二次関数は、式を平方完成して頂点と軸を読み、放物線の位置から最大・最小や二次不等式を考える単元です。式・グラフ・方程式を一つのものとして結び付けましょう。
学ぶ前に確認したいこと
平方完成には展開・因数分解が、二次不等式には集合と命題の考え方が必要です。計算に不安があれば、先に数学I「数と式」を確認してください。中学校で学ぶ関数 y=ax2と二次方程式も直接の前提です。
二次関数とは
二次関数とは、xの関数が
と表される関数です。a=0では一次式になるため、二次関数では a≠0が必要です。グラフは放物線になり、左右対称の軸と、軸上にある頂点をもちます。
三つの式の形
| 形 | 式 | 読み取りやすいこと | 注意 |
|---|---|---|---|
| 一般形 | y=ax2+bx+c | y切片(0, c)、係数 | 頂点はすぐには読めない |
| 標準形 | y=a(x-p)2+q | 頂点(p, q)、軸 x=p | かっこ内の符号と頂点の符号は逆 |
| 因数分解形 | y=a(x-α)(x-β) | x軸との共有点(α, 0)、(β, 0) | 実数の範囲で因数分解できる場合に使う |
同じ二次関数でも、知りたいことに合わせて形を変えます。頂点や最大・最小なら標準形、x軸との共有点や二次不等式なら因数分解形が便利です。
放物線の向き・軸・頂点
標準形 y=a(x-p)2+qは、y=ax2のグラフを x軸方向に p、y軸方向に qだけ平行移動したものです。
| aの符号 | 開く向き | 日本語での形 | 頂点の役割 |
|---|---|---|---|
| a>0 | 上向き | 下に凸 | 最も低い点 |
| a<0 | 下向き | 上に凸 | 最も高い点 |
同じ縮尺なら、|a|が大きいほど、同じ横の移動に対する縦の変化が大きくなり、放物線の開きは狭く見えます。|a|が小さいほど開きは広く見えます。
平方完成の方法
平方完成とは、一般形を標準形へ変形することです。x2+mxでは、xの係数 mの半分を使い、
と変形します。先頭係数が1でないときは、xを含む項から先頭係数をくくってから行います。
- xを含む項だけから x2の係数をくくる。
- かっこ内で、xの係数の半分の二乗を足して引く。
- 完全平方を作り、残りの定数を整理する。
- 最後に展開し、元の式へ戻るか検算する。
例題1:正の係数を平方完成する
y=2x2-8x+5を平方完成し、頂点と軸を求めます。
=2{(x-2)2-4}+5
=2(x-2)2-3
答え:頂点は(2, -3)、軸は x=2です。展開すると2x2-8x+5へ戻ります。
例題2:負の分数係数を平方完成する
y=-(1/2)x2-2x+1を平方完成します。
=-(1/2){(x+2)2-4}+1
=-(1/2)(x+2)2+3
答え:頂点は(-2, 3)、軸は x=-2です。先頭係数が負なので、下向きに開きます。
グラフをかく手順
- 平方完成して標準形にする。
- 頂点(p, q)を取る。
- 軸 x=pを意識し、aの符号から開く向きを決める。
- 軸から左右に同じ距離の xを代入し、対称な点を取る。
- 必要なら y切片や x軸との共有点を加え、滑らかに結ぶ。
例題3:値の表からグラフの代表点を取る
y=(x-1)2-2では、頂点は(1, -2)、軸は x=1です。
| x | -1 | 0 | 1 | 2 | 3 |
|---|---|---|---|---|---|
| y | 2 | -1 | -2 | -1 | 2 |
(-1, 2)と(3, 2)、(0, -1)と(2, -1)が軸について対称です。点を折れ線で結ばず、頂点付近にも角を作らない滑らかな放物線としてかきます。
条件から二次関数の式を決める
与えられた条件に合う形を選ぶと、未知数を減らせます。
| 分かっている条件 | 選ぶ形 | 理由 |
|---|---|---|
| 頂点・軸 | 標準形 | p, qを直接入れられる |
| 二つの x切片 | 因数分解形 | α, βを直接入れられる |
| x座標が異なる三点 | 一般形 | 三つの条件から a, b, cを決められる |
例題4:頂点と一点から決める
頂点が(2, -3)で、点(0, 5)を通る二次関数を求めます。
頂点から y=a(x-2)2-3とおきます。点(0, 5)を代入すると、
a=2
答え:y=2(x-2)2-3
例題5:二つの x切片と一点から決める
x軸と(1, 0)、(4, 0)で交わり、点(0, 8)を通る二次関数を求めます。
y=a(x-1)(x-4)とおき、(0, 8)を代入します。
a=2
答え:y=2(x-1)(x-4)
例題6:三点から決める
点(0, 3)、(1, 0)、(2, -1)を通る二次関数を求めます。
y=ax2+bx+cとおきます。(0, 3)から c=3です。残りの二点を代入すると、
4a+2b=-4
2本目を2で割ると2a+b=-2です。1本目との差から a=1、b=-4です。
答え:y=x2-4x+3。三点を再代入すると、すべて成り立ちます。
x座標が異なる三点でも、三点が一直線上にあり計算結果が a=0になる場合、その三点を通る式は一次関数であり、二次関数ではありません。
最大値・最小値と値域
xが取る範囲を定義域、それに対応する yの範囲を値域といいます。最大・最小では、頂点だけでなく定義域の端点も調べます。
定義域がすべての実数の場合
y=a(x-p)2+qで、(x-p)2≧0を使います。
- a>0:x=pのとき最小値 q。最大値はありません。
- a<0:x=pのとき最大値 q。最小値はありません。
閉区間では頂点と両端を比べる
r≦x≦sのように両端を含む区間では、最大値・最小値が必ず存在します。頂点が区間内にあれば頂点の値を、常に両端の値も計算して比べます。
例題7:定義域つきの最大・最小
y=x2-4x+1(-1≦x≦4)の最大値と最小値を求めます。
頂点の x=2は定義域内なので、y=-3です。両端では、y(-1)=6、y(4)=1です。
答え:x=2のとき最小値-3、x=-1のとき最大値6。
軸に文字を含む場合
軸が文字によって動くときは、軸が定義域の左・内側・右のどこにあるかで場合分けします。文字と x2の係数を同じものと決めつけないようにします。
例題8:動く軸と最小値
f(x)=x2-2ax+3の0≦x≦2における最小値を、実数 aで場合分けします。
x2の係数は1>0なので下に凸で、軸は x=aです。
| aの範囲 | 最小になる x | 最小値 |
|---|---|---|
| a<0 | 0 | 3 |
| 0≦a≦2 | a | -a2+3 |
| a>2 | 2 | 7-4a |
境界の確認:a=0では両方の式が3、a=2では両方の式が-1になり、つながっています。
二次方程式とグラフの共有点
放物線 y=ax2+bx+cと x軸の共有点では y=0です。したがって、その x座標は二次方程式
の実数解です。判別式 D=b2-4acにより、共有点の個数が分かります。
| 判別式 | 実数解 | 放物線と x軸 |
|---|---|---|
| D>0 | 異なる2個 | 2点で交わる |
| D=0 | 重解1個 | 頂点で接する |
| D<0 | 0個 | 共有点をもたない |
直線 y=mx+nとの共有点なら、二つの式を等しいとおいて得られる二次方程式の実数解を調べます。
例題9:判別式で共有点の個数を調べる
y=2x2+4x+5と x軸の共有点の個数を求めます。
答え:実数解がないため、共有点は0個です。実際、y=2(x+1)2+3>0で、グラフは x軸より常に上にあります。
二次不等式の解き方
二次不等式は、二次関数の値が0より上か下かを問う問題です。解は x軸より上または下にある xの範囲として読み取ります。
- 右辺を0にし、f(x)>0などの形にする。
- f(x)=0を解き、x軸との共有点を求める。
- x2の係数から放物線の開く向きを決める。
- グラフが x軸より上か下かを読み、厳密不等号なら根を含めず、等号つきなら根を含める。
例題10:二つの実数解がある場合
x2-5x+6>0を解きます。
放物線は上向きに開き、2と3の外側で正です。
答え:x<2 または x>3
例題11:先頭係数が負の場合
-2x2+x+3≧0を解きます。
根は-1と3/2で、放物線は下向きに開きます。x軸以上になるのは二つの根の間です。等号つきなので根を含みます。
答え:-1≦x≦3/2
例題12:実数解がない場合
x2+2x+5<0を解きます。
すべての実数で左辺は正なので、0未満にはなりません。
答え:解なし
文章題で最大値を使う
例題13:長方形の面積を最大にする
周の長さが20の長方形で、面積の最大値を求めます。一辺を xとすると、もう一辺は10-xで、0<x<10です。
=-x2+10x
=-(x-5)2+25
答え:x=5、つまり一辺5の正方形のとき、面積の最大値は25です。
よくある誤り
- a≠0を忘れる:一般形の aが0なら二次関数ではありません。
- 平方完成で定数項までくくる:まず xを含む項だけをくくります。
- 頂点の符号を読み違える:(x+2)2は(x-(-2))2なので、頂点の x座標は-2です。
- 「上向き」と「上に凸」を同じにする:上向きに開く放物線は下に凸です。
- 定義域を無視する:頂点が区間外なら、最大・最小は端点で生じることがあります。
- 動く軸の文字を先頭係数と混同する:式を平方完成し、x2の係数と軸を別々に読みます。
- 二次不等式で根だけを答える:根は境界です。放物線が上か下かを見て範囲を答えます。
- 厳密不等号で根を含める:>・<では根を含めず、≧・≦では等号を満たす根を含めます。
確認問題
- y=x2+6x+5を平方完成し、頂点と軸を求めてください。
- y=-2x2+8x-1を平方完成し、頂点を求めてください。
- y=-(3/2)(x-1)2+4の開く向き、凸の向き、頂点、軸を答えてください。
- 頂点が(-1, 2)で、点(1, -6)を通る二次関数を求めてください。
- x軸と(-2, 0)、(3, 0)で交わり、y切片が6である二次関数を求めてください。
- y=x2-2x-3(0≦x≦4)の最大値と最小値を求めてください。
- y=2x2+4x+5と x軸の共有点の個数を、判別式で求めてください。
- x2-7x+12≦0を解いてください。
- -x2-2x+3>0を解いてください。
- 3x2+6x+7≧0を解いてください。
確認問題の解答
- y=(x+3)2-4。頂点(-3, -4)、軸 x=-3です。
- y=-2(x-2)2+7。頂点(2, 7)です。
- 下向きに開き、上に凸、頂点(1, 4)、軸 x=1です。
- y=a(x+1)2+2に(1, -6)を代入すると-6=4a+2より a=-2。y=-2(x+1)2+2です。
- y=a(x+2)(x-3)とおきます。x=0で6=-6aより a=-1。y=-(x+2)(x-3)です。
- y=(x-1)2-4。頂点は区間内で最小値-4。両端は y(0)=-3、y(4)=5なので、x=4のとき最大値5、x=1のとき最小値-4です。
- D=42-4・2・5=-24<0なので、0個です。
- (x-3)(x-4)≦0より、3≦x≦4です。
- -(x+3)(x-1)>0より、-3<x<1です。
- 3x2+6x+7=3(x+1)2+4>0なので、すべての実数です。
まとめ
- 二次関数は y=ax2+bx+c(a≠0)の形です。
- 平方完成して標準形にすると、頂点・軸・開く向き・最大・最小を読めます。
- 定義域つきの最大・最小では、頂点が区間内にあるか確認し、両端の値も比べます。
- 二次方程式の実数解は放物線と x軸の共有点で、判別式が個数を表します。
- 二次不等式は、放物線が x軸より上か下かを xの範囲として読み取ります。
よくある質問
頂点の公式だけを覚えてもよいですか。
一般形の軸は x=-b/(2a)ですが、平方完成は頂点の y座標や最大・最小まで同時に示せます。まず平方完成を確実にし、公式は検算や素早い確認に使うと安全です。
二次不等式で「外側」と「内側」を覚えるだけでは不十分ですか。
先頭係数が負の場合や実数解が0個・1個の場合に崩れるため、不十分です。根を境界として、放物線が上向きか下向きか、求める符号が正か負かを毎回確認してください。
最大値・最小値で場合分けが必要になるのはいつですか。
軸や定義域の端に文字が入り、頂点と区間の位置関係が変わるときです。軸が区間の左・内側・右のどこにあるかを図や数直線で整理します。
学習範囲の根拠
本記事は、文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編」の数学I「二次関数」に示された、二次関数とそのグラフ、二次関数の値の変化、二次方程式・二次不等式との関係を基準にしています。
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