中1|資料の整理・データの分布解き方がわからないときは 中1数学|データの分布とは?度数分布表・ヒストグラム・相対度数【中1数学】(無料問題PDF) を先に読むと、この問題で何を問われているかが分かります。
コインを投げる前に、表か裏かを確実に当てることはできません。しかし、同じ条件で何度も投げ、表が出た割合を調べると、起こりやすさには一定の傾向が見えてきます。多数の観察や多数回の試行による確率は、偶然に左右される事象を、相対度数を使って数量的に捉える考え方です。
不確定な事象と試行
実際に行うまで結果が確定しない事柄を、ここでは不確定な事象として考えます。コインを投げて表が出ること、明日雨が降ること、製品を一つ調べて不良であることなどが例です。
| 用語 | 意味 | コインの例 |
|---|---|---|
| 試行 | 結果が偶然に左右される実験や観察を行うこと | コインを1回投げる |
| 結果 | 試行によって実際に起きたこと | 表、または裏 |
| 事象 | 注目する結果や結果の集まり | 表が出る |
| 相対度数 | 注目する事象が起きた回数の割合 | 表の回数÷投げた回数 |
多数回の試行による確率
同じ条件で試行を多数回行うと、ある事象の相対度数が、ある一定の値の近くで変動することがあります。この安定していく値を、その事象が起こる確率とみなします。
コイン投げの結果を読む
同じコインを繰り返し投げたとき、表が出た回数を記録したとします。
| 試行回数 | 表の回数 | 表の相対度数 |
|---|---|---|
| 10 | 6 | 6÷10=0.600 |
| 50 | 28 | 28÷50=0.560 |
| 100 | 53 | 53÷100=0.530 |
| 500 | 249 | 249÷500=0.498 |
| 1,000 | 503 | 503÷1,000=0.503 |
試行回数が少ない10回では0.600ですが、500回では0.498、1,000回では0.503となっています。この一例では、試行回数が増えると、表の相対度数が0.5の近くで変動しています。したがって、表が出る確率をおよそ0.5と捉えられます。
例1:相対度数を求める
問題:コインを200回投げると、表が112回出ました。表の相対度数を求めましょう。
答え:0.56。
この200回だけでは0.5と完全には一致しませんが、偶然に左右される試行では自然なことです。
さいころの複数の結果をまとめる
さいころを600回投げた結果が、次の表だったとします。
| 出た目 | 回数 | 相対度数 |
|---|---|---|
| 1 | 97 | 97÷600≒0.162 |
| 2 | 104 | 104÷600≒0.173 |
| 3 | 98 | 98÷600≒0.163 |
| 4 | 101 | 101÷600≒0.168 |
| 5 | 95 | 95÷600≒0.158 |
| 6 | 105 | 105÷600=0.175 |
| 合計 | 600 | 1(表示値の合計は丸めにより0.999) |
例2:「1または2」が出る起こりやすさ
「1または2」が出た回数は、97+104=201回です。
答え:相対度数は0.335です。この実験結果から、起こる確率をおよそ0.34と見積もれます。
一つの結果だけでなく、「1または2」「偶数」など、複数の結果をまとめた事象も考えられます。分子には、その事象に当てはまった回数の合計を使います。
確率からおおよその回数を予測する
ある事象が起こる確率をpと見積もったとき、同じような条件でn回行う場合に起こる回数は、およそnp回と予測できます。
例3:雨の日数を予測する
問題:同じ季節の記録で、ある条件の日100日中22日が雨でした。この相対度数0.22を使い、同様の条件の日が200日あるときの雨の日数を予測しましょう。
答え:およそ44日。
観察データで確率を考えるとき
コインやさいころのように同じ操作を繰り返す場合だけでなく、不良品の割合、雨の日の割合、ある時間帯に電車が遅れる割合など、観察によって得た相対度数から起こりやすさを考えることもあります。
- 何を1回と数えるかを決める。1日、1製品、1人など、試行や観察の単位を明確にする。
- 注目する事象を決める。雨が降る、不良である、遅れるなどを定義する。
- 十分な数のデータを集める。少数だけで結論を急がない。
- 条件がそろっているか確かめる。時期、場所、道具、測定方法などの違いを見る。
- 相対度数を計算し、限界も含めて説明する。予測値を確実な結果として言い切らない。
中1で扱う確率と中2で扱う確率
| 学年 | 主な考え方 |
|---|---|
| 中1 | 多数の観察や多数回の試行で得た相対度数から、起こりやすさを捉える |
| 中2 | 結果が同様に確からしい場合に、起こる場合の数と全ての場合の数から確率を求める |
中1では、実際のデータを基に相対度数の傾向を読むことが中心です。「起こる場合の数÷全ての場合の数」という求め方は、条件を明確にした上で中2で詳しく学びます。
よくある間違い
1. 直前の結果から次を断定する
コインで表が5回続いても、「次は必ず裏」とはいえません。過去の並びだけで、次の1回の結果は確定しません。
2. 予測回数と実際の回数が必ず一致すると考える
確率0.3の事象を100回行っても、必ず30回起こるわけではありません。30回はおおよその予測です。
3. 少数回の相対度数だけで判断する
2回中2回なら相対度数は1ですが、それだけで今後も必ず起こるとは判断できません。試行回数も一緒に示します。
4. 条件の違うデータをそのまままとめる
道具、季節、場所、対象の選び方が違うと、同じ事象でも起こりやすさが変わることがあります。
確認問題
- コインを200回投げて表が112回出ました。表の相対度数を求めてください。
- 上のさいころの表から、「1または2」が出た相対度数を求めてください。
- ある事象を20回、100回、500回観察すると、それぞれ7回、31回、148回起こりました。相対度数を求め、確率をおよそいくつと見積もるか答えてください。
- ある製品300個を調べると、72個が条件Aに当てはまりました。同じ条件の製品1,000個では、およそ何個が条件Aに当てはまると予測できますか。
- コイン投げで表が5回続きました。「次は必ず裏である」といえますか。理由も答えてください。
- 同じ事象について、10回中6回と1,000回中503回という記録があります。起こりやすさを見積もる資料として、通常どちらを重く見るべきですか。
解答と解説を開く
- 112÷200=0.56です。
- (97+104)÷600=201÷600=0.335です。
- 7÷20=0.35、31÷100=0.31、148÷500=0.296です。多数回の0.296を中心に見ると、確率はおよそ0.30と見積もれます。
- 相対度数は72÷300=0.24です。1,000×0.24=240より、およそ240個です。
- いえません。各回の結果は実際に投げるまで確定せず、表が続いた事実だけで次の1回が裏に決まるわけではありません。
- 通常は、試行回数が多い1,000回中503回の記録を重く見ます。少数回の相対度数は偶然によって大きく変動しやすいためです。ただし、実験条件が同じかも確認します。
まとめ
- 多数回の試行では、事象の相対度数が一定の値の近くで変動することがある。
- その安定していく値を、その事象が起こる確率とみなす。
- 相対度数は、事象が起きた回数÷試行回数。
- 予測回数は試行回数×確率で求めるが、実際の回数を保証するものではない。
- 試行回数だけでなく、条件やデータの集め方も確認して判断する。
学習範囲の根拠
この記事は、文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)解説 数学編」の第1学年「不確定な事象の起こりやすさ」を基準に構成しています。多数の観察や多数回の試行によって得られる確率の必要性と意味を理解し、その結果から起こりやすさの傾向を読み取り表現する学習を反映しています。正式な内容は、文部科学省の解説PDFで確認できます。
