数学IIの「複素数と方程式」では、実数の範囲では解けなかった方程式を、複素数まで数の範囲を広げて考えます。虚数単位iの意味、複素数の四則計算、2次方程式の解と判別式、解と係数の関係、高次方程式までを、途中式と検算付きの例題で順に解説します。
1.複素数とは
2乗して-1になる数を虚数単位iといい、i2=-1と定めます。実数a、bを使ってa+biと表される数が複素数です。aを実部、bを虚部といいます。
- b=0なら実数
- b≠0なら虚数
- a=0、b≠0なら純虚数
iの累乗
iの累乗は4回ごとに同じ値を繰り返します。
| 累乗 | 値 |
|---|---|
| i1 | i |
| i2 | -1 |
| i3 | -i |
| i4 | 1 |
たとえば、2026=4×506+2なので、i2026=i2=-1です。
2.複素数の計算
加法・減法では実部どうし、虚部どうしをまとめます。乗法では通常の文字式と同じように展開し、最後にi2を-1へ置き換えます。
例題1:加法と乗法
(1)(2+3i)+(4-5i)
(2)(2+3i)(1-2i)
解答と解説
(2)はi2=-1なので、-6i2=+6になる点に注意します。
共役な複素数
z=a+biに対して、虚部の符号を変えたa-biを共役な複素数といいます。2つを掛けると実数になります。
例題2:複素数の除法
解答と解説
分母と分子に、分母の共役な複素数1+2iを掛けます。
=(-5+10i)/5=-1+2i
検算すると、(1-2i)(-1+2i)=3+4iとなり、元の分子に戻ります。
3.2次方程式と複素数の解
a≠0の2次方程式ax2+bx+c=0の解は、複素数の範囲でも解の公式で求められます。
例題3:実数解をもたない2次方程式
解答と解説
判別式は(-4)2-4×1×13=-36です。
解は2+3i、2-3iです。実数係数の2次方程式で虚数解が現れるとき、2つの解は互いに共役になります。
4.判別式で解の種類を調べる
実数係数の2次方程式では、判別式D=b2-4acの符号から実数解の個数が分かります。
| 判別式 | 実数解 | 複素数の範囲での解 |
|---|---|---|
| D>0 | 異なる2個 | 異なる2個の実数解 |
| D=0 | 1個(重解) | 同じ解を2個と数える |
| D<0 | 0個 | 異なる2個の共役な虚数解 |
例題4:文字を含む判別式
解答と解説
重解をもつ条件はD=0です。
したがって、m2-m-3=0です。
どちらの値でもx2の係数は1で0にならないため、両方が条件を満たします。
5.解と係数の関係
2次方程式ax2+bx+c=0の2つの解をα、βとすると、次の関係が成り立ちます。
これはa(x-α)(x-β)を展開し、元の式と係数を比較すると得られます。
例題5:対称式を求める
解答と解説
解と係数の関係より、α+β=3、αβ=-1です。
答えは11です。解そのものを解の公式で求めなくても計算できます。
例題6:2つの解から方程式を作る
解答と解説
2解の和は4、積は(2+i)(2-i)=5です。
よって、x2-4x+5=0です。実際にx=2±iを代入すると0になります。
6.高次方程式
3次以上の方程式は、因数定理で1次式の因数を見つけて次数を下げる方法が基本です。整数係数の多項式で整数解を探すときは、定数項の約数を候補として代入します。
例題7:3次方程式
解答と解説
左辺をf(x)とすると、f(-1)=-1-4-1+6=0なので、x+1を因数にもちます。
=(x+1)(x2-5x+6)
=(x+1)(x-2)(x-3)
したがって、x=-1、2、3です。3つの解の和が4で、x2の係数-4と対応することでも検算できます。
例題8:複2次方程式
解答と解説
y=x2とおくと、y2-5y+4=0です。
よってx2=1またはx2=4なので、x=-2、-1、1、2です。置き換えた後、yの答えをxへ戻すのを忘れないようにします。
よくあるミスと直し方
| ミス | 原因 | 確認方法 |
|---|---|---|
| -i2を-1にする | 負号と累乗の順を混同 | -i2=-(-1)=1と段階を分ける |
| 除法で分母に虚数が残る | 同じ式を掛けている | 分母の共役な複素数を分母・分子に掛ける |
| 判別式のbの符号を誤る | 係数を括弧に入れていない | b=-4なら(-4)2と書く |
| 解の積の符号を誤る | 和の公式と混同 | 和は-b/a、積はc/a |
| 高次方程式で解を落とす | 因数分解後の一部だけ解く | 各因数=0をすべて列挙して元の式へ代入 |
確認問題
問題1
答え
問題2
答え
問題3
答え
x=-2、1、3です。
よくある質問
虚数は「存在しない数」なのですか。
いいえ。虚数単位iをi2=-1と定め、実数と同様に演算規則を整えた数の体系です。複素数は方程式、電気回路、信号処理など幅広い分野で使われます。
判別式が負なら「解なし」でよいですか。
実数の範囲では解なしですが、複素数の範囲では異なる2個の虚数解があります。問題がどの数の範囲で解を求めているかを確認しましょう。
高次方程式の整数解候補はどう探しますか。
最高次の係数が1の整数係数多項式では、整数解は定数項の約数に限られます。正負の約数を小さいものから代入し、0になる値を探すと効率的です。
学習範囲の根拠
本記事は、現行の高等学校学習指導要領解説「数学編 理数編」の数学II「いろいろな式」に示された、複素数と2次方程式の解、解と係数の関係、剰余の定理・因数定理、高次方程式を基準に構成しています。
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高2「複素数と方程式」の演習教材です。各ページから問題PDFをダウンロードでき、解答PDFがある回はあわせて掲載しています。難易度の低い順に並べています。
公式と要点をまとめて確認する:数学II・B・Cの要点辞典:複素数と方程式 ── 公式一覧だけでなく、いつ使うか・どこで点を落とすかまで書いています。

