高1|数と式解き方がわからないときは 高1数学|数学I「数と式」 実数・展開・因数分解・一次不等式(無料問題PDF) を先に読むと、この問題で何を問われているかが分かります。
集合と命題では、条件を満たすものを集合で整理し、「ならば」の向きを読みます。P⊆Qなら p⇒qは真です。この見方から必要条件・十分条件・対偶まで一貫して理解できます。
集合とは
集合とは、含まれるか含まれないかをはっきり判定できるものの集まりです。集合に含まれる一つ一つを要素といいます。
- aが集合 Aの要素である:a∈A
- aが集合 Aの要素でない:a∉A
たとえば A={1, 3, 5} なら、3∈A、2∉Aです。波かっこの中で要素の順序を変えても集合は同じで、同じ要素を重ねて書いても一つとして扱います。
集合の表し方
要素を列挙する方法と、要素が満たす条件を示す方法があります。
- 列挙:A={2, 4, 6, 8}
- 条件:A={x|xは10未満の正の偶数}
縦線「|」は「その条件を満たす」という意味です。どの範囲の数を考えるかが重要なので、必要に応じて「xは整数」「xは実数」などを明記します。
空集合と全体集合
要素を一つももたない集合を空集合といい、∅で表します。考察の対象となる要素全体の集合を全体集合といい、ここでは Uで表します。補集合は全体集合を基準にするため、Uが変われば補集合も変わります。
部分集合と集合の相等
集合 Aのすべての要素が集合 Bに含まれるとき、AはBの部分集合です。この記事では A⊆Bと書きます。教科書によっては、等しい場合を含めて A⊂Bと書くことがあります。
- A⊆B:Aの要素はすべてBに含まれる
- A=B:A⊆BかつB⊆A
- A⊊B:A⊆BかつA≠B
例題1:要素と部分集合
A={1, 2, 3}のとき、次の真偽を答えましょう。
- 2∈A
- {2}∈A
- {2}⊆A
- ∅⊆A
答え:1は真、2は偽、3と4は真です。Aの要素は数1, 2, 3であり、集合{2}そのものは要素ではありません。空集合は、どの集合の部分集合でもあります。
共通部分・和集合・補集合
| 名称 | 記号 | 意味 |
|---|---|---|
| 共通部分 | A∩B | AにもBにも属する要素の集合 |
| 和集合 | A∪B | AまたはBの少なくとも一方に属する要素の集合 |
| 補集合 | Ac | 全体集合 Uの要素のうち、Aに属さない要素の集合 |
| 差集合 | A∖B | Aに属し、Bには属さない要素の集合 |
日常語の「または」は一方だけを指すこともありますが、数学の A∪B は、両方に属する場合も含みます。
例題2:集合の演算
U={1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10}、Aを偶数の集合、Bを素数の集合とします。
A={2, 4, 6, 8, 10}、B={2, 3, 5, 7}です。
- A∩B={2}
- A∪B={2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 10}
- Ac={1, 3, 5, 7, 9}
- A∖B={4, 6, 8, 10}
確かめ:各要素1〜10を一つずつ、条件に合う場所へ分類します。
ド・モルガンの法則
- (A∪B)c=Ac∩Bc
- (A∩B)c=Ac∪Bc
「AまたはBである」の否定は「Aでなく、かつBでもない」です。「または」と「かつ」が入れ替わる点が重要です。
命題と条件
命題とは、正しいか正しくないかを明確に判定できる文や式です。正しい命題を真、正しくない命題を偽といいます。
- 「4は偶数である」:真
- 「すべての素数は奇数である」:偽。2が反例です。
- 「x>3」:xが決まらないと真偽が定まらないので、xに関する条件です。
条件 pを満たす xの集合を P、条件 qを満たす集合を Qとします。このとき、命題「p⇒q」が真であることは、P⊆Qと同じ意味です。
例題3:命題を集合の包含関係で判定する
xを実数とし、p:x>2、q:x>0とします。「pならばq」の真偽を調べましょう。
P={x|x>2}、Q={x|x>0}です。数直線上で PはQに含まれるので、P⊆Qです。
したがって、命題 p⇒qは真です。
逆の q⇒pは偽です。たとえば x=1が反例になります。
偽であることは反例一つで示せる
「すべての〜」という命題を偽と示すには、条件を満たすのに結論を満たさない例を一つ示せば十分です。その例を反例といいます。一方、命題が真であることは、いくつかの例を試すだけでは証明できません。
必要条件・十分条件
命題 p⇒qが真であるとき、次のように呼びます。
| 関係 | 呼び方 | 集合での見方 |
|---|---|---|
| p⇒q | pはqであるための十分条件 | P⊆Q |
| p⇒q | qはpであるための必要条件 | P⊆Q |
| p⇔q | pとqは互いに必要十分条件 | P=Q |
例題4:必要条件と十分条件
xを実数とし、p:x=3、q:x2=9とします。
p⇒qは真です。したがって、pはqの十分条件で、qはpの必要条件です。
しかし、q⇒pは偽です。x=-3が反例だからです。
よって、pはqの必要条件ではなく、qはpの十分条件ではありません。
逆・裏・対偶
命題「p⇒q」に対して、次の命題を考えます。¬pは「pでない」という否定です。
| 名称 | 形 | 作り方 |
|---|---|---|
| 元の命題 | p⇒q | 条件から結論へ |
| 逆 | q⇒p | 条件と結論を入れ替える |
| 裏 | ¬p⇒¬q | 条件と結論をそれぞれ否定する |
| 対偶 | ¬q⇒¬p | 入れ替えて、それぞれ否定する |
元の命題と対偶は真偽が一致します。また、逆と裏も真偽が一致します。元の命題が真でも、逆が真とは限りません。
例題5:逆・裏・対偶を作る
nを整数とし、命題「nが4の倍数ならば、nは偶数である」を考えます。
- 逆:nが偶数ならば、nは4の倍数である。偽。反例は n=2。
- 裏:nが4の倍数でないならば、nは偶数でない。偽。反例は n=2。
- 対偶:nが偶数でないならば、nは4の倍数でない。真。
元の命題と対偶がともに真、逆と裏がともに偽になっています。
条件の否定
否定は、元の条件を満たさない場合をすべて含む必要があります。境界の等号にも注意します。
| 条件 | 否定 |
|---|---|
| x>3 | x≦3 |
| x≧3 | x<3 |
| pかつq | ¬pまたは¬q |
| pまたはq | ¬pかつ¬q |
| すべての xで p | pを満たさない xが少なくとも一つある |
例題6:複合条件を否定する
条件「1<x<4」を否定しましょう。
元の条件は「x>1 かつ x<4」です。否定すると、
「x≦1 または x≧4」
したがって、答えはx≦1 または x≧4です。境界の1と4を含みます。
命題の証明
証明では、いくつかの例で確かめるだけでなく、仮定から結論までを定義・既知の性質・論理でつなぎます。証明の基本構成を先に復習したい場合は、中学数学「図形の証明の書き方」も参考にしてください。
直接証明
例題7:偶数と奇数の和
「偶数と奇数の和は奇数である」ことを証明します。
整数 k, lを用いて、偶数を2k、奇数を2l+1と表します。
2k+(2l+1)=2(k+l)+1。
k+lは整数なので、これは奇数の形です。したがって、偶数と奇数の和は奇数です。
対偶を使う証明
例題8:平方が偶数なら元の整数も偶数
nを整数とし、「n2が偶数ならば、nは偶数である」ことを証明します。
対偶「nが奇数ならば、n2は奇数である」を示します。
nが奇数なら、整数 kを用いて n=2k+1と表せます。
n2=(2k+1)2=4k2+4k+1=2(2k2+2k)+1。
よって n2は奇数です。対偶が真なので、元の命題も真です。
背理法
背理法は、示したい結論を否定して仮定し、そこから矛盾を導く証明方法です。矛盾が生じるなら、否定した仮定が誤りで、元の結論が正しいと分かります。
例題9:√2が無理数であること
√2が有理数であると仮定します。すると、互いに素な正の整数 m, nを用いて √2=m/nと表せます。
両辺を2乗すると、2n2=m2。よって m2は偶数なので、前の例題より mも偶数です。m=2kとおきます。
2n2=4k2より、n2=2k2。同様に nも偶数です。
すると mとnはともに2を約数にもつことになり、互いに素という仮定に矛盾します。したがって、√2は無理数です。
よくある誤り
- ∈と⊆を混同する:左側が一つの要素か、集合かを確認します。
- 全体集合を決めずに補集合を求める:同じ Aでも、Uが変われば Acは変わります。
- 「または」から共通部分を除く:数学の「または」は、通常は両方を満たす場合も含みます。
- 真の命題の逆も真と考える:逆は別の命題です。反例がないか独立に調べます。
- 必要条件と十分条件を語感で決める:先に矢印を書き、出発側・到着側で判定します。
- 不等式の否定で等号を落とす:x>3の否定は x<3ではなく x≦3です。
- 数例の確認を証明とする:真を示すには一般の要素で論証し、偽を示すには反例を一つ挙げます。
確認問題
- A={1, 2, 3, 4}、B={3, 4, 5}のとき、A∩BとA∪Bを求めてください。
- U={1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8}、A={2, 4, 6, 8}のとき、Acを求めてください。
- A={1, 2}のとき、1∈A、{1}∈A、{1}⊆Aの真偽を答えてください。
- xを実数とするとき、「x>5ならばx2>25」は真ですか。
- xを実数とするとき、「x2=4ならばx=2」は真ですか。偽なら反例を挙げてください。
- nを整数とし、p:nは6の倍数、q:nは3の倍数とします。pとqの必要条件・十分条件の関係を答えてください。
- 命題「nが3の倍数ならば、n2は3の倍数である」の対偶を書いてください。
- 条件「x<-2 または x≧4」を否定してください。
- 「二つの整数がともに奇数ならば、その和は偶数である」ことを文字で証明してください。
- 「n2が奇数ならば nは奇数である」の真偽を答え、理由を説明してください。
確認問題の解答
- A∩B={3, 4}、A∪B={1, 2, 3, 4, 5}です。
- {1, 3, 5, 7}です。全体集合 Uのうち Aに属さない要素を集めます。
- 1∈Aは真、{1}∈Aは偽、{1}⊆Aは真です。
- 真です。x>5なら xは正で、x2>25です。条件を満たす集合(5, ∞)は、結論を満たす集合(-∞, -5)∪(5, ∞)に含まれます。
- 偽です。反例は x=-2です。x2=4を満たしますが、x=2ではありません。
- p⇒qが真です。したがって、pはqの十分条件、qはpの必要条件です。逆は n=3を反例として偽です。
- 対偶は「n2が3の倍数でないならば、nは3の倍数でない」です。
- -2≦x<4です。「または」の否定は「かつ」になり、各不等号の否定を取ります。
- 二つの奇数を2k+1、2l+1とすると、和は2(k+l+1)です。k+l+1は整数なので、和は偶数です。
- 真です。対偶「nが偶数ならば n2は偶数」を示します。n=2kなら、n2=4k2=2(2k2)で偶数です。
まとめ
- 集合は、含まれるかどうかを明確に判定できるものの集まりです。
- P⊆Qなら、命題 p⇒qは真です。
- p⇒qが真なら、pは十分条件、qは必要条件です。
- 元の命題と対偶は真偽が一致します。偽は反例一つで示せますが、真はいくつかの例だけでは証明できません。
- 否定では、不等号の境界と「かつ」「または」の入れ替わりを確認します。
よくある質問
必要条件と十分条件を簡単に見分ける方法はありますか。
条件を p⇒q の形にします。矢印の出発側 pが十分条件、到着側 qが必要条件です。逆向きも真なら必要十分条件です。集合では P⊆Qかを調べます。
元の命題が真なら、逆も真ですか。
限りません。元の命題と必ず真偽が一致するのは対偶です。逆は別に判定し、偽なら反例を挙げます。元の命題と逆の両方が真なら、二つの条件は必要十分条件です。
反例をいくつ示せば、命題が偽だといえますか。
一つで十分です。命題の仮定を満たすのに結論を満たさない例を示します。ただし、反例が見つからないことは命題が真である証明にはなりません。
学習範囲の根拠
本記事は、文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編」の数学I「数と式」に示された、集合と命題の基本概念、集合を用いた論理的考察、簡単な命題の証明を基準にしています。要素数の公式は数学A「場合の数と確率」で詳しく扱います。
