作図では、目盛りのない定規とコンパスを使い、条件を満たす図形を正確に作ります。手順を暗記するだけでなく、「同じ半径の円だから距離が等しい」という理由を理解すると、初めて見る作図問題にも対応できます。
作図で使ってよい道具と操作
中学校の基本作図では、原則として目盛りのない定規とコンパスを使います。
| 道具 | 主な役割 | してはいけない使い方 |
|---|---|---|
| 定規 | 二点を通る直線を引く、線分を延長する | 目盛りで長さを測って位置を決める |
| コンパス | 円や円弧をかく、ある長さを別の場所へ移す | 開きを途中で変え、等しい長さとして扱う |
作図で使う基本用語
- 線分AB:点Aと点Bを両端とする直線の一部分。
- 中点:線分の両端から等しい距離にある、線分上の点。
- 垂直:二直線が交わってできる角が90°であること。
- 二等分線:線分や角を等しい二つの部分に分ける線。
- 点と直線の距離:その点から直線へ引いた垂線の長さ。
- 平行な二直線の距離:一方の直線上の点から他方へ引いた垂線の長さ。
線分の垂直二等分線
線分ABの中点を通り、ABに垂直な直線を、線分ABの垂直二等分線といいます。
作図の手順
- コンパスを、線分ABの半分より大きく開く。
- 点Aを中心に、線分の上下へ円弧をかく。
- 開きを変えず、点Bを中心に円弧をかき、先の円弧との交点をP、Qとする。
- 定規でPとQを通る直線を引く。
なぜ垂直二等分線になるのか
同じ開きのコンパスで作ったので、AP=BP、AQ=BQです。PとQはそれぞれA、Bから等しい距離にあります。A、Bから等しい距離にある点を結んだ直線は、ABの中点を通りABに垂直です。
したがって、直線PQは線分ABの垂直二等分線
角の二等分線
一つの角を大きさの等しい二つの角に分ける半直線を、角の二等分線といいます。
作図の手順
- 角の頂点Oを中心に円弧をかき、二辺との交点をA、Bとする。
- 点Aを中心に、角の内側へ円弧をかく。
- 開きを変えず、点Bを中心に円弧をかき、交点をCとする。
- 定規でOとCを通る半直線を引く。
なぜ角を二等分できるのか
最初の円弧からOA=OB、次の同じ開きの円弧からAC=BCです。またOCは共通です。三角形OACと三角形OBCは三辺がそれぞれ等しいため合同になり、∠AOC=∠BOCです。
よって ∠AOC=∠BOC
直線上の点を通る垂線
直線ℓ上の点Pを通り、ℓに垂直な直線を作図します。
作図の手順
- 点Pを中心に円弧をかき、直線ℓとの二つの交点をA、Bとする。
- 点Aと点Bを中心に、同じ半径の円弧を直線の片側へかき、交点をQとする。
- 定規でPとQを通る直線を引く。
PA=PBなのでPは線分ABの中点です。作図した直線PQはABの垂直二等分線であり、直線ℓに垂直です。
直線の外にある点から垂線を引く
直線ℓの外にある点Pからℓへ垂線を引く場合も、垂直二等分線を利用します。
- 点Pを中心に、直線ℓと二点で交わる円弧をかく。交点をA、Bとする。
- 点Aと点Bを中心に、同じ半径の円弧をかき、Pとは反対側の交点をQとする。
- 定規でPとQを通る直線を引く。
PA=PB、QA=QBなので、PとQはともに線分ABの垂直二等分線上にあります。したがってPQ⊥ℓです。
基本作図を使う代表的な問題
例1:二点から等しい距離にある点
問題:点Aと点Bから等しい距離にあり、直線ℓ上にある点Pを作図しましょう。
AとBから等しい距離にある点は、線分ABの垂直二等分線上にあります。
- 線分ABの垂直二等分線を作図する。
- その直線とℓとの交点をPとする。
交点が存在すれば、そのPはPA=PBを満たします。二直線が平行で交わらない場合は、条件を満たす点はありません。
例2:二辺から等しい距離にある点
問題:∠AOBの二辺OA、OBから等しい距離にあり、線分CD上にある点Pを作図しましょう。
角の二辺から等しい距離にある点は、角の二等分線上にあります。
- ∠AOBの二等分線を作図する。
- その半直線と線分CDとの交点をPとする。
交点が線分CD上になければ、指定された線分上に条件を満たす点はありません。
例3:円の中心を見つける
問題:中心が示されていない円の中心を作図しましょう。
- 円周上に異なる三点A、B、Cを取る。
- 弦ABの垂直二等分線を作図する。
- 弦BCの垂直二等分線を作図する。
- 二本の垂直二等分線の交点を中心Oとする。
円の中心はA、B、Cのすべてから等しい距離にあるため、各弦の垂直二等分線上にあります。
円とおうぎ形の基本
- 半径:円の中心と円周上の点を結ぶ線分。
- 弦:円周上の二点を結ぶ線分。
- 直径:中心を通る弦。長さは半径の2倍。
- 弧:円周の一部分。
- おうぎ形:二本の半径と、その間の弧で囲まれた図形。
- 中心角:おうぎ形の二本の半径がつくる角。
半径r、中心角a°のおうぎ形では、円全体に対する割合がa/360です。
面積=πr2×a/360
例4:おうぎ形の弧と面積
問題:半径6cm、中心角120°のおうぎ形の弧の長さと面積を求めましょう。
120/360=1/3なので、円全体の1/3です。
面積=π×62×1/3=12π cm2
答え:弧の長さ4πcm、面積12πcm2。
よくある間違い
1. コンパスの開きを変える
同じ距離を作る途中で開きを変えると、距離が等しいという根拠が失われます。必要な一連の円弧をかき終えるまで開きを保ちます。
2. 円弧を小さくしすぎて交わらない
垂直二等分線では、半径を線分ABの半分より大きくします。半分以下では二つの円弧が二点で交わりません。
3. 見た目だけで90°や二等分と判断する
定規で見た目を整えるだけでは作図になりません。同じ半径の円弧と交点を残し、条件を満たす根拠を示します。
4. 点と直線の距離を斜めの線分で測る
点と直線の距離は最短の線分、つまり垂線の長さです。
確認問題
- 線分ABの中点Mを、目盛りを使わずに作図する手順を説明してください。
- 点A、Bから等しい距離にある点の集合は何ですか。
- ∠AOBの二辺から等しい距離にある、角の内側の点の集合は何ですか。
- 直線ℓの外にある点Pからℓへ引いた最短の線分は、ℓとどのように交わりますか。
- 半径9cm、中心角80°のおうぎ形の弧の長さと面積を求めてください。
解答と解説を開く
- A、Bを中心に同じ半径の円弧をかき、二交点を結んで垂直二等分線を作る。その直線とABの交点が中点M。
- 線分ABの垂直二等分線。
- ∠AOBの内角の二等分線。
- 直角に交わります。点と直線の最短距離は垂線の長さです。
- 80/360=2/9。弧の長さは2π×9×2/9=4πcm。面積はπ×92×2/9=18πcm2。
まとめ
- 定規は直線を引き、コンパスは等しい距離を作る。
- 二点から等距離の点は、線分の垂直二等分線上にある。
- 角の二辺から等距離の点は、角の二等分線上にある。
- 点と直線の距離は、その点から直線へ引いた垂線の長さ。
- 作図の跡を残し、条件を満たす理由まで説明する。
学習範囲の根拠
この記事は、文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」の第1学年「平面図形」および「基本的な作図の方法とその活用」を基準に構成しています。正式な内容は、文部科学省の解説PDFで確認できます。
前後の単元
図でつかむ 22問ドリル(問題→答え→解説)
ここから下は、上の解説を手を動かして定着させるためのドリルです。やさしい順に5つのステップへ並べた22問を、問題のすぐ下に答えと解説をつけて置いています。図はすべて数強塾が座標を計算して作図したオリジナルで、コンパスの弧も実際の交点を計算して描いています。できあがった線が本当に垂直か、角が本当に二等分されているかを機械で確認しています。上から順に、1問ずつ自分で解いてから答えを見てください。
| こんな間違いをした | 本当の原因 | 戻る場所 |
|---|---|---|
| 作図の手順を忘れる | どこを等しくしているかで覚えていない | 問8 |
| なぜその作図でよいか説明できない | 合同が根拠だと知らない | 問4 |
| どの作図を使うか選べない | 条件の言葉と作図の対応を持っていない | 問19 |
| 点が1つに決まらない | 条件が2つなら線を2本ひいて交点をとる | 問19 |
| 外心と内心を取りちがえる | 点から等距離か、辺から等距離かを見ていない | 問13 |
| おうぎ形の公式を忘れる | 中心角÷360をかけるだけだと整理できていない | 問16 |
| おうぎ形の周で半径を足し忘れる | 弧だけを周だと思っている | 問18 |
| 作図の跡を消してしまう | 弧が根拠だと知らない | 問20 |
STEP1 作図の基本3つ
作図で使ってよいのは定規とコンパスだけです。定規は「まっすぐ線をひく」ためだけに使い、目盛りで長さをはかってはいけません。
このステップのゴール:3つの基本作図を、手順どおりに再現できる
作図では、どんな道具を、どのように使ってよいことになっていますか。
答え定規(直線をひくだけ・目盛りは使わない)とコンパス(等しい長さをうつす・円をかく)
解説
作図のルールは2つです。
分度器も使えません。角度をはかって半分にする、というのは作図ではないのです。
コンパスの本当の役目は「等しい長さを作ること」です。円をかくのは目的ではなく、「中心から同じ距離の点をとる」ための手段だと考えてください。この見方ができると、3つの作図がすべて同じ原理だと分かります。
線分 AB の垂直二等分線を作図する手順を書きなさい。
答えAとBを中心に同じ半径の弧をかき、2つの交点を直線で結ぶ
解説
半径を「AB の半分より大きく」するのは、そうしないと弧が交わらないからです。
この直線が、AB を垂直に二等分します。
上の作図で、なぜ PQ が AB を垂直に二等分するといえるのですか。
答えPA=PB、QA=QB となり、△APQ ≡ △BPQ が示せるから
解説
同じ半径で弧をかいたので、
PA = PB (どちらも①②の半径)QA = QB
PQ は共通なので、3組の辺が等しく、
△APQ ≡ △BPQ
対応する角が等しいので ∠APQ=∠BPQ。すると △APM と △BPM でも2辺とその間の角が等しくなり、
AM = BM (二等分)∠AMP = ∠BMP = 90° (垂直)
つまりコンパスで等しい長さを作ったことが、そのまま合同の根拠になっています。
作図の「なぜ」は、ほとんどが合同で説明できます。
STEP2 残りの2つの作図
角の二等分線と垂線も、原理は同じです。コンパスで等しい長さを作り、合同な三角形をつくる。
このステップのゴール:3つの作図が同じ原理だと説明できる
∠XOY の二等分線を作図する手順を書きなさい。
答えOを中心に弧をかいて2辺との交点P、Qをとり、P、Qから同じ半径の弧をかいて交点Rを求め、ORをひく
解説
①で OP=OQ、②で PR=QR ができます。OR は共通なので、
△OPR ≡ △OQR (3組の辺)
対応する角が等しいので、
∠POR = ∠QOR
つまり OR が ∠XOY を二等分します。
ここでも等しい長さ → 合同 → 等しい角という流れです。
直線 ℓ の外にある点 P から、ℓ に垂線をひく手順を書きなさい。
答えPを中心に弧をかいてℓとの交点C、Dをとり、CDの垂直二等分線をひく
解説
①で PC=PD になります。つまり P はCD の垂直二等分線上にあります。
②③で作っているのは、まさに CD の垂直二等分線です。
垂直二等分線は CD に垂直なので、これが求める垂線になります。
垂線の作図は、垂直二等分線の作図の応用だったわけです。
直線 ℓ 上の点 A を通る垂線をひく手順を書きなさい。
答えAを中心に弧をかいてℓ上に等しい2点をとり、その2点から同じ半径の弧をかいて交点とAを結ぶ
解説
①で A が BC の中点になり、②③で BC の垂直二等分線をひいています。
A はその垂直二等分線上にあるので、AR が ℓ に垂直な直線になります。
こちらも中身は垂直二等分線です。
垂直二等分線・角の二等分線・垂線の3つの作図に共通していることは何ですか。
答えコンパスで等しい長さを作り、合同な三角形をつくっている
解説
どの作図でも、やっていることは同じです。
手順を丸暗記すると忘れますが、「どこを等しくしているか」で覚えると再現できます。
作図の問題で手が止まったら、「どの2つの長さを等しくすればよいか」を先に考えてください。
STEP3 作図を使って点を見つける
作図の本当の使いどころは、条件をみたす点がどこにあるかを言い当てることです。
このステップのゴール:条件から、どの作図を使うか判断できる
2点 A、B から等しい距離にある点は、どのような線の上にありますか。
答え線分 AB の垂直二等分線の上
解説
AとBから等しい距離にある点をいくつかとってみると、すべて1本の直線上に並びます。それがAB の垂直二等分線です。
逆もいえます。垂直二等分線上のどの点も、A と B から等しい距離にあります。
だから「2点から等距離」と言われたら、反射的に垂直二等分線をひくと決めておけます。
∠XOY の2辺から等しい距離にある点は、どのような線の上にありますか。
答え∠XOY の二等分線の上
解説
点から辺までの距離とは、その辺におろした垂線の長さのことです。
角の二等分線上に点 P をとり、2辺への垂線をひくと、直角三角形の合同(斜辺と1つの鋭角)から2つの垂線の長さが等しくなります。
だから「2辺から等距離」と言われたら、角の二等分線です。
2点なら垂直二等分線、2辺なら角の二等分線。この対応を覚えてください。
円の一部(弧)だけが与えられているとき、その円の中心を作図で求める方法を書きなさい。
答え弧の上に3点をとり、2本の弦それぞれの垂直二等分線をひく。その交点が中心
解説
中心は、円周上のどの点からも等しい距離にあります。
だから弧の上に3点 A、B、C をとると、
中心は AB の垂直二等分線上にある中心は BC の垂直二等分線上にある
両方をみたす点は2本の垂直二等分線の交点だけです。
そこが中心になります。
「等距離 → 垂直二等分線」を2回使っただけです。
三角形の3つの頂点をすべて通る円の中心は、どのように作図しますか。
答え2辺の垂直二等分線をひき、その交点を中心とする
解説
3つの頂点から等しい距離にある点を探せばよいので、
2辺の垂直二等分線をひき、その交点をとる
この点を外心といい、そこを中心とする円が外接円です。
3辺すべての垂直二等分線をひいても、必ず1点で交わります。2本ひけば十分です。
三角形の3つの辺すべてに接する円の中心は、どのように作図しますか。
答え2つの角の二等分線をひき、その交点を中心とする
解説
3辺から等しい距離にある点を探すので、
2つの角の二等分線をひき、その交点をとる
この点を内心といい、そこを中心とする円が内接円です。
外接円は「頂点=点」だから垂直二等分線、内接円は「辺=線」だから角の二等分線。点か辺かで使い分けると覚えると混ざりません。
STEP4 円とおうぎ形
おうぎ形は円の一部です。中心角が 360° のうちどれだけかを考えれば、公式を覚えなくても出せます。
このステップのゴール:中心角の割合で、弧と面積を出せる
半径 6cm の円について、円周の長さと面積を求めなさい。
答え円周 12π cm、面積 36π cm²
解説
円周 = 2 × π × 半径 = 2 × π × 6 = 12π面積 = π × 半径² = π × 6² = 36π
よって 円周 12π cm、面積 36π cm² です。
π は 3.14 に直さず、π のまま答えるのが中学の書き方です。
図のように、半径 6cm、中心角 120° のおうぎ形があります。弧の長さを求めなさい。
答え4π cm
解説
おうぎ形は円の一部です。中心角が 360° のうち 120° なので、
120 ÷ 360 = 1/3
円周の 1/3 が弧の長さになります。
弧 = 12π × 1/3 = 4π
よって 4π cm です。
公式で書くとこうです。
弧の長さ = 2πr × 中心角/360
半径 6cm、中心角 120° のおうぎ形の面積を求めなさい。
答え12π cm²
解説
面積も同じで、円の面積の 1/3 です。
面積 = 36π × 1/3 = 12π
よって 12π cm² です。
おうぎ形の面積 = πr² × 中心角/360
弧も面積も「中心角 ÷ 360」をかけるだけ。2つの公式ではなく、1つの考え方です。
半径 6cm、弧の長さ 4π cm のおうぎ形の面積を、中心角を使わずに求めなさい。
答え12π cm²
解説
おうぎ形の面積には、もう1つの求め方があります。
面積 = 弧の長さ × 半径 ÷ 2面積 = 4π × 6 ÷ 2 = 12π
よって 12π cm² です。
三角形の「底辺 × 高さ ÷ 2」と同じ形なのが覚えやすいところです。弧を底辺、半径を高さと見ていることになります。
中心角が分からないときに強い式なので、覚えておくと得します。
図のように、半径 9cm のおうぎ形の弧の長さが 3π cm です。中心角を求めなさい。
答え60°
解説
円周は 2π × 9 = 18π cm です。
弧はその何分のいくつかを考えます。
3π ÷ 18π = 1/6
中心角も 360° の 1/6 なので、
360 × 1/6 = 60
よって 60° です。
式で解くなら、
2π × 9 × x/360 = 3π
を x について解いても同じ答えになります。
半径 9cm、中心角 60° のおうぎ形の面積を求めなさい。
答え13.5π cm²
解説
円の面積 = π × 9² = 81πおうぎ形 = 81π × 60/360 = 81π × 1/6 = 13.5π
よって 13.5π cm² です。
弧から求めてもよいですね。弧は 3π なので、
3π × 9 ÷ 2 = 13.5π
同じ答えになりました。
半径 6cm、中心角 120° のおうぎ形の周の長さを求めなさい。
答え(4π + 12) cm
解説
おうぎ形の周は、弧だけではありません。両側の半径2本も含みます。
弧 = 4π半径2本 = 6 × 2 = 12周 = 4π + 12
よって (4π + 12) cm です。
半径を足し忘れるのが、この単元でいちばん多いミスです。「周」と書いてあったら、線でぐるっと囲めるか指でなぞって確認してください。
STEP5 この単元の使いどころ
作図は「きれいに描けるか」ではなく、条件をみたす点の場所を言い当てられるかが本題です。
このステップのゴール:条件から、使う作図を選べる
作図の問題で、どの作図を使えばよいか分からなくなります。判断のしかたを説明しなさい。
答え条件が「2点から等距離」なら垂直二等分線、「2辺から等距離」なら角の二等分線
解説
条件の言葉から、使う道具が決まります。
条件が2つあるときは、それぞれの線をひいて交点をとるのが定石です。1本だけでは点が定まりません。
作図の問題で、答案には何を残す必要がありますか。
答えコンパスでかいた弧などの作図に使った線を消さずに残す
解説
答案として評価されるのは、できあがった直線だけではありません。
コンパスでかいた弧の跡が、どうやってその点を決めたかを示す根拠になります。だから消してはいけません。
きれいに見せようとして弧を消すと、「たまたまその位置に線をひいた」のと区別がつかなくなります。
作図の跡=証明の根拠だと考えてください。
基本作図は、このあとどんな場面で使いますか。
答え図形の性質の証明、三角形の外心・内心、高校の軌跡へつながる
解説
中2の合同・中3の相似で書く証明は、この単元の「なぜそうなるか」をそのまま言葉にしたものです。
外心・内心という言葉は高校で本格的に扱いますが、作り方はここで習う垂直二等分線と角の二等分線そのものです。
さらに高校では軌跡という単元があります。「条件をみたす点の集まりはどんな図形か」を考える分野で、「2点から等距離なら垂直二等分線」はその第一歩にあたります。
作図は、図をきれいに描く練習ではなく、条件を図形に翻訳する練習だと考えてください。
仕上げの追加演習
ここまでの解き方が身についたかを確かめる問題です。ドリルと同じ形で数だけ変えてあります。答えは下にまとめてあるので、手でかくして解いてから見てください。
追加演習 10問
解き方がわからなくなったら、上のドリルの同じステップに戻ってください。
- 半径 8cm の円の円周を求めなさい。
- 半径 8cm の円の面積を求めなさい。
- 半径 12cm、中心角 60° のおうぎ形の弧の長さを求めなさい。
- 半径 12cm、中心角 60° のおうぎ形の面積を求めなさい。
- 半径 10cm のおうぎ形の弧が 5π cm です。中心角を求めなさい。
- 半径 6cm、中心角 150° のおうぎ形の面積を求めなさい。
- 半径 12cm、中心角 60° のおうぎ形の周の長さを求めなさい。
- 弧が 4π cm、半径が 12cm のおうぎ形の面積を、中心角を使わずに求めなさい。
- 2点 A、B から等しい距離にある点は、どんな線の上にありますか。
- 三角形の3辺すべてに接する円の中心は、どう作図しますか。
答え(1) 16π cm (2) 64π cm² (3) 4π cm (4) 24π cm² (5) 90° (6) 15π cm² (7) (4π + 24) cm (8) 24π cm² (9) 線分ABの垂直二等分線 (10) 2つの角の二等分線をひき、その交点
中高一貫校でこの単元に取り組む人へ
「平面図形と基本作図」は、公立中学校では中学1年で学ぶ単元です。作図そのものが入試で問われることは多くありませんが、「なぜその作図でよいのか」を説明する力は、中2以降の証明にそのまま必要になります。中高一貫校では証明が早く始まるぶん、ここを流してしまうとあとで根拠を書けなくなります。
学校ごとの進度・教材・定期テストの傾向は次のページにまとめています。
よくある質問
作図では、定規の目盛りを使ってはいけないのですか?
使えません。定規は2点を通る直線をひくためだけの道具です。分度器も使えません。長さや角度をはかるかわりに、コンパスで「等しい長さ」を作ることで条件を満たします。
作図の手順が覚えられません。
手順そのものではなく「どこを等しくしているか」で覚えてください。垂直二等分線ならPA=PB・QA=QB、角の二等分線ならOP=OQ・PR=QR。等しい長さを作れば合同な三角形ができ、そこから結論が出ます。3つの作図はすべてこの同じ原理です。
垂直二等分線と角の二等分線は、どう使い分けますか?
「2つの点から等しい距離」なら垂直二等分線、「2つの辺(直線)から等しい距離」なら角の二等分線です。点か辺かで決まります。三角形の外接円の中心は頂点から等距離なので垂直二等分線、内接円の中心は辺から等距離なので角の二等分線になります。
条件をみたす点が1つに決まりません。
条件が2つある場合は、それぞれの条件をみたす線を1本ずつひいて、その交点をとります。1本だけでは点は直線上のどこにあってもよいことになるので定まりません。2つの条件で2本、が基本です。
おうぎ形の弧と面積の公式が覚えられません。
覚えなくても出せます。中心角が360°のうちどれだけかを分数にして、円周や円の面積にかけるだけです。半径6、中心角120°なら120÷360=1/3なので、弧は12π×1/3=4π、面積は36π×1/3=12πです。
おうぎ形の面積を、中心角なしで求められますか?
求められます。面積=弧の長さ×半径÷2 です。三角形の「底辺×高さ÷2」と同じ形で、弧を底辺、半径を高さと見ています。中心角が与えられていない問題で強い式です。
おうぎ形の「周の長さ」は弧の長さのことですか?
違います。周は弧に加えて、両側の半径2本を含みます。半径6・中心角120°なら、4π+6×2=4π+12 です。半径を足し忘れるのがこの単元でいちばん多いミスなので、指でぐるっとなぞって確認してください。
作図でかいた弧は、消したほうがきれいですか?
消してはいけません。弧の跡は「どうやってその点を決めたか」を示す根拠で、答案の一部として評価されます。消すと、たまたまそこに線をひいたのと区別がつかなくなります。
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ドリル追加日:2026年8月14日
この22問と7点の図版は、数強塾が独自に作成したものです。図はすべて座標を計算して描き起こし、コンパスの弧の交点も実際に円と円の交点として求めています。そのうえで、できあがった直線が線分に対してちょうど90°であること、中点を通ること、角が正確に二等分されていること、おうぎ形の面積が「弧×半径÷2」と一致することを、描かれた座標から実測して検証しています。
この単元を無料プリントで練習する
中1「平面図形」の演習教材です。各ページから問題PDFをダウンロードでき、解答PDFがある回はあわせて掲載しています。難易度の低い順に並べています。
公式と要点をまとめて確認する:中1数学の要点辞典:平面図形 ── 公式一覧だけでなく、いつ使うか・どこで点を落とすかまで書いています。
