場合の数では、起こり方を漏れなく重複なく数えます。公式を選ぶ前に「場合を分けるのか、操作を続けるのか」「順番を区別するのか」を言葉にしましょう。
重複を許して順番を区別せず選ぶ問題、仕切り、整数解、同じ物の分配は重複組合せの例題10問で詳しく確認できます。
異なる人を組へ分ける問題は、組を区別するかどうかから判断する組分けの例題10問で確認できます。
格子の道順と通過・回避・通行止めの条件は最短経路の場合の数の例題10問で確認できます。
一直線上の隣接・非隣接・交互配置は隣り合う・隣り合わない順列の例題10問で確認できます。
場合の数とは
場合の数とは、条件を満たす結果が全部で何通りあるかを表す数です。同じ結果を二度数えず、条件を満たすすべての結果を数える必要があります。
中学校で学んだ場合の数と確率や樹形図と表を土台に、数学Aでは数え上げの原則、順列、組合せへ進みます。集合の記号は数学I「集合と命題」で確認できます。
最初は樹形図・表・辞書式で書き出す
公式を使う前に、小さい例を書き出すと構造が見えます。A, B, Cの3人から異なる2人を選び、1番目・2番目の順に並べる場合を考えます。
| 1番目 | 2番目の候補 | できる並び |
|---|---|---|
| A | B, C | AB, AC |
| B | A, C | BA, BC |
| C | A, B | CA, CB |
1番目をA, B, Cの順に固定し、2番目を決まった順に書いたので、漏れも重複もなく6通りです。結果を一定の規則で並べる方法を辞書式といいます。
和の法則
二つの場合A, Bが同時には起こらない、つまり排反で、Aが m通り、Bが n通りなら、AまたはBは m+n通りです。
例題1:排反な選択肢を足す
理科系の講座3種類と芸術系の講座2種類から、どれか一つだけ選びます。二つの分野に共通する講座はないとします。
答え:5通りです。理科系を選ぶ場合と芸術系を選ぶ場合は同時に起こらないため、足します。
重なりがあるときの要素数
AとBに共通する結果があるのに単純に足すと、共通部分を二度数えます。そのため、一度引きます。
例題2:重なりを一度引く
1から100までの整数のうち、2または5で割り切れるものは何個あるでしょうか。
2の倍数は50個、5の倍数は20個です。両方で割り切れる10の倍数10個を二度数えているので、
答え:60個です。
積の法則
一段階目の選び方が m通りあり、どの選び方の後にも二段階目の選び方が n通りあるなら、二段階を続けて行う方法は mn通りです。
例題3:段階を続けて選ぶ
上着4種類とズボン3種類から、それぞれ一つずつ選びます。
答え:12通りです。
和と積の法則の使い分け
| 構造 | 基本の計算 | 確認する条件 |
|---|---|---|
| Aの場合またはBの場合 | 足す | 場合分けが重ならないか |
| Aを行い、続けてBを行う | 掛ける | 各段階の選択肢数がいくつか |
| AまたはBだが重なりがある | 足して共通部分を引く | 二重に数えた結果は何か |
「またはなら必ず足す」「そしてなら必ず掛ける」と言葉だけで決めず、結果の集合が重なるか、枝ごとの選択肢数が一定かを確認します。
階乗
正の整数 nについて、1から nまでの整数の積をnの階乗といい、n!と書きます。
空の積に対応させて、0!=1と定めます。例えば5!=5・4・3・2・1=120です。
順列:選んで順番を付ける
異なる n個から異なる r個を選び、順番を付けて並べる方法の総数を順列といい、nPrと書きます。条件は、n, rが整数で0≦r≦nです。
0≦r≦nのとき nPr=n!/(n-r)!
0個を選んで並べる方法は「何も選ばない」1通りなので、nP0=1です。n個すべてを並べると nPn=n!です。
例題4:役割を付ける順列
8人から会長、副会長、書記を一人ずつ選びます。役割が異なるため、同じ3人でも担当が変われば別の結果です。
答え:336通りです。
0を含む数字で整数を作る
整数の最上位には0を置けません。さらに偶数なら一の位が0, 2, 4などに限られるため、一の位や最上位で場合分けします。
例題5:4桁の偶数を作る
0, 1, 2, 3, 4, 5から異なる4個を使って、4桁の偶数を作ります。
一の位が0:千の位は1〜5の5通り、百の位4通り、十の位3通りです。
一の位が2または4:一の位2通り、千の位は0と一の位を除く4通り、百の位4通り、十の位3通りです。
答え:60+96=156通りです。
同じものを含む順列
全部で n個のうち、同じものがそれぞれ p個、q個、…あり、p+q+…=nとします。いったんすべてを区別した n!通りから、同じもの同士の入れ替え p!, q!, …の重複を除きます。
nのr乗との使い分け、0を含む整数、単語、二進列、格子経路は重複順列・同じものを含む順列の例題10問で確認できます。
例題6:BANANAの文字を並べる
BANANAは6文字で、Aが3個、Nが2個、Bが1個です。
答え:60通りです。
円順列
異なる n個(n≧1)を円形に並べ、回転して一致する並びを同じとみなす並べ方を円順列といいます。一つを基準位置に固定し、残りを並べます。
通常の円順列では、裏返して一致する並びは別です。首飾りのように裏返しも同じとみなす問題では、対称性を別に検討します。
公式の理由、隣接・非隣接・向かい合う・交互・夫婦・数珠順列は円順列の例題10問で詳しく確認できます。
例題7:円形で二人が隣り合う
異なる6人が円卓に座るとき、AとBが隣り合う座り方を求めます。
AとBを一つの塊とみると、塊と残り4人の合計5個を円形に並べるので(5-1)!通りです。塊の中はAB, BAの2通りです。
答え:48通りです。
組合せ:順番を区別せず選ぶ
異なる n個から r個を選び、選んだ順番を区別しない方法の総数を組合せといい、nCrと書きます。条件は、n, rが整数で0≦r≦nです。
順列では、同じ r個を選んだ後の r!通りの順番をすべて数えています。順番を区別しないため、r!で割ります。
| 5人から2人 | 順番・役割 | 式 | 場合の数 |
|---|---|---|---|
| 会長と副会長 | 区別する | 5P2 | 20通り |
| 代表2人 | 区別しない | 5C2 | 10通り |
「少なくとも」は余事象も検討する
「少なくとも一人」の反対は「一人もいない」です。条件を満たす場合を細かく足す方法と、全体から反対の場合を引く方法を比べ、短く安全な方を選びます。
例題8:少なくとも女子2人を選ぶ
男子5人、女子4人から代表4人を選び、女子を少なくとも2人含めます。
女子3人:4C3・5C1=4・5=20
女子4人:4C4・5C0=1・1=1
答え:60+20+1=81通りです。
全体9C4=126から女子0人の5C4=5と女子1人の4C1・5C3=40を引いても、126-5-40=81と一致します。
隣り合う・隣り合わない
「隣り合う」は対象を一つの塊として数え、塊の内部の順番を掛けます。「隣り合わない」は全体から隣り合う場合を引く方法や、先に他のものを並べて隙間を選ぶ方法が有効です。
例題9:二人が隣り合わない
異なる6人を1列に並べるとき、AとBが隣り合わない並べ方を求めます。
全体は6!=720通りです。AとBが隣り合う場合は、ABを一つの塊とみた5!通りに、AB, BAの2通りを掛けます。
答え:480通りです。
最短経路を組合せで数える
右へ4回、上へ3回進む最短経路では、合計7回のうち上へ進む3か所を選べば経路が決まります。
例題10:格子状の最短経路
答え:35通りです。右4個・上3個という同じものを含む順列7!/(4!3!)としても同じです。
重複を許す並べ方
n種類(n≧1)から毎回一つを選び、同じ種類を何度使ってもよいとき、r個(r≧0)の位置を埋める方法は、各位置が n通りなので nr通りです。
例えば0〜9を使う4桁の暗証番号は、先頭の0も許すなら104=10000通りです。「4桁の整数」では先頭0を許さないため、同じ数え方にはなりません。
発展:重複組合せと仕切り
重複組合せは、n種類から重複を許して r個を選び、順番を区別しない選び方です。n≧1, r≧0のとき、
同じ球7個を異なる箱3個に分け、空箱を許す場合は、球7個と仕切り2本の並べ方と考えます。
各箱に少なくとも1個入れる場合は、先に各箱へ1個ずつ入れ、残り4個を分けるので3H4=6C2=15通りです。重複組合せは教科書によって発展として扱われることがあります。
数え方を選ぶ判断表
| 問題の特徴 | 第一候補 | 確認事項 |
|---|---|---|
| 小さい場合をすべて列挙 | 樹形図・表・辞書式 | 並べる順序を固定したか |
| 排反な場合分け | 和の法則 | 重なりがないか |
| 複数段階の選択 | 積の法則 | 枝ごとの選択肢数 |
| 選んで役割・順番を付ける | 順列 | 同じもの、先頭0、隣接条件 |
| 選ぶだけ | 組合せ | 選ぶ人数ごとの場合分け |
| 少なくとも・一つもない | 余事象 | 全体から何を引くか |
| 回転を同じとみなす | 円順列 | 裏返しも同じか |
よくある誤り
- 重なる場合をそのまま足す:共通部分を二度数えていないか確認します。
- 枝の数が違うのに掛ける:樹形図の各枝の先を数え、必要なら枝ごとに足します。
- 順列と組合せを式の見た目で選ぶ:選んだ順番や役割が変わると別の結果かを判断します。
- 数字の先頭に0を置く:整数を作る問題では、最上位の条件を先に確認します。
- 同じものを区別したままにする:区別できない入れ替えの階乗で割ります。
- 円順列で裏返しまで同じとする:通常は回転だけを同一視し、裏返しは別です。
- 「少なくとも」を一場合だけ数える:条件を満たす複数の場合を足すか、余事象を使います。
- 0個選ぶ方法を0通りとする:何も選ばない一つの方法があるため、nP0=nC0=1です。
確認問題
- 英語4講座と数学3講座から、どれか一つだけ選ぶ方法は何通りですか。講座の重なりはありません。
- 上着4種類、ズボン3種類を一つずつ選ぶ方法は何通りですか。
- 異なる6人から会長と副会長を選ぶ方法は何通りですか。
- 異なる7人から代表2人を選ぶ方法は何通りですか。
- 0!、8P0、8C0の値を答えてください。
- LEVELの5文字をすべて並べる方法は何通りですか。
- 異なる7人が円卓に座る方法は何通りですか。回転して一致する座り方は同じとします。
- 0, 1, 2, 3, 4, 5から異なる3個を使って3桁の整数を作る方法は何通りですか。
- 男子5人、女子3人から3人を選び、女子を少なくとも1人含める方法は何通りですか。
- 右へ5回、上へ2回進む最短経路は何通りですか。
- 異なる5人を1列に並べるとき、AとBが隣り合わない並べ方は何通りですか。
- 正の整数 x, y, zが x+y+z=8を満たす組は何個ありますか。
確認問題の解答
- 4+3=7通りです。
- 4・3=12通りです。
- 6P2=6・5=30通りです。
- 7C2=7・6/2=21通りです。
- すべて1です。空の積、何も選ばない方法に対応します。
- Lが2個、Eが2個なので、5!/(2!2!)=30通りです。
- (7-1)!=6!=720通りです。
- 百の位は1〜5の5通り、十の位は残り5通り、一の位は残り4通りなので、5・5・4=100通りです。
- 全体8C3から男子だけの5C3を引き、56-10=46通りです。
- 7回のうち上へ進む2回を選び、7C2=21通りです。
- 全体5!から隣り合う2・4!を引き、120-48=72通りです。
- 各変数から1を引くと、同じもの5個を3組に分ける問題です。7C2=21個です。
まとめ
- 排反な場合分けは和の法則、続ける段階は積の法則で数えます。
- 重なりがあれば、足した後に共通部分を一度引きます。
- 順番や役割を区別するなら順列、選ぶだけなら組合せです。
- 同じもの、先頭0、円形、隣接、少なくともなどの条件を式の前に整理します。
- 樹形図や小さい例で、漏れと重複がないか確かめます。
よくある質問
順列と組合せは、どの一言で見分けられますか。
選んだ後の順番や役割を変えたとき、別の結果として数えるかを考えます。別なら順列、同じなら組合せです。ただし、同じものや配置条件があれば追加の調整が必要です。
「または」なら必ず足してよいですか。
場合が重ならないときだけ単純に足せます。重なる結果があれば、共通部分を一度引きます。日本語だけで決めず、結果の集合を確認してください。
円順列は、いつでも(n-1)!ですか。
異なるものを円形に並べ、回転だけを同じとみなす場合です。同じものを含む、裏返しも同じとする、位置に条件がある、といった場合は別の検討が必要です。
学習範囲の根拠
本記事は、文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編」の数学A「場合の数と確率」に示された、集合の要素の個数に関する基本的な関係、数え上げの原則、順列・組合せを基準にしています。

