形が同じで、大きさだけが異なる図形を相似な図形といいます。相似では、頂点の対応順を正しく読み、対応する角と辺をそろえることが最初の要点です。三角形の三つの相似条件を根拠として証明し、相似比から長さ・面積・体積の比へつなげましょう。
相似な図形とは
一つの図形を、形を変えずに一定の割合で拡大または縮小して、必要に応じて移動・回転・裏返しをすると、もう一つの図形に重なるとき、二つの図形は相似です。
二つの相似な図形には、次の性質があります。
- 対応する角の大きさは、それぞれ等しい。
- 対応する辺の長さの比は、全て等しい。
三角形ABCと三角形DEFが相似で、AとD、BとE、CとFが対応するとき、次のように表します。
対応順から等しい角と辺の比を読む
△ABC∽△DEFから、次の対応関係が分かります。
| 対応 | 三角形ABC | 三角形DEF |
|---|---|---|
| 頂点 | A、B、C | D、E、F |
| 角 | ∠A、∠B、∠C | ∠D、∠E、∠F |
| 辺 | AB、BC、CA | DE、EF、FD |
AB/DE=BC/EF=CA/FD
例1:対応する辺の長さ
△ABC∽△DEFで、AB=6、BC=9、CA=12、DE=4とします。
三角形ABCと三角形DEFの相似比は6:4=3:2です。
FD=12×(2/3)=8
答え:EF=6、FD=8
三角形の三つの相似条件
二つの三角形は、次の三条件のうち一つを満たせば相似です。
| 相似条件 | 確認するもの |
|---|---|
| 三組の辺の比が全て等しい | 対応する3辺の比 |
| 二組の辺の比と、その間の角がそれぞれ等しい | 対応する2辺の比と、その2辺にはさまれた角 |
| 二組の角がそれぞれ等しい | 対応する2角 |
条件1:三組の辺の比が全て等しい
例2:3辺から相似を判断する
辺の長さが4、6、8の三角形と、6、9、12の三角形を比べます。
三組の対応する辺の比が全て等しいので、二つの三角形は相似です。相似比は2:3です。
条件2:二組の辺の比と、その間の角がそれぞれ等しい
例3:2辺とその間の角から判断する
△ABCでAB=6、AC=9、∠A=50°、△DEFでDE=4、DF=6、∠D=50°とします。
AC/DF=9/6=3/2
∠A=∠D
二組の辺の比と、その間の角がそれぞれ等しいので、△ABC∽△DEFです。
条件3:二組の角がそれぞれ等しい
例4:2角から相似を判断する
二つの三角形で、それぞれ40°の角と65°の角が対応しているとします。
二組の角がそれぞれ等しいので、二つの三角形は相似です。残りの角も180°-40°-65°=75°で等しくなります。
相似の証明を書く手順
- 証明する三角形を書く:「△○○○と△□□□において」と対応順を意識する。
- 仮定から分かることを書く:辺の比、平行、等しい角などを式で示す。
- 既知の性質を使う:対頂角、平行線の錯角・同位角、共通角などを根拠とともに書く。
- 相似条件を言葉で書く:三つの条件のどれを使ったかを明示する。
- 結論を書く:対応順をそろえて△○○○∽△□□□とする。
例5:対頂角を使う相似の証明
2直線ACとBDが点Oで交わり、OA/OC=OB/ODであるとします。△AOBと△CODが相似であることを証明します。
△AOBと△CODにおいて、
仮定より、OA/OC=OB/OD ……①
対頂角は等しいから、∠AOB=∠COD ……②
①、②より、二組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい。
したがって、△AOB∽△COD。
対応はA↔C、O↔O、B↔Dです。したがって、結論は△AOB∽△CODの順に書きます。
相似比から辺の長さを求める
対応する辺の比を、どちらの図形からどちらの図形へ比べるか統一します。
例6:比例式で未知の辺を求める
△ABC∽△DEFで、AB=8、DE=6、BC=12、EF=xとします。
8/6=12/x
8x=72
x=9
答え:EF=9
周の長さ・面積・体積の比
二つの相似な図形の相似比がm:nのとき、次の関係があります。
| 比べる量 | 比 | 理由 |
|---|---|---|
| 対応する長さ | m:n | 相似比そのもの |
| 周の長さ | m:n | 対応する辺を全て同じ倍率で足す |
| 面積 | m²:n² | 縦と横の二方向が同じ倍率になる |
| 体積 | m³:n³ | 縦・横・高さの三方向が同じ倍率になる |
例7:相似比2:3の面積比
小さい図形の面積が20cm²なら、大きい図形の面積は20×(9/4)=45cm²です。
例8:相似比3:5の立体の体積比
対応する長さが5/3倍になると、体積は(5/3)³=125/27倍になります。
面積比から相似比を戻す
面積比が分かっている場合は、正の平方根を取ると相似比になります。長さは正なので、比には正の値を使います。
例9:面積比16:25から相似比を求める
答え:4:5
合同と相似の違い
| 比較 | 合同 | 相似 |
|---|---|---|
| 形 | 同じ | 同じ |
| 大きさ | 同じ | 異なってもよい |
| 対応する辺 | 長さが等しい | 長さの比が全て等しい |
| 対応する角 | 等しい | 等しい |
| 辺の比 | 1:1 | 一定 |
合同は、相似比が1:1である特別な相似と考えられます。
相似をいえない条件
| 与えられた条件 | 相似をいえるか | 理由 |
|---|---|---|
| 一組の角だけが等しい | いえない | 形の異なる三角形を作れる |
| 二組の辺の比だけが等しい | いえない | その間の角が変わると形が変わる |
| 二組の辺の比と、その間ではない角が等しい | 一般にはいえない | 相似条件の角の位置を満たさない |
| 三組の辺の比が全て等しい | いえる | 相似条件を満たす |
| 二組の角がそれぞれ等しい | いえる | 相似条件を満たす |
よくある誤りと直し方
| 誤り | 直し方 |
|---|---|
| 対応順を確認せず△の名前を書く | 等しい角または対応辺から頂点の対応を先に表にする |
| 辺の比を6/4=9/x=y/12のように途中で逆にする | 全て「一つ目/二つ目」またはその逆に統一する |
| 二辺の比と任意の角で相似とする | 角が比を比べた二辺の間にあるか確認する |
| 相似比2:3なら面積比も2:3 | 面積比は2²:3²=4:9 |
| 体積比を二乗する | 体積比は三方向を掛けるため三乗する |
| 図の見た目だけで相似と判断する | 相似条件を満たす根拠を式と角で示す |
確認問題
- △ABC∽△PQRのとき、対応する頂点と辺の比を書きましょう。
- 辺の長さが3、4、5の三角形と、6、8、10の三角形は相似ですか。相似なら相似比も答えましょう。
- 二つの三角形で、ある角がともに50°、その角をはさむ二辺がそれぞれ4、6と6、9です。二つの三角形は相似ですか。
- 二つの三角形で、それぞれ55°の角と70°の角が対応しています。二つの三角形は相似ですか。
- △ABC∽△DEFで、AB=8、DE=6、BC=12です。EFを求めましょう。
- 相似比が3:5の二つの図形があります。小さい図形の面積が27cm²のとき、大きい図形の面積を求めましょう。
- 相似比が2:3で、小さい図形の周の長さが24cmです。大きい図形の周の長さを求めましょう。
- 相似比が2:5の二つの立体があります。小さい立体の体積が64cm³のとき、大きい立体の体積を求めましょう。
- 2直線ACとBDが点Oで交わり、OA/OC=OB/ODです。△AOBと△CODの相似に使う、辺以外の根拠を答えましょう。
- 辺の長さが5、7、8の三角形と、10、14、17の三角形は相似ですか。
確認問題の解答と考え方
- A↔P、B↔Q、C↔Rです。AB/PQ=BC/QR=CA/RPです。
- 3/6=4/8=5/10=1/2なので相似です。小さい三角形:大きい三角形の相似比は1:2です。
- 4/6=6/9=2/3で、その間の角が50°で等しいため相似です。相似比は2:3です。
- 二組の角がそれぞれ等しいため相似です。残りの角も55°です。
- 8/6=12/EFより、EF=9です。
- 面積比は3²:5²=9:25です。27×(25/9)=75なので75cm²です。
- 周の長さの比は相似比と同じ2:3です。24×(3/2)=36なので36cmです。
- 体積比は2³:5³=8:125です。64×(125/8)=1000なので1000cm³です。
- ∠AOB=∠CODです。対頂角は等しいことを使います。
- 5/10=7/14=1/2ですが、8/17≠1/2です。三組の辺の比が全て等しくないため、相似ではありません。
まとめ
- 相似な図形では、対応する角が等しく、対応する辺の比が全て等しい。
- 相似の記号では、対応する頂点を同じ順に並べる。
- 三角形の相似条件は、三辺、二辺とその間の角、二角の三つ。
- 証明では、根拠を示して相似条件を明記し、対応順どおりに結論を書く。
- 相似比m:nなら、周の比はm:n、面積比はm²:n²、体積比はm³:n³。
- 図の見た目ではなく、相似条件を満たす数学的根拠で判断する。
相似を使う具体問題
学習範囲の根拠
本記事は、文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」の第3学年「図形」にある、相似な図形の性質、三角形の相似条件、相似の意味と証明、相似比と面積比・体積比の関係に沿って構成しています。

