数学単元ガイド / 高校数学

確率|独立試行・反復試行・条件付き確率・期待値【数学A】

数強塾のプロ講師陣

確率では、起こりやすさを0以上1以下の数で表します。公式を使う前に「何を1通りと数えるか」「結果は同じ起こりやすさか」「前の結果が次に影響するか」を確かめましょう。

最初に結論:同様に確からしい結果を漏れなく数えられるとき、確率は「条件を満たす場合の数÷全体の場合の数」です。「少なくとも」は余事象、順に起こる事象は条件付き確率、独立な反復では二項型の公式を検討します。

独立な試行と独立事象の違い、積の判定、排反との区別は独立事象と独立試行の例題10問で確認できます。

確率とは

試行とは、同じ条件で繰り返せて、その結果が偶然に左右される実験や操作です。さいころを投げる、よく混ぜたカードから1枚引く、といった操作が例です。

一つの試行で起こり得る結果全体の集合を標本空間といい、Ω(オメガ)などで表します。その一部を集めた集合が事象です。事象Aが起こる確率をP(A)と書きます。

公正な6面さいころを1回投げるなら、Ω={1, 2, 3, 4, 5, 6}です。「偶数が出る」事象Aは{2, 4, 6}です。

場合の数で確率を求められる条件

有限個の結果がどれも同様に確からしい、つまり同じ確率で起こるとき、事象Aの確率は場合の数の比で求められます。

P(A)=n(A)/n(Ω)

n(A)はAに含まれる結果の数、n(Ω)は結果全体の数です。分母と分子は、どちらも順序を区別する、またはどちらも区別しない、というように同じ基準で数えます。

場合の数の比を使えない場合:結果の起こりやすさが等しくないなら、単純な個数の比にはできません。例えば偏りのあるコインでは、表と裏の2通りだから表の確率が1/2とは限りません。各結果に与えられた確率を足して求めます。

分母・分子の数え上げに不安がある場合は、先に数学A「場合の数」を確認してください。中学校の復習には中2「確率」樹形図と表が役立ちます。

例題1:組合せで分母と分子をそろえる

赤玉4個、白玉3個から同時に3個を取り出します。赤玉2個、白玉1個になる確率を求めます。各玉は区別でき、どの3個の組も同様に確からしいとします。

全体は7個から3個を選ぶ組合せ、条件を満たす選び方は赤4個から2個、白3個から1個を選ぶ組合せです。

P=(4C2・3C1)/7C3=(6・3)/35=18/35

答え:18/35です。

確率の基本性質

どの事象Aについても、確率は次の性質を満たします。

  • 0≦P(A)≦1
  • 必ず起こる全事象Ωについて、P(Ω)=1
  • 決して起こらない空事象∅について、P(∅)=0
  • 同時に起こらない事象をまとめた確率は、それぞれの確率の和

確率が0なら、有限で各結果が正の確率をもつモデルでは起こりません。連続量の確率では「確率0」と「論理的に不可能」が必ずしも同じではありませんが、数学Aでは主に有限の結果を扱います。

余事象:「少なくとも」を反対側から考える

Aが起こらない事象をAの余事象といい、A̅と表します。AとA̅のどちらか一方が必ず起こるので、

P(A̅)=1-P(A)

「少なくとも1回起こる」の余事象は「1回も起こらない」です。少なくともを正面から場合分けするより短くなることがよくあります。

余事象、和事象、加法定理をまとめて練習するなら余事象と和事象の確率の例題10問へ進んでください。

例題2:少なくとも1回6が出る確率

公正なさいころを4回投げます。少なくとも1回6が出る確率を求めます。

余事象は「4回とも6以外」です。各回が独立なので、

P=1-(5/6)4=1-625/1296=671/1296

答え:671/1296です。

和事象と加法定理

「AまたはBが起こる」事象を和事象A∪B、「AかつBが起こる」事象を共通事象A∩Bといいます。

P(A)とP(B)をそのまま足すと、A∩Bを二度数えるため、一度引きます。

P(A∪B)=P(A)+P(B)-P(A∩B)

AとBが同時に起こらないとき、AとBは互いに排反です。このときA∩B=∅なので、P(A∪B)=P(A)+P(B)となります。

例題3:重なりを引く

公正なさいころを1回投げます。偶数または3の倍数が出る確率を求めます。

A={2, 4, 6}、B={3, 6}、A∩B={6}です。

P(A∪B)=3/6+2/6-1/6=4/6=2/3

答え:2/3です。6を二度足した分を一度引いています。

条件付き確率:情報によって分母が変わる

Aが起こったという条件のもとでBが起こる確率を条件付き確率といい、P(B|A)と書きます。P(A)>0のとき、

P(B|A)=P(A∩B)/P(A)

Aが起こったと分かった時点で、考える範囲がΩ全体からAの中へ縮みます。したがって分母はP(A)です。

分母の選び方、表・樹形図、独立判定、ベイズの定理は条件付き確率の例題10問で詳しく確認できます。

乗法定理:順に起こる確率を掛ける

条件付き確率の式を変形すると、乗法定理になります。

P(A∩B)=P(A)P(B|A)

「まずAが起こり、その状況でBが起こる」と読みます。Bが起こった後のAを使えば、P(A∩B)=P(B)P(A|B)とも表せます。

例題4:戻さず2個取り出す

赤玉3個、青玉2個から1個ずつ、戻さず2回取り出します。2回とも赤である確率を求めます。

1回目が赤である確率は3/5です。赤が1個減った後、2回目も赤である条件付き確率は2/4です。

P=3/5・2/4=3/10

答え:3/10です。「戻さない」ので2回目の確率は3/5のままではありません。

復元抽出と非復元抽出

取り出し方 次の回の構成 典型的な関係
取り出して戻す(復元抽出) 元と同じ 各回は独立になりやすい
取り出して戻さない(非復元抽出) 個数・割合が変わる 各回は一般に独立でない

ただし「戻す」と書かれていても、混ぜ方や選び方に偏りがあれば独立とは限りません。数学の問題では通常、毎回よく混ぜて同じ方法で無作為に選ぶことが前提です。

独立と排反は別の概念

事象A, Bについて、

P(A∩B)=P(A)P(B)

が成り立つとき、AとBは独立です。P(A)>0ならP(B|A)=P(B)とも言えます。Aが起きたという情報が、Bの確率を変えないという意味です。

関係 意味
排反 AとBは同時に起こらない P(A∩B)=0
独立 Aの情報がBの確率を変えない P(A∩B)=P(A)P(B)
混同に注意:P(A)>0かつP(B)>0の事象が排反なら、P(A∩B)=0ですがP(A)P(B)>0なので、独立ではありません。排反は「一緒に起きない」、独立は「情報を得ても確率が変わらない」です。

例題5:独立な二つの試行

公正なコインを1回、公正なさいころを1回投げます。表が出て、かつ偶数が出る確率を求めます。

コインの結果はさいころの結果に影響しないので、二つの事象は独立です。

P=1/2・3/6=1/4

答え:1/4です。

独立試行

複数の試行のうち、どの試行の結果も他の試行の結果に影響しないとき、これらを独立試行といいます。公正なさいころを毎回同じ方法で投げる、玉を取り出して戻し、よく混ぜてから再び取り出す、といったモデルです。

各試行で事象A1, A2, …, Anが起こる確率は、これらが相互に独立なら掛けられます。

P(A1∩A2∩…∩An)=P(A1)P(A2)…P(An)

反復試行:ちょうどk回起こる確率

成功確率が毎回 pである独立な試行を n回繰り返します。成功がちょうど k回起こる確率は、0≦knの整数について、

nCkpk(1-p)nk

nCkは成功する回の選び方、pkは成功した回、(1-p)nkは失敗した回の確率です。

ちょうど・少なくとも・高々、初成功、勝ち抜け、必要回数は反復試行の確率の例題10問で詳しく確認できます。

例題6:1の目がちょうど2回

公正なさいころを4回投げます。1の目がちょうど2回出る確率を求めます。

4C2(1/6)2(5/6)2=6・1/36・25/36=25/216

答え:25/216です。「どの2回で1が出るか」の6通りを掛けます。

反復試行の条件を確認する

反復試行の公式は、次の条件をすべて満たすときに使います。

  1. 試行回数 nが決まっている。
  2. 各回を成功・失敗の二つに分類できる。
  3. 成功確率 pが毎回同じである。
  4. 各回が独立である。

戻さずに玉を取り出す問題では、成功確率が回ごとに変わるので、この公式をそのまま使えません。条件付き確率や組合せで計算します。

全確率:原因ごとに分けて足す

正の確率をもつA1, A2, …が重ならず、合わせると全体になるように原因を分けたとします。事象Bは、それぞれの原因を通って起こるので、

P(B)=P(A1)P(B|A1)+P(A2)P(B|A2)+…

これは「原因A1でB」「原因A2でB」…という互いに排反な経路の確率を足したものです。

ベイズの考え方:結果から原因を考える

原因Aが先にあり、結果Bを観察した後で「原因がAだった確率」を求めるとき、条件付き確率を使います。

P(A|B)=P(A)P(B|A)/P(B) (P(A)>0, P(B)>0)

分母P(B)は、Bが起こるすべての経路を全確率で足して求めます。「原因から結果」と「結果から原因」の条件を取り違えないことが大切です。

例題7:結果から工場を推測する

製品の60%を工場X、40%を工場Yが作ります。不良品の割合はXが5%、Yが10%です。1個が不良品だったとき、X製である確率を求めます。

不良品になる全経路は、X製で不良、Y製で不良の二つです。

P(不良)=0.6・0.05+0.4・0.10=0.03+0.04=0.07
P(X|不良)=0.6・0.05/0.07=0.03/0.07=3/7

答え:3/7です。Xの生産割合60%だけで答えず、「不良と分かった後」の分母0.07に取り直します。

期待値:確率を重みにした平均

確率変数Xが値 x1, x2, …を、それぞれ確率 p1, p2, …でとり、pi≧0かつΣpi=1とします。Xの期待値E(X)は、

E(X)=x1p1x2p2+…=Σxipi

期待値は、同じ条件で非常に多く繰り返したときの1回あたりの平均を表す指標です。1回の結果として必ず期待値が現れるわけではありません。例えば、さいころの出目の期待値は3.5ですが、3.5の目はありません。

確率分布、くじの参加費、公平性、線形性、意思決定は期待値の例題10問で詳しく確認できます。

例題8:さいころの出目の期待値

公正なさいころ1回の出目をXとします。

E(X)=1・1/6+2・1/6+…+6・1/6=21/6=7/2

答え:7/2=3.5です。

例題9:損得を純増減でそろえる

あるゲームでは、確率1/5で300点増え、確率4/5で50点減ります。1回の純増減Xの期待値を求めます。

E(X)=300・1/5+(-50)・4/5=60-40=20

答え:20点です。長期平均では1回あたり20点増える計算ですが、1回ごとの増加を保証するものではありません。

期待値を意思決定に使うときの注意

同じ種類の量を比べるとき、期待値は選択肢を整理する有用な基準です。ただし、実生活の意思決定を期待値だけで決めるとは限りません。損失の大きさ、結果のばらつき、試行回数、支払える範囲、金額に対する本人の感じ方なども考える必要があります。

単位をそろえる:賞金から参加費を引く問題では、各結果を「受取額」ではなく「純利益」に統一して期待値を計算します。確率の合計が1か、値の単位がすべて同じかも確認します。

解法を選ぶ手順

問題の言葉・構造 最初に検討する方法 確認事項
同様に確からしい有限個の結果 場合の数の比 分母・分子の数え方が同じか
少なくとも1回 余事象 「1回もない」が簡単か
AまたはB 加法定理 A∩Bを二度数えていないか
Aが起きた後にB 乗法定理 2回目は条件付き確率か
独立な同一試行でちょうどk回 反復試行 確率一定・独立か
結果を知って原因を推測 全確率と条件付き確率 分母が観察した結果全体か
長期平均や選択肢の比較 期待値 値が純増減など同じ基準か

よくある誤り

誤り なぜ誤るか 直し方
結果の個数だけで割る 同様に確からしいとは限らない 各結果の確率が等しいか確認する
AまたはBで必ず足す 共通部分を二度数える P(A∩B)を一度引く
排反なら独立と考える 「同時に起きない」と「影響しない」を混同 積がP(A)P(B)になるか調べる
戻さないのに同じ確率を掛ける 袋の中の割合が変わる 条件付き確率で各段階を更新する
反復試行で組合せを掛け忘れる 成功する回の位置を数えていない nCkを掛ける
P(A|B)とP(B|A)を同一視する 条件となる分母が異なる 「何が分かった後か」を文章にする
期待値を必ず起きる値と考える 長期平均と1回の結果を混同 各結果と確率の分布も見る

確認問題

  1. 公正なさいころを1回投げるとき、素数の目が出る確率を求めてください。
  2. 2個の公正なさいころを投げるとき、目の和が7になる確率を求めてください。
  3. 公正なコインを3回投げるとき、少なくとも1回表が出る確率を求めてください。
  4. P(A)=0.4、P(B)=0.3、P(A∩B)=0.1のとき、AもBも起こらない確率を求めてください。
  5. 赤玉4個、青玉6個から戻さず2回取り出すとき、赤、青の順になる確率を求めてください。
  6. 同じ袋から毎回戻して2回取り出すとき、2回とも赤になる確率を求めてください。
  7. 公正なコインと公正なさいころを1回ずつ投げるとき、表が出て、さいころが5以上になる確率を求めてください。
  8. 公正なコインを5回投げるとき、表がちょうど3回出る確率を求めてください。
  9. 公正なさいころを6回投げるとき、少なくとも1回6が出る確率を求めてください。
  10. P(A)=0.6、P(B|A)=0.25のとき、P(A∩B)を求めてください。
  11. 機械Aが全体の70%、機械Bが30%を生産し、不良率はAが2%、Bが5%です。不良品がB製である確率を求めてください。
  12. Xが-2, 1, 5を、それぞれ確率0.2, 0.5, 0.3でとるとき、E(X)を求めてください。
確認問題1〜4の解答
  1. 素数は2, 3, 5なので、3/6=1/2です。
  2. 36通り中、(1,6), (2,5), …, (6,1)の6通りなので、6/36=1/6です。
  3. 1-(1/2)37/8です。
  4. P(A∪B)=0.4+0.3-0.1=0.6なので、1-0.6=0.4です。
確認問題5〜8の解答
  1. 4/10・6/9=24/90=4/15です。
  2. 戻すので各回の赤の確率は4/10です。(4/10)24/25です。
  3. 1/2・2/6=1/6です。
  4. 5C3(1/2)5=10/32=5/16です。
確認問題9〜12の解答
  1. 1-(5/6)6=1-15625/46656=31031/46656です。
  2. P(A∩B)=P(A)P(B|A)=0.6・0.25=0.15です。
  3. 0.3・0.05/(0.7・0.02+0.3・0.05)=0.015/0.029=15/29です。
  4. E(X)=-2・0.2+1・0.5+5・0.3=-0.4+0.5+1.5=1.6です。

まとめ

  • 場合の数の比を使う前に、結果が同様に確からしいか確認します。
  • 少なくともは余事象、またはは加法定理、順に起こる事象は乗法定理を検討します。
  • 排反は同時に起こらない関係、独立は一方の情報が他方の確率を変えない関係です。
  • 反復試行の公式には、成功確率一定・各回独立という条件があります。
  • 条件付き確率では分母を条件の事象へ取り直し、期待値は確率を重みにした長期平均として解釈します。

よくある質問

確率はいつ「場合の数の比」で求められますか。

有限個の根元的な結果がすべて同様に確からしいときです。結果ごとの起こりやすさが異なるなら、それぞれに与えられた確率を用います。また、分母と分子で順序や個体の区別をそろえる必要があります。

独立と排反を簡単に見分けるにはどうしますか。

排反は「一緒には起こらない」、独立は「一方が起きても他方の確率が変わらない」です。式では、排反はP(A∩B)=0、独立はP(A∩B)=P(A)P(B)です。正の確率をもつ二事象なら、排反と独立を同時には満たしません。

反復試行の公式を使えない代表例は何ですか。

玉を取り出して戻さない問題です。袋の中の構成が変わるため、一般に各回の成功確率が一定ではなく、独立でもありません。条件付き確率で順に掛けるか、組合せで分母と分子を数えます。

期待値が大きい選択肢を必ず選ぶべきですか。

期待値は長期平均を比較する重要な基準ですが、それだけで実生活の選択が決まるとは限りません。損失に耐えられるか、結果のばらつき、繰り返せる回数、本人にとっての価値なども考えます。

学習範囲の根拠

本記事は、文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編」の数学A「場合の数と確率」に示された、確率とその基本的な法則、独立な試行、条件付き確率、期待値を基準にしています。

前後の単元

前に学ぶ数学A「場合の数」で、順列・組合せと漏れのない数え方を確認します。

全体像へ戻る高校数学の全単元一覧で、数学Aから統計的な推測へのつながりを確認します。

次に学ぶ数学A「整数の性質」へ進み、約数・倍数・互除法を学びます。

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