数学単元ガイド / 高校数学

ベクトルとは|成分・内積・位置ベクトルの解き方10問

数強塾のプロ講師陣

今日の一問
例題1:2点を結ぶベクトルと大きさ
A(1, 2)、B(4, -2)のとき、ABとその大きさを求めてください。
例題2:和・差・実数倍
a
=(2, -1)、
b
=(-1, 3)のとき、2
a
b
を求めてください。
例題3:同じ向きの単位ベクトル
a
=(3, 4)と同じ向きの単位ベクトルを求めてください。
——さて、どこから手をつける?
答えと考え方は、この記事の中で順を追って解説します。

ベクトルは、大きさと向きをもつ量です。図形の移動を成分で表し、内積で角度や垂直を判定し、位置ベクトルで分点・重心・一直線上の条件を式にできます。このページでは、平面から空間までの基本を例題10問で整理します。

ベクトルとは

速さのように大きさだけをもつ量をスカラー、速度のように大きさと向きをもつ量をベクトルといいます。同じ大きさ・向きなら、置かれた場所が違っても同じベクトルです。

操作 成分での計算 図形的な意味
(a1, a2)+(b1, b2) 矢印を順につなぐ
(a1b1, a2b2) 逆向きのベクトルを足す
実数倍 k(a1, a2)=(ka1, ka2) 拡大・縮小し、負なら逆向き
最重要:2点A、Bに対し、ベクトルABは「終点B-始点A」で求めます。成分の引き算を逆にしないようにします。

成分表示と大きさ

A(x1, y1)、B(x2, y2)のとき、AからBへ向かうベクトルとその大きさは次のとおりです。

AB=(x2x1, y2y1)
|AB|=√{(x2x1)2+(y2y1)2}

大きさが1のベクトルを単位ベクトルといいます。0でないベクトルaと同じ向きの単位ベクトルはa/|a|です。

内積となす角

a=(a1, a2)、b=(b1, b2)の内積は、成分と角度の2通りで表せます。

aba1b1a2b2=|a||b|cosθ

0ベクトルでない2つのベクトルが垂直である条件は、ab=0です。内積の答えはベクトルではなく数(スカラー)になります。

成分と基本計算:例題1〜3

例題1:2点を結ぶベクトルと大きさ

A(1, 2)、B(4, -2)のとき、ABとその大きさを求めてください。

解答と解説

終点Bから始点Aを引きます。

AB=(4-1, -2-2)=(3, -4)
|AB|=√(32+(-4)2)=5

したがって、AB=(3, -4)、|AB|=5です。

例題2:和・差・実数倍

a=(2, -1)、b=(-1, 3)のとき、2abを求めてください。

解答と解説
2ab=(4, -2)-(-1, 3)=(5, -5)

答えは(5, -5)です。各成分を同じ順序で計算します。

例題3:同じ向きの単位ベクトル

a=(3, 4)と同じ向きの単位ベクトルを求めてください。

解答と解説
|a|=√(32+42)=5

よってaを5で割り、

(3/5, 4/5)

です。実際に大きさは√{(3/5)2+(4/5)2}=1です。

内積・垂直・なす角:例題4〜6

例題4:内積と垂直条件

a=(2, 1)、b=(1, -2)が垂直であることを確かめてください。

解答と解説
ab=2·1+1·(-2)=0

どちらも0ベクトルではなく内積が0なので、abは垂直です。

例題5:なす角

a=(1, 0)、b=(1, √3)のなす角θ(0≦θ≦π)を求めてください。

解答と解説

内積は1、大きさは|a|=1、|b|=2です。

cosθ=(ab)/(|a||b|)=1/2

したがって、θ=π/3(60度)です。

例題6:未知数を垂直条件で求める

a=(k, 2)、b=(1, -3)が垂直であるとき、kを求めてください。

解答と解説

垂直条件ab=0を使います。

k·1+2·(-3)=0

よってk=6です。

位置ベクトル

原点Oを基準に、点Aの位置を表すOAを点Aの位置ベクトルといいます。OA=a、OB=bとすると、線分ABをm:nに内分する点Pの位置ベクトルは次のとおりです。

OP=(namb)/(mn)

比の数字が反対側の点に掛かる「たすき掛け」です。中点は(ab)/2、三角形ABCの重心は(abc)/3です。

内分点・重心・一直線:例題7〜9

例題7:内分点

A(1, 2)、B(7, -1)を結ぶ線分をAP:PB=2:1に内分する点Pを求めてください。

解答と解説
P={1·A+2·B}/3

成分ごとに計算すると、

P=((1+14)/3, (2-2)/3)=(5, 0)

答えはP(5, 0)です。2:1なのでPがBに近いことも図で確認します。

例題8:三角形の重心

A(0, 0)、B(6, 0)、C(0, 3)を頂点とする三角形の重心Gを求めてください。

解答と解説

3頂点の座標を成分ごとに平均します。

G=((0+6+0)/3, (0+0+3)/3)

したがって、G(2, 1)です。

例題9:一直線上の点

A(1, 2)、B(5, 0)、P(3, 1)が一直線上にあることを示してください。

解答と解説
AB=(4, -2), AP=(2, -1)

AP=(1/2)ABなので、ABとAPは平行です。しかも始点Aが共通なので、A、B、Pは一直線上にあります。

空間ベクトル:例題10

空間では成分が3つになります。和・差・実数倍・内積・位置ベクトルの考え方は平面と同じです。

例題10:空間の2点を結ぶベクトル

空間の2点A(1, 2, 3)、B(4, 0, -1)に対し、ABとその大きさを求めてください。

解答と解説
AB=(4-1, 0-2, -1-3)=(3, -2, -4)
|AB|=√(32+(-2)2+(-4)2)=√29

したがって、AB=(3, -2, -4)、|AB|=√29です。

10問の答えと判断ポイント

番号 答え 判断ポイント
1 (3, -4)、5 終点-始点
2 (5, -5) 成分ごとに計算
3 (3/5, 4/5) 元のベクトルを大きさで割る
4 垂直 内積0
5 π/3 内積と大きさからcosを求める
6 k=6 垂直条件を方程式にする
7 P(5, 0) 内分公式のたすき掛け
8 G(2, 1) 3頂点の平均
9 AP=(1/2)AB 実数倍なら平行
10 (3, -2, -4)、√29 空間でも終点-始点

よくある誤りと直し方

誤り 直し方
ABをA-Bで求める 「終点B-始点A」と声に出す
内積の答えをベクトルで書く 内積は成分を掛けて足した数である
内分公式の係数を同じ側に掛ける 比の数字は反対側へたすき掛けする
内積0なら無条件で垂直とする 2つが0ベクトルでないことも確認する
平行でないベクトルでも係数比較する 基準ベクトルが一次独立であることを確認する

学習順と関連ページ

  1. 本記事の例題1〜3で、成分と大きさを確実にします。
  2. 例題4〜6で、内積を垂直・角度の問題へ使います。
  3. 例題7〜10で、位置ベクトルと空間への拡張を確認します。
  4. 数学Cの総復習15題の問題1〜5で定着を確認します。
  5. 二次曲線複素数平面へ進み、数学Cの図形分野をつなげます。

よくある質問

ベクトルとスカラーの違いは何ですか。

スカラーは大きさだけ、ベクトルは大きさと向きをもちます。例えば速さはスカラー、向きを含む速度はベクトルです。

内積は何のために使いますか。

2つのベクトルのなす角を求めたり、垂直を判定したりするために使います。成分から計算できるので、図形の条件を方程式へ変換できます。

分点公式の係数を混同しない方法はありますか。

AP:PB=m:nなら、Aには反対側のn、Bには反対側のmを掛けます。答えが比の大きい側の点へ近づくことも図で確認します。

平面ベクトルと空間ベクトルは別の単元ですか。

成分が2つから3つに増えますが、和・差・実数倍・内積・分点の考え方は同じです。平面で計算の型を固めてから空間へ進むと理解しやすくなります。

学習指導要領との対応

本記事は、文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 数学編 理数編」の数学C「ベクトル」に沿い、平面上のベクトル、空間座標とベクトルを中心に構成しています。

文部科学省:高等学校学習指導要領解説 数学編 理数編(PDF)

ベクトルでは、「終点-始点」で成分を作り、図形の条件を式へ翻訳します。大きさは三平方の定理、角度と垂直は内積、分点と重心は位置ベクトルで処理します。公式だけでなく、結果の向き・大きさ・位置が図と一致するかを毎回確認しましょう。

数強塾オリジナル 追加演習4題——座標が与えられていないとき

上の10問には共通点があります。10問とも、数が与えられていることです。成分か座標のどちらかが必ず書いてあり、あとは計算するだけになっています。ところが入試のベクトルは、座標のない図形——「三角形 \(\mathrm{OAB}\) があって、辺の上に点 \(\mathrm{P}\) があって…」——が主戦場です。

そして、その主戦場で使う道具のうち1つは、上の「よくある誤りと直し方」の表が警告しているのに、本文の例題では一度も使われていません

平行でないベクトルでも係数比較する → 基準ベクトルが一次独立であることを確認する

係数比較です。表の警告は正しいのですが、係数比較を使う例題が1つもないので、何を、なぜ確認するのかが分かりません。この4題で埋めます。前半2題は「成分がないまま大きさと角を出す」、後半2題は「係数比較と一次独立」です。

追加第1問 成分がないまま、大きさを出す

\(\left|\vec{a}\right| = 2\)、\(\left|\vec{b}\right| = 3\)、\(\vec{a}\) と \(\vec{b}\) のなす角が \(60^\circ\) であるとき、\(\vec{a}\cdot\vec{b}\)、\(\left|\vec{a}+\vec{b}\right|\)、\(\left|2\vec{a}-\vec{b}\right|\) を求めよ。

解答

成分は分かりませんが、内積はもう1つの表し方 \(\vec{a}\cdot\vec{b} = \left|\vec{a}\right|\left|\vec{b}\right|\cos\theta\) で出ます(なぜ内積にcosが現れるのか)。

\[ \vec{a}\cdot\vec{b} = 2\cdot 3\cdot\cos 60^\circ = 3 \]

大きさは、2乗してから展開します。ここが「成分がないとき」の中心です。

\[ \left|\vec{a}+\vec{b}\right|^2 = \left|\vec{a}\right|^2+2\,\vec{a}\cdot\vec{b}+\left|\vec{b}\right|^2 = 4+6+9 = 19 \ \Longrightarrow\ \left|\vec{a}+\vec{b}\right| = \sqrt{19} \]
\[ \left|2\vec{a}-\vec{b}\right|^2 = 4\left|\vec{a}\right|^2-4\,\vec{a}\cdot\vec{b}+\left|\vec{b}\right|^2 = 16-12+9 = 13 \ \Longrightarrow\ \left|2\vec{a}-\vec{b}\right| = \sqrt{13} \]

検算

成分を自分で置いて確かめられます。\(\vec{a} = (2,\ 0)\) とすると、なす角 \(60^\circ\)・大きさ \(3\) から \(\vec{b} = \left(\dfrac32,\ \dfrac{3\sqrt3}{2}\right)\)。

\(\vec{a}\cdot\vec{b} = 3\)。○ \(\vec{a}+\vec{b} = \left(\dfrac72,\ \dfrac{3\sqrt3}{2}\right)\) で \(\dfrac{49}{4}+\dfrac{27}{4} = 19\)。○ \(2\vec{a}-\vec{b} = \left(\dfrac52,\ -\dfrac{3\sqrt3}{2}\right)\) で \(\dfrac{25}{4}+\dfrac{27}{4} = 13\)。○

成分がない問題でも、検算のためだけに成分を置いてよいのがコツです。片方を \(x\) 軸に沿わせると、もう一方は \(\left(\left|\vec{b}\right|\cos\theta,\ \left|\vec{b}\right|\sin\theta\right)\) で置けます。答案には書きませんが、手元では必ずこれで確かめてください。

追加第2問 逆に、大きさからなす角を出す

\(\left|\vec{a}\right| = 1\)、\(\left|\vec{b}\right| = 2\)、\(\left|\vec{a}+\vec{b}\right| = \sqrt7\) であるとき、\(\vec{a}\) と \(\vec{b}\) のなす角 \(\theta\)(\(0^\circ \le \theta \le 180^\circ\))を求めよ。

解答

追加第1問と同じ展開を、今度は逆向きに読みます

\[ \left|\vec{a}+\vec{b}\right|^2 = \left|\vec{a}\right|^2+2\,\vec{a}\cdot\vec{b}+\left|\vec{b}\right|^2 \ \Longrightarrow\ 7 = 1+2\,\vec{a}\cdot\vec{b}+4 \]

よって \(\vec{a}\cdot\vec{b} = 1\)。ここから角に戻します。

\[ \cos\theta = \frac{\vec{a}\cdot\vec{b}}{\left|\vec{a}\right|\left|\vec{b}\right|} = \frac{1}{1\cdot 2} = \frac12 \ \Longrightarrow\ \theta = 60^\circ \]

検算

\(\vec{a} = (1,\ 0)\)、\(\vec{b} = \left(1,\ \sqrt3\right)\) と置くと \(\left|\vec{b}\right| = 2\)、なす角は \(60^\circ\)。\(\vec{a}+\vec{b} = \left(2,\ \sqrt3\right)\) で大きさの2乗は \(4+3 = 7\)。○ 例題5と同じ図ですが、与えられているものと聞かれているものが入れかわっています

もう1つ、答えの妥当さも見ておきます。\(\left|\vec{a}\right|+\left|\vec{b}\right| = 3\)、\(\left|\left|\vec{b}\right|-\left|\vec{a}\right|\right| = 1\) なので、\(\left|\vec{a}+\vec{b}\right|\) は必ず \(1\) 以上 \(3\) 以下。\(\sqrt7 \fallingdotseq 2.65\) はその範囲にあります。○ この範囲外の値が与えられた問題は、そもそも成り立ちません。

追加第3問 係数比較で交点を求める(表が警告している技法)

三角形 \(\mathrm{OAB}\) において \(\overrightarrow{\mathrm{OA}} = \vec{a}\)、\(\overrightarrow{\mathrm{OB}} = \vec{b}\) とする。辺 \(\mathrm{AB}\) を \(2:1\) に内分する点を \(\mathrm{M}\)、線分 \(\mathrm{OM}\) を \(3:1\) に内分する点を \(\mathrm{P}\) とする。

直線 \(\mathrm{AP}\) と辺 \(\mathrm{OB}\) の交点を \(\mathrm{Q}\) とするとき、\(\overrightarrow{\mathrm{OQ}}\) を \(\vec{b}\) で表せ。

解答

まず \(\mathrm{M}\) と \(\mathrm{P}\) を \(\vec{a},\ \vec{b}\) で書きます。内分は比の数字が反対側に掛かる、たすき掛けです(例題7)。

\[ \overrightarrow{\mathrm{OM}} = \frac{1\cdot\vec{a}+2\cdot\vec{b}}{3} = \frac{\vec{a}+2\vec{b}}{3},\qquad \overrightarrow{\mathrm{OP}} = \frac34\,\overrightarrow{\mathrm{OM}} = \frac{\vec{a}+2\vec{b}}{4} \]

次に、\(\mathrm{Q}\) を2通りに表します。ここが型です。

・\(\mathrm{Q}\) は辺 \(\mathrm{OB}\) 上なので、実数 \(t\) を使って \(\overrightarrow{\mathrm{OQ}} = t\vec{b}\)。

・\(\mathrm{Q}\) は直線 \(\mathrm{AP}\) 上なので、実数 \(s\) を使って

\[ \overrightarrow{\mathrm{OQ}} = \vec{a}+s\left(\overrightarrow{\mathrm{OP}}-\vec{a}\right) = \vec{a}+s\left(-\frac34\vec{a}+\frac12\vec{b}\right) = \left(1-\frac{3s}{4}\right)\vec{a}+\frac{s}{2}\,\vec{b} \]

ここで係数比較です。\(\mathrm{O},\ \mathrm{A},\ \mathrm{B}\) は三角形をなすので \(\vec{a}\) と \(\vec{b}\) は平行でなく、一次独立。だから同じベクトルの表し方は1通りしかなく、係数どうしを比べてよい——この一言を答案に書きます。表が「確認する」と言っているのは、これです。

\(t\vec{b} = \left(1-\dfrac{3s}{4}\right)\vec{a}+\dfrac{s}{2}\vec{b}\) の係数を比べて

\[ 1-\frac{3s}{4} = 0,\qquad \frac{s}{2} = t \]

前者から \(s = \dfrac43\)、これを後者に入れて \(t = \dfrac23\)。よって

\[ \overrightarrow{\mathrm{OQ}} = \frac23\,\vec{b} \]

検算

座標を入れます。\(\mathrm{O}(0,\,0)\)、\(\mathrm{A}(3,\,0)\)、\(\mathrm{B}(0,\,3)\) とすると \(\mathrm{M}(1,\,2)\)、\(\mathrm{P}\left(\dfrac34,\ \dfrac32\right)\)。

直線 \(\mathrm{AP}\) 上の点は \(\left(3-\dfrac94 s,\ \dfrac32 s\right)\) と書けて、\(x = 0\) となるのは \(s = \dfrac43\)。このとき \(y = 2\) なので \(\mathrm{Q}(0,\,2)\)。たしかに \(\dfrac23\vec{b} = \dfrac23(0,\,3) = (0,\,2)\)。○

ベクトルの答えは、都合のよい座標を1組入れれば必ず検算できます。直角二等辺にとると計算が軽くなります。

追加第4問 一次独立でないと、何が起きるのか

\(\vec{a} = (1,\,2)\)、\(\vec{b} = (2,\,4)\) とする。

(1) \(x\vec{a}+y\vec{b} = \vec{0}\) をみたす \((x,\,y)\) を、\(x,\ y\) がともに \(0\) でないもので1組挙げよ。

(2) \(\vec{p} = (3,\,6)\) を \(x\vec{a}+y\vec{b}\) の形に表す方法が1通りでないことを示せ。

解答

(1) \(\vec{b} = 2\vec{a}\) なので、\(x\vec{a}+y\vec{b} = (x+2y)\vec{a}\)。これが \(\vec{0}\) になるのは \(x+2y = 0\) のときで、たとえば

\[ (x,\ y) = (2,\ -1) \]

(2) 同じく \(x\vec{a}+y\vec{b} = (x+2y)\vec{a}\) で、\(\vec{p} = 3\vec{a}\) ですから \(x+2y = 3\) をみたす \((x,\,y)\) すべてが答えになります。

\((x,\,y)\) 計算 \((3,\,6)\) になるか
\((3,\,0)\) \(3\vec{a}+0\vec{b}=(3,\,6)\)
\((1,\,1)\) \(1\vec{a}+1\vec{b}=(3,\,6)\)
\((-1,\,2)\) \(-1\vec{a}+2\vec{b}=(3,\,6)\)
\((5,\,-1)\) \(5\vec{a}-1\vec{b}=(3,\,6)\)

4組とも \((3,\,6)\) になります。表し方が1通りに決まらない——だから係数比較ができません。

検算と対比

一次独立な組で同じことをしてみます。\(\vec{a} = (1,\,2)\)、\(\vec{b}’ = (2,\,1)\) なら、\(x\vec{a}+y\vec{b}’ = (x+2y,\ 2x+y) = (3,\,6)\) から

\[ x+2y = 3,\qquad 2x+y = 6 \]

この連立の解は \(x = 3,\ y = 0\) の1通りだけです。○ \(\vec{b}’\) は \(\vec{a}\) の実数倍ではないので、平行ではありません。

例題9では「\(\overrightarrow{\mathrm{AP}} = \dfrac12\overrightarrow{\mathrm{AB}}\) だから平行、だから一直線上」と結論しました。一次独立は、その裏返しです——実数倍で書けないこと、つまり \(\mathrm{O},\ \mathrm{A},\ \mathrm{B}\) が一直線上にないこと。「三角形 \(\mathrm{OAB}\) において」と問題文にあれば、それだけで一次独立が保証されています。だから答案では「三角形をなすので \(\vec{a},\ \vec{b}\) は一次独立」と書けば足ります。

この4題で確認したこと

  • 成分がないときは、2乗して展開する。\(\left|\vec{a}+\vec{b}\right|^2 = \left|\vec{a}\right|^2+2\vec{a}\cdot\vec{b}+\left|\vec{b}\right|^2\) が中心(追加第1問)。
  • 同じ式を逆に読めば、大きさからなす角が出る(追加第2問)。与えられるものと聞かれるものが入れかわるだけ
  • 交点は2通りに表して係数比較。1本目は「辺 \(\mathrm{OB}\) 上だから \(t\vec{b}\)」、2本目は「直線 \(\mathrm{AP}\) 上だから \(\vec{a}+s(\cdots)\)」(追加第3問)。
  • 係数比較ができるのは、表し方が1通りに決まるときだけ。それが一次独立の意味です(追加第4問)。
  • 「三角形 \(\mathrm{OAB}\) において」の一言が、一次独立の根拠になる。答案にはそう書く。
  • 成分のない問題でも、手元では成分や座標を置いて検算してよい。答案に書かなければよいだけです。

この型をまとめて練習するなら、ベクトルの図形への応用の解法パターン全14型(交点・係数比較はここが本体です)、平面ベクトルの解法パターン全13型、手を動かす側は ベクトル(基本)の特訓道場|成分と内積で解く20題、空間へ広げるなら 空間ベクトルの解法パターン全12型空間ベクトルの特訓道場 へ。

道具の「なぜ」は、なぜ内積にcosが現れるのかなぜ内積が0なら垂直なのかなぜベクトルの和は平行四辺形になるのかなぜ三角形の重心は中線を2:1に分けるのか にまとめてあります。

数学Cの続きは 二次曲線複素数平面 へ。

要点辞典この単元の公式・定石・つまずきやすい所は 数学II・B・Cの要点辞典:ベクトル にまとめてあります。

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