東京都市大学等々力中学校 算数の傾向と対策【数強塾オリジナル】
東京都市大学等々力中学校(東京都世田谷区等々力)は、東京都市大学を系属校にもつ共学の中高一貫校です。中学入試では、S特選コース・特選コースという2つのコースで生徒を募集しており、当日の得点によってコースが判定される入試制度をとっています。算数は国語とならんで配点が高く、合否を大きく左右する重要教科です。この記事では、東京都市大学等々力中学校が公式サイトで公開している募集要項の情報をもとに算数の枠組みを整理したうえで、オンライン数学専門塾「数強塾」が独自に作成したオリジナル類題5問を、考え方・解答・検算つきで掲載します。実在の過去問を書き写したものは一切なく、受験算数の標準的な題材をふまえて数強塾が新しく作った問題です。答えはすべて、正攻法とは別の方法による二重検算で一致を確認しています。
※本校は、男子校の「東京都市大学付属中学校」とは別の学校です。この記事の対象は、世田谷区等々力にある共学の「東京都市大学等々力中学校」です。
公式の募集要項からわかる算数のポイント
- 公式の募集要項(中学入試用・前年度版)によれば、一般入試は複数回あり、代表的なものとして第1回特選入試(2月1日午前・4科のみ)、第1回S特選入試(2月1日午後)、第2回S特選入試(2月2日午後)、第2回特選入試〈S特チャレンジ〉(2月3日午後)が案内されています。このほかに英語1教科型・アクティブラーニング(AL)型(2月4日)、帰国生入試(12月)もあります。
- 午後の入試では4科型(国語・算数・理科・社会)と2科型(国語・算数)から出願時に選べる方式が中心です。
- 算数の試験時間は45分・配点100点と案内されています(国語も45分・100点、理科・社会は2科合わせて50分・各50点です)。
- 国語と算数の配点(各100点)が、理科・社会(各50点)より高く設定されており、算数の出来が合否に大きく影響する配点構成です。とくに2科型では国語・算数の2教科だけで合否が決まります。
- 合格したコース(S特選・特選)は当日の得点によって判定され、S特選入試では得点に応じて特選コースへのスライド合格もあると案内されています。算数を含む総合得点をどれだけ積み上げられるかが、合格・コース判定の両面で重要になります。
- 出願はインターネット出願のみで、窓口受付はないと案内されています。
※入試回・試験時間・配点・コース制度は、執筆時点で公式サイトに掲載の募集要項(中学入試用・前年度版=2026年度実績)にもとづく整理です。公式ページでは翌年度の募集要項が例年夏ごろに掲載されるほか、帰国生入試・英語選択型などの日程・方式が年度により変更される旨も案内されています。受験の際は必ず最新の 東京都市大学等々力中学校 入試情報(公式) と 出願について(公式) をご確認ください。過去問題やサンプル問題は 公式の過去問題ページ で公開されています。
※本ページは公開情報にもとづく傾向分析と、数強塾オリジナルの自作類題による対策です。実際の問題文・図は学校公式サイトでご確認ください。
出題分野の傾向
ここでの記述は特定年度の問題の解説ではなく、算数45分・100点という枠組みと、共学進学校で一般的に問われる力から読み取れる方向づけの整理です。断定は避け、学習の道しるべとしてお読みください。実際の出題形式や難度は、公式サイトで公開されている過去問題・サンプル問題や市販の教材でご確認ください。
- 計算力と一行問題を確実に得点する力:45分・100点という枠組みでは、序盤の計算問題や標準的な一行問題を、速く正確に処理できることが得点の土台になります。分数・小数の混じった計算、逆算、単位換算をミスなく仕上げる練習が最優先です。
- 受験算数の主要分野を広く:割合(濃度・売買損益)、速さ(旅人算・流水算・通過算)、平面図形(面積比・相似・角度)、立体図形(体積・水の深さ)、数の性質・規則性、場合の数など、主要分野を「なぜその式になるのか」まで理解して使いこなせる状態を目指しましょう。
- 図や表をかいて状況を整理する力:応用問題では、線分図・面積図・ダイヤグラム・表などを自分の手でかいて状況を整理する習慣が、正答への近道になります。とくに速さや割合の文章題は、条件を図に落としてから式を立てると見通しがよくなります。
- 算数の配点の重さを意識する:一般入試では国語・算数が各100点と、理科・社会(各50点)より高く配点されています。2科型では国語・算数の2教科だけで合否が決まるため、算数で取りこぼさないことが合否に直結します。
- 見直し・検算の習慣:コース判定やスライド合格のある入試では、1点の差が結果を分けることがあります。配点の高い算数で確実に得点を積み上げるために、別の方法で答えを確かめる検算の習慣を、日ごろの演習から身につけておきましょう。
オリジナル類題で対策
※以下の類題5問は、上記の傾向をふまえて数強塾が独自に作成したオリジナル問題です。実在の過去問の複製ではありません。全問、正攻法で解いたうえで別の方法による二重検算を行い、答えの一致を確認しています。図がなくても読み解けるよう、状況は文章で説明しています。
類題1(割合・売買損益)
【問題】 ある商品に、原価の2割5分の利益を見込んで定価をつけました。ところが定価では売れなかったので、定価の1割引きで売ったところ、利益は225円になりました。
(1) この商品の原価を求めなさい。
(2) この商品を100個仕入れ、そのうち70個を定価で、残り30個を定価の1割引きで売り切りました。利益の合計はいくらですか。
【方針】 売買損益の問題は「原価を1(または①)とおいて、定価・売値を割合で表す」のが基本です。定価は原価の1.25倍、その1割引きは定価の0.9倍なので、実際の売値は原価の何倍になるかを求め、そこから利益(売値−原価)が原価の何倍かを考えます。(2) は、定価で売ったときと1割引きで売ったときの1個あたりの利益を別々に求めて合計します。
【解答】 (1) 原価を1とすると、定価は 1×1.25=1.25。定価の1割引きの売値は 1.25×0.9=1.125。
このときの利益は 1.125−1=0.125(原価の0.125倍)で、これが225円にあたります。
よって原価は 225÷0.125=1800(円)。
(2) 定価は 1800×1.25=2250(円)、1割引きの売値は 2250×0.9=2025(円)。
定価で売ったときの1個あたりの利益は 2250−1800=450(円)、1割引きで売ったときは 2025−1800=225(円)。
利益の合計は 450×70+225×30=31500+6750=38250(円)。
【別解による検算】 (2) は「総売上−総原価」でも確かめられます。総売上は 2250×70+2025×30=157500+60750=218250(円)。総原価は 1800×100=180000(円)。利益の合計は 218250−180000=38250(円)で一致します。
さらに (1) の答えを検算します。原価1800円の商品の定価は 1800×1.25=2250円、その1割引きは 2250×0.9=2025円。利益は 2025−1800=225円で、問題の条件どおりです。
類題2(速さ・流水算)
【問題】 静水(流れのない水)では時速12kmで進む船があります。この船が、川の流れが時速3kmの川を上ったり下ったりします。上流のB地点と下流のA地点は24kmはなれています。
(1) この船がA地点からB地点まで川を上るのに、何時間何分かかりますか。
(2) A地点を出発してB地点まで上り、休まずに折り返してA地点まで下ります。往復にかかる時間は何時間何分ですか。
【方針】 流水算は「上りの速さ=静水の速さ−流れの速さ」「下りの速さ=静水の速さ+流れの速さ」が出発点です。この船の上りの速さは 12−3=9(km/時)、下りの速さは 12+3=15(km/時)です。あとは「時間=道のり÷速さ」で計算します。往復では上りと下りで速さがちがうので、行きと帰りの時間を別々に求めて合計します。
【解答】 上りの速さは 12−3=9(km/時)、下りの速さは 12+3=15(km/時)。
(1) AからBへは川を上るので、かかる時間は 24÷9=8/3(時間)。8/3時間=2時間40分なので2時間40分。
(2) 上り(A→B)は 24÷9=8/3(時間)、下り(B→A)は 24÷15=8/5(時間)。
合計は 8/3+8/5=40/15+24/15=64/15(時間)。64/15時間=4時間 4/15時間で、4/15時間=4/15×60=16分なので4時間16分。
【別解による検算】 時間をすべて「分」に直して確かめます。上りは 8/3時間=8/3×60=160分、下りは 8/5時間=8/5×60=96分。合計は 160+96=256分。256分は 256÷60=4あまり16 より4時間16分で一致します。
(1) についても、160分=2時間40分で答えと一致しました。
類題3(平面図形・面積比)
【問題】 三角形ABCがあります。辺AB上に、AD:DB=2:1となる点Dをとり、辺AC上に、AE:EC=3:2となる点Eをとります。
(1) 三角形ADEの面積は、三角形ABCの面積の何倍ですか。
(2) 三角形ABCの面積が60cm²のとき、四角形DBCEの面積を求めなさい。
【方針】 三角形ADEと三角形ABCは、頂点Aを共有し、角Aが共通です。このとき「面積の比は、角Aをはさむ2辺の長さの比の積」になります。つまり、三角形ADE:三角形ABC=(AD×AE):(AB×AC) です。ADはABの2/3、AEはACの3/5にあたることを使います。(2) は、全体から三角形ADEを引けば四角形DBCEが求まります。
【解答】 (1) ADはABの 2/(2+1)=2/3、AEはACの 3/(3+2)=3/5 にあたります。
三角形ADEと三角形ABCは角Aが共通なので、面積の比は 2/3×3/5=6/15=2/5。
よって三角形ADEの面積は三角形ABCの2/5倍。
(2) 三角形ADE=60×2/5=24(cm²)。
四角形DBCEは、三角形ABCから三角形ADEを取りのぞいた部分なので 60−24=36(cm²)。
【別解による検算】 2段階に分けて確かめます。まず、三角形ADCと三角形ABCは、頂点Cから見て底辺AD・ABが同じ直線上にあり高さが等しいので、面積比は AD:AB=2:3。三角形ADC=60×2/3=40(cm²)。
つぎに、三角形ADEと三角形ADCは、頂点Dから見て底辺AE・ACが同じ直線上にあり高さが等しいので、面積比は AE:AC=3:5。三角形ADE=40×3/5=24(cm²)。
最初の解答と一致し、四角形DBCEは 60−24=36(cm²)で確認できました。
類題4(数の性質・循環小数)
【問題】 分数 1/7 を小数で表すと、0.142857142857… となり、142857 という6個の数字がくり返しあらわれます。
(1) 小数第50位の数字は何ですか。
(2) 小数第1位から小数第50位までの、50個の数字の和を求めなさい。
【方針】 同じ並びがくり返す問題は「くり返しのまとまり(周期)で割った余り」に注目します。1,4,2,8,5,7 の6個で1周期なので、50を6で割った余りが、周期の中で何番目の数字にあたるかを教えてくれます。(2) は「1周期分の和」を求め、何周期分あるかと、余りの分の和を足し合わせます。
【解答】 周期は 1,4,2,8,5,7 の6個です。
(1) 50÷6=8あまり2。あまりが2なので、小数第50位は周期の2番目の数字と同じで4。
(2) 1周期(6個)の数字の和は 1+4+2+8+5+7=27。
50個は、6個ずつの周期が8組(=48個)と、あと2個です。8組分の和は 27×8=216。残り2個は周期の1番目・2番目、つまり 1+4=5。
よって50個の数字の和は 216+5=221。
【別解による検算】 (1) は、48位までがちょうど8周期で終わり、49位が周期の1番目(1)、50位が周期の2番目(4)にあたる、と数えても4で一致します。
(2) は別のまとめ方で確かめます。1番目から48番目までの和は 27×8=216、49番目と50番目はそれぞれ 1,4 なので、その和は 216+1+4=221。同じ答えになりました。
類題5(立体図形・水の深さ)
【問題】 直方体の形をした水そうがあります。底面は縦20cm・横30cmの長方形で、高さは25cmです。この水そうに、深さ15cmまで水が入っています。
(1) いま入っている水の体積は何cm³ですか。
(2) この水そうに、1辺が10cmの立方体の鉄のおもりを1個、底に沈めました。水面の高さは何cmになりますか。ただし、水はあふれないものとします。
【方針】 (1) は「底面積×水の深さ」で体積が求まります。(2) は、おもりを沈めると、おもりが水の中で占めた分だけ水面が押し上げられる、と考えます。「上がった水の体積=おもりの体積」なので、上がる高さは「おもりの体積÷底面積」で求められます。おもりが完全に水に沈んでいるかどうかも確認します。
【解答】 底面積は 20×30=600(cm²)。
(1) 水の体積は 600×15=9000(cm³)。
(2) おもり(1辺10cmの立方体)の体積は 10×10×10=1000(cm³)。
おもりを沈めると、その体積の分だけ水面が上がります。上がる高さは 1000÷600=5/3(cm)。
新しい水面の高さは 15+5/3=16と2/3(cm)。
このとき水面はおもりの高さ10cmより上にあるので、おもりは完全に沈んでおり、また水そうの高さ25cmより低いので水はあふれません。よって水面の高さは16と2/3cm(約16.7cm)。
【別解による検算】 「水とおもりを合わせた体積」から求めても確かめられます。おもりが完全に沈んでいるとき、水面より下の部分の体積は 水9000cm³+おもり1000cm³=10000(cm³)。これが底面積600cm²の柱として高さ□cmになると考えると 600×□=10000、□=10000÷600=50/3=16と2/3(cm)で一致します。
念のため、この高さ(約16.7cm)はおもりの高さ10cmより高いので、はじめの「おもりは完全に沈む」という前提も正しいことが確認できました。
学習アドバイス
【時期別】
- 6年生の夏まで:計算力と各分野の標準解法を穴なく仕上げることが最優先です。割合・比・速さ・平面図形・立体図形・数の性質・規則性・場合の数を、この時期に一通り正確にしておきましょう。算数の配点が高い学校なので、計算は毎日、時間を計って正確さを鍛えます。
- 秋(9〜11月):応用問題への対応力と、45分・100点という時間配分の感覚を養う時期です。複数の単元を組み合わせた問題や、図・表をかいて状況を整理する練習を意識しましょう。とれる問題を確実にとり、難しい問題に時間を使いすぎない判断力も養います。
- 直前期(12月〜1月):これまでの問題を反復し、精度と再現性を高める時期です。本記事の【別解による検算】のように、別のルートで自分の答えを確かめる習慣を試験運びに組み込むと、本番での取りこぼしを減らせます。コース判定やスライド合格のある入試では、1点の差が結果を分けることもあるため、取れる問題を確実に取り切ることを最優先にしましょう。
【分野別】
- 割合・売買損益:原価を1(または①)とおき、定価・売値を割合で表す型を身につけましょう(類題1)。「利益=売値−原価」「総売上−総原価」の両面から検算する習慣が、ミスを減らします。
- 速さ・流水算:流水算は「上りの速さ=静水−流れ」「下りの速さ=静水+流れ」が出発点です(類題2)。往復では行きと帰りの速さがちがうので、時間を別々に求めて合計し、分に直して検算すると安心です。
- 平面図形:角を共有する三角形の面積比は「はさむ2辺の比の積」になる、という発想は強力な武器です(類題3)。「高さが等しい三角形の面積比=底辺の比」を2段階に使う解き方も、検算として役立ちます。
- 数の性質・規則性:くり返しのある問題は「周期で割った余り」に注目します(類題4)。1周期分の和を求めてから全体を組み立てると、循環小数や周期算をすっきり処理できます。
- 立体図形:水の深さの問題は「上がった水の体積=沈めたものの体積」を軸に考えます(類題5)。「水+沈めたものの体積」から高さを求める別の見方でも確かめられ、おもりが完全に沈むかどうかの確認も忘れないようにします。
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