この章は前半と後半で、まったく別の技能が要ります。
前半(複素数と判別式)は計算です。i² = −1 さえ守れば、あとは文字式の計算と同じ。
後半(剰余の定理・因数定理・高次方程式)は探索です。3次方程式を解くとき、まず解を1つ見つけるところから始まります。そこで手が止まる人がとても多い。
見つけ方には決まった手順があります。
定数項の約数を、順に代入してみる。
x³−6x²+11x−6 なら、定数項は −6。だから ±1、±2、±3、±6 を試す。x=1 で 0 になれば、x−1 で割り切れると分かります。
そして割り算には組立除法という速い方法があります。筆算より圧倒的に速く、3次以上ではこれが標準です。ところが教科書での扱いが小さく、知らないまま高校を終える人がいます。このページでは第3節でしっかり扱いました。
全20問・各5点の100点満点、目安は70分です。後半は「まず1つ解を見つける」から始めてください。
この回の範囲 ① 複素数 ② 2次方程式の解と判別式 ③ 解と係数の関係 ④ 因数定理 ⑤ 高次方程式(体系数学3 数式・関数編 第2章の全5節)
目安 70分/100点満点/全20題。答えを写して終わりにしないで、必ず「使う道具」の行を自分の言葉で言い直してください。
先に確認する道具
道具1 複素数は「i² = −1 の文字式」
i² = −1。これだけ守れば、あとは文字式とまったく同じに計算できます。
(3+2i)(1−4i) なら、ふつうに展開して
3 − 12i + 2i − 8i² = 3 − 10i + 8 = 11 − 10i
(−8i² が +8 になるところだけが違います。)
共役複素数は、虚部の符号を変えたもの。z = a+bi の共役は z̄ = a−bi。
共役には便利な性質があります。
- z + z̄ = 2a(実数になる)
- z × z̄ = a²+b²(実数になる)
分母に複素数があるときは、共役をかけて実数化します。3+2i1−4i なら、分母分子に 1+4i をかけて分母を 1+16 = 17 にします。
複素数の相等は、実部どうし・虚部どうしを別々に比べる。(a+2) + (b−3)i = 5 − i なら、a+2 = 5 かつ b−3 = −1 の2本の式になります。
道具2 判別式は「グラフと x軸」で見る
ax²+bx+c = 0 の判別式は D = b² − 4ac。
次のとおり、符号で解の種類が決まります。
大事なのはグラフとの対応です。D は「放物線が x軸と何点で交わるか」を表しています。
- D > 0 → 2点で交わる → 実数解2つ
- D = 0 → 接する → 重解
- D < 0 → 交わらない → 実数解なし
この対応を持っていると、「グラフが x軸と交わらないような k の範囲」のような問題がそのまま判別式の不等式になります。
もう1つ、重要な性質があります。
実数係数の方程式では、虚数解は必ず共役の対で現れる。
1+2i が解なら、1−2i も必ず解です。だから虚数解の個数は必ず偶数になり、3次方程式には実数解が少なくとも1つあります。
道具3 解と係数の関係
ax²+bx+c = 0 の2解を α、β とすると
α+β = −ba αβ = ca
解を求めずに、和と積だけが分かるのが利点です。
これを使うと、次のような値が計算できます。
- α²+β² = (α+β)² − 2αβ
- (α−β)² = (α+β)² − 4αβ
- 1α+1β = α+βαβ
- α³+β³ = (α+β)³ − 3αβ(α+β)
3次方程式にも同じ関係があります。x³+px²+qx+r = 0 の3解を α、β、γ とすると
- α+β+γ = −p
- αβ+βγ+γα = q
- αβγ = −r
(符号が交互に変わります。)
逆向きにも使えます。和が s、積が p の2数を解にもつ2次方程式はx² − sx + p = 0。
道具4 剰余の定理と因数定理
剰余の定理:多項式 P(x) を x−a で割った余りは P(a)。
割り算をしなくても、代入するだけで余りが分かります。
因数定理:P(a) = 0 ⟺ P(x) は x−a で割り切れる。
剰余の定理の特別な場合(余りが0)です。これが高次方程式を解く鍵になります。
解の見つけ方には手順があります。
- 定数項の約数を書き出す
- 順に代入して、P(a) = 0 になる a を探す
- 見つかったら x−a で割る
x³−6x²+11x−6 なら、定数項 −6 の約数±1、±2、±3、±6 を試します。x=1 で 1−6+11−6 = 0。見つかりました。
なぜ定数項の約数なのか。因数分解が (x−α)(x−β)(x−γ) の形になるなら、定数項は −αβγ です。α が整数なら、定数項の約数でなければなりません。
道具5 組立除法──筆算より速い割り算
x−a で割るときは、組立除法が圧倒的に速いです。
下の図が手順です。2x³−3x²+4x−5 を x−2 で割ります。
- 係数を横に並べる(2、−3、4、−5)。欠けている次数があれば 0 を入れる。
- 最初の係数(2)をそのまま下ろす。
- 下ろした数に a(=2) をかけて、次の列に書く。
- その列を足して、下ろす。
- これを繰り返す。
最後に出た数(7)が余り、それ以外(2、1、6)が商の係数です。
つまり商は 2x²+x+6、余りは 7。
検算もできます。余りは P(2) に等しいはずなので、2×8 − 3×4 + 4×2 − 5 = 16−12+8−5 = 7。合っています。
注意点は1つだけ。欠けている次数に 0 を入れる。x³−7x+6 なら x² の係数が無いので1、0、−7、6 と並べます。ここを飛ばすと全部ずれます。
第1節 複素数の計算(第1問〜第4問)
i² = −1 を守れば文字式と同じです。共役を使った実数化まで確実に。
第1問5点
z = 3+2i、w = 1−4i のとき、次を計算せよ。
(1) z+w (2) z−w (3) zw (4) zw
使う道具道具1
(1) 実部どうし、虚部どうしを足す。
(3+1) + (2−4)i = 4−2i。
(2) (3−1) + (2−(−4))i = 2+6i。
(3) 展開する。
(3+2i)(1−4i) = 3 − 12i + 2i − 8i²。
i² = −1 なので −8i² = +8。
3 + 8 − 10i = 11−10i。
(4) 分母の共役 1+4i を分母分子にかける。
(3+2i)(1+4i)(1−4i)(1+4i)。
分母 = 1+16 = 17。
分子 = 3+12i+2i+8i² = 3−8+14i = −5+14i。
−5+14i17。
よくある誤答(4)で分母の共役を使う。(1−4i)(1+4i) = 1−16i² = 1+16 = 17。和と差の積の形なので、必ず実数になる。分母を実数にすることを「分母の実数化」という。(分母の有理化と同じ考え方。)
答え (1) 4−2i/(2) 2+6i/(3) 11−10i/(4) −5+14i17
第2問5点
z = 2−5i について、(1) 共役複素数 z̄ を答えよ。(2) z+z̄ と z z̄ を計算し、どちらも実数になることを確かめよ。(3) z−z̄ はどのような数になるか答えよ。
使う道具道具1
(1) 虚部の符号を変える。z̄ = 2+5i。
(2) z+z̄ = (2−5i)+(2+5i) = 4。
虚部が打ち消し合って実数になる。
z z̄ = (2−5i)(2+5i) = 4 − 25i² = 4+25 = 29。
これも実数。(= 2²+5²)
(3) z−z̄ = (2−5i)−(2+5i) = −10i。
実部が消えるので純虚数になる。
よくある誤答z z̄ = a²+b² は必ず0以上の実数である。(これが |z|² にあたる。)この性質があるから、分母の実数化ができる。また z+z̄ = 2a、z−z̄ = 2bi と、実部と虚部を取り出す道具にもなる。
答え (1) 2+5i/(2) z+z̄=4、z z̄=29(どちらも実数)/(3) −10i(純虚数)
第3問5点
実数 a、b について、(a+2) + (b−3)i = 5 − i が成り立つとき、a、b の値を求めよ。
使う道具道具1
複素数の相等は、実部と虚部を別々に比べる。
実部:a+2 = 5 より a = 3。
虚部:b−3 = −1 より b = 2。
確かめ。a=3、b=2 を代入すると
(3+2) + (2−3)i = 5 − i。○
よくある誤答a、b が実数であることが前提である。もし a、b が複素数なら、実部・虚部に分けて比べることができない。問題文の「実数 a、b について」という一言が、この解法を使ってよい根拠になっている。答案でも「a、b は実数だから」と書くこと。
答え a = 3、b = 2
第4問5点
次を計算せよ。
(1) (1+i)² (2) (1+i)⁴ (3) i¹⁰⁰
使う道具道具1
(1) (1+i)² = 1 + 2i + i² = 1 + 2i − 1 = 2i。
(2) (1+i)⁴ = {(1+i)²}² = (2i)² = 4i² = −4。
(3) i の累乗は4つで循環する。
i¹ = i、i² = −1、i³ = −i、i⁴ = 1。
100 ÷ 4 = 25 あまり 0 なので、i¹⁰⁰ = (i⁴)²⁵ = 1。
よくある誤答(2)を最初から4乗展開しない。2乗の結果を2乗するほうが圧倒的に速い。(3)は指数を4で割った余りを見る。余り0なら1、1なら i、2なら −1、3なら −i。この循環は、複素数平面(数C)で90°ずつの回転として意味づけられる。
答え (1) 2i/(2) −4/(3) 1
第2節 判別式と解と係数(第5問〜第10問)
判別式はグラフと対応させて覚えてください。実数係数なら虚数解は共役の対で現れます。
第5問5点
次の2次方程式の解の種類を、判別式を使って判定せよ。
(1) x²−5x+6=0 (2) x²−4x+4=0 (3) x²+x+1=0
使う道具道具2
D = b²−4ac で判定する。
(1) D = 25 − 24 = 1 > 0。
異なる2つの実数解。(実際 x=2、3)
(2) D = 16 − 16 = 0。
重解。(実際 x=2)
(3) D = 1 − 4 = −3 < 0。
実数解なし(異なる2つの虚数解)。
(解の公式で x = −1±√3 i2。)
よくある誤答(3)を「解なし」で終えない。実数の範囲では解なし、複素数まで広げれば解は2つ。数IIでは複素数を扱うので、「異なる2つの虚数解をもつ」と答えるのが正確である。(数Iの範囲では「実数解なし」でよい。)
答え (1) 異なる2つの実数解/(2) 重解/(3) 異なる2つの虚数解
第6問5点
2次方程式 x²−6x+k=0 について、(1) 重解をもつときの k の値と、そのときの解を求めよ。(2) 異なる2つの実数解をもつ k の範囲を求めよ。(3) 虚数解をもつ k の範囲を求めよ。
使う道具道具2
D = 36 − 4k。
(1) 重解は D = 0 のとき。36−4k = 0 より k = 9。
そのとき x²−6x+9 = (x−3)² = 0 で x = 3。
(2) D > 0 より 36−4k > 0、k < 9。
(3) D < 0 より k > 9。
確かめ。k=8 なら x²−6x+8 = (x−2)(x−4) で実数解2つ。○
k=10 なら D = −4 で虚数解。○
よくある誤答不等式を解くとき −4k の符号に注意する。36−4k > 0 → −4k > −36 → 負の数で割るので向きが変わって k < 9。ここで向きを間違えると、答えが正反対になる。不安なら k=0 を入れて確かめる(D=36>0 で2実解)。
答え (1) k=9、解は x=3/(2) k<9/(3) k>9
第7問5点
2次方程式 x²−5x+3=0 の2つの解を α、β とするとき、次の値を求めよ。
(1) α+β (2) αβ (3) α²+β² (4) 1α+1β
使う道具道具3
解と係数の関係より
(1) α+β = 5。(−ba = 5)
(2) αβ = 3。(ca = 3)
(3) α²+β² = (α+β)² − 2αβ
= 25 − 6 = 19。
(4) 1α+1β = α+βαβ = 53。
解を求めずに計算できるのがこの関係の利点。
(実際の解は 5±√132 で扱いにくい。)
よくある誤答(3)で α²+β² = (α+β)² としない。2αβ を引くのを忘れない。(α+β)² = α²+2αβ+β² なので、α²+β² を出すには 2αβ を引く。この変形は「対称式を和と積で表す」というこの単元の核心である。
答え (1) 5/(2) 3/(3) 19/(4) 53
第8問5点
(1) 3 と −2 を解にもつ2次方程式を1つ作れ。(2) 1+2i と 1−2i を解にもつ2次方程式を1つ作れ。また、(2)の方程式の係数が実数になる理由を説明せよ。
使う道具道具3
(1) 和は 3+(−2) = 1、積は 3×(−2) = −6。
x² − 1x + (−6) = 0、つまり x²−x−6 = 0。
((x−3)(x+2) = 0 を展開しても同じ。)
(2) 和は (1+2i)+(1−2i) = 2(実数)。
積は (1+2i)(1−2i) = 1 − 4i² = 1+4 = 5(実数)。
x²−2x+5 = 0。
理由:2つの解が共役なので、和では虚部が打ち消し合い、積は a²+b² の形になって、どちらも実数になる。
だから係数(和と積で決まる)も実数になる。
よくある誤答x² − (和)x + (積) = 0 の形。和の前がマイナスである。(1)なら x² − 1x − 6。符号を間違えると解が変わる。作ったら必ず解を代入して確かめること。
答え (1) x²−x−6=0/(2) x²−2x+5=0。共役な2解は和も積も実数になるため
第9問5点
実数を係数にもつ2次方程式 x²+ax+b=0 の解の1つが 1+i であるとき、a、b の値ともう1つの解を求めよ。
使う道具道具2
実数係数なので、虚数解は共役の対で現れる。
よってもう1つの解は 1−i。
和は (1+i)+(1−i) = 2。
解と係数の関係より −a = 2、a = −2。
積は (1+i)(1−i) = 1−i² = 2。
b = 2。
方程式は x²−2x+2 = 0。
確かめ。1+i を代入すると
(1+i)² − 2(1+i) + 2 = 2i − 2 − 2i + 2 = 0。○
よくある誤答「実数を係数にもつ」という条件が決定的である。これがあるから、もう1つの解が共役だと言える。(係数が複素数でよいなら、もう1つの解は何でもあり得る。)答案では「係数が実数だから、共役 1−i も解」と根拠を書くこと。
答え a = −2、b = 2、もう1つの解は 1−i
第10問5点
3次方程式 x³−x²+x−1=0 について、(1) すべての解を求めよ。(2) 実数解と虚数解の個数を答えよ。(3) 実数係数の3次方程式が、必ず実数解をもつ理由を説明せよ。
使う道具道具2
(1) x=1 を代入すると 1−1+1−1 = 0。x−1 で割り切れる。
x³−x²+x−1 = (x−1)(x²+1)。
x²+1 = 0 より x = ±i。
解は 1、i、−i。
(2) 実数解 1個、虚数解 2個。
(3) 実数係数なら、虚数解は必ず共役の対で現れる。
つまり虚数解の個数は必ず偶数。
3次方程式の解は全部で3個なので、虚数解が0個か2個。どちらの場合も実数解が少なくとも1つ残る。
よくある誤答(3)は「グラフが必ず x軸と交わるから」でもよい(3次関数は x→±∞ で y→±∞ になるため)。どちらの説明でも正しいが、「虚数解は偶数個」という論法のほうが5次・7次でもそのまま使える。(奇数次の実数係数方程式は必ず実数解をもつ。)
答え (1) 1、i、−i/(2) 実数解1個、虚数解2個/(3) 虚数解は共役の対で偶数個なので、奇数次では実数解が残る
第3節 剰余の定理・因数定理・組立除法(第11問〜第15問)
この節が後半の土台です。組立除法は、覚えれば一生使えます。
第11問5点
P(x) = x³−2x²+3x−5 について、(1) P(x) を x−2 で割った余りを求めよ。(2) P(x) を x+1 で割った余りを求めよ。(3) 割り算を実際にせずに求められる理由を説明せよ。
使う道具道具4
(1) 剰余の定理より、余りは P(2)。
P(2) = 8 − 8 + 6 − 5 = 1。
(2) x+1 = x−(−1) なので、余りは P(−1)。
P(−1) = −1 − 2 − 3 − 5 = −11。
(3) 理由:P(x) を x−a で割った商を Q(x)、余りを r とすると
P(x) = (x−a)Q(x) + r。
ここに x=a を代入すると、(a−a)Q(a) = 0 なので P(a) = r。
つまり余りは P(a) に等しい。
よくある誤答(2)で x+1 は x−(−1) と読む。P(1) としてしまう誤りが多い。「割る式を 0 にする値」を代入すると覚えるとよい。x+1 = 0 なら x = −1。x−2 = 0 なら x = 2。この読み方なら間違えない。
答え (1) 1/(2) −11/(3) P(x)=(x−a)Q(x)+r に x=a を代入すると P(a)=r になるため
第12問5点
P(x) = x³−6x²+11x−6 を因数分解せよ。また、方程式 P(x) = 0 の解をすべて求めよ。
使う道具道具4
定数項 −6 の約数を候補にする。
±1、±2、±3、±6。
P(1) = 1 − 6 + 11 − 6 = 0。見つかった。
因数定理より x−1 で割り切れる。
組立除法で割ると、商は x²−5x+6。
x³−6x²+11x−6 = (x−1)(x²−5x+6)。
さらに x²−5x+6 = (x−2)(x−3)。
(x−1)(x−2)(x−3)。
解は x = 1、2、3。
確かめ。3解の和は 6(= x² の係数の符号を変えたもの)。○
3解の積は 6(= 定数項の符号を変えたもの)。○
よくある誤答候補を定数項の約数に絞ること。やみくもに代入しない。(理由は道具4のとおり、整数解 α があれば α は定数項を割り切る。)また、1つ見つけたら必ず割って次数を下げる。2次まで下がれば、あとは因数分解か解の公式で終わる。
答え (x−1)(x−2)(x−3)/解は x = 1、2、3
第13問5点
2x³−3x²+4x−5 を x−2 で割った商と余りを、組立除法を使って求めよ。また、余りが正しいことを剰余の定理で確かめよ。
使う道具道具5
係数を並べる:2、−3、4、−5。
最初の 2 を下ろす。
2 × 2 = 4 を次に足す:−3 + 4 = 1。
1 × 2 = 2 を次に足す:4 + 2 = 6。
6 × 2 = 12 を次に足す:−5 + 12 = 7。
出た数は 2、1、6、7。
最後の 7 が余り、残りが商の係数。
商は 2x²+x+6、余りは 7。
剰余の定理で確認:
P(2) = 2×8 − 3×4 + 4×2 − 5 = 16 − 12 + 8 − 5 = 7。○
よくある誤答組立除法で使う数は a(=2) であって−2 ではない。(x−2 で割るなら 2 を使う。x+2 なら −2。)また、欠けている次数には 0 を入れる。x³−7x+6 なら 1、0、−7、6 と並べる。これを忘れると全部ずれる。
答え 商 2x²+x+6、余り 7(P(2)=7 と一致)
第14問5点
P(x) = x³+ax+b を x−1 で割ると 4 余り、x+2 で割ると −5 余る。定数 a、b の値を求めよ。
使う道具道具4
剰余の定理より、
P(1) = 4:1 + a + b = 4 …①
P(−2) = −5:−8 − 2a + b = −5 …②
①より a + b = 3。
②より −2a + b = 3。
辺々引くと 3a = 0、a = 0。
①に代入して b = 3。
確かめ。P(x) = x³+3 とすると
P(1) = 1+3 = 4。○ P(−2) = −8+3 = −5。○
よくある誤答P(−2) の計算で (−2)³ = −8。符号を落とさない。また a の項は a×(−2) = −2a。負の値を代入するときは、必ずかっこを付けて書く。暗算で進めると、この2か所で必ず事故が起きる。
答え a = 0、b = 3
第15問5点
多項式 P(x) を x−1 で割ると 3 余り、x−2 で割ると 5 余る。P(x) を (x−1)(x−2) で割った余りを求めよ。
使う道具道具4
2次式で割った余りは1次以下なので、余りを ax+b と置く。
P(x) = (x−1)(x−2)Q(x) + ax + b。
x=1 を代入:P(1) = a + b = 3 …①
((1−1)(1−2)Q(1) = 0 になる。)
x=2 を代入:P(2) = 2a + b = 5 …②
②−① より a = 2。
①に代入して b = 1。
余りは 2x+1。
確かめ。x=1 で 3、x=2 で 5。○
よくある誤答余りの次数は、割る式より低い。2次式で割ったら余りは1次以下なので ax+b。(定数と決めつけて b だけにすると解けない。)また、代入すると (x−1)(x−2)Q(x) の部分が0 になって消えるのがこの解法の要点。Q(x) が分からなくても答えが出る。
答え 2x+1
第4節 高次方程式(第16問〜第20問)
まず1つ解を見つける。定数項の約数から探すのが定石です。
第16問5点
方程式 x³−7x+6 = 0 を解け。
使う道具道具4
定数項 6 の約数 ±1、±2、±3、±6 を試す。
P(1) = 1 − 7 + 6 = 0。
x−1 で割る。x² の項が無いので、係数は 1、0、−7、6。
組立除法(a=1):
1 を下ろす → 0+1 = 1 → −7+1 = −6 → 6+(−6) = 0。
商は x²+x−6、余りは 0。
x³−7x+6 = (x−1)(x²+x−6) = (x−1)(x+3)(x−2)。
解は x = −3、1、2。
確かめ。3解の和は 0(x² の係数が0だから)。○
3解の積は −6 …ではなく、(−3)×1×2 = −6。定数項6の符号を変えたもの。○
よくある誤答x² の項が無いので 0 を入れる。1、−7、6 の3つで組立除法をすると、次数がずれて答えが出ない。4次なら5個、3次なら4個の係数を並べる。個数を数えてから始めると、この事故を防げる。
答え x = −3、1、2
第17問5点
方程式 x³ = 1 を、複素数の範囲で解け。
使う道具道具4
x³ − 1 = 0 と移項する。
因数分解の公式 a³−b³ = (a−b)(a²+ab+b²) を使う。
(x−1)(x²+x+1) = 0。
(P(1) = 0 から因数定理で割ってもよい。)
x−1 = 0 より x = 1。
x²+x+1 = 0 は判別式 1−4 = −3 < 0 なので虚数解。
解の公式より x = −1±√3 i2。
答えは 1、−1+√3 i2、−1−√3 i2 の3つ。
(これを「1の3乗根」という。)
よくある誤答「x³ = 1 だから x = 1」で終えない。3次方程式の解は3つある。(実数の範囲では1つだが、複素数まで含めると3つ。)2つの虚数解は互いに共役になっている。これは実数係数の方程式の性質どおりである。
答え x = 1、−1+√3 i2、−1−√3 i2
第18問5点
方程式 x⁴−5x²+4 = 0 を解け。
使う道具道具4
x² = t と置く(複2次式)。
t² − 5t + 4 = 0。
(t−1)(t−4) = 0 より t = 1、4。
t を x にもどす。
x² = 1 より x = ±1。
x² = 4 より x = ±2。
解は x = −2、−1、1、2 の4つ。
確かめ。因数分解すると(x−1)(x+1)(x−2)(x+2)。展開すると x⁴−5x²+4。○
よくある誤答t の値で終わらない。聞かれているのは x である。t = 1、4 は途中経過にすぎない。また、1つの t から x が2つ出るので、解は全部で4つになる。(t が負なら x は虚数になる。その場合も解は2つ出る。)
答え x = −2、−1、1、2
第19問5点
3次方程式 x³−6x²+11x−6 = 0 の3つの解を α、β、γ とするとき、(1) α+β+γ (2) αβ+βγ+γα (3) αβγをそれぞれ求めよ。(解を求めずに答えること。)
使う道具道具3
3次方程式 x³+px²+qx+r = 0 の解と係数の関係より
(1) α+β+γ = −p = 6。
(2) αβ+βγ+γα = q = 11。
(3) αβγ = −r = 6。
確かめ。実際の解は 1、2、3。
和は 1+2+3 = 6。○
2つずつの積の和は 1×2 + 2×3 + 3×1 = 2+6+3 = 11。○
積は 1×2×3 = 6。○
よくある誤答符号が交互に変わるのがこの関係の特徴。和は −p、2つずつの積の和は +q、3つの積は −r。2次のとき(和 −b、積 +c)と同じ規則である。「次数が上がるごとに符号が反転」と覚える。不安なら、この問題のように実際の解で確かめるとよい。
答え (1) 6/(2) 11/(3) 6
第20問5点
実数を係数にもつ3次方程式 x³+ax²+bx+6 = 0 の解の1つが 1+i である。(1) 他の2つの解を求めよ。(2) a、b の値を求めよ。
使う道具道具3
(1) 実数係数なので、共役 1−i も解。
3つ目の解を r とする。
解と係数の関係より、3解の積は −6(定数項6の符号を変えたもの)。
(1+i)(1−i) × r = −6。
(1+i)(1−i) = 2 なので 2r = −6、r = −3。
他の2解は 1−i と −3。
(2) 3解の和は −a。
(1+i) + (1−i) + (−3) = 2 − 3 = −1。
−a = −1 より a = 1。
2つずつの積の和は b。
(1+i)(1−i) + (1−i)(−3) + (−3)(1+i)
= 2 + (−3+3i) + (−3−3i) = 2 − 6 = −4。
b = −4。
確かめ。x³+x²−4x+6 に 1+i を代入すると 0 になる。○
よくある誤答3つ目の解を、定数項から先に求めるのが速い。(積が分かっているので、割り算1回で出る。)和から求めようとすると a が未知のままで進めない。「分かっている関係から使う」のが手順。この問題では積(定数項)だけが a、b を含まない。
答え (1) 1−i と −3/(2) a = 1、b = −4
解き終えた人へ
採点の目安です。80点以上なら、この章は仕上がっています。これで体系数学3 数式・関数編は、残り第1章だけです。
60〜75点のときは、落とした問題が第3節・第4節に集まっていないかを見てください。集まっていれば、原因は「最初の1つが見つけられない」ことです。
定数項の約数を、順に代入する。
これだけです。第12問と第16問を、この手順どおりに解き直してください。
55点以下のときは、組立除法を練習してください。これは知識ではなく手順なので、3〜4回やれば手が覚えます。第13問を、数を変えて何度かやってみてください。筆算より速くなった時点で、この節は突破できます。
最後に、この章でいちばん実用的な事実を。
実数係数の方程式では、虚数解は必ず共役の対で現れる。
解が1つ「1+i」と与えられたら、何も計算せずに「1−i も解」と書ける。第10問も第20問も、この一言から始まりました。知っているかどうかだけで、解ける・解けないが分かれます。
次にやると効くページ
- 体系数学 全単元つまずき診断辞典(43単元) ── どこで切れているのか分からないときは、誤答から原因を逆引きできます
- 数II 複素数(基礎)特訓道場(20題) ── 複素数の計算と共役をもっと積みたいとき
- 数II 複素数と方程式 特訓道場(20題) ── 判別式と解と係数の関係を集中的に
- 体系数学3 数式・関数編 第3章 2次関数とグラフ 章末テスト ── 同じ巻の次の章。判別式はグラフと x軸の関係そのものです
- 体系数学3 数式・関数編 第4章 図形と式 章末テスト ── 同じ巻の章。判別式は円と直線の位置関係でも使います
- 体系数学3 論理・確率編 第4章 式と証明 章末テスト ── 恒等式と因数分解の続き。等式・不等式の証明へ
- 数学II・B・C の要点辞典 ── この章の公式・定石を短くまとめたページ
- 無料学習プリント・映像授業 ── 単元別のプリントを無料で公開しています
体系数学3 数式・関数編 章末テスト 全6章
数I・数IIで使う1冊ぶんを、章ごとに20題・100点でそろえました。順番どおりでなくてかまいません。今つまずいている章から取ってください。
- 第1章 数と式 ── 展開・因数分解・整式の割り算・分数式・実数
- 第2章 複素数と方程式 ── 複素数と共役・判別式・剰余の定理・組立除法・高次方程式(いま読んでいるページ)
- 第3章 2次関数とグラフ ── 平方完成・最大最小・2次不等式
- 第4章 図形と式 ── 内分外分・直線と円・軌跡と領域
- 第5章 三角比 ── 正弦定理・余弦定理・面積・測量への応用
- 第6章 三角関数 ── 弧度法と一般角・グラフ・加法定理・合成
ほかの巻は体系数学3 論理・確率編(全5章)へ。単元から逆引きしたいときは体系数学 全単元つまずき診断辞典から誤答の形で原因をたどれます。
要点辞典この単元の公式・定石・つまずきやすい所は 数学II・B・Cの要点辞典:複素数と方程式 にまとめてあります。
📕 体系数学3 数式・関数編 第2章の関連ページ
この章は「つまずき解説」と「章末テスト」の2ページで対になっています。解説で原因を押さえてからテストで確認すると、どこが抜けていたのかがはっきりします。
全26章の並びと、どの章がどこでつまずくのかは体系数学の危険単元マップ、誤答から原因を逆引きするときは体系数学 全単元つまずき診断辞典から。
