正の数・負の数は、0を基準に「反対向きの量」まで表せるようにした数です。数直線で位置と動きを確かめれば、符号の計算は丸暗記ではなく理由から理解できます。
正の数・負の数とは
0より大きい数を正の数、0より小さい数を負の数といいます。正の数には正の符号「+」、負の数には負の符号「−」を付けます。
| 種類 | 例 | 0との関係 |
|---|---|---|
| 正の数 | +3、0.5、2/3 | 0より大きい |
| 0 | 0 | 正の数でも負の数でもない |
| 負の数 | −2、−1.4、−3/4 | 0より小さい |
正の符号「+」は省略できるので、ふつう「+3」は「3」と書きます。一方、「−3」の負の符号は省略できません。
生活の中の負の数
負の数は「不足」そのものではなく、基準と反対向きの量を表します。たとえば、気温0℃を基準にすると3℃は+3℃、0℃より2℃低い気温は−2℃です。海面を基準にすると海抜20mは+20m、海面より5m低い場所は−5mと表せます。
数直線で位置と大小をつかむ
数直線は、数を一直線上の点で表したものです。0を原点といい、右へ進むほど数が大きく、左へ進むほど数が小さくなります。
たとえば、−2は−5より右にあるので、−2 > −5です。負の数だけを比べるときは、符号の後ろの数字が大きいほど数全体は小さくなることがあります。「右にある数が大きい」と数直線で判断すれば迷いにくくなります。
絶対値は0からの距離
ある数を表す点と原点0との距離を、その数の絶対値といいます。距離なので、絶対値は負になりません。
3と−3は0から同じ距離にあり、向きだけが反対です。このような2数を互いに反対の数と考えます。ある数とその反対の数を足すと0になります。
正の数・負の数の加法(足し算)
加法は、数直線上の移動として考えられます。正の数を足すと右へ、負の数を足すと左へ進みます。
例1:異なる符号の加法
問題:(−3)+5 を計算しましょう。
−3の位置から、正の向きへ5進みます。
確かめ:−3から0まで3、さらに2進むので、合計5進んだ位置は2です。
加法の符号を決める方法
- 同じ符号:絶対値を足し、共通の符号を付ける。例:(−4)+(−7)=−11
- 異なる符号:大きい絶対値から小さい絶対値を引き、絶対値が大きい数の符号を付ける。例:(−8)+3=−5
- 絶対値が等しく符号が反対:和は0。例:6+(−6)=0
これは暗記用の決まりではありません。同じ向きの移動は長さを足し、反対向きの移動は打ち消し合うため、残った向きと長さを答えにしているのです。
減法(引き算)は反対の数を足す
ある数を引くことは、その数と反対の数を足すことと同じです。
例2:負の数を引く
問題:4−(−3)を計算しましょう。
- 引く数−3の反対の数は+3です。
- 引き算を、反対の数を足す式に直します。
「マイナスが2個あるからプラス」とだけ覚えるより、−3を引くことは+3を足すことと理解すると、式が長くなっても判断できます。
乗法・除法の符号
乗法では、たとえば(−3)×2を「−3を2回足す」と考えると−6になります。また、分配法則が負の数でも成り立つように考えると、(−3)×(−2)は+6になります。
| 符号の組合せ | 積・商の符号 | 例 |
|---|---|---|
| 同じ符号 | 正 | (−12)÷(−3)=4 |
| 異なる符号 | 負 | (−4)×5=−20 |
負の数が3個以上ある乗法
負の数の個数に注目します。負の数が偶数個なら積は正、奇数個なら積は負です。これは、2個ずつ組にすると(負)×(負)が正になるためです。
累乗と計算の順序
同じ数をいくつか掛けたものを、その数の累乗といいます。指数は、同じ数を何個掛けるかを表します。
−32=−(3×3)=−9
かっこがある式では、負の符号も含めた−3を2乗します。かっこがない式では、累乗を先に計算してから負の符号を付けます。
計算の基本順序は、かっこの中→累乗→乗法・除法→加法・減法です。同じ優先順位の計算は、原則として左から進めます。
例3:四則が混じった計算
問題:−5+8−(−3)×2 を計算しましょう。
- 乗法を先に計算します。(−3)×2=−6
- 元の式は −5+8−(−6) になります。
- 減法を加法に直します。−5+8+6=9
小数・分数でも考え方は同じ
数が小数や分数になっても、符号の決め方は変わりません。符号と絶対値を分けて考えます。
(−2/3)×(9/4)=−3/2
2つ目は異符号なので答えは負です。絶対値は、約分して(2/3)×(9/4)=3/2 と求めます。
文章題では「基準」と「正の向き」を決める
例4:気温の変化
問題:朝の気温は−4℃でした。昼までに7℃上がり、夜には昼より5℃下がりました。夜の気温を求めましょう。
上がる向きを正、下がる向きを負として式にします。
答え:−2℃
確かめ:朝−4℃から7℃上がると3℃、そこから5℃下がると−2℃です。
文章題では、最初に「何を0とするか」「どちら向きを正とするか」を書くと、負の符号が何を意味するか明確になります。
よくある間違いと直し方
1. 負の数は、数字が大きいほど大きいと思う
−8と−3では、数直線で右にある−3の方が大きい数です。迷ったら0からの距離ではなく、数直線上の位置を見ます。
2. 引き算の式で、最初の数の符号まで変える
変えるのは「引く数」の符号です。−2−5=−2+(−5)=−7であり、最初の−2はそのままです。
3. 加法にも乗法の符号ルールを使う
「異符号なら負」は乗法・除法のルールです。加法の(−8)+3では、絶対値の差5と、絶対値が大きい−8の符号から−5になります。
4. −3²と(−3)²を同じにする
累乗する範囲をかっこで確認します。−3²=−9、(−3)²=9です。
確認問題
- 次の数を、正の数・0・負の数に分けてください。
−7、0、+2.5、−1/3、8 - 不等号 > または < を入れてください。
(1)−4 □ 1 (2)−6 □ −2 (3)−0.3 □ −0.5 - 次の計算をしてください。
(1)(−7)+12 (2)3−(−8) (3)(−6)×(−4) (4)−18÷3 - −2+5×(−3)−(−4)を計算してください。
- ある地点を基準の0mとします。そこから12m下り、次に7m上り、さらに3m下りました。最後の位置を符号付きの数で表してください。
解答と解説を開く
- 正の数:+2.5、8/0:0/負の数:−7、−1/3。0はどちらにも含めません。
- (1)−4 < 1 (2)−6 < −2 (3)−0.3 > −0.5。数直線で右にある数が大きい数です。
- (1)5 (2)11 (3)24 (4)−6。
- −13。先に5×(−3)=−15を計算し、−2−15+4=−13です。
- −8m。下る向きを負とすると、−12+7−3=−8です。
まとめ
- 正の数は0より大きく、負の数は0より小さい。0はどちらでもない。
- 数直線では右にある数ほど大きく、絶対値は0からの距離を表す。
- 加法は「向きと移動」、減法は「反対の数を足す」と考える。
- 乗法・除法は同符号なら正、異符号なら負。ただし0では割れない。
- かっこ、累乗、乗除、加減の順を守り、一段ずつ途中式を書く。
保護者の方へ:見守りのポイント
正答数だけでなく、「−3は−5よりなぜ大きいか」「4−(−3)はなぜ7か」を数直線や言葉で説明できるかをご確認ください。符号ミスが続くときは、暗算を急がせず、減法を加法に直す一行を書くだけでも安定します。
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