場合の数と確率 完全攻略|37項目のエッセンス辞典(オリジナル問題つき)

場合の数と確率でつまずく生徒のほとんどは、公式を忘れているのではありません。「いま自分は、何を区別して数えているのか」を見失っています。このページは、この単元のエッセンスを37項目に分解し、1項目につき「核心の一行・公式・数強塾オリジナル問題・解答・落とし穴」を辞書のようにまとめたものです。上から通読しても、迷った項目だけ引いても使えます。

このページの使い方

  1. まず各項目の「エッセンス」だけを拾って通読します。ここに単元の骨格が全部あります。
  2. 次にオリジナル問題を解きます。解答は折りたたんであります。3分考えてから開いてください。
  3. 間違えたら、答えではなく「落とし穴」を読みます。同じ型のミスは必ず再発します。

掲載している問題はすべて数強塾が作成したオリジナル問題で、答えは全問、計算機による全列挙で検証済みです。

全体地図:37項目

この単元は、次の5つの層が積み上がってできています。下の層が崩れていると、上の層は絶対に安定しません。

問い 項目
第I部 数え上げの土台 もれなく重複なく数えるとは何か 01〜05
第II部 順列 並べ方(順序を区別する) 06〜14
第III部 組合せ 選び方(順序を区別しない) 15〜20
第IV部 確率の基礎 数えた個数を、どう割合に変えるか 21〜26
第V部 試行の重ね方と期待値 くり返す・条件がつく・平均を取る 27〜37
  1. 集合の要素の個数
  2. 樹形図
  3. 和の法則
  4. 積の法則
  5. 約数の個数と総和
  6. 順列 nPr
  7. 順列(人の並び)
  8. 順列(数字の並び)
  9. 円順列
  10. じゅず順列
  11. 重複順列
  12. 支払いに関する場合の数
  13. 同じものを含む順列
  14. 最短経路
  15. 組合せ nCr
  16. 図形と組合せ
  17. 組合せと和・積の法則
  18. 組分けの総数
  19. 重複組合せ
  20. 重複組合せの応用(方程式の整数解)
  21. 確率の考え方
  22. 確率と順列・組合せ
  23. 確率の加法定理(排反)
  24. 一般の和事象の確率
  25. 余事象の確率
  26. 出る目の最大値
  27. 独立な試行の確率
  28. 反復試行の確率
  29. 点の移動
  30. ゲームが終わる確率
  31. 確率 pn を最大にする n
  32. 条件付き確率
  33. 確率の乗法定理
  34. じゃんけんの確率
  35. 原因の確率
  36. 期待値
  37. 期待値の利用(有利・不利の判定)

公式早見表

場面 ひと言
和集合の個数 重なりを1回引く
順列 選んで並べる
円順列 1つ固定する
じゅず順列 裏返しも同じ
重複順列 毎回すべてから選べる
同じものを含む順列 区別できない分で割る
組合せ 並べ替えの で割る
組合せの性質 選ぶ=残す
重複組合せ ○と仕切り|の順列
確率の定義 同様に確からしいこと
加法定理 排反なら引く項が0
余事象 「少なくとも」の合図
独立試行 影響し合わないとき
反復試行 順序の選び方が
条件付き確率 分母が世界の全部になる
乗法定理 戻さないときはこれ
期待値 (値)×(その確率)の和

第I部 数え上げの土台(01〜05)

01 集合の要素の個数基本

エッセンス:「どちらでもない」を数えたくなったら、まず「どちらか」を数えて全体から引く。ベン図は、頭の中の重なりを紙の上に固定する道具。

ド・モルガンの法則 は、「どちらでもない=両方でない」を式にしただけです。

オリジナル問題 200以下の正の整数のうち、次のような数は何個あるか。

(1) 9で割り切れる数 (2) 9でも12でも割り切れる数 (3) 9でも12でも割り切れない数

解答を見る

9で割り切れる数の集合を A、12で割り切れる数の集合を B とする。

(1) より 個。

(2) 9でも12でも割り切れる数は、9と12の最小公倍数36の倍数。 より 個。

(3) より 。よって
求める個数は 個。

落とし穴:(2) で「9と12の積108の倍数」としてしまう誤り。共通の倍数は最小公倍数の倍数であって、積の倍数ではありません。9と12は互いに素ではないので、ここが必ず割れます。

02 樹形図基本

エッセンス:公式が使えるかどうかを判断する前に、まず少しだけ書き出す。樹形図は答えを出す道具であると同時に、規則を発見する道具です。

数え上げの原則は「もれなく、重複なく」。そのためには、必ず順序を決めて枝を伸ばします。終了条件がある問題では、終わった枝はそこで止めるのが要点です。

オリジナル問題 A、Bの2チームが試合を繰り返し、先に4勝したチームが優勝となる。引き分けはないものとするとき、優勝が決まるまでの勝敗の並び方は全部で何通りあるか。

解答を見る

1試合目にAが勝つ場合を樹形図でたどり、最後に対称性から2倍する。

Aが優勝する場合を、決着までの試合数で分類する。Aの4勝目で終わるので、それ以前の試合でBが何勝しているかを数えればよい。

決着 並び 通り
4戦 Aが4連勝 1
5戦 初め4戦でAが3勝1敗、5戦目にA
6戦 初め5戦でAが3勝2敗、6戦目にA
7戦 初め6戦でAが3勝3敗、7戦目にA

Aが優勝するのは 通り。Bが優勝する場合も同様に35通り。

よって 通り。

落とし穴:「7試合分の勝敗だから 」としてしまう誤り。4勝した時点で試合は終わるので、その後の枝は存在しません。終了条件を無視した枝は、実際には起こらない場合を数えています。

03 和の法則基本

エッセンス:「AまたはB」で、AとBが同時に起こらないとき、足す。同時に起こりうるなら、足してから重なりを引く(→01)。

オリジナル問題 大小2個のさいころを投げるとき、出た目の和が4の倍数になる場合は何通りあるか。

解答を見る

目の和は2以上12以下だから、4の倍数になるのは和が4、8、12のときで、これらは同時には起こらない。

和が4:(1,3), (2,2), (3,1) の3通り
和が8:(2,6), (3,5), (4,4), (5,3), (6,2) の5通り
和が12:(6,6) の1通り

よって和の法則により 通り。

落とし穴:「和が4の倍数」を「どちらかの目が4の倍数」と読み違える誤り。もう一つは、和が2から12まであるのに和が12の場合を書き忘れること。上限・下限は必ず先に押さえます。

04 積の法則基本

エッセンス:「AもBも」で、Aのどの場合に対してもBの起こり方が同じ数だけあるとき、掛ける。この「どの場合に対しても」が崩れていたら掛けてはいけません。

オリジナル問題 大中小3個のさいころを投げるとき、3個の目がすべて異なる場合は何通りあるか。

解答を見る

大の目の出方は 6 通り。

そのどの場合に対しても、中の目は大の目を除いた 5 通り。

さらにそのどの場合に対しても、小の目は大・中の目を除いた 4 通り。

よって 通り。

落とし穴:「大が1のときは中が5通り、大が2のときは……」と場合分けを始めてしまうこと。大の目が何であっても中は必ず5通りだと気づけば、場合分けは不要です。逆に、この均一性が崩れる問題(例:大の目より小さい目、など)では積の法則を使えません。

05 約数の個数と総和応用

エッセンス:約数を作る行為は、素因数ごとに「何個使うか」を独立に選ぶこと。だから積の法則がそのまま効きます。

(p, q, r は異なる素数)と素因数分解できるとき

オリジナル問題 360の正の約数の個数と、その総和を求めよ。

解答を見る

と素因数分解できる。

個数は 個。

総和は

落とし穴:指数に +1 を足し忘れること。0個使う(=その素因数を含まない)場合があるので、選択肢は 個ではなく 個です。総和の式でも先頭の 1 がこれに当たります。

第II部 順列:並べ方(06〜14)

06 順列 nPr基本

エッセンス:順列は「選んで、さらに並べる」。だから順序を変えたら別物として数えます。

掛ける数の個数は 個。ここを数え間違えるのが最も多いミスです。

オリジナル問題 8人の生徒から4人を選んで1列に並べる方法は何通りあるか。

解答を見る

通り。

落とし穴: と5つ掛けてしまう誤り。並べる場所の数だけ掛けると覚えます。場所が4つなら因数も4つです。

07 順列(人の並び)頻出

エッセンス:条件があるものを先に処理するのが鉄則。「隣り合う」はひとまとめ、「両端」は先に置く、「交互」は片方を先に並べて間に入れる、「少なくとも」は余事象。

条件 処理
続いて並ぶ・隣り合う ひとまとめにして並べ、中での並べ替えを最後に掛ける
両端が指定 両端を先に決め、残りを並べる
交互に並ぶ 一方を先に並べ、その隙間にもう一方を入れる
隣り合わない 交互と同じく隙間法。人数差で場合分けが要ることもある
少なくとも2人続く (全体)−(どの2人も隣り合わない)

オリジナル問題 大人5人と子ども4人の合計9人が1列に並ぶとき、次のような並び方は何通りあるか。

(1) 子ども4人が続いて並ぶ (2) 大人が両端に並ぶ (3) 大人と子どもが交互に並ぶ (4) 大人が少なくとも2人続いて並ぶ

解答を見る

(1) 子ども4人をひとまとめにすると、「子どもの組1つ+大人5人」の6個の並べ方は 通り。そのどの場合に対しても、まとまりの中での子ども4人の並べ方は 通り。
よって 通り。

(2) 両端に並ぶ大人の選び方と順序は 通り。そのどの場合に対しても、間の7人の並べ方は 通り。
よって 通り。

(3) 大人5人、子ども4人で人数が1人違うので、両端は必ず大人になる(大人・子ども・大人・…・大人)。
大人5人の並べ方が 通り、その4か所の隙間に子ども4人を並べる方法が 通り。
よって 通り。

(4) 「少なくとも2人続く」を直接数えると場合が多い。余事象「どの大人も隣り合わない」を数える。
子ども4人を並べる方法は 通り。その両端と間の5か所の隙間に、大人5人を1人ずつ入れる方法は 通り。よってどの大人も隣り合わないのは 通り。
全体は 通りだから、 通り。

落とし穴:(1) でまとまりの中の並べ替え を掛け忘れるのが最多のミス。(3) では「大人1人と子ども1人をペアにする」発想が誤り(誰と誰が組むかは決まっていません)。(4) を直接数えようとすると「2人だけ続く/3人だけ続く/…」と場合が爆発します。「少なくとも」を見たら余事象を反射にしてください。

08 順列(数字の並び)頻出

エッセンス:整数を作る問題の第一関門は「最高位に0は置けない」。第二関門は倍数判定、第三関門は「小さい順に何番目か」=それより小さいものを数えること。

倍数 判定法
2の倍数 一の位が偶数
3の倍数 各位の数の和が3の倍数
4の倍数 下2桁が4の倍数
5の倍数 一の位が0か5
9の倍数 各位の数の和が9の倍数

オリジナル問題 6個の数字 0, 1, 2, 3, 4, 5 から異なる数字を3個選んで3桁の整数を作る。

(1) 3桁の整数は全部で何個あるか。
(2) そのうち4の倍数は何個あるか。
(3) 421は小さい方から数えて何番目の整数か。

解答を見る

(1) 百の位は0以外の5通り。そのどの場合に対しても、十の位と一の位は、百の位の数以外の(0を含む)5個から2個を並べて 通り。
よって 個。

(2) 4の倍数になるのは下2桁が4の倍数になるとき。0〜5の異なる2数でできる下2桁は
 04, 12, 20, 24, 32, 40, 52 の7通り。

[1] 下2桁に0を含む 04, 20, 40 のとき
 百の位は残り4個の数字すべてが使える(0はすでに使用済み)から4通り。よって 個。

[2] 下2桁に0を含まない 12, 24, 32, 52 のとき
 百の位は残り4個のうち0を除く3通り。よって 個。

[1], [2] から 個。

(3) 421より小さい整数の個数を数える。

1□□, 2□□, 3□□ の形:百の位が3通り、残りは 通りずつで
40□ の形:一の位は残り {1, 2, 3, 5} の4個
41□ の形:一の位は残り {0, 2, 3, 5} の4個
42□ で421より小さいもの:420 の1個

合計 個。よって421は 番目。

落とし穴:(1) を としてしまう誤り。これには 012 のような先頭が0のものが混ざります。(2) では下2桁に0を含むかどうかで百の位の選択肢の数が変わることに気づかず、一律に3通りとしてしまうミスが起きます。(3) は「421を含めるか」で1ずれます。「より小さいものの個数+1」と手順を固定してください。

09 円順列頻出

エッセンス:円順列は回転して一致するものを同じとみなす並べ方。だから「1つ固定して、残りを1列に並べる」。これが の正体です。

オリジナル問題 先生4人と生徒4人が円形のテーブルのまわりに等間隔で座る。

(1) 座り方は全部で何通りあるか。
(2) 先生と生徒が交互に座る方法は何通りあるか。
(3) 先生4人、生徒4人がそれぞれ連続して座る方法は何通りあるか。

解答を見る

(1) 8人の円順列だから 通り。

(2) まず先生4人を円形に並べる方法は 通り。
そのどの場合に対しても、先生と先生の間にできる4か所に生徒4人を並べる方法は 通り。
よって 通り。

(3) 先生の組と生徒の組の2つのかたまりの円順列は 通り。
そのどの場合に対しても、先生4人の並び 通り、生徒4人の並び 通り。
よって 通り。

落とし穴:(2) で「先生を1列に並べて 」としてしまう誤り。先に並べる方も円形なので です。ここで一方だけ円順列にすることが、交互の円順列の核心です。

10 じゅず順列補足

エッセンス:ネックレスのように裏返しても同じとみなすなら、円順列をさらに2で割る。

オリジナル問題 異なる7個の玉すべてを糸に通して輪を作る。作り方は何通りあるか。

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円順列は 通り。裏返して一致するものが2通りずつあるから 通り。

落とし穴:円卓の座り方に2で割ってしまうこと。人は裏返らないので、座席の問題は円順列のままです。「持ち上げてひっくり返せる物か」で判断します。

11 重複順列頻出

エッセンス:同じものを何度使ってもよいなら、毎回すべての選択肢が復活する。だから 。「r個の箱それぞれにn通り」と読むのがコツです。

オリジナル問題

(1) 7個の数字 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6 を使って3桁の整数を作る。ただし同じ数字を重複して使ってもよい。
 (ア) 作られる3桁の整数は全部で何個あるか。
 (イ) 503は小さい方から数えて何番目の整数か。

(2) 互いに異なる6個の玉を2つの箱A、Bに分けて入れる。A、Bのどちらの箱にも少なくとも1個の玉が入る分け方は何通りあるか。

解答を見る

(1)(ア) 百の位は0を除く6通り。十の位、一の位はそれぞれ0〜6の7通り。
よって 個。

(イ) 503より小さいものを数える。
1□□〜4□□ の形:百の位が4通り、十の位・一の位が 通りで
50□ で503より小さいもの:500, 501, 502 の3個
(5□□ で十の位が0より小さいものは存在しない)

合計 個。よって503は 番目。

(2) 6個の玉それぞれについて、Aに入れるかBに入れるかの2通りがある。積の法則により入れ方は 通り。
このうち、6個すべてをAに入れる場合と、6個すべてをBに入れる場合は条件を満たさない。
よって 通り。

落とし穴:(2) で「箱の側から数える」と にたどり着けません。数えるのは玉の側(玉1個ごとに行き先を選ぶ)です。「どちらにも少なくとも1個」という条件は空箱を作る2通りを引くだけ、と即断できるようにします。

12 支払いに関する場合の数応用

エッセンス:硬貨ごとに「作れる金額の種類」を数えて掛ける。ただし金額に重複が出ないかを必ず確認し、最後に「0円(1枚も使わない)」を除く。

オリジナル問題 10円硬貨4枚、100円硬貨3枚、500円硬貨3枚、合計10枚の硬貨の中から1枚以上を使って支払える金額は何通りあるか。

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10円硬貨4枚で作れる金額は 0, 10, 20, 30, 40円の5通り。
100円硬貨3枚で作れる金額は 0, 100, 200, 300円の4通り。
500円硬貨3枚で作れる金額は 0, 500, 1000, 1500円の4通り。

ここで、10円硬貨だけで作れる最大金額40円は100円未満、100円硬貨だけで作れる最大金額300円は500円未満だから、異なる組合せが同じ金額になることはない

よって、0円の場合を除いて 通り。

落とし穴:「0円を引く」を忘れるのが定番。しかしより深刻なのは重複の確認を飛ばすことです。たとえば10円硬貨が10枚以上あると、10円×10枚と100円×1枚が同じ金額になり、積の法則が成り立たなくなります。掛ける前に、下位の硬貨の合計が上位1枚に届かないかを見るのが手順です。

13 同じものを含む順列頻出

エッセンス:いったん全部を区別して と数え、区別できない分だけ割り戻す。同じものが p 個あれば、その p 個の並べ替え は全部同じ並びなので で割ります。

オリジナル問題 SUCCESS という単語の7個の文字全部を1列に並べる。

(1) 並べ方は全部で何通りあるか。
(2) 3つのSが続いて並ぶ並べ方は何通りあるか。
(3) 3つのSのうち、どの2つも隣り合わない並べ方は何通りあるか。
(4) 2つのCが隣り合う並べ方は何通りあるか。

解答を見る

SUCCESS は S が3個、C が2個、U が1個、E が1個の計7文字。

(1) 通り。

(2) SSS をひとまとめにすると、並べるのは [SSS], U, C, C, E の5個。C が2個あるから
通り。

(3) S以外の4文字 U, C, C, E を先に並べる。C が2個だから 通り。
そのどの場合に対しても、両端と文字の間にできる5か所の隙間から3か所を選んでSを1つずつ入れればよいから 通り。
よって 通り。

(4) CC をひとまとめにすると、並べるのは [CC], S, S, S, U, E の6個。S が3個あるから
通り。

落とし穴:(2) や (4) で、まとめた文字の中の並べ替えを掛けてしまう誤り。同じ文字どうしは並べ替えても区別がつかないので、ここでは掛けません(07(1)の大人・子どもとは逆です)。(3) では隙間の数を4と数えるミスが多発します。4文字の並びに対して隙間は両端を含めて5か所です。

14 最短経路頻出

エッセンス:最短経路は「→」と「↑」の文字列の並べ替え。地図の問題を、同じものを含む順列に翻訳します。

途中の点を経由する場合は、区間ごとに数えて積の法則。「〜を通らない」は(全体)−(通る)。

オリジナル問題 碁盤の目のような道がある街で、地点Aから東へ5区画、北へ4区画進んだ位置に地点Bがある。また、Aから東へ3区画、北へ2区画進んだ位置に地点C、Aから東へ4区画、北へ3区画進んだ位置に地点Dがある。

(ア) AからBへ行く最短経路は何通りあるか。
(イ) そのうちCを通るものは何通りあるか。
(ウ) Cを通らないものは何通りあるか。
(エ) Cを通り、かつDを通らないものは何通りあるか。

解答を見る

(ア) 東へ5、北へ4だから、「→」5個と「↑」4個の順列で
通り。

(イ) A→C は東へ3、北へ2だから 通り。
C→B は東へ2、北へ2だから 通り。
よって 通り。

(ウ) 通り。

(エ) Cを通りDも通る経路は、A→C が10通り、C→D(東へ1、北へ1)が2通り、D→B(東へ1、北へ1)が2通りで 通り。
よって 通り。

落とし穴:「区画の数」と「格子点の数」の取り違え。数えるのは進む回数(区画数)です。また (エ) のように条件が二重になったら、まずゆるい方(Cを通る)を確定させてから、その中で引くと混乱しません。

第III部 組合せ:選び方(15〜20)

15 組合せ nCr基本

エッセンス:組合せは「選ぶだけ、並べない」。順列を、選んだ 個の並べ替え で割ったものです。

は「使う 個を選ぶ=使わない 個を選ぶ」という言い換えです。計算を軽くする道具でもあります。

オリジナル問題

(1) 次の値を求めよ。 (ア)  (イ)  (ウ)  (エ)

(2) 男子8人と女子6人がいる。この中から委員4人を選ぶとき、その選び方は全部で何通りあるか。また、この4人の委員のうち少なくとも1人が女子である選び方は何通りあるか。

解答を見る

(1)(ア)

(イ)

(ウ)

(エ)

(2) 14人の中から4人を選ぶ選び方は 通り。

「少なくとも1人が女子」の余事象は「4人とも男子」。これは 通り。
よって 通り。

落とし穴:(ウ) を のまま13個の積で計算しようとすること。 の半分を超えたら に置き換えるのが定石です。(2) の後半を「女子1人+残り3人」と数えると同じ選び方を何重にも数えることになります(→17を参照)。

16 図形と組合せ頻出

エッセンス:「一直線上にない3点を選ぶ=三角形が1つ決まる」「2点を選ぶ=線分が1本決まる」。図形を作る行為を、点を選ぶ行為に翻訳します。

オリジナル問題 正八角形の8個の頂点のうち3点を結んでできる三角形について、正八角形と辺を共有しない三角形は何個あるか。また、少なくとも1辺を共有する三角形は何個あるか。

解答を見る

正八角形の8個の頂点は、どの3点も一直線上にないから、異なる3点を選べば三角形が1個できる。三角形の総数は
個。

[1] 2辺を共有する三角形
連続する3頂点を選んだときで、選び方は8通り。よって8個。

[2] ちょうど1辺を共有する三角形
共有する辺の選び方は8通り。その辺の2頂点以外の6頂点のうち、辺の両隣の2頂点を選ぶと2辺を共有してしまうので、使えるのは 通り。よって 個。

少なくとも1辺を共有する三角形は 個。

辺を共有しない三角形は 個。

落とし穴:[2] で「6頂点から自由に1個」として としてしまう誤り。これでは2辺を共有する三角形を2回ずつ数えています。実際 となり、ちょうど二重計上分だけ多いことが確認できます。

17 組合せと和の法則・積の法則頻出

エッセンス:「〜以上」「〜以下」が出たら場合を分けて足す。分けた各場合の中では積の法則を使い、約分は最後にまとめて行うと計算が軽くなります。

オリジナル問題 高校生7人、中学生5人の合計12人から5人を選ぶとき、高校生が3人以上、中学生が1人以上となる選び方は何通りあるか。

解答を見る

高校生が3人以上、中学生が1人以上となる選び方は、次の[1], [2]の場合がある。

[1] 高校生3人、中学生2人を選ぶ場合
通り

[2] 高校生4人、中学生1人を選ぶ場合
通り

(高校生5人、中学生0人は「中学生1人以上」を満たさないので除く。)

[1], [2] は同時には起こらないから、和の法則により 通り。

落とし穴:「中学生を1人先に確保してから、残り4人を11人から自由に選ぶ」という数え方()。これはどの中学生を先に確保したかで同じ組を何度も数えます。「先に1人確保」は原則として誤りだと覚えてください。また、条件を満たさない場合(ここでは高校生5人)を除き忘れるミスも定番です。

18 組分けの総数最重要

エッセンス:組分けで決定的なのは「組に区別がつくかどうか」。①人数が全部違えば区別がつく。②A・B・Cと名前がつけば区別がつく。③同じ人数で名前がない組どうしは区別がつかないので、その組の個数の階乗で割る

オリジナル問題 12人の生徒を次のように分けるとき、分け方は何通りあるか。

(1) 3人、4人、5人の3つのグループに分ける。
(2) 4人ずつA、B、Cの3つのグループに分ける。
(3) 4人ずつ3つのグループに分ける。
(4) 2人、2人、8人の3つのグループに分ける。

解答を見る

(1) 人数がすべて異なるので、3つの組は区別がつく。
通り。

(2) A、B、Cと名前がついているので区別がつく。
通り。

(3) 4人ずつで名前がないので、3つの組に区別がつかない。
(2)の1通りの組分けに対して、A、B、Cの名前のつけ方が 通りあるから、(2)の総数は(3)の総数の 倍。
よって 通り。

(4) 2人の組が2つあり、この2組には区別がつかない。8人の組は人数が違うので区別がつく。
通り。

落とし穴:(3) で割り忘れる、(4) で で割ってしまう(区別がつかないのは2人の組2つだけなので )。割るのは「同じ人数の、名前のない組」の個数の階乗です。判定手順を「①人数を見る → ②名前を見る → ③同じ人数で名前なしの組が何個あるか数える」と固定してください。

19 重複組合せ最重要

エッセンス:同じものを繰り返し選んでよい組合せ。「○」と「仕切り|」の並べ替えに翻訳します。n種類に分けるには仕切りは 本です。

たとえば A, B, C の3種類から6個選ぶなら、○6個と|2本の計8個の順列。「A2個、B1個、C3個」は ○○|○|○○○ に対応します。

オリジナル問題 水、お茶、コーヒー、ジュースの4種類の飲み物を売っている自動販売機で、8本の飲み物を購入する。

(ア) 購入しないものがあってもよいとすると、購入の組合せは何通りあるか。
(イ) 4種類すべてを少なくとも1本は購入しなければならないとすると、購入の組合せは何通りあるか。

解答を見る

(ア) 8本の飲み物を○8個で表し、4種類に分けるための仕切り|を3本用意する。求める組合せの総数は、○8個と|3本の計11個を1列に並べる順列の総数に等しいから
通り。

(イ) 4種類をそれぞれ1本ずつ先に購入したとして、残り 本について(ア)と同じ考え方をする。
○4個と|3本の計7個の順列だから
通り。

落とし穴:仕切りの本数を種類数と同じ4本にしてしまう誤り。4つの部屋を作るのに壁は3枚です。また(イ)で「先に1本ずつ確保する」のがここでは正しいことに注意してください。17では誤りでした。違いは、17では誰を確保したかで区別がつくのに対し、ここでは同じ種類の飲み物に区別がないからです。

20 重複組合せの応用(方程式の整数解)最重要

エッセンス: の整数解の個数は、N個の○を4つの箱に分ける問題そのもの。条件が「1以上」なら、置き換えて0以上に直すのが定石です。

オリジナル問題  について、次の個数を求めよ。

(ア) を満たす整数の組 の個数
(イ) を満たす整数の組 の個数

解答を見る

(ア) 12個の○を、3本の仕切り|で4つの部分に分ける順列と考える。○12個と|3本の計15個の順列だから
組。

(たとえば ○○|○○○○○|○○○|○○ は を表す。)

(イ) とおくと
 すなわち 

よって○8個と|3本の計11個の順列を考えて
組。

落とし穴:(イ) で置き換えたあと、右辺を12のままにしてしまう誤り。1ずつ4個先取りしたので、残りは です。置き換えたら必ず「新しい文字での方程式」を書き直してから数えてください。

第IV部 確率の基礎(21〜26)

21 確率の考え方最重要

エッセンス:確率の分母は「同様に確からしい」場合の総数。そのために、確率では同じものも区別して数える(場合の数では区別しなかったものでも、です)。ここが確率最大の分岐点です。

オリジナル問題 大小2個のさいころを同時に投げるとき、出た目の和が8以上になる確率を求めよ。

解答を見る

2個のさいころを区別して考えると、すべての場合の数は 通りで、これらは同様に確からしい。

目の和が8以上になるのは、和が8, 9, 10, 11, 12 のときで、それぞれ 5, 4, 3, 2, 1 通り。
合計 通り。

よって求める確率は

落とし穴:「2個のさいころは区別できないから、目の組合せは21通り」として分母を21にする誤り。この21通りは同様に確からしくありません((1,2) は (1,1) の2倍起こりやすい)。確率では必ず区別する。玉やカードも同じで、同色でも1個ずつ別物として扱います。

22 確率と順列・組合せ頻出

エッセンス:分子と分母で同じ数え方を使うこと。「並べる問題なら分母も分子も順列」「同時に取る問題なら分母も分子も組合せ」。混ぜると必ず壊れます。

オリジナル問題 S, U, U, G, A, K, U という文字が1つずつ書かれた7枚のカードがある。

(1) これら7枚のカードをよく混ぜて横1列に並べるとき、3枚のUが続いて並ぶ確率を求めよ。
(2) これら7枚のカードから3枚を同時に取り出すとき、書かれた文字がS, U, Kである確率を求めよ。

解答を見る

3枚のUを U1, U2, U3 として区別する。

(1) 7枚のカードの並べ方は 通りで、これらは同様に確からしい。
U1, U2, U3 をひとまとめにすると、まとまり1個と残り4枚の計5個の並べ方は 通り。そのどの場合に対しても、まとまりの中の3枚の並べ方は 通り。
よって求める確率は

(2) 7枚から3枚を取り出す方法は 通りで、これらは同様に確からしい。
S, U, K となる場合の数は 通り。
よって求める確率は

落とし穴:(1) の分母を (同じものを含む順列)としてしまう誤り。場合の数を数えるときは区別しないが、確率を求めるときは区別する——これを両方の場面で切り替えられるかが分かれ目です。(別解:3枚のUが入る位置の組合せ 通りのうち、連続するのは5通りで 。同じ答えになります。)

23 確率の加法定理(排反)基本

エッセンス:2つの事象が同時に起こらない(排反)とき、確率は足せる。「〜個以下」「〜または〜」を見たら、まず排反な場合に分解します。

オリジナル問題 赤玉5個、白玉4個が入っている袋から玉を同時に4個取り出すとき、赤玉の個数が1個以下である確率を求めよ。

解答を見る

玉を同時に4個取り出す方法は 通りで、これらは同様に確からしい。

赤玉の個数が1個以下であるのは、[1] 赤玉0個・白玉4個、[2] 赤玉1個・白玉3個 の2つの場合があり、これらは互いに排反である。

[1] の確率は

[2] の確率は

よって求める確率は

落とし穴:途中で約分してしまい、足すときに通分し直す手間が増えること。排反な場合の確率は、分母をそろえたまま足して、最後に一度だけ約分すると速く正確です。また「1個以下」に0個を含め忘れるミスも定番です。

24 一般の和事象の確率基本

エッセンス:排反でないときは、重なりを1回引く。集合の要素の個数(01)とまったく同じ形です。

オリジナル問題 1から60までの番号をつけた60枚の札から1枚を取り出すとき、その番号が4の倍数または6の倍数である確率を求めよ。

解答を見る

取り出した札の番号が4の倍数である事象をA、6の倍数である事象をBとすると、求める確率は

1から60までで、4の倍数は 個、6の倍数は 個。
4の倍数かつ6の倍数、すなわち12の倍数は 個。

よって

落とし穴:2つの事象が排反かどうかを確かめずに足すこと。4の倍数と6の倍数は12で重なるので排反ではありません。「排反である」と言えるのは、同時に起こる例が1つも作れないと確認できたときだけです。

25 余事象の確率最重要

エッセンス:「少なくとも1つ」「〜でない」を見たら余事象。直接数えると場合分けが膨らむものが、たいてい1行で終わります。

オリジナル問題 12本のくじの中に当たりくじが4本ある。この中から3本を同時に引くとき、少なくとも1本が当たる確率を求めよ。

解答を見る

12本から3本を引くすべての場合の数は 通り。

「少なくとも1本が当たる」という事象の余事象は「3本ともはずれる」。
はずれは 本だから、3本ともはずれる場合の数は 通り。

3本ともはずれる確率は

よって求める確率は

落とし穴:余事象を「3本とも当たる」としてしまう誤り。「少なくとも1本当たる」の否定は「1本も当たらない」=「全部はずれ」です。否定を作るときは「少なくとも1つある」⇔「1つもない」と機械的に反転させてください。

26 出る目の最大値頻出

エッセンス:「最大値が 以下」は全部が 以下で、掛け算1回。「最大値がちょうど 」は 以下)−( 以下)。この2つを混同しないことがすべてです。

オリジナル問題 1個のさいころを繰り返し4回投げる。

(ア) 出る目の最大値が4以下となる確率を求めよ。
(イ) 出る目の最大値がちょうど4となる確率を求めよ。

解答を見る

(ア) 出る目の最大値が4以下となるのは、4回とも4以下の目が出る場合である。
求める確率は

(イ) 出る目の最大値がちょうど4となるのは、4回とも4以下の目が出る場合から、4回とも3以下の目が出る場合を除いたものである。
求める確率は

落とし穴:(イ) を「少なくとも1回は4が出る」と考えて、そこで止まってしまうこと。「少なくとも1回4が出て、かつ5と6は一度も出ない」という二重の条件です。だから から引くのではなく、 から を引きます。「最小値」の問題なら不等号の向きがすべて逆になります。

第V部 試行の重ね方と期待値(27〜37)

27 独立な試行の確率基本

エッセンス:互いに影響を与えない試行なら、確率はそのまま掛ける。「外れる」側の確率 を書き出すのを忘れないこと。

オリジナル問題 A、B、Cの3人が射撃で的に当てる確率はそれぞれ とする。3人が1回ずつ射撃を行うとき、次の確率を求めよ。

(1) 3人とも的に当てる (2) 2人だけが的に当てる

解答を見る

A、B、Cが1回射撃を行う試行は、それぞれ独立である。

(1)

(2) 2人だけが的に当てるのは、[1] Cだけが外す、[2] Bだけが外す、[3] Aだけが外す の3つの場合があり、これらは互いに排反である。

[1]

[2]

[3]

よって求める確率は

落とし穴:(2) で「誰が外すか」の3通りを立てず、1つの式だけで済ませてしまう誤り。3人の的中率がすべて異なるので、 倍では済みません(反復試行の公式が使えるのは確率が全部同じときだけです)。

28 反復試行の確率最重要

エッセンス:同じ試行を 回くり返し、確率 の事象がちょうど 回起こる確率。 は「どの回で起こるか」の選び方です。ここを「なんとなく掛ける係数」で終わらせないこと。

オリジナル問題 4つの選択肢から正答を1つ選ぶ問題を6題、でたらめに答える。

(ア) ちょうど2題正解となる確率を求めよ。
(イ) 5題以上正解となる確率を求めよ。

解答を見る

1題ごとに正解する確率は 、正解しない確率は で、各題を解く試行は独立である。

(ア)

(イ) 5題以上正解となるのは、ちょうど5題正解またはちょうど6題正解の場合で、これらは互いに排反である。

ちょうど5題:

ちょうど6題:

よって求める確率は

落とし穴:指数を取り違えること。 の指数は「起こる回数 」、 の指数は「残り で、足すと必ず になります。書いたあとに指数の和が かを確認するだけで、事故はほぼ防げます。

29 点の移動頻出

エッセンス:移動の問題は、「何回起これば目標に着くか」を方程式で先に出す。座標が決まれば、あとは反復試行の公式に入れるだけです。

オリジナル問題 数直線上を動く点Pが原点にある。1個のさいころを1回投げて、3の倍数の目が出たらPは正の方向に4だけ進み、それ以外の目が出たらPは負の方向に2だけ進む。さいころを9回投げたとき、Pが原点にある確率を求めよ。

解答を見る

3の倍数の目は3, 6の2通りだから、1回の試行で3の倍数の目が出る確率は 、それ以外の目が出る確率は である。

9回のうち3の倍数の目が 回出るとすると、それ以外の目は 回出る。
このとき、点Pの座標は

Pが原点にあるとき  よって

したがって、9回のうち3の倍数の目が3回出るときであるから、求める確率は

落とし穴:「原点に戻る=進んだ回数と戻った回数が等しい」と思い込むこと。1回あたりの移動量が違うので、必ず方程式を立てます。また、求めた 0以上9以下の整数になっているかを必ず確認してください。整数にならなければ、その確率は0です。

30 ゲームが終わる確率応用

エッセンス:「ちょうど 回目で終わる」は、 回目に終了条件を満たす手が出て、かつ 回目までは終わっていないという2段構え。最後の1回を切り離すのが定石です。

オリジナル問題 1枚の硬貨を繰り返し投げて、表が3回出たら終わるゲームを考える。

(1) ちょうど5回でゲームが終わる確率を求めよ。
(2) 5回以内にゲームが終わる確率を求めよ。

解答を見る

(1) ちょうど5回で終わるのは、4回目までに表が2回、裏が2回出て、5回目に表が出る場合である。

4回目までに表が2回出る確率は

5回目に表が出る確率は 。各試行は独立だから

(2) 最短で終わるのは3回だから、ちょうど3回、4回、5回で終わる場合を求めて加える。これらは互いに排反である。

ちょうど3回:

ちょうど4回:

ちょうど5回:(1)より

よって求める確率は

落とし穴:「5回投げて表が3回以上」と考えて で計算すること。この問題では表が3回出た時点で投げるのをやめます。もっとも、5回以内に終わる確率は「5回投げたときに表が3回以上出る確率」と一致します(終了後も投げ続けたと考えればよいため)。一致する理由を説明できないまま使わないことが大切です。

31 確率 pn を最大にする n難関

エッセンス:反復試行の確率は積や累乗の形なので、差ではなく比 を1と比べる。比が1より大きい間は増加、小さくなったら減少、その境目が最大です。

オリジナル問題 赤玉4個、白玉6個が入っている袋がある。この袋から玉を1個取り出しては、もとに戻すことを 回繰り返す。ちょうど3回赤玉を取り出す確率を とする。 において の式で表し、 を最大にする の値を求めよ。

解答を見る

1回の試行で赤玉を取り出す確率は 。よって

において

のとき であるから

よって のとき のとき 。すなわち

したがって を最大にするのは

落とし穴:不等式を変形するときに の符号を確認せずに両辺へ掛けること。負なら不等号の向きが変わります。もう一つ、 となる が整数の場合は最大値をとる が2つになります。今回は で整数でないため1つに定まりました。

32 条件付き確率最重要

エッセンス:条件付き確率とは分母を取り替えること。「Aが起こった」と分かった瞬間、世界の全体がUからAに縮みます。

オリジナル問題

(1) 50人のクラスで通学方法を調査したところ、電車を使う生徒は22人、バスを使う生徒は16人、両方使う生徒は6人であった。この50人から1人を選ぶとき、その人が電車を使うという事象をA、バスを使うという事象をBとする。次の確率を求めよ。
 (ア)  (イ)  (ウ)

(2) 大小2個のさいころを同時に投げる。出た目の和が8以上であるという条件のもとで、2つの目がともに偶数またはともに奇数である確率を求めよ。

解答を見る

(1)(ア)

(イ) は「電車を使う22人」を全体としたときにバスも使う確率だから

(ウ) は「バスを使う16人」を全体としたときに電車も使う確率だから

(2) 目の和が8以上となる場合は、21で数えたとおり15通り。これが新しい全体になる。

2つの目がともに偶数またはともに奇数であるのは、目の和が偶数のとき。和が8以上で偶数となるのは
和が8:(2,6), (3,5), (4,4), (5,3), (6,2) の5通り
和が10:(4,6), (5,5), (6,4) の3通り
和が12:(6,6) の1通り
合計 通り。

よって求める確率は

落とし穴: を取り違えること。分母が違うだけですが、意味はまったく別です。「Aのうちの何割か」を聞かれたら分母はAの人数(22人)、「50人のうち何割か」なら分母は50人。日本語を読んで、分母にする集団を先に指差してから式を書いてください。

33 確率の乗法定理最重要

エッセンス:「もとに戻さない」なら独立ではない。前の結果で残り本数が変わるので、条件付き確率を掛けます。

オリジナル問題 12本のくじの中に当たりくじが5本ある。引いたくじはもとに戻さないものとして、A、Bの2人がこの順に1本ずつ引く。

(1) AもBも当たる確率を求めよ。
(2) Bが当たる確率を求めよ。
(3) Bが当たったとき、Aが当たっている確率を求めよ。

解答を見る

Aが当たるという事象をA、Bが当たるという事象をBとする。

(1) 。Aが当たったとき、残りのくじは11本で当たりは4本を含むから
よって

(2) Bが当たるのは、[1] Aも当たる、[2] Aははずれる の2つの場合があり、互いに排反である。

[1]

[2]

よって

(3)

落とし穴:(2) の答えが 一致することを偶然だと思うこと。くじ引きは引く順番によって当たる確率が変わりません(順番の有利不利はない)。この事実を知っていれば検算になります。また (3) は「後の結果から前を推測する」形で、時間の流れと逆向きですが、条件付き確率の定義はそのまま使えます。

34 じゃんけんの確率頻出

エッセンス:じゃんけんは「誰が勝つか」×「何の手で勝つか」で数える。全体は 通り。あいこは直接数えず、余事象で処理するのが速い。

オリジナル問題 4人でじゃんけんを1回行う。次の確率を求めよ。

(1) 勝者がちょうど1人に決まる (2) 勝者がちょうど2人になる (3) あいこになる

解答を見る

4人の手の出し方の総数は 通りで、これらは同様に確からしい。

(1) 勝つ1人の選び方は 通り。そのどの場合に対しても、勝者の手はグー、チョキ、パーの3通りで、残り3人の手は負ける手に決まる。
よって 通りだから、求める確率は

(2) 勝つ2人の選び方は 通り。勝者の手は3通りで、残り2人の手は決まる。
よって 通りだから、求める確率は

(3) 勝つ3人の選び方は 通りで、勝者の手は3通りだから 通り。

あいこは、勝負がつかない場合、すなわち勝者が1人、2人、3人のいずれでもない場合である。
通り。

よって求める確率は

落とし穴:あいこを「全員同じ手」だけだと思うこと。4人で3種類の手がすべて出てもあいこです。だから直接数えると場合分けが増えます。「勝負がつく場合を全部数えて、全体から引く」のが安全です。また、勝者の人数が変わるとき「負ける側の手は自動的に決まる」点が計算を軽くしています。

35 原因の確率難関

エッセンス:「結果が分かったとき、原因は何か」を求める。結果の確率を、原因ごとに分解して足すのが第一段階。第二段階は条件付き確率の定義そのものです。

オリジナル問題 ある工場では2つのラインA、Bで製品Xを作っている。製品X全体のうち70%がAで、30%がBで作られる。Aで作られたもののうち2%、Bで作られたもののうち5%が不良品である。この工場で作った製品Xを無作為に1個選び検査したところ、不良品であった。それがAで作られたものである確率を求めよ。

解答を見る

選んだ1個がAで作られたものである事象をA、Bで作られたものである事象をB、不良品である事象をEとする。AとBは互いに排反である。

選んだ1個が不良品である確率は

よって求める確率は

(同様に、Bで作られたものである確率は で、合計すると1になる。)

落とし穴:答えを「Aの割合が70%だから、不良品もだいたい70%はAだろう」と直感で決めてしまうこと。Bの不良率がAの2.5倍あるため、生産量では圧倒的に少ないBが、不良品の中では過半数()を占めます。割合の大きさと、条件付き確率の大きさは別物です。ここが「原因の確率」がおもしろい理由でもあります。

36 期待値基本

エッセンス:期待値は「(値)×(その値になる確率)」の総和。表にして、上下を掛けて足す、と手順を固定します。確率の和が1になることが検算です。

オリジナル問題 200本のくじの中に、1等5000円が2本、2等2000円が8本、3等500円が40本入っている。はずれたときの賞金はない。このくじを1本引いたときの賞金の期待値を求めよ。

解答を見る

はずれは 本。各賞金とそれが当たる確率は次の表のようになる。

賞金(円) 5000 2000 500 0
確率 1

よって賞金の期待値は

落とし穴:はずれの行を書かないこと。賞金0円は期待値に寄与しませんが、書かないと確率の和が1にならず、検算ができません。表を作って合計欄を1にする、この一手間が事故を防ぎます。

37 期待値の利用(有利・不利の判定)応用

エッセンス:期待値は意思決定の道具。「(得られる金額の期待値)>(参加料)」なら参加者に有利。2つの選択肢を比べるときも、期待値どうしを比べます。

オリジナル問題 次の2つのゲームがある。

ゲームP:硬貨を3枚同時に投げ、表が出た枚数1枚につき400円もらえる。
ゲームQ:さいころを1個投げ、5以上の目が出たら1500円、4以下の目が出たら300円もらえる。

(1) ゲームP、ゲームQそれぞれについて、もらえる金額の期待値を求めよ。
(2) 参加料が同じであるとき、どちらのゲームに参加する方が有利か。
(3) ゲームQの参加料を 円とするとき、参加者に有利となるのは がどのような範囲のときか。

解答を見る

(1) ゲームP 表が出る枚数を とすると、 のとりうる値は 0, 1, 2, 3 で、それぞれの確率は (和は1)。

もらえる金額は 円だから、期待値は

ゲームQ 5以上の目が出る確率は 、4以下の目が出る確率は 。期待値は

(2) 参加料が同じなら、もらえる金額の期待値が大きい方が有利である。 より ゲームQ に参加する方が有利。

(3) 参加者に有利となるのは(得られる金額の期待値)>(参加料)のときだから
 すなわち 

落とし穴:「1回やってみたら損したから不利」と考えること。期待値は長期的な平均であって、1回の結果を保証しません。逆に、期待値だけで判断してはいけない場面(1回きりで大金を失う可能性がある、など)もあります。数学の答えとしては期待値で判定しますが、その前提を言葉にできることが本当の理解です。

検算の作法(この単元でいちばん差がつくところ)

  1. 確率が0以上1以下か。 1を超えたら、たいてい二重に数えています。
  2. 排反な場合の確率を全部足すと1になるか。 34のじゃんけんなら
  3. 小さい数で作り直して手で数えてみる。 02の「先に4勝」なら、まず「先に2勝」で6通りになるかを確かめます。
  4. 余事象と直接計算の両方でやってみる。 一致すれば、まず間違いありません。
  5. 掛けた因数の個数が、埋めた場所の数と合っているか。 06、28の指数ミスはこれで防げます。

この単元を「わかった」と言えるかの自己診断

  • 順列と組合せを、公式ではなく「順序を区別するかどうか」で言い分けられる(06・15)
  • 場合の数では区別しないものを、確率では区別する理由を説明できる(21・22)
  • 組分けでいつ階乗で割るのかを、その場で判断できる(18)
  • 「少なくとも」を見た瞬間に余事象に手が伸びる(07・15・25)
  • 17では「先に1人確保」が誤りで、19では正しい——その違いを言葉で説明できる

5つすべてに「はい」と言えるなら、この単元は入試レベルで戦えます。どれか1つでも詰まるなら、その項目に戻ってください。詰まった1項目が、そのまま入試本番で落とす1問になります。

作問・解答:数強塾編集部。掲載した37問はすべて数強塾のオリジナル問題です。公開前に、全問の答えを計算機による全列挙(総当たり)で検証し、91項目の照合をすべて一致させています。最終更新:2026年8月14日。

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