角形にならない範囲まで拾ってしまう。
- 最小の例
b=3,c=4,A=60° → a²=9+16-2·3·4·(1/2)=13
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1a=7, b=5, c=3 のとき A を求めよ。
解答cosA=(b²+c²-a²)/(2bc)=(25+9-49)/30=-1/2 より A=120°。符号を落として60°としない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2A=30°, a=1, b=√2 のとき c を求めよ。
解答角 A は b と c に挟まれていないので、余弦定理を c の2次方程式として使う。1=2+c²-2·√2·c·(√3/2) から c²-√6c+1=0、c=(√6±√2)/2。どちらも正なので2つとも答え。三角形が2通りできる形で、片方だけ書くと減点される。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問33辺の長さが x, x+1, x+2 である三角形が鈍角三角形となる x の範囲を求めよ。
解答まず三角形になる条件から。最大辺より他の2辺の和が大きければよいので x+(x+1)>x+2、つまり x>1。次に鈍角の判定。鈍角になりうるのは最大辺 x+2 の対角だけなので、その cos の符号を見る。cosθ={x²+(x+1)²-(x+2)²}/{2x(x+1)} で、分母は正だから分子の符号で決まる。x²+(x+1)²-(x+2)²=x²-2x-3=(x-3)(x+1) なので、鈍角すなわち cosθ<0 は -1<x<3。x>1 と合わせて 1<x<3。成立条件を書かずに -1<x<3 と答えるのが典型的な失点。x=3 のとき3辺は 3, 4, 5 でちょうど直角になり、境界が正しいことも確かめられる。
入試での出方:図形と計量の解法パターン全14型(出題実績:千葉大・金沢大・山口大・奈良女子大・一橋大)
くわしく:
判別式数I二次関数
D=b²-4ac。2次方程式の実数解の個数を決める量。
- 何のための道具か
- 解を求めずに「何個あるか」だけ知るための道具。
- つまずくのはここ
- 2次の係数が文字のとき a≠0 の確認を飛ばす。a=0 なら1次方程式になり解は1つで、D の条件だけで答えると解が2つない場合を巻き込む。「解をもつ」が実数解に限るのか複素数解を含むのかも読み違えやすい。「異なる2つ」は D>0、「重解を含めて解をもつ」は D≧0 で、等号の有無が問題文の言葉と対応する。解の個数を数える道具としか見ていないのも、伸び悩む原因になる——和と積が分かった2数が実数であるという条件も、判別式で式に翻訳できる。
- 最小の例
x²+kx+1=0 が実数解をもつ → D=k²-4≧0 → k≦-2 または k≧2
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問12次方程式 x²-5x+3=0 の実数解の個数を求めよ。
解答D=(-5)²-4·1·3=25-12=13。D>0 なので異なる2つの実数解をもち、個数は2個。解そのもの(x=(5±√13)/2)を出す必要はない。個数だけを聞かれたら D の符号で答える、というのがこの道具の使いどころ。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2x²+2kx+k+2=0 が異なる2つの実数解をもつ k の範囲を求めよ。
解答D/4=k²-(k+2)>0 より k²-k-2>0、(k-2)(k+1)>0、k<-1 または k>2。「異なる2つ」なので等号を含めない。
問3ax²+2x+1=0 が異なる2つの実数解をもつ a の範囲を求めよ。
解答2次の係数が文字。「異なる2つ」なら2次方程式でなければならないので、まず a≠0。そのうえで D/4=1-a>0 より a<1。答えは a<1 かつ a≠0。D の条件だけで「a<1」と書くと、a=0 のとき 2x+1=0 で解が1つしかないのに含めてしまう。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4実数 x, y が x+y=2 を満たすとき、xy のとりうる値の範囲を求めよ。
解答x と y は和が2、積が xy の2数なので、t²-2t+xy=0 の2つの解にあたる。「x, y が実数である」ことは「この2次方程式が実数解をもつ」ことと同じ。よって D/4=1-xy≧0、つまり xy≦1。x=1+s, y=1-s とおくと xy=1-s² となり、s=0 で最大値1、s を大きくすればいくらでも小さくなる。ここは重解(x=y=1)を許すので D≧0 で、「異なる2つ」ではないから等号を落とさない。判別式は解の個数を数えるだけの道具ではなく、和と積が分かった2数が実数だ、という条件を式に翻訳する道具でもある。
入試での出方:2次関数の解法パターン全20型(出題実績:岡山大・滋賀大・神戸大・宇都宮大)
くわしく:
命題の逆・裏・対偶数I集合と命題
p⇒q に対し、逆 q⇒p、裏 not p⇒not q、対偶 not q⇒not p。
- 何のための道具か
- 対偶は元の命題と真偽が一致する。直接示しにくいときの迂回路。
- つまずくのはここ
- 逆と裏を元の命題と同じ真偽だと思い込む。一致するのは対偶だけ。
- 最小の例
「x>2 ⇒ x>1」の対偶は「x≦1 ⇒ x≦2」。どちらも真。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1命題「x>1 ならば x²>1」の逆・裏・対偶を書き、それぞれの真偽を答えよ。
解答逆「x²>1 ならば x>1」は偽(x=-2)。裏「x≦1 ならば x²≦1」も偽(x=-2)。対偶「x²≦1 ならば x≦1」は真。逆と裏は互いに対偶の関係にあるので真偽が必ず一致する。元の命題と真偽が一致するのは対偶だけ。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2「n² が偶数ならば n は偶数」を証明せよ。
解答対偶「n が奇数ならば n² は奇数」を示す。n=2k+1 なら n²=2(2k²+2k)+1 で奇数。直接示そうとすると手が出ない。
入試での出方:集合と論理の解法パターン全12型(出題実績:島根大・東北大・千葉大・宇都宮大・早稲田大)
くわしく:
外れ値と四分位数数Iデータの分析
データを4等分する位置の値と、そこから離れた値。
- 何のための道具か
- 平均が引きずられる状況を見抜ける。
- つまずくのはここ
- 中央値の求め方をデータ数の偶奇で切り替えない。四分位範囲を最大-最小と混同する。外れ値が1つ混じっているのに平均と標準偏差で代表させてしまうのも多い——この2つは外れ値でいくらでも動くが、中央値と四分位範囲はほとんど動かない。どちらを使うかは、外れ値の有無を見てから決める。
- 最小の例
IQR = Q3 - Q1。Q1-1.5·IQR より小さい値は外れ値の目安。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問11,3,5,7,9,11,13,20 の四分位範囲を求め、20 が外れ値かを判定せよ。
解答8個なので前半 1,3,5,7 と後半 9,11,13,20 に分ける。Q1=4, Q3=12, IQR=8。上限は Q3+1.5·IQR=24 で、20<24 だから外れ値ではない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2さらに 40 を加えた9個のデータで、40 が外れ値かを判定せよ。
解答9個なので中央値 9 を除いて前半 1,3,5,7 と後半 11,13,20,40 に分ける。Q1=4, Q3=16.5, IQR=12.5。上限は 16.5+1.5·12.5=35.25 で、40>35.25 だから外れ値。データ数の偶奇で分け方が変わる(奇数なら中央値自身を両側に入れない)。IQR を「最大-最小」と混同しないこと。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3(1)のデータで 20 を 200 に置き換えると、平均・中央値・四分位範囲・標準偏差はどう変わるか。
解答平均は 69/8=8.625 から 249/8=31.125 へ、3.6倍に跳ね上がる。標準偏差も約 5.70 から約 63.94 へ、11倍以上になる。一方、中央値は並べ替えても真ん中2つが 7 と 9 のままなので (7+9)/2=8 で変わらない。四分位範囲も Q1=4, Q3=12 のままで IQR=8 のまま変わらない。1個の値をどれだけ大きくしても、中央値と四分位範囲は動かない。外れ値が混じっているデータを平均と標準偏差で代表させると、「ほとんどの値は10以下なのに平均31」という実態と食い違う要約になる。外れ値の有無を先に確かめ、あるなら中央値と四分位範囲で語る。
入試での出方:データの分析の解法パターン全12型(出題実績:一橋大・埼玉大・信州大)
関連:データの分析
くわしく:
対称式・交代式数I数と式
文字を入れ替えても不変な式(対称)/符号だけ変わる式(交代)。
- 何のための道具か
- 2解の和と積だけで答えが出せる。解を求めずに済ませる技術の土台。
- つまずくのはここ
- 3文字の対称式で基本対称式を2つしか使わない誤り。x,y,zなら e1,e2,e3 の3つが必要。また α²+β² を (α+β)²-αβ と書く(正しくは -2αβ)。3文字の3乗和では x³+y³+z³-3xyz=(x+y+z)(x²+y²+z²-xy-yz-zx) の左辺の -3xyz を移項し忘れ、積の部分だけを答えにしてしまうのも多い。
- 最小の例
α+β=3, αβ=2 のとき α²+β² = 3²-2·2 = 5
α+β=4, αβ=1 のとき
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1α³+β³
解答α³+β³=(α+β)³-3αβ(α+β)=64-3·1·4=52。(α+β)³-3αβ と書いて (α+β) を掛け忘れるのが定番。
問2α>β として α-β を求めよ。
解答α-β は交代式なので、2乗して対称式に直す。(α-β)²=(α+β)²-4αβ=16-4=12 より α-β=±2√3。α>β の条件から正を取り 2√3。2乗した時点で符号の情報が消えるので、最後に大小条件で符号を決める。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3x+y+z=3, xy+yz+zx=-1, xyz=-3 のとき x³+y³+z³ と 1/x+1/y+1/z を求めよ。
解答3文字なので基本対称式は e1=3, e2=-1, e3=-3 の3つ。2つでは足りない。まず x²+y²+z²=e1²-2e2=9+2=11。次に x³+y³+z³-3xyz=(x+y+z)(x²+y²+z²-xy-yz-zx) を使う。右辺は 3·(11-(-1))=3·12=36 なので、-3xyz を移項して x³+y³+z³=36+3·(-3)=27。この移項を忘れて 36 と答えるのが定番の失点。1/x+1/y+1/z は通分すると (yz+zx+xy)/(xyz)=e2/e3=(-1)/(-3)=1/3。検算しておくと、x, y, z は t³-3t²-t+3=0 すなわち (t-3)(t-1)(t+1)=0 の解で 3, 1, -1。27+1-1=27、1/3+1-1=1/3 でどちらも一致する。
入試での出方:数と式の解法パターン全12型(出題実績:京都大・神戸大・大阪大・千葉大)
くわしく:
展開と因数分解数I数と式
式を積の形に組み替えて構造を見る操作。
- 何のための道具か
- 積の形は「解が見える形」。方程式・不等式・約分・整数問題の入口が全部ここに戻る。
- つまずくのはここ
- 共通因数のくくり忘れが最多。次に、次数の低い文字で整理せず力任せに展開して詰まる。文字が複数あるときは最低次の文字について降べきに整理する。どの文字も同じ次数なら、片方について整理してから定数項を因数分解し、たすきがけに持ち込む。複2次式で t=x² の置きかえだけを試して詰まるのも多い——置きかえが効かないときは、足りない項を足して引き、2乗の差の形を作る。
- 最小の例
x²+xy-2x-2y = x(x+y)-2(x+y) = (x-2)(x+y)
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1x²-7x+12 を因数分解せよ。
解答足して -7、掛けて 12 になる2数を探す。積が正で和が負なので、2数はどちらも負。-3 と -4 が見つかるので (x-3)(x-4)。符号は「積の符号で同符号か異符号かを決め、和の符号でどちら向きかを決める」の順に絞ると、当てずっぽうにならない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2x²+xy-3x-y+2
解答y は1次、x は2次。最低次の y について整理する。y(x-1)+(x²-3x+2)=y(x-1)+(x-1)(x-2)=(x-1)(x+y-2)。x について整理すると詰まる。
問3x²+3xy+2y²+2x+3y+1 を因数分解せよ。
解答x も y も2次で優劣がない。こういうときは片方(x)について降べきに整理する。x²+(3y+2)x+(2y²+3y+1) となり、定数項は (2y+1)(y+1)。たすきがけで和が 3y+2 になる組を探すと (x+2y+1)(x+y+1)。整理せずに眺めていても見えない。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4(ア) x⁴+x²+1 (イ) x⁴+4 を因数分解せよ。
解答(ア) t=x² と置くと t²+t+1 になるが、これは実数の範囲では因数分解できない。置きかえは行き止まり。そこで足りない項を作る。(x²+1)²=x⁴+2x²+1 なので、x² を足して引けばよい。x⁴+x²+1=(x⁴+2x²+1)-x²=(x²+1)²-x²=(x²+1+x)(x²+1-x)=(x²+x+1)(x²-x+1)。(イ) 同じ手で (x²+2)²=x⁴+4x²+4 を目標にする。x⁴+4=(x⁴+4x²+4)-4x²=(x²+2)²-(2x)²=(x²+2x+2)(x²-2x+2)。どちらも「足りない項を足して引き、2乗の差に持ち込む」という同じ一手。複2次式で置きかえが効かないときの定石で、知らないと手が完全に止まる。
入試での出方:数と式の解法パターン全12型(出題実績:京都大・神戸大・大阪大・千葉大)
くわしく:
平方完成数I二次関数
ax²+bx+c を a(x-p)²+q に書き換える操作。
- 何のための道具か
- 頂点が見えれば最大最小も対称軸も一発で出る。
- つまずくのはここ
- a でくくらずに平方完成する。x² の係数が1でないときに最も崩れる。くくった中で -b²/4 を作った後、外の a を掛け戻すのを忘れて定数がずれるのも定番。2文字の式では片方だけ平方完成して止まり、残りを最小値の議論に使えない。xy の項があるのに x と y を別々に平方完成しようとするのも多い——この形は1文字について平方完成し、残った式をもう一度平方完成する2段階になる。
- 最小の例
2x²-8x+5 = 2(x²-4x)+5 = 2(x-2)²-3
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1y=-2x²+6x-1 を平方完成せよ。
解答先頭の -2 でくくる。-2(x²-3x)-1=-2{(x-3/2)²-9/4}-1=-2(x-3/2)²+9/2-1=-2(x-3/2)²+7/2。くくらずに進めるか、外の -2 を掛け戻し忘れると定数が合わなくなる。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2x²+y²-2x+4y+7 の最小値と、そのときの x, y を求めよ。
解答x と y を別々に平方完成して定数を集める。(x-1)²+(y+2)²+2。実数の2乗は0以上だから、x=1, y=-2 のとき最小値 2。2文字でも「1文字ずつ平方完成して余った定数を足す」だけでよい。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3x²+xy+y²-3x-3y の最小値と、そのときの x, y を求めよ。
解答xy があるので、(2)のように x と y を別々に平方完成することはできない。まず x について整理する。x²+(y-3)x+(y²-3y)={x+(y-3)/2}²-(y-3)²/4+y²-3y。定数部分をまとめると (4y²-12y-y²+6y-9)/4=(3y²-6y-9)/4=(3/4){(y-1)²-4}。よって全体は {x+(y-3)/2}²+(3/4)(y-1)²-3 と、2乗2つと定数になる。2乗はどちらも0以上だから、y=1 かつ x=-(y-3)/2=1 のとき最小値 -3。xy を含む式は「1文字について平方完成 → 残った式をもう一度平方完成」の2段階。先に x を動かして最小にし、その結果を y で最小にする、という順番になっている。
入試での出方:2次関数の解法パターン全20型(出題実績:岡山大・滋賀大・神戸大・宇都宮大)
くわしく:
必要条件・十分条件数I集合と命題
p⇒q が真のとき p は十分条件、q は必要条件。
- 何のための道具か
- 証明の方向を決める。どちらを示せば足りるかが分かる。
- つまずくのはここ
- 用語が逆になる。集合の大小で覚えるのが安全(狭い方が十分条件、広い方が必要条件)。「必要十分」を示すのに片方向しか示さない。「何条件か」と問われたとき片方向だけ確かめて即答するのも失点源で、必ず両向きを調べ「必要条件であるが十分条件ではない」まで書き切る。
- 最小の例
x=2 ⇒ x²=4 は真、逆は偽。よって x=2 は x²=4 の十分条件。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1「x²=1」は「x=1」であるための何条件か。
解答x=1 ⇒ x²=1 は真。逆は偽(x=-1 が反例)。よって必要条件であるが十分条件ではない。集合で見ると {1} ⊂ {1, -1} で、広い方が必要条件。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2「a+b>0 かつ ab>0」は「a>0 かつ b>0」であるための何条件か。
解答a>0 かつ b>0 なら和も積も正で、一方向は明らか。逆に ab>0 なら a と b は同符号、そのうえ a+b>0 なら両方とも正。よって必要十分条件。「何条件か」と問われたら必ず両向きを調べる。片方向だけ見て即答するのが典型的な失点。
入試での出方:集合と論理の解法パターン全12型(出題実績:島根大・東北大・千葉大・宇都宮大・早稲田大)
くわしく:
正弦定理数I図形と計量
a/sinA = b/sinB = c/sinC = 2R。
- 何のための道具か
- 外接円が絡むとき、または「1辺と向かい合う角」の組があるときの第一手。
- つまずくのはここ
- 2R を忘れて外接円半径が出せない。sin の値から角を出したとき、鈍角側を切り捨てる。0°<θ<180° では sinθ が同じ値を取る角がθ と 180°-θ の2つあるため、両方を候補にして A+B<180° を満たすかで採否を決める。逆に、両方通れば三角形が2通りできる。形状決定の問題で sin の等式から片方の場合だけ拾うのも同じ根で、「二等辺三角形または直角三角形」となるべきところを二等辺だけで止めてしまう。
- 最小の例
a=2, A=30° → 2R = 2/sin30° = 4 → R=2
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1△ABC で a=√2, A=45° のとき外接円の半径 R を求めよ。
解答a/sinA=2R より 2R=√2/(√2/2)=2、R=1。2R を忘れると R が2倍になる。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2a=1, b=√2, A=30° のとき B を求めよ。
解答正弦定理から sinB=b·sinA/a=√2·(1/2)/1=√2/2。0°<B<180° でこの値を取るのは B=45° と B=135° の2つ。A=30° なのでどちらも A+B<180° を満たし、三角形が2通りできる。sin から角を出したら鈍角側も必ず候補にし、A+B<180° で採否を決める。同じ状況を余弦定理で扱うと c の2次方程式になり、やはり解が2つ出る。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3△ABC で a·cosA=b·cosB が成り立つとき、この三角形はどんな三角形か。
解答正弦定理から a=2R sinA, b=2R sinB。代入して 2R sinA cosA=2R sinB cosB。両辺を R で割り、2倍角の公式で sin2A=sin2B。0°<A<180°, 0°<B<180° だから 0°<2A<360°, 0°<2B<360° の範囲で考える。sin2A=sin2B となるのは 2A=2B のとき、または 2A=180°-2B のとき。前者は A=B なので a=b の二等辺三角形。後者は A+B=90° なので C=180°-90°=90° の直角三角形。答えは「a=b の二等辺三角形、または C=90° の直角三角形」。sin の等式で 180°-θ の側を落とすと、直角三角形の場合が丸ごと消える。検算すると A=30°, B=60°, C=90° のとき a·cosA=2R·(1/2)·(√3/2)=(√3/2)R、b·cosB=2R·(√3/2)·(1/2)=(√3/2)R で確かに等しい。
入試での出方:図形と計量の解法パターン全14型(出題実績:千葉大・金沢大・山口大・奈良女子大・一橋大)
くわしく:
相関係数数Iデータの分析
r = 共分散 /(標準偏差の積)。-1≦r≦1。
- 何のための道具か
- 2変量の直線的な関係の強さを1つの数にする。
- つまずくのはここ
- 相関を因果と読む——気温のような第3の変数が両方を動かしているだけのことがあり(擬似相関)、第3の変数をそろえて見ると関係が逆向きになることさえある。r=0 を「無関係」と読む——r が測るのは直線的な関係だけで、y=x² のようにぴったり決まっていても r=0 になりうる。1次変換で r が変わると思い込むのも多い。絶対値は不変で、x 側と y 側の傾きの符号の積だけが効き、平行移動は一切効かない。r の値だけを見て散布図を見ないのも危うい——共分散も標準偏差も平均から作るので、離れた点が1つ混じるだけで r は符号ごと変わりうる。
- 最小の例
r=0.9 は強い正の相関。ただし原因とは限らない。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1共分散 -6、x の標準偏差 3、y の標準偏差 4 のとき相関係数を求めよ。
解答r=-6/(3·4)=-0.5。r の符号は共分散の符号と一致する。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2各データを x'=2x+1, y'=-3y+5 と変換したとき相関係数はどうなるか。
解答1次変換で相関係数の絶対値は変わらない。効くのは傾きの符号の積だけで、2>0 と -3<0 だから符号が反転して r'=0.5。平行移動の +1 や +5 は一切効かない。
問35組のデータ (-2,4), (-1,1), (0,0), (1,1), (2,4) の相関係数を求めよ。
解答x の平均は0、xy の平均も (-8-1+0+1+8)/5=0 なので共分散は0、よって r=0。しかし y=x² で完全に決まっている。r=0 は「直線的な関係がない」であって「無関係」ではない。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問44組のデータ (1,1), (2,2), (3,3), (4,4) に (10, 1) を加えると相関係数はどうなるか。
解答もとの4点は y=x にぴったり乗るので r=1。(10, 1) を加えると x の平均は 4、y の平均は 2.2 になる。共分散は {(-3)(-1.2)+(-2)(-0.2)+(-1)(0.8)+0·1.8+6·(-1.2)}/5=(-4)/5=-0.8。x の分散は (9+4+1+0+36)/5=10、y の分散は 6.8/5=1.36。r=-0.8/√(10·1.36)=-0.8/√13.6=-2/√85≒-0.22。1点加えただけで、完全な正の相関 1 が負に反転する。共分散も標準偏差も平均から作るので、相関係数は外れ値に弱い。r の値だけで判断せず、必ず散布図を見る。
問5ある町で6日ぶんの記録をとった。アイスの売上 x(万円)は 10, 14, 22, 26, 34, 38、同じ日の水の事故の件数 y は 5, 3, 11, 9, 17, 15 だった。相関係数を求めよ。また、この6日の気温が順に 10, 10, 20, 20, 30, 30 (℃) だったとき、「アイスを売るのをやめれば事故が減る」といえるか。
解答x の平均は 144/6=24、y の平均は 60/6=10。x の偏差は -14, -10, -2, 2, 10, 14 で、偏差の2乗の和は 600、分散 100、標準偏差 10。y の偏差は -5, -7, 1, -1, 7, 5 で、2乗の和は 150、分散 25、標準偏差 5。積の和は 70+70-2-2+70+70=276 なので共分散は 46。r=46/(10·5)=0.92。強い正の相関である。しかし「アイスを売るのをやめれば事故が減る」とはいえない。気温をそろえて見ると話が逆になるからである——10℃の2日は (10, 5) と (14, 3)、20℃の2日は (22, 11) と (26, 9)、30℃の2日は (34, 17) と (38, 15)。どの気温でも、売上が多いほうの日はむしろ事故が少ない。r=0.92 という数字は、気温という第3の変数が売上と事故の両方を押し上げているために出ている。これを擬似相関(見かけ上の相関)という。相関係数が測っているのは「一緒に動くかどうか」だけで、どちらが原因かも、裏に別の原因があるかも、まったく測っていない。
入試での出方:データの分析の解法パターン全12型(出題実績:一橋大・埼玉大・信州大)
関連:データの分析
くわしく:
空間図形の計量数I図形と計量
立体を平面(断面・展開図)に落として計算する。
- 何のための道具か
- 空間のままでは三角比が使えない。平面に落とすのが定石。
- つまずくのはここ
- 立体のまま角度を扱う。適切な断面を取らずに見た目の角で計算する。内接球の半径を出すのに正攻法で座標を置いて詰まる——中心から各面へ分割して V=(1/3)·r·(表面積) を使えば一発で出る。三角形で S=rs を使うのと同じ発想を、面積から体積へ持ち上げただけ。
- 最小の例
正四面体の高さ: 底面の重心を通る断面を取って三平方
1辺2の正四面体について
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1高さ
解答底面の正三角形の重心から頂点までは 2/√3。頂点と重心を通る断面で三平方を使い、高さ=√(4-4/3)=√(8/3)=2√6/3。立体のまま角度を扱うと解けない。
問2体積
解答底面積は (√3/4)·2²=√3。V=(1/3)·√3·(2√6/3)=2√2/3。
問3内接球の半径 を求めよ。
解答内接球の中心から4つの面へ分割すると V=(1/3)·r·(表面積)。表面積は 4√3 だから r=3V/(4√3)=√6/6。これは高さのちょうど 1/4。三角形の S=rs と同じ発想を、面積から体積へ持ち上げただけ。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問41辺 a の正四面体について、体積を a で表し、内接球と外接球の半径の比を求めよ。
解答高さは h=√(a²-(a/√3)²)=a√(2/3)=√6a/3 なので、体積は V=(1/3)·(√3/4)a²·(√6a/3)=√2a³/12。内接球の半径 r は、頂点と4つの面で正四面体を4個の三角錐に分けると V=4·(1/3)·S·r(S は1面の面積)から r=3V/(4S)=√6a/12。外接球の半径 R は、中心が底面の重心から高さ方向に r だけ上にあるので R=h-r=√6a/3-√6a/12=√6a/4。よって r:R=1:3。半径を直接求めようとせず、体積を2通りに数える。この分け方は四面体・角錐で毎回使える。
入試での出方:空間図形の計量の解法パターン全12型(出題実績:東京農工大・横国大・神戸大・岡山大・滋賀医大)
くわしく:
絶対値数I数と式
原点からの距離。中身の符号で場合分けして外す。
- 何のための道具か
- 距離・誤差・範囲を式で書くための道具。
- つまずくのはここ
- |x| を無条件に x とする。|a+b|=|a|+|b| としてしまう(一般には ≦)。方程式 |x|=a で a<0 のとき解なし、を見落とす。場合分けして出した解が、その場合の範囲に入っているかを検算しない——範囲外の解を捨て損なう。両辺が0以上なら2乗して絶対値を消せることに気づかず、無駄に場合分けするのも多い。右辺に文字が残る方程式で「左辺は0以上だから右辺も0以上」を確認しないのも定番——この一手を先に置くと、場合分けの前に候補が絞れる。
- 最小の例
|x-1|=3 → x-1=±3 → x=4, -2
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1|x-1|+|x-3|=4 を解け。
解答境目 x=1, 3 で3つに分ける。x<1 なら 4-2x=4 で x=0(範囲内なので可)。1≦x<3 では左辺が常に2で、4 にならないから解なし。3≦x なら 2x-4=4 で x=4(範囲内)。答 x=0, 4。数直線で読むと左辺は「1 と 3 からの距離の和」で、区間 [1,3] の内側では常に2、外へ出るほど増える。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2|x-1|<|x-3| を解け。
解答両辺とも0以上なので2乗してよい。(x-1)²<(x-3)² から 4x<8、x<2。距離で読めば「3 より 1 に近い点」なので中点2より左、と即答できる。場合分けの前に、2乗や距離で消せないかを先に探す。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3|x²-4|=x+2 を解け。
解答左辺は絶対値なので0以上。したがって右辺も0以上でなければならず、x+2≧0、つまり x≧-2。この一手を先に置くと候補が絞れる。次に中身の符号で分ける。x²-4≧0 すなわち x≦-2 または x≧2 のとき、x²-4=x+2 から x²-x-6=0、(x-3)(x+2)=0 で x=3, -2。どちらも x≧-2 を満たし、場合の範囲にも入るので採用。x²-4<0 すなわち -2<x<2 のとき、4-x²=x+2 から x²+x-2=0、(x+2)(x-1)=0 で x=-2, 1。x=-2 はこの場合の範囲 -2<x<2 に入らないので捨てる。x=1 は範囲内なので採用。答えは x=-2, 1, 3。「右辺が0以上か」と「出た解が場合の範囲に入るか」の2つを確認しないと、余分な解を拾うか、必要な解を落とす。
入試での出方:数と式の解法パターン全12型(出題実績:京都大・神戸大・大阪大・千葉大)
くわしく:
背理法数I集合と命題
結論の否定を仮定して矛盾を導く。
- 何のための道具か
- 「存在しない」「無理数である」など、直接示せない主張のための道具。
- つまずくのはここ
- 否定の作り方を誤る。「すべて」の否定は「ある〜については成り立たない」、「無限に存在する」の否定は「有限個しかない」。矛盾を示さずに終わる、または「何と矛盾したのか」を書かずに済ませて減点される。変形の途中で0で割っていないか(分母が0でないか)の断りを落とすのも多い。
- 最小の例
√2 が有理数 p/q(既約)と仮定 → p,q がともに偶数 → 既約に矛盾。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1√2 が無理数であることを示せ。
解答√2 が有理数だと仮定する。すると互いに素な自然数 m, n を使って √2=m/n と書け、両辺を2乗して 2n²=m²。右辺 m² が偶数なので m も偶数であり、m=2k とおくと 2n²=4k²、すなわち n²=2k²。同じ理由で n も偶数になる。m と n がともに偶数となり、互いに素としたことに矛盾する。よって √2 は無理数。否定するのは「結論」だけで、仮定(m, n が互いに素)は最後まで生かす。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2√2+√3 が無理数であることを示せ。
解答有理数 r と仮定する。√2+√3>0 だから r>0、とくに r≠0。√3=r-√2 の両辺を2乗して 3=r²-2√2r+2、よって √2=(r²-1)/(2r)。右辺は有理数なので √2 が有理数となり、√2 が無理数であることに矛盾する。r≠0 を先に断らないと、割った瞬間に穴があく。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3素数が無限に存在することを示せ。
解答「無限に存在する」の否定は「有限個しかない」。素数が p₁,…,p_n の n 個だけと仮定し、N=p₁p₂…p_n+1 を作る。N はどの p_i で割っても1余るので、どの p_i でも割り切れない。しかし N≧2 だから素因数をもち、それは p₁,…,p_n のどれでもない素数になる。「これで全部」という仮定に矛盾。否定を作り、そこから矛盾する対象を具体的に構成するのが型。
入試での出方:集合と論理の解法パターン全12型(出題実績:島根大・東北大・千葉大・宇都宮大・早稲田大)
関連:命題の逆・裏・対偶
くわしく:
解の配置数I二次関数
解が指定範囲にあるための条件を、D・軸・端点の値で表す。
- 何のための道具か
- 「2解とも正」のような条件を、グラフの3情報だけで機械的に処理できる。
- つまずくのはここ
- Dの条件だけで済ませる。軸の位置と端点の符号の2つを必ず添える。端点で0になる場合の扱いを忘れる。逆に、3条件をどの型にも機械的に当ててしまうのも失点源。「2解が t をはさむ」型は f(t)<0 の1本だけで決まり、D と軸の条件は要らない。
- 最小の例
f(x)=x²+bx+c の2解が共に正 ⇔ D≧0 かつ 軸>0 かつ f(0)>0
f(x)=x²-2ax+a+6 とする。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問12解がともに1より大きい a の範囲を求めよ。
解答下に凸。「ともに1より大きい」は D≧0 かつ 軸>1 かつ f(1)>0 の3本。D/4=a²-a-6=(a-3)(a+2)≧0 より a≦-2 または a≧3。軸は a>1。f(1)=7-a>0 より a<7。合わせて 3≦a<7。D だけでは足りない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問22解が1をはさむ a の範囲を求めよ。
解答「1をはさむ」なら f(1)<0 の1本だけでよい。7-a<0 から a>7。下に凸のグラフが x=1 で負になれば、その左右に交点が1つずつあることが自動的に決まる。D も軸も要らない。3条件を機械的に当てる前に、端点の符号だけで済む型かを見る。
入試での出方:2次関数の解法パターン全20型(出題実績:岡山大・滋賀大・神戸大・宇都宮大)
くわしく:
軸と定義域の場合分け数I二次関数
軸が定義域の左・中・右のどこにあるかで3分割する。
- 何のための道具か
- 文字係数を含む最大最小はこれ以外に処理できない。
- つまずくのはここ
- 場合の境目(軸=端点)をどちらの場合に入れるか決めずに書く。等号の扱いを最初に宣言する。最大値と最小値で分割点が違うことを見落とすのが最大の落とし穴——最小は「軸が区間の内か外か」で3分割、最大は「軸が区間の中点の左か右か」で2分割になる。軸が動く型と区間が動く型を別々の解法として覚えてしまうのも遠回り——どちらも見るのは軸と区間の位置関係だけで、分け方は同じ。
- 最小の例
y=(x-a)², 0≦x≦1 の最小: a<0→x=0, 0≦a≦1→頂点, a>1→x=1
y=x²-2ax (0≦x≦2) の
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1a=3 のときの最小値を求めよ。また a=1 のときの最小値も求めよ。
解答軸は x=a。a=3 なら軸 x=3 は区間 0≦x≦2 の右の外にあり、区間内でグラフはずっと減少するから x=2 で最小値 4-4·3=-8。a=1 なら軸 x=1 が区間の中にあるので頂点で最小値 1-2=-1(y=(x-1)²-1 と平方完成すれば頂点が見える)。同じ式なのに a の値で「どこで最小になるか」が変わる——これが場合分けの正体で、(2) 以降は この2つ(と左の外)を a の式でまとめて書くだけ。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2最小値
解答軸は x=a。最小は軸が区間の内か外かで3分割。a<0 なら x=0 で 0、0≦a≦2 なら頂点で -a²、a>2 なら x=2 で 4-4a。境界 a=0, 2 をどちらの場合に入れるか先に宣言する。
問3最大値 を a で表せ。
解答最大は端点のうち軸から遠い方で取るので、分かれ目は区間の中点 x=1。a≦1 なら遠いのは x=2 で 4-4a、a≧1 なら遠いのは x=0 で 0。a=1 では両端とも 0 で一致する。最小は3分割・最大は2分割で、しかも分割点が「区間の端」と「区間の中点」で違う。ここを取り違える。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4y=x²-2x+3 の a≦x≦a+1 における最小値を a で表せ。
解答今度は軸が x=1 で固定、区間 [a, a+1] のほうが動く。見るものは同じで、軸が区間の左・中・右のどこにあるかで3分割する。軸が区間より右、つまり a+1<1(a<0)のとき、区間では単調減少なので最小は右端 x=a+1。値は (a+1)²-2(a+1)+3=a²+2。軸が区間の中、つまり a≦1≦a+1(0≦a≦1)のとき、頂点が使えて最小は 2。軸が区間より左、つまり a>1 のとき、単調増加なので最小は左端 x=a で a²-2a+3。境界で値がつながることを確かめると検算になる。a=0 では a²+2=2、a=1 では a²-2a+3=2 で、どちらも真ん中の 2 に一致する。軸が動くか区間が動くかは見かけの違いで、判断材料は「軸と区間の位置関係」だけ。
入試での出方:2次関数の解法パターン全20型(出題実績:岡山大・滋賀大・神戸大・宇都宮大)
くわしく:
集合と補集合数I集合と命題
ものの集まりと、その外側。
- 何のための道具か
- 条件を「範囲」として扱えるようにする言語。必要十分の判定が図でできるようになる。
- つまずくのはここ
- 全体集合を決めずに補集合を取る。ド・モルガンで ∪ と ∩ の入れ替えを忘れる。個数を数えるとき n(A∪B)=n(A)+n(B)-n(A∩B) の重なりを引き忘れ、二重に数える。「どちらでもない」は補集合の共通部分で、和集合の補集合と同じ——まず和集合の個数を出してから全体から引く、という順序を決めておく。3集合になると符号を間違えるのも定番——足す・引く・足すの順で、最後の n(A∩B∩C) は引くのではなく足す。
- 最小の例
not(A かつ B) = (not A) または (not B)
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1全体集合を1以上10以下の整数とする。A を偶数、B を3の倍数とするとき、A でも B でもない要素をすべて挙げよ。
解答「どちらでもない」は補集合の共通部分で、ド・モルガンより和集合の補集合と同じ。A∪B={2,3,4,6,8,9,10} だから答は 1, 5, 7。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問21以上100以下の整数のうち、2の倍数でも3の倍数でもないものは何個か。
解答同じ形を個数で処理する。n(A)=[100/2]=50、n(B)=[100/3]=33、A∩B は6の倍数で n(A∩B)=[100/6]=16。包除原理より n(A∪B)=50+33-16=67、求める個数は 100-67=33。n(A∩B) を引き忘れると 100-83=17 と誤る。重なりを1回だけ戻すのが要点。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問31以上100以下の整数のうち、2の倍数でも3の倍数でも5の倍数でもないものは何個か。
解答集合が3つになっても手順は同じで、和集合の個数を出してから全体から引く。n(A)=[100/2]=50、n(B)=[100/3]=33、n(C)=[100/5]=20。2つずつの共通部分は、6の倍数が [100/6]=16、15の倍数が [100/15]=6、10の倍数が [100/10]=10。3つの共通部分は30の倍数で [100/30]=3。包除原理は足す・引く・足すの順で n(A∪B∪C)=50+33+20-16-6-10+3=74。求める個数は 100-74=26。最後の n(A∩B∩C) を引いてしまうと 68 になり、答えが 32 とずれる。2集合のときが「引く」で終わるので、3集合でも引くと思い込むのが定番の誤り。
入試での出方:集合と論理の解法パターン全12型(出題実績:島根大・東北大・千葉大・宇都宮大・早稲田大)
くわしく:
数A
n進法数A数学と人間の活動(整数)
位取りの基数を n にした表記。
- 何のための道具か
- 桁の意味を分解して理解する。情報分野とも直結する。
- つまずくのはここ
- 変換の向きを逆にする。10進から n 進へ直すとき、整数部分は n で割った余りを下から読み、小数部分は n を掛けて出た整数部分を上から読む。「整数は割る・小数は掛ける」を取り違えるのが最頻の誤り。各桁が0以上 n-1 以下であることを確認しないのも多い。小数はいつか必ず割り切れると思い込むのも危うい——既約分数が有限小数になるのは、分母の素因数が基数の素因数だけでできているときに限る。
- 最小の例
2進1011 = 1·8+0·4+1·2+1 = 11
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問13進法の 2101 を10進法で表せ。
解答2·27+1·9+0·3+1=54+9+0+1=64。各桁が0以上2以下であることも確認する。
問210進法の 100 を3進法で表せ。
解答整数部分は3で割った余りを下から読む。100÷3=33余1、33÷3=11余0、11÷3=3余2、3÷3=1余0、1÷3=0余1。逆順に並べて 10201。検算すると 81+0+18+0+1=100。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問310進法の 0.6875 を2進法で表せ。
解答小数部分は2を掛けて出た整数部分を上から読む。0.6875×2=1.375→1、0.375×2=0.75→0、0.75×2=1.5→1、0.5×2=1→1。よって 0.1011。検算すると 1/2+1/8+1/16=0.6875。整数は割る・小数は掛ける。この向きを逆にしない。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問410進法の 0.1 を2進法で表すと有限小数になるか。
解答ならない。(3)と同じ手順で2を掛けていくと0.1→0.2→0.4→0.8→1.6→1.2→0.4 と、0.4 が再び現れる。以後は同じ並びの繰り返しで 0.0(0011) の循環小数になる。理由は分母を見れば分かる。0.1=1/10=1/(2·5) で、2進法で有限小数になるのは分母が2の累乗のときだけ。素因数の5が残るので有限では書けない。一般に、既約分数が有限小数になるのは分母の素因数が基数の素因数だけでできているとき。10進法で 1/3 が有限にならないのも、3 が 10=2·5 の素因数でないから、と同じ理屈。(3)の 0.6875=11/16 は分母が2の累乗なので有限になった。
入試での出方:整数の解法パターン全18型(出題実績:一橋大・神戸大・九州大・岡山大・千葉大)
関連:約数と倍数
くわしく:
チェバの定理数A図形の性質
三角形の3頂点から引いた線が1点で交わるとき、比の積が1。
- 何のための道具か
- 共点条件を比の計算に変える。
- つまずくのはここ
- メネラウスと式を取り違える。頂点をたどる順序を守らないと比が逆になる。チェバだけで交点の位置まで出せると思い込むのも多い——チェバが決めるのは辺の分点の比だけで、交点が線分をどう分けるかはメネラウスで別に出す。面積比を聞かれると別の道具を探し始めるのも遠回りで、「同じ高さの三角形の面積比は底辺の比」を2回使えば、分点の比からそのまま出る。
- 最小の例
(BP/PC)(CQ/QA)(AR/RB) = 1
△ABC で BP:PC=2:3, CQ:QA=1:2 とし、AP, BQ, CR が1点 O で交わるとする。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1AR:RB を求めよ。
解答チェバより (BP/PC)(CQ/QA)(AR/RB)=1。(2/3)(1/2)(AR/RB)=1 から AR/RB=3、AR:RB=3:1。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2AO:OP を求めよ。
解答交点の位置はチェバでは出ない。△ABP を直線 CR が横切ると見てメネラウスを使う。(AR/RB)(BC/CP)(PO/OA)=1。AR/RB=3、BP:PC=2:3 より BC は5・CP は3 で BC/CP=5/3。3·(5/3)·(PO/OA)=1 から PO/OA=1/5、よって AO:OP=5:1。チェバで辺の分点を確定させ、メネラウスで交点の位置を出す。この2段構えが定番。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3△OBC:△OCA:△OAB を求めよ。
解答新しい道具は要らない。「同じ高さの三角形の面積比は底辺の比」を2回使う。P は BC 上の点で BP:PC=2:3。頂点 A から見ても O から見ても高さは共通なので△ABP:△APC=2:3 かつ △OBP:△OPC=2:3。同じ比の2組を引き算すると △OAB:△OAC=2:3。同様に R は AB 上の点で AR:RB=3:1 だから △OCA:△OCB=3:1。△OCB=k とおくと △OCA=3k、△OAB=(2/3)·3k=2k。よって △OBC:△OCA:△OAB=1:3:2。3つの和が △ABC なので △OBC は △ABC の 1/6。これは(2)で出した AO:OP=5:1 と整合する。BC を共通の底辺と見れば、△OBC と △ABC の高さの比が OP:AP=1:6 だから。
入試での出方:図形の性質の解法パターン全12型(出題実績:埼玉大・千葉大・島根大・神戸大・奈良女子大・横国大)
くわしく:
メネラウスの定理数A図形の性質
三角形を1直線が横切るとき、比の積が1。
- 何のための道具か
- 共線条件を比の計算に変える。チェバの対。
- つまずくのはここ
- チェバと混同する。「1点で交わる」ならチェバ、「1直線上」ならメネラウス。たどる経路を三角形の周に沿って一周させないと比を取り違える。出た比をそのまま「内分比」と書くのも失点源——直線が2辺を内分していれば残る1辺は必ず外分する(内分する辺の個数は0個か2個)。比の値と、内分か外分かは別に確かめる。
- 最小の例
三角形ABCを直線が横切る: (AP/PB)(BQ/QC)(CR/RA) = 1
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1△ABC の辺AB を 1:2 に内分する点Pと、辺BC を 3:1 に内分する点Qを通る直線が直線CA と R で交わる。CR:RA を求めよ。
解答三角形の周を一周する向きに (AP/PB)(BQ/QC)(CR/RA)=1。(1/2)(3/1)(CR/RA)=1 より CR/RA=2/3、すなわち CR:RA=2:3。経路の向きを守ること。ただしこの R は線分 CA の内部ではなく、C を越えた延長上にある。直線が三角形の2辺を内分していれば残る1辺は必ず外分するからで、内分する辺の個数は0個か2個にしかならない。比の値だけ出して「CA を 2:3 に内分する点」と書くと誤りになる。図で内分か外分かを必ず確かめる。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2△ABC の辺AB を 2:1 に内分する点をD、辺AC を 1:3 に内分する点をEとする。直線DE と直線BC の交点を F とするとき、BF:FC を求めよ。
解答直線DE が △ABC を横切る形なので、周を一周する向きに(AD/DB)(BF/FC)(CE/EA)=1。AD/DB=2/1、AE:EC=1:3 より CE/EA=3/1 なので (2/1)(BF/FC)(3/1)=1、BF/FC=1/6。よって BF:FC=1:6。ここでも DE は AB と AC の2辺を内分しているので、残る BC は外分になる。F は辺BC の内部ではなく、B の側の延長上にある。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3△ABC の辺AB 上に AD:DB=1:2 となる点D、辺AC 上に AE:EC=3:1 となる点Eをとる。BE と CD の交点を O とするとき、BO:OE を求めよ。
解答今度は交点の分割比。使う三角形の選び方が要点で、求めたい BO:OE が辺の一部になるよう △ABE をとり、これを直線 D-O-C が横切ると見る。(AD/DB)(BO/OE)(EC/CA)=1 で、AD/DB=1/2。AE:EC=3:1 だから EC=1 に対し CA=4 で EC/CA=1/4。(1/2)(BO/OE)(1/4)=1 より BO/OE=8、すなわち BO:OE=8:1。「1点で交わる」と見ればチェバ、「1直線が横切る」と見ればメネラウス。同じ図でも、どの三角形とどの直線を選ぶかで見え方が変わる。
入試での出方:図形の性質の解法パターン全12型(出題実績:埼玉大・千葉大・島根大・神戸大・奈良女子大・横国大)
くわしく:
ユークリッドの互除法数A数学と人間の活動(整数)
割った余りで置き換え続けて最大公約数を出す。
- 何のための道具か
- 大きい数でも数回で gcd が出る。不定方程式の特殊解もここから作る。
- つまずくのはここ
- 余りが0になった時点の「割った数」が答えなのに、直前の余りを答える。gcd が出た時点で途中の割り算の式を消してしまうのも損——その式を下から逆にたどるだけで不定方程式の特殊解が作れるので、必ず残しておく。文字を含む式には使えないと思い込むのも多い——根拠が「共通の約数の集合が変わらない」ことなので、n を含む式でも同じように割って余りに置き換えられる。
- 最小の例
gcd(91,35): 91=35·2+21, 35=21·1+14, 21=14·1+7, 14=7·2 → 7
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1gcd(1071, 462) を互除法で求めよ。
解答1071=462·2+147、462=147·3+21、147=21·7+0。余りが0になったときの割った数 21 が答え。直前の余りを答えないこと。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2その計算を使って 1071x+462y=21 を満たす整数 x, y を1組求めよ。
解答(1) の式を下から逆にたどる。21=462-147·3 で、147=1071-462·2 を代入すると21=462-(1071-462·2)·3=7·462-3·1071。よって (x, y)=(-3, 7)。検算 1071·(-3)+462·7=-3213+3234=21。gcd を出して終わりにせず割り算の式を残しておけば、特殊解はこの逆算だけで作れる。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3n を自然数とするとき、n²+n+1 と n+2 の最大公約数を求めよ。
解答数値でなくても手順は同じ。互除法が成り立つ根拠は「a と b の共通の約数の集合と、b と a-qb の共通の約数の集合が一致する」ことなので、n を含む式でも割って余りに置き換えられる。n²+n+1 を n+2 で割ると n²+n+1=(n+2)(n-1)+3。よって gcd(n²+n+1, n+2)=gcd(n+2, 3)。3 は素数なので、答えは n+2 が3の倍数かどうかで決まる。n+2 が3の倍数、すなわち n を3で割った余りが1のとき最大公約数は 3。それ以外のとき 1 で、2つの数は互いに素。確かめると n=1 では gcd(3, 3)=3、n=4 では gcd(21, 6)=3、n=2 では gcd(7, 4)=1、n=3 では gcd(13, 5)=1。余りの 3 まで到達したら、そこから先は「3の約数は1か3だけ」という有限の話になる。
入試での出方:整数の解法パターン全18型(出題実績:一橋大・神戸大・九州大・岡山大・千葉大)
くわしく:
不定方程式数A数学と人間の活動(整数)
ax+by=c の整数解。解は無限にあり、一般解の形で書く。
- 何のための道具か
- 整数解を「すべて」書き切るための型。
- つまずくのはここ
- 特殊解を1つ見つけて満足する。gcd(a,b) が c を割らないとき解なし、の確認を飛ばす。一般解の刻み幅を元の係数のままにするのも定番——g=gcd(a,b) で割った後の b/g, a/g を使う。元の b, a を使っても式は成り立つが、解を g 個に1個しか拾えず取りこぼす。
- 最小の例
3x+5y=1: (x,y)=(2,-1) → 一般解 x=2+5t, y=-1-3t
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問17x+11y=1 の整数解をすべて求めよ。
解答gcd(7,11)=1 で 1 を割り切るので解はある。特殊解 (x,y)=(-3,2)。一般解は x=-3+11t, y=2-7t(t は整数)。刻み幅の 11 と 7 を入れ替えない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問26x+15y=10 と 6x+15y=9 について、整数解の有無を調べ、あればすべて求めよ。
解答gcd(6,15)=3。左辺は常に3の倍数なので、10 は3で割り切れず解なし。9 は3の倍数だから両辺を3で割って 2x+5y=3 にする。特殊解 (x,y)=(-1,1)、一般解は x=-1+5t, y=1-2t。刻み幅の 5 と 2 は「割った後の」係数で、元の 15 と 6 ではない。元のまま x=-1+15t, y=1-6t と書いても式は成り立つが、解を3個に1個しか拾えない。
入試での出方:不定方程式の解法パターン全14型(出題実績:金沢大学・富山大学・群馬大学・一橋大学・大阪大学)
関連:ユークリッドの互除法、合同式
くわしく:
余事象数A場合の数と確率
「Aでない」の確率 = 1 – P(A)。
- 何のための道具か
- 「少なくとも1つ」型は直接数えると場合が爆発する。裏から数える。
- つまずくのはここ
- 余事象を取ったのに、元の事象の確率をそのまま答える(最後に1から引き戻すのを忘れる)。否定の作り方を誤る——「少なくとも1つ」の否定は「1つもない」、「少なくとも2つ」の否定は「1つ以下」で、0個と1個の2項になる。余事象が必ず1項で済むと思い込まないこと。項数が元より少ないときに使う道具。「最大値がちょうど k」を正面から数えようとするのも遠回りで、「k 以下」から「k-1 以下」を引けばよい。裏から数える発想はここにも効く。
- 最小の例
サイコロ3回で少なくとも1回6 = 1-(5/6)³
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1サイコロを4回投げて少なくとも1回1が出る確率を求めよ。
解答「少なくとも1回」の否定は「1回も出ない」の1項。1-(5/6)⁴=1-625/1296=671/1296。最後に1から引き戻すのを忘れない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2コインを5回投げて表が少なくとも2回出る確率を求めよ。
解答「少なくとも2回」の否定は「1回以下」で、0回と1回の2項になる。P=1-(1/2)⁵-5C1·(1/2)⁵=1-1/32-5/32=26/32=13/16。余事象は必ず1項で済むわけではない。項数が元より少ないときに使う道具だと決めておく。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問31〜9 の番号札が1枚ずつある袋から3枚同時に取り出す。番号の最大値が7以下である確率と、最大値がちょうど7である確率を求めよ。
解答全体は 9C3=84 通り。最大値が7以下とは、3枚とも1〜7から選ぶこと。7C3=35 なので確率は 35/84=5/12。「ちょうど7」を正面から数えると場合分けが要るが、引き算なら一瞬で済む。最大値が6以下は 6C3=20 通りだから、ちょうど7になるのは 35-20=15 通りで 15/84=5/28。確かめると、7 を必ず含み残り2枚を1〜6から選ぶので 6C2=15 通りで一致する。「ちょうど k」は「k 以下」から「k-1 以下」を引く。余事象と同じで、直接数えにくいものを引き算で作るという発想。
入試での出方:確率の解法パターン全12型(出題実績:京大・学習院大・神戸大・一橋大・群馬大・名大)
くわしく:
内心・外心・重心数A図形の性質
内接円の中心/外接円の中心/中線の交点。
- 何のための道具か
- どの点かで使える性質が全く違う。取り違えると全滅する。
- つまずくのはここ
- 重心が中線を2:1に内分する(頂点側が2)向きを逆にする。外心が必ず内部にあると思う——鈍角三角形では外部、直角三角形では斜辺の中点に来る。内心の公式 (aA+bB+cC)/(a+b+c) で、重みを「頂点の対辺の長さ」ではなく隣の辺の長さにしてしまうのも多い。3点とも三角形の内部にあると思い込むのも危うい——重心と内心は必ず内部だが、外心だけは鈍角三角形で外部、直角三角形で辺上(斜辺の中点)に来る。
- 最小の例
重心G: AG:GM = 2:1(Mは対辺の中点)
A(0,0), B(4,0), C(0,3) の三角形について
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1重心
3辺は AB=4, CA=3, BC=5 で、∠A=90° の直角三角形。
解答重心は3頂点の平均。((0+4+0)/3, (0+0+3)/3)=(4/3, 1)。中線を頂点側から 2:1 に内分する点でもある。
問2外心
解答外心は各辺の垂直二等分線の交点だが、直角三角形なら斜辺の中点。BC の中点で (2, 3/2)、外接円の半径は 5/2。鈍角三角形なら外心は三角形の外に出る。
問3内心 の座標を求めよ。
解答内心は (a·A+b·B+c·C)/(a+b+c)。重みは各頂点の「対辺」の長さで、a=BC=5, b=CA=3, c=AB=4。(5·(0,0)+3·(4,0)+4·(0,3))/12=(12,12)/12=(1,1)。内接円の半径は1で、直角三角形なら (3+4-5)/2 でも出る。3点はどれも別物なので、問題文がどれを指すか先に確認する。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4A(0,0), B(4,0), C(1,1) の三角形の外心を求め、三角形の内部にあるか判定せよ。
解答まず形を確かめる。AB=4, CA=√2, BC=√10 で、最大辺 AB についてAB²=16 に対し CA²+BC²=2+10=12。CA²+BC²<AB² だから ∠C は鈍角。外心は A, B から等距離なので、AB の垂直二等分線 x=2 の上にある。さらに A, C から等距離という条件 x²+y²=(x-1)²+(y-1)² を整理すると x+y=1。x=2 を入れて y=-1。外心は (2, -1)。3頂点の y 座標が 0, 0, 1 なのに対し外心の y 座標は -1 なので、三角形の外にある。外接円の半径は原点までの距離で √(2²+1²)=√5。一方この三角形でも重心は ((0+4+1)/3, (0+0+1)/3)=(5/3, 1/3) で内部にあり、内心も内部にある。外に出うるのは外心だけ。鈍角なら外、直角なら斜辺の中点で辺上、鋭角なら内部と決まる。
入試での出方:図形の性質の解法パターン全12型(出題実績:埼玉大・千葉大・島根大・神戸大・奈良女子大・横国大)
くわしく:
円周角の定理数A図形の性質
同じ弧に対する円周角は等しく、中心角の半分。
- 何のための道具か
- 角度の等しさを見つける最強の道具。共円条件の判定にも使う。
- つまずくのはここ
- 弧が同じであることを確認せずに角を等号で結ぶ。点が弧のどちら側にあるかで答えが補角に変わることを見落とす——反対側の弧から見ると、中心角は 360° から引いた残りになり、円周角は 180° から引いた値になる。直径に対する円周角が90°であることを使い損ねるのも多い。
- 最小の例
中心角120° → 同じ弧の円周角60°
円Oで劣弧ABに対する中心角が100°である。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1優弧AB上の点Pについて ∠APB を求めよ。
解答円周角は中心角の半分なので ∠APB=50°。
問2劣弧AB上の点Qについて ∠AQB を求めよ。
解答Q は反対側の弧上にあるので、対応する中心角は残りの 360-100=260°。その半分で ∠AQB=130°。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問3(1)(2) から四角形 APBQ について何が言えるか。
解答∠APB+∠AQB=50+130=180°。これは円に内接する四角形の向かい合う角の和が180°という性質そのもの。逆に、向かい合う角の和が180°なら4点は同一円周上にある(共円条件)。点が弧のどちら側にあるかで答えが 50° にも 130° にもなる。まずそこを確認する。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4直径 AB=10 の円周上に点 C があり AC=6 である。BC と △ABC の面積を求めよ。また C が円周上を動くとき、△ABC の面積の最大値を求めよ。
解答AB が直径なので、それに対する円周角 ∠ACB は 90°。ここに気づけば三平方の定理が使える。BC=√(10²-6²)=√64=8 で、面積は (1/2)·6·8=24。最大値は AB を底辺と見ると分かりやすい。AB=10 は固定なので、高さが最大になるときが最大。高さは C から AB までの距離で、C は半径5の円周上を動くから最大で 5。このとき C は AB の垂直二等分線と円の交点にあり、面積は (1/2)·10·5=25。AC=6 のときの 24 はこれより小さく、確かに最大ではない。「直径が出てきたら90°」は使い損ねやすいので、図に直径を見つけたら真っ先に印をつける。
入試での出方:図形の性質の解法パターン全12型(出題実績:埼玉大・千葉大・島根大・神戸大・奈良女子大・横国大)
くわしく:
円順列・じゅず順列数A場合の数と確率
円形に並べる (n-1)!。裏返しも同一なら さらに÷2。
- 何のための道具か
- 回転や反転で同じになるものを重複して数えない。
- つまずくのはここ
- 円順列で n! のままにする。じゅず(ネックレス)で ÷2 を忘れる。「隣り合う」条件で2人をまとめたあと、円順列の個数を n のままにするのも定番——まとめると個数は n-1 になるので、円順列は (n-2)! になる。まとめた組の中の並びを掛け戻すのも忘れやすい。「隣り合わない」を円で扱うとき、隙間の数を一列のときと同じにするのも誤り——一列に k 人並べると隙間は k+1 か所だが、円だと両端がつながるので k か所しかない。
- 最小の例
4人の円順列 = 3! = 6。じゅず順列 = 3!/2 = 3
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1異なる5個の玉を円形の輪(じゅず)にする方法は何通りか。
解答円順列なら (5-1)!=24 だが、じゅずは裏返して重なるものを同一とみなすので ÷2 して12通り。24 で止めると裏返しを二重に数える。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問26人が円卓に座るとき、特定の2人 A, B が隣り合う座り方と、隣り合わない座り方は何通りか。
解答A と B を1組にまとめると、並べる対象は5個。円順列は (5-1)!=24。組の中で A, B の並びが2通りあるので 24·2=48通り。隣り合わないのは全体から引く。6人の円順列は (6-1)!=120 なので 120-48=72通り。「まとめて1個」は円順列でも使えるが、個数が 6 から 5 に減るので階乗は (6-1)! ではなく (5-1)! になる。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3男子3人と女子3人が円卓に座る。男子のどの2人も隣り合わない座り方は何通りか。
解答一列のときと同じで、先に女子を並べて隙間に男子を入れる。女子3人の円順列は (3-1)!=2通り。ここで注意するのは隙間の数で、一列に3人並べると隙間は4か所だが、円は両端がつながるので3か所しかない。その3か所に男子3人を入れるので 3!=6通り。合わせて 2·6=12通り。この場合は男女がちょうど交互に座ることになり、席が3つずつで過不足なく埋まる。全体は (6-1)!=120通りなので、男子が隣り合わない座り方は全体の 1/10。円で「隣り合わない」を扱うときは、隙間が n+1 ではなく n であることを毎回確認する。
入試での出方:場合の数の解法パターン全12型(出題実績:群馬大・岡山大・信州大・京大・横国大)
くわしく:
合同式数A数学と人間の活動(整数)
a≡b (mod m) は a-b が m の倍数。
- 何のための道具か
- 余りだけに注目して計算を圧縮する。巨大な数の余りが手で出せる。
- つまずくのはここ
- 両辺を c で割る操作を無条件に行う。d=gcd(c, m) として法も m/d に落ちるので、法をそのままにすると偽の式ができる。指数に法をそのまま当てるのも誤り——底は法 m で小さくしてよいが、指数を小さくしてよいのは「累乗の周期」であって m ではない。底は法で、指数は周期で。合成数の法を1つのまま扱って場合分けが膨らむのも遠回り——30 なら 2, 3, 5 に分けて調べ、互いに素な法すべてで成り立てば積の法でも成り立つ。
- 最小の例
2¹⁰ mod 3: 2≡-1 → 2¹⁰≡(-1)¹⁰=1
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問12⁷ を5で割った余りを求めよ。
解答指数に法を当てない。「7 を5で割ると2」だから 2²=4、とすると誤り。指数が従うのは累乗の周期4で、7=4+3 だから 2⁷≡2³=8≡3。実際 128÷5 の余りは3。底は法で小さくする、指数は周期で小さくする。この2つを混ぜない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問27¹⁰⁰ を5で割った余りを求めよ。
解答7≡2 (mod 5)。2の累乗の余りは 2, 4, 3, 1 と4個周期で 2⁴≡1。100=4·25 だから 7¹⁰⁰≡2¹⁰⁰=(2⁴)²⁵≡1。答 1。
問36≡2 (mod 4) の両辺を2で割って 3≡1 (mod 4) としてよいか。
解答だめ。3-1=2 は4の倍数でないので 3≡1 (mod 4) は偽。両辺を c で割るときは法も割れて、d=gcd(c, m) として mod m/d になる。ここは c=2, m=4, d=2 なので mod 2 に落ち、3≡1 (mod 2) なら正しい。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4n を整数とするとき、n⁵-n が30の倍数であることを示せ。
解答30 を1つの法として扱うと n を30通りに分けることになり、手に負えない。30=2·3·5 と素因数に分け、法ごとに調べる。mod 2 では n≡0 のとき n⁵-n≡0、n≡1 のとき 1-1=0。どちらも0。mod 3 では n≡0, 1, 2 に対し n⁵ はそれぞれ 0, 1, 32≡2 で、いずれも n と一致するので n⁵-n≡0。mod 5 では n≡0, 1, 2, 3, 4 に対し n⁵ は 0, 1, 32≡2, 243≡3, 1024≡4 で、やはり n⁵≡n。よって n⁵-n は 2, 3, 5 のすべてで割り切れる。2, 3, 5 は互いに素なので、積の 30 でも割り切れる。調べる場合の数は 2+3+5=10 通りで済み、30通りを直接調べるより大幅に軽い。合成数の法は素因数に分ける、が定石。
入試での出方:合同式と余りの解法パターン全14型(出題実績:一橋大・神戸大・岡山大・信州大・富山大)
くわしく:
同じものを含む順列数A場合の数と確率
n!/(p!q!…)。同じものの並べ替えで割る。
- 何のための道具か
- 文字列の並べ替え、格子路の最短経路がこれ1本で片づく。
- つまずくのはここ
- 割る階乗を1種類しか書かない。同じものが複数種類あれば全部で割る。格子路で経由点があるとき、区間ごとの経路数を足してしまう——区間は独立に選べるので掛ける。「◯◯を通らない」は全体から「通る」を引く、という向きも押さえておく。通れないのが点ではなく道(辺)のときに手が止まるのも多い——その辺を通る経路は「始点まで」×「終点から」で数え、全体から引けばよい。
- 最小の例
AABB の並べ方 = 4!/(2!2!) = 6
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1MISSISSIPPI の11文字を並べる方法は何通りか。
解答M が1個、I が4個、S が4個、P が2個。11!/(1!4!4!2!)=34650通り。割る階乗を全部書く。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2縦3・横4の格子状の道で、左下 A から右上 B へ最短で行く経路は何通りか。また、A から右へ2・上へ1 進んだ点 C を必ず通る経路は何通りか。
解答右へ4回・上へ3回、計7回の移動を並べる問題。同じ向きの移動は区別しないので7!/(4!3!)=35通り。C を通る経路は A→C と C→B に分けて掛ける。A→C は右2・上1 で 3!/(2!1!)=3、C→B は右2・上2 で 4!/(2!2!)=6。よって 3·6=18通り。区間ごとの経路は独立に選べるので足さずに掛ける。ここを足すと合わないので必ず確認する。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3同じ格子で、C を通らない経路は何通りか。また、C から右へ1進む道が工事で通れないとき、最短経路は何通りか。
解答「通らない」は正面から数えず、全体から「通る」を引く。C を通らない経路は 35-18=17通り。通れないのが点ではなく道(辺)のときも考え方は同じで、その辺を通る経路が何通りあるかを数えて引く。C から右へ1進んだ先を D とすると、この辺を通る経路は「A から C まで」×「D から B まで」。A→C は 3通り、D→B は右1・上2 で 3!/(1!2!)=3通りなので 3·3=9通り。よって通れる経路は 35-9=26通り。辺を通る経路を数えるときは、辺の両端で切って掛ける。点で切るのと同じ形になるので、迷ったら「どこで切るか」だけを決めればよい。
入試での出方:場合の数の解法パターン全12型(出題実績:群馬大・岡山大・信州大・京大・横国大)
くわしく:
場合の数数A場合の数と確率
条件を満たす並べ方・選び方の総数。
- 何のための道具か
- 確率の分母と分子はすべてここで作る。
- つまずくのはここ
- 「順序を区別するか」を決めずに数え始める。和の法則(排反)と積の法則(同時)を取り違える。0 を含む数字から整数を作るとき、最高位に 0 を置けない制約を忘れる。しかも「一の位が0か否か」で最高位の自由度が変わるので、まとめて数えると合わない。同時に決めるものは掛け、排反な場合に分けたら足す。倍数の条件がつくと途端に手が止まるのも多い——3の倍数なら各位の和が3の倍数、という判定に置き換えて「どの数字を選ぶか」を先に決め、そのあとで「どう並べるか」を数える。選ぶ段階と並べる段階を分ける。
- 最小の例
区別する3個から2個並べる: 3·2=6。選ぶだけ: 3
0,1,2,3,4 から異なる3個を選んで3桁の整数を作る。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1何個できるか。
解答並べるので順列だが、百の位に 0 は置けない。百の位が4通り、残り2桁は残った4個から2個並べて 4P2=12。積の法則で 4·12=48個。5P3=60 から先頭が0の 4P2=12 を引いても同じ。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2そのうち偶数は何個か。
解答一の位で場合分けする。これらは同時には起こらない(排反)ので和の法則で足す。一の位が0なら百の位4通り・十の位3通りで12個。一の位が2なら百の位は0と2を除いて3通り・十の位3通りで9個。一の位が4も同様に9個。合わせて 12+9+9=30個。一の位が0のときだけ百の位の制約がゆるむので、3つをまとめて数えると合わない。同時に決めるものは掛け、排反に分けたら足す。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3そのうち3の倍数は何個か。
解答3の倍数かどうかは各位の和で決まる。まず「どの3個を選ぶか」を決め、次に並べ方を数える。0〜4 を3で割った余りで分けると、余り0は {0, 3}、余り1は {1, 4}、余り2は {2}。3個の余りの和が3の倍数になるのは、同じ余りを3個そろえるか、0・1・2 を1個ずつ取るか。同じ余りは最大2個しかないので前者は不可能。よって各余りから1個ずつで 2·2·1=4組。実際に書き出すと {0,1,2}, {0,2,4}, {1,2,3}, {2,3,4} で、和は 3, 6, 6, 9。次に並べ方。0 を含む組は最高位に 0 を置けないので 3!-2!=4通り、含まない組は 3!=6通り。0 を含むのは {0,1,2} と {0,2,4} の2組なので 4+4+6+6=20個。選ぶ段階で余りに注目し、並べる段階で 0 の制約を効かせる。2段階に分けると迷わない。
入試での出方:場合の数の解法パターン全12型(出題実績:群馬大・岡山大・信州大・京大・横国大)
くわしく:
方べきの定理数A図形の性質
円と2直線の交点までの積が等しい。
- 何のための道具か
- 円が絡む長さの関係を、相似を書かずに一発で出す。
- つまずくのはここ
- 接線の場合に PT² = PA·PB の2乗を忘れる。点が円の内か外かで図が変わることを確認しない。外でも内でも「積が一定」は同じで、その一定値は中心からの距離 d と半径 r で |d²-r²| になる。外なら PT²=d²-r²、内なら PA·PB=r²-d²。図の見た目に引きずられて別の定理だと思わないこと。逆向きに使えることを知らないのも損で、積が等しければ4点は同一円周上にある。共円を示せと言われたら、円周角だけでなく方べきの逆も候補に入れる。
- 最小の例
外部の点Pから: PA·PB = PC·PD、接線なら PT² = PA·PB
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1円外の点Pから引いた接線の接点をTとする。PT=6 で、Pを通る割線が円と A, B で交わり PA=4 のとき PB を求めよ。
解答PT²=PA·PB より 36=4·PB、PB=9。接線のときだけ2乗になる。
問2円の内部の点Pで2つの弦 AB, CD が交わり、PA=3, PB=4, PC=2 のとき PD を求めよ。
解答内部でも積が等しいことは同じ。PA·PB=PC·PD より 12=2·PD、PD=6。外部か内部かで変わるのは図の見え方だけで、外部なら2交点が同じ側に、内部なら点をはさんで反対側に並ぶ。中心からの距離を d、半径を r とすると、この一定の積は |d²-r²| に等しい。外部では PT²=d²-r²、内部では PA·PB=r²-d²。別の定理ではなく、同じ量を測っている。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3線分 AB と線分 CD が点 P で交わり、PA=2, PB=6, PC=3, PD=4 である。4点 A, B, C, D は同一円周上にあるか。
解答同一円周上にある。ここで使うのは方べきの定理の逆。PA·PB=2·6=12、PC·PD=3·4=12 で積が等しいので、4点 A, B, C, D は同じ円の上にある。実際に P を原点、A(-2,0), B(6,0), C(0,3), D(0,-4) と置いて確かめられる。AB の垂直二等分線は x=2 なので中心は (2, k) の形。A と C から等距離という条件から 16+k²=4+(k-3)² を解いて k=-1/2。中心 (2, -1/2)、半径の2乗は 16+1/4=65/4 で、D(0,-4) も 4+(7/2)²=65/4 を満たす。もし PD が 5 なら積は 15 で 12 と合わず、この4点は同一円周上に乗らない。共円を示す問題では、円周角の定理だけでなく方べきの逆も候補に入れる。
入試での出方:図形の性質の解法パターン全12型(出題実績:埼玉大・千葉大・島根大・神戸大・奈良女子大・横国大)
くわしく:
期待値数A場合の数と確率
値×確率の総和。長期的な平均値。
- 何のための道具か
- ゲームや戦略の有利不利を1つの数で比較する。
- つまずくのはここ
- 確率の合計が1になっていない表で計算する。期待値を「いちばん出やすい値」と読む。和の期待値を出すのに、まず分布を求めようとして詰まる——期待値は足し算がそのまま通るので、分布を経由せず部分ごとの期待値を足せばよい。しかもこの足し算に独立性は要らない。独立性が要るのは積の期待値や分散のほう。最大値や最小値の期待値では、分布そのものを作る必要がある——そのときは「ちょうど k」を正面から数えず、「k 以下」から「k-1 以下」を引いて作る。
- 最小の例
1,2が各1/2 → E = 1·(1/2)+2·(1/2) = 1.5
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問11が出たら300円もらい、他の目なら60円失う。サイコロ1回の期待値を求めよ。
解答E=300·(1/6)+(-60)·(5/6)=50-50=0円。損得なし。「いちばん出やすい値」と読み違えない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問21〜5 の番号のカード5枚を無作為に1列に並べる。番号と位置が一致する枚数の期待値を求めよ。
解答一致枚数の分布を出す必要はない。位置ごとに「一致すれば1、しなければ0」という量を考えると、その期待値はどの位置でも 1/5。期待値は足し算がそのまま通る(和の期待値は期待値の和)ので、5個足して 5·(1/5)=1 枚。この足し算は、各位置の一致が互いに独立でなくても成り立つ。独立性が要るのは積の期待値や分散のほうで、和の期待値には要らない。分布を求めてから足そうとすると、この問題は急に難しくなる。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3サイコロを3回投げるとき、出た目の最大値の期待値を求めよ。
解答最大値は(2)のように分解できないので、今度は分布を作る。ただし「最大値がちょうど k」を正面から数えず、「k 以下」から「k-1 以下」を引く。3回とも k 以下になる確率は (k/6)³ なので、最大値が k である確率は (k³-(k-1)³)/216。分子は k=1 から順に 1, 7, 19, 37, 61, 91 で、合計が 216 になり確率の和が1であることも確かめられる。期待値は (1·1+2·7+3·19+4·37+5·61+6·91)/216=1071/216=119/24≒4.96。1回の平均 3.5 よりかなり大きいが、3回のうち最大を取るのだから当然。同じ分解は最小値にも効き、そちらは「k 以上」から「k+1 以上」を引く形になる。
入試での出方:確率の解法パターン全12型(出題実績:京大・学習院大・神戸大・一橋大・群馬大・名大)
くわしく:
条件付き確率数A場合の数と確率
P(B|A) = P(A∩B)/P(A)。情報が増えた後の確率。
- 何のための道具か
- 「〜と分かったとき」を扱う。全体集合が A に縮む。
- つまずくのはここ
- P(B|A) と P(A|B) を取り違える。分母を全体のままにする(分母は A に縮む)。この取り違えは検査の問題で一番はっきり出る——「検査の精度99%」は P(陽性|病気) の話で、知りたい P(病気|陽性) とは別物。もとの割合(有病率)が小さいと、正しく陽性になる人数より誤って陽性になる人数のほうが効いて、答えが大きく食い違う。同じ内容に見える情報でも、与えられ方が違えば縮む先が違う——「少なくとも1人が女」と「上の子が女」では全体集合の大きさが変わり、答えも変わる。
- 最小の例
P(A)=0.5, P(A∩B)=0.2 → P(B|A)=0.4
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問11個のサイコロを1回投げる。出た目が偶数だったとき、その目が4以上である確率を求めよ。
解答「偶数だった」という情報で、考える世界が {1,…,6} から {2,4,6} の3通りに狭まる。そのうち4以上は 4, 6 の2通りなので確率は 2/3。条件付き確率は分母を全体から条件の側に取り替えるだけで、公式 P(B|A)=P(A∩B)/P(A) も同じことを分数で書いたにすぎない。ここを「2/6=1/3」としてしまうのは、分母を全体のままにしている。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2袋Aに赤3白1、袋Bに赤1白3。袋を等確率で選び1個取ると赤だった。袋Aだった確率は。
解答P(A∩赤)=(1/2)(3/4)=3/8、P(B∩赤)=(1/2)(1/4)=1/8。P(赤)=3/8+1/8=1/2。P(A|赤)=(3/8)/(1/2)=3/4。分母を全体のままにしない。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3ある病気の有病率は1%。検査は病気の人の99%に陽性が出るが、病気でない人にも1%の割合で陽性が出る。陽性と出た人が実際に病気である確率を求めよ。
解答1万人で考える。病気は100人で、うち陽性は99人。病気でない9900人のうち陽性は99人。陽性は合わせて198人で、そのうち病気は99人。よって 99/198=1/2。「精度99%」は P(陽性|病気) の話で、知りたい P(病気|陽性) とは別物。有病率が低いと、正しく陽性になる人数と誤って陽性になる人数が同じくらいになるため、条件の向きを取り違えると 99% と 50% ほど答えが食い違う。
問4ある家庭に子どもが2人いる。男女は等確率で独立に決まるとする。「少なくとも1人は女の子」と分かっているとき、2人とも女の子である確率を求めよ。また「上の子は女の子」と分かっている場合はどうか。
解答上の子・下の子の順で書くと、起こりうるのは 男男・男女・女男・女女 の4通りで各 1/4。「少なくとも1人は女」で縮む先は 男女・女男・女女 の3通り。このうち2人とも女は1通りなので確率は 1/3。「上の子は女」で縮む先は 女男・女女 の2通り。2人とも女は1通りなので 1/2。どちらも「女の子がいる」と言っているのに答えが違うのは、縮む先の大きさが違うから。「少なくとも1人」は下の子が女の場合も拾うので候補が3通りに広がり、そのぶん分母が大きい。条件付き確率では、与えられた情報が全体集合をどこまで縮めるかを毎回書き出す。言葉の印象で判断すると、この2つは同じに見えてしまう。
入試での出方:条件付き確率・独立・反復試行の解法パターン全12型(出題実績:横国大・神戸大・滋賀大・群馬大・岡山大・一橋大)
くわしく:
独立試行と反復試行数A場合の数と確率
影響しない試行の繰り返し。nCr·p^r·(1-p)^(n-r)。
- 何のための道具か
- 同じ操作を繰り返す確率をひとつの式で書ける。
- つまずくのはここ
- 独立でないのに反復試行の式を当てる。袋から戻さず取り出す場合は各回の確率が変わるので使えず、組合せで数える(全体から選ぶ通り数のうち、条件を満たす通り数)。nCr を落として順序を無視するのも定番。問題文の「戻す/戻さない」を読んだ時点で、どちらの式かを決めてしまうとよい。逆に「k 回目に初めて出る」型に nCr を付けてしまうのも多い——こちらは並び方が1通りに決まっているので、係数は要らない。
- 最小の例
表が出る確率1/2のコイン4回で表2回 = 4C2(1/2)⁴ = 6/16
袋に赤2個・白3個が入っている。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問11個取り出して戻す操作を5回行うとき、赤がちょうど2回出る確率を求めよ。
解答戻すので各回が独立。反復試行の式で 5C2(2/5)²(3/5)³=10·(4/25)·(27/125)=216/625。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2戻さずに3個取り出すとき、赤がちょうど1個である確率を求めよ。
解答戻さないと1回ごとに中身が変わるので独立でなく、反復試行の式は使えない。組合せで数える。5個から3個選ぶのが 5C3=10 通り、そのうち赤1個・白2個は 2C1·3C2=6 通り。よって 6/10=3/5。
問3(2) を「戻す」場合に変えると確率はどうなるか。
解答戻す場合は 3C1·(2/5)·(3/5)²=3·(2/5)·(9/25)=54/125。3/5=75/125 なので、戻さない方が確率が高い。「戻す/戻さない」で式そのものが変わる。反復試行の式が使えるのは戻す場合だけ。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問41個のサイコロを繰り返し投げる。3回目に初めて1の目が出る確率を求めよ。また、n 回以内に少なくとも1回1が出る確率が 0.9 を超える最小の n を求めよ。(log₁₀2=0.3010, log₁₀3=0.4771 とする)
解答「3回目に初めて」は、1回目と2回目が1以外、3回目が1、と並びが完全に決まっている。だから (5/6)²·(1/6)=25/216。ここに 3C1 を掛けないこと。反復試行の nCr は「n回のどこで起こってもよい」ぶんの場合の数なので、順序が固定なら要らない。後半は余事象。n 回とも1が出ない確率が (5/6)ⁿ だから 1-(5/6)ⁿ>0.9、つまり (5/6)ⁿ<1/10。両辺の常用対数をとると n(log₁₀5-log₁₀6)<-1。log₁₀5=1-log₁₀2=0.6990、log₁₀6=log₁₀2+log₁₀3=0.7781 なので左辺の係数は -0.0791。不等号の向きに注意して n>1/0.0791=12.6…、よって最小の n は 13。確かめると (5/6)¹²≒0.112 で 0.1 を超えるが、(5/6)¹³≒0.0935 で下回る。
入試での出方:条件付き確率・独立・反復試行の解法パターン全12型(出題実績:横国大・神戸大・滋賀大・群馬大・岡山大・一橋大)
くわしく:
確率の基本数A場合の数と確率
(条件を満たす場合の数)/(全場合の数)。
- 何のための道具か
- 不確かさを0〜1の数で扱う。
- つまずくのはここ
- 分母と分子で「区別する/しない」が食い違う。同様に確からしいかを確認せずに数える——「色の組は3通りだから1/3」型の誤りが典型で、3つの組は起こりやすさが違うので分母に使えない。分母に置けるのは同様に確からしい場合の数だけ。原則すべて区別して数えると事故が減る。逆に、分母分子で揃えてさえいれば順序を区別してもしなくても答えは同じになる。排反と独立の混同も定番——排反は「同時に起こらない」で P(A∩B)=0、独立は「影響しない」で P(A∩B)=P(A)P(B)。まったく別の条件で、独立かどうかは見た目では決まらないので毎回計算して確かめる。
- 最小の例
赤2白1から1個: 赤の確率 2/3(球は全部区別して数える)
赤3個・白2個の袋から2個取り出す。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1同時に2個取り出すとき、2個とも赤である確率を求めよ。
解答球はすべて区別して数える。3C2/5C2=3/10。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問21個ずつ順に2個取り出す(戻さない)として同じ確率を求め、(1) と比べよ。
解答順序を区別すると全体は 5P2=20、2個とも赤は 3P2=6 で 6/20=3/10。(1) と一致する。分母と分子で「区別する/しない」を揃えれば、どちらで数えても同じ答えになる。
問3「色の組は 赤赤・赤白・白白 の3通りだから 1/3」という考えはなぜ誤りか。
解答赤赤・赤白・白白 の3つは同様に確からしくない。実際に計算すると 赤赤=3/10、赤白=(3·2)/10=6/10、白白=1/10 で起こりやすさが違う。同様に確からしいのは「どの2個を選ぶか」の10通りのほうで、確率の分母に置けるのはそちらだけ。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問41〜30 の番号札から1枚引くとき、2の倍数または3の倍数である確率を求めよ。また「2の倍数」と「3の倍数」は独立か。1〜10 の場合はどうか。
解答2の倍数は15枚で 1/2、3の倍数は10枚で 1/3、両方すなわち6の倍数は5枚で 1/6。和事象は重なりを1回だけ引いて 1/2+1/3-1/6=2/3。2でも3でも割れない数は 30-20=10 個なので 1-10/30=2/3 と一致する。独立かどうかは P(A∩B)=P(A)P(B) を実際に確かめる。1/6=(1/2)(1/3) が成り立つので、この場合は独立。ところが1〜10 では 2の倍数が5枚で 1/2、3の倍数が3枚で 3/10、6の倍数は1枚で 1/10。(1/2)(3/10)=3/20 は 1/10 と一致しないので独立でない。同じ「2の倍数」と「3の倍数」でも、全体の個数が6の倍数かどうかで独立性が変わる。なお、6の倍数が存在する以上どちらの場合も排反ではない。排反(同時に起こらない)と独立(影響しない)は別の条件で、見た目では判断できない。
入試での出方:確率の解法パターン全12型(出題実績:京大・学習院大・神戸大・一橋大・群馬大・名大)
くわしく:
約数と倍数数A数学と人間の活動(整数)
割り切る数と割り切られる数。
- 何のための道具か
- 整数問題の全ての入口。
- つまずくのはここ
- 約数の個数を数えるのに素因数分解をしない。負の約数を数えるかどうかを決めずに答える。gcd と lcm から2数を求める問題で、a=ga', b=gb' と置いたあと「a' と b' は互いに素」の条件を落とす——これを落とすと gcd が g より大きい組が混ざる。gcd·lcm=ab は検算に使える。「約数がちょうど n 個である最小の数」型で、指数をどの素数に振るか迷うのも多い——小さい素数に大きい指数を割り当てるほど小さくなる。約数の個数が奇数になるのは平方数のときだけ、という対応も検算に効く。
- 最小の例
12=2²·3 → 約数の個数 (2+1)(1+1)=6
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1504 の正の約数の個数と総和を求めよ。
解答504=2³·3²·7。個数は各指数に1を足して掛け、(3+1)(2+1)(1+1)=24個。総和は素因数ごとの等比和の積で (1+2+4+8)(1+3+9)(1+7)=15·13·8=1560。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2最大公約数が6、最小公倍数が72である2つの自然数 a, b (a<b) の組をすべて求めよ。
解答a=6a', b=6b' と置く。最大公約数が6なので a' と b' は互いに素でなければならない。最小公倍数は 6a'b'=72 だから a'b'=12。積が12で a'<b' の組は (1,12), (2,6), (3,4)。このうち互いに素なのは (1,12) と (3,4) だけ。(2,6) を使うと (a,b)=(12,36) となり、最大公約数が12になって条件に合わない。よって (a,b)=(6,72), (18,24)。gcd·lcm=ab で検算すると 6·72=432、18·24=432 で一致する。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3正の約数がちょうど15個である最小の自然数を求めよ。
解答約数の個数は、素因数分解が p^a·q^b·… のとき (a+1)(b+1)… で決まる。15 を2以上の整数の積に分けると 15 か 3·5 なので、指数の組は (14) か (2,4) の並べ替え。素因数が1個なら最小は 2¹⁴=16384。素因数が2個なら、小さい素数に大きい指数を割り当てるほど小さくなるので 2⁴·3²=16·9=144。逆に 2²·3⁴=4·81=324 で、こちらは倍以上大きい。よって答えは 144。検算として、約数の個数が奇数になるのは平方数のときだけで、実際 144=12²。指数を大きい素数のほうに振ると値が急に膨らむので、「小さい素数に大きい指数」を原則にすると迷わない。
入試での出方:整数の解法パターン全18型(出題実績:一橋大・神戸大・九州大・岡山大・千葉大)
関連:素因数分解、ユークリッドの互除法
くわしく:
素因数分解数A数学と人間の活動(整数)
整数を素数の積で表す。表し方は一通り。
- 何のための道具か
- 約数の個数・最大公約数・平方数判定が全部ここから出る。
- つまずくのはここ
- 1を素数に数える。指数の扱いを誤って約数の個数を間違える。階乗に含まれる素因数の個数を数えるとき、割った商を1回で止める——n を p, p², p³ … で割った商を全部足す。25 は5を2つ持つので、5で割った回数だけでは足りない。平方数の条件を「指数がすべて偶数」と覚えて止まるのももったいない——立方数なら3の倍数、m乗数なら m の倍数で、やることは「各指数を目標の倍数まで足りないぶんだけ補う」に統一できる。
- 最小の例
360 = 2³·3²·5 → 約数 (3+1)(2+1)(1+1)=24個
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問11800 を素因数分解せよ。
解答小さい素数から順に割る。1800÷2=900、÷2=450、÷2=225、ここで2では割れない。225÷3=75、÷3=25、25÷5=5、÷5=1。よって 1800=2³·3²·5²。割る順番を小さい素数から固定しておくと、割り残しが起きない。指数の形にしておくと、このあとの約数の個数・平方数・立方数の判定がそのまま指数の計算になる。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2540n が平方数となる最小の自然数 n を求めよ。
解答540=2²·3³·5。平方数は素因数の指数がすべて偶数。3 の指数3と 5 の指数1が奇数で、それぞれ1つずつ足りない。よって n=3·5=15。実際 540·15=8100=90²。
問3100! を計算したとき、末尾に0は何個並ぶか。
解答末尾の0の個数は 10=2·5 が何組作れるかで、2 と 5 の指数の小さいほう。2 のほうが明らかに多いので 5 の指数を数える。5の倍数が [100/5]=20 個、25の倍数がさらに [100/25]=4 個、125の倍数は0個。合計 20+4=24 個。「5の倍数が20個だから20個」とすると、25, 50, 75, 100 が5を2つ持つぶんを落とす。n を p, p², p³ … で割った商を全部足す、が正しい数え方。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4540n が立方数となる最小の自然数 n を求めよ。また 540k が6乗数となる最小の k は。
解答やることは(1)と同じで、目標が「偶数」から「3の倍数」に変わるだけ。540=2²·3³·5 で、立方数は指数がすべて3の倍数。2 の指数2は3にするのに1不足、3 の指数3はすでに3の倍数なので0、5 の指数1は3にするのに2不足。よって n=2·5²=50。実際 540·50=27000=30³。6乗数なら指数をすべて6の倍数にそろえる。2 は 2→6 で4不足、3 は 3→6 で3不足、5 は 1→6 で5不足。k=2⁴·3³·5⁵=16·27·3125=1350000 で、540·1350000=729000000=30⁶。平方数なら2の倍数、立方数なら3の倍数、m乗数なら m の倍数。指数だけを見て「目標の倍数まであといくつか」を数える作業に統一できる。
入試での出方:整数の解法パターン全18型(出題実績:一橋大・神戸大・九州大・岡山大・千葉大)
関連:約数と倍数、ユークリッドの互除法
くわしく:
組合せ数A場合の数と確率
nCr。異なるものから r 個選ぶ(順序を区別しない)。
- 何のための道具か
- 順序を無視するとき。ほとんどの確率問題の分母。
- つまずくのはここ
- nCr = nPr / r! の r! を落とす。分母と分子で「区別する/しない」を揃えないまま確率を作る。組分けで「同じ人数の組」の並べ替えを割り忘れるのが最頻——2人ずつ3組なら 3! で割る。組に名前がついていれば割らない。サイズが全部違う組分けも割らない。同じ大きさの組がいくつあるかで割る階乗が決まる。nCr = nC(n-r) や nCr = (n-1)C(r-1) + (n-1)Cr を式変形の結果としてだけ覚えるのももったいない——前者は「選ぶ側を決めるか残す側を決めるか」、後者は「特定の1個を含むか含まないか」で、どちらも数え方の言い換えとして読める。
- 最小の例
5C3 = 5P3/3! = 60/6 = 10
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問110人から4人の委員を選ぶ方法は何通りか。
解答10C4=210通り。順序を区別しないので 10P4 を 4! で割る。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問26人を2人ずつ3つの組に分ける方法は何通りか。組に区別がある場合とない場合の両方を答えよ。
解答組に区別がある(部屋A・B・Cに割り振るなど)なら 6C2·4C2·2C2=15·6·1=90通り。組に区別がないなら、同じ人数の組が3つあるので並べ替えの 3!=6 で割って 90/6=15通り。この ÷3! を落とすのが最頻の誤り。逆に 3人・2人・1人のようにサイズが全部違えば組を取り違えようがないので割らず、6C3·3C2·1C1=60 のままでよい。同じ大きさの組がいくつあるかで、割る階乗が決まる。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3次の等式が成り立つ理由を、選び方の意味から説明せよ。(ア) 12C5=12C7 (イ) 12C5=11C4+11C5
解答(ア) 12人から5人を選ぶことは、選ばずに残す7人を決めることと同じ。選び方と残し方が1対1に対応するので、通り数も等しい。実際どちらも 792。(イ) 特定の1人 A に注目し、A を含むか含まないかで分ける。A を含むなら残り11人から4人を選ぶので 11C4=330。A を含まないなら A 以外の11人から5人を選ぶので 11C5=462。この2つは重ならず、合わせて全部なので 330+462=792=12C5。これがパスカルの三角形で「上の2つを足すと下の1つになる」ことの中身。公式として暗記するより「1つの要素を含むか含まないかで場合分けした」と読むほうが、似た形の問題に出会ったときに応用が利く。
入試での出方:場合の数の解法パターン全12型(出題実績:群馬大・岡山大・信州大・京大・横国大)
関連:順列、重複順列・重複組合せ、場合の数
くわしく:
重複順列・重複組合せ数A場合の数と確率
同じものを何度でも選べる並べ方 n^r /選び方 (n+r-1)C r。
- 何のための道具か
- 「何個でもいい」型の数え上げ。
- つまずくのはここ
- 重複組合せを nCr でやる。仕切り(|)と○に置き換える発想に翻訳しないまま公式だけ当てる。重複順列 n^r と重複組合せ (n+r-1)Cr の取り違えも多い——「並べる」なら順列、「選ぶだけ」なら組合せで、同じ設定でも答えの桁が変わる。「各1個以上」の条件は、先に1個ずつ配ってから残りを分配する形に直すと重複組合せに戻せる。「◯個以下」の上限がつくと同じ手が使えないのも要注意——下限は置きかえで0に戻せるが上限は戻せないので、上限を破る場合を数えて全体から引く。
- 最小の例
3種類から重複を許して2個選ぶ = (3+2-1)C2 = 4C2 = 6
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1みかん・りんご・柿から重複を許して5個買う方法は何通りか。
解答重複組合せ。(3+5-1)C5=7C5=21通り。○5個と仕切り2本の並べ方に翻訳すると、7個の位置から仕切り2本の位置を選ぶ 7C2=21 と見てもよい。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2x+y+z=5 を満たす非負整数の組は何組か。また x, y, z がすべて1以上である組は何組か。
解答(1) と同じ問題。みかんの個数を x と対応させれば一対一に対応するので21組。すべて1以上なら、先に1個ずつ配ってから残り2個を分ける。x'=x-1 などと置くと x'+y'+z'=2 の非負整数解で (3+2-1)C2=4C2=6組。
問33種類の文字から重複を許して5文字並べる方法は何通りか。
解答こちらは順序を区別するので重複順列。3⁵=243通り。「選ぶだけ」なら重複組合せ、「並べる」なら重複順列。同じ「重複を許す」でも答えの桁が変わる。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4x+y+z=10 を満たす非負整数の組のうち、x≦4 であるものは何組か。
解答条件なしなら (3+10-1)C10=12C2=66組。(2)では「1以上」という下限だったので、先に配って x'=x-1 と置きかえれば非負に戻せた。しかし「4以下」という上限は、置きかえでは0以上の条件に戻せない。そこで上限を破る場合、すなわち x≧5 を数えて引く。x'=x-5 と置くと x'+y+z=5 の非負整数解になり (3+5-1)C5=7C2=21組。よって求める組は 66-21=45組。下限は置きかえで消せる、上限は引き算で消す。この使い分けを決めておくと迷わない。
入試での出方:場合の数の解法パターン全12型(出題実績:群馬大・岡山大・信州大・京大・横国大)
くわしく:
順列数A場合の数と確率
nPr。異なるものから r 個取って並べる。
- 何のための道具か
- 順序が意味を持つ数え方。
- つまずくのはここ
- 組合せと混同する。「並べる」と書いてあっても実質は選ぶだけ、という問題文の読み違い。「隣り合わない」を「隣り合う」の余事象として引いてしまうのも危ない——3人以上だと「全員続く」の否定に「一部だけ隣り合う」が入るので一致しない。隣り合わない条件は、先に他方を並べて隙間に入れるのが確実。辞書式に並べて「何番目か」を問われたとき、1つずつ書き出そうとするのも危うい——上の桁を固定するたびに残りの並べ方の個数が決まるので、塊で数えて引いていく。
- 最小の例
5P3 = 5·4·3 = 60
男子3人と女子3人が一列に並ぶ。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1並び方は全部で何通りか。
解答6!=720通り。「並べる」ので順序を区別する。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2女子3人が続けて並ぶ並び方は何通りか。
解答女子3人を1組にまとめると並べる対象は4個で 4!=24。組の中の女子の並びが 3!=6 通りあるので 24·6=144通り。
問3女子のどの2人も隣り合わない並び方は何通りか。
解答隣り合わない条件は、先に男子を並べて隙間に入れるのが確実。男子3人の並べ方が 3!=6 通り。できる隙間は 〇男〇男〇男〇 の4か所で、そこから3か所選んで女子を並べるので 4P3=24 通り。合わせて 6·24=144通り。(2) を全体から引いても (3) にはならない。720-144=576 で一致しない。「3人続けて」の否定には「ちょうど2人だけ隣り合う」が含まれるからで、条件の否定を安易に取らない。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問41, 2, 3, 4, 5 を1回ずつ使って5桁の整数を作り、小さい順に並べる。34152 は何番目か。また70番目の数は何か。
解答全部で 5!=120 個。1つずつ書き出さず、上の桁を固定して塊で数える。万の位が1の数は残り4個の並べ方で 4!=24 個。同様に2で始まるものも24個。ここまでで48個なので、3で始まる数は49番目から始まる。3の次を固定すると、31□□□ が 3!=6 個で 49〜54番目、32□□□ が 55〜60番目。34□□□ は 61〜66番目で、その中は残り {1,2,5} を並べる。341□□ が 61〜62番目で、34125 が61番目、34152 が62番目。よって 34152 は62番目。70番目は逆にたどる。48<70≦72 だから3で始まる数の中の 70-48=22 番目。3の次は 31, 32, 34, 35 の順に6個ずつなので、22 は 18<22≦24 より 35□□□ の中の4番目。残り {1,2,4} を並べると 35124, 35142, 35214, 35241, 35412, 35421 の順で、4番目は 35241。位取りと同じ考え方で、桁を1つ決めるたびに「何個ずつの塊か」が決まる。
入試での出方:場合の数の解法パターン全12型(出題実績:群馬大・岡山大・信州大・京大・横国大)
くわしく:
数II
1/6公式数II微分・積分の考え
放物線と直線で囲む面積 = |a|/6·(β-α)³。
- 何のための道具か
- 計算を大幅に短縮する。検算にも使える。
- つまずくのはここ
- 差が2次式になる場合にしか使えないのに、3次関数などに当てる。2つの放物線で囲むとき、a に片方の2次の係数を入れてしまう——使うのは「差をとった2次式の2次の係数」で、係数の差になる。α, β は交点の x 座標で、引く順序を逆にすると符号が狂う(3乗なので絶対値を取る)。1/6 という数字だけを覚えて、同じ家族の別公式を知らないのももったいない——放物線と2本の接線で囲む面積は (β-α)³/12 で、これも同じ計算から出る。
- 最小の例
y=x² と y=x で囲む面積 = 1/6·(1-0)³ = 1/6
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1y=x² と y=2x+3 で囲まれた面積を求めよ。
解答交点は x²=2x+3 から x=-1, 3。差をとった2次式の2次の係数は1なので(1/6)·1·(3-(-1))³=64/6=32/3。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2y=x² と y=-x²+4x で囲まれた面積を求めよ。
解答交点は x²=-x²+4x つまり 2x²-4x=0 から x=0, 2。ここで使う係数は「差をとった2次式の2次の係数」で、1-(-1)=2。(2/6)(2-0)³=(1/3)·8=8/3。片方の係数1だけを使って (1/6)·8=4/3 とすると誤り。
問3y=x³ と y=x で囲まれた面積にこの公式を使ってよいか。
解答使えない。この公式は差が2次式で、(x-α)(x-β) の定数倍に書けることが根拠になっている。3次と1次の差は3次式なので当てはまらない。素直に積分する。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4放物線 y=x² と、x 座標が α, β (α<β) である2点における接線で囲まれた図形の面積を求めよ。
解答接線は y=2αx-α² と y=2βx-β²。交点は 2αx-α²=2βx-β² から x=(α+β)/2 で、2つの接点のちょうど真ん中。この点を m とおく。α から m までは放物線と1本目の接線の差で、x²-(2αx-α²)=(x-α)²。m から β までは2本目との差で x²-(2βx-β²)=(x-β)²。どちらもきれいに平方になる。∫[α,m](x-α)²dx=[(x-α)³/3](α→m)=(m-α)³/3、∫[m,β](x-β)²dx=[(x-β)³/3](m→β)=0-(m-β)³/3=((β-α)/2)³/3。m-α も β-m も (β-α)/2 なので、2つは等しく、和は 2·((β-α)/2)³/3=(β-α)³/12。1/6 ではなく 1/12 になるのは、差が (x-α)(x-β) ではなく完全な平方になるから。確かめると α=0, β=2 のとき (2-0)³/12=2/3。実際に接線 y=0 と y=4x-4 で計算しても ∫[0,1]x²dx+∫[1,2](x-2)²dx=1/3+1/3=2/3 で一致する。
入試での出方:積分法(数II)の解法パターン全14型(出題実績:信州大・学習院大・山口大・九州大・千葉大)
関連:定積分と面積
くわしく:
2倍角・半角の公式数II三角関数
加法定理で α=β としたもの。
- 何のための道具か
- 次数を下げる/上げるための変換。積分でも多用する。
- つまずくのはここ
- cos2θ の3つの表現(1-2sin²θ、2cos²θ-1、cos²θ-sin²θ)から状況に合うものを選ばず、毎回同じ形を使って遠回りする。与えられているのが sin なら 1-2sin²θ、cos なら 2cos²θ-1 を選ぶ。積分で sin²x や cos²x をそのまま積分しようとするのも定番——2乗が出たら半角で次数を下げる、が手順。半角で sin(θ/2) などを出すときに符号を決めないのも失点源——公式が与えるのは2乗の値なので必ず ± が出る。θ の範囲を半分にして θ/2 がどの象限にあるかを見てから符号を決める。
- 最小の例
cos2θ = 1-2sin²θ → sin²θ = (1-cos2θ)/2
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1cos2θ=1/3 のとき sin²θ を求めよ。
解答sinθ を出したいので 1-2sin²θ の形を選ぶ。1-2sin²θ=1/3 より sin²θ=(1-1/3)/2=1/3。
問2cosθ=1/4 のとき cos2θ を求めよ。
解答今度は cosθ が与えられているので 2cos²θ-1 の形。2·(1/16)-1=1/8-1=-7/8。1-2sin²θ を使うと sin²θ=1-1/16=15/16 を経由することになり遠回り。与えられた文字に合う表現を選ぶ。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問3∫[0, π/2] sin²x dx を求めよ。
解答sin²x のままでは積分できない。半角で次数を下げて sin²x=(1-cos2x)/2。∫[0,π/2](1-cos2x)/2 dx=[x/2-sin2x/4](0→π/2)=π/4。2乗が出たら半角で次数を下げる、が積分の定番手順。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問40<θ<π で cosθ=-7/25 のとき、sin(θ/2) と cos(θ/2) を求めよ。
解答半角の公式は2乗の値を与えるので、必ず符号を決める作業がついてくる。sin²(θ/2)=(1-cosθ)/2=(1+7/25)/2=16/25 なので sin(θ/2)=±4/5。cos²(θ/2)=(1+cosθ)/2=(1-7/25)/2=9/25 なので cos(θ/2)=±3/5。ここで θ の範囲を半分にする。0<θ<π だから 0<θ/2<π/2 で、θ/2 は第1象限。第1象限では sin も cos も正なので sin(θ/2)=4/5、cos(θ/2)=3/5。θ の範囲をそのまま使って「θ は第2象限だから」と判断すると符号を誤る。見るべきは θ ではなく θ/2 がどこにあるか。検算しておくと、2倍角で戻して cosθ=1-2sin²(θ/2)=1-2·(16/25)=-7/25 と一致する。
入試での出方:三角関数の解法パターン全14型(出題実績:都立大・阪大・東北大・横国大・岡山大・埼玉大)
くわしく:
三角関数の合成数II三角関数
a·sinθ+b·cosθ = √(a²+b²)·sin(θ+α)。
- 何のための道具か
- 2つの波を1つにまとめると、最大最小が振幅で即座に出る。
- つまずくのはここ
- α の決め方(cosα=a/r, sinα=b/r の両方で決まる)を片方だけで済ませ、象限を誤る。合成後の角の範囲を元の θ の範囲から出し直さないのが最大の失点源——θ に制限があると θ+α が π/2 に届かないことがあり、そのとき最大値は振幅 r にならない。「合成したから最大は r」と即答しないこと。方程式や不等式でも同じで、合成したら真っ先に θ+α の動く範囲を書き出す。そこを飛ばすと、範囲外の解を拾ったり必要な解を落としたりする。
- 最小の例
sinθ+√3cosθ = 2sin(θ+π/3)、最大2
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問10≦θ<2π で y=√3sinθ+cosθ の最大値と、そのときの θ を求めよ。
解答r=√(3+1)=2。cosα=√3/2 と sinα=1/2 の両方から α=π/6 と決まる。y=2sin(θ+π/6)。θ+π/6 は π/6 から 2π+π/6 まで動くので π/2 を通る。最大2で、θ+π/6=π/2 より θ=π/3。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問20≦θ≦π/2 で y=sinθ-√3cosθ の最大値と最小値を求めよ。
解答r=√(1+3)=2。cosα=1/2 と sinα=-√3/2 から α=-π/3。y=2sin(θ-π/3)。ここで θ-π/3 の動く範囲を出し直す。θ が 0 から π/2 なので θ-π/3 は -π/3 から π/6。この範囲で sin は単調増加だから、θ-π/3=π/6 のとき最大 y=2·(1/2)=1(θ=π/2)、θ-π/3=-π/3 のとき最小 y=2·(-√3/2)=-√3(θ=0)。振幅は2だが θ-π/3 が π/2 に届かないので、最大値2は取れない。合成しただけで「最大は r」と答えるのが典型的な誤り。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問30≦θ<2π で √3sinθ+cosθ=1 を解け。また √3sinθ+cosθ≧1 を満たす θ の範囲を求めよ。
解答方程式でも手順は同じで、合成したら真っ先に合成後の角の範囲を書く。(1)と同じ式なので √3sinθ+cosθ=2sin(θ+π/6) で、θ+π/6 は π/6 以上 2π+π/6 未満を動く。方程式は 2sin(θ+π/6)=1、つまり sin(θ+π/6)=1/2。この範囲で sin が 1/2 になるのは θ+π/6=π/6 と 5π/6。次に来る 13π/6 は 2π+π/6 に等しく範囲の外なので採らない。よって θ=0, 2π/3。不等式は等号の角が分かったので、そのあいだを取る。sin(θ+π/6)≧1/2 は π/6≦θ+π/6≦5π/6 のときで、θ=0 から 2π/3 まで。答えは 0≦θ≦2π/3。範囲を 0≦θ+π/6<2π のまま扱うと端の扱いを誤る。合成後の角の範囲を毎回書き出す。
入試での出方:三角関数の解法パターン全14型(出題実績:都立大・阪大・東北大・横国大・岡山大・埼玉大)
くわしく:
三角関数の定義数II三角関数
単位円上の点の座標として定義する。
- 何のための道具か
- 角を実数全体に拡張できる。周期性が見える。
- つまずくのはここ
- 直角三角形の定義のまま 90°超や負の角を扱う。弧度法と度数法を混在させる。方程式で解を1つしか出さない——0≦θ<2π なら sin や cos の値1つに対して角は原則2つある。範囲の外に出た角を周期 2π で戻す操作を思いつかないのも多い。相互関係 sin²θ+cos²θ=1 から片方を出すとき、符号を決めずに ± のまま答えるのも失点源——θ がどの象限にあるかで符号が決まる。不等式では、まず等号になる角を求め、単位円のどちら側かで区間を決める。
- 最小の例
θ=π のとき (cosθ, sinθ) = (-1, 0)
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1sin(-π/3) と cos(7π/6) を求めよ。
解答単位円で考える。-π/3 は原点から時計回りに60°回った点で y 座標が -√3/2、よって sin(-π/3)=-√3/2。7π/6 は π からさらに π/6 進んだ点で x 座標が -√3/2、よって cos(7π/6)=-√3/2。直角三角形の定義のままでは負の角も180°超も扱えない。
問20≦θ<2π で sinθ=-1/2 を満たす θ をすべて求めよ。
解答sin が負になるのは単位円の下半分、つまり第3・第4象限。基準の角は sinθ=1/2 の π/6 だから、θ=π+π/6=7π/6 と θ=2π-π/6=11π/6 の2つ。値1つに対して角は原則2つある。片方だけで止めない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問3sin(13π/6) を求めよ。
解答sin は周期 2π なので sin(13π/6)=sin(13π/6-2π)=sin(π/6)=1/2。角が範囲の外に出たら 2π の整数倍を足し引きして戻す。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問40≦θ<2π で sinθ≧1/2 を満たす θ の範囲を求めよ。また cosθ=-3/5 で θ が第2象限のとき sinθ と tanθ を求めよ。
解答不等式は、まず等号になる角を求めてから単位円のどちら側かを見る。sinθ=1/2 となるのは θ=π/6 と 5π/6。sinθ は単位円上の点の y 座標なので、y≧1/2 になるのは2点にはさまれた上側の弧。よって π/6≦θ≦5π/6。等号の角だけ求めて「π/6 と 5π/6」と答えて終わるのが典型的な失点。後半は相互関係を使う。sin²θ=1-cos²θ=1-9/25=16/25 なので sinθ=±4/5。ここで符号を決めるのが要点で、第2象限では y 座標が正だから sinθ=4/5。tanθ=sinθ/cosθ=(4/5)/(-3/5)=-4/3。第2象限では sin だけが正で cos と tan は負、という符号の並びとも一致する。± のまま答えると、条件を使い切っていないことになる。
入試での出方:三角関数の解法パターン全14型(出題実績:都立大・阪大・東北大・横国大・岡山大・埼玉大)
くわしく:
二項定理数IIいろいろな式
(a+b)ⁿ の展開係数は nCr。
- 何のための道具か
- 展開せずに特定の項だけ取り出せる。
- つまずくのはここ
- 一般項の指数を r と n-r で取り違える。定数項を探すとき指数の連立を立てずに当てずっぽうで探す。「係数の和」を全部展開して足そうとするのも遠回り——x=1 を代入すれば一発で出る。偶数次だけ・奇数次だけの和は、x=1 と x=-1 の値を足す/引いて2で割る。3項以上になると別の公式だと思ってしまうのも多い——係数は n!/(p!q!r!) で、これは「同じものを含む順列」の数え方そのもの。二項定理はその2項の場合にすぎない。
- 最小の例
(x+2)⁵ の x³ の係数 = 5C2·2² = 40
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1(2x-1/x)⁶ の定数項を求めよ。
解答一般項は 6Cr(2x)^(6-r)(-1/x)^r で、x の指数は (6-r)-r=6-2r。定数項は 6-2r=0 より r=3。6C3·2³·(-1)³=20·8·(-1)=-160。指数の連立を立てずに当てずっぽうで探すと見つからない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2(1+2x)⁵ を展開したときの、すべての係数の和と、偶数次の項の係数の和を求めよ。
解答係数の和は x=1 を代入すれば出る。(1+2)⁵=3⁵=243。偶数次だけの和は、x=1 と x=-1 の値を足して2で割る。x=-1 では (1-2)⁵=-1 なので (243+(-1))/2=121。奇数次なら引いて2で割り (243-(-1))/2=122。実際に展開すると 1+10x+40x²+80x³+80x⁴+32x⁵ で、偶数次は 1+40+80=121、奇数次は 10+80+32=122。係数の和は展開せず代入で出す。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3(x+2y+3z)⁵ の展開式における x²y²z の係数と、すべての係数の和を求めよ。
解答項が3つになっても新しい公式ではない。(x+2y+3z)⁵ は5個の括弧からそれぞれ1項ずつ選んで掛ける操作で、x を2個・2y を2個・3z を1個選ぶ選び方が 5!/(2!2!1!)=30通り。これは「同じものを含む順列」の数え方そのもの。選んだ項の係数を掛けて 30·1²·2²·3¹=30·4·3=360。係数の和は(2)と同じ手で、x=y=z=1 を代入して (1+2+3)⁵=6⁵=7776。二項定理の nCr は n!/(r!(n-r)!) で、3項なら n!/(p!q!r!)。つまり二項定理は多項定理の2項の場合にすぎず、覚え直す必要はない。
入試での出方:式と証明の解法パターン全16型(出題実績:名大・横国大・信州大・山口大・立教大・小樽商大)
くわしく:
円の方程式数II図形と方程式
(x-a)²+(y-b)² = r²。
- 何のための道具か
- 円を式で扱えるようにする。直線との交点・接線がすべて計算になる。
- つまずくのはここ
- 一般形 x²+y²+lx+my+n=0 から中心半径を出すとき平方完成を誤る。右辺が負になって図形が存在しない場合を見落とす——一般形を見たら平方完成して符号を必ず確かめる。円と直線の位置関係を、連立して判別式で押し切ろうとするのも遠回り。接する条件は「中心と直線の距離=半径」で、こちらのほうが計算が短い。接線でも、接点が分かっているかどうかで手が変わる——円上の点なら x₁x+y₁y=r² の公式、円外の点からなら傾きを置いて距離=半径。後者では y-y₀=m(x-x₀) と置いた時点で x=(定数)型の接線が候補から落ちるので、そこも別に確かめる。
- 最小の例
x²+y²-2x=0 → (x-1)²+y²=1、中心(1,0) 半径1
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1x²+y²-4x+6y+9=0 の中心と半径を求めよ。
解答x と y それぞれで平方完成する。(x-2)²-4+(y+3)²-9+9=0 より (x-2)²+(y+3)²=4。中心(2,-3)、半径2。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2この円と直線 y=x+k が接するとき k の値を求めよ。
解答接する条件は「中心と直線の距離=半径」。直線を x-y+k=0 の形に直してから代入する。|2-(-3)+k|/√(1+1)=|5+k|/√2=2 より |5+k|=2√2、k=-5±2√2。連立して判別式でも解けるが、距離のほうが計算が短い。
問3x²+y²-2x+4y+10=0 はどんな図形か。
解答平方完成すると (x-1)²+(y+2)²=1+4-10=-5。左辺は0以上なので、これを満たす実数の点は存在しない。円ではなく、図形が存在しない。一般形を見たら平方完成して右辺の符号を必ず確かめる。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4円 x²+y²=25 上の点 (3, 4) における接線を求めよ。また点 (7, 1) からこの円に引いた接線をすべて求めよ。
解答前半は接点が分かっているので公式が使える。x²+y²=r² 上の点 (x₁, y₁) での接線は x₁x+y₁y=r² なので、3x+4y=25。後半は接点が分からないので、傾きを置いて「中心と直線の距離=半径」を使う。y-1=m(x-7) すなわち mx-y+1-7m=0 とすると、原点からの距離は |1-7m|/√(m²+1)。これが5に等しいとして両辺を2乗すると (1-7m)²=25(m²+1)。展開して 49m²-14m+1=25m²+25、整理して 12m²-7m-12=0。解くと m=4/3, -3/4 で、接線は 4x-3y-25=0 と 3x+4y-25=0。y-1=m(x-7) と置いた時点で x=7 のような縦の直線は候補から外れているので、別に確かめる。x=7 と中心の距離は7で半径5と合わないから、これは接線ではない。よって2本で全部。検算すると、後者の 3x+4y-25=0 は前半で求めた接線と同じ式で、実際 3·7+4·1=25 だから点 (7, 1) はその上にある。もう1本の接点は (4, -3) で、4²+(-3)²=25 と円上にある。
入試での出方:図形と方程式の解法パターン全19型(出題実績:山口大・神戸大・一橋大・旭川医大・関西大・横国大)
くわしく:
剰余の定理数IIいろいろな式
P(x) を x-a で割った余りは P(a)。
- 何のための道具か
- 割り算を実行せずに余りだけ手に入る。
- つまずくのはここ
- 2次以上で割るときにそのまま使う(そのときは余りを ax+b と置いて連立)。x+a で割るとき P(a) とする(正しくは P(-a))。2x-1 のように1次の係数が1でない式で割るときも同じで、代入するのは「割る式を0にする値」つまり x=1/2。x=1 や x=2 を入れてしまうのが定番の誤り。n次式で割ったときの余りは n-1次以下で未知数が n 個あるので、条件も n 本要る。条件の本数が足りているかを、余りを置いた瞬間に確かめる。
- 最小の例
P(x)=x²+1 を x-2 で割った余り = P(2) = 5
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1P(x)=x³-2x+5 を x+2 で割った余りを求めよ。
解答x+2=x-(-2) なので P(-2)=-8+4+5=1。P(2) としない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2P(x)=2x³+x²-3 を 2x-1 で割った余りを求めよ。
解答割る式の1次の係数が1でなくても考え方は同じで、割る式を0にする値を代入する。2x-1=0 より x=1/2 だから P(1/2)=2·(1/8)+(1/4)-3=1/4+1/4-3=-5/2。x=1 や x=2 を入れるのが典型的な誤り。
問3P(x)=x³+ax+2 が x-1 で割り切れるとき a を求めよ。
解答「割り切れる」は余りが0ということ。P(1)=1+a+2=0 より a=-3。剰余の定理で余りが0になる場合が因数定理で、別々の定理ではない。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4P(x) を x-1 で割ると 2 余り、x-2 で割ると 3 余り、x-3 で割ると 6 余る。P(x) を (x-1)(x-2)(x-3) で割った余りを求めよ。
解答3次式で割るので余りは2次以下。ax²+bx+c と置く。未知数が3個なので条件も3本要る。剰余の定理から、余りの多項式も x=1, 2, 3 で同じ値をとる。a+b+c=2、4a+2b+c=3、9a+3b+c=6 の3本が立つ。上2本の差から 3a+b=1、下2本の差から 5a+b=3。引いて 2a=2 で a=1、b=-2、c=3。余りは x²-2x+3。検算すると x=1, 2, 3 でそれぞれ 2, 3, 6 になり条件を満たす。x²-2x+3=(x-1)²+2 と書けるので、値が 2, 3, 6 と並ぶ理由も見える。割る式の次数だけ未知数が増え、そのぶん代入できる値も増える。数が釣り合うようにできている。
入試での出方:式と証明の解法パターン全16型(出題実績:名大・横国大・信州大・山口大・立教大・小樽商大)
くわしく:
加法定理数II三角関数
sin(α±β), cos(α±β) を α,β のみで表す公式。
- 何のための道具か
- 角を分解・合成する全ての操作の親。2倍角も合成もここから導ける。
- つまずくのはここ
- cos の加法定理で符号が逆になる(cos(α+β)=cosαcosβ – sinαsinβ)。tan の公式で分母の符号を落とす。2直線のなす角の公式 |(m₁-m₂)/(1+m₁m₂)| を別物として暗記するのも損——傾きが tan であることを使えば、tan の加法定理そのもの。覚える式を増やさない。2倍角も合成も別の公式として暗記してしまうのも同じ損——2倍角は加法定理で2つの角を等しくしただけ、合成は加法定理を右から左に読んだだけ。導けるものは導けると知っておくと、符号を忘れても復元できる。
- 最小の例
sin75° = sin(45°+30°) = (√6+√2)/4
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1tan15° を求めよ。
解答tan(45°-30°)=(tan45°-tan30°)/(1+tan45°tan30°)=(1-1/√3)/(1+1/√3)。分母分子に √3 を掛けて (√3-1)/(√3+1)、有理化して (4-2√3)/2=2-√3。分母が + か − かを落とすと値が変わる。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問22直線 y=2x と y=(1/3)x のなす鋭角を求めよ。
解答直線の傾きは x 軸となす角の正接。傾き 2 と 1/3 の直線が x 軸となす角を α, β とすると、求める角は α-β で tan(α-β)=(2-1/3)/(1+2·(1/3))=(5/3)/(5/3)=1。鋭角なので 45°。「なす角の公式 |(m₁-m₂)/(1+m₁m₂)|」は tan の加法定理そのもので、別に覚える必要はない。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3加法定理だけを使って次を示せ。(ア) sin2θ=2sinθcosθ, cos2θ=cos²θ-sin²θ (イ) sinθ+√3cosθ=2sin(θ+π/3)
解答(ア) 加法定理の β を α と同じ角に置きかえるだけ。sin(θ+θ)=sinθcosθ+cosθsinθ=2sinθcosθ。cos(θ+θ)=cosθcosθ-sinθsinθ=cos²θ-sin²θ。2倍角は別の公式ではなく、加法定理で2つの角をそろえた場合にすぎない。(イ) 右辺を展開する。2{sinθcos(π/3)+cosθsin(π/3)}=2{sinθ·(1/2)+cosθ·(√3/2)}=sinθ+√3cosθ。左辺と一致するので示せた。一般に a sinθ+b cosθ=√(a²+b²) sin(θ+α) で、cosα=a/√(a²+b²)、sinα=b/√(a²+b²)、つまり α は点 (a, b) の偏角。ここでは (1, √3) の偏角が π/3 だから、そのまま合成できた。合成も加法定理を右から左に読んだだけで、新しい公式ではない。符号や係数を忘れても、加法定理から作り直せる。
入試での出方:三角関数の解法パターン全14型(出題実績:都立大・阪大・東北大・横国大・岡山大・埼玉大)
くわしく:
和積・積和の公式数II三角関数
三角関数の和を積に、積を和に変換する。
- 何のための道具か
- 因数分解したいときは和→積、積分したいときは積→和。
- つまずくのはここ
- 公式の符号と係数(1/2)を落とす。どちらの方向に変換すべきか目的を決めずに使う。和と差で sin と cos の位置が入れ替わるのを見落とす——sinA+sinB は 2sin(…)cos(…) だが、sinA-sinB は 2cos(…)sin(…) になる。因数分解したいなら和→積、積分したいなら積→和。目的で向きを決める。sinA=sinB 型の方程式で、両辺を見比べて角だけを等号で結ぶのも危うい——差を取って積の形にすれば、どの因数が0になるかで解が漏れなく出る。
- 最小の例
sinA+sinB = 2sin((A+B)/2)cos((A-B)/2)
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1sin75°-sin15° を求めよ。
解答差を積に直す。sinA-sinB=2cos((A+B)/2)sin((A-B)/2) に A=75°, B=15° を入れて2cos45°sin30°=2·(√2/2)·(1/2)=√2/2。和の公式 sinA+sinB=2sin((A+B)/2)cos((A-B)/2) とは sin と cos の位置が入れ替わる。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2∫[0, π/2] sin3x·cos x dx を求めよ。
解答積のままでは積分できないので、積和で和に直す。sinαcosβ=(1/2){sin(α+β)+sin(α-β)} より sin3x·cos x=(1/2)(sin4x+sin2x)。∫[0,π/2](1/2)(sin4x+sin2x)dx=(1/2)[-cos4x/4-cos2x/2](0→π/2)=(1/2){(1/4)-(-3/4)}=1/2。因数分解したいときは和→積、積分したいときは積→和。目的で向きを決める。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問30≦θ<2π のとき sin3θ=sinθ を解け。
解答方程式は差を取って積の形にする。sin3θ-sinθ=0 に和積を当てる。sinA-sinB=2cos((A+B)/2)sin((A-B)/2) で A=3θ, B=θ とすると 2cos2θ·sinθ=0。積が0なので cos2θ=0 または sinθ=0。sinθ=0 は 0≦θ<2π で θ=0, π。cos2θ=0 は 2θ が 0≦2θ<4π を動くので 2θ=π/2, 3π/2, 5π/2, 7π/2、つまり θ=π/4, 3π/4, 5π/4, 7π/4。合わせて θ=0, π/4, 3π/4, π, 5π/4, 7π/4 の6個。2θ の範囲を 0≦2θ<2π のままにすると、後半の2つを落とす。3倍角で sin3θ=3sinθ-4sin³θ と展開して 2sinθ(1-2sin²θ)=0 としても同じ答えになるが、和積のほうが1行で積の形になる。
入試での出方:三角関数の解法パターン全14型(出題実績:都立大・阪大・東北大・横国大・岡山大・埼玉大)
くわしく:
因数定理数IIいろいろな式
P(a)=0 ⇔ P(x) は x-a を因数にもつ。
- 何のための道具か
- 3次以上の因数分解の唯一の実用的な入口。
- つまずくのはここ
- 候補を総当たりせず諦める。有理数解の候補は(定数項の約数)/(最高次係数の約数)に限られる。最高次係数が1でないとき、分母のほうを忘れて整数だけ試すのが定番——2x³… なら ±1/2 のような分数も候補に入る。整数の候補が全滅したからといって「因数分解できない」と決めない。文字係数の問題で「割り切れる」を式のまま扱おうとするのも遠回り——割り切れる=その値が解、と言い換えて代入すれば条件がそのまま式になる。残りの因数は、解と係数の関係で先に求めてしまう手もある。
- 最小の例
P(x)=x³-1、P(1)=0 → (x-1)(x²+x+1)
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1x³-3x²+4 を因数分解せよ。
解答有理数解の候補は(定数項4の約数)/(最高次係数1の約数)で ±1, ±2, ±4。P(-1)=-1-3+4=0 なので x+1 を因数にもつ。割って (x+1)(x²-4x+4)=(x+1)(x-2)²。
問22x³-3x²-3x+2 を因数分解せよ。
解答最高次係数が2なので、候補は ±1, ±2 に加えて ±1/2 も入る。P(-1)=-2-3+3+2=0 より x+1 が因数。割ると 2x²-5x+2 で、これは (2x-1)(x-2)。よって (x+1)(2x-1)(x-2)。x=1/2 が解になっているので、候補に分数を入れないと最後まで分解できない。最高次係数が1でないときこそ、候補の分母を忘れない。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3x³+ax²+bx-6 が (x-1)(x-2) で割り切れるとき a, b を求め、残りの因数を答えよ。
解答「(x-1)(x-2) で割り切れる」は「x=1 も x=2 も解」と言い換えられる。P(1)=1+a+b-6=0 から a+b=5、P(2)=8+4a+2b-6=0 から 2a+b=-1。引いて a=-6、b=11。よって P(x)=x³-6x²+11x-6=(x-1)(x-2)(x-3) で、残りの因数は x-3。第3の解は解と係数の関係で先に出すこともできる。x³+ax²+bx-6=0 の3解の積は -(-6)/1=6。2解が 1 と 2 なので残る解は 6/(1·2)=3。解が 1, 2, 3 と分かれば、和 6=-a から a=-6、2数の積の和 11=b から b=11 と逆算できる。どちらの道でも同じだが、まず「割り切れる=その値が解」に言い換えるのが第一歩。
入試での出方:式と証明の解法パターン全16型(出題実績:名大・横国大・信州大・山口大・立教大・小樽商大)
くわしく:
増減表と極値数II微分・積分の考え
f'の符号の変化で増減を整理し、極大極小を決める。
- 何のための道具か
- グラフの概形を確実に描くための唯一の手続き。
- つまずくのはここ
- f'(a)=0 だけで極値と断定する(符号が変化しないと極値ではない。y=x³ の x=0 が反例)。閉区間の最大最小で端点を候補から外す。そもそも極大値と最大値は別物で、端点の値のほうが大きいことはいくらでもある。候補は「f'=0 の点」と「区間の端点」の両方を並べて値を比べる。3次関数が極値をもつ条件は「f'=0 が異なる2実解をもつ」——重解だと(1)のように符号が変わらず極値にならない。判別式が0の場合を含めない。
- 最小の例
y=x³-3x → y'=3(x-1)(x+1)、x=-1で極大、x=1で極小
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1f(x)=x³-3x²+3x の極値を調べよ。
解答f'(x)=3x²-6x+3=3(x-1)²≧0。x=1 で f'=0 になるが符号は変わらず前後とも増加。よって極値をもたない。f'=0 だけで極値と断定しない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2f(x)=x³-3x の -1≦x≦3 における最大値と最小値を求めよ。
解答f'(x)=3(x-1)(x+1) で、区間内で f'=0 となるのは x=-1(端点)と x=1。候補は f'=0 の点と端点の3つ。f(-1)=2、f(1)=-2、f(3)=18。最大値は 18(x=3)、最小値は -2(x=1)。x=-1 での値2は極大値だが最大値ではない。極大値と最大値は別物で、閉区間では端点を必ず候補に加えて値を比べる。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3f(x)=x³-3ax+1 が極値をもつ a の範囲を求めよ。また極大値と極小値の差が4となる a を求めよ。
解答f'(x)=3x²-3a=3(x²-a)。極値をもつのは f'=0 が異なる2実解をもつときで、x²=a より a>0。a=0 なら f'=3x²≧0 で符号が変わらず、(1)と同じく極値をもたない。a<0 なら f'>0 で常に増加。よって a>0。極値点は x=-√a と x=√a で、f' の符号は正・負・正と変わるのでx=-√a で極大、x=√a で極小。f(√a)=a√a-3a√a+1=-2a√a+1、f(-√a)=-a√a+3a√a+1=2a√a+1。差は (2a√a+1)-(-2a√a+1)=4a√a。これが4だから a√a=1、つまり a^(3/2)=1 で a=1。a>0 も満たす。確かめると a=1 のとき f(x)=x³-3x+1 で、極大は f(-1)=3、極小は f(1)=-1、差は4。判別式が0になる場合を「極値をもつ」に含めないこと。そこは符号が変わらない。
入試での出方:微分法(数II)の解法パターン全11型(出題実績:阪大・岡山大・群馬大・山口大・横国大・信州大)
くわしく:
多項式の割り算数IIいろいろな式
A = BQ + R、Rの次数は B より低い。
- 何のための道具か
- 余りを出す全ての議論の土台。
- つまずくのはここ
- 余りの次数の条件を書かずに未知数を置く(2次で割るなら余りは1次以下、つまり ax+b)。割る式が (x-a)² のように重解をもつとき、代入できる値が1つしかないので条件が1本足りない——x=(x-a)+1 と見て二項定理で展開し、低次の項を取り出すと出る。代入だけで押し切ろうとして詰まるのが定番。x¹⁰⁰ のような高次を割るとき、正面から計算しようとするのも手が止まる原因——割る式から x³≡1 のような周期を見つけて指数を落とす。整数の合同式と同じ操作になる。
- 最小の例
x³ を x²-1 で割る → 商 x、余り x
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1x³-2x²+3x-4 を x-2 で割った商と余りを求めよ。
解答筆算で降べきの順に進める。x³ を x で割って x²、x²(x-2)=x³-2x² を引くと 3x-4 が残る。3x を x で割って 3、3(x-2)=3x-6 を引くと 2 が残り、これは1次より次数が低いので終了。商は x²+3、余りは 2。検算は A=BQ+R に戻すだけで、(x-2)(x²+3)+2=x³-2x²+3x-4 と一致する。抜けている次数(ここでは x² の位置)を空けたまま筆算すると桁がずれるので、係数0で埋めて書く。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2P(x) を x²-1 で割った余りを求めたい。P(1)=3, P(-1)=5 のとき余りを求めよ。
解答2次で割るので余りは1次以下、ax+b と置く。x²-1=(x-1)(x+1) だから x=1, -1 を代入して a+b=3, -a+b=5。解いて a=-1, b=4、余りは -x+4。次数の条件を書かずに定数と置くと式が立たない。
問3x¹⁰ を (x-1)² で割った余りを求めよ。
解答割る式が (x-1)² で重解なので、代入できる値は x=1 の1つだけ。条件が1本足りない。そこで x=(x-1)+1 と見て二項定理で展開する。x¹⁰={(x-1)+1}¹⁰=Σ 10Ck (x-1)^k で、k≧2 の項はすべて (x-1)² で割り切れる。残るのは k=0, 1 の項だけで、余りは 1+10(x-1)=10x-9。重解で割るときは代入だけでは足りない。展開して低次の項を取り出す。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4x¹⁰⁰ を x²+x+1 で割った余りを求めよ。
解答100乗を正面から割るのは無理なので、周期を探す。x³-1=(x-1)(x²+x+1) なので x³-1 は x²+x+1 で割り切れる。つまり x³ を x²+x+1 で割った余りは 1 で、x³≡1 と書いてよい。100=3·33+1 だから x¹⁰⁰=(x³)³³·x≡1³³·x=x。よって余りは x。x²+x+1=0 の解 ω を使う書き方もある。ω³=1 なので ω¹⁰⁰=ω。余りを ax+b と置くと ω¹⁰⁰=aω+b、つまり ω=aω+b から a=1, b=0 で同じ答え。どちらも「x³≡1 という周期を見つけて指数を落とす」という同じ操作。整数の合同式で「底は法で、指数は周期で小さくする」と言ったのと、まったく同じ発想になる。
入試での出方:式と証明の解法パターン全16型(出題実績:名大・横国大・信州大・山口大・立教大・小樽商大)
くわしく:
定積分で表された関数数II微分・積分の考え
∫を含む等式から関数そのものを決める。区間に x があるかで手が変わる。
- 何のための道具か
- 関数が式で与えられず、積分の条件だけで指定される状況を扱う。
- つまずくのはここ
- 積分区間が定数なのに「関数だ」と思って手が止まる——∫[0,1]t f(t)dt はただの数なので、k と置いて f を k の式で書き、それを代入し直して k を決める。積分区間に x が入る形では、両辺を微分しただけで終えるのが最頻の失点——∫[a,a]=0 から出る条件(x=a を代入する)を使わないと定数が決まらない。いちばん多い事故は、被積分関数の中に x があるのにそのまま微分すること。∫[0,x](x-t)f(t)dt の x は t についての積分では定数なので、先に前へ出して2つに分ける。分けずに上端を代入すると (x-x)f(x)=0 となり、答えが消えてしまう。∫[a,x]f(t)dt を x で微分すると f(x)。t のまま書き残さない。
- 最小の例
区間が定数なら k と置く。区間に x があるなら微分し、x=a も代入する。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1f(x)=x²+∫[0,1]t f(t)dt を満たす f(x) を求めよ。
解答積分区間が 0 から 1 の定数なので、∫[0,1]t f(t)dt は x に無関係なただの数である。そこで k=∫[0,1]t f(t)dt と置くと f(x)=x²+k。これを k の定義式に代入し直す。k=∫[0,1]t(t²+k)dt=∫[0,1](t³+kt)dt=[t⁴/4+kt²/2]₀¹=1/4+k/2。k-k/2=1/4 より k=1/2。よって f(x)=x²+1/2。検算すると ∫[0,1]t(t²+1/2)dt=1/4+1/4=1/2 で確かに k と一致する。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2∫[a,x]f(t)dt=x²+x-2 がすべての x で成り立つとき、f(x) と定数 a を求めよ。
解答積分区間の上端に x があるので、両辺を x で微分する。左辺は f(x)、右辺は 2x+1。よって f(x)=2x+1。ここで終えると a が決まらない。x=a を代入すると左辺は ∫[a,a]f(t)dt=0 なので 0=a²+a-2=(a+2)(a-1)。したがって a=1 または a=-2。定数を決める条件は、この「上端と下端を一致させる」代入から出る。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3f(x)=∫[0,x](x-t)t dt を x の式で表し、f'(x) を求めよ。
解答被積分関数の中に x があるので、このまま上端を代入してはいけない。t についての積分では x は定数なので前に出せる。f(x)=∫[0,x](xt-t²)dt=x∫[0,x]t dt-∫[0,x]t²dt=x·(x²/2)-x³/3=x³/2-x³/3=x³/6。よって f'(x)=x²/2。分けずに上端を代入して (x-x)·x=0 とすると f'(x)=0 になってしまうが、f(x)=x³/6 は定数関数ではないので誤りである。x が積分の外か中かを最初に見分けるのが、この単元の分かれ目になる。
入試での出方:定積分で表された関数の解法パターン全12型(出題実績:滋賀大・横国大・埼玉大・静岡大・神戸大・筑波大)
くわしく:
定積分と面積数II微分・積分の考え
∫[a,b]f(x)dx は符号付き面積。
- 何のための道具か
- 曲線で囲まれた量を測る。
- つまずくのはここ
- 面積を求めるのに、x軸の下側で負になる分をそのまま足す。上下関係(どちらが上のグラフか)を確認せずに引き算の順序を決める。区間の内側で上下が入れ替わるのに区切らず1回で積分するのが最大の事故——打ち消し合って0になることさえある。交点を全部求めてから区間ごとに上下を確認する。絶対値つきの定積分を別物として身構えるのも損——中身の符号が変わる点で区切るだけで、上下の入れ替わりを1つの記号にまとめた形にすぎない。積分区間に文字が入ると、その点が区間に入るかどうかで場合分けが要る。
- 最小の例
面積 = ∫(上の関数 - 下の関数)dx
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1y=x²-2x と x 軸で囲まれた部分の面積を求めよ。
解答交点は x=0, 2 で、その間グラフは x 軸の下にある。面積=∫[0,2]{0-(x²-2x)}dx=[x²-x³/3](0→2)=4-8/3=4/3。符号付き面積のまま答えると -4/3 になる。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2y=x³ と y=x で囲まれた部分の面積を求めよ。
解答交点は x³=x つまり x(x²-1)=0 から x=-1, 0, 1 の3つ。区間の内側で上下が入れ替わるので、1回で積分してはいけない。-1<x<0 では x³ が上、0<x<1 では x が上。∫[-1,0](x³-x)dx+∫[0,1](x-x³)dx=1/4+1/4=1/2。気づかずに ∫[-1,1](x-x³)dx とすると、被積分関数が奇関数なので 0 になってしまう。交点を全部求めて、区間ごとに上下を確認してから区切る。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3(ア) ∫[0,3]|x²-2x|dx を求めよ。(イ) a>0 のとき ∫[0,a]|x-1|dx を a を用いて表せ。
解答(ア) 絶対値は中身の符号が変わる点で区切る。x²-2x=x(x-2) は 0≦x≦2 で0以下、2≦x≦3 で0以上。∫[0,2](2x-x²)dx+∫[2,3](x²-2x)dx と2つに分ける。前半は [x²-x³/3](0→2)=4-8/3=4/3。後半は [x³/3-x²](2→3)=(9-9)-(8/3-4)=0+4/3=4/3。合わせて 8/3。(イ) 中身が0になるのは x=1 なので、区間 [0, a] に 1 が入るかで場合分けする。0<a≦1 のときは全区間で x-1≦0 だから ∫[0,a](1-x)dx=[x-x²/2](0→a)=a-a²/2。a>1 のときは1で区切って ∫[0,1](1-x)dx+∫[1,a](x-1)dx=1/2+(a-1)²/2。境界 a=1 では前者が 1-1/2=1/2、後者が 1/2+0=1/2 で一致するので、つながっている。やっていることは(1)(2)と同じで、符号が変わる点で区切るだけ。
入試での出方:積分法(数II)の解法パターン全14型(出題実績:信州大・学習院大・山口大・九州大・千葉大)
くわしく:
対数の定義数II指数関数・対数関数
log_a x は「a を何乗すると x か」。
- 何のための道具か
- 掛け算を足し算に変える。桁数や増加の速さを扱える。
- つまずくのはここ
- 真数条件(x>0)と底の条件(a>0, a≠1)を書かない。log(A+B) を logA+logB とする(正しいのは積のとき)。不等式で底が1より小さいときに不等号を反転させないのが最頻の失点——底が1より大きければ対数は増加、小さければ減少なので、真数の大小と対数の大小が逆になる。底を見た瞬間に「増加か減少か」を決めてから進む。log を含む方程式で t=log_a x と置く前に、中身を分解しないまま置き換えるのも詰まる原因——log₂x² は 2log₂x、log₂(8x) は 3+log₂x のように、まず t の式に直せる形へ整えてから置く。
- 最小の例
log₂8 = 3、log(AB) = logA + logB
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1log₂8 と log₃(1/9) を求めよ。
解答log_a M は「a を何乗すると M になるか」。2³=8 だから log₂8=3。3⁻²=1/9 だから log₃(1/9)=-2。指数の形に書き直すだけで値が出るので、対数の計算で迷ったら必ずこの定義まで戻る。なお真数は正でなければならないので、log₂0 や log₂(-4) は考えない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2log₂(x-1)+log₂(x+1)=3 を解け。
解答まず真数条件。x-1>0 かつ x+1>0 より x>1。和を1つにまとめて log₂(x²-1)=3、x²-1=8 から x=±3。真数条件より x=3。真数条件を書かないと x=-3 を拾ってしまう。
問3log_{1/2}(x-1) > -2 を解け。
解答真数条件は x-1>0 で x>1。右辺を対数の形にそろえる。(1/2)^(-2)=4 なので -2=log_{1/2}4。底が 1/2 で1より小さいから対数関数は減少。不等号の向きが逆転して x-1<4、つまり x<5。真数条件と合わせて 1<x<5。底が1より小さいときに不等号を反転させないのが、対数不等式で最も多い失点。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4(log₂x)²-log₂x²-3=0 を解け。また log₂x·log₂(8x)=-2 を解け。
解答どちらも t=log₂x と置いて代数方程式に直すが、置く前に中身を t の式へ整える。前半は (log₂x)² があるので真数条件は x>0。log₂x²=2log₂x と直すと t²-2t-3=0。(t-3)(t+1)=0 より t=3, -1 で、x=2³=8 と x=2⁻¹=1/2。どちらも x>0 を満たす。log₂x² をそのまま (log₂x)² と読み違えると、まったく別の方程式になる。後半は 8x を分解する。log₂(8x)=log₂8+log₂x=3+log₂x=3+t。式は t(3+t)=-2、つまり t²+3t+2=0 で (t+1)(t+2)=0、t=-1, -2。よって x=1/2, 1/4。確かめると x=1/2 では log₂(1/2)·log₂4=(-1)·2=-2、x=1/4 では log₂(1/4)·log₂2=(-2)·1=-2 で成り立つ。log の中身を積や累乗のまま置き換えようとすると t の式にならない。整えてから置く。
入試での出方:指数・対数の解法パターン全13型(出題実績:京大・阪大・筑波大・青学大・富山大・立教大)
くわしく:
常用対数と桁数数II指数関数・対数関数
底10の対数。n の桁数は [log₁₀n]+1。
- 何のための道具か
- 巨大な数の桁数や最高位の数字が手計算で出せる。
- つまずくのはここ
- [ ](ガウス記号)を四捨五入と混同する。超えない最大の整数なので、負の数では [-23.855]=-24 になる。1より小さい数で「小数第何位に初めて0でない数が現れるか」を問われたとき、-23.855 の 23 をそのまま使って小数第23位とするのが典型的な誤り。整数部分が桁数、小数部分が最高位の数字を決める、という役割分担も押さえておく。問題に log₁₀1.2 のような値が与えられていないと手が止まるのも多い——1.2=12/10=(2²·3)/10 のように分解すれば、与えられた log₁₀2 と log₁₀3 から組み立てられる。
- 最小の例
log₁₀2≒0.3010 → 2¹⁰⁰ の桁数 = [30.10]+1 = 31桁
log₁₀3=0.4771 とする。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問13⁵⁰ は何桁の整数か。
解答log₁₀3⁵⁰=50·0.4771=23.855。桁数は [23.855]+1=24桁。ガウス記号は「超えない最大の整数」で、四捨五入ではない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問23⁵⁰ の最高位の数字を求めよ(log₁₀7=0.8451, log₁₀8=0.9031 とする)。
解答整数部分24が桁数を、小数部分0.855が最高位の数字を決める。0.8451<0.855<0.9031 すなわち log₁₀7<0.855<log₁₀8 なので、最高位の数字は7。
問3(1/3)⁵⁰ は小数第何位に初めて0でない数が現れるか。
解答log₁₀(1/3)⁵⁰=-23.855。整数部分が負・小数部分が0以上1未満になるように-24+0.145 と分ける。このとき小数第24位に初めて0でない数が現れる。-23.855 の 23 をそのまま使って小数第23位とするのが典型的な誤り。負の数のガウス記号は [-23.855]=-24 で、絶対値を切り捨てるのではない。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4ある量が1時間ごとに1.2倍になる。初めて最初の1000倍を超えるのは何時間後か(log₁₀2=0.3010 も用いる)。
解答n 時間後は 1.2ⁿ 倍なので、条件は 1.2ⁿ>1000。両辺の常用対数をとって n·log₁₀1.2>3。log₁₀1.2 は与えられていないが、1.2=12/10=(2²·3)/10 と分解すれば作れる。log₁₀1.2=2log₁₀2+log₁₀3-1=0.6020+0.4771-1=0.0791。よって n>3/0.0791=37.9… となり、初めて超えるのは38時間後。確かめると 37時間では log₁₀(1.2³⁷)=37·0.0791=2.9267 で 1000 に届かず、38時間では 38·0.0791=3.0058 で超える。与えられていない対数は、与えられたものの和・差・定数倍で組み立てる。ここで出た 0.0791 は log₁₀(6/5) でもあり、「サイコロで1が n 回以内に出る確率が0.9を超えるのは n=13」の計算に現れた値と同じ。
入試での出方:指数・対数の解法パターン全13型(出題実績:京大・阪大・筑波大・青学大・富山大・立教大)
くわしく:
底の変換公式数II指数関数・対数関数
log_a b = log_c b / log_c a。
- 何のための道具か
- 底の違う対数を一つの底に揃えて計算できるようにする。
- つまずくのはここ
- 分子分母を逆にする。変換先の底 c にも条件(c>0, c≠1)が要ることを意識しない。底が揃っていない式をそのまま計算しようとして詰まる——底が2と4のように混ざったら、まず小さいほうに揃えるのが定石。log_a b と log_b a が逆数の関係にあることも、変換公式から出る。底と真数が数珠つなぎになった積を1つずつ計算しようとするのも遠回り——同じ底に揃えると分子と分母が次々に打ち消し合い、両端だけが残る。
- 最小の例
log₄8 = log₂8/log₂4 = 3/2
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1log₂3 · log₃4 を求めよ。
解答底を2に揃える。log₃4=log₂4/log₂3 なので log₂3·(log₂4/log₂3)=log₂4=2。分子分母を逆にすると log₂3/log₂4 になり、値が変わってしまう。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2log₂x + log₄x = 3 を解け。
解答底が2と4で揃っていないので、まず4を2に直す。log₄x=log₂x/log₂4=log₂x/2。よって log₂x+log₂x/2=3、(3/2)log₂x=3、log₂x=2、x=4。真数条件 x>0 も満たす。
問3log₂3 と log₃2 の関係を述べよ。
解答変換公式で log₃2=log₂2/log₂3=1/log₂3。つまり log₂3·log₃2=1 で互いに逆数。一般に log_a b と log_b a は逆数の関係にあり、これも変換公式から出る。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4(ア) log₂3·log₃4·log₄5·log₅6·log₆7·log₇8 を求めよ。(イ) x>0, x≠1 のとき log_x2+log₄x=3/2 を解け。
解答(ア) 1つずつ計算せず、全部を底2に揃える。log₃4=log₂4/log₂3、log₄5=log₂5/log₂4、… と書いて掛け合わせると、log₂3 は最初の因子の分子と2番目の分母で、log₂4 は2番目の分子と3番目の分母で、と次々に打ち消し合う。残るのは最後の分子 log₂8 だけで、答えは 3。(1)は因子が2個の場合で、同じ仕組みが何個つながっても働く。(イ) t=log₂x とおく。x≠1 だから t≠0。log_x2 は底と真数が入れ替わった形なので 1/log₂x=1/t。log₄x=log₂x/log₂4=t/2。方程式は 1/t+t/2=3/2 で、両辺に 2t を掛けて 2+t²=3t、つまり t²-3t+2=0。(t-1)(t-2)=0 より t=1, 2 で x=2, 4。どちらも x>0, x≠1 を満たす。両辺に t を掛ける操作には t≠0 が要るが、それは x≠1 という条件が保証している。
入試での出方:指数・対数の解法パターン全13型(出題実績:京大・阪大・筑波大・青学大・富山大・立教大)
くわしく:
微分係数と導関数数II微分・積分の考え
接線の傾きを与える関数。変化率の極限。
- 何のための道具か
- 増減・最大最小・接線がすべて導関数から読める。
- つまずくのはここ
- 微分係数(1点での値)と導関数(関数)を混同する。定義に戻る問題で極限の式を立てられない。定義の形に持ち込むとき、分母の h と関数の中の h の係数を合わせないのが最頻——f(a+2h) が出たら分母を 2h にそろえ、外に 2 を出す。f(a) を足して引いて2つの差に分ける、という下ごしらえも定型。絶対値が入った関数を見た瞬間に「微分できない」と決めるのも早合点——微分可能かどうかは定義に戻り、h→+0 と h→-0 で極限が一致するかで判定する。|x| は一致しないが |x|x は一致する。
- 最小の例
f(x)=x² → f'(x)=2x、f'(1)=2
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1f(x)=x³ のとき、定義に従って f'(2) を求めよ。
解答f'(2)=lim[h→0]{(2+h)³-2³}/h。分子は 12h+6h²+h³ なので h で割って 12+6h+h² → 12。微分係数は1点での値、導関数は関数。区別して書く。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2f(x) が微分可能なとき、lim[h→0]{f(a+2h)-f(a-h)}/h を f'(a) を用いて表せ。
解答f(a) を足して引き、2つの差の形に分ける。{f(a+2h)-f(a)}/h + {f(a)-f(a-h)}/h。第1項は分母を 2h にそろえるため 2 を掛けて 2·{f(a+2h)-f(a)}/(2h) → 2f'(a)。第2項は {f(a-h)-f(a)}/(-h) と見て → f'(a)。合わせて 3f'(a)。分母の h と、関数の中の h の係数を一致させるのが要点。f(x)=x² で確かめると分子は 6ah+3h² で、h で割って 6a。3f'(a)=3·2a=6a と一致する。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3f(x)=|x|x は x=0 で微分可能か。定義に従って調べ、微分可能なら f'(x) を求めよ。
解答絶対値があるからといって即座に「微分できない」と決めない。定義に戻って調べる。f(0)=0 なので {f(0+h)-f(0)}/h=|h|h/h=|h|。h→+0 でも h→-0 でも |h|→0 なので極限は一致し、f'(0)=0。よって x=0 で微分可能。f(x)=|x| のときは同じ計算で {|h|-0}/h=|h|/h となり、h→+0 で 1、h→-0 で -1 と一致しないので微分できない。x を1つ掛けただけで結果が変わる。導関数は場合分けで求める。x>0 では f(x)=x² だから f'(x)=2x、x<0 では f(x)=-x² だから f'(x)=-2x。x=0 では上で見たとおり 0。3つをまとめると f'(x)=2|x| と1つの式で書ける。f' は連続だが、その導関数は x=0 で 2 から -2 へ飛ぶので、2回は微分できない。
入試での出方:微分法(数II)の解法パターン全11型(出題実績:阪大・岡山大・群馬大・山口大・横国大・信州大)
くわしく:
恒等式数IIいろいろな式
すべての x で成り立つ等式。係数を比較できる。
- 何のための道具か
- 未定係数を決める道具。部分分数分解もこれ。
- つまずくのはここ
- 方程式(特定の x でだけ成立)と混同する。数値代入法で使った値の個数が足りず、十分性を確認しない。部分分数分解で分母に重なった因数があるとき、最高次の項だけ置いて低次の項を落とす——(x-1)² なら a/(x-1) と b/(x-1)² の両方が要る。重なった因数では代入できる値が1つしかないので、足りない分は係数比較で補う。十分性の根拠は「n次以下の多項式は相異なる n+1 個の値で一致すれば恒等的に等しい」こと。2次以下なら3点でよい理由がこれで、答案では一言添える。
- 最小の例
1/(x(x+1)) = 1/x - 1/(x+1)
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1(2x+3)/((x+1)(x+2)) を部分分数に分解せよ。
解答a/(x+1)+b/(x+2) と置き、分母を払って 2x+3=a(x+2)+b(x+1)。x=-1 を入れて 1=a、x=-2 を入れて -1=-b より b=1。答は 1/(x+1)+1/(x+2)。1次式の恒等式は2つの値で決まるので、これで十分。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2(x+3)/(x-1)² を部分分数に分解せよ。
解答分母が (x-1)² と重なっているので、a/(x-1)+b/(x-1)² の2項を置く。b/(x-1)² だけでは足りない。分母を払って x+3=a(x-1)+b。x=1 を入れて b=4。代入できる値はこれ1つだけなので、残りは係数比較する。x の係数を見て a=1。答は 1/(x-1)+4/(x-1)²。重なった因数があるときは、その次数まで全部の項を立てる。代入だけで決まらない分は係数比較で補う。
問3a(x+1)²+b(x+1)+c=x²+3x+5 がすべての x で成り立つように a, b, c を定めよ。係数比較と数値代入の2通りで解き、数値代入では何を確かめる必要があるか述べよ。
解答係数比較では左辺を展開して ax²+(2a+b)x+(a+b+c)。右辺と見比べて a=1、2a+b=3 から b=1、a+b+c=5 から c=3。数値代入では x=-1 を入れて c=1-3+5=3。x=0 で a+b+c=5 だから a+b=2、x=1 で 4a+2b+c=9 だから 2a+b=3。引いて a=1、b=1 となり同じ答えが出る。ただし数値代入で言えたのは「この3つの値で成り立つ」ことだけ。そこで、得られた a=b=1, c=3 を元の式に戻して恒等式になることを確かめる(十分性の確認)。根拠は、両辺の差が2次以下の多項式で、相異なる3つの値で0になれば恒等的に0になること。一般に n次以下の多項式は相異なる n+1 個の値で一致すれば恒等的に等しい。係数比較なら最初から全ての x を相手にしているので、この確認は要らない。
入試での出方:式と証明の解法パターン全16型(出題実績:名大・横国大・信州大・山口大・立教大・小樽商大)
くわしく:
指数法則数II指数関数・対数関数
a^m·a^n = a^(m+n) などの計算規則。
- 何のための道具か
- 指数を有理数・実数へ拡張しても同じ規則で計算できる。
- つまずくのはここ
- 底が異なるのに指数だけ足す。a^0=1 の条件(a≠0)を忘れる。負の指数を「負の数」と混同する。指数方程式で t=a^x と置き換えたあと、t>0 という範囲を書き忘れるのが最頻——2次方程式の負の解をそのまま採用すると、a^x が負になる存在しない式を解こうとして詰まる。置き換えたら必ずその文字の動く範囲を書く。t=a^x+a^(-x) と置く型では、範囲が t>0 ではなく t≧2 になる——積が 1 で両方正だから相加相乗が効く。ここを t>0 のままにすると不適な解を拾う。
- 最小の例
8^(2/3) = (8^(1/3))² = 2² = 4
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1(√2)^(2/3) · 4^(1/6) を簡単にせよ。
解答底を2にそろえる。(√2)^(2/3)=(2^(1/2))^(2/3)=2^(1/3)、4^(1/6)=(2²)^(1/6)=2^(1/3)。掛けて 2^(1/3)·2^(1/3)=2^(2/3)。底が違うまま指数を足さない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問24^x – 3·2^x – 4 = 0 を解け。
解答4^x=(2²)^x=(2^x)² なので、t=2^x と置くと t²-3t-4=0。因数分解して (t-4)(t+1)=0 から t=4, -1。ここで t=2^x は必ず正だから t=-1 は不適。t=4 より 2^x=4、x=2。置き換えたら、その文字の動く範囲(ここでは t>0)を必ず書く。落とすと 2^x=-1 という存在しない式を解こうとして詰まる。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3t=2^x+2^(-x) とおく。(ア) t のとりうる値の範囲を求めよ。(イ) 4^x+4^(-x) を t で表せ。(ウ) 4^x+4^(-x)-3(2^x+2^(-x))+4=0 を解け。
解答(ア) 2^x も 2^(-x) も正で、積は 2^x·2^(-x)=2⁰=1。相加相乗より t≧2√1=2。等号は 2^x=2^(-x) すなわち x=0 のとき。よって t≧2。(2)の t>0 と違い、ここは t≧2 まで絞れる。(イ) 4^x=(2^x)²、4^(-x)=(2^(-x))² なので4^x+4^(-x)=(2^x+2^(-x))²-2·2^x·2^(-x)=t²-2。対称式を基本対称式で表す形と同じ。(ウ) 代入すると t²-2-3t+4=0、整理して t²-3t+2=0。(t-1)(t-2)=0 より t=1, 2。ここで(ア)の t≧2 が効いて t=1 は不適。t=2 のときが等号成立で x=0。答えは x=0。実際 1+1-3·(1+1)+4=0 で成り立つ。範囲を t>0 のままにすると t=1 を採用してしまい、存在しない x を探すことになる。
入試での出方:指数・対数の解法パターン全13型(出題実績:京大・阪大・筑波大・青学大・富山大・立教大)
くわしく:
接線の方程式数II微分・積分の考え
y – f(a) = f'(a)(x-a)。
- 何のための道具か
- 曲線を局所的に直線で近似する。
- つまずくのはここ
- 「点Aを通る接線」と「点Aにおける接線」を混同する。通る場合は接点を t と置いて改めて求める。「接する」が「連立した方程式が重解をもつ」と同値であることを使わないのも損——接点を求めなくてよい問題では判別式に翻訳したほうが速い。ただし判別式1本で片づけられるのは2次までで、3次以上には同じ形の条件がない。「接する」と「共有点が1個」を同じものと思うのも誤り——3次では、ある点で接していながら別の点で交わることがある。
- 最小の例
y=x² 上の(1,1)での接線: y = 2x-1
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1曲線 y=x³-2x 上の点 (1, -1) における接線の方程式を求めよ。
解答y'=3x²-2 なので x=1 での傾きは 3-2=1。点 (1, -1) を通り傾き1の直線だから y=1·(x-1)-1、すなわち y=x-2。「曲線上の点における接線」は接点が与えられているので、微分して代入するだけで終わる。曲線の外の点から引く接線とは手順がまったく違い、そちらは接点を文字で置くところから始まる。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2点(0,-1)から曲線 y=x² に引いた接線の方程式を求めよ。
解答接点を (t, t²) と置く。f'(x)=2x なので接線は y-t²=2t(x-t)、整理して y=2tx-t²。これが (0,-1) を通るので -1=-t²、t=±1。接線は y=2x-1 と y=-2x-1 の2本。点(0,-1)は曲線上にないので「その点における接線」は存在しない。必ず接点を文字で置く。
問3曲線 y=x² と直線 y=2x+k が接するとき k を求めよ。2通りの方法で確かめよ。
解答方法1:接点を (t,t²) とすると接線の傾きは 2t。直線の傾きが2なので t=1、接線は y=2x-1 だから k=-1。方法2:連立して x²=2x+k、つまり x²-2x-k=0 が重解をもてばよい。D/4=1+k=0 より k=-1。「接する」は「重解をもつ」と同値。接点を求めなくてよいときは判別式のほうが速い。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4曲線 y=x³ と直線 y=3x-2 は接するか。接するなら接点を求め、他に共有点があるか調べよ。
解答連立すると x³=3x-2、つまり x³-3x+2=0。因数分解すると (x-1)²(x+2)=0 で、x=1 が重解、x=-2 も解。x=1 では y'=3x²=3 で直線の傾き3と一致するから、点 (1, 1) で接している。一方 x=-2 でも共有点があり、そこは (-2, -8)。ここでは接線の傾き 3·4=12 と直線の傾き3が違うので、接するのではなく単に交わっている。つまり「接する」と「共有点が1個」は別のこと。3次では接していながら別の点で交わりうる。また2次のときのように判別式1本で判定する手は使えない。3次以上には同じ形の条件がないので、因数分解して重解を探すか、微分して傾きを合わせる。
入試での出方:接線と法線の解法パターン全14型(出題実績:神戸大・岡山大・都立大・阪大・横国大)
くわしく:
点と直線の距離数II図形と方程式
|ax₀+by₀+c|/√(a²+b²)。
- 何のための道具か
- 円と直線の位置関係の判定がこれ1本で済む。
- つまずくのはここ
- 直線を ax+by+c=0 の形に直さずに代入する。分子の絶対値を外す。三角形の面積を出すのに、この距離を高さとして使えることに気づかず座標をこねる。底辺の長さ×高さの計算では √ が約分で消えることが多く、結局は面積公式 (1/2)|x₁y₂-x₂y₁| と同じ計算になる。円と直線の位置関係を、いつも代入して判別式で調べるのも遠回り——中心から直線までの距離と半径を比べれば1行で済む。どちらも同じことを見ているが、距離のほうが計算が軽い。
- 最小の例
点(1,2)と 3x+4y-5=0 の距離 = |3+8-5|/5 = 6/5
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1点(2,-1)と直線 y=2x+3 の距離を求めよ。
解答公式に入れる前に 2x-y+3=0 の形に直す。|2·2-(-1)+3|/√(2²+(-1)²)=8/√5=8√5/5。y= の形のまま代入すると分母が合わない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2A(1,1), B(4,2), C(2,5) を頂点とする三角形の面積を求めよ。
解答底辺を AB、高さを C から直線 AB への距離とする。直線 AB は x-3y+2=0(A, B を代入するとどちらも0)で、|AB|=√(3²+1²)=√10。C から AB への距離は |2-15+2|/√10=11/√10。面積は (1/2)·√10·(11/√10)=11/2。√10 が約分で消えるので、実は面積公式 (1/2)|x₁y₂-x₂y₁| と同じ計算をしている。A を原点に移して平行移動すると B(3,1), C(1,4) で (1/2)|3·4-1·1|=11/2。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3円 x²+y²=4 と直線 y=x+k の位置関係を k の値で分類せよ。
解答中心から直線までの距離と半径を比べる。直線を x-y+k=0 の形に直す。中心 (0, 0) からの距離は |0-0+k|/√(1²+(-1)²)=|k|/√2 で、半径は 2。|k|/√2<2 すなわち |k|<2√2 のとき距離が半径より小さいので、異なる2点で交わる。|k|=2√2 のとき距離と半径が等しいので接する。|k|>2√2 のとき距離が半径を超えるので共有点なし。代入して判別式で調べても同じ結果になる。y=x+k を x²+y²=4 に入れると 2x²+2kx+k²-4=0 で、D/4=k²-2(k²-4)=8-k²。D/4>0 が |k|<2√2 に対応していて、確かに一致する。ただし判別式の道は展開と整理が要るのに対し、距離なら1行で終わる。円と直線の位置関係は、まず距離で見る。
入試での出方:図形と方程式の解法パターン全19型(出題実績:山口大・神戸大・一橋大・旭川医大・関西大・横国大)
くわしく:
相加相乗平均数IIいろいろな式
a,b>0 のとき (a+b)/2 ≧ √(ab)。等号は a=b。
- 何のための道具か
- 最小値を求める最短ルート。
- つまずくのはここ
- 正であることの断りを書かない。相加相乗が与えるのはあくまで下界で、等号が定義域内で成立しなければ最小値ではない——x≧3 のような制限があると、等号を与える x が範囲の外に出ることがある。そのときは下界をあきらめて増減を調べる。等号成立を確認せずに「最小値」と書かない。使える向きが1つだと思い込むのも損——和で積を抑える不等式なので、和が一定なら積の上限、積が一定なら和の下限が出る。形が合わないときは、分子を分母で割って「定数+相加相乗が使える部分」に分ける。
- 最小の例
x>0 で x+1/x ≧ 2、等号 x=1
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1x>0 のとき 4x+9/x の最小値を求めよ。
解答4x>0, 9/x>0 なので相加相乗が使える。4x+9/x≧2√(4x·9/x)=2√36=12。等号は 4x=9/x すなわち x=3/2 のときで、これは x>0 を満たす。よって最小値12。等号が実際に取れることまで確認して初めて「最小値」と言える。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2x≧3 のとき x+4/x の最小値を求めよ。
解答同じように x+4/x≧2√4=4 と書きたくなるが、等号は x=4/x つまり x=2 のとき。これは x≧3 の外なので、4 は最小値として取れない。そこで増減を調べる。f(x)=x+4/x の導関数は 1-4/x² で、x>2 では正だから単調増加。したがって x=3 で最小になり、最小値は 3+4/3=13/3。相加相乗が与えるのは下界であって、等号が定義域内で成立しなければ最小値ではない。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3x>0, y>0, x+2y=8 のとき xy の最大値を求めよ。また x>0 のとき (x+1)(x+4)/x の最小値を求めよ。
解答前半は(1)(2)と向きが逆で、「和が一定のとき積が最大」の型。x+2y≧2√(x·2y)=2√(2xy) に x+2y=8 を入れて 8≧2√(2xy)。2で割って 4≧√(2xy)、2乗して 16≧2xy、つまり xy≦8。等号は x=2y のときで、x+2y=8 と連立して y=2, x=4。このとき xy=8 で条件を満たす。よって最大値は8。相加相乗は「和で積を抑える」不等式なので、和が一定なら積の上限、積が一定なら和の下限が出る。後半は形を作る問題。そのまま当てても合わないので、まず分子を分母で割る。(x²+5x+4)/x=x+5+4/x と分けると、動く部分は x+4/x。x>0 だから x+4/x≧2√4=4 で、等号は x=4/x すなわち x=2 のとき。よって最小値は 4+5=9。実際 x=2 では (3·6)/2=9。「定数+相加相乗が使える部分」に分けてから当てる、が手順。
入試での出方:式と証明の解法パターン全16型(出題実績:名大・横国大・信州大・山口大・立教大・小樽商大)
くわしく:
等式・不等式の証明数IIいろいろな式
差を取る/平方完成する/相加相乗を使う、の3本柱。
- 何のための道具か
- 大小関係を論証で確定させる。
- つまずくのはここ
- 等号成立条件を書かない。相加相乗を正でない数に適用する。両辺を2乗するとき、両辺が非負であることを確認しない——-3<2 の両辺を2乗すると 9>4 で向きが変わってしまう。根号を含む大小比較では「両辺とも正」を断ってから2乗する、を手順に組み込む。2文字の対称な不等式で、差を取ったあと平方完成が中途半端に終わるのも多い——そのときは差を2倍すると平方の和にきれいにまとまることがある。分数が出て詰まったら、まず2倍してみる。
- 最小の例
a²+b²≧2ab は (a-b)²≧0 から。等号は a=b。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1a>0, b>0 のとき (a+b)(1/a+1/b)≧4 を示せ。
解答左辺を展開すると 1+a/b+b/a+1=2+(a/b+b/a)。a/b>0, b/a>0 だから相加相乗が使えて a/b+b/a≧2√((a/b)(b/a))=2。よって左辺≧4。等号は a/b=b/a すなわち a=b のとき。等号成立条件を必ず書く。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2a>0, b>0 のとき √a+√b > √(a+b) を示せ。
解答両辺とも正なので、2乗して比べてよい。ここを断らずに2乗しない。(√a+√b)²=a+2√(ab)+b、(√(a+b))²=a+b。差は 2√(ab) で、a>0, b>0 より正。よって (√a+√b)²>(√(a+b))² となり、両辺が正だから2乗を外して √a+√b>√(a+b)。非負を確認せずに2乗すると大小が保たれる保証はない。たとえば -3<2 の両辺を2乗すると 9>4 で向きが変わってしまう。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3すべての実数 x, y に対して x²+y²+1≧xy+x+y を示し、等号成立条件を求めよ。
解答3本柱のうち「差を取って平方完成」の型。差を D=x²+y²+1-xy-x-y とおく。このまま x について平方完成すると分数が出て見通しが悪い。そこで2倍する。2D=2x²+2y²+2-2xy-2x-2y で、これは (x-y)²+(x-1)²+(y-1)² とちょうど一致する。実際 (x-y)²=x²-2xy+y²、(x-1)²=x²-2x+1、(y-1)²=y²-2y+1 を足すと右辺になる。平方の和なので 2D≧0、つまり D≧0 で不等式が示せた。等号は3つの平方がすべて0のとき、すなわち x=y かつ x=1 かつ y=1 で、x=y=1。実際に代入すると左辺 1+1+1=3、右辺 1+1+1=3 で一致する。対称な2文字の不等式は、差を2倍すると平方の和にまとまることが多い。分数が出て詰まったら、まず2倍してみる。
入試での出方:式と証明の解法パターン全16型(出題実績:名大・横国大・信州大・山口大・立教大・小樽商大)
くわしく:
複素数数IIいろいろな式
i²=-1 を満たす i を含む数。a+bi。
- 何のための道具か
- すべての代数方程式に解を与える。
- つまずくのはここ
- √(-1)·√(-1)=√1=1 とする(正しくは -1)。√a·√b=√(ab) は両方が0以上のときの性質で、負の数には使えない。√(-a)=√a·i(a>0)に直してから計算する、を手順にする。「実数である」という条件を虚部=0 に翻訳できず、式のまま止まるのも多い。高次の累乗を正面から展開しようとするのも手が止まる原因——i の累乗は i, -1, -i, 1 の4個周期。(1+i) のような式は先に2乗して簡単な形を作る。
- 最小の例
(1+i)² = 1+2i+i² = 2i
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1(1+i)/(1-i) を a+bi の形にせよ。
解答分母の共役 1+i を分母分子に掛ける。(1+i)²/((1-i)(1+i))=2i/2=i。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2√(-2)·√(-8) を計算せよ。
解答負の数の根号は √(-a)=√a·i(a>0)に直してから計算する。√(-2)·√(-8)=(√2 i)(√8 i)=√16·i²=4·(-1)=-4。根号の性質 √a·√b=√(ab) をそのまま使って √16=4 とすると符号を落とす。この性質は両方が0以上のときにしか成り立たない。
問3x が実数のとき、(x+i)(1+2i) が実数となる x を求めよ。
解答展開すると x+2xi+i+2i²=(x-2)+(2x+1)i。実数になるのは虚部が0のときなので 2x+1=0、x=-1/2。「実数である」を「虚部=0」に翻訳するのが定型。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4i¹⁰⁰+i¹⁰¹+i¹⁰²+i¹⁰³ を求めよ。また (1+i)¹⁰ を計算せよ。
解答i の累乗は i, -1, -i, 1 の4個周期で繰り返す。100=4·25 なので i¹⁰⁰=1、続く3つは i, -1, -i。和は 1+i-1-i=0。連続する4項の和は必ず0になるので、この形なら計算せずに0と分かる。後半は展開せず、まず2乗して簡単な形を作る。(1+i)²=1+2i+i²=2i なので (1+i)¹⁰={(1+i)²}⁵=(2i)⁵=32·i⁵。i⁵=i⁴·i=i だから答えは 32i。10乗を二項定理で展開すると11項になるが、2乗を作れば3手で終わる。指数が大きいときは、まず小さい累乗で形が簡単になるところを探す。
入試での出方:複素数と方程式の解法パターン全12型(出題実績:神戸大・一橋大・岡山大・茨城大・信州大)
くわしく:
解と係数の関係数IIいろいろな式
ax²+bx+c=0 の2解で α+β=-b/a, αβ=c/a。
- 何のための道具か
- 解を求めずに解の情報を使う。対称式と直結する。
- つまずくのはここ
- 符号を落とす(和は -b/a)。3次では関係式が3本ある——x³+px²+qx+r=0 なら和が -p、2つずつの積の和が q、3つの積が -r。2本しか書かないと α²+β²+γ² のような変形ができない。「和と積が分かれば方程式が作れる」という逆向きの使い方も忘れやすい。「2解がともに正」を和と積の符号だけで済ませるのも危うい——実数解であること(判別式≧0)を先に置かないと、虚数解の場合まで拾ってしまう。判別式・和・積の3条件をセットにする。
- 最小の例
x²-5x+6=0 → α+β=5, αβ=6
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1x²-3x+1=0 の2解を α, β とするとき 1/α+1/β を求めよ。
解答α+β=3, αβ=1。1/α+1/β=(α+β)/(αβ)=3/1=3。解を求める必要はない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2同じ α, β について、α² と β² を解とする2次方程式を1つ作れ。
解答新しい2数の和と積を出せばよい。α²+β²=(α+β)²-2αβ=9-2=7、α²β²=(αβ)²=1。和が7・積が1 の2数を解にもつのは x²-7x+1=0。「和と積が分かれば方程式が作れる」は、解と係数の関係の逆向きの使い方。
問3x³-2x²+3x-4=0 の3解を α, β, γ とするとき α²+β²+γ² を求めよ。
解答3次では関係式が3本ある。x³+px²+qx+r=0 ならα+β+γ=-p、αβ+βγ+γα=q、αβγ=-r。ここでは α+β+γ=2、αβ+βγ+γα=3、αβγ=4。α²+β²+γ²=(α+β+γ)²-2(αβ+βγ+γα)=4-6=-2。解が虚数を含むので負になってもおかしくない。3本を2本しか書かないとこの変形ができない。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問42次方程式 x²-2ax+a+2=0 の2解がともに正であるための a の範囲を求めよ。
解答解を求めずに符号だけ制御する。必要なのは3条件。まず実数解であること。D/4=a²-(a+2)≧0 から a²-a-2≧0、(a-2)(a+1)≧0 で a≦-1 または a≧2。次に2解の和が正。α+β=2a>0 より a>0。最後に2解の積が正。αβ=a+2>0 より a>-2。3つを満たすのは a≧2。実数条件を落とすと、虚数解の場合まで拾ってしまう。たとえば a=1 は和も積も正だが、D/4=1-3=-2<0 で解は虚数になる。確かめると a=2 のとき x²-4x+4=0 で x=2 の重解、a=3 のとき x²-6x+5=0 で x=1, 5。どちらも正で条件を満たす。0 との比較だけなら和と積で足りるが、一般の値との比較になると判別式・軸・端点の値で見る「解の配置」に切り替える。
入試での出方:複素数と方程式の解法パターン全12型(出題実績:神戸大・一橋大・岡山大・茨城大・信州大)
くわしく:
軌跡数II図形と方程式
条件を満たす点の集合が描く図形。
- 何のための道具か
- 動く点の全体像を式で捉える。
- つまずくのはここ
- 求めた式を満たす点が全部条件を満たすか(逆の確認)を書かない——導いた式には、もとの条件では成立しない点が紛れ込むことがある。角度の条件なら、頂点が重なって角が定義できない点を除く必要がある。媒介変数を消去したとき、変数の取りうる範囲から来る制限を落とすのも定番。
- 最小の例
A(0,0),B(2,0) から等距離の点 → x=1
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1A(-1,0), B(2,0) に対し AP:BP=2:1 を満たす点Pの軌跡を求めよ。
解答AP=2BP を2乗して AP²=4BP²。(x+1)²+y²=4{(x-2)²+y²}。整理すると x²+y²-6x+5=0、平方完成して (x-3)²+y²=4。中心(3,0)・半径2の円(アポロニウスの円)。逆に、この円上の点はすべて AP:BP=2:1 を満たすので、これが求める軌跡。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2A(-1,0), B(1,0) に対し ∠APB=90° を満たす点Pの軌跡を求めよ。
解答∠APB=90° はベクトルの垂直条件 AP·BP=0 と同値。(x+1)(x-1)+y²=0 から x²+y²=1。ただし P が A や B に一致すると角そのものが定義できないので、(-1,0) と (1,0) は除く。答は「円 x²+y²=1 から2点 (±1, 0) を除いた図形」。式を導いただけでは終わらない。導いた式を満たす点が全部条件を満たすか、逆向きに確かめる。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3t が実数全体を動くとき、次の点 P の軌跡を求めよ。(ア) P(2t+1, t²-1) (イ) P((1-t²)/(1+t²), 2t/(1+t²))
解答媒介変数を消したあと、t の動く範囲から x, y にどんな制限が来るかを必ず確かめる。(ア) x=2t+1 より t=(x-1)/2。これを y=t²-1 に入れて y=(x-1)²/4-1。t が実数全体を動くと x=2t+1 も実数全体を動くので、制限は付かない。答は放物線 y=(x-1)²/4-1 全体。(イ) x²+y² を計算すると {(1-t²)²+4t²}/(1+t²)²=(1+t²)²/(1+t²)²=1。式の上では単位円 x²+y²=1 になる。しかし x=-1 となる t があるかを調べると、(1-t²)/(1+t²)=-1 から 1-t²=-1-t²、つまり 1=-1 となって解がない。t をどれだけ大きくしても x は -1 に近づくだけで届かない。答は「円 x²+y²=1 から点 (-1, 0) を除いた図形」。同じ「媒介変数を消す」でも、(ア)は制限なし、(イ)は1点欠ける。消去して終わりにせず、取りうる値を確認する一手を必ず入れる。
入試での出方:軌跡の解法パターン全12型(出題実績:埼玉大・東北大・横浜市大・筑波大・岡山大・横国大)
くわしく:
逆像法・逆手流数II図形と方程式
「その値を取る」を「解が存在する」に翻訳して解く。
- 何のための道具か
- 通過領域・値域の問題を、存在条件(判別式など)に落とす最強の型。
- つまずくのはここ
- 実数解の存在条件を書かずに文字を消去する。変数の範囲(t は実数全体か一部か)を条件に入れ忘れる——範囲がつくと「解が存在する」ではなく「その範囲に解が存在する」になり、判別式だけでは足りず解の配置の問題に変わる。求めるのは「x, y が満たすべき条件」であって、t を消すことそのものが目的ではない。
- 最小の例
y=t²+2t (t実数) の値域 → t²+2t-y=0 が実数解 → D/4=1+y≧0 → y≧-1
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1t が実数全体を動くとき、直線 y=2tx-t² が通過する領域を求めよ。
解答点 (X, Y) をこの直線が通る、を「その t が存在する」に翻訳する。Y=2tX-t² を t の方程式と見ると t²-2Xt+Y=0。これが実数解 t をもつ条件は D/4=X²-Y≧0、すなわち Y≦X²。よって通過領域は y≦x²(放物線 y=x² とその下側、境界を含む)。この直線の族は y=x² の接線全体なので、接線をすべて集めると放物線の下側が埋まる、と読める。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2t の範囲が 0≦t≦1 に制限されると、考え方はどう変わるか。
解答条件が「t²-2Xt+Y=0 が 0≦t≦1 に解をもつ」に変わる。判別式だけでは足りず、軸の位置と端点の値を調べる解の配置の問題になる。範囲つきの逆手流は解の配置に帰着する、と覚えておく。求めたいのは x, y が満たすべき条件であって、t を消すこと自体が目的ではない。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3実際に 0≦t≦1 のときの通過領域を求めよ。
解答x を固定して、y=2tx-t² が t を 0 から 1 まで動かしたときどんな値を取るかを見るのが速い。右辺を t の関数と見ると h(t)=-t²+2xt で、上に凸・頂点は t=x・そこでの値は x²。端の値は h(0)=0 と h(1)=2x-1。x<0 なら頂点が範囲の左外にあり [0, 1] で減少するので、y は 2x-1 以上 0 以下。0≦x≦1 なら頂点が範囲内にあるので最大は x²、最小は 0 と 2x-1 の小さいほう。2x-1 と 0 の大小は x=1/2 で入れ替わる。x>1 なら増加するので、y は 0 以上 2x-1 以下。まとめると、x<0 で 2x-1≦y≦0、0≦x≦1/2 で 2x-1≦y≦x²、1/2≦x≦1 で 0≦y≦x²、1<x で 0≦y≦2x-1。境界は放物線 y=x² の 0≦x≦1 の部分と、両端の接線 y=0(t=0)と y=2x-1(t=1)。(1)では y≦x² の全体だったのが、t を絞ると両端の接線ではさまれた部分だけが残る。
入試での出方:通過領域と逆手流の解法パターン全12型(出題実績:神戸大・筑波大・東北大・横国大・静岡大)
くわしく:
領域数II図形と方程式
不等式が表す平面上の範囲。
- 何のための道具か
- 制約条件を図にして、線形計画のように最適値を読む。
- つまずくのはここ
- 境界を含むか含まないかを図に描き分けない。連立不等式で共通部分でなく和集合を取る。領域上で1次式の最大最小を求めるとき、内部をしらみつぶしに探す——1次式の最大最小は必ず境界の頂点で起こるので、頂点の値を比べれば済む。k=x+y とおいて直線を平行移動させる、という見方に翻訳する。境界が曲線のときに「頂点を探す」で止まるのも多い——円のように頂点がない境界では、最大最小は直線が接する位置で起こる。どちらも「動かした直線が領域から離れる直前」を探している点は同じ。
- 最小の例
y>x² は放物線の上側(境界を含まない)
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1連立不等式 y≧x², y≦x+2 の表す領域の面積を求めよ。
解答交点は x²=x+2 から x=-1, 2。上が y=x+2、下が y=x² なので面積=∫[-1,2](x+2-x²)dx=9/2。1/6公式でも (1/6)·1·(2-(-1))³=27/6=9/2。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2x≧0, y≧0, x+2y≦8, 2x+y≦10 のとき、x+y の最大値を求めよ。
解答4本の不等式が表す領域は四角形で、頂点は (0,0), (5,0), (4,2), (0,4)。(4,2) は x+2y=8 と 2x+y=10 の交点。x+y=k とおくと傾き -1 の直線の族で、k を大きくすると直線は右上へ平行移動する。領域と共有点をもつ最後の位置が最大で、それは必ず頂点のどれか。各頂点で x+y を計算すると 0, 5, 6, 4 なので最大値は6(x=4, y=2)。1次式の最大最小は必ず頂点で起こるので、内部を調べる必要はない。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3x²+y²≦1 のとき、2x+y の最大値と最小値を求めよ。
解答(2)では領域が多角形だったので最大は頂点で起きた。今度は境界が円で、頂点がない。それでも見方は同じで、k=2x+y とおくと傾き -2 の直線の族になる。k を動かすと直線が平行移動し、円と共有点をもつ最後の位置が最大・最小。そこでは直線が円に接している。中心 (0, 0) から直線 2x+y-k=0 までの距離は |k|/√(2²+1²)=|k|/√5。これが半径1以下であればよいので |k|/√5≦1、すなわち -√5≦k≦√5。最大値は √5、最小値は -√5。接点は中心から直線に下ろした垂線の足で (2/√5, 1/√5) と (-2/√5, -1/√5)。実際 2·(2/√5)+1/√5=5/√5=√5 になり、この点は x²+y²=4/5+1/5=1 と円上にある。多角形なら頂点、曲線なら接するとき。どちらも「直線が領域から離れる直前」を探している。
入試での出方:図形と方程式の解法パターン全19型(出題実績:山口大・神戸大・一橋大・旭川医大・関西大・横国大)
くわしく:
高次方程式数IIいろいろな式
3次以上の方程式。因数定理で次数を下げる。
- 何のための道具か
- 次数を下げれば既知の形に帰着する。
- つまずくのはここ
- 複素数解を落とす(実数解だけ答える)。実数係数なら虚数解は必ず共役と対で現れる、という性質を使わない——解を1つ与えられただけで、共役をもう1つの解として使え、解と係数の関係と組み合わせると残りの解と係数が全部決まる。4次で因数定理の候補が全滅すると詰まるのも多い——係数が左右対称(相反方程式)なら x² で割って x+1/x を1文字と見ると2次に落ちる。割る前に x=0 が解でないことを確認する。
- 最小の例
x³=1 → (x-1)(x²+x+1)=0 → x=1, (-1±√3i)/2
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1x³-1=0 を解け。
解答x³-1=(x-1)(x²+x+1)=0。x=1 と、x²+x+1=0 から x=(-1±√3i)/2。実数解だけ答えて虚数解を落とさない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2実数係数の3次方程式 x³+ax²+bx+6=0 が x=1+i を解にもつとき、実数 a, b と残りの解を求めよ。
解答係数が実数なので、虚数解は必ず共役と対で現れる。よって 1-i も解。3つ目の解を r とすると、解と係数の関係から3解の積は -6。(1+i)(1-i)·r=2r=-6 より r=-3。和は -a なので (1+i)+(1-i)+(-3)=-1=-a、よって a=1。2つずつの積の和は b で、2+(1+i)(-3)+(1-i)(-3)=2-6=-4、よって b=-4。できた x³+x²-4x+6 に x=-3 を入れると -27+9+12+6=0 で確かめられる。「実数係数なら虚数解は共役とペア」を使うと、解を1つ与えられただけで全部決まる。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3x⁴-5x³+8x²-5x+1=0 を解け。
解答因数定理の候補は ±1 しかなく、x=1 は解だが x=-1 は解でない。そこで係数を見ると 1, -5, 8, -5, 1 と左右対称。相反方程式なので別の手が使える。x=0 を入れると左辺は 1 で0にならないから、x=0 は解でない。よって x² で割ってよい。x²-5x+8-5/x+1/x²=0 と直し、(x²+1/x²)-5(x+1/x)+8=0 とまとめる。t=x+1/x とおくと x²+1/x²=t²-2 なので t²-2-5t+8=0、つまり t²-5t+6=0。(t-2)(t-3)=0 より t=2, 3。t=2 のとき x+1/x=2 から x²-2x+1=0 で x=1(重解)。t=3 のとき x+1/x=3 から x²-3x+1=0 で x=(3±√5)/2。答えは x=1(重解)と (3±√5)/2。実際 (x-1)²(x²-3x+1) を展開すると元の式に戻る。4次でも、左右対称という形に気づけば2次の問題に落とせる。
入試での出方:複素数と方程式の解法パターン全12型(出題実績:神戸大・一橋大・岡山大・茨城大・信州大)
くわしく:
数B
シグマの計算数B数列
Σ の公式で数列の和を閉じた式にする。
- 何のための道具か
- 項数が文字のままでも和が出せる。
- つまずくのはここ
- Σ の中の定数を n 倍せずそのまま出す。上端や下端がずれた式(k=2 から、など)に公式をそのまま当てる——いったん k=1 からの和に直し、余分な項を引く。公式が使えない形を見て手が止まるのも多い。差の形 f(k)-f(k+1) に直せないかを疑うと、途中が打ち消し合って一気に片づくことがある。Σ の中に n が混ざったとき、n まで動かしてしまうのも定番の事故——動くのは k だけで、n は定数として外に出せる。j=n-k のように置きかえると、見慣れた形に戻ることも多い。
- 最小の例
Σ[k=1,n]k = n(n+1)/2、Σk² = n(n+1)(2n+1)/6
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1Σ[k=1,n] k(k+1) を求めよ。
解答展開して Σk²+Σk=n(n+1)(2n+1)/6+n(n+1)/2。n(n+1) でくくると n(n+1){(2n+1)+3}/6=n(n+1)(2n+4)/6=n(n+1)(n+2)/3。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2Σ[k=2,n] (2k-1) を求めよ(n≧2)。
解答下端が2なので公式をそのまま当てられない。k=1 からの和に直してから引く。Σ[k=1,n](2k-1)=2·n(n+1)/2-n=n²。ここから k=1 の項 1 を引いて n²-1。
問3Σ[k=1,n] 1/(k(k+1)) を求めよ。
解答公式が使えない形。部分分数に分けると 1/(k(k+1))=1/k-1/(k+1)。足すと途中が次々に打ち消し合い、残るのは最初の 1 と最後の -1/(n+1) だけ。よって 1-1/(n+1)=n/(n+1)。公式に当てはまらない形は、差 f(k)-f(k+1) に直せないかを疑う。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4Σ[k=1,n] (n-k)² と Σ[k=1,n] k(n-k) を求めよ。
解答ここで動くのは k だけで、n は定数。まずそこを確認する。前半は置きかえが速い。j=n-k とすると、k=1 のとき j=n-1、k=n のとき j=0。つまり Σ[k=1,n](n-k)² は Σ[j=0,n-1] j² と同じもので、j=0 の項は0だからΣ[j=1,n-1] j²=(n-1)n(2n-1)/6。展開して計算しても同じで、n²·n-2n·n(n+1)/2+n(n+1)(2n+1)/6 を整理するとn(n-1)(2n-1)/6 になる。置きかえのほうが手数が少ない。後半は展開して分ける。k(n-k)=nk-k² なのでn·Σk-Σk²=n·n(n+1)/2-n(n+1)(2n+1)/6。n(n+1) でくくると n(n+1){3n-(2n+1)}/6=n(n+1)(n-1)/6。確かめると n=3 では 1·2+2·1+3·0=4 で、式も 3·4·2/6=4。n を k と一緒に動かしてしまうと、どちらの計算も合わなくなる。
入試での出方:群数列とシグマ計算の解法パターン全14型(出題実績:静岡大・お茶の水女子大・筑波大・横国大・一橋大)
くわしく:
二項分布数B統計的な推測
B(n,p)。反復試行の成功回数の分布。E=np, V=np(1-p)。
- 何のための道具か
- 「n回中何回成功か」を一つの分布として扱う。
- つまずくのはここ
- 分散を np とする(正しくは np(1-p))。試行が独立でない場面に当てる。期待値と分散で独立性の要不要が違うことを押さえていない——期待値の足し算に独立性は要らないが、分散の足し算には要る。n が大きいときに正規分布で近似できることを使えず、和を全部足そうとするのも多い。「確率が最大になる k」を全部計算して比べようとするのも遠回り——隣り合う確率の比 P(X=k)/P(X=k-1) を作ると、どこまで増えてどこから減るかが一度に分かる。積の形なので、差ではなく比を取る。
- 最小の例
n=10, p=0.3 → E=3, V=2.1
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1X〜B(100, 0.2) のとき E(X) と V(X) を求めよ。
解答E=np=100·0.2=20、V=np(1-p)=100·0.2·0.8=16。分散を np=20 としない。標準偏差は4。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2期待値が np、分散が np(1-p) になる理由を説明せよ。
解答各回の試行に「成功なら1、失敗なら0」という量を対応させると、X はその n 個の和。1回ぶんの期待値は p なので、期待値は足し算がそのまま通って E=np。分散は1回ぶんが p(1-p) で、各回が独立だから足せて V=np(1-p)。期待値の足し算に独立性は要らないが、分散の足し算には要る。ここが違う。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3X〜B(100, 0.2) のとき P(X≧28) を正規分布で近似せよ(P(Z≧2)=0.0228 とする)。
解答平均20・標準偏差4なので、X=28 は Z=(28-20)/4=2 にあたる。P(X≧28)≒P(Z≧2)=0.0228。n が大きいと二項分布は正規分布で近似できる。あくまで近似なので、厳密な値とは少しずれる。
問4X〜B(5, 1/3) のとき P(X=2) を求めよ。また X〜B(100, 0.2) で P(X=k) が最大になる k を求めよ。
解答前半は定義どおり。P(X=2)=5C2·(1/3)²·(2/3)³=10·(1/9)·(8/27)=80/243≒0.329。後半は k=0 から100まで計算して比べる必要はない。隣り合う確率の比を作る。P(X=k)/P(X=k-1)={100Ck/100C(k-1)}·{p/(1-p)}=((101-k)/k)·(0.2/0.8)=(101-k)/(4k)。この比が1以上なら増加、1未満なら減少。(101-k)/(4k)≧1 は 101-k≧4k、つまり k≦20.2。よって k=20 までは増え続け、k=21 からは減る。最大は k=20。実際 P(X=20)≒0.0993 で、P(X=19)≒0.0930、P(X=21)≒0.0946 より大きい。確率が最大になる k は期待値 np=20 の近くにあり、正確には (n+1)p=20.2 の整数部分。掛け算でできている量なので、差ではなく比を取ると増減が見える。
入試での出方:確率分布と統計的な推測の解法パターン全12型(出題実績:東北大・神戸大・岡山大・横国大)
くわしく:
仮説検定数B統計的な推測
帰無仮説を立て、起こりにくさで棄却するか決める。
- 何のための道具か
- 偶然か意味のある差かを、基準を決めて判定する。
- つまずくのはここ
- 棄却できないことを「仮説が正しい」と結論する。示せるのは「棄却できるかどうか」だけ。片側検定と両側検定で棄却域の取り方を混同する——5%なら両側は片側2.5%ずつで臨界値1.96、片側は5%が片方に集まって1.645。同じデータでも結論が変わりうるので、検定の向きはデータを見る前に決めておく。割合だけを見て結論を決めてしまうのも誤り——表の割合が同じ0.6でも Z=0.2√n なので、100回なら棄却でき25回ならできない。結論を決めるのは偏りの大きさとデータの量の両方である。
- 最小の例
有意水準5%、両側なら片側2.5%ずつを棄却域にする
コインを100回投げて表の回数を調べる。有意水準は5%とする。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1表が60回のとき、両側検定で「公正である」といえるか。
解答帰無仮説は「公正である(p=0.5)」。このとき表の回数は平均 100·0.5=50、標準偏差 √(100·0.5·0.5)=5。Z=(60-50)/5=2.0。両側5%の臨界値は1.96で、|2.0|>1.96 だから帰無仮説を棄却する。公正であるとは考えにくい、と結論する。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2表が59回のとき、両側検定と片側検定(表が出やすいという主張)で結論はどう変わるか。
解答Z=(59-50)/5=1.8。両側検定の臨界値は1.96なので 1.8<1.96 で棄却できない。片側検定なら5%が片側に集まるので臨界値は1.645。1.8>1.645 で棄却できる。同じデータでも、どちらの検定を選ぶかで結論が逆になる。だから検定の向きはデータを見る前に決めておく。また「棄却できない」は「公正だと証明された」という意味ではない。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3投げた回数を25回に減らし、表が15回だったとする。表の割合は (1) と同じ0.6である。両側検定の結論は (1) と同じになるか。
解答同じにならない。n=25 のとき平均は 25·0.5=12.5、標準偏差は √(25·0.5·0.5)=2.5。Z=(15-12.5)/2.5=1.0 で、|1.0|<1.96 だから棄却できない。割合はどちらも0.6なのに、100回なら「公正とは考えにくい」、25回なら「何ともいえない」となる。理由は Z の形にある——表の割合が0.6のままなら Z=(0.6n-0.5n)/√(0.25n)=0.1n/(0.5√n)=0.2√n で、Z は √n に比例する。n を4倍にすると Z は2倍。100回と25回でちょうど 2.0 と 1.0 になっているのはこのため。棄却に必要な条件は 0.2√n≧1.96、すなわち n≧96.04 で、およそ100回投げて初めて届く。つまり結論を決めるのは偏りの大きさだけではなく、データの量でもある。少ない回数では、大きく偏って見えても「偶然でも起こりうる」としか言えない。
入試での出方:確率分布と統計的な推測の解法パターン全12型(出題実績:東北大・神戸大・岡山大・横国大)
くわしく:
数学的帰納法数B数列
n=1で成立し、n=kの成立からn=k+1を導く。
- 何のための道具か
- すべての自然数についての主張を有限の手数で示す。
- つまずくのはここ
- n=k の仮定を実際に使わずに n=k+1 を示す(それなら帰納法である必要がない)。出発点の確認を省く。漸化式が2つ前まで戻る形なのに、出発点も仮定も1つで済ませるのが最頻——何項前まで戻るかで、確認すべき出発点と仮定の個数が決まる。2項間なら1つ、3項間なら2つ必要になる。不等式の証明では、出発点が n=1 とは限らないことも見落としやすい——「n≧5 で」と書いてあれば n=5 から始める。さらに、仮定から作った式と示したい式が等号でつながらないので、その間を埋めるもう一段の評価が要る。
- 最小の例
Σk = n(n+1)/2 を、n=1で確認 → n=kを仮定してn=k+1を示す
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1すべての自然数 n で 1+3+5+…+(2n-1)=n² を示せ。
解答n=1 のとき左辺=1、右辺=1²=1 で成立。n=k で成立すると仮定すると 1+3+…+(2k-1)=k²。n=k+1 では左辺に (2k+1) が加わるので k²+(2k+1)=(k+1)²。よって n=k+1 でも成立。仮定した式を実際に使うのが帰納法。使わずに直接示せるなら帰納法は要らない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2a₁=1, a₂=3, a_(n+2)=3a_(n+1)-2a_n で定まる数列について、a_n=2ⁿ-1 を示せ。
解答漸化式が2つ前まで戻るので、出発点も仮定も2つずつ必要になる。n=1 で a₁=1=2¹-1、n=2 で a₂=3=2²-1。どちらも成立。n=k と n=k+1 で成立すると仮定するとa_(k+2)=3a_(k+1)-2a_k=3(2^(k+1)-1)-2(2^k-1)=3·2^(k+1)-3-2^(k+1)+2=2·2^(k+1)-1=2^(k+2)-1。よって n=k+2 でも成立。出発点を1つしか確認しないと a₂ が使えず、最初の一歩で止まる。漸化式が何項前まで戻るかで、必要な出発点と仮定の個数が決まる。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3n≧5 のとき 2ⁿ>n² が成り立つことを示せ。
解答出発点は n=1 ではなく n=5。実際 2⁵=32、5²=25 で 32>25 だから成立する。ちなみに n=2, 3, 4 では 4>4、8>9、16>16 がいずれも偽なので、途中で切れている。n=1 は 2>1 で成り立つが、そこから n=2 へつなげないので出発点にはできない。n=k(k≧5)で 2^k>k² と仮定する。両辺を2倍して 2^(k+1)>2k²。ここで止めず、2k² と (k+1)² を比べる一段が要る。差を取ると 2k²-(k+1)²=k²-2k-1=(k-1)²-2 で、k≧5 なら (k-1)²≧16 だから正。よって 2k²>(k+1)² となり、2^(k+1)>2k²>(k+1)²。n=k+1 でも成立する。等式なら仮定した式に足し引きすればつながるが、不等式では「仮定から出た式」と「示したい式」の間を埋める評価が別に必要になる。ここを飛ばした答案が多い。
入試での出方:数列・漸化式の解法パターン全16型(出題実績:一橋大・神戸大・関西大・群馬大・福島大)
くわしく:
正規分布数B統計的な推測
左右対称の釣鐘型。標準化して N(0,1) の表を使う。
- 何のための道具か
- 多くの現象が近似的に従う。推定・検定の土台。
- つまずくのはここ
- 標準化 Z=(X-m)/σ で σ² で割る。割るのは標準偏差であって分散ではない。表がどの範囲の確率を載せているか(0からZまでか、Z以下か)を確認せずに読む。確率から値を逆に求める向きで手が止まるのも多い——標準化の式を X について解き直すだけ。平均±1σ に約68%、±2σ に約95% が入る、という感覚をもっておくと検算になる。標本平均の分布を、もとの分布と同じだと思うのも大きな誤り——平均は m のままだが標準偏差は σ/√n になる。何個の平均を取っているかで散らばりが変わり、同じ値を超える確率も変わる。
- 最小の例
X〜N(50,10²) → P(X≦60) は Z=1 の値を読む
X〜N(60, 8²) とする。P(0≦Z≦1)=0.3413, P(0≦Z≦2)=0.4772, P(Z≧1.28)=0.10 を用いよ。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1P(52≦X≦68) を求めよ。
解答標準化する。Z=(X-60)/8 とすると X=52 で Z=-1、X=68 で Z=1。P(-1≦Z≦1)=2×0.3413=0.6826。σ²=64 で割らない。割るのは σ=8。
問2P(X≧76) を求めよ。
解答X=76 は Z=(76-60)/8=2。P(Z≧2)=0.5-P(0≦Z≦2)=0.5-0.4772=0.0228。標準正規分布は左右対称で全体が1、片側が0.5。表が「0からZまで」の値なら0.5から引く。表がどの範囲を載せているか最初に確認する。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問3上位10%に入るのは何点以上か。
解答上位10%の境目は P(Z≧z)=0.10 となる z で、z=1.28。標準化の式を X について解き直して X=60+1.28×8=70.24。よって約70.2点以上。平均±1σ に約68%、±2σ に約95% が入る、という感覚をもっておくと検算になる。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4この集団から無作為に4人を選ぶ。標本平均 X̄ が68以上になる確率を求め、1人が68点以上になる確率と比べよ。
解答標本平均の分布はもとの分布と同じではない。平均は 60 のままだが、標準偏差は σ/√n=8/√4=4 に縮む。つまり X̄〜N(60, 4²)。標準化すると Z=(68-60)/4=2 なので P(X̄≧68)=P(Z≧2)=0.5-0.4772=0.0228。一方、1人だけを見る場合は Z=(68-60)/8=1 で P(X≧68)=0.5-0.3413=0.1587。同じ68という値でも、1人なら約16%、4人の平均なら約2%と大きく違う。平均を取るほど値は真ん中に集まるので、極端な値が出にくくなる。σ をそのまま使って標準化すると、この違いが消えてしまう。n を4倍すれば標準偏差は半分、という関係は、母平均の推定で区間の幅を決めるときにも同じ形で出てくる。
入試での出方:確率分布と統計的な推測の解法パターン全12型(出題実績:東北大・神戸大・岡山大・横国大)
くわしく:
母平均の推定数B統計的な推測
標本から母平均の存在範囲を区間で言う。
- 何のための道具か
- 全数調査せずに全体を語るための道具。
- つまずくのはここ
- 標本の大きさ n の平方根で割ることを忘れる。区間の幅が σ/√n に比例することを使えない——幅を半分にするには n を4倍にする必要がある。信頼度を上げれば区間は広くなる、という当たり前のトレードオフも見落としやすい。「95%信頼区間」は、同じ手続きを繰り返したとき区間の95%が母平均を含む、という意味。1つの区間について「母平均がこの中にある確率が95%」と読むのは誤り。母比率の推定を別の公式として覚えるのももったいない——母標準偏差が分からないので √(p(1-p)/n) を標本比率から作るだけで、形は同じ σ/√n。
- 最小の例
信頼区間 = 標本平均 ± 1.96·σ/√n
母標準偏差5の母集団から標本を取る。1.96 と 2.58 を用いよ。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1大きさ100の標本で標本平均が42のとき、母平均の95%信頼区間を求めよ。
解答42±1.96·5/√100=42±1.96·0.5=42±0.98。よって 41.02 以上 42.98 以下。√n を忘れて 42±9.8 としない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2同じ標本平均で信頼度を99%にすると区間はどうなるか。
解答係数が 1.96 から 2.58 に変わるだけ。42±2.58·0.5=42±1.29 で 40.71 以上 43.29 以下。確実に当てにいくほど区間は広くなる。信頼度の高さと区間の狭さは両立しない。
問395%のまま区間の幅を半分にしたい。標本の大きさをいくつにすればよいか。
解答幅は σ/√n に比例するので、半分にするには √n を2倍、つまり n を4倍にする。n=400。実際 42±1.96·5/√400=42±0.49 で幅がちょうど半分になる。精度を2倍にするには標本を4倍集める必要がある。なお「95%信頼区間」は、同じ手続きを何度も繰り返したとき区間の95%が母平均を含む、という意味。1つの区間について「母平均がこの中にある確率が95%」と読むのは誤り。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4別の工場で製品400個を調べたら32個が不良品だった。不良率の95%信頼区間を求めよ。
解答母比率の推定。別公式に見えるが、やっていることは (1) と同じ。標本比率は p̂=32/400=0.08。母比率の推定では母標準偏差が分からないので、標本比率から √(p̂(1-p̂)/n)=√(0.08·0.92/400)=√0.000184≒0.0136 を作り、これを σ/√n の代わりに使う。1.96·0.0136≒0.0266 だから 0.08±0.0266、すなわち 0.053 以上 0.107 以下。約5.3%〜10.7%。√(p̂(1-p̂)/n) が出てくる理由は二項分布にある——不良品の個数 X は B(400, p) に従い分散は np(1-p)、標本比率 X/n の分散はこれを n² で割って p(1-p)/n。その平方根がいまの標準偏差である。400個で不良率を「8%」と言い切るのは危うく、実際には5%かもしれないし10%かもしれない、という幅つきの結論しか出せない点がこの単元の主張である。
入試での出方:確率分布と統計的な推測の解法パターン全12型(出題実績:東北大・神戸大・岡山大・横国大)
くわしく:
漸化式数B数列
前の項から次の項を決める式。一般項に直すのが目標。
- 何のための道具か
- 規則を式で書けても項の値が要る、という状況を解消する。
- つまずくのはここ
- 特性方程式で置く定数の符号を誤る。a_(n+1)=pa_n+q 型で、両辺から同じ α を引く操作の意味(等比に帰着させる)を理解せず形だけ真似る。右辺に n の式が入る型に、定数 α を引く方法をそのまま当てるのも定番——引くものも n の式(An+B など)にしないと等比にならない。何を引けば等比になるか、を毎回考える。分数の形や右辺に指数がある形に、同じ「定数を引く」だけで挑むのも詰まる原因——分数型は逆数を取る(先に a_n≠0 を確認する)、a_(n+1)=pa_n+qⁿ 型は両辺を q^(n+1) で割る。何で割るか・何を取るかが型ごとに決まっている。
- 最小の例
a_(n+1)=2a_n+1 → a_(n+1)+1 = 2(a_n+1) → 等比
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1a₁=1, a_(n+1)=3a_n-4 の一般項を求めよ。
解答定数を引いて等比に持ち込む。α=3α-4 を解いて α=2。両辺から2を引くと a_(n+1)-2=3a_n-6=3(a_n-2)。数列 {a_n-2} は公比3の等比数列で初項は a₁-2=-1。a_n-2=-3^(n-1) より a_n=2-3^(n-1)。α は「a_(n+1) も a_n も α に置き換えて成り立つ値」で、動かない点を探している。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2a₁=1, a_(n+1)=2a_n+n の一般項を求めよ。
解答右辺に n が入るので、定数を引くだけでは等比にならない。引くものも n の式にする。a_n-(An+B) が等比になるよう A, B を決める。a_(n+1)-{A(n+1)+B}=2{a_n-(An+B)} が恒等的に成り立つ条件を係数比較すると A=-1, B=-1。つまり b_n=a_n+n+1 と置けば b_(n+1)=2b_n。b₁=a₁+1+1=3 なので b_n=3·2^(n-1)、a_n=3·2^(n-1)-n-1。右辺に n の式が入ったら、引くものも n の式にする。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3(ア) a₁=1, a_(n+1)=a_n/(2a_n+1) の一般項を求めよ。(イ) a₁=1, a_(n+1)=2a_n+3ⁿ の一般項を求めよ。
解答(ア) 分数の形なので逆数を取る。その前に a_n≠0 を確かめる。a₁=1>0 で、a_n>0 なら a_(n+1)=a_n/(2a_n+1)>0 だから、すべての項が正。逆数を取ると 1/a_(n+1)=(2a_n+1)/a_n=2+1/a_n。b_n=1/a_n と置けば b_(n+1)=b_n+2 で、公差2の等差数列。b₁=1 なので b_n=2n-1。よって a_n=1/(2n-1)。実際 a₂=1/3、a₃=1/5 と合う。(イ) 右辺の 3ⁿ は定数でも n の1次式でもないので、引く方法は使えない。両辺を 3^(n+1) で割る。a_(n+1)/3^(n+1)=(2/3)·(a_n/3ⁿ)+1/3 となり、c_n=a_n/3ⁿ と置くと c_(n+1)=(2/3)c_n+1/3。これは(1)と同じ型なので、α=(2/3)α+1/3 から α=1。c_n-1 は公比 2/3 の等比数列で、c₁-1=1/3-1=-2/3。c_n-1=(-2/3)(2/3)^(n-1)=-(2/3)ⁿ より c_n=1-(2/3)ⁿ。a_n=3ⁿc_n=3ⁿ-2ⁿ。実際 a₁=3-2=1、a₂=2·1+3=5 で 9-4=5、a₃=2·5+9=19 で 27-8=19。型ごとに「何を取るか・何で割るか」が決まっている。定数を引く1手だけで押し切らない。
入試での出方:漸化式の解法パターン全20型(出題実績:滋賀大・信州大・神戸大・横浜国立大・滋賀医科大)
くわしく:
確率変数と期待値数B統計的な推測
試行の結果に数を対応させたものと、その平均。
- 何のための道具か
- 確率の世界を平均・分散という数量で扱えるようにする。
- つまずくのはここ
- E(X²) と (E(X))² を同一視する。V(X)=E(X²)-(E(X))² の順序を逆にする。E(aX+b)=aE(X)+b の b に a を掛けてしまう。分散では定数 b が効かず、係数 a だけが2乗されて効く(V(aX+b)=a²V(X))。分散はもとの単位の2乗、標準偏差はもとの単位と同じ、という違いも押さえる。和にしたときの扱いも E と V で違う——E(X+Y)=E(X)+E(Y) は常に成り立つが、V(X+Y)=V(X)+V(Y) は X と Y が独立のときだけ。ここを同じ感覚で使うと分散を誤る。
- 最小の例
V(X) = E(X²) - (E(X))²
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1E(X)=3, V(X)=2 のとき E(X²) と V(2X-1) を求めよ。
解答V(X)=E(X²)-(E(X))² を E(X²) について解くと E(X²)=V(X)+(E(X))²=2+9=11。E(X²)=(E(X))²=9 としない。V(2X-1)=2²·V(X)=4·2=8。定数を足しても散らばりは変わらないので -1 は効かず、係数だけが2乗されて効く。
問2サイコロを1回投げて出る目を X とする。E(X), V(X), 標準偏差を求めよ。
解答E(X)=(1+2+3+4+5+6)/6=21/6=7/2。E(X²)=(1+4+9+16+25+36)/6=91/6。V(X)=91/6-(7/2)²=91/6-49/4=(182-147)/12=35/12≒2.917。標準偏差は √(35/12)≒1.71。分散はもとの単位の2乗、標準偏差はもとの単位と同じ。目の散らばりを目盛りの言葉で言いたいなら標準偏差のほうを使う。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3サイコロ2個の出た目の和を S とする。E(S) と V(S) を求めよ。また、2個目が必ず1個目と同じ目になる仕掛けだったとき、E(S) と V(S) はどうなるか。
解答2個の目を X₁, X₂ とすると S=X₁+X₂。期待値は独立かどうかに関係なく足せるので E(S)=7/2+7/2=7。分散は独立のときだけ足せる。ふつうに2個投げるなら独立なのでV(S)=35/12+35/12=35/6≒5.83。仕掛けがある場合は X₂=X₁ なので S=2X₁。E(S)=2·(7/2)=7 で期待値は変わらないが、分散は V(2X₁)=2²·V(X₁)=4·(35/12)=35/3≒11.7。同じ E(S)=7 でも、分散は独立なら 35/6、完全に連動していれば 35/3 で2倍違う。和の期待値は無条件に足せるが、和の分散は独立を確かめてから足す。連動しているほど、和の散らばりは大きくなる。
入試での出方:確率分布と統計的な推測の解法パターン全12型(出題実績:東北大・神戸大・岡山大・横国大)
くわしく:
確率漸化式数B数列
n回目の確率とn+1回目の確率を結ぶ式を立てて解く。
- 何のための道具か
- n回ぶんを直接数え上げられないとき、1回ぶんの推移だけで話を閉じる。
- つまずくのはここ
- n+1回目を n回目で分類せず、n回ぶんの経路をいきなり数え上げようとして詰まる。分類したあとも、n回目に「その状態にいた場合」だけを数えて、いなかった場合からの流入を落とすのが最頻の失点——n+1回目にAにいる経路は、n回目にAにいた場合とA以外にいた場合の両方から来る。余事象 1-p_n で押し切れるのは、A以外の状態がひとまとめにできるとき(対称性があるとき)だけ。対称性がないのに 1-p_n で立てると、はじめから成り立たない式になる。状態が2つで足りるかを確かめずに立てるのも危うい。初項を p₀ にするか p₁ にするかで答えがずれるので、n の起点も先に決めておく。
- 最小の例
p_(n+1) を p_n で書く。流入は「いた場合」と「いなかった場合」の両方から。
点Pは正三角形ABCの頂点を動く。はじめ P は A にあり、1回の操作でいまいる頂点以外の2頂点のどちらかへ等確率で移る。n回の操作のあと P が A にある確率を p_n(p₀=1)とする。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1p_n を求めよ。
解答n+1回目にAにある経路を、n回目にどこにいたかで分ける。n回目にAにいたなら次は必ずBかCへ動くので、Aに残る流入は0。n回目にAにいなかったなら(確率 1-p_n)、そこから2頂点へ等確率なので確率 1/2 でAへ来る。よって p_(n+1)=(1/2)(1-p_n)。ここで B と C をひとまとめにできたのは、どちらから見てもAへ行く確率が同じ(対称)だからである。解く。α=(1/2)(1-α) を解くと 2α=1-α で α=1/3。両辺から 1/3 を引くと p_(n+1)-1/3=-(1/2)(p_n-1/3)。公比 -1/2 の等比数列で、初項は p₀-1/3=2/3。p_n=1/3+(2/3)(-1/2)ⁿ。検算すると p₁=1/3-1/3=0(1回では必ずAを離れる)、p₂=1/3+1/6=1/2、p₃=1/3-1/12=1/4。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2n を大きくしたとき p_n はどうなるか。
解答|-1/2|<1 なので (-1/2)ⁿ→0 となり p_n→1/3。3頂点のどこにいるかが均されて等確率に近づく、という意味である。符号が交互なので、1/3 を上下にまたぎながら近づく。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3硬貨を n 回投げるとき、表が2回続けて出ない確率を q_n とする。q_n の漸化式を作り、q₄ を求めよ。
解答1回ぶんの推移では書けない。1回目が裏(確率1/2)なら残り n-1 回に同じ条件がかかり、1回目が表なら2回目は裏でなければならず(確率1/4)、残りは n-2 回。よって q_n=(1/2)q_(n-1)+(1/4)q_(n-2)。q₁=1、q₂=3/4(表表の1通りだけが除かれる)。q₃=(1/2)(3/4)+(1/4)(1)=3/8+1/4=5/8。q₄=(1/2)(5/8)+(1/4)(3/4)=5/16+3/16=1/2。分子 2,3,5,8 はフィボナッチ数列である。「1つ前だけで書けるか、2つ前まで要るか」は、条件が何回ぶんの記憶を持つかで決まる。
入試での出方:確率漸化式の解法パターン全12型(出題実績:神戸大・名古屋大・横浜国大・滋賀医科大・岡山大・九大)
くわしく:
等差数列数B数列
a_n = a + (n-1)d。和は (項数)(初項+末項)/2。
- 何のための道具か
- 一定量ずつ増える現象の基本形。
- つまずくのはここ
- 一般項で (n-1) を n にする。和の公式で項数を数え違える(第m項から第n項までは n-m+1 個)。公差が負のとき「和が最大になるのは第何項までか」を、和の式を平方完成して探そうとする——「項が正である間は足し続ける」と言い換えれば、符号が変わる場所を見るだけで済む。
- 最小の例
初項2, 公差3 → a_n = 3n-1、和 S_n = n(3n+1)/2
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1第5項が17、第12項が45の等差数列の初項と公差を求めよ。
解答a+4d=17、a+11d=45。辺々引いて 7d=28、d=4。代入して a=1。一般項は a_n=1+(n-1)·4=4n-3。n=5 で 17 となり合う。(n-1) を n にすると初項からずれる。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2初項50、公差 -3 の等差数列で、初項から第何項までの和が最大になるか。またその和を求めよ。
解答和が最大になるのは、正の項を足し終えたところ。a_n=50-3(n-1)=53-3n が0以上となるのは n≦53/3=17.67 だから n≦17。実際 a₁₇=53-51=2>0、a₁₈=53-54=-1<0。よって第17項までの和が最大。S₁₇=17·(50+2)/2=17·26=442。「和が最大」は「項が正である間は足し続ける」と言い換えられる。公差が負なら、途中で項の符号が変わる場所を探せばよく、和の式を平方完成する必要はない。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3a_n=4n-3 の第10項から第30項までの和を求めよ。また、100以下の自然数のうち3で割ると1余るものの総和を求めよ。
解答前半で最も間違えるのが項数。第10項から第30項までは 30-10=20 ではなく 30-10+1=21 個。a₁₀=37、a₃₀=117 なので、和は 21·(37+117)/2=21·77=1617。S₃₀-S₉ で確かめられる。S_n=n(1+4n-3)/2=n(2n-1) だから 30·59-9·17=1770-153=1617 で一致する。後半は、条件を満たす数を数列と見る。3で割ると1余る自然数は 1, 4, 7, … で、初項1・公差3の等差数列。末項は100以下で最大のものを探す。100=3·33+1 なので 100 自身が条件を満たし、末項は100。1+3(n-1)=100 から n=34 で、項数は34。和は 34·(1+100)/2=17·101=1717。末項が範囲に入るかを確かめずに「99まで」と決めると、項数も和もずれる。
入試での出方:数列・漸化式の解法パターン全16型(出題実績:一橋大・神戸大・関西大・群馬大・福島大)
くわしく:
等比数列数B数列
a_n = ar^(n-1)。和は a(1-rⁿ)/(1-r)(r≠1)。
- 何のための道具か
- 倍々に増える現象の基本形。
- つまずくのはここ
- r=1 のときを場合分けせずに公式を使う——分母が 1-r なので0で割ることになる。公比が文字なら必ず r=1 と r≠1 に分ける。指数を n にする(正しくは n-1)。公比が負になる解を落とすのも定番で、r<0 なら項の符号が交互に変わる。和の公式を丸暗記して、その作り方(S から rS を引くと途中が消える)を知らないのももったいない——同じ手が (等差)×(等比) の形の和にもそのまま効く。
- 最小の例
初項3, 公比2 → a_n = 3·2^(n-1)、S_n = 3(2ⁿ-1)
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1初項2、公比 r の等比数列で、初項から第3項までの和が14。r を求めよ。
解答2(1+r+r²)=14 より 1+r+r²=7、r²+r-6=0、(r+3)(r-2)=0 で r=2, -3。r=2 なら 2+4+8=14、r=-3 なら 2-6+18=14 でどちらも合う。公比が負になる解を落とさない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2初項3、公比2 の等比数列で、初項から第n項までの和が初めて1000を超えるのは第何項か。
解答S_n=3(2ⁿ-1)>1000 より 2ⁿ>1000/3+1≒334.3。2⁸=256、2⁹=512 なので n=9。実際 S₈=3·255=765<1000、S₉=3·511=1533>1000。
問3初項 a、公比 r の等比数列の初項から第n項までの和を、場合分けして表せ。
解答r≠1 のとき S_n=a(1-rⁿ)/(1-r)。r=1 のときはすべての項が a なので S_n=na。公式の分母が 1-r なので、r=1 だと0で割ることになる。公比が文字なら必ずこの場合分けを書く。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4S=Σ[k=1,n] k·2^(k-1) を求めよ。
解答(等差)×(等比) の形なので、等比数列の和の公式を作るときと同じ手を使う。S=1·1+2·2+3·2²+…+n·2^(n-1) に対し、公比の2を掛けた2S=1·2+2·2²+…+(n-1)·2^(n-1)+n·2ⁿ を作る。S から 2S を引くと、同じ 2^(k-1) を含む項どうしで係数が1ずつ減り、S-2S=1+2+2²+…+2^(n-1)-n·2ⁿ となる。前半は初項1・公比2・項数 n の等比数列の和で 2ⁿ-1。よって -S=(2ⁿ-1)-n·2ⁿ、両辺の符号を変えて S=n·2ⁿ-2ⁿ+1=(n-1)·2ⁿ+1。確かめると n=1 で 0·2+1=1、n=2 で 1·4+1=5(1+4=5)、n=3 で 2·8+1=17(1+4+12=17)。ずらして引くと途中が等比数列に化ける。等比数列の和の公式そのものが、この操作で作られている。
入試での出方:数列・漸化式の解法パターン全16型(出題実績:一橋大・神戸大・関西大・群馬大・福島大)
くわしく:
群数列数B数列
数列を群に区切り、群の先頭が何番目かで位置を特定する。
- 何のための道具か
- 二重構造の数列を、群番号と群内番号の2変数に分解する。
- つまずくのはここ
- 第n群の最後の項が通算で何番目かを出さずに、群内の番号だけで計算する。境界(群の変わり目)の扱いを誤る。「第n群の先頭と末尾が通算何番目か」を先に押さえてしまえば、あとは普通の数列の問題に戻る。群の和を求めるときも、この2つが分かれば項数と初項・末項がそろう。通算番号がそのまま値になると思い込むのも事故のもと——自然数を並べた場合はたまたま一致するだけで、一般には通算番号を出してから元の数列の一般項に代入する2段階が要る。
- 最小の例
1|2,3|4,5,6|… 第n群の末項は通算 n(n+1)/2 番目
1|2,3|4,5,6|7,8,9,10|… のように、第n群が n 個の数を含むよう自然数を区切る。
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問150 は第何群の何番目か。
解答まず第n群の末項が通算で何番目かを出す。群の項数が 1, 2, 3, … なので、第n群の末項は通算 1+2+…+n=n(n+1)/2 番目。この数列は k 番目の値が k なので、50 は50番目。n=9 で45、n=10 で55 だから 50 は第10群にあり、45 の次から数えて 50-45=5 番目。群内の番号だけで数えても、どの群かは決まらない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2第n群に含まれる数の和を n で表せ。
解答第n群の先頭は通算 n(n-1)/2+1 番目、末尾は n(n+1)/2 番目で、項数は n。値と番号が一致するので、等差数列の和としてn·{(n(n-1)/2+1)+(n(n+1)/2)}/2=n(n²+1)/2。n=3 で 3·10/2=15、実際 4+5+6=15 で合う。「第n群の先頭と末尾が通算何番目か」を先に押さえれば、あとは普通の数列の問題になる。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3今度は奇数を 1|3,5|7,9,11|13,15,17,19|… と同じ区切り方で並べる。第n群の先頭の数と、第n群に含まれる数の和を求めよ。
解答区切り方は同じなので、第n群の先頭は通算 n(n-1)/2+1 番目、末尾は n(n+1)/2 番目、項数は n。違うのはここから先で、(1)(2)は自然数を並べたので値と通算番号が一致していたが、今度は通算 k 番目の値が 2k-1 なので、番号を出したあと一般項に代入する必要がある。先頭は 2{n(n-1)/2+1}-1=n²-n+1。n=1, 2, 3, 4 で 1, 3, 7, 13 となり実際の並びと合う。末尾は 2·n(n+1)/2-1=n²+n-1 で、n=4 なら 19。和は等差数列の和として n·{(n²-n+1)+(n²+n-1)}/2=n·2n²/2=n³。確かめると n=2 で 3+5=8=2³、n=3 で 7+9+11=27=3³、n=4 で 13+15+17+19=64=4³。群の和がちょうど立方数になる、きれいな形になっている。通算番号を出す部分は共通で、そこから先が元の数列によって変わる。この2段階を分けて考える。
入試での出方:群数列とシグマ計算の解法パターン全14型(出題実績:静岡大・お茶の水女子大・筑波大・横国大・一橋大)
くわしく:
階差数列数B数列
b_n = a_(n+1) – a_n。a_n = a_1 + Σ[k=1,n-1]b_k。
- 何のための道具か
- 規則が見えない数列でも、差を取ると見えることが多い。
- つまずくのはここ
- 復元の式で n≧2 の条件を書かず、n=1 を別に確認しない。Σ の上端を n にする(正しくは n-1。足すのは n-1 個ぶんの差だから)。和 S_n から一般項を出す a_n=S_n-S_(n-1) も同じ構造で、n≧2 でしか使えず a₁ は S₁ から直接取る。階差が一目で分からないときに、もう一段差を取る発想が出ないのも多い。n=1 の確認を形式的な作業と思うのも危うい——実際に食い違うことがあり、そのときは1つの式にまとめられず「a₁ は別、n≧2 では…」と分けて書くことになる。
- 最小の例
1,2,4,7,11 → 差 1,2,3,4 → a_n = 1 + (n-1)n/2
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問12, 3, 6, 11, 18, … の一般項を求めよ。
解答階差は 1, 3, 5, 7 で b_k=2k-1。n≧2 のとき a_n=2+Σ[k=1,n-1](2k-1)=2+(n-1)²=n²-2n+3。Σ の上端は n ではなく n-1。足すのは n-1 個ぶんの差だから。n=1 を代入すると2で初項と一致するので、この式は n=1 でも使える。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問21, 2, 6, 15, 31, 56, … の一般項を求めよ。
解答階差を取ると 1, 4, 9, 16, 25 で b_k=k²。n≧2 のとき a_n=1+Σ[k=1,n-1]k²=1+(n-1)n(2n-1)/6。n=1 で 1 となり成立。階差が一目で分からなければ、もう一段差を取る。
問3初項から第n項までの和が S_n=n²+2n で与えられる数列の一般項を求めよ。
解答同じ構造の問題。n≧2 では a_n=S_n-S_(n-1)=(n²+2n)-(n²-1)=2n+1。n=1 は S₁ から直接 a₁=1+2=3。2n+1 に n=1 を入れると3で一致するので、まとめて a_n=2n+1 と書ける。「n≧2 で求めて n=1 を別に確認する」は、階差でも和でも同じ手順。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問4初項から第n項までの和が S_n=2ⁿ+1 で与えられる数列の一般項を求めよ。
解答手順は(3)と同じだが、結果が違う。n≧2 では a_n=S_n-S_(n-1)=(2ⁿ+1)-(2^(n-1)+1)=2ⁿ-2^(n-1)=2^(n-1)。n=1 は S₁ から直接 a₁=2+1=3。ところが 2^(n-1) に n=1 を入れると 1 で、3 と一致しない。よって1つの式にまとめられず、a₁=3、n≧2 では a_n=2^(n-1) と分けて書く。確かめると S₂=3+2=5=2²+1、S₃=3+2+4=9=2³+1 で合っている。(1)(2)(3) はどれも n=1 で一致したので確認が形式的に見えるが、このように食い違う場合が実際にある。確認を省くと最初の1項だけ誤った答えになる。
入試での出方:数列・漸化式の解法パターン全16型(出題実績:一橋大・神戸大・関西大・群馬大・福島大)
くわしく:
数C
2次曲線数C平面上の曲線と複素数平面
楕円・双曲線・放物線。焦点と準線で定義される。
- 何のための道具か
- 軌道や反射の性質を式で扱う。
- つまずくのはここ
- 楕円の c²=a²-b² と双曲線の c²=a²+b² を取り違える。焦点が x 軸上か y 軸上かを式から判断せず図を描かない。公式を丸暗記せず定義に戻ると迷わない——楕円は距離の和が一定で焦点は頂点の内側(c<a)、双曲線は距離の差が一定で焦点は頂点の外側(c>a)。c と a の大小を思い出せば、引くか足すかは自然に決まる。
- 最小の例
楕円 x²/a²+y²/b²=1 (a>b) の焦点 (±√(a²-b²), 0)
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1楕円 x²/25+y²/9=1 の焦点を求めよ。
解答a=5, b=3。楕円では c=√(a²-b²)=√(25-9)=4。焦点は (±4, 0)。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2双曲線 x²/9-y²/16=1 の焦点と漸近線を求めよ。
解答a=3, b=4。双曲線では c=√(a²+b²)=√(9+16)=5。焦点は (±5, 0)。漸近線は y=±(b/a)x=±(4/3)x。楕円は引き算、双曲線は足し算で、形が似ているので取り違えやすい。
問3楕円と双曲線で焦点の公式の形が違うのはなぜか。
解答定義が違うから。楕円は「2つの焦点からの距離の和が一定(=2a)」で、焦点は頂点より内側にある。だから c<a となり c²=a²-b²。双曲線は「2つの焦点からの距離の差が一定(=2a)」で、焦点は頂点より外側にある。だから c>a となり c²=a²+b²。図で c と a の大小を思い出せば、引くか足すかは自然に決まる。
入試での出方:2次曲線の解法パターン全14型(出題実績:阪大・筑波大・神戸大・横国大・群馬大)
くわしく:
ド・モアブルの定理数C平面上の曲線と複素数平面
(cosθ+isinθ)ⁿ = cos nθ + i sin nθ。
- 何のための道具か
- 複素数のn乗とn乗根が機械的に出せる。
- つまずくのはここ
- 極形式に直さずに展開して手数を増やす。n乗根で偏角に 2kπ を足し忘れ、解を1つしか出さない(n個ある)。n乗根が複素数平面上で正n角形の頂点に並ぶ、という幾何的な意味を押さえていないと「何個あるか」の見当がつかない。半径は絶対値の n乗根になる。
- 最小の例
z³=1 → z = cos(2kπ/3)+isin(2kπ/3), k=0,1,2
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1(1+i)¹⁰ を計算せよ。
解答展開せずに極形式へ直す。1+i=√2(cos π/4+i sin π/4)。ド・モアブルより (1+i)¹⁰=(√2)¹⁰{cos(10·π/4)+i sin(10·π/4)}=32(cos 5π/2+i sin 5π/2)。5π/2 は 2π を引いて π/2 と同じだから 32(cos π/2+i sin π/2)=32i。極形式に直さずに展開すると手数が跳ね上がる。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2z⁴=-1 を解け。
解答-1 の極形式は cos π+i sin π。偏角は 2kπ ずらしても同じ数を表すので π+2kπ と書いておく。4乗根は偏角を4で割って z=cos((π+2kπ)/4)+i sin((π+2kπ)/4)、k=0,1,2,3 の4個。偏角は π/4, 3π/4, 5π/4, 7π/4。2kπ を足し忘れると解が1つしか出ない。
問3(2) の4つの解は複素数平面上でどう並ぶか。
解答4つの解はすべて絶対値1で、偏角が π/2 ずつ離れている。つまり単位円周上に等間隔に並び、正方形の頂点になる。一般に n乗根は、半径が絶対値の n乗根である円周上に正n角形をなして並ぶ。
入試での出方:複素数平面の解法パターン全16型(出題実績:一橋大・九州大・筑波大・都立大・金沢大・名工大)
くわしく:
ベクトルの共線・共面条件数Cベクトル
一直線上なら係数の和が1、同一平面上なら3係数の和が1。
- 何のための道具か
- 「〜上にある」を式に翻訳する。交点を求める定石。
- つまずくのはここ
- 係数の和が1という条件を書き忘れて未知数が足りなくなる。1次独立の断り書きをせずに係数比較する——比較してよいのは2つのベクトルが平行でなく、どちらも零ベクトルでないときだけ。交点を求めるのに、2直線それぞれの上にあることを別々の文字で2通りに表す、という手順が出てこないのも多い。
- 最小の例
P が直線AB上 ⇔ OP↑ = sOA↑+tOB↑ かつ s+t=1
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問13点 A(1,2), B(3,5), C(7,k) が一直線上にあるとき k を求めよ。
解答一直線上にある条件は AB↑ と AC↑ が平行、すなわち AC↑=m·AB↑ となる実数 m があること。AB↑=(2,3)、AC↑=(6,k-2) なので、成分を比べて 6=2m から m=3、k-2=3m=9 で k=11。成分で平行を判定するなら 2(k-2)-3·6=0 としてもよく、同じ k=11 を得る。検算すると直線ABの傾きは 3/2、A(1,2) と C(7,11) の傾きも 9/6=3/2 で一致する。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2△OAB において、辺OA を 1:2 に内分する点を M、辺OB を 2:1 に内分する点を N とする。線分AN と線分BM の交点を P とするとき、OP↑ を OA↑, OB↑ で表せ。
解答OA↑=a↑, OB↑=b↑ と置くと OM↑=(1/3)a↑、ON↑=(2/3)b↑。P は直線AN上にあるので、係数の和が1になるように OP↑=(1-s)a↑+s·(2/3)b↑ と書ける。P は直線BM上にもあるので、OP↑=t·(1/3)a↑+(1-t)b↑ とも書ける。a↑ と b↑ は1次独立(平行でなく、どちらも零ベクトルでない)なので係数を比較してよい。1-s=t/3 と 2s/3=1-t。第2式から t=1-2s/3。第1式に代入すると 9-9s=3-2s となり s=6/7。よって OP↑=(1/7)a↑+(4/7)b↑。t=3/7 を使っても同じ式になり、検算になる。「直線AN上」を係数の和1で書き、「直線BM上」も同じように書いて、2通りの表し方を係数比較する。これが交点を求める定石。1次独立の断りを書かずに係数比較すると論理が抜ける。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3空間の4点 O, A, B, C について OP↑=(1/2)OA↑+(1/3)OB↑+k·OC↑ とする。点 P が平面ABC 上にあるとき k を求めよ。
解答平面ABC 上にある条件は、3つの係数の和が1になることである。1/2+1/3+k=1 より k=1-5/6=1/6。なぜ和が1かというと、OP↑=OA↑+s·AB↑+t·AC↑ を展開すると (1-s-t)OA↑+s·OB↑+t·OC↑ となり、係数の和が (1-s-t)+s+t=1 と必ず1になるからである。直線上の条件(係数の和が1)を、平面に上げただけの同じ話だと見ておく。ただしこの言い方が使えるのは OA↑, OB↑, OC↑ が1次独立のときで、O が平面ABC 上にあると係数は一通りに決まらない。
入試での出方:ベクトルの図形への応用の解法パターン全14型(出題実績:信州大・静岡大・神戸大・農工大・横国大・滋賀医大)
くわしく:
位置ベクトル数Cベクトル
基準点Oから見た点の位置を表すベクトル。
- 何のための道具か
- 内分点・重心などを式一本で書ける。
- つまずくのはここ
- 内分点の公式で比の対応を逆にする(AP:PB=m:n なら (nA+mB)/(m+n) で、係数が入れ替わる)。外分点を別の公式として覚え直す——内分の n を -n にするだけで、分母が m-n になる。そのため m=n のときは外分点が存在しない。重心が「3頂点の平均」と「中線を頂点側から 2:1 に内分する点」の両方で書けることも押さえる。
- 最小の例
ABをm:nに内分する点 = (nA↑+mB↑)/(m+n)
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1A(1,2), B(4,8) のとき、線分AB を 3:1 に外分する点の座標を求めよ。
解答外分は内分の公式で n を -n に置き換えたもの。3:1 に外分する点は (-1·A↑+3·B↑)/(3-1)=(-A↑+3B↑)/2。座標を入れると ((-1+12)/2, (-2+24)/2)=(11/2, 11)。分母が m-n になるので、m=n だと外分点は存在しない。
問2△ABC の重心 G の位置ベクトルを A↑, B↑, C↑ で表せ。
解答重心は3頂点の平均で G↑=(A↑+B↑+C↑)/3。BC の中点を M とすると、中線を頂点側から 2:1 に内分する点でもあるので AG↑=(2/3)AM↑ とも書ける。どちらの見方でも同じ点になる。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問3△ABC で辺BC を 2:1 に内分する点を D、AD を 3:1 に内分する点を P とする。AP↑ を AB↑, AC↑ で表せ。
解答BD:DC=2:1 なので AD↑=(1·AB↑+2·AC↑)/3。比が 2:1 なら係数は逆に 1, 2 と並ぶ。AP:PD=3:1 なので AP↑=(3/4)AD↑=(AB↑+2AC↑)/4。
入試での出方:ベクトルの図形への応用の解法パターン全14型(出題実績:信州大・静岡大・神戸大・農工大・横国大・滋賀医大)
くわしく:
内積数Cベクトル
a·b = |a||b|cosθ = a₁b₁+a₂b₂。
- 何のための道具か
- 角度と垂直条件を計算に変える唯一の道具。
- つまずくのはここ
- 内積の結果をベクトルだと思う(スカラー)。垂直条件 a·b=0 で、零ベクトルの場合を除外しない。ベクトルの大きさを、そのまま足し引きして求めようとする——|a+b| は |a|+|b| ではない。2乗して |a|²+2a·b+|b|² に展開するのが基本。角を求めなくても、内積と大きさだけで面積 (1/2)√(|a|²|b|²-(a·b)²) が出ることも知っておく。
- 最小の例
a=(1,2), b=(2,-1) → a·b = 2-2 = 0 → 垂直
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1a↑=(1,2), b↑=(x,-3) が垂直となる x を求めよ。
解答a↑·b↑=1·x+2·(-3)=x-6=0 より x=6。内積の値はベクトルではなくスカラー。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2|a↑|=2, |b↑|=3, なす角が60° のとき |a↑+b↑| と |2a↑-b↑| を求めよ。
解答まず a↑·b↑=|a↑||b↑|cos60°=2·3·(1/2)=3。大きさは2乗して展開する。|a↑+b↑|²=|a↑|²+2a↑·b↑+|b↑|²=4+6+9=19 なので |a↑+b↑|=√19。|2a↑-b↑|²=4|a↑|²-4a↑·b↑+|b↑|²=16-12+9=13 なので |2a↑-b↑|=√13。|a↑+b↑| を |a↑|+|b↑|=5 としない。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3その a↑, b↑ が作る三角形の面積を、角を求めずに内積だけで出せ。
解答面積は (1/2)|a↑||b↑|sinθ で、sin²θ=1-cos²θ を使うとS=(1/2)√(|a↑|²|b↑|²-(a↑·b↑)²)。代入して (1/2)√(4·9-3²)=(1/2)√27=(3√3)/2。角そのものを求めなくても、内積と大きさだけで面積が出る。
入試での出方:平面ベクトルの解法パターン全13型(出題実績:群馬大・一橋大・神戸大)
くわしく:
媒介変数表示数C平面上の曲線と複素数平面
x,y を第3の変数 t で表す。
- 何のための道具か
- 動く点の軌跡を、時刻つきで記述できる。
- つまずくのはここ
- t を消去したとき、t の範囲から来る x, y の範囲の制限を落とす。これが軌跡の問題で最も多い減点。式だけ書くと曲線全体になってしまい、実際は一部しか描かないことがある。三角関数で表されているときは cos²+sin² =1 を使うのが定石で、無理に t を解いて代入しようとすると詰まる。
- 最小の例
x=cost, y=sint (0≦t<2π) → 単位円全体
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1x=t², y=2t (t≧0) の表す曲線を求めよ。
解答t=y/2 を x=t² に代入して x=y²/4、つまり y²=4x。ただし t≧0 なので y=2t≧0。放物線の上半分だけで、全体ではない。消去して終わりにせず、t の範囲が x, y に何を課すかを必ず確認する。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2x=2cosθ+1, y=3sinθ-2 (0≦θ<2π) の表す曲線を求めよ。
解答三角関数のときは cos²+sin²=1 を使う。cosθ=(x-1)/2、sinθ=(y+2)/3 だから ((x-1)/2)²+((y+2)/3)²=1。中心 (1, -2)、x 方向の半径2・y 方向の半径3 の楕円。θ が一周するので楕円全体を描く。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3x=cosθ, y=cos2θ (0≦θ≦π/2) の表す曲線を求めよ。
解答2倍角で y=cos2θ=2cos²θ-1=2x²-1。θ が 0 から π/2 まで動くと x=cosθ は 1 から 0 まで動くので 0≦x≦1。答は「放物線 y=2x²-1 のうち 0≦x≦1 の部分」。式だけ書くと放物線全体になってしまう。
入試での出方:いろいろな関数と曲線(数III)の解法パターン全12型(出題実績:名工大・神戸大・関西大・岡山大・名大)
くわしく:
平面ベクトル数Cベクトル
大きさと向きを持つ量。成分でも図でも扱える。
- 何のための道具か
- 図形問題を計算に翻訳する。座標を置かずに済む。
- つまずくのはここ
- 始点を揃えずに足し算する。図形の問題では、まず1つの点を始点に決めて全部そこから測る。ベクトルの等式を長さだけの等式と読む——向きと大きさの両方を同時に主張している。平行でない2つのベクトルがあれば平面上のどんなベクトルも一通りに表せる、という1次結合の一意性を使えないのも多い。
- 最小の例
AB↑ = OB↑ - OA↑
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1a↑=(1,2), b↑=(3,-1) のとき、c↑=(5,0) を a↑, b↑ で表せ。
解答c↑=s·a↑+t·b↑ と置くと (s+3t, 2s-t)=(5, 0)。成分ごとに s+3t=5、2s-t=0。第2式から t=2s、代入して 7s=5 で s=5/7, t=10/7。よって c↑=(5/7)a↑+(10/7)b↑。a↑ と b↑ が平行でなければ、平面上のどんなベクトルもこの形に一通りに表せる。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2△ABC で辺AB, AC の中点をそれぞれ M, N とする。MN↑=(1/2)BC↑ を示し、そこから何が言えるか述べよ。
解答始点を A にそろえる。M は AB の中点なので AM↑=(1/2)AB↑、同様に AN↑=(1/2)AC↑。MN↑=AN↑-AM↑=(1/2)AC↑-(1/2)AB↑=(1/2)(AC↑-AB↑)=(1/2)BC↑。向きが同じで大きさが半分なので、MN は BC に平行で長さは BC の半分。中点連結定理そのもの。座標を置かず、始点をそろえて引き算するだけで図形の性質が出る。ベクトルの等式は向きと大きさの両方を主張していて、長さだけの等式ではない。
入試での出方:平面ベクトルの解法パターン全13型(出題実績:群馬大・一橋大・神戸大)
くわしく:
極座標数C平面上の曲線と複素数平面
点を(原点からの距離 r, 偏角 θ)で表す。
- 何のための道具か
- 円や回転が絡む式が劇的に簡単になる。
- つまずくのはここ
- r<0 を許すかどうかを決めずに扱う。直交座標から極座標へ直すとき、tanθ=y/x だけで偏角を決めて象限を誤る——tan は第1象限と第3象限、第2象限と第4象限を区別できない。cos と sin の符号を両方見て決める。極方程式を直交座標に直すときは、両辺に r を掛けて rcosθ や r² の形を作るのが定石。
- 最小の例
r = 2cosθ は 中心(1,0) 半径1 の円
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1極方程式 r=4cosθ を直交座標の方程式に直せ。
解答両辺に r を掛けると r²=4r cosθ。r²=x²+y²、r cosθ=x だから x²+y²=4x。平方完成して (x-2)²+y²=4。中心 (2, 0)、半径2の円。r を掛けるのは、r cosθ の形を作って x に置き換えるため。
問2直交座標で (-1, -√3) の点を極座標 (r, θ) で表せ(r>0, 0≦θ<2π)。
解答r=√((-1)²+(-√3)²)=√4=2。cosθ=x/r=-1/2、sinθ=y/r=-√3/2。両方が負なので第3象限で θ=4π/3。答は (2, 4π/3)。ここで tanθ=y/x=(-√3)/(-1)=√3 から θ=π/3 とすると誤り。tan だけでは第1象限と第3象限を区別できない。偏角は cos と sin の符号を両方見て決める。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3極方程式 r=2/(1+cosθ) はどんな曲線か。直交座標の方程式に直して答えよ。
解答分母を払って r+r·cosθ=2。r·cosθ=x、r=√(x²+y²) だから √(x²+y²)=2-x。両辺を2乗して x²+y²=4-4x+x²、整理すると y²=-4(x-1)。頂点 (1, 0)、軸が x 軸で左に開く放物線で、焦点は極(原点)にある。2乗したので 2-x≧0 の確認が要るが、y²=-4(x-1) は x≦1 しか許さないので条件は自動的に満たされる。r=l/(1+e·cosθ) の形は離心率 e で放物線・楕円・双曲線が切り替わり、e=1 のここは放物線。
入試での出方:いろいろな関数と曲線(数III)の解法パターン全12型(出題実績:名工大・神戸大・関西大・岡山大・名大)
くわしく:
空間ベクトル数Cベクトル
平面ベクトルを3成分に拡張したもの。
- 何のための道具か
- 立体図形を、図を描かずに計算で処理できる。
- つまずくのはここ
- 平面と同じ感覚で「2つのベクトルで表せる」と考える——2つでは1つの平面しか張れず、そこから外れた点には届かない。空間では3つ必要。内積や大きさの計算で成分を1つ落とす。逆に「同一平面上にある」条件は、2つのベクトルの1次結合で書けること、と押さえる。
- 最小の例
a=(1,0,1), b=(0,1,1) → a·b = 1
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1a↑=(1,2,-1), b↑=(2,-1,3) のなす角を θ とするとき cosθ を求めよ。
解答a↑·b↑=1·2+2·(-1)+(-1)·3=2-2-3=-3。|a↑|=√(1+4+1)=√6、|b↑|=√(4+1+9)=√14。cosθ=-3/(√6·√14)=-3/√84=-3/(2√21)=-√21/14。成分を1つ落とすと値が変わるので、3つとも掛けて足す。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2A(1,0,0), B(0,1,0), C(0,0,1), D(-1,1,1) が同一平面上にあることを示せ。
解答始点を A にそろえる。AB↑=(-1,1,0)、AC↑=(-1,0,1)、AD↑=(-2,1,1)。AD↑=AB↑+AC↑ が成り立つので、AD↑ は AB↑ と AC↑ の1次結合で書ける。よって4点は同一平面上。一般に AD↑=sAB↑+tAC↑ を満たす s, t が存在すれば同一平面上にある。
問3空間の点を表すのに、なぜ2つのベクトルでは足りないのか。
解答平面上なら平行でない2つのベクトルですべて表せるが、空間では2つだと1つの平面しか張れない。その平面から外れた点には届かないので、同一平面上にない3つのベクトルが要る。「2つで足りる」は平面の感覚をそのまま持ち込んだ誤り。
入試での出方:空間ベクトルの解法パターン全12型(出題実績:山口大・九州大・神戸大・千葉大・横国大・名工大)
関連:平面ベクトル、内積、ベクトルの共線・共面条件
くわしく:
複素数平面数C平面上の曲線と複素数平面
複素数を平面上の点として見る。
- 何のための道具か
- 回転と拡大が掛け算1回で書ける。図形問題が劇的に短くなる。
- つまずくのはここ
- 偏角の範囲を決めずに議論する。共役 z̄ の扱いで実部虚部の符号を誤る。中心が原点でない回転で、回転を表す複素数をそのまま掛けてしまう——「中心を原点へ移す→回す→戻す」の3手順が要る。「実数である」「純虚数である」を共役の式(z̄=z、z̄=-z)に翻訳できないのも多い。
- 最小の例
z に i を掛ける = 原点まわりに90°回転
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1z=1+i を原点のまわりに60°回転した点を表す複素数を求めよ。
解答回転は cos60°+i sin60° を掛けるだけ。(1/2+(√3/2)i)(1+i)=1/2+(1/2)i+(√3/2)i+(√3/2)i²=(1-√3)/2+((1+√3)/2)i。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2点 α=2+i のまわりに、点 z=4+3i を90°回転した点を求めよ。
解答中心が原点でないときは、いったん中心を原点へ移してから回し、戻す。w=α+i(z-α)。z-α=2+2i、これに i を掛けて 2i+2i²=-2+2i、α を足して (2-2)+(1+2)i=3i。「移す→回す→戻す」の3手順。中心が原点でないのにそのまま掛けるのが典型的な誤り。
問3z≠0 のとき、z が純虚数であるための条件を共役を使って書け。
解答z が実数 ⟺ z̄=z、z が純虚数 ⟺ z̄=-z(ただし z≠0)。z=a+bi と書くと z̄=-z は a-bi=-a-bi、つまり a=0 で、実部が0という条件と一致する。共役を使うと「実数か」「純虚数か」を、実部・虚部に分けずに式のまま判定できる。
入試での出方:複素数平面の解法パターン全16型(出題実績:一橋大・九州大・筑波大・都立大・金沢大・名工大)
くわしく:
数III
はさみうちの原理数III極限
a_n ≦ b_n ≦ c_n で両端が同じ値に収束すれば真ん中も収束。
- 何のための道具か
- 直接計算できない極限を、上下から挟んで確定させる。
- つまずくのはここ
- 不等式を作るときに n の条件(十分大きい n で成立)を書かない。両端の極限が一致していないのに結論する。そもそも不等式を作るところが本体なのに、どう挟めばよいか思いつかない——|sin|≦1、一番大きい項でくくる、ガウス記号は nx-1<[nx]≦nx、が定番の作り方。
- 最小の例
|sin n / n| ≦ 1/n → 0 なので sin n / n → 0
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1lim[n→∞] (1/n)·sin(n²) を求めよ。
解答|sin(n²)|≦1 なので |(1/n)sin(n²)|≦1/n。右辺は0に収束し左辺は0以上なので、はさみうちで極限は0。sin(n²) 自体は収束しないが、掛かっている 1/n が0へ押しつぶす。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2lim[n→∞] ⁿ√(2ⁿ+3ⁿ) を求めよ。
解答3ⁿ≦2ⁿ+3ⁿ≦2·3ⁿ なので、n乗根を取って 3≦ⁿ√(2ⁿ+3ⁿ)≦3·2^(1/n)。右端は 2^(1/n)→2⁰=1 だから3に収束する。両端が3なので極限は3。一番大きい項でくくって上下の評価を作るのが定石。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3x を実数とするとき lim[n→∞] [nx]/n を求めよ([ ] はガウス記号)。
解答ガウス記号は nx-1<[nx]≦nx を満たす。n で割ると x-1/n<[nx]/n≦x。両端とも x に収束するので極限は x。はさみうちは「不等式を作る」ところが本体で、両端が同じ値に収束することまで示して初めて結論できる。
入試での出方:極限の解法パターン全15型(出題実績:東北大・信州大・神戸大・名工大・山口大・島根大)
くわしく:
体積と回転体数III積分法
断面積を積分すると体積になる。
- 何のための道具か
- 立体の量を1変数の積分で測る。
- つまずくのはここ
- 回転体で半径を2乗し忘れる(π∫y²dx)。y軸回転なのに x で積分する——回転軸に沿った変数で積分し、半径のほうを相手の文字で表す。回転させたとき重なる部分を二重に数える。そもそも体積の本体は断面積の積分で、回転体は断面が円になる特別な場合にすぎない。
- 最小の例
y=f(x) をx軸回転 → V = π∫[a,b]{f(x)}²dx
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1y=√x (0≦x≦4) を x 軸のまわりに回転した立体の体積を求めよ。
解答V=π∫[0,4](√x)²dx=π∫[0,4]x dx=π[x²/2](0→4)=8π。半径の2乗を忘れない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2y=x³ (0≦x≦2) を y 軸のまわりに回転した立体の体積を求めよ。
解答y 軸まわりなら、断面の半径は x で、積分するのは y。y=x³ より x=y^(1/3)、x²=y^(2/3)。y の範囲は 0 から 8。V=π∫[0,8]y^(2/3)dy=π[(3/5)y^(5/3)](0→8)=π·(3/5)·32=96π/5。x のまま積分してはいけない。回転軸に沿った変数で積分する。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3底面が半径1の円で、x 軸に垂直な断面がすべて正三角形である立体の体積を求めよ。
解答回転体でなくても「断面積を積分する」は同じ。x での断面は1辺 2√(1-x²) の正三角形なので、面積は (√3/4)·4(1-x²)=√3(1-x²)。V=∫[-1,1]√3(1-x²)dx=√3[x-x³/3](-1→1)=√3·(4/3)=4√3/3。体積の本体は断面積の積分で、回転体は断面が円になる特別な場合にすぎない。
入試での出方:体積・曲線の長さ(数III)の解法パターン全13型(出題実績:筑波大・神戸大・横国大・岡山大・千葉大)
くわしく:
凹凸と変曲点数III微分法
f''の符号で曲がり方が決まり、符号の変化点が変曲点。
- 何のための道具か
- グラフの形を正確に描く最後の一手。
- つまずくのはここ
- f''(a)=0 だけで変曲点と断定する。f''=0 は必要条件であって十分条件ではなく、前後で符号が変わって初めて変曲点になる。凹凸の向きを逆に覚える(f''>0 で下に凸)。極値だけ調べて増減表を書き、曲がり方を確かめずにグラフを描くのも多い。
- 最小の例
y=x³ → y''=6x、x=0 で符号が変わる → 変曲点
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1y=x⁴ の x=0 は変曲点か。
解答y''=12x²。x=0 で y''=0 だが、前後とも y''>0 で符号が変わらない。つまり前後どちらも下に凸のままなので変曲点ではない。y''=0 は変曲点の必要条件であって十分条件ではない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2y=x/(x²+1) の増減と凹凸を調べ、変曲点をすべて求めよ。
解答商の微分で y'=(1-x²)/(x²+1)²。y'=0 は x=±1 で、x=1 で極大 1/2、x=-1 で極小 -1/2。もう一度微分すると y''=2x(x²-3)/(x²+1)³。分母は常に正なので符号は 2x(x²-3) で決まる。y''=0 は x=0, ±√3 で、それぞれの前後で符号が変わる。よって変曲点は3つあり (0, 0), (√3, √3/4), (-√3, -√3/4)。極値だけ調べて増減表を書いても、グラフの曲がり方は分からない。f'' まで見て初めて概形が確定する。
入試での出方:微分法(数III)の解法パターン全18型(出題実績:千葉大・神戸大・岡山大・名工大・横国大・富山大)
くわしく:
区分求積法数III積分法
和の極限を定積分に読み替える。
- 何のための道具か
- Σ の極限が計算できないとき、面積に翻訳して解く。
- つまずくのはここ
- (1/n) が式の中に隠れているとき、括り出さずに積分へ直そうとする——分母分子を n で割って (1/n)·f(k/n) の形を作るのが手順。k の上端が n でないときに区間を [0,1] のままにするのも定番で、k が 2n まで動くなら k/n は 2 まで動き、区間は [0,2] になる。
- 最小の例
lim (1/n)Σ[k=1,n] f(k/n) = ∫[0,1]f(x)dx
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1lim[n→∞] (1/n)Σ[k=1,n] 1/(1+k/n) を求めよ。
解答すでに (1/n) が外に出ていて、中身が k/n の式になっている。k/n を x に、(1/n) を dx に、k=1〜n を区間 [0,1] に読み替えて∫[0,1]dx/(1+x)=[log(1+x)](0→1)=log2。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2lim[n→∞] Σ[k=1,n] n/(n²+k²) を求めよ。
解答(1/n) が見えないので自分で作る。n/(n²+k²)=n/{n²(1+(k/n)²)}=(1/n)·1/(1+(k/n)²)。よって ∫[0,1]dx/(1+x²)=[arctan x](0→1)=π/4。分母分子を n² で割って (1/n) を括り出すのが手順。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3lim[n→∞] Σ[k=1,2n] 1/(n+k) を求めよ。
解答1/(n+k)=(1/n)·1/(1+k/n) と直せる。ただし k が 2n まで動くので k/n は 0 から 2 まで。区間は [0,1] ではなく [0,2]。∫[0,2]dx/(1+x)=[log(1+x)](0→2)=log3。上端が n でないときは区間の右端も変わる。k の範囲を必ず確認する。
入試での出方:面積(数III)の解法パターン全12型(出題実績:岡山大・神戸大・大阪大・埼玉大・信州大)
くわしく:
合成関数の微分数III微分法
{f(g(x))}' = f'(g(x))·g'(x)。
- 何のための道具か
- 入れ子構造の関数を外から順に剥がして微分する。
- つまずくのはここ
- 内側の微分 g'(x) を掛け忘れる。数IIIで最も多い失点。入れ子が3重以上になると、途中の層を飛ばして掛け算が1つ足りなくなる——層の数だけ掛かる。陰関数を微分するとき、y² の微分が 2y·y' になることに気づかないのも多い。y を x の関数と見れば、これも合成関数の微分そのもの。
- 最小の例
(sin2x)' = cos2x · 2 = 2cos2x
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1y=(3x²+1)⁵ を微分せよ。
解答外側を微分して内側の微分を掛ける。y'=5(3x²+1)⁴·6x=30x(3x²+1)⁴。内側の 6x を掛け忘れるのが数IIIで最も多い失点。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2y=sin³(2x+1) を微分せよ。
解答入れ子が3重なので外から順に剥がす。いちばん外が3乗、次が sin、いちばん内が 2x+1。y'=3{sin(2x+1)}²·cos(2x+1)·2=6sin²(2x+1)cos(2x+1)。最後の 2 は 2x+1 の微分。層の数だけ掛け算が増える。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3円 x²+y²=25 上の点 (3, 4) における接線の傾きを求めよ。
解答y は x の関数なので、y² を x で微分すると 2y·y' になる。これも合成関数の微分。両辺を微分して 2x+2y·y'=0、よって y'=-x/y。(3, 4) を代入して -3/4。半径 (3, 4) の傾き 4/3 と掛けると -1 になり、接線と半径が垂直であることと一致する。
入試での出方:微分法(数III)の解法パターン全18型(出題実績:千葉大・神戸大・岡山大・名工大・横国大・富山大)
くわしく:
対数微分法数III微分法
両辺の対数を取ってから微分する。
- 何のための道具か
- 累乗の形(x^x など)や、積・商が多い式を扱える。
- つまずくのはここ
- 絶対値をつけずに対数を取る。最後に元の関数 y を掛け戻すのを忘れる。底も指数も変数の x^x に (xⁿ)' や (aˣ)' の公式を当ててしまうのも多い——指数だけが変数なら (aˣ)'、底だけが変数なら (xⁿ)'、両方なら対数微分法。
- 最小の例
y=x^x → logy = xlogx → y'/y = logx+1 → y' = x^x(logx+1)
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1y=xˣ (x>0) を微分せよ。
解答(xⁿ)' の形に当てると x·x^(x-1)=xˣ、(aˣ)' の形に当てると xˣ·log x。どちらも誤り。log y=x log x から y'/y=log x+1、つまり y'=xˣ(log x+1)。正解が2つの誤答の和になっているのは偶然ではなく、底と指数の両方が動くぶんが足し合わさるから。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2y=x^(sin x) (x>0) を微分せよ。
解答底も指数も x を含むので (xⁿ)' も (aˣ)' も使えない。両辺の対数をとる。log y=sin x·log x。両辺を x で微分して y'/y=cos x·log x+sin x/x。y'=x^(sin x)(cos x·log x+sin x/x)。最後に y を掛け戻すのを忘れない。
問3y=(x-1)²(x+2)³/(x+3)⁴ を微分せよ。
解答積と商の塊にも効く。log|y|=2log|x-1|+3log|x+2|-4log|x+3| と、積は和に、商は差に、指数は係数に変わる。y'/y=2/(x-1)+3/(x+2)-4/(x+3) なので y'=y{2/(x-1)+3/(x+2)-4/(x+3)}。積の微分と商の微分を重ねるより計算量がはるかに少ない。
入試での出方:微分法(数III)の解法パターン全18型(出題実績:千葉大・神戸大・岡山大・名工大・横国大・富山大)
くわしく:
平均値の定理数III微分法
連続かつ微分可能なら、平均変化率に等しい接線の傾きが存在する。
- 何のための道具か
- 不等式の証明と、極限の評価に使う。
- つまずくのはここ
- c の存在だけが言えるのに、c の値を具体的に決めようとする。区間の開閉(閉区間で連続・開区間で微分可能)の条件を書かない。条件確認を飛ばすのが最も危険で、区間内に微分できない点が1つでもあれば結論は成り立たない。
- 最小の例
f(b)-f(a) = f'(c)(b-a) を満たす c が (a,b) に存在
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問10<a<b のとき (b-a)/b < log(b/a) < (b-a)/a を示せ。
解答f(x)=log x は x>0 で連続かつ微分可能。[a, b] に平均値の定理を使うと(log b – log a)/(b-a)=1/c を満たす c が a<c<b に存在する。a<c<b より 1/b<1/c<1/a。b-a>0 を掛けて (b-a)/b < log(b/a) < (b-a)/a。c の値は求まらないが、c の存在範囲だけで不等式が出る。これがこの定理の使い方。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2すべての実数 x, y に対し |sin x – sin y| ≦ |x-y| を示せ。
解答x=y なら等号成立。x≠y のとき f(t)=sin t に平均値の定理を使うと(sin x – sin y)/(x-y)=cos c を満たす c が x と y の間に存在する。|cos c|≦1 だから |sin x – sin y|≦|x-y|。導関数の上限が、そのまま関数の変化の速さの上限になる。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3f(x)=|x| は [-1, 1] で平均変化率が 0 だが、f'(c)=0 となる c は (-1, 1) に存在しない。これは平均値の定理に反しないか。
解答反しない。f(x)=|x| は x=0 で微分可能でなく、前提を満たしていない。実際 f'(x) は x>0 で 1、x<0 で -1 の2値しかとらず、0 になる点はない。「[a, b] で連続かつ (a, b) で微分可能」は飾りではなく、1点でも欠けると結論は保証されない。
入試での出方:微分法(数III)の解法パターン全18型(出題実績:千葉大・神戸大・岡山大・名工大・横国大・富山大)
くわしく:
数列の極限数III極限
n を限りなく大きくしたときの行き先。
- 何のための道具か
- 無限を有限の言葉で扱う。級数・微積分の土台。
- つまずくのはここ
- ∞-∞ や ∞/∞ をそのまま計算する(不定形。式変形で解消してから極限を取る)。振動する数列に「発散」以外の値を与える。逆に、符号さえ振動していれば発散だと決めつけるのも誤り——振幅が 0 に潰れれば収束する。rⁿ を含む式で場合分けを忘れるのも定番で、r の値によって「いちばん大きくなる項」が入れ替わる。
- 最小の例
(n²-n)/(2n²+1) → n²で割って 1/2
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1lim[n→∞] (√(n²+n) – n) を求めよ。
解答∞-∞ の不定形なので、そのままでは計算できない。分子を有理化する。√(n²+n)-n={(n²+n)-n²}/(√(n²+n)+n)=n/(√(n²+n)+n)。分母分子を n で割って 1/(√(1+1/n)+1)→1/(1+1)=1/2。n² の係数だけ見て 1-1=0 と答えないこと。実際 √(n²+n) は n より 1/2 だけ大きい側に近づく。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2r>0 のとき lim[n→∞] (rⁿ-1)/(rⁿ+1) を求めよ。
解答rⁿ が発散するのか 0 に収束するのかで話が変わるので、r で場合分けする。r>1 のとき rⁿ→∞ だから分母分子を rⁿ で割って (1-(1/r)ⁿ)/(1+(1/r)ⁿ)→(1-0)/(1+0)=1。r=1 のとき (1-1)/(1+1)=0。0<r<1 のとき rⁿ→0 だから (0-1)/(0+1)=-1。「いちばん大きくなる項で割る」という判断そのものが場合分けを生んでいる。
問3数列 {(-1)ⁿ} と {(-1)ⁿ/n} の極限をそれぞれ調べよ。
解答(-1)ⁿ は 1 と -1 を交互にとり、どこにも近づかない。極限は存在せず振動する。一方 (-1)ⁿ/n は -1/n≦(-1)ⁿ/n≦1/n で、両端がともに 0 に収束するからはさみうちの原理より 0 に収束する。符号が振動していても、振幅が 0 に潰れれば収束する。振動する数列=発散、ではない。
入試での出方:極限の解法パターン全15型(出題実績:東北大・信州大・神戸大・名工大・山口大・島根大)
くわしく:
曲線の長さ数III積分法
L = ∫√(1+(dy/dx)²)dx。
- 何のための道具か
- 曲がった道のりを測る。
- つまずくのはここ
- 根号の中の1を落とす。媒介変数表示のとき √((dx/dt)²+(dy/dt)²) に切り替えるのを忘れる。根号を外すときに絶対値を確認せず符号を落とすのも多い——√(4sin²(t/2))=2|sin(t/2)| で、積分区間で中身が正であることを確かめて初めて絶対値が外せる。長さは必ず正なので、負の値が出たらこの符号処理を疑う。
- 最小の例
媒介変数なら L = ∫√((dx/dt)²+(dy/dt)²)dt
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1y=(2/3)x^(3/2) (0≦x≦3) の長さを求めよ。
解答y'=√x なので 1+(y')²=1+x。L=∫[0,3]√(1+x)dx=[(2/3)(1+x)^(3/2)](0→3)=(2/3)(8-1)=14/3。根号の中の 1 を落とさない。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2サイクロイド x=t-sin t, y=1-cos t (0≦t≦2π) の長さを求めよ。
解答媒介変数表示なので L=∫√((dx/dt)²+(dy/dt)²)dt に切り替える。dx/dt=1-cos t, dy/dt=sin t だから(1-cos t)²+sin²t=1-2cos t+1=2-2cos t=4sin²(t/2)。ここで √(4sin²(t/2))=2|sin(t/2)| であり、0≦t≦2π では t/2 が 0 から π なので sin(t/2)≧0、よって絶対値が外せて 2sin(t/2)。L=∫[0,2π]2sin(t/2)dt=[-4cos(t/2)](0→2π)=4+4=8。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3半円 y=√(1-x²) (-1≦x≦1) の長さを、y=f(x) の式と媒介変数表示の両方で求めよ。
解答y'=-x/√(1-x²) より 1+(y')²=1/(1-x²) なので L=∫[-1,1]dx/√(1-x²)。値は π になるが、両端で被積分関数が発散する広義積分で、極限をとる処理が要る。一方 x=cos t, y=sin t (0≦t≦π) と置くと (dx/dt)²+(dy/dt)²=sin²t+cos²t=1 なのでL=∫[0,π]dt=π。同じ答えだが手間がまるで違う。端点で接線が垂直になる曲線は、媒介変数表示に直してから長さを測る。
入試での出方:体積・曲線の長さ(数III)の解法パターン全13型(出題実績:筑波大・神戸大・横国大・岡山大・千葉大)
くわしく:
積の微分・商の微分数III微分法
(fg)'=f'g+fg'、(f/g)'=(f'g-fg')/g²。
- 何のための道具か
- 複雑な式を部品に分けて微分する。
- つまずくのはここ
- (fg)' = f'g' とする。商の微分で分子の引き算の順序を逆にする(f'g が先)。3つ以上の積で項数が足りなくなるのも多い——項数は因数の個数と同じで、4つの積なら4項。分母が単項式なのに商の微分を持ち出すのも遠回りで、各項に分けて指数の微分に直すほうが速い。
- 最小の例
(x·sinx)' = sinx + x·cosx
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1y=(x²+1)/(x-1) を微分せよ。
解答(f/g)'=(f'g-fg')/g² で、分子は f'g が先。引き算の順序を逆にしない。y'={2x(x-1)-(x²+1)·1}/(x-1)²=(2x²-2x-x²-1)/(x-1)²=(x²-2x-1)/(x-1)²。順序を逆にすると符号が全部反転するので、不安なら x に具体値を入れて増減と合うか確かめる。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2y=x·eˣ·sin x を微分せよ。
解答3つの積は (uvw)'=u'vw+uv'w+uvw'。1つだけ微分して残りはそのまま、を因数の数だけ足す。y'=1·eˣ·sin x+x·eˣ·sin x+x·eˣ·cos x=eˣ{(1+x)sin x+x cos x}。項数は因数の個数と同じで、4つの積なら4項になる。
問3y=(2x+1)/x³ を、商の微分を使う方法と使わない方法の両方で微分せよ。
解答商の微分で解くと y'={2·x³-(2x+1)·3x²}/x⁶=(2x³-6x³-3x²)/x⁶=-(4x+3)/x⁴。一方 y=(2x+1)/x³=2x⁻²+x⁻³ と各項に分ければ y'=-4x⁻³-3x⁻⁴=-(4x+3)/x⁴。同じ答えが速く出る。分母が単項式のときは、商の微分より先に分解を疑う。分母が2項以上になって初めて商の微分の出番。
入試での出方:微分法(数III)の解法パターン全18型(出題実績:千葉大・神戸大・岡山大・名工大・横国大・富山大)
くわしく:
置換積分数III積分法
変数を置き換えて積分を簡単な形に変える。
- 何のための道具か
- 合成関数の微分の逆操作。数IIIの積分の主力。
- つまずくのはここ
- dx と dt の変換(dx = (dx/dt)dt)を忘れる。定積分で積分区間を新しい変数のものに直さない。置換が積分区間で1対1(単調)であることの確認も抜けやすく、途中で折り返す置換は結果が壊れる。区間を直したのに答えが合わないときは、まずこの折り返しを疑う。
- 最小の例
∫2x·cos(x²)dx、t=x² とおくと ∫cos t dt = sin(x²)+C
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1∫[0,1] x√(1-x²) dx を求めよ。
解答被積分関数に「ある式とその微分」が同居しているので、その式を t とおく。t=1-x² とおくと dt=-2x dx、つまり x dx=-(1/2)dt。x:0→1 のとき t:1→0。-(1/2)∫[1,0]√t dt=(1/2)∫[0,1]√t dt=(1/2)[(2/3)t^(3/2)](0→1)=1/3。積分区間も t のものに直す。ここを直さず x の区間のまま計算するのが最も多い失点。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2∫[0,1] √(1-x²) dx を求めよ。
解答こちらは逆向きで、x を新しい変数の式で置く。x=sin θ とおくと √(1-sin²θ)=|cos θ|。0≦x≦1 に 0≦θ≦π/2 を対応させれば cos θ≧0 なので絶対値が外れて cos θ になる。dx=cos θ dθ だから ∫[0,π/2]cos²θ dθ=∫[0,π/2](1+cos2θ)/2 dθ=[θ/2+sin2θ/4](0→π/2)=π/4。半径1の四分円の面積と一致する。t=(x の式)と x=(θ の式)は方向が逆で、根号や 1-x² を含む形では後者を使う。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3∫[-1,1] x² dx を t=x² と置換すると 0 になってしまう。誤りの原因は何か。
解答正しい値は [x³/3](-1→1)=2/3。t=x² と置くと、x が -1 から 1 まで動く間に t は 1 から 0 まで減り、再び 1 まで増える。上端と下端がともに 1 になるので ∫[1,1]=0 という誤答が出る。原因は x↦x² が [-1, 1] で1対1でないこと。x=0 で折り返している。置換積分は、置換が積分区間で単調であることが前提。偶関数だから 2∫[0,1]x²dx と分けてから置換すれば、[0, 1] では単調なので正しく 2/3 が出る。
入試での出方:積分法(数III・計算)の解法パターン全18型(出題実績:横国大・阪大・名大・神戸大・都立大・筑波大)
くわしく:
連続と中間値の定理数III極限
連続関数は区間の中間の値を必ず取る。
- 何のための道具か
- 解の存在を、解を求めずに示せる。
- つまずくのはここ
- 連続性の確認を省く。区間の端点で符号が異なることを示さずに解の存在を主張する。この定理が保証するのは存在だけなのに、個数まで言い切ってしまうのも多い——個数を確定するには、次数や単調性といった別の根拠を足す必要がある。
- 最小の例
f(0)<0, f(1)>0 かつ連続 → (0,1)に解がある
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1x³-3x+1=0 が 0<x<1 に解をもつことを示せ。
解答f(x)=x³-3x+1 とおくと、多項式なのですべての実数で連続。f(0)=1>0, f(1)=1-3+1=-1<0 で符号が異なる。中間値の定理より f(c)=0 となる c が 0<c<1 に存在する。「連続である」と「両端で符号が異なる」の2つを必ず書く。どちらが欠けても答案として不足。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2x³-3x+1=0 の実数解はちょうど3個であることを示せ。
解答符号の変わり目を探す。f(-2)=-1<0, f(-1)=3>0 だから (-2, -1) に解がある。f(0)=1>0, f(1)=-1<0 だから (0, 1) に解がある。f(1)=-1<0, f(2)=3>0 だから (1, 2) に解がある。3つの区間は互いに重ならないので、実数解は少なくとも3個。一方、3次方程式の実数解は高々3個。よってちょうど3個。中間値の定理が言えるのは存在だけで、個数の確定には次数や単調性という別の根拠が要る。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3f(x)=1/x は f(-1)=-1<0, f(1)=1>0 だが f(x)=0 となる x は存在しない。中間値の定理に反しないか。
解答反しない。f(x)=1/x は x=0 で定義されておらず、区間 [-1, 1] で連続でないから。前提は「閉区間で連続」であって、両端の符号だけではない。符号条件しか確かめずに結論を書くと、この形で崩れる。
入試での出方:極限の解法パターン全15型(出題実績:東北大・信州大・神戸大・名工大・山口大・島根大)
くわしく:
部分積分数III積分法
∫f g' = fg – ∫f' g。
- 何のための道具か
- 積の形の積分を、微分しやすい方を減らす方向に持っていく。
- つまずくのはここ
- f と g' の選び方を誤り、かえって複雑になる。対数や多項式を微分する側に置くのが原則。符号を落とす。多項式は次数の分だけ繰り返しが要るのに、1回で止めてしまうのも多い(x³ なら3回)。eˣ と三角関数の積で同じ積分が戻ってきたときに、失敗と思って手を止めるのも定番——そこは移項して方程式として解く合図。
- 最小の例
∫x·e^x dx = x·e^x - ∫e^x dx = e^x(x-1)+C
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1∫[1,e] log x dx を求めよ。
解答log x には原始関数の公式がないので、log x を微分する側に置く。1=(x)' と見て ∫[1,e]log x dx=[x log x](1→e)-∫[1,e]x·(1/x)dx=e-∫[1,e]1 dx=e-(e-1)=1。「積分できないほうを微分側に置く」が選び方の原則。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2∫[0,π] x² sin x dx を求めよ。
解答多項式は微分するたびに次数が下がるので、x² を微分側に置いて繰り返す。∫[0,π]x² sin x dx=[-x²cos x](0→π)+∫[0,π]2x cos x dx=π²+2∫[0,π]x cos x dx。2回目は ∫[0,π]x cos x dx=[x sin x](0→π)-∫[0,π]sin x dx=0-2=-2。よって π²+2·(-2)=π²-4。次数が1つ下がるたびに部分積分が1回要る。x³ なら3回で、途中で止めると答えが出ない。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3∫ eˣ sin x dx を求めよ。
解答eˣ も sin x も微分で消えないので、次数を下げる作戦は使えない。I=∫eˣ sin x dx とおいて2回続ける。I=eˣ sin x-∫eˣ cos x dx で、さらに ∫eˣ cos x dx=eˣ cos x+∫eˣ sin x dx=eˣ cos x+I。代入すると I=eˣ sin x-eˣ cos x-I。右辺に元の I が戻ってきたので移項して 2I=eˣ(sin x-cos x)、つまり I=eˣ(sin x-cos x)/2+C。同じ積分が戻ってきたのは失敗ではなく、方程式として解く合図。
入試での出方:積分法(数III・計算)の解法パターン全18型(出題実績:横国大・阪大・名大・神戸大・都立大・筑波大)
くわしく:
関数の極限数III極限
x を a に近づけたときの f(x) の行き先。
- 何のための道具か
- 連続性と微分の定義そのもの。
- つまずくのはここ
- 左極限と右極限が一致するか確認せずに極限を答える。0/0 をそのまま0とする。
- 最小の例
lim[x→0] sinx/x = 1
STEP1 基本定義・公式をそのまま1回使う。ここが通らなければ用語の説明へ戻る。
問1lim[x→0] (1-cos x)/x² を求めよ。
解答(1-cos x)(1+cos x)/(x²(1+cos x))=sin²x/(x²(1+cos x))→1·(1/2)=1/2。そのまま代入すると 0/0 で決まらない。0になる原因を約分で取り除くのが基本方針で、ここでは 1+cos x を掛けて sin²x を作り、lim(sin x)/x=1 に持ち込んでいる。
STEP2 標準条件の確認や場合分けが要る。「つまずくのはここ」と同じ落とし穴を踏ませる。
問2lim[x→0] (√(1+x)-1)/x を求めよ。
解答これも 0/0。分子を有理化する。(√(1+x)-1)(√(1+x)+1)=x なので、式は x/{x(√(1+x)+1)}=1/(√(1+x)+1)→1/2。約分できる形を作るために分子を有理化する、という手順は (1) と同じである。
STEP3 入試接続他の単元と混ぜる、または文字定数で範囲を出す。ここまで解ければ過去問へ進んでよい。
問3lim[x→∞]{√(x²+3x)-x} と lim[x→-∞]{√(x²+3x)+x} を求めよ。
解答こちらは ∞-∞ で、これも代入では決まらない(0 ではない)。有理化して {(x²+3x)-x²}/(√(x²+3x)+x)=3x/(√(x²+3x)+x)。x>0 では √(x²+3x)=x√(1+3/x) なので 3x/{x(√(1+3/x)+1)}=3/(√(1+3/x)+1)→3/2。後半は同じ計算をそのまま持ってきてはいけない。x→-∞ では x<0 なので √(x²)=|x|=-x である。x=-t(t→∞)と置くと √(t²-3t)-t となり、有理化して -3t/(√(t²-3t)+t)=-3/(√(1-3/t)+1)→-3/2。√ を x でくくり出すとき、x の符号を確認せずに √(x²)=x としてしまうのが最頻の失点である。
入試での出方:極限の解法パターン全15型(出題実績:東北大・信州大・神戸大・名工大・山口大・島根大)
くわしく:
用語を正確に押さえることが、伸びる近道
数学が苦手になる原因の多くは、計算力そのものより「用語の意味があいまいなまま先に進んでしまうこと」にあります。たとえば「絶対値=符号を外すこと」とだけ覚えていると文字が入った瞬間につまずきますが、「原点からの距離」という本来の定義まで押さえていれば、方程式や不等式も同じ考え方で解けます。用語の定義は、後の単元でつながって効いてくる土台です。
この辞典では、単に言葉を言い換えるだけでなく、「なぜそう定義するのか」「どんな場面で使うのか」まで具体例つきで示すようにしています。定義を正確に理解しておくと、応用問題で条件を読み替えたり、複数の単元をまたぐ問題で発想したりする力が自然と身につきます。
辞典・単元ガイド・演習の使い分け
数強塾では、学習の目的に応じて3つのコンテンツを用意しています。目的に合わせて行き来すると、理解と定着が両立します。
| コンテンツ | 向いている目的 | こんなとき |
|---|---|---|
| 数学用語辞典(本ページ) | 用語の意味を1語ずつ確認 | 言葉の意味があいまいなとき |
| 数学単元ガイド | 単元ごとに体系的に理解 | どこでつまずくか整理したいとき |
| 因数分解100本ノックなど演習 | 手を動かして反復 | 計算を速く正確にしたいとき |
※まず辞典で意味を確認し、単元ガイドで流れをつかみ、演習で反復する——この順で往復すると、知識が「使える」状態まで定着しやすくなります。
よくある質問(FAQ)
Q. この数学用語辞典はどう使えばよいですか?
教科書や問題集で意味があいまいな用語に出会ったとき、その言葉を1語ずつ確認する入り口として使ってください。各ページは冒頭に簡潔な定義を置き、意味・具体例・関連用語の順にまとめています。関連用語のリンクをたどれば、つながりのある言葉まで理解を広げられます。単元単位で体系的に学びたいときは数学単元ガイドと併用するのがおすすめです。
Q. 掲載している用語は今後増えますか?
はい。現在は数学I・A・II・B・C・IIIの全111語を公開しています。各語について、定義・何のための道具か・つまずきやすい点・最小の例をまとめ、さらに詳しく学べる当サイトの解説記事へのリンクを添えています。用語は今後も追加していきます。
Q. 用語を調べた後、演習で手を動かすにはどうすればよいですか?
各用語ページの関連リンクから、対応する演習ページへ進めます。たとえば因数分解の用語ページからは因数分解100本ノックへ、単元全体の流れをつかみたいときは数学単元ガイドへつながっています。意味の確認(辞典)と反復(演習)を行き来すると定着が早まります。
数学単元ガイド|因数分解100本ノック|過去問解説|数強塾トップ
監修・執筆:藤原進之介(オンライン数学専門塾 数強塾)
数学用語辞典のあとに読むページ
整数まわりの用語(互いに素・合同式・平方剰余・原始ピタゴラス数・p進付値・循環節など)を1ページで通して使えるようにしたのが下のページです。語の意味だけでなく「その語が出てきたら何をするか」まで書いてあります。
- 整数の解法パターン全18型+判定ドリル8題 ── 型から引く
- 整数問題の3つの方針 ── 方針の立て方から
- 数学の要点辞典(全57単元) ── 他の単元の要点
語の意味は分かったのに、問題が解けないときは
原因が、いま見ている語ではなくもっと前の技能にあることがあります。数強塾は、いま出た誤答から「理解が切れた最初の地点」を逆向きに特定するための辞典を別に用意しています。中高一貫校の体系数学に対応した全43単元、各単元に3問の診断つきです。
数強塾オリジナル 追加演習4題——「どの語を引けばいいか」が分からないときのために
この辞典は111語を単元別に並べ、各語を「定義 → 意味 → 具体例 → 関連用語」でそろえてあります。ただし辞典には、辞典であるがゆえの弱点が1つあります。
引くべき語の名前を知っている人しか、引けません。「解けなかった」という状態から出発すると、111語のどこを開けばよいかが分からない。「この辞典の使い方」の節も、語を決めたあとの読み方は書いていますが、語を決める前の入り口は書いていません。
そこで、解く途中で手が止まった場所ごとに、引くべき語が分かる4題を用意しました。1問が3〜4語にまたがっています。全部解ける必要はありません。止まった場所の語だけを引いてください。それがこの辞典のいちばん効率のよい使い方です。
追加第1問(数I:二次関数)
\(x^2-4x+k = 0\) が \(0 \lt x \lt 3\) の範囲に異なる2つの実数解をもつような、定数 \(k\) の範囲を求めよ。
解答
\(f(x) = x^2-4x+k\) とおき、条件を3つに分けます。
(1) 2つの実数解をもつ:判別式 \(D = 16-4k \gt 0\) より \(k \lt 4\)。
(2) 2解が範囲の中にある(軸の位置):軸は \(x = 2\) で、これは \(0 \lt x \lt 3\) の中。\(k\) によらず成り立ちます。
(3) 両端での符号:下に凸なので、両端で正であればよい。\(f(0) = k \gt 0\)、\(f(3) = 9-12+k = k-3 \gt 0\) より \(k \gt 3\)。
3つを合わせて
\[ 3 \lt k \lt 4 \]
ここで止まったら、引く語 判別式(数I 二次関数)/解の配置(数I 二次関数)/軸と定義域の場合分け(数I 二次関数)
検算
\(k\) を範囲の中と外で試します。
\(k = 3.5\)(範囲内):\(x = 2\pm\dfrac{\sqrt2}{2} \fallingdotseq 1.293,\ 2.707\)。両方 \(0\) と \(3\) のあいだ。○
\(k = 2.5\)(範囲外):\(x \fallingdotseq 0.775,\ 3.225\)。片方が \(3\) を超えます。○(\(f(3) \gt 0\) が効いている)
\(k = 4.5\)(範囲外):\(D = -2 \lt 0\) で実数解なし。○
「範囲に解をもつ」型は、必ず範囲の外の値を2つ試してください。3条件のどれか1つを落としても、範囲の中の値では気づけません(解の配置の原理|「D・軸・端点」は公式ではない)。
追加第2問(数A:場合の数と確率)
赤玉 \(4\) 個と白玉 \(3\) 個が入った袋から、同時に \(4\) 個取り出す。赤玉が \(2\) 個以上である確率を求めよ。
解答(直接数える)
全体は \({}_7\mathrm{C}_4 = 35\) 通り。赤玉の個数で分けます。
赤2個:\({}_4\mathrm{C}_2 \times {}_3\mathrm{C}_2 = 6 \times 3 = 18\) 赤3個:\({}_4\mathrm{C}_3 \times {}_3\mathrm{C}_1 = 4 \times 3 = 12\) 赤4個:\({}_4\mathrm{C}_4 \times {}_3\mathrm{C}_0 = 1\)
\[ P = \frac{18+12+1}{35} = \frac{31}{35} \]
解答(余事象で数える)
「赤が2個以上でない」は「赤が0個または1個」。赤0個は白を4個選ぶことになりますが、白は3個しかないので不可能(\(0\) 通り)。赤1個は \({}_4\mathrm{C}_1 \times {}_3\mathrm{C}_3 = 4\) 通り。
\[ P = 1-\frac{0+4}{35} = \frac{31}{35} \]
ここで止まったら、引く語 組合せ(数A)/確率の基本(数A)/余事象(数A)
直接なら3通り、余事象なら2通りを数えるだけ。しかも余事象側では「白が足りないので0通り」という、数える前に決まる場合が出ます。「2個以上」を見たら、まず反対側の個数を数えてみる——これは確率とはの追加演習でも軸にした考え方です。
検算
赤 \(0\) 個から \(4\) 個までの場合の数を全部足すと \(0+4+18+12+1 = 35\)。全体と一致します。○
すべての場合を足して全体になるか——これが数え上げのいちばん強い検算です。片方だけ数えて安心せず、必ず全部を並べてください。
追加第3問(数II:微分・積分の考え)
曲線 \(y = x^3-3x\) について、
(1) \(x = 2\) における接線の方程式を求めよ。
(2) その接線が曲線と再び交わる点の座標を求めよ。
解答
(1) 接点の \(y\) 座標は \(f(2) = 8-6 = 2\)。傾きは導関数 \(f'(x) = 3x^2-3\) に \(x=2\) を入れて \(f'(2) = 9\)。
\[ y-2 = 9(x-2) \ \Longrightarrow\ y = 9x-16 \]
(2) 曲線と接線を連立します。
\[ x^3-3x = 9x-16 \ \Longrightarrow\ x^3-12x+16 = 0 \]
ここで手が止まりがちですが、\(x = 2\) が重解であることが分かっています(接しているので)。だから \((x-2)^2\) でくくれます。
\[ (x-2)^2(x+4) = 0 \]
よって再び交わるのは \(x = -4\)。\(y = 9(-4)-16 = -52\)。
\[ (-4,\ -52) \]
ここで止まったら、引く語 微分係数と導関数(数II)/接線の方程式(数II)/因数定理(数II)/高次方程式(数II)
(2) の急所は「接する=重解」を先に使うことです。3次方程式を因数定理で1つずつ試すより、\((x-2)^2\) が因数だと分かっていれば割り算1回で終わります。接点の情報は、次の方程式を解く材料になる——これが辞典の「接線の方程式」と「高次方程式」をつなぐ場所です。
検算
展開して戻します。\((x-2)^2(x+4) = (x^2-4x+4)(x+4) = x^3-12x+16\)。○
\(x = -4\) を両方に入れます。曲線は \((-4)^3-3(-4) = -64+12 = -52\)。接線は \(9(-4)-16 = -52\)。○ 一致しました。
追加第4問(数C:ベクトル)
\(\vec{a} = (1,\ 2)\)、\(\vec{b} = (3,\ -1)\) とする。\(t\) が実数全体を動くとき、\(\left|\vec{a}+t\vec{b}\right|\) の最小値と、そのときの \(t\) を求めよ。
解答(2次関数として)
大きさは2乗して展開します。\(\vec a \cdot \vec b = 3-2 = 1\)、\(\left|\vec a\right|^2 = 5\)、\(\left|\vec b\right|^2 = 10\)。
\[ \left|\vec a+t\vec b\right|^2 = \left|\vec a\right|^2+2t\,\vec a \cdot \vec b+t^2\left|\vec b\right|^2 = 10t^2+2t+5 \]
\(t\) の2次関数なので平方完成します。
\[ 10\left(t+\frac{1}{10}\right)^2+\frac{49}{10} \]
\(t = -\dfrac{1}{10}\) のとき最小値 \(\dfrac{49}{10}\)。求めるのは大きさなので
\[ \left|\vec a+t\vec b\right| = \sqrt{\frac{49}{10}} = \frac{7}{\sqrt{10}} = \frac{7\sqrt{10}}{10} \]
解答(垂直条件から)
幾何的には、\(\vec a+t\vec b\) が最短になるのはそれが \(\vec b\) と垂直になるときです。
\[ \left(\vec a+t\vec b\right) \cdot \vec b = \vec a \cdot \vec b+t\left|\vec b\right|^2 = 1+10t = 0 \ \Longrightarrow\ t = -\frac{1}{10} \]
同じ \(t\) が出ました。2次関数の頂点と、垂直条件が一致します。
ここで止まったら、引く語 内積(数C)/平方完成(数I)/2次関数の最大最小(数I)
検算
\(t = -\dfrac{1}{10}\) を代入します。\(\vec a+t\vec b = \left(1-\dfrac{3}{10},\ 2+\dfrac{1}{10}\right) = \left(\dfrac{7}{10},\ \dfrac{21}{10}\right)\)。
大きさの2乗は \(\dfrac{49}{100}+\dfrac{441}{100} = \dfrac{490}{100} = \dfrac{49}{10}\)。○
垂直も確かめます。\(\left(\dfrac{7}{10},\ \dfrac{21}{10}\right) \cdot (3,\ -1) = \dfrac{21}{10}-\dfrac{21}{10} = 0\)。○ 2つの道が同じ答えに着いたら、まず間違いありません。
止まった場所と、引く語
| 止まった場所 | 引く語 | |
|---|---|---|
| 第1問 | 2つの実数解があるか | 判別式(数I) |
| 第1問 | 解が範囲の中にあるか | 解の配置/軸と定義域の場合分け(数I) |
| 第2問 | 選び方の数え方 | 組合せ(数A) |
| 第2問 | 「2個以上」の処理 | 余事象/確率の基本(数A) |
| 第3問 | 接線の傾きの出し方 | 微分係数と導関数/接線の方程式(数II) |
| 第3問 | 交点の方程式が解けない | 因数定理/高次方程式(数II) |
| 第4問 | 大きさの2乗の展開 | 内積(数C) |
| 第4問 | 最小値の出し方 | 平方完成/2次関数の最大最小(数I) |
表を見ると、1問が数I・数A・数II・数C をまたいでいます。第4問は数Cの問題ですが、詰まる場所は数Iの「平方完成」かもしれない。単元別に並んだ111語を、単元の順に読む必要はありません。止まった1語だけを引いて、また問題に戻ってください。それが「この辞典の使い方」に書いた「辞典と演習を行き来する」の実際の姿です。
この4題で確認したこと
- 辞典は語を決めてから引く道具。決められないときは、問題を解いて止まった場所から語を決める。
- 1問は多くの場合複数の単元にまたがる。詰まった場所の単元が、問題の単元とはかぎらない(追加第4問)。
- 範囲に解をもつ条件はD・軸・端点の3つ。範囲の外の値を2つ試して確かめる(追加第1問)。
- 「〜以上」は反対側を数えたほうが速いことが多い。すべての場合を足して全体になるかで検算(追加第2問)。
- 接する=重解。接点の情報は、次の方程式を因数分解する材料になる(追加第3問)。
- ベクトルの大きさは2乗して展開。最小は2次関数としても、垂直条件としても出る(追加第4問)。
この4題で使った語のうち、追加演習つきで詳しく読めるのは 二次方程式とは(解と係数の関係)、不等式とは(\(D \leqq 0\) の二次不等式)、平方完成とは(係数が負のとき)、確率とは(分母の取り方)、順列と組合せとは(1対1対応)、微分係数とは(極値の候補)、内積とは(負の内積)です。
解の配置は 解の配置の原理|「D・軸・端点」は公式ではない、型から引くなら 解法パターン事典|全49単元618型の総索引、単元の順に読むなら 高校数学の全単元一覧、演習に進むなら 特訓道場 総索引 へ。
要点だけを速く確認したいときは 数学I・Aの要点辞典、数学II・B・Cの要点辞典、数学IIIの要点辞典 もあります。全体の地図は 数学辞書・学習マップ をどうぞ。
要点辞典この単元の公式・定石・つまずきやすい所は 数学の要点辞典まとめ:全57単元の逆引き にまとめてあります。


