一次関数は、二つの数量の関係を y=ax+b と表せる関数です。xが同じ量だけ増えるとyも一定量ずつ変化し、グラフは直線になります。表・式・グラフを結び付けると、傾きや切片の意味を一つの関係として理解できます。
一次関数とは
xの値を決めると、それに対応するyの値がただ一つ決まるとき、yはxの関数であるといいます。
その関係が、a、bを定数として次の式で表されるとき、yはxの一次関数です。
| 記号 | 式での役割 | グラフでの意味 |
|---|---|---|
| a | xの係数。xが1増えたときのyの増加量 | 直線の傾き |
| b | x=0のときのyの値 | y軸との交点のy座標 |
例えばy=3x+2では、a=3、b=2です。xが1増えるごとにyは3増え、グラフは(0, 2)を通ります。
一次関数かどうかの見分け方
例1:式の形から見分ける
| 式 | 一次関数か | 理由 |
|---|---|---|
| y=4x-7 | はい | a=4、b=-7と見られる |
| y=-2x | はい | b=0の一次関数で、比例でもある |
| y=5/x | いいえ | xが分母にあり、ax+bの形でない |
| y=x2+1 | いいえ | xの2乗を含む |
公式解説では、一次関数をa、bを定数とするy=ax+bの関係として扱います。a=0ならy=bとなり、xが変わってもyは変わらない水平な直線です。中学校の典型問題では、変化のあるa≠0の場合を中心に扱います。
比例は一次関数の特別な場合
比例の式はy=axです。これは一次関数y=ax+bでb=0とした場合です。
| 特徴 | 比例 y=ax | 一次関数 y=ax+b |
|---|---|---|
| グラフ | 原点を通る直線 | 直線。b=0なら原点を通る |
| x=0のとき | y=0 | y=b |
| 変化の割合 | 一定でa | 一定でa |
| y/x | x≠0で常にa | 一般には一定でない |
表から変化を読む
例2:y=2x-3の表
| 変数 | -2 | -1 | 0 | 1 | 2 |
|---|---|---|---|---|---|
| y | -7 | -5 | -3 | -1 | 1 |
xが1ずつ増えると、yは2ずつ増えています。式のxの係数2と一致します。また、x=0の列を見るとy=-3で、定数項-3と一致します。
xが2増えればyは2×2=4増え、xが5減ればyは2×(-5)=-10、すなわち10減ります。
変化の割合
xの値がx1からx2へ変わり、対応するyの値がy1からy2へ変わったとします。
xの増加量が0ではない二つの値を選びます。一次関数y=ax+bでは、どの二点を選んでも変化の割合は一定でaです。
例3:二つの値から変化の割合を求める
問題:y=-3x+5で、xが-2から4まで変化するときの変化の割合を求めましょう。
x=-2のときy=-3×(-2)+5=11、x=4のときy=-3×4+5=-7です。
yの増加量=-7-11=-18
変化の割合=-18÷6=-3
答え:-3。式のxの係数とも一致します。
傾きと切片
一次関数y=ax+bのグラフは直線です。aを傾き、bをy切片、または単に切片といいます。
y切片=x=0のときのy座標=b
| 傾きa | xが増えると | 直線の向き |
|---|---|---|
| a>0 | yは増加する | 右上がり |
| a<0 | yは減少する | 右下がり |
| a=0 | yは変わらない | 水平 |
傾きの絶対値が大きいほど、同じxの増加量に対するyの変化が大きくなります。ただし、縦軸と横軸の目盛り幅が異なる図では、見た目の角度だけで傾きの大小を判断してはいけません。
グラフのかき方
一つの直線は、異なる二点が決まれば一つに決まります。一次関数の式からグラフをかく代表的な方法は、切片と傾きを使う方法です。
- y切片bから、点(0, b)を取る。
- 傾きaを「xの増加量に対するyの増加量」として読む。
- 切片から移動して、もう一つの点を取る。
- 二点を通る直線を、定規で座標平面の端まで延ばす。
例4:傾きが分数のグラフ
問題:y=(2/3)x-1のグラフをかくための二点を求めましょう。
y切片が-1なので、まず(0, -1)を取ります。傾き2/3は、「xが3増えるとyが2増える」という意味です。
→(3, 1)
(0, -1)と(3, 1)を通る直線をかきます。反対に左へ3、下へ2移動した(-3, -3)も同じ直線上です。
傾きが-2/3なら、「右へ3、下へ2」または「左へ3、上へ2」と移動します。符号が直線の向きを、分子と分母が上下・左右の変化量を表します。
グラフから式の特徴を読む
グラフから傾きを求めるときは、直線上の座標が正確に読める二点を選びます。二点を(x1, y1)、(x2, y2)とすると、傾きは次の式です。
(x2≠x1)
切片は直線とy軸の交点から読みます。ただし、交点の値が目盛りから正確に読めない場合は、傾きと直線上の一点を式へ代入して求めます。具体的な求め方は、次の一次関数の式の求め方で詳しく扱います。
変域の求め方
一次関数では、xの変域とyの変域を考えることがあります。傾きが正ならxとyは同じ向きに増え、傾きが負なら反対向きに変わります。
例5:傾きが負のときの変域
問題:y=-2x+4で、-1≦x≦3のとき、yの変域を求めましょう。
傾き-2は負なので、xが増えるとyは減少します。両端の値を計算します。
x=3のとき y=-2×3+4=-2
小さい値から書くので、-2≦y≦6です。
二元一次方程式を関数として見る
二元一次方程式Ax+By+C=0で、B≠0なら、yについて解くことができます。
y=-(A/B)x-C/B
例6:方程式を一次関数の形へ直す
問題:2x+y-6=0をyについて解き、傾きと切片を答えましょう。
答え:傾き-2、y切片6。この方程式を満たす(x, y)の組は全て、同じ直線上の点です。
B=0でA≠0なら、式はx=一定を表す縦の直線です。一つのxに対して複数のyが対応するため、yをxの関数とは見られません。
連立方程式の解と直線の交点
二つの二元一次方程式を同時に満たす組は、二つの直線の両方に属する点です。したがって、連立方程式の解は二直線の交点の座標として読めます。
例7:交点を計算で求める
y=-x+7 ……②
交点では二つのyの値が等しいので、2x+1=-x+7です。
x=2、y=5
答え:交点は(2, 5)。①、②のどちらへ代入してもy=5です。
具体的な場面での意味
一次関数のaとbには、場面に応じた単位と意味があります。
例8:基本料金と従量料金
基本料金が500円で、利用1分につき20円が加わるサービスを考えます。利用時間をx分、合計料金をy円とすると、
- 傾き20は、利用時間が1分増えると料金が20円増えることを表す。
- 切片500は、利用時間0分でもかかる基本料金を表す。
30分利用すると、y=20×30+500=1100円です。
現実の料金には利用可能時間や料金の区切りがある場合があります。式が成り立つ変域と、連続的に変わる量か整数だけを取る量かを、場面に合わせて確認します。
一次関数とみなせるかを判断する
観測した点が完全な一直線上に並ばなくても、誤差を含みながらほぼ直線状に並ぶなら、目的に応じて一次関数とみなすことがあります。例えば一定の条件で水を熱した時間と水温を考える場面です。
ただし、変化の割合が途中で大きく変わる、上限に近づく、周期的に変わるといった関係を、根拠なく一本の直線で表してはいけません。どの範囲で、どの程度の誤差を許して一次関数とみなすかを説明することが大切です。
よくある誤りと直し方
| 誤り | 正しい考え方 |
|---|---|
| 一次関数ではy/xが一定 | 一定なのは変化の割合(yの増加量)/(xの増加量) |
| 傾きは常に正の数 | 右下がりなら傾きは負。増加量も符号付きで計算する |
| 切片はx軸との交点 | y=ax+bのbはy軸との交点のy座標 |
| 傾き2/3では右へ2、上へ3 | (yの増加量)/(xの増加量)=2/3なので、右へ3、上へ2 |
| 見た目が急な直線ほど傾きが大きい | 軸の目盛りを確認し、座標が読める二点から計算する |
| 傾きが負でも変域の端を同じ順に対応させる | 両端を代入し、yの値を小さい順に書く |
確認問題
- 次のうち一次関数を全て選びましょう。ア y=5x+1、イ y=3/x、ウ y=-4x、エ y=x2-2。
- y=4x-7で、xが-1から3まで増加するときのyの増加量と変化の割合を求めましょう。
- 直線上の二点(-1, 5)、(3, -7)から傾きを求めましょう。
- y=(2/3)x-1のグラフをかくとき、切片の点とは別に、整数座標の点を一つ求めましょう。
- y=-2x+5で、-2≦x≦4のときのyの変域を求めましょう。
- 3x+2y-8=0をyについて解き、傾きとy切片を答えましょう。
- y=3x-2とy=-x+6の交点を求めましょう。
- 基本料金500円、利用1分につき20円のサービスを30分使うときの料金を求め、傾き20と切片500の意味を説明しましょう。
確認問題の解答と確かめ
- アとウ。アはa=5、b=1、ウはa=-4、b=0です。イは反比例、エはx2を含みます。
- xの増加量は3-(-1)=4。yは-11から5へ変わるので増加量は5-(-11)=16、変化の割合は16÷4=4です。
- 傾きは{-7-5}/{3-(-1)}=-12/4=-3です。
- 切片は(0, -1)。右へ3、上へ2移動した(3, 1)が一例です。(-3, -3)でも正解です。
- x=-2のときy=9、x=4のときy=-3。したがって-3≦y≦9です。
- 2y=-3x+8より、y=-(3/2)x+4。傾き-3/2、y切片4です。
- 3x-2=-x+6より4x=8、x=2、y=4。交点は(2, 4)です。
- 20×30+500=1100円。傾き20は1分当たり20円増えること、切片500は0分でもかかる基本料金を表します。
まとめ
- 一次関数はy=ax+bと表され、グラフは直線。
- aは変化の割合であり傾き、bはy切片。
- 比例はb=0である一次関数の特別な場合。
- 表の一定な増え方、式のxの係数、グラフの傾きは同じ特徴を表す。
- 二元一次方程式は、yについて解ける場合、一次関数を表す式として見られる。
- 具体的な場面では、傾き・切片の単位、式が成り立つ変域、近似の根拠を確認する。
学習範囲の根拠
この記事は、文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」の第2学年「一次関数」を基準に構成しています。一次関数の理解、表・式・グラフの相互関係、変化の割合と傾き、二元一次方程式を関数として見る内容を反映しています。正式な内容は、文部科学省の解説PDFで確認できます。
保護者の方へ:見守りのポイント
公式を言えるかだけでなく、「傾き2はxが1増えるとyが2増えること」「切片はx=0のときの値」と場面やグラフに戻して説明できるかをご確認ください。表・式・グラフのどれか一つで迷う場合は、同じ傾きと切片が別の表現でどう現れるかを一緒に探すと理解が安定します。
前後の単元
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中2「一次関数」の演習教材です。各ページから問題PDFをダウンロードでき、解答PDFがある回はあわせて掲載しています。難易度の低い順に並べています。
基本 全42問
この単元の関連解説:中2数学|一次関数の式の求め方 傾き・切片・2点から求める【中2数学】(無料問題PDF)/中2数学|一次関数の利用 料金・水量・速さ・動点を例題で解説【中2数学】(無料問題PDF)
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